説明

設備検討支援システム

【課題】組付の可否、組付性能等の生産設備の検討を簡単かつ迅速に行うことができる設備検討支援システムを提供すること。
【解決手段】検索システム部23は、CADシステム部22によって、検討する組付工程の生産設備の図形及びベース部品の図形をディスプレイ4に表示すると共に、検索用データベースにおけるサブ組付データに基づいて、検討する組付工程においてベース部品に対して組み付けるサブ組付体を構成する複数の組付部品の図形を当該サブ組付体として組み合わせた状態でディスプレイ4に表示し、かつ、検索用データベースにおけるメイン組付データに基づいて、検討する組付工程においてベース部品に対して既に組み付けられている組付部品の図形を当該ベース部品と一体に組み合わせた状態でディスプレイ4に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車を生産するための組付工程における設備検討を行う際の支援をすることができる設備検討支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の生産ラインにおいては、ロボット等の機械を用いた生産設備によって、ボディパネル等のベース部品に対して複数の部品を組み付けて、自動車を生産している。この自動車を生産する工程としては、複数の組付部品同士を組み付けてサブ組付体(サブアッシー)を生産し、複数のサブ組付体を順次ベース部品へ組み付けることが行われている。
そして、車種のモデルチェンジがあったとき、又は新たな車種が登場したときなどには、生産技術部門においては、生産設備の検討として、既存の生産設備又は新規の生産設備を用いることによって複数のサブ組付体をベース部品に組み付けて、所定のサイクルタイム内に自動車の生産が可能であるかを検討する。
【0003】
なお、例えば、特許文献1においては、メインモジュールラインとサブモジュールラインとを組み合わせて車両を生産する車両のモジュール化組立てラインについて開示されている。また、例えば、特許文献2においては、倉庫等の設備を自動管理する設備制御システムにおいて、設備データを自動作成する装置について開示されている。さらに、特許文献3においては、部品検索データから特定の車両用部品のCADデータが選択されるのに応じて、そのCADデータを読み出して表示手段に表示させることができるCADデータ管理システムについて開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−158251号公報
【特許文献2】特開平9−77219号公報
【特許文献3】特開2007−328497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の生産技術部門においては、上記生産設備の検討を行うときには、ベース部品のCADデータファイル、複数の組付部品のCADデータファイル、及び生産設備のCADデータファイルを、すべて手動でコンピュータにおけるCADシステム上に読み込んで表示している。そして、複数の組付工程ごとに、生産設備の検討に必要なCADデータファイルを適宜選別して読み込むか、不要な表示を削除する必要があった。
また、車種の仕様変更、生産設備の変更、生産ラインの変更等があったときには、繰り返し同様の作業を行う必要があり、生産設備の検討に多大な時間を要していた。特に、自動車における組付部品は多数あり、検討を繰り返すごとに、設備検討者が繰り返し、多数の組付部品のCADデータファイルの読み込みを行っていたのでは大きな手間がかかる。
また、特許文献1〜3においても、自動車の生産設備の検討の支援を行う方法については何ら開示されていない。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、組付の可否、組付性能等の生産設備の検討を簡単かつ迅速に行うことができる設備検討支援システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、自動車を構成するベース部品のCADデータファイルと、該ベース部品に対して組み付ける複数の組付部品のCADデータファイルと、上記ベース部品への上記組付部品の組付を行うための複数の組付工程における各生産設備のCADデータファイルと、上記複数の組付部品の部品名を含む検索用データベースとを保管するデータ保管部と、
上記複数の組付工程のうち設備検討しようとする組付工程を検討組付工程情報として受け取る入力部と、
上記ベース部品のCADデータファイルと、上記組付部品のCADデータファイルと、上記生産設備のCADデータファイルとを読み込んで、図形としてディスプレイに表示することができるCADシステム部と、
上記検索用データベースにアクセスして、上記CADシステム部によって読み込むCADデータファイルを選択する検索システム部とを備えたコンピュータを有し、
上記検索用データベースは、上記各部品名ごとに、上記複数の組付部品のうちのいずれかがサブ組付体を構成することを示すサブ組付データと、上記各部品名に対応した上記組付部品が上記複数の組付工程のいずれを行う際に上記ベース部品に対して既に組み付けられているかの情報を示すメイン組付データとを有しており、
上記検索システム部は、上記CADシステム部によって、上記検討組付工程情報が示す組付工程の上記生産設備のCADデータファイル及び上記ベース部品のCADデータファイルを上記データ保管部から所定の読込原点を合わせて読み込んで、当該生産設備の図形及び当該ベース部品の図形を上記ディスプレイに表示すると共に、上記サブ組付データに基づいて、上記検討組付工程情報が示す組付工程において上記ベース部品に対して組み付ける上記サブ組付体を構成する上記組付部品のCADデータファイルを、上記データ保管部から所定の読込原点を合わせて読み込んで、当該サブ組付体として組み合わせた状態の図形として上記ディスプレイに表示し、かつ、上記メイン組付データに基づいて、上記検討組付工程情報が示す組付工程において上記ベース部品に対して既に組み付けられている上記組付部品のCADデータファイルを、上記ベース部品と読込原点を合わせて読み込んで、当該組付部品を当該ベース部品と一体に組み合わせた状態の図形として上記ディスプレイに表示するよう構成してあることを特徴とする設備検討支援システムにある(請求項1)。
【0008】
本発明の設備検討支援システムは、自動車の生産設備について、組付部品の組付の可否、組付時間、組付方法等の検討を行う際に、コンピュータを利用して、設備検討者の支援を行うことができるものである。
具体的には、コンピュータにおけるデータ保管部には、予めベース部品のCAD(コンピュータ支援設計)データファイル、複数の組付部品のCADデータファイル、複数の組付工程における各生産設備のCADデータファイル、及び検索用データベースを保管しておく。各CADデータファイルとしては、自動車もしくは生産設備の設計を行った際に作成されたもの、又は設計後に作成したものを用いることができる。また、検索用データベースは、複数の組付部品の部品名を含むと共に、上記サブ組付データ及び上記メイン組付データを有するデータを各部品名ごとに作成しておく。
【0009】
設備検討者は、自動車の生産設備の検討を行う際には、入力部を介して、複数の組付工程のうち設備検討しようとする組付工程を検討組付工程情報として入力する。次いで、検索システム部は、入力部から受け取った検討組付工程情報がいずれの組付工程を示すかを検知する。
そして、検索システム部は、CADシステム部によって、検討組付工程情報が示す組付工程の生産設備のCADデータファイル及びベース部品のCADデータファイルをデータ保管部から所定の読込原点を合わせて読み込んで、当該生産設備の図形及び当該ベース部品の図形をディスプレイに表示する。
【0010】
また、検索システム部は、検索用データベースにおけるサブ組付データに基づいて、検討組付工程情報が示す組付工程においてベース部品に対して組み付けるサブ組付体を構成する複数の組付部品のCADデータファイルを、データ保管部から所定の読込原点を合わせて読み込んで、当該サブ組付体として組み合わせた状態の図形としてディスプレイに表示する。さらに、検索システム部は、検索用データベースにおけるメイン組付データに基づいて、検討組付工程情報が示す組付工程においてベース部品に対して既に組み付けられている組付部品のCADデータファイルを、ベース部品と読込原点を合わせて読み込んで、当該組付部品を当該ベース部品と一体に組み合わせた状態の図形としてディスプレイに表示する。
【0011】
これにより、設備検討者は、入力部から検討しようとする組付工程の検討組付工程情報を入力することによって、簡単かつ迅速に、当該組付工程の生産設備の検討に必要なCADデータファイルをCADシステム部に読み込ませて、図形としてディスプレイに表示することができる。そして、設備検討者は、ディスプレイの表示を見ながら組付工程におけるベース部品へのサブ組付体の組付の可否、組付性能等の検討をすることができる。
特に、本発明においては、ディスプレイに表示するベース部品において、既に組み付けられている組付部品も一体に組み合わせた状態で表示することができ、組付の可否、組付性能等の検討をより正確に行うことができる。
【0012】
また、特に、本発明においては、車種(ベース部品、組付部品、サブ組付体)の仕様変更、生産設備の変更、生産ラインの変更等があったときには、各CADデータファイルを変更前のものから変更後のものに置き換えることにより、極めて簡単に変更に対応することができ、簡単かつ迅速に繰り返し生産設備の検討を行うことができる。そのため、設備検討者の生産設備の検討時間を著しく短縮することができる。
【0013】
それ故、本発明の設備検討支援システムによれば、組付の可否、組付性能等の生産設備の検討を簡単かつ迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
上述した本発明の設備検討支援システムにおける好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記ベース部品のCADデータファイルを上記組付工程の生産設備のCADデータファイルと所定の読込原点を合わせて読み込む状態とは、ベース部品を生産設備における所定の配置位置に配置したときの状態で読み込むことをいう。
また、上記サブ組付体を構成する組付部品のCADデータファイルを所定の読込原点を合わせて読み込む状態とは、複数の組付部品によってサブ組付体を形成した状態で、生産設備における所定の保持位置等に読み込むことをいう。
また、上記ベース部品に対して既に組み付けられている上記組付部品のCADデータファイルを上記ベース部品と読込原点を合わせて読み込む状態とは、ベース部品と組付部品とが自動車を構成するときの位置関係で、生産設備における所定の配置位置に配置したときの状態で読み込むことをいう。
【0015】
また、上記データ保管部は、上記複数の組付部品のうちのいずれかによって構成する上記サブ組付体を組み付けるためのサブ生産設備のCADデータファイルも保管し、上記入力部は、上記サブ生産設備の検討をすることを示す検討サブ生産設備情報も受け取ることを可能にし、上記検索システム部は、上記入力部から上記検討サブ生産設備情報を受け取ったときには、上記CADシステム部によって、上記検討サブ生産設備情報が示す上記サブ生産設備のCADデータファイルを上記データ保管部から読み込んで、当該サブ生産設備の図形を上記ディスプレイに表示すると共に、上記サブ組付データに基づいて、当該サブ生産設備において組み付ける上記サブ組付体を構成する上記組付部品のCADデータファイルを、上記データ保管部から所定の読込原点を合わせて読み込んで、当該サブ組付体として組み合わせた状態の図形として上記ディスプレイに表示するよう構成することができる(請求項2)。
【0016】
この場合には、設備検討者は、サブ生産設備の検討を行う際には、入力部を介して、複数のサブ組付体のうち設備検討しようとするサブ組付体のサブ生産設備についての情報を検討サブ生産設備情報として入力する。次いで、検索システム部は、入力部から検討サブ生産設備情報を受け取ったときには、CADシステム部によって、検討サブ生産設備情報が示すサブ生産設備のCADデータファイルをデータ保管部から読み込んで、当該サブ生産設備の図形をディスプレイに表示する。また、検索システム部は、検索用データベースにおけるサブ組付データに基づいて、当該サブ生産設備において組み付けるサブ組付体を構成する複数の組付部品のCADデータファイルを、データ保管部から所定の読込原点を合わせて読み込んで、当該サブ組付体として組み合わせた状態の図形としてディスプレイに表示する。
【0017】
これにより、設備検討者は、入力部からサブ生産設備としてのサブ生産設備情報を入力することによって、簡単かつ迅速に、サブ組付体の生産設備の検討に必要なCADデータファイルをCADシステム部に読み込ませて、図形としてディスプレイに表示することができる。そして、設備検討者は、ディスプレイの表示を見ながらサブ生産設備におけるサブ組付体の組付の可否、組付性能等の検討をすることができる。特に、この場合においては、車種(組付部品、サブ組付体)の仕様変更、サブ生産設備の変更等があったときには、各CADデータファイルを変更前のものから変更後のものに置き換えることにより、極めて簡単に変更に対応することができ、簡単かつ迅速に繰り返しサブ生産設備の検討を行うことができる。そのため、設備検討者のサブ生産設備の検討時間を著しく短縮することができる。
なお、上記サブ組付体を構成する組付部品のCADデータファイルを所定の読込原点を合わせて読み込む状態とは、複数の組付部品がサブ組付体を構成するときの配置状態で読み込むことをいう。
【0018】
また、上記検索用データベースは、複数の車種ごとに上記データ保管部に保管し、上記入力部は、上記検討組付工程情報を受け取ると共に上記複数の車種のうち設備検討しようとする車種を検討車種情報として受け取るよう構成し、上記検索システム部は、上記検討車種情報が示す車種の上記検索用データベースにアクセスするよう構成することが好ましい(請求項3)。
この場合には、設備検討者は、複数の車種の生産が可能な設備について、組付の可否、組付性能等の検討を簡単かつ迅速に行うことができる。
【実施例】
【0019】
以下に、本発明の設備検討支援システムにかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
本例の設備検討支援システム1は、図1に示すごとく、以下のデータ保管部21、CADシステム部22及び検索システム部23を含むコンピュータ2を有している。また、設備検討支援システム1は、入力部3及びディスプレイ4をコンピュータ2に接続して構成してある。
【0020】
データ保管部21は、自動車を構成するベース部品のCADデータファイルと、ベース部品に対して組み付ける複数の組付部品のCADデータファイルと、ベース部品への組付部品の組付を行うための複数の組付工程における各生産設備のCADデータファイルと、複数の組付部品の部品名を含む検索用データベースとを保管するよう構成してある。入力部3は、複数の組付工程のうち設備検討しようとする組付工程を検討組付工程情報として受け取るよう構成してある。CADシステム部22は、ベース部品のCADデータファイルと、組付部品のCADデータファイルと、生産設備のCADデータファイルとを読み込んで、図形としてディスプレイ4に表示することができるよう構成してある。検索システム部23は、検索用データベースにアクセスして、CADシステム部22によって読み込むCADデータファイルを選択するよう構成してある。
【0021】
検索用データベースは、各部品名ごとに、複数の組付部品のうちのいずれかがサブ組付体を構成することを示すサブ組付データと、各部品名に対応した組付部品が複数の組付工程のいずれを行う際にベース部品に対して既に組み付けられているかの情報を示すメイン組付データとを有している。また、本例の各CADデータファイルは、いずれも3次元の図形データとして、データ保管部21に保存されている。
【0022】
検索システム部23は、CADシステム部22によって、検討組付工程情報が示す組付工程の生産設備のCADデータファイル及びベース部品のCADデータファイルをデータ保管部21から所定の読込原点を合わせて読み込んで、当該生産設備の図形及び当該ベース部品の図形をディスプレイ4に表示すると共に、サブ組付データに基づいて、検討組付工程情報が示す組付工程においてベース部品に対して組み付けるサブ組付体を構成する複数の組付部品のCADデータファイルを、データ保管部21から所定の読込原点を合わせて読み込んで、当該サブ組付体として組み合わせた状態の図形としてディスプレイ4に表示し、かつ、メイン組付データに基づいて、検討組付工程情報が示す組付工程においてベース部品に対して既に組み付けられている組付部品のCADデータファイルを、ベース部品と読込原点を合わせて読み込んで、当該組付部品を当該ベース部品と一体に組み合わせた状態の図形としてディスプレイ4に表示するよう構成してある。
【0023】
以下に、本例の設備検討支援システム1につき、図1〜図8を参照して詳説する。
本例の設備検討支援システム1は、自動車の生産工程において、生産設備、ベース部品(ボディ)及び組付部品の各CADデータファイルを一括してCADシステム部22に読み込んで、図形としてディスプレイ4に表示することができるものである。そして、設備検討者は、設備検討支援システム1によってディスプレイ4に表示したこれらの図形を用いて、組付部品の組付の可否、組付性能、生産タクト(サイクルタイム)等の生産設備の検討を行うことができる。
【0024】
図1には、設備検討支援システム1の構成をブロック図にして示す。入力部3は、キーボード、マウス等によって構成することができ、データ保管部21はコンピュータ2としてのパソコンのハードディスクによって構成することができる。検索システム部23は、パソコン上で動作するソフトウェアとして構成することができ、CADシステム部22は、パソコン上で動作する市販のCAD(コンピュータ支援設計ソフトウェア)を用いることができる。また、データ保管部21においては、生産設備、ベース部品及び組付部品の各CADデータファイルは、市販のCADによって読み込み可能なデータ形式で保存してある。また、データ保管部21においては、検索システム部23を構成するソフトウェアによって読み込み可能な形式で検索用データベースが保存してある。この検索用データベースは、各車種の設計が行われた後に車種ごとに作成しておく。
【0025】
本例のデータ保管部21においては、複数の組付部品のうちのいずれかによって構成するサブ組付体を組み付けるためのサブ生産設備のCADデータファイルも保管してある。データ保管部21においては、組付部品のCADデータファイルが各組付部品ごとに保管してあり、生産設備のCADデータファイルが各生産設備ごとに保管してあり、サブ生産設備のCADデータファイルが各サブ生産設備ごとに保管してある。
また、本例の入力部3は、サブ生産設備の検討をすることを示す検討サブ生産設備情報も受け取ることが可能になっている。
【0026】
複数の組付工程は、複数種類のサブ組付体又は複数種類の組付部品をベース部品に対して順次組み付ける工程である。また、各サブ組付体は、各サブ生産設備によって組付を行うサブ組付工程として組み付けられる。
本例の検索システム部23は、入力部3から検討サブ生産設備情報を受け取ったときには、CADシステム部22によって、検討サブ生産設備情報が示すサブ生産設備のCADデータファイルをデータ保管部21から読み込んで、当該サブ生産設備の図形をディスプレイ4に表示すると共に、サブ組付データに基づいて、当該サブ生産設備において組み付けるサブ組付体を構成する複数の組付部品のCADデータファイルを、データ保管部21から所定の読込原点を合わせて読み込んで、当該サブ組付体として組み合わせた状態の図形としてディスプレイ4に表示するよう構成してある。
【0027】
また、本例の検索用データベースは、複数の車種ごとにデータ保管部21に保管してあり、入力部3は、検討組付工程情報を受け取ると共に複数の車種のうち設備検討しようとする車種を検討車種情報として受け取るよう構成してある。検索システム部23は、検討車種情報が示す車種の検索用データベースにアクセスするよう構成してある。
組付工程は、車種によって異なる工程、車種によって共通して利用される工程等がある。組付部品、サブ組付体は、車種によって異なるもの、車種によって共通して利用されるもの等がある。
本例の設備検討支援システム1は、設備検討者が入力部3から検討組付工程情報及び検討車種情報を入力したときには、車種ごとに、検討しようとする組付工程に必要な組付部品、ベース部品、サブ組付体、生産設備等の図形をディスプレイ4に表示するよう構成されている。
【0028】
なお、入力部3には、複数の工場において生産ラインがある場合には工場の情報、工場内に複数の生産ラインがある場合には生産ラインの情報を受け取るよう構成することができる。そして、検索システム部23は、工場の情報、生産ラインの情報に合わせて生産設備のCADデータファイルを読み込むよう構成することができる。
【0029】
以下に一例を示して、本例の設備検討支援システム1について説明する。
本例の複数の組付工程は、サブ組付体B1、B3又は組付部品としての単体C2、C4のいずれかをベース部品に対して組み付けるメインの生産ラインを構成する組付工程S1〜S4であり、本例のサブ生産設備は、サブ組付体B1を生産する(組み付ける)サブ組付工程T1において用いるものと、サブ組付体B3を生産する(組み付ける)サブ組付工程T2において用いるものとがある。
【0030】
表1には、本例の設備検討支援システム1において用いる特定の車種についての検索用データベースの保存態様を概略的に示す。同表において、特定の車種について、組付部品は、部品A1〜A9があり、サブ組付データには、サブ組付体B1、B3又は単体C0、C2、C4を構成することを示す情報が入力してある。また、メイン組付データには、組付工程S1〜S4のいずれの工程を行う際に、既にベース部品に組み付けられている部品が入力してある。同表において、既にベース部品に組み付けられている部品を○によって示す。
【0031】
【表1】

【0032】
図2には、特定の車種についての組付工程S1〜S4において、ベース部品に(既に)組み付けられている部品と、ベース部品に(これから)組み付ける部品とを示す。なお、ベース部品に組み付けられている部品の欄においては、サブ組付体B1、B3は、その構成部品のカッコ書き表示を省略して示す。また、図3には、特定の車種についてのサブ組付工程T1、2において組み付ける部品を示す。
【0033】
本例の組付部品は、組付工程S1を行う前に単体C0としてベース部品に既に組み付けられた部品A1、サブ組付工程T1においてサブ組付体B1を構成し組付工程S1においてサブ組付体B1としてベース部品に組み付けられる部品A2〜A5、組付工程S2において単体C2としてベース部品に組み付けられる部品A6、サブ組付工程T2においてサブ組付体B3を構成し組付工程S3においてサブ組付体B3としてベース部品に組み付けられる部品A7、A8、組付工程S4において単体C4として単体でベース部品に組み付けられる部品A9とがある。
データ保管部21においては、ベース部品のCADデータファイル、部品A1〜A9のCADデータファイル、生産設備M1〜M4のCADデータファイル、サブ生産設備N1、N2のCADデータファイル及び検索用データベースを予め保管しておく。各CADデータファイルとしては、自動車もしくは生産設備の設計を行った際に作成されたもの、又は設計後に作成したものを用いることができる。
【0034】
図4には、設備検討者が入力部3から必要な情報を入力する画面を示す。設備検討者は、「検討組付工程情報」及び「検討車種情報」を入力し、「搭載検討」(組付工程)のボタンを押すと、検討する組付工程における各CADデータファイルが読み込まれて、検討する組付工程における組付部品、ベース部品、サブ組付体、生産設備等の図形がディスプレイ4に表示される。また、設備検討者は、「検討組付工程情報」及び「検討車種情報」を入力し、「組付体検討」のボタンを押すと、検討するサブ組付工程における各CADデータファイルが読み込まれて、検討するサブ組付工程における組付部品、サブ生産設備等の図形がディスプレイ4に表示される。
【0035】
そして、設備検討者は、例えば、CADシステム部22によって表示したディスプレイ4における画像を見ながら、CADシステム部22上でサブ組付体を保持する生産設備を動かして、ベース部品へのサブ組付体の組付の可否、組付性能等の検討をすることができる。また、設備検討者は、例えば、CADシステム部22によって表示したディスプレイ4における画像を見ながら、CADシステム部22上でサブ生産設備を動かして、複数の組付部品によるサブ組付体の組付の可否、組付性能等の検討をすることができる。
【0036】
図5には、いずれかの組付工程における生産設備のCADデータファイルを読み込み、この3次元の図形51をディスプレイ4に表示した状態を概略的に示す。また、図6には、ベース部品のCADデータファイルと、ベース部品に既に組み付けられた組付部品のCADデータファイルとを、読込原点(表示原点)を合わせてCADシステム部22に読み込み、ベース部品の3次元の図形52とベース部品に既に組み付けられた組付部品の3次元の図形53とをディスプレイ4に表示した状態を概略的に示す。同図のベース部品は、複数のフレームを溶接してなる自動車のボディ(メインフレーム)である。
【0037】
また、図7には、いずれかのサブ組付体を構成する組付部品のCADデータファイルを、読込原点(表示原点)を合わせてCADシステム部22に読み込み、各組付部品の3次元の図形55によって構成されたサブ組付体の3次元の図形54をディスプレイ4に表示した状態を概略的に示す。なお、同図のサブ組付体は、インストルメントパネル・アッパーのサブアッシーである。
【0038】
そして、図8には、いずれかの組付工程について、生産設備の図形51、ベース部品の図形52、ベース部品に既に組み付けられた組付部品の図形53、及びベース部品に組み付けるサブ組付体の図形54を合わせてディスプレイ4に表示した状態を概略的に示す。同図において、ベース部品の図形52及びベース部品に既に組み付けられた組付部品の図形53は、生産設備の図形51における所定の配置位置(実際の生産設備においてベース部品を配置する位置)に表示され、サブ組付体の図形54は、生産設備の図形51における所定の保持位置511(実際の生産設備においてサブ組付体を保持させる位置)に表示される。そして、設備検討者は、CADシステム部22の機能を利用して、生産設備の図形51においてサブ組付体の図形54を保持する部分を、生産設備の図形51における配置位置に表示されたベース部品の図形52に対して、干渉することなく組み付けることができるかを検討することができる。
【0039】
次に、検索システム部23の動作について具体例を示して説明する。
例えば、設備検討者が、特定の車種について組付工程S1の組付検討をする際には、ディスプレイ4における画面の「検討組付工程情報」において「組付工程S1」と入力し、「検討車種情報」において特定の車種を入力する(図4参照)。そして、「搭載検討」のボタンを押すと、検索システム部23は、CADシステム部22によって、組付工程S1において使用する生産設備M1のCADデータファイルと、ベース部品のCADデータファイルとをデータ保管部21から所定の読込原点を合わせて読み込んで、生産設備M1の図形51とベース部品の図形52とをディスプレイ4に表示する(図8参照)。
【0040】
また、検索システム部23は、サブ組付データに基づき、CADシステム部22によって、組付工程S1においてベース部品に対して組み付けるサブ組付体B1を構成する部品A2〜A5のCADデータファイルを、データ保管部21から所定の読込原点を合わせて読み込んで、当該サブ組付体B1として組み合わせた状態の図形54としてディスプレイ4に表示する(図8参照)。さらに、検索システム部23は、メイン組付データに基づき、CADシステム部22によって、組付工程S1においてベース部品に対して既に組み付けられている単体C0を構成する部品A1のCADデータファイルを、ベース部品と読込原点を合わせて読み込んで、単体C0をベース部品と一体に組み合わせた状態の図形53としてディスプレイ4に表示する(図8参照)。
こうして、設備検討者は、組付工程S1について、単体C0(部品A1)が組み付いたベース部品へのサブ組付体B1(部品A2〜A5)の組付検討を、ディスプレイ4上で行うことができる。
【0041】
また、例えば、設備検討者が、特定の車種についてサブ組付工程T1の組付検討をする際には、ディスプレイ4における画面の「検討組付工程情報」において「組付工程S1」と入力し、「検討車種情報」において特定の車種を入力する(図4参照)。そして、「組付体検討」のボタンを押すと、検索システム部23は、CADシステム部22によって、サブ組付工程T1において使用するサブ生産設備N1のCADデータファイルをデータ保管部21から読み込んで、サブ生産設備N1の図形をディスプレイ4に表示する。なお、図4のディスプレイ4の画面において、本例の検討サブ生産設備情報は、「検討組付工程情報」において入力された「組付工程S1」との情報と、「組付体検討」のボタンを押した情報とを合わせた情報である。
【0042】
また、検索システム部23は、サブ組付データに基づき、CADシステム部22によって、サブ組付工程T1において組み付けるサブ組付体B1を構成する部品A2〜A5のCADデータファイルを、データ保管部21から所定の読込原点を合わせて読み込んで、当該サブ組付体B1として組み合わせた状態の図形としてディスプレイ4に表示する。
こうして、設備検討者は、サブ組付工程T1について、サブ組付体B1(部品A2〜A5)の組付検討を、ディスプレイ4上で行うことができる。
【0043】
検索システム部23は、組付工程S2〜S4についても、組付工程S1と同様の動作を行い、サブ組付工程T2についても、サブ組付工程T1と同様の動作を行う。例えば、設備検討者が、特定の車種について組付工程S4の組付検討をする際には、「検討組付工程情報」において「組付工程S4」と入力し、「検討車種情報」において特定の車種を入力する。そして、「搭載検討」のボタンを押すと、検索システム部23は、CADシステム部22によって、組付工程S4において使用する生産設備M4のCADデータファイルと、ベース部品のCADデータファイルとをデータ保管部21から所定の読込原点を合わせて読み込んで、生産設備M4の図形とベース部品の図形とをディスプレイ4に表示する。
【0044】
また、検索システム部23は、サブ組付データに基づき、CADシステム部22によって、組付工程S4においてベース部品に対して組み付ける単体C4を構成する部品A9のCADデータファイルを、データ保管部21から読み込んで、当該単体C4の図形としてディスプレイ4に表示する。さらに、検索システム部23は、メイン組付データに基づき、CADシステム部22によって、組付工程S4においてベース部品に対して既に組み付けられている単体C0、サブ組付体B1、単体C2、サブ組付体B3を構成する部品A1〜A8のCADデータファイルを、ベース部品と読込原点を合わせて読み込んで、単体C0、サブ組付体B1、単体C2、サブ組付体B3をベース部品と一体に組み合わせた状態の図形としてディスプレイ4に表示する。
こうして、設備検討者は、組付工程S4について、単体C0(部品A1)、サブ組付体B1(部品A2〜A5)、単体C2(部品A6)、サブ組付体B3(部品A7、A8)が組み付いたベース部品への単体C4(部品A9)の組付検討を、ディスプレイ4上で行うことができる。
【0045】
このように、設備検討者は、入力部3から組付工程S1〜S4としての検討組付工程情報を入力することによって、簡単かつ迅速に、各組付工程の生産設備の検討に必要なCADデータファイルをCADシステム部22に読み込ませて、図形としてディスプレイ4に表示することができる。そして、設備検討者は、ディスプレイ4の表示を見ながら各組付工程におけるサブ組付体の組付の可否、組付性能等又はベース部品へのサブ組付体の組付の可否、組付性能等の検討をすることができる。
特に、ディスプレイ4に表示するベース部品の図形52においては、既に組み付けられている組付部品の図形53も一体に組み合わせた状態で表示することができ、組付の可否、組付性能等の検討をより正確に行うことができる(図8参照)。
【0046】
また、本例の設備検討支援システム1においては、複数のサブ組付工程(本例ではサブ組付工程T1、T2)と複数の組付工程(組付工程S1〜S4)とを一括して管理することができる。そして、特に、車種の仕様変更、生産設備の変更、生産ラインの変更等があったときには、各CADデータファイルを変更前のものから変更後のものに置き換えることにより、極めて簡単かつ迅速に繰り返し生産設備の検討を行うことができる。そのため、設備検討者の生産設備及びサブ生産設備の検討時間を著しく短縮することができる。
【0047】
それ故、本例の設備検討支援システム1によれば、組付の可否、組付性能等の生産設備の検討を簡単かつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例における、設備検討支援システムの構成を示すブロック図。
【図2】実施例における、特定の車種についての複数の組付工程において、ベース部品に組み付けられている部品と、ベース部品に組み付ける部品とを示す説明図。
【図3】実施例における、特定の車種についての複数のサブ組付工程において組み付ける部品を示す説明図。
【図4】実施例における、設備検討者が入力部から必要な情報を入力するためのディスプレイ上の画面を示す説明図。
【図5】実施例における、いずれかの組付工程における生産設備の図形データをディスプレイに表示した状態を概略的に示す説明図。
【図6】実施例における、ベース部品及びベース部品に既に組み付けられた組付部品の図形データをディスプレイに表示した状態を概略的に示す説明図。
【図7】実施例における、いずれかのサブ組付体の図形データをディスプレイに表示した状態を概略的に示す説明図。
【図8】実施例における、いずれかの組付工程について、生産設備、ベース部品、ベース部品に既に組み付けられた組付部品、サブ組付体の各図形データを合わせてディスプレイに表示した状態を概略的に示す説明図。
【符号の説明】
【0049】
1 設備検討支援システム
2 コンピュータ
21 データ保管部
22 CADシステム部
23 検索システム部
3 入力部
4 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車を構成するベース部品のCADデータファイルと、該ベース部品に対して組み付ける複数の組付部品のCADデータファイルと、上記ベース部品への上記組付部品の組付を行うための複数の組付工程における各生産設備のCADデータファイルと、上記複数の組付部品の部品名を含む検索用データベースとを保管するデータ保管部と、
上記複数の組付工程のうち設備検討しようとする組付工程を検討組付工程情報として受け取る入力部と、
上記ベース部品のCADデータファイルと、上記組付部品のCADデータファイルと、上記生産設備のCADデータファイルとを読み込んで、図形としてディスプレイに表示することができるCADシステム部と、
上記検索用データベースにアクセスして、上記CADシステム部によって読み込むCADデータファイルを選択する検索システム部とを備えたコンピュータを有し、
上記検索用データベースは、上記各部品名ごとに、上記複数の組付部品のうちのいずれかがサブ組付体を構成することを示すサブ組付データと、上記各部品名に対応した上記組付部品が上記複数の組付工程のいずれを行う際に上記ベース部品に対して既に組み付けられているかの情報を示すメイン組付データとを有しており、
上記検索システム部は、上記CADシステム部によって、上記検討組付工程情報が示す組付工程の上記生産設備のCADデータファイル及び上記ベース部品のCADデータファイルを上記データ保管部から所定の読込原点を合わせて読み込んで、当該生産設備の図形及び当該ベース部品の図形を上記ディスプレイに表示すると共に、上記サブ組付データに基づいて、上記検討組付工程情報が示す組付工程において上記ベース部品に対して組み付ける上記サブ組付体を構成する上記組付部品のCADデータファイルを、上記データ保管部から所定の読込原点を合わせて読み込んで、当該サブ組付体として組み合わせた状態の図形として上記ディスプレイに表示し、かつ、上記メイン組付データに基づいて、上記検討組付工程情報が示す組付工程において上記ベース部品に対して既に組み付けられている上記組付部品のCADデータファイルを、上記ベース部品と読込原点を合わせて読み込んで、当該組付部品を当該ベース部品と一体に組み合わせた状態の図形として上記ディスプレイに表示するよう構成してあることを特徴とする設備検討支援システム。
【請求項2】
請求項1において、上記データ保管部は、上記複数の組付部品のうちのいずれかによって構成する上記サブ組付体を組み付けるためのサブ生産設備のCADデータファイルも保管しており、
上記入力部は、上記サブ生産設備の検討をすることを示す検討サブ生産設備情報も受け取ることが可能になっており、
上記検索システム部は、上記入力部から上記検討サブ生産設備情報を受け取ったときには、上記CADシステム部によって、上記検討サブ生産設備情報が示す上記サブ生産設備のCADデータファイルを上記データ保管部から読み込んで、当該サブ生産設備の図形を上記ディスプレイに表示すると共に、上記サブ組付データに基づいて、当該サブ生産設備において組み付ける上記サブ組付体を構成する上記組付部品のCADデータファイルを、上記データ保管部から所定の読込原点を合わせて読み込んで、当該サブ組付体として組み合わせた状態の図形として上記ディスプレイに表示するよう構成してあることを特徴とする設備検討支援システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記検索用データベースは、複数の車種ごとに上記データ保管部に保管してあり、
上記入力部は、上記複数の車種のうち設備検討しようとする車種を検討車種情報として受け取るよう構成してあり、
上記検索システム部は、上記検討車種情報が示す車種の上記検索用データベースにアクセスするよう構成してあることを特徴とする設備検討支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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