説明

記録装置

【課題】 ドッキングステーションを備えた記録装置におけるユーザの利便性を向上させる。
【解決手段】 ACアダプタ55からドッキングステーション52へ供給される直流電力は、ステーション電源回路41へ供給されるとともにプリンタ電源回路31へも供給される。ドッキングステーション52は、ACアダプタ55からプリンタ電源回路31への直流電力の供給経路をON/OFF可能トランジスタQ1が配設されている。プリンタ本体51の電源スイッチSWの操作状態は、プリンタ制御装置10及びステーション制御装置20の双方で検出することができる。ワンパルス回路32は、ACアダプタ55からドッキングステーション52を経由して供給される直流電力の供給開始時の一定時間だけプリンタ電源回路31のPC端子をGND電位にする構成を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置本体とドッキングステーションとで分離可能に構成された記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタ等の記録装置は、近年、スキャナー機能等を搭載した多機能複合型プリンタも広く普及しつつあり、記録画質や記録実行速度の向上等の性能面での向上だけでなく、機能的な面でもユーザの多種多様なニーズに応じた向上が図られている。その一方で、手軽に持ち運びが可能で、場所を選ばず、気軽にどこででもデジタル写真プリントが可能な携帯性を兼ね備えた小型プリンタも登場し、広く普及しつつある。ここで問題となるのは、より多くの機能を搭載して多機能化すればするほど小型化が困難になるということである。そのため、インクジェットプリンタ等の記録装置を小型化して携帯性を向上させるには、ある程度割り切った機能の削減をする必要があった。
【0003】
ところで、携帯性を有する小型の電子機器の携帯性を維持しつつ必要に応じて機能を拡張可能な従来技術の一例としては、例えば、ノート型パソコンの機能拡張用ドッキングステーションが公知である(例えば、特許文献1を参照)。このようなドッキングステーションを設けることによって、単体では必要最小限の機能を備えた小型軽量のノート型パソコンを維持しつつ、ドッキングステーション接続時には、ドッキングステーション側に搭載されたCD−ROMドライブ、セカンドバッテリ、プリンタ等によりノート型パソコンの機能を拡張することができる。
【特許文献1】特開平11−212684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ノート型パソコンとインクジェットプリンタ等の記録装置は、その構成も機能も異なることから、インクジェットプリンタ等の記録装置のドッキングステーションは、インクジェットプリンタ等の記録装置特有の構成及び機能に適切に対応した機能及び構成を有していることが求められる。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、ドッキングステーションを備えた記録装置におけるユーザの利便性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様は、第1の記録装置ユニットと第2の記録装置ユニットとで分離可能に構成された記録装置であって、前記第1の記録装置ユニットと前記第2の記録装置ユニットとが接続されている状態では、前記第1の記録装置ユニットの電源と前記第2の記録装置ユニットの電源とが相互に連動して同時にON/OFFする、ことを特徴とした記録装置である。
【0007】
第1の記録装置ユニットと第2の記録装置ユニットとが接続された状態においては、第1の記録装置ユニットの電源ON操作を行うことによって、第1の記録装置ユニットの電源がONするとともに、それに連動して第2の記録装置ユニットの電源もONする。また、第1の記録装置ユニットの電源OFF操作を行うことによって、第1の記録装置ユニットの電源がOFFするとともに、それに連動して第2の記録装置ユニットの電源もOFFする。同様に、第2の記録装置ユニットの電源ON操作を行うことによって、第2の記録装置ユニットの電源がONするとともに、それに連動して第1の記録装置ユニットの電源もONする。また、第2の記録装置ユニットの電源OFF操作を行うことによって、第2の記録装置ユニットの電源がOFFするとともに、それに連動して第1の記録装置ユニットの電源もOFFする。
【0008】
すなわち、第1の記録装置ユニットと第2の記録装置ユニットとを接続した状態においては、いずれか一方の電源ON/OFF操作を行うことによって、第1の記録装置ユニットと第2の記録装置ユニットとを一体的に電源ON/OFFすることができる。したがって、第1の記録装置ユニットと第2の記録装置ユニットとを接続した状態で記録装置を使用するに際しては、第1の記録装置ユニットの電源ON/OFF操作と第2の記録装置ユニットの電源ON/OFF操作との両方を行う煩わしさがないので、第1の記録装置ユニットと第2の記録装置ユニットとで分離可能に構成された記録装置におけるユーザの利便性を向上させることができるという作用効果が得られる。
【0009】
本発明の第2の態様は、前述した第1の態様において、前記第1の記録装置ユニットは、被記録材への記録を実行可能な構成を有し、前記第2の記録装置ユニットは、当該記録装置の表示操作手段を有している、ことを特徴とした記録装置である。
被記録材への記録実行機能を有する第1の記録装置ユニットと、液晶ディスプレイ、操作画面映像出力端子、操作ボタン類、タッチパネル、リモコン等の表示操作手段を有する第2の記録装置ユニットとで構成された記録装置において、前述した第1の態様に記載の発明による作用効果を得ることができる。
【0010】
本発明の第3の態様は、被記録材への記録を実行可能な構成を有する記録装置本体とドッキングステーションとで分離可能に構成された記録装置であって、前記記録装置本体と前記ドッキングステーションとが接続されている状態では、前記記録装置本体の電源と前記ドッキングステーションの電源とが相互に連動して同時にON/OFFする、ことを特徴とした記録装置である。
【0011】
ここで記録装置本体は、少なくともインクジェットプリンタ等の記録装置における記録紙等の被記録材への記録に必要な最低限の機能を有し、それ単体で記録紙への記録が実行可能な構成を備えたものを意味する。また、ドッキングステーションとは、記録装置本体と接続された状態で記録装置の一部を構成するとともに、記録装置本体から分離可能な構成を有する専用の機能拡張ユニットである。ドッキングステーションから分離された状態の記録装置本体は、それ単体で携帯性を有する小型の記録装置として機能し、機能拡張ユニットとしてのドッキングステーションと接続された記録装置本体は、記録装置としての機能が拡張され、多機能な記録装置として機能する。
【0012】
このような記録装置本体とドッキングステーションとが接続された状態においては、記録装置本体の電源ON操作を行うことによって、記録装置本体の電源がONするとともに、それに連動してドッキングステーションの電源もONする。また、記録装置本体の電源OFF操作を行うことによって、記録装置本体の電源がOFFするとともに、それに連動してドッキングステーションの電源もOFFする。同様に、ドッキングステーションの電源ON操作を行うことによって、ドッキングステーションの電源がONするとともに、それに連動して記録装置本体の電源もONする。また、ドッキングステーションの電源OFF操作を行うことによって、ドッキングステーションの電源がOFFするとともに、それに連動して記録装置本体の電源もOFFする。
【0013】
すなわち、記録装置本体にドッキングステーションを接続した状態においては、いずれか一方の電源ON/OFF操作を行うことによって、記録装置本体とドッキングステーションとを一体的に電源ON/OFFすることができる。したがって、記録装置本体にドッキングステーションを接続した状態で記録装置を使用するに際しては、記録装置本体の電源ON/OFF操作とドッキングステーションの電源ON/OFF操作との両方を行う煩わしさがないので、ドッキングステーションを備えた記録装置におけるユーザの利便性を向上させることができるという作用効果が得られる。
【0014】
本発明の第4の態様は、前述した第3の態様において、前記記録装置本体は、前記ドッキングステーションと接続されている状態では、前記ドッキングステーションから供給される電力で動作する構成を有している、ことを特徴とした記録装置である。
【0015】
記録装置本体にドッキングステーションを接続した状態においては、ACアダプタ等の電力供給手段をドッキングステーションにだけ接続すれば、記録装置本体及びドッキングステーションの双方へACアダプタ等から電力が供給される。したがって、記録装置本体とドッキングステーションとの両方にそれぞれACアダプタ等を接続する煩わしさがないので、ドッキングステーションを備えた記録装置におけるユーザの利便性を向上させることができるという作用効果が得られる。
【0016】
本発明の第5の態様は、前述した第4の態様において、前記ドッキングステーションは、前記記録装置本体への電力供給を前記ドッキングステーションの電源ON/OFFに連動して同時にON/OFFする構成を有し、前記記録装置は、前記ドッキングステーションからの電力供給のON/OFFに連動して同時にON/OFFする構成を有している、ことを特徴とした記録装置である。
【0017】
このように、ドッキングステーションの電源ON/OFF操作に連動してドッキングステーションから記録装置本体への電力供給がON/OFFし、その記録装置本体への電力供給のON/OFFに連動して記録装置本体の電源がON/OFFするので、ドッキングステーションの電源ON/OFF操作に連動して記録装置本体の電源をON/OFFさせることができる。
【0018】
本発明の第6の態様は、前述した第5の態様において、前記記録装置は、前記記録装置への電力供給をONしている状態の前記ドッキングステーションへ接続すると、自動的に電源ONとなる構成を有している、ことを特徴とした記録装置である。
【0019】
インクジェットプリンタ等の記録装置においては、電源ON状態のドッキングステーションに記録装置本体を接続する場合の多くは、これから記録紙等の被記録材への記録を実行しようとしている場合が多いと考えられる。したがって、電源ON状態のドッキングステーションに記録装置本体を接続した時点で、ユーザが記録装置本体の電源をONする操作を行うことなく記録装置本体の電源が自動的にONとなることによって、ユーザは、わざわざ記録装置本体の電源ON操作をすることなく、すぐに記録装置本体を操作して被記録材への記録を行うことができるので、さらにユーザの利便性を向上させることができる。
【0020】
本発明の第7の態様は、前述した第5の態様又は第6の態様において、接続されている前記記録装置本体の電源スイッチの接点状態が前記ドッキングステーションにも入力される構成を有し、前記ドッキングステーションは、前記記録装置本体の電源スイッチ操作に応じて、前記ドッキングステーションの電源をON/OFFするとともに、その前記ドッキングステーションの電源ON/OFFに連動して前記記録装置本体への電力供給を同時にON/OFFする構成を有している、ことを特徴とした記録装置である。
【0021】
このように、記録装置本体の電源スイッチ操作によって、ドッキングステーションの電源がON/OFFし、そのドッキングステーションの電源ON/OFFに連動してドッキングステーションから記録装置本体への電力供給がON/OFFし、その記録装置本体への電力供給のON/OFFに連動して記録装置本体の電源がON/OFFするので、記録装置本体の電源スイッチによる記録装置本体の電源ON/OFF操作に連動してドッキングステーションの電源もON/OFFすることができる。
【0022】
本発明の第8の態様は、前述した第5の態様〜第7の態様のいずれかにおいて、前記ドッキングステーションは、リモコン操作による前記ドッキングステーションの電源ON/OFFに連動して、前記記録装置本体への電力供給を同時にON/OFFする構成を有している、ことを特徴とした記録装置である。
【0023】
このように、リモコン操作によるドッキングステーションの電源ON/OFFによって、ドッキングステーションの電源がON/OFFし、そのドッキングステーションの電源ON/OFFに連動してドッキングステーションから記録装置本体への電力供給がON/OFFし、その記録装置本体への電力供給のON/OFFに連動して記録装置本体の電源がON/OFFするので、リモコン操作によるドッキングステーションの電源ON/OFF操作に連動して記録装置本体の電源もON/OFFすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る「記録装置」としてのインクジェットプリンタ50の概略構成図である。図2は、本発明に係る「記録装置」としてのインクジェットプリンタ50のブロック図である。
【0025】
本発明に係る「記録装置」としてのインクジェットプリンタ50は、「第1の記録装置ユニット」及び「記録装置本体」としてのプリンタ本体51と「第2の記録装置ユニット」としてのドッキングステーション52とで構成されている。プリンタ本体51とドッキングステーション52は、それぞれ独自の制御装置を有しており、プリンタ本体51はプリンタ制御装置10によって制御され、ドッキングステーション52はステーション制御装置20によって制御され、それぞれ単独で動作することが可能な構成を有している。また、プリンタ本体51をドッキングステーション52に接続(ドッキング)した状態では、プリンタ制御装置10とステーション制御装置20とがUSBインタフェースによって相互に情報伝送可能に接続される。
【0026】
プリンタ本体51は、単体でも記録紙Pへの記録(プリント)を実行することができる構成を有しており、「被記録材」としての記録紙Pの記録面に記録ヘッド(図示せず)からインクを噴射して記録を実行可能な構成を有する記録実行手段40の他、電源スイッチSW、ユーザによる記録実行操作等の表示操作機能を実現する「表示操作手段」としての操作パネル56、メモリカード101からのデータ入力機能を実現するカードスロット57及び前記のプリンタ制御装置10を備えている。プリンタ制御装置10は、記録制御部11、USBインタフェース部12及びカードインタフェース部13を有している。
尚、操作パネル56は、プリンタ本体51ではなくドッキングステーション52に設けても良い。
【0027】
カードインタフェース部13は、カードスロット57に挿入されたメモリカード101とのデータ入出力を実現し、メモリカード101に保存されているデジタル画像ファイルを入力することができる。USBインタフェース部12は、DSC(デジタル・スチル・カメラ)102等のデジタル画像処理装置とのデータ入出力を実現するとともに、プリンタ制御装置10とステーション制御装置20との間のUSBデータ通信を実現する機能を有している。記録制御部11は、USBインタフェース部12又はカードインタフェース部13を介して入力されたデジタル画像ファイルに基づいて、記録実行手段40を駆動制御して記録紙Pの記録面へ画像を記録する。
【0028】
ドッキングステーション52は、プリンタ本体51と接続された状態でインクジェットプリンタ50の一部を構成するとともに、プリンタ本体51から分離可能な構成を有する専用の機能拡張ユニットである。ドッキングステーション52は、CD−RWドライブ53、リモコン受信回路54、リモコン60及び前記のステーション制御装置20を備えている。CD−RWドライブ53は、CD−RWメディア531からのデータ読み込み機能及びCD−RWメディア531へのデータ書き込み機能を有している。リモコン受信回路54は、ユーザによる記録実行操作等の表示操作機能を実現する「表示操作手段」としてのリモコン60によるドッキングステーション52の電源ON/OFF操作等が可能な構成を有している。
【0029】
また、ドッキングステーション52は、図示していない操作画面映像出力端子を有しており、その操作画面映像出力端子とテレビ等の表示機器とをケーブル等で接続することによって、インクジェットプリンタ50の操作画面をテレビ等の表示機器の画面に表示させることができる。ユーザは、その操作画面を観ながらリモコン60を操作して、インクジェットプリンタ50の操作を行うことができる。
【0030】
図3は、インクジェットプリンタ50の電源系統の要部を図示したものである。
ドッキングステーション52は、外部から供給される交流電力を直流電力に変換するACアダプタ55が接続可能な構成を有しており、ドッキングステーション52及びドッキングステーション52に接続されたときのプリンタ本体51は、このACアダプタ55から直流電力(DC42V)の供給を受けて動作する。ACアダプタ55からドッキングステーション52へ供給される直流電力は、ドッキングステーション52の電源としてのステーション電源回路41へ供給されるとともに、プリンタ本体51の電源としてのプリンタ電源回路31へ供給される。プリンタ本体51とドッキングステーション52との両方にそれぞれ別個にACアダプタ55を接続する煩わしさがないので、ドッキングステーション52を備えたインクジェットプリンタ50の利便性を向上させることができる。
【0031】
また、ドッキングステーション52は、ACアダプタ55からプリンタ本体51のプリンタ電源回路31への直流電力の供給経路にトランジスタQ1が配設されており、このトランジスタQ1をON/OFFすることによって、ACアダプタ55からプリンタ本体51のプリンタ電源回路31への直流電力供給をON/OFFすることが可能な構成を有している。このトランジスタQ1は、電界効果トランジスタ(FET)であり、ステーション制御装置20によってON/OFF制御される。尚、プリンタ本体51は、ドッキングステーション52から取り外した単体状態においては、このACアダプタ55を直接接続してACアダプタ55から直接電力供給を受けて動作することも可能な構成を有している。
【0032】
プリンタ本体51は、ACアダプタ55からの直流電力供給でプリンタ電源回路31が動作し、プリンタ電源回路31から出力されるDC3.3Vでプリンタ制御装置10が動作する構成を有している。プリンタ電源回路31は、ACアダプタ55から直流電力が供給されている状態で、かつプリンタ電源回路31のPC(パワーコントロール)端子がGND電位となっている状態で動作する構成を有している。電源スイッチSWは、スイッチ操作に連動した独立の接点回路を2つ有しており、押下している間だけ接点回路が構成されるスイッチである。
【0033】
電源スイッチSWを押下すると、一方の接点回路によりプリンタ電源回路31のPC端子及びプリンタ制御装置10の接点入力ポートがプリンタ本体51のGNDへ短絡され、他方の接点回路によりドッキングステーション51のステーション制御装置20の接点入力ポートがドッキングステーション52のGNDへ短絡される。すなわち、プリンタ本体51の電源スイッチSWの操作状態は、プリンタ制御装置10及びステーション制御装置20の双方で検出することができるようになっている。
【0034】
ワンパルス回路32は、ドッキングステーション52へプリンタ本体51を接続(ドッキング)した時に一定時間(1〜2秒程度)プリンタ電源回路31のPC端子をGND電位に維持する構成を有している。また、ワンパルス回路32は、接続された状態(ドッキング中)にドッキングステーション52からトランジスタQ1を経由して供給されるACアダプタ55の直流電力(DC42V)の供給開始時に一定時間(1〜2秒程度)プリンタ電源回路31のPC端子をGND電位に維持する構成を有している。
【0035】
図4は、ワンパルス回路32の一例を示した回路図及びタイミングチャートである。
【0036】
図4(a)は、ワンパルス回路32の回路図である。
トランジスタQ11は、抵抗R11を介してベース端子にDC3.3Vが印加されているとともに、抵抗R12を介してコレクタ端子にDC3.3Vが印加されており、エミッタ端子がGNDに接続されている。また、トランジスタQ11は、ベース端子がワンパルス回路32のDetect端子に接続されている。トランジスタQ11のコレクタ端子とトランジスタQ12のベース端子との間には、コンデンサC11と抵抗R13とで微分回路が構成されている。この微分回路の出力は、ダイオードD11を介してトランジスタQ12のベース端子へ接続されている。トランジスタQ12は、コレクタ端子がダイオードD12を介してワンパルス回路32のOUT端子へ接続されており、エミッタ端子はGNDに接続されている。また、トランジスタQ12のコレクタ端子には、抵抗R15とコンデンサC12とで構成された積分回路の出力が抵抗R14を介して接続されている。この積分回路の入力には、DC3.3Vが接続されている。
【0037】
図4(b)は、プリンタ本体51をドッキングステーション52へ接続(ドッキング)した時のタイミングチャートである。
ドッキングステーション52へプリンタ本体51を接続すると(タイミングT21)、Detect端子(測定点A)がGNDへ短絡され(図3を参照)、トランジスタQ11は、ベース端子がGND電位となってベース電流が流れなくなり、ON状態からOFF状態となる。トランジスタQ11がON状態からOFF状態となると、微分回路のコンデンサC11へDC3.3Vが入力され(測定点B)、この微分回路の出力信号(測定点C)によって、トランジスタQ12は、一定時間だけベース電流が流れてON状態となる(測定点D)。それによって、トランジスタQ12のコレクタ端子に接続されているワンパルス回路32のOUT端子が一定時間だけGND電位となる(測定点F)。
【0038】
図4(c)は、リモコン60によるドッキングステーション52の電源ON時のタイミングチャートである。
リモコン60でドッキングステーション52の電源をONにすると、ACアダプタ55からプリンタ電源回路31へ直流電力が供給され、プリンタ電源回路31が起動し、プリンタ電源回路31からDC3.3Vがワンパルス回路32の積分回路の抵抗R15へ印加される。この積分回路の出力(測定点E)は、その時定数によってゆるやかに電圧が上昇していくので、プリンタ電源回路31の起動後の一定時間はGND電位近傍に維持され、それによって、その間ワンパルス回路32のOUT端子(測定点F)がGND電位に維持される。
【0039】
以上説明したような構成を有する本発明に係るインクジェットプリンタ50は、プリンタ本体51とドッキングステーション52とが接続されている状態では、プリンタ本体51の電源とドッキングステーション52の電源とが相互に連動して同時にON/OFFする。以下、図5に図示したタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0040】
図5は、プリンタ本体51及びドッキングステーション52の電源ON/OFF制御のタイミングチャートである。
まず、プリンタ本体51とドッキングステーション52とを切り離した状態でACアダプタ55をドッキングステーション52に接続すると、ACアダプタ55から直流電力供給を受けてステーション電源回路41が起動(OFF→ON)し、ステーション電源回路41からDC3.3Vの出力が開始されてステーション制御装置20が起動(OFF→ON)する。ただし、この状態では、ドッキングステーション52はスタンバイ状態であり、見かけ上は電源OFFとなっている(タイミングT1)。この状態で、プリンタ本体51をドッキングステーション52に接続しても、プリンタ本体51もドッキングステーション52も電源OFFの状態が維持される(タイミングT2)。
【0041】
つづいて、プリンタ本体51とドッキングステーション52とが接続されている状態で、プリンタ本体51もドッキングステーション52も電源OFFとなっている状態から、プリンタ本体51の電源スイッチSWを押下すると(タイミングT3)、電源スイッチSWの押下を検出したステーション制御装置20は、ドッキングステーション52の動作状態を電源OFF(スタンバイ状態)から電源ONにするとともに、トランジスタQ1をON制御する。トランジスタQ1をONすることによって、ACアダプタ55からプリンタ電源回路31への直流電力供給が開始されて、電源スイッチSWの押下によって、PC端子がGND電位となっているプリンタ電源回路31が起動(OFF→ON)し、プリンタ電源回路31からDC3.3Vの出力が開始されてプリンタ制御装置10が起動(OFF→ON)する。プリンタ制御装置10は、電源スイッチSWの押下状態を検出してプリンタ電源回路31のPC端子をGND電位に保持し、それによって、プリンタ本体51の動作状態も電源OFFから電源ONとなる。
【0042】
つづいて、プリンタ本体51とドッキングステーション52とが接続されている状態で、プリンタ本体51もドッキングステーション52も電源ONとなっている状態から、プリンタ本体51の電源スイッチSWを再び押下すると(タイミングT4)、電源スイッチSWの押下を検出したステーション制御装置20は、ドッキングステーション52の動作状態を電源ONから再び電源OFF(スタンバイ状態)にするとともに、トランジスタQ1をOFF制御する。トランジスタQ1がOFFすることによって、ACアダプタ55からプリンタ電源回路31への直流電力供給が停止して、プリンタ電源回路31が停止(ON→OFF)する。プリンタ電源回路31からのDC3.3Vの出力が停止し、プリンタ制御装置10が停止(ON→OFF)し、それによって、プリンタ本体51の動作状態も電源ONから電源OFFとなる。
【0043】
このように、プリンタ本体51とドッキングステーション52とが接続された状態においては、電源スイッチSWの押下によるドッキングステーション52の電源ON/OFF操作に連動してドッキングステーション52からプリンタ本体51への電力供給をON/OFFし、そのプリンタ本体51への電力供給のON/OFFに連動してプリンタ本体51の電源がON/OFFするので、電源スイッチSWの押下によるドッキングステーション52の電源ON/OFF操作に連動してプリンタ本体51の電源がON/OFFする。
【0044】
つづいて、プリンタ本体51を分離した単独のドッキングステーション52が電源OFFとなっている状態から(タイミングT5)、リモコン60でドッキングステーション52の電源ON操作を行うと(タイミングT6)、リモコン60の出力信号を検出したステーション制御装置20は、ドッキングステーション52の動作状態を電源OFF(スタンバイ状態)から電源ONにするとともに、トランジスタQ1をON制御する。
【0045】
この電源ON状態のドッキングステーション52へプリンタ本体51を接続すると(タイミングT7)、接続するとともにACアダプタ55からプリンタ電源回路31へ直流電力が供給され、それによって、ワンパルス回路32の出力(OUT端子)が一定時間だけGND電位となる。このワンパルス回路32のOUT端子がGND電位となることによって、プリンタ電源回路31のPC端子がGND電位となるので、ACアダプタ55からの電力供給によってプリンタ電源回路31が起動(OFF→ON)し、プリンタ電源回路31からDC3.3Vの出力が開始されてプリンタ制御装置10が起動(OFF→ON)する。プリンタ制御装置10は、ワンパルス回路32のOUT端子がGND電位となっている状態を検出してプリンタ電源回路31のPC端子をGND電位に保持し、それによって、プリンタ本体51の動作状態が電源OFFから電源ONとなる。
【0046】
このように、電源ON状態のドッキングステーション52は、プリンタ本体51の接続の有無に関係なく、ステーション制御装置20がトランジスタQ1をON制御する。また、プリンタ本体51は、この状態のドッキングステーション52へ接続すると、その時点でワンパルス回路32によってプリンタ電源回路31のPC端子がGND電位となる。それによって、プリンタ電源回路31が起動し、プリンタ制御装置10が起動して、プリンタ本体51は、自動的に電源ONとなる。すなわち、ユーザは、電源ON状態のドッキングステーション52にプリンタ本体51を接続すると、プリンタ本体51が自動的に電源ONとなるので、わざわざプリンタ本体51の電源スイッチSWを操作することなく、すぐにプリンタ本体51を操作して記録紙Pへの記録を実行することができる。
【0047】
つづいて、プリンタ本体51とドッキングステーション52とが接続されている状態で、プリンタ本体51もドッキングステーション52も電源ONとなっている状態から、リモコン60でドッキングステーション52の電源OFF操作を行うと(タイミングT8)、リモコン60の出力信号を検出したステーション制御装置20は、ドッキングステーション52の動作状態を電源ONから再び電源OFF(スタンバイ状態)にするとともに、トランジスタQ1をOFF制御する。トランジスタQ1がOFFすることによって、ACアダプタ55からプリンタ電源回路31への直流電力供給が停止して、プリンタ電源回路31が停止(ON→OFF)する。プリンタ電源回路31からのDC3.3Vの出力が停止し、プリンタ制御装置10が停止(ON→OFF)し、それによって、プリンタ本体51の動作状態も電源ONから電源OFFとなる。
【0048】
つづいて、プリンタ本体51とドッキングステーション52とが接続されている状態で、プリンタ本体51もドッキングステーション52も電源OFFとなっている状態から、再びリモコン60でドッキングステーション52の電源ON操作を行うと(タイミングT9)、リモコン60の出力信号を検出したステーション制御装置20は、ドッキングステーション52の動作状態を電源OFF(スタンバイ状態)から再び電源ONにするとともに、トランジスタQ1を再度ON制御する。トランジスタQ1がONすることによって、ACアダプタ55からプリンタ電源回路31へ直流電力が供給され、それによって、ワンパルス回路32の出力(OUT端子)が一定時間だけGND電位となる。プリンタ電源回路31のPC端子がGND電位となるので、ACアダプタ55からの電力供給によってプリンタ電源回路31が起動(OFF→ON)し、プリンタ電源回路31からDC3.3Vの出力が開始されてプリンタ制御装置10が起動(OFF→ON)する。プリンタ制御装置10は、ワンパルス回路32のOUT端子がGND電位となっている状態を検出してプリンタ電源回路31のPC端子をGND電位に保持し、それによって、プリンタ本体51の動作状態が電源OFFから電源ONとなる。
【0049】
このように、リモコン60の操作によるドッキングステーション52の電源ON/OFFによって、ドッキングステーション52の電源がON/OFFし、そのドッキングステーション52の電源ON/OFFに連動してドッキングステーション52からプリンタ本体51への電力供給がON/OFFする。プリンタ本体51は、そのプリンタ本体51への電力供給のON/OFFに連動して電源がON/OFFする。したがって、リモコン60の操作によるドッキングステーション52の電源ON/OFF操作に連動してプリンタ本体51の電源をON/OFFすることができる。
【0050】
つづいて、プリンタ本体51とドッキングステーション52とが接続されている状態で、リモコン60の操作によって、プリンタ本体51もドッキングステーション52も電源ONとなっている状態から、プリンタ本体51の電源スイッチSWを押下する。(タイミングT10)すると、電源スイッチSWの押下を検出したステーション制御装置20は、ドッキングステーション52の動作状態を電源ONから再び電源OFF(スタンバイ状態)にするとともに、トランジスタQ1をOFF制御する。トランジスタQ1がOFFすることによって、ACアダプタ55からプリンタ電源回路31への直流電力供給が停止して、プリンタ電源回路31が停止(ON→OFF)する。プリンタ電源回路31からのDC3.3Vの出力が停止し、プリンタ制御装置10が停止(ON→OFF)し、それによって、プリンタ本体51の動作状態も電源ONから電源OFFとなる。
【0051】
そして、ドッキングステーション52からACアダプタ55を取り外すと(タイミングT11)、ACアダプタ55からドッキングステーション52へ直流電力供給がされなくなるので、ステーション電源回路41が停止(ON→OFF)し、ステーション電源回路41からのDC3.3V出力が停止してステーション制御装置20が停止(ON→OFF)する。
【0052】
このようにして、本発明に係るインクジェットプリンタ50は、プリンタ本体51にドッキングステーション52を接続した状態においては、いずれか一方の電源ON/OFF操作を行うだけで、プリンタ本体51とドッキングステーション52とを一体的に電源ON/OFFすることができる。したがって、プリンタ本体51にドッキングステーション52を接続した状態で使用するに際しては、プリンタ本体51の電源ON/OFF操作とドッキングステーション52の電源ON/OFF操作との両方を行う煩わしさがないので、ドッキングステーション52を備えたインクジェットプリンタ50におけるユーザの利便性を向上させることができる。
【0053】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。
【図2】本発明に係るインクジェットプリンタのブロック図である。
【図3】インクジェットプリンタの電源系統の要部を図示したものである。
【図4】ワンパルス回路の一例を図示した回路図である。
【図5】電源ON/OFF制御のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0055】
10 プリンタ制御装置、20 ステーション制御装置、31 プリンタ電源回路、32 ワンパルス回路、41 ステーション電源回路、50 インクジェットプリンタ、51 プリンタ本体、52 ドッキングステーション、53 CD−RWドライブ、54 リモコン受信回路、55 ACアダプタ、56 操作パネル、57 カードスロット、60 リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の記録装置ユニットと第2の記録装置ユニットとで分離可能に構成された記録装置であって、
前記第1の記録装置ユニットと前記第2の記録装置ユニットとが接続されている状態では、前記第1の記録装置ユニットの電源と前記第2の記録装置ユニットの電源とが相互に連動して同時にON/OFFする、ことを特徴とした記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記第1の記録装置ユニットは、被記録材への記録を実行可能な構成を有し、前記第2の記録装置ユニットは、当該記録装置の表示操作手段を有している、ことを特徴とした記録装置。
【請求項3】
被記録材への記録を実行可能な構成を有する記録装置本体とドッキングステーションとで分離可能に構成された記録装置であって、
前記記録装置本体と前記ドッキングステーションとが接続されている状態では、前記記録装置本体の電源と前記ドッキングステーションの電源とが相互に連動して同時にON/OFFする、ことを特徴とした記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録装置において、前記記録装置本体は、前記ドッキングステーションと接続されている状態では、前記ドッキングステーションから供給される電力で動作する構成を有している、ことを特徴とした記録装置。
【請求項5】
請求項4に記載の記録装置において、前記ドッキングステーションは、前記記録装置本体への電力供給を前記ドッキングステーションの電源ON/OFFに連動して同時にON/OFFする構成を有し、
前記記録装置は、前記ドッキングステーションからの電力供給のON/OFFに連動して同時にON/OFFする構成を有している、ことを特徴とした記録装置。
【請求項6】
請求項5に記載の記録装置において、前記記録装置は、前記記録装置への電力供給をONしている状態の前記ドッキングステーションへ接続すると、自動的に電源ONとなる構成を有している、ことを特徴とした記録装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の記録装置において、接続されている前記記録装置本体の電源スイッチの接点状態が前記ドッキングステーションにも入力される構成を有し、前記ドッキングステーションは、前記記録装置本体の電源スイッチ操作に応じて、前記ドッキングステーションの電源をON/OFFするとともに、その前記ドッキングステーションの電源ON/OFFに連動して前記記録装置本体への電力供給を同時にON/OFFする構成を有している、ことを特徴とした記録装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の記録装置において、前記ドッキングステーションは、リモコン操作による前記ドッキングステーションの電源ON/OFFに連動して、前記記録装置本体への電力供給を同時にON/OFFする構成を有している、ことを特徴とした記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−305108(P2007−305108A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−79584(P2007−79584)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】