説明

記録装置

【課題】
パン時に後方からナレーションを入れるときの、再生音声の違和感を、軽減又は解消する。
【解決手段】
ステレオマトリックス回路18は、複数の方向から音声を集音するマイク群12の音声から、5.1chのサラウンド信号を生成する。ナレーションスイッチ20がオンのとき、モノラル回路22は、後方の左右のチャネルの音声信号RL,RRを混合して、モノラル化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子からの画像データと、マイクからの音声データを記録する記録装置に関し、より具体的には、音声データを定位して記録する記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オーディオシステムとして、例えば5.1chサラウンド(Dolby Digital)に代表されるような、いわゆるマルチチャンネルに対応するものが広く普及してきている。ドルビー、Dolby、及びDolby Digitalは、米国ドルビー・ラボラトリーズ・ライセンシング・コーポレーションの商標である。
【0003】
例えば、5.1chサラウンドの場合には、フロント左チャンネル(FL)、フロント右チャンネル(FR)、フロントセンターチャンネル(FC)、サブウーファチャンネル(SW)、リア左チャンネル(RL)、及びリア右チャンネル(RR)の6つのオーディオチャンネルに対応したスピーカをしかるべき位置に配置して、臨場感のある音声を出力するようにしている。
【0004】
一方、近年では、デジタルカメラ又はデジタルビデオカメラ等の電子機器が目覚ましい発達をしており、デジタルカメラ又はデジタルビデオカメラには、磁気テープ、ハードディスク、記録可能光ディスク又は半導体メモリ等)の種々の記録媒体が使用されるようになった。特に、記録媒体の大容量化に伴い、大容量のデータを記録することが可能となっていることから、例えば、5.1chサラウンドシステムを搭載したデジタルカメラ又はデジタルビデオカメラが提案されている(特許文献1,2)。
【0005】
特許文献1では、複数のマイクを装着したビデオカメラから多チャンネルのサラウンド音声としてビデオテープ或いはビデオディスクに記録する方法が記載されている。
【0006】
また、特許文献2では、前後4チャンネルのマイクからなるマルチチャンネル録音とともに、後方1チャンネルマイクによる撮影者のナレーションとの合成に関する装置が記載されている。
【特許文献1】特開2000−299842号公報
【特許文献1】特開2005−341073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の5.1chサラウンドで記録できるビデオカメラの場合には、図11に示すように、ポーラパターンを作り出す。また、ポーラパターンは方向性を持っているので、ビデオカメラを撮影中にパンニングすると、記録に影響を及ぼす。
【0008】
例えば、通常撮影時には、電子ビューファインダを覗きながら撮影する場合、カメラと撮影者は、図12に示す模式図のような位置関係になる。図12は、カメラと撮影者の水平面での位置関係を示す。このとき、ビデオカメラと撮影者の口の相対的な位置関係はほとんど同じ位置にあるので、ビデオカメラをパンニングしても記録に影響を及ぼさない。
【0009】
ところが、ビデオカメラを三脚に乗せて液晶モニタを観測しながら撮影する場合で、ナレーションを入れるような状況では、図13に示す模式図のようなカメラのパンにより、画面に写っていない後方の撮影者本人のナレーション音声が左右に変化して記録されてしまい、再生時に違和感のある非常に聞きづらいものになってしまう。図13は、カメラと撮影者の水平面での位置関係を示す。
【0010】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑み、後方からの音声を違和感無しに記録する記録装置を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係る記録装置は、複数の方向からの音声を集音する集音手段と、前記集音手段の音声から、後方左右方向のサラウンド信号を生成するサラウンド信号生成手段と、後方音声入力時には、前記生成手段からの当該後方左右方向のサラウンド信号をモノラル信号に変換して出力し、後方音声入力時以外では、前記生成手段からの前記後方左右方向のサラウンド信号を出力する変換手段と、前記変換手段の出力信号を記録媒体に記録する記録手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る記録装置は、複数の方向からの音声を集音する集音手段と、前記集音手段の音声から、後方左右方向のサラウンド信号を生成するサラウンド信号生成手段と、後方からの所定以上の音声の有無を検出する後方検出手段と、前記後方検出手段の検出結果に従い、前記所定以上の音声の検出時には、前記生成手段からの当該後方左右方向のサラウンド信号をモノラル信号に変換して出力し、前記所定以上の音声の非検出時には、前記生成手段からの前記後方左右方向のサラウンド信号を出力する変換手段と、前記変換手段の出力信号を記録媒体に記録する記録手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、後方音声入力時には、後方左右方向のサラウンド信号をモノラル信号に変換して録音するので、本発明に係る記録装置を組み込んだ撮像装置を例えばパンしているときに後方のナレータが離すナレーションも、撮像装置の後方に定位するように、録音できる。これにより、録音再生時には、違和感のない音声を聞くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1に係る撮像装置の概略構成ブロック図であり、図2は実施例1のモノラル回路22の概略構成ブロック図である。
【0016】
図1において、撮像装置10は、音声データに関連する要素として、マイク群12、マイクアンプ14、AD変換器16、ステレオマトリックス(Stereo Matrix)回路18、ナレーションスイッチ20、モノラル回路22及び音声エンコーダ24を具備する。撮像装置10は、画像データに関連する要素として、レンズ50、CCD(Charge Coupled Device)撮像素子52、カメラ信号処理回路54及び映像エンコーダ56を具備する。撮像装置10は更に、画像データ及び音声データを記録媒体60に記録する記録処理回路58を具備する。
【0017】
まず、音声データの流れを説明する。マイク群12は、撮像装置10の前後左右からの音声を集音する4つのマイク、MIC−FL(Front Left)、MIC−FR(Front Right)、MIC−RL(Rear Left)及びMIC−RR(Rear Right)からなる。マイクアンプ14は、マイク群12の各マイクからのアナログ音声信号を増幅する。AD変換器16は、マイクアンプ14からの各アナログ音声信号をデジタル音声信号に変換する。
【0018】
ステレオマトリックス回路18は、AD変換器16からの4チャネルのデジタル音声信号を5.1ch対応のサラウンド信号に変換する。特に、本実施例で使用される5.1ch対応のサラウンド信号は、ドルビーデジタル(Dolby Digital)に対応し、FC(Front Center)チャネル、FL(Front Left)チャネル、FR(Front Right)チャネル、RL(Rear Left)チャネル、RR(Rear Right)チャネル及びSW(Sub Woofer)チャネルの6チャネルの音声信号からなる。
【0019】
ナレーションスイッチ20は、撮影者によるナレーションを撮影時に録音する際に使用されるスイッチであり、その操作によりモノラル回路22が制御される。具体的には、モノラル回路22は、ナレーションスイッチ20がオフのとき、ステレオマトリックス回路18から出力される信号RL,RRをそのまま出力し、ナレーションスイッチ20がオンのとき、ステレオマトリックス回路18から出力される信号RL,RRを、両者の混合信号からなるモノラル信号MONOに変換して出力する。以下、本明細書では、後方チャネルからの左右の音声をモノラル化した音声信号をナレーションモノラル信号という。
【0020】
撮像装置10は、ナレーションスイッチ20の他に、動画撮影スイッチ、レリーズスイッチ、再生スイッチ、停止スイッチ及びモードダイヤル等を具備し、これらを使って、撮影者は、動作モード(カメラモード、記録モード又は再生モード)の指定、動画撮影、静止画像撮影、動画像再生、及びサムネイル画像の表示等を撮像装置10に指示できる。
【0021】
音声エンコーダ24は、ATRAC(Adaptive TRansform Acoustic Coding)3等の音声圧縮方式で、ステレオマトリックス回路18からの信号FC,FL,FR,RL,RR及びSW、並びに、モノラル回路22からの信号RL,RR又は2つのナレーションモノラル信号MONOを圧縮符号化し、圧縮音声データを生成する。
【0022】
次に、画像データの流れを説明する。レンズ50は被写体の光学像を撮像素子52の撮像面に結像する。CCD撮像素子52は、レンズ50からの光学像を電気信号に変換する。なお、撮像素子52は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型撮像素子に変更してもよい。
【0023】
カメラ信号処理回路54はA/D変換器(不図示)も備えており、まずCCD撮像素子52からの電気信号をデジタル画像信号に変換し、カメラで周知の信号処理(例えば、ガンマ補正、色バランス調整、輝度/色分離)等を施す。
【0024】
映像エンコーダ56は、MPEG(Moving Picture Experts Group phase)2、Motion JPEG又はJPEG2000等の画像圧縮方式でカメラ信号処理回路54からのデジタル画像信号を圧縮符号化し、圧縮画像データを生成する。
【0025】
記録処理回路58は、映像エンコーダ56からの圧縮画像データ及び音声エンコーダ24からの圧縮音声データを記録媒体60に記録する。記録媒体60は、DVD(Digital Versatile Disk)規格に準拠する記録可能光ディスクであるが、ディスクであるが、その他の記録可能光ディスク媒体又は磁気ディスク媒体も利用可能である。
【0026】
図2を参照して、モノラル回路22の仕組みを簡単に説明する。モノラル回路22は、ミックス回路70、切替えスイッチ72、切替えスイッチ74及び減衰器(ATT)76を具備する。
【0027】
ミックス回路70は、ステレオマトリックス回路18からの信号RL,RRを混合してモノラル信号に変換する。減衰器76は、ミックス回路70の出力信号を所定レベルだけ減衰する。撮影者が撮像装置10の近くに位置することから、一般に被写体側からの音声に比べ、撮影者の音声の方が大きくなるので、減衰器76により撮影者の音声レベルを低くする。切替えスイッチ72,74は、ナレーションスイッチ20がオフの場合には、それぞれ、ステレオマトリックス回路18からの信号RL,RRを選択し、オンの場合には、減衰器76の出力を選択する。
【0028】
このように、ナレーションスイッチ20がオンのときに、信号RRと信号RLを混合して得られるモノラル信号、即ちナレーションモノラル信号を、信号RR,RLの代わりに音声エンコーダ24に入力するので、撮像装置10のパン操作に関わらず、RRチャネルとRLチャネルの再生音声が同一強度になり、撮影者の声が撮像装置10の後方の一定位置に定位する。
【0029】
ナレーションスイッチ20をオンにしたときの、本実施例の特徴的な動作を説明する。記録モードにおいて、マイク群12はアナログ音声信号をマイクアンプ14に出力する。マイクアンプ14は、マイク群12からのアナログ音声信号を増幅する。AD変換器16は、マイクアンプ14で増幅されたアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換する。ステレオマトリックス18は、マイクアンプ14からの4チャネルのデジタル音声信号を、5.1ch対応のサラウンド信号(FC、FL、FR、RL、RR及びSW)に変換する。そして、サラウンド信号(FC、FL、FR及びSW)は音声エンコーダ24に供給され、サラウンド信号(RL及びRR信)はモノラル回路22に供給される。
【0030】
記録モードでユーザがナレーションスイッチ20をオンにすると、モノラル回路22の切替えスイッチ72,74が減衰器76側に切り替わる。ミックス回路70は、信号RL,RRを混合して、ナレーションモノラル信号を生成する。ミックス回路70の出力音声信号は減衰器76により減衰され、切替えスイッチ72,74を介して音声エンコーダ24に供給される。
【0031】
音声エンコーダ24は、ステレオマトリックス回路18からの信号FC,FL,FR及びSW、並びに、モノラル回路22からの信号RL,RR又はナレーションモノラル信号を圧縮符号化し、記録再生回路58に供給する。記録再生回路58は、映像エンコーダ56からの圧縮画像データと音声エンコーダ24からの圧縮音声データを記録媒体60に記録する。
【0032】
このように、本実施例では、ナレーションスイッチ20が押されると、RLチャネルとRRチャネルを両者の混合からなるモノラル信号に変換して記録するので、記録時の撮像装置10に対するナレータ(撮影者)の位置に関わらず、再生時には、RLチャネルとRRチャネルの再生音声が同じ音量になる。即ち、撮影時に撮像装置10をパンしても、撮影者の再生音声は、常に撮像装置10の後方に定位する。図3は、本実施例の再生音声のポーラパターン例を示す。
【0033】
一方、ナレーションスイッチ20が押されないと、音声エンコーダ24は、ステレオマトリックス回路18の6チャネルのサラウンド信号(FC、FL、FR、RL、RR及びSW)をそのまま圧縮符号化し、記録再生回路58は、音声エンコーダ24からの圧縮画像データを記録媒体60に記録する。従って、撮像装置10をパンしながら、ナレーションを録音したときには、再生時に、ナレータの音像が、撮像装置10のパンを反映して、移動する。視聴者にとって、話者が移動するような、不自然なナレーションになってしまう。
【0034】
なお、一般に被写体側からの音声に比べて撮影者の声はマイクに近いことが考えられるため、撮影者の声が、被写体からの音声に比べて大きくなりがちである。しかし、本実施例では、モノラル回路22に減衰器76を設けたので、このことは解消される。もっとも、再生時に音量調節するのであれば、図4に示すモノラル回路22aのように、減衰器76を省略してもよい。
【実施例2】
【0035】
実施例1では、モノラル回路22又はモノラル回路22aが、後方からのステレオ音声信号(RL,RR)をモノラル化したが、前方からのステレオ音声信号FL,FRにナレーションモノラル信号を混合しても良い。こうすることで、撮像装置のパンの影響を軽減できる。
【0036】
図5は、そのように変更した実施例2の概略構成ブロック図を示す。実施例1と同一の構成要素には同一符号を付してある。図5に示す撮像装置110では、モノラル回路22をモノラル回路22bに変更されており、図6は、モノラル回路22bの概略構成ブロック図を示す。
【0037】
本実施例の変更部分を説明する。撮像装置110のモノラル回路22bでは、モノラル回路22の構成要素に更に、ナレーションスイッチ20がオンのときに閉成され、オフのときに開放されるスイッチ78と、信号FLにスイッチ78からのナレーションモノラル信号MONOを混合するミックス回路80と、信号FRにスイッチ78からのナレーションモノラル信号MONOを混合するミックス回路82が追加されている。
【0038】
ミックス回路80は、ナレーションスイッチ20がオンのとき、信号FLに減衰器76の出力信号(ナレーションモノラル信号)を混合して出力し、ナレーションスイッチ20がオフのときには、信号FLをそのまま出力する。同様に、ミックス回路82は、ナレーションスイッチ20がオンのとき、信号FRに減衰器76の出力信号を混合した信号を出力し、ナレーションスイッチ20がオフのときには、信号FRをそのまま出力する。ナレーションの音量が適量になるように、ミックス回路80,82の混合比を適当な値に設定する。
【0039】
これにより、ナレーションスイッチ20がオフのときには、モノラル回路22bは、入力する信号FL,FR,RL,RRをそのまま出力し、ナレーションスイッチ20がオンのときには、FLチャネルに信号FLにナレーションモノラル信号を混合した信号を出力し、FRチャネルに信号FRにナレーションモノラル信号を混合した信号を出力し、RLチャネルにナレーションモノラル信号を出力し、RRチャネルにナレーションモノラル信号を出力する。
【0040】
図6に示すモノラル回路22bによれば、FRチャネル及びFLチャネルについても、撮影者のナレーションを示すモノラル信号が混合さるので、撮像装置10のパンに関わらず、撮影者の音像を撮像装置の後方に定位させることができる。
【実施例3】
【0041】
図7は本発明の実施例3の概略構成ブロック図を示す。実施例1,2と同一の構成要素には同一符号を付してある。この実施例の撮像装置210では、モノラル回路22に代えて、モノラル回路22cが配置される。モノラル回路22cは、モノラル回路20の機能に加えて、ナレーション時、ナレーションモノラル信号MONOを正面のチャネルFCに混合する。こうすることでも、撮像装置のパンの影響を軽減できる。図8は、モノラル回路22cの概略構成ブロック図を示す。
【0042】
本実施例の変更部分を説明する。モノラル回路22cでは、モノラル回路22の構成要素に更に、ナレーションスイッチ20がオンのときに閉成され、オフのときに開放されるスイッチ84と、信号FCにスイッチ84からのナレーションモノラル信号MONOを混合するミックス回路86が追加されている。
【0043】
ミックス回路86は、ナレーションスイッチ20がオンのとき、信号FCに減衰器76の出力信号(ナレーションモノラル信号)を混合した信号を出力し、ナレーションスイッチ20がオフのときには、信号FLをそのまま出力する。ナレーションの音量が適量になるように、ミックス回路86の混合比を適当な値に設定する。
【0044】
これにより、ナレーションスイッチ20がオフのときには、モノラル回路22cは、入力する信号FC,RL,RRをそのまま出力し、ナレーションスイッチ20がオンのときには、FCチャネルに信号FCにナレーションモノラル信号を混合した信号を出力し、RLチャネルにナレーションモノラル信号を出力し、RRチャネルにナレーションモノラル信号を出力する。
【0045】
図8に示すモノラル回路22cによれば、正面からの音声であるFCチャネルについても、撮影者のナレーションを示すモノラル信号が混合さるので、撮像装置10のパンに関わらず、撮影者の音像を撮像装置に対して一定位置に定位させることができる。
【実施例4】
【0046】
次に、ユーザがナレーションスイッチ20を押すこと無しに自動的にモノラル回路22を制御するようにした実施例4を説明する。図9は、実施例4の撮像装置310の概略構成ブロック図である。撮像装置310では、ナレーションスイッチ20に代えて後方検出回路320が配置される。図10は、後方検出回路320の概略構成ブロック図である。実施例1の同一機能の構成要素には、同一符号を付けてある。
【0047】
撮像装置310の後方検出回路320は、ミックス回路322,326、バンドパスフィルタ324,328、比較回路330及びタイミング回路332を具備し、ステレオマトリックス回路18からの正面、前方左右及び後方左右の5チャネルのサラウンド信号(FC、FL、FR、RL及びRR)から後方からの音声入力状態を検知する。
【0048】
ミックス回路322は、ステレオマトリックス回路18からの信号FC,FL,FRを混合し、バンドパスフィルタ324は、ミックス回路322の出力から人の声の帯域成分(200HZ〜5kHz程度)を抽出する。ミックス回路326は、ステレオマトリックス回路18からの信号RL,RRを混合し、バンドパスフィルタ328は、ミックス回路326の出力から人の声の帯域成分(200HZ〜5kHz程度)を抽出する。バンドパスフィルタ324,328の通過帯域は、同じでよい。
【0049】
比較回路330は、バンドパスフィルタ324,328の出力信号レベルの絶対値を比較する。例えば、バンドパスフィルタ328の出力信号レベルが、バンドパスフィルタ324の出力信号レベルよりも大きければ、撮影者が撮像装置10の後方側から声を発していると考えられる。この場合には、比較回路330は信号Hをタイミング回路332に供給する。逆に、バンドパスフィルタ328の出力信号レベルが、バンドパスフィルタ324の出力信号レベル以下になると、比較回路330は信号Lをタイミング回路332に供給する。
【0050】
タイミング回路332は、比較回路330の出力信号がHのとき、モノラル回路22のスイッチ72,74をオンにする制御信号をモノラル回路22に供給し、比較回路330の出力信号がLのとき、モノラル回路22のスイッチ72,74をオフにする制御信号をモノラル回路22に供給する。スイッチ72,74のチャタリングを避けるために、スイッチ72,74の切替えにヒステリシス特性を持たせてもよい。例えば、タイミング回路332は、比較回路330の出力信号がLからHに遷移すると、所定期間、モノラル回路22のスイッチ72,74をオンにする制御信号をモノラル回路22に供給し、当該所定期間が経過した後に比較回路340の出力信号がHからLに遷移するのに応じて、モノラル回路22のスイッチ72,74をオフにする制御信号をモノラル回路22に供給するようにしてもよい。
【0051】
このように、本実施例では、後方検出回路320により、撮像装置300の後方からの音声の有無により、後方左右チャネルの音声のモノラル化を制御するので、ナレーション時に確実にナレーションの音声を撮像装置300の所定位置に定位して記録することができる。
【0052】
以上の各実施例では、5.1ch対応のサラウンド信号を例に説明したが、6.1ch又は7.1ch等にも本発明を適用できる。また、本実施例では、マイク4個の例で述べたが、3個あるいは5個以上でも同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施例1に係る撮像装置の概略構成ブロック図である。
【図2】実施例1のモノラル回路22のブロック図である。
【図3】本実施例のポーラパターン例である。
【図4】モノラル回路の別の構成例である。
【図5】本発明の実施例2に係る撮像装置の概略構成ブロック図である。
【図6】実施例2のモノラル回路22bのブロック図である。
【図7】本発明の実施例3の撮像装置の概略構成ブロック図である。
【図8】実施例3のモノラル回路22cのブロック図である。
【図9】本発明の実施例4に係る撮像装置の概略構成ブロック図である。
【図10】実施例4の後方検出回路320の概略構成ブロック図である。
【図11】従来の5.1chのポーラパターンである。
【図12】通常撮影時のカメラと撮影者の水平位置関係を示す模式図である。
【図13】カメラをパンしているときの、カメラと撮影者の水平位置関係を示す模式図である。
【符号の説明】
【0054】
10,110,210,310 撮像装置
12 マイク群
14 マイクアンプ
16 AD変換器
18 ステレオマトリックス回路
20 ナレーションスイッチ
22,22a,22b,22c モノラル回路
24 音声エンコーダ
50 レンズ
52 CCD撮像素子
54 カメラ信号処理回路
56 映像エンコーダ
58 記録処理回路
60 記録媒体
70,80 ミックス回路
72,74 切替えスイッチ
76 減衰器
78 スイッチ
320 後方検出回路
322,326 ミックス回路
324,328 バンドパスフィルタ
330 比較回路
332 タイミング回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の方向からの音声を集音する集音手段(12)と、
前記集音手段の音声から、後方左右方向のサラウンド信号を生成するサラウンド信号生成手段(18)と、
後方音声入力時には、前記生成手段からの当該後方左右方向のサラウンド信号をモノラル信号に変換して出力し、後方音声入力時以外では、前記生成手段からの前記後方左右方向のサラウンド信号を出力する変換手段(22)と、
前記変換手段の出力信号を記録媒体に記録する記録手段(58)
とを具備することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
更に、前記後方音声入力時に操作される操作手段(20)を具備し、
前記変換手段は、前記操作手段の操作に応じて、前記後方音声入力時には、前記生成手段からの当該後方左右方向のサラウンド信号をモノラル信号に変換して出力し、後方音声入力時以外では、前記生成手段からの当該後方の左右方向のサラウンド信号を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記サラウンド信号生成手段が、前記後方左右方向以外の方向のサラウンド信号を生成し、
前記記録手段は、前記変換手段の出力信号、及び前記サラウンド信号生成手段からの前記後方左右方向以外の方向のサラウンド信号を記録媒体に記録する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記変換手段(22)は、
前記サラウンド信号生成手段からの前記後方左右方向からのサラウンド信号を混合するミックス回路(70)と、
前記サラウンド信号生成手段からの前記後方左方向からのサラウンド信号又は前記ミックス回路(70)の出力信号を選択する第1の選択手段(72)と、
前記サラウンド信号生成手段からの前記後方右方向からのサラウンド信号又は前記ミックス回路(70)の出力信号を選択する第2の選択手段(74)
とを具備することを特徴とする請求項1乃至4に記載の記録装置。
【請求項5】
前記集音手段(12)は、少なくとも3方向から音声を集音することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
複数の方向からの音声を集音する集音手段(12)と、
前記集音手段の音声から、後方左右方向のサラウンド信号を生成するサラウンド信号生成手段(18)と、
後方からの所定以上の音声の有無を検出する後方検出手段(320)と、
前記後方検出手段の検出結果に従い、前記所定以上の音声の検出時には、前記生成手段からの当該後方左右方向のサラウンド信号をモノラル信号に変換して出力し、前記所定以上の音声の非検出時には、前記生成手段からの前記後方左右方向のサラウンド信号を出力する変換手段(22)と、
前記変換手段の出力信号を記録媒体に記録する記録手段(58)
とを具備することを特徴とする記録装置。
【請求項7】
前記サラウンド信号生成手段が、前記後方左右方向以外の方向のサラウンド信号を生成し、
前記記録手段は、前記変換手段の出力信号、及び前記サラウンド信号生成手段からの前記後方左右方向以外の方向のサラウンド信号を記録媒体に記録する
ことを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記後方検出手段は、
前記後方左右方向のサラウンド信号を混合する第1のミックス回路(322)と、
当該第1のミックス回路の出力信号から音声帯域成分を抽出する第1のフィルタ(324)と、
前記後方左右方向以外の方向のサラウンド信号を混合する第2のミックス回路(326)と、
当該第2のミックス回路の出力信号から音声帯域成分を抽出する第2のフィルタ(328)と、
当該第1及び第2のフィルタの出力レベルを比較する比較回路(330)と、
当該比較回路の比較結果に従い、当該変換手段を制御する回路(332)
とを具備することを特徴とする請求項6又は7に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−54167(P2008−54167A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−230215(P2006−230215)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】