説明

試験サンプル中のヒトパピローマウイルスおよびヒトベータグロビン配列を検出するためのプライマーおよびプローブ

本発明は、試験サンプル中のヒトパピローマウイルス、ヒトベータグロビン配列およびヒトパピローマウイルスおよびヒトベータグロビン配列を検出するためのプライマー、プローブ、プライマーセット、プライマーおよびプローブセット、方法およびキットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験サンプル中のヒトパピローマウイルス、ヒトベータグロビン配列およびヒトパピローマウイルスおよびヒトベータグロビン配列を検出するためのプライマー、プローブ、プライマーセット、プライマーおよびプローブセット、方法およびキットに関する。
【背景技術】
【0002】
パピローマウイルスは、ヒトおよび動物の皮膚および粘膜に感染するDNAウイルスである。約130の型のヒトパピローマウイルス(HPV)が特定されており、そのうちの30〜40の型は性的接触により伝染し、肛門性器領域に感染する。これらのHPV型のなかには性器疣贅を引き起こすものもあれば、顕著な感染徴候を何ら引き起こさないものもある。少なくとも14のHPV型、すなわち、16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型が、子宮頚癌に対する高いリスクに関連づけられている。これらの高リスク型HPVの検出は子宮頚癌の予防において重要である。
【0003】
全てのHPV型のゲノムは同様に組織化されている。幾つかの初期(E)および後期(L)タンパク質が特異的にコードされている。DNA複製にはE1およびE2タンパク質が要求される。上皮の上層におけるウイルスゲノムの複製にはE4およびE5タンパク質が要求される。E6およびE7タンパク質は発癌性であり、細胞を不死化するよう及びゲノム不安定性を誘導するよう協同的に働く。L1およびL2タンパク質はウイルスカプシドを形成し、上皮の上層において感染の後期に発現される。ゲノムのもう1つの部分、すなわち、長制御領域(long−control−region)(LCR)は、ウイルスゲノムの適切な複製およびウイルス遺伝子の発現に必要な調節性DNA配列のほとんどを含有する。
【0004】
高リスク型HPVを検出するための種々の方法が案出されている。多数はHPVゲノム内の特有の配列の検出に基づくものである。例えば、HPV 35型の遺伝子の一部に相補的なDNAまたはRNAプローブが、例えば米国特許第4,849,332号に、試験サンプル中のこのHPV型の存在に関するスクリーニングにおいて有用であると記載されている。発癌性HPV型を検出するのに有用な他のプローブ配列が米国特許第6,265,154号に開示されている。米国特許第5,705,627号は、縮重または混合コンセンサスプライマーを使用してHPV DNAを増幅し検出するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用、およびそれに続く、遺伝子型特異的DNAプローブの混合物を使用する型判別を教示している。コンセンサスプライマーを使用する他の例は米国特許第5,364,758号およびKleter,B.ら,Am.J.of Pathology,1998,153(6):1731−39に見出されうる。さらに、当技術分野で公知の方法の多くは、試験サンプル中のヒトベータグロビン配列を検出することをも含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,849,332号明細書
【特許文献2】米国特許第6,265,154号明細書
【特許文献3】米国特許第5,705,627号明細書
【特許文献4】米国特許第5,364,758号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Kleter,B.ら,Am.J.of Pathology,1998,153(6):1731−39
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のとおり、高リスクHPV型を検出するための種々の方法が当技術分野で公知である。そのような方法が存在するにもかかわらず、(1)単一反応において複数のHPV遺伝子型を検出しうると同時に或る特異的遺伝子型の検出を他の遺伝子型の検出から識別しうる、(2)HPV型間の交差反応を全く示さない、(3)確固たる臨床感受性および特異性をもたらす、ならびに(4)ハイスループットおよび効率的処理をもたらす新規方法が当技術分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
概括
1つの実施形態においては、本発明は、試験サンプル中のヒトパピローマウイルス(HPV)16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を増幅するためのプライマーに関する。該プライマーは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの相補体よりなる群から選択される配列を有する。
【0009】
もう1つの実施形態においては、本発明は、試験サンプル中のHPV 16、18、31、35、39、45、51、52、58、59または66型を検出するためのプローブに関する。該プローブは、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号19、配列番号20およびそれらの相補体よりなる群から選択される配列を有する。
【0010】
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、試験サンプル中のヒトベータグロビン配列を増幅するためのプライマーに関する。該プライマーは、配列番号6、配列番号7、配列番号6の相補体、配列番号7の相補体またはそれらのいずれかの組合せの配列を有する。
【0011】
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、試験サンプル中のヒトベータグロビン配列を検出するためのプローブに関する。該プローブは配列番号22またはその相補体の配列を有する。
【0012】
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を増幅するためのプライマーセットに関する。該プライマーセットは以下のものを含む:
(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、それらの相補体およびそれらのいずれかの組合せよりなる群から選択される配列を有する少なくとも1つのフォワードプライマー、ならびに
(b)配列番号4、配列番号5、それらの相補体およびそれらのいずれかの組合せよりなる群から選択される配列を有する少なくとも1つのリバースプライマー。
【0013】
特に、前記プライマーセットは、配列番号1、配列番号2および配列番号3またはそれらの相補体の配列を有するフォワードプライマーを含みうる。前記プライマーセットは、配列番号4および配列番号5またはそれらの相補体の配列を有するリバースプライマーを含みうる。あるいは、該プライマーセットは、配列番号1、配列番号2および配列番号3またはそれらの相補体の配列を有するフォワードプライマーと、配列番号4および配列番号5またはそれらの相補体の配列を有するリバースプライマーとを含みうる。
【0014】
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を検出するためのプライマーおよびプローブセットに関する。該プライマーおよびプローブセットは、
(a)配列番号1、配列番号2および配列番号3またはそれらの相補体の配列を有する3個のフォワードプライマー、ならびに配列番号4および配列番号5またはそれらの相補体の配列を有する2個のリバースプライマーと、
(b)配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有する14個のプローブとを含む。
【0015】
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、試験サンプル中のヒトベータグロビンを検出するためのプライマーおよびプローブセットに関する。該プライマーおよびプローブセットは、
(a)配列番号6またはその相補体の配列を有するフォワードプライマー、および配列番号7またはその相補体の配列を有するリバースプライマーと、
(b)配列番号22またはその相補体の配列を有するプローブとを含む。
【0016】
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型の1以上を検出するための方法に関する。該方法は、
(a)配列番号1、配列番号2および配列番号3またはそれらの相補体の配列を有する3個のフォワードプライマーならびに配列番号4および配列番号5またはそれらの相補体の配列を有する2個のリバースプライマーと試験サンプルを、第1標的配列を生成する増幅条件下で接触させ、
(b)第1標的配列と、該試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型の1以上の存在の指標としての少なくとも1つのプローブとの間のハイブリダイゼーションを検出する工程を含み、ここで、該プローブは、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有する。
【0017】
前記方法において、該増幅条件は、適当な増幅試薬の存在下で行われる増幅反応に該試験サンプルを付すことを含む。また、該増幅反応は、PCR、リアルタイムPCR(限定的なものではないが例えばTaq−Man(登録商標)アッセイ)または逆転写PCR(RT−PCR)を使用することを含みうる。
【0018】
前記方法において、少なくとも1つのプローブは、検出可能な標識で標識されている。当技術分野で公知のとおり、該検出可能標識は少なくとも1つのプローブに直接的に結合されうる。あるいは、該検出可能標識は少なくとも1つのプローブに間接的に結合されうる。さらに、該検出可能標識は直接的に検出可能でありうる。あるいは、該検出可能標識は間接的に検出可能でありうる。例えば、該検出可能標識は、少なくとも1つのプローブの5’末端に結合した蛍光部分を含みうる。さらに、少なくとも1つのプローブは更に、その3’末端に結合した消光部分を含みうる。
【0019】
また、前記方法は更に、
(a)配列番号6またはその相補体の配列を有するフォワードプライマーおよび配列番号7またはその相補体の配列を有するリバースプライマーと試験サンプルを、第2標的配列を生成する増幅条件下で接触させ、
(b)第2標的配列と、該試験サンプル中のヒトベータグロビンの存在の指標としての配列番号22またはその相補体の配列を有するプローブとの間のハイブリダイゼーションを検出する工程を含みうる。
【0020】
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、試験サンプル中のHPV 16型、18型またはHPV 16型および18型の両方を検出する、および/または識別するための方法に関する。該方法は、
(a)配列番号1、配列番号2および配列番号3またはそれらの相補体の配列を有する3個のフォワードプライマーならびに配列番号4および配列番号5またはそれらの相補体の配列を有する2個のリバースプライマーと試験サンプルを、第1標的配列を生成する増幅条件下で接触させ、
(b)第1標的配列と以下のもの:
(i)HPV 16型の存在の指標としての配列番号8またはその相補体の配列を有する第1プローブ(第1プローブは第1検出可能標識で標識されている。)、
(ii)HPV 18型の存在の指標としての配列番号9またはその相補体の配列を有する第2プローブ(第2プローブは第2検出可能標識で標識されており、さらに、第2検出可能標識は、第1検出可能標識とは異なる検出可能標識である。)、
(iii)HPV 31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66または68型の存在の指標としての配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有する1以上の追加的プローブ(そのような1以上の追加的プローブのそれぞれは同一の第3検出可能標識で標識されており、さらに、第3検出可能標識は、第1検出可能標識および第2検出可能標識とは異なる検出可能標識である。)との間のハイブリダイゼーションを検出する工程を含む。
【0021】
前記方法において、該増幅条件は、適当な増幅試薬の存在下で行われる増幅反応に該試験サンプルを付すことを含む。また、該増幅反応は、PCR、リアルタイムPCR(限定的なものではないが例えばTaq−Man(登録商標)アッセイ)またはRT−PCRを使用することを含みうる。
【0022】
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、試験サンプル中のヒトベータグロビンを検出するための方法に関する。該方法は、
(a)配列番号6またはその相補体の配列を有するフォワードプライマーおよび配列番号7またはその相補体の配列を有するリバースプライマーと試験サンプルを、第1標的配列を生成する増幅条件下で接触させ、
(b)第1標的配列と、該試験サンプル中のヒトベータグロビンの存在の指標としての配列番号22またはその相補体の配列を有するプローブとの間のハイブリダイゼーションを検出する工程を含みうる。
【0023】
前記方法において、該増幅条件は、適当な増幅試薬の存在下で行われる増幅反応に該試験サンプルを付すことを含む。また、該増幅反応は、PCR、リアルタイムPCR(限定的なものではないが例えばTaq−Man(登録商標)アッセイ)またはRT−PCRを使用することを含みうる。
【0024】
前記方法において、少なくとも1つのプローブは、検出可能な標識で標識されている。該検出可能標識は少なくとも1つのプローブに直接的に結合されうる。あるいは、該検出可能標識は少なくとも1つのプローブに間接的に結合されうる。さらに、該検出可能標識は直接的に検出可能でありうる。あるいは、該検出可能標識は間接的に検出可能でありうる。例えば、該検出可能標識は、少なくとも1つのプローブの5’末端に結合した蛍光部分を含みうる。さらに、少なくとも1つのプローブは更に、その3’末端に結合した消光部分を含みうる。
【0025】
また、前記方法は更に、
(a)配列番号1、配列番号2および配列番号3またはそれらの相補体の配列を有する3個のフォワードプライマーならびに配列番号4および配列番号5またはそれらの相補体の配列を有する2個のリバースプライマーと試験サンプルを、第2標的配列を生成する増幅条件下で接触させ、
(b)第2標的配列と、該試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型の1以上の存在の指標としての配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有する少なくとも1つのプローブとの間のハイブリダイゼーションを検出する工程を含む。
【0026】
さらにもう1つの態様においては、本発明は、試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を検出するためのキットに関する。該キットは、
(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、それらの相補体およびそれらのいずれかの組合せよりなる群から選択される配列を有する少なくとも1つのフォワードプライマー、
(b)配列番号4、配列番号5、それらの相補体およびそれらのいずれかの組合せよりなる群から選択される配列を有する少なくとも1つのリバースプライマー、ならびに
(c)増幅試薬を含む。
【0027】
前記キットは更に、少なくとも1つのプローブをも含むことが可能であり、ここで、少なくとも1つのプローブは、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体よりなる群から選択される。
【0028】
前記キットは更に、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有するプローブを含む。
【0029】
さらにもう1つの態様においては、本発明は、試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を検出するためのプライマーおよびプローブキットに関する。該キットは、
(a)配列番号1、配列番号2および配列番号3またはそれらの相補体の配列を有する3個のフォワードプライマーならびに配列番号4および配列番号5またはそれらの相補体の配列を有する2個のリバースプライマー、
(b)配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有する14個のプローブ、ならびに
(c)増幅試薬を含む。
【0030】
前記キットは更に、試験サンプル中のヒトベータグロビンを検出するための、配列番号6またはその相補体の配列を有するフォワードプライマーおよび配列番号7またはその相補体の配列を有するリバースプライマーと、配列番号22またはその相補体の配列を有するプローブとを含みうる。
【0031】
さらにもう1つの態様においては、本発明は、試験サンプル中のヒトベータグロビンを検出するためのプライマーおよびプローブキットに関する。該キットは、
(a)配列番号6またはその相補体の配列を有するフォワードプライマーおよび配列番号7またはその相補体の配列を有するリバースプライマー、
(b)配列番号22またはその相補体の配列を有するプローブ、ならびに
(c)増幅試薬を含む。
【0032】
前記キットは更に、
(d)配列番号1、配列番号2および配列番号3またはそれらの相補体の配列を有する3個のフォワードプライマーならびに配列番号4および配列番号5またはそれらの相補体の配列を有する2個のリバースプライマー、ならびに
(e)試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を検出するための配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有する14個のプローブを含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、実施例4に記載されているとおり、培養HPV陽性細胞系からのスパイク化(spiked)細胞の量とベータグロビンシグナルとの間の関係、および1206個の患者子宮頚試料の集団に関するベータグロビンサイクル数の分布を示す。
【図2】図2は、実施例4に記載されているとおり、1206個の患者子宮頚試料の集団に関するベータグロビンサイクル数の分布を示す。前記図1に記載されている関係に関する四分位点。
【図3A】図3Aは、実施例5に記載されているとおり、配列番号1〜5を含むプライマー混合物とGP5+およびGP6+プライマー(配列番号23〜24)との分析性能の比較を示す。
【図3B】図3Bは、実施例5に記載されているとおり、配列番号1〜5を含むプライマー混合物とGP5+およびGP6+プライマー(配列番号23〜24)との分析性能の比較を示す。
【図3C】図3Cは、実施例5に記載されているとおり、配列番号1〜5を含むプライマー混合物とGP5+およびGP6+プライマー(配列番号23〜24)との分析性能の比較を示す。
【図3D】図Dは、実施例5に記載されているとおり、配列番号1〜5を含むプライマー混合物とGP5+およびGP6+プライマー(配列番号23〜24)との分析性能の比較を示す。
【図4A】図4Aは、実施例5に記載されているとおり、HPV 16、18、31、52および59型に特異的な本発明のプローブ(配列番号8〜10、16および19)と米国特許第6,265,154B1号に開示されている同一HPV型に関するプローブ配列との分析性能の比較を示す。
【図4B】図4Bは、実施例5に記載されているとおり、HPV 16、18、31、52および59型に特異的な本発明のプローブ(配列番号8〜10、16および19)と米国特許第6,265,154B1号に開示されている同一HPV型に関するプローブ配列との分析性能の比較を示す。
【図4C】図4Cは、実施例5に記載されているとおり、HPV 16、18、31、52および59型に特異的な本発明のプローブ(配列番号8〜10、16および19)と米国特許第6,265,154B1号に開示されている同一HPV型に関するプローブ配列との分析性能の比較を示す。
【図4D】図4Dは、実施例5に記載されているとおり、HPV 16、18、31、52および59型に特異的な本発明のプローブ(配列番号8〜10、16および19)と米国特許第6,265,154B1号に開示されている同一HPV型に関するプローブ配列との分析性能の比較を示す。
【図4E】図4Eは、実施例5に記載されているとおり、HPV 16、18、31、52および59型に特異的な本発明のプローブ(配列番号8〜10、16および19)と米国特許第6,265,154B1号に開示されている同一HPV型に関するプローブ配列との分析性能の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
詳細な説明
本発明は、試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を増幅および/または検出するために使用されうるプライマー、プローブ、プライマーセットならびにプライマーおよびプローブセットに関する。本発明はまた、本明細書にのプライマーおよびプローブセットを使用する試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型の検出方法に関する。さらに、本発明はまた、試験サンプル中のヒトベータグロビン配列を増幅および/または検出するために使用されうるプライマー、プローブならびにプライマーおよびプローブセットに関する。試験サンプル中のヒトベータグロビンを増幅および/または検出するために使用されるプライマーおよびプローブは、HPVアッセイにおける内部対照アンプリコンを生成させるために使用されうる。さらに、本発明はまた、本明細書にのプライマーおよびプローブセットを使用する試験サンプル中のヒトベータグロビン配列の検出方法に関する。本発明はまた、試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型ならびに/またはヒトベータグロビン配列を検出するためのキットに関する。
【0035】
本発明のプライマーおよびプローブセットは確固たる臨床感度および特異性をもたらす。また、本明細書にのプライマーおよびプローブセットはHPV型間の交差反応性を全く示さない。さらに、本発明のプライマーおよびプローブセットは単一反応において複数のHPV遺伝子型を検出しうると同時に、ある遺伝子型の検出を他の遺伝子型の検出から識別(例えば、部分的遺伝子型判別)しうる。最後に、本発明のプライマーおよびプローブセットはハイスループットおよび効率的処理をもたらす。
【0036】
A.定義
本明細書中で用いる単数形表現は、文脈に矛盾しない限り、複数形対応物を含む。本明細書における数的範囲の列挙に関しては、同程度の精度でその間に介在する各数字が明らかに含まれる。例えば、範囲6〜9の場合には、6および9に加えて7および8の数字が含まれ、範囲6.0〜7.0の場合には、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9および7.0の数字が明らかに含まれる。
【0037】
a)アンプリコン
本明細書中で用いる「アンプリコン」なる語は天然または人工増幅反応の産物を意味する。アンプリコンの一例は、PCR、リアルタイムPCR、RT−PCR、競合RT−PCR、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ギャップLCR、鎖置換(strand displacement)増幅(SDA)、核酸配列に基づく(nucleic acid sequence based)増幅(NASBA)、転写媒介(transcription−mediated)増幅(TMA)などにより産生されたDNAまたはRNA産物(通常は遺伝子、DNAまたはRNAのセグメント)である。
【0038】
b)増幅、増幅方法または増幅反応
本明細書中で用いる「増幅」、「増幅方法」または「増幅反応」は本明細書において互換的に用いられ、試験サンプル中の特異的核酸(全てのタイプのDNAまたはRNA)配列(例えば、標的配列または標的核酸)の集団の呈示量を増加させるための方法またはプロセスを意味する。本発明において用いられうる増幅方法の具体例には、PCR、リアルタイムPCR、RT−PCR、競合RT−PCR、LCR、ギャップLCR、SDA、NASBA、TMAなど(それらの全ては当業者に公知である。)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
c)増幅条件
本明細書中で用いる「増幅条件」なる語は、プライマー配列のアニーリングおよび/または伸長を促進する条件を意味する。そのような条件は当業者によく知られており、選択される増幅方法に左右される。例えば、PCR増幅条件は、一般に、サーマルサイクリング(加熱サイクル循環)、例えば、2以上の温度の間の反応混合物のサイクリングを含む。等温増幅反応においては、反応を開始させるために初期温度上昇が必要かもしれないが、増幅は、サーマルサイクリングを伴わずに生じる。増幅条件は、温度および温度サイクリング、バッファー、塩、イオン強度、pHなど(これらに限定されるものではない。)を含む全ての反応条件を含む。
【0040】
d)増幅試薬
本明細書中で用いる「増幅試薬」なる語は、増幅反応において使用される試薬を意味し、バッファー、試薬、逆転写および/またはポリメラーゼ活性またはエキソヌクレアーゼ活性を有する酵素;酵素補因子、例えばマグネシウムまたはマンガン、塩;ならびにデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、例えばデオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、デオキシチミジン三リン酸(dTTP)およびデオキシウリジン三リン酸(dUTP)(これらに限定されるものではない。)を含みうる。増幅試薬は、用いられる増幅方法に応じて当業者により容易に選択されうる。
【0041】
e)直接的に検出可能および間接的に検出可能
本明細書中で検出可能標識または検出可能部分に関して用いられる場合の「直接的に検出可能」なる語は、該検出可能標識または検出可能部分が、検出可能となるために更なる反応または操作を要しないことを意味する。例えば、蛍光部分は蛍光分光法により直接的に検出可能である。これに対して、本明細書中で検出可能標識または検出可能部分に関して用いられる場合の「間接的に検出可能」なる語は、該検出可能標識または検出可能部分が、更なる反応または操作の後で検出可能となることを意味する。例えば、ハプテンは、蛍光色素のようなレポーターに結合した適当な抗体との反応の後で検出可能となる。
【0042】
f)発蛍光団、蛍光部分、蛍光標識または蛍光色素
「発蛍光団」、「蛍光部分」、「蛍光標識」および「蛍光色素」なる語は本明細書においては互換的に用いられ、1つの波長の電磁放射の量子を吸収し、それに応答して異なる波長、典型的にはより長い波長の1以上の光子を放出する分子を意味する。多種多様な構造および特徴の多数の蛍光色素が本発明の実施における使用に適している。核酸分子を蛍光標識するための方法および物質は公知である(R.P.Haugland,“Molecular Probes:Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals 1992−1994”,5th Ed.,1994,Molecular Probes,Inc.を参照されたい。)。好ましくは、蛍光標識または部分は高い効率で光を吸収し放出し(例えば、用いられる励起波長における高いモル吸収係数および高い蛍光量子収率を示し)、光安定性を示す(例えば、分析を行うのに必要な時間内に光励起に際して有意な分解を受けない。)。それ自体が直接的に検出可能である代わりに、幾つかの蛍光色素は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)と称される過程において、エネルギーを別の蛍光色素に転移し、その第2の色素が検出シグナルを生成する。そのようなFRET蛍光色素ペアも「蛍光部分」なる語に含まれる。物理的に連結された蛍光レポーター/消光剤部分も本発明の範囲内である。これらの態様においては、該蛍光レポーターおよび消光剤部分が、例えばプローブの末端において、接近して維持されている場合、該消光剤部分は該レポーター部分からの蛍光シグナルの検出を妨げる。それらの2つの部分が、例えばDNAポリメラーゼによる切断の後に、物理的に分離されると、該レポーター部分からの蛍光シグナルが検出可能となる。
【0043】
g)ハイブリダイゼーション
本明細書中で用いる「ハイブリダイゼーション」なる語は、ワトソン−クリック塩基対形成または非カノニカル塩基対形成により複合体を形成するのに十分な程度に相補的である核酸配列の間の複合体の形成を意味する。例えば、プライマーが標的配列(鋳型)に「ハイブリダイズ」する場合、そのような複合体(またはハイブリッド)は、DNA合成を開始するために例えばDNAポリメラーゼにより要求されるプライミング機能を発揮するのに十分な程度に安定である。ハイブリダイズする配列は、安定なハイブリッドを形成するために完全な相補性を有する必要はない、と当業者に理解されるであろう。多くの場合、塩基の約10%未満がミスマッチ状態である場合に、安定なハイブリッドが生じるであろう。したがって、本明細書中で用いる「相補的」なる語は、アッセイ条件下、対応相補体と安定な二重鎖を形成するオリゴヌクレオチドに関するものであり、一般に約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%以上の相同性が存在する場合を意味する。少なくとも所望のレベルの相補性を有する配列が安定にハイブリダイズする一方で、より低い相補性を有する配列は安定にハイブリダイズしないような、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを推定し調節する方法は、当業者に理解されている。ハイブリダイゼーション条件およびパラメーターの具体例は、例えばSambrookら,“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,1989,Second Edition,Cold Spring Harbor Press:Plainview,NY;F.M.Ausubel,“Current Protocols in Molecular Biology”,1994,John Wiley&Sons:Secaucus,NJに見出されうる。
【0044】
h)標識(された)、または検出可能標識で標識(された)
本明細書中で用いる「標識(された)」および「検出可能標識(または物質もしくは部分)で標識(された)」なる語は本明細書において互換的に用いられ、物体(例えば、プライマーまたはプローブ)が、例えば別の物体(例えば、増幅産物またはアンプリコン)への結合の後で、可視化されうることを意味する。好ましくは、該検出可能標識は、測定されうるシグナルをそれが生成するように、そしてその強度が結合物体の量に関連づけられる(例えば、比例する)ように選択される。核酸分子(例えば、プライマーおよびプローブ)を標識および/または検出するための多種多様な系が当技術分野でよく知られている。標識核酸は、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、化学的な又はその他の手段により直接的または間接的に検出可能である標識の取り込み又は該標識への結合により調製されうる。適当な検出可能物質には、放射性核種、発蛍光団、化学発光物質、微粒子、酵素、比色標識、磁気標識、ハプテン、モレキュラービーコン(Molecular Beacon)、アプタマービーコンなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
i)プライマー
「プライマー」なる語は、ヌクレオチドおよび核酸重合のための物質(例えば、DNA依存性またはRNA依存性ポリメラーゼ)の存在下、適当な増幅条件(例えば、バッファー、塩、温度およびpH)下に配置された場合に、核酸(全てのタイプのDNAまたはRNA)の相補鎖であるプライマー伸長産物の合成の開始点として作用しうるオリゴヌクレオチドを意味する。該プライマーは一本鎖または二本鎖でありうる。二本鎖の場合、該プライマーを、伸長産物を調製するために使用する前に、まず、その鎖の分離を可能にするために処理する(例えば、変性させる)ことが可能である。そのような変性工程は、典型的には、熱を用いて行われるが、別法として、アルカリの使用およびそれに続く中和により行われうる。本発明のプライマーは、約15〜50ヌクレオチド長、好ましくは約20〜約40ヌクレオチド長、最も好ましくは約22〜30ヌクレオチド長の長さを有する。本発明のプライマーは、本明細書に更に詳しく記載されているものに加えて、追加的なヌクレオチドを含有しうる。例えば、SDAにおいて使用されるプライマーは、標的結合配列の5’側に制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含むことが可能であり(米国特許第5,270,184号および第5,455,166号を参照されたい。)、NASBAおよびTMAプライマーは、該プライマーの標的結合配列に連結されたRNAポリメラーゼプロモーターを含むことが可能である。そのような特殊化配列を、選択される増幅反応において使用される標的結合配列に連結するための方法は、当業者によく知られている。また、ある場合には、プライマーは検出可能標識で標識されうる。
【0046】
「フォワードプライマー」なる語は、標的配列(例えば、鋳型鎖)にハイブリダイズ(またはアニール)するプライマーを意味する。「リバースプライマー」なる語は、標的配列の相補鎖にハイブリダイズ(またはアニール)するプライマーを意味する。フォワードプライマーは、リバースプライマーに対して5’側で、標的配列にハイブリダイズする。
【0047】
j)プライマーセット
本明細書中で用いる「プライマーセット」なる語は、関心のある標的配列または標的核酸(例えば、HPV内の標的配列)の増幅を、一緒になってプライミングしうる2以上のプライマーを意味する。ある実施形態においては、「プライマーセット」なる語は、増幅すべき標的配列または標的核酸の5’末端にハイブリダイズする5’(上流)プライマー(またはフォワードプライマー)と、増幅すべき標的配列または標的核酸の相補体にハイブリダイズする3’(下流)プライマー(またはリバースプライマー)とを含む、プライマーのペアを意味する。そのようなプライマーセットまたはプライマーペアはPCR増幅反応において特に有用である。
【0048】
k)プローブ
本明細書中で用いる「プローブ」なる語は、適当な増幅条件下の標的配列の少なくとも一部(例えば、増幅された標的配列の一部)に選択的にハイブリダイズしうるオリゴヌクレオチドを意味する。一般に、プローブ配列は、「相補的」(すなわち、コードまたはセンス鎖(+)に相補的)または「逆相補的」(すなわち、アンチセンス鎖(−)に相補的)のいずれかであると認められる。本発明のプローブは、約10〜50ヌクレオチド、好ましくは約12〜35ヌクレオチド、最も好ましくは14〜25ヌクレオチドの長さを有する。ある場合には、プローブは検出可能標識で標識されうる。
【0049】
l)プライマーおよびプローブセット
本明細書中で用いる「プライマーおよびプローブセット」なる語は、標的配列または標的核酸の増幅を一緒になってプライミングしうる2以上のプライマーと、標的配列または標的核酸を検出しうる少なくとも1つのプローブとを含む組合せを意味する。該プローブは、一般に、増幅産物(またはアンプリコン)の鎖にハイブリダイズして、増幅産物/プローブハイブリッドを形成し、これは、当業者に公知の通常の技術を用いて検出されうる。
【0050】
m)標的配列または標的核酸
「標的配列」および「標的核酸」なる語は本明細書において互換的に用いられ、その存在または非存在の検出が望まれるものを意味する。本発明の文脈においては、標的配列は、好ましくは、1以上のプライマーが複合体を形成する核酸配列を含む。該標的配列は、適当な増幅条件下でプローブが安定なハイブリッドを形成する、プローブにハイブリダイズする領域をも含みうる。当業者に認識されるとおり、標的配列は一本鎖または二本鎖でありうる。本発明の文脈においては、関心のある標的配列はHPVのL1領域内またはヒトベータグロビン遺伝子のオープンリーディングフレーム内に位置する。
【0051】
n)試験サンプル
本明細書中で用いる「試験サンプル」なる語は、一般に、関心のあるアナライト、例えばHPV、特にHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型、ヒトベータグロビン配列またはそれらの組合せを含有することが疑われる及び/又は試験される生物学的物質を意味する。該試験サンプルは、いずれかの生物学的起源、例えば子宮頚、膣または肛門スワブまたはブラシ、あるいは生理的流体、例えば全血、血清、血漿、間質流体、唾液、眼水晶体液、脳脊髄液、汗、尿、乳、腹水、粘液、鼻水、喀痰、滑液、腹膜液、膣液、月経、羊水、精液など(これらに限定されるものではない。)に由来しうる。該試験サンプルは、生物学的起源から得られたままの状態で直接的に、あるいは該サンプルの特性を修飾するための前処理の後で使用されうる。例えば、そのような前処理は、血液から血漿を調製し、粘液を希釈することなどを含みうる。前処理の方法は、濾過、沈殿、希釈、蒸留、混合、濃縮、妨害成分の不活性化、試薬の添加、細胞溶解などをも含みうる。さらに、液体媒体を形成させるために又はアナライトを遊離させるために固体試験サンプルを修飾することも有益かもしれない。
【0052】
B.プライマー、プローブならびにプライマーおよびプローブセット
1つの実施形態においては、本発明は、試験サンプル中のヒトパピローマウイルス(HPV)16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を増幅するための1以上のプライマーに関する。そのような1以上のプライマーは、以下の表Aに示す配列のいずれか、以下の表Aに示すいずれかの配列の相補体ならびに以下の表Aに示す配列および/またはそれらの相補体の組合せのいずれかを含む又はそれらよりなる配列を有するプライマーを含みうる。
【0053】
【表1】

【0054】
1つの態様においては、本発明は、表Aに記載されているプライマーの1以上を含有する、試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を増幅するためのプライマーセットに関する。特に、該プライマーセットは以下のものを含みうる:
(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、それらの相補体(例えば、配列番号1、配列番号2または配列番号3の相補体の1以上)およびそれらのいずれかの組合せよりなる群から選択される配列を有する少なくとも1つのフォワードプライマー、ならびに
(b)配列番号4、配列番号5、それらの相補体(例えば、配列番号4または配列番号5の相補体の1以上)およびそれらのいずれかの組合せよりなる群から選択される配列を有する少なくとも1つのリバースプライマー。
【0055】
もう1つの実施形態においては、本発明は、試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を検出するための1以上のプローブに関する。そのような1以上のプローブは、以下の表Bに示す配列のいずれか、以下の表Bに示すいずれかの配列の相補体ならびに以下の表Bに示す配列および/またはそれらの相補体の組合せのいずれかを含む又はそれらよりなる配列を有するプローブを含みうる。例えば、そのような1以上のプローブは、以下の表Bに挙げられているただ1つのプローブ、または以下の表Bに挙げられているプローブの1つのただ1つの相補体(例えば、(a)配列番号8、(b)配列番号10の相補体、(c)配列番号12または(d)配列番号21)、以下の表Bに挙げられているプローブの全て(配列番号8〜21)、以下の表Bに挙げられている全てのプローブの相補体(配列番号8〜21の相補体)、あるいは以下の表Bに挙げられているプローブおよび/または以下の表Bに挙げられているプローブの相補体の組合せのいずれか(例えば、(a)配列番号10および配列番号16;(b)配列番号8、配列番号9の相補体、配列番号10、配列番号15および配列番号21;(c)配列番号8の相補体、配列番号9の相補体および配列番号16;(d)配列番号11、配列番号17、配列番号18の相補体および配列番号20の相補体;(e)配列番号8、配列番号9、配列番号12の相補体、配列番号14の相補体および配列番号20;または(f)配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号19および配列番号20)でありうる。
【0056】
【表2】

【0057】
もう1つの実施形態においては、本発明は、前記表Aに記載されているプライマーの1以上と前記表Bに記載されているプローブの1以上とを含有する、試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を検出するためのプライマーおよびプローブセットに関する。例えば、該プライマーおよびプローブセットは以下のものを含みうる:
(a)配列番号1、配列番号2および配列番号3またはそれらの相補体の配列を有する少なくとも1つのフォワードプライマー、ならびに配列番号4および配列番号5またはそれらの相補体の配列を有する少なくとも1つのリバースプライマー、ならびに
(b)配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有する少なくとも1つのプローブ。
【0058】
好ましくは、該プライマーおよびプローブセットは、
(a)配列番号1、配列番号2および配列番号3またはそれらの相補体の配列を有する3個のフォワードプライマー、ならびに配列番号4および配列番号5またはそれらの相補体の配列を有する2個のリバースプライマーと、
(b)配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有する14個のプローブとをを含む。
【0059】
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、試験サンプル中のヒトベータグロビン配列を増幅するためのプライマーに関する。そのような1以上のプライマーは、以下の表Cに示す配列のいずれか、以下の表Cに示すいずれかの配列の相補体ならびに以下の表Cに示す配列および/またはそれらの相補体の組合せのいずれかを含む又はそれらよりなる配列を有するプライマーでありうる。
【0060】
【表3】

【0061】
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、試験サンプル中のヒトベータグロビン配列を検出するためのプローブに関する。該プローブは、actgggcatg tggagacaga(配列番号22)またはその相補体の配列を含む又はそれらよりなる配列を有する。
【0062】
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、配列番号6、配列番号7、配列番号6の相補体および配列番号7の相補体よりなる群から選ばれる少なくとも2つのプライマーを含む、試験サンプル中の内因性ヒトベータグロビンを増幅するためのプライマーセットに関する。好ましくは、該プライマーセットは配列番号6および配列番号7を含む。
【0063】
さらにもう1つの実施形態においては、本発明は、前記表Cに記載されているプライマーまたはそれらの相補体の1以上と配列番号22またはその相補体の配列を有するプローブとを含有する、試験サンプル中の内因性ヒトベータグロビンを検出するためのプライマーおよびプローブセットに関する。例えば、該プライマーおよびプローブセットは、
(a)配列番号6、配列番号7、配列番号6の相補体または配列番号7の相補体の配列を有する少なくとも1つのプライマーと、
(b)配列番号22またはその相補体の配列を有するプローブとを含みうる。
【0064】
好ましくは、該プライマーおよびプローブセットは、
(a)配列番号6またはその相補体の配列を有するフォワードプライマー、および配列番号7またはその相補体の配列を有するリバースプライマーと、
(b)配列番号22またはその相補体の配列を有するプローブとを含む。
【0065】
試験サンプル中のヒトベータグロビンを増幅し検出するための前記のプライマーおよびプローブは、HPVアッセイにおける内部対照(IC)アンプリコンを得るために使用されうる。HPVアッセイにおけるヒトベータグロビンの検出は、細胞妥当性、サンプル抽出および増幅の有効性に関するサンプル妥当性対照として役立つ。より詳しくは、この内部対照は、各試験サンプルが正確なHPV検出のための十分な細胞投入を有し適切に加工されていることを証明するために役立ち、さらに、増幅のインヒビターが存在するかどうかを示す。
【0066】
1以上のオリゴヌクレオチド類似体は、本発明のプライマーおよびプローブに基づいて製造されうる。そのような類似体は代替的構造、例えばペプチド核酸、すなわち「PNA」(例えば、天然に存在する核酸のリン酸糖バックボーンの代わりにペプチド様バックボーンを有する分子)を含有しうる。これらの代替的構造も本発明に含まれる。同様に、本発明のプライマーおよびプローブは核酸塩基の欠失、付加および/または置換を含有しうると理解される。ただし、そのような改変はこれらの配列の特性に負の影響を及ぼすものであってはならない。特に、該改変は、本明細書にのプライマーおよびプローブのハイブリダイズ特性の有意な低下をもたらすべきではない。
【0067】
本発明のプライマーおよびプローブは、当技術分野で公知の種々の方法のいずれかにより製造されうる(例えば、Sambrookら,“Molecular Cloning.A Laboratory Manual”,1989,2.Supp.Ed.,Cold Spring Harbour Laboratory Press:New York,NY;“PCR Protocols.A Guide to Methods and Applications”,1990,M.A.Innis(編),Academic Press:New York,NY;P.Tijssen“Hybridization with Nucleic Acid Probes−Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology(Parts I and II)”,1993,Elsevier Science;“PCR Strategies”,1995,M.A.Innis(編),Academic Press:New York,NY;および“Short Protocols in Molecular Biology”,2002,F.M.Ausubel(編),5.Supp.Ed.,John Wiley & Sons:Secaucus, NJを参照されたい。)。例えば、本明細書にのプライマーおよびプローブは、化学合成、および鋳型に基づく重合(例えば、Narangら,Meth.Enzymol.,.1979,68:90−98;Brownら,Meth.Enzymol.,1979,68:109−151およびBelousovら,Nucleic Acids Res.,1997,25:3440−3444に記載されているとおり)により製造されうる。
【0068】
例えば、プライマーおよびプローブは、ホスホロアミダイト法に基づく自動化固相法を用いて製造されうる。そのような方法においては、各ヌクレオチドは、3’末端において固体支持体に結合されている伸長中のオリゴヌクレオチド鎖の5’末端に個々に付加される。該付加ヌクレオチドは、5’位においてジメトキシトリチル(またはDMT)基により保護された3価3’−ホスホロアミダイトの形態である。塩基誘発性ホスホルアミダイトカップリング後、5価ホスホトリエステル中間体を与える穏やかな酸化およびDMT除去はオリゴヌクレオチド伸長のための新たな部位をもたらす。ついで該プライマーまたはプローブを該固体支持体から切断し、該ホスホジエステルおよび環外アミノ基を水酸化アンモニウムで脱保護する。これらの合成は、オリゴ合成装置、例えばPerkin Elmer/Applied Biosystems,Inc.(Foster City,CA)、DuPont(Wilmington,DE)またはMilligen(Bedford,MA)から商業的に入手可能なもので行われうる。あるいは、本発明のプライマーおよびプローブは、例えばMidland Certified Reagent Company(Midland,TX)、ExpressGen,Inc.(Chicago,IL)、Operon Technologies,Inc.(Huntsville,AL)、BioSearch Technologies,Inc.(Novato,CA)およびその他多数を含む当技術分野でよく知られた種々の商業的入手元で特別に製造され注文されうる。
【0069】
本発明のプライマーおよびプローブの精製は、必要な場合または望まれる場合には、当技術分野でよく知られている種々の方法のいずれかにより行われうる。プライマーおよびプローブの精製は、天然アクリルアミドゲル電気泳動、例えばPearsonら,J.Chrom.,1983,255:137−149に記載されているアニオン交換HPLCまたは逆相HPLC(McFarlandら,Nucleic Acids Res.,1979,7:1067−1080を参照されたい。)。
【0070】
該プライマーおよびプローブの配列は、化学分解(Maxamら,Methods of Enzymology,1980,65:499−560を参照されたい。)、マトリックス支援レーザー脱着イオン化飛行時間(MALDI−TOF)質量分析(Pielesら,Nucleic Acids Res.,1993,21:3191−3196を参照されたい。)(これらに限定されるものではない。)、アルカリホスファターゼおよびエキソヌクレアーゼ消化の組合せの後の質量分析(Wuら.Anal.Biochem.,2001,290:347−352)などを含む当技術分野で公知のいずれかの適当な配列決定方法を用いて確認されうる。
【0071】
前記で既に記載したとおり、修飾プライマーおよびプローブは、当技術分野で公知の幾つかの手段のいずれかを用いて製造されうる。そのような修飾の非限定的な具体例には、メチル化、「キャップ(cap)」、類似体による天然ヌクレオチドの1以上の置換、およびヌクレオチド間修飾、例えば非荷電連結を有するもの(例えば、メチルホスホナート、ホスホトリエステル、ホスホロアミダート、カルバマートなど)または荷電連結(例えば、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアートなど)が含まれる。プライマーおよびプローブは、1以上の追加的な共有結合部分、例えばタンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リシンなど)、インターカレーター(例えば、アクリジン、プソラレンなど)、キレーター(例えば、金属、放射性金属、酸化性金属などをキレート化するためのもの)およびアルキレーターを含有しうる。プライマーおよびプローブは、メチルもしくはエチルホスホトリエステルまたはアルキルホスホルアミダート連結の形成により誘導体化されうる。さらに、本発明のプライマー、プローブまたはプライマーおよびプローブは検出可能標識によっても修飾されうる。
【0072】
前記で言及されているとおり、本発明の或る実施形態においては、該プライマー、プローブまたは該プライマーおよびプローブの両方は、増幅/検出方法において使用される前に、検出可能標識または部分により標識されうる。好ましくは、本明細書にの方法において使用する場合、1以上のプローブが検出可能標識または部分により標識される。検出可能標識の役割は増幅標的配列(例えば、アンプリコン)の可視化および検出を可能にすることである。好ましくは、該検出可能標識は、測定されうるシグナルをそれが生成するように、そしてその強度が、分析される試験サンプル中の増幅産物の量に関連づけられる(例えば、比例する)ように選択される。
【0073】
1以上のプローブと検出可能標識との間の結合は共有結合または非共有結合でありうる。標識プローブは、検出可能部分の取り込み、または検出可能部分への結合により製造されうる。標識は核酸配列に直接的または(例えば、リンカーを介して)間接的に結合されうる。種々の長さのリンカーまたはスペーサーアームが当技術分野で公知であり、商業的に入手可能であり、立体障害を軽減するように又は生じる標識分子に他の有用な若しくは所望の特性を付与するように選択されうる(例えば、Mansfieldら,Mol.Cell.Probes,1995,9:145−156を参照されたい。)。
【0074】
プローブのようなオリゴヌクレオチドを標識するための方法は当業者に公知である。標識プロトコールおよび標識検出技術の総説は例えばL.J.Kricka,Ann.Clin.Biochem.,2002,39:114−129;van Gijlswijkら,Expert Rev.Mol.Diagn.,2001,1:81−91;およびJoosら,J Biotechnol,1994,35:135−153に見出されうる。標準的な核酸標識方法には、放射性物質の取り込み、蛍光色素(Smithら,Nucl.Acids Res.,1985,13:2399−2412を参照されたい。)または酵素(Connolyら,Nucl.Acids.Res.,1985,13:4485−4502を参照されたい。)の直接的結合;核酸分子を免疫化学的に又は他のアフィニティー反応により検出可能にする該核酸分子の化学的修飾(Brokerら,Nucl.Acids Res.,1978,5:363−384;Bayerら,Methods of Biochem.Analysis,1980,26:1−45;Langerら,Proc.Natl.Acad.Sci USA,1981,78:6633−6637;Richardsonら,Nucl.Acids Res.,1983,11:6167−6184;Brigatiら,Virol.,1983,126:32−50;Tchenら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1984,81:3466−3470;Landegentら,Exp.Cell Res.,1984,15:61−72;およびA.H.Hopmanら,Exp.Cell Res.,1987,169:357−368を参照されたい。);酵素媒介標識方法、例えばランダムプライミング、ニックトランスレーション、PCRおよびターミナルトランスフェラーゼによるテーリング(酵素標識に関する総説は、例えばTemsamaniら,Mol.Biotechnol.,1996,5:223−232を参照されたい。)が含まれる。
【0075】
多種多様な検出可能標識のいずれかが本発明において使用されうる。適当な検出可能標識には、種々のリガンド、放射性核種(例えば、32P、35S、H、14C、125I、131Iなど);蛍光色素;化学発光物質(例えば、アクリジニウムエステル、安定化ジオキセタンなど);分光的に分離可能な無機蛍光半導体ナノ結晶(例えば、量子ドット)、金属ナノ粒子(例えば、金、銀、銅および白金)またはナノクラスター;酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ);比色標識(例えば、色素、コロイド金など);磁気標識(例えば、Dynabeads(商標));ならびにビオチン、ジオキシゲニンまたは他のハプテンが含まれ(これらに限定されるものではない。)、抗血清またはモノクローナル抗体のためのタンパク質が利用可能である。
【0076】
ある実施形態においては、本発明の検出プローブは蛍光標識される。多種多様な化学構造および物理特性の多数の公知蛍光標識部分が本発明の実施における使用に適している。適当な蛍光色素には、Biosearch Technologies,Novato,CAから入手可能なQuasar(登録商標)色素、フルオレセインおよびフルオレセイン色素、例えばフルオレセインイソチオシアニンまたはFITC、ナフトフルオレセイン、4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシ−フルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン(例えば、FAM)、VIC、NED、カルボシアニン、メロシアニン、シチリル色素、オキソノール色素、フコエリトリン、エリトロシン、エオシン、ローダミン色素(例えば、カルボキシテトラメチルローダミンまたはTAMRA、カルボキシローダミン6G、カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、リッサミンローダミンB、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミンまたはTMR)、クマリンおよびクマリン色素(例えば、メトキシクマリン、ジアルキルアミノクマリン、ヒドロキシクマリンおよびアミノメチルクマリンまたはAMCA)、オレゴングリーン色素(例えば、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514)、テキサスレッド、テキサスレッド−X、Spectrum Red(商標)、Spectrum Green(商標)、シアニン色素(例えば、Cy−3(商標)、Cy−5(商標)、Cy−3.5(商標)、Cy−5.5(商標))、Alexa Fluor(アレクサフラウアー)色素(例えば、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 660およびAlexa Fluor 680)、BODIPY色素(例えば、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY TMR、BODIPY TR、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665)、IRDyes(例えば、IRD 40、IRD 700、IRD 800)などが含まれるが、これらに限定されるものではない。使用されうる他の適当な蛍光色素、およびプローブのようなオリゴヌクレオチドに蛍光色素を連結または取り込むための方法の具体例は、RP Haugland,“The Handbook of Fluorescent Probes and ResearchChemicals”,Publisher,Molecular Probes,Inc.,Eugene,Oreg.(1992年6月)に見出されうる。蛍光色素および標識キットは例えばAmersham Biosciences,Inc.(Piscataway,N.J.)、Molecular Probes Inc.(Eugene,OR)およびNew England Biolabs Inc.(Beverly,MA)から商業的に入手可能である。
【0077】
幾つかの蛍光基(ドナー)は、それ自体が直接的に検出可能である代わりに、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)の過程において別の蛍光基(アクセプター)にエネルギーを転移し、その第2の基が検出可能な蛍光シグナルを生成する。これらの実施形態においては、該プローブは、例えば、増幅された標的配列にハイブリダイズした場合に検出可能となりうる。本発明における使用に適したFRETアクセプター/ドナーペアの具体例には、例えば、フルオレセイン/テトラメチルローダミン、IAEDANS/FITC、IAEDANS/5−(ヨードアセトミド)フルオレセイン、B−フィコエリトリン/Cy−5およびEDANS/Dabcylが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
物理的に連結された蛍光レポーター/消光分子の使用も本発明の範囲内である。TaqMan(登録商標)アッセイにおける(例えば、米国特許第5,210,015号、第5,804,375号、第5,487,792号および第6,214,979号に記載されているとおり)またはモレキュラービーコンズ(Molecular Beacons)としての(例えば、Tyagiら,Nature Biotechnol.,1996,14:303−308;Tyagiら,Nature Biotechnol.,1998,16:49−53;Kostrikisら,Science,1998,279:1228−1229;Sokolら,Proc.Natl.Acad.Sci USA,1998,95:11538−11543;Marrasら,Genet.Anal,1999,14:151−156;ならびに米国特許第5,846,726号、第5,925,517号、第6,277,581号および第6,235,504号に記載されているとおり)そのような系の使用は当業者によく知られている。TaqMan(登録商標)アッセイ形態では、該増幅反応の産物は、それが「リアルタイム」様態で形成されるにつれて検出されうる。その結果、該反応混合物が増幅条件下にある間に、増幅産物/プローブハイブリッドが形成され、検出される。
【0079】
本発明の幾つかの実施形態においては、該PCR検出プローブは、5’末端において蛍光部分で、そして3’末端において消光部分で標識されたTaqMan(登録商標)様プローブである。TaqMan(登録商標)様プローブで使用される適当な発蛍光団および消光剤は米国特許第5,210,015号、第5,804,375号、第5,487,792号および第6,214,979号ならびにWO 01/86001(それらのそれぞれを参照により本明細書に組み入れることとする。)に開示されている。消光剤の具体例には、DABCYL(例えば、4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸)スクシンイミジルエステル、ジアリールローダミンカルボン酸、スクシンイミジルエステル(またはQSY−7)および4’,5’−ジニトロフルオレセインカルボン酸、スクシンイミジルエステル(またはQSY−33)(それらの全てはMolecular Probes(これはInvitrogen,Carlsbad,CAの一部である。)から入手可能である。)、クエンチャー1(Q1;Epoch Biosciences,Bothell,WAから入手可能)、または「ブラックホールクエンチャー(Black hole quencher」BHQ−1、BHQ−2およびBHQ−3(BioSearch Technologies,Inc.,Novato,CAから入手可能)が含まれるが、これらに限定されるものではない。ある実施形態においては、該PCR検出プローブは、5’末端においてFAMで、そして3’末端においてBlack Hole Quencher(登録商標)またはBlack Hole Quencher(登録商標)plus(共にBiosearch Technologies,Novato,CAから入手可能)で標識されたTaqMan(登録商標)様プローブである。
【0080】
また、通常の又は修飾されたヌクレオチドの「尾部(tail)」が検出目的でプローブに付加されうる。該尾部に相補的であり1以上の検出可能標識(例えば、発蛍光団、酵素、または放射能標識された塩基)を含有する核酸との第2のハイブリダイゼーションは該アンプリコン/プローブハイブリッドの可視化を可能にする。
【0081】
個々の標識技術の選択は状況に左右され、例えば標識方法の容易さ及びコスト、使用される異なる検出可能標識の間のスペクトル間隔、所望のサンプル標識の質、ハイブリダイゼーション反応に対する(例えば、ハイブリダイゼーション過程の速度および/または効率に対する)検出可能部分の効果、用いられる増幅方法の性質、検出系の性質、検出可能標識により生成されるシグナルの性質および強度などのような幾つかの要因によって決まるであろう。
【0082】
C.増幅方法
試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型標的配列ならびにヒトベータグロビン標的配列を増幅するための本発明のプライマーまたはプライマーセットの使用は、いずれかの特定の核酸増幅技術またはそのいずれかの特定の変法に限定されるものではない。実際、本発明のプライマーおよびプライマーセットは、当技術分野で公知の種々の核酸増幅方法(例えば、Kimmelら,Methods Enzymol.,1987,152:307−316;Sambrookら,“Molecular Cloning.A Laboratory Manual”,1989,2.Supp.Ed.,Cold Spring Harbour Laboratory Press:New York,NY;“Short Protocols in Molecular Biology”,F.M.Ausubel(編),2002,5.Supp.Ed.,John Wiley & Sons:Secaucus,NJを参照されたい。)のいずれかにおいて使用されうる。
【0083】
そのような核酸増幅方法には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が含まれるが、これらに限定されるものではない。PCRは、“PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications”,M.A.Innis(編),1990,Academic Press:New York;“PCR Strategies”,M.A.Innis(編),1995,Academic Press:New York;“Polymerase chain reaction:basic principles and automation in PCR.A Practical Approach”,McPhersonら(編),1991,IRL Press:Oxford;Saikiら,Nature,1986,324:163;ならびに米国特許第4,683,195号、第4,683,202号および第4,889,818号(これらに限定されるものではない。)(それらのそれぞれの全体を参照により本明細書に組み入れることとする。)のような多数の参考文献に記載されている。TaqMan(登録商標)に基づくアッセイ(Hollandら,Proc.Natl.Acad.Sci,1991,88:7276−7280を参照されたい。)および逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(またはRT−PCR;例えば米国特許第5,322,770号および第5,310,652号(それらのそれぞれを参照により本明細書に組み入れることとする。)に記載されている。)を含むPCRの変法も含まれる。
【0084】
一般に、PCRにおいては、プライマーのペアを、対象から得た試験サンプルに過剰に加えて(したがって該試験サンプルと接触させて)、該標的核酸の相補鎖にハイブリダイズさせる。該プライマーのそれぞれを、該標的配列を鋳型として使用して、DNAポリメラーゼにより伸長させる。該伸長産物は、元の標的鎖からの解離(変性)の後、標的自体となる。ついで新たなプライマーをハイブリダイズさせ、該ポリメラーゼにより伸長させ、該サイクルを繰返して、アンプリコンのコピーの数を指数関数的に増加させる。PCR反応においてプライマー伸長産物を産生しうるDNAポリメラーゼの具体例には、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント、T4 DNAポリメラーゼ、種々の入手元(例えば、Perkin Elmer,Waltham,MA)から入手可能な、テルムス・アクアティクス(Thermus aquaticus)(Taq)から単離された熱安定性DNAポリメラーゼ、テルムス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)(USB Corporation,Cleveland,OH)、バシラス・ステレオサーモフィラス(Bacillus stereothermophilus)(Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA)、AmpliTaq Gold(登録商標)Enzyme(Applied Biosystems,Foster City,CA)、組換えテルムス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)(rTth)DNAポリメラーゼ(Applied Biosystems,Foster City,CA)またはテルモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)(「Vent」ポリメラーゼ,New England Biolabs,Ipswich,MA)が含まれるが、これらに限定されるものではない。RNA標的配列は、mRNAをcDNAへ逆転写(RT)し次いでPCR(RT−PCR)を行うこと(前記のとおり)により増幅されうる。あるいは、米国特許第5,322,770号(これを参照により本明細書に組み入れることとする。)に記載されているとおり、両方の工程に単一酵素が使用されうる。
【0085】
前記の酵素的熱増幅方法に加えて、本発明のプライマーおよびプライマーセットを使用してHPVまたはベータグロビン標的配列を増幅するために等温酵素的増幅反応が用いられうる(Andrasら,Mol.Biotechnol.,2001,19:29−44)。これらの方法には、転写媒介増幅(Transcription−Mediated Amplification)(TMA;TMAはKwohら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86:1173−1177;Giachettiら,J Clin.Microbiol.,2002,40:2408−2419;および米国特許第5,399,491号に記載されている。);セルフサステインド配列複製(Self−Sustained Sequence Replication)(3SR;3SRはGuatelliら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1990,87:1874−1848;およびFahyら,PCR Methods and Applications,1991,1:25−33);Nucleic Acid Sequence Based Amplification(NASBA;NASBAはKievitsら,J Virol.Methods,1991,35:273−286;および米国特許第5,130,238号に記載されている。)および鎖置換増幅(Strand Displacement Amplification)(SDA;SDAはWalkerら,PNAS,1992,89:392−396;EP 0 500 224 A2に記載されている。)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0086】
鎖置換増幅は、制限エンドヌクレアーゼがその標的DNAの未修飾鎖に切れ目を入れる能力と、該切れ目における3’末端を伸長させ該下流DNA鎖を一定温度で除去するエキソヌクレアーゼ欠損DNAポリメラーゼの作用とを併せ持つ(Walkerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1992を参照されたい。)。SDAにおいて使用されるプライマーは、標的結合配列の5’側の部位における制限エンドヌクレアーゼ認識を含む(米国特許第5,270,184号および第5,344,166号(それらのそれぞれを参照により本明細書に組み入れることとする。)を参照されたい。)。
【0087】
核酸配列に基づく増幅(Nucleic Acid Sequence Based Amplification)(NASBA)は、低い等温度、一般には41℃で協同的に作用する3種の酵素(例えば、RNアーゼH、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素およびT7 RNAポリメラーゼ)を利用する(Compton,Nature,1991,350:91−92;Chanら,Rev.Med.Microbiol,1999,10:185−196を参照されたい。)。NASBA反応の産物は主として一本鎖RNAである。
【0088】
セルフサステイニング配列複製(Self Sustaining Sequence Replication)(3SR)反応は、標的DNAまたはRNA配列の等温増幅のための非常に効率的な方法である。3SR系は、AMV逆転写酵素、大腸菌(E.coli)RNアーゼHおよびDNA依存性RNAポリメラーゼ(例えば、T7 RNAポリメラーゼ)の集合的活性を含む。
【0089】
転写媒介増幅(TMA)は、プライマー領域において操作されたプロモーターからRNAを得るためのRNAポリメラーゼ、RNA鋳型から相補的DNAを得るための逆転写酵素、および該RNAをcDNAから除去するためのRNアーゼHを利用する(Guatelliら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1990を参照されたい。)。
【0090】
NASBA、3SRおよびTMAプライマーは、該プライマーの標的結合配列に連結されたRNAポリメラーゼプロモーターを要する。該プライマー内への取り込みのためのプロモーターまたはプロモーター配列は、RNAポリメラーゼにより特異的に認識される核酸配列(天然に存在するもの、合成的に製造されたもの、または制限消化の産物のいずれか)であり、ここで、該RNAポリメラーゼは、その配列を認識し、それに結合し、転写の過程を開始させて、それによりRNA転写産物を与える。有用なプロモーターの具体例には、あるバクテリオファージポリメラーゼにより認識されるもの、例えば、バクテリオファージT3、T7もしくはSP6に由来するもの、または大腸菌(E.coli)に由来するプロモーターが含まれる。
【0091】
D.検出方法
本発明の或る実施形態においては、本明細書にのプローブは、該増幅反応により生じた増幅産物を検出するために使用される。本明細書にのプローブは、よく知られた種々の均一または不均一法を用いて使用されうる。
【0092】
均一検出方法には、該プローブに結合しており標的配列の存在下でシグナルを放出するFRET標識、モレキュラービーコンズ(Molecular Beacons)(Tyagiら,Nature Biotechnol.,1996,14:303−308;Tyagiら,Nature Biotechnol,1998,16:49−53;Kostrikisら,Science,1998,279:1228−1229;Sokolら,Proc.Natl.Acad.Sci USA,1998,95:11538−11543;Marrasら,Genet.Anal.,1999,14:151−156;ならびに米国特許第5,846,726号、第5,925,517号、第6,277,581号および第6,235,504号を参照されたい。)およびTaqMan(登録商標)アッセイ(米国特許第5,210,015号、第5,804,375号、第5,487,792号および第6,214,979号ならびにWO 01/86001を参照されたい。)の使用が含まれるが、これらに限定されるものではない。これらの検出技術を用いて、該増幅反応の産物は、それが形成されるにつれて、すなわち、リアルタイム様態で検出されうる。その結果、該反応混合物が増幅条件下にある間に、増幅産物/プローブハイブリッドが形成され、検出される。
【0093】
ある実施形態においては、本発明のプローブはTaqMan(登録商標)アッセイにおいて使用される。TaqMan(登録商標)アッセイにおいては、蛍光シグナルの生成をモニターすることにより、加熱サイクリングと共に、分析を行う。該アッセイ系は、標的コピー数の決定を可能にする定量的データを生成する能力を有する。例えば、1以上のHPV型またはヒトベータグロビン配列の予め定量された懸濁液の系列希釈を用いて、標準曲線が作成可能であり、それに対して、未知サンプルが比較可能である。TaqMan(登録商標)アッセイは、前記のとおり、蛍光レポーター色素と消光部分との両方で標識されたプローブを消化するために、例えば、内因性5’ヌクレアーゼ活性を有するAmpliTaqGold(商標)DNAポリメラーゼを使用して、簡便に行われる。該プローブが消化されるにつれて増幅サイクル中に生じる蛍光の変化を測定し、蛍光部分と消光部分とを分離し、標的配列の増幅に比例する蛍光シグナルの増加を引き起こさせることにより、アッセイ結果を得る。
【0094】
均一検出方法の他の具体例には、ハイブリダイゼーション保護アッセイ(HPA)が含まれる。そのようなアッセイにおいては、非ヌクレオチド系リンカーアーム化学(米国特許第5,585,481号および第5,185,439号を参照されたい。)を用いて、高化学発光性分子であるアクリジニウムエステル(AE)(Weeksら,Clin.Chem.,1983,29:1474−1479;Berryら,Clin.Chem.,1988,34:2087−2090を参照されたい。)で該プローブを標識する。化学発光はアルカリ性過酸化水素でのAEの加水分解により誘発される。この場合、該加水分解は、励起されたN−メチルアクリドンを与え、ついでこれは光の放出と共に不活性化される。標的配列の非存在下では、AEの加水分解は迅速である。しかし、該プローブが標的配列に結合している場合には、AEの加水分解の速度は著しく低下する。したがって、ハイブリダイズしたAE標識プローブおよびハイブリダイズしていないAE標識プローブが、物理的分離を要することなく、溶液中で直接的に検出可能である。
【0095】
不均一検出系も当技術分野でよく知られており、一般には、増幅された配列を反応混合物中の他の物質から分離するために捕捉物質を使用する。捕捉物質は、典型的には、1以上の特異的結合配列でコーティングされた固体支持物質(例えば、マイクロタイターウェル、ビーズ、チップなど)を含む。結合配列は、本発明のオリゴヌクレオチドプローブに付加された尾部配列に相補的でありうる。あるいは、結合配列は捕捉オリゴヌクレオチドの配列に相補的であることが可能であり、それ自体が、プローブの尾部配列に相補的な配列を含みうる。該捕捉物質に結合した増幅産物/プローブハイブリッドを残りの反応混合物から分離した後、該増幅産物/プローブハイブリッドはいずれかの検出方法(例えば、本明細書に記載されているもの)を用いて検出されうる。
【0096】
E.試験サンプル中のHPVおよびヒトベータグロビンの検出
もう1つの実施形態においては、本発明は、(a)試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型の存在を検出するための方法、(b)試験サンプル中のヒトベータグロビン配列を検出するための方法、ならびに(c)試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型とヒトベータグロビン配列との存在を検出するための方法を提供する。
【0097】
典型的には、本発明の方法は、まず、試験サンプルを被験者(対象)から得ることを含む。試験サンプルが得られうる被験者はいずれかの哺乳動物である。好ましくは、哺乳動物には、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、ラット、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ブタ、ウマ、非ヒト霊長類およびヒトが含まれるが、これらに限定されるものではない。試験サンプルは、当業者に公知の通常の技術を用いて被験者から得られうる。好ましくは、試験サンプルは、(i)HPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型の少なくとも1つ、ならびに/または(ii)少なくとも1つのヒトベータグロビン配列を含有する又はその疑いがある。
【0098】
試験サンプルを被験者から得た後、本明細書に開示されているプライマーセットまたはプライマーおよびプローブセットの少なくとも1つからのプライマー(および場合によっては1以上のプローブ)と該試験サンプルを接触させて、反応混合物を形成させる。ついで該反応混合物を増幅条件下に配置する。該プライマーは該試験サンプル中のいずれかのHPV核酸およびいずれかのヒトベータグロビン核酸にハイブリダイズする。該サンプル中に存在するHPVまたはヒトグロビン核酸を増幅させ、少なくとも1つの増幅産物(すなわち、少なくとも1つの標的配列)を得る。
【0099】
少なくとも1つの増幅産物と本発明のプローブの少なくとも1つ(例えば、本明細書にのプライマーおよびプローブセットからの1以上のプローブ)との間のハイブリダイゼーションを検出することにより、少なくとも1つの増幅産物を検出する。特に、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有するプローブの1以上での少なくとも1つの増幅産物の検出は試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型の少なくとも1つの存在を示す。配列番号22またはその相補体の配列を有するプローブと該増幅産物とのハイブリダイゼーションの検出は試験サンプル中のヒトベータグロビン配列の存在を示す。好ましくは、本発明の方法は、試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型ならびにヒトベータグロビン配列(対照として加えられたもの)の少なくとも1つを検出することを含む。最も好ましくは、少なくとも1つのHPV型およびヒトベータグロビン配列の検出は同時に行われる。
【0100】
また、本発明の方法は、試験サンプルにおいて存在し検出されたHPV型を部分的に遺伝子型判別(例えば、識別)するためにも用いられうる。例えば、試験サンプル中に存在する異なるHPV型の同定を促進するために、本明細書にの方法において用いられるプローブのそれぞれは、異なる色の光を放出する異なる検出可能標識で標識されうる。しかし、好ましくは、本発明の方法における使用の場合、配列番号8の配列を有するプローブは、特有の色(例えば、赤)を放出する第1検出可能標識で標識され、配列番号9の配列を有するプローブは、同様に特有の色(例えば、緑)を放出し第1検出可能標識とは異なる第2検出可能標識で標識される。配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有するプローブの1以上をも配列番号8および9と共に該方法において使用する場合には、これらのプローブのそれぞれは同一の検出可能標識で標識されうるであろう(すなわち、それぞれは、第3の特有の色(例えば、黄)を放出する第3検出可能標識で標識されるであろう)。したがって、本明細書にのHPVプローブ(表Bを参照されたい。)と共に種々のタイプの標識を使用することは、試験サンプル中のHPVの存在を検出することだけでなく、該サンプル中に存在する特定の型を特異的に同定することも可能にする。試験サンプル中のHPV 16型および18型の検出および/または識別(例えば、配列番号8および配列番号9の配列を有するプローブを使用することによるもの)が有用かつ重要である。なぜなら、これらの2つのHPV型が子宮頚癌の少なくとも70%を引き起こすからである。
【0101】
F.キット
もう1つの実施形態においては、本発明は、本明細書にの方法に従う、HPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型ならびにヒトベータグロビン配列の検出に有用な物質および試薬を含むキットを提供する。該キットは診断検査所、実験研究所または開業医により使用されうる。ある実施形態においては、該キットは、本明細書のB節にのプライマーセットまたはプライマーおよびプローブセットの少なくとも1つ、および場合によっては増幅試薬を含む。各キットは、好ましくは、特定の増幅方法のための増幅試薬を含む。したがって、NASBAでの使用に適合化されたキットは、好ましくは、標的結合配列に連結されたRNAポリメラーゼプロモーターと共にプライマーを含有し、一方、SDAでの使用に適合化されたキットは、好ましくは、標的結合配列の5’側に制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含むプライマーを含有する。同様に、該キットがTaqMan(登録商標)アッセイのような5’ヌクレアーゼアッセイにおける使用に適合化された場合、本発明のプローブは少なくとも1つの蛍光レポーター部分と少なくとも1つの消光部分を含有しうる。
【0102】
適当な増幅試薬は更に、例えば、バッファー、試薬、逆転写酵素および/もしくはポリメラーゼ活性またはエキソヌクレアーゼ活性を有する酵素、酵素補因子、例えばマグネシウムまたはマンガン;塩;該増幅反応を行うのに適したデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)の1以上を含む。例えば、NASBAでの使用に適合化されたキットは適当な量の逆転写酵素、RNアーゼHおよびT7 RNAポリメラーゼを含有しうる。NASBAのような転写増幅反応に適合化されたキットにおいては、例えば、該増幅反応を増強することが知られているDMSOを含有するバッファーが含まれうる。
【0103】
方法に応じて、キットは更に、洗浄バッファー、ハイブリダイゼーションバッファー、標識バッファー、検出手段および他の試薬の1以上を含みうる。該バッファーおよび/または試薬は、好ましくは、該キットが意図する個々の増幅/検出技術に最適化される。該方法の種々の工程を行うためのこれらのバッファーおよび試薬を使用するためのプロトコールも該キットに含まれうる。
【0104】
さらに、キットは、増幅効率に関する検査基準としての、該増幅の失敗による偽陰性試験結果の発生を防ぐための、細胞妥当性、サンプル抽出を確認するなどのための内部対照を備えていることが可能である。最適な内部対照配列は、それが増幅反応における標的核酸配列と競合しないように選択される。好ましくは、該内部対照は、本明細書においてB節に既に記載されているベータグロビンプライマー(すなわち、配列番号6、配列番号7、配列番号6の相補体または配列番号7の相補体の少なくとも1つ)とプローブ(すなわち、配列番号22または配列番号22の相補体)とを含む。
【0105】
キットは、核酸抽出前の増幅前の試験サンプルからの核酸の単離のための試薬をも含有しうる。
【0106】
該試薬は固体(例えば、凍結乾燥体)または液体形態で供給されうる。本発明のキットは、場合によっては、それぞれの個々のバッファーおよび/または試薬のための種々の容器(例えば、バイアル、アンプル、試験管、フラスコまたはボトル)を含みうる。各成分は、一般に、そのそれぞれの容器内にアリコート化されるものが、または濃縮形態で提供されるものが好適であろう。増幅/検出アッセイの或る工程を行うのに適した他の容器も提供されうる。個々の容器は、好ましくは、市販用に密閉されて維持される。
【0107】
キットは、本明細書にの増幅試薬およびプライマーセットまたはプライマーおよびプローブを使用するための説明、試験サンプルを加工し、核酸分子を抽出し、および/または試験を行うための説明、ならびに得られた結果を解釈するための説明、ならびに政府機関により規定された形態の注意書きをも含みうる。そのような説明は、場合によっては、印刷された形態、またはCD、DVDもしくは記録媒体の他のフォーマットでありうる。
【0108】
限定的でない例示として、本開示の具体例を以下に示すこととする。
【実施例1】
【0109】
材料および方法
A.HPVおよびベータグロビンのプライマーおよびプローブの設計
実施例2〜6において使用する全てのオリゴヌクレオチドは、当業者に公知の標準的なオリゴヌクレオチド合成法を用いて合成した。該プローブの全ては、当技術分野で公知の通常の技術を用いて標識された、5’末端に発蛍光団を有し3’末端に消光部分を有する一本鎖オリゴヌクレオチドである。該5’標識はVIC(この緑色標識色素は、HPV16に特異的なプローブ(すなわち、配列番号8;B節の表Bを参照されたい。)を標識するために使用した。)、NED(この黄色標識は、HPV18に特異的なプローブ(すなわち、配列番号9;B節の表Bを参照されたい。)を標識するために使用した。)、FAM(この青色標識色素は、HPV31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66または68に特異的なプローブ(例えば、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21;B節の表Bを参照されたい。)を標識するために使用した。)、またはウエーサー(Quasar)(ヒトベータグロビン配列番号22に対するもの)である。3’標識はブラックホールクエンチャー(Black Hole Quencher)(BHQ)、例えばBHQ1−dT(HPV16、31、33、35、45、51、56、59、66または68に特異的なプローブ(B節の表Bを参照されたい。)を標識するために使用した。)、BHQ2−dT(HPV18(B節の表Bを参照されたい。)またはヒトベータグロビン(配列番号22)に特異的なプローブを標識するために使用した。)、またはBHQ1プラス(HPV39、52または58に特異的なプローブ(B節の表Bを参照されたい。)を標識するために使用した。)である。
【0110】
B.リアルタイムPCR
磁気微粒子技術を用いて、サンプルからHPV DNAを抽出し、濃縮し、精製した。該技術は、核酸を捕捉し、該粒子を洗浄して未結合サンプル成分を除去する(例えば、米国特許第5,234,809号を参照されたい。)。該結合核酸を溶出し、増幅に備えた。保存されたL1領域を標的化する3個のフォワードプライマー(すなわち、配列番号1、配列番号2および配列番号3;B節の表Aを参照されたい。)および2個のリバースプライマー(すなわち、配列番号4および配列番号5;B節の表Aを参照されたい。)のHPVプライマー混合物を、HPV標的を増幅するために使用した。それらの3個のフォワードプライマー(配列番号1〜3)および2個のリバースプライマー(配列番号4〜5)は本明細書においては「HPVプライマー混合物」と総称される。14個のヒト(HR)HPV遺伝子型(HPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型)に関するシグナルを遺伝子型特異的プローブ(すなわち、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21;B節の表Bを参照されたい。)で生成させた。これらのプローブの14個全ては本明細書においては「HPVプローブセット」と総称される。ヒトベータグロビン標的を、内因性ヒトベータグロビン配列を標的化するプライマーセット(配列番号6および7)で増幅し、ベータグロビンプローブ(配列番号22)で検出した。該PCR反応は、該プライマーおよびプローブのほかに、14単位のAmpliTaq Gold酵素、7mM 塩化マグネシウム(活性化試薬として)および他の増幅試薬(Trisバッファー中に0.6mM dNTP、73.5nM ROX基準色素を含有する。)よりなるものであった。
【0111】
以下のサイクリング条件を用いて、Abbott m2000rt装置(Abbott Molecular Inc.,Des Plaines,IL)上でリアルタイム増幅/検出を行った:92℃で10分間の1サイクル;91℃で30秒間および54℃で30秒間の4サイクル;91℃で30秒間、52℃で30秒間(サイクル当たり1秒間の自動伸長を伴う)および50℃で40秒間の38サイクル。該38サイクルの読取り工程(50℃)中に蛍光測定を記録した。
【実施例2】
【0112】
遺伝子型包含性および部分的遺伝子型判別
この実施例においては、14個の遺伝子型のそれぞれからのHPV DNA標的を含有する51個のサンプルを、個別に及び組合せて、実施例1のHPVプライマー混合物およびHPVプローブセットを使用して試験した。実施例1に記載されているとおりにリアルタイムPCRを行った。各HPV DNA標的を反応当たり400,000コピーの濃度で試験した。以下の表1に示すとおり、前記の51個のサンプルからの結果は、単一の遺伝子型を有する14個のサンプル、2個の遺伝子型を有する25個のサンプルおよび3個の遺伝子型を有する12個のサンプルを含んでいた。また、表1に示すとおり、これらの結果は正確に示されており、HPV 16およびHPV 18 DNAの存在または非存在は各場合において正確に判別された。この実施例は、そのような特有のHPVプライマー混合物およびHPVプローブセットが14個のHR HPV遺伝子型(HPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68)を検出しHPV16およびHPV18をその他の12個のHR HPV遺伝子型から識別しうることを実証している。
【0113】
【表4】


【実施例3】
【0114】
プローブハイブリダイゼーション特異性
実施例1に記載されているHPVプローブセットのハイブリダイゼーション特異性を示すために、2つの研究を行った。反応当たり約10,000,000コピーの濃度の個々のHPVプラスミドDNA標的の存在下、単一のHR HPVプローブ(表2を参照されたい。)を使用して、または全14個のHR HPVプローブ(表3を参照されたい。)を含有する混合物を使用して、実施例1に記載されているとおりにリアルタイムPCRを行った。表2および3に示されているそれらの2つの研究の結果は、選択されたHPVプローブの特異性を示している。
【0115】
【表5】

【0116】
【表6】

【実施例4】
【0117】
細胞妥当性対照としてのベータグロビンの検出
ヒトベータグロビンを細胞妥当性対照として利用するためには、リアルタイムPCRの結果の分析から得られたサイクル数(CN)における場合と同様に、該ベータグロビンシグナルが臨床試料からの細胞投入の量の指標となるべきである。
【0118】
培養HPV陽性細胞系からの細胞投入の量とベータグロビンシグナルとの間の相関性を評価するための研究を行った。該ベータグロビンシグナルと細胞投入量との間の相関性を図1に示す。以前のCNにより示されたとおり、該研究は、細胞投入の濃度の増加が、より高いベータグロビン検出効率と相関することを示している。
【0119】
また、臨床サンプルにおけるベータグロビンCN分布を評価するための別の研究を行った。PreservCyt(登録商標)溶液(Cytyc Corporation,Marlborough,MA)中に集められた1206個の患者子宮頚試料を分析し、図2に示す。該集団の25%、50%および75%四分位値は、それぞれ、21.29、22.41および23.78のベータグロビンCNを有し、17.47の最小CNおよび36.01の最大CNを有する。この研究は、ベータグロビンが細胞妥当性対照として利用されうることを示している。
【0120】
実施例1に記載されているヒトベータグロビンプライマーおよびプローブをリアルタイムPCRにおいて使用して、図1および2に示す結果を得た。
【実施例5】
【0121】
プライマーおよびプローブ設計の分析性能
この実施例は2つの研究の結果を示す。第1の研究は、一般に使用されるコンセンサスGP5+/GP6+プライマー(GP5+プライマー;TTTGTTACTGTGGTAGATACTAC−3’(配列番号23)、GP6+プライマー:5’−GAAAAATAAACTGTAAATCATATTC−3’(配列番号24))と比較して改善された、実施例1のHPVプライマー混合物の分析性能を示した。この研究は、実施例1に記載されているとおりにリアルタイムPCRを用いて行った。本発明の特有のHPVプライマー混合物とコンセンサスGP5+/GP6+プライマーとの性能を、CN値を用いて評価した。結果を表4および図3A〜3Dに示す。性能の改善(CN改善値>1)が10/13のHPV遺伝子型で観察された(表4)。大きな改善(CN改善値>10)がHPV遺伝子型39、51、52および68で観察され、図3A〜3Dに示されている。
【0122】
【表7】

【0123】
第2の研究では、HPV 16、18、31、35、39、45、51、52、58および59型に特異的な本発明の特有のプローブの幾つか(配列番号8〜10、12〜16および18〜19)の分析性能を、米国特許第6,265,154B1号に開示されている同じHPV型に関するプローブ配列(表5を参照されたい。)と比較して調べた。リアルタイムPCRにおいて試験した場合の直接比較を可能にするために、米国特許第6,265,154号のプローブを、実施例1に記載されているとおりに標識した。該性能を、CN値および蛍光シグナルを用いて評価した。結果を表6、表7および図4A〜4Eに示す。性能の改善(CN改善値>1および蛍光シグナル>0.1)が5/10のHPV遺伝子型で観察された(表6および表7)。CNおよび蛍光シグナルにおける有意な改善がHPV遺伝子型16、18、31、52および59で観察され、図4A〜4Eに示されている。
【0124】
【表8】

【0125】
【表9】

【0126】
【表10】

【実施例6】
【0127】
本発明のプライマーおよびプローブの臨床性能
HR HPVの検出のための実施例1に記載されているHPVプライマー混合物およびHPVプローブセットを使用するアッセイの感度および特異性を、PreservCyt(登録商標)溶液(Cytyc Corporation,Marlborough,MA)中に集められた441個の患者子宮頚試料を試験することにより評価した。子宮頚試料の高リスクHPV状態を、Abbott RealTime HR HPVアッセイ(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)とhc2高リスクHPV DNA試験(「HC2」)(Qiagen,Inc.,Valencia,CAから商業的に入手可能)との一致により、そしてLINEAR ARRAY HPV Genotyping Test(Roche Diagnostics,Basel,CHから商業的に入手可能;“Linear Array”)を使用する不一致結果の試料の更なる分析により判定した。これらのアッセイまたは試験の3つ全ては、該製造業者の説明に従い行った。合計227個の試料が両方のアッセイにより検出され、179個の試料はいずれのアッセイによっても検出されなかった。35個の不一致試料の結果をLinear Arrayにより解析した。238個の陽性試料のうち、231個はAbbott RealTime HR HPVアッセイにより検出され、234個はHC2により検出された。203個の解析された陰性試料のうち、203はAbbott RealTime HR HPVアッセイによっては検出されず、179個はHC2によっては検出されなかった。以下の表8に示すとおり、HR HPVの検出に関するAbbott RealTime HR HPVアッセイの感度は97%であり、HC2アッセイのそれは98%であった。Abbott RealTime HR HPVアッセイの特異性は100%であり、HC2アッセイの特異性は88%であった。
【0128】
【表11】

【0129】
本発明の目標を実施し、記載されている目的および利点ならびにそれらにおいて固有のものを達成するように本発明は十分に適合化されることを、当業者は容易に理解するであろう。本明細書に記載されている分子複合体および方法、手順、処理、分子、特異的化合物は、好ましい実施形態の現時点での代表的なものであり、典型的なものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に開示されている本発明に対して種々の置換および修飾が施されうることが当業者に直ちに明らかであろう。
【0130】
本明細書に記載されている全ての特許および刊行物は、本発明が関連している当業者の水準を示すものである。全ての特許および刊行物を、各個の刊行物が参照により本明細書に組み入れられると具体的かつ個別に示されているのと同様に、参照により本明細書に組み入れることとする。
【0131】
本明細書に例示的に記載されている本発明は、本明細書に具体的に開示されていないいずれの要素または限定をも伴うことなく適切に実施されうる。用いられている用語および表現は限定のためではなく説明のための用語として用いられ、そのような用語および表現の使用においては、示され記載されている特徴またはそれらの一部の均等物のいずれの除外をも意図するものではない。特許請求されている本発明の範囲内で種々の修飾が可能であると認識される。したがって、本発明は好ましい実施形態により具体的に開示されていると理解されるべきである。本明細書に開示されている概念の随意的な特徴、修飾および変更は当業者に委ねられることが可能であり、そのような修飾および変更は、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内であるとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験サンプル中のヒトパピローマウイルス(HPV)16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を増幅するためのプライマーであって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5およびそれらの相補体よりなる群から選択される配列を有するプライマー。
【請求項2】
試験サンプル中のHPV 16、18、31、35、39、45、51、52、58、59または66型を検出するためのプローブであって、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号18、配列番号19、配列番号20およびそれらの相補体よりなる群から選択される配列を有するプローブ。
【請求項3】
試験サンプル中のヒトベータグロビン配列を増幅するためのプライマーであって、配列番号6、配列番号7、配列番号6の相補体、配列番号7の相補体またはそれらのいずれかの組合せの配列を有するプライマー。
【請求項4】
試験サンプル中のヒトベータグロビン配列を検出するためのプローブであって、配列番号22またはその相補体の配列を有するプローブ。
【請求項5】
試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を増幅するためのプライマーセットであって、
(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、それらの相補体およびそれらのいずれかの組合せよりなる群から選択される配列を有する少なくとも1つのフォワードプライマー、ならびに
(b)配列番号4、配列番号5、それらの相補体およびそれらのいずれかの組合せよりなる群から選択される配列を有する少なくとも1つのリバースプライマー
を含むプライマーセット。
【請求項6】
プライマーセットが、配列番号1、配列番号2および配列番号3またはそれらの相補体の配列を有するフォワードプライマー、ならびに配列番号4および配列番号5またはそれらの相補体の配列を有するリバースプライマーを含む、請求項5のプライマーセット。
【請求項7】
試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を検出するためのプライマーおよびプローブセットであって、
(a)配列番号1、配列番号2および配列番号3またはそれらの相補体の配列を有する3個のフォワードプライマー、ならびに配列番号4および配列番号5またはそれらの相補体の配列を有する2個のリバースプライマー、ならびに
(b)配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有する14個のプローブ
を含むプライマーおよびプローブセット。
【請求項8】
試験サンプル中のヒトベータグロビンを検出するためのプライマーおよびプローブセットであって、
(a)配列番号6またはその相補体の配列を有するフォワードプライマー、および配列番号7またはその相補体の配列を有するリバースプライマー、ならびに
(b)配列番号22またはその相補体の配列を有するプローブ
を含むプライマーおよびプローブセット。
【請求項9】
試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型の1以上を検出するための方法であって、該方法が、
(a)配列番号1、配列番号2および配列番号3またはそれらの相補体の配列を有する3個のフォワードプライマーならびに配列番号4および配列番号5またはそれらの相補体の配列を有する2個のリバースプライマーと試験サンプルを、第1標的配列を生成する増幅条件下で接触させる工程、および
(b)第1標的配列と、該試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型の1以上の存在の指標としての少なくとも1つのプローブとの間のハイブリダイゼーションを検出する工程であって、該プローブが、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有する工程、
を含む方法。
【請求項10】
少なくとも1つのプローブが検出可能標識で標識されている、請求項9の方法。
【請求項11】
検出可能標識が、少なくとも1つのプローブの5’末端に結合した蛍光部分を含む、請求項10の方法。
【請求項12】
少なくとも1つのプローブが更に、その3’末端に結合した消光部分を含む、請求項11の方法。
【請求項13】
更に
(a)請求項8のプライマーおよびプローブセットからのプライマーと試験サンプルを、第2標的配列を生成する増幅条件下で接触させる工程、および
(b)第2標的配列と、該試験サンプル中のヒトベータグロビンの存在の指標としての請求項8のプライマーおよびプローブセットからのプローブとの間のハイブリダイゼーションを検出する工程
を含む、請求項9の方法。
【請求項14】
試験サンプル中のHPV 16、18または16および18型を検出するための方法であって、
(a)配列番号1、配列番号2および配列番号3またはそれらの相補体の配列を有する3個のフォワードプライマーならびに配列番号4および配列番号5またはそれらの相補体の配列を有する2個のリバースプライマーと試験サンプルを、第1標的配列を生成する増幅条件下で接触させる工程、および
(b)第1標的配列と以下のもの:
(i)HPV 16型の存在の指標としての配列番号8またはその相補体の配列を有する第1プローブ(第1プローブは第1検出可能標識で標識されている。)、
(ii)HPV 18型の存在の指標としての配列番号9またはその相補体の配列を有する第2プローブ(第2プローブは第2検出可能標識で標識されており、さらに、第2検出可能標識は、第1検出可能標識とは異なる検出可能標識である。)、
(iii)HPV 31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66または68型の存在の指標としての配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有する1以上の追加的プローブ(そのような1以上の追加的プローブのそれぞれは同一の第3検出可能標識で標識されており、さらに、第3検出可能標識は、第1検出可能標識および第2検出可能標識とは異なる検出可能標識である。)
との間のハイブリダイゼーションを検出する工程
を含む方法。
【請求項15】
試験サンプル中のヒトベータグロビンを検出するための方法であって、
(a)請求項8のプライマーおよびプローブセットからのプライマーと試験サンプルを、第1標的配列を生成する増幅条件下で接触させる工程、および
(b)第1標的配列と、該試験サンプル中のヒトベータグロビンの存在の指標としての請求項8のプライマーおよびプローブセットからのプローブとの間のハイブリダイゼーションを検出する工程
を含む方法。
【請求項16】
プローブが検出可能標識で標識されている、請求項15の方法。
【請求項17】
検出可能標識が、該プローブの5’末端に結合した蛍光部分を含む、請求項16の方法。
【請求項18】
プローブが更に、その3’末端に結合した消光部分を含む、請求項17の方法。
【請求項19】
更に、
(a)請求項7のプライマーおよびプローブセットからのプライマーと試験サンプルを、第2標的配列を生成する増幅条件下で接触させる工程、および
(b)第2標的配列と、該試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型の1以上の存在の指標としての請求項7のプライマーおよびプローブセットからの少なくとも1つのプローブとの間のハイブリダイゼーションを検出する工程
を含む、請求項15の方法。
【請求項20】
試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を検出するためのキットであって、
(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、それらの相補体およびそれらのいずれかの組合せよりなる群から選択される配列を有する少なくとも1つのフォワードプライマー、
(b)配列番号4、配列番号5、それらの相補体およびそれらのいずれかの組合せよりなる群から選択される配列を有する少なくとも1つのリバースプライマー、ならびに
(c)増幅試薬
を含むキット。
【請求項21】
キットが更に少なくとも1つのプローブを含み、ここで、前記の少なくとも1つのプローブが、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体よりなる群から選択される、請求項20のキット。
【請求項22】
キットが更に、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有するプローブを含む、請求項20のキット。
【請求項23】
試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を検出するためのプライマーおよびプローブキットであって、
(a)配列番号1、配列番号2および配列番号3またはそれらの相補体の配列を有する3個のフォワードプライマーならびに配列番号4および配列番号5またはそれらの相補体の配列を有する2個のリバースプライマー、
(b)配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有する14個のプローブ、ならびに
(c)増幅試薬
を含むプライマーおよびプローブキット。
【請求項24】
キットが更に、試験サンプル中のヒトベータグロビンを検出するための、配列番号6またはその相補体の配列を有するフォワードプライマーおよび配列番号7またはその相補体の配列を有するリバースプライマーと、配列番号22またはその相補体の配列を有するプローブとを含む、請求項23のプライマーおよびプローブキット。
【請求項25】
試験サンプル中のヒトベータグロビンを検出するためのプライマーおよびプローブキットであって、
(a)配列番号6またはその相補体の配列を有するフォワードプライマーおよび配列番号7またはその相補体の配列を有するリバースプライマー、
(b)配列番号22またはその相補体の配列を有するプローブ、ならびに
(c)増幅試薬
を含むプライマーおよびプローブキット。
【請求項26】
キットが更に、
(d)配列番号1、配列番号2および配列番号3またはそれらの相補体の配列を有する3個のフォワードプライマーならびに配列番号4および配列番号5またはそれらの相補体の配列を有する2個のリバースプライマー、ならびに
(e)試験サンプル中のHPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66および68型を検出するための配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20および配列番号21またはそれらの相補体の配列を有する14個のプローブ
を含む、請求項25のプライマーおよびプローブキット。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【公表番号】特表2012−504414(P2012−504414A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530166(P2011−530166)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/058992
【国際公開番号】WO2010/039809
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】