説明

診療情報表示制御方法、診療情報表示制御装置、及びプログラム

【課題】同時に表示されていた複数の診療情報の表示状態を簡単な操作によって再現させることを目的とする。
【解決手段】表示画面を複数の子画面に分割し、子画面ごとに診療情報を表示させる診療情報表示制御装置が実行する診療情報表示制御方法であって、診療情報に係る患者の識別情報と、各子画面に表示されている診療情報の種別及び該診療情報の日付情報と、各子画面の配置情報とを含む状態保存データを識別名を付与して状態保存データ記憶部に記録する記録手順と、識別名の指定に応じ、該識別名が付与されている状態保存データに含まれている識別情報、種別、及び日付情報に基づいて、診療情報記憶手段より診療情報を検索する検索手順と、指定された識別名に係る状態保存データに含まれている配置情報に従って子画面を生成し、検索された診療情報を対応する該子画面の表示対象とする表示制御手順とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診療情報表示制御方法、診療情報表示制御装置、及びプログラムに関し、特に複数の診療情報を同時に表示させる診療情報表示制御方法、診療情報表示制御装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カルテを電子的に扱う電子カルテシステムが利用されている。電子カルテシステムの中には、いわゆる診療記録に関する書類(狭義の診療情報(電子カルテ))のみならず、処方箋、検査結果、看護師や理学療法士等による観察記録、治療計画、実施記録等に関する書類(広義の診療情報(電子カルテ))をも電子的に管理可能なものもある。以下において「診療情報」というとき、広義の診療情報を意味する。
【0003】
電子カルテシステムにおいて管理されている診療情報は、通常、医師等が利用する端末に表示されて利用される。この際、診療情報の種別(診察記録、検処方箋、検査結果、看護師や理学療法士等による観察記録等の別)ごとに異なるツールが起動されていては、操作性が損なわれ、多忙な医師にとって無視できない程の操作負担が課せられてしまう。例えば、各ツールの表示画面が相互に重なりあってしまうため、参照対象が変化するたびに、表示画面の重畳関係を変えなければならない。
【0004】
そこで、従来、複数の種別の診療情報を一つの画面内にレイアウトさせて表示させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−328678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、各種の診療情報を表示画面上に任意のレイアウトで表示させ後、表示画面を閉じてしまった場合、同じレイアウトで同じ診療情報を表示させるのが(以前の表示状態を再現させるのが)困難であったという問題がある。具体的には、利用者は、以前の表示状態において表示されていた診療情報を一つずつ検索等して表示させる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで上記課題を解決するため、表示画面を複数の子画面に分割し、前記子画面ごとに診療情報を表示させる診療情報表示制御装置が実行する診療情報表示制御方法であって、前記診療情報に係る患者の識別情報と、前記各子画面に表示されている診療情報の種別及び該診療情報の日付情報と、前記各子画面の配置情報とを含む状態保存データを識別名を付与して状態保存データ記憶部に記録する記録手順と、前記識別名の指定に応じ、該識別名が付与されている前記状態保存データに含まれている前記識別情報、前記種別、及び前記日付情報に基づいて、診療情報記憶手段より診療情報を検索する検索手順と、指定された前記識別名に係る前記状態保存データに含まれている前記配置情報に従って前記子画面を生成し、検索された診療情報を対応する該子画面の表示対象とする表示制御手順とを有する。
【発明の効果】
【0008】
同時に表示されていた複数の診療情報の表示状態を簡単な操作によって再現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に実施の形態における電子カルテシステムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における電子カルテシステムの機能構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における利用者端末のハードウェア構成例を示す図である。
【図4】本実施の形態における診療情報表示画面の表示例を示す図である。
【図5】診療情報の初期表示時の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図6】状態保存データ生成時の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図7】名称入力画面の表示例を示す図である。
【図8】状態保存データの管理形態の例を示す図である。
【図9】ナビゲート領域の更新例を示す図である。
【図10】状態保存データの展開時の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】状態保存データの展開前の診療情報表示画面の表示例を示す図である。
【図12】状態保存データの展開前の表示領域の一例を示す図である。
【図13】現在の表示状態に対応する分割線情報及び子画面情報の例を示す図である。
【図14】検索された診療情報による子画面の上書き表示によって更新された子画面現状情報の例を示す図である。
【図15】不一致一覧情報の例を示す図である。
【図16】不一致一覧画面の表示例を示す図である。
【図17】子画面が表示されている場合に状態保存データの展開が可能な状態の例を示す図である。
【図18】版数の更新を通知するためのメッセージの表示例を示す図である。
【図19】不一致一覧画面に表示された子画面保存情報に基づいて診療情報を再現する際の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に実施の形態における電子カルテシステムの構成例を示す図である。同図において、電子カルテシステム1は、一台以上の利用者端末10と電子カルテサーバ20とを有する。各利用者端末10と電子カルテサーバ20とは、LAN(Local Area Network)又はインターネット等のネットワーク30(有線又は無線の別は問わない。)によって接続されている。
【0011】
利用者端末10は、診療情報の入力(作成)や閲覧に利用されるPC(Personal Computer)等のコンピュータである。例えば、利用者端末10は、医療行為が行われる場所(例えば、診療科ごとの診療室、検査室、処置室等)ごと又は利用者ごとに設置される。なお、利用者は、主として医師であるが、電子カルテシステム1の運用に応じて他の者によって利用されてもよい。電子カルテサーバ20は、患者に関する診療情報を一元管理するコンピュータである。なお、本実施の形態では、便宜上、患者という用語を使用するが、システムの運用上、患者という用語が適切で無い場合は、受診者等、他の用語によって患者を置き換えてもよい。
【0012】
図2は、本発明の実施の形態における電子カルテシステムの機能構成例を示す図である。同図において、電子カルテサーバ20は、状態保存データ記憶部21及び診療情報DB22等を有する。診療情報DB22は、電子カルテサーバ20の記憶装置を利用して診療情報(カルテ情報)を一元的に、かつ、体系的に管理するデータベースである。診療情報には、いわゆる診療記録に関する狭義のカルテのみならず、処方箋、検査オーダ、検査結果、看護師や理学療法士等による観察記録、治療計画、実施記録等に関する情報等、診療に関する多種多様な情報も含まれる。本実施の形態において、診療情報に含まれる各種の情報は、その用途及び目的等に応じて「種別」という概念によって分類される。例えば、狭義のカルテと処方箋とは、いずれも診療情報であるが種別は異なる。診療情報DB22において、診療情報は、種別毎に分類されて管理されている。例えば、種別ごとに異なるテーブルが定義されている。なお、本実施の形態において、狭義のカルテは、便宜上「文書」と呼ばれる。
【0013】
状態保存データ記憶部21は、電子カルテサーバ20の記憶装置において、状態保存データを記憶するための領域(部分)である。状態保存データとは、利用者端末10において表示される診療情報の表示画面の表示状態を示す情報が記録されたデータをいう。
【0014】
利用者端末10は、画面表示制御部11、状態保存データ生成部12、状態保存データ取得部13、及び診療情報検索部14等を有する。
【0015】
画面表示制御部11は、利用者端末の表示装置に診療情報の表示画面を表示させる。状態保存データ生成部12は、表示画面の表示状態に応じた状態保存データを生成し、生成された状態保存データを識別名を付与して状態保存データ記憶部21に記録(保存)する。状態保存データ取得部13は、表示対象とされた状態保存データを状態保存データ記憶部21より取得する。診療情報検索部14は、状態保存データに含まれている、診療情報を検索するための情報に基づいて表示対象とする診療情報を診療情報DB22より検索する。診療情報検索部14によって検索された診療情報は、画面表示制御部11によって表示画面上に表示される。
【0016】
図3は、本発明の実施の形態における利用者端末のハードウェア構成例を示す図である。図3の利用者端末10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100と、補助記憶装置102と、メモリ装置103と、CPU104と、インタフェース装置105と、表示装置106と、入力装置107とを有する。
【0017】
利用者端末10での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記録した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0018】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って利用者端末10に係る機能を実現する。例えば、画面表示制御部11、状態保存データ記憶部21、状態保存データ取得部13、及び診療情報検索部14等は、プログラムがCPU104に実行させる処理によって実現される。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置106はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置107はキーボード及びマウス等であり、様々な操作指示を入力させるために用いられる。
【0019】
続いて、本実施の形態において、利用者端末に表示される診療情報の表示画面(以下、「診療情報表示画面」という。)について説明する。図4は、本実施の形態における診療情報表示画面の表示例を示す図である。
【0020】
同図において、診療情報表示画面500は、ナビゲート領域510及び表示領域520等を含む。ナビゲート領域510は、表示領域520の表示対象を選択させるための領域である。具体的には、ナビゲート領域510には、既に生成されている状態保存データをノードとするツリー部品が表示される。ナビゲート領域510において選択された状態保存データに基づいて、表示領域520の表示が行われる。
【0021】
表示領域520は、一人の患者に関する診療情報を表示させる領域である。同図に示されるように、表示領域520は、それぞれが診療情報を表示させる複数の画面を含む。表示領域520に含まれる画面を「子画面」という。各子画面は、表示領域520が1本以上の分割線によって分割されることにより形成される。同図では、分割線L1〜L4の4本の分割画面により、子画面521a〜521eの5つの子画面が形成された例が示されている。水平な分割線(以下、「水平線」ともいう。)を上下方向(垂直方向)に、垂直な分割線(以下、「垂直線」ともいう。)を左右方向(水平方向)にスライドさせることにより、各子画面の形状を変化させることができる。
【0022】
同図では、便宜上、表示されている診療情報の種別、日付、及び版数等が記載された矩形が各子画面内に示されている。すなわち、当該矩形は、実際に表示されるものではなく、説明のための便宜的なものである。例えば、子画面521aには、日付が2008年11月13日であり、版数が1である文書が表示されている。子画面521bには、日付が2008年11月5日であり、版数が1である文書が表示されている。子画面521cには、日付が2008年12月10日である検体検査結果が表示されている。子画面521dには、患者プロファイル情報(患者の名前、性別、年齢等の属性情報)が表示されている。子画面521eには、日付が2004年4月6日の細菌検査結果が表示されている。なお、日付とは、診療情報が診療情報DB22に生成(登録)された日付(すなわち、作成日)をいう。また、版数は、診療情報が更新された場合に値が加算される情報である。すなわち、版数は、一般的に「版数」又は「バージョン」と称される更新情報(又は更新管理情報)である。本実施の形態にいて、版数は、文書に関してのみ有効である。但し、他の診療情報についても必要に応じて版数が管理されてもよい。なお、患者プロファイル情報には、日付は付与されていない。患者プロファイル情報は、時間の経過に応じて新たなレコードが作成されるものではないからである。すなわち、患者プロファイル情報は、患者と一対一に関連付く情報であり、日付によって限定される情報ではないからである。
【0023】
図4に示される表示状態を得るために実行される処理の一例について説明する。図5は、診療情報の初期表示時の処理手順を説明するためのフローチャートである。初期表示時とは、以前の表示状態の再現時ではない(すなわち、状態保存データを利用した表示ではない)ということを意味する。
【0024】
入力装置107等を介して診療情報の表示指示がユーザによって入力されると(S101)、画面表示制御部11は、患者番号入力画面を表示装置106に表示させる(S102)。患者番号入力画面は、診療情報の表示対象とする患者の患者番号を入力させるための画面である。患者番号とは、電子カルテシステム1において、患者ごとに一意に割り当てられた識別子である。
【0025】
患者番号入力画面を介して患者番号が入力されると、画面表示制御部11は、入力された患者番号を表示対象の患者の患者番号としてメモリ装置103に記録する(S103)。なお、表示対象とする患者(患者番号)の選択は、他の方法によって行われてもよい。例えば、診療情報DB22に登録されている患者の一覧より表示対象とする患者が選択されてもよい。
【0026】
続いて、画面表示制御部11は、空の診療情報表示画面500を表示装置106に表示させる(S104)。「空(から)」とは、子画面が一つも表示されていない状態をいう。なお、ステップS104において、状態保存データ取得部13は、状態保存データの一覧を状態保存データ記憶部21より取得する。状態保存データの一覧には、少なくとも各状態保存データの名称が含まれている。画面表示制御部11は、状態保存データごとのノードをナビゲート領域510に表示させ、各ノードに各状態保存データの名称を表示させる。なお、後述されるように、各状態保存データは、データ番号によっても識別される。したがって、名称と共にデータ番号も取得されてもよい。メモリ装置103内では、名称又はデータ番号と各ノードとの対応付けが管理されている。
【0027】
続いて、診療情報表示画面500に対する操作指示に応じ、画面表示制御部11は、子画面を生成及び表示させる(S105)。子画面を生成するための操作内容については、所定のものに限定されない。例えば、分割線を入力させることにより子画面が生成されてもよい。いかなる操作内容にせよ、子画面の生成に伴って分割線も生成される(又は、分割線の生成に伴って子画面が生成される。)。したがって、ステップS105において、画面表示制御部11は、生成された子画面の属性情報と、生成された分割線の属性情報とをメモリ装置103に記録する。各属性情報の詳細については後述する。
【0028】
続いて、ユーザによる、診察情報の検索条件の入力に応じ、診療情報検索部14は、検索条件に合致する診療情報を診療情報DB22より検索する(S106)。ここで検索される診療情報は、少なくとも表示対象とされている患者の診療情報である。続いて、画面表示制御部11は、操作対象とされている子画面に検索された診療情報を表示させる(S107)。
【0029】
ステップS105〜S107は、子画面の数に応じて繰り返し実行させる。図5の処理の実行の結果、図4に示される診療情報表示画面500の表示状態が得られる。なお、図5の処理手順は一例に過ぎない。任意に子画面を生成でき、各子画面に任意に診療情報を表示可能な処理手順であれば、どのような処理手順であっても構わない。
【0030】
ユーザの所望の表示状態である診療情報表示画面500において、状態保存ボタン530がクリックされると、図6に示される処理が実行される。
【0031】
図6は、状態保存データ生成時の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0032】
画面表示制御部11は、状態保存ボタン530のクリック(状態保存の指示の入力)を検知すると(S201)、名称入力画面を表示装置106に表示させる(S202)。
【0033】
図7は、名称入力画面の表示例を示す図である。同図に示されるように、名称入力画面610では、状態保存データの名称の入力が可能となっている。名称入力画面610において名称が入力され、確定ボタン611がクリックされると(S203)、状態保存データ生成部12は、診療情報表示画面500の現在の表示状態に対応する状態保存データを生成する(S204)。具体的には、状態保存データ生成部12は、メモリ装置103に記録されている各子画面の属性情報及び各分割線の属性情報を名称に関連付けて状態保存データ記憶部21に記録する(S204)。状態保存データ記憶部21では、例えば、次のような管理形態によって状態保存データが記録される。
【0034】
図8は、状態保存データの管理形態の例を示す図である。同図では、図4に示される表示状態に対応する一つの状態保存データが、ヘッダテーブル210、分割線テーブル220、及び子画面テーブル230によって管理される例が示されている。
【0035】
ヘッダテーブル210は、状態保存データごとにヘッダ情報を管理するテーブルであ。ヘッダ情報は、データ番号、名称、及び患者番号等を含む。データ番号は、状態保存データごとに一意な番号(識別情報)であり、例えば、状態保存データ生成部12によって生成される。名称は、状態保存データに対してユーザによって入力された名称である。患者番号は、状態保存データに関連付けられている診療情報に係る患者の患者番号である。すなわち、診療情報表示画面500の表示時に入力され、メモリ装置103に記録されている患者番号である。
【0036】
分割線テーブル220は、分割線の属性情報(以下、「分割線情報」という。)を管理するテーブルである。具体的には、分割線テーブル220は、データ番号、分割番号、向き、始点座標1、終点座標、及び始点座標2等を分割線ごとに管理する。データ番号は、状態保存データとの関連付け情報である。すなわち、データ番号は、分割線情報が属する状態保存データのデータ番号である。分割番号は、一つの状態保存データ内(すなわち、一つの診療情報表示画面500内)において、各分割線を識別するための番号である。例えば、分割線の位置関係において、左右方向においては左方が、上下方向においては上方が優先されて各分割線に順番に番号が付与される。向きは、分割線の向き(水平又は垂直の別)である。始点座標1は、水平線については始点のX座標値であり、垂直線については始点のY座標値である。終点座標は、水平線については終点のX座標値であり、垂直線については終点のY座標値である。始点座標2は、水平線については始点のY座標値であり、垂直線については始点のX座標値である。
【0037】
分割線テーブル220に登録される分割線の属性情報は、分割線の生成時においてメモリ装置103内に記録され、その後、分割線に対応付けられて保持されていた情報である。すなわち、同図の分割線テーブル220における各分割線情報は、上から順に、図4の分割線L1、L2、L3、L4に関してメモリ103内に記録されていた属性情報である。
【0038】
子画面テーブル230は、子画面の属性情報(以下、「子画面情報」という。)を管理するテーブルである。具体的には、子画面テーブル230は、データ番号、配備番号、画面種別、日付情報、検索条件、及び文書情報等を子画面ごとに管理する。データ番号は、状態保存データとの関連付け情報である。すなわち、データ番号は、子画面情報が属する状態保存データのデータ番号である。配備番号は、一つの状態保存データ内(すなわち、一つの診療情報表示画面500内)において、各子画面を識別するための番号である。例えば、分割線によって分割される領域の配置関係において、左右方向においては左方が、上下方向においては上方が優先されて各子画面に順番に番号が付与される。したがって、配備番号によって、子画面の位置も識別される。画面種別は、子画面の種別である。子画面の種別は、表示対象とする診療情報に依存(対応)する。診療情報の種別そのものが子画面の種別とされてもよい。日付情報は、子画面において表示対象とされていた診療情報の日付情報(作成日)である。検索条件は、表示対象とされていた診療情報に対する検索条件である。本実施の形態において、検索条件には、基本的に診療情報の種別が指定されている。但し、文書についてはユーザの診療科が含まれている。診療情報DB22において文書は診療科を跨って一元的に管理されているからである。また、患者プロファイル情報については、患者の属性情報の中で表示対象とする属性項目(伸張、連絡先名、体重、座高、胸囲、頭囲、及び血液型等)が検索条件として含まれている。患者プロファイル情報を表示させる子画面は、ユーザの操作によって表示対象とする属性項目を変更することができるためである。すなわち、検索条件として記録する情報は、診療情報DB22における診療情報の管理形態に応じて、各診療情報を特定可能な情報を適宜選択すればよい。文書情報は、文書番号と版数とを含む情報であり、種別が文書である診療情報に関して記録される。同図では、文書番号と版数とがコロン(:)で区切られて記録されている。文書番号とは、診療情報DB22において文書を一意に識別するための番号である。
【0039】
子画面テーブル220に登録される分割線の属性情報は、子画面の生成時、又は診療情報の検索時等においてメモリ装置103内に記録され、その後子画面に対応付けられて保持されていた情報である。すなわち、同図の子画面テーブル230における各子画面情報は、上から順に、図4の分子画面521a、521b、521c、521d、521eに関してメモリ103内に記録されていた属性情報である。
【0040】
なお、分割線情報と子画面情報に含まれている配備番号とが、本実施の形態において子画面の配置情報に相当する。
【0041】
図8に示されるように、各子画面に表示あれている診療情報の実体ではなく、当該診療情報への参照情報(リンク情報)が状態保存データとして記録される。同図の例において、当該参照情報は、ヘッダ情報における患者番号と、子画面情報における日付情報及び検索条件とに相当する。実体の代わりに参照情報が記録されることにより、状態保存データを保存するための記憶容量を低減させることができる。
【0042】
なお、図8では、便宜上、状態保存データをテーブルによって管理する例を説明したが、状態保存データの管理形態は特定のものに限定されない。例えば、状態保存データごとにファイルを生成し、当該ファイル内にヘッダ情報、分割線情報、及び子画面情報等を記録してもよい。
【0043】
図6に戻る。状態保存データが正常に生成されると、画面表示制御部11は、生成された状態保存データに対するノードをナビゲート領域510に表示させる(S205)。
【0044】
図9は、ナビゲート領域の更新例を示す図である。同図において、ナビゲート領域510には、新たに生成された状態保存データに対応するノード511が表示されている。ノード511には、当該状態保存データの名称が表示されている。なお、メモリ装置103内において、ノード511と当該状態保存データの名称又はデータ番号とは対応付けられて管理されている。
【0045】
続いて、状態保存データの展開時(利用時)の処理手順について説明する。状態保存データの展開とは、状態保存データに基づいて、診療情報表示画面500の表示状態を再現又は復元させることをいう。
【0046】
図10は、状態保存データの展開時の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0047】
ステップS301において、画面表示制御部11は、展開対象(表示対象)とする状態保存データの選択をユーザより受け付ける。状態保存データの選択は、例えば、ナビゲート領域510におけるノードの選択によって行われる。
【0048】
図11は、状態保存データの展開前の診療情報表示画面の表示例を示す図である。同図に示されるように、ナビゲート領域510には、状態保存データの一覧が表示されている。ノード511は、図6の説明において生成された状態保存データに対応するノードである。なお、表示領域520は、空白にされている。表示領域520の表示内容については問わないことを意味する。すなわち、子画面は一つも表示されていなくてもよいし、展開対象とされる状態保存データとは関係の無い他の診療情報を表示する子画面が表示されていてもよい。又は、診療情報を表示させる画面とは異なる画面が表示されていてもよい。図11のような状態は、少なくとも図5のステップS101〜S104までが実行された場合に得られる。
【0049】
ここでは、ノード511が選択されたこととする。但し、展開対象とする状態保存データの選択方法は、ナビゲート領域510におけるノードの選択に限られない。例えば、状態保存データの名称又はデータ番号がユーザによって手入力されてもよい。
【0050】
続いて、状態保存データ取得部13は、ノード511に対応付けられている名称又はデータ番号をメモリ装置103より取得し、当該名称又はデータ番号に対応する状態保存データを状態保存データ記憶部21より取得する(S302)。より詳しくは、状態保存データ取得部13は、当該名称又はデータ番号と一致する名称又はデータ番号を有するヘッダ情報をヘッダテーブル210より検索する。続いて、状態保存データ取得部13は、検索されたヘッダ情報に含まれているデータ番号と一致するデータ番号を含む分割線情報及び子画面情報を分割線テーブル220又は子画面テーブル230より検索する。
【0051】
ステップS302に続いて、診療情報検索部14は、表示領域510に子画面が少なくとも一つ表示されているか否かを判定する(S303)。当該判定は、例えば、現在の表示状態に対応する子画面情報がメモリ装置103に記録されているか否かに基づいて判定すればよい。続いて、診療情報検索部14は、取得された状態保存データに含まれている子画面情報の中で、表示中の子画面と画面種別が一致する子画面情報が有るか否かを判定する(S304)。
【0052】
ステップS304の詳細について説明する。例えば、図11では空白にされていた表示領域520の状態が、図12に示されるようなものであったとする。
【0053】
図12は、状態保存データの展開前の表示領域の一例を示す図である。同図の診療情報表示画面500において、表示領域520は、分割線L1、L2、及びL3によって分割されている。その結果、4つの子画面(子画面521f、521g、521h、及び521i)が形成されている。この場合、現在の表示状態としてメモリ装置103に記録されている分割線情報及び子画面情報は、例えば、図13に示される通りである。
【0054】
図13は、現在の表示状態に対応する分割線情報及び子画面情報の例を示す図である。
【0055】
同図における分割線テーブル120は、表示領域520が図12の状態において、メモリ装置103内に記録されている分割線情報の一覧を示す。すなわち、分割線テーブル120における分割線情報は、上から順に、分割線L11、L12、L13に対応する。
【0056】
また、子画面テーブル130は、表示領域130が図12の状態において、メモリ装置103内に記録されている子画面情報の一覧を示す。すなわち、子画面テーブル130における子画面情報は、上から順に、子画面521f、521g、521h、521iに対応する。なお、分割線情報又は子画面情報に含まれる各項目は、図8において説明した通りであるためここでの説明は省略する。但し、データ番号は、必ずしもメモリ装置103内において管理されていなくてもよいため(状態保存データの生成時に生成されればよいため)、同図には含まれていない。
【0057】
ステップS134の実行時において比較される情報は、図8の子画面テーブル230に含まれている子画面情報(ここでは、「子画面保存情報」という。)と、図13の子画面テーブル130に含まれている子画面情報(ここでは、「子画面現状情報」という。)とである。すなわち、各子画面保存情報の中で、画面種別の値がいずれかの子画面現状情報の画面種別と一致するものが有るか否かがステップS134において判定される。ここで、図8の4番目の子画面保存情報の画面種別は「患者プロファイル情報」であり、図13の1番目の子画面現状情報と一致する。なお、画面種別は、診療情報の種別に依存する。したがって、画面種別が一致するということは、表示対象とする診療情報の種別が一致するということを意味する。
【0058】
したがって、図8及び図13に基づく例では、ステップS304における判定結果は肯定的なもの(Yes)となり、ステップS305に進む。なお、図8のその他の子画面保存情報については、画面種別が一致する子画面現状情報は無い。
【0059】
ステップS305において、診療情報検索部14は、ステップS304における判定が肯定された子画面保存情報に基づく診療情報の検索を診療情報DB22に対して実行する(S305)。当該検索には、状態保存データのヘッダ情報に含まれている患者番号と子画面保存情報の日付情報及び検索条件とが診療情報を特定(検索)するための情報として利用される。すなわち、患者番号、日付情報、及び検索条件を含む情報は、広義の検索条件と考えることができる。日付情報が検索に利用されることにより、同一種別の診療情報に関して日付(作成日)を特定して検索することができる。したがって、検索対象の種別の診療情報に関して、日付情報が新しいものが既に作成されている場合であっても、指定された日付情報に係る診療情報が検索されうる。
【0060】
なお、文書に関しては、版数管理(バージョン管理)も行われているが、版数は日付情報が同一の診療情報に関する更新(修正)の回数を示すものである。一方、日付情報が異なるということは、同一の患者に対する同一の種別の診療情報だとしても、情報としては全く別のものであることを意味する。具体的には、診療情報は、基本的に患者が来院するたびに生成される。来院のたびに生成される診療情報は同一種別だとしても、情報としては別のものとして管理される。但し、文書に関しては、作成後に修正されることがある。この修正という作業によって版数がインクリメントされるのである。したがって、版数のインクリメントとは、新たな診療情報の生成を意味するのではなく、既存の診療情報の更新を意味する。
【0061】
続いて、画面表示制御部11は、現在表示中の子画面の中で、検索に利用された子画面保存情報と画面種別が一致する子画面に、検索された診療情報を上書き表示させる(S306)。このことは、現状のレイアウトが優先されることを意味する。既に子画面が表示されている場合、現在のレイアウトは、ユーザにとって今の時点で都合の良いレイアウトであると考えられるからである。なお、ここでいうレイアウトの優先とは、単なる分割線及び子画面の形状のみならず、各子画面の表示内容にも関する。すなわち、状態保存データに基づいて再現される診療情報は、現在表示中の子画面の中で同一種別の診療情報を表示させている子画面に表示される。これにより、現在のレイアウトに対する忠実性が更に向上される。その結果、ユーザに対して与える違和感を軽減させることができる。
【0062】
なお、診療情報検索部14は、検索された診療情報による子画面の上書き表示に伴って子画面現状情報を更新する。
【0063】
図14は、検索された診療情報による子画面の上書き表示によって更新された子画面現状情報の例を示す図である。
【0064】
同図に示される子画面テーブル130aは、図13の子画面テーブル130の更新結果である。すなわち、1行目(配備番号が1)の子画面現状情報が、図8の子画面テーブル230の4行目(版日番号が4)の子画面保存情報によって更新されている。具体的には、検索条件の内容が更新されている。なお、上書き表示された診療情報が日付情報や文書情報を含むものであれば、日付情報や文書情報も更新される。但し、配備番号については更新されていない。レイアウトは変更されていないからである。
【0065】
続いて、診療情報検索部14は、子画面保存情報の中で子画面現状情報との画面種別の不一致により展開できない子画面保存情報の一覧(以下、「不一致一覧情報」という。)を生成し、不一致一覧情報における子画面保存情報の有無を判定する(S307)。すなわち、展開できない診療情報の有無が判定される。
【0066】
図15は、不一致一覧情報の例を示す図である。同図では、図8の子画面テーブル230と図13の子画面テーブル130とに基づく不一致一覧情報が示されている。すなわち、子画面テーブル230の中で、画面種別が「文書」、「検体検査結果」、又は「細菌検査結果」である子画面保存情報については、画面種別が一致する子画面現状情報は無い。したがって、当該子画面保存情報が抽出され不一致一覧情報に含まれている。
【0067】
不一致一覧情報に子画面保存情報が含まれている場合(S307でYes)、画面表示制御部11は、不一致一覧画面を表示装置106に表示させる(S308)。
【0068】
図16は、不一致一覧画面の表示例を示す図である。同図において、不一致一覧画面620には、不一致一覧情報に含まれている各子画面保存情報の日付情報及び画面種別の一覧が表示されている。不一致一覧画面620の操作に基づく処理手順ついては後述する。
【0069】
図16の子画面521fには、また、ステップS306の処理によって再現された患者プロファイル情報が表示されている。他の子画面(子画面521g、521h、及び521i)については、状態保存データによる表示の更新は行われていない。これらの子画面につては、画面種別が一致する子画面保存情報は無いからである
画面種別が子画面現状情報と一致する子画面保存情報が一つも無い場合(S304でNo)、全ての子画面保存情報に関する日付情報及び画面種別が、不一致一覧画面620に表示され、全ての子画面の表示は現状のままとされる。
【0070】
また、画面種別が一致する子画面現状情報が、全ての子画面保存情報について存在する場合(S307でNo)、不一致一覧画面620は表示されることなく、各子画面保存情報に基づいて検索された診療情報が表示される。不一致一覧画面620が表示されないケースは、表示領域520の現在の状態が状態保存データによって保存された状態と完全に一致する場合だけに限られない。例えば、図17に示されるような場合もある。
【0071】
図17は、子画面が表示されている場合に状態保存データの展開が可能な状態の例を示す図である。同図の診療情報表示画面500では、6つの子画面(子画面521j、521k、521l、521m、521n、521o)が表示されていた。このうち、子画面521kを除く5つの子画面の画面種別は、いずれかの子画面保存情報の画面種別と一致していた。そのため、子画面521kを除く各子画面には、子画面保存情報に基づいて診療情報が再現されている。このように、表示領域520のレイアウトが異なる場合であっても、状態保存データは完全に展開されうる。
【0072】
一方、表示領域520に子画面が一つも表示されていない場合(S303でYes)、診療情報検索部14は、状態保存データに含まれているヘッダ情報の患者番号と各子画面保存情報の日付情報及び検索条件とに基づいて診療情報DB22に対する診療情報の検索を実行する(S309)。続いて、画面表示制御部11は、状態保存データに含まれている各分割線情報に基づいて表示領域520を分割し、子画面を形成(再現)する(S310)。続いて、画面表示制御部11は、検索された診療情報を対応する子画面に表示させる(S311)。これにより、図4の状態が再現される。なお、検索された診療情報と子画面との対応付けは、例えば、子画面の配備番号を利用すればよい。すなわち、検索された診療情報を当該検索に利用された子画面保存情報に含まれている配備番号に関連付けておき、診療情報の表示時には、関連付けられている配備番号に係る子画面に診療情報を表示させればよい。
【0073】
ステップS308又はS311に続いて、画面表示制御部11は、表示された文書の中で、状態の保存時に対して版数の値が更新されている文書の有無を判定する(S312)。具体的には、画面表示制御部11は、新たに検索された文書の書誌情報に含まれている版数の値と、当該文書に対応する子画面保存情報の文書情報に含まれている版数の値とを比較する。比較した二つの値が異なる場合、画面表示制御部11は、当該文書の版数は、状態の保存時に対して更新されていると判定する。上記したように、版数の更新とは文書の修正を意味し、新たな文書の作成を意味するものではない。したがって、同じ日付情報及び同じ検索条件によって検索が実行されたとしても、版数が更新されていれば新たな版数の文書が検索されるのである。なお、文書に関してのみ版数に関するチェックが行われるのは、本実施の形態において版数管理が行われている診療情報は文書のみだからである。したがって、技術的な制限を意味するものではない。
【0074】
版数が更新されている文書が存在する場合(S312でYes)、画面表示制御部11は、当該文書が表示されている子画面に重畳させて、版数が更新されていることを通知するためのメッセージを表示させる(S313)。
【0075】
図18は、版数の更新を通知するためのメッセージの表示例を示す図である。同図では、図4の状態が再現された様子が示されている。但し、子画面521aに表示されていた文書について、版数が1から2に更新されている。したがって、「版数が上がっています」というメッセージ630が子画面521aに重畳させて表示されている。ユーザは、メッセージ630を確認することにより、状態保存時とは完全に同一ではないことを認識することができる。
【0076】
ところで、版数が古い文書についても依然として診療情報DB22に管理されている。また、状態保存データには、状態の保存時の版数が含まれている。したがって、状態の保存時と同じ版数の文書を検索し、表示させることも可能である。しかし、通常、版数の古い情報は実務上において使用価値は非常に低い。むしろ、版数の新しい情報を表示させないと誤診等を招く虞もある。そこで、本実施の形態では、ユーザの利便性及び医療行為の安全性等を考慮して、最新の版数の文書を表示させるようにしているのである。
【0077】
なお、最新の版数の文書を表示可能であるのは、状態保存データに診療情報の実体が記録されるのではなく、診療情報への参照情報が記録されるという構成に起因する。
【0078】
続いて、不一致一覧画面630に表示された子画面保存情報に基づいて診療情報を再現する方法について説明する。
【0079】
図19は、不一致一覧画面に表示された子画面保存情報に基づいて診療情報を再現する際の処理手順を説明するためのフローチャートである。図16を参照しつつ、図19のフローチャートを説明する。
【0080】
不一致一覧画面630に表示されているいずれかの行(子画面保存情報)がドラッグされ、既に表示されているいずれかの子画面にドロップされると、画面表示制御部11は、操作対象とされた行に対応する子画面保存情報を不一致一覧情報の中において特定する(S401)。続いて、診療情報検索部14は、状態保存データのヘッダ情報に含まれている患者番号と、特定された子画面保存情報に含まれている日付情報及び検索条件とに基づく診療情報の検索を診療情報DB22に対して実行する(S402)。続いて、画面表示制御部11は、検索された診療情報をドロップ先の子画面に表示させる(S403)。この際、メモリ装置103内における当該子画面に対する子画面現状情報は、操作対象とされた(展開された)子画面保存情報によって更新される。
【0081】
このように、不一致一覧情報に含まれている子画面保存情報についても簡単な操作によって診療情報を再現させることができる。なお、不一致一覧情報に含まれている子画面保存情報と既に表示されている子画面とを対応付けるための操作はドラッグアンドドロップに限定されない。例えば、不一致一覧画面630における行のダブルクリック等であってもよい。この場合、子画面の配置位置に応じて対応付けの順序関係を予め定めておけばよい。例えば、ダブルクリックされた行に係る子画面保存情報に基づいて検索された診療情報を、左方及び上方優先の順序で選択される子画面に表示させるようにしてもよい。
【0082】
上述したように、本実施の形態における電子カルテシステム1によれば、診療情報表示画面500の表示状態を状態保存データとして保存することができる。また、状態保存データに基づいて表示状態を再現(復元)させることができる。したがって、同時に表示されていた複数の診療情報の表示状態を簡単な操作によって再現させることができる。その結果、一つ一つ診療情報を検索し、表示させる場合に比べ、操作性が著しく改善される。
【0083】
特に、本実施の形態では、各診療情報の日付情報も状態保存データに記録され、状態の再現時に検索される診療情報は日付情報によって限定される。したがって、最新の日付の診療情報に限られず、任意の日付の診療情報の表示状態の再現を簡便化させることができる。
【0084】
状態保存データの具体的な使用例としては、カンファレンス(病院において毎朝行われる診療に関するレクチャー等)の際の表示画面が挙げられる。すなわち、カンファレンスに使用する診療情報を事前に診療情報表示画面500に所望のレイアウトで表示させ、その状態を状態保存データに保存しておく。カンファレンス時には、当該状態保存データを展開させるだけで所望の診療情報を所望のレイアウトで(すなわち、所望の表示状態で)表示させることができる。
【0085】
なお、本実施の形態では、電子カルテシステム1をクライアント・サーバシステムによって実現した例について説明したが、Webシステムによって実現してもよい。この場合、利用者端末10は汎用的なWebブラウザを備えていればよい。電子カルテサーバ20は、画面表示制御部11、状態保存データ生成部12、状態保存データ取得部13、及び診療情報検索部14を更に有すればよい。但し、画面表示制御部11は、表示装置106に対する表示制御は直接行わず、診療情報画面500を表示させるWebページ(HTMLデータ)を生成するようにすればよい。
【0086】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0087】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
表示画面を複数の子画面に分割し、前記子画面ごとに診療情報を表示させる診療情報表示制御装置が実行する診療情報表示制御方法であって、
前記診療情報に係る患者の識別情報と、前記各子画面に表示されている診療情報の種別及び該診療情報の日付情報と、前記各子画面の配置情報とを含む状態保存データを識別名を付与して状態保存データ記憶部に記録する記録手順と、
前記識別名の指定に応じ、該識別名が付与されている前記状態保存データに含まれている前記識別情報、前記種別、及び前記日付情報に基づいて、診療情報記憶手段より診療情報を検索する検索手順と、
指定された前記識別名に係る前記状態保存データに含まれている前記配置情報に従って前記子画面を生成し、検索された診療情報を対応する該子画面の表示対象とする表示制御手順とを有する診療情報表示制御方法。
(付記2)
前記表示制御手順は、前記子画面が既に表示されている場合は、検索された診療情報の中で該子画面に表示されている診療情報と前記種別が一致する診療情報を該子画面の表示対象とする付記1記載の診療情報表示制御方法。
(付記3)
検索された診療情報の中で、既に表示されている前記子画面の診療情報と前記種別が一致しない診療情報の一覧を表示させる不一致一覧表示制御手順と、
該一覧に含まれている診療情報と前記既に表示されている子画面とを対応付ける操作入力に応じ、該診療情報を該操作入力によって対応付けられた前記子画面の表示対象とする不一致情報表示手順とを有する付記1又は2記載の診療情報表示制御方法。
(付記4)
前記記録手順は、前記各子画面に表示されている診療情報の更新情報をも前記状態保存データに含め、
前記検索手順において検索された診療情報の更新情報と前記状態保存データに含まれている更新情報との比較に基づいて、前記検索された診療情報は前記状態保存データの記録時から更新されていることを通知するメッセージを表示させる通知手順を有する付記1乃至3いずれか一項記載の診療情報表示制御方法。
(付記5)
表示画面を複数の子画面に分割し、前記子画面ごとに診療情報を表示させる診療情報表示制御装置であって、
前記診療情報に係る患者の識別情報と、前記各子画面に表示されている診療情報の種別及び該診療情報の日付情報と、前記各子画面の配置情報とを含む状態保存データを識別名を付与して状態保存データ記憶部に記録する記録部と、
前記識別名の指定に応じ、該識別名が付与されている前記状態保存データに含まれている前記識別情報、前記種別、及び前記日付情報に基づいて、診療情報記憶手段より診療情報を検索する検索部と、
指定された前記識別名に係る前記状態保存データに含まれている前記配置情報に従って前記子画面を生成し、検索された診療情報を対応する該子画面の表示対象とする表示制御部とを有する診療情報表示制御装置。
(付記6)
前記表示制御部は、前記子画面が既に表示されている場合は、検索された診療情報の中で該子画面に表示されている診療情報と前記種別が一致する診療情報を該子画面の表示対象とする付記5記載の診療情報表示制御装置。
(付記7)
検索された診療情報の中で、既に表示されている前記子画面の診療情報と前記種別が一致しない診療情報の一覧を表示させる不一致一覧表示制御部と、
該一覧に含まれている診療情報と前記既に表示されている子画面とを対応付ける操作入力に応じ、該診療情報を該操作入力によって対応付けられた前記子画面の表示対象とする不一致情報表示部とを有する付記5又は6記載の診療情報表示制御装置。
(付記8)
前記記録部は、前記各子画面に表示されている診療情報の更新情報をも前記状態保存データに含め、
前記検索部によって検索された診療情報の更新情報と前記状態保存データに含まれている更新情報との比較に基づいて、前記検索された診療情報は前記状態保存データの記録時から更新されていることを通知するメッセージを表示させる通知部を有する付記5乃至7いずれか一項記載の診療情報表示制御装置。
(付記9)
表示画面を複数の子画面に分割し、前記子画面ごとに診療情報を表示させるコンピュータに、
前記診療情報に係る患者の識別情報と、前記各子画面に表示されている診療情報の種別及び該診療情報の日付情報と、前記各子画面の配置情報とを含む状態保存データを識別名を付与して状態保存データ記憶部に記録する記録手順と、
前記識別名の指定に応じ、該識別名が付与されている前記状態保存データに含まれている前記識別情報、前記種別、及び前記日付情報に基づいて、診療情報記憶手段より診療情報を検索する検索手順と、
指定された前記識別名に係る前記状態保存データに含まれている前記配置情報に従って前記子画面を生成し、検索された診療情報を対応する該子画面の表示対象とする表示制御手順とを実行させるためのプログラム。
(付記10)
前記表示制御手順は、前記子画面が既に表示されている場合は、検索された診療情報の中で該子画面に表示されている診療情報と前記種別が一致する診療情報を該子画面の表示対象とする付記9記載のプログラム。
(付記11)
検索された診療情報の中で、既に表示されている前記子画面の診療情報と前記種別が一致しない診療情報の一覧を表示させる不一致一覧表示制御手順と、
該一覧に含まれている診療情報と前記既に表示されている子画面とを対応付ける操作入力に応じ、該診療情報を該操作入力によって対応付けられた前記子画面の表示対象とする不一致情報表示手順とを有する付記9又は10記載のプログラム。
(付記12)
前記記録手順は、前記各子画面に表示されている診療情報の更新情報をも前記状態保存データに含め、
前記検索手順において検索された診療情報の更新情報と前記状態保存データに含まれている更新情報との比較に基づいて、前記検索された診療情報は前記状態保存データの記録時から更新されていることを通知するメッセージを表示させる通知手順を有する付記9乃至11いずれか一項記載のプログラム。
【符号の説明】
【0088】
1 電子カルテシステム
10 利用者端末
11 画面表示制御部
12 状態保存データ生成部
13 状態保存データ取得部
14 診療情報検索部
20 電子カルテサーバ
21 状態保存データ記憶部
22 診療情報DB
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 CPU
105 インタフェース装置
106 表示装置
107 入力装置
B バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面を複数の子画面に分割し、前記子画面ごとに診療情報を表示させる診療情報表示制御装置が実行する診療情報表示制御方法であって、
前記診療情報に係る患者の識別情報と、前記各子画面に表示されている診療情報の種別及び該診療情報の日付情報と、前記各子画面の配置情報とを含む状態保存データを識別名を付与して状態保存データ記憶部に記録する記録手順と、
前記識別名の指定に応じ、該識別名が付与されている前記状態保存データに含まれている前記識別情報、前記種別、及び前記日付情報に基づいて、診療情報記憶手段より診療情報を検索する検索手順と、
指定された前記識別名に係る前記状態保存データに含まれている前記配置情報に従って前記子画面を生成し、検索された診療情報を対応する該子画面の表示対象とする表示制御手順とを有する診療情報表示制御方法。
【請求項2】
前記表示制御手順は、前記子画面が既に表示されている場合は、検索された診療情報の中で該子画面に表示されている診療情報と前記種別が一致する診療情報を該子画面の表示対象とする請求項1記載の診療情報表示制御方法。
【請求項3】
検索された診療情報の中で、既に表示されている前記子画面の診療情報と前記種別が一致しない診療情報の一覧を表示させる不一致一覧表示制御手順と、
該一覧に含まれている診療情報と前記既に表示されている子画面とを対応付ける操作入力に応じ、該診療情報を該操作入力によって対応付けられた前記子画面の表示対象とする不一致情報表示手順とを有する請求項1又は2記載の診療情報表示制御方法。
【請求項4】
前記記録手順は、前記各子画面に表示されている診療情報の更新情報をも前記状態保存データに含め、
前記検索手順において検索された診療情報の更新情報と前記状態保存データに含まれている更新情報との比較に基づいて、前記検索された診療情報は前記状態保存データの記録時から更新されていることを通知するメッセージを表示させる通知手順を有する請求項1乃至3いずれか一項記載の診療情報表示制御方法。
【請求項5】
表示画面を複数の子画面に分割し、前記子画面ごとに診療情報を表示させる診療情報表示制御装置であって、
前記診療情報に係る患者の識別情報と、前記各子画面に表示されている診療情報の種別及び該診療情報の日付情報と、前記各子画面の配置情報とを含む状態保存データを識別名を付与して状態保存データ記憶部に記録する記録部と、
前記識別名の指定に応じ、該識別名が付与されている前記状態保存データに含まれている前記識別情報、前記種別、及び前記日付情報に基づいて、診療情報記憶手段より診療情報を検索する検索部と、
指定された前記識別名に係る前記状態保存データに含まれている前記配置情報に従って前記子画面を生成し、検索された診療情報を対応する該子画面の表示対象とする表示制御部とを有する診療情報表示制御装置。
【請求項6】
表示画面を複数の子画面に分割し、前記子画面ごとに診療情報を表示させるコンピュータに、
前記診療情報に係る患者の識別情報と、前記各子画面に表示されている診療情報の種別及び該診療情報の日付情報と、前記各子画面の配置情報とを含む状態保存データを識別名を付与して状態保存データ記憶部に記録する記録手順と、
前記識別名の指定に応じ、該識別名が付与されている前記状態保存データに含まれている前記識別情報、前記種別、及び前記日付情報に基づいて、診療情報記憶手段より診療情報を検索する検索手順と、
指定された前記識別名に係る前記状態保存データに含まれている前記配置情報に従って前記子画面を生成し、検索された診療情報を対応する該子画面の表示対象とする表示制御手順とを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−224645(P2010−224645A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68409(P2009−68409)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】