説明

試薬容器と試薬カルーセル

【課題】本発明は液体試薬用の試薬容器に関するものであり、前記容器は、円形の扇形、台形、または三角形の形状の容器底部と、容器上部と、容器底部から容器上部に垂直方向に延伸し、互いに容器後部壁から容器前側にいくにつれて先細りする容器側壁を有し、容器上部は開口部を有している。試薬容器が正確に配置され、試薬カルーセルに確実に固定されるように、異なるサイズの試薬容器を調整できるようにするために、本発明は、容器底部を始点として、試薬容器の少なくとも1つの側壁上を容器上部に向かう方向に垂直に延伸する、少なくとも1つの位置決め溝または位置決め停止表面を設けることを提案する。
【解決手段】特別な試薬カルーセルに対して、可能な限り多数の異なる試薬容器を使用できるようにするために、本発明はまた、実質的に円形のカルーセル底部領域を有する試薬カルーセルと、底部領域上に半径方向に配置され、半径方向に延伸する境界により境界を区切られ、試薬容器を保持するように意図されている仕切区画も提案し、ここにおいて、仕切区画の境界を区切る境界は、仕切区画の内部方向を指し、試薬容器の位置決め溝または位置決め停止表面と係合するように意図されている、少なくとも1つの突起物を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体試薬用の試薬容器に関し、実質的に円形の扇形、台形、または三角形の容器底部と、容器上部と、容器底部から容器上部へ実質的に垂直に延伸し、容器後部壁から容器前側へ互いに収束する容器側壁を含み、容器上部は少なくとも1つの閉じることが可能な容器開口部を有している。更に、本発明は実質的に円形のカルーセル(円形試薬容器収容トレー)底部表面と、試薬容器を収容するための、前記カルーセル底部表面上に半径方向に配置された仕切区画を有する試薬カルーセルに関するもので、仕切区画は、半径方向に延伸する境界により画定されている。更に、本発明は上記試薬容器と上記試薬カルーセルを有する自動分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の他領域と同様に、医療および動物医療診断分野においてもまた、必要な方法手順の自動化が進んでいる。これに関連して、特に分析器、つまり分析手順を行うために必要な種々の試薬を自動的に供給された試薬容器から取り出し、分析操作を行うためにその試薬を反応容器において調査対象の物質と統合する自動分析システムが挙げられる。ある分析手順では、1つの試薬のみを使用することが分析を行うために必要となる。他の分析手順では、2種類以上の異なる試薬を供給する必要があり、その量が異なる場合もある。その目的のための種々のシステムが先端技術において知られている。そのようなシステムの1つは、複数の試薬容器を配置できる試薬カルーセルと、制御装置およびピペットアームばかりでなく、カルーセルの回転運動を行うための駆動装置を含む。
【0003】
先端技術において知られている液体試薬容器用の試薬カルーセルは、実質的に円形のカルーセル底部表面を有していることがよくあり、そのカルーセル底部表面上には、試薬容器を収容するための仕切区画が半径方向に配置されている。これらの仕切区画の形状は、それぞれに使用される試薬容器に適合しており、そのために仕切区画は一般的には円形または長方形の仕切区画底部表面を有している。しかし、対応する形状の容器を収容するための、円の扇形形状の仕切区画を有する丸形試薬カルーセルもまた知られている。
【0004】
先端技術において知られている試薬カルーセルでは、試薬容器用の仕切区画は、試薬容器の個々の所与のタイプに適合しており、つまりそれらの仕切区画の底部表面は実質的に、それらの仕切区画に取り付けられる試薬容器の底部表面に対応している。
【0005】
従って、それらの特定の試薬容器たけを、対応して適合されている試薬カルーセルに取り付けることができ、それにより分析器の満足できる操作が可能になる。この点に関して、ピペットアームを有する自動分析システムの場合は、ピペットアームが試薬容器、特に予めプログラムされた位置において正確に試薬を取り出すための開口部を確実に見つけ出すように、試薬容器の正確な位置決めに対しては、非常に強い要請があることに注意すべきである。試薬取出しのための、試薬容器における部分的に非常に小さな開口部を考慮すると、試薬容器とその開口部の位置決めに対しては、非常に小さな許容誤差が望ましい。仕切区画底部表面を完全には埋めることのない試薬容器が試薬カルーセルの仕切区画に取り付けられると、不正確な位置決めという結果および試薬取出しにおける問題を引き起こし得る。従って、仕切区画の形状に正確に適合した形状の試薬容器を先端技術において知られている試薬カルーセルの仕切区画に取り付けることは唯一可能である。
【0006】
分析器により行われる分析操作は、しばしば異なる容量の試薬を必要とするが、異なる試薬容器を、ひとつの同じ試薬カルーセルに収容できることは望ましく、その場合、試薬容器は正確に位置決めされ、かつ分析器の操作中はその位置に確実に維持されるようにす
ることが必要である。可能な限り多数の異なる試薬容器を、試薬カルーセルに適切に位置決めできるシステムは特に有利である。
【0007】
従って、異なるサイズの試薬容器が必要となり、これらの試薬容器は1つ以上の試薬を
収容するのに適しており、かつ異なるテストおよび実験を行うために同一の試薬カルーセルに取り付けることができる。この点に関して、試薬容器は、試薬カルーセルにおいて正確に位置決めされ、操作中は、その位置に確実に固定されるように設計する必要がある。第1カルーセルとは異なる仕切区画サイズを有する第2カルーセルを準備しておく必要はなく、所与の試薬カルーセルに対して試薬容器を選択することに関して、可能な限り高いレベルの柔軟性を提供するシステムに対する需要は全体的にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この目的は、本明細書の最初の部分で記述した種類の液体試薬用試薬容器により達成され、この試薬容器は、少なくとも1つの容器側壁において、容器底部を始点として、容器上部の方向に垂直に延伸する、少なくとも1つの位置決め溝または位置決め接合部表面(突き当て面、当接面)が設けられることを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による試薬容器は、容器の壁の少なくとも1つの上に実質的に垂直に延伸している位置決め溝または位置決め接合部表面を有するという利点がある。そのような位置決め溝または位置決め接合部表面により、仕切区画の内部に延伸し、溝と係合するように、または試薬容器の接合部表面に対して位置するように配置された突起を設けることにより、本発明による試薬容器を、試薬カルーセルの仕切区画に取り付けることが可能になる。係合または接合関係は、好ましくは、確実固定関係(positively locking relationship)
および/または強制固定関係(force-locking relationship)である。
【0010】
本発明による試薬容器上に設けられた溝または接合部表面との突起物の係合または接合により、試薬容器は仕切区画内の所望の位置に導かれ、その位置に固定される。そのようにして、仕切区画の底部表面全体を占めない試薬容器であっても、対応するカルーセル仕切区画の安定した位置に取り付けることができる。試薬容器が対応する位置に取り付けられていて、突起物と溝または接合部表面それぞれとの係合または接合により固定されていれば、これらの試薬容器はもともと取り付けられている位置に操作中も常時確実に留まり、それにより容器上部の容器開口部は、分析器のピペットアームが試薬を取り出すために容器内に入り込むように意図されている位置に常に確実にあるようになる。
【0011】
本発明の文脈における「溝」または「位置決め溝」という用語は、実質的に垂直に容器側壁上を延伸し、試薬カルーセル上で、仕切区画の内部に突出している適切な構造の突起物(例えば、ピンまたはバー(棒))が係合できる、任意の凹部または窪みを示す。
【0012】
本発明の文脈における「接合部表面」または「位置決め接合部表面」という用語は、容器側壁から容器前側または容器後部壁への遷移部の領域における接合部表面を示す。好ましくは、接合部表面は少なくとも1つの容器側壁から容器前側への遷移部における、特に好ましくは、両側壁から容器前側への遷移部における、べーベル(傾斜のある面)の形状をとっている。
【0013】
好ましくは、両容器側壁には、少なくとも1つの位置決め溝または位置決め接合部表面がそれぞれ設けられ、容器底部を始点として、容器上部の方向に垂直に延伸している。特に良好な固定はそのようにして達成される。好適な実施態様では、両容器側壁に設けられた位置決め溝または位置決め接合部表面は、容器後部壁から等間隔に配置される。また、
両容器側壁に設けられた位置決め溝は、容器後部壁から異なる間隔で配置される。
【0014】
本発明による試薬容器の実施態様では、少なくとも1つの位置決め溝または位置決め接合部表面が、本発明による試薬カルーセル中の対応する突起物との係合または接合のために追加的に、容器後部壁および/または容器前部壁にも設けられる。
【0015】
本発明による試薬容器の実施態様では、位置決め溝または位置決め接合部表面は、容器底部を始点として、容器上部に対してある間隔をおいて終端している。他の実施態様では、位置決め溝または位置決め接合部表面は、容器底部から容器上部に延伸している。これにより、容器の壁全体にわたり、仕切区画の内部に突出する試薬容器の突起物による係合のために、仕切区画に取り付けられるとき、および操作中に、試薬容器を特に良好に導くことができ、良好に固定することができる。
【0016】
本発明の特に好適な実施態様では、少なくとも1つの位置決め溝が、容器内部に延伸する、内部に向かう曲線部の形状で設けられる。この実施態様の利点は、本発明により設けられる位置決め溝が、その深さにおいて容器壁の厚さに制限されず、内部に向かう曲線部の構造で、容器内部にも延伸できるので、試薬容器壁が非常に薄くてもよいことである。全体的に、容器は試薬カルーセルの仕切区画容積を最適に使用できるので、それにより試薬容器のより大きな内部容積を達成することが可能になる。
【0017】
更に好適な実施態様では、容器は、容器内部を少なくとも2つの分離チャンバ(仕切られた空間、室)に再分割する少なくとも1つの分離壁またはくびれ(狭窄部)を有する。好ましくは、実質的に垂直に延伸するくびれが、少なくとも1つの容器側壁に設けられ、この少なくとも1つのくびれは、容器部内を通り反対側の側壁それぞれに延伸し、それにより、容器内部は2つの分離した容器に再分割される。容器側壁の2つの相互に対向するくびれが、容器内部で互いに交接すると特に好適である。容器側壁または複数の容器側壁のくびれによる試薬容器内部の再分割は、二重容器、三重容器、または多重容器と称される複数のチャンバを有する容器を提供する。そのような多重容器は、種々の試薬が単一の容器によりカルーセル仕切区画に別々に取り付けられ得るし、それにより、試薬カルーセル位置におけるピペットアームが、テストまたは実験を行うために必要な2つ以上の試薬を取り出すことができるという利点を有している。特に好適な特徴では、くびれまたは分離壁は、容器内部の分離したチャンバが異なる容積を有し、互いの容積比は、好ましくは3対1から5対1となるように試薬容器において設けられる。これは、分析操作のための試薬は、異なる量が必要となることがよくあり、それにより本発明による容器の中の試薬を、その可能性のある消費量に対応するように提供できるようになり、試薬容器のチャンバを一部分だけ充填する必要がなく、またはより多くの量を必要とする試薬が消費された後に、他の試薬または他の複数の試薬を廃棄する必要がないので利点がある。
【0018】
本発明の更なる実施態様では、容器内部を複数のチャンバに分離するためのくびれと位置決め溝は一致する。つまり、くびれは同時に位置決め溝でもある。
【0019】
本発明による試薬容器の特に好適な実施態様では、正確に2つの分離した容器を有する。
【0020】
上記の種類の好適な試薬容器は、各チャンバへのアクセスのために、閉じることが可能な容器開口部が容器上部に設けられ、それにより試薬はそれらの開口部を通して各分離したチャンバへ導入され、そこから取り出され得るという特徴がある。また、個々のチャンバまたは複数のチャンバは容器開口部を有していなくてもよく、その場合は、容器開口部を有していないチャンバは、ブラインドチャンバと称されるものによって示される。
【0021】
試薬容器が2つ以上の閉じることが可能な容器開口部を容器上部に有しているときは、それらの容器開口部は、互いに対して0.1から2cmの間隔であることが望ましい。2
cmの上限は、ピペットアームは、両者の容器開口部から試薬を取り出すために、短い距離のみをカバーすればよいという利点をもたらす。それは、ピペットアームの必要なサイズもまた全体的に縮小できることを意味する。それにより、材料の節約と、また操作時間の節約と、分析器の無駄な容量の削減をもたらすことになる。最小間隔の0.1cmは、
閉じることが可能な容器開口部の蓋を、手動または自動化装置により容易に掴むことができ、隣接する容器開口部の妨げとなることがないという利点がある。容器開口部の蓋がネジ蓋であり、自動化装置により掴まれ、回転により開閉する場合は、好ましくは、2つの閉じることが可能な容器開口部の間隔は0.3〜1cmであり、特に好ましくは0.4〜0.5cmである。
【0022】
試薬容器に導入される試薬に依存して、試薬容器は好ましくは、ビームまたは光に対して透過性がある、または透過性のない材料から構成される。特に好ましくは、試薬容器は耐破損材料から構成される。更に、材料は好ましくは化学的に不活性であり、熱、酸、アルカリ、および放射線に対する耐性がある。特に好適な試薬容器は、プラスチック材料から構成され、好ましくは押出しブロー成形法を使用する。
【0023】
更なる自動化の目的のために、試薬容器上に、光学的、電子的、または機械的に検出可能であり、オペレータおよび/または分析装置が情報を得ることができるマーク(標識)が設けられると特に好ましい。そのような情報は例えば、チャンバの数、個々のチャンバの容積などの試薬容器の大きさと構造に関する情報であり、同時に試薬容器の個々のチャンバの内容物に関する情報である。好ましくは、検出可能なマークはバーコードまたはトランスポンダー(応答機)を含む。
【0024】
本発明による試薬カルーセルは、実質的に円形のカルーセル底部表面と、そのカルーセル底部表面上に半径方向に配置され、本発明による試薬容器を収容するための仕切区画を有しており、この仕切区画は、試薬容器の位置決め溝または位置決め接合部表面との係合用の、仕切区画内部に向いている少なくとも1つの突起物を有して半径方向に延伸する境界により、その境界を区切られている。
【0025】
本発明による試薬容器は、試薬容器を収容するために設けられ、試薬カルーセルの仕切区画内に固定されており、より具体的には、試薬容器が仕切区画を完全には埋めていない場合でも、仕切区画内に固定されている。このようにして、本発明による種々の試薬容器を、操作中の試薬容器の場所を変えることなく試薬カルーセルに取り付けることが可能で、それによりピペットアームは常にプログラムされた位置において、試薬容器に設けられている開口部を常に見つけることができる。
【0026】
仕切区画の範囲を半径方向および横方向に画定する境界は、好ましくは分離壁の形状であり、そこから試薬容器の位置決め溝または位置決め接合部との係合または接合のための突起物がそれぞれの仕切区画の内部に延伸している。また、境界は仕切区画の底部表面に対応する開口部を有する絞り付きプレートの形状であってもよく、前記開口板は、カルーセル底部表面上に配置され、それと実質的に平行である。その場合、それぞれの仕切区画の内部に、本発明に従って突出している突起物は、その開口板上に設けられ、開口板に設けられた開口部内に突出している。
【0027】
好適な実施態様では、各仕切区画に対して、反対側から試薬容器の方向において対向する2つの突起物が、試薬容器の対応する位置決め溝または位置決め接合部との係合または接合のためのピンまたはバーの形状で設けられる。垂直方向に配置されたピンがより多く設けられれば、またはそれぞれのバーがより長ければ、試薬容器を試薬カルーセルに取り
付けるときの誘導効果はそれに応じてもっと良くなる。更に、そのような方法で、操作中の最適な固定もまた確実なものとなる。
【0028】
好ましくは、本発明による試薬カルーセルは一体型であり、特に、射出成形の形状をとっている。
【0029】
本発明による自動分析システムは、上記の種類の試薬カルーセルと、本発明による交換可能な試薬容器を含む。
【0030】
好ましくは、液体容器は、仕切区画底部表面全体を実質的に占めるような寸法を有する。本発明による分析システムの他の実施態様では、液体容器は、仕切区画底部表面の一部のみを占めるような寸法を有し、液体容器により占められる領域は、試薬カルーセル内の仕切区画の半径方向外側の境界、または半径方向内側の境界と、試薬容器上の対応する位置決め接合部との接合のための、仕切区画の横方向の境界における突起物、ピンまたはバーとの間を延伸する。そのような実施態様は、少試薬容量用の試薬容器に関連する材料の節約という利点がある。
【0031】
本発明による分析システムにより、1つのおよび同一の試薬カルーセル内の種々の液体容器の非常に柔軟な使用法が可能になる。このように、1つのカルーセルにおいて、本発明による、仕切区画底部表面全体上に延伸する単一チャンバ液体容器と、試薬カルーセル内の仕切区画の突起物と半径方向外側境界または半径方向内側境界の間に延伸する単一チャンバ液体容器の両者を使用することが可能である。更に、二重チャンバ構造の液体容器も使用可能であり、ここで試薬容器は、仕切区画底部表面全体上と、突起物と半径方向の境界の間の一部の両者において延伸できる。更に、突起物により画定される仕切区画の一部のみに配置されている多重チャンバ試薬容器、または仕切区画全体を埋める多重チャンバ試薬容器を使用することが可能であり、この場合は、チャンバはブラインドチャンバの形状であってもよく、つまり開口部がなくてもよい。すべての試薬容器に関連して重要なことは、これらの試薬容器が、アダプタがなくとも安定した位置で、本発明による分析システムに組み込むことができるということである。それにより、実用化において、多数の異なる組み合わせオプションが可能になる。更に、本発明によるシステムは、例えばより小さな容器を仕切区画に固定するために、摩耗の影響を受け易いバネ類を設ける必要がない。
【発明の効果】
【0032】
必要とされる高い柔軟性に加えて、決定的な利点は、a)異なる適用に対しては異なるカルーセルを提供するという意味での節約と、b)摩耗の影響を受け易く、追加的に固定する必要のあるアダプタまたはバネなしで、長さを縮小した試薬容器を使用する可能性と、c)1つのカルーセルにおいて異なる試薬容器を同時に使用する可能性である。長さを縮小した試薬容器を使用する可能性はまた、試薬容器の製造における材料費の節約にも役立つ。液体容器は、通常は1回だけ使用され、試薬の消費後は廃棄される消耗材料を含むので、これは非常に重要な点である。
【0033】
本発明の更に好適な特徴、および特徴の組み合わせは、添付図と、図の以下の説明により明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による単一チャンバ試薬容器の実施態様の種々の図およびイラストを示している。
【図2】本発明による二重チャンバ試薬容器の実施態様の種々の図およびイラストを示している。
【図3】本発明による長さを縮小した二重チャンバ試薬容器の実施態様の種々の図およびイラストを示している。
【図4】本発明による試薬カルーセルの実施態様の上から見た平面図を示している。
【図5】図4の試薬カルーセルを示す、斜め上方からの透視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1a)から図1d)は、本発明による試薬容器の、いろいろな角度からの図的表現であり、描かれている試薬容器は、単一チャンバの実施態様である。
【0036】
図1a)は、上方から見た試薬容器10の図を示している。この図は、容器上部14と、側壁12、12’、ならびに容器後部壁13と容器前部壁13’も示している。上方から見た図では、図に示す試薬容器は、実質的に三角形の断面を有している。容器上部14には開口部15が設けられている。この図から、容器上部14は位置決め溝16、16’内に続いている凹部17を有していることが分かる。位置決め溝16、16’は側壁12、12’の一部の形状をしており、容器内部に突出している。
【0037】
図1b)は、本試薬容器の実施態様の側面図である。この図から、位置決め溝16は、容器側壁12全体上を実質的に垂直に延伸し、また容器底部11における凹部17内に下面で開口していることが分かる。この図から、開口部15はネジ山を有していることも分かる。従って、本実施態様では、開口部15はネジ蓋により閉じることができる。
【0038】
図1c)は、試薬容器の容器後部壁13の平面図を示している。図1d)は試薬容器の透視図である。図1e)は、図1d)に示す本発明による試薬容器の図の三次元表示である。
【0039】
図2は、本発明による二重チャンバ試薬容器の図的表現の種々の図と、同時に本実施態様の三次元図(図2e)を含む。図a)〜c)は、図1と同様に選択されている。イラスト図d)とe)の透視図は、図1の対応するイラストとは対照的に、前部および上部斜めから示しているのではなく、後部および上部斜めから示している。
【0040】
図2a)は、図1に対して既に記載したものと実質的に同じ特徴を示している。また、図2における実施態様は、側壁12にくびれ19と、側壁12’にくびれ19’を有している。これらのくびれ19、19’は、互いに反対の関係にあり、試薬容器の中心で交接しており、それにより、試薬容器は2つの分離チャンバ18、18’に再分割される。2つのチャンバ18、18’は、それぞれネジ締め可能な開口部15、15’を有している。
【0041】
図3は、本発明による長さを縮小した二重チャンバ試薬容器の図および、三次元イラストa)〜e)を示している。長さの縮小により、試薬容器の底部表面は実質的に台形である。本実施態様でも、試薬容器10は、側壁12のくびれ19、19’により2つのチャンバ18、18’に再分割されている。図2の実施態様においてと同様に、チャンバ18、18’の両者には、閉じることが可能な開口部15、15’が設けられている。この実施態様の特別な点は、側壁12から前部壁13’への遷移部におけるエッジにおいて、ベーベルの形状の位置決め接合部表面16”を有していることである。
【0042】
図4は、試薬カルーセル20の実施態様を示している上方から見た平面図である。図は、特にカルーセル底部表面21と、カルーセル底部表面上に半径方向に配置され、本発明による試薬容器を収容するのに適している仕切区画22を示している。仕切区画22は、実質的に三角形から円形の扇形の仕切区画底部表面23を有している。その半径方向の範囲において、仕切区画22は、カルーセルの中心点の方向において半径方向境界24’と
、外側は半径方向境界24により画定されている。仕切区画22の側面は、横方向境界25により画定されている。仕切区画の内部に突出しているバー27は横方向境界上に設けられている。これらのバー27は、本発明による試薬容器上に設けられている溝16、16’または接合部表面16”と係合するような構造となっている。図示する試薬カルーセルは、射出成形の形状の一体型である。
【0043】
図5は、本発明による試薬カルーセルの図4の実施態様の透視図を示している。図4で既に知ることができる特徴のほかに、図5の図は、分離した壁の形状の半径方向境界および横方向境界24、24’および25の構造、ならびに横方向境界25全体の高さにわたり、カルーセル底部表面21から実質的に垂直に延伸している連続バーの形状の突起物27の構造を追加的に示している。
【0044】
ここでは、本発明による自動化分析システムにおける試薬カルーセルと試薬容器の結合表現はないが、それは本発明による試薬カルーセルにおける、本発明による試薬容器の組み合わせに関するすべての可能なオプションは、当業者には明白であり、対応する表現は本発明を理解するためには必要ないからである。このように、当業者には、図4と図5の試薬カルーセルは、図1の実施態様の試薬容器と、図2と図3に示す実施態様の試薬容器の両者に適合できるということは明白である。更に、図4と図5の試薬カルーセルは、1つのタイプの試薬容器と、本発明による種々のタイプの試薬容器の両者とも同時に適合可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0045】
10 試薬容器
11 容器底部
13 容器後部壁
13’ 容器前側
12、12’ 容器側壁
14 容器上部
15、15’ 容器開口部
16、16’ 位置決め溝
16” 位置決め接合部表面
17、17’ 凹部
18 容器内部
18’、18” チャンバ
19、19’ くびれ
20 試薬カルーセル
21 カルーセル底部表面
22 仕切区画
23 仕切区画底部表面
24、24’ 半径方向境界
25、25’ 横方向境界
27 突起物
【図1a)】

【図1b)】

【図1c)】

【図1d)】

【図1e)】

【図2a)】

【図2b)】

【図2c)】

【図2d)】

【図2e)】

【図3a)】

【図3b)】

【図3c)】

【図3d)】

【図3e)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試薬用の試薬容器(10)であって、実質的に円形の扇形、台形、または三角形の容器底部(11)と、容器上部(14)と、該容器底部(11)から該容器上部(14)へ実質的に垂直に延伸し、容器後部壁(13)から容器前側(13’)へ互いに収束する容器側壁(12、12’)を備え、該容器上部(14)は少なくとも1つの閉じることが可能な開口部(15)を有し、少なくとも1つの容器側壁(12、12’)には、該容器底部を始点として、該容器上部(14)の方向に垂直に延伸する少なくとも1つの位置決め溝(16、16’)または位置決め接合部表面(16”)が設けられていることを特徴とする試薬容器。
【請求項2】
容器側壁(12、12’)の両者において、該容器底部を始点として、該容器上部(14)の方向に垂直に延伸する少なくとも1つの位置決め溝(16、16’)または位置決め接合部表面(16”)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の試薬容器。
【請求項3】
容器側壁(12、12’)の両者に設けられた該位置決め溝(16、16’)または位置決め接合部表面(16”)が、該容器後部壁(13)から等間隔で配置されていることを特徴とする請求項2に記載の試薬容器。
【請求項4】
容器側壁(12、12’)の両者に設けられた該位置決め溝(16、16’)が、該容器後部壁(13)から異なる間隔で配置されていることを特徴とする請求項2に記載の試薬容器。
【請求項5】
該位置決め溝(16、16’)または位置決め接合部表面(16”)が、該容器底部から該容器上部(14)に延伸することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の試薬容器。
【請求項6】
該位置決め溝(16、16’)または位置決め接合部表面(16”)が、該容器底部を始点として、該容器上部(14)に対してある間隔で終端していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の試薬容器。
【請求項7】
該容器が、容器内部(18)を少なくとも2つの分離したチャンバ(20、20’)に再分割する少なくとも1つの分離壁またはくびれ(19)を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の試薬容器。
【請求項8】
該チャンバ(20、20’)のそれぞれにアクセスするために、該容器上部(14)に閉じることが可能な容器開口部(15、15’)が設けられることを特徴とする請求項7に記載の試薬容器。
【請求項9】
該容器が、正確に2つの分離チャンバ(20、20’)を有し、その内部容積の比は、3対1から5対1であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の試薬容器。
【請求項10】
該容器上部(14)における2つの閉じることが可能な容器開口部(15、15’)が、互いに対して、0.1から2cm、好ましくは0.3から1cm、特に好ましくは0.4から0.5cmの間隔であることを特徴とする請求項9に記載の試薬容器。
【請求項11】
該試薬容器が、プラスチック材料から構成され、好ましくは、押出しブロー成形法により構成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の試薬容器。
【請求項12】
該試薬容器上には、光学的に、電子的に、または機械的に検出可能なマーク(標識)、
好ましくはバーコードまたはトランスポンダー(応答機)が設けられていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の試薬容器。
【請求項13】
試薬カルーセル(20)であって、実質的に円形のカルーセル底部表面(21)と、試薬容器(10)を収容するため、前記カルーセル底部表面上に半径方向に配置された仕切区画(22)を有し、該仕切区画が、半径方向に延伸する境界(25)により画定され、仕切区画(22)を画定する該境界(25)が、試薬容器(10)の位置決め溝(16、16’)または位置決め接合部表面(16”)と係合するための、該仕切区画内部方向に向いている少なくとも1つの突起物(27)を有することを特徴とする試薬カルーセル。
【請求項14】
仕切区画(22)を画定する該境界(25)が、分離壁の形状で設けられていることを特徴とする請求項13に記載の試薬カルーセル。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の試薬カルーセル(20)と、請求項1〜13のいずれか1項に記載の交換可能試薬容器(10)を備える自動分析システム。

【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−509144(P2010−509144A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535755(P2009−535755)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062306
【国際公開番号】WO2008/058979
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(509131708)ダイアシス テクノロジーズ エス・ア・エール・エル (3)
【氏名又は名称原語表記】DIASYS TECHNOLOGIES S.A.R.L.
【Fターム(参考)】