説明

認証システム

【課題】本発明は、非接触ICメディアとの交信で取得する認証情報により認証を行う認証システムに関し、認証用のメディア媒体の紛失、盗難による他人の使用を困難とし、安価とすることを目的とする。
【解決手段】ICメディア33のメディア側アンテナ34と交信するリーダ部11を、リーダ側アンテナ27が形成されるアンテナ搭載部材21上に、当該リーダ側アンテナ27に対応する部分を不遮蔽領域の穴部26、それ以外の領域を交信遮断する遮蔽層25とする遮蔽部材22を設け、これらを不視状態とする表面部材23を設ける構成とし、表面部材23側よりリーダ側アンテナ27が形成された位置に、メディア側アンテナ34が穴部26を介して位置されたときに交信状態となってICメディア33より識別情報を取得して認証の処理を行わせる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型ICメディアを使用して所持本人の認証を行う際の当該非接触型ICメディアとの交信で取得する認証情報により認証を行う認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの事に対してセキュリティの必要性が謳われ、特に建物や所定場所に対する入館、入室等において厳格に本人認証するようになってきている。また、本人認証を行う媒体においても非接触型のICカードや指紋、虹彩等の生体特徴等多種化している。このような認証を行うシステムは、接触型や上記の非接触型のICカードのようなメディア媒体の紛失、盗難による他人の使用に対して防止策を施す必要があると共に、認証システムの導入費用を安価にして導入増加を図る必要がある。
【0003】
従来、入退室における本人認証を行う手法として多々知られているが、一般的なものとしては、非接触型ICカードに本人の識別情報を記憶しておき、カードリーダにかざして当該識別情報を送信することによりカードリーダ側で本人認証を行うことが知られている。
【0004】
さらに厳格に認証を行う一例として下記の特許文献に開示されたものがある。下記特許文献には、「生体識別情報内蔵型ICカード及びその本人認証方法」として、生体識別情報内蔵型ICカード内の生体識別情報記憶部に所有者本人の指紋や虹彩等の生体識別情報を記憶し、この記憶された生体識別情報とカメラから読み取られた生体識別情報とを照合することによって本人認証を行うことが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−215294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記非接触型ICカードを紛失し、または盗難による場合、他人の使用を防止することができない。また、当該非接触型ICカードからの識別情報と暗証番号の入力とを併用することよって他人の使用を防止する方法もあるが、本人使用時にその都度暗証番号の入力をさせなければならず操作の手間を強いることとなる。さらに、上記特許文献に開示されているような生体識別情報を併用することは、リーダ側に生体識別情報認識の装置が必要となって複雑化すると共に、装置やシステムが高価となるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、本人認証用のメディア媒体の紛失、盗難による他人の使用を困難とすると共に、安価な認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、非接触で交信するためのメディア側アンテナを備えるICメディアに記憶されている識別情報を読み取って本人認証を行う認証システムであって、前記ICメディアのメディア側アンテナと交信するためのリーダ側アンテナが所定箇所に所定数形成されるアンテナ搭載部材上に、上記リーダ側アンテナに対応する部分を所定数の不遮蔽領域とさせ、当該不遮蔽領域以外の領域を上記ICメディアに対して交信遮断する遮蔽領域とする遮蔽部材が設けられ、当該遮蔽部材上に当該遮蔽領域及び不遮蔽領域を不視状態とする表面部材が設けられるリーダ部と、前記表面部材側より、前記リーダ部の前記リーダ側アンテナが形成された位置に、前記ICメディアのメディア側アンテナが前記不遮蔽領域を介して位置されたときに交信状態とされ、当該交信で当該ICメディアの記憶する識別情報を取得して本人認証を行う処理を含む制御処理装置と、を有する構成とする。
【0009】
請求項2、3の発明では、「前記遮蔽部材の所定数の不遮蔽領域に、前記ICメディアとの交信能力を増大させるブースタパターンが形成される」構成であり、
「前記リーダ部に複数のリーダ側アンテナが前記不遮蔽領域と共に形成された場合に、前記制御処理装置は、前記メディア側アンテナに対する所定数のリーダ側アンテナによる交信を、単数又は複数の組み合わせで設定する」構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ICメディアのメディア側アンテナと交信するリーダ部を、リーダ側アンテナが所定箇所に所定数形成されるアンテナ搭載部材上に、当該リーダ側アンテナに対応する部分を不遮蔽領域、それ以外の領域を交信遮断する遮蔽領域とする遮蔽部材を設け、当該遮蔽部材上に当該遮蔽領域及び不遮蔽領域を不視状態とする表面部材を設ける構成とし、表面部材側よりリーダ側アンテナが形成された位置に、メディア側アンテナが不遮蔽領域を介して位置されたときに交信状態とさせることでICメディアより識別情報を取得して認証の処理を行わせることにより、交信状態とさせるICメディアのメディア側アンテナの提示位置が本人以外に知られないことから本人認証用のICメディア媒体の紛失、盗難による他人の使用を困難とさせることができると共に、生体識別情報等のための装置が不要であることから認証システムを安価に構築させることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の最良の実施形態を図により説明する。以下の実施形態では、非接触型ICメディアが搭載される対象を認証カードとして説明するが、その他に当該非接触ICメディアが搭載される携帯電話、通行証、チケット、認識票、筆記具、鍵等においても適用することができるものである。
【0012】
図1に、本発明に係る認証システムのリーダ部における第1実施形態の構成説明図を示す。図1(A)は認証システムのリーダ部が適用される説明図、図1(B)はリーダ部の構成概念図、図1(C)はリーダ部に形成されるリーダ側アンテナの説明図、図1(D)は非接触型ICメディアが搭載された認証カードの説明図である。
【0013】
図1(A)において、認証システムの備えるリーダ部11が、例えば自動開閉ドア12の近傍に配置される。上記リーダ部11は、図1(B)に示すように、アンテナ搭載部材21、遮蔽部材22及び表面部材23が積層された形態で構成される。上記アンテナ搭載部材21は、アンテナ形成部24が、例えば右隅に形成される。
【0014】
上記遮蔽部材22は、アンテナ形成部24(図1(C)のリーダ側アンテナ27)に対応する部分に不遮蔽領域としての穴部26が形成され、当該穴部26以外の領域を後述のICメディアに対して交信遮断する遮蔽領域とする遮蔽層25が形成される。当該遮蔽層25は、薄膜金属や導電性インキ等の導電性部材が所定の基材に蒸着や印刷等により形成されたものである。そして、上記表面部材23は、上記遮蔽層25や穴部26を外側より不視状態とするもので、例えばアンテナ形成部24が形成された位置を示唆するために所定の表示がなされる。ここでは、エリアを例えば9つに分割した表示としている。
【0015】
また、上記アンテナ形成部24は、図1(C)に示すように、所定の基材上にリーダ側アンテナ27が、例えば導電性インキで印刷により交信周波数に応じた巻数の平面巻回状に形成されたもので、その両端がアンテナ搭載部材21の裏側から後述の制御処理装置に電磁誘導結合により電気的に接続される。当該リーダ側アンテナ27のパターン形状は、ここでは短辺に対して比較的長い長辺を有する長方形状であって、横方向を長手方向として形成される。この場合、上記遮蔽部材22に形成される穴部26は、当該リーダ側アンテナ27の外形と略同一又は一回り大の形状で形成される。
【0016】
すなわち、当該穴部26を大きくすればするほど認証カード31のメディア側アンテナとの間で交信可能とするエリアが広くなり、略同一とすることで交信可能エリアが狭くなる物で、目的に応じて適宜設計されるが、ここでは略同一としている。なお、リーダ側アンテナ27の形状は、長方形状に限らず台形状、楕円形状等の何れの形状であってもよいものである。
【0017】
一方、上記リーダ部11を介して交信を行うメディア媒体は、図1(D)に示すように、認証カード31の基材32内部の所定位置(ここでは右隅)に非接触のICメディア(以下、「RFID」と称す)33が搭載されたものである。このRFID33は、内部構成を図3で説明するが、リーダ側と交信するためのメディア側アンテナ34を有する。このメディア側アンテナ34は、上記リーダ側アンテナ27と略同形状での平面巻回パターンで形成されたものである。ここでは、認証カード31を縦方向としたときを正規とした場合、メディア側アンテナ34のパターン形状が縦方向を長手方向として形成される。このようなRFID33は、当該メディア側アンテナ34を所定基材上に導電性インキにより印刷で形成し、当該アンテナパターンの両端にICチップを電気的に実装して作製される。なお、メディア側アンテナ34とリーダ側アンテナ27は略同形状でなくとも、遮蔽部材を介在しても交信可能であれば、その形状、サイズは問わない。
【0018】
次に、図2に、図1の認証システムにおける非接触型ICメディアに対する認証使用形態の説明図を示す。上述のように、リーダ部11には、遮蔽部材22が介在され、不遮蔽領域として穴部26が形成されていることから、まず、当該穴部26の存在する位置に認証カード31(リーダ側アンテナ27)を位置させなければならない。すなわち、図2(A)に示すように、表面部材23の9分割されてエリアの、例えば略中央部分のエリアに認証カード31のメディア側アンテナ34を位置させても遮蔽部材22の遮蔽層25によってリーダ側アンテナ27とは交信不能となる。
【0019】
また、認証カード31のメディア側アンテナ34を、表面部材23における遮蔽部材22の穴部26の位置、すなわち9分割の右下エリアに正規方向(立てた状態)で位置させてもメディア側アンテナ34とリーダ側アンテナ27とが対向するそれぞれの面積が少ないために交信効率が悪く、結局は電気的に結合(電磁誘導結合)せずに交信不能となる。
【0020】
ところで、RFID33とリーダ部11を介するリーダ側との交信は、当該RFID33においてはリーダ側からの送信周波数と一致する共振周波数を持つ共振回路が形成されるもので、リーダ側アンテナ27とメディア側アンテナ34との間の電力送信の効率は、稼働周波数、巻線の数、メディア側アンテナ34のコイルの面積、リーダ側アンテナ27及びメディア側アンテナ34の2つのコイルの相対角度、当該2つのコイルの距離に比例するとされる(「RFIDハンドブック」日刊工業新聞社2001年2月26日発行、p32〜参照)。
【0021】
このように、図2(A)に示すような認証カード31をリーダ部11の右下エリアに正規方向(立てた状態)で位置させた場合であっても、リーダ側アンテナ27とメディア側アンテナ34との対向する面積が少ないために電力送信の効率が低下して交信不能となるものである。
【0022】
すなわち、図2(B)に示すように、認証カード31を、表面部材23における遮蔽部材22の穴部26の位置、すなわち9分割の右下エリアに横方向で位置させることで各アンテナ形状が対向合致させる角度で位置させることにより、リーダ側アンテナ27とメディア側アンテナ34との対向面積が最大となって電力送信の効率が最大となり、これによって電磁誘導結合されて交信状態とすることができるものである。この穴部26の位置及び方向を、予め正規の使用者(本人)に知らしめておけば、他人による認証カード31の使用を困難とさせることができるものである。なお、アンテナのサイズや距離などによっては、対向する角度に拘わらず交信可能となる場合もあるが、対向させる動作の操作性等を考慮して適宜設計されるものである。
【0023】
ところで、上述のように、遮蔽部材22の穴部26をリーダ側アンテナ27に対して大きくするほど、この穴部26に位置されるメディア側アンテナ34との対向面積が大となることから、交信状態となる当該認証カード31のかざす角度の範囲も広がることとなる。従って、当該穴部26を大きくすることによって単に認証カード31を当該位置にかざすだけで交信可能としてもよい。
【0024】
ここで、図3に、図1の非接触型ICメディア及び認証システムにおける制御処理装置のブロック構成図を示す。図3において、まず上記RFID33は、処理部41、メモリ42および復調部43で構成されるICモジュールと、メディア側アンテナ34により構成される。メディア側アンテナ34は、図1(C)に示すように例えば平面上でコイル状に巻回されたもので、後述の制御処理装置(51)からのコマンド情報が重畳された所定周波数の電力信号を受信し、また当該メディア側アンテナ34より制御処理装置(51)にデータを送信する役割をなす。
【0025】
上記メモリ42は当該カードとして少なくとも本人認証の識別情報を記憶するためのものである。上記復調部43は、メディア側アンテナ34で受信した電波から制御信号、データを復調し、適宜コード変換する。そして、処理部41は、プログラムにより、少なくともメモリ42に記憶した識別情報を制御処理装置(51)に送信する処理を行う。
【0026】
そこで、上記制御処理装置51は、リーダ部11の表面部材23側より、リーダ側アンテナ27が形成された位置に、認証カード31(RFID33)のメディア側アンテナ34が上記穴部26を介して位置されたときに交信状態となり、当該交信で当該RFID33の記憶する識別情報を取得して本人認証を行い、図1(A)の例によると自動開閉ドア12の開閉駆動を行う処理を少なくとも含むもので、適宜、制御部52、認証処理部53、認証テーブル54及びログDB(データベース)55を備え、リーダ部11のリーダ側アンテナ27を介して送受信するためのデータ変換部56、変調部57、発信部58、電力増幅部59及び検波部60を備える。また、ドア開閉のための開閉駆動制御部61及びインタフェース(IF)62を備える。そして、ドア開閉のための開閉駆動部63が自動開閉ドア側に備えられるものである。
【0027】
上記制御部52は、この制御処理装置51の全体を統括制御するもので、これに応じたプログラムがセットされている。上記認証処理部53は、RFID33より取得した識別情報を、予め設定されている認証テーブル54を参照して本人認証を行い、認証確認できた場合に開閉駆動制御部61に開閉の指示信号を送出するもので、そのためのプログラムを備える。また、上記ログDB55は、認証カード31の使用者の使用日時を当該識別情報に関連付けて履歴として格納しておくものであり、ハードディスク等の記憶装置(内部、外部を問わない)である。
【0028】
上記データ変換部56は、RFID33に対して送信する情報(識別情報の送信指示コマンド等)を例えば「1」、「0」に変換し、またRFID33から送信された識別情報を例えば「1」、「0」に変換する。上記変調部57は、発信部58からの発信出力に基づいて上記データ変換部56で変換された情報を例えばFSK(周波数偏位変調)変調波に変調する。上記電力増幅部59は、変調部57で変調された変調波を電力増幅するもので、この増幅された変調波がリーダ側アンテナ27に送信されるものである。そして、検波部60は、リーダ側アンテナ27で受信したRFID33からの送信電波を検波して復調するものである。上記変調部57、発信部58、電力増幅部59及び検波部60は、ハードウェアで構成される。
【0029】
一方、上記開閉駆動制御部61は、制御部52からの開閉指示信号に基づいて自動開閉ドア12を開閉(ここでは開放)するための駆動制御信号を生成し、IF62を介して開閉駆動部63に送出するもので、そのためのプログラムを備えるものである。開閉駆動部63は、自動開閉ドア12を開閉するための駆動回路である。
【0030】
このような制御処理装置51は、リーダ部11に対して認証カード31が、図2(A)に示すような遮蔽層25に位置され、又は提示する角度によって対向面積が交信可能な大きさでない場合には、当該RFID33とは交信状態にならない。そして、図2(B)に示すようにメディア側アンテナ34とリーダ側アンテナ27とが角度においても対向面積が交信可能な大きさで位置された場合に交信状態となり、これによってデータ変換部56でデータ変換された指示コマンドを変調部57及び電力増幅部59を介して電力送信し、当該RFID33より検波部60を介して識別符号を取得する。
【0031】
取得した識別情報は、データ変換部56でデータ変換されて認証処理部53において認証テーブル54を参照して照合が行われる。照合の結果、識別情報が正規の情報であると、制御部52より開閉駆動制御部61に開閉指示信号が送出されて開閉駆動部62を駆動させると共に、ログDB55に対して使用日時及び当該識別情報が関連付けられて格納されるものである。なお、照合の結果における不一致の場合として、表示部を設けてその旨の表示(音声や文字情報)をさせてもよい。
【0032】
このように、交信状態とさせるRFID33のメディア側アンテナ34のリーダ部11に対する提示位置、角度が本人以外に知られないことから認証用の認証カード31の紛失、盗難による他人の使用を困難とさせることができると共に、既存のリーダ(リーダライタ)に遮蔽層25を設けるだけで実現させることが可能となって、生体識別情報等のための装置のように高価とはならず、認証システムを安価に構築させることができるものである。
【0033】
次に、図4に、本発明に係る認証システムにおける第2実施形態の構成説明図を示す。図4(A)はリーダ部の構成図、図4(B)は制御処理装置のブロック構成図である。図4(A)において、リーダ部11は、アンテナ搭載部材21上に、例えば4隅に4つのリーダ側アンテナ27−1〜27−4を設け、遮蔽部材22に当該リーダ側アンテナ27−1〜27−4に対応した不遮蔽領域としての穴部26−1〜26−4を設けて他の領域を遮蔽層25としたものである。
【0034】
また、図4(B)において、図4(A)のリーダ部11に対応させる制御処理装置51は、図3の構成に加えて設定部64を設けたものである。上記設定部64は、上記4つのリーダ側アンテナ27−1〜27−4のうち、認証カード31(メディア側アンテナ34)に対して、例えば一のリーダ側アンテナ27−3のみを交信状態とさせるアンテナとし、他のリーダ側アンテナ27−1,27−2,27−4をいわゆるダミーとする場合であり、当該リーダ側アンテナ27−3の設定を行うものである。例えば、リーダ側アンテナ27−1,27−2,27−4の何れかに対向合致させた場合には、不正とみなして以降の認証を行わない(ロック状態)こととしてもよい(本人も間違う場合もあり、ロック解除を、例えば暗証番号や自身の識別情報の入力(入力部を設ける)で行わせてもよい)。
【0035】
また、上記設定部64への他の設定として、例えばリーダ側アンテナ27−1〜27−4に対して認証カード31(メディア側アンテナ34)が予め取り決めた順序で2回以上の何れか対応のリーダ側アンテナ27−1〜27−4に対向合致させてときに正規に交信状態とさせる場合であり、例えばリーダ側アンテナ27−2とリーダ側アンテナ27−4とを順序として設定させるものである。また、順序を間違えた場合には、不正とみなして以降の認証を行わない(ロック状態)こととしてもよい(ロック解除は上記同様である)。
【0036】
さらに、上記設定部64への他の設定として、例えばリーダ側アンテナ27−1〜27−4に対して認証カード31(メディア側アンテナ34)が予め取り決めた時間帯で対応するリーダ側アンテナ27−1〜27−4に対向合致させたときに正規の交信状態とさせるもので、例えば15時〜17時でリーダ側アンテナ27−2を設定させるものである。また、時間帯によって対応のリーダ側アンテナ27−2を間違えた場合には、不正とみなして以降の認証を行わない(ロック状態)こととしてもよい(ロック解除は上記同様である)。
【0037】
このように、遮蔽層25(穴部26)による交信規制を行うだけでなく、さらに順序や時間帯で変更されるリーダ側アンテナ27−1〜27−4とすることで、他人による認証カード31の使用に対してさらなる困難性を与えることができるものである。
【0038】
次に、図5に、本発明に係る認証システムのリーダ部における第3実施形態の構成説明図を示す。図5(A)、(B)において、リーダ部11は図1(B)に対応させたものであり、表面部材23と遮蔽部材22とを同一基材の表裏としたものである。すなわち、基材の表面71を表面部材23として、裏面72を遮蔽部材22としたもので、遮蔽部材22として不遮蔽領域73(基材裏面)以外の領域に遮蔽層25を形成させたものである。このように構成することによっても、結果的には図1(B)に示すリーダ部11と同一の構成となり、同様の効果を奏することができるものである。
【0039】
また、図5(C)は図4(A)に対応させたもので、図5(B)と同様に表面部材23と遮蔽部材22とを同一基材の表裏とし、基材の表面71を表面部材23とすると共に、裏面72を遮蔽部材22として不遮蔽領域73−1〜73−4(基材裏面)以外の領域に遮蔽層25を形成させたものである。
【0040】
また、図6に、本発明に係る認証システムのリーダ部における第4実施形態の構成説明図を示す。図5は表面部材23と遮蔽部材22とを同一基材の表裏としたものであるが、図6(A),(B)はアンテナ搭載部材21と遮蔽部材22とを同一基材の同一面に形成したものである。図6(A)は、図1(B)に対応させたもので、アンテナ搭載部材21におけるアンテナ形成部24の周囲を不遮蔽領域73(アンテナ搭載部材21の基材面)とし、これ以外の領域を遮蔽層25としたものである。
【0041】
図6(B)は、図4(A)に対応させたもので、アンテナ搭載部材21における4つのアンテナ形成部24−1〜24−4の周囲を不遮蔽領域73−1〜73−4(アンテナ搭載部材21の基材面)とし、これ以外の領域を遮蔽層25としたものである。このように構成することによっても、結果的には図1(B)に示すリーダ部11と同一の構成となり、同様の効果を奏することができるものである。
【0042】
続いて、図7に、本発明に係る認証システムのリーダ部における第5実施形態の構成説明図を示す。図7(A)に示すリーダ部11は、図1(B)に対応したものであるが、遮蔽部材22の不遮蔽領域81を基材面としたもので、当該不遮蔽領域81にブースタパターン82を形成したものである。このブースタパターン82は、リーダ側アンテナ27−1〜27−4と同形状であるが、一巻パターンではなく、相似パターンを同芯状に並設させたものである。
【0043】
また、図7(B)に示すリーダ部11は、図4(A)に対応させたもので、上記同様に、遮蔽部材22の不遮蔽領域81−1〜81−4を基材面とし、ここにブースタパターン82−1〜82−4を形成したものである。このブースタパターン82,82−1〜82−4によって、RFID33との交信能力を増大させて交信を確実ならしめることができ、翻ればリーダ側からの電力出力を軽減させても同様の交信能力を担保することができるものである。図7(A)、(B)は、上述の第3実施形態及び第4実施形態についても適用することができる。
【0044】
次に、図8に、本発明に係る認証システムのリーダ部における第6実施形態の構成説明図を示す。図8(A)に示すリーダ部11は、図1(A)に示す構成と同様であるが、表面部材23の表面上に絵柄91を形成させたものである。図1(A)に示す表面部材23上には穴部26を示唆させる意味で9つのエリアに分割した場合として示したが、図8(B)では絵柄91上に穴部26を示唆させる模様等を示した場合である。
【0045】
例えば、図8(B)に示すように、絵柄91として富士山と五つの湖を表し、最下の湖92を穴部26の存在位置として示唆させたものである。絵柄については、何れのものであってもよい。このような実施形態は、上述の第3〜第5実施形態についても適用することができるものである。
【0046】
ところで、上記各実施形態は、入館、入室等での認証を行う場合について説明したが、退出時においても本人認証させて、退出日時及び使用者の識別情報をログDB5に記録しておいてもよく、これによって個人の入退出を総て管理することができ、セキュリティ向上を図ることができるものである。また、RFIDの形状としては、認証カードの形状に限らず、筆記具にRFIDを組み込んで利便性を向上させることや、ドアを開閉するための鍵のような形状とするなど、さまざまな形状とすることが可能である。なお、上記実施形態においては、電磁誘導方式の場合を説明したが、電波方式においても同様に実施可能である。例えば、コイル状のアンテナでなく、ダイポールアンテナのような形状でも同様に実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の認証システムは、館内、室内、機内、所定車内等に対する入退出の個人を認証するシステムに適する。また、上記以外に、金庫の開閉時の認証や、コンピュータシステムの起動時の認証など、さまざまな用途に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る認証システムのリーダ部における第1実施形態の構成説明図である。
【図2】図1の認証システムにおける非接触型ICメディアに対する認証使用形態の説明図である。
【図3】図1の非接触型ICメディア及び認証システムにおける制御処理装置のブロック構成図である。
【図4】本発明に係る認証システムにおける第2実施形態の構成説明図である。
【図5】本発明に係る認証システムのリーダ部における第3実施形態の構成説明図である。
【図6】本発明に係る認証システムのリーダ部における第4実施形態の構成説明図である。
【図7】本発明に係る認証システムのリーダ部における第5実施形態の構成説明図である。
【図8】本発明に係る認証システムのリーダ部における第6実施形態の構成説明図である。
【符号の説明】
【0049】
11 リーダ部
12 自動開閉ドア
21 アンテナ搭載部材
22 遮蔽部材
23 表面部材
24 アンテナ形成部
25 遮蔽層
26 穴部
27 リーダ側アンテナ
31 認証カード
32 カード基材
33 RFID
34 メディア側アンテナ
51 制御処理装置
53 認証処理部
54 認証テーブル
55 ログDB(データベース)
71 表示面
72 遮蔽面
73,81 不遮蔽領域
82 ブースタパターン
91 絵柄
92 認識領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触で交信するためのメディア側アンテナを備えるICメディアに記憶されている識別情報を読み取って認証を行う認証システムであって、
前記ICメディアのメディア側アンテナと交信するためのリーダ側アンテナが所定箇所に所定数形成されるアンテナ搭載部材上に、上記リーダ側アンテナに対応する部分を所定数の不遮蔽領域とさせ、当該不遮蔽領域以外の領域を上記ICメディアに対して交信遮断する遮蔽領域とする遮蔽部材が設けられ、当該遮蔽部材上に当該遮蔽領域及び不遮蔽領域を不視状態とする表面部材が設けられるリーダ部と、
前記表面部材側より、前記リーダ部の前記リーダ側アンテナが形成された位置に、前記ICメディアのメディア側アンテナが前記不遮蔽領域を介して位置されたときに交信状態とされ、当該交信で当該ICメディアの記憶する識別情報を取得して認証を行う処理を含む制御処理装置と、
を有することを特徴とする認証システム。
【請求項2】
請求項1記載の認証システムであって、前記遮蔽部材の所定数の不遮蔽領域に、前記ICメディアとの交信能力を増大させるブースタパターンが形成されることを特徴とする認証システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の認証システムであって、前記リーダ部に複数のリーダ側アンテナが前記不遮蔽領域と共に形成された場合に、前記制御処理装置は、前記メディア側アンテナに対する所定数のリーダ側アンテナによる交信を、単数又は複数の組み合わせで設定することを特徴とする認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−87140(P2007−87140A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−275599(P2005−275599)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】