説明

試験装置

【課題】ブレーカの着脱操作を容易に行うことができる試験装置を提供すること。
【解決手段】試験装置1は、ブレーカ100の動作試験を行う試験装置であり、異なる種類のブレーカ100について、動作試験を行うことができるように構成されている。試験装置1は、ブレーカ100を着脱自在に装着する装着部22を有する装置本体2と、装置本体2に対して着脱自在に設置され、異なる複数種のブレーカ100に対応する異なる複数種の1対のアダプタ3と、アクチュエータ4とを備えている。ブレーカ100の動作試験を行う場合は、そのブレーカ100に対応する1対のアダプタ3を選択し、装置本体2に設置する。アダプタ3は、アダプタ本体31と、アダプタ本体31に対して移動可能に設置された1対の可動ピン32と、ブレーカ100から離間する方向に各可動ピン32を付勢する1対のコイルバネ33とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般の家庭では、電力会社から分電盤の電流制限器(ブレーカ)を介して電力が供給されている。分電盤には、電流制限器の他、主幹ブレーカ(ブレーカ)や分岐ブレーカ(ブレーカ)等が設けられている。
【0003】
電流制限器は、電力会社との契約で定めた契約容量を超える電力を使用した場合に動作し、電流を遮断する。これにより、電力会社からは、契約容量を超えない範囲内で電力が供給される。
【0004】
このようなブレーカに対しては、予め、試験装置により動作を確認する動作試験が行われ、その動作試験に合格したもののみが使用される。
【0005】
ところで、ブレーカは、動作試験の際に使用される1対の端子を一端側と他端側とにそれぞれ有しており、動作試験の際は、一端側の1対の端子と、他端側の1対の端子とにそれぞれ、試験装置の通電用のラインを接続する。なお、ブレーカの各端子は、それぞれ、ブレーカのケーシングに形成された穴内に設けられている。
【0006】
従来の試験装置では、ブレーカを装着する装着部は、導電性を有する移動可能な1対のピンを一端側に備え、導電性を有する移動可能な1対のピンを他端側に備えている。各ピンは、それぞれ、通電用のラインと接続されている。また、各ピンは、それぞれ、比較的強力なコイルバネの弾性力により、突出する方向に付勢されている。したがって、各ピンは、それぞれ、そのピンを押圧すると、引っ込み、その押圧を解除すると、コイルバネの付勢力で元の位置に戻る。
【0007】
ブレーカの動作試験において、そのブレーカを試験装置の装着部に装着する際は、まず、ブレーカの一端側の1対の端子が設けられている穴内に、装着部の一端側の1対のピンを挿入し、ブレーカでその1対のピンを押圧して引っ込ませ、この状態で、ブレーカの他端側の1対の端子が設けられている穴内に、装着部の他端側の1対のピンを挿入する。
【0008】
しかしながら、前記従来の試験装置では、ブレーカの着脱操作に手間と時間を要するという欠点がある。特に、各ピンを付勢するコイルバネの弾性力が強いので、女性にとっては、ブレーカの着脱操作に多大な手間と時間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−215508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ブレーカの着脱操作を容易に行うことができる試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的は、下記(1)〜(13)の本発明により達成される。
(1) 1対の端子を一端側と他端側とにそれぞれ有するブレーカの動作試験を行う試験装置であって、
前記ブレーカを着脱自在に装着する装着部を有する装置本体と、
アダプタ本体と、該アダプタ本体に対して移動可能に設置された導電性を有する1対の可動ピンとを有し、前記装着部を介して互いに対向し、かつ、前記装置本体に対して着脱自在に設置される1対のアダプタと、
前記各可動ピンを移動させるアクチュエータとを備え、
前記各可動ピンは、前記ブレーカの動作試験の際、通電するラインの一部を構成しており、
前記アクチュエータの作動により前記各可動ピンが移動し、該各可動ピンが前記装着部に装着された前記ブレーカの対応する前記各端子にそれぞれ接触し、前記ラインが通電可能となるよう構成されていることを特徴とする試験装置。
【0012】
(2) 前記各可動ピンにより、前記ブレーカが保持されるよう構成されている上記(1)に記載の試験装置。
【0013】
(3) 前記アクチュエータは、前記装置本体に対して移動可能に設置され、1対の前記アダプタのうちの一方の前記アダプタの1対の前記可動ピンに当接し得る第1の押圧部材と、他方の前記アダプタの1対の前記可動ピンに当接し得る第2の押圧部材とを有し、
前記第1の押圧部材および前記第2の押圧部材を移動させ、前記第1の押圧部材および前記第2の押圧部材により、対応する前記各可動ピンをそれぞれ移動させるよう構成されている上記(1)または(2)に記載の試験装置。
【0014】
(4) 前記第1の押圧部材は、導電性を有し、互いに絶縁され、前記一方の前記アダプタの1対の前記可動ピンに当接し得る1対の第1の押圧部を有し、
前記第2の押圧部材は、導電性を有し、互いに絶縁され、前記他方の前記アダプタの1対の前記可動ピンに当接し得る1対の第2の押圧部を有する上記(3)に記載の試験装置。
【0015】
(5) 1対の前記第1の押圧部は、一体的に移動し、
1対の前記第2の押圧部は、一体的に移動するよう構成されている上記(4)に記載の試験装置。
【0016】
(6) 1対の前記第1の押圧部および1対の前記第2の押圧部は、前記ラインの一部を構成する上記(4)または(5)に記載の試験装置。
【0017】
(7) 1対の前記可動ピンの配置が互いに異なる複数種の前記アダプタを有し、それらのアダプタから1種を選択して前記装置本体に設置するよう構成されている上記(4)ないし(6)のいずれかに記載の試験装置。
【0018】
(8) 1対の前記第1の押圧部は、1対の前記可動ピンに当接する当接面を有し、前記複数種のアダプタのすべてにおいて、1対の前記当接面と1対の前記可動ピンとが当接し、
1対の前記第2の押圧部は、1対の前記可動ピンに当接する当接面を有し、前記複数種のアダプタのすべてにおいて、1対の前記当接面と1対の前記可動ピンとが当接するよう構成されている上記(7)に記載の試験装置。
【0019】
(9) 1対の前記第1の押圧部の1対の前記当接面は、前記複数種のアダプタのすべてにおいて、1対の前記可動ピンに当接するような形状を有し、
1対の前記第2の押圧部の1対の前記当接面は、前記複数種のアダプタのすべてにおいて、1対の前記可動ピンに当接するような形状を有する上記(8)に記載の試験装置。
【0020】
(10) 前記アクチュエータは、前記各可動ピンを前記ブレーカに接近する方向にのみ移動させるものであり、
前記アダプタは、前記ブレーカから離間する方向に1対の前記可動ピンを付勢する付勢手段を有する上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の試験装置。
【0021】
(11) 前記ブレーカの前記装着部への装着の有無を検出するセンサを有する上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の試験装置。
【0022】
(12) 前記アクチュエータの作動を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記センサにより前記ブレーカが前記装着部に装着されたことが検出されると、前記アクチュエータを作動させるよう構成されている上記(11)に記載の試験装置。
【0023】
(13) 前記アクチュエータの作動を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記センサにより前記ブレーカが前記装着部に装着されたことが検出されると、前記アクチュエータの作動を許可するよう構成されている上記(11)に記載の試験装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ブレーカの着脱操作を容易に行うことができる。特に、アクチュエータの作動により各可動ピンが移動し、各可動ピンがブレーカの対応する各端子にそれぞれ接触し、動作試験を実行し得る状態となるので、ブレーカの装着を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の試験装置の実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す試験装置の側面図である。
【図3】図1に示す試験装置の装置本体を示す平面図である。
【図4】図1に示す試験装置の装置本体を示す側面図である。
【図5】図1に示す試験装置のアダプタを示す図である。
【図6】図1に示す試験装置により動作試験が行われるブレーカを示す図である。
【図7】図1に示す試験装置の動作試験時の状態を示す平面図である。
【図8】図1に示す試験装置の動作試験時の状態を示す側面図である。
【図9】図1に示す試験装置の主要部を示すブロック図である。
【図10】図1に示す試験装置に他のアダプタおよび他のブレーカを装着した状態を示す平面図である。
【図11】図1に示す試験装置に他のアダプタおよび他のブレーカを装着した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の試験装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、本発明は、各種のブレーカの動作試験を行う各種の試験装置に適用することができるが、下記の実施形態では、代表的に、ブレーカが電流制限器の場合、すなわち本発明を電流制限器の動作試験を行う試験装置に適用した場合について説明する。
【0027】
図1は、本発明の試験装置の実施形態を示す平面図、図2は、図1に示す試験装置の側面図、図3は、図1に示す試験装置の装置本体を示す平面図、図4は、図1に示す試験装置の装置本体を示す側面図、図5は、図1に示す試験装置のアダプタを示す図、図6は、図1に示す試験装置により動作試験が行われるブレーカを示す図、図7は、図1に示す試験装置の動作試験時の状態を示す平面図、図8は、図1に示す試験装置の動作試験時の状態を示す側面図、図9は、図1に示す試験装置の主要部を示すブロック図、図10は、図1に示す試験装置に他のアダプタおよび他のブレーカを装着した状態を示す平面図、図11は、図1に示す試験装置に他のアダプタおよび他のブレーカを装着した状態を示す平面図である。
【0028】
なお、以下では、図1、図3、図7、図10、図11中の左側を「左」、右側を「右」、上側を「上」、下側を「下」とし、図2、図4、図8中の左側を「左」、右側を「右」、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。また、各図では、一部に断面を示す場合もある。また、図1、図2、図7、図8、図10、図11では、ケーシングの図示は省略されている。
【0029】
各図に示す試験装置1は、電流制限器であるブレーカ100の動作試験を行う試験装置であり、異なる種類(図示の構成では3種)のブレーカ100a(図1、図6参照)、100b(図10参照)、100c(図11参照)のそれぞれについて、動作試験を行うことができるように構成されている。ブレーカ100a、100b、100cは、互いに、契約するアンペア数の異なるものである。
【0030】
以下では、ブレーカ100a、ブレーカ100b、ブレーカ100cを総称する場合には、「ブレーカ100」と言い、区別して言う場合には、「ブレーカ100a」、「ブレーカ100b」、「ブレーカ100c」と言う。
【0031】
図1、図2および図6に示すブレーカ100aは、単3、40〜60A用のものであり、一端側に1対の端子101、102を有し、他端側に1対の端子103、104を有している。また、ブレーカ100aは、端子101と端子102との間に端子105を有し、端子103と端子104との間に端子106を有している。端子101〜104は、動作試験で使用され、また、端子105および106は、動作試験では使用されない。
【0032】
次に、端子101〜106について説明するが、その端子101〜106の構成は同様であるので、代表的に、端子101を説明する。
【0033】
端子101は、導電性を有しており、導電性を有するネジ孔107およびそのネジ孔107に螺合する導電性を有するネジ108とを備えている。また、側方には、前記ネジ孔107に連通する穴部109が形成されている。なお、動作試験の際は、ネジ108をネジ孔107に螺合した状態とする。
【0034】
ブレーカ100bは、単3、20〜30A用のものであり、また、ブレーカ100cは、単2、5〜30A用のものである。ブレーカ100a〜cは、互いに、一方の1対の端子101、102の間隔(配置)、他方の1対の端子103、104の間隔(配置)等、所定の各部の寸法が異なっている。但し、ブレーカ100bおよび100cと、ブレーカ100aとは、端子の数、寸法等が異なるのみであるので、ブレーカ100bおよび100cについては、その説明を省略する。
【0035】
図1および図2に示すように、試験装置1は、装置本体2と、装置本体2に対して着脱自在に設置され、異なる複数種(図示の構成では3種)のブレーカ100a、100bおよび100cに対応する異なる複数種(図示の構成では3種)の1対のアダプタ3a(図1、図5参照)、3b(図10参照)および3c(図11参照)と、アクチュエータ4とを備えている。ブレーカ100aの動作試験を行う場合は、1対のアダプタ3aを選択し、ブレーカ100bの動作試験を行う場合は、1対のアダプタ3bを選択し、ブレーカ100cの動作試験を行う場合は、1対のアダプタ3cを選択し、それぞれ、装置本体2に設置する。
【0036】
なお、アダプタ3a〜3cとは、互いに、後述する1対の可動ピン32の間隔(配置)等、所定の各部の寸法が異なっている。
【0037】
以下では、アダプタ3a、アダプタ3b、アダプタ3cを総称する場合には、「アダプタ3」と言い、区別して言う場合には、「アダプタ3a」、「アダプタ3b」、「アダプタ3c」と言う。
【0038】
また、以下では、代表的に、試験装置1に、ブレーカ100aを装着し、ブレーカ100aの動作試験を行う場合について説明する。また、各部の位置関係は、1対のアダプタ3aおよびブレーカ100aを装置本体2に取り付けた状態で説明する。
【0039】
図1〜図4に示すように、装置本体2は、平面視でほぼ長方形の基板21と、基板21上の中央部に設けられ、ブレーカ100aを着脱自在に装着する装着部22とを有している。
【0040】
ブレーカ100aは、穴部109の方向が基板21の長手方向(図1中の上下方向)となるように、装着部22に装着される。
【0041】
基板21の装着部22の図1中下側には、一方のアダプタ3aを装置本体2に設置する際のそのアダプタ3aの位置決め用の1対のピン23が、図1の紙面に垂直な方向に向って立設されている。同様に、基板21の装着部22の図1中上側には、他方のアダプタ3aを装置本体2に設置する際のそのアダプタ3aの位置決め用の1対のピン23が、図1の紙面に垂直な方向に向って立設されている。
【0042】
また、装着部22の裏面側には、その装着部22へのブレーカ100aの装着の有無を検出するタッチセンサ(センサ)61が設置されている。
【0043】
1対のアダプタ3aは、装置本体2に、装着部22を介して互いに対向するように設置される。この場合、一方のアダプタ3aは、ブレーカ100aの1対の端子101、102側に位置し、他方のアダプタ3aは、ブレーカ100aの1対の端子103、104側に位置する。
【0044】
次に、各アダプタ3aについて説明するが、各アダプタ3aの構成は、同様であるので、代表的に、一方(図1中下側)のアダプタ3aを説明する。
【0045】
図1、図2および図5に示すように、アダプタ3aは、アダプタ本体31と、アダプタ本体31に対して移動可能に設置された1対の可動ピン32と、ブレーカ100aから離間する方向に各可動ピン32を付勢する1対のコイルバネ(付勢手段)33とを有している。
【0046】
アダプタ本体31は、平面視で、コ字状をなしている。このアダプタ本体31には、図1および図5中の上下方向に延在し、アダプタ本体31を貫通する1対の孔部311が形成されている。一方の孔部311は、ブレーカ100aの端子101のネジ孔107に貫通する穴部109に対応する位置に、その穴部109と同じ方向に形成さている。すなわち、一方の孔部311は、端子101のネジ孔107に貫通する穴部109と同軸上に形成されている。また、他方の孔部311は、ブレーカ100aの端子102のネジ孔107に貫通する穴部109に対応する位置に、その穴部109と同じ方向に形成さている。すなわち、一方の孔部311は、端子102のネジ孔107に貫通する穴部109と同軸上に形成されている。
【0047】
そして、各孔部311内には、それぞれ、可動ピン32が挿入されている。各可動ピン32は、それぞれ、途中に大径部321を有し、その大径部321は、孔部311内に位置し、その孔部311よりも図1および図5中下側の部位は、アダプタ本体31の外側に突出している。また、各可動ピン32の孔部311よりも図1および図5中上側の部位は、それぞれ、孔部311内に位置している。
【0048】
また、各コイルバネ33は、それぞれ、大径部321と、アダプタ本体31の大径部321よりも図1および図5中上側の部位に形成された段差部312との間に、収縮した状態で設置されている。これによって、各可動ピン32は、それぞれ、コイルバネ33により、図1および図5中下側、すなわち、ブレーカ100aから離間する方向に付勢される。
【0049】
後述するアクチュエータ4は、各可動ピン32をブレーカ100aに接近する方向にのみ移動させるものであるので、各可動ピン32は、アクチュエータ4の作動によりブレーカ100aに接近する方向に移動した後、アクチュエータ4が逆方向に作動すると、コイルバネ33の弾性力(付勢力)により、ブレーカ100aから離間する方向に移動し、元の位置に戻る。
【0050】
また、各可動ピン32は、それぞれ、導電性を有し、ブレーカ100aの動作試験の際、通電するラインの一部を構成する。また、各可動ピン32は、互いに離間し、アダプタ本体31が絶縁性を有することで、互いに絶縁されている。
【0051】
また、アダプタ本体31の図1および図5中の左右方向の両端部には、それぞれ、位置決め用の孔部313が形成されている。この孔部313は、図1および図5の紙面に垂直な方向に延在し、アダプタ本体31を貫通している。アダプタ3aを装置本体2に設置する際は、装置本体2の1対のピン23を、前記1対の孔部313に挿通させる。
【0052】
また、各孔部313の近傍には、それぞれ、ボールプランジャ34が設置されている。これにより、前記装置本体2の1対のピン23の1対の孔部313への挿通を円滑に行うことができる。
【0053】
図1〜図4に示すように、アクチュエータ4は、各可動ピン32を移動させる手段である。このアクチュエータ4は、一方のアダプタ3aの各可動ピン32を移動させる移動機構40と、他方のアダプタ3aの各可動ピン32を移動させる移動機構40とで構成されている。なお、各移動機構40の構成は、同様であるので、代表的に、一方(図2中右側)の移動機構40を説明する。
【0054】
移動機構40は、エアシリンダ41と、エアシリンダ41のピストンロッド411に固定され、装置本体2に対して移動可能なスライダ42と、スライダ42に固定され、装置本体2に対して移動可能な1対の押圧部(第1の押圧部)43と、スライダに固定され、装置本体2に対して移動可能なガイドロッド44とを有している。これらスライダ42、各押圧部43およびガイドロッド44は、ピストンロッド411共に、一体的に、ブレーカ100aに対し、接近・離間する方向に移動する。
【0055】
エアシリンダ41は、基板21の図2中下側であって、アダプタ3aの下方に設置されている。また、基板21の図2中下側には、支持部24が設置されており、ガイドロッド44は、この支持部24に、移動可能に支持されている。
【0056】
また、スライダ42は、基板21の図2中の上下に亘って延在している。また、各押圧部43は、それぞれ、スライダ42の図2中の上側で、各可動ピン32に対応する位置に配置されている。
【0057】
このように、移動機構40の全体形状は、側面視で、コ字状をなしている。これにより、移動機構40を小型化することができ、試験装置1全体を小型化することができる。
【0058】
また、各押圧部43は、それぞれ、各可動ピン32に当接し得るよう構成されている。すなわち、各押圧部43は、それぞれ、各可動ピン32に当接する当接面431を有しており、3種のアダプタ3a〜3cのすべてにおいて、1対の当接面431と1対の可動ピン32とが当接するよう構成されている。本実施形態では、1対の第1の押圧部43の1対の当接面431は、3種のアダプタのすべてにおいて、1対の可動ピン32に当接するような形状を有している。
【0059】
また、基板21の下側には、エアシリンダ41に圧縮空気を供給する図示しない流路を開閉する所定数の電磁弁64が設置されている。なお、図面には、電磁弁64は、代表的に、1個のみ図示されている。
【0060】
エアシリンダ41が作動し、ピストンロッド411が移動すると、そのピストンロッド411と共に、スライダ42、各押圧部43およびガイドロッド44は、一体的に、ブレーカ100aに対して接近・離間する方向に移動する。この際、ガイドロッド44により、スライダ42は安定して移動することができる。
【0061】
また、各押圧部43は、それぞれ、導電性を有し、ブレーカ100aの動作試験の際、通電するラインの一部を構成する。また、各押圧部43は、互いに離間し、スライダ42が絶縁性を有することで、互いに絶縁されている。この1対の押圧部(第1の押圧部)43により、一方のアダプタ3aの1対の可動ピン32に当接し得る第1の押圧部材が構成される。なお、説明を省略した他方(図2中左側)の移動機構40の1対の押圧部(第2の押圧部)43により、他方のアダプタ3aの1対の可動ピン32に当接し得る第2の押圧部材が構成される。
【0062】
また、各押圧部43には、それぞれ、導電性を有する長尺状の導電部材51が接続されている。これらの導電部材51は、ブレーカ100aの動作試験の種類に応じて、適宜選択され、ブレーカ100aの図示しない動作試験用の回路に接続される。
【0063】
また、図9に示すように、試験装置1は、制御部(制御手段)62と、ブレーカ100aを取り外す際にエアシリンダ41を作動させるスイッチ63とを有している。
【0064】
制御部62は、タッチセンサ61、スイッチ63から入力される信号(情報)に基づいて、電磁弁64(アクチュエータ4)等、試験装置1全体の作動を制御する。制御部62としては、例えば、マイクロコンピュータ等を用いることができる。
【0065】
本実施形態では、制御部62は、タッチセンサ61によりブレーカ100aが装着部22に装着されたことが検出されると、アクチュエータ4を作動させるよう構成されている。
【0066】
なお、これに限らず、例えば、制御部62は、タッチセンサ61によりブレーカ100aが装着部22に装着されたことが検出されると、アクチュエータ4の作動を許可するよう構成することもできる。この場合、例えば、所定の操作スイッチを操作すると、アクチュエータ4が作動するよう構成する。
【0067】
また、試験装置1は、本体部に設置されたアダプタ3の種類に対し、誤った種類のブレーカ100を装着することを阻止する装着阻止手段を有していることが好ましい。この構成例としては、例えば、ブレーカ100とそのブレーカ100に対応するアダプタ3とで、ブレーカ100の色と、アダプタ3の色とを対応させる。特に、ブレーカ100の所定部位の色と、アダプタ3の所定部位の色とを同一にする。
【0068】
また、他の構成例としては、ブレーカ100とそのブレーカ100に対応するアダプタ3との組み合わせの場合のみに、ブレーカ100を装着し得るように、ブレーカ100やアダプタ3等の所定部位に凹凸等を設ける。
【0069】
次に、試験装置1の作用を説明する。
ブレーカ100aの動作試験を行う場合は、図1および図2に示すように、3種の1対のアダプタ3a〜3cのうちから、ブレーカ100aに対応する1対のアダプタ3aを選択し、その各アダプタ3aを装置本体2の装着部22設置する。この場合、各アダプタ3aについて、それぞれ、各孔部311内に装置本体2の各ピン23を挿入する。これにより、各アダプタ3aは、装着部22に、位置決めされるとともに、保持される。
【0070】
なお、ブレーカ100bの動作試験を行う場合は、図10に示すように、ブレーカ100bに対応する1対のアダプタ3bを選択し、その各アダプタ3bを装置本体2の装着部22に設置する。また、ブレーカ100cの動作試験を行う場合は、図11に示すように、ブレーカ100cに対応する1対のアダプタ3cを選択し、その各アダプタ3cを装置本体2の装着部22に設置する。
【0071】
次いで、ブレーカ100aを装置本体2の装着部22に装着する。この際、タッチセンサ61により、装置本体2の装着部22にブレーカ100aが装着されたことが検出される。この情報は、制御部62に送出され、制御部62は、所定の電磁弁64を開く。これにより、図6および図7に示すように、各移動機構40のエアシリンダ41の所定部位に圧縮空気が供給され、各エアシリンダ41のピストンロッド411が収縮する方向に移動する。
【0072】
これにより、一方の移動機構40のスライダ42および各押圧部43が可動ピン32に接近する方向に移動し、各押圧部43により、各可動ピン32が各コイルバネ33の付勢力に抗して各端子101、102に接近する方向に移動し、各可動ピン32は、ブレーカ100aの各穴部109内に挿入され、各端子101、102の各ネジ108に接触する。
【0073】
同様に、他方の移動機構40のスライダ42および各押圧部43が可動ピン32に接近する方向に移動し、各押圧部43により、各可動ピン32が各コイルバネ33の付勢力に抗して各端子103、104に接近する方向に移動し、各可動ピン32は、ブレーカ100aの各穴部109内に挿入され、各端子103、104の各ネジ108に接触する。
【0074】
これにより、ブレーカ100aの動作試験の際、通電するラインが通電可能となる。また、4つの可動ピン32により、ブレーカ100aが保持される。以上で、動作試験の準備が完了する。
【0075】
次いで、ブレーカ100aの動作試験を行う。この動作試験では、図示しない動作試験用の回路により、4つの導電部材51のうちの所定の端子に電流を流し、所定の電流値においてブレーカ100aが落ちる(切れる)か否か、すなわち、電流の遮断動作が生じる否かを検査する。
【0076】
なお、この動作試験は、ブレーカ100aを1個ずつ行うこともでき、また、試験装置1を複数個、直列に接続し、複数のブレーカ100aを同時に行うこともできる。
【0077】
動作試験が終了すると、スイッチ63を操作し、そのスイッチ63をオンする。これにより、この情報は、制御部62に送出され、制御部62は、所定の電磁弁64を開く。これにより、図1および図2に示すように、各移動機構40のエアシリンダ41の所定部位に圧縮空気が供給され、各エアシリンダ41のピストンロッド411が伸長する方向に移動する。
【0078】
これにより、一方の移動機構40のスライダ42および各押圧部43が可動ピン32から離間する方向に移動する。各可動ピン32は、各コイルバネ33の弾性力により各端子101、102から離間する方向に移動する。これにより、各可動ピン32は、各端子101、102から離間する。
【0079】
同様に、他方の移動機構40のスライダ42および各押圧部43が可動ピン32から離間する方向に移動する。各可動ピン32は、各コイルバネ33の弾性力により各端子103、104から離間する方向に移動する。これにより、各可動ピン32は、各端子103、104から離間する。
【0080】
これにより、4つの可動ピン32によるブレーカ100aの保持が解除され、装着部22からブレーカ100aを取り外すことが可能となる。
【0081】
次いで、ブレーカ100aを装置本体2の装着部から取り外す。なお、続いて、他のブレーカ100aの動作試験を行う場合は、前記と同様にして行う。
【0082】
以上説明したように、この試験装置1によれば、ブレーカ100の着脱操作を容易に行うことができる。
【0083】
すなわち、ブレーカ100を装着部22に装着する場合は、ブレーカ100を装着部22に装着すると、タッチセンサ61がそれを検出し、各エアシリンダ41が作動するので、容易かつ迅速に、動作試験の準備を行うことができる。
【0084】
そして、動作試験が終了した後は、スイッチ63を操作すると、各エアシリンダ41が作動するので、容易かつ迅速に、ブレーカ100を装着部22から取り外すことができる。
【0085】
以上、本発明の試験装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0086】
また、前記実施形態では、アクチュエータの駆動源として、エアシリンダを用いているが、本発明では、これに限らず、例えば、モータ等を用いてもよい。
【0087】
また、前記実施形態では、導電部材51が、動作試験用の回路に接続されるように構成されているが、本発明では、これに限らず、例えば、アダプタの可動ピンが、動作試験用の回路に接続されるように構成されていてもよい。この場合は、押圧部は、導電性を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 試験装置
2 装置本体
21 基板
22 装着部
23 ピン
24 支持部
3、3a、3b、3c アダプタ
31 アダプタ本体
311 孔部
312 段差部
313 孔部
32 可動ピン
321 大径部
33 コイルバネ
34 ボールプランジャ
4 アクチュエータ
40 移動機構
41 エアシリンダ
411 ピストンロッド
42 スライダ
43 押圧部
431 当接面
44 ガイドロッド
51 導電部材
61 タッチセンサ
62 制御部
63 スイッチ
64 電磁弁
100、100a、100b、100c ブレーカ
101〜106 端子
107 ネジ孔
108 ネジ
109 穴部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の端子を一端側と他端側とにそれぞれ有するブレーカの動作試験を行う試験装置であって、
前記ブレーカを着脱自在に装着する装着部を有する装置本体と、
アダプタ本体と、該アダプタ本体に対して移動可能に設置された導電性を有する1対の可動ピンとを有し、前記装着部を介して互いに対向し、かつ、前記装置本体に対して着脱自在に設置される1対のアダプタと、
前記各可動ピンを移動させるアクチュエータとを備え、
前記各可動ピンは、前記ブレーカの動作試験の際、通電するラインの一部を構成しており、
前記アクチュエータの作動により前記各可動ピンが移動し、該各可動ピンが前記装着部に装着された前記ブレーカの対応する前記各端子にそれぞれ接触し、前記ラインが通電可能となるよう構成されていることを特徴とする試験装置。
【請求項2】
前記各可動ピンにより、前記ブレーカが保持されるよう構成されている請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記装置本体に対して移動可能に設置され、1対の前記アダプタのうちの一方の前記アダプタの1対の前記可動ピンに当接し得る第1の押圧部材と、他方の前記アダプタの1対の前記可動ピンに当接し得る第2の押圧部材とを有し、
前記第1の押圧部材および前記第2の押圧部材を移動させ、前記第1の押圧部材および前記第2の押圧部材により、対応する前記各可動ピンをそれぞれ移動させるよう構成されている請求項1または2に記載の試験装置。
【請求項4】
前記第1の押圧部材は、導電性を有し、互いに絶縁され、前記一方の前記アダプタの1対の前記可動ピンに当接し得る1対の第1の押圧部を有し、
前記第2の押圧部材は、導電性を有し、互いに絶縁され、前記他方の前記アダプタの1対の前記可動ピンに当接し得る1対の第2の押圧部を有する請求項3に記載の試験装置。
【請求項5】
1対の前記第1の押圧部は、一体的に移動し、
1対の前記第2の押圧部は、一体的に移動するよう構成されている請求項4に記載の試験装置。
【請求項6】
1対の前記第1の押圧部および1対の前記第2の押圧部は、前記ラインの一部を構成する請求項4または5に記載の試験装置。
【請求項7】
1対の前記可動ピンの配置が互いに異なる複数種の前記アダプタを有し、それらのアダプタから1種を選択して前記装置本体に設置するよう構成されている請求項4ないし6のいずれかに記載の試験装置。
【請求項8】
1対の前記第1の押圧部は、1対の前記可動ピンに当接する当接面を有し、前記複数種のアダプタのすべてにおいて、1対の前記当接面と1対の前記可動ピンとが当接し、
1対の前記第2の押圧部は、1対の前記可動ピンに当接する当接面を有し、前記複数種のアダプタのすべてにおいて、1対の前記当接面と1対の前記可動ピンとが当接するよう構成されている請求項7に記載の試験装置。
【請求項9】
1対の前記第1の押圧部の1対の前記当接面は、前記複数種のアダプタのすべてにおいて、1対の前記可動ピンに当接するような形状を有し、
1対の前記第2の押圧部の1対の前記当接面は、前記複数種のアダプタのすべてにおいて、1対の前記可動ピンに当接するような形状を有する請求項8に記載の試験装置。
【請求項10】
前記アクチュエータは、前記各可動ピンを前記ブレーカに接近する方向にのみ移動させるものであり、
前記アダプタは、前記ブレーカから離間する方向に1対の前記可動ピンを付勢する付勢手段を有する請求項1ないし9のいずれかに記載の試験装置。
【請求項11】
前記ブレーカの前記装着部への装着の有無を検出するセンサを有する請求項1ないし10のいずれかに記載の試験装置。
【請求項12】
前記アクチュエータの作動を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記センサにより前記ブレーカが前記装着部に装着されたことが検出されると、前記アクチュエータを作動させるよう構成されている請求項11に記載の試験装置。
【請求項13】
前記アクチュエータの作動を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記センサにより前記ブレーカが前記装着部に装着されたことが検出されると、前記アクチュエータの作動を許可するよう構成されている請求項11に記載の試験装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate