説明

試験片保持装置

【課題】 測定終了後の衛生上の問題や感染の危険性のある試験片を、試験片に接触することなく半自動的に廃棄できる試験片保持装置を提供する。
【解決手段】
試験片保持装置100は、その上面に凹部を備える長方形状の基盤102と、該基盤102の凹部に摺動可能に嵌合される摺動可動部103とを備え、前記試験片101の測定時には、前記基盤102と摺動可動部103との間に試験片101を確実に保持し、測定後には、前記基盤102に対する前記摺動可動部103の摺動動作により、該試験片101を当該試験片保持装置100から半自動的に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験片を保持する試験片保持装置に関し、特に、測定後に簡便且つ安全に試験片を排出する試験片保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床診断の分野においては、被検者から採取した血液、血漿、血清、尿などの被検査溶液中の成分の濃度や、該被検査溶液中に含まれる成分の有無を測定し、その測定結果を基に診断を行っている。これに用いられる分析装置には、臨床検査室などで用いられる大型機と、ベットサイドなど被検者のすぐそばで診断結果が得られる、いわゆるPOCT(POINT OF CARE TESTING)用途で用いられる小型機とがある。前記小型機としては、一般的に、短冊状の試験片が用いられる。具体的には、表面に反応液を塗布、固定化して作成された試験片に、検体を点着し反応させて、該検体中の成分を測定、或いは判定する。
【0003】
ところで、分析装置にて複数回測定が行われる場合、検体又は反応液間の汚染を回避する為に、大型機では、一般に、使用した反応容器を使い捨てし、また、小型機では、比較的安価で廃棄コストも低い試験片のみを使い捨てしている。
【0004】
このような分析装置で使用された後の反応容器、或いは試験片は、多くの場合、衛生上の問題や感染の危険を有する場合があり、使用後の反応容器や試験片を廃棄する際には、作業者への危険を回避する為、様々な方法が取られている。
【0005】
大型機では、一般に使用済みの反応容器を、ロボットアーム、ベルトコンベア、保持具などの機械や器具でつかんで廃棄箱へ搬送し廃棄している。従って、大型機の場合は、使用後の反応容器による衛生上の問題はほぼ回避できるが、装置の大型化、あるいはメンテナンスの複雑化、あるいは製造コストが高いなどの問題がある。
【0006】
一方、小型機では、試験片のみを使い捨てとする場合が多いため、大型機のような製造コストなどの問題は発生しないが、従来の小型機では、測定が終了した使用後の試験片を、汎用の器具又は手袋などの保護具を装着した手で、そのまま或いは固定具ごと、その小型機から取り外し、さらに、試験片の一部又は周辺を直接つかんで、廃棄箱に廃棄していたため、衛生上の問題や感染の危険を有する。
【0007】
例えば、図17は、従来の試験片保持装置を示す図であるが、従来においては、持ち手部704を備えた支持体703に支持された試験片701を、該支持体703を固定台702のガイド705に固定した状態で、該試験片701の添加部706に検体を付着させ、検知部707の吸光度を測定することで、検体中の成分を測定あるいは判定する。そして、測定終了後には、試験片701の持ち手部704を、ユーザーが直接手又は器具でつかんで、固定部702から支持体703と共に試験片701を取りはずし、廃棄している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−28876号公報(第17頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述したように、使用後の試験片701をユーザーが直接手又は器具でつかんで廃棄する場合、測定終了時には、試験片701の広範囲に検体が広がって、持ち手部704に検体が近接しているため、ユーザーに対する衛生上の問題や感染の危険性が高く、また機器や周辺部に、その汚染を拡散させる恐れもあるという課題があった。
【0009】
さらに、従来のような、測定後の試験片を、ピンセットなどの汎用器具でつかみ廃棄する方法では、操作が煩雑であるし、また、手でつかみ廃棄する方法も、手袋などの保護具の準備が必要であり、煩雑であった。
【0010】
特に、検体として、血液などの人体に有害な物質、或いは感染の危険のある物質を取り扱う場合には、保護具は必須であり、また、保護具を使用していたとしても、作業者が感染源に近接するため、作業者のミスや作業手順の不備などにより、衛生上の問題や感染の危険性が高い場合があるという課題を有していた。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するためのものであり、測定終了後の衛生上の問題や感染の危険性のある試験片を、試験片に接触することなく半自動的に廃棄できる試験片保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の試験片保持装置は、挿入される試験片を保持する保持機構と、前記保持機構による前記試験片の保持状態を解除して、該試験片を排出する排出機構と、を備えるものである。
【0013】
これにより、ユーザーが試験片に接触することなく、該試験片を排出して廃棄できる試験片保持装置を提供できる。
【0014】
また、本発明の試験片保持装置は、前記保持機構は、基盤上に、前記試験片の挿入方向に平行な方向に摺動可能な摺動可動部が設けられ、該摺動可動部の所定位置に、前記摺動可動部が前記試験片を該摺動可動部と前記基盤との間に保持するよう、該摺動可動部に係合して前記試験片を前記基盤に対し押圧保持させる第1の弾性体が設けられて構成されてなり、前記排出機構は、前記保持機構における前記摺動可動部による前記試験片の保持状態より、前記摺動可動部が前記基盤に対して摺動されることで、該保持状態が解除され、前記試験片を排出するものである。
【0015】
これにより、当該試験片保持装置に試験片が保持状態にある際に、ユーザーが該試験片に接触することを防止できると共に、前記試験片を排出する際にも、ユーザーが試験片に接触することなく、該試験片を簡便且つ安全に廃棄することが可能となる。
【0016】
さらに、本発明の試験片保持装置は、前記排出機構は、前記基盤の所定位置に、前記試験片の保持状態を解除状態に切替えるための排出ボタンが設けられ、前記摺動可動部による前記試験片の保持状態より、前記摺動可動部が前記基盤に対して前記挿入方向と逆方向に摺動されると、前記試験片が前記保持状態を維持したまま前記基盤上の所定位置まで移動し、前記排出ボタンが前記試験片の保持状態から解除状態に切り替えられると、該排出ボタンにより前記試験片を前記所定位置で係止し、さらに、前記摺動可動部が前記基盤に対して前記試験片の挿入方向に所定距離以上摺動されると、該摺動可動部による前記保持状態が解除され、前記試験片を排出するものである。
【0017】
これにより、前記試験片を排出する際に、半自動的に前記試験片を排出し廃棄することができるため、ユーザーの安全性を確保することができる。
【0018】
さらに、本発明の試験片保持装置は、前記基盤の後方位置に、前記摺動可動部を前記基盤に対して前記試験片の挿入方向に付勢し、前記摺動可動部の前記挿入方向と逆方向への摺動動作を規制する第2の弾性体が設けられているものである。
【0019】
これにより、前記摺動可動部を前記基盤上の所定位置に保持することができるため、当該試験片保持装置から誤って試験片が排出されないようにすることができる。
【0020】
さらに、本発明の試験片保持装置は、前記排出機構は、前記摺動可動部に、前記試験片を排出するよう付勢する排出用弾性体が設けられており、前記試験片の保持状態の解除の後、前記排出用弾性体により前記試験片を付勢して排出するものである。
【0021】
これにより、前記弾性体により前記試験片の排出を促すことができるため、当該試験片保持装置から該試験片を確実に排出して、廃棄することができる。
【0022】
また、本発明の試験片保持装置は、前記保持機構は、基盤上に、該基盤に対して回動可能に回動可動部が設けられ、前記基盤上の所定位置に、該位置にて前記試験片を前記回動可動部と前記基盤との間に固定保持するよう、前記試験片を前記基盤に対し押圧保持させる第3の弾性体が設けられて構成されてなり、前記排出機構は、前記保持機構による前記試験片の保持状態より、前記回動可動部が前記基盤に対して上方に回動されることで、該保持状態が解除され、前記試験片を排出するものである。
【0023】
これにより、当該試験片保持装置より試験片を排出する際に、ユーザーが該試験片に接触することなく、該試験片を簡便且つ安全に廃棄することができる。
【0024】
さらに、本発明の試験片保持装置は、前記排出機構は、前記回動可動部に、前記試験片の保持状態を解除状態に切替える排出ボタンが設けられ、前記排出ボタンが前記試験片の保持状態から解除状態に切り替えられると、前記回動可動部による前記試験片の保持状態より、前記回動可動部が前記基盤に対して上方に回動し、該回動可動部の回動角度が所定角度より大きくなると、前記保持状態が解除され、前記試験片を排出するものである。
【0025】
これにより、前記試験片を排出する際に、半自動的に前記試験片を排出し廃棄することができるため、ユーザーの安全性を確保することができる。
【0026】
さらに、本発明の試験片保持装置は、前記基盤上に、前記回動可動部の前記基盤に対する上方への回動動作を規制する第4の弾性体が設けられているものである。
【0027】
これにより、前記試験片の排出時以外は前記回動可動部の回動動作が行なわれないようにできるため、当該試験片保持装置から誤って試験片が排出されないようにすることができる。
【0028】
また、本発明の試験片保持装置は、前記保持機構は、基盤中に、前記試験片の挿入方向に平行に摺動可能な摺動可動部が設けられ、前記基盤中の所定位置に、該位置にて前記試験片を固定保持するよう、第5の弾性体が設けられて構成されてなり、前記排出機構は、前記保持機構による前記試験片の保持状態より、前記摺動可動部が前記基盤に対して摺動されることで、該保持状態が解除され、前記試験片を排出するものである。
【0029】
これにより、当該試験片保持装置から試験片を排出する際に、ユーザーが該試験片に接触することなく、該試験片を簡便且つ安全に廃棄することができる。
【0030】
さらに、本発明の試験片保持装置は、前記基盤中の後方位置に、前記摺動可動部を前記基盤に対して前記試験片の挿入方向に付勢し、前記摺動可動部の前記挿入方向と逆方向への摺動動作を規制する第6の弾性体が設けられているものである。
【0031】
これにより、前記排出ボタンを前記基盤中の所定位置に保持することができるため、当該試験片保持装置から誤って試験片が排出されないようにすることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の試験片保持装置によれば、試験片を保持する保持機構と、前記保持機構による前記試験片の保持状態を解除して、該試験片を排出する排出機構と、を備えるようにしたので、ユーザーが該試験片に接触することなく、当該試験片保持装置より前記試験片を、安全かつ簡易に排出して廃棄することができるため、ユーザーの安全性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明の試験片保持装置の実施例を図面とともに詳細に説明する。なお、以下に挙げる実施例はあくまで、本発明の効果を得るための一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態1における試験片保持装置について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における試験片保持装置の構成を示す図であり、図(a)は平面斜視図であり、図(b)は底面斜視図であり、図(c)は断面図である。また、図2は、本実施の形態1における試験片保持装置の分解斜視図である。
【0035】
図に示すように、本実施の形態1の試験片保持装置100は、その上面に凹部を備える長方形状の基盤102と、該基盤102の凹部に摺動可能に嵌合される摺動可動部103とを備え、前記試験片101の測定時には、前記基盤102と摺動可動部103との間に試験片101を確実に保持し、測定後には、前記基盤102に対して前記摺動可動部103を摺動させることで、該試験片101を当該試験片保持装置100から半自動的に排出するものである。
【0036】
当該試験片保持装置100を構成する材料は、指で押しても変形しない剛性のあるものが良く、合成樹脂、金属、高質ゴムなどから選択でき、形状の作成方法も、成形、切削、プレスなどから選択できるが、コストの面からプラスチック成形で作成することが最も好ましい。
【0037】
また、前記試験片保持装置100を構成する材料は、付着した被検査溶液を、病院や検査室で通常用いられる洗浄液で洗浄できるように、耐薬品性を有していることが望ましい。
【0038】
さらに、ユーザが当該試験片保持装置100を洗浄しやすいように、試験片保持装置100の各構成要素を分解できるように構成することも可能だが、洗浄時の紛失や破損を避けるために、封止し分解できないように構成することもできる。
【0039】
以下、本実施の形態1における試験片保持装置100の構成について詳述する。まず、当該試験片保持装置100で保持される試験片101は、約6mm×約30mmの短冊状の試験片であり、片面に測定対象となる呈色域を有している。これにより、前記試験片101では、イムノクロマト法、或いはラテックス凝集法を応用した染色法により、血液の成分や、病原菌の有無などを試験できる。また、試験片101には、長手方向の両側面に一対の切欠部101aを有する。
【0040】
前記基盤102は、約40mm×約90mmの長方形状の剛体で形成されており、摺動ガイド107と、基準面106と、隙間部112と、摺動係止機構113と、排出ボタン104とを備えるものであり、前述した試験片101を保持する機能と、前記摺動可動部103を基盤102の長手方向に摺動させる機能と、該摺動可動部103を基盤102上の所定の位置で係止する機能を有する。
【0041】
以下、基盤102の各構成要素について詳述する。前記摺動ガイド107は、前記基盤102の凹部の両側面に設けられており、前記摺動可動部103をガイドするものである。これにより、前記摺動可動部103は、前記基盤102に対する上下方向、短手方向の動きが規制され、長手方向にスムーズに摺動することができる。また前記摺動ガイド107は、前記摺動可動部103の下面と、前記基盤102の凹部上面との間に、試験片101を挿入して保持するための適切な空間ができる位置に設けられている。これにより、前記試験片101を、前記基盤102と前記摺動可動部103との間の空間の端面より挿入して、当該試験片保持装置100中に収装して保持することができる。
【0042】
また、前記基準面106は、前記基盤102の凹部上面、長手方向に設けられた、試験片101の厚みより高く、該試験片101の長さより長い板状の面であり、当該装置100に前記試験片101を確実に保持するためのものである。
【0043】
また、前記隙間部112は、前記基盤102の凹部上面、長手方向に設けられた2本の細長い穴であり、前記摺動係止機構113は、前記隙間部112を介して前記摺動可動部103と嵌合する2つの突起形状を有する係止部113aを有し、該係止部113aが、隙間部112により、摺動係止機構113の長手方向の摺動距離を規制することで、前記摺動可動部103を所定位置で係止させるストッパーの役割を果たすものである。
【0044】
そして、前記基盤102の長手方向後方位置には、前記摺動可動部103を前記基盤に対し、該長手方向後方に付勢し前方への摺動動作を規制するための、コイルバネ等の第2の弾性体115が設けられている。これにより、ユーザーが摺動可動部103に対して力を加えないと、該摺動可動部103は移動しないため、前記試験片101が当該装置100より誤って排出されるのを防止することができる。
【0045】
前記排出ボタン104は、前記基盤102と前記摺動可動部103間で保持状態にある前記試験片101を、保持状態から解除状態に切り替えるためのものである。具体的には、前記排出ボタン104は、平面部104bと、該平面部104bに連結する柱形状の突起部104aとを備えており、ユーザーが試験片101を排出する場合には、その平面部104bを基盤102内部方向に押圧する。これにより、前記突起部104aが、前記基盤102の内部に設けられた突起部ガイド114に沿って上方向に移動して基盤102上にせり出し、該せり出した突起部104aにより前記試験片101が一時的に係止され、該試験片101の排出を補助する。すなわち、前記排出ボタン104で解除状態に切替える前は、摺動可動部103を摺動移動させると、該摺動可動部103は前記保持状態を維持したまま前記試験片101を基盤102に対して摺動移動させることができ、前記排出ボタン104で解除状態に切替えた後は、前記基盤102上の突起部104aにより、前記試験片101は基盤102上の所定位置で係止され、摺動可動部103を摺動移動させると該摺動可動部103のみ基盤102に対して摺動移動し、基盤102と摺動可動部103との間に収装されて保持状態にある前記試験片101を、当該装置100から押し出すことができる。
【0046】
なお、本実施の形態1では、前記排出ボタンの平面部104bが、前記基盤102の裏面、且つ、長手方向前方に配置されている。このように、前記排出ボタン104をユーザーが触れにくい位置に配置すれば、ユーザーによる排出ボタン104の誤操作を防止できると共に、ユーザーが前記排出ボタン104を片手で無理なく動作させることが可能となり、当該装置100の使い勝手を向上できる効果もある。
【0047】
さらに、本実施の形態1では、前記突起部ガイド114内に、前記排出ボタン104の動作を規制するコイルバネなどの弾性体116が配置されている。これにより、通常は突起部104aが基盤102上面から出ないように規制されているため、ユーザーが意識的に排出ボタン104を押さない限り、排出ボタン104の突起部104aが基盤102上にせりだすことがないようにでき、試験片101が誤って当該装置100より排出されるのを防止することができる。
【0048】
前述した構成要素に加え、前記基盤102には、前記試験片をセットする側の長手方向前方の端面に窪み部105が設けられ、該基盤102の長手方向のもう一方の一端側に持ち手部108が設けられている。
【0049】
前記窪み部105は、当該試験片保持装置100に保持された試験片101に対して検体を点着する際、該試験片保持装置100に検体が付着することを回避するためのものである。このように、前記基盤102に窪み部105を設けるようにすれば、基盤102を清潔に保ち易くできるため、該基盤102の洗浄や除菌の手間を省くことが可能となり、当該装置100の使い勝手を向上させることができる。
【0050】
なお、本実施の形態1では、試験片101に指先から直接血液を点着する場合を一例に挙げ、前記窪み部105を、指先の形状と相似な形状である、半径8mm〜20mmの半円もしくは楕円形としている。もちろん、前記窪み部105は、必ずしも指先と相似な形状である必要はなく、例えば、前記試験片101に検体を器具を用いて点着する場合は、前記窪み部105の形状をその器具の形状に相似する形状にし、あるいは被験者の耳たぶから直接血液を点着する場合は、該窪み部105の形状を耳たぶの形状に相似する形状にすればよい。
【0051】
前記持ち手部108は、前記基盤102を保持し易くするために、基盤102の短手方向の寸法を広げたものであり、本実施の形態1では、前記持ち手部108の短手方向の寸法を、成人の持ちやすい大きさである、約20mm〜60mmとしている。また、この持ち手部108によって、当該試験片保持装置100を図3に示すように測定装置400の載置口401に挿入して測定する際に、前記試験片101を前記測定装置400に対して正確に位置決めすることが可能となるため、測定結果の誤検出を防止できる効果が得られる。さらに、前記持ち手部108によって、該測定装置400と当該試験片保持装置100との隙間を確実にふさぐことが可能となるため、測定の際の外乱も防止することができる効果も得られる。
【0052】
次に、前記摺動可動部103の構成は、板バネ等の第1の弾性体111がその内部に備えられてなるものであり、前記試験片101を短手方向に保持する機能と、測定後に前記試験片101をスライドさせて当該装置100外部に排出する機能を有する。
【0053】
前記第1の弾性体111は、図2に示すように、該弾性体111の本体に、鉤型形状を有する第1弾性部111aと、半円形状を有する第2弾性部111bの、2つの弾性部を有するものである。
【0054】
以下、図4を用いて、第1の弾性体111について詳述する。図4は、本実施の形態1の試験片保持装置における、基盤上の、第1の弾性体と、試験片と、該基盤上に設けられた基準面との関係を示す概略図であり、図(a)は試験片保持時の状態を示し、図(b)は試験片排出時の状態を示している。
【0055】
前記第1の弾性体111の第1弾性部111aは、前記第1の弾性体111本体の中央付近に設けられており、図4(a)に示すように、試験片101を基盤102に対して押圧保持するために用いられる保持用弾性部である。具体的には、前記試験片101の保持状態時には、前記第1弾性部111aが、前記試験片101の切り欠き部101aに嵌合し、該第1弾性部111aの鉤型の頂点で該試験片101の長手方向の一辺を押して、該試験片101の長手方向の他の一辺を基準面106に圧接させ、前記試験片101を確実に保持するようにする。
【0056】
一方、前記第1の弾性体111の第2弾性部111bは、前記第1の弾性体111本体の先端に設けられており、図4(b)に示すように、試験片101を付勢して当該装置100から排出させるために用いられる排出用弾性部である。具体的には、前記試験片101を当該装置100外部に排出する際に、該第2弾性部111bの半円の頂点で該試験片101の角を押すことで、前記試験片101の排出方向に力を付与し、該試験片101を基盤102から約10cmほど飛び出させ、当該装置100より該試験片101が確実に排出するようにする。
【0057】
このように、前記第1の弾性体111を摺動可動部103に備えるようにしたので、測定時には前記試験片101を装置100内で確実に保持して、測定結果に誤差が生じないようにでき、また測定後には、ユーザーが該試験片101に触れなくとも、当該装置100より試験片101を確実に排出し、ユーザーの安全性を確保することができる。
【0058】
なお、本実施の形態1では、前記第1の弾性体111本体が、試験片保持機能を有する第1弾性部111aと、試験片排出機能を有する第2弾性部111bの、2つの弾性部を備える構成にしたので、当該装置100の組み立てが簡易となることに加え、コスト削減の効果も得られる。また、前記第1の弾性体111の第1の弾性部111aと第2の弾性部111bとは、同じ側に、且つその間に間隔が設けて配置されているので、前記試験片101が当該装置100内部で傾いて保持されることを防止できる。
【0059】
また、前記摺動可動部103は、その長手方向の一端がコの字形状を有し、当該試験片保持装置100に試験片101を保持した際、そのコの字形状部分の開口部に、試験片101の呈色域が露出するようになっている。そして、この開口部より、試験片101の上面に測定装置400から光を照射して、前記呈色域の反応結果を測定したり、或いは前記呈色域を撮像したり、或いは前記試験片101に器具を接触させるようにしている。
【0060】
さらに、前記摺動可動部103は、該摺動可動部103の平面部に対して、5mm〜20mm程度突出している山型形状のスライド突起部109が設けられている。これにより、ユーザーの摺動可動部103を押す力をスライド方向に多く配分できるため、スライド時の摺動可動部103と基盤102間の摩擦力を低減して、当該装置100の使い勝手及び磨耗による耐久性を改善できる。さらに、本実施の形態1では、前記スライド突起部109の曲線の形状を、指先形状とほぼ相似な形状とすることで、無理なくスライド方向に力を伝導できるようにしている。もちろん、前記スライド突起部109の曲線の形状は、前述した形状に限るものではなく、無理なくスライド方向に力を伝導できる形状であればどのようなものであってもよい。
【0061】
そして、前記スライド突起部109の上面の一部には、0.5mm〜5mm程度のピッチで、V字形状、波型、或いは円柱の一部が露出した形状のローレット110が施されている。これにより、前記スライド突起部109のグリップ感が増し、よりスムーズ且つ確実に前記摺動可動部103をスライド移動させることができ、当該装置100の使い勝手を向上することができる。なお、本実施の形態1では、図1〜3に示すように、前記ローレット110が、スライド突起部109の一部にのみに施されている場合を一例として挙げたが、ローレット110は摺動可動部103の上面全体に施されていてもよい。
【0062】
次に、図5〜図8を用いて、本実施の形態1の試験片保持装置100に試験片101をセットしてから排出するまでの動作を説明する。図5は、本実施の形態1の試験片保持装置に保持された試験片に、検体を点着する際の状態を示す模式図であり、図(a)は平面図、図(b)はA−A断面図である。また、図6は、本実施の形態1における試験片保持装置の、(a)試験片保持状態、(b)可動部摺動状態、(c)排出ボタン可動状態、(d)試験片排出状態を示す斜視図であり、図7は、図6の(a)〜(d)の各状態の断面図である。さらに、図8は、試験片を廃棄する状態を示す図である。
【0063】
まず、ユーザーは、試験片101を、基盤102と摺動可動部103との間に挿入して、該試験片101を当該試験片保持装置100にセットする。このとき、ユーザーは、前記試験片101の切欠部101aが、前記第1の弾性体111の第1弾性部111aに嵌合されるまで押し込む。試験片101が保持された試験片保持装置100の状態を、図6(a),図7(a)に示す。なお、前記試験片101を当該装置100にセットする際、前記スライド突起部109を指で長手方向前方に押して、摺動ガイド107に沿って摺動可動部103を前方にスライド移動させた状態にしてから、該摺動可動部103と前記基盤102との間に前記試験片101を挿入するようにしてもよい。このようにすれば、前記第1弾性部111aが、基盤102の前方に位置することとなるため、該第1弾性部111aと切欠部101aとが嵌合されやすく、この結果、試験片101をセットしやすいという効果が得られる。
【0064】
以上のようにして前記試験片101を基盤102と摺動可動部103との間に保持した後、該保持された試験片101に対して、血液などの検体を点着する。この際、まずユーザーは、図6(b),図7(b)に示すように、摺動可動部103を、前記スライド突起部109を前方に押すことで、基盤102の長手方向前方に摺動ガイド107に沿ってスライド移動させ、前記試験片101を基盤102からせり出させる。そして、この基盤102からせり出した位置にある試験片101に対して、図5に示すように、被験者の指先600から直接、血液を点着する。この後、該せり出させた状態にある試験片101を、摺動可動部103を基盤102の長手方向後方にスライド移動させて、図6(a),図7(a)に示す保持状態に戻す。このように前記試験片101が保持状態にあるときには、図6(a)に示されるように、前記試験片101は、摺動可動部103と基盤102との間に挿入されて、当該装置100に収装されているため、ユーザーが試験片101に触れることが出来ない状態となっている。このようにすることで、前記試験片101に点着された被検査溶液が危険性のあるものであったとしても、ユーザーの安全を確保することができる。
【0065】
この後、試験片保持状態にある試験片保持装置100を、図3に示すように測定装置400に挿入し、測定結果を得る。前記測定装置400は、前記試験片保持装置100が挿入されると、前述したように前記試験片101の上面に光を照射して試験片101の呈色域の反応結果を測定したり、或いは該呈色域を撮像したり、或いは前記試験片101に器具を接触させて、測定結果を得る。そして、前記測定装置400による測定が終了後、測定装置400から排出された試験片保持装置100は、図6(a),図7(a)に示す、前記試験片保持状態を維持したまま、測定装置400から取り出される。
【0066】
この後、当該試験片保持装置100から、使用済みの試験片101を排出する。まず、摺動可動部103のスライド突起部109を指で長手方向前方に押し、摺動可動部103を基盤102上に設けた摺動ガイド107に沿ってスライドさせる。このとき、前記摺動可動部103の第1の弾性体111に保持されている試験片101も、摺動可動部103のスライド動作に合わせて、基盤102上の長手方向前方にスライド移動する。このスライド移動により、前記摺動可動部103は、図7(b)に示されるように、隙間部112により摺動係止機構113が係止される位置である所定位置まで移動し、前記試験片101は、図6(b)に示すように、当該装置100よりせり出す。
【0067】
このように、前記摺動可動部103を所定位置までスライドさせた後、ユーザーは、当該装置100の底面に設けられた排出ボタン104を基盤102の内部方向に押しこむ。この結果、図6(c),図7(c)に示されるように、基盤102上に、排出ボタン104の突起部104aがせりだして、前記排出ボタン104の突起部104aと試験片101の一辺とが接触し、試験片101を、そのせり出した位置で係止させることができる。
【0068】
この後、前記突起部104aにより試験片101を係止させた状態のまま、摺動可動部103を長手方向後方に戻し、図6(d),図7(d)に示すように、摺動可動部103のみ移動させる。このとき、試験片101は、突起部104aにより係止されていて移動できないため、前記摺動可動部103の移動に伴って、前記試験片101の第1の弾性体111の第1弾性部111aによる保持が解除され、該試験片101は前記摺動可動部103から相対的に押し出された状態となる。具体的には、試験片101が突起部104aに係止された状態で、摺動可動部103のみを長手方向後方にスライド移動させていくと、まず試験片101の切欠部101aと嵌合状態にある第1の弾性体111の第1弾性部111aがはずれて、試験片101の保持状態が解除される。そしてさらに前記摺動可動部103を長手方向後方にスライド移動させると、第2弾性部111bが試験片101の側面に接しながら移動していき、最終的に、該第2弾性部111bが試験片101の角に当たると(図4(b)参照)、該第2弾性部111bが試験片101を押して、該試験片101が当該試験片保持装置100より飛び出すように排出される。
【0069】
従って、試験片保持装置100の前述した測定後の試験片排出動作を、図8に示すように、廃棄箱500上で、該試験片保持装置100の持ち手部108を持って地面と水平、あるいは水平より下方向に維持しながら行なえば、ユーザが前記試験片101にふれなくても、該試験片101を、当該試験片保持装置100から半自動的に排出して廃棄することができる。
【0070】
以上のように、本実施の形態1の試験片保持装置100によれば、長方形状の基盤102と、該基盤102上に長手方向に摺動可能に設けられた摺動可動部103と、該摺動可動部103の所定位置にて前記試験片101を保持するよう、前記基盤102に対し押圧保持する第1の弾性体111とを備え、前記基盤102と前記摺動可動部103との間で保持状態にある試験片101を、摺動可動部103を長手方向に摺動移動させることで、該試験片101の保持状態を解除し、当該装置100より試験片101を排出するようにしたので、ユーザが試験片101に直接触れることなく、該試験片101を試験片保持装置100から簡便且つ安全に排出して廃棄することができる。この構成は、特に当該試験片101に点着する被検査溶液が、血液や菌、その他の有害な物質を含む場合に、ユーザーの安全性を確保できて、有用である。
【0071】
また、前記基盤102に、試験片101の保持状態を解除状態に切り替えるための排出ボタン104を備え、試験片101を排出する際には、前記排出ボタン104を解除状態に切り替えて、突起部104aを基盤102上にせり出させ、前記摺動可動部103と共に長手方向前方に移動した試験片101を基盤102上の所定位置で係止し、さらに前記摺動可動部103を長手方向後方に摺動移動されると、前記摺動可動部103による前記保持状態を解除し、前記試験片101を当該装置100より排出するようにしたので、ユーザーが試験片の排出を選択したときのみ、該試験片101を試験片保持装置100から簡便且つ安全に排出して廃棄し、ユーザーが試験片101の排出を選択しなかった場合には、前記摺動可動部103に保持された状態のまま前記試験片を101を長手方向前後に移動させることが可能となる。この結果、通常時には前記試験片101を、前記摺動可動部103と基盤102との間に収装して、ユーザーが直接触れることの出来ない状態を維持させ、必要なときだけ試験片101をユーザーが触れることが可能な位置にスライド移動させることができ、ユーザーの安全性を更に確保することができる。
【0072】
さらに、本実施の形態1によれば、摺動係止機構113を第2の弾性体115を介して基盤102と連結するようにしたので、前記摺動可動部103はユーザーが力を加えなければ基盤102上の所定位置に保持されるため、前記試験片101が誤って排出されるのを防止することができる。
【0073】
また、前記摺動可動部103に、鉤型形状を有する第1弾性部111aと、半円形状を有する第2弾性部111bとの、2つの弾性部からなる第1の弾性体111を備えるようにしたので、前記第1弾性部111aにより試験片101を当該装置100内に確実に保持することができると共に、前記第2弾性部111bにより、該試験片101の排出を促して、ユーザーが該試験片101に触れなくとも確実に当該装置100より排出させることができる。
【0074】
なお、本実施の形態1では、前記第1の弾性体111が板バネで構成される場合を一例に挙げたが、該第1の弾性体111を、コイルばねと突起機構とで構成したり、あるいは樹脂の特性を利用したいわゆる樹脂ばねで構成するようにしてもよい。また、本実施の形態1では、前記第1の弾性体111の第2弾性部111bの形状が半円形状である場合を一例に挙げたが、前記試験片101aと当接する部分が曲線であればよく、例えば、鋭角の頂点の曲率を大きくとった形状であってもよい。さらに、前記第2弾性部111bの前記試験片101に対して付勢する力は、前記試験片101の重量、形状などを考慮して決定すればよく、該試験片101が当該装置100より数cmから数10cm程度飛び出す力で付勢するのがより好ましい。
【0075】
また、本実施の形態1では、前記排出ボタン104の突起部104aが柱形状を有するものとして説明したが、その形状はどのようなものであってもよい。ただ、前記突起部104aの試験片101と接触する部位に、該接触部位が平面となる部分を持つ形状であることがより好ましい。このようにすれば、前記試験片101をより確実に所定の位置に係止して、排出動作の誤動作を防止できる。
【0076】
さらに、前記排出ボタン104の突起部104aの基盤102上面から見える部位を、三角或いは矢印形状とし、前記試験片101を挿入する方向を示すようにすれば、前述した効果のほかに、ユーザーに対して、試験片101の挿入方向を明示できるため、より好ましい。
【0077】
なお、本実施の形態1では、基盤102が長方形状であるものとしたが、これに限るものではなく、例えば、台形、一部に曲線を含む形状、楕円形状、三角形状など、その形状はどのようなものであってもよい。そして前記基盤がどのような形状であっても、前述の構成と同様、前記基盤102上に前記摺動可動部103を設け、前記試験片を保持する場合は、試験片101を前記基盤102と摺動可動部103との間に挿入して保持し、一方、排出する場合は、前記摺動可動部103を前記基盤102に対して前記挿入方向に対して平行に摺動させることで、該基盤102と摺動可動部103との間の試験片の保持状態を解除し排出する。
【0078】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、基盤上に設けられた摺動可動部をスライド移動させて、該基盤と摺動可動部間で保持状態にある試験片を、試験片保持装置より排出するものとしたが、本実施の形態2では、可動部の回動動作により、基盤上で保持状態にある試験片を試験片保持装置より排出するものである。
【0079】
以下、本実施の形態2の試験片保持装置について説明する。
図9は、本発明の実施の形態2における試験片保持装置の構成を示す図であり、図(a)は平面斜視図であり、図(b)は断面図である。また、図10は、本実施の形態2における試験片保持装置の分解斜視図である。
【0080】
図に示すように、本実施の形態2の試験片保持装置200は、その上面に凹部を備える長方形状の基盤202と、該基盤202に設けられた軸受け217に、軸207が嵌合することで回動可能に保持される回動可動部203とを備え、前記試験片101の測定時には、前記基盤202と回動可動部203との間に試験片101を確実に保持し、測定後には、前記基盤202に対して前記回動可動部203を上方に回動動作させて、該試験片101を当該試験片保持装置200から半自動的に排出するものである。なお、本実施の形態2の試験片保持装置200の構成材料は、前記実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0081】
以下、本実施の形態2における試験片保持装置200の構成について詳述する。本実施の形態2の装置200で保持する試験片101は、前記実施の形態1と同様のものである。
【0082】
前記基盤202は、約40mm×約90mmの長方形状の剛体で形成されており、基準面206と、前記回動可動部203を基盤202上で回動させるための凹状の逃げ209と、前記試験片101を前記回動可動部203と前記基盤202との間に固定保持するよう、前記試験片101を基盤202上の基準面206に圧接させることで押圧保持するための第3の弾性体211と、前記回動可動部203の前記基盤202に対する上方への回動動作を規制する第4の弾性体215と、前記回動可動部203の軸207を受ける軸受け217とを備え、前記試験片を保持する機能と、前記回動可動部203を回動させる機能とを有する。なお、前記第3の弾性体211は、スペース、コストの面から、板ばね、或いは樹脂ばね形状がもっとも好ましく、前記第4の弾性体215は、スペース、コスト、強度の面から板ばね、或いは樹脂ばねを用いるのが最も好ましい。
【0083】
さらに、前記基盤202には、前記実施の形態1と同様、前記試験片101をセットする側の長手方向前方の端面に窪み部205が設けられ、該基盤202の長手方向のもう一方の一端側に持ち手部208が設けられている。これらの形状、構成、及びこれらを基盤202に設けた効果については、前記実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0084】
次に、前記回動可動部203は、前記基盤202と前記回動可動部203間における試験片101の保持状態を解除状態に切り替えるための排出ボタン204と一体に形成され、さらに、該回動可動部203を前記基盤202に対して回動させるための軸207と、前記試験片101を基盤202から引き離すためのアーム210とを備え、測定後に前記試験片101の保持を解除して、当該装置200外部に排出する機能を有する。
【0085】
以下、前記回動可動部203の各構成要素について詳述する。
前記排出ボタン204は、前記回動可動部203の軸207を挟んで、試験片101をセットする側とは反対側の長手方向後方に配置されている。そして、前記排出ボタン204の下の基盤202上には、凹状の逃げ209が設けられているため、該排出ボタン204を下に押せば、軸207を中心に該排出ボタン204が前記逃げ209部分に入り込み、この結果、前記回動可動部203を軸207を中心に基盤202に対して上方向に回動させることができる。なお、本実施の形態2では、前記回動可動部203が前記基盤202に対して水平位置から約45度の位置まで回転できるものとする。
【0086】
さらに、本実施の形態2では、前記排出ボタン204の下の逃げ209の部分に、前記回動可動部203を前記基盤202に対する上方への回動動作を規制する板ばね等の第4の弾性体215が配置され、該第4の弾性体215によって、その回動可動部203の回動動作を規制している。従って、通常状態では、前記回動可動部203が、基盤202上の試験片101を覆う姿勢をとる。
【0087】
前記アーム210は、図9(b)に示されるように、回動可動部203の底面で、前記試験片101を基盤202と回動可動部203との間に保持した際に、該試験片101の一端を保持可能な位置に配置されており、前記回動可動部203が上部に移動されると、該試験片101を持ち上げて、該試験片101の排出を促すものである。
【0088】
また、前記回動可動部203は、前記実施の形態1と同様、その長手方向前方が、コの字形状となっており、当該試験片保持装置200に試験片101を保持した際、そのコの字形状部分間の開口部に、試験片101の呈色域が露出するようになっている。そして、この開口部より、試験片101の上面に測定装置400から光を照射して、前記呈色域の反応結果を測定したり、或いは前記呈色域を撮像したり、或いは前記試験片101に器具を接触させるようにしている。
【0089】
そして、前記回動可動部203の下面と前記基盤202の上面との間には、前記試験片101を挿入し保持するための適切な空間が設けられており、前記アーム210は、この空間の後方位置に設けられている。さらに、本実施の形態2では、前記回動可動部203の下面と前記基盤202の上面との間の空間に前記試験片101を挿入する際、該試験片101を前記空間の後方位置にあるアーム210までスムーズに挿入させるために、該空間の端面部分、すわなち前記回動可動部203のコの字形状となった部分の両内側の底面に、ガイド212が設けられている。
【0090】
次に、図11〜図13を用いて、本実施の形態2の試験片保持装置200に試験片101をセットしてから排出するまでの動作を説明する。図11は、本実施の形態2における試験片保持装置の、(a)試験片保持状態、(b)試験片保持解除状態を示す斜視図であり、図12は、図11の(a)〜(b)の各状態の断面図である。さらに、図13は、試験片を廃棄する状態を示す図である。
【0091】
まず、ユーザーは、試験片101を、該回動可動部203のガイド212に沿って、基盤202と回動可動部203との間に挿入して、該試験片101を当該試験片保持装置200にセットする。このとき、ユーザーは、前記試験片101の切欠部101aが、前記第3の弾性体211に嵌合されるまで押し込む。これにより、前記試験片101は、該第3の弾性体211によって、変形しない程度に基準面206に押し当てられ、基盤202に試験片が確実に保持される。試験片101が保持された試験片保持装置200の状態を、図11(a),図12(a)に示す。
【0092】
以上のようにして前記試験片101を基盤202と回動可動部203との間に保持した後、該保持された試験片101に対して、血液などの検体を点着する。本実施の形態2では、前記実施の形態1と同様、前記基盤202には窪み部205が設けられているため、点着時に、当該試験片保持装置200に検体が付着することを回避することができ、この結果、基盤202を清潔に保ち易く、洗浄や除菌の手間を省くことが可能となるため、当該装置200の使い勝手を向上できる。
【0093】
この後、試験片保持状態にある試験片保持装置200を、図3に示すように測定装置400に挿入し、測定結果を得る。前記測定装置400は、前記試験片保持装置200が挿入されると、前述したように前記試験片101の上面に光を照射して試験片101の呈色域の反応結果を測定したり、或いは該呈色域を撮像したり、或いは前記試験片101に器具を接触させて、測定結果を得る。そして、前記測定装置400による測定が終了後、該測定装置400から排出された試験片保持装置200は、図11(a),図12(a)に示すように、前記試験片保持状態を維持したまま、測定装置400から取り出される。
【0094】
この後、当該試験片保持装置200から、使用済みの試験片101を排出する。まず、回動可動部203の排出ボタン204を下方向に押し、回動可動部203を基盤202に対して上方に回動動作させる。この動作に伴って、図11(b),図12(b)に示すように、前記回動可動部203に設けられたアーム210が、前記試験片101を持ち上げ、該試験片101を基盤202から外し、試験片保持装置200から排出する。排出後、前記排出ボタン204から手を離せば、該排出ボタン204の下に設けられた第4の弾性体215により、該回動可動部203及び排出ボタン204が通常状態に戻る。
【0095】
従って、試験片保持装置200の前述した測定後の試験片排出動作を、図13に示すように、廃棄箱500上で、該試験片保持装置200の持ち手部208を持って、地面と水平より下方向に維持しながら行なえば、ユーザが前記試験片101にふれなくても、該試験片101を、当該試験片保持装置200から半自動的に排出して廃棄することができる。
【0096】
以上のように、本実施の形態2の試験片保持装置200によれば、基盤202と、該基盤202上に回動可動部203、該基盤202の所定位置に試験片101を押圧保持する第3の弾性体211とを備え、前記回動可動部203と前記基盤202との間で、前記第3の弾性体211により保持された状態にある試験片101を、該回動可動部203を基盤202に対して上方に回転動作させて、該保持状態を解除し、前記試験片101を排出するようにしたので、ユーザーが前記試験片101に直接触れることなく、該試験片101を試験片保持装置200から簡便且つ安全に排出し廃棄することができる。
【0097】
さらに、本実施の形態2によれば、排出ボタン204の下に、回動可動部203の前記基盤202に対する上方への回動動作を規制する第4の弾性体215を設けるようにしたので、ユーザーが力を加えなければ、回動可動部203が回動動作を行なわないようにでき、前記試験片101が誤って排出されるのを防止することができる。
【0098】
さらに、本実施の形態2では、前記基盤202上に、試験片101を基盤202上に設けられた基準面206に押しつけ、該試験片101を押圧保持する第3の弾性体211を備えるようにしたので、試験片101を当該装置200内に確実に保持することができる。
【0099】
なお、本実施の形態2では、基盤202が長方形状であるものとしたが、これに限るものではなく、例えば、台形、一部に曲線を含む形状、楕円形状、三角形状など、その形状はどのようなものであってもよい。
【0100】
(実施の形態3)
前記実施の形態では、前記基盤上に設けられた摺動可動部をスライド移動させたり、回動可動部を回動動作させたりすることで、保持状態にある試験片を試験片保持装置より排出するものとしたが、本実施の形態3では、排出ボタンを基盤上で摺動可能である構成とし、該排出ボタンの基盤に対する摺動動作により、前記試験片を当該装置より排出するものである。
【0101】
以下、本発明の実施の形態3の試験片保持装置について説明する。
図14は、本発明の実施の形態3における試験片保持装置の構成を示す概略図であり、図(a)は平面図であり、図(b)は図(a)のA−A断面図である。
【0102】
図に示すように、本実施の形態3の試験片保持装置300は、基盤下部302aと、基盤上部302bとからなる長方形状の基盤302と、該基盤上部302bに、該基盤302の長手方向に摺動可能な摺動可動部である排出ボタン304とを備え、前記試験片101の測定時には、前記基盤302中に試験片101を固定保持し、測定後には、排出ボタン304を前記基盤302に対して摺動移動させることで、該試験片101の保持状態を解除し、該試験片101を当該試験片保持装置300から半自動的に排出するものである。なお、本実施の形態3の試験片保持装置300の構成材料は、前記実施の形態1で説明したものと同様であるため、説明を省略する。
【0103】
以下、本実施の形態3における試験片保持装置300の構成について詳述する。本実施の形態3の装置300で保持する試験片101は、前記実施の形態1と同様のものである。
【0104】
前記基盤302は、長方形状の剛体で形成されており、該基盤下部302a上に基盤上部302bが固定され、該基盤上部302bに設けられた排出ボタン304が、該基盤上部302bの上面に設けられた排出ボタンガイド314に沿って長手方向に摺動動作する。
【0105】
さらに前記基盤上部302bには、前記試験片101の切欠部101aと嵌合し、前記基盤302中の所定位置にて前記試験片101を固定保持する、板バネなどの第5の弾性体311が設けられており、前記基盤上部302bと前記基盤下部302aとの間に挿入された前記試験片101は、該第5の弾性体311により、その短手方向を挟むようにして保持される。詳述すると、前記基盤上部302bの下面と前記基盤下部302aの上面との間には、前記試験片101を挿入し保持するための空間が設けられており、該空間の端面から前記試験片101を挿入し、挿入された試験片は、この空間の後方位置に設けられている前記第5の弾性体311により保持される。
【0106】
また、前記基盤上部302bは、前記実施の形態1と同様、前記試験片101をセットする側である長手方向前方が、コの字形状となっており、当該試験片保持装置300に試験片101を保持した際、そのコの字形状部分間の開口部に、試験片101の呈色域が露出するようになっている。そして、この開口部より、試験片101の上面に測定装置400から光を照射して、前記呈色域の反応結果を測定したり、或いは前記呈色域を撮像したり、或いは前記試験片101に器具を接触させるようにしている。
【0107】
前述した排出ボタン304は、平面部304bと、該平面部304bに連結するL字形状の突起部304aとからなり、前基盤上部302bの長手方向後方に設けられる。そして、当該装置300より前記試験片101を排出する場合は、前記排出ボタンガイド314に沿って、前記排出ボタン304を前記基盤302中で長手方向前方に摺動動作させることで、前記試験片101の保持状態を解除し、当該装置300より試験片101を排出するものである。具体的に述べると、前記試験片101を当該装置300より排出する際には、前記排出ボタン304を長手方向前方に摺動させて、該突起部304aの先端を前記試験片101に接触させ、その状態のまま前記排出ボタン304を更に長手方向前方に摺動動作させることで、該試験片101を排出する。
【0108】
そして、前記排出ボタン304の突起部304aは、前記試験片101を当該装置300に取り付ける際の妨害となってはいけないので、基盤302中を往復運動できるものとし、さらに誤動作防止のため、該排出ボタン304を基盤302とコイルバネなどの第6の弾性体315で連結して、その摺動動作を規制することで、ユーザーが排出ボタン304の平面部304bに対して力を加えなければ摺動動作を行なわないようにするのが望ましい。
【0109】
なお、本実施の形態3では、前記排出ボタン304の平面部304b、及び排出ボタンガイド314が、前記基盤上部302bの上面に設けられるものとしたが、前記排出ボタン304の突起部304aが試験片101と接触可能な位置に配置されれば、前記排出ボタン304の平面部304bと前記排出ボタンガイド314は、いずれに設けてもよく、例えば、排出ボタン304の平面部304bと前記排出ボタンガイド314とを、基盤302の側面あるいは基盤下部302aの底面に設けるようにしてもよい。そして前記排出ボタン304の平面部304bを、ユーザーが触れにくい位置に配置すれば、ユーザーによる排出ボタン304の誤操作を防止でき、試験片101が誤って排出されるのを防止することが可能となる。
【0110】
次に、図15を用いて、本実施の形態3の試験片保持装置300に試験片101をセットしてから排出するまでの動作を説明する。図15は、本実施の形態3における試験片保持装置の、(a)試験片保持状態、(b)排出ボタン摺動状態を示す断面図であり、図16は、試験片を廃棄する状態を示す図である。
【0111】
まず、ユーザーは、試験片101を、該基盤下部302aと基盤上部302bとの間に挿入し、当該試験片保持装置300にセットする。このとき、ユーザーは、前記試験片101の切欠部101aが、前記第5の弾性体311に嵌合されるまで押し込む。これにより、前記試験片101は、該第5の弾性体311によって短手方向に挟まれ、基盤302中に試験片101が保持される。試験片101が保持された試験片保持装置300の状態を、図15(a)に示す。
【0112】
以上のようにして前記試験片101を基盤302中に保持した後、該保持された試験片101に対して、血液などの検体を点着する。
【0113】
この後、試験片保持状態にある試験片保持装置300を、図3に示すように測定装置400に挿入し、測定結果を得る。前記測定装置400は、前記試験片保持装置300が挿入されると、前述したように前記試験片101の上面に光を照射して試験片101の呈色域の反応結果を測定したり、或いは該呈色域を撮像したり、或いは前記試験片101に器具を接触させて、測定結果を得る。そして、前記測定装置400による測定が終了後、測定装置400から排出された試験片保持装置300は、図15(a)に示す試験片保持状態を維持したまま、測定装置400から取り出される。
【0114】
この後、当該試験片保持装置300から、使用済みの試験片101を排出する。まず、排出ボタン304は、通常状態ではその突出部304aが試験片101と接触することないよう第6の弾性体315の弾性力により所定位置に保持されているので、ユーザーは前記排出ボタン304の平面部304bに力を加え、該排出ボタン304を排出ボタンガイド314に沿って、長手方向前方にスライド移動させる。これにより、前記排出ボタン304の突起部304aが、基盤302中を長手方向前方にスライド移動し、前記試験片101の一端と該突出部304aの先端が接触する。その状態のまま、図15(b)に示すように、前記排出ボタン304の平面部304bを長手方向前方に更にスライド移動させると、突出部304aが該基盤302中に保持された試験片101を後方から押すこととなる。この動作により、前記第5の弾性体311による試験片101の保持状態が解除され、試験片101を当該装置300より排出できる。排出後は、ユーザーが前記排出ボタン304の平面部304bから手を離せば、該排出ボタン304に連結された第6の弾性体315の弾性力により、前記排出ボタン304が排出ボタンガイド314に沿って、元の所定位置まで移動する。
【0115】
従って、試験片保持装置300の前述した測定後の試験片排出動作を、図16に示すように、廃棄箱500上で、該試験片保持装置300を、地面と水平より下方向に維持しながら行なえば、ユーザーが前記試験片101に直接触れなくても、当該試験片保持装置300から半自動的に排出して廃棄することができる。
【0116】
以上のように、本実施の形態3の試験片保持装置300によれば、基盤302と、該基盤302中の所定位置にて、前記試験片101を固定保持する第5の弾性体311と、該基盤302中を長手方向に摺動移動可能な排出ボタン304とを備え、前記基盤302中にで第5の弾性体311によって保持状態にある試験片101を、前記排出ボタン304を長手方向前方に摺動移動させることで、該保持状態を解除し、前記試験片101を当該装置300から排出するようにしたので、ユーザーが前記試験片101に直接触れることなく、該試験片101を試験片保持装置300から簡便且つ安全に排出し廃棄することができる。
【0117】
また、本実施の形態3においては、前記基盤302中の長手方向後方位置に、前記排出ボタン304を前記基盤302に対し、該長手方向後方に付勢し前方への摺動動作を規制する第6の弾性体315を設けたので、試験片保持状態時に、試験片101と排出ボタン304の突起部304aとが接触しないようにでき、前記試験片101が誤って排出されるのを防止することができる。
【0118】
なお、本実施の形態3では、前記排出ボタン304を長手方向前方に摺動させて、試験片101と接触させ、該試験片101の基盤302中の保持状態が解除されるまで押しだし排出するものとしたが、必ずしもこの方法に限るものではなく、例えば、前記排出ボタン304に回動動作する機構を設け、該排出ボタン304と連動したアームを試験片101に接触させて、該試験片101の基盤302中の保持状態が解除されるまで押しだすような構成にしても、本発明と同等の効果を得られる。
【0119】
さらに、本実施の形態3では、前記第5の弾性体311が基盤上部302bに設けられ、試験片101が基盤上部302bの所定位置に保持されているものとしたが、前記第5の弾性体311は基盤上部302bに設けられている必要はなく、該第5の弾性体を基盤下部302aに設け、試験片101が基盤下部302aの所定位置に保持されていても、本発明と同等の効果を得られる。
【0120】
なお、本実施の形態3においても、前記実施の形態1と同様、前記基盤302の前記試験片101をセットする側の長手方向前方の端面に窪み部205を設け、また、該基盤302の長手方向のもう一方の一端側に持ち手部208が設けるようにしてもよく、このようにすれば、前記実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0121】
また、本実施の形態3では、基盤302が長方形状であるものとしたが、これに限るものではなく、例えば、台形、一部に曲線を含む形状、楕円形状、三角形状など、その形状はどのようなものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明にかかる試験片保持装置は、特に検体が血液や血漿など、感染の恐れのある検体を測定するものとし有用である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の実施の形態1における試験片保持装置構成を示す図であり、図(a)は平面斜視図、図(b)は底面斜視図、図(c)は断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における試験片保持装置の構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の試験片保持装置を、測定装置にセットする状態を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1における試験片保持装置の、第1の弾性体と、基準面と、試験片との関係を示す図であり、図(a)は試験片保持状態を示し、図(b)は試験片排出状態を示す。
【図5】本発明の試験片保持装置に保持された試験片に対し検体を点着する状態を示す図であり、図(a)は平面図、図(b)は断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における試験片保持装置の、(a)試験片保持状態、(b)可動部摺動状態、(c)排出ボタン可動状態、(d)試験片排出状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態1における試験片保持装置の、(a)試験片保持状態、(b)可動部摺動状態、(c)排出ボタン可動状態、(d)試験片排出状態を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1における試験片保持装置から、試験片を廃棄する状態を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2における試験片保持装置の構成を示す図であり、図(a)は平面斜視図であり、図(b)は断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2における試験片保持装置の分解斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態2における試験片保持装置の、(a)試験片保持状態、(b)試験片保持解除状態を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態2における試験片保持装置の、(a)試験片保持状態、(b)試験片保持解除状態を示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態2における試験片保持装置から、試験片を廃棄する状態を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態3における試験片保持装置の構成を示す概略図であり、図(a)は平面図であり、図(b)はA−A断面図である。
【図15】本発明の実施の形態3における試験片保持装置の、(a)試験片保持状態、(b)排出ボタン摺動状態を示す断面図である。
【図16】本発明の実施の形態3における試験片保持装置から、試験片を廃棄する状態を示す図である。
【図17】従来例における試験片保持装置試験片の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0124】
100,200,300 試験片保持装置
101 試験片
101a 切欠部
102,202,302 基盤
103 摺動可動部
104,204,304 排出ボタン
104a,304a 突起部
104b,304b 平面部
105,205 窪み部
106,206 基準面
107 摺動ガイド
108,208 持ち手部
109 スライド突起部
110 ローレット
111 第1の弾性体
111a 第1弾性部
111b 第2弾性部
112 隙間部
113 摺動係止機構
113a 係止部
114 突起部ガイド
115 第2の弾性体
116 弾性体
203 回動可動部
207 軸
209 逃げ
210 アーム
211 第3の弾性体
212 ガイド
215 第4の弾性体
217 軸受け
302a 基盤下部
302b 基盤上部
311 第5の弾性体
314 排出ボタンガイド
315 第6の弾性体
400 測定装置
401 挿入口
500 廃棄箱
600 被験者の指先

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入される試験片を保持する保持機構と、
前記保持機構による前記試験片の保持状態を解除して、該試験片を排出する排出機構と、を備える、
ことを特徴とする試験片保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の試験片保持装置において、
前記保持機構は、基盤上に、前記試験片の挿入方向に平行な方向に摺動可能な摺動可動部が設けられ、該摺動可動部の所定位置に、前記摺動可動部が前記試験片を該摺動可動部と前記基盤との間に保持するよう、該摺動可動部に係合して前記試験片を前記基盤に対し押圧保持させる第1の弾性体が設けられて構成されてなり、
前記排出機構は、前記保持機構における前記摺動可動部による前記試験片の保持状態より、前記摺動可動部が前記基盤に対して摺動されることで、該保持状態が解除され、前記試験片を排出する、
ことを特徴とする試験片保持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の試験片保持装置において、
前記排出機構は、
前記基盤の所定位置に、前記試験片の保持状態を解除状態に切替えるための排出ボタンが設けられ、
前記摺動可動部による前記試験片の保持状態より、前記摺動可動部が前記基盤に対して前記挿入方向と逆方向に摺動されると、前記試験片が前記保持状態を維持したまま前記基盤上の所定位置まで移動し、
前記排出ボタンが前記試験片の保持状態から解除状態に切り替えられると、該排出ボタンにより前記試験片を前記所定位置で係止し、
さらに、前記摺動可動部が前記基盤に対して前記試験片の挿入方向に所定距離以上摺動されると、該摺動可動部による前記保持状態が解除され、前記試験片を排出する、
ことを特徴とする試験片保持装置。
【請求項4】
請求項2に記載の試験片保持装置において、
前記基盤の後方位置に、前記摺動可動部を前記基盤に対して前記試験片の挿入方向に付勢し、前記摺動可動部の前記挿入方向と逆方向への摺動動作を規制する第2の弾性体が設けられている、
ことを特徴とする試験片保持装置。
【請求項5】
請求項2に記載の試験片保持装置において、
前記排出機構は、
前記摺動可動部に、前記試験片を排出するよう付勢する排出用弾性体が設けられており、
前記試験片の保持状態の解除の後、前記排出用弾性体により前記試験片を付勢して排出する、
ことを特徴とする試験片保持装置。
【請求項6】
請求項1に記載の試験片保持装置において、
前記保持機構は、基盤上に、該基盤に対して回動可能に回動可動部が設けられ、前記基盤上の所定位置に、該位置にて前記試験片を前記回動可動部と前記基盤との間に固定保持するよう、前記試験片を前記基盤に対し押圧保持させる第3の弾性体が設けられて構成されてなり、
前記排出機構は、前記保持機構による前記試験片の保持状態より、前記回動可動部が前記基盤に対して上方に回動されることで、該保持状態が解除され、前記試験片を排出する、
ことを特徴とする試験片保持装置。
【請求項7】
請求項6に記載の試験片保持装置において、
前記排出機構は、
前記回動可動部に、前記試験片の保持状態を解除状態に切替える排出ボタンが設けられ、
前記排出ボタンが前記試験片の保持状態から解除状態に切り替えられると、前記回動可動部による前記試験片の保持状態より、前記回動可動部が前記基盤に対して上方に回動し、
該回動可動部の回動角度が所定角度より大きくなると、前記保持状態が解除され、前記試験片を排出する、
ことを特徴とする試験片保持装置。
【請求項8】
請求項7に記載の試験片保持装置において、
前記基盤上に、前記回動可動部の前記基盤に対する上方への回動動作を規制する第4の弾性体が設けられている、
ことを特徴とする試験片保持装置。
【請求項9】
請求項1に記載の試験片保持装置において、
前記保持機構は、基盤中に、前記試験片の挿入方向に平行な方向に摺動可能な摺動可動部が設けられ、前記基盤中の所定位置に、該位置にて前記試験片を固定保持するよう、第5の弾性体が設けられて構成されてなり、
前記排出機構は、前記保持機構による前記試験片の保持状態より、前記摺動可動部が前記基盤に対して摺動されることで、該保持状態が解除され、前記試験片を排出する、
ことを特徴とする試験片保持装置。
【請求項10】
請求項9に記載の試験片保持装置において、
前記基盤中の後方位置に、前記摺動可動部を前記基盤に対して前記試験片の挿入方向に付勢し、前記摺動可動部の前記挿入方向と逆方向への摺動動作を規制する第6の弾性体が設けられている、
ことを特徴とする試験片保持装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate