説明

記録装置

【課題】ロール状に巻かれた記録用紙の使い始めから使い終わりまでの間で、記録品質の差異を低減する。
【解決手段】紙送りモータ21から第1歯車23、第2歯車24及び第3歯車25を介して紙送りローラ19aに動力を伝達して記録用紙PをX方向に間欠送りするとともに、間欠送りされる記録用紙Pに記録ヘッド5からインク滴を吐出して記録を行うインクジェット記録装置1であって、第1検出センサ45及び第2検出センサ47によって検出されるロール部26の大きさに基づいて、紙送りモータ21の紙送りステップ数を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状の記録媒体に記録を行うことができる記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録装置の一つであるサーマルプリンタにおいて、ロール紙の重量から把握されるロール紙の残量に基づいて、このロール紙を駆動するステッピングモータのスルーアップ条件及び駆動電流並びに印字ヘッドの印字タイミングを変化させることにより、ロール紙の消費状況に応じた最適な状態で印字することができるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−115787号公報(第3〜4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロール紙などのロール状の記録媒体に記録を行うことができる記録装置では、図6に示すように、送りローラDRと従動ローラFRとの間に記録媒体Meを挟持した状態で、モータMoからの動力で送りローラDRを回転駆動して、この記録媒体Meをロール部RBの巻き終わり端側から送り方向Pfに送る送り装置を採用することができる。この場合、モータMoと送りローラDRとの間には、モータMoからの動力を送りローラDRに伝達する動力伝達機構が介在する。動力伝達機構としては、容易に減速機構を構成できる歯車やタイミングベルトなどを採用したり、異なる回転軸同士を減速せずに接続するカップリング(軸継手)などを採用したりすることができる。
【0005】
しかしながら、このような送り装置では、モータMoを送り方向Pfにおける記録媒体Meの規定の送り量に対応した回転量で駆動しても、動力伝達機構を構成する部品の弾性変形や、送りローラDRと記録媒体Meとの滑りなどにより、記録媒体Meの規定の送り量に対する送り不足が発生することがある。この送り不足は、記録媒体を間欠送りして記録を行う記録装置において、記録結果に非記録部分が筋状に発生する記録抜けなど、記録品質の劣化に結びついてしまう。特に、画像を記録する場合には、文字を記録する場合に比較して記録密度が高いため、記録品質の劣化が顕著になってしまう。そして、このような送り不足は、ロール部RBを駆動するときの負荷が大きいほど多く、記録媒体Meの残量が少なくなり、ロール部RBを駆動するときの負荷が小さくなると、解消されやすくなる。
【0006】
すなわち、このような送り装置では、ロール状の記録媒体の使い始めの時点と使い終わりの時点とで、記録品質に差異が生じやすいという未解決の課題がある。
本発明は、この未解決の課題に着目してなされたものであり、ロール状の記録媒体の使い始めから使い終わりまでの間で、記録品質の差異を低減することができる記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明における記録装置は、伝達される動力によって駆動され、ロール状に巻かれた記録媒体を所定の送り方向に送る媒体送り手段と、該媒体送り手段に伝達される前記動力を出力して前記媒体送り手段を駆動する送り駆動手段と、前記媒体送り手段によって送られる前記記録媒体に記録を行う記録手段と、前記記録媒体の残量を検出する残量検出手段とを備え、前記送り駆動手段は、前記残量検出手段によって検出された前記記録媒体の前記残量に基づいて、前記動力の出力を変化させることを特徴とする。
【0008】
この第1の発明では、送り駆動手段からの動力の出力を、残量検出手段が検出した記録媒体の残量に基づいて変化させることができる。これにより、記録媒体の残量が変化してこの記録媒体を送るのにかかる負荷が変化しても、変化した負荷に応じて出力が変化する動力を媒体送り手段に伝達することが可能となる。すなわち、送り駆動手段から媒体送り手段に伝達される動力に損失があっても、この損失を補填するように動力の出力を変化させることが可能となり、記録媒体の残量変化によって発生する送り量の差異を軽減することが可能となる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記送り駆動手段は、前記記録媒体の前記残量が少なくなるのに応じて前記媒体送り手段の駆動量が少なくなる方向に、前記出力を変化させることを特徴とする。
【0010】
この第2の発明では、記録媒体の残量が少なくなるのに応じて、送り駆動手段からの出力が、媒体送り手段の駆動量を少なくする方向に変化する。換言すれば、送り駆動手段は、記録媒体の残量が多いときほど、媒体送り手段の駆動量が多くなる方向に出力を変化させる。
【0011】
これにより、記録媒体の残量が多くて記録媒体を送るのにかかる負荷が大きい場合と、記録媒体の残量が少なくなって記録媒体を送るのにかかる負荷が小さくなった場合とで送り量の差異を軽減することができる。従って、ロール状の記録媒体の使い始めから使い終わりまでの間で、記録品質の差異を低減することが可能となる。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記残量検出手段は、前記ロール状に巻かれた記録媒体のロール部の径方向の大きさを検出する検出器を備えているとともに、前記検出器が検出した前記ロール部の大きさに基づいて前記残量を検出するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
これにより、ロール部の径方向の大きさに基づいて、記録媒体の残量を検出することが可能となる。
【0014】
第4の発明は、第3の発明において、前記検出器は、前記記録媒体に非接触で前記ロール部の径方向の大きさを検出可能に構成されていることを特徴とする。
【0015】
第5の発明は、第4の発明において、前記検出器は、前記ロール部を検出する光学式センサを備えていることを特徴とする。
【0016】
これら第4及び第5の発明では、検出器が記録媒体に対して非接触でロール部の大きさを検出することができるため、記録媒体に負荷を与えることなくロール部の大きさを検出することが可能となる。
【0017】
第6の発明は、第5の発明において、前記検出器は、複数個の前記光学式センサを前記ロール部の径方向に沿って並べて配設した構成を有しているとともに、前記ロール部を前記光学式センサによって区切られる複数の区間ごとに検出して、前記大きさを段階的に検出するように構成されており、前記送り駆動手段は、段階的に検出される前記ロール部の前記大きさごとに設定された前記出力で、前記動力を出力することを特徴とする。
【0018】
この第6の発明では、ロール部の径方向に沿って並べて配設される複数個の光学式センサを備えている。そして、光学式センサで区切られる区間ごとにロール部を検出することにより、このロール部の大きさが段階的に検出される。また、送り駆動手段からの動力の出力は、段階的に検出されるロール部の大きさに応じて段階的に変化する。
【0019】
つまり、ロール部の大きさを段階的に検出することができるとともに、検出されたロール部の大きさごとに出力を段階的に変化させることができる。これにより、送り駆動手段からの動力の出力を、連続的に変化するロール部の大きさに連動させて連続的に変化させる場合に比較して、記録装置の動作の制御や処理にかかる負担を軽減することが可能となる。
【0020】
第7の発明は、第6の発明において、前記検出器は、前記光学式センサによって区切られる前記区間の区間数を、前記複数個のうちの1個の前記光学式センサによって区切られる最少区間数から、前記複数個の前記光学式センサのすべてで区切ることができる最多区間数までの間で、変更可能に構成されていることを特徴とする。
【0021】
この第7の発明では、光学式センサによって区切られる区間の区間数が、最少区間数から最多区間数までの間で変更可能になっているため、許容される記録品質に応じた区間数で、送り駆動手段からの動力の出力を変化させることが可能となる。これにより、記録装置の動作の制御や処理にかかる負担を軽減しつつ、許容される記録品質を確保しやすくすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施形態を、インクジェット記録装置を例に図面に基づいて説明する。
本実施形態におけるインクジェット記録装置1は、正面図である図1(a)及び平面図である図1(b)に示すように、記録用紙Pを図中のX方向に送る紙送り装置3と、記録用紙Pにインク滴を吐出して記録を行う記録ヘッド5と、記録ヘッド5を図1(b)中のY方向に移動させるヘッド移動装置7と、プラテン9と、排紙ローラ11a及び11bと、ロール収容部13と、ロール検出部15とを備えている。このインクジェット記録装置1は、記録用紙Pがロール状に巻かれた所謂ロール紙に記録を行うことができる。
【0023】
ここで、上記の各構成について詳細を説明する。
紙送り装置3は、図1(a)に示すように、互いに外周を接し合って回転可能に構成された紙送りローラ19a及び紙押さえローラ19bと、紙送りローラ19aを回転駆動するための動力を発生する紙送りモータ21と、紙送りモータ21からの動力を紙送りローラ19aに伝達する第1歯車23、第2歯車24及び第3歯車25とを備えている。
【0024】
紙送りローラ19a及び紙押さえローラ19bは、図1(a)で見て、紙送りローラ19aが記録用紙Pの上側に配設され、紙押さえローラ19bが記録用紙Pを挟んで紙送りローラ19aの下側に配設されている。
【0025】
第1歯車23、第2歯車24及び第3歯車25は、図1(a)に示すように、第1歯車23が紙送りモータ21の回転軸に圧入されており、第2歯車24が図示しない筐体に設けられた軸に回転自在に挿入されており、第3歯車25が紙送りローラ19aに圧入されている。これら第1、第2及び第3歯車23、24及び25は、減速機構を構成しており、紙送りモータ21からの動力を増幅して紙送りローラ19aに伝達する。
【0026】
上記の構成を有する紙送り装置3は、紙送りモータ21からの動力が第1、第2及び第3歯車23、24及び25を介して紙送りローラ19aに伝達され、紙送りローラ19aと紙押さえローラ19bとの間に挟持した記録用紙Pを、記録用紙Pがロール状に巻かれたロール部26の巻き終わり端側からX方向に所定量ずつ間欠的に送る。
【0027】
すなわち、紙送りモータ21が、図1(a)で見て第1歯車23を時計方向に回転させるように起動すると、第2歯車24が反時計方向に回転し、第3歯車25が時計方向に回転する。そして、紙送りローラ19aが第3歯車25に連動して時計方向に回転し、記録用紙PがX方向に送られる。
【0028】
なお、本実施形態では、紙送りモータ21としてステッピングモータを採用した。また、図1(a)において、構成をわかりやすく示すため、第1歯車23、第2歯車24及び第3歯車25を一点鎖線で図示した。
【0029】
記録ヘッド5は、図1(a)に示すように、紙送りローラ19aよりもX方向の下流側に位置し、底面には、インクをインク滴として吐出する複数のノズルが形成されている。これら複数のノズルは、X方向に沿って所定の距離に亘って整列してノズル列を構成している。この記録ヘッド5は、複数のノズルが形成されているノズル面を、このノズル面と記録用紙Pとの間に隙間を有して、記録用紙P側に向けた状態で、上面側が後述するキャリジ27に支持されている。
【0030】
つまり、記録ヘッド5は、ノズル面が隙間を介して記録用紙Pに対向するように、キャリジ27に支持されている。なお、記録ヘッド5としては、例えば、圧電素子や加熱素子を備え、これらの素子を駆動してインクに圧力を付与するものを採用することができる。
【0031】
ヘッド移動装置7は、図1(b)に示すように、キャリジ27と、キャリジ軸29と、キャリジモータ31と、モータプーリ33と、従動プーリ35と、タイミングベルト37とを備えている。
【0032】
キャリジ27は、図1(a)で見て紙送りローラ19aの上方に位置し、この紙送りローラ19aをX方向にまたぐように設けられている。このキャリジ27には、紙送りローラ19aよりもX方向上流側に、Y方向に沿ってキャリジ27を貫通する貫通穴が設けられている。この貫通穴には、後述するキャリジ軸29が挿入されてこのキャリジ軸29と摺動する図示しない軸受けが配設されている。また、キャリジ27の底面には、紙送りローラ19aよりもX方向下流側に記録ヘッド5が配設されている。
【0033】
キャリジ軸29は、図1(a)で見て記録用紙Pの上方且つ紙送りローラ19aよりもX方向で上流側に位置し、図1(b)に示すように、記録用紙PをY方向にまたいで、図示しない筐体に架設されている。このキャリジ軸29は、キャリジ27の貫通穴に配設されている軸受けを介して、キャリジ27の貫通穴に挿入されている。
【0034】
キャリジモータ31は、キャリジ27をY方向に移動するための動力を発生する。このキャリジモータ31は、図1(b)に示すように、記録用紙Pよりも外側の位置すなわち記録用紙Pの送りを妨げない位置で、図示しない筐体に支持されている。なお、本実施形態では、キャリジモータ31としてステッピングモータを採用した。
【0035】
モータプーリ33は、図1(b)に示すように、キャリジモータ31の回転軸に圧入されている。また、従動プーリ35は、図1(b)に示すように、記録用紙Pを挟んでモータプーリ33に対峙する位置で、図示しない筐体に回転自在に支持されている。
【0036】
タイミングベルト37は、図1(b)に示すように、記録用紙PをY方向にまたいで、モータプーリ33と従動プーリ35との間に架設されている。なお、前述したキャリジ27は、タイミングベルト37の一部に固定されている。
【0037】
これらのモータプーリ33、従動プーリ35及びタイミングベルト37は、キャリジモータ31が発生する回転動力を、回転方向からY方向に沿った方向に変換しつつ、タイミングベルト37に固定されているキャリジ27に伝達する。
【0038】
上記の構成を有するヘッド移動装置7は、キャリジモータ31からの動力がモータプーリ33、従動プーリ35及びタイミングベルト37によってキャリジ27に伝達され、キャリジ27及びこのキャリジ27に配設されている記録ヘッド5を、Y方向に移動させる。
【0039】
なお、インクジェット記録装置1では、静止している記録用紙Pを記録ヘッド5が横切る間にノズルからインク滴を吐出させることにより、記録用紙Pに対する記録が行われる。つまり、記録ヘッド5は、静止した記録用紙Pを1回だけ横切ると、最長で、前述したノズル列のX方向における長さに相当する分だけ記録用紙Pに記録を行うことができる。
【0040】
記録ヘッド5が最長で記録を行うとき、紙送り装置3は、記録用紙Pをノズル列の長さに相当する送り量ずつX方向に間欠的に送る。つまり、この場合、インクジェット記録装置1では、紙送り装置3が記録用紙Pを、ノズル列の長さに相当する送り量だけ送ってから静止させた後、記録ヘッド5がヘッド移動装置7によって記録用紙Pを往路方向に横切るように移動される間に最長の記録を実施する。その後、紙送り装置3が記録用紙Pを、ノズル列の長さに相当する送り量だけ送ってから静止させ、記録ヘッド5が記録用紙Pを復路方向に横切るように移動される間に最長の記録を実施する。ここまでの記録動作において、記録ヘッド5は、記録用紙Pを2回だけ横切ってY方向に1往復したことになる。
【0041】
このように、インクジェット記録装置1では、記録用紙Pの送り及び静止並びに記録ヘッド5の移動及び記録という動作がこの順序で繰り返されることにより、記録用紙Pに対する記録が行われていく。
【0042】
プラテン9は、図1(a)に示すように、紙押さえローラ19bよりもX方向の下流側で、記録用紙Pを挟んで記録ヘッド5に対向する位置に配設されている。このプラテン9は、紙送りローラ19a及び紙押さえローラ19b間から送り出される記録用紙Pを、紙送りローラ19a及び紙押さえローラ19bのX方向下流側で支える。
【0043】
排紙ローラ11a及び11bは、図1(a)に示すように、記録ヘッド5よりもX方向の下流側で、互いに外周を接し合って回転可能に配設されている。これらの排紙ローラ11a及び11bは、記録用紙Pを排紙ローラ11a及び11b間に挟持した状態で回転駆動され、この記録用紙PをX方向に送り出してインクジェット記録装置1外に排出する。
【0044】
なお、記録用紙Pは、紙送りローラ19a及び紙押さえローラ19b間からX方向に送り出されてから、一対の排紙ローラ11a及び11bによって挟持されると、プラテン9によって支えられる部分が平坦に保たれる。
【0045】
ロール収容部13は、図1(a)に示すように、ロール部26を収容する収容器39と、収容器39内の底面に配設され、ロール部26の外周をロール部26が回転可能に支持するコロ41とを備えている。
【0046】
ここで、記録用紙Pは、図1(a)に示すように、中空のロール芯43に巻かれてロール部26が形成されている。ロール紙に記録を行うことができる記録装置では、一般的に、ロール芯43に軸を挿入することによってロール部26を回転可能に支持する所謂軸支方式と、ロール芯43に挿入される軸を備えることなく、ロール部26をその外周で支持する所謂投げ込み方式とがある。この投げ込み方式では、ロール芯43に軸を挿入する煩わしさがない点で、軸支方式よりもロール紙の交換が簡便であるという利点がある。本実施形態のインクジェット記録装置1では、投げ込み方式を採用した。
【0047】
上述のコロ41は、投げ込み方式において、ロール部26が容易に回転することを助ける。
【0048】
ロール検出部15は、図1(a)に示すように、ロール芯43を挟んでロール部26の径方向に沿って並ぶ第1検出センサ45及び第2検出センサ47を備えている。第1検出センサ45及び第2検出センサ47は、それぞれ、例えば、フォトインタラプタなどの発光素子及び受光素子を備えた光学式センサで構成され、図1(b)に示すように、それぞれ、ロール部26の側面49との間に隙間を有して配設されている。
【0049】
なお、本実施形態では、第1検出センサ45及び第2検出センサ47として、それぞれ、反射型のフォトインタラプタを採用した。これらの第1及び第2検出センサ45及び47は、それぞれ、発光素子から発せられた光がロール部26の側面49に当たり、側面49に当たった光が側面49によって反射され、その反射光を受光素子が受光すると、出力信号をOFF状態からON状態に変化させる。この出力信号のON状態及びOFF状態によって、ロール部26の大きさの変化が検出される。
【0050】
また、インクジェット記録装置1は、図2に示すように、上述した各構成の動作を制御する制御回路61を備えている。この制御回路61は、制御部63と、記録ヘッドドライバ65と、紙送りモータドライバ67と、キャリジモータドライバ69と、インタフェース部71とを備えている。
【0051】
制御部63は、例えば、マイクロコンピュータで構成され、CPU(Central Processing Unit)73と、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)75と、RAM(Random Access Memory)77と、ROM(Read-Only Memory)79とを備えている。
【0052】
CPU73は、記録処理等の各種処理を実行する。SDRAM75は、パーソナルコンピュータ、POS(Point Of Sales)システムやATM(Automated Teller Machine)などのホストコンピュータ81からインタフェース部71を介して入力される記録データを格納する。RAM77は、CPU73によって実行される記録処理等のアプリケーションプログラムを一時的に展開したり、各種データを一時的に格納したりする。
【0053】
ROM79は、不揮発性半導体メモリで構成され、CPU73が実行する制御プログラムや、後述する出力補正テーブルなどが格納されている。
【0054】
記録ヘッドドライバ65は、CPU73からの指令に基づいて、記録ヘッド5を制御する。紙送りモータドライバ67は、CPU73からの指令に基づいて、紙送りモータ21を制御する。キャリジモータドライバ69は、CPU73からの指令に基づいて、キャリジモータ31を制御する。なお、第1検出センサ45からの出力信号D1及び第2検出センサ47からの出力信号D2は、制御部63に入力される。
【0055】
インタフェース部71は、ホストコンピュータ81から受け取った文字や画像などに関する記録データを制御部63に出力したり、制御部63から受け取った各種情報をホストコンピュータ81に出力したりする。
【0056】
ここで、出力補正について説明する。
インクジェット記録装置1では、ロール部26における記録用紙Pの残量に応じて、紙送りモータ21からの動力の出力が補正されるようになっている。紙送りモータ21からの動力の出力とは、紙送りモータ21の回転軸の回転量を指す。すなわち、紙送りモータ21にステッピングモータを採用した本実施形態では、紙送りモータ21の回転軸の回転量は、ステッピングモータのステップ数で規定される。
【0057】
ROM79に格納されている出力補正テーブルには、ロール部26における記録用紙Pの残量に応じて補正される紙送りモータ21のステップ数が示されている。インクジェット記録装置1では、ロール検出部15の第1及び第2検出センサ45及び47がロール部26の径方向の大きさを検出することによって、ロール部26における記録用紙Pの残量が検出される。
【0058】
インクジェット記録装置1での出力補正テーブルには、下記表1に示すように、第1及び第2検出センサ45及び47のそれぞれからの出力信号D1及びD2の状態に対応して、ステップ数の増減値が示されている。
【0059】
【表1】

なお、この表1において、出力信号欄の“ON”とは、第1及び第2検出センサ45及び47からの各出力信号D1及びD2がON状態であることを示し、“OFF”とは、各出力信号D1及びD2がOFF状態であることを示している。
【0060】
ここで、ロール部26の大きさの検出について説明する。
第1及び第2検出センサ45及び47は、それぞれ、第1及び第2検出センサ45及び47並びにロール部26を、図1(a)中のA視方向に見た図である図3(a)に示すように、ロール部26の側面49に向けて光線83及び85のそれぞれを発する。このとき、第1検出センサ45から発せられる光線83及び第2検出センサ47から発せられる光線85は、側面49に当たる。つまり、ロール部26の直径が光線83及び85間の距離よりも大きいときには、第1及び第2検出センサ45及び47からの出力信号D1及びD2は、ともにON状態となる。
【0061】
そして、記録用紙Pが消費されてロール部26における記録用紙Pの残量が減少すると、図3(b)に示すように、第1検出センサ45の光線83は、ロール部26の側面49に当たらず、ロール部26をY方向にまたぐように、このロール部26を越えて遠方に延びていく。第2検出センサ47の光線85は、側面49に当たる。つまり、ロール部26における記録用紙Pが、図3(b)に示す残量であるとき、第1検出センサ45からの出力信号D1はOFF状態となり、第2検出センサ47からの出力信号D2はON状態となる。
【0062】
ロール部26における記録用紙Pの残量がさらに減少すると、図3(c)に示すように、第2検出センサ47の光線85は、ロール部26の側面49に当たらず、ロール芯43の中空部内をY方向に貫くように、このロール部26を越えて遠方に延びていく。つまり、ロール部26における記録用紙Pが、図3(c)に示す残量であるとき、第1及び第2検出センサ45及び47からの各出力信号D1及びD2は、ともにOFF状態となる。
【0063】
このように、インクジェット記録装置1では、第1及び第2検出センサ45及び47によって、ロール部26の大きさが段階的に検出される。すなわち、インクジェット記録装置1では、ロール部26の大きさの変化を、第1及び第2検出センサ45及び47の2個の検出センサで区切られる3個の区間ごとに検出するようになっている。
【0064】
これら3個の区間は、それぞれ、上記表1の区間番号“1”で示される第1区間、区間番号“2”で示される第2区間及び区間番号“3”で示される第3区間として識別される。第1区間は、第1及び第2検出センサ45及び47からの各出力信号D1及びD2が、ともにON状態に保たれる区間である。第2区間は、第1検出センサ45からの出力信号D1がOFF状態に保たれ、且つ第2検出センサ47からの出力信号D2がON状態に保たれる区間である。第3区間は、第1及び第2検出センサ45及び47からの各出力信号D1及びD2が、ともにOFF状態に保たれる区間である。このように、インクジェット記録装置1では、第1検出センサ45及び第2検出センサ47の2個の検出センサにより、最多で3区間に区切ることができる。
【0065】
上述した構成を有するインクジェット記録装置1における記録処理及び記録動作の流れについて説明する。
【0066】
インクジェット記録装置1では、制御部63が、ホストコンピュータ81からインタフェース部71を介して記録データを入手するとともに、その記録データをSDRAM75に格納すると、CPU73が図4に示す記録処理を開始する。
【0067】
この記録処理では、まず、ステップS1において、第1検出センサ45からの出力信号D1がON状態であるか否かを判定し、ON状態である(YES)と判定されると、ステップS2に移行し、OFF状態である(NO)であると判定されると、ステップS8に移行する。
【0068】
ステップS2において、ROM79に格納されている上記表1に示す出力補正テーブルにアクセスして、区間番号“1”に対応する出力補正量を読み込んで、ステップS3に移行する。このとき、区間番号“1”に対応する出力補正量は、“+1”である。
【0069】
ステップS3において、所定の紙送りステップ数に、出力補正量を加算して、ステップS4に移行する。
【0070】
このステップS4において、紙送りモータドライバ67に紙送りモータ駆動指令を出力して、ステップS5に移行する。ここで、CPU73は、紙送りモータドライバ67に、出力補正量が加算された紙送りステップ数で紙送りモータ21の駆動を制御させる。
【0071】
ステップS5において、キャリジモータ駆動指令を出力して、ステップS6に移行する。このとき、CPU73は、キャリジモータドライバ69に、所定のステップ数でキャリジモータ31の駆動を制御させる。
【0072】
ステップS6において、記録ヘッドドライバ65に記録ヘッド駆動指令を出力して、ステップS7に移行する。このとき、記録ヘッド5は、ヘッド移動装置7によって記録用紙Pを横切るように移動されつつ、記録データに基づいて、ノズルからインク滴を吐出して記録用紙Pに記録を行う。
【0073】
ステップS7において、記録データのすべてに対する記録が終了したか否かを判定し、記録が終了した(YES)と判定されると、処理を終了し、記録が終了していない(NO)と判定されると、ステップS1に移行する。
【0074】
また、ステップS1でNOと判定されてステップS8に移行すると、このステップS8において、第2検出センサ47からの出力信号D2がON状態であるか否かを判定し、ON状態である(YES)と判定されると、ステップS9に移行し、OFF状態である(NO)であると判定されると、ステップS10に移行する。
【0075】
ステップS9において、ROM79に格納されている上記表1に示す出力補正テーブルにアクセスして、区間番号“2”に対応する出力補正量を読み込んで、ステップS3に移行する。このとき、区間番号“2”に対応する出力補正量は、“0”である。
【0076】
また、ステップS10では、出力補正テーブルにアクセスして、区間番号“3”に対応する出力補正量を読み込んで、ステップS3に移行する。このとき、区間番号“3”に対応する出力補正量は、“−1”である。
【0077】
なお、本実施形態において、紙送りローラ19a及び紙押さえローラ19b並びに第1、第2及び第3歯車23、24及び25が媒体送り手段に対応し、紙送りモータ21並びにステップS1〜S3及びステップS8〜S10の処理が駆動手段に対応し、記録ヘッド5が記録手段に対応し、第1及び第2検出センサ45及び47が検出器としての残量検出手段に対応している。
【0078】
本実施形態のインクジェット記録装置1では、第1及び第2検出センサ45及び47によってロール部26における記録用紙Pの残量が検出され、この検出された残量に基づいて、紙送りモータ21の駆動ステップ数を補正するようになっている。つまり、ロール部26における記録用紙Pの残量の変化によって、紙送りモータ21から紙送りローラ19aまでの間での動力損失に差異が発生しても、この動力損失の差異を補償するように紙送りモータ21の駆動が制御される。従って、ロール部26の残量変化によって発生する記録用紙Pの送り量の差異を軽減することが可能となる。ロール部26の残量が多いときの記録用紙Pの送り量と、ロール部26の残量が少ないときの記録用紙Pの送り量との差異を解消することができ、ロール状に巻かれた記録用紙Pの使い始めから使い終わりまでの間で、安定した記録品質を得ることが可能となる。
【0079】
また、本実施形態のインクジェット記録装置1では、第1及び第2検出センサ45及び47のそれぞれに、光学式センサを採用しているため、ロール部26に対して非接触で負荷を与えることなく、このロール部26の大きさを検出することができる。これにより、紙送りに対する負荷を増大させることなく、記録品質の一層の安定化が図られる。
【0080】
また、本実施形態のインクジェット記録装置1では、第1及び第2検出センサ45及び47によって区切られる第1〜第3区間ごとに、ロール部26の大きさが段階的に検出される。さらに、これら第1〜第3区間ごとに出力補正量が設定されている。これにより、連続的に変化するロール部26の大きさに連動させて連続的に出力補正量を変化させる場合に比較して、記録処理にかかる時間や制御部63にかかる負担などを軽減することが可能となる。
【0081】
なお、本実施形態では、紙送りモータ21から紙送りローラ19aまでの間の動力伝達機構を、第1、第2及び第3歯車23、24及び25で構成したが、動力伝達機構はこれに限定されず、プーリ及びタイミングベルトで構成されるベルト伝達機構など、任意の動力伝達機構を採用することができる。
【0082】
また、記録装置は、インクジェット方式に限定されず、ロール状に巻かれた記録用紙Pを間欠送りしつつ記録を行うものであれば、感熱紙に記録を行うサーマル方式や、インクリボンをたたいてドットを形成するインパクトドット方式など、任意の方式を採用することができる。
【0083】
また、紙送りモータ21及びキャリジモータ31は、ステッピングモータに限定されず、DCモータなどでもよい。
【0084】
また、ロール検出部15の検出センサは、第1及び第2検出センサ45及び47の2個に限定されず、任意の個数で構成することができる。
【0085】
また、本実施形態では、第1及び第2検出センサ45及び47でロール部26の側面49を検出するようにしたが、ロール部26の外周面を検出するようにしてもよい。
【0086】
また、本実施形態では、第1及び第2検出センサ45及び47として反射型のフォトインタラプタを採用したが、ロール部26を挟む発光素子と受光素子とを備える透過型のフォトインタラプタを採用してもよい。
【0087】
また、本実施形態では、第1及び第2検出センサ45及び47として、出力信号がON状態とOFF状態とに変化するフォトインタラプタを採用したが、レーザ変位計や超音波変位計などでロール部26の大きさの変化量を検出するようにしてもよい。
【0088】
また、本実施形態では、出力補正テーブルに、第1〜第3区間ごとにステップ数の増減値を示したが、これに限定されず、第1〜第3区間ごとに紙送りステップ数を示すようにしてもよい。これにより、図4に示す記録処理において、ステップS3の処理を省略することができ、記録処理にかかる時間や制御部63にかかる負担を低減することが可能となる。
【0089】
また、本実施形態では、図4に示す記録処理において、第1〜第3区間のいずれかに対応した出力補正量で、常に紙送りステップ数を補正するようにしたが、記録処理はこれに限定されない。すなわち、インクジェット記録装置1に複数の記録モードを設定し、ホストコンピュータ81からの指令に基づいて、複数の記録モードのうちの1つを選択して記録を行うようにしてもよい。
【0090】
具体的には、インクジェット記録装置1では、これら複数の記録モードとして、第1区間から第3区間までの最多区間数でロール部26の大きさを検出して、これら第1〜第3区間のそれぞれに対応した出力補正量で紙送りステップ数を補正するファインモードと、最多区間数である3個の区間数から1個だけ減じた2個の区間数でロール部26の大きさを検出して、第1及び第2区間のそれぞれに対応した出力補正量で紙送りステップ数を補正するセミファインモードと、紙送りステップ数の補正を行わないノーマルモードとが設定される。
【0091】
この場合、出力補正テーブルは、下記表2に示すように、ファインモードとセミファインモードとの2種類のテーブルに分けられる。
【0092】
【表2】

この表2において、ファインモードでのテーブルは、前述した表1と同様である。セミファインモードでのテーブルでは、第1及び第2検出センサ45及び47からの各出力信号D1及びD2が、ともにON状態に保たれる第1区間と、第1検出センサ45からの出力信号D1だけが、OFF状態に保たれる第2区間との2個の区間が設定されている。そして、セミファインモードでは、第1区間に対応する出力補正量が“+1”に設定され、第2区間に対応する出力補正量が“0”に設定されている。
【0093】
ここで、ファインモード、セミファインモード及びノーマルモードのいずれかが選択されて行われるモード選択記録処理について説明する。インクジェット記録装置1では、制御部63が、インタフェース部71を介してホストコンピュータ81から、記録モードを指定するモード情報が含まれた記録指令と記録データとを入手するとともに、記録データをSDRAM75に格納すると、CPU73が図5に示すモード選択記録処理を開始する。
【0094】
このモード選択記録処理では、まず、ステップS31において、変数Fgの値をクリアしてステップS32に移行する。ここで、この変数Fgは、ホストコンピュータ81によって指定された記録モードを、モード選択記録処理内で識別するための変数である。
【0095】
ステップS32において、ホストコンピュータ81からのモード情報がノーマルモードを指定するものであるか否かを判定し、ノーマルモードを指定するものである(YES)と判定されると、ステップS38に移行し、ノーマルモードを指定するものではない(NO)と判定されると、ステップS33に移行する。
【0096】
このステップS33において、モード情報がファインモードを指定するものであるか否かを判定し、ファインモードを指定するものである(YES)と判定されると、ステップS34に移行し、ファインモードを指定するものではない(NO)と判定されると、ステップS45に移行する。
【0097】
ステップS34において、変数Fgに“1”を代入して、ステップS35に移行する。
【0098】
このステップS35において、第1検出センサ45からの出力信号D1がON状態であるか否かを判定し、ON状態である(YES)と判定されると、ステップS36に移行し、OFF状態である(NO)であると判定されると、ステップS42に移行する。
【0099】
ステップS36において、ROM79に格納されている上記表2に示す出力補正テーブルにアクセスして、ファインモードにおける区間番号“1”に対応する出力補正量を読み込んで、ステップS37に移行する。このとき、ファインモードにおける区間番号“1”に対応する出力補正量は、“+1”である。
【0100】
ステップS37において、所定の紙送りステップ数に、出力補正量を加算して、ステップS38に移行する。
【0101】
このステップS38において、紙送りモータドライバ67に紙送りモータ駆動指令を出力して、ステップS39に移行する。ここで、CPU73は、紙送りモータドライバ67に、出力補正量が加算された紙送りステップ数で紙送りモータ21の駆動を制御させる。
【0102】
ステップS39において、キャリジモータ駆動指令を出力して、ステップS40に移行する。このとき、CPU73は、キャリジモータドライバ69に、所定のステップ数でキャリジモータ31の駆動を制御させる。
【0103】
ステップS40において、記録ヘッドドライバ65に記録ヘッド駆動指令を出力して、ステップS41に移行する。このとき、記録ヘッド5は、ヘッド移動装置7によって記録用紙Pを横切るように移動されつつ、記録データに基づいて、ノズルからインク滴を吐出して記録用紙Pに記録を行う。
【0104】
ステップS41において、記録データのすべてに対する記録が終了したか否かを判定し、記録が終了した(YES)と判定されると、処理を終了し、記録が終了していない(NO)と判定されると、ステップS49に移行する。
【0105】
また、ステップS35でNOと判定されてステップS42に移行すると、このステップS42において、第2検出センサ47からの出力信号D2がON状態であるか否かを判定し、ON状態である(YES)と判定されると、ステップS43に移行し、OFF状態である(NO)であると判定されると、ステップS44に移行する。
【0106】
ステップS43において、ROM79に格納されている上記表2に示す出力補正テーブルにアクセスして、ファインモードにおける区間番号“2”に対応する出力補正量を読み込んで、ステップS37に移行する。このとき、ファインモードにおける区間番号“2”に対応する出力補正量は、“0”である。
【0107】
また、ステップS44では、上記表2に示す出力補正テーブルにアクセスして、ファインモードにおける区間番号“3”に対応する出力補正量を読み込んで、ステップS37に移行する。このとき、ファインモードにおける区間番号“3”に対応する出力補正量は、“−1”である。
【0108】
また、ステップS33でNOと判定されてステップS45に移行すると、このステップS45において、変数Fgに“2”を代入して、ステップS46に移行する。
【0109】
このステップS46において、第1検出センサ45からの出力信号D1がON状態であるか否かを判定し、ON状態である(YES)と判定されると、ステップS47に移行し、OFF状態である(NO)であると判定されると、ステップS48に移行する。
【0110】
ステップS47では、ROM79に格納されている上記表2に示す出力補正テーブルにアクセスして、セミファインモードにおける区間番号“1”に対応する出力補正量を読み込んでから、ステップS37に移行する。このとき、セミファインモードにおける区間番号“1”に対応する出力補正量は、“+1”である。
【0111】
また、ステップS48では、上記表2に示す出力補正テーブルにアクセスして、セミファインモードにおける区間番号“2”に対応する出力補正量を読み込んでから、ステップS37に移行する。このとき、セミファインモードにおける区間番号“2”に対応する出力補正量は、“0”である。
【0112】
また、ステップS41でNOと判定されて移行したステップS49では、変数Fgに代入されている値が“0”であるか否かを判定し、“0”である(YES)と判定されると、ステップS38に移行し、“0”でない(NO)と判定されると、ステップS50に移行する。
【0113】
このステップS50では、変数Fgに代入されている値が“1”であるか否かを判定し、“1”である(YES)と判定されると、ステップS35に移行し、“1”でない(NO)と判定されると、ステップS46に移行する。
【0114】
このように、ファインモード、セミファインモード及びノーマルモードが設定されたインクジェット記録装置1では、ホストコンピュータ81によって指定される記録モードに基づいて、ファインモード、セミファインモード及びノーマルモードを使い分けることが可能となる。
【0115】
これにより、例えば、文字などの記録において、判読可能な程度に記録品質が許容される場合に、紙送りステップ数の補正をすることなく記録を行うことができ、記録処理や記録動作にかかる時間や、制御部63にかかる負担などを軽減することができる。また、絵や写真などの画像を記録する場合でも、最多区間数でのすべての区間ごとに対応した出力補正量で紙送りステップ数を補正するモードから、1個の検出センサだけで区切られる2個の最少区間数での区間ごとに対応した出力補正量で紙送りステップ数を補正するモードまで、記録品質に応じた適切な処理で記録を行うことができる。つまり、記録品質に対して適正な記録処理で記録を行うことができ、過剰品質となることを抑制することが可能となる。
【0116】
なお、上述したセミファインモードでは、区間番号“1”で示される第1区間と区間番号“2”で示される第2区間とを第1検出センサ45で区切るようにしたが、これに限定されず、第2検出センサ47で区切ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の構成を説明する図。
【図2】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の制御回路の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置のロール部の大きさの検出を説明する図。
【図4】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の記録処理の流れを説明する図。
【図5】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置のモード選択記録処理の流れを説明する図。
【図6】従来技術の課題を説明する図。
【符号の説明】
【0118】
1…インクジェット記録装置、3…紙送り装置、5…記録ヘッド、15…ロール検出部、19a…紙送りローラ、19b…紙押さえローラ、21…紙送りモータ、23…第1歯車、24…第2歯車、25…第3歯車、26…ロール部、45…第1検出センサ、47…第2検出センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝達される動力によって駆動され、ロール状に巻かれた記録媒体を所定の送り方向に送る媒体送り手段と、該媒体送り手段に伝達される前記動力を出力して前記媒体送り手段を駆動する送り駆動手段と、前記媒体送り手段によって送られる前記記録媒体に記録を行う記録手段と、前記記録媒体の残量を検出する残量検出手段とを備え、
前記送り駆動手段は、前記残量検出手段によって検出された前記記録媒体の前記残量に基づいて、前記動力の出力を変化させることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記送り駆動手段は、前記記録媒体の前記残量が少なくなるのに応じて前記媒体送り手段の駆動量が少なくなる方向に、前記出力を変化させることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記残量検出手段は、前記ロール状に巻かれた記録媒体のロール部の径方向の大きさを検出する検出器を備えているとともに、前記検出器が検出した前記ロール部の大きさに基づいて前記残量を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記検出器は、前記記録媒体に非接触で前記ロール部の径方向の大きさを検出可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記検出器は、前記ロール部を検出する光学式センサを備えていることを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記検出器は、複数個の前記光学式センサを前記ロール部の径方向に沿って並べて配設した構成を有しているとともに、前記ロール部を前記光学式センサによって区切られる複数の区間ごとに検出して、前記大きさを段階的に検出するように構成されており、
前記送り駆動手段は、段階的に検出される前記ロール部の前記大きさごとに設定された前記出力で、前記動力を出力することを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記検出器は、前記光学式センサによって区切られる前記区間の区間数を、前記複数個のうちの1個の前記光学式センサによって区切られる最少区間数から、前記複数個の前記光学式センサのすべてで区切ることができる最多区間数までの間で、変更可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−217131(P2007−217131A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40484(P2006−40484)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】