説明

認知を改善するためのエスシタロプラムの使用

本発明は、化合物エスシタロプラム(INN名)、すなわち、(S)-1-[3-(ジ-メチルアミノ)プロピル]-1-(4-フルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-5-イソベンゾフランカルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩の、認知過程が減少している症状における認知を改善するための薬剤の製造への使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物エスシタロプラム(INN名)、すなわち、(S)-1-[3-(ジ-メチルアミノ)プロピル]-1-(4-フルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-5-イソベンゾフランカルボニトリルまたはその薬学的に許容可能な塩の、認知過程が減少している症状における認知を改善するための薬剤の製造への使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エスシタロプラムは以下:
【0003】
【化1】

【0004】
で表される構造の(S)-エナンチオマーである。
【0005】
前記化合物およびその製造方法が、特許文献1に開示されている。これは、選択的な中枢作用性のセロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン;5-HT)再取り込み阻害剤であり、従って抗うつ活性を有する。例えば非特許文献1には、該化合物の抗うつ薬活性と作用の早い発現が報告されている。
【0006】
エスシタロプラムは現在、抗うつ薬として、および全般性不安障害(GAD)、パニック障害(PD)および社会不安障害(SAD)の治療のために上市されている。
【0007】
特許文献2には、神経症性障害の治療のためのエスシタロプラムの使用が開示されている。
【0008】
非特許文献2には、R-シタロプラムによるエスシタロプラムの効果の阻害に関するデータが開示されており、シタロプラムと対比してエスシタロプラムにおいて観察される良好な臨床効果がこの阻害の除去に起因することが示唆されている。
【0009】
認知過程の減少は、いくつかの患者群において、例えば統合失調症患者、うつ病患者または精神病患者、および注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病、軽度認知障害(MCI)、痴呆、不安、加齢に伴う記憶障害、アルツハイマー病または心的外傷後ストレス障害を有する患者、およびベンゾジアゼピン類または三環系抗うつ薬を服用している患者、およびパーキンソン病およびアルツハイマー病の他に一連の神経変性疾患にある患者によって体験され得る。
【0010】
認知過程の減少は、注意機能、学習機能、記憶機能および実行機能(外部刺激への適切な反応)の困難を表す。これらには、以下が含まれ得る:注意欠陥、解体した思考、思考遅延(slow thinking)、理解の困難、注意散漫(poor concentration)、問題解決における障害(impairment of problem solving)、記憶力低下(poor memory)、思考表現の困難(difficulty in expressing thoughts)、および/または、思考、感情および行動の統合、ならびに無関係な思考の消去、ならびに注意および覚醒、言語学習および記憶、視覚学習および記憶、情報の処理速度および社会的認知における困難(difficulty in integrating thoughts, feelings and behaviour and extinction of irrelevant thoughts as well as attention and vigilance, verbal learning and memory, visual learning and memory, speed of processing and social cognition)。
【0011】
以前の研究によって、腹側被蓋野(VTA)におけるドーパミンニューロンの活性、特にバースト発火の増加が、内側前前頭皮質におけるドーパミン放出を選択的に増加させると考えられることが示されている。この脳領域におけるドーパミンは、一部の認知機能、例えば、グルタミン酸機能の増強を通したワーキングメモリの調節に重要な役割を果たすことが示されてきた。前臨床試験では、いくつかのSSRI、すなわち、フルオキセチン、シタロプラム、パロキセチン、セルトラリンおよびフルボキサミンが全て、VTAにおける中脳皮質ドーパミン作動性ニューロンの発火率のわずかな抑制を引き起こし得ることが示されており(非特許文献3;非特許文献4)、これはこれらの化合物を認知過程の改善に使用できないことを示唆するものである。さらに、非定型抗精神病薬治療に対する補助療法としてのシタロプラムは、統合失調症を有する患者の有意な認知改善をもたらさないことが報告されている(非特許文献5)。
【0012】
対照的に、選択的なノルアドレナリン再取り込み阻害剤(NRI)、例えば、レボキセチンは、VTAにおけるドーパミン作動性ニューロンの興奮性をそのバースト発火モードの優先的活性化とともに増強し(非特許文献6)、そしてレボキセチンの投与は、ADHDの治療においていくつかの有益な効果を有することが示唆されている。
【0013】
非定型(定型ではなく)の抗精神病薬(APD)の認知増強効果は、(非特許文献7によって示されるように)ドーパミン機能の増加および前前頭皮質におけるグルタミン酸作動性神経伝達の促進に起因するとされてきた。
【0014】
統合失調症における認知過程の減少は、非定型抗精神病薬を用いてある程度治療され得るが、第二世代(=非定型)の抗精神病薬は一部の効果を有するものの(リスペリドン、オランザピン、クロザピン、クエチアピン、セルチンドール)、概して、現在の抗精神病薬の認知における効果は比較的穏やかである。アルツハイマー痴呆に関して承認された薬剤もまた、認知過程の減少に対して一部の効果を有するが、完全に異なるメカニズムを経て作用し、これは、認知の問題が大きく異なる病理学を有し得ることを反映している(例えば、ドネペジル、リバスチグミンおよびガランタミンのようなアセチルコリンエステラーゼ阻害剤)。メマンチンは、弱いNMDA拮抗特性を有し、これは過度な背景興奮の“生理学的”拮抗作用を付与し、それによってグルタミン酸活性におけるシグナル/ノイズ比を増加させる。
【0015】
特許文献3には、シタロプラムが脳血管障害および脳損傷およびこれらに関連した記憶機能障害の治療に有用であることが開示されており、シタロプラムが血小板凝集において阻害作用を示すことが開示されている。さらに、特許文献3では、シタロプラムが抗健忘症作用を有し、高齢のうつ病患者(痴呆を随伴する)における認知機能を改善することが示唆されている。前記化合物の光学異性体を使用し得ることも言及されている。この開示において言及される効果は、神経保護の役割を示唆している。
【特許文献1】米国特許第4,943,590号明細書
【特許文献2】国際公開第0103694号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第474580号明細書
【非特許文献1】Montgomery SA, et al Pharmacol Toxicol (2001) 88: 282-286
【非特許文献2】Sanchez et al, 2004, Psychopharmacology, 174, 163-176
【非特許文献3】Prisco and Eposito, 1995, Br J Pharmacol 116:1923-31
【非特許文献4】Di Masico et al, 1998, Brain Res Bull 46(6): 547-54
【非特許文献5】Friedman et al, 2005, J. Clinical Psychopharmacology, 25(3), 237-42
【非特許文献6】Linner et al, 2001, JPET, 297(2):540-9
【非特許文献7】enhancement of NMDA receptor function; Ninan et al., 2003, Synapse, 48(2), 66-79
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、様々な疾患および障害における認知症状を改善することができ、および/または認知症状の公知の治療と比較して副作用が低い療法に対しては、未だ満たされていない重大な医学的ニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
エスシタロプラムがVTAにおけるドーパミン細胞の発火率を増加させること、VTAにおけるグルタミン酸駆動性バースト発火(glutamate-driven burst firing)を刺激すること、およびNMDA誘導性電流を促進することが見出された。
【0018】
<本発明の概要>
第一の態様において、本発明は、認知過程が減少している状態における認知を改善するための薬剤の製造への、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容可能な塩の使用に関する。
【0019】
第二の態様において、本発明は、認知過程が減少している状態における認知を改善するための薬剤の製造への、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容可能な塩の使用に関する。
【0020】
第三の態様において、本発明は、認知過程が減少している状態における認知を改善するための抗精神病薬を用いた補助療法(adjunct treatment)に使用される薬剤の製造への、1種またはそれ以上の抗精神病薬と組み合わせたエスシタロプラムまたはその薬学的に許容可能な塩の使用に関する。
【0021】
第四の態様において、本発明は、認知過程が減少している状態における認知を改善するための、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容可能な塩および1種またはそれ以上の抗精神病性化合物を含む医薬調合物に関する。
【0022】
第六の態様において、本発明は、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、認知過程が減少している状態における認知を改善する方法に関する。
【0023】
<図面の簡単な説明>
図1:エスシタロプラムはin vivoにおいてVTAにおけるドーパミン細胞の発火率を増加させ、R-シタロプラムはエスシタロプラムの効果を遮断する。
図2:エスシタロプラムは、シタロプラムよりin vivoにおいてVTAドーパミン細胞におけるグルタミン酸駆動性バースト発火をより強力に刺激し、R-シタロプラムはエスシタロプラムの効果を遮断する。
図3:in vitroにおける、内側前前頭皮質の錐体細胞中のNMDA誘導性電流におけるリスペリドン(非定型抗精神病薬)、シタロプラムおよびレボキセチン(NRI)の効果。
【0024】
<発明の詳細な説明>
本発明においては、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容可能な塩の新規の使用、すなわち、認知過程が減少している状態における認知を改善するための薬剤の製造への使用が提供される。
【0025】
今回、エスシタロプラムがin vivoにおいてVTAにおけるドーパミン細胞の発火率を増加させる(R-シタロプラムによって遮断される効果)ことが見出された。さらに、エスシタロプラムがシタロプラムと比較してより強力であり、in vivoにおいてVTAドーパミン細胞におけるグルタミン酸駆動性バースト発火を用量依存的に刺激する(R-シタロプラムによって遮断される効果)ことも見出された。さらに、エスシタロプラムおよびレボキセチンが(シタロプラムではなく)、in vitroにおいて、内側前前頭皮質の錐体細胞におけるNMDA誘導性電流を促進することが見出された。
【0026】
今回の発見は、レボキセチンのようなNRIと同様に、エスシタロプラムがドーパミン作動性系の興奮性を強めることを示す。さらに、今回の発見は、エスシタロプラムが非定型抗精神病薬(定型抗精神病薬ではなく)およびレボキセチンと同様に、前頭葉前部のグルタミン酸作動性神経伝達を促進することを示す。
【0027】
これらの効果は、エスシタロプラムを、認知過程が減少している状態における認知を改善するために、および暴露療法への応答を増加させるために使用できることを強く示唆するものである。
【0028】
さらに、今回の発見は、エスシタロプラムが、認知過程が減少している状態における認知を改善するための定型抗精神病薬に対する補助療法として、ならびに統合失調症および他の関連疾患および障害の治療に使用できることも強く示唆するものである。
【0029】
“認知過程の減少”という語句は、注意機能、学習機能、記憶機能および実行機能(外部刺激への適切な反応)の困難を表す。これらには、以下が含まれ得る:注意欠陥、解体した思考、思考遅延、理解の困難、注意散漫、問題解決における障害、記憶力低下、思考表現の困難、および/または、思考、感情および行動の統合、ならびに無関係な思考の消去、ならびに注意および覚醒、言語学習および記憶、視覚学習および記憶、情報の処理速度および社会的認知における困難。
【0030】
本発明の1つの実施態様は、認知過程が減少している状態における認知を改善するための薬剤の製造のための、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容可能な塩の使用であって、前記状態が統合失調症に関連する前記の使用に関する。本発明の別の実施態様において、前記状態はパーキンソン病に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は痴呆、例えばAIDS痴呆に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は不安障害に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は加齢に伴う記憶障害に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は特に高齢者における大うつ病を含むうつ病に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態はベンゾジアゼピン類の使用に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は三環系抗うつ薬の使用に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態はアルツハイマー病に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は注意欠陥多動性障害(ADHD)に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関連する。
【0031】
本発明の別の実施態様において、薬剤は、単位用量(unit dose)として投与されるためのものである。本発明の別の実施態様において、前記単位用量は、エスシタロプラムを1.0 mg〜50 mg、より好ましくは5mg/日〜20 mg/日、最も好ましくは10 mgの量で含んでいる。別の実施態様において、前記単位用量は1日に1回与えられる。別の実施態様において、1日あたりの用量は5、10または20 mgである。
【0032】
本発明の別の実施態様は、認知過程が減少している状態における認知を改善するための薬剤の製造のための、1種またはそれ以上の抗精神病性化合物と組み合わせたエスシタロプラムまたはその薬学的に許容可能な塩の使用であって、前記状態が統合失調症に関連する前記の使用に関する。本発明の別の実施態様において、前記状態はパーキンソン病に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は痴呆、例えばAIDS 痴呆に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は不安障害に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は加齢に伴う記憶障害に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は特に高齢者における大うつ病を含むうつ病に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態はベンゾジアゼピン類の使用に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は三環系抗うつ薬の使用に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態はアルツハイマー病に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は注意欠陥多動性障害(ADHD)に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関連する。本発明の別の実施態様において、抗精神病性化合物は精神病的状態の治療のために承認されている化合物である。本発明の別の実施態様において、抗精神病性化合物は、アセナピン、ブロナンセリン、イロペリドン、パリペリドン、ビフェプルノックス、ルラシドン、オカペリドン、タルネタント、ACP 104、SLV 310、ACR 16、YKP 1358、GW 773812、RGH 188、SLV 314、Y-931、BL 1020、クロロプロマジン、レボメプロマジン、プロマジン、アセプロマジン、トリフルプロマジン、シアメマジン、クロルプロエタジン、ジキシラジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオプロパザート、トリフルオペラジン、アセトフェナジン、チオプロペラジン、ブタペラジン、ペラジン、ペリシアジン、チオリダジン、メソリダジン、ピポチアジン、ハロペリドール、トリフルペリドール、メルペロン、モペロン、ピパンペロン、ブロムペリドール、ベンペリドール、ドロペリドール、フルアニソン、オキシペルチン、モリンドン、セルチンドール、ジプラシドン、フルペンチキソール、クロペンチキソール、クロルプロキセン、チオチキセン、ズクロペンチキソール、フルスピリレン、ピモジド、ペンフルリドール、ロキサピン、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、スルピリド、スルトプリド、チアプリド、レモキシプリド、アミスルプリド、ベラリプリド、レボスルピリド、プロチペンジル、リスペリドン、クロチアピン、モサプラミン、ゾテピンおよびアリピプラゾールのリストから選択される。
【0033】
本発明の別の実施態様は、認知過程が減少している状態における認知を改善するための抗精神病性化合物を用いる補助治療において使用される薬剤の製造のための、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容可能な塩の使用であって、前記状態が統合失調症に関連する前記の使用に関する。本発明の別の実施態様において、前記状態はパーキンソン病に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は痴呆、例えばAIDS 痴呆に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は不安障害に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は加齢に伴う記憶障害に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は特に高齢者における大うつ病を含むうつ病に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態はベンゾジアゼピン類の使用に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は三環系抗うつ薬の使用に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態はアルツハイマー病に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は注意欠陥多動性障害(ADHD)に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関連する。本発明の別の実施態様において、抗精神病性化合物は精神病的状態の治療のために承認されている化合物である。本発明の別の実施態様において、抗精神病薬は、アセナピン、ブロナンセリン、イロペリドン、パリペリドン、ビフェプルノックス、ルラシドン、オカペリドン、タルネタント、ACP 104、SLV 310
、ACR 16、YKP 1358、GW 773812、RGH 188、SLV 314、Y-931、BL 1020、クロロプロマジン、レボメプロマジン、プロマジン、アセプロマジン、トリフルプロマジン、シアメマジン、クロルプロエタジン、ジキシラジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオプロパザート、トリフルオペラジン、アセトフェナジン、チオプロペラジン、ブタペラジン、ペラジン、ペリシアジン、チオリダジン、メソリダジン、ピポチアジン、ハロペリドール、トリフルペリドール、メルペロン、モペロン、ピパンペロン、ブロムペリドール、ベンペリドール、ドロペリドール、フルアニソン、オキシペルチン、モリンドン、セルチンドール、ジプラシドン、フルペンチキソール、クロペンチキソール、クロルプロキセン、チオチキセン、ズクロペンチキソール、フルスピリレン、ピモジド、ペンフルリドール、ロキサピン、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、スルピリド、スルトプリド、チアプリド、レモキシプリド、アミスルプリド、ベラリプリド、レボスルピリド、プロチペンジル、リスペリドン、クロチアピン、モサプラミン、ゾテピンおよびアリピプラゾールのリストから選択される。
【0034】
本発明の別の実施態様は、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、認知過程が減少している状態における認知を改善する方法であって、前記状態が統合失調症に関連する前記方法に関する。本発明の別の実施態様において、前記状態はパーキンソン病に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は痴呆、例えばAIDS痴呆に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は不安障害に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は加齢に伴う記憶障害に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は、大うつ病を含むうつ病、特に高齢者におけるうつ病に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態はベンゾジアゼピンの使用に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は三環系抗うつ薬の使用に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態はアルツハイマー病に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は注意欠陥多動性障害(ADHD)に関連する。本発明の別の実施態様において、前記状態は心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関連する。
【0035】
本発明の別の実施態様は、陰性および認知症状が改善している統合失調症の治療用薬剤の製造のためのエスシタロプラムの使用に関する。
【0036】
本発明の別の実施態様は、注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療用薬剤の製造のためのエスシタロプラムの使用に関する。
【0037】
グルタミン酸作動性神経伝達の増加は、他の認知行動療法に移管し易い暴露をベースとする療法の効果を増強するのに有用であることが薬理学的に示されてきた(Augmentation of exposure therapy with D-cycloserine for social anxious disorder, Arch Gen Psychiatry, vol 63, 298-304; Pharmacological Treatments that Facilitate Extinction of Fear: Relevance to Psychotherapy, The journal of American society for experimental neurotherapeutics, vol. 3, 82-96; Ressler et al., Arch Gen Psychiatry, 2004, 61(11):1136-44. Cognitive enhancers as adjuncts to psychotherapy: use of D-cycloserine in phobic individuals to facilitate extinction of fear)。従って、エスシタロプラムに関して、前前頭皮質におけるグルタミン酸作動性神経伝達の促進は、エスシタロプラムが精神療法、例えば暴露をベースとした療法の効果を増強するために使用できることを意味すると考えられる。エスシタロプラムは、SRI成分および例えば精神療法の間の消去過程(extinction processes)の促進の両方を通して直接的に不安障害に作用し得る。
【0038】
従って、本発明の別の実施態様は、精神療法、認知行動療法および暴露をベースとする療法(exposure-based therapy)を促進するのに有用な薬剤の製造のための、エスシタロプラムの使用に関する。
【0039】
従って、本発明は、認知過程が減少している状態における認知の治療において著しい改善を提供する。公知の治療と比較した本発明の有利な点は、より良好な有効性および潜在的に低い副作用である。さらに、以前に全く治療できなかった一部の患者群において、本発明に従ったエスシタロプラムの使用により、認知過程に関して効果の改善が認められる。
【0040】
本発明において、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容可能な塩は、任意の適当な経路で、例えば経口的にもしくは非経口的に投与することができ、そして このような投与に好適な任意の形態で、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、または注射用の液剤もしくは分散剤の形態で存在することができる。好ましくは、本発明の目的に合わせて、本発明の化合物は固体の薬剤の形態、好適には錠剤もしくはカプセル剤として、または注射用の懸濁液、溶液もしくは分散剤の形態で投与される。
【0041】
固体の医薬調合物の製造方法は、本技術分野においてよく知られている。錠剤は、活性成分を通常の佐剤および/または増量剤と混合して、引き続き慣用の打錠機において該混合物を圧縮することにより製造することができる。佐剤または増量剤の例には、トウモロコシデンプン、ラクトース、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、ラクトース、ゴム等が含まれる。着色剤(colourings)、フレーバー(flavourings)、防腐剤等のような佐剤または添加剤はいずれも、活性成分と適合することを条件として使用することができる。
【0042】
エスシタロプラムは好ましくは、そのシュウ酸塩、遊離塩基またはHBr塩等としてのエスシタロプラムの形態で使用され、あるいは、他の任意の薬学的に許容可能な塩もまた使用することができる。
【0043】
エスシタロプラムは、最も都合よくは、約1.0 mg〜50 mg、より好ましくは5 mg/日〜20 mg/日、最も好ましくは10 mgの用量で活性成分を含有する単位投薬形態(unit dosage forms)、例えば錠剤もしくはカプセル剤で経口的に投与される。このような単位用量は、好ましくは1日に1回与えられる。好ましくは1日の用量は5、10または20 mgである。
【0044】
エスシタロプラムのシュウ酸塩は、米国特許第4,943,590号明細書に記載されるように製造することができ、塩基および他の薬学的に許容可能な塩は、標準的方法により塩基から得ることができる。
【0045】
従って、本発明において使用される酸付加塩は、不活性溶剤におけるエスシタロプラムの酸での処理、それに続く、公知の方法による沈殿、単離および場合により再結晶化、および必要に応じて 湿式もしくは乾式粉砕または他の公知の方法による結晶質生成物の微粒子化、あるいは、溶剤-乳化工程からの粒子の製造によって得ることができる。
【0046】
本発明において使用できる抗精神病性化合物は、好ましくは、アセナピン、ブロナンセリン、イロペリドン、パリペリドン、ビフェプルノックス、ルラシドン、オカペリドン、タルネタント、ACP 104、SLV 310、ACR 16、YKP 1358、GW 773812、RGH 188、SLV 314、Y-931、BL 1020、クロロプロマジン、レボメプロマジン、プロマジン、アセプロマジン、トリフルプロマジン、シアメマジン、クロルプロエタジン、ジキシラジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオプロパザート、トリフルオペラジン、アセトフェナジン、チオプロペラジン、ブタペラジン、ペラジン、ペリシアジン、チオリダジン、メソリダジン、ピポチアジン、ハロペリドール、トリフルペリドール、メルペロン、モペロン、ピパンペロン、ブロムペリドール、ベンペリドール、ドロペリドール、フルアニソン、オキシペルチン、モリンドン、セルチンドール、ジプラシドン、フルペンチキソール、クロペンチキソール、クロルプロキセン、チオチキセン、ズクロペンチキソール、フルスピリレン、ピモジド、ペンフルリドール、ロキサピン、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、スルピリド、スルトプリド、チアプリド、レモキシプリド、アミスルプリド、ベラリプリド、レボスルピリド、プロチペンジル、リスペリドン、クロチアピン、モサプラミン、ゾテピンおよびアリピプラゾールのリスト、特に、リスペリドン、オランザピン、クロザピン、クエチアピン、セルチンドール、オカペリドン、イロペリドン、BL 1020、YKP1358、ジプラシドン、パリペリドン、アゼノピン(Asenopine)、ルラシドン、アリプリパゾール(Aripripazol)およびビフェプルノックスのリストから選択される。本発明において、これらの抗精神病性化合物は、これらのそれぞれ臨床的に承認されている用量、例えばFDAおよび/またはEMEAによって承認されている量で投与すべきである。しかしながら、実際に投与される前記化合物の量が医師により、治療されるべき状態、選択される投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重および応答、ならびに患者の症状の重症度を含む関連の状態によって決定されることは理解されるであろう。
【実施例】
【0047】
ラットの腹側被蓋野におけるドーパミンニューロンの発火のin vivo評価を、Schilstrom等「Neuroscience 125:957-64, 2004」に記載されるように行った。簡潔に言うと、雄Sprague Dawleyラット(250〜300 g)を抱水クロラール(400 mg/kg、腹腔内)で麻酔し、定位固定フレームにのせた。抱水クロラールの定期的な注射によって麻酔状態を実験の間中維持し、電熱パッドに接続した直腸体温計を用いて体温を37℃に維持した。記録用電極を、それぞれ1.50 mmの外径および1.17 mmの内径を有するホウケイ酸塩ガラスキャピラリーからNarishige製の垂直式プラーで引き、2M NaCl中の2%ポンタミンスカイブルーを満たした。電極を顕微鏡下で切断し、135 Hzで2〜4 MΩのインピーダンスを生成させ、その後、VTA上の頭蓋にドリルで開けた穴に電極を降ろした(水埋のマイクロドライブを用いることによって、両耳間を結ぶ線の前方3.2±0.3 mmおよび正中線の側方0.7±0.2 mm)。細胞外の電気的活動を増幅し、フィルターに付し(バンドパス 0.3〜3 kHz)、弁別し、そしてオシロスコープおよびオーディオモニター上で観察した。弁別したスパイクをCED 1401インターフェイスを介してコンピューターで実行するCED Spike 2ソフトウェアに供給した。実験後に、ポンタミンスカイブルーの組織へのイオントフォレーシスにより記録部位をマークした。麻酔薬の過剰摂取によりラットを殺し、脳を除去して、25%ショ糖10%パラホルムアルデヒド溶液中に置いた。VTA切片を切断し(50μM)、ニュートラルレッドで染色し、記録部位を光学顕微鏡によって確認した。
【0048】
内側前前頭皮質の錐体細胞におけるNMDA誘導電流 の促進に関するin vitroの研究を、Jardemark等(Int J Neuropsychopharmacol. 8: 157-162, 2005)によって記載されるように行った。標準的な実験室条件下で飼育した雄のSprague-Dawleyラットを使用した。脳の切片を以下の方法で調製した:ラットをハロタン麻酔下で断頭し、脳を速やかに取って、氷冷リンガー溶液中で冷却した。その後、450μmの切片を調製するために、脳を冠状に切断した。回復のために、通気させたリンガー溶液に脳切片を室温で少なくとも1時間浸漬した。引き続き、mPFCを含む1つの切片を、記録チャンバー(32℃)に移し、チャンバー中で、2枚のナイロンネットの間に浸漬した。このチャンバーを、通気させたリンガー溶液によって2 ml/分の流速で継続的に潅流した。上記のような切片標本におけるmPFCのVおよびVI層における錐体細胞を記録するために、標準的な細胞内および単電極ボルテージクランプ技術を使用した。簡単に述べると、水平式電極プラーを用いることにより、電極をホウケイ酸塩ガラスキャピラリーから引いた。記録用電極に2M 酢酸カリウムを満たし(先端の抵抗は、20〜160 MΩであった)、Axoclamp 2A増幅器を用いたmPFCニューロンの記録用に使用した。単電極ボルテージクランプ(保持電圧 -60 mV)を不連続モードで、5〜6.2 kHzのサンプリングレートで行った。デジタル/アナログのサンプリングおよび収集用ソフトウェアを用いて、電圧を記録した。NMDA誘発電流のボルテージクランプによる記録において、リンガー溶液は、通常どおりに、テトロドトシキン(TTX;活動電位を遮断するために0.5μM)、グリシン(NMDA誘発性の応答を増強するために1μM)、ビククリン(γ-アミノ酪酸タイプA(GABAA)の応答を遮断するために5μM)を含んでいた。NMDA(5〜25μM)もまた、内向き電流を誘導するために、リンガー溶液の浴潅流(bath perfusion)によって加えられる。NMDA誘導性電流における薬剤または混合薬剤の効果を、薬剤を浴へ加えた後のNMDA誘導電流をコントロールのNMDA誘導電流で割ることによって計算した。図に示す結果は、平均±S.E.Mとして表す。
【0049】
結果の説明:
図1は、VTAにおけるドーパミン細胞の発火率においてのシタロプラムおよびその各エナンチオマーの効果を記載する。試験用量(0〜1280μg/kg)のシタロプラムが発火率を増加させないことが示される。一方、エスシタロプラムは320μg/kgで発火率を統計的に有意に上昇させ、この効果はより高い用量(640μg/kg)でも維持されることがわかる。さらに、発火率がR-シタロプラムにより影響を受けないこと、およびエスシタロプラム(320μg/kg)の効果が320μg/kgのR-シタロプラムでの前処理により遮断できることが示されており、従って、これはこの効果がエスシタロプラムに特異的であることを実証するものである。
【0050】
図2は、VTAにおいて記録されたドーパミン細胞のバースト発火におけるシタロプラムおよびその各エナンチオマーの効果を記載する。エスシタロプラムが160μg/kg以上の用量で用量依存的にバースト発火を統計的に有意に増加させることが示された。最も高い試験用量(640μg/kg)では、エスシタロプラムは約20%のバーストの相違を引き起こす。シタロプラムもまたバースト発火を増加させるように見えるが、これは640μg/kgの用量でのみ有意水準に達し、最大の応答は約10%のバーストの相違であることがわかる。さらに、R-シタロプラム単独ではバースト発火における効果を有さないこと、およびR-シタロプラム(320μg/kg)がエスシタロプラム(320μg/kg)の効果を有意に阻害することが示される。
【0051】
図3は、前前頭皮質の錐体細胞におけるNMDA誘導電流においてのリスペリドン(非定型抗精神病薬)、シタロプラム、エスシタロプラムおよびレボキセチン(NRI)の効果を記載する。非定型精神病薬がこの調製においてNMDA誘導電流を増加させることは以前より示されてきた。このことはリスペリドンによって例証される。シタロプラム(SSRI)でもなくフルオキセチン(データは示していない)でもなく、レボキセチン(NRI)がNMDA誘導電流を増加させることが示される。驚くべきことに、エスシタロプラムはリスペリドンおよびレボキセチンと同程度にNMDA誘導電流を促進する。さらに、ドーパミンD1受容体アンタゴニスト(SCH 2339)がエスシタロプラムの効果を覆すため、この効果はおそらくドーパミンD1受容体を介して仲介されることが示される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】エスシタロプラムはin vivoにおいてVTAにおけるドーパミン細胞の発火率を増加させ、R-シタロプラムはエスシタロプラムの効果を遮断する。
【図2】エスシタロプラムは、シタロプラムよりin vivoにおいてVTAドーパミン細胞におけるグルタミン酸駆動性バースト発火をより強力に刺激し、R-シタロプラムはエスシタロプラムの効果を遮断する。
【図3】in vitroにおける、内側前前頭皮質の錐体細胞中のNMDA誘導性電流におけるリスペリドン(非定型抗精神病薬)、シタロプラムおよびレボキセチン(NRI)の効果。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認知過程が減少している状態における認知を改善するための薬剤の製造への、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項2】
前記状態が統合失調症に関連する、請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記状態がパーキンソン病に関連する、請求項1記載の使用。
【請求項4】
前記状態が痴呆、例えばAIDS痴呆に関連する、請求項1記載の使用。
【請求項5】
前記状態が不安障害に関連する、請求項1記載の使用。
【請求項6】
前記状態が加齢に伴う記憶障害に関連する、請求項1記載の使用。
【請求項7】
前記状態が特に高齢者における大うつ病を含むうつ病に関連する、請求項1記載の使用。
【請求項8】
前記状態がベンゾジアゼピン類の使用に関連する、請求項1記載の使用。
【請求項9】
前記状態が三環系抗うつ薬の使用に関連する、請求項1記載の使用。
【請求項10】
前記状態がアルツハイマー病に関連する、請求項1記載の使用。
【請求項11】
前記状態が注意欠陥多動性障害(ADHD)に関連する、請求項1記載の使用。
【請求項12】
前記状態が心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関連する、請求項1記載の使用。
【請求項13】
薬剤が単位用量として投与されるためのものである、請求項1〜12のいずれか1つに記載の使用。
【請求項14】
前記単位用量が、エスシタロプラムを1.0 mg〜50 mg、より好ましくは5mg/日〜20 mg/日、最も好ましくは10 mgの量で含んでいる、請求項13記載の使用。
【請求項15】
前記単位用量が1日に1回与えられる、請求項13または14のいずれか1つに記載の使用。
【請求項16】
1日あたりの用量が5、10または20 mgである、請求項15記載の使用。
【請求項17】
認知過程が減少している状態における認知を改善するための薬剤の製造のための、1種またはそれ以上の抗精神病性化合物と組み合わせたエスシタロプラムまたはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項18】
前記状態が統合失調症に関連する、請求項17記載の使用。
【請求項19】
前記状態がパーキンソン病に関連する、請求項17記載の使用。
【請求項20】
前記状態が痴呆、例えばAIDS 痴呆に関連する、請求項17記載の使用。
【請求項21】
前記状態が不安障害に関連する、請求項17記載の使用。
【請求項22】
前記状態が加齢に伴う記憶障害に関連する、請求項17記載の使用。
【請求項23】
前記状態が特に高齢者における大うつ病を含むうつ病に関連する、請求項17記載の使用。
【請求項24】
前記状態がベンゾジアゼピン類の使用に関連する、請求項17記載の使用。
【請求項25】
前記状態が三環系抗うつ薬の使用に関連する、請求項17記載の使用。
【請求項26】
前記状態がアルツハイマー病に関連する、請求項17記載の使用。
【請求項27】
前記状態が注意欠陥多動性障害(ADHD)に関連する、請求項17記載の使用。
【請求項28】
前記状態が心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関連する、請求項17記載の使用。
【請求項29】
抗精神病薬が精神病的状態の治療のために承認されている薬剤である、請求項17〜28のいずれか1つに記載の使用。
【請求項30】
抗精神病性化合物が、アセナピン、ブロナンセリン、イロペリドン、パリペリドン、ビフェプルノックス、ルラシドン、オカペリドン、タルネタント、ACP 104、SLV 310、ACR 16、YKP 1358、GW 773812、RGH 188、SLV 314、Y-931、BL 1020、クロロプロマジン、レボメプロマジン、プロマジン、アセプロマジン、トリフルプロマジン、シアメマジン、クロルプロエタジン、ジキシラジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオプロパザート、トリフルオペラジン、アセトフェナジン、チオプロペラジン、ブタペラジン、ペラジン、ペリシアジン、チオリダジン、メソリダジン、ピポチアジン、ハロペリドール、トリフルペリドール、メルペロン、モペロン、ピパンペロン、ブロムペリドール、ベンペリドール、ドロペリドール、フルアニソン、オキシペルチン、モリンドン、セルチンドール、ジプラシドン、フルペンチキソール、クロペンチキソール、クロルプロキセン、チオチキセン、ズクロペンチキソール、フルスピリレン、ピモジド、ペンフルリドール、ロキサピン、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、スルピリド、スルトプリド、チアプリド、レモキシプリド、アミスルプリド、ベラリプリド、レボスルピリド、プロチペンジル、リスペリドン、クロチアピン、モサプラミン、ゾテピンおよびアリピプラゾールのリストから選択される、請求項17〜28のいずれか1つに記載の使用。
【請求項31】
認知過程が減少している状態における認知を改善するための抗精神病薬を用いる補助治療において使用される薬剤の製造のための、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項32】
前記状態が統合失調症に関連する、請求項31記載の使用。
【請求項33】
前記状態がパーキンソン病に関連する、請求項31記載の使用。
【請求項34】
前記状態が痴呆、例えばAIDS 痴呆に関連する、請求項31記載の使用。
【請求項35】
前記状態が不安障害に関連する、請求項31記載の使用。
【請求項36】
前記状態が加齢に伴う記憶障害に関連する、請求項31記載の使用。
【請求項37】
前記状態が特に高齢者における大うつ病を含むうつ病に関連する、請求項31記載の使用。
【請求項38】
前記状態がベンゾジアゼピン類の使用に関連する、請求項31記載の使用。
【請求項39】
前記状態が三環系抗うつ薬の使用に関連する、請求項31記載の使用。
【請求項40】
前記状態がアルツハイマー病に関連する、請求項31記載の使用。
【請求項41】
前記状態が注意欠陥多動性障害(ADHD)に関連する、請求項31記載の使用。
【請求項42】
前記状態が心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関連する、請求項31記載の使用。
【請求項43】
抗精神病薬が精神病的状態の治療のために承認されている薬剤である、請求項31〜42のいずれか1つに記載の使用。
【請求項44】
抗精神病薬が、アセナピン、ブロナンセリン、イロペリドン、パリペリドン、ビフェプルノックス、ルラシドン、オカペリドン、タルネタント、ACP 104、SLV 310、ACR 16、YKP 1358、GW 773812、RGH 188、SLV 314、Y-931、BL 1020、クロロプロマジン、レボメプロマジン、プロマジン、アセプロマジン、トリフルプロマジン、シアメマジン、クロルプロエタジン、ジキシラジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオプロパザート、トリフルオペラジン、アセトフェナジン、チオプロペラジン、ブタペラジン、ペラジン、ペリシアジン、チオリダジン、メソリダジン、ピポチアジン、ハロペリドール、トリフルペリドール、メルペロン、モペロン、ピパンペロン、ブロムペリドール、ベンペリドール、ドロペリドール、フルアニソン、オキシペルチン、モリンドン、セルチンドール、ジプラシドン、フルペンチキソール、クロペンチキソール、クロルプロキセン、チオチキセン、ズクロペンチキソール、フルスピリレン、ピモジド、ペンフルリドール、ロキサピン、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、スルピリド、スルトプリド、チアプリド、レモキシプリド、アミスルプリド、ベラリプリド、レボスルピリド、プロチペンジル、リスペリドン、クロチアピン、モサプラミン、ゾテピンおよびアリピプラゾールのリストから選択される、請求項31〜42のいずれか1つに記載の使用。
【請求項45】
認知過程が減少している状態における認知を改善するための、エスシタロプラムまたはその薬学的に許容可能な塩および1種またはそれ以上の抗精神病性化合物を含む医薬調合物。
【請求項46】
エスシタロプラムまたはその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、認知過程が減少している状態における認知を改善する方法。
【請求項47】
前記状態が統合失調症に関連する、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記状態がパーキンソン病に関連する、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記状態が痴呆、例えばAIDS痴呆に関連する、請求項46記載の方法。
【請求項50】
前記状態が不安障害に関連する、請求項46記載の方法。
【請求項51】
前記状態が加齢に伴う記憶障害に関連する、請求項46記載の方法。
【請求項52】
前記状態が特に高齢者における大うつ病を含むうつ病に関連する、請求項46記載の方法。
【請求項53】
前記状態がベンゾジアゼピン類の使用に関連する、請求項46記載の方法。
【請求項54】
前記状態が三環系抗うつ薬の使用に関連する、請求項46記載の方法。
【請求項55】
前記状態がアルツハイマー病に関連する、請求項46記載の方法。
【請求項56】
前記状態が注意欠陥多動性障害(ADHD)に関連する、請求項46記載の方法。
【請求項57】
前記状態が心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関連する、請求項46記載の方法。
【請求項58】
陰性および認知症状が改善している統合失調症の治療用薬剤の製造のためのエスシタロプラムの使用。
【請求項59】
薬剤が単位用量として投与されるためのものである、請求項58記載の使用。
【請求項60】
前記単位用量が、エスシタロプラムを1.0 mg〜50 mg、より好ましくは5mg/日〜20 mg/日、最も好ましくは10 mgの量で含んでいる、請求項59記載の使用。
【請求項61】
前記単位用量が1日に1回与えられる、請求項59または60のいずれか1つに記載の使用。
【請求項62】
1日あたりの用量が5、10または20 mgである、請求項61記載の使用。
【請求項63】
注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療用薬剤の製造のためのエスシタロプラムの使用。
【請求項64】
薬剤が単位用量として投与されるためのものである、請求項63記載の使用。
【請求項65】
前記単位用量が、エスシタロプラムを1.0 mg〜50 mg、より好ましくは5mg/日〜20 mg/日、最も好ましくは10 mgの量で含んでいる、請求項64記載の使用。
【請求項66】
前記単位用量が1日に1回与えられる、請求項64または65のいずれか1つに記載の使用。
【請求項67】
1日あたりの用量が5、10または20 mgである、請求項66記載の使用。
【請求項68】
精神療法、認知行動療法および暴露をベースとする療法を促進するのに有用な薬剤の製造のための、エスシタロプラムの使用。
【請求項69】
薬剤が単位用量として投与されるためのものである、請求項68記載の使用。
【請求項70】
前記単位用量が、エスシタロプラムを1.0 mg〜50 mg、より好ましくは5mg/日〜20 mg/日、最も好ましくは10 mgの量で含んでいる、請求項69記載の使用。
【請求項71】
前記単位用量が1日に1回与えられる、請求項69または70のいずれか1つに記載の使用。
【請求項72】
1日あたりの用量が5、10または20 mgである、請求項71記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−535367(P2009−535367A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508134(P2009−508134)
【出願日】平成19年4月30日(2007.4.30)
【国際出願番号】PCT/DK2007/050050
【国際公開番号】WO2007/124757
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(591143065)ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット (129)
【Fターム(参考)】