説明

記録装置

【課題】給紙トレイに用紙がセットされると記録動作を開始する記録装置では省電力モードになるまでの間、用紙検知センサの発光部LEDの点灯を継続する必要がある。省電力モード迄の時間設定によっては無駄な点灯時間が大きくなり、ひいては記録装置自体の耐久性能に影響を与えることになる。
【解決手段】一定時間用紙が検知されなければ発光素子を点灯して用紙検知するポーリング間隔を徐々に長くするようにした。本発明の別な特徴は、記録動作の履歴状況により動作頻度の小さい時間帯の場合用紙検知間隔を広げるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙部の用紙検知手段により用紙検知されたことにより記録動作を開始する記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常記録装置は、記録媒体(用紙)の有無を検出するための用紙検知手段を有している。光学式の用紙検出手段であれば、例えば用紙の下側に配置したLED光源等から発光した光を用紙上側に具えた受光素子により検出し、光が遮られていれば『用紙あり』と判定する。
【0003】
発光時のLED光源の消費電力は例えば数十[mW]程度と比較的小さいが、待機中にON状態を継続することは無駄である為、省電力モードを備える記録装置では、電源と用紙検知センサの間にスイッチ手段を挿入して、待機中にこのスイッチ手段をオフにしてセンサへの電源を遮断するようにした画像形成装置がある。
(例えば特許文献1)
【特許文献1】特開2003-326806
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1による方法の場合、ある設定時間以上操作がないと省電力モードに移行するので、設定された時間が短かければ効果はあるが、比較的長い時間に設定された場合、その間の電力はやはり無駄となり、LED光源の発光量の劣化にもつながる。更に一旦省電力モードに入ると次の動作前に省電力モードを解除するキー操作が必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決することを目的として本発明は為されたものである。
【0006】
即ち本発明を実施した記録装置は、
用紙検知手段によって用紙検知されたことにより記録動作を開始するものであり、用紙検知手段への電源をオン、オフするスイッチング手段と、用紙検知間隔を設定する用紙検知間隔設定手段を具えるようにした。
【0007】
又、前記用紙検知間隔設定手段により設定される用紙検知間隔は、用紙が検知されない継続的な時間に関連して増加するようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施により、無効な消費電力を更に抑制し、且つLED光源の寿命を延ばすことができ、ひいては記録装置の耐久性能向上につながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の記録装置に関わる実施例について詳細に説明する。
【0010】
本実施例で使用する、インクジェット方式によるカード記録装置2002(以下「記録装置」)にパーソナルコンピュータ(以下「PC」)2007を接続した構成図を図2に示す。
記録装置2002には記録装置の操作パネル2001と、電源ON/OFFをコントロールする電源スイッチ2003と、インク交換や用紙の詰まりを解除する等のメンテナンスを行なう場合に開閉する本体ドア2000と、所定サイズにカットされた用紙2005が挿入される給紙トレイ2004と用紙を図中の矢印方向に搬送する搬送ローラ2006を装備する。
【0011】
図3は本実施例で使用する記録装置を示す構成図である。
記録装置2002は、用紙2005が給紙トレイ2004に置かれたのを検知する用紙検知センサ2303と、搬送ローラ2006を回転させる搬送モータ2306と、搬送ローラ2006の駆動を受け、用紙2005を搬送する搬送ベルト2305と、用紙の位置を検知する為のTOF(Top Of Form)センサ2304と、記録ヘッド2301を退避位置から記録位置に下降するヘッド昇降モータ2307と、インクを吐出させる記録ヘッド2301と、インクを記録ヘッド2301に供給するインクタンクユニット2300と、本体ドアの開閉を検知するドアセンサ2302から成る。
インクタンクユニット2300は、記録ヘッド2301とチューブ(不図示)で接続されており、後述する回復モータ(2308)を制御することで記録ヘッドへインクを供給する。
【0012】
1枚の用紙2005が記録装置2002の給紙トレイ2004に置かれ、用紙検知センサ2303により検知されると、記録ヘッ2301を記録位置に下降移動し、続いて搬送モータ2306を回転することで、搬送モータの駆動をうけ回転する搬送ベルト2305により用紙2005が図中矢印で示される方向に給送される。
次に用紙2005がTOF(Top Of Form)センサ2304により検知されると、用紙の搬送を停止し、後述するVRAM2403にイメージデータを展開する。画像展開が終了すると、再び用紙を2005を搬送させ、記録位置に到達すると、画像形成信号に応じて記録ヘッド2301からインクを吐出させ、用紙表面にインクを吹き付けて画像を形成する。
【0013】
本実施例における記録装置の電気的な簡易ブロック図を図4に示す。
MPU(マイクロプロセッサ)2400は、電気的にブロック単位で書き換え可能であるフラッシュROM2401に格納された制御プログラムを実行することで以下の制御手順で実現する。

入出力ポート2409を制御して、用紙検知センサ2303により用紙2005を検知すると、モータドライバ2405を制御し、ヘッド昇降モータ2307、及び搬送モータ2306を駆動する。

TOFセンサ2304で、搬送された用紙2005を検知すると、搬送モータ2306の駆動を止め、プリントバッファであるVRAM2403にCGROM2407に格納されたビットマップ形式のフォントデータや、フラッシュROM2401に格納されたイメージデータから記録画像を展開し、再び搬送モータ2306を駆動する。


記録装置の状態に応じて、入出力ポート2409を介して、エラー/警告LED2102、レディLED2101のON(点灯)/OFF(消灯)の制御を行い、LCDドライバ(2408)を制御してLCD2100にメッセージを表示する。
入出力ポート2409を介して、周期的にリセットキー2103、電源スイッチ2003の入力を監視する。
入出力ポート2409を制御してTOF(Top Of Form)センサ2304で検知した用紙の先端位置を基準とした用紙位置情報に応じて、ヘッド駆動回路2406を制御することにより、記録ヘッド2301を駆動しインクを吐出することで、VRAM2403に展開されているイメージデータを用紙に記録する。
≪記録媒体検出装置≫
図5は本実施例による給紙トレイ2004近傍の構成図であり、本構成図を参照して説明する。
【0014】
給紙トレイ2004は、トレイに置かれた用紙2005を検知する用紙検知センサ2303が図5に示すように配置されており、待機中に用紙の有無を検知する用紙検知間隔がある所定間隔Tになるように設定されている。
【0015】
図6は用紙検知のタイミング図であり、図6(b)のように用紙が給紙トレイ2004にセットされると、用紙検知センサ2303への電源供給は継続し、前述の記録動作を行なう。
【0016】
記録動作が終了して、給紙トレイ2004上の用紙がなくなると用紙検知センサ2303の発光素子への電源供給をオフするように設定される。
【0017】
図1は本実施例による用紙検知部の構成図であり、本構成図を参照して説明する。
【0018】
用紙検知センサ2303はLED等の発光素子に電源供給スイッチ2410が設けられ、発光素子の電流をオン/オフする。
【0019】
≪記録媒体検出装置の低消費モード移行制御≫
図7は本実施例によるフローである。
【0020】
記録装置の電源が投入されると、用紙検知に使用する発光素子のLEDは一先ず消灯される(S701)。MPU(マイクロプロセッサ)2400は、予め決められた用紙検知間隔をタイマ(T)にセットする(S702)。そして時間T経過後(S703―YES)、一旦発光素子であるLEDを点灯する(S704)。ここで、MPU(マイクロプロセッサ)2400が“用紙なし“と判断すると(S705―NO)、次に前回の記録動作から所定時間、例えば15分間以上経過したか判断、もし経過していたら(S706―YES)、低消費モードへ移行する。
【0021】
低消費モードへ移行するとLEDを消灯し(S711)、続いて設定された用紙検知間隔Tにαを加算(S712)、つまり消灯時間の比率を増やす。
【0022】
加算される時間αは、ユーザが用紙を給紙トレイ2004に置いて記録動作を開始するのに多少違和感があっても良いであろう。
【0023】
S705、もしくはS715の処理において、用紙がセットされたと判断された場合には、上記繰り返し処理を抜けて次の記録動作処理に移行し、動作終了後、タイマに用紙検知間隔(T)を再度セットする。
【0024】
本発明を実施する対象としては上記給紙部の他、例えば手差し部を具えた記録装置の手差し部の用紙検知手段としても好ましい結果が得られるであろう。
≪記録動作発生状況の学習制御≫
図8は本実施例によるフローであり、本フローを参照して説明する。
【0025】
記録装置の電源が投入されると、用紙検知に使用する発光素子のLEDは一先ず消灯される(S801)。MPU(マイクロプロセッサ)2400は、予め決められた用紙検知間隔をタイマ(T)にセットする(S802)。そしてその用紙検知したポーリング回数をフラッシュROM2401等を利用して保存する。時間T経過したら(S804―YES)一旦発光素子であるLEDに電流を流す(S805)。ここで、MPU(マイクロプロセッサ)(2400)が『用紙なし』の状態と判断すると(S806-NO)、次にこの時の時刻を確認し(S807)、記録動作頻度が小の時間帯かどうかを判断する(S808)。
【0026】
例えば図9のようにフラッシュROM(2401)に稼動状況の統計的なデータが保存されている場合、8時から20時の間記録動作はある頻度以上と判断する。一方10時から翌8時までが殆ど使用されない時間帯といえるので、もしも頻度:小の時間帯なら(S808-YES)、低消費モードへ移行する。
【0027】
ここで、図9の統計データであるが、例えば、ユーザが使用した一ヶ月毎のデータに基づき順次書き換えるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は主として産業用の記録装置に利用可能であり、特に使用頻度のばらつきが大きい記録装置に適用すると耐久性能は格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明が実施される用紙検知部の電気的な構成である。
【図2】記録装置とPCを接続した構成図である。
【図3】本発明が実施される記録装置の透視図である。
【図4】本発明が実施される記録装置の電気的ブロック図である。
【図5】用紙トレイと用紙検知部を示す図である。
【図6】ポーリングによる用紙検知のタイミング図である。
【図7】用紙検知〜低消費モードに移行するフローチャートである。
【図8】低消費モードのフローチャートである。
【図9】記録動作の頻度状況を示す統計的なデータ例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
2002 記録装置
2003 電源スイッチ
2004 給紙トレイ
2005 用紙
2301 記録ヘッド
2303 用紙検知センサ
2304 TOFセンサ
2400 MPU
2401 フラッシュROM
2402 RAM
2410 電源供給スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙検知手段によって用紙検知されたことにより記録動作を開始する記録装置において、
前記用紙検知手段へ電源供給するスイッチング手段と、
前記スイッチング手段をON、OFFし、用紙検知する間隔を設定する用紙検知間隔設定手段と、
を具えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記用紙検知間隔は、用紙が検知されない継続的な時間に関連して増加することを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記用紙検知間隔設定手段は記録動作発生履歴により前記用紙検知間隔を変更することを特徴とする請求項1、及び2に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−320210(P2007−320210A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154112(P2006−154112)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】