説明

証明写真装置

【課題】携帯型電子機器との間で無線通信可能な証明写真装置を提供する。
【解決手段】証明写真装置10は、ボックス本体11と、ボックス本体11内に収納空間16と撮影空間15とを形成するよう設けられた内壁20とを備えている。内壁20の近傍には、携帯電話機60との間で無線通信、例えば赤外線通信を行うための無線通信モジュール40が設けられている。また無線通信送受信口43の近傍には、光を放出する表示器44が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型電子機器との間で無線通信可能な証明写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、免許証やパスポート,履歴書等に貼付するための証明写真等を撮影するためのボックス型の証明写真装置が知られている。証明写真装置においては、利用者、すなわち被写体が撮影されるとともに、得られた被写体画像がプリントされる。
【0003】
ところで近年、デジタル技術の発展により、様々な電子情報が複数の機器間で送受信されるようになっている。証明写真装置の分野においても、携帯型電子機器との間で電子情報を送受信するための通信モジュールを備えた証明写真装置が提案されている。例えば特許文献1において、無線通信によってデジタルカメラとの間で画像情報を送受信する無線通信モジュールを備えた証明写真装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−295372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
証明写真装置と携帯型電子機器との間で無線通信が行われる際、無線通信の安定性を確保するため、一般に携帯型電子機器が証明写真装置の無線通信モジュールの近傍に配置される。例えば赤外線を用いて無線通信が行われる場合、携帯型電子機器が無線通信モジュールの無線通信送受信口に向けて配置される。
【0006】
ところで、一般に証明写真装置には、利用者が証明写真装置内に入ってきたことを感知する入室センサなど、様々なセンサ類や機器類が設けられている。このため、無線通信を行う際に利用者がどこに携帯型電子機器を配置してよいのか戸惑ってしまうことが考えられる。
【0007】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る証明写真装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、携帯型電子機器との間で無線通信可能な証明写真装置において、ボックス本体と、ボックス本体内に収納空間と撮影空間とを形成するよう設けられ、撮影窓が形成された内壁と、収納空間内に配置され、前記撮影窓を介して撮影空間内の被写体を撮影する撮影装置と、携帯型電子機器との間で無線通信を行う無線通信モジュールと、を備え、前記無線通信モジュールは、携帯型電子機器からの信号を受信し、または携帯型電子機器への信号を送信する無線通信送受信口を有し、前記無線通信送受信口の近傍に、光を放出する表示器が設けられていることを特徴とする証明写真装置である。
【0009】
本発明による証明写真装置において、前記無線通信モジュールは、前記収納空間内において前記内壁の近傍に配置されていてもよい。
【0010】
本発明による証明写真装置において、前記撮影装置と前記内壁の前記撮影窓との間の空間は、被写体から前記撮影装置に至る光が通る有効空間と、被写体から前記撮影装置に至る光が通らない無効空間と、に区画され、前記無線通信モジュールは、前記無線通信送受信口が前記無効空間内に位置するよう前記内壁の近傍に配置されていてもよい。
【0011】
本発明による証明写真装置において、前記無線通信モジュールは、前記無線通信送受信口が前記内壁の前記撮影空間側に位置するよう前記内壁に取り付けられていてもよい。
【0012】
本発明による証明写真装置において、前記無線通信モジュールは、赤外線を用いて携帯型電子機器との間で無線通信を行うものであってもよい。
【0013】
本発明による証明写真装置において、前記内壁に、前記撮影装置および前記無線通信モジュールを制御する操作部が設けられており、前記表示器は、前記操作部からの操作に連動して光を放出してもよい。
【0014】
本発明による証明写真装置において、前記表示器がLEDからなっていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無線通信モジュールの無線通信送受信口の近傍に、光を放出する表示器が設けられている。このため利用者は、証明写真装置との間で無線通信を行う際に携帯型電子機器が配置されるべき場所を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態における証明写真システムを示す機能ブロック図。
【図2】図2(a)は、本発明の第1の実施の形態における証明写真装置を示す斜視図、図2(b)は、図2(a)に示す証明写真装置の全体構成からボックス本体の天井部を便宜的に取り除いた状態を示す平面図。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態における証明写真装置の内壁を示す正面図。
【図4】図4は、証明写真の撮影手順を示すフローチャート。
【図5】図5は、携帯電話の表示画面を示す図。
【図6】図6は、プリンタに送られるプリントイメージを示す図。
【図7】図7は、焼増しプリントの手順を示すフローチャート。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態における証明写真装置の内壁を示す正面図。
【図9】図9は、本発明の第2の実施の形態において、収納空間内に設けられた無線通信モジュールを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の実施の形態
以下、図1乃至図7を参照して、証明写真装置10と、証明写真装置10との間で通信可能な携帯電話機60(携帯型電子機器)と、を備えた証明写真システム100について説明する。はじめに図2(a)(b)を参照して、証明写真装置10の全体構造について説明する。
【0018】
証明写真装置
図2(a)(b)に示すように、ボックス形状を有する証明写真装置10は、ボックス本体11と、ボックス本体11内に収納空間16と撮影空間15とを形成するよう設けられた内壁20とを備えている。また図2(a)(b)に示すように、ボックス本体11の外面には、後述するプリンタ19によりプリントされた証明写真を取り出す写真取出部14、および利用者がボックス本体11内部に出入する出入口12が形成されている。図2(a)に示すように、出入口12には、証明写真撮影を行う際に外部からの光を遮断する遮光カーテン13が取り付けられている。
【0019】
また図2(b)に示すように、撮影空間15内には、証明写真撮影中に利用者が座る椅子17が設置され、また収納空間16内には、内壁20に設けられた撮影窓21(後述)を介して被写体(利用者)を撮影して画像情報を得る撮影装置18と、画像情報に対応する被写体画像をプリントして利用者に証明写真を提供するプリンタ19とが配置されている。なお「画像情報」とは、撮影により得られた被写体画像の電子情報のことである。画像情報は、例えば、1600×1200ピクセルのBMP形式の画像情報からなっている。
【0020】
内壁
次に図3を参照して、内壁20について詳述する。図3は、撮影空間15側から見た場合の内壁20を示す正面図である。内壁20には、撮影窓21および操作部22が設けられている。
【0021】
(撮影窓)
このうち撮影窓21は、収納空間16内に設置された撮影装置18によって撮影空間15内の利用者を撮影する際の窓となる部分であり、椅子17に腰掛けている利用者の顔の高さに対応する高さに形成されている。撮影窓21は、例えば、内壁20に開口部を設け、この開口部にハーフミラーガラスをはめ込むことにより形成される。ハーフミラーガラスは、撮影空間15からの光は収納空間16へ透過されるが、収納空間16からの光は撮影空間15へほとんど透過されないよう構成されている。このため、撮影空間15内にいる利用者が撮影窓21を介して収納空間16内の機器、例えば撮影装置18を視認することは、困難なこととなっている。
【0022】
(操作部)
また操作部22は、撮影に関する情報を表示するとともに、撮影に関する操作を行うものであり、例えば操作用タッチパネルからなる。なお撮影に関する情報は、操作部22に表示されるとともに、操作部22の下方に設けられたスピーカ26を介して音声で利用者に提供されてもよい。
【0023】
また図3に示すように、内壁20の上部には、撮影用の照明部23が設けられており、撮影窓21の近傍には、証明写真撮影の決済を現金で行うための現金課金部24が設けられている。図3に示すように、現金課金部24は、紙幣投入部24aと、硬貨投入部24bと、返却レバー24cとからなる。また現金課金部24の下方には、釣銭を返却する釣銭取出部25が設けられている。また撮影窓21の近傍には、利用者が撮影空間15内に入ってきたことを感知する入室センサ27が設けられている。利用者の入室が入室センサ27により感知されると、操作部22およびスピーカ26によるガイダンスが開始される。
【0024】
(無線通信モジュール)
また内壁20の近傍には、携帯電話機60との間で無線通信、例えば赤外線通信を行うための無線通信モジュール40が設けられている。図3に示す例においては、無線通信モジュール40が内壁20に取り付けられている。この無線通信モジュール40は、携帯電話機60からの信号を受信し、または携帯電話機60への信号を送信する無線通信送受信口43を有している。具体的には、この無線通信送受信口43は、例えば無線通信が赤外線によって行われる場合に赤外線が通過する部分となっている。
【0025】
なお「内壁20の近傍に無線通信モジュール40が設けられている」とは、図3に示すように無線通信モジュール40が内壁20に取り付けられている場合だけでなく、後述する第2の実施の形態において示されるように、内壁20に接触してはいないが内壁20の近傍に無線通信モジュール40が配置されている場合も含む概念となっている。また「近傍」とは、内壁20から無線通信モジュール40までの距離が、撮影空間15内にある携帯電話機60と無線通信モジュール40との間での無線通信が可能な程度の距離となっていることを意味している。
【0026】
無線通信モジュール40を内壁20に取り付ける具体的な方法が特に限られることはなく、様々な方法で無線通信モジュール40が内壁20に取り付けられ得る。例えば図2(b)および図3において示されているように、無線通信モジュール40の大部分が収納空間16内に位置するとともに、無線通信モジュール40の無線通信送受信口43が内壁20の撮影空間15側の表面に露出するよう、無線通信モジュール40が内壁20に組み込まれていてもよい。若しくは、図示はしないが、無線通信モジュール40全体が撮影空間15側から内壁20に取り付けられていてもよい。
【0027】
(表示器)
また図3に示すように、無線通信送受信口43の近傍には、光を放出する表示器44、例えばLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)が設けられている。この表示器44は、後述するように、証明写真装置10と携帯電話機60との間での無線通信が開始される際に光を放出するものである。このような表示器44を設けることにより、利用者は、無線通信を行う際に携帯電話機60が配置されるべき場所を容易に認識することができる。
【0028】
制御部
また証明写真装置10は、上述の撮影装置18、プリンタ19、操作部22、入室センサ27、無線通信モジュール40および表示器44を制御する制御部30をさらに備えている。図示はしないが、制御部30は、例えば収納空間16において撮影装置18の近傍に配置されている。以下、図1を参照して制御部30について詳細に説明する。
【0029】
図1は、制御部30を含む証明写真装置10の各構成要素と、携帯電話機60の構成要素とを機能ブロック図として示す図である。図1に示すように、証明写真装置10の制御部30は、撮影装置18により得られた画像情報を一時的に記憶する一時記憶手段32と、画像情報に対応する被写体画像を1つまたは複数割り付けて後述するプリントイメージを生成する画像割り付け手段38と、を有している。一時記憶手段32は、図1に示されているように、画像割り付け手段38によって生成されたプリントイメージはプリンタ19に送られ、そして、被写体画像を含む写真がプリントされる。
【0030】
また図1に示すように、制御部30が、一時記憶手段32に記憶されている画像情報に暗号化処理を施す暗号化手段33と、暗号化処理が施された画像情報に復号処理を施す復号手段34と、をさらに有していてもよい。暗号化の方式が特に限られることはなく、求められるセキュリティ性などに応じて適宜選択される。例えば、暗号化の方式として、RSA暗号方式、ElGamal暗号方式、楕円曲線暗号方式などの公開鍵暗号方式が用いられる。
【0031】
また図1に示すように、制御部30が、画像情報に基づいて画像情報の解像度よりも低い解像度を有する低解像度画像情報を生成する画像処理手段35をさらに有していてもよい。この画像処理手段35は、例えば、1600×1200ピクセルのBMP形式の画像情報に基づいて、160×120ピクセルのBMP形式の低解像度画像情報を生成する。生成された低解像度画像情報は、後述するように、無線通信モジュール40によって画像情報とともに携帯電話機60に送信される。
【0032】
また図1に示すように、制御部30が、撮影装置18により得られた画像情報に対応する付帯情報を生成する付帯情報生成手段36をさらに有していてもよい。この付帯情報生成手段36により、例えば、被写体画像が撮影された撮影日時や、画像情報の画素数などが付帯情報として生成される。また、画像情報に対応する被写体画像がプリントされる際、そのときの被写体画像のプリントサイズや、被写体画像の焼増しプリントの累計回数などに関する情報が付帯情報として生成されてもよい。
【0033】
また図1に示すように、制御部30が判別手段37をさらに有していてもよい。この判別手段37は、後述するように、焼増しプリントの際、焼増しプリントの対象となる画像情報が得られた日、すなわち撮影日からの経過期間が所定の期間よりも長いかどうかを判別する機能を有している。例えば判別手段37は、履歴書で用いられる証明写真の一般的な有効期間である3月に比べて上記経過期間が長いかどうかを判別することができる。これによって、利用者は、保有している画像情報が履歴書用途において利用可能であるかどうかを、焼増しプリントを実行する前に知ることができる。
【0034】
制御部30に含まれる上述の一時記憶手段32,暗号化手段33,復号手段34,画像処理手段35,付帯情報生成手段36,判別手段37および画像割り付け手段38は、CPUなどからなる制御手段31によって制御される。
【0035】
次に上述の無線通信モジュール40の機能について、図1を参照して詳細に説明する。図1に示すように、無線通信モジュール40は、画像情報を携帯電話機60に無線で送信する送信手段41を含んでいる。送信手段41から送信される画像情報は、携帯電話機60の通信部62を介して携帯電話機60の記憶部61に記憶される。また無線通信モジュール40は、図1に示すように、焼増しプリントの際に携帯電話機60から送信される画像情報を受信する受信手段42をさらに含んでいる。これら送信手段41および受信手段42による携帯電話機60との間での信号の送受信は、上述の無線通信送受信口43を介して行われる。
【0036】
撮影およびプリント
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。はじめに、利用者を撮影して証明写真をプリントする際の手順について、図4乃至図6を参照して説明する。図4は、利用者を撮影して証明写真をプリントする際の手順を示すフローチャートである。
【0037】
(撮影手順)
利用者の入室が入室センサ27により感知されると、操作部22およびスピーカ26によるガイダンスが開始される。はじめに利用者は、操作部22を介して所望の写真サイズを選択し(S101)、次に、選択された写真サイズに対応する料金を投入する(S102)。
【0038】
料金が投入されると、制御部30は、利用者を撮影するよう撮影装置18を制御する。これによって被写体画像が得られ(S103)、また、被写体画像の電子情報である画像情報が一時記憶手段32に記憶される(S104)。
【0039】
その後、得られた画像情報を携帯電話機60に送信するかどうかを選択する画面が操作部22に表示される(S105)。以下、利用者が画像情報を携帯電話機60に送信することを選択した場合の送信手順について、図4のS111〜S115を参照して説明する。
【0040】
(送信手順)
はじめに、暗号化手段33が画像情報に暗号化処理を施し、これによって、暗号化された画像情報(以下、暗号化画像情報)が生成される(S111)。次に、利用者が携帯電話機60を無線通信モジュール40の無線通信送受信口43の近傍に配置することを促す旨のメッセージが操作部22に表示される。同時に、制御手段31からの制御により、無線通信モジュール40の無線通信送受信口43の近傍に配置されている表示器44が点滅する(S112)。これによって利用者は、携帯電話機60が配置されるべき場所を認識することができる。
【0041】
利用者が携帯電話機60を無線通信モジュール40の無線通信送受信口43近傍に配置すると(S113)、証明写真装置10の無線通信モジュール40と携帯電話機60の通信部62との間での無線通信が開始する。具体的には、無線通信モジュール40の送信手段41が暗号化画像情報を携帯電話機60に送信し、これによって、暗号化画像情報が携帯電話機60の記憶部61に記憶される(S114)。この際、同時に低解像度画像情報および付帯情報も携帯電話機60に送信され、そして記憶部61に記憶される。その後、制御手段31からの制御により表示器44が消灯する(S115)。
【0042】
なお、証明写真装置10の無線通信モジュール40と携帯電話機60の通信部62との間での無線通信が開始してから終了するまでの間、表示器44が点灯状態となるよう、制御手段31が表示器44を制御してもよい。これによって利用者は、無線通信が開始したこと、および無線通信が終了したことを知ることができる。
【0043】
図5は、画像表示モードとなっている場合の携帯電話機60の表示画面63を示す図である。この場合、表示画面63は、サムネイル表示のためのサブ表示領域65と、サブ表示領域65において選択されている一の画像が拡大表示されるメイン表示領域64とに区画されている。
【0044】
ところで上述のように、証明写真装置10から送られた画像情報は、暗号化処理が施された暗号化画像情報となっている。このため、1600×1200ピクセルの画素数を有する被写体画像が携帯電話機60に表示されることはなく、また、当該被写体画像が汎用プリンタなどによってプリントされることもない。このことにより、証明写真装置10によって得られた被写体画像が無秩序に利用されることが防がれている。また、無線通信の際に画像情報が漏洩することが防がれている。
【0045】
なお、被写体画像に関する情報が携帯電話機60に全く表示されない場合、利用者の利便性が損なわれることが考えられる。このため図5に示すように、証明写真装置10から送られた情報のうち、低解像度画像情報に対応する低解像度画像66が、表示画面63のサブ表示領域65に表示されてもよい。これによって、利用者は、証明写真装置10から得られた被写体画像に関する情報が携帯電話機60に記憶されていることを確認することができる。
【0046】
また図5に示すように、サブ表示領域65において低解像度画像66が選択されているとき、メイン表示領域64にメッセージ67や付帯情報68が表示されてもよい。例えば、本実施の形態に係る証明写真装置10により証明写真が撮影されたことを示すメッセージ67や、撮影日を含む付帯情報68が表示されていてもよい。これによって、記憶されている画像が証明写真装置10によって撮影された被写体画像であることが利用者に認識される。
【0047】
次に、被写体画像をプリントする際の手順について、図4のS106〜S108を参照して説明する。
【0048】
(プリント手順)
はじめに、画像割り付け手段38が、一時記憶手段32に記憶されている画像情報に基づいてプリントイメージ50を生成する。プリントイメージ50とは、図6に示すように、画像情報に対応する被写体画像51が複数、例えば8コマ割り付けられたものである。図6に示すように、プリントイメージ50に撮影日などの付帯情報52が挿入されていてもよい。
【0049】
次に、生成されたプリントイメージ50がプリンタ19に送られる(S106)。プリンタ19は、送られてきたプリントイメージ50を写真プリント用の所定の媒体に印刷する(S107)。これによって、被写体画像51を含む証明写真が得られる。その後、制御手段31により、一時記憶手段32に記憶されている画像情報が消去される(S108)。
【0050】
上述のように本実施の形態によれば、無線通信モジュール40の無線通信送受信口43の近傍には、光を放出する表示器44が設けられている。このため利用者は、証明写真装置10によって得られた画像情報が携帯電話機60に無線で送信される際に携帯電話機60が配置されるべき場所を容易に認識することができる。
【0051】
また本実施の形態によれば、表示器44は、得られた画像情報を携帯電話機60に送信することが操作部22を介して利用者により選択された場合に点滅するようになっている。すなわち、表示器44は、無線通信が行われる際だけ、操作部22からの操作に連動して光を放出するよう構成されている。このため、表示器44が常に点滅または点灯している場合に比べて、利用者は、表示器44が無線通信に関連しているものであることを容易に認識できる。このことにより、利用者は、入室センサ27などのセンサ類や機器類に戸惑うことなく、確実に携帯電話機60を無線通信送受信口43の近傍に配置することができる。
【0052】
また本実施の形態によれば、証明写真装置10は、画像情報を携帯電話機60に無線で送信する送信手段41を備えている。また、一時記憶手段32に記憶されている画像情報は、当該画像情報が携帯電話機60に送信され、かつ画像情報に対応する被写体画像51がプリントされた後に消去される。すなわち本実施の形態によれば、画像情報がネットワーク回線を介して送られることはなく、かつ、利用者が去った後に画像情報が証明写真装置10に保管されることもない。このため本実施の形態によれば、画像情報が第三者に漏洩するのを容易に防ぐことができる。また、複雑な構成を有するネットワーク機構や認証機構を設けることなく、利用者が証明写真装置10により得られた画像情報を撮影後に活用することを可能にできる。
【0053】
焼増しプリント
次に、携帯電話機60に記憶された画像情報を用いて利用者が証明写真を焼増しプリントする際の手順について、図7を参照して説明する。
【0054】
(受信手順)
利用者の入室が入室センサ27により感知されると、操作部22およびスピーカ26によるガイダンスが開始される。はじめに利用者は、操作部22を介して焼増しプリントサービスを選択し(S201)、次に、焼増しプリントサービスに対応する料金を投入する(S202)。
【0055】
料金が投入されると、焼増しプリントサービスにおいて用いる画像情報として、携帯電話機60内に保管されている画像情報を用いるかどうかを選択する画面が操作部22に表示される(S203)。以下、利用者が携帯電話機60内に保管されている画像情報を用いることを選択した場合の手順について、図7のS212〜S215を参照して説明する。
【0056】
はじめに、利用者が携帯電話機60を無線通信モジュール40の無線通信送受信口43の近傍に配置することを促す旨のメッセージが操作部22に表示される。同時に、制御手段31からの制御により、無線通信モジュール40の無線通信送受信口43の近傍に配置されている表示器44が点滅する(S212)。これによって利用者は、携帯電話機60が配置されるべき場所を認識することができる。
【0057】
利用者が携帯電話機60を無線通信モジュール40の無線通信送受信口43近傍に配置すると(S213)、証明写真装置10の無線通信モジュール40と携帯電話機60の通信部62との間での無線通信が開始する。具体的には、携帯電話機60の通信部62が暗号化画像情報を証明写真装置10に送信し、これによって、暗号化画像情報が受信手段42によって受信される(S214)。その後、制御手段31からの制御により表示器44が消灯する(S215)。
【0058】
(印刷手順)
受信手段42によって受信された暗号化画像情報は、復号手段34によって復号される。復号により生成された画像情報は一時記憶手段32に記憶され、また当該画像情報に対応する被写体画像が操作部22に表示される(S204)。
【0059】
利用者は、操作部22に表示された被写体画像が、焼増しプリントを望む画像であるかどうかを確認する。この際、上述した判別手段37による判別結果、例えば撮影後の経過期間が3月よりも長いかどうかに関する判別結果が併せて操作部22に表示されてもよい。利用者は、操作部22に表示された被写体画像や判別結果に基づいて、焼増しプリントを実行するかどうかを判断する。
【0060】
焼増しプリントを実行する場合、利用者は、操作部22に表示されている印刷ボタンなどを押すことにより印刷指示を行う(S205)。この際、利用者は、得られる被写体画像のコマ数やプリントサイズを選択することもできる。なお選択内容は、それ以前の印刷の際のコマ数やプリントサイズ、例えば撮影日のときのコマ数やプリントサイズと異なっていてもよく、同一であってもよい。また利用者の便利のため、選択の際、付帯情報に含まれるプリントサイズに関する情報などが操作部22に表示されていてもよい。
【0061】
その後、画像割り付け手段38がプリントイメージ50を生成し、生成されたプリントイメージ50がプリンタ19に送られる(S206)。次に、プリンタ19が、送られてきたプリントイメージ50を写真プリント用の所定の媒体に印刷する(S207)。これによって、被写体画像51を含む証明写真が焼増しプリントされる。その後、制御手段31により、一時記憶手段32に記憶されている画像情報が消去される(S208)。
【0062】
上述のように本実施の形態によれば、無線通信モジュール40の無線通信送受信口43の近傍には、光を放出する表示器44が設けられている。このため利用者は、携帯電話機60に保管されている画像情報が証明写真装置10に無線で送信される際に携帯電話機60が配置されるべき場所を容易に認識することができる。
【0063】
また本実施の形態によれば、表示器44は、携帯電話機60に保管されている画像情報を証明写真装置10に送信することが操作部22を介して利用者により選択された場合に点滅するようになっている。このことにより、利用者は、入室センサ27などのセンサ類や機器類に戸惑うことなく、確実に携帯電話機60を無線通信送受信口43の近傍に配置することができる。
【0064】
なお本実施の形態において、証明写真装置10と携帯電話機60との間での通信方式として、赤外線を利用した赤外線通信が用いられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、求められる通信容量やセキュリティ性に応じて通信方式を適宜選択してもよい。例えば、赤外線以外の波長域の光を利用した光無線通信や、電波を用いた通信方式が用いられてもよい。
【0065】
(表示器の変形例)
なお、操作部22が、操作用タッチパネルなどの光を放出するディスプレイとしての機能も有する操作部として構成されており、かつ、無線通信送受信口43が操作部22の近傍に設けられている場合、図3において一点鎖線で示すように、操作部22の一部に無線通信送受信口43の位置を示すための画像44aが表示されてもよい。この画像44aは、無線通信が開始される際に操作部22に表示される。このため利用者は、無線通信の際に携帯電話機60が配置されるべき場所を容易に認識することができる。すなわち操作部22が、上述の表示器としての役割を果たしていてもよい。
【0066】
また本実施の形態において、図3において一点鎖線で示すように、無線通信送受信口43の近傍に、無線通信送受信口43の位置を示す案内ラベル45がさらに設けられていてもよい。これによって、利用者は、無線通信の際に携帯電話機60が配置されるべき場所をより確実に認識することができる。
【0067】
第2の実施の形態
次に図8および図9を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図8および図9に示す第2の実施の形態は、無線通信モジュールが内壁に組み込まれていない点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図7に示す第1の実施の形態と略同一である。図8および図9に示す第2の実施の形態において、図1乃至図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
近年、デジタル技術の発展により、証明写真装置の分野においても、携帯電話機60などの携帯型電子機器との間で電子情報を送受信するための無線通信モジュール40を備えた証明写真装置10が求められている。しかしながら、依然として、無線通信モジュール40のような無線機器が設けられていない証明写真装置も数多く存在している。本実施の形態は、そのような証明写真装置に対して後付けで無線通信モジュール40を設置するのに適したものとなっている。
【0069】
無線通信モジュール40が後付けで証明写真装置10に設置される場合、一般に、無線通信モジュール40が撮影空間15内ではなく収納空間16内に配置されることが好ましい。なぜなら、撮影空間15は不特定多数の者が入ることができる空間であり、このため、撮影空間15内に無線通信モジュール40が後付けで設置される場合、デザインや安全上の観点から、無線通信モジュール40の配置や構造が制約されるからである。この場合、様々な制約を満たすため、例えば、無線通信モジュール40を強固に内壁20に固定するための取り付け孔を内壁20に新たに設けるなど、内壁20を大規模に改修する作業が必要になることが考えられる。従って、無線通信モジュール40を新たに設置するためのコストが高くなると考えられる。
【0070】
これに対して、収納空間16は、不特定多数の者が入ることができない空間である。従って、収納空間16内に無線通信モジュール40が設置される場合、内壁20を大規模に改修することなく無線通信モジュール40を内壁20の近傍に配置することができる。
【0071】
以下、無線通信モジュール40が収納空間16内において内壁20の配置される例について、図8および図9を参照して説明する。図8は、撮影空間15側から見た場合の内壁20を示す正面図であり、図9は、収納空間16内に設けられた無線通信モジュール40を拡大して示す側面図である。
【0072】
図9に示すように、無線通信モジュール40は、収納空間16において、無線通信送受信口43が撮影窓21側を向くよう配置されている。以下、収納空間16内における無線通信モジュール40の配置について、より具体的に説明する。
【0073】
図9に示すように、撮影装置18は、被写体48からの光を受光する受光部18aを有している。ここで、図9に示すように、撮影装置18の受光部18aと内壁20の撮影窓21との間の空間を、被写体48から受光部18aに至る光Lが通る有効空間46と、被写体48から受光部18aに至る光が通らない無効空間47とに区画して考える。この場合、無線通信モジュール40は、図9に示すように、無線通信送受信口43が無効空間47内に位置するよう内壁20の近傍に配置される。このように無線通信モジュール40を配置することにより、無線通信モジュール40によって撮影が妨害されることを防ぎながら、無線通信送受信口43を可能な限り撮影空間15に近づけることができる。これによって、無線通信の安定性を向上させることができる。
【0074】
なお証明写真装置10における撮影においては、一般に、被写体48の全身ではなく被写体48の一部、例えば上半身が撮影される。従って、「被写体48から受光部18aに至る光Lが通る有効空間46」とは、被写体48の撮影されるべき部分、例えば被写体48の上半身から、受光部18aに至る光Lが通る空間のことである。
【0075】
ところで上述のように、撮影窓21は、内壁20に開口部を設け、この開口部にハーフミラーガラスをはめ込むことにより形成される。この場合、撮影空間15内にいる利用者が撮影窓21を介して無線通信モジュール40の無線通信送受信口43を視認することは、一般に困難となっている。ここで本実施の形態によれば、図8および図9に示すように、無線通信送受信口43の近傍に、光を放出する表示器44が設けられている。この表示器44は、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、証明写真装置10と携帯電話機60との間での無線通信が開始される際に光を放出するよう制御される。このため利用者は、無線通信が開始される際に携帯電話機60が配置されるべき場所を容易に認識することができる。
【0076】
このように本実施の形態によれば、無線通信モジュール40を収納空間16内に配置することにより、内壁20を大規模に改修することなく無線通信モジュール40を内壁20の近傍に配置することができる。また本実施の形態によれば、無線通信送受信口43の近傍に表示器44を設けることにより、利用者に無線通信送受信口43の位置を容易に認識させることが可能となっている。
【0077】
なお本実施の形態において、表示器44が収納空間16内に配置される例を示したが、これに限られることはない。例えば、図示はしないが、表示器44が撮影空間15側から撮影窓21に取り付けられていてもよい。なお表示器44が収納空間16内に配置され、かつ表示器44が撮影窓21を介して利用者から視認される場合、表示器44からの光が利用者に確実に認識されるよう、撮影窓21の透過率を考慮して表示器44の発光強度が設定される。
【0078】
また本実施の形態においても、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、無線通信送受信口43の近傍に、無線通信送受信口43の位置を示す案内ラベル45がさらに設けられていてもよい。
【0079】
また上述の各実施の形態において、表示器44がLEDからなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、電球、有機EL(Electro-Luminescence)など、光を放出する様々な発光体が表示器44として用いられ得る。
【0080】
また上述の各実施の形態において、証明写真装置10と携帯電話機60との間で、暗号化処理された画像情報が無線通信される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、暗号化されていない画像情報や、画像情報以外の電子情報など、様々な情報が証明写真装置10と携帯電話機60との間で無線通信されてもよい。
【0081】
また上述の各実施の形態において、携帯型電子機器が携帯電話機60からなる例を示したが、これに限られることはない。無線通信機能および画像情報を記憶する機能を有する限りにおいて、様々な種類の携帯型電子機器が上述の各実施の形態において利用され得る。
【0082】
また上述の各実施の形態において、無線通信モジュール40が内壁20の近傍に配置されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、利用者が有する携帯型電子機器との間での無線通信が可能となる限りにおいて、無線通信モジュール40は、様々な位置に配置され得る。
【符号の説明】
【0083】
10 証明写真装置
11 ボックス本体
12 出入口
13 遮光カーテン
14 写真取出部
15 撮影空間
16 収納空間
17 椅子
18 撮影装置
18a 受光部
19 プリンタ
20 内壁
21 撮影窓
22 操作部
23 照明部
24 課金部
24a 紙幣投入部
24b 硬貨投入部
24c 返却レバー
25 釣銭取出部
26 スピーカ
27 入室センサ
30 制御部
31 制御手段
32 一時記憶手段
33 暗号化手段
34 復号手段
35 画像処理手段
36 付帯情報生成手段
37 判別手段
38 画像割り付け手段
40 無線通信モジュール
41 送信手段
42 受信手段
43 無線通信送受信口
44 表示器
45 案内ラベル
46 有効空間
47 無効空間
48 被写体
50 プリントイメージ
51 被写体画像
52 付帯情報
60 携帯電話機
61 記憶部
62 通信部
63 表示画面
64 メイン表示領域
65 サブ表示領域
66 低解像度画像
67 メッセージ
68 付帯情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型電子機器との間で無線通信可能な証明写真装置において、
ボックス本体と、
ボックス本体内に収納空間と撮影空間とを形成するよう設けられ、撮影窓が形成された内壁と、
収納空間内に配置され、前記撮影窓を介して撮影空間内の被写体を撮影する撮影装置と、
携帯型電子機器との間で無線通信を行う無線通信モジュールと、を備え、
前記無線通信モジュールは、携帯型電子機器からの信号を受信し、または携帯型電子機器への信号を送信する無線通信送受信口を有し、
前記無線通信送受信口の近傍に、光を放出する表示器が設けられていることを特徴とする証明写真装置。
【請求項2】
前記無線通信モジュールは、前記収納空間内において前記内壁の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の証明写真装置。
【請求項3】
前記撮影装置と前記内壁の前記撮影窓との間の空間は、被写体から前記撮影装置に至る光が通る有効空間と、被写体から前記撮影装置に至る光が通らない無効空間と、に区画され、
前記無線通信モジュールは、前記無線通信送受信口が前記無効空間内に位置するよう前記内壁の近傍に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の証明写真装置。
【請求項4】
前記無線通信モジュールは、前記無線通信送受信口が前記内壁の前記撮影空間側に位置するよう前記内壁に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の証明写真装置。
【請求項5】
前記無線通信モジュールは、赤外線を用いて携帯型電子機器との間で無線通信を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の証明写真装置。
【請求項6】
前記内壁に、前記撮影装置および前記無線通信モジュールを制御する操作部が設けられており、
前記表示器は、前記操作部からの操作に連動して光を放出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の証明写真装置。
【請求項7】
前記表示器がLEDからなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の証明写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−38459(P2013−38459A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170329(P2011−170329)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】