説明

詰め替え容器

【課題】詰め替え時における内容物のこぼれ落ちを防止することができると共に、容易に速やかな詰め替えができる詰め替え容器を提供することを目的とする。
【解決手段】内容物が充填された容器本体2が備えられた詰め替え容器1であって、容器本体2の口部20の開口端の先方側に向かって突出し、空容器の口筒部の上方に容器本体2を倒立姿勢で配置させた詰め替え状態において空容器の外面に係止可能な係止部32が備えられ、口部20の開口端には、その開口端を封止する封止シート4が設けられ、封止シート4は、開口端を覆うと共に開口端に固着され、内容物が流通可能な注出孔50が形成された第一シート5と、第一シート5の外面側に配設されていると共に容器本体2及び第一シート5のうちの少なくとも一方に剥離可能に貼着されて注出孔50を閉塞する第二シート6と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詰め替え容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、容器内の内容物を使い切った後に、その容器(空容器)内に詰め替え容器から内容物を移し替え、容器体を廃棄せずに引き続き使用する需要者が増えている。従来の詰め替え容器では、詰め替え容器内の内容物を空容器の口筒部から注ぎ入れることで、内容物の詰め替えを行っていたが、この詰め替え時に、内容物が容器体の外側にこぼれ落ちたり、また、詰め替え作業に時間を要することで内容物が空気と接触し、例えば内容物の香りが逸散したり、或いは内容物が吸湿したりする等の問題が指摘されていた。
このような問題を解決するための手段として、例えば下記特許文献1に示されるように、詰め替え容器を、気密性を有する袋体とすることで、内容物の詰め替えに際し、内容物を詰め替え容器である袋体ごと容器体内に収納することが提案されている。
【特許文献1】特開2006−188266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、容器体内に内容物を袋体ごと収納する手段では、以下に示す問題があった。
例えば、容器体を傾けて容器体から内容物を取り出す際、容器体から取り出される内容物の量が、容器体の傾きだけではなく容器体内に収納された袋体の形状に依存するので、内容物を適量取り出すことが難しいという問題があった。また、容器体が例えばガラス等の透明な材質で形成されている場合、容器体の外側から袋体が透けて見えることで見栄えが悪くなり、しかも容器体が透明であっても内容物が袋体に収容されているので内容物の残量を確認することが困難であるという問題もあった。
【0004】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、上記した袋体を用いることなく、詰め替え時における内容物のこぼれ落ちを防止することができると共に、容易に速やかな詰め替えができる詰め替え容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る詰め替え容器は、内容物が充填された容器本体が備えられた詰め替え容器であって、前記容器本体の口部の開口端の先方側に向かって突出し、前記空容器の口筒部の上方に前記容器本体を倒立姿勢で配置させた詰め替え状態において前記空容器の外面に係止可能な係止部が備えられ、前記口部の開口端には、該開口端を封止する封止シートが設けられ、該封止シートは、前記開口端を覆うと共に前記開口端に固着され、前記内容物が流通可能な注出孔が形成された第一シートと、該第一シートの外面側に配設されていると共に前記容器本体及び前記第一シートのうちの少なくとも一方に剥離可能に貼着されて前記注出孔を閉塞する第二シートと、を備えていることを特徴としている。
【0006】
このような特徴により、詰め替え容器内の内容物を空容器に詰め替える際には、まず、空容器の口筒部と詰め替え容器の容器本体の口部とが上下に対向配置されるように、容器本体を倒立姿勢にして詰め替え容器を空容器の口筒部の上方に配置する。このとき、係止部が空容器の外面に係止されるため、この係止部を介して詰め替え容器(容器本体)が支持されて空容器と倒立姿勢の詰め替え容器との容器軸方向への相対変位が規制され、倒立姿勢の詰め替え容器が空容器の上方で保持される。次に、容器本体及び第一シートのうちの少なくとも一方に貼着された第二シートを剥離させる。これにより、第一シートの注出孔が開放され、容器本体内に充填された内容物が注出孔から空容器の口筒部を通って空容器の内側に流れ落ち、詰め替え容器内の内容物が空容器に詰め替えられる。
【0007】
また、本発明に係る詰め替え容器は、前記第二シートは、前記口部の一方の側方で折り返されて前記口部の他方の側方まで延在していることが好ましい。
これにより、口部の他方の側方まで延在する第二シートの端部を口部の他方の側方側へ引っ張ることにより、容器本体及び第一シートのうちの少なくとも一方に貼着された第二シートを剥離させる。このとき、第二シートは、折り返えされた状態で捲り剥がされるので、口部の開口端や第一シートから容易に剥離される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る詰め替え容器によれば、第一シートに形成された注出孔を閉塞する第二シートを剥離させることで、容器本体内の内容物が第一シートの注出孔から空容器内へ流れ落ちて内容物が詰め替えられるので、内容物の詰め替え時における内容物のこぼれ落ちを防止することができると共に、容易に速やかな詰め替えができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る詰め替え容器の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0010】
図1は本実施の形態における詰め替え容器1の平面図であり、図2は図1に示すA−A間の半断面図であり、図3は図1に示すB−B間の半断面図であり、図4は詰め替え容器1を空容器10の上に配置した状態を表した断面図であり、図5は詰め替え容器1から空容器10に対して内容物Xを詰め替える状態を表した断面図である。
なお、図2に示す一点鎖線Oは詰め替え容器1の中心軸線を示しており、以下、単に「軸線O」と記し、軸線Oが延びた方向を「軸方向」とする。また、容器本体2の口部20側、つまり口部20の開口端の先方側(図2における上方)を「上側」とし、その反対側、つまり容器本体2の底部21側(図2における下方)を「下側」とする。ただし、図4、図5に示すように、内容物の詰め替え時においては、詰め替え容器1が倒立した姿勢になるため、容器本体2の口部20側が「下側」となり、その反対側が「上側」となる。また、軸線Oに直交する方向を「径方向」とし、軸線O回りの方向を「周方向」とする
【0011】
図1から図3に示すように、詰め替え容器1は、空容器(図4、図5に示す。)に対して内容物を詰め替えるための容器であり、その概略構成としては、内容物が充填された容器本体2と、容器本体2の口部20の外周に装着された装着部材3と、を備えている。
【0012】
容器本体2は、有底筒状のボトル容器であり、その概略構成としては、軸方向に延設された円筒状の胴部22と、胴部22の下端部に設けられた底部21と、胴部22の上端部に設けられて胴部22の上端から上方に向かうに従い漸次縮径された肩部23と、肩部23の上端部に設けられた口部20と、を備えている。この容器本体2は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂からなる樹脂製部材であり、上記した底部21、胴部22、肩部23及び口部20は軸方向に連設されていると共に一体に成形されている。口部20は、胴部22よりも小径の筒部であり、その上端(開口端)には、径方向内側に向かって突出したフランジ部24が全周に亘って形成され、その軸方向中間部には、径方向外側に向かって膨出した嵌合凸部25が全周に亘って形成されている。
【0013】
装着部材3は、軸線Oを共通軸にして口部20と同軸上に配設された筒状の周壁部30と、周壁部30の軸方向中間部から径方向内側に向かって突出しているフランジ部31と、周壁部30の上端面に立設された係止部32と、を備えている。
【0014】
周壁部30は、口部20の外周に間隔をあけて周設された円筒部である。周壁部30は、容器本体2の肩部23の外径より小径であり、周壁部30の下端は、肩部23の外周面(上面)に係止されている。また、周壁部30の下端面は、口部20の開口端よりも下方に形成されている。
【0015】
フランジ部31は、周壁部30の内周面に沿って全周に亘って形成された円環状の板部であり、その内側には、口部20の下部が嵌入されている。このフランジ部31の内縁には、口部20の下部の外周に周設された円筒形状の嵌合筒部33が立設されている。この嵌合筒部33の上端面は、上記した口部20の嵌合凸部25に下方から係合されており、この嵌合筒部33と嵌合凸部25とによって装着部材3が口部20にアンダーカット嵌合されている。
【0016】
係止部32は、口部20の上方に向かって突出し、図4に示すように空容器10の口筒部11の上方に容器本体2を倒立姿勢で配置させた詰め替え状態において空容器10の外面に係止可能な壁部である。詳しく説明すると、係止部32は、図1に示すように平面視において口部20の両側にそれぞれ配設されて互いに対向配置された一対の壁部32a,32bからなる。壁部32a,32bは、周壁部30に沿って湾曲された平面視円弧形状の壁部である。これら一対の壁部32a,32bの両側端の間には、少なくとも後述する封止シート4の引張部41の幅よりも大きい間隔がそれぞれあけられている。
【0017】
上記した口部20の開口端には、当該開口端を封止する封止シート4が剥離可能に貼着されている。封止シート4は、口部20の開口端を覆うと共に当該開口端に固着され、容器本体2内の内容物が流通可能な注出孔50が形成された第一シート5と、第一シート5の外面側に配設されていると共に第一シート5に剥離可能に貼着されて注出孔50を閉塞する第二シート6と、を備えている
【0018】
第一シート5は、単層シートまたは多層シートからなる薄膜状のシートである。第一シート5は、口部20の外径よりも大径の平面視略円形状を成しており、口部20の開口端面(フランジ部24の上面)に完全溶着されている。この第一シート5には、複数の注出孔50が形成されている。この注出孔50は、少なくとも内容物の粒径よりも大きい径の孔である。
【0019】
第二シート6は、気密性を有する薄膜状のシートである。具体的には、第二シート6は、合成樹脂膜や金属膜、紙膜等からなる単層シート、或いは、それらの膜を適宜積層させた多層シートであり、例えばアルミラミネートシート等が用いられる。
【0020】
また、第二シート6は、口部20の一方の側方(図1における右側)で折り返されて口部20の他方の側方(図1における左側)まで延在されている。詳しく説明すると、封止シート4は、二つ折りにされた略帯状のシートであって、第一シート5に積層されて第一シート5の注出孔50を閉塞する閉塞部60と、閉塞部60の上側に折り返されて口部20の他方の側方まで延びた引張部61と、を備えている。
【0021】
閉塞部60は、第一シート5と略同形状を成しており、第一シート5の上面に図示せぬ接着材を介して貼着されている。なお、第一シート5に対する閉塞部60の接着力は、口部20の開口端に対する第一シート5の接着力よりも弱くなっている。
【0022】
引張部61は、閉塞部60の外径よりも小さい幅の帯状部であり、閉塞部60の側端から延設されて閉塞部60の上面に重ねられている。この引張部61の一端部は、第二シート6のシート長さ方向の中間部分に形成された折り曲げ部62を介して閉塞部60の一端部に連結されている。前記折り曲げ部62は、一対の壁部32a,32bの一方側(図1における右側)の側端間の隙間に対向する位置に配設されており、シート幅方向(口部20の開口端外縁の接線方向)に延在されている。一方、引張部61の他端部は、折り曲げ部62に直交する方向に延在されており、その先端61aが、一対の壁部32a,32bの他方側(図1における左側)の側端間から径方向外側に向けて突出されている。
【0023】
次に、上記した構成からなる詰め替え容器1の作用について説明する。
【0024】
上記した詰め替え容器1内の内容物Xを空容器10に詰め替える際には、まず、図4に示すように、空容器10の口筒部11と詰め替え容器1の容器本体2の口部20とが上下に対向配置されるように、容器本体2を倒立姿勢にして詰め替え容器1を空容器10の口筒部11の上方に配置する。このとき、装着部材3の係止部32が空容器10の外面に係止される。すなわち、一対の壁部32a,32bの下端面が空容器10の肩部12の上面に当接し、容器本体2の肩部23と空容器10の肩部12との間に装着部材3(周壁部30及び係止部32)が挟み込まれた状態となる。これにより、周壁部30及び係止部32を介して詰め替え容器1(容器本体2)が支持されて空容器10と倒立姿勢の詰め替え容器1との軸方向への相対変位が規制され、倒立姿勢の詰め替え容器1が空容器10の上方で保持される。
なお、上記した空容器10は、内容物Xが入っていない空の状態であってもよく、或いは、内容物Xが残った状態であってもよい。
【0025】
次に、図5(a)に示すように、口部20の側方まで延在する第二シート6の端部を径方向外側へ向けて引っ張ることにより、第一シート5に貼着された第二シート6を剥離させる。詳しく説明すると、一対の壁部32a,32bの他方側の側端間から径方向外側に向けて突出された引張部61の他端部の先端61aを指等で摘み、当該引張部61を装着部材3(一対の壁部32a,32bの間)から引き出すように引っ張る。これにより、第一シート5に積層された閉塞部60は、折り返えされた状態で、折り曲げ部62側から捲り剥がされていくため、閉塞部60は第一シート5から容易に剥離される。
【0026】
そして、図5(b)に示すように、第二シート6の閉塞部60が第一シート5から剥離されて第一シート5の注出孔50が開放されると、容器本体2内に充填された内容物Xが注出孔50から空容器10の口筒部11を通って空容器10の内側に流れ落ちる。これにより、詰め替え容器1内の内容物Xが空容器10に詰め替えられる。
【0027】
上記した詰め替え容器1によれば、第一シート5に形成された注出孔50を閉塞する第二シート6を剥離させることで、容器本体2内の内容物Xが第一シート5の注出孔50から空容器10内へ流れ落ちて内容物Xが詰め替えられるので、内容物Xの詰め替え時における内容物のこぼれ落ちを防止することができ、内容物Xを容易に詰め替えることができる。また、速やかに詰め替えができるので、例えば内容物Xの香りの逸散や吸湿を抑制することができる。
【0028】
以上、本発明に係る詰め替え容器の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、第二シート6が第一シート5に剥離可能に貼着されているが、本発明は、第二シート6が容器本体2に剥離可能に貼着されていてもよい。例えば、容器本体2の口部20の開口端に第二シート6が剥離可能に貼着されていてもよい。
【0029】
また、上記した実施の形態では、係止部32が空容器10の肩部12に係止されているが、本発明の係止部は、空容器の外面の何れかの部分に係止されていればよく、例えば、係止部が空容器の胴部に嵌合されて係止される構成であってもよく、或いは、係止部が空容器の口筒部に嵌合されて係止される構成であってもよい。
【0030】
また、上記した実施の形態では、係止部32が平面視円弧形状の一対の壁部32a,32bから構成されているが、本発明は、他の形状の係止部であってもよく、例えば、平面視C字形状の壁部からなる係止部であってもよく、或いは、湾曲されていない平板状の壁部からなる係止部であってもよい。
【0031】
また、上記した実施の形態では、容器本体2の口部20の外周に装着部材3が装着され、その装着部材3に係止部32が設けられているが、本発明は、他の構成であってもよく、例えば、係止部が容器本体2の肩部23に突設されていてもよい。この場合、装着部材3を省略することができ、部品点数を削減することができる。また、有底筒状容器(容器本体2)の開口端の内側に、口部が形成された装着部材が嵌合され、その装着部材に係止部が設けられた構成であってもよい。
【0032】
また、上記した実施の形態では、容器本体2が有底筒状のボトル容器からなるが、本発明の容器本体は、有底筒状のボトル容器に限定されるものではない。例えば、可撓性を有する袋体に筒状のスパウト(口部)が装着された構成の容器本体であってもよい。
【0033】
また、上記した実施の形態では、第二シート6が最初から折り返された状態となっているが、本発明は、詰め替え作業を行う前において、第二シート6が折り返されていなく、詰め替え時に、まず、第二シート6を折り返し、その後、容器本体2を倒立姿勢にして詰め替え容器1を空容器10の口筒部11の上方に配置してもよい。
さらに、本発明は、折り返さない第二シートを用いることも可能である。
【0034】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための詰め替え容器の平面図である。
【図2】図1に示すA−A間の半断面図である。
【図3】図1に示すB−B間の半断面図である。
【図4】本発明の実施の形態を説明するための詰め替え容器及び空容器の断面図であって、詰め替え容器を空容器の上に配置した状態を表した図である。
【図5】本発明の実施の形態を説明するための断面図であって、詰め替え容器から空容器に対して内容物を詰め替える状態を表した図である。
【符号の説明】
【0036】
1 詰め替え容器
2 容器本体
4 封止シート
5 第一シート
6 第二シート
10 空容器
11 口筒部
20 口部
32 係止部
50 注出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が充填された容器本体が備えられた詰め替え容器であって、
前記容器本体の口部の開口端の先方側に向かって突出し、前記空容器の口筒部の上方に前記容器本体を倒立姿勢で配置させた詰め替え状態において前記空容器の外面に係止可能な係止部が備えられ、
前記口部の開口端には、該開口端を封止する封止シートが設けられ、
該封止シートは、前記開口端を覆うと共に前記開口端に固着され、前記内容物が流通可能な注出孔が形成された第一シートと、該第一シートの外面側に配設されていると共に前記容器本体及び前記第一シートのうちの少なくとも一方に剥離可能に貼着されて前記注出孔を閉塞する第二シートと、を備えていることを特徴とする詰め替え容器。
【請求項2】
請求項1に記載の詰め替え容器において、
前記第二シートは、前記口部の一方の側方で折り返されて前記口部の他方の側方まで延在していることを特徴とする詰め替え容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−83544(P2010−83544A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254685(P2008−254685)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】