説明

設備状態検知装置および設備状態検知方法

【課題】簡易な方法で、設備の運転状態を正確に検知可能な設備状態検知装置を提供することである。
【解決手段】板材が支持部に到達すると、プレス加工機は、開始信号を出力して、押圧部を下方向に動かす。入力受付部は、開始信号の入力を受け付ける(S11)。検知部は、プレス加工機は、稼動状態であると検知する(S12)。押圧部を上方向に動かして、板材の加工が終了すると、プレス加工機は、待機信号を出力する。入力受付部は、待機信号の入力を受け付ける(S11において、NO、S13において、YES)。検知部は、プレス加工機は、待機状態であると検知する(S14)。そして、板材が、支持部から再度ローラコンベア上に運搬されると、プレス加工機は、停止信号を出力する。入力受付部は、停止信号の入力を受け付ける(S11において、NO、S13において、NO)。検知部は、プレス加工機は、停止状態であると検知する(S15)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、設備状態検知装置および設備状態検知方法に関し、特に、複数の運転状態を保持する設備に用いられる設備状態検知装置および設備状態検知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プレス加工機等から構成される設備の運転状態には、複数の状態がある。例えば、被加工部材に対して加工を行っている稼動状態や、被加工部材が準備完了となるまで被加工部材を待つ待機状態である。このような設備の運転状態を、設備の運転状態に対する物理量を計測することにより、検知する装置が、例えば、特開2001−52221号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
特許文献1によると、装置は、積算電力計を備える構成であって、物理量として設備が消費する電力積算値を、例えば10分毎に計測する。そして、計測した2つの電力積算値の差分をプロセッサで演算して、平均電力量を求める。これにより、求めた平均電力量が、どの運転状態の検出許容幅内に入るかを判断して、設備の運転状態を検知することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−52221号公報(段落番号0021〜0023等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に開示の装置では、平均電力量を求めることにより、設備の運転状態を検知する。したがって、設備の運転状態を検知するために、プロセッサで計測した2つの電力積算値の差分の演算等を行う必要がある。
【0006】
また、特許文献1に開示の装置では、計測した電力積算値を補助記憶装置に記憶して、日報や月報として、設備管理者に報告している。ここで、設備を取り巻く状況は、時々刻々と変化しているため、このような報告では、変化に対応することが困難である。
【0007】
この発明の目的は、簡易な方法で、設備の運転状態を正確に検知可能な設備状態検知装置を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、簡易な方法で、設備の運転状態を正確に検知可能な設備状態検知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る設備状態検知装置は、設備の運転状態を検知可能な設備状態検知装置であって、設備の運転状態は、作業を行っている稼動状態と、作業を行っていない非稼動状態とを有し、設備の運転状態に関するリアルタイムの状態データを取得する取得手段と、取得手段により取得した状態データにより、設備が稼動状態であることを検知する第一の検知手段と、取得手段により取得した状態データにより、設備が非稼動状態であることを検知する第二の検知手段とを備える。
【0010】
このような設備状態検知装置は、設備の運転状態に関するリアルタイムの状態データを取得して、取得した状態データにより、設備の運転状態を検知する。したがって、設備の運転状態の検知をリアルタイムの状態データに基づいたものとすることができる。この場合、状態データの差分を演算等する必要はない。その結果、簡易な方法で、設備の運転状態を正確に検知することができる。
【0011】
また、例えば、設備の運転状態を報告する場合にも、リアルタイムの状態データに基づいたものとすることができる。
【0012】
また、例えば、設備状態検知装置がネットワークを介してサーバに接続されており、設備の運転状態をサーバへ通知する場合にも、リアルタイムの状態データに基づいたデータを通知することができる。
【0013】
一実施形態として、取得手段は、設備により、作業を開始する際に出力される開始信号の入力を受け付ける開始信号受付手段と、設備により、作業を終了する際に出力される終了信号の入力を受け付ける終了信号受付手段とを含み、第一の検知手段は、開始信号受付手段により受け付けた開始信号により、設備が稼動状態であることを検知し、第二の検知手段は、終了信号受付手段により受け付けた終了信号により、設備が非稼動状態であることを検知する。こうすることにより、設備が作業の際に出力する信号を判断するのみで、正確に運転状態を検知することができる。
【0014】
さらに好ましくは、非稼動状態は、作業を待機する待機状態と、作業を停止する停止状態とを含み、終了信号受付手段は、設備により、作業を待機する際に出力される待機信号の入力を受け付ける待機信号受付手段と、設備により、作業を停止する際に出力される停止信号の入力を受け付ける停止信号受付手段とを含み、第二の検知手段は、待機信号受付手段により受け付けた待機信号により、設備が待機状態であることを検知し、停止信号受付手段により受け付けた停止信号により、設備が停止状態であることを検知する。こうすることにより、設備の運転状態を詳細に分類して検知することができる。
【0015】
さらに好ましくは、取得手段は、設備の運転状態に応じて変化する物理量を計測する計測手段と、所定の閾値を設定する設定手段とを含み、検知手段は、開始信号および終了信号のうちの少なくともいずれか一方を取得できなければ、計測手段により計測した物理量を、設定手段により設定した所定の閾値と比較することにより、設備の運転状態を検知する。こうすることにより、信号の取得ができなくとも、計測した物理量を用いて、容易に設備の運転状態を検知することができる。
【0016】
さらに好ましくは、取得手段は、設備の運転状態に応じて変化する物理量を計測する計測手段と、所定の閾値を設定する設定手段とを含み、検知手段は、計測手段により計測した物理量を、設定手段により設定した所定の閾値と比較することにより、設備の運転状態を検知する。こうすることにより、所定の閾値と比較するのみで、容易に設備の運転状態を検知することができる。
【0017】
さらに好ましくは、物理量は、物理量に基づいて変換された統計量を含む。こうすることにより、様々なデータに基づいて、設備の運転状態を検知することができる。
【0018】
他の実施形態として、物理量は、周期的に変化し、検知手段は、第一の周期の波形と、第一の周期とは異なる第二の周期の波形とを比較して、波形の差が所定の範囲内であるか否かを判断する判断手段を含む。こうすることにより、設備の運転状態に合わせて、設備の異常等を検知することができる。
【0019】
好ましくは、検知手段は、第一の周期の波形のうちの稼動状態における波形と、第二の周期の波形のうちの稼動状態における波形とを比較する。こうすることにより、設備が稼動状態であるときの設備の損耗や、設備を使用するユーザの意図しない設備に対する状況変化等を容易に検知することができる。
【0020】
さらに他の実施形態として、設備状態検知装置は、ネットワークを介してサーバに接続可能であって、検知手段により検知した設備の運転状態を集約する集約手段と、集約手段により集約した設備の運転状態を、所定のタイミングでサーバへ通知する通知手段とを備える。
【0021】
ここで、従来では、機械設備用の積算電力計として、詳細にデータを取得しようとすると、1wh(ワット時)等の単位積算電力値毎にパルス信号を出力する設定となるため、サンプリング周期が短くなり、サーバへの通信頻度が上がってしまう。そうすると、通信回線の異常等を引き起こしてしまう虞がある。
【0022】
一方、従来では、計測した積算電力値を補助記憶装置に記憶することにより、日報や月報として、データを集約して設備管理者に報告している。ここで、設備を取り巻く状況は、時々刻々と変化しているため、このような報告では充分でない。
【0023】
しかし、このような構成とすることにより、設備の運転状態の通知を所定のタイミングで行うことができる。所定のタイミングとは、例えば、所定の時間間隔や、設備の運転サイクル等であって、設備管理者等のユーザの都合に応じた任意のタイミングである。これにより、ユーザの都合に応じて、設備の運転状態を通知することができる。また、この場合、単なるパルス信号の出力ではなく、設備の運転状態を示す運転データを集約して通知するため、サンプリング周期が細かくなった場合であっても、サーバへ通信するデータの量を抑えることができる。したがって、設備が設置される工場等において、検知対象となる設備の設置台数等が多く、規模が大きい場合にも、安定してサーバへ通知することができる。また、省エネルギーの観点からも有効である。
【0024】
この発明の他の局面においては、設備の運転状態を検知可能な設備状態検知方法に関する。設備の運転状態は、作業を行っている稼動状態と、作業を行っていない非稼動状態とを有し、設備の運転状態に関するリアルタイムの状態データを取得する過程と、取得した状態データにより、設備が稼動状態であることを検知する過程と、取得した状態データにより、設備が非稼動状態であることを検知する過程とを備える。
【0025】
このような設備状態検知方法は、設備の運転状態に関するリアルタイムの状態データを取得して、取得した状態データにより、設備の運転状態を検知する。したがって、設備の運転状態の検知をリアルタイムの状態データに基づいたものとすることができる。この場合、状態データの差分を演算等する必要はない。その結果、簡易な方法で、設備の運転状態を正確に検知することができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明に係る設備状態検知装置は、設備の運転状態に関するリアルタイムの状態データを取得して、取得した状態データにより、設備の運転状態を検知する。したがって、設備の運転状態の検知をリアルタイムの状態データに基づいたものとすることができる。この場合、状態データの差分を演算等する必要はない。その結果、簡易な方法で、設備の運転状態を正確に検知することができる。
【0027】
また、例えば、設備の運転状態を報告する場合にも、リアルタイムの状態データに基づいたものとすることができる。
【0028】
また、例えば、設備状態検知装置がネットワークを介してサーバに接続されており、設備の運転状態をサーバへ通知する場合にも、リアルタイムの状態データに基づいたデータを通知することができる。
【0029】
また、この発明に係る設備状態検知方法は、設備の運転状態に関するリアルタイムの状態データを取得して、取得した状態データにより、設備の運転状態を検知する。したがって、設備の運転状態の検知をリアルタイムの状態データに基づいたものとすることができる。この場合、状態データの差分を演算等する必要はない。その結果、簡易な方法で、設備の運転状態を正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の一実施形態に係る設備状態検知装置を示す斜視図である。
【図2】設備状態検知装置の構成を示すブロック図である。
【図3】設備状態検知装置をプレス加工機に取り付けた場合を示す図である。
【図4】設備状態検知装置を利用して、プレス加工機の運転状態を検知する場合について示すフローチャートである。
【図5】プレス加工機の運転状態の変化を示す図である。
【図6】この発明の他の実施形態に係る設備状態検知装置の構成を示すブロック図である。
【図7】設備状態検知装置を電力計に取り付けた場合を示す図である。
【図8】設備状態検知装置を利用して、プレス加工機の運転状態を検知する場合について示すフローチャートである。
【図9】プレス加工機の消費電力を示すグラフである。
【図10】図6の実施形態に示す設備状態検知装置において、波形判断部を制御部に追加した場合を示すブロック図である。
【図11】図6の実施形態に示す設備状態検知装置において、通知部および集約部を制御部に追加した場合を示すブロック図である。
【図12】信号を用いると共に、電力量を計測する設備状態検知装置の構成を示すブロック図である。
【図13】設備からの信号の取得ができない場合に、電力量を計測して、設備の運転状態を検知する場合について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態に係る設備状態検知装置について説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る設備状態検知装置10を示す斜視図である。図2は、設備状態検知装置10の構成を示すブロック図である。図1および図2を参照して、設備状態検知装置10は、加工機等の設備に取り付けられ、設備の運転状態を検知する。運転状態とは、作業を行っている稼動状態と、作業を行っていない非稼動状態とを含む構成である。また、非稼動状態とは、作業を停止する停止状態と、作業を待機する待機状態とを含む構成である。設備状態検知装置10は、四角柱状であって、設備状態検知装置10全体を制御する制御部11と、外部から所定のデータを取得する取得部16と、取得部16により取得したデータ等を記憶する記憶部13と、記憶部13に記憶したデータ等を表示する表示部18とを備える。
【0032】
制御部11は、取得部16により取得したデータに基づいて、設備の運転状態を検知する検知部17を含む。取得部16は、設備の論理的端子と接続されて、設備からの状態信号の入力を受け付ける入力受付部12と、操作ボタン等を有し、ユーザから設備状態検知装置10に対する操作の入力を受け付ける設定部15とを含む。表示部18は、数字やアルファベットを含む文字を表示可能である。また、表示部18は、丸や三角等の記号を表示可能である。そして、設備の各運転状態を各色に分けて表示したり、設備の各運転状態の積算時間等を表示したり、設定部15を介してユーザから操作された内容を表示したり、設備状態検知装置10を設備に取り付ける際のエラー等を表示する。これにより、設備状態検知装置10が保持する情報をユーザに容易に視認させることができる。
【0033】
なお、図2中の点線の矢印は、状態信号の流れを示しており、一点鎖線の矢印は、ユーザから受け付けた操作における信号の流れを示している。
【0034】
ここで、設備状態検知装置10をプレス加工機に取り付けた場合について説明する。図3は、設備状態検知装置10をプレス加工機9に取り付けた場合を示す図である。図3を参照して、プレス加工機9について説明する。
【0035】
プレス加工機9は、例えばローラコンベア26等と接続されており、ローラコンベア26によって運搬されてきた板材20等を加工する。そして、加工が終了すると、板材20を再度ローラコンベア26上へ運搬する。なお、図3において、板材20の運搬方向は、左から右に向かう方向である。プレス加工機9は、その上に板材20を載置して板材20を支持する支持部23と、支持部23に支持された板材20の所定の箇所を押圧する押圧部21と、支持部23から板材20が除去されたことを検知するセンサ24と、プレス加工機9を作動させるための電力の供給源となる電源、押圧部21の駆動源となるモータや、外部とのインターフェースとなる入力端子等を有するコントロール部25とを備える。設備状態検知装置10は、コントロール部25に取り付けられている。そして、プレス加工機9の運転状態を検知する。
【0036】
支持部23は、所定の形状の凹部23aが設けられており、凹部23aを覆うようにして板材20を載置する。
【0037】
押圧部21は、入力端子を介して、コントロール部25と接続しており、コントロール部25のモータの回転によって、図3中の矢印IIIで示すように上下動が可能である。そして、下方向に動いた際に、板材20の凹部23aに該当する箇所を押圧する。これにより、プレス加工機9は、板材20を所定の形状に加工する。
【0038】
センサ24は、例えば光電センサであって、入力端子を介して、コントロール部25と接続しており、検知結果を通知する。具体的には、板材20が支持部23からローラコンベア26上へ運搬されたことを検知し、コントロール部25にその旨を通知する。
【0039】
コントロール部25は、プレス加工機9全体を制御する。例えば、モータの回転数を制御したり、プレス加工機9を作動させるための電源の投入および切断等を制御する。なお、電源が投入されると、モータの回転が開始され、電源が切断されると、モータの回転が停止する。
【0040】
また、コントロール部25は、設備状態検知装置10に対して、状態信号を出力する。状態信号としては、開始信号と終了信号とを出力する。開始信号は、プレス加工機9が作業を開始する際に出力する信号であって、具体的には、押圧部21が下方向への動きを開始する際に出力する信号である。終了信号は、プレス加工機9が作業を終了する際に出力する信号であって、終了信号は、待機信号と停止信号を含む構成である。待機信号は、押圧部21が上方向への動きを終了する際に出力する信号である。停止信号は、センサ24から通知された際に出力する信号であって、すなわち、板材20が支持部23からローラコンベア26上へ運搬された際に出力する信号である。
【0041】
ここで、設備状態検知装置10を利用して、プレス加工機9の運転状態を検知する場合について説明する。図4は、設備状態検知装置10を利用して、プレス加工機9の運転状態を検知する場合について示すフローチャートである。図5は、プレス加工機9の運転状態の変化を示す図である。図1〜図5を参照して、説明する。
【0042】
まず、図5中のPの時点において、プレス加工機9の電源が投入され、図5中のPの時点において、プレス加工機9に、ローラコンベア26によって板材20が運搬される。
【0043】
そして、板材20が支持部23に到達すると、プレス加工機9は、開始信号を出力して、押圧部21を下方向に動かす。ここで、入力受付部12は、開始信号の入力を受け付ける(図4のステップS11において、YES、以下、ステップを省略する)。これにより、設備状態検知装置10は、プレス加工機9の運転状態に関するリアルタイムの状態データを取得する。すなわち、プレス加工機9からの状態信号が、プレス加工機9の運転状態に関する状態データである。ここで、入力受付部12は、開始信号受付手段として作動する。検知部17は、開始信号の受け付けにより、プレス加工機9の運転状態は、稼動状態であると検知する(S12)。稼動状態とは、押圧部21を動かして、板材20の加工を行っている状態である。ここで、検知部17は、第一の検知手段として作動する。このとき、図5中のPの時点となる。
【0044】
そして、押圧部21を上方向に動かして、板材20の加工が終了すると、プレス加工機9は、待機信号を出力する。ここで、入力受付部12は、待機信号の入力を受け付ける(S11において、NO、S13において、YES)。ここで、入力受付部12は、終了信号受付手段のうち、待機信号受付手段として作動する。そうすると、検知部17は、プレス加工機9の運転状態は、待機状態であると検知する(S14)。待機状態とは、例えば、支持部23に板材20は載置されているものの、押圧部21の動作は終了している状態であって、板材20の加工を行っていない状態である。ここで、検知部17は、第二の検知手段として作動する。このとき、図5中のPの時点となる。
【0045】
そして、板材20が、支持部23から再度ローラコンベア26上へ運搬されると、プレス加工機9は、停止信号を出力する。ここで、入力受付部12は、停止信号の入力を受け付ける(S11において、NO、S13において、NO)。ここで、入力受付部12は、終了信号受付手段のうち、停止信号受付手段として作動する。そうすると、検知部17は、プレス加工機9の運転状態は、停止状態であると検知する(S15)。停止状態とは、例えば、支持部23に板材20が載置されていない状態であって、板材20の加工を行っていない状態である。ここで、検知部17は、第二の検知手段として作動する。このとき、図5中のPの時点となる。
【0046】
プレス加工機9には、所定の間隔を空けて、順次、複数の板材20が運搬される。そうすると、開始信号、待機信号および停止信号は、図5に示すように、板材20の加工毎に出力され、稼動状態、待機状態および停止状態が周期的に推移することとなる。
【0047】
このように、設備状態検知装置10は、設備の運転状態に関するリアルタイムの状態データを取得して、取得した状態データにより、設備の運転状態を検知する。したがって、設備の運転状態の検知をリアルタイムの状態データに基づいたものとすることができる。この場合、状態データの差分を演算等する必要はない。その結果、簡易な方法で、設備の運転状態を正確に検知することができる。
【0048】
すなわち、この実施形態において、設備状態検知装置10は、一旦設備から状態信号が出力されると、次の状態信号が出力されるまでは、同じ運転状態を維持することとなる。したがって、設備の運転状態の検知は、信号の変化のみに応じたものであり、リアルタイムの状態データとは、信号の変化のみのデータである。すなわち、この実施形態において、リアルタイムとは、設備から出力される信号の変化のみに基づく時間であって、設備から出力される信号のみで、稼動状態、待機状態、および停止状態を区別可能な時間である。そして、リアルタイムの状態データとは、現在の設備の状態データとなる。
【0049】
また、このような設備状態検知方法は、設備の運転状態に関するリアルタイムの状態データを取得して、取得した状態データにより、設備の運転状態を検知する。したがって、設備の運転状態の検知をリアルタイムの状態データに基づいたものとすることができる。この場合、状態データの差分を演算等する必要はない。その結果、簡易な方法で、設備の運転状態を正確に検知することができる。
【0050】
また、この実施形態では、プレス加工機9が作業の際に出力する信号を判断するのみで、正確に運転状態を検知することができる。また、この場合、後述する実施形態である計測部51にて計測した消費電力の変化が小さい場合等に、特に有効に利用することができる。
【0051】
また、この実施形態では、非稼動状態としての待機状態および停止状態を検知でき、設備の運転状態を詳細に分類して検知することができる。
【0052】
なお、上記の実施の形態においては、開始信号、待機信号および停止信号の入力を受け付ける例について説明したが、これに限ることなく、プレス加工機9の出力する信号に応じて、入力を受け付けてよい。例えば、ローラコンベア26が信号を出力する構成とし、ローラコンベア26が稼動する際に稼動信号を出力することにより、その入力を受け付けてもよいし、ローラコンベア26が停止する際に停止信号を出力することにより、その入力を受け付けてもよい。また、プレス加工機9において、支持部23に板材20が載置されたことを検知するセンサを設け、センサが検知結果をコントロール部25に通知することにより、その入力を受け付けてもよい。
【0053】
次に、この発明の他の実施形態について説明する。図6は、この発明の他の実施形態に係る設備状態検知装置50の構成を示すブロック図である。図6を参照して、設備状態検知装置50は、上記した実施形態と異なる点として、取得部55において、計測部51を備える構成である。計測部51は、設備状態検知装置50の取り付けられた設備の消費電力を計測する。具体的には、所定の間隔として、例えば1秒間隔で、設備の消費電力を計測する。こうすることにより、詳細に設備の消費電力を計測することができる。ここで、計測部51は、計測手段として作動する。また、入力受付部52は、計測部51により計測した消費電力のデータの入力を受け付ける。また、設定部54は、ユーザから第一の閾値および第二の閾値の設定を受け付ける。ここで、設定部54は、設定手段として作動する。記憶部53は、計測部51により計測した消費電力のデータを記憶する。また、記憶部53は、所定の閾値として、設定部54を介して設定された第一の閾値および第二の閾値を記憶する。第一の閾値および第二の閾値は、所定の電力値を示しており、設備の運転状態を検知するための基準となる値である。また、表示部58は、制御部56を介して、消費電力のデータを表示したり、閾値を表示する。
【0054】
なお、他の構成については、上記した実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
また、図6中の実線の矢印は、消費電力のデータの流れを示しており、一点鎖線の矢印は、ユーザから受け付けた操作における信号の流れを示している。
【0056】
ここで、設備状態検知装置50を電力計に取り付けた場合について説明する。図7は、設備状態検知装置50を電力計37に取り付けた場合を示す図である。図7を参照して、まず、電力計37について説明する。
【0057】
電力計37は、例えば、上記したプレス加工機9のコントロール部25に取り付けられており、プレス加工機9の消費電力を計測する。具体的には、電力計37は、外部とのインターフェースとなる端子等を有し、プレス加工機9の消費電力を計測する。電力計37は、例えばRS−485等の通信回線経由でハブ35と複数接続されている。なお、設備状態検知装置50は、電力計37毎に取り付けられており、複数のプレス加工機9の運転状態をそれぞれ検知する。ハブ35は、例えばイーサネット(登録商標)等の通信回線経由でサーバ36と接続されている。サーバ36は、例えば、設備状態検知装置50を利用するユーザによって管理される。
【0058】
なお、計測部51は、消費電力を計測し、電力計37の一部を構成する。
【0059】
ここで、設備状態検知装置50を利用して、プレス加工機9の運転状態を検知する場合について説明する。図8は、設備状態検知装置50を利用して、プレス加工機9の運転状態を検知する場合について示すフローチャートである。図9は、プレス加工機9の消費電力を示すグラフである。なお、グラフ中で、第一の閾値wを一点鎖線で示し、第二の閾値wを二点鎖線で示している。この実施形態においては、第一の閾値wは0.4kwであって、第二の閾値wは、0.7kwである。図6〜図9を参照して、説明する。
【0060】
まず、プレス加工機9の電源が投入される。そうすると、計測部51は、所定の間隔として、例えば1秒間隔で消費電力の計測を開始し(S21)、入力受付部52は、計測した消費電力のデータの入力を受け付ける。これにより、設備状態検知装置50は、プレス加工機9の運転状態に関するリアルタイムの状態データを取得する。すなわち、プレス加工機9の消費電力のデータが、プレス加工機9の運転状態に関する状態データである。ここで、計測部51は、取得手段として作動する。計測した消費電力のデータの一つは、図9のtで示され、0.3kwである。
【0061】
そうすると、検知部57は、消費電力のデータと第一の閾値wとを比較する。そして、消費電力のデータが第一の閾値wより小さいと判断すると(S22において、YES)、プレス加工機9の運転状態は、停止状態であると検知する(S23)。ここで、停止状態とは、例えばプレス加工機9の電源を投入した直後の状態であって、ローラコンベア26によって、板材20が運搬されていない状態である。
【0062】
次に、プレス加工機9には、ローラコンベア26によって板材20が運搬される。このとき、計測部51が計測した消費電力のデータの一つは、図9のtで示され、0.6kwである。
【0063】
そうすると、検知部57は、消費電力のデータと第一の閾値wとを比較する。そして、消費電力のデータが第一の閾値wより大きいと判断すると(S22において、NO)、検知部57は、消費電力のデータと第二の閾値wとを比較する。そして、消費電力のデータが第二の閾値wより小さいと判断すると(S24において、YES)、プレス加工機9の運転状態は、待機状態であると検知する(S25)。ここで、待機状態とは、例えばローラコンベア26によって板材20が運搬されているものの、支持部23まで到達しておらず、板材20の加工は行っていない状態である。ここで、検知部57は、第二の検知手段として作動する。
【0064】
そして、板材20が支持部23に到達すると、プレス加工機9は、押圧部21を下方向に動かす。このとき、計測部51が計測した消費電力のデータの一つは、図9のtで示され、0.8kwである。
【0065】
そうすると、検知部57は、消費電力のデータと第一の閾値wとを比較する。そして、消費電力のデータが第一の閾値wより大きいと判断すると(S22において、NO)、検知部57は、消費電力のデータと第二の閾値wとを比較する。そして、消費電力のデータが第二の閾値wより大きいと判断すると(S24において、NO)、プレス加工機9の運転状態は、稼動状態であると検知する(S26)。ここで、稼動状態とは、押圧部21を動かして、板材20の加工を行っている状態である。ここで、検知部57は、第一の検知手段として作動する。
【0066】
そして、プレス加工機9は、押圧部21を上方向に動かして、板材20の加工を終了する。このとき、計測部51が計測した消費電力のデータの一つは、図9のtで示され、0.6kwである。
【0067】
そうすると、検知部57は、消費電力のデータと第一の閾値wとを比較する。そして、消費電力のデータが第一の閾値wより大きいと判断すると(S22において、NO)、検知部57は、消費電力のデータと第二の閾値wとを比較する。そして、消費電力のデータが第二の閾値wより小さいと判断すると(S24において、YES)、プレス加工機9は、待機状態であると検知する(S25)。
【0068】
このように、設備状態検知装置50は、設備の運転状態に関するリアルタイムの状態データを取得して、取得した状態データにより、設備の運転状態を検知する。すなわち、この実施形態においては、計測部51により計測した消費電力のデータにより、設備の運転状態を検知する。したがって、所定の閾値と比較するのみでよいため、容易に設備の運転状態を検知することができる。
【0069】
すなわち、この実施形態において、設備状態検知装置50は、1秒間隔で計測した消費電力のデータと閾値とをその都度比較して、設備の運転状態を検知する。したがって、設備の運転状態の検知は、運転状態の変化の有無にかかわらず行うこととなり、リアルタイムの状態データとは、運転状態の変化の有無にかかわらず各運転状態の継続時間より短い一定の時間で通知されるデータである。すなわち、この実施形態において、リアルタイムとは、設備の各運転状態の継続時間よりも短い間隔で、稼動状態、待機状態、および停止状態を区別可能な時間である。
【0070】
また、複数の電力計37に取り付けた場合であっても、設備毎の運転状態の検知をリアルタイムの状態データに基づいたものとすることができる。
【0071】
なお、プレス加工機9には、所定の間隔を空けて、順次、複数の板材20が運搬される。そうすると、消費電力のデータは、図9に示すように、複数の板材20の加工毎に、待機状態および稼動状態が周期的に推移することとなる。
【0072】
このような場合に、消費電力の変化を比較して、プレス加工機9の運転状態を検知してもよい。具体的には、第一の板材の加工時における消費電力の変化、すなわち、図9中の待機aおよび稼動aにおける第一の周期の波形と、第二の板材の加工時における消費電力の変化、すなわち、図9中の待機bおよび稼動bにおける第二の周期の波形とを比較する。そして、波形が同じであるか否かを判断する。そして、波形が同じであれば、例えば、プレス加工機9により加工された加工品の質が安定していると判断することができ、波形が異なるのであれば、品質にバラつきがあると判断することができる。その結果、プレス加工機9の疲労状態、負荷状態等の異常を検知することができる。
【0073】
また、この場合、第一の周期における波形と第二の周期における波形について、波形の差を求めることにより、波形の差が所定の範囲内であるか否かを判断してもよい。図10は、図6の実施形態に示す設備状態検知装置50において、波形判断部59を制御部56に追加した場合を示すブロック図である。なお、波形判断部59以外の構成については、図6と同様であるため、同じ符号を付し説明は省略する。波形判断部59は、波形の差が所定の範囲内であるか否かを判断する。ここで、波形判断部59は、判断手段として作動する。例えば、波形判断部59は、1つの周期につき、消費電力の最大値および最小値を算出することにより、消費電力の最大値および最小値のうちの少なくともいずれか一つの値が、所定の電力量を超えたか否かを判断してもよい。また、1つの周期につき、消費電力の平均値を算出することにより、第一の周期の平均値と、第二の周期の平均値とを比較して、同じ値となるか否かを判断してもよい。また、1つの周期につき、稼動状態と待機状態の比率を算出して、比率が一定の値となるか否かを判断してもよい。例えば、図9中の待機aと稼動aの経過時間を算出し、待機aの時間と稼動aの時間の比率Aを算出する。また、図9中の待機bと稼動bの経過時間を算出し、待機bの時間と稼動bの時間の比率Bを算出する。そして、比率Aと比率Bが一定の値となるか否かを判断してもよい。
【0074】
また、波形のうち、稼動状態のみを判断してもよい。すなわち、図9中の第一の周期の稼動aにおける波形と、図9中の第二の周期の稼動bにおける波形とを比較して、波形が同じであるか否かを判断してもよい。こうすることにより、プレス加工機9が稼動状態であるときのプレス加工機9の損耗や、プレス加工機9を使用するユーザの意図しないプレス加工機9に対する状況変化等を容易に検知することができる。
【0075】
また、周期は、第一の閾値および第二の閾値を基準として、待機状態および稼動状態が周期的に推移する例について説明したが、例えば消費電力の最大値を基準として推移してもよい。
【0076】
なお、上記の実施の形態においては、第一の閾値wは0.4kwであって、第二の閾値wは、0.7kwである例について説明したが、これに限ることなく、例えば、設備状態検知装置50をプレス加工機9に適用する際に、予めテスト等を行うことによって、プレス加工機9に応じた値であってよい。
【0077】
また、上記の実施の形態においては、閾値は、第一の閾値および第二の閾値の2種類設ける例について説明したが、これに限ることなく、例えば、プレス加工機9の運転状態に合わせて、3種類や4種類等の複数の閾値を設けてもよい。
【0078】
また、閾値に限ることなく、RMS(Root Mean Square)値、Skewness、Flatness等の波形パターンの統計量を活用してよいし、特定のパワースペクトルを活用して検知してもよい。
【0079】
また、押圧部21により板材20の加工を開始する際には、突入電力が発生する場合がある。このようなノイズを除去して、運転状態の検知を行ってもよい。例えば、計測した消費電力が突入電力であれば、突入電力が発生している間の消費電力のデータは用いることなく、経過後の消費電力のデータを用いることとする。
【0080】
また、上記の実施の形態においては、消費電力の計測を開始するタイミングを、プレス加工機9の電源が投入されたタイミングとする例について説明したが、これに限ることなく、例えば、プレス加工機9の電源が投入される前から、計測を開始してもよい。
【0081】
また、上記の実施の形態においては、消費電力の計測を1秒間隔で行う例について説明したが、これに限ることなく、1秒より小さい間隔で行ってもよいし、任意に設定可能であってよい。そして、運転状態に応じて、間隔を変化させてもよい。
【0082】
また、上記の実施の形態においては、プレス加工機9の消費電力を計測する例について説明したが、これに限ることなく、プレス加工機9の運転状態に応じて変化する物理量を計測してもよい。例えば、電流値であってもよい。
【0083】
また、物理量に基づいて変換された統計量を用いて、プレス加工機9の運転状態を検知してもよい。こうすることにより、様々なデータに基づいて、設備の運転状態を検知することができる。なお、統計量としては、例えば、時間平均値、RMS値、短時間パワースペクトル値等を採用することができる。
【0084】
また、上記の実施の形態においては、プレス加工機9のリアルタイムの消費電力を計測する例について説明したが、これに限ることなく、計測した消費電力を用いて、例えば5分間等の所定の時間内に消費した積算電力値を求めることにより、積算電力値を所定の閾値と比較して、プレス加工機9の運転状態を検知してもよい。
【0085】
また、上記の実施の形態においては、表示部58は、制御部56を介して、消費電力のデータを表示する例について説明したが、これに限ることなく、計測部51から表示部58に対して直接計測したデータを通知することにより、表示してもよい。また、ユーザにとって必要でない場合には、表示部58に表示しなくてもよい。
【0086】
また、上記の実施の形態においては、第一の閾値および第二の閾値を設定する際に、設定部54から記憶部53にデータが直接通知される例について説明したが、これに限ることなく、例えば、制御部56を介して通知されてもよい。
【0087】
また、設備状態検知装置50は、設備の運転状態を集約し、集約した運転状態を所定のタイミングで、ハブ35を介してサーバ36へ通知してもよい。所定のタイミングとは、例えば、所定の時間間隔や、設備の運転サイクル等であって、設備管理者等のユーザの都合に応じた任意のタイミングである。これにより、ユーザの都合に応じて、設備の運転状態を通知することができる。図11は、図6の実施形態に示す設備状態検知装置50において、通知部49および集約部48を制御部56に追加した場合を示すブロック図である。なお、通知部49および集約部48以外の構成については、図6と同様であるため、同じ符号を付し説明は省略する。通知部49は、ネットワーク等に接続されており、外部へ設備状態検知装置50が検知した設備の運転状態を通知する。集約部48は、設備の運転状態のデータを集約する。
【0088】
具体的には、稼動状態が10分間連続したのちに非稼動状態になった場合には、稼動状態であることを1分毎に通知するのではなく、稼動状態が終了したタイミングで、10分間の稼動状態が終了した旨を通知する。すなわち、設備の運転状態の集約とは、稼動状態が10分間連続した場合には、稼動状態であることを1分毎に通知するのではなく、10分間をまとめて一回で通知するものである。したがって、集約部48は、複数回の通知を一回に集約する。これにより、サーバ36へ通信するデータの量を抑えることができる。ここで、集約部48は、集約手段として作動し、通知部49は、通知手段として作動する。
【0089】
なお、設備の運転状態のサーバ36への通知は、消費電力に基づくデータに限ることなく、開始信号や終了信号等の信号に基づくデータを含むものであってもよい。
【0090】
また、上記の実施の形態においては、設備状態検知装置50は、ハブ35を介して、サーバ36と接続されている例について説明したが、このように、設備状態検知装置とサーバとを備える構成の設備状態検知システムとしてもよい。この場合、例えば、サーバに通知するデータとして、運転状態を通知してもよいし、通信状態等に応じて、上記した積算電力値を通知してもよい。
【0091】
なお、上記の2つの実施形態、すなわち、図2〜図5に示すように信号を用いる実施形態と、図6〜図9に示すように電力量を計測する実施形態とは、それぞれを個々に実施してもよいし、2つを組合わせて実施してもよい。すなわち、設備から出力される状態信号の変化のみに応じたものでなくてよいし、消費電力のデータのみに基づくものでなくてよい。図12は、信号を用いると共に、電力量を計測する設備状態検知装置60の構成を示すブロック図である。すなわち、図2に示す設備状態検知装置10の構成と、図6に示す設備状態検知装置50の構成とを組合わせたものである。なお、図12中の点線の矢印は、状態信号の流れを示しており、実線の矢印は、消費電力のデータの流れを示しており、一点鎖線の矢印は、ユーザから受け付けた操作における信号の流れを示している。
【0092】
組合わせて実施する場合において、運転状態の検知結果が異なる場合には、優先度を予め付与しておくことにより、優先度の高い結果を採用することとしてもよいし、それぞれの結果に対して、現場等に応じた重み付けを行うことによって、採用する結果を選択可能にしてもよい。また、図2〜図5に示すように信号を用いる実施形態において、設備からの信号の取得の失敗等、設備からの信号の取得ができなければ、図6〜図9に示すように電力量を計測して、設備の運転状態を検知してもよい。
【0093】
図13は、設備からの信号の取得ができない場合に、電力量を計測して、設備の運転状態を検知する場合について示すフローチャートである。S31〜S34までは、図4のS11〜S14と同様であるため、説明は省略する。入力受付部62は、例えば、設備の電源投入後、設備から開始信号および待機信号の入力を受け付けることがなければ(S31において、NO、S33において、NO)、消費電力を計測する(S35)。
【0094】
そうすると、入力受付部62は、計測した消費電力のデータの入力を受け付ける。検知部67は、消費電力のデータと第一の閾値とを比較して、消費電力のデータが第一の閾値より小さいと判断すると(S36において、YES)、設備の運転状態は、停止状態であると検知する(S37)。
【0095】
検知部67は、S36において、消費電力のデータが第一の閾値より大きいと判断すれば(S36において、NO)、消費電力のデータと第二の閾値とを比較する。そして、消費電力のデータが第二の閾値より小さいと判断すると(S38において、YES)、設備の運転状態は、待機状態であると検知する(S39)。
【0096】
検知部67は、S38において、消費電力のデータが第二の閾値より大きいと判断すると(S38において、NO)、設備の運転状態は、稼動状態であると検知する(S40)。
【0097】
こうすることにより、信号の取得ができなくとも、計測した物理量を用いて、容易に設備の運転状態を検知することができる。また、運転状態の検知結果が異なる場合には、閾値の調整等を行ってもよい。
【0098】
なお、設備からの信号が取得できない場合のみに限ることなく、例えば、1秒間隔等の所定の間隔で、設備からの信号を取得すると共に、消費電力の計測を行ってもよい。
【0099】
また、このような設備状態検知装置10,50,60は、設備の運転状態を正確に検知できるため、例えば非稼動状態にて消費する電力の削減等を行い、設備の稼働率を改善させることができる。例えば、待機状態の消費電力が大きい場合には、プレス加工機9の手前のローラコンベア26上で、加工待ちの板材20が多いと把握できる。このような場合に、所定の対策を施すことができ、無駄な消費電力を削減することができる。その結果、設備の省電力化を図ることができる。
【0100】
また、このような設備状態検知装置10,50,60を、既存の設備に取り付けた場合であっても、設備の運転状態を正確に検知でき、設備の省電力化を図ることができる。
【0101】
なお、上記の実施の形態においては、設備状態検知装置10,50,60をプレス加工機9に適用する例について説明したが、これに限ることなく、例えば心電図、エア流量、温度や湿度等の波形を有するあらゆるものに適用することができる。
【0102】
また、上記の実施の形態においては、設備状態検知装置10,50,60は、記憶部13,53,63を備える構成である例について説明したが、これに限ることなく、取得した状態データを記憶する必要がない場合等には、特になくてもよい。
【0103】
また、上記の実施の形態においては、設備状態検知装置10,50,60は、入力受付部12,52,62を備える構成である例について説明したが、これに限ることなく、図6〜図12に示す実施形態のように、設備の消費電力で検知する等の計測部51,61から直接データを取得することができる場合等には、特になくてもよい。
【0104】
また、上記の実施の形態においては、非稼動状態として、停止状態と待機状態とを含む例について説明したが、これに限ることなく、停止状態のみであってもよいし、待機状態のみであってもよい。
【0105】
また、設備状態検知装置10,50,60は、ブザー等を備える構成としてもよい。これにより、例えば待機状態が継続する場合等において、容易に警告することができる。
【0106】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0107】
この発明は、設備の運転状態を検知する際に有効に利用される。
【符号の説明】
【0108】
9 プレス加工機、10,50,60 設備状態検知装置、11,56,66 制御部、12,52,62 入力受付部、13,53,63 記憶部、15,54,64 設定部、16,55,65 取得部、17,57,67 検知部、18,58,68 表示部、51,61 計測部、20 板材、21 押圧部、23 支持部、23a 凹部、24 センサ、25 コントロール部、26 ローラコンベア、35 ハブ、36 サーバ、37 電力計、48 集約部、49 通知部、59 波形判断部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備の運転状態を検知可能な設備状態検知装置であって、
前記設備の運転状態は、作業を行っている稼動状態と、作業を行っていない非稼動状態とを有し、
前記設備の運転状態に関するリアルタイムの状態データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記状態データにより、前記設備が前記稼動状態であることを検知する第一の検知手段と、
前記取得手段により取得した前記状態データにより、前記設備が前記非稼動状態であることを検知する第二の検知手段とを備える、設備状態検知装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記設備により、前記作業を開始する際に出力される開始信号の入力を受け付ける開始信号受付手段と、前記設備により、前記作業を終了する際に出力される終了信号の入力を受け付ける終了信号受付手段とを含み、
前記第一の検知手段は、前記開始信号受付手段により受け付けた前記開始信号により、前記設備が前記稼動状態であることを検知し、
前記第二の検知手段は、前記終了信号受付手段により受け付けた前記終了信号により、前記設備が前記非稼動状態であることを検知する、請求項1に記載の設備状態検知装置。
【請求項3】
前記非稼動状態は、前記作業を待機する待機状態と、前記作業を停止する停止状態とを含み、
前記終了信号受付手段は、前記設備により、前記作業を待機する際に出力される待機信号の入力を受け付ける待機信号受付手段と、前記設備により、前記作業を停止する際に出力される停止信号の入力を受け付ける停止信号受付手段とを含み、
前記第二の検知手段は、前記待機信号受付手段により受け付けた前記待機信号により、前記設備が前記待機状態であることを検知し、前記停止信号受付手段により受け付けた前記停止信号により、前記設備が前記停止状態であることを検知する、請求項2に記載の設備状態検知装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記設備の運転状態に応じて変化する物理量を計測する計測手段と、所定の閾値を設定する設定手段とを含み、
前記検知手段は、前記開始信号および前記終了信号のうちの少なくともいずれか一方を取得できなければ、前記計測手段により計測した前記物理量を、前記設定手段により設定した前記所定の閾値と比較することにより、前記設備の運転状態を検知する、請求項2または3に記載の設備状態検知装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記設備の運転状態に応じて変化する物理量を計測する計測手段と、所定の閾値を設定する設定手段とを含み、
前記検知手段は、前記計測手段により計測した前記物理量を、前記設定手段により設定した前記所定の閾値と比較することにより、前記設備の運転状態を検知する、請求項1に記載の設備状態検知装置。
【請求項6】
前記物理量は、前記物理量に基づいて変換された統計量を含む、請求項5に記載の設備状態検知装置。
【請求項7】
前記物理量は、周期的に変化し、
前記検知手段は、第一の周期の波形と、前記第一の周期とは異なる第二の周期の波形とを比較して、波形の差が所定の範囲内であるか否かを判断する判断手段を含む、請求項5または6に記載の設備状態検知装置。
【請求項8】
前記検知手段は、前記第一の周期の波形のうちの前記稼動状態における波形と、前記第二の周期の波形のうちの前記稼動状態における波形とを比較する、請求項7に記載の設備状態検知装置。
【請求項9】
前記設備状態検知装置は、ネットワークを介してサーバに接続可能であって、
前記検知手段により検知した前記設備の運転状態を集約する集約手段と、
前記集約手段により集約した前記設備の運転状態を、所定のタイミングで前記サーバへ通知する通知手段とを備える、請求項1に記載の設備状態検知装置。
【請求項10】
設備の運転状態を検知可能な設備状態検知方法であって、
前記設備の運転状態は、作業を行っている稼動状態と、作業を行っていない非稼動状態とを有し、
前記設備の運転状態に関するリアルタイムの状態データを取得する過程と、
取得した前記状態データにより、前記設備が前記稼動状態であることを検知する過程と、
取得した前記状態データにより、前記設備が前記非稼動状態であることを検知する過程とを備える、設備状態検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−118874(P2011−118874A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215109(P2010−215109)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】