説明

記録装置

【課題】複数の記録媒体に記録されたデータの信頼性を向上させる。
【解決手段】画像を記録する複数の記録媒体A1,B1,B2と、複数の記録媒体A1,B1,B2のうち、いずれの記録媒体に画像を記録するかを判定する上での判定区分となる1つ以上のパラメータと、1つ以上のパラメータの優先順位を示すパラメータ優先度とを関連付けて、パラメータ優先度情報として記憶するパラメータ優先度記憶部8aと、1つ以上のパラメータ毎に、複数の記録媒体A1,B1,B2において、優先させる記録媒体の順位を示すパラメータ毎媒体優先度を決定するパラメータ毎媒体優先度決定部9aと、決定されたパラメータ毎媒体優先度とパラメータ優先度情報とに基づいて、複数の記録媒体A1,B1,B2において、優先使用する記録媒体の順位を示す媒体優先度を決定する媒体優先度決定部9bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の記録媒体を備え、記録するデータの信頼性を向上させる記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、フラッシュメモリ(データの消去書き換えが可能な不揮発性メモリ)が内蔵され、撮像した画像をフラッシュメモリへ記録(記憶)する構成のビデオカメラがよく知られている。
【0003】
ここで、フラッシュメモリは、大容量化が容易で、価格が安く、さらに、データをバックアップするための電池が不要であるといった利点を有する。しかしながら、フラッシュメモリは、保証されるデータの書き換え回数が有限という短所も併せ持っているので、従来のビデオカメラでは、画像の記録および消去を何度も繰り返すことにより、フラッシュメモリに記憶されたデータの信頼性が低下し、これにより、再生画像のS/N比が低下するという問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1には、フラッシュメモリの各記録単位領域の消去回数を検出し、検出された消去回数が消去保証回数を越えた記録単位領域への画像信号の記録を禁止するスチルビデオカメラが提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、異種の画像記録媒体を同時に装着しているときに、各画像記録媒体の特性に基づいて優先的に使用する優先媒体を定め、撮影した画像の記録および記録している画像の再生表示において、優先媒体のみを、または優先媒体を高い頻度で使用するデジタルカメラが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−214250号公報
【特許文献2】特開2001−223977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、検出された消去回数が消去保証回数を越えた記録単位領域への画像信号の記録を禁止するので、禁止された記録単位領域が多くなったフラッシュメモリに対しても記録を行う場合があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術では、異種の画像記録媒体のうち、優先的に使用する優先媒体を定め使用するので、複数の同種の画像記録媒体を備える場合、記録されたデータの信頼性が向上することができなかった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、データの消去書き換えが可能な複数の記録媒体を備え、この記録媒体に記録されたデータの信頼性を向上させることができる記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る記録装置の第1の特徴は、データを記録する複数の記録媒体と、前記複数の記録媒体のうち、いずれの記録媒体に前記データを記録するかを判定する上での判定区分となる1つ以上のパラメータと、前記1つ以上のパラメータの優先順位を示すパラメータ優先度とを関連付けて、パラメータ優先度情報として記憶するパラメータ優先度記憶手段と、前記1つ以上のパラメータ毎に、前記複数の記録媒体において優先させる記録媒体の順位を示すパラメータ毎媒体優先度を決定するパラメータ毎媒体優先度決定手段と、前記決定されたパラメータ毎媒体優先度と前記パラメータ優先度情報とに基づいて、前記複数の記録媒体において、優先使用する記録媒体の順位を示す媒体優先度を決定する媒体優先度決定手段と、を備えることにある。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る記録装置の第2の特徴は、前記パラメータ毎媒体優先度決定手段は、前記1つ以上のパラメータに、代替エリア使用比率に基づいて前記パラメータ毎媒体優先度を決定することを示すパラメータが含まれている場合に、前記複数の記録媒体毎に、全記憶容量に対する代替エリアの使用容量を前記代替エリア使用比率として算出し、この算出された代替エリア使用比率が小さい記録媒体ほど優先されるように、前記代替エリア使用比率に基づいた前記パラメータ毎媒体優先度を決定することにある。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る記録装置の第3の特徴は、前記パラメータ毎媒体優先度決定手段は、前記1つ以上のパラメータに、エラーレートに基づいて前記パラメータ毎媒体優先度を決定することを示すパラメータが含まれている場合に、前記複数の記録媒体毎に、前記記録媒体に記録された管理情報を読み出し、この管理情報を読み出した際の前記エラーレートを算出し、この算出されたエラーレートが小さい記録媒体ほど優先されるように、前記エラーレートに基づいた前記パラメータ毎媒体優先度を決定することにある。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る記録装置の第4の特徴は、前記パラメータ毎媒体優先度決定手段は、前記1つ以上のパラメータに、単位記録値に基づいて前記パラメータ毎媒体優先度を決定することを示すパラメータが含まれている場合に、前記複数の記録媒体毎に、前記記録媒体に記録された管理情報を読み出し、この読み出された管理情報から前記記録媒体の最小記録単位当たりの記録値を前記単位記録値として抽出し、この抽出された単位記録値が小さい記録媒体ほど優先されるように、前記単位記録値に基づいた前記パラメータ毎媒体優先度を決定することにある。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る記録装置の第5の特徴は、前記記録媒体の種類毎に、前記記録媒体を製造する製造メーカを一意に識別する製造メーカコードと、前記製造メーカコードの優先順位を示す製造メーカ優先度とを関連付けて、製造メーカ優先度情報として記憶する製造メーカ優先度記憶手段と、を更に備え、前記パラメータ毎媒体優先度決定手段は、前記1つ以上のパラメータに、前記製造メーカコードに基づいて前記パラメータ毎媒体優先度を決定することを示すパラメータが含まれている場合に、前記複数の記録媒体毎に、前記記録媒体に記録された管理情報を読み出し、この読み出された管理情報から前記記録媒体の種類と前記製造メーカコードとを抽出し、前記製造メーカ優先度情報に基づいて、前記抽出された記録媒体の種類において優先させる前記製造メーカコードの順位を、前記製造メーカコードに基づいた前記パラメータ毎媒体優先度として決定することにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の記録装置によれば、複数の記録媒体に記録されたデータの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態である記録装置の構成を示した構成図である。
【図2】本発明の一実施形態である記録装置が備えるパラメータ優先度記憶部に記憶されたパラメータ優先度情報の一例を示した図である。
【図3】本発明の一実施形態である記録装置が備える製造メーカ優先度記憶部に記憶された製造メーカ優先度情報の一例を示した図である。
【図4】本発明の一実施形態である記録装置が備える記録媒体のメモリ構成を示す構成図である。
【図5】本発明の一実施形態である記録装置における処理手順を示したフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態である記録装置が備える表示部に表示されたパラメータ設定画面の一例を示した図である。
【図7】本発明の一実施形態である記録装置が備える媒体優先度決定部による媒体優先度の決定を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本発明の一実施形態では、フラッシュメモリを用いた3つの記録媒体を備え、3つの記録媒体において、信頼性の高い記録媒体から順に画像を記録する記録装置を例に挙げて説明する。
【0019】
<記録装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態である記録装置の構成を示した構成図である。
【0020】
本発明の一実施形態である記録装置1は、光学レンズ2と、画像素子部3と、A/D変換部4と、画像処理部5と、操作部6と、表示部7と、EEPROM8と、CPU9と、デバイスインタフェース部10と、記録媒体A1,B1,B2とを備える。
【0021】
光学レンズ2は、軸Pを光軸として入射する光を集光させる。
【0022】
画像素子部3は、光学レンズ2により集光された光を結像させ、結像させた被写体像を電気信号に変換する。
【0023】
A/D変換部4は、画像素子部3から供給されたアナログデータをデジタルデータに変換する。
【0024】
画像処理部5は、A/D変換部4から供給された入力信号に各種デジタル処理を施す。
【0025】
操作部6は、各種操作ボタン等を備えており、利用者による各種操作ボタン等の操作に基づいて、各種操作信号を生成する。
【0026】
表示部7は、有機EL(electroluminescence)ディスプレイや、液晶ディスプレイ等の画像出力回路を備え、CPU9から供給された表示信号に基づいて、静止画像、動画像、又は媒体優先度の自動選択モード/手動選択モード切り替え設定を行うための優先順位設定画面や、手動選択モード設定時にパラメータ優先度を設定するためのパラメータ設定画面等の各種設定画面を表示する。
【0027】
EEPROM8は、その機能上、パラメータ優先度記憶部8aと、製造メーカ優先度記憶部8bとを備える。
【0028】
パラメータ優先度記憶部8aは、記録媒体A1,B1,B2のうち、いずれの記録媒体に画像を記録するかを判定する上での判定区分となる複数のパラメータと、複数のパラメータの優先順位を示すパラメータ優先度とを関連付けて、パラメータ優先度情報として記憶する。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態である記録装置1が備えるパラメータ優先度記憶部8aに記憶されたパラメータ優先度情報の一例を示した図である。
【0030】
図2に示すように、カラム名“パラメータ優先度”(符号201)と、カラム名“パラメータ”(符号202)とが関連付けられて、パラメータ優先度情報として記憶されている。
【0031】
ここで、本発明の一実施形態である記録装置1が備えるパラメータ優先度記憶部8aでは、パラメータ202として、代替エリア使用比率202aと、製造メーカコード202bと、エラーレート202cと、単位記録値202dとを備えており、それぞれパラメータ優先度201が関連付けられて記録されている。例えば、エラーレート202cにおけるパラメータ優先度201は、“3”である。
【0032】
製造メーカ優先度記憶部8bは、記録媒体A1,B1,B2の種類毎に、記録媒体を製造する製造メーカを一意に識別する製造メーカコードと、製造メーカコードの優先順位を示す製造メーカ優先度とを関連付けて、製造メーカ優先度情報として記憶する。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態である記録装置1が備える製造メーカ優先度記憶部8bに記憶された製造メーカ優先度情報の一例を示した図である。
【0034】
図3に示すように、カラム名“製造メーカコード”(符号301)と、カラム名“パラメータ毎媒体優先度”(符号302)とが関連付けられて、製造メーカ優先度情報として記憶されている。パラメータ毎媒体優先度302は、記録媒体の種類毎に記憶されており、図3に示した例では、記録媒体の種類として、“タイプA”及び“タイプB”毎に、パラメータ毎媒体優先度302が記憶されている。
【0035】
図1に示すデバイスインタフェース部10は、記録媒体A1,B1,B2とのインタフェース装置であり、後述するCPU9の指示に従い、記録媒体A1,B1,B2のうち媒体優先度の高い順に、画像処理部5により画像処理された画像を記録する。
【0036】
記録媒体A1,B1,B2は、それぞれフラッシュメモリを用いたSDカード、USB(Universal Serial Bus)カード、又はメモリカードであり、記録媒体B1,B2は、同一種類の記録媒体であり、記録媒体A1と記録媒体B1,B2とは、異なる種類の記録媒体である。
【0037】
図4は、記録媒体A1のメモリ構成を示す構成図である。
【0038】
図4に示すように、記録媒体A1には、代替エリア501と、管理情報記録エリア502と、データ記録エリア503とを備えている。
【0039】
代替エリア501は、データ記録エリア503に画像を記録させる際に、書き込み不能が発生した場合に、この書き込み不能が発生したアドレスの代わりに、代替エリア501内のアドレスを割り当てる。そのため、画像を記録させる際にエラーが発生する程、代替エリア501の使用容量が大きくなる。ここで、代替エリア501と、管理情報記録エリア502と、データ記録エリア503との合計容量を全記録容量といい、この全記録容量に対する代替エリア501において使用されている容量を代替エリア使用比率という。
【0040】
管理情報記録エリア502は、管理情報を記録するエリアである。ここで、管理情報には、記録媒体を製造した製造メーカコード、及び記録媒体の種類が含まれている。
【0041】
さらに、管理情報には、最小記録単位当たりの記録値が記録されている。記録媒体A1は、記録方式として、データを“1”又は“0”の2値で記録するシングルビット方式、又はデータを4値、8値、16値等のシングル/マルチレベルで記録するマルチビット方式が採用されている。そこで、管理情報には、最小記録単位当たりの記録値として“2”“4”、“8”、又は“16”が記録されている。
【0042】
データ記録エリア503は、画像等の様々なデータを記録するエリアである。
【0043】
なお、記録媒体A1と記録媒体B1,B2とは、異なる種類の記録媒体であるが、記録媒体B1,B2においても、記録媒体A1と同様に、代替エリア501、管理情報記録エリア502、及びデータ記録エリア503に相当する少なくとも3つのエリアに領域分割されているとする。
【0044】
CPU9は、記録装置1の中枢的な制御を行う。また、CPU9は、その機能上、パラメータ毎媒体優先度決定部9aと、媒体優先度決定部9bとを備える。
【0045】
パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、複数のパラメータ毎に、記録媒体A1,B1,B2において、優先させる記録媒体の順位を示すパラメータ毎媒体優先度を決定する。
【0046】
具体的には、パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、複数のパラメータに、代替エリア使用比率に基づいてパラメータ毎媒体優先度を決定することを示すパラメータ、即ち代替エリア使用比率202aが含まれている場合に、記録媒体A1,B1,B2毎に、全記憶容量に対する代替エリアの使用容量を代替エリア使用比率として算出し、この算出された代替エリア使用比率が小さい記録媒体ほど優先されるように、代替エリア使用比率に基づいたパラメータ毎媒体優先度を決定する。
【0047】
パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、複数のパラメータに、エラーレートに基づいてパラメータ毎媒体優先度を決定することを示すパラメータ、即ちエラーレート202cが含まれている場合に、記録媒体A1,B1,B2毎に、記録媒体に記録された管理情報を読み出し、管理情報を読み出した際のエラーレートを算出し、この算出されたエラーレートが小さい記録媒体ほど優先されるように、エラーレートに基づいたパラメータ毎媒体優先度を決定する。
【0048】
パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、複数のパラメータに、単位記録値に基づいてパラメータ毎媒体優先度を決定することを示すパラメータ、即ち単位記録値202dが含まれている場合に、記録媒体A1,B1,B2毎に、記録媒体に記録された管理情報を読み出し、この読み出された管理情報から記録媒体の最小記録単位当たりの記録値を単位記録値として抽出し、この抽出された単位記録値が小さい記録媒体ほど優先されるように、単位記録値に基づいたパラメータ毎媒体優先度を決定する。
【0049】
パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、複数のパラメータに、製造メーカコードに基づいてパラメータ毎媒体優先度を決定することを示すパラメータ、即ち製造メーカコード202bが含まれている場合に、記録媒体A1,B1,B2毎に、記録媒体に記録された管理情報を読み出し、この読み出された管理情報から記録媒体の種類と製造メーカコードとを抽出し、製造メーカ優先度情報に基づいて、抽出された記録媒体の種類において優先させる製造メーカコードの順位を、製造メーカコードに基づいたパラメータ毎媒体優先度として決定する。
【0050】
媒体優先度決定部9bは、パラメータ毎媒体優先度決定部9aにより決定されたパラメータ毎媒体優先度と、パラメータ優先度記憶部8aに記憶されたパラメータ優先度情報とに基づいて、記録媒体A1,B1,B2において、優先使用する記録媒体の順位を示す媒体優先度を決定する。
【0051】
また、CPU9は、記録媒体A1,B1,B2のうち、媒体優先度決定部9bにより決定された媒体優先度の高い順に、画像処理部5により画像処理された画像を、デバイスインタフェース部10に記録させる。
【0052】
<記録装置1の作用>
次に、本発明の一実施形態である記録装置1の作用について説明する。
【0053】
図5は、本発明の一実施形態である記録装置1における処理手順を示したフローチャートである。
【0054】
図5に示すように、電源が投入されると、CPU9は、予め設定された優先順位設定が、自動選択モードか否かを判定する(ステップS101)。
【0055】
ステップS101において、自動選択モードではない、即ち手動選択モードであると判定された場合(NOの場合)、CPU9は、パラメータ設定画面を表示部7に表示させる(ステップS102)。
【0056】
図6は、本発明の一実施形態である記録装置1が備える表示部7に表示されたパラメータ設定画面の一例を示した図である。
【0057】
図6に示すように、パラメータ設定画面401には、画面向かって左方向から順に、優先順位第1位として記録媒体A1のボタン402が表示され、優先順位第2位として記録媒体B1のボタン403が表示され、優先順位第3位として記録媒体B2のボタン403が表示されている。また、媒体優先度を確定するための決定ボタン405が表示されている。
【0058】
利用者は、表示部7に表示されたパラメータ設定画面401を見ながら、カーソルをボタン402〜404のいずれかに合わせて、クリック操作を行うと、操作部6は、いずれのボタンがクリック操作されたか示す情報を含む操作信号をCPU9へ供給する。
【0059】
この操作信号が供給されたCPU9は、操作信号に基づいて、クリック操作されたボタンを優先順位第1位として表示部7に表示させると共に、その他のボタンの優先順位を下げて表示部7に表示させる。例えば、利用者により記録媒体B1のボタン403がクリック操作された場合、記録媒体B1のボタン403を優先順位第1位として表示部7に表示させ、記録媒体A1のボタン402を優先順位第2位として表示部7に表示させ、記録媒体B2のボタン404を優先順位第3位として表示部7に表示させる。
【0060】
次に、CPU9は、利用者によりパラメータ設定画面401上に表示された決定ボタン405が押下操作されたか否かを判定する(ステップS103)。具体的には、CPU9は、操作部6からパラメータ設定画面401上に表示された決定ボタン405が押下操作されたことを示す操作信号が供給されたか否かを判定する。
【0061】
ステップS103において決定ボタン405が押下操作されたと判定された場合(YESの場合)、CPU9は、操作信号に基づいて媒体優先度を決定する(ステップS104)。具体的には、CPU9は、操作信号が供給されたときにおける、記録媒体A1のボタン402、記録媒体B1のボタン403、及び記録媒体B2のボタン404の優先順位を媒体優先度として決定する。
【0062】
一方、ステップS101において、自動選択モードであると判定された場合(YESの場合)、CPU9のパラメータ毎媒体優先度決定部9aは、記録媒体A1,B1,B2毎に、全記憶容量に対する代替エリアの使用容量を代替エリア使用比率として算出する(ステップS105)。具体的には、パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、記録媒体A1,B1,B2毎に、代替エリア501において使用されている容量を、代替エリア501と、管理情報記録エリア502と、データ記録エリア503との合計容量である全記録容量で除算した値を代替エリア使用比率として算出する。例えば、記録媒体A1の全記録容量が2(GB)であり、代替エリア501において使用されている容量が800(bit)であった場合、代替エリア使用比率は、5.0×10−8(=800/(2×10×8))となる。同様に、記録媒体B1の全記録容量が4(GB)であり、代替エリア501において使用されている容量が800(bit)であった場合、代替エリア使用比率は、2.5×10−8(=800/(4×10×8))となり、記録媒体B2の全記録容量が1(GB)であり、代替エリア501において使用されている容量が400(bit)であった場合、代替エリア使用比率は、5.0×10−8(=400/(1×10×8))となる。
【0063】
そして、パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、記録媒体A1,B1,B2のうち、ステップS105において算出された代替エリア使用比率が小さい記録媒体ほど優先されるように、代替エリア使用比率に基づいたパラメータ毎媒体優先度を決定する(ステップS106)。ここでは、記録媒体A1,B1,B2の代替エリア使用比率は、それぞれ5.0×10−8、2.5×10−8、5.0×10−8であるので、パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、代替エリア使用比率に基づいたパラメータ毎媒体優先度を、記録媒体A1,B1,B2の順に“2”,“1”,“2”として決定する。
【0064】
次に、パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、記録媒体A1,B1,B2毎に、記録媒体A1,B1,B2それぞれに記録された管理情報を読み出し、この管理情報を読み出した際のエラーレートを算出する(ステップS107)。
【0065】
具体的には、パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、パリティビット、CRC(Cyclic Redundancy Check)、又はチェックサムにより誤り検査を行う。そして、パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、読み出した管理情報の全ビット数に対する、誤り検査により検出されたエラービット数をエラーレートとして算出する。例えば、記録媒体A1の管理情報の全ビット数が32(bit)であり、エラービット数が1(bit)であった場合、エラーレートは、0.03125(=1/32)となる。同様に、記録媒体B1の管理情報の全ビット数が32(bit)であり、エラービット数が2(bit)であった場合、エラーレートは、0.0625(=2/32)となり、記録媒体B2の管理情報の全ビット数が32(bit)であり、エラービット数が3(bit)であった場合、エラーレートは、0.09375(=3/32)となる。
【0066】
そして、パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、ステップS107において算出されたエラーレートが小さい記録媒体A1,B1,B2ほど優先されるように、エラーレートに基づいたパラメータ毎媒体優先度を決定する(ステップS108)。ここでは、記録媒体A1,B1,B2のエラーレートは、それぞれ“0.03125”、“0.0625”、“0.09375”であるので、パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、エラーレートに基づいたパラメータ毎媒体優先度を、記録媒体A1,B1,B2の順に“1”,“2”,“3”として決定する。
【0067】
次に、パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、記録媒体A1,B1,B2毎に、記録媒体A1,B1,B2それぞれに記録された管理情報を読み出し、この読み出された管理情報から、最小記録単位当たりの記録値を単位記録値として抽出する(ステップS109)。
【0068】
そして、パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、ステップS109において抽出された単位記録値が小さい記録媒体ほど優先されるように、単位記録値に基づいたパラメータ毎媒体優先度を決定する(ステップS110)。例えば、ステップS109において、抽出された単位記録値が、それぞれ“2”、“2”、“8”であったとすると、パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、単位記録値に基づいたパラメータ毎媒体優先度を、記録媒体A1,B1,B2の順に“1”,“1”,“2”として決定する。
【0069】
次に、パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、記録媒体A1,B1,B2毎に、記録媒体A1,B1,B2にそれぞれ記録された管理情報を読み出し、この読み出された管理情報から記録媒体の種類と製造メーカコードとを抽出する(ステップS111)。
【0070】
そして、パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、EEPROM8の製造メーカ優先度記憶部8bに記憶された製造メーカ優先度情報に基づいて、ステップS111において抽出された記録媒体の種類において優先させる製造メーカコードの順位を、製造メーカコードに基づいたパラメータ毎媒体優先度として決定する(ステップS112)。
【0071】
例えば、パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、記録媒体A1に記録された管理情報を読み出し、この読み出された管理情報から記録媒体の種類として、“タイプA”と、製造メーカコードとして、“R0013”とを抽出したとする。
【0072】
図3に示した製造メーカ優先度の例では、タイプAにおけるパラメータ毎媒体優先度は、製造メーカコード“P0011”、“Q0012”、“R0013”、“S0014”の順に、“1”、“3”、“2”、“4”であるので、パラメータ毎媒体優先度決定部9aは、この抽出された記録媒体の種類“タイプA”において優先させる製造メーカコード“R0013”に対応するパラメータ毎媒体優先度を“2”として決定する。
【0073】
同様に、パラメータ毎媒体優先度決定部9aが、記録媒体B1に記録された管理情報から記録媒体の種類として、“タイプB”と、製造メーカコードとして、“Q0012”とを抽出したとすると、この抽出された記録媒体の種類“タイプB”において優先させる製造メーカコード“Q0012”に対応するパラメータ毎媒体優先度を“1”として決定する。また、パラメータ毎媒体優先度決定部9aが、記録媒体B2に記録された管理情報から記録媒体の種類として、“タイプB”と、製造メーカコードとして、“P0011”とを抽出したとすると、この抽出された記録媒体の種類“タイプB”において優先させる製造メーカコード“P0011”に対応するパラメータ毎媒体優先度を“2”として決定する。
【0074】
次に、媒体優先度決定部9bは、決定されたパラメータ毎媒体優先度とパラメータ優先度情報とに基づいて、記録媒体A1,B1,B2において、優先使用する記録媒体の順位を示す媒体優先度を決定する(ステップS113)。具体的には、媒体優先度決定部9bは、ステップS106において決定された代替エリア使用比率に基づいたパラメータ毎媒体優先度と、ステップS108により決定されたエラーレートに基づいたパラメータ毎媒体優先度と、ステップS110において決定された単位記録値に基づいたパラメータ毎媒体優先度と、ステップS112において決定された製造メーカコードに基づいたパラメータ毎媒体優先度と、EEPROM8のパラメータ優先度記憶部8aに記憶されたパラメータ優先度情報とに基づいて、記録媒体A1,B1,B2において、優先使用する記録媒体の順位を示す媒体優先度を決定する。
【0075】
図7は、本発明の一実施形態である記録装置1が備える媒体優先度決定部9bによる媒体優先度の決定を説明した図である。なお、パラメータ毎媒体優先度601は、記録媒体A1,B1,B2毎に、ステップS106、ステップS108、ステップS110、及びステップS112において決定されたパラメータ毎媒体優先度を示している。
【0076】
図7に示すように、パラメータ優先度201は、パラメータ202である代替エリア使用比率、製造メーカコード、エラーレート、単位記録値の順に、“1”、“2”、“3”、“4”であるので、媒体優先度決定部9bは、まず、ステップS106において決定された代替エリア使用比率に基づいたパラメータ毎媒体優先度に基づいて、媒体優先度を決定する。
【0077】
図7のレコード701に示すように、代替エリア使用比率に基づいたパラメータ毎媒体優先度601は、記録媒体A1,B1,B2の順に“2”,“1”,“2”であるので、媒体優先度決定部9bは、記録媒体B1の媒体優先度を“1”として決定する。一方、記録媒体A1と記録媒体B2との代替エリア使用比率に基づいたパラメータ毎媒体優先度601は、互いに“2”であるので、ここでは、媒体優先度決定部9bは、記録媒体A1,B2の媒体優先度を決定しない。
【0078】
そして、図7のレコード702に示すように、製造メーカコードに基づいたパラメータ毎媒体優先度601についても、同様に、記録媒体A1,B1,B2の順に“2”,“1”,“2”であるので、媒体優先度決定部9bは、記録媒体A1,B2の媒体優先度を決定しない。
【0079】
次に、図7のレコード703に示すように、エラーレートに基づいたパラメータ毎媒体優先度601は、記録媒体A1,B1,B2の順に“1”,“2”,“3”であるので、媒体優先度決定部9bは、記録媒体A1,B2の媒体優先度を、“2”、“3”として決定する。
【0080】
以上のように、本発明の一実施形態である記録装置1によれば、複数のパラメータ毎に、記録媒体A1,B1,B2において、優先させる記録媒体の順位を示すパラメータ毎媒体優先度を決定するパラメータ毎媒体優先度決定部9aと、パラメータ毎媒体優先度決定部9aにより決定されたパラメータ毎媒体優先度と、パラメータ優先度記憶部8aに記憶されたパラメータ優先度情報とに基づいて、記録媒体A1,B1,B2において、優先使用する記録媒体の順位を示す媒体優先度を決定する媒体優先度決定部9bとを備えているので、記録媒体A1,B1,B2のうち信頼性の高い記録媒体を優先的に使用して、画像を記録することができる。これにより、本発明の一実施形態である記録装置1は、複数の記録媒体に記録された画像の信頼性を向上させることができる。
【0081】
なお、本発明の一実施形態では、3つの記録媒体において、信頼性の高い記録媒体から順に画像を記録する記録装置を例に挙げて説明したが、記録媒体に記録するデータは、画像に限らない。例えば、音声であってもよいし、文字データ等であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…記録装置
2…光学レンズ
3…画像素子部
4…変換部
5…画像処理部
6…操作部
7…表示部
8…ハードディスク
8a…パラメータ優先度記憶部
8b…製造メーカ優先度記憶部
9…CPU
9a…パラメータ毎媒体優先度決定部
9b…媒体優先度決定部
10…デバイスインタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記録する複数の記録媒体と、
前記複数の記録媒体のうち、いずれの記録媒体に前記データを記録するかを判定する上での判定区分となる1つ以上のパラメータと、前記1つ以上のパラメータの優先順位を示すパラメータ優先度とを関連付けて、パラメータ優先度情報として記憶するパラメータ優先度記憶手段と、
前記1つ以上のパラメータ毎に、前記複数の記録媒体において優先させる記録媒体の順位を示すパラメータ毎媒体優先度を決定するパラメータ毎媒体優先度決定手段と、
前記決定されたパラメータ毎媒体優先度と前記パラメータ優先度情報とに基づいて、前記複数の記録媒体において、優先使用する記録媒体の順位を示す媒体優先度を決定する媒体優先度決定手段と、
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記パラメータ毎媒体優先度決定手段は、
前記1つ以上のパラメータに、代替エリア使用比率に基づいて前記パラメータ毎媒体優先度を決定することを示すパラメータが含まれている場合に、前記複数の記録媒体毎に、全記憶容量に対する代替エリアの使用容量を前記代替エリア使用比率として算出し、この算出された代替エリア使用比率が小さい記録媒体ほど優先されるように、前記代替エリア使用比率に基づいた前記パラメータ毎媒体優先度を決定する
ことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記パラメータ毎媒体優先度決定手段は、
前記1つ以上のパラメータに、エラーレートに基づいて前記パラメータ毎媒体優先度を決定することを示すパラメータが含まれている場合に、前記複数の記録媒体毎に、前記記録媒体に記録された管理情報を読み出し、この管理情報を読み出した際の前記エラーレートを算出し、この算出されたエラーレートが小さい記録媒体ほど優先されるように、前記エラーレートに基づいた前記パラメータ毎媒体優先度を決定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の記録装置。
【請求項4】
前記パラメータ毎媒体優先度決定手段は、
前記1つ以上のパラメータに、単位記録値に基づいて前記パラメータ毎媒体優先度を決定することを示すパラメータが含まれている場合に、前記複数の記録媒体毎に、前記記録媒体に記録された管理情報を読み出し、この読み出された管理情報から前記記録媒体の最小記録単位当たりの記録値を前記単位記録値として抽出し、この抽出された単位記録値が小さい記録媒体ほど優先されるように、前記単位記録値に基づいた前記パラメータ毎媒体優先度を決定する
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録媒体の種類毎に、前記記録媒体を製造する製造メーカを一意に識別する製造メーカコードと、前記製造メーカコードの優先順位を示す製造メーカ優先度とを関連付けて、製造メーカ優先度情報として記憶する製造メーカ優先度記憶手段と、を更に備え、
前記パラメータ毎媒体優先度決定手段は、
前記1つ以上のパラメータに、前記製造メーカコードに基づいて前記パラメータ毎媒体優先度を決定することを示すパラメータが含まれている場合に、前記複数の記録媒体毎に、前記記録媒体に記録された管理情報を読み出し、この読み出された管理情報から前記記録媒体の種類と前記製造メーカコードとを抽出し、前記製造メーカ優先度情報に基づいて、前記抽出された記録媒体の種類において優先させる前記製造メーカコードの順位を、前記製造メーカコードに基づいた前記パラメータ毎媒体優先度として決定する
ことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−204841(P2010−204841A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48264(P2009−48264)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】