説明

認証可能マーク、そのマークを準備するためのシステム、及びそのマークを認証するためのシステム

マークの準備のためのシステム及び偽造マークに対するマークの認証のためのシステム。強度対波長の分布を含む放出スペクトルが、一連のタガントから収集される。選択されたタガントのスペクトルが区別可能となるように、1つ又は複数のタガントが、収集された放出データから選択される。この選択は、下地及び分散媒体の放出放射を考慮することにも基づく。認証システムは、多変量統計解析を使用して、認証されるマークの少なくとも1つの測定統計量、及び準備システムによって準備される一連のトレーニングマークに基づいた少なくとも1つの統計的限界を計算する。マークが真正であることは、測定統計量と統計的限界との比較に基づいて判断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証可能マーク、認証可能マークを準備するためのシステム及び方法、並びに真のマークを認証し、偽造マークを拒否するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
商業市場では、商品が製造された時と商品のエンドユーザへの販売との間、さらにはそれを越えて商品の処分時までの間、商品が真正であることを確証する方法が必要とされている。物品又はその包装に1つ又は複数の同一性マークが提供されると、特定の物品を追跡及びトレースでき、盗難、転用、若しくは偽造された物品及び/又はそれらの包装の同一性を確認でき又は同一性の誤りを明らかにできることを含めて、さまざまな利益が得られる。これを達成するために、これまで多数の方法が用いられてきた。最も単純な方法には、明示的に印刷されたさまざまな識別テキスト、商標、ロゴ、シンボル、画像、又は他の識別インディシアが含まれる。それよりも秘匿的な識別方法は、多くの場合、物品の違法な転用、偽造、又は窃盗を誘発するのに十分な価値を有する物品のこれらの行為を打破するために用いられる。
【0003】
秘匿的な方法の例には、印刷された文字があまりにも小さいので人間の肉眼では識別できないマイクロ印刷;他の画像の上又は下にスーパーインポーズ又はサブインポーズ(sub-impose)された画像;光源により活性化されると放出された可視蛍光色によって識別可能になる蛍光材料で作製されたマーク、すなわち、分光蛍光光度計又はより単純な検出デバイスによって測定可能な放出の波長で識別可能になる蛍光材料で作製されたマーク、ホログラム、RFIDタグ、バーコードリーダ、文字認識リーダ等の復号方法によって検出可能な符号化されたテキスト、マーキング、又は記号類が含まれる。
【0004】
蛍光材料は、セキュリティの用途では、アイテムの認証用のマークにおける目に見えない秘匿的なタガントとして使用されてきた。蛍光の色及び波長だけでなくマークの形状及びサイズも、アイテムが真正であることを検証するのに使用される。偽造者は、このようなマークの形状、サイズ、色、波長、及び他の区別される特徴を一致させることによって、このようなマークを再現しようと試みる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、認証できる特性を示すタガントを含む認証可能マークが必要とされている。
マークを準備するシステム及び方法も必要とされている。
【0006】
さらに、マークを確実に認証するシステム及び方法も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシステムは、複数のタガントを含むマークを認証する。少なくとも1つのエネルギー源が、タガントを刺激する少なくとも1つ又は複数の波長のエネルギーを提供して、少なくとも1つ又は複数の強度対波長の分布を有する放射を放出させる。検出装置が放出された強度対波長の分布を測定し、強度対波長の分布に対応する少なくとも1つの出力信号を提供する。出力信号の多変量統計解析を実行して、測定統計量及び所定の統計的限界及び信頼限界に基づいてマークが真正であることを判断するプログラムを含む装置。本装置は、以下のプログラムの命令が可能なコンピュータ又は任意のタイプの機器であってもよい。
【0008】
本発明のシステムの一つの実施形態では、所定の統計的信頼限界は、真正であることが知られており且つタガントに対応する基準タガントのセットの多変量統計解析によって導出され、所定の統計的限界は、Q残差限界、マハラノビス距離限界、ホテリングのT限界、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
【0009】
本発明のシステムの一つの実施形態では、タガントは、下地によって担持される。
本発明のシステムの他の実施形態では、複数のタガントは、2つのタガントを含む。
本発明のシステムの他の実施形態では、本システムはマークが真正であることをユーザに通知する出力デバイスをさらに備える。
【0010】
本発明のシステムの他の実施形態では、検出装置は、出力信号を検出してフィルタリングする検出器、及び放出された強度対波長の分布を測定し、出力信号を提供する分光器、から成る群から選択される。
【0011】
本発明のシステムの他の実施形態では、タガントは、蛍光材料を含む。
本発明のシステムの他の実施形態では、多変量統計解析は、主成分解析(PCA)、並びに他のベクトルベースの統計的技法、判別解析、古典的な最小二乗(CLS)、正味被検体物信号(NAS)、主成分回帰(PCR)、部分的最小二乗(PLS)、クラス類似性のソフト独立モデリング(SIMCA)、及びマルチウェイ統計ツールから成る群から選択され、マルチウェイ統計ツールには、三重線形分解(TLD)、パラレルファクタ解析(PARAFAC)、タッカーモデル、及びマルチウェイPCA(MPCA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0012】
本発明のシステムの他の実施形態では、エネルギー源は、X線、紫外(UV)、可視、近赤外(NIR)、赤外(IR)、及びラマンから成る群から選択された電磁スペクトルの領域の放射でタガントを刺激する。
【0013】
本発明のシステムの他の実施形態では、検出器は、放出された放射を検出する。フィルタが、検出された放射をフィルタリングし、強度対波長の分布に対応する少なくとも1つの出力信号を提供する。出力デバイスが、マークが真正であることをユーザに通知する。
【0014】
本発明の方法は、複数のタガントを含むマークを認証する。タガントを刺激する1つ又は複数の波長のエネルギーを提供して、1つ又は複数の強度対波長の分布を有する放射を放出させる。放出された放射を検出する。放出された強度対波長の分布に対応する少なくとも1つの出力信号を提供する。プログラムは、出力信号の多変量統計解析を実行して測定統計量を提供し、測定統計量及び少なくとも1つの所定の統計的信頼限界に基づいてマークが真正であることを判断するデバイス上で実行される。
【0015】
本発明のシステムの一つの実施形態では、所定の統計的信頼限界は、真正であることが知られており且つタガントに対応する基準タガントのセットの多変量統計解析によって導出され、所定の統計的限界は、Q残差限界、マハラノビス距離限界、ホテリングのT限界、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
【0016】
本発明の他の実施形態では、基準タガントは自然の経年変化又は人工的に誘発された経年変化を受けている。
本発明の方法の他の実施形態では、タガントは、下地によって担持される。
【0017】
本発明の方法の他の実施形態では、タガントは、2つのタガントを含む。
本発明の方法の他の実施形態では、タガントは、ブレンド領域、レイヤ化された領域、散在された領域、及びパターン化された領域から成る群から選択された構造を備える。
【0018】
本発明の方法の他の実施形態では、マークが真正であることをユーザに通知する。
本発明の方法の他の実施形態では、タガントは、蛍光材料を含む。
本発明の方法の他の実施形態では、多変量統計解析は、主成分解析(PCA)、並びに他のベクトルベースの統計的技法、判別解析、古典的な最小二乗(CLS)、正味被検体物信号(NAS)、主成分回帰(PCR)、部分的最小二乗(PLS)、クラス類似性のソフト独立モデリング(SIMCA)、及びマルチウェイ統計ツールから成る群から選択され、マルチウェイ統計ツールには、三重線形分解(TLD)、パラレルファクタ解析(PARAFAC)、タッカーモデル、及びマルチウェイPCA(MPCA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0019】
本発明の方法の他の実施形態では、X線、紫外(UV)、可視、近赤外(NIR)、赤外(IR)、及びラマンから成る群から選択された電磁スペクトルの領域の放射でタガントを刺激する。
【0020】
本発明の方法の他の実施形態では、強度分布を単位面積に正規化して、放出された放射を収集する検出器からのタガントの距離に起因する信号変動を補償することによって、出力信号を前処理する。
【0021】
本発明の方法の他の実施形態では、刺激するステップは、反ストークス・アップコンバート材料を含む、(a)タガントの放出よりも短い波長(λ)の高いエネルギー、及び(b)タガントの放出よりも長い波長(λ)の低いエネルギー、から成る群から選択される励起を提供する。
【0022】
本発明の第二の方法は、複数のタガントを下地に塗布し、
一連のタガントを照射し、強度対波長の分布を有する放射を放出させる、照射すること、
タガントのそれぞれの放出された放射を測定し、タガントのそれぞれについて放射強度対波長の分布をコンピュータのメモリのタガントファイルに記録すること、
該方法によって区別可能である放射強度対波長の分布を放出した複数のタガントをタガントファイルから選択すること、及び
選択されたタガントを下地に塗布すること、
を含む。
【0023】
本発明の第二の方法の一つの実施形態では、複数のタガントは、下地及び分散媒体から成る群からの、放射により誘発された放出にさらに基づいて選択される。
本発明の第二の方法の一つの実施形態では、一連の下地及び一連の分散媒体を照射すること、下地のそれぞれ及び分散媒体のそれぞれについて、放出された放射強度分布を、放出がタガントのそれぞれについて生じる波長域にわたって測定すること、下地のそれぞれ及び分散媒体のそれぞれについての放出された放射強度分布を下地ファイル及び分散媒体ファイルにそれぞれ記録すること、並びに選択されたタガントの放射強度対波長の分布が、選択された下地及び選択された分散媒体の放出された放射の存在下で区別可能となるように、下地ファイル及び分散媒体ファイルからそれぞれ下地及び分散媒体を選択すること、をさらに含む。
【0024】
本発明の他の目的、利点、及び特徴、並びにさらなる目的、利点、及び特徴は、添付図面と共に以下の明細書を参照することによって理解されよう。添付図面において、同様の参照文字は、同様の構造要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のマーキングシステムのブロック図である。
【図2】本発明の認証システムのブロック図である。
【図3】例(1)の平均スペクトルとオーバレイされたローディングスペクトルのプロットである。
【図4】例(1)の異常値プロットである。
【図5】例(2)のCIE図である。
【図6】例(2)の真のスペクトルのトレーニングセットのプロットである。
【図7】例(2)の課題スペクトルの試験セットのプロットである。
【図8】図6及び図7のスペクトルのベースライン訂正されたプロットである。
【図9】例(2)の3次元スコアのプロットである。
【図10】例(2)のQ残差対ホテリングのTのプロットである。
【図11】例(3)のQ残差対ホテリングのTのプロットである。
【図12】例(4)のQ残差対ホテリングのTのプロットである。
【図13】例(5)のQ残差対ホテリングのTのプロットである。
【図14】例(5)のQ残差対ホテリングのTのプロットである。
【図15】例(6)のCIE図である。
【図16】例(6)のQ残差対ホテリングのTのプロットである。
【図17】例(6)のQ残差対ホテリングのTのプロットである。
【図18】例(6)の正規化されていない離散スペクトルのプロットである。
【図19】例(6)のQ残差対ホテリングのTのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の認証システム及び認証方法は、前述の秘匿的な方法に勝るものであり、さまざまな選択された活性化刺激によって活性化されると、さまざまな検出可能信号を放出できる材料の印刷、被覆、インディシア、若しくは他のマーク、又は指定された且つ/若しくは局所的な濃度から作製された明確に定義された認証セットを評価して事前に適格とする多変量統計解析(化学におけるその使用は計量化学として知られている)として知られている化学解析技法を利用する認証方法論を提供する。さまざまな検出可能信号には、蛍光反応を誘発するのに必要とされるエネルギーレベルを有する入射光又は電磁刺激による励起に反応して放出される蛍光信号が含まれるが、これに限定されるものではない。他の刺激及び反応も、この方法と共に使用することができ、例えば、さまざまな現象によって誘起される化学プロセス、電気プロセス、磁気プロセス、物理プロセス、又は時間依存プロセスを使用することができる。
【0027】
認証される物品上の識別領域を準備するのに使用される材料は、従来の検出器又は分光方法によって結合信号を特徴付け不能(uncharacterizable)とするために、十分な個数及び範囲の、刺激されて放出される信号を有するものが選択される。多次元信号プロファイルの多変量統計解析によって、ユーザは、「真の」又は「真正な」材料として指定された材料及び「偽の」又は「偽造」材料として指定された材料間並びにそれら材料で作製されたマーク間を高い信頼度で区別することが可能になる。多変量統計解析技法は、複合化学混合物間の解析的弁別を向上させるのに一般に使用される。本発明は、複合混合物が、複数のタガントを含む好ましくは秘匿的なマークとして塗布される物品のセキュアな識別及び認証を提供する目的で、多変量統計解析を使用して複合混合物を慎重に準備する。この複数のタガントは、一実施形態では、少なくとも2つのタガントである。
【0028】
「タガント」という用語は、本明細書では、物品内若しくはその包装内又は物品上若しくはその包装上に配置できる材料を意味するのに使用される。この材料は、オプションとして、このような配置に適した媒体内に事前に分散される、この材料は、刺激を受けると、検出可能な反応を生成する。この材料には、染料、顔料、又は上述したような能力を有する他の化学的エンティティ又は物理的エンティティを含めることができる。材料には、さらに、光又は他の電磁放射により刺激されると、蛍光放射又は燐光放射を放出するルミネセンス化学物質も含めることができる。次に、刺激には、衝突光が含まれ、反応には、放出されたルミネセンス放射が含まれる。タガントとして使用できる材料には、ハネウェルインターナショナル社(Honeywell International, Inc)から入手可能なLumilux(登録商標)(ルミラックス)蛍光材料及び燐光材料を含めることができる。使用できるLumilux(登録商標)材料には、以下のものを含む化学組成を有する顔料及び染料が含まれる。上記以下のものは、アルダジン、アントラニル酸、バルビツール酸、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサジノン、ベンゾチアゾール、クマリン、ナフタルアミド、オキシネート、ピラゾリン、キナゾリノン、キノリン、サリチル酸、テレフタル酸、チオキサンテンの有機誘導体;希土類キレート及び希土類錯体;アルカリ、遷移金属、及び希土類の酸化物、硫化物、酸硫化物、ケイ酸塩、タングステン酸塩、バナジウム酸塩を含む、遷移金属イオン及び/又は希土類イオンがドーピングされた無機化合物である。これらの材料の例には、数値範囲が101〜199、301〜399、401〜499、501〜599、701〜799、及びUC−2のLumilux(登録商標)CD製品が含まれる。
【0029】
光又は他の電磁放射のタガントへの衝突によって刺激された、例えば光又は他の電磁放射の蛍光放射又は燐光放射といった検出され適格とされる信号は、通常は放射の周波数又は波長として特徴付けられる放射エネルギー帯にわたって放出される放射の強度の測定によって検出して適格とすることができる。その分布は、そのエネルギー帯の全体にわたる強度の連続信号を含む場合もあるし、オプションとして、そのエネルギー帯の全体にわたる選択された離散間隔の一連の値を含む場合もある。このような強度分布の一般的な例には、放出光周波数帯又は放出光波長帯にわたる、励起光源によって刺激された蛍光材料から放出された光の強度を記録する分光器により生成されたスペクトルが含まれる。励起スペクトル及び放出スペクトルの双方は、分光蛍光光度計を使用して同様に取得することができる。例えばシリコン検出器及び光フィルタの有限アレイを使用したより単純なデバイスをオプションとして使用して、或る範囲の離散周波数帯又は離散波長帯にわたる一連の光放出強度を測定して記録することができる。
【0030】
認証可能マークは、少なくとも2つのタガントを含む。これらのタガントは、物品、アイテム、又は物体の上又は内部に配置することができ、物品、アイテム、又は物体の上又は内部の離散的なロケーションに配置することもできるし、物品、アイテム、又は物体の表面又は容積の全体にわたって配置することもできる。各マークは、電磁放射等の刺激に反応して検出可能な信号を提供する少なくとも2つの材料を含む。いくつかの実施形態では、タガントはマーキング組成物を含む。一実施形態では、認証可能な下地は、タガントを下地そのものの内部に混合することによって作り出すことができる。別の実施形態では、認証可能マークは、物品、物体、及び/又は物品が収容される包装材料の表面にマークを塗布又は配置することによって作製することができる。さまざまな配置方法又は印刷方法を使用して、本発明を可能にすることができる。このさまざまな配置方法又は印刷方法には、オフセット、フレキソグラフィー、輪転グラビア印刷、インタリオ、インクジェット、及び熱転写が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本発明の認証可能マークは、秘匿性(すなわち、通常の周囲照明条件下では人間の目により容易に観察可能でない)、検出可能信号を提供する刺激に対する反応性、及びリバースエンジニアの困難性という利点を有する。その上、認証可能マーク及びその特性は、光、熱、湿度、空気、酸素、研磨力、又はこのような材料の性能に影響を与えることが知られている他の一般的な環境ハザードに対する長期間にわたる露出等の環境の力によって大きな影響を受けない。また、各顧客又は各物品タイプに一意のマークを提供できるように、タガント(複数可)及び/若しくはマーク又はその性能には、十分なバリエーションがある、さらに、物品が実際には偽造物であるときに、それら物品を真正なものとして誤って肯定的に識別することは統計的にわずかである。加えて、物品が実際には真正なものであるときに、それら物品を偽造物として誤って否定的に識別することも統計的にわずかである。
【0032】
本発明の認証システムは、励起/活性化源を備える。この励起/活性化源は、エネルギー場を生成する。このエネルギー場は、マークのタガント(複数可)から検出可能な放出又は信号を誘発する。オプションとして、例えば検出プロセス効率又は費用効果を改善するために、デバイス又はシステムは、認証可能マークによって提供された信号を修正する(例えば、信号をより検出可能な形態に変換する)か、又は信号の個数、強度、又は他の特性を減少させる(若しくは高める)。検出デバイスは、認証可能マークの刺激によって誘発された信号(複数可)を受信して測定し、その記録を記憶する。
【0033】
本発明の認証システムは、認証可能マークによって提供された信号(複数可)を多変量解析技法で解釈する。この多変量解析技法には、PCA、部分最小二乗、及び同様の技法が含まれるが、これらに限定されるものではない。PCA技法は、例えばスペクトル又はスペクトルのサブセットといった放出信号の重ね合わせを処理し、信号間の最適な弁別を提供する極大変化の領域を識別する。
【0034】
タガントの特定の組み合わせ及び/又は配列を使用した真正マークのセットからの放出が、使用される励起システムによる活性化の後に解析される。受入可能領域が、PCA又は同等の技法を使用して一連の関係行列に規定される。信号の平均、ローディング、及びスコアが計算され、これらから、Q残差行列、マハラノビス距離行列、及び/又はホテリングのT行列が生成され、検出デバイスのメモリに入力される認証限界が提供される。次に、受入可能領域の境界内になるように設計されたタガントの組み合わせを使用して作製されたマークをエネルギー場にさらすことができる。真正な同一性が検証されたことを示す反応信号をユーザに提供するために、マークの放出がシステムによって検出されて評価される。逆に、認証トレーニングセットに準拠するように作製されていないマークは、偽信号を放出するとして、検出/認証システムにより識別されることになる。
【0035】
例として、本明細書では、認証可能マークは、タガントに蛍光材料(複数可)を使用する例示の実施形態について説明される。例えば、タガントは、ハネウェルインターナショナル社から入手可能なLumilux(登録商標)蛍光材料を適宜含むことができる。これらは、励起が、放出よりも短い波長(λ)であり、放出よりも高いエネルギーである「ダウンコンバート」材料、又はオプションとして、励起が、放出よりも長い波長(λ)であり、放出よりも低いエネルギーである材料、すなわち反ストークスアップコンバート材料、のいずれかを含むことができる。
【0036】
図1を参照して、本発明のマーキングシステム100は、認証可能物品110、120、又は130を適格として準備する。認証可能物品110は、下地114によって担持される認証可能マーク112を備える。例えば、認証可能マーク112は、下地114上又は下地114内に配置することができる。認証可能マーク112は、レイヤ115、116、及び118を備える。例えば、レイヤ118は、下地114に隣接している。レイヤ116は、全体又は一部がレイヤ118の上に重なっている。レイヤ115は、全体又は一部がレイヤ116の上に重なっている。
【0037】
下地114、124、及び134は、例えば、認証可能物品又はその包装の表面とすることができる。
認証可能物品120は、下地124上に配置された認証可能マーク122を備える。認証可能物品130は、下地134上に配置された認証可能マーク132を備える。
【0038】
マーキングシステム100は、複数のタガントに最適である波長域の信号強度を測定して記録するように動作可能であり、認証可能マーク112、122、又は132の記録されたタガントから少なくとも2つのタガント、好ましくは少なくとも3つのタガントを選択するように動作可能である。
【0039】
マーキングシステム100は、分光器システム140、1つ又は複数の光源142、コンピュータ144、ブレンド装置146、及び印刷装置148を備える。コンピュータ144は、プロセッサ150及びメモリ152を備える。プログラム180、タガントファイル154、媒体ファイル156、及び下地ファイル158がメモリ152に記憶されている。
【0040】
プログラム180は、プロセッサ150によって実行されると、波長域においてピーク強度を有する複数の異なるタガントでタガントファイル154をポピュレートするように動作可能である。この測定手順は、タガント160の表面に入射する、光源142からの特定の波長の放射Rを提供することによって実行される。例えば、光源142は、格子の使用により365ナノメートル(nm)に選択されたUVランプとすることができる。タガント160は、放射Rに反応して、信号Seを提供又は放出する。分光器システム140は、信号Seを捕捉し、信号最適強度が生じる波長を測定する。信号最適強度及び波長は、タガントファイル154に記録される。この手順は、タガントの残りについて繰り返される。タガントの残りのうち、タガント162及び163のみが図示されている。
【0041】
放射Rは、分散媒体170にも提供される。分散媒体は、例えば、選択されたタガントが分散されるインク配合物又は被覆配合物とすることができる。分散媒体170から信号Smが提供され、分光器システム140によって記録される。複数の異なる分散媒体について、同様のデータを収集することができ、媒体ファイル156に記録することができる。複数のタガント160、162、及び163のそれぞれの波長について測定された信号強度は、オプションとして、タガントファイル154に記録するために修正することができる。
【0042】
放射Rは、さらに下地114(又は124又は134)にも提供される。信号Ssは、下地114から提供され、分光器システム140によって捕捉される。分光器システム140は、オプションとして、下地ファイル158に記録するために、複数のタガント160、162、及び163のそれぞれの波長についての信号強度を修正する。
【0043】
プログラム180は、実行されると、タガントファイル154に記録されたタガントからのタガントを区別可能な放出(すなわち、最適信号強度の異なる波長)で識別(選択)する手順をプロセッサ150にさらに実行させる。プログラム180は、タガントの選択されたものと分散インク媒体170との親和性を判断する。オプションとして、手順180は、媒体ファイル156に記憶された複数の分散媒体のいずれが、選択されたタガントと最も親和性があるのかを判断する。プログラム180は、選択されたタガントの下地114との親和性を判断する。プログラム180は、分散媒体170及び下地140と親和性のある2つ以上の区別可能なタガントのセットを選択する。図1の選択されたタガントは、タガントA、B、及びCとして示された3つのセットである。これらのタガントA、B、及びCは、ディスプレイ又はプリンタ等の出力デバイス159に提供される。
【0044】
認証可能マーク112の準備のために、オペレータは、出力デバイスによって識別された、選択されたタガントA、B、及びC、並びに分散媒体170を取得する。タガントCは、ブレンド装置146において分散媒体170とブレンドされ、単一成分ブレンド経路172を介して印刷装置148に提供される。印刷装置148は、タガントCブレンドを下地114上にレイヤ118として印刷する。次に、タガントBが、ブレンド装置146において分散媒体170とブレンドされ、単一成分ブレンド経路172を介して印刷装置148に提供される。印刷装置148は、タガントBブレンドを、全体又は一部がタガントCの上に重なるようにレイヤ116として下地114上に印刷する。次に、タガントAが、ブレンド装置146において分散媒体170とブレンドされ、単一成分ブレンド経路172を介して印刷装置148に提供される。印刷装置148は、タガントAブレンドを、全体又は一部がタガントBの上に重なるようにレイヤ115として下地114上に印刷する。
【0045】
認証可能マーク132の準備のために、上記手順は、タガントA、B、及びCが散在するパターンを印刷装置148が印刷する必要に応じて、タガントA、B、及びCのそれぞれについて繰り返される。図1に示すパターンは一例であり、他のパターンが可能であることが理解されよう。
【0046】
認証可能マーク122の準備のために、タガントA、B、及びCが、ブレンド装置146において分散媒体170とブレンドされ、複数ブレンド経路174を介して印刷装置148に提供される。印刷装置148は、タガントA、B、及びCの複数成分ブレンドを下地124上に印刷する。
【0047】
図2を参照して、本発明の認証システム200は、較正(又はトレーニング)オペレーション及び認証オペレーションを実行する。認証システム200は、1つ又は複数の光源202、1つ又は複数の検出器204、コンピュータ206、及び出力デバイス211を備える。出力デバイス211は、任意の適したユーザインターフェースデバイスとすることができ、例えば、プリンタ又はディスプレイとすることができる。図2には、例として3つの認証可能物品110、120、及び130が示されているが、認証システム200は、認証可能物品110に対してそのオペレーションを実行するものとして説明される。
【0048】
再び図2を参照して、認証可能物品110は、マーク112に示すように、光源202によって、認証可能物品110のA、B、及びCを活性化する放射Rで照射される。一実施形態における放射Rは、認証可能物品110のタガントA、B、及びCを活性化する帯域幅を有する単一光源によって提供される。他の実施形態では、放射Rは、対象となる波長の個別の光源によって提供される。すなわち、1つ、2つ、又は3つ以上の光源が、1つ、2つ、又は3つ以上の波長の放射を提供する。これらの波長は、タガントA、B、及びCを活性化して、同じ波長域にわたってオプションとして異なる効率を有する信号をタガントから生成する。図2において、λ1及びλ2は、多くの可能な励起波長のうちの2つであり、それら波長のそれぞれは、すべてのタガントを活性化することができる。
【0049】
認証可能物品110は、図1のコンピュータ144のメモリに記録されたタガントA、B、及びCの波長に対応するλ3、λ4、λ5〜λnによって示された波長域に及ぶ信号Seを放出する。
【0050】
分光器203及び検出器204を備える分光器システム205は、信号Seを捕捉し、信号Seを電気信号に変換する。この電気信号は、コンピュータ206のプリプロセッサ208に提供される。分光器203は、λ3、λ4、λ5を含む波長域にわたる信号を分離できる波長走査デバイスである。検出器204は、適宜、光電子増倍管、シリコンPINフォトダイオード、又はInGaAs PINフォトダイオードとすることができるが、これらに限定されるものではない。一代替的な実施形態では、分光器203は、フィルタ230(図2)と取り替えることができる。フィルタ230は、例えば、一実施形態では、波長λ3、λ4、及びλ5にそれぞれチューンされた狭帯域フィルタ232、233、及び234を備え、狭帯域信号又は別の方法で適宜範囲を定められた信号を検出器240に提供する。検出器240は、光電子増倍管、シリコンPINフォトダイオード、又はInGaAs PINフォトダイオードとすることができるが、これらに限定されるものではない。フィルタ230は、狭帯域通過フィルタの代わりに又はオプションとして狭帯域通過フィルタと組み合わせて、ショートパス波長カットオフフィルタ若しくはロングパス波長カットオフフィルタ又はノッチフィルタの組み合わせも含むことができる。
【0051】
コンピュータ206は、メモリ(図示せず)に記憶されているプログラム209を実行するプロセッサ207を備える。プログラム209は、プリプロセッサ208、解析ソフトウェア210、信頼限界ソフトウェア212、較正ソフトウェア214、及びフィルタ最適化ソフトウェア216を含む。
【0052】
コンピュータ206は、解析ソフトウェア210を利用する。解析ソフトウェア210は、検出器信号208を前処理するための能力、多変量統計解析210を実行するための能力、信頼限界212を確立するための能力、較正手順214を作成するための能力、及び物品を認証するための能力を有する。解析ソフトウェア210は、例えば、適宜、多変量統計解析ソフトウェアとすることができる。
【0053】
プリプロセッサ208は、検出器204(又は検出器240)によって提供された、フィルタリングされた信号Seを、解析ソフトウェア210による評価に適したフォーマットに変換する。解析ソフトウェア210は、好ましくは、多変量統計解析ソフトウェア(例えば、エイジェンベクタアソシエーツ(Eigenvector Associates)から入手可能なPLSツールボックス)を使用して、スコア、ローディング、ファクタの個数、及び最適な離散測定領域を求める。
【0054】
認証システム200を較正(又はトレーニング)するために、マーキングシステム100によってタガントの異なる組み合わせで準備された一連の認証可能物品における各物品は、分光器205に提示され、信号が記録される。この一連の認証可能物品における最後の認証可能物品が測定されると、信号は、プリプロセッサ208によって前処理され、解析ソフトウェア210(例えば、PCA)による多変量統計解析技法で解析されて、材料のトレーニング/較正セットの信号が特徴付けられ、この一連の認証可能物品における認証可能マーク又は認証可能物品のセットが規定される。解析ソフトウェア210は、各物品のQ残差、ホテリング(Hotelling)のT、及びマハラノビス距離等の適合度統計量、並びにこれらの信頼限界、又は他のパラメータも求める。
【0055】
解析ソフトウェア210及び較正ソフトウェア214は、認証システム200(分光器システム205並びに/又はフィルタ230及び検出器240を備える)をトレーニングして、一連の認証可能物品において認証可能マークを認識する。この手順は、以下でより詳細に説明される。
【0056】
解析ソフトウェア210は、一連の認証可能物品の真正マークを、同様に作製されたが同じ又は異なる材料の異なるブレンドで作製された偽造マーク又は模擬偽造マークと比較する。解析ソフトウェア210は、PCA解析及び信頼限界ソフトウェア212を使用して、偽造マークが、指定された信頼限界内に入るか否かを判断する。信頼限界内に入るマークは、真又は本物として定義される。信頼限界内に入らないマークは、偽又は偽造として定義される。偽造検出手順は、以下で詳細に説明される。真正であることの判断の結果は、出力デバイス211を介してユーザに通知される。
【0057】
コンピュータ206上で動作するプログラム209は、離散波長に含める適切な波長、フィルタベースのリーダ、及び偽造ラベル対真正ラベルを認識するようにこのリーダをトレーニングする方法を選択する。プログラム209は、主として、PCAに依拠して、認証可能マーク又は偽造マークによって提供された信号Seを、そのマークを構成する染料又は顔料の(分光器システム205によって測定された)フル蛍光スペクトルから、検出器240(図2)と共に使用できる適切なフィルタに削減する。
【0058】
この認証方式で使用できる他の多変量統計解析技法には、判別解析、CLS、NAS、PLS、及びSIMCAが含まれるが、これらに限定されるものではない。複数の励起、及び蛍光寿命、ステップアップ蛍光発光(step up fluorescence)、X線信号、又は他の物理的特性のような他の物理的影響が含まれる場合、マルチウェイ統計ツール(multi-way statistical tool)を使用することができる。これらのツールには、TLD、PARAFAC、及びMPCAが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
フィルタベースのデバイス230を使用するとき、一連の認証マークに最適な波長を有するフィルタ232、233、及び234が選択されなければならない。n個のフィルタを使用するデバイスの場合、n−1個以下の蛍光顔料及び/又は蛍光染料が、マーキングシステム100により一連の認証可能マークについて開発されたタガントで使用される材料から選択される。これは、単一のタガント及び/又は混合したタガントを一連のマークで使用して要因実験を行うことにより達成することができる。
【0060】
実験に使用されるすべてのサンプルのフルスペクトルは、適切な分光器システム140(図1)及び205(図2)において測定される。スペクトル信号は、PCAの実行に先立ち、各スペクトルを単位面積に正規化し、それに続いて平均センタリングすることにより前処理される。単位面積への正規化は、検出器からのサンプルの距離に起因した信号変動を補償するのに使用することができる。次に、解析ソフトウェア210は、データのフルスペクトルのPCA解析を実行し、スコア、ローディング、及び固有値、並びに各サンプルのさまざまな統計量及び較正を評価するための対応する統計的限界を計算する。
【0061】
解析ソフトウェア210及びフィルタ最適化ソフトウェア216は、PCAローディングの極大び/又は極小に基づいてフィルタ232、233、及び234を選択する。フィルタの個数は、さまざまな統計パラメータ(例えば、Q残差等)を介して真正サンプルと偽造サンプルとの間の十分な区別を生み出すのに必要とされる成分の個数よりも少なくとも1つ多い。
【0062】
認証システム200のフィルタベースの部分は、同じサンプルのセットの離散(又はフィルタベースの)スペクトルを測定することによってトレーニングされる。解析ソフトウェア210は、各マークについて捕捉されたフィルタ信号を単位面積に正規化し、それに続いてデータセットを平均センタリングすることにより、且つフィルタリングされた離散データのPCA解析を使用して、固有値、ローディング、及びスコアを計算することにより、データを前処理する。信頼限界ソフトウェア212は、これらの統計量を使用して、マークの適切な統計的限界を計算する。これら適切な統計的限界は、この好ましい実施形態では、以下で定義するようなQ残差限界(Q-residual limit)、マハラノビス限界(Mahalanobis limit)、又はホテリングのT限界(T2 limit)のいずれかである。PCAローディング、固有値、及び必要とされる統計的限界は、ターゲットのマーク又は未知のマークの認証において使用するために、認証システム200に入力される。認証システム200は、次に、トレーニングされ、セキュリティマークを認証する準備が整えられる。
【0063】
未知のマークが真正であることは、トレーニングされた認証システム200を使用して未知のマークを測定して解析することにより判断される。入力信号Seは、デバイス200の較正において実行された方法と同じ方法で前処理される。フィルタリングされた信号Seは、単位信号強度に正規化され、それに続いて、較正データから生成された平均スペクトルを使用して平均センタリングされる。コンピュータ206は、未知のマークの適切な統計量を計算し、それら統計量を、認証用に記憶された統計的限界と比較する。
【0064】
例として、マハラノビス距離(D)は、以下の公式に基づいて計算される。
=x(XX/(m−1))−1 (1)
式(1)において、xは、未知のマークの平均センタリングされたスペクトルであり、mは、較正において使用されるスペクトルの個数であり、(XX/(m−1))−1は、デバイスに記憶されたトレーニングセットの逆共分散行列である。上付き文字Tは、行列転置演算子を表す。マハラノビス距離は、対応する限界と比較することができ、この対応する限界は、デバイスに記憶され、サンプルが真正であることを判断するのに使用される。マハラノビス距離限界は、以下の式から計算される。
【0065】
n,m,α=n(m−1)/(m−n)Fn,m−n,α (2)
ここで、Dn,m,αは、統計的限界であり、nは、フィルタの個数であり、mは、トレーニングセットにおけるサンプルの個数であり、Fは、(1−α)百分位数のF分布表から選ばれる。
【0066】
サンプルのトレーニングセットに基づいて、真正であることを判断するのに、他の統計パラメータを使用することができる。Q残差統計量は、較正モデルを使用して以下の公式に基づき計算される。
【0067】
Q=x(I−P)x (3)
ここで、Qは、計算された残差値であり、xは、未知のマークの平均センタリングされたスペクトルであり、Iは、(n×n)単位行列であり、Pは、トレーニングデータの較正モデル(図2の214参照)に保持された(k×n)ローディング行列である。上付き文字Tは、行列転置演算子を表す。この(n×n)行列は、コンピュータ206に記憶される。
【0068】
コンピュータ206に記憶された統計的なQ限界(Qlim)は、以下から計算される。
【0069】
【数1】

【0070】
ここで、i=1,2,3;j=k+1〜nについて、Θ=Σλ (5)
であり、λは、モデル固有値を表し、
=1−2ΘΘ/3Θ (6)
である。
【0071】
式4において、cαは、(1−α)百分位数に対応する標準正規偏差である。式5において、kは、Q残差値を計算するのに使用される主成分の個数(すなわち、モデルにおける主成分の個数)である。
【0072】
ホテリングのT統計量及び対応する限界は、それぞれ式(7)及び(8)によって計算される。
=xPλ−1 (7)
k,m,α=[k(m−1)/(m−k)]Fk,m−k,α (8)
ここで、x、P、上付き文字T、m、k、及びαは、上記で定義されたものであり、Fは、統計的分布表から選ばれる。
【0073】
特定のマークの認証は、サンプル統計量を対応する統計限界と比較することによって判断される。例えば、マハラノビス距離がマハラノビス距離限界よりも大きい場合、ターゲットのセキュリティマーカは偽造物とみなされる。マハラノビス距離がマハラノビス距離限界以下である場合、ターゲットのセキュリティマーカは真正とみなされる。代替的に、Q残差がQ残差限界よりも大きい場合、ターゲットのセキュリティマーカは偽造物とみなされる。TがT限界よりも大きい場合、ターゲットのセキュリティマーカは偽造物とみなされる。Q残差距離がQ残差距離限界以下である場合、ターゲットのセキュリティマーカは、正当又は真正とみなされる。Q残差及びTを使用するとき、双方の条件が該当する(すなわち、Q残差がQ残差限界以下であり且つTがT限界以下である)ときにのみ、サンプルは真正とみなされる。
【0074】
本発明のマーキングシステム100及び認証システム200を使用する例が以下に述べられる。一般的な複数タガントシステムは、Lumilux(登録商標)CD材料301、310、318、320、328、329、382、394、401、418、710、728、及び729から選択されたサリチル酸誘導体及びアントラニル酸誘導体から成る3つのタガントを含む。
【0075】
例(1)
微粒粉末形態の上記で規定された6つのタガント材料を使用して、透明なオフセットインクでインクサンプルを準備した。これらの材料は、それぞれ、ほとんど又は全く本体の色を有しておらず、長波長の紫外線によって活性化され、活性化すると、異なる可視波長の可視蛍光を放出する。この可視蛍光は、分光蛍光光度計又は同様の検出デバイスによって測定可能であり、人間の肉眼によって観察される異なる蛍光色を供給し、その上、CIE又はLb等の色指数座標を求めることによって特徴付け可能である。各粉末の重量で2%をヘラによりシアリングすることで透明インクに混ぜ込むことによって、材料のそれぞれにより個別にインクを配合した。この方法で準備されたインクは、本質的に透明ないし浅黄色であり、印刷された形態では最低限の観察可能な天然色を示した。蛍光材料の1:1混合物で追加のインクも準備した。
【0076】
次に、オフセットラボプリンタにより一連のオフセット印刷で、配合したインクを、意図しない蛍光放出がほとんどない白のカードストック下地の上に、重なり合う複数のレイヤで塗布した。各蛍光色材料は、個々の印刷において個別に印刷するのと、準備されたセットから選択された他のインクと組み合わせて印刷するのとの双方で印刷した。2つの材料の2つのセットにより行われた印刷をそれぞれ「真正」として指定し、2つの追加の材料による印刷の1つのセットを「偽造」として指定した。「真正」インク及び「偽造」インクをペアにしたものの各組み合わせから、ペア形式の印刷オーバレイを作製し、さらに、蛍光材料のペアの1:1混合物から成るインクの印刷からもペア形式の印刷オーバレイを作製した。材料のペアの選択は、そのペアが、別の「真正」及び「偽造」ペアの正味放出色と同様の正味放出色を有するように行った。
【0077】
次に、印刷のセットを、UV光、湿度、及び温度による加速環境課題試験用のサブセットに分割した。次に、結果として得られた比較対照用の「真正」印刷及び「偽造」印刷と経年変化した「真正」印刷及び「偽造」印刷とのフルセットを、365nmUV発光ダイオードにより光ファイバチャネルを通じて励起させ、付属の分光器を使用して、波長に依存した蛍光放出強度を測定することにより試験した。スペクトルを、指定した波長間隔の電子強度値に変換し、これらのデータを、多変量統計技法を使用した解析に通した。この解析は、ローディングファクタ、Q残差、及びマハラノビス距離を求めることを含む。
【0078】
「真正」データセットを使用して、別の「真正」セット及び「偽造」セットを測定できる対象となるトレーニングセットを準備した。「真正」データは、トレーニングセットによって規定されるQ残差限界及びマハラノビス距離限界内に留まっており、印刷された組み合わせの3つのすべてのセットは、人工的に経年変化させた印刷からのデータを含めて、互いに容易に区別することができた。この人工的に経年変化させた印刷からのデータは、環境で誘起された変化を示すパラメータ空間におけるベクトルを示すが、これら数個の「真正」データセット及び「偽造」データセット間で依然としてはっきりと区別された。図3及び図4を参照されたい。
【0079】
2つの「真正」データセットの一方のフルスペクトルから主成分モデルを構築した。このモデルは、使用する離散波長の個数(4)並びに430nm、482nm、523nm、及び538nmのどの波長を使用するのかを示すスペクトルローディングを生成した。
【0080】
図3は、最初の2つのローディングがこのモデルに主に寄与するものであることを示す。各ローディングの極大値及び極小値に対応するフィルタ波長を選択した。4つの波長の離散データを、主成分方法によって収集して再解析し、固有値、ローディング、サンプル統計量(M距離、Q残差)、及び対応する統計的限界を生成した。次に、この離散モデルは、他のサンプルセットを解析するのに使用することができる。
【0081】
図4は、「真正」サンプル(菱形706)の周りのQ−Res限界702及びM−Dis限界704の異常値を示し、「偽造」サンプル(四角形706)がすべて限界外に位置することを示す。
【0082】
このデータセットは、4つの波長を使用して、異なる放出材料の風雨にさらされた混合物間でこの方法により取得された区別を示す。この時、多変量統計解析及び少数の定数から導出された単純な行列用のメモリを有するデバイスのみが、「真正」信号又は「偽造」信号をトリガする単純な値を計算するのに必要とされる。
【0083】
例(2)
例(1)からの一対の「真正」材料を使用した印刷のセットを作製した。インクは、前述と同様に準備したが、重量で1%及び2%の双方で準備した。各個々のインクの印刷及びオーバレイのセットは、互いに上又は下に各インクのいくつかの濃度の1つないし2つのレイヤをそれぞれ使用した。その結果、長波長のUVが、第1の材料のCIE色空間の近くから第2の材料のCIE色空間の近くへのCIE色空間全体に及ぶ蛍光放出を誘発した。図5の菱形の形状のシンボル502を参照されたい。「真正」セットの任意のターゲット領域で観察され且つ/又はその領域について計算されたCIE色座標と密接に一致するCIE色座標を有する放出蛍光を生成するために、「偽造」として任意に指定した別のより限定された印刷のセットを、例(1)からの他の材料で作製したインクを使用して作製し、配合し、そしてオーバレイ形式で配置した。図5の正方形の形状のシンボル504を参照されたい。
【0084】
例(1)で説明したような検出器を使用して、サンプルのスペクトルを測定した。「偽造」サンプルの蛍光強度及びCIE座標を記録し、上述した「真正」印刷の蛍光強度及びCIE座標と比較した。サンプルの蛍光の色座標及び人間の肉眼に対する視覚外観は、事実上、区別不可能であった。「真正」サンプル及び「偽造」サンプルの生のスペクトルを図6及び図7に示し、ベースライン訂正して正規化したスペクトルを図8に示す。
【0085】
PCA技法を用いて、印刷のそれぞれについて訂正されたスペクトルのさまざまな主成分に対応するスコアを計算した。これらのスコアは、図9の3つの次元(PC1、PC2、及びPC3)にプロットされている。大きなZ軸値を有する図9のデータ点1402及び1404は、指定された「偽造」印刷を表す。図10に示すサンプル統計量のプロットは、真正な点がすべて、PCAモデルによって規定されたQ残差限界よりも下になり、偽造の点がすべて、Q残差限界よりも上になることを示している。
【0086】
図10を参照して、Q残差及びホテリングのT統計量並びに対応する限界のプロットは、異常値又は偽造物の検出に役立つ。これらの統計パラメータは、式(3)及び(3a)によって与えられる。これらの統計量は、任意のデータ点が較正モデルにどれくらいよく適合しているのか記述する。一例として図9を使用すると、真正サンプルは、3つの次元の或る平面上の或るエリアに限られる。Q残差は、任意のサンプルがこの平面の上又は下にどれくらい離れているのかを記述する。Q残差がQ残差限界よりも大きいとき、サンプルが異常値であり(すなわち、較正モデルに適合していない)、偽造物として指定される。これは、真正サンプルとは異なるタガント(複数可)が一緒に混合されていることを示す。サンプルのTがT限界よりも大きいとき、そのサンプルも異常値であり(すなわち、較正モデルに適合しない)、偽造物として指定される。これは、その偽造物が、真正セットで使用されたタガントと同じタガントの混合物に対応するが、混合物における相対的な量がトレーニングセットとは異なることを示す。
【0087】
例(3)
一連の12個のサンプルを薄膜上に、既知のX線蛍光放出を有する希土類材料で被覆した。これらのサンプルは、可変量のEu含有化合物、Tb含有化合物、及びGd含有化合物を含有していた。これらのサンプルを「真正」として取り扱い、X線蛍光に基づくデバイスをトレーニングするのに使用した。4つの追加のサンプルを、Eu、Tb、及びGdに加えて別のX線蛍光元素を保有する化合物を含有する点を除いて同じ方法で準備した。これらのサンプルは、「偽造」サンプルとみなされる。後者のサンプルは、X線蛍光へのこの適用を実証する目的で試験セットを構成した。Tb及びEuベースの化合物を含有するサンプル(すなわち、「真正サンプル」)を試験セットに加えた。各サンプルのX線蛍光スペクトルを適切な波長で測定した。真正セットのX線蛍光のPCAを使用して、Q残差及びホテリングのTの限界を設定した。試験サンプルを使用して、PCAモデルを評価した。図11は、Q残差対Tのプロット及び統計的限界を示す。追加の希土類元素を含有する4つのサンプルは、偽造物として認識される。残りの試験サンプルは、(99.9%限界内で)真正として認識される。この例は、異なる技法、すなわちX線蛍光、を使用して、真正材料と偽造材料とを区別できることを実証している。
【0088】
例(4)
異なる可視蛍光放出極大を有する一連のUV励起可能材料を、本発明の技法によって容易に区別できるブレンドのセットの準備に適したものとみなした。類似又は同一のCIE座標を有する蛍光放出を有する材料のブレンドは、このプロセスに適したブレンドをどのように識別するのかの一例である。これらの材料のうちの3つから成るブレンドセットを透明なオフセットインクで準備し、純粋成分インク及びインクブレンドから印刷を作製した。活性タガントブレンドを含有する印刷を、365nmUVラボランプセットを使用して励起し、研究室分光器を使用して蛍光放出のスペクトルを得た。最初に、純粋成分標識インク(tagged ink)のフルスペクトルをコンピュータシステムへ送信した。コンピュータシステムでは、一連の模擬ブレンド組成及びそれらの放出スペクトルを計算し、これらのスペクトルを、多変量統計解析ソフトウェアシステムを使用して評価して、PCAスコア、ローディング、及び固有値を求めた。ローディングの極大から、タガントの個数よりも少なくとも1つ多いフィルタから成る最適なフィルタのセットを選択した。このタガントの個数は、各個々のフィルタを通じて送信される放出に対する検出器の反応として測定される離散的な信号の個数に、蛍光放出スペクトルの範囲を定めるのに使用される。次に、模擬フィルタを、ブレンドの模擬フルスペクトル及び実際のフルスペクトルの上にスーパーインポーズして、模擬離散スペクトルを取得した。
【0089】
これらのスペクトルをフルPCA解析にサブミットして、各ブレンドのQ残差値及びホテリングのT値を求め、ブレンドの適切なセットから、これらのパラメータの95%、99%、及び99.9%の信頼限界を求めた。模擬ブレンドスペクトルを、代替的なタガント材料の純粋印刷値から模擬された代替的なブレンドスペクトルと容易に区別できることを検証した。事前に求めたカットオフ判定基準を満たす4つの帯域通過フィルタのセットを取得し、365nmUV発光ダイオードも装備した検出デバイスの4つの光受容器ダイオードへの光信号送信をインターセプトするための別々に配備した。次に、「真正」材料及び指定された「偽造」材料のブレンドで作製した印刷を認証デバイスによる照合にかけ、前述した多変量統計解析ソフトウェアシステムを使用して離散出力を評価し、「真正」セットが、図12に示すように、99.9%信頼限界をはるかに超える「課題」セットと区別可能であることを見出した。
【0090】
例(5)
異なる可視蛍光放出極大を有する一連のUV励起可能材料を、本発明の技法によって容易に区別できるブレンドのセットの準備に適したものとみなした。類似又は同一のCIE座標を有する蛍光放出を有する材料のブレンドは、このプロセスに適したブレンドをどのように識別するのかの一例である。これらの材料のうちの3つから成るブレンドセットを透明なオフセットインクで準備し、純粋成分インク及びインクブレンドから印刷を作製した。活性タガントブレンドを含有する印刷を、365nm、302nm及び254nmUVラボランプセットを使用して励起し、研究室分光器を使用して蛍光放出のスペクトルを得た。純粋成分標識インク(tagged ink)のフルスペクトルをコンピュータシステムへ送信した。コンピュータシステムでは、一連の模擬ブレンド組成及びそれらの放出スペクトルを計算し、これらのスペクトルを、多変量統計解析ソフトウェアシステムを使用して評価して、PCAスコア、ローディング、及び固有値を求めた。
【0091】
個別の異なる波長で活性化されたスペクトルをフルPCA解析にサブミットして、各ブレンドのQ残差値及びホテリングのT値を求め、ブレンドの適切なセットから、これらのパラメータの95%、99%、及び99.9%の信頼限界を求めた。模擬ブレンドスペクトルは、およそ100,000個の(95%信頼限界に対するパラメータ値の比として定義された)95%性能指数で、代替的なタガント材料の純粋な印刷値から模擬された代替的なブレンドスペクトルと区別できることを検証した。3つのすべての波長で活性化された、組み合わされたブレンドセットのさらなる多変量統計解析評価は、「真正」ブレンドと「偽造」ブレンドとの間の性能指数弁別を何桁も改善することを示した。図13及び図14は、これらのサンプルのQ残差及びホテリングのTのプロットを示す。
【0092】
例(6)
異なる一連の3つのUV励起可能材料を使用して、例5で説明した形式と同様の形式で準備したインクブレンドから印刷のセットを作製した。これらのブレンドのCIE色空間のプロットが図15に示されている。活性タガントブレンドを含有した印刷を、365nmのUVラボランプセットを使用して励起し、研究室分光器を使用して蛍光放出のスペクトルを取得した。
【0093】
「真正」データセットのフルスペクトルからPCAモデルを構築した。フルスペクトルモデルデータのQ残差/T解析のグラフ描写が図16に示されている。試験印刷は、99.9%信頼限界の十分外部にあり、フルスペクトルデータを使用して「真正」サンプルと「偽造」サンプルとの区別が可能であることが検証される。
【0094】
フルスペクトルモデルを使用して、スペクトルローディングに基づき、使用する離散波長の個数(4)及び最適なフィルタ波長(460nm、500nm、530nm、及び580nm)を生成した。検出器アセンブリを準備した。この検出器アセンブリは、365nm励起発光ダイオード、上記で求めた波長を有する4つのフィルタを含み、励起されたサンプルから放出されて内部で光受容器ダイオードに衝突する光を修正するものである。
【0095】
4つのフィルタリングされた検出器チャネルのそれぞれにおける光強度を表す電圧を記録し、多変量統計解析ソフトウェアによってデータをアドレス指定可能なフォーマットに編集した。この編集には、信号の合計を100%としたその100%に対するデータの正規化が含まれる。離散電圧データのQ残差/T解析のグラフ描写が図17に示されている。試験印刷は、99.9%信頼限界外となり、フィルタで範囲が定められた離散データを使用して「真正」サンプルと「偽造」サンプルとを区別できることを示す。
【0096】
指定された「偽造」印刷の1つを使用して、正規化されたデータの変動性に対する、印刷サンプルと検出器との間の距離の影響を調べた。この変動性は、「偽造」印刷を「真正」印刷と区別する方法の能力に影響を与える場合がある。図18は、さまざまな測定距離及び器具ウォームアップ時間における正規化されていない電圧データの放出電圧対フィルタ波長のプロットを示す。このプロットは、データの幅広い変動を示している。データを正規化してPAC解析した後、図19に示すように、異なる距離における測定のQ残差値及びT値を、特定の距離におけるモデルについて取得されたそれらの値及び限界と比較した。このプロットは、偽造サンプルを真正サンプルから分離する能力が、測定における距離変動による影響を受けないことを示している。
【0097】
本発明の好ましい形態を特に参照して本発明を上記のように説明してきたが、添付の特許請求の範囲に規定された本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、さまざまな変更及び修正を本発明の好ましい形態に行えることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタガントを含むマークの認証のためのシステムであって、該システムは、
前記タガントを刺激する少なくとも1つの波長のエネルギーを提供して、少なくとも1つの強度対波長の分布を有する放射を放出させる少なくとも1つのエネルギー源、
前記放出された強度対波長の分布を測定し、前記放出された強度対波長の分布に対応する少なくとも1つの出力信号を提供するように構成された検出装置、並びに
前記出力信号の多変量統計解析を実行して、測定統計量及び所定の統計的信頼限界に基づいて前記マークが真正であることを判断するプログラムを含むデバイス、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記所定の統計的信頼限界は、真正であることが知られており且つ前記タガントに対応する基準タガントのセットの前記多変量統計解析によって導出され、前記所定の統計的限界は、Q残差限界、マハラノビス距離限界、ホテリングのT限界、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記タガントは、下地によって担持される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数のタガントは、2つのタガントを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記マークが真正であることをユーザに通知する出力デバイスをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記検出装置は、前記出力信号を検出してフィルタリングする検出器、及び前記放出された強度対波長の分布を測定し、前記出力信号を提供する分光器、から成る群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記タガントは、蛍光材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記多変量統計解析は、主成分解析、並びに他のベクトルベースの統計的技法、判別解析、古典的な最小二乗、正味被検体物信号、主成分回帰、部分的最小二乗、クラス類似性のソフト独立モデリング、及びマルチウェイ統計ツールから成る群から選択され、マルチウェイ統計ツールには、三重線形分解、パラレルファクタ解析、タッカーモデル、及びマルチウェイ主成分解析が含まれるが、これらに限定されない、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記エネルギー源は、X線、紫外、可視、近赤外、赤外、及びラマンから成る群から選択された電磁スペクトルの領域の放射で前記タガントを刺激する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
複数のタガントを含むマークの認証するためのシステムであって、該システムは、
前記タガントを刺激する少なくとも1つの波長のエネルギーを提供して、少なくとも1つの強度対波長の分布を有する放射を放出させる少なくとも1つのエネルギー源、
放出された放射を検出する検出装置、
検出された放射をフィルタリングし、前記放出された強度対波長の分布に対応する少なくとも1つの出力信号を提供するフィルタ、
前記出力信号の多変量統計解析を実行して測定統計値を提供し、測定統計量及び少なくとも1つの所定の統計的信頼限界に基づいて前記マークが真正であることを判断するプログラムを含むデバイス、並びに
ユーザに真正であることを通知する出力デバイス、
を備えるシステム。
【請求項11】
複数のタガントを含むマークの認証のための方法であって、該方法は、
前記タガントを刺激する少なくとも1つの波長のエネルギーを提供して、少なくとも1つの強度対波長の分布を有する放射を放出させるステップと、
前記放出された放射を検出するステップ、及び前記放出された強度対波長の分布に対応する少なくとも1つの出力信号を提供するステップと、
前記出力信号の多変量統計解析を実行して測定統計値を提供し、測定統計量及び少なくとも1つの所定の統計的信頼限界に基づいて前記マークが真正であることを判断するプログラムをデバイス上で実行するステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記所定の統計的信頼限界は、真正であることが知られており且つ前記タガントに対応する基準タガントのセットの前記多変量統計解析によって導出され、前記所定の統計的限界は、Q残差限界、マハラノビス距離限界、ホテリングのT限界、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基準タガントは、自然の経年変化又は人工的に誘発された経年変化を受けたものである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記タガントは、下地によって担持される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記タガントは、2つのタガントを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記タガントは、ブレンド領域、レイヤ化された領域、散在された領域、及びパターン化された領域から成る群から選択された構造を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記真正であることをユーザに通知するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記タガントは、蛍光材料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記多変量統計解析は、主成分解析、並びに他のベクトルベースの統計的技法、判別解析、古典的な最小二乗、正味被検体物信号、主成分回帰、部分的最小二乗、クラス類似性のソフト独立モデリング、及びマルチウェイ統計ツールから成る群から選択され、マルチウェイ統計ツールには、三重線形分解、パラレルファクタ解析、タッカーモデル、及びマルチウェイ主成分解析が含まれるが、これらに限定されない、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記エネルギー源は、X線、紫外、可視、近赤外、赤外、及びラマンから成る群から選択された電磁スペクトルの領域の放射で前記タガントを刺激する、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記強度対波長の分布を単位面積に正規化して、前記放出された放射を検出する検出器からの前記タガントの距離に起因する信号変動を補償することによって、前記出力信号を前処理するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記刺激するステップは、(a)前記タガントの前記放出よりも短い波長(λ)の高いエネルギー、及び(b)前記タガントの前記放出よりも長い波長(λ)の低いエネルギー、から成る群から選択される励起を提供する、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
複数のタガントを下地に塗布するための方法であって、
一連のタガントを照射するステップであって、それによって、強度対波長の分布を有する放射を放出させる、照射するステップと、
前記タガントのそれぞれの前記放出された放射を測定し、前記タガントのそれぞれについて放射強度対波長の分布をコンピュータのメモリのタガントファイルに記録するステップと、
該方法によって区別可能である放射強度対波長の分布を放出した複数の前記タガントを前記タガントファイルから選択するステップと、
前記選択されたタガントを前記下地に塗布するステップと
を含む方法。
【請求項24】
前記複数のタガントは、前記下地及び分散媒体から成る群からの、前記放射により誘発された放出にさらに基づいて選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
一連の下地及び一連の分散媒体を照射するステップと、前記下地のそれぞれ及び前記分散媒体のそれぞれについて、放出された放射強度分布を、前記放出が前記タガントのそれぞれについて生じる波長域にわたって測定するステップと、前記下地のそれぞれ及び前記分散媒体のそれぞれについての前記放出された放射強度分布を下地ファイル及び分散媒体ファイルにそれぞれ記録するステップと、並びに前記選択されたタガントの前記放射強度対波長の分布が、前記選択された下地及び前記選択された分散媒体の前記放出された放射の存在下で区別可能となるように、前記下地ファイル及び前記分散媒体ファイルからそれぞれ前記下地及び前記分散媒体を選択するステップとをさらに含む、請求項24に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公表番号】特表2011−505632(P2011−505632A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536112(P2010−536112)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/084611
【国際公開番号】WO2009/073463
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】