説明

試料分析装置

【課題】使用者が交換したい試薬が収容された試薬容器を取出位置に移動させることが可能な試料分析装置を提供する。
【解決手段】この試料分析装置1は、試薬が収容された試薬容器300を配置するための複数の配置領域を有し、複数の配置領域を移動可能な第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12と、試料と試薬とが混合されて調製された測定試料を分析する検体分析部8と、複数の配置領域の中から試薬を交換または追加するための配置領域の指定を使用者から受け付ける試薬配置画面410と、配置領域が指定された場合、試薬容器の交換または追加が可能な交換追加位置へ、指定された配置領域を移動させるように第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12を制御する制御部4aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試料分析装置に関し、特に、試薬が収容された試薬容器を配置可能な配置部を備えた試料分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試薬が収容された試薬容器を配置可能な配置部が移動可能に構成された試料分析装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載の試料分析装置は、試薬が入っている複数の試薬ボトルを収納する収納手段と、収納手段に配置されている試薬ボトル内の残量を計測する計測手段と、計測手段の計測結果に基づいて交換対象の試薬ボトルを特定する特定手段と、特定手段によって測定された試薬ボトルを所定の位置に移動させる移動手段とを備えている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−321283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多数の試薬を用いる試料分析装置では、予備の試薬容器を配置することができるので、1つの試薬容器に収容された試薬の残量が不足しているとしても、その試薬を交換する必要がない場合が多い。つまり、試薬の不足状態が必ずしも交換対象であることを意味しない。しかしながら、上記特許文献1に記載の試料分析装置では、試薬容器中の試薬が不足状態にあることを検出して自動的に試薬が不足状態にある試薬容器を所定の位置(取出位置)に移動させるので、使用者が交換したい試薬が収容された試薬容器を取出位置に移動させることができないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、使用者が交換したい試薬が収容された試薬容器を取出位置に移動させることが可能な試料分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の第1の局面による試料分析装置は、試料を分析する試料分析装置であって、試薬が収容された試薬容器を配置するための複数の配置領域を有し、複数の配置領域を移動可能な配置部と、試料と試薬とが混合されて調製された測定試料を分析する分析部と、複数の配置領域の中から試薬を交換または追加するための配置領域の指定を使用者から受け付ける受付部と、配置領域が指定された場合、試薬容器の交換または追加が可能な交換追加位置へ、指定された配置領域を移動させるように配置部を制御する制御部とを備える。
【0008】
この第1の局面による試料分析装置では、上記のように、複数の配置領域の中から試薬を交換または追加するための配置領域の指定を使用者から受け付ける受付部と、配置領域が指定された場合、試薬容器の交換または追加が可能な交換追加位置へ、指定された配置領域を移動させるように配置部を制御する制御部とを設けることによって、使用者が、交換しようとする試薬が収容された試薬容器を配置しようとする配置領域を指定することにより、指定した配置領域を、交換しようとする試薬が収容された試薬容器の交換が可能な交換追加位置に移動させることができる。これにより、使用者が交換したい試薬が収容された試薬容器を取出位置に移動させることができる。また、同様に、使用者が、追加しようとする試薬が収容された試薬容器を配置するための配置領域を指定することにより、指定した配置領域を、追加しようとする試薬が収容された試薬容器の追加が可能な交換追加位置に移動させることができる。
【0009】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、表示部をさらに備え、表示部は、配置領域を指定可能に表示し、受付部は、表示された配置領域が選択されることにより、配置領域の指定を受け付けるように構成されている。このように構成すれば、使用者は、配置領域を表示部により確認しながら、容易に、試薬の交換または追加を行う配置領域を指定して、選択することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、表示部は、配置部の配置領域に配置された試薬容器の配置状態を表示するように構成されている。このように構成すれば、使用者は、試薬容器の配置状態を確認しながら、試薬の交換または追加を行う配置領域を指定して、選択することができる。
【0011】
上記表示部を備える構成において、好ましくは、表示部は、配置領域に配置された試薬容器の試薬が指定された場合、指定された試薬の属性情報を表示するように構成されている。このように構成すれば、使用者は、表示部に表示された試薬容器に収容された試薬を指定することにより、指定した試薬の属性情報を確認することができる。
【0012】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、試薬に関する情報を試薬容器から取得する試薬情報取得部をさらに備え、制御部は、試薬が交換または追加された場合、交換または追加された試薬の試薬情報を取得するように配置部および試薬情報取得部を制御するように構成されている。このように構成すれば、試薬を交換または追加した場合に、試薬情報取得部により、交換または追加した試薬の試薬情報を取得することができるので、使用者は、容易に、試薬を管理することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、配置部が、複数の試薬容器を保持するための複数の試薬ラックを配置可能であり、制御部は、試薬が交換または追加された場合、交換または追加された試薬が収容された試薬容器が保持されている試薬ラック中の試薬容器の試薬情報を取得するように配置部および試薬情報取得部を制御するように構成されている。このように構成すれば、交換または追加した試薬と同じ試薬ラックにおいて、交換または追加した試薬に加えて別途試薬を交換または追加した場合であっても、別途交換または追加した試薬の試薬情報を取得することができる。
【0014】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、配置部を覆う蓋部をさらに備え、蓋部は、指定された試薬が収容された試薬容器の交換追加位置において開閉可能に構成されている。このように構成すれば、蓋部の開閉により、容易に、交換追加に移動された試薬容器を取り出すことができるとともに、新たな試薬容器を配置することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、蓋部をロックするためのロック部と、ロック部による蓋部のロックの状態を検知するロック状態検知部と、試薬に関する情報を試薬容器から取得する試薬情報取得部とをさらに備え、制御部は、試薬の交換または追加後に、ロック状態検知部によってロック状態が検知された場合に、配置部に配置された試薬容器から試薬情報を取得するように配置部および試薬情報取得部を制御するように構成されている。このように構成すれば、試薬の交換または追加後に試薬情報を取得するための操作を別途行うことなく、蓋部のロックにより自動的に試薬情報を取得することができる。
【0016】
上記蓋部を備える構成において、好ましくは、蓋部をロックするためのロック部をさらに備え、制御部は、指定された配置領域が交換追加位置に移動された場合に、ロックされた蓋部のロックを解除するようにロック部を制御するように構成されている。このように構成すれば、指定された配置領域が交換追加位置に移動された場合に、ロックを解除する解除操作を行うことなく、蓋部を取り外すことができるので、試薬の交換または追加作業が煩雑化することを抑制することができる。
【0017】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、配置部は、複数の試薬容器が環状に配置されるとともに、回転移動可能な第1配置部と、第1配置部に対して同心円状に設けられ、試薬容器を環状に配置可能であり、回転移動可能な第2配置部とを含む。このように構成すれば、第1配置部または第2配置部のいずれか一方に配置された試薬によって測定試料の分析を行っている場合に、第1配置部または第2配置部のいずれか他方に配置された試薬の交換または追加を行うことができる。
【0018】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、指定された配置領域が交換追加位置に移動されたことを通知する第1通知部をさらに備える。このように構成すれば、使用者は、第1通知部によって、容易に、指定された配置領域が交換追加位置に移動されたことを確認することができる。
【0019】
上記指定された試薬が収容された試薬容器が取出位置に移動された場合に、蓋部のロックを解除する構成において、好ましくは、ロック部による蓋部のロックが制御部によって解除されたことを通知する第2通知部をさらに備える。このように構成すれば、使用者は、第2通知部によって、容易に、蓋部のロックが解除されたことを確認することができる。
【0020】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、配置部が、複数の試薬容器を保持するための複数の試薬ラックを着脱可能であり、制御部は、配置領域として試薬ラックが指定された場合、試薬容器の交換または追加が可能な交換追加位置へ、指定された試薬ラックを移動させるように配置部を制御する。このように構成すれば、交換または追加を行う試薬ラックを指定して交換追加位置へ移動させることにより、容易に、指定した試薬ラックに対して試薬の交換または追加を行うことができる。
【0021】
この発明の第2の局面による試料分析装置は、試料を分析する試料分析装置であって、試薬が収容された複数の試薬容器を配置可能であり、移動可能な配置部と、試料と試薬とが混合されて調製された測定試料を分析する分析部と、配置部に配置された複数の試薬容器に収容された試薬の中から試薬の指定を使用者から受け付ける受付部と、試薬が指定された場合、指定された試薬が収容された試薬容器を、取り出しが可能な取出位置に移動させるように配置部を制御する制御部とを備えている。
【0022】
この第2の局面による試料分析装置では、上記のように、試薬の指定を使用者から受け付ける受付部と、試薬が指定された場合、指定された試薬が収容された試薬容器を、取り出しが可能な取出位置に移動させるように配置部を制御する制御部とを設けることによって、制御部による配置部の制御により、使用者が指定した試薬が収容された試薬容器を、取り出しが可能な取出位置に移動させることができる。これにより、使用者が交換したい試薬が収容された試薬容器を取出位置に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1〜図5は、本発明の一実施形態による試料分析装置の全体構成を示す図である。図6は、本発明の一実施形態による試料分析装置の制御装置を説明するための図である。図7は、本発明の一実施形態による試料分析装置の表示部に表示される試薬配置画面を示す図である。図8〜図20は、本発明の一実施形態による試料分析装置の構造を説明するための図である。まず、図1〜図20を参照して、本発明の一実施形態による試料分析装置1の構造を説明する。
【0025】
本発明の一実施形態による試料分析装置1は、血液の凝固・線溶機能に関連する特定の物質の量や活性の度合いを光学的に測定して分析するための装置であり、検体としては血漿を用いる。本実施形態による試料分析装置1では、凝固時間法、合成基質法および免疫比濁法を用いて検体の光学的な測定(本測定)を行っている。本実施形態で用いる凝固時間法は、検体が凝固する過程を透過光の変化として検出する測定方法である。そして、測定項目としては、PT(プロトロンビン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)やFbg(フィブリノーゲン量)などがある。また、合成基質法の測定項目としてはATIII等、免疫比濁法の測定項目としてはDダイマー、FDP等がある。
【0026】
そして、試料分析装置1は、図1および図2に示すように、測定機構部2と、測定機構部2の前面側に配置された検体搬送機構部3と、測定機構部2に電気的に接続された制御装置4とにより構成されている。また、測定機構部2には、測定を行う際の検体の容器となるキュベット200(図4参照)を投入するキュベット投入部5が設けられている。キュベット投入部5には、開閉可能な蓋5aと、キュベット投入部5の中を視認可能な窓5bとが設けられている。また、キュベット投入部5の前面側には、緊急停止ボタン1aと、測定開始ボタン1bとが設けられている。蓋5a(図1参照)は、後述するキュベット供給機構部170の第1ホッパ171a(図4参照)にキュベット200を投入するために設けられている。また、ユーザは、窓5bから第1ホッパ171a(図4参照)に貯留されているキュベット200の残量を視認することが可能である。緊急停止ボタン1a(図1参照)は、緊急の場合に測定を停止させる機能を有する。測定開始ボタン1b(図1参照)は、押すことにより、測定が開始されるように構成されている。これにより、ユーザは、キュベット200を投入した後、直ぐに測定を開始することが可能である。なお、制御装置4の操作によっても測定の開始および停止が可能である。
【0027】
制御装置4は、パーソナルコンピュータ401(PC)などからなり、図1および図2に示すように、制御部4aと、表示部4bと、キーボード4cとを含んでいる。制御部4aは、測定機構部2および搬送機構部3の動作制御を行うとともに、測定機構部2で得られた検体の光学的な情報を分析するための機能を有している。この制御部4aは、CPU、ROM、RAMなどからなる。また、表示部4bは、検体中に存在する干渉物質(ヘモグロビン、乳び(脂質)およびビリルビン)に関する情報と、制御部4aで得られた分析結果とを表示するために設けられている。
【0028】
次に、制御装置4の構成について詳細に説明する。制御部4aは、図6に示すように、CPU401aと、ROM401bと、RAM401cと、ハードディスク401dと、読出装置401eと、入出力インタフェース401fと、通信インタフェース401gと、画像出力インタフェース401hとから主として構成されている。CPU401a、ROM401b、RAM401c、ハードディスク401d、読出装置401e、入出力インタフェース401f、通信インタフェース401g、および画像出力インタフェース401hは、バス401iによって接続されている。
【0029】
CPU401aは、ROM401bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM401cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム404aをCPU401aが実行することにより、コンピュータ401が制御装置4として機能する。
【0030】
ROM401bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU401aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが記録されている。
【0031】
RAM401cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM401cは、ROM401bおよびハードディスク401dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401aの作業領域として利用される。
【0032】
ハードディスク401dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU401aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。本実施形態に係る干渉物質の有無や濃度を算出するためのアプリケーションプログラム404aも、このハードディスク401dにインストールされている。
【0033】
読出装置401eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体404に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体404には、本実施形態に係るアプリケーションプログラム404aが格納されており、コンピュータ401がその可搬型記録媒体404からアプリケーションプログラム404aを読み出し、そのアプリケーションプログラム404aをハードディスク401dにインストールすることが可能である。
【0034】
なお、上記アプリケーションプログラム404aは、可搬型記録媒体404によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ401と通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム404aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ401がアクセスして、そのアプリケーションプログラム404aをダウンロードし、これをハードディスク401dにインストールすることも可能である。
【0035】
また、ハードディスク401dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施形態に係るアプリケーションプログラム404aは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0036】
入出力インタフェース401fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース401fには、キーボード4cが接続されており、ユーザがそのキーボード4cを使用することにより、コンピュータ401にデータを入力することが可能である。
【0037】
通信インタフェース401gは、たとえば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。コンピュータ401は、その通信インタフェース401gにより、所定の通信プロトコルを使用して測定機構部2との間でデータの送受信が可能である。
【0038】
画像出力インタフェース401hは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部4bに接続されており、CPU401aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部4bに出力するようになっている。表示部4bは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0039】
ここで、本実施形態では、表示部4bは、図7に示すように、後述する試薬保存部6の試薬の配置を表示する試薬配置画面410を表示することが可能である。試薬配置画面410は、試薬配置表示領域420と、試薬情報表示領域430と、コマンド表示領域440とを有する。また、試薬配置画面410には、試料分析装置1の測定を開始するための測定開始ボタン411と、測定を停止するための測定停止ボタン412とが設けられている。なお、表示部4bは、タッチパネル機能を有し、試薬配置画面410に表示されるボタンなどをユーザが直接触れることによって選択または操作可能である。
【0040】
試薬配置表示領域420は、後述する第1試薬テーブル11に配置されている試薬が表示される複数の第1試薬表示領域421と、後述する第2試薬テーブル12に配置されている試薬が表示される複数の第2試薬表示領域422とを含む。第1試薬表示領域421は、試薬の位置を表示する位置表示部421aと、試薬名を表示する試薬名表示部421bと、試薬の残量を表示する残量表示部421cとを含む。また、第2試薬表示領域422は、試薬の位置を表示する位置表示部422aと、試薬名を表示する試薬名表示部422bと、試薬の残量を表示する残量表示部422cとを含む。試薬名表示部421aおよび422aに表示される試薬の位置は、後述する第1試薬容器ラック310のバーコード311b、312bおよび第2試薬容器ラック320のバーコード321b〜326bをバーコードリーダ350により読み取ることによって表示される。また、試薬名表示部421bおよび422bに表示される試薬名は、試薬容器300のバーコード300aをバーコードリーダ350により読み取った値を元に、別途設けられたテーブルを参照して表示される。また、残量表示部421cおよび422cに表示される試薬の残量は、試薬が収容される容器の種類およびその試薬が吸引された回数などから算出した値を元に表示される。
【0041】
また、第1試薬表示領域421は、第1試薬テーブル11(図5参照)に配置される2つの試薬容器300を保持可能な5つの第1試薬容器ラック310(図5参照)に対応する領域毎に2つずつ分割されて表示される。また、第2試薬表示領域422は、第2試薬テーブル12(図5参照)に配置される6つの試薬容器300を保持可能な5つの第2試薬容器ラック320(図5参照)に対応する領域毎に6つずつ分割されて表示される。すなわち、試薬配置画面410では、どの試薬テーブル(第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12)の、どの試薬容器ラック(第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320)の、どの位置に試薬が配置されているかを確認することが可能である。
【0042】
また、第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320が第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12に配置されていない場合には、第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422には、何も表示されない。また、第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320が第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12に配置されており、試薬容器ラックに保持される試薬容器300がない場合には、第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422には、位置表示部421aまたは位置表示部422aのみに表示がなされる。この点については、後で詳細に説明する。
【0043】
また、試薬情報表示領域430には、第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422において指定された試薬の属性情報(ホルダ番号、試薬名、使用順、使用可能な残量(使用可能量)、残りテスト数、攪拌の有無、ロット番号、試薬容器の種類、試薬の有効期限、セット日およびセット時刻など)が表示される。この試薬の属性情報によって、ユーザは、試薬の交換時期を判断することが可能である。
【0044】
また、コマンド表示領域440には、試薬の交換または追加を指示するための交換・追加指示ボタン440aと、試薬情報の編集を行うための編集ボタン440bと、試薬ロットをマニュアルで入力するための試薬ロット設定ボタン440cとを含む。本実施形態では、試薬が指定された状態で、交換・追加指示ボタン440aが選択されることによって、指定された試薬が収容された試薬容器300を保持する第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320が、試料分析装置1から取出可能な取出位置に移動されるように構成されている。なお、試薬の追加が行われる場合には、試薬が配置されていない第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422が指定された状態で、交換・追加指示ボタン440aが選択される。これにより、試薬が収容されていない第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320が取出位置に移動される。
【0045】
検体搬送機構部3は、図1〜図3に示すように、測定機構部2に検体を供給するために、検体を収容した複数(本実施形態では、10本)の試験管250が載置されたラック251を測定機構部2の吸引位置2a(図3参照)に搬送する機能を有している。また、搬送機構部3は、未処理の検体を収容した試験管250が収納されたラック251をセットするためのラックセット領域3aと、処理済みの検体を収容した試験管250が収納されたラック251を収容するためのラック収容領域3bとを有している。
【0046】
測定機構部2は、搬送機構部3から供給された検体に対して光学的な測定を行うことにより、供給された検体に関する光学的な情報を取得することが可能なように構成されている。本実施形態では、搬送機構部3のラック251に載置された試験管250から測定機構部2のキュベット200内に分注された検体に対して光学的な測定が行われる。また、測定機構部2は、図3に示すように、試薬を保存するための試薬保存部6と、試薬を交換または追加するための試薬交換部7とを含んでいる。
【0047】
測定機構部2は、図19に示すように、検体分注駆動部80aと、試薬分注駆動部130aと、第1駆動部502と、第2駆動部503と、第1検知部51と、第2検知部52と、試薬バーコードリーダ350と、検体バーコードリーダ3cと、第1光学的情報取得部90と、第2光学的情報取得部140と、搬送機構部3などに電気的に接続される制御部501とを有している。
【0048】
検体分注駆動部80aは、後述する検体分注アーム80(図3および図5参照)を回転上下させる機能を有するステッピングモータ部80bと、ステッピングモータ部80bを駆動させるための駆動回路(図示せず)と、検体を吸引および分注するためのポンプ(図示せず)とを備えている。
【0049】
試薬分注駆動部130aは、後述する試薬分注アーム130(図3および図5参照)を回転上下させる機能を有するステッピングモータ部130bと、ステッピングモータ部130bを駆動させるための駆動回路(図示せず)と、試薬を吸引および分注するためのポンプ(図示せず)とを備えている。
【0050】
第1駆動部502は、後述する第1試薬テーブル11(図5参照)を回転させる機能を有する第1ステッピングモータ(図示せず)と、第1ステッピングモータを駆動させるための駆動回路(図示せず)とを備えている。そして、第1試薬テーブル11は、制御部501から第1駆動部502に供給された駆動パルス信号のパルス数に応じた分だけ回転し、停止する。
【0051】
同様に、第2駆動部503は、後述する第1試薬テーブル12(図5参照)を回転させる機能を有する第2ステッピングモータ(図示せず)と、第2ステッピングモータを駆動させるための駆動回路(図示せず)とを備えている。そして、第2試薬テーブル12は、制御部501から第2駆動部503に供給された駆動パルス信号のパルス数に応じた分だけ回転し、停止する。
【0052】
なお、制御部501は、供給した駆動パルス信号のパルス数をカウントすることにより、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12の原点位置からの各試薬テーブル11、12の回転移動量を決定し、各試薬テーブル11、12の回転移動を制御することが可能である。
【0053】
第1検知部51は、後述する第1蓋部30(図3参照)のロック状態を検知するとともに、ロックされたときにロック信号を制御部501に送信する機能を有している。
【0054】
同様に、第2検知部52は、後述する第2蓋部40(図3参照)のロック状態を検知するとともに、ロックされたときにロック信号を制御部501に送信する機能を有している。
【0055】
試薬バーコードリーダ350は、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12上の各バーコードを読み取る機能を有しており、後述する試薬保存部6の側面21の近傍に、試薬保存部6と所定の距離を隔てて設けられている(図3〜図5参照)。この試薬バーコードリーダ350は、制御部501との間でデータの送受信を行うことが可能であるとともに、試薬バーコードリーダ350をON/OFF制御するための駆動回路(図示せず)を有している。なお、試薬バーコードリーダ350の位置は常に固定されている。
【0056】
検体バーコードリーダ3cは、搬送機構部3によって搬送されたラック251に載置された検体を収容した試験管250に貼付されたバーコードを読み取る機能を有しており、前述した測定機構部2の吸引位置2aの近傍に、搬送機構部3によって搬送されるラック251に対向するように設けられている(図3〜図5参照)。この検体バーコードリーダ3cは、制御部501との間でデータの送受信を行うことが可能であるとともに、検体バーコードリーダ3cをON/OFF制御するための駆動回路(図示せず)を有している。なお、検体バーコードリーダ3cの位置は常に固定されている。
【0057】
第1光学情報取得部90と第2光学情報取得部140(図3および図5参照)は、検体の光学的情報を取得するための機能を有しており、制御部501との間でデータの送受信を行うことが可能なように構成されている。第1光学情報取得部90と第2光学情報取得部140の詳細については後述する。
【0058】
制御部501は、図20に示すように、CPU501aとROM501bと、RAM501cと、通信インタフェース501dとから主として構成されている。
【0059】
CPU501aは、ROM501bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM501cに読み出されたコンピュータプログラムを実行することが可能である。ROM501bは、CPU501aに実行させるためのコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータ等を記憶している。RAM501cは、ROM501bに記憶しているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU501aの作業領域として利用される。
【0060】
通信インタフェース501dは、制御装置4に接続されており、検体の光学的な情報を制御装置4に送信するとともに、制御装置4の制御部4aからの信号を受信するための機能を果たす。また、通信インタフェース501dは、搬送機構部3および測定機構部2の各部を駆動するためのCPU501aからの指令を送信するための機能を有する。
【0061】
また、測定機構部2は、図3に示すように、試薬を保存するための試薬保存部6と、試薬を交換または追加するための試薬交換部7とを含んでいる。
【0062】
試薬保存部6は、キュベット200内の検体に添加される試薬を収容した試薬容器300を、低温(約10℃)で冷蔵保存するとともに、回転方向に搬送するために設けられている。試薬を低温で保存することにより、試薬が変質することが抑制される。また、試薬保存部6は、図3〜図5に示すように、試薬の保持および回転搬送を行う試薬搬送部10(図4および図5参照)と、試薬搬送部10の周囲および上方を覆うように設けられた外壁部20(図3参照)とを含んでいる。また、試薬が保持される試薬搬送部10は、外壁部20と、後述する試薬交換部7の第1蓋部30および第2蓋部40とにより形成される冷蔵領域に配置される。
【0063】
この試薬搬送部10は、図5に示すように、円形状の第1試薬テーブル11と、円形状の第1試薬テーブル11の外側に、第1試薬テーブル11に対して同心円状に配置された円環形状の第2試薬テーブル12とを含む。また、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12は、それぞれ、試薬容器300を保持する第1試薬容器ラック310および第2試薬容器ラック320が着脱可能に配置されるように構成されている。また、外壁部20は、側面21(図4参照)と、側面21に固定されている上面22(図3参照)と、取り外し可能な蓋部23(図3参照)とにより構成されている。また、試薬保存部6の側面21(図4参照)の近傍には、試薬保存部6と所定の距離を隔ててバーコードリーダ350が設けられている。
【0064】
第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12は、それぞれ、時計回り方向および反時計回り方向の両方に回転可能で、かつ、各々のテーブルが互いに独立して回転可能なように構成されている。これにより、試薬が収容された試薬容器300を保持する第1試薬容器ラック310および第2試薬容器ラック320は、それぞれ、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12によって回転方向に搬送される。また、試薬容器300を回転方向に搬送することによって、後述する試薬分注アーム130が試薬を分注する際に、分注対象の試薬を試薬分注アーム130の近傍に配置させることが可能である。
【0065】
また、外壁部20の側面21には、断熱材(図示せず)が取り付けられており、試薬保存部6(冷蔵領域)内の冷気を逃がさないように構成されている。また、図4に示すように、外壁部20の側面21のバーコードリーダ350と対向する位置には、開閉可能なシャッタ21aが設けられている。このシャッタ21aは、バーコードリーダ350によって試薬容器300、第1試薬容器ラック310および第2試薬容器ラック320のバーコードを読み取る時にのみ開くように構成されている。これにより、試薬保存部6(冷蔵領域)内の冷気が外部に逃げることが抑制される。
【0066】
また、図3に示すように、外壁部20の上面22は、3つの穴部22a、22bおよび22cを含む。この3つの穴部22a、22bおよび22cを介して、試薬分注アーム130により試薬保存部6に保存されている試薬の吸引が行われる。なお、穴部22aは、第1試薬容器ラック310に保持されている試薬容器300の上方に位置する。この穴部22aを介して、第1試薬容器ラック310に保持されている試薬容器300から試薬の吸引が行われる。また、穴部22bおよび22cは、それぞれ、第2試薬容器ラック320の後列および前列に保持されている試薬容器300の上方に位置する。この穴部22bおよび22cを介して、第2試薬容器ラック320の後列および前列に保持されている試薬容器300から試薬の吸引が行われる。
【0067】
また、蓋部23が後述する第1蓋部30および第2蓋部40とともに取り外されることによって、試薬保存部6(冷蔵領域)に半円形状の開口が形成される。この開口を介して、試料分析装置1において測定を開始する際に、試薬保存部6に第1試薬容器ラック310および第2試薬容器ラック320が配置される。
【0068】
また、図5に示すように、第1試薬容器ラック310は、第1試薬テーブル11に5つ配置可能である。この5つの第1試薬容器ラック310に、試薬容器300が円環状に配置される。第1試薬容器ラック310は、図15および図17に示すように、試薬容器300を保持するための2つの保持部311および312と、保持部311および312の前面側にそれぞれ設けられた切欠部311aおよび312aと、上方に突出するように設けられた1つの把持部313とを含む。また、図17に示すように、保持部311および312は、平面的に見て円形状に形成されており、円筒形状の試薬容器300が差し込まれることにより試薬容器300を保持可能である。また、アダプタ(図示せず)を保持部311または312に取り付けることにより、上記保持部311または312の内径よりも小さい外径を有する試薬容器300を保持部311または312に保持させることが可能である。また、第1試薬容器ラック310は、保持部311および312の内径の組み合わせが異なるように形成された2種類のラックを含む。ユーザは、適宜ラックの種類を変えることによって、様々な大きさの試薬容器300に対応可能である。また、保持部311および312の外側面の前面側には、それぞれ、バーコード311bおよび312bが設けられており、保持部311および312の内側面には、それぞれ、バーコード311cおよび312cが設けられている。
【0069】
2つの保持部311および312は、検体から測定用試料を調製する際に添加される種々の試薬を収容した複数の試薬容器300を1つずつ保持することが可能である。すなわち、第1試薬テーブル11には、10個(2×5=10)の試薬容器300が配置可能である。また、切欠部311aおよび312aは、それぞれ、バーコード311cおよび312cをバーコードリーダ350(図5参照)によって読み取るために設けられている。また、把持部313は、第1試薬容器ラック310を試薬保存部6から取り出す時に把持される。
【0070】
バーコード311bおよび312bには、それぞれ、保持部311および312の位置を識別するための位置情報が含まれている。また、バーコード311cおよび312cには、保持部311および312に保持される試薬容器300は存在しないことを示す情報(試薬容器無し情報)が含まれている。また、試薬容器300のバーコード300aには、試薬容器300に収容されている試薬の属性情報(ホルダ番号、試薬名、試薬容器の種類、ロット番号、試薬の有効期限などの情報)を特定するための情報が含まれている。すなわち、ホルダ番号は、バーコードリーダ350により読み取られた試薬容器300のバーコード300aを元に特定される。また、試薬名、試薬容器の種類、ロット番号、試薬の有効期限などは、バーコードリーダ350により読み取られた試薬容器300のバーコード300aを元に、別途設けられたテーブルを参照して特定される。
【0071】
なお、試薬容器300が保持部311に保持されている場合には、バーコード311cは読み取られず、試薬容器300のバーコード300aが読み取られる。すなわち、バーコードリーダ350によってバーコード311bを読み取った後にバーコード300aを読み取った場合は、制御部4aは、バーコード300aによる試薬情報を有する試薬が保持部311に保持されていると認識する。また、バーコードリーダ350によってバーコード311bを読み取った後にバーコード311cを読み取った場合は、制御部4aは、保持部311に保持されている試薬容器300は存在しないと認識する。また、バーコードリーダ350によってバーコード311bを読み取った後にバーコード300aまたはバーコード311cのいずれも読み取らなかった場合(試薬容器300が横を向いている場合など)には、制御部4aは、読み取りエラーを認識するとともに、表示部4bにおいて、読み取りが失敗したことが表示される。
【0072】
また、第2試薬容器ラック320は、図5に示すように、第2試薬テーブル12に5つ配置可能である。この5つの試薬容器ラック320に、試薬容器300が円環状に配置される。また、互いに隣接する第2試薬容器ラック320の5箇所の隙間のうち、1個所は、他の4箇所の隙間の間隔よりも大きい間隔を有する。この大きい間隔を有する隙間12aを介して、試薬保存部6の外部に位置するバーコードリーダ350により、第2試薬テーブル12の内側に位置する第1試薬テーブル11に配置される第1試薬容器ラック310のバーコード311bおよび312bと、第1試薬容器ラック310に保持される試薬容器300のバーコード300aとが読み取られる。また、第2試薬容器ラック320は、図16および図18に示すように、試薬容器300を保持するための6つの保持部321〜326と、保持部321〜326の前面側にそれぞれ設けられた切欠部321a〜326aと、上方に突出するように設けられた1つの把持部327とを含む。また、第2試薬容器ラック320の保持部321〜326は、第1試薬容器ラック310と同様に、平面的に見て円形状に形成されており、円筒形状の試薬容器300が差し込まれることにより試薬容器300を保持可能である。この第2試薬容器ラック320は、保持部321〜326の内径の組み合わせがそれぞれ異なるように形成された3種類のラックを含む。また、第2試薬容器ラック320には、第1試薬容器ラック310に配置された試薬と同じ試薬を配置することが可能に構成されている。
【0073】
また、前列側の切欠部321aの両側には、バーコード321bと322bとが設けられている。また、同様に、切欠部323aの両側および切欠部325aの両側には、それぞれ、バーコード323bおよび324b、および、バーコード325bおよび326bが設けられている。また、保持部321〜326の内側面には、それぞれ、バーコード321c〜326cが設けられている。
【0074】
このバーコード321b〜326bには、それぞれ、保持部321〜326の位置を識別するための位置情報が含まれている。また、バーコード321cおよび326cには、保持部321〜326に保持される試薬容器300は存在しないことを示す情報(試薬容器無し情報)が含まれている。
【0075】
また、バーコードリーダ350によって読み取られた試薬情報または試薬容器無し情報は、位置情報と対応させて制御部4aのハードディスク401dに記憶される。また、ハードディスク401dに記憶された情報は、制御装置4の制御部4aにより表示部4bの試薬配置画面410に反映される。
【0076】
また、バーコード311b、312bおよび321b〜326bは、4桁の値を示している。1桁目は、「A」または「B」の値をとり、「A」は、試薬容器300が第2試薬テーブル12に配置されていることを示し、「B」は、試薬容器300が第1試薬テーブル11に配置されていることを示す。また、2桁目は、「1」〜「5」の値をとり、「1」〜「3」は、それぞれ、第2試薬容器ラック320の3種類の形状を示し、「4」および「5」は、それぞれ、第1試薬容器ラック310の2種類の形状を示す。また、3桁目は、「0」〜「9」の値をとり、第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320の番号を示す。また、4桁目は、第1試薬容器ラック310のバーコード311bおよび312bでは、「1」または「2」の値をとり、「1」および「2」は、それぞれ、保持部311および312を示す。また、第2試薬容器ラック320のバーコード321b〜326bでは、「1」〜「6」の値をとり、「1」〜「6」は、それぞれ、保持部321〜326を示す。このバーコード(バーコード311b、312bおよび321b〜326b)の値は、図7に示すように、試薬配置画面410の試薬表示領域(第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422)の位置表示部421aまたは422aに反映される。たとえば、バーコードの値が「A15−6」であった場合には、第2試薬テーブル12に配置可能であるとともに、3種類の内の「1」に対応するラック(第2試薬容器ラック320)であり、ラック番号5の第2試薬容器ラック320の6番目の保持部(保持部326)を表す。
【0077】
また、属性情報のうちの試薬名または試薬容器無し情報は、試薬配置画面410の第1試薬表示領域421および第2試薬表示領域422の試薬名表示部421bおよび422bに反映される。すなわち、図7に示すように、試薬が配置されていた場合には、試薬名表示部421bまたは422bに試薬名が表示され、試薬が配置されていない場合には、試薬名表示部421bまたは422bには何も表示されない。たとえば、図7では、試薬位置「A15−6」には、試薬名「PT−TPC+」が配置されており、試薬位置「A28−1」には、試薬が配置されていない。なお、試薬容器ラック自体が配置されていない場合には、バーコードリーダ350は、バーコードを読み取ることがないため、第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320が配置されていない領域に対応する第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422には、何も表示されない。
【0078】
また、試薬交換部7は、図1および図2に示すように、試料分析装置1の中央部近傍に設けられている。ここで、本実施形態では、試薬交換部7は、図8〜図14に示すように、ロック機構31および41をそれぞれ備えた取り外し可能な第1蓋部30および第2蓋部40と、第1蓋部30および第2蓋部40のロック状態を検知するための検知部50(図13および図14参照)と、ユーザに第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12の搬送状態を通知する通知部60とを含んでいる。なお、図13には、第1蓋部30のロック機構31および第2蓋部40のロック機構41のロック解除状態が示されており、図14には、第1蓋部30のロック機構31および第2蓋部40のロック機構41のロック状態が示されている。
【0079】
第1蓋部30は、図8および図11に示すように、第1試薬テーブル11(第1試薬容器ラック310)に配置された試薬容器300の交換が行われる際に取り外すことが可能なように構成されている。第1蓋部30は、扇形状を有しており、第1試薬テーブル11の上方に取り付けられる。また、第1蓋部30の大きさおよび形状は、第1蓋部30を取り外した状態で第1試薬容器ラック310を1つだけ取り出すことが可能なように形成されている。また、図13および図14に示すように、第1蓋部30のロック機構31は、通常使用時、または、試薬の交換または追加が終了した後に、第1蓋部30が外れないようにロックするとともに、第1試薬テーブル11における試薬の交換または追加が終了したことを制御部4aに認識させるために設けられている。
【0080】
第1蓋部30のロック機構31は、図9、図13および図14に示すように、回動軸32aを中心にユーザが回動操作可能なハンドル32と、回動軸32aを中心にハンドル32と一体的に回動される中継部材33と、中継部材33と係合するとともに、回動軸34aを中心に回動可能なフック部材34と、中継部材33と係合するとともに、回動軸35aを中心に回動可能なロック検知用部材35とから構成されている。また、フック部材34には、中継部材33と逆側の端部に鉤状のフック部34bが設けられている。また、ロック検知用部材35には、中継部材33と逆側の端部に、蓋部30のロック状態で検知部50のマイクロスイッチ51aを押圧する押圧片35b(図9参照)が設けられている。また、図11、図13および図14に示すように、試薬保存部6の中央部には、フック部材34のフック部34bと係合する円柱状の係合部6aが固定的に取り付けられている。また、円柱状の係合部6aの外径は、フック部34bの内径よりも大きい。また、円柱状の係合部6aのフック部34bに対応する位置には、フック部34bの内径と実質的に同じ外径を有する溝部6bが設けられている。
【0081】
図13に示すロック解除状態からハンドル32が回動軸32aを中心に矢印A方向に回動されると、中継部材33も回動軸32aを中心に矢印A方向に回動される。また、中継部材33とフック部材34とは係合されているため、中継部材33が矢印A方向に回動されるのに伴い、フック部材34は、回動軸34aを中心に矢印B方向に回動される。これにより、フック部材34のフック部34bが円柱状の係合部6aの溝部6bと係合され、ロック状態となる。
【0082】
なお、ロック状態でユーザが第1蓋部30を取り外そうとした場合には、フック部材34のフック部34bと係合部6aの溝部6bとが引っ掛かることによって、第1蓋部30が外れることが抑制される。
【0083】
また、第2蓋部40は、図8および図12に示すように、第2試薬テーブル12(第2試薬容器ラック320)に配置された試薬容器300の交換の際に取り外すことが可能なように構成されている。第2蓋部40は、第1蓋部30の外側に取り付けられ、第2試薬テーブル12の上方に取り付けられる。また、第2蓋部40の大きさおよび形状は、第2蓋部40を取り外した状態で第2試薬容器ラック320を1つだけ取り出すことが可能に形成されている。また、図13および図14に示すように、第2蓋部40のロック機構41は、通常使用時、または、試薬の交換が終了した後に、第2蓋部40が外れないようにロックするとともに、第2試薬テーブル12における試薬の交換または追加が終了したことを制御部4aに認識させるために設けられている。
【0084】
第2蓋部40のロック機構41は、図13および図14に示すように、回動軸42aを中心にユーザが回動操作可能なハンドル42と、回動軸42aを中心にハンドル42と一体的に回動される二股の中継部材43と、中継部材43と係合するとともに、回動軸44aを中心に回動可能なロック部材44と、中継部材43と係合するとともに、回動軸45aを中心に回動可能なロック検知用部材45とから構成されている。また、ロック部材44には、中継部材43と逆側の端部に凸状のロック部44b(図10参照)が設けられている。また、ロック検知用部材45には、中継部材43と逆側の端部に、第2蓋部40のロック状態で検知部50のマイクロスイッチ52aを押圧する押圧片45b(図10参照)が設けられている。また、第2蓋部40が取り付けられる第2蓋部取付部46(図13および図14参照)には、ロック部44bに対応する位置に、ロック部44bと係合される係合穴46aが設けられている。
【0085】
図13に示すロック解除状態からハンドル42が回動軸42aを中心に矢印C方向に回動されると、中継部材43も回動軸42aを中心に矢印C方向に回動される。また、中継部材43とロック部材44とは係合されているため、中継部材43が矢印C方向に回動されるのに伴い、ロック部材44は、回動軸44aを中心に矢印D方向に回動される。これにより、ロック部材44のロック部44bが第2蓋部取付部46の係合穴46aと係合され、ロック状態となる。
【0086】
なお、ロック状態でユーザが第2蓋部40を取り外そうとした場合に、ロック部材44のロック部44bと第2蓋部取付部46の係合穴46aとが引っ掛かることによって、第2蓋部40が外れることが抑制される。
【0087】
また、検知部50は、第1蓋部30および第2蓋部40のロック状態をそれぞれ検知するための第1検知部51および第2検知部52を含む。第1検知部51は、マイクロスイッチ51aと、板バネ部51bとを含む。また、第2検知部は、マイクロスイッチ52aと、板バネ部52bとを含む。
【0088】
第1検知部51は、図13および図14に示すように、マイクロスイッチ51aが、第1蓋部30のロック機構31の押圧片35bにより押圧された板バネ部51bによって押し込まれることによって、第1蓋部30のロック状態を検知するように構成されている。具体的には、上述のように、第1蓋部30のロックが行われる際に、ハンドル32とともに矢印A方向に回動された中継部材33により、中継部材33と係合されているロック検知用部材35は、回動軸35aを中心に矢印E方向に回動される。これにより、ロック検知用部材35の押圧片35bが矢印E方向に回動されて第1検知部51の板バネ部51bと係合されるので、マイクロスイッチ51aが第1検知部51の板バネ部51bによって押し込まれる。また、この状態で、ロック機構31のフック部34bは、円柱状の係合部6aと係合されているため、第1検知部51により第1蓋部30のロック状態が検知される。また、第1検知部51は、第1蓋部30のロック状態を検知した場合、第1蓋部30がロックされたことを表す信号を制御部4aに送るように構成されている。
【0089】
また、同様に、第2検知部52は、マイクロスイッチ52aが、第2蓋部40のロック機構41の押圧片45bにより押圧された板バネ部52bによって押し込まれることによって、第2蓋部40のロック状態を検知するように構成されている。具体的には、第2蓋部40のロックが行われる際に、ハンドル42とともに矢印C方向に回動された中継部材43により、中継部材43と係合されているロック検知用部材45は、回動軸45aを中心に矢印F方向に回動される。これにより、ロック検知用部材45の押圧片45bが矢印F方向に回動されて第2検知部52の板バネ部52bと係合されるので、マイクロスイッチ52aが第2検知部52の板バネ部52bによって押し込まれる。また、この状態で、ロック機構41のロック部44は、第2蓋部取付部46の係合穴46aと係合されているため、第2検知部52により第2蓋部40のロック状態が検知される。また、第2検知部52は、第2蓋部40のロック状態を検知した場合、第2蓋部40がロックされたことを表す信号を制御部4aに送るように構成されている。
【0090】
また、通知部60は、3つのLEDインジケータ61、62および63を含む。図1および図3に示すように、3つのLEDインジケータ61、62および63は、第2蓋部40の近傍に所定の間隔を隔てて一列状に配置されており、試料分析装置1の外部からユーザが視認可能である。また、LEDインジケータ61、62および63は、青色または赤色に発光可能である。
【0091】
LEDインジケータ61は、ユーザが試薬配置画面410において指定した第1試薬テーブル11の試薬に対応する第1試薬容器ラック310が、試薬の交換が可能な取出位置(第1蓋部30の下方)に移動されたことをユーザに通知する機能を有する。具体的には、第1試薬テーブル11が回転移動中には、LEDインジケータ61は、赤色に発光し、指定された第1試薬テーブル11の試薬に対応する第1試薬容器ラック310が取出位置に移動されて停止した時には、青色に発光するように構成されている。これにより、ユーザに、試薬の交換または追加のために第1蓋部30を取り外すタイミングを通知することが可能である。
【0092】
また、LEDインジケータ62は、ユーザが試薬配置画面410において指定した第2試薬テーブル12の試薬に対応する第2試薬容器ラック320が、試薬の交換が可能な取出位置(第2蓋部40の下方)に移動されたことをユーザに通知する機能を有する。LEDインジケータ62は、LEDインジケータ61と同様に、第2試薬テーブル12が回転移動中には赤色に発光し、指定された第2試薬テーブル12の試薬に対応する第2試薬容器ラック320が取出位置に移動されて停止した時には、青色に発光するように構成されている。
【0093】
また、LEDインジケータ63は、後述するキュベット搬送テーブル71の動作状況をユーザに通知する機能を有する。すなわち、ユーザは、所定の物質を測定する場合において、専用のキュベット(図示せず)をキュベット搬送テーブル71に追加または交換する際に、キュベット搬送テーブル71の上方に位置する蓋73(図8参照)を取り外すタイミングをLEDインジケータ63によって確認可能である。キュベット搬送テーブル71が回転中である時には、LEDインジケータ63は、赤色に発光し、キュベット搬送テーブル71が停止中である時には、LEDインジケータ63は、青色に発光するように構成されている。
【0094】
ここで、本実施形態では、試薬の交換または追加が終了した後、第1蓋部30または第2蓋部40のロックがユーザにより行われると、試料分析装置1は、自動的に、交換された試薬が保持される第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320に保持される全ての試薬容器300のバーコード300aの読み取りが行われるように構成されている。これにより、たとえば、1つの試薬を指定して試薬の交換を指示した際に、指定した試薬に加えて、同じ第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320に保持される指定した試薬以外の試薬も交換した場合にも、交換後の試薬の配置が正しく試薬配置画面410に反映される。
【0095】
また、測定機構部2は、さらに、図3〜図5に示すように、キュベット搬送部70と、検体分注アーム80と、第1光学的情報取得部90と、ランプユニット100と、加温部110と、キュベット移送部120と、試薬分注アーム130と、第2光学的情報取得部140と、緊急検体セット部150と、流体部160と、キュベット供給機構部170とを備えている。
【0096】
キュベット搬送部70は、キュベット200を試料分析装置1の各部分に搬送する機能を有する。キュベット搬送部70は、円環形状の第2試薬テーブル12の外側に配置された円環形状のキュベット搬送テーブル71と、キュベット搬送テーブル71上に円周方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた円筒形状の複数のキュベット保持部72と、キュベット搬送テーブル71の上方に設けられる蓋73(図8参照)とからなる。キュベット保持部72は、キュベット200を1つずつ保持するために設けられている。また、蓋73には、穴部73aが設けられており、後述する検体分注アーム80によって、穴部73aを介して、キュベット200に検体が分注される。キュベット搬送テーブル71のキュベット保持部72に保持されたキュベット200(図5参照)には、搬送機構部3の試験管250に収容されている検体および試薬保存部6に保存されている試薬が分注され、測定用試料が調製される。
【0097】
検体分注アーム80は、搬送機構部3により吸引位置2aに搬送された試験管250に収容される検体を吸引するとともに、吸引した検体をキュベット搬送テーブル71のキュベット保持部72に保持されたキュベット200内に、穴部73aを介して分注する機能を有している。
【0098】
第1光学的情報取得部90は、試薬を添加する前の検体中の干渉物質(乳び、ヘモグロビンおよびビリルビン)の有無およびその濃度を測定するために、検体から光学的な情報を取得するように構成されている。具体的には、後述するランプユニット100から照射される5種類の光(340nm、405nm、575nm、660nmおよび800nm)の内の4種類の光(405nm、575nm、660nmおよび800nm)を用いて、干渉物質の有無およびその濃度を測定している。なお、405nmの波長を有する光は、乳び、ヘモグロビンおよびビリルビンのいずれにも吸収される光である。すなわち、405nmの波長を有する光により測定された光学的な情報には、乳び、ヘモグロビンおよびビリルビンの影響が寄与している。また、575nmの波長を有する光は、ビリルビンには実質的に吸収されず、かつ、乳びおよびヘモグロビンに吸収される光である。すなわち、575nmの波長を有する光により測定された光学的な情報には、乳びおよびヘモグロビンの影響が寄与している。そして、660nmおよび800nmの波長を有する光は、ビリルビンおよびヘモグロビンには実質的に吸収されず、かつ、乳びに吸収される光である。すなわち、660nmおよび800nmの波長を有する光により測定された光学的な情報には、乳びの影響が寄与している。また、乳びは、底波長域の405nmから高波長域の800nmまでの波長の光を吸収しており、660nmの波長を有する光の方が、800nmの波長を有する光に比べて、乳びによる吸収が多い。すなわち、800nmの波長を有する光で測定した光学的な情報の方が、660nmの波長を有する光で測定した光学的な情報より、乳びの影響が小さい。
【0099】
この第1光学的情報取得部90による検体の光学的な情報の取得は、第2光学的情報取得部140による検体の光学的な測定(本測定)の前に行われる。第1光学的情報取得部90は、キュベット搬送テーブル71のキュベット保持部72に保持されたキュベット200内の検体から光学的な情報(検体の透過光による情報)を取得する。
【0100】
また、第1光学的情報取得部90は、制御装置4の制御部4aに電気的に接続されており、第1光学的情報取得部90において取得されたデータ(光学的な情報)を制御装置4の制御部4aに送信する。これにより、制御装置4において、第1光学的情報取得部90からのデータの分析(解析)が行われることにより、分岐光ファイバ101から出射される5種類の光に対するキュベット200内の検体の吸光度が求められるとともに、検体中の干渉物質の有無やその濃度などが分析される。そして、本実施形態では、検体中の干渉物質の有無やその濃度などに基づいて、後述する第2光学的情報取得部140で測定した光学的な情報を分析するか否かが判断される。
【0101】
ランプユニット100は、図5に示すように、第1光学的情報取得部90および第2光学的情報取得部140で行われる光学的な測定に用いられる5種類の波長を有する光(340nm、405nm、575nm、660nmおよび800nm)を供給するために設けられている。すなわち、1つのランプユニット100が、第1光学的情報取得部90および第2光学的情報取得部140に対して共通に用いられるように構成されている。また、ランプユニット100の光は、分岐光ファイバ101および分岐光ファイバ102によって、それぞれ、第1光学的情報取得部90および第2光学的情報取得部140に供給される。
【0102】
加温部110は、保温可能なプレート111からなり、10個の凹形状のキュベット保持部111aが設けられている。各キュベット保持部111aは、それぞれ、1つのキュベット200を保持可能であり、検体が分注されたキュベット200をキュベット保持部111aに数分間保持することによって、キュベット200内の検体を約37℃に加温する機能を有する。また、加温部110で加温された検体は、加温が終了してから一定時間内に試薬の分注および測定が行われる。これにより、検体、および、検体と試薬とから調製される測定試料の変質を抑制するとともに、測定結果を安定させることが可能である。
【0103】
また、キュベット移送部120は、キュベット200を、キュベット搬送部70と、保温部110と、第2光学的情報取得部140との間を移送させるために設けられている。キュベット移送部120は、キュベット200を把持する移送用キャッチャ部121と、移送用キャッチャ部121を移動させるための駆動部122とを含む。移送用キャッチャ部121は、駆動部122の駆動により移動領域120a内を移動可能であり、キュベット搬送部70と、加温部110と、第2光学的情報取得部140の測定用載置部141との間でキュベット200の移送を行う。また、移送用キャッチャ部121には振動機能が設けられており、キュベット200を把持した状態でキュベット200を振動させることにより、キュベット200内の検体と試薬とを攪拌することが可能である。
【0104】
試薬分注アーム130は、図3〜図5に示すように、試薬保存部6に載置された試薬容器300内の試薬をキュベット200に分注することにより、キュベット200内の検体に試薬を混合するために設けられている。具体的には、前述した試薬保存部6の外壁部20の穴部22a、22bまたは22cを介して試薬の吸引を行い、加温(37℃)が完了したキュベット200を移送用キャッチャ部121が加温部110のキュベット保持部111aから取り出し、把持した状態で、吸引した試薬をキュベット200に分注する。なお、試薬分注アーム130のピペット部分には、加温機能が設けられており、吸引された試薬は、瞬間的に約37℃に加温される。すなわち、試薬保存部6で低温(約10℃)保存されている試薬は、試薬分注アーム130によって約37℃に加温された状態で、加温が完了した約37℃の検体と混合される。このように、第1光学的情報取得部90による光学的な測定が終了した検体に試薬を添加して測定用試料が調製される。
【0105】
ここで、本実施形態では、試薬分注アーム130の動作中に試薬の交換が指示された場合に、指定された試薬が配置された試薬テーブルから分注対象の試薬の分注作業が行われている場合には、指定された試薬が配置された試薬テーブルからの試薬分注アーム130による分注対象の試薬の分注作業が中止される。この場合、分注対象の試薬が、指定された試薬が配置された試薬テーブルとは別の試薬テーブルにも配置されている場合には、試薬分注アーム130は、指定された試薬が配置された試薬テーブルからの分注対象の試薬の分注作業を中止し、もう一方の試薬テーブルに配置された分注対象の試薬の分注作業を中止することなく実行する。また、分注対象の試薬が、交換が指示された試薬が配置された試薬テーブルにのみ配置されている場合には、試薬分注アーム130は、交換指示時に分注済みの検体(試薬分注待機中の検体)および加温部110において加温中の検体(試薬分注待機中の検体)に対する分注対象の試薬の分注を終了させてから分注動作を停止するように構成されている。これにより、交換指示時に分注済みの検体は、加温部110において加温され、加温後、一定時間内に測定が行われる。同様に、交換指示時に加温部110において加温中の検体も、加温後、一定時間内に測定が行われる。
【0106】
第2光学的情報取得部140は、測定用試料から光学的な情報を測定するための機能を有している。この第2光学的情報取得部140は、図5に示すように、キュベット載置部141と、キュベット載置部141の下方に配置された検出部142とにより構成されている。
【0107】
また、第2光学的情報取得部140の検出部142は、キュベット200内の測定用試料に対して複数の条件下で光学的な測定(本測定)を行うことが可能なように構成されている。また、第2光学的情報取得部140は、制御装置4の制御部4aに電気的に接続されており、取得したデータ(光学的な情報)を制御装置4の制御部4aに送信する。これにより、制御装置4において、予め取得済みの第1光学的情報取得部90からのデータ(光学的な情報)の分析結果に基づいて、第2光学的情報取得部140から送信されたデータ(光学的な情報)が分析されて、表示部4bに表示される。
【0108】
なお、分岐光ファイバ102から照射される660nmの波長を有する光は、Fbg(フィブリノーゲン量)、PT(プロトロンビン時間)およびAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)を測定する際に用いられるメイン波長である。また、800nmの波長を有する光は、Fbg、PTおよびAPTTを測定する際に用いられるサブ波長である。合成基質法の測定項目であるATIIIの測定波長は405nmであり、免疫比濁法の測定項目であるDダイマーおよびFDPの測定波長は800nmである。また、血小板凝集の測定波長は、575nmである。
【0109】
緊急検体セット部150は、図3〜図5に示すように、緊急を要する検体に対しての検体分析処理を行うために設けられている。この緊急検体セット部150は、搬送機構部3から供給された検体に対しての検体分析処理が行われている際に、緊急検体を割り込ませることが可能なように構成されている。また、流体部160は、試料分析装置1のシャットダウン処理の際に、各分注アーム(検体分注アーム80および試薬分注アーム130)に設けられるノズルに洗浄液などの液体を供給するために設けられている。
【0110】
また、キュベット供給機構部170は、ユーザによって無造作に投入された複数のキュベット200をキュベット搬送部70に順次供給することが可能なように構成されている。このキュベット供給機構部170は、図3〜図5に示すように、第1ホッパ171aと、第1ホッパ171aからキュベット200が供給されるとともに、第1ホッパ171aよりも小さい第2ホッパ171bと、第2ホッパ171bからキュベット200が供給される2つの誘導板172と、2つの誘導板172の下端に配置された支持台173と、支持台173から所定の間隔を隔てて設けられた供給用キャッチャ部174とを含んでいる。第1ホッパ171a内に供給されたキュベット200は、第1ホッパ171aよりも小さい第2ホッパ171bを介して、誘導板172上を、支持台173に向かって滑り落ちながら移動するように構成されている。また、支持台173は、誘導板172を滑り落ちて移動したキュベット200を、供給用キャッチャ部174が把持可能な位置まで回転移送する機能を有している。そして、供給用キャッチャ部174は、支持台173により回転移送されたキュベット200をキュベット搬送部70に供給するために設けられている。
【0111】
また、図3〜図5に示すように、測定機構部2には、上述した供給用キャッチャ部174から所定の間隔を隔てて、キュベット200を廃棄するための廃棄用孔181(図3および図5参照)と、廃棄用孔181の下方に設置された廃棄ボックス182とが設けられている。上述した供給用キャッチャ部174は、キュベット搬送部70のキュベット搬送テーブル71上のキュベット200を、廃棄用孔181(図3および図5参照)を介して廃棄ボックス182に廃棄することが可能である。すなわち、供給用キャッチャ部174は、キュベット200の供給と廃棄との両方を行うことが可能である。
【0112】
次に、図4および図5を参照して、試料分析装置1の検体の分析動作について詳細に説明する。なお、ここでは、凝固時間法を用いた測定における動作について説明する。
【0113】
まず、図4に示した試料分析装置1の測定機構部2および制御装置4の電源をそれぞれオン状態にすることにより、試料分析装置1の初期設定が行われる。これにより、キュベット200を移動させるための機構と各分注アーム(検体分注アーム80および試薬分注アーム130)とを初期位置に戻すための動作や、制御装置4の制御部4aに記憶されているソフトウェアの初期化などが行われる。
【0114】
そして、図5に示した搬送機構部3によって、検体を収容した試験管250が載置されたラック251の搬送が行われる。これにより、ラックセット領域3aのラック251が測定機構部2の吸引位置2aに対応する位置まで搬送される。
【0115】
そして、検体分注アーム80により試験管250から所定量の検体の吸引が行われる。そして、検体分注アーム80をキュベット搬送部70のキュベット搬送テーブル71に保持されたキュベット200の上方に移動させる。その後、検体分注アーム80からキュベット搬送テーブル71のキュベット200内に検体が吐出されることにより、キュベット200内に検体が分取される。
【0116】
そして、キュベット搬送テーブル71を回転させて、検体が分注されたキュベット200を第1光学的情報取得部90による測定が可能な位置に搬送する。これにより、第1光学的情報取得部90による検体に対する光学的な測定が行われて、検体から光学的な情報が取得される。具体的には、キュベット搬送テーブル71のキュベット保持部72(図5参照)に保持されたキュベット200内の検体を透過した5種類(340nm、405nm、575nm、660nmおよび800nm)の光による電気信号のデータを制御装置4の制御部4aに送信する。これにより、第1光学的情報取得部90による検体に対する光学的な情報(第1光学的情報)の取得が完了する。
【0117】
そして、制御装置4の制御部4aは、受信したデータ(第1光学的情報)を用いて、検体の吸光度を算出するとともに、検体中の干渉物質(乳び、ヘモグロビン、ビリルビン)の有無およびその濃度を算出する。具体的には、ランプユニット100から照射される4種類(405nm、575nm、660nmおよび800nm)の光を用いて取得された光学的な情報(第1光学的情報)に基づいて、制御装置4の制御部4aは、検体の吸光度を算出し、この吸光度をRAM401cに記憶する。
【0118】
その後、RAM401cに記憶されている吸光度のうち、メイン波長での吸光度が閾値以下か否かが判断される。具体的には、検体の検査項目が「PT」、「APTT」、「Fbg」等の凝固時間法の検査項目の場合には、これらの項目のメイン波長である660nmを有する光を照射して測定された第1光学的情報から算出した吸光度が閾値(たとえば、2.0)以下か否かが判断される。
【0119】
そして、第1光学的情報取得部90で測定された第1光学的情報から算出したメイン波長での吸光度が閾値以下の場合には、キュベット200は、キュベット移送部120により、キュベット搬送テーブル71から加温部110に移送される。そして、加温部110において約37℃になった検体を収容したキュベット200は、キュベット移送部120の移送用キャッチャ部121によって把持される。そして、移送用キャッチャ部121によってキュベット200が把持された状態で、試薬分注アーム130を駆動させて、試薬テーブル(第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12)に載置された試薬容器300内の試薬をキュベット200内の検体に添加する。この状態で、移送用キャッチャ部121の振動機能により、キュベット200内の検体および試薬が攪拌される。これにより、測定用試料の調製が行われる。そして、そのまま、キュベット移送部120により、測定用試料が収容されたキュベット200を第2光学的情報取得部140のキュベット載置部141に移動させる。
【0120】
そして、第2光学的情報取得部140の検出部142によりキュベット200内の測定用試料に対して複数の条件下で光学的な測定(本測定)が行われることによって、測定用試料から光学的な情報(第2光学的情報)が取得される。具体的には、まず、キュベット載置部141のキュベット200へ、ランプユニット100の分岐光ファイバ102から光が照射される。なお、分岐光ファイバ132からは、5つの異なる波長(340nm、405nm、575nm、660nmおよび800nm)の光が照射される。これにより、分岐光ファイバ102から照射され、キュベット200およびキュベット200内の測定用試料を透過した上記各波長の光に対応する電気信号のデータが取得される。
【0121】
そして、5つの異なる波長の光に対応する電気信号のデータが、制御装置4の制御部4aに順次送信される。これにより、第2光学的情報取得部140によって測定用試料に対する光学的な情報(第2光学的情報)の取得が完了する。
【0122】
一方、第1光学的情報取得部90で測定された第1光学的情報から算出したメイン波長での吸光度が閾値より大きい場合には、第1光学的情報取得部90で測定された第1光学的情報から算出したサブ波長での吸光度が閾値以下か否かが判断される。具体的には、検体の検査項目が「PT」、「APTT」、「Fbg」等の凝固時間法の検査項目の場合には、これらの項目のサブ波長である800nmを有する光を照射して測定された第1光学的情報から算出した吸光度が閾値(たとえば、2.0)以下か否かが判断される。
【0123】
そして、第1光学的情報取得部90で測定された第1光学的情報から算出したサブ波長での吸光度が閾値以下の場合には、第2光学的情報取得部140によって測定用試料に対する光学的な情報(第2光学的情報)を取得する。
【0124】
また、一方、第1光学的情報取得部90で測定した第1光学的情報から算出したサブ波長での吸光度が閾値より大きい場合には、検体に含有される干渉物質(ビリルビン、ヘモグロビンおよび乳び)の影響が大きいため信頼性の高い分析を行うことが困難であると判断して、本測定を中止する。これにより、干渉物質の影響を顕著に受けた分析不能な検体に対して、試薬を添加して測定用試料を調製することがないので、試薬が無駄になるのを抑制することが可能となる。なお、信頼性の高い測定を行うことが困難な場合(本測定を中止する場合)として、第1光学的情報取得部90で検出した検体中に干渉物質が多量に存在することにより、検体を透過する光が遮られて、検体を透過する透過光を実質的に検出できない場合などが挙げられる。
【0125】
そして、上記した第2光学的情報取得部140による第2光学的情報の取得(本測定)の後、第2光学的情報取得部140において測定された複数の第2光学的情報の中からメイン波長で測定した測定用試料の第2光学的情報が制御装置4の制御部4aに送信されて、その制御部4aのハードディスク401dにインストールされるアプリケーションプログラム404aにより分析される。たとえば、検体の検査項目が「PT」の場合には、まず、「PT」のメイン波長である660nmを有する光を照射して測定された第2光学的情報が制御装置4の制御部4aに送信される。その後、メイン波長で取得された第2光学的情報を受信した制御部4aが、その第2光学的情報に基づいて、分析結果を出力する。
【0126】
また、同様にして、上記した第2光学的情報取得部140による第2光学的情報の取得(本測定)の後、第2光学的情報取得部140において測定された複数の第2光学的情報の中からサブ波長で測定した測定用試料の第2光学的情報が制御装置4の制御部4aに送信されて、その制御部4aのハードディスク401dにインストールされるアプリケーションプログラム404aにより分析される。具体的には、検体の検査項目が「PT」の場合には、まず、「PT」のサブ波長である800nmを有する光を照射して測定された第2光学的情報が制御装置4の制御部4aに送信される。その後、サブ波長で取得された第2光学的情報を受信した制御部4aが、その第2光学的情報に基づいて、分析結果を出力する。
【0127】
そして、制御装置4の制御部4aによる分析が終了した後には、得られた分析結果を制御装置4の表示部4bに表示する。このようにして、試料分析装置1の検体の分析動作が終了する。
【0128】
図21は、本実施形態による試料分析装置1の制御装置4の制御部4aおよび測定機構部2の制御部501の測定処理フローを説明するためのフローチャートである。次に、図1、図3、図7および図21を参照して、本実施形態による試料分析装置1の制御部4aと制御部501との測定処理フローを説明する。
【0129】
まず、測定機構部2の電源(図示しない)を入れると、ステップS1において、制御部501の初期化(プログラムの初期化)が行われるとともに、測定機構部2の各部の動作チェックが行われる。そして、制御装置4の電源(図示しない)を入れると、ステップS11において、制御部4aの初期化(プログラムの初期化)が行われる。なお、制御部501の初期化が完了すると、制御部501は、制御部4aの初期化完了を示す初期化完了信号を要求し、初期化完了信号を受信すると、試薬保存部6にセットされた全ての試薬のバーコードおよび試薬ラックのバーコードを読み取るようにバーコードリーダ350を制御する。読み取られたバーコード情報は、制御部501から制御部4aに送信され、制御部4aのハードディスク401dに記憶される。
【0130】
次に、ステップS12において、表示部4bにメニュー画面(図示せず)が表示され、ユーザがメニュー画面に表示されたスタートボタンを押すことにより、ステップS13において、測定開始信号が制御部4aから制御部501へ送信される。ステップS12において、スタートボタンが押されなかった場合には、ステップS17に進む。
【0131】
次に、ステップS2において、制御部501によって、測定開始信号の受信が行われたか否かが判断され、測定開始信号の受信が行われたと判断された場合には、ステップS3に進み、測定開始信号の受信が行われなかったと判断された場合には、ステップS6に進む。
【0132】
次に、ステップS3において、キュベット200に分注された検体に試薬を分注する処理が行われる。そして、ステップS4において、第1光学的情報取得部80と第2光学的情報取得部130で、試薬が分注された検体の測定が行われ、ステップS5において、測定結果が、制御部501から制御部4aに送信される。
【0133】
次に、ステップS14において、制御部4aによって、測定結果の受信が行われたか否かが判断され、測定結果の受信が行われた場合には、ステップS15に進み、測定結果の受信が行われなかった場合には、ステップS17に進む。そして、ステップS15において、制御部4aによって、測定結果の分析が行われ、ステップS16において、その分析結果がハードディスク401dに記憶される。
【0134】
次に、ステップS17において、制御部4aによって、試薬配置画面410の表示指示が行われたか否か(メニュー画面から試薬配置画面410を表示するための試薬ボタン(図示せず)が押されたか否か)が判断され、試薬配置画面410の表示指示が行われた場合には、ステップS18に進み、試薬配置画面410の表示指示が行われなかった場合には、ステップS23に進む。そして、ステップS18において、制御部4aによって、試薬配置画面410の表示が行われる。試薬配置画面410が表示される際、制御部4aによって、読み取られたバーコード情報(ステップS1)に基づいて、試薬配置画面410に表示された第1試薬表示領域421、第2試薬表示領域422および試薬情報表示領域430に必要な情報が反映される(図7参照)。
【0135】
次に、ステップS19において、タッチパネル機構を有する表示部4bの試薬配置画面410において、制御部4aによって、交換する試薬の指定が行われた否かが判断される。以下に試薬の指定の詳細を説明する。すなわち、ユーザは、まず、図7に示した試薬配置画面410の試薬配置表示領域420を参照することにより、試薬の配置を確認する。また、ユーザは、複数の第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422の中から試薬が表示されている第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422を直接手で触れることにより任意の試薬を選択して、試薬情報表示領域430に表示される選択した試薬の属性情報を確認する。そして、交換しようとする試薬をユーザが決定した後、交換しようとする試薬が表示されている第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422がユーザにより選択される。ステップS19において、制御部4aによって、試薬の指定が行われたと判断された場合には、ステップS20に進み、試薬の指定が行われなかったと判断された場合には、ステップS23に進む。図7では、試薬位置「A15−6」の試薬「PT−TPC+」が指定されているとともに、試薬情報表示領域430には、試薬「PT−TPC+」の属性情報が表示されている。
【0136】
次に、ステップS20において、試薬交換の指示が行われたと判断された場合には、ステップS21において、試薬交換信号が制御部4aから制御部501へ送信される。その後、ステップS22において、制御部4aによって、試薬交換処理が行われる。ステップS20において、試薬交換の指示が行われなかったと判断された場合には、ステップS23に進む。
【0137】
次に、ステップS23において、制御部4aによって、シャットダウンの指示が行われたか否か(メニュー画面からシャットダウンボタン(図示せず)が押されたか否か)が判断され、シャットダウンの指示が行われたと判断された場合には、ステップS24に進み、シャットダウンの指示が行われなかったと判断された場合には、ステップS12に戻る。そして、ステップS24において、シャットダウン信号が制御部4aから制御部501へ送信されるとともに、制御装置4のシャットダウンが行われ、処理が終了する。
【0138】
次に、ステップS6において、制御部501によって、試薬交換信号の受信が行われたか否かが判断され、試薬交換信号の受信が行われたと判断された場合には、ステップS7に進み、試薬交換信号の受信が行われなかったと判断された場合には、ステップS8に進む。そして、ステップS7において、制御部501によって、試薬交換処理が行われる。
【0139】
次に、ステップS8において、シャットダウン信号の受信が行われたか否かが判断され、シャットダウン信号の受信が行われたと判断された場合には、ステップS9に進み、シャットダウン信号の受信が行われなかったと判断された場合には、ステップS2に戻る。そして、ステップS9において、測定機構部2のシャットダウンが行われ、処理が終了する。
【0140】
なお、制御部501の測定処理フローおいて、ステップS3と、ステップS4と、ステップS7とは、並列処理されている。また、制御部4aの測定処理フローおいて、ステップS15と、ステップS18と、ステップS22とは、並列処理されている。
【0141】
図22は、図21に示したフローチャートのステップS22において制御装置4の制御部4aが行う試薬交換処理の詳細を説明するためのフローチャートである。また、図23は、図21に示したフローチャートのステップS7において測定機構部2の制御部501が行う試薬交換処理の詳細を説明するためのフローチャートである。次に、図3、図7、図22および図23を参照して、本実施形態による試料分析装置1の制御部4aと制御部501の試薬交換処理フローを説明する。
【0142】
まず、図23に示したステップS41において、制御部501によって、前述した試薬分注待機中の検体の中に、交換の指定がされた試薬を保持するラックが配置された試薬テーブル(以下、試薬交換対象テーブル)の試薬を使用するものがあるか否かが判断され、試薬交換信号を受信したときに試薬分注待機中の検体の中に試薬交換対象テーブルの試薬を使用するものがある場合には、ステップS42において、当該検体への試薬の分注を実行する。そして、ステップS41〜ステップS42を繰り返すことにより、試薬交換対象テーブルの試薬を使用する試薬分注待機中の検体に対して、試薬交換対象テーブルからの試薬の分注が全て行われる。これにより、試薬交換の指示が出されたとき試薬分注待機中の検体の中に試薬交換対象テーブルの試薬を使用する検体がある場合には、試薬交換実行前に、その検体に対して、試薬の分注が行われる。一旦、検体がキュベット200に分注されて測定が開始された場合には、その検体に対して、所定時間経過後、試薬を分注する必要があり、それが正しく行われなければ、その検体は測定に使用することができず、廃棄しなければならない。従って、測定が開始された検体(試薬分注待機中の検体)に対して、所定の処理が行われ、測定を中断することなく、測定を完了させる必要がある。また、試薬交換の指示が出されたとき試薬分注待機中の検体の中に試薬交換対象の試薬テーブルの試薬を使用する検体がない場合には、制御部501は、ステップS43以降の処理を実行し、試薬交換動作を行う。つまり、ステップS41において、試薬分注待機中の検体がないか、あったとしても、試薬交換対象テーブルの試薬を使用しない場合には、試薬交換対象テーブルにアクセスする必要がないため、試薬交換動作が実行される。以上のように、試薬交換の指示が出されたとき試薬分注待機中の検体の中に試薬交換対象テーブルの試薬を使用する検体がある場合とない場合との両方において、試薬分注待機中の検体を破棄することがないため、検体を無駄にすることがないうえ、迅速に試薬交換が可能である。
【0143】
次に、ステップS41において、試薬分注待機中の全ての検体が試薬交換対象テーブルの試薬を使用しないと判断された場合には、ステップS43において、制御部501によって、第1駆動部502または第2駆動部503が制御されることにより、試薬交換対象テーブルが回転し、指定された試薬を保持する第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320が取出位置(第1蓋部30または第2蓋部40の下方)に移動される。この処理において、制御部501が試薬交換対象テーブルの駆動回路に対して移動を指示するコマンドを発する。そのコマンドをこの駆動回路が受け付けると、駆動回路が内蔵するステータスレジスタの試薬交換フラグをセットする。つまり、ユーザによって交換指示された試薬が配置された試薬交換対象テーブルについて、上記の試薬交換ステータスをオンにセットするようになっている。なお、試薬交換ステータスは、第1試薬テーブル11の試薬交換ステータスおよび第2試薬テーブル12の試薬交換ステータスのいずれか一方がオンにセットされる。そして、指定された試薬を保持する試薬容器ラックが取出位置に移動されると、ステップS44において、制御部501によって、指定された試薬を保持する試薬容器ラックが取出位置に移動されたことを示す移動終了信号が制御部4aに送信される。なお、制御部501が、第1駆動部502または第2駆動部503に供給した駆動パルス信号のパルス数をカウントすることにより、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12の原点位置からの各試薬テーブル11、12の回転移動量を決定することが可能である。そのため、制御部501は、原点位置からの移動量によって、第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12が取出位置に移動したことを認識することが可能であり、その認識に基づいて移動終了信号を発生させる。
【0144】
制御部501から制御部4aに移動終了信号が送信されると、図22に示すステップS31において、制御部4aによって、移動終了信号を受信したか否かが判断される。ステップS31において移動終了信号の受信が行われた判断された場合には、ステップ32において、指定された試薬を保持する試薬容器ラックが取出位置に移動されたことをユーザに通知する。具体的には、試薬交換部7においては、指定された試薬を保持する試薬容器ラックが取出位置に移動されると、試薬容器ラックの移動中に赤色に発光していたLEDインジケータ61またはLEDインジケータ62が青色に発光する。これにより、指定された試薬を保持する試薬容器ラックが取出位置に移動されたことがユーザに通知される。
【0145】
次に、試薬の交換作業のために、ユーザによって、試薬交換対象テーブルの蓋部のロック機構が解除される。そして、この蓋部のロック検知部からロック解除信号が制御部501へ送られ、ステップS45において、制御部501によって、蓋部のロックが解除されたか否かが判断される。なお、蓋部のロックの解除動作としては、第1蓋部30の場合は、第1蓋部30のハンドル32が矢印A方向(図13参照)と反対方向にユーザにより回動されることによりロックが解除される。また、第2蓋部40の場合は、第2蓋部40のハンドル42が矢印C方向(図13参照)と反対方向にユーザにより回動されることによりロックが解除される。このロックが解除されていることの判断は、以下のように行われる。すなわち、ロック状態(図14参照)からハンドル32またはハンドル42が矢印A方向と反対方向または矢印C方向と反対方向に回動されることにより、第1蓋部30または第2蓋部40のロックが解除された場合には、第1検知部51のマイクロスイッチ51aまたは第2検知部52のマイクロスイッチ52aを押し込んでいる押圧片35bまたは45bによる押圧力が解除される。これにより、第1検知部51のマイクロスイッチ51aまたは第2検知部52のマイクロスイッチ52aは、蓋部のロックが解除されたことを検知するとともに、第1検知部51または第2検知部52による検知信号が制御部501に送信される。
【0146】
なお、ユーザによる試薬の交換作業としては、ロック状態が解除された第1蓋部30または第2蓋部40がユーザにより取り外された後、取出位置(第1蓋部30または第2蓋部40の下方)にある試薬容器ラックの把持部(把持部313または327)がユーザにより把持されて取り出される。そして、ユーザにより、指定された試薬が収容された試薬容器300が、新たな試薬が収容された試薬容器300と交換される。その後、交換後の試薬が配置された試薬容器ラックが取出位置に戻され、ユーザにより第1蓋部30または第2蓋部40が取り付けられてロックされる。なお、蓋部のロック動作としては、第1蓋部30の場合は、第1蓋部30のハンドル32が矢印A方向(図13参照)にユーザにより回動されることによりロックが行われる。また、第2蓋部40の場合は、第2蓋部40のハンドル42が矢印C方向(図13参照)にユーザにより回動されることによりロックが行われる。
【0147】
次に、蓋部のロック検知部からロック信号が制御部501へ送られ、ステップS46において、制御部501によって、蓋部がロックされたか否かが判断される。ステップS46におけるロックされているかどうかの判断は、以下のように行われる。すなわち、ロック解除状態(図13参照)からハンドル32またはハンドル42が矢印A方向または矢印C方向に回動されることにより、第1蓋部30または第2蓋部40がロックされた場合には、第1検知部51のマイクロスイッチ51aまたは第2検知部52のマイクロスイッチ52aが押し込まれるとともに、第1検知部51または第2検知部52による検知信号が制御部501に送信される。これにより、蓋部のロックが行われたという判断が行われる。
【0148】
そして、ステップS46において、制御部501によって第1蓋部30または第2蓋部40がロックされたと判断された場合には、ステップS47において、バーコードの読取動作が行われる。このバーコードの読取動作では、制御部501が、交換された試薬が配置される第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320に対して、バーコードリーダ350によるバーコードの読み取りを行うように、第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12とバーコードリーダ350とを制御する。具体的には、第2試薬容器ラック320、および、第2試薬ラック320に保持されている試薬容器300のバーコード300a、321b〜326bまたは321c〜326cの読み取りを行う際には、第2試薬テーブル12が図5の矢印G方向(反時計回り)に回転されながら、最初に位置情報を識別するためのバーコード321bを読み取る。その後、試薬情報を識別するためのバーコード300aまたは容器無し情報を識別するためのバーコード321cを読み取り、その後、位置情報を表すバーコード322bを読み取る。このように、位置情報(バーコード321b〜326b)と位置情報に対応する試薬情報(バーコード300a)または容器無し情報(バーコード321c〜326c)とを交互に読み取っていく。
【0149】
また、第1試薬容器ラック310、および、第1試薬容器ラック310に保持されている試薬容器300のバーコード300a、311b〜312bまたは311c〜312cの読み取りの際には、まず、第2試薬テーブル12の隙間12a(図5参照)がバーコードリーダ350と対向する位置に到達するように第2試薬テーブル12が回転移動される。その後、第1試薬テーブル11が図5の矢印G方向(反時計回り)に回転されながら、バーコードリーダ350が、隙間12a(図5参照)を介して、上記第2試薬容器ラック320および第2試薬容器ラック320に保持されている試薬容器300のバーコードの読み取りの場合と同様に、位置情報(バーコード311b〜312b)と位置情報に対応する試薬情報(バーコード300a)または容器無し情報(バーコード311c〜312c)とを交互に読み取っていく。また、読み取られた位置情報と、位置情報に対応する試薬情報または容器無し情報とは、制御部501に送られてRAM501cに記憶される。
【0150】
次に、ステップS48において、制御部501によって、RAM501cに記憶されたバーコード読取情報は、制御部4aに送信される。
【0151】
制御部501から制御部4aにバーコード読取情報が送信されると、図22に示すステップS33において、制御部4aによって、バーコード読取情報を受信したか否かが判断される。ステップS33において、バーコード読取情報の受信が行われた判断された場合には、ステップS34において、バーコード読取情報がハードディスク401dに記憶され、ステップS35に進む。ステップS35において、制御部4aによって、ハードディスク401dに記憶されたバーコード読取情報(読み取られた位置情報と、位置情報に対応する試薬情報または容器無し情報など)に基づいて、試薬マスタ、試薬ロットマスタおよび容器マスタを参照して、交換された試薬を保持する試薬ラック中の試薬全てについて、試薬名、容器の種類、ロット番号および有効期限などの詳細情報を取得する。そして、ステップS36において、位置情報と、取得した試薬名、容器の種類、ロット番号および有効期限などの詳細情報とは、制御部4aによって、試薬配置画面410の第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422および試薬情報表示領域430に反映される。
【0152】
図24は、図21に示したフローチャートのステップS3において測定機構部2の制御部501が行う分注処理の詳細を説明するためのフローチャートである。次に、図3、図5、図21および図24を参照して、本実施形態による試料分析装置1の制御部501の分注処理フローを説明する。
【0153】
まず、図24に示すステップS51において、制御部501によって、検体バーコードリーダ3cが制御されることにより、搬送機構部3によって搬送された検体を収容する試験管250に貼付されたバーコードが読み取られる。そして、ステップS52において、制御部501によって、読み取られたバーコード情報に基づいてオーダが取得され、ステップS53に進む。ステップS53において、制御部501によって、第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12の試薬交換ステータスがオンにセットされているか否かが判断される。この処理は、制御部501が試薬交換対象テーブルの駆動回路が内蔵するステータスレジスタを確認することによって行われる。ステップS53において、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12のいずれか一方の試薬交換ステータスがオンにセットされていると判断された場合には、ステップS54に進む。また、ステップS53において、いずれの試薬交換ステータスもオンにセットされていないと判断された場合には、ステップS56に進む。ここで、オーダについて以下に説明する。オーダとは、検体を特定する情報に対応付けられた分析項目を含む情報である。オーダは、制御装置4に接続されたホストコンピュータ(図示せず)に登録されたり、制御装置4にユーザがマニュアル入力することで記憶されるようになっている。検体のバーコード情報を取得した後、制御装置4は、内部に記憶しているオーダから該当するものを検索したり、ホストコンピュータへ検体IDをキーとして問い合わせたりすることでオーダを取得する。制御装置4で取得されたオーダは、制御装置4の制御部4aから測定機構部2の制御部501へ送信され、制御部501はオーダを取得する。
【0154】
次に、ステップS56において、制御部501によって、オーダに従って検体分注駆動部80aが制御され、検体分注アーム80によって、搬送機構部3により搬送された試験管250に収容される検体が吸引されるとともに、吸引された検体がキュベット搬送テーブル61のキュベット保持部62に保持されたキュベット200内に分注される。そして、ステップS57において、制御部501によって、試薬分注駆動部130aが制御され、試薬分注アーム130によって、試薬保存部6の外壁部20の穴部22a、22bまたは22c(図3参照)を介して試薬の吸引が行なわれ、吸引された試薬は、加温が完了したキュベット200に分注される。
【0155】
次に、ステップS53において、制御部501によって、第1試薬テーブル11および第2試薬テーブル12のいずれか一方の試薬交換ステータスがオンにセットされていると判断された場合には、ステップS54において、取得したオーダで指定された分析項目では試薬交換対象テーブルの試薬が使用されるか否かが判断される。ステップS54において、取得したオーダで指定された分析項目では試薬交換対象テーブルの試薬が使用されないと判断された場合には、ステップS56、S57に進み、前述した処理が行われる。また、取得したオーダで指定された分析項目では試薬交換対象テーブルの試薬が使用されると判断された場合には、ステップ55において、取得したオーダを保留する。そして、取得したオーダで指定された分析項目では試薬交換対象テーブルの試薬が使用されないと判断されるまで、ステップS51〜ステップS55が繰り返される。なお、保留されたオーダは、取得したオーダで指定された分析項目では試薬交換対象テーブルの試薬が使用されないと判断された場合には、順番にステップS56、S57の処理が実行される。
【0156】
このように、本実施形態では、試薬交換の指示がなされた場合、試薬交換の指示された試薬が配置された試薬テーブルからの分注を待機させ、試薬交換の指示された試薬が配置されていない試薬テーブルからの分注が実行されるように制御される。
【0157】
本実施形態では、このようにして試薬の交換が行われる。
【0158】
本実施形態では、上記のように、交換対象の試薬の交換が指示された場合、指定された試薬が収容された試薬容器300を、取り出しが可能な取出位置に移動させるように試薬テーブル(第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12)を制御することによって、使用者が交換したい試薬が収容された試薬容器300を取出位置に移動させることができる。
【0159】
また、本実施形態では、上記のように、表示部4bの試薬配置画面410に、第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12に配置された試薬容器300の配置状態を表示することによって、ユーザは、試薬テーブルに配置された試薬容器300の配置状態を確認して、交換する試薬を指定することができる。
【0160】
また、本実施形態では、上記のように、試薬配置画面410において、少なくとも1つの試薬を指定することが可能であるように構成することによって、ユーザは、容易に、試薬配置画面410の第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422の中から少なくとも1つの試薬を指定することができる。
【0161】
また、本実施形態では、上記のように、試薬配置画面410の試薬情報表示領域430に、試薬配置表示領域420において選択された試薬の属性情報を表示することによって、ユーザは、指定した試薬の属性情報を確認することができる。
【0162】
また、本実施形態では、上記のように、試薬が交換された後、バーコードリーダ350により、交換された試薬が収容されている試薬容器300のバーコード300aから試薬情報を取得することによって、試薬を交換した場合に、使用者は、容易に、試薬を管理することができる。
【0163】
また、本実施形態では、上記のように、試薬が交換された場合、交換された試薬が収容された試薬容器300が保持されている試薬容器ラック(第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320)に保持される全ての試薬容器300のバーコード300aから試薬情報を取得することによって、指定した試薬と同じ試薬容器ラックに配置されている指定した試薬以外の試薬を交換した場合であっても、交換した試薬の試薬情報を取得することができる。
【0164】
また、本実施形態では、上記のように、指定された試薬が収容された試薬容器300が保持される試薬容器ラックの取出位置において第1蓋部30または第2蓋部40が開閉可能に構成することによって、第1蓋部30または第2蓋部40の開閉により、容易に、取出位置に移動された試薬容器ラックを取り出すことができるとともに、新たな試薬容器300を配置することができる。
【0165】
また、本実施形態では、上記のように、第1検知部51または第2検知部52によってロック状態が検知された場合に、自動的にバーコードリーダ350により交換された試薬の試薬情報を取得することによって、試薬情報を取得するための操作を別途行うことなく、第1蓋部30または第2蓋部40のロックにより自動的に試薬情報を取得することができる。
【0166】
また、本実施形態では、上記のように、複数の試薬容器300を環状に配置するとともに回転可能な第1試薬テーブル11と、第1試薬テーブル11に対して同心円状に設けられ、試薬容器300を環状に配置可能であるとともに回転可能な第2試薬テーブル12とを設けることによって、第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12のいずれか一方に配置された試薬によって測定試料の分析を行っている場合に、第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12のいずれか他方に配置された試薬の交換を行うことができる。
【0167】
また、本実施形態では、上記のように、指定された試薬が取出位置に移動されたことをLEDインジケータ61または62によってユーザに通知することによって、ユーザは、容易に、試薬が取出位置に移動されたことを確認することができる。
【0168】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0169】
たとえば、上記実施形態では、試薬配置画面410は、制御装置4の表示部4aに表示される例を示したが、本発明はこれに限らず、測定機構部に表示部を設けるとともに、測定機構部の表示部に試薬配置画面を表示するように構成してもよい。
【0170】
また、上記実施形態では、蓋部(第1蓋部30または第2蓋部40)を、ユーザが手動でロック状態を解除し、取り外すように構成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、交換対象の試薬が保持された試薬容器ラック(第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320)が取出位置に移動された場合に、自動的に蓋部(第1蓋部30または第2蓋部40)のロックが解除されるように構成してもよい。また、この場合、ロックが解除されたことをLEDインジケータ61、62または制御装置4の表示部4bによりユーザに通知するように構成してもよい。
【0171】
また、上記実施形態では、交換対象の試薬が保持された試薬容器ラック(第1試薬容器ラック310または第2試薬容器ラック320)が取出位置に移動されたことを、LEDインジケータ61または62によりユーザに通知するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、制御装置4の表示部4bによりユーザに通知するように構成してもよい。
【0172】
また、上記実施形態では、ユーザが、試薬配置画面410の第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422を直接手で触れて選択し、試薬交換・追加ボタン440aを押すことにより、試薬の交換または追加の指定を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ユーザが、第1試薬ラック310または第2試薬ラック320に対応する試薬配置画面410の試薬ラック領域を直接手で触れて選択し、試薬交換・追加ボタン440aを押すことにより、試薬の交換または追加の指定を行うようにしてもよい。
【0173】
また、上記実施形態では、試薬を交換する例を示したが、本発明はこれにかぎらず、試薬を追加することも可能である。以下に、試薬を追加する場合の手順について説明する。
【0174】
試薬を追加する場合は、本実施形態における上記ステップS19において、追加する試薬を配置する保持部311、312または321〜326に対応する第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422の指定が行われる。以下に試薬を追加する場合の試薬表示領域の指定の詳細を説明する。すなわち、ユーザは、図7に示した試薬配置画面410の試薬配置表示領域420によって試薬の配置を確認する。そして、試薬が配置されていない保持部311、312または321〜326に対応する第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422(たとえば、図7の「A15−1」、「B14−2」など)の中から、追加する試薬を保持させる試薬容器ラックの保持部に対応する第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422を直接手で触れて選択する。そして、第1試薬表示領域421または第2試薬表示領域422が指定された状態で、ユーザが試薬交換・追加ボタン440aを押すことにより、追加する試薬の指定が完了する。この後、図22に示すステップS31〜ステップS36、図23に示すステップS41〜ステップS48および図24に示すステップS51〜ステップS57と同様の動作を経ることによって試薬の追加が行われる。
【0175】
また、上記実施形態では、1つの試薬を指定して交換を指示する例を示したが、本発明はこれに限らず、2つ以上の試薬を指定して交換を指示してもよい。2つ以上の試薬を指定して交換を指示する場合を以下に説明する。
【0176】
指定した2つ以上の試薬が全て同じ試薬容器ラックに保持されている場合には、上記ステップS1〜ステップS14と同様の動作を経ることによって試薬の交換が行われる。すなわち、取出位置に移動した試薬容器ラックにおいて、指定した全ての試薬を交換し、蓋部(第1蓋部30または第2蓋部40)のロックを行う。これにより、交換した試薬のバーコードは、全てバーコードリーダ350に読み込まれる。また、指定した2つ以上の試薬が2つ以上の試薬容器ラックに配置されている場合には、試薬の指定順に、試薬容器ラック毎に、上記ステップS1〜ステップS14を経ることによって試薬の交換が行われる。すなわち、最初に指定した試薬が配置される試薬容器ラックが取出位置に移動され、試薬の交換が行われる。そして、交換された試薬についてのバーコードの読み取りが行われ、その読み取り結果が試薬配置画面410に反映される。その後、最初に指定した試薬の次に指定した試薬が配置される試薬容器ラックが取出位置に移動される。そして、上記と同様の手順により、試薬の交換が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明の一実施形態による試料分析装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した試料分析装置の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態による試料分析装置の測定機構部を示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態による試料分析装置の測定機構部および試薬保存部の内部を示す斜視図である。
【図5】図4に示した測定機構部および試薬保存部の内部を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態による試料分析装置の制御装置を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態による制御装置の表示部に表示される試薬配置画面を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による試料分析装置の試薬保存部、試薬交換部、キュベット搬送部、第1蓋部および第2蓋部を示す平面図である。
【図9】本発明の一実施形態による試料分析装置の第1蓋部を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態による試料分析装置の第2蓋部を示す斜視図である。
【図11】図8に示した状態から第1蓋部を取り外した状態を示す平面図である。
【図12】図8に示した状態から第2蓋部を取り外した状態を示す平面図である。
【図13】図8に示した試薬交換部の第1蓋部および第2蓋部のロック状態を示す図である。
【図14】図8に示した試薬交換部の第1蓋部および第2蓋部のロック解除状態を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態による第1試薬容器ラックを示す斜視図である。
【図16】本発明の一実施形態による第2試薬容器ラックを示す斜視図である。
【図17】図15に示した第1試薬容器ラックに試薬容器が保持された状態を示す斜視図である。
【図18】図16に示した第2試薬容器ラックに試薬容器が保持された状態を示す斜視図である。
【図19】本発明の一実施形態による試料分析装置のブロック図である。
【図20】本発明の一実施形態による試料分析装置の測定機構部の制御部のブロック図である。
【図21】本発明の一実施形態による試料分析装置の制御装置の制御部と測定機構部の制御部とによる測定処理を説明するためのフローチャートである。
【図22】図21に示したフローチャートのステップS22において制御装置の制御部が行う試薬交換処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図23】図21に示したフローチャートのステップS7において測定機構部の制御部が行う試薬交換処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図24】図21に示したフローチャートのステップS3において測定機構部の制御部が行う分注処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0178】
1 試料分析装置
2 測定機構部(分析部)
4a 制御部(分析部)
4b 表示部
11 第1試薬テーブル(第1配置部、配置部)
12 第2試薬テーブル(第2配置部、配置部)
30 第1蓋部(蓋部)
31 ロック機構(ロック部)
40 第2蓋部(蓋部)
41 ロック機構(ロック部)
51 第1検知部(ロック状態検知部)
52 第2検知部(ロック状態検知部)
61 LEDインジケータ(第1通知部)
62 LEDインジケータ(第1通知部)
300 試薬容器
310 第1試薬容器ラック(試薬ラック)
311、312 保持部(配置領域)
320 第2試薬容器ラック(試薬ラック)
321〜326 保持部(配置領域)
350 バーコードリーダ(試薬情報取得部)
410 試薬配置画面(受付部)
300a バーコード
311b、312b、321b〜326b バーコード
311c、312c、321c〜326c バーコード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を分析する試料分析装置であって、
試薬が収容された試薬容器を配置するための複数の配置領域を有し、前記複数の配置領域を移動可能な配置部と、
前記試料と前記試薬とが混合されて調製された測定試料を分析する分析部と、
前記複数の配置領域の中から前記試薬を交換または追加するための配置領域の指定を使用者から受け付ける受付部と、
前記配置領域が指定された場合、試薬容器の交換または追加が可能な交換追加位置へ、指定された配置領域を移動させるように前記配置部を制御する制御部とを備える、試料分析装置。
【請求項2】
表示部をさらに備え、
前記表示部は、前記配置領域を指定可能に表示し、
前記受付部は、表示された前記配置領域が選択されることにより、前記配置領域の指定を受け付けるように構成されている、請求項1に記載の試料分析装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記配置部の配置領域に配置された試薬容器の配置状態を表示するように構成されている、請求項2に記載の試料分析装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記配置領域に配置された試薬容器の試薬が指定された場合、前記指定された試薬の属性情報を表示するように構成されている、請求項2または3に記載の試料分析装置。
【請求項5】
前記試薬に関する情報を前記試薬容器から取得する試薬情報取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記試薬が交換または追加された場合、前記交換または追加された試薬の試薬情報を取得するように前記配置部および前記試薬情報取得部を制御するように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項6】
前記配置部が、複数の前記試薬容器を保持するための複数の試薬ラックを着脱可能であり、
前記制御部は、前記試薬が交換または追加された場合、前記交換または追加された試薬が収容された試薬容器が保持されている前記試薬ラック中の試薬容器の試薬情報を取得するように前記配置部および前記試薬情報取得部を制御するように構成されている、請求項5に記載の試料分析装置。
【請求項7】
前記配置部を覆う蓋部をさらに備え、
前記蓋部は、前記交換追加位置において開閉可能に構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項8】
前記蓋部をロックするためのロック部と、
前記ロック部による前記蓋部のロックの状態を検知するロック状態検知部と、
前記試薬に関する情報を前記試薬容器から取得する試薬情報取得部とをさらに備え、
前記制御部は、前記試薬の交換または追加後に、前記ロック状態検知部によって前記ロック状態が検知された場合に、前記配置部に配置された試薬容器から試薬情報を取得するように前記配置部および前記試薬情報取得部を制御するように構成されている、請求項7に記載の試料分析装置。
【請求項9】
前記蓋部をロックするためのロック部をさらに備え、
前記制御部は、前記指定された配置領域が前記交換追加位置に移動された場合に、ロックされた前記蓋部のロックを解除するように前記ロック部を制御するように構成されている、請求項7に記載の試料分析装置。
【請求項10】
前記配置部は、
複数の前記試薬容器が環状に配置されるとともに、回転移動可能な第1配置部と、
前記第1配置部に対して同心円状に設けられ、前記試薬容器を環状に配置可能であり、回転移動可能な第2配置部とを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項11】
指定された配置領域が前記交換追加位置に移動されたことを通知する第1通知部をさらに備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項12】
前記ロック部による前記蓋部のロックが前記制御部によって解除されたことを通知する第2通知部をさらに備える、請求項9に記載の試料分析装置。
【請求項13】
前記配置部が、複数の前記試薬容器を保持するための複数の試薬ラックを着脱可能であり、
前記制御部は、前記配置領域として前記試薬ラックが指定された場合、前記試薬容器の交換または追加が可能な交換追加位置へ、前記指定された試薬ラックを移動させるように前記配置部を制御する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項14】
試料を分析する試料分析装置であって、
試薬が収容された複数の試薬容器を配置可能であり、移動可能な配置部と、
前記試料と前記試薬とが混合されて調製された測定試料を分析する分析部と、
前記配置部に配置された複数の試薬容器に収容された試薬の中から試薬の指定を使用者から受け付ける受付部と、
前記試薬が指定された場合、前記指定された試薬が収容された試薬容器を、取り出しが可能な取出位置に移動させるように前記配置部を制御する制御部とを備えた、試料分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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