説明

認識マーク及び当該認識マークを用いた半導体装置

【課題】認識マーク及び当該認識マークを用いた半導体装置において、半導体チップの表面がリードフレームの表面に対して傾斜することがあっても、認識マークを認識する。
【解決手段】認識マークMaは、基板11の上に形成され、その表面に凹部13が形成された絶縁膜14Xと、凹部13に形成された金属膜15aとを備えている。凹部13の底面は、開口部周縁から中央部に向かって深さが深くなる凹曲面である。金属膜15aは、少なくとも凹部13の底面に沿って形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的に認識される認識マーク、及び当該認識マークを用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置及び個別半導体装置等(以下、「半導体装置」と称する)の製造工程は、ウエハの上に複数の半導体チップを作り込む前工程と、ウエハを各半導体チップ毎に分割し、分割した半導体チップを用いて組立を行う後工程とに大別される。
【0003】
後工程は、次のような工程を含む。まず、ダイシング等により、ウエハを各半導体チップ毎に分割する。その後、半田により、半導体チップをリードフレームのダイパッドの上に固着する。その後、ワイヤにより、半導体チップの電極とリードフレームのリードとを電気的に接続する。このとき、半導体チップの位置を検出し、検出された半導体チップの位置に基づいて、半導体チップの電極にワイヤをボンディングする。その後、封止樹脂により、半導体チップ、リードフレーム及びワイヤを封止する。
【0004】
認識マークを利用して、半導体チップがマウントされる基板の位置を検出する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の認識マークについて、図12を参照しながら説明する。図12は、特許文献1に記載の認識マークの断面構造を示している。
【0005】
特許文献1に記載の認識マーク52は、図12に示すように、第1の色として認識される第1の領域53と、第1の領域53を囲み、且つ、第2の色として認識される第2の領域54を含む突出部55とを有している。基板51は、アルミナ基板である。第1の領域53は、基板51の表面における突出部55で囲まれた領域であり、第1の色は、黒色である。突出部55は、銀パラジウム系導体からなる。第2の領域54は、突出部55の傾斜面であり、第2の色は、白色である。
【0006】
特許文献1に記載の技術では、基板51の上に電子部品(半導体チップ)をマウントするマウント時に、認識マーク52(特に、第1の領域53及び第2の領域54)を利用した画像認識によって、基板51の位置を検出する。その後、位置が検出された基板51の上に、電子部品をマウントする。
【0007】
さらに、特許文献1に記載の技術では、電子部品にワイヤをボンディングするボンディング時に、認識マーク52を利用した画像認識によって、基板51の位置を検出する。その後、位置が検出された基板51の上にマウントされた電子部品に、ワイヤをボンディングする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2−224184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以下に、ワイヤボンディング時に、半導体チップの表面に形成された認識マークを利用して、半導体チップの位置を検出する方法について、図13を参照しながら説明する。図13は、認識マークを利用して、半導体チップの位置を検出する方法の概要について示している。
【0010】
図13に示すように、半導体チップ101は、半田102により、リードフレーム103のダイパッドの上に固着されている。半導体チップ101の表面には、認識マーク(図示省略)が形成されている。
【0011】
図13に示すように、光源201から照射された入射光L1は、ハーフミラー202により、半導体チップ101の表面(特に、認識マーク)に到達する。到達した入射光は、半導体チップ101の表面から反射し、反射した反射光L2は、CCDカメラを含む光学系装置203を経由する。反射光L2が経由した光学系装置203と接続される画像認識装置204により、認識マークを認識し、半導体チップ101の位置が検出される。検出された半導体チップ101の位置に基づいて、半導体チップ101の電極に、ワイヤをボンディングする。
【0012】
しかしながら、半導体チップの表面に形成された認識マークを利用して、半導体チップの位置を検出する場合、以下のような問題がある。この問題について、図14を参照しながら説明する。
【0013】
半田102により、半導体チップ101を、リードフレーム103のダイパッドの上に固着する際に、半田102の厚さを一定にすることができずに、図14に示すように、半導体チップ101の表面が、リードフレーム103の表面に対して傾斜することがある。
【0014】
この場合、図14に示すように、半導体チップ101の表面から反射した反射光L2は、光学系装置203を経由することができず、画像認識装置204により、認識マークを認識することができない。このため、半導体チップ101の位置を検出することができないという問題がある。
【0015】
特に、半導体チップ101が、比較的に小さいサイズ(例えば、0.5mm×0.5mm程度以下のサイズ)を有する場合、認識マーク自体のサイズが小さい。このため、半導体チップ101の表面がリードフレーム103の表面に対して傾斜する角度が、比較的に小さい角度(例えば、2°〜3°程度)であっても、反射光L2は、光学系装置203を経由することができず、画像認識装置204により、認識マークを認識することができない。
【0016】
前記の問題に鑑み、本発明の目的は、認識マーク及び当該認識マークを用いた半導体装置において、半導体チップの表面がリードフレームの表面に対して傾斜することがあっても、認識マークを認識することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の目的を達成するため、本発明に係る認識マークは、光学的に認識される認識マークであって、基板の上に形成され、その表面に凹部が形成された絶縁膜と、凹部に形成された金属膜とを備え、凹部の底面は、開口部周縁から中央部に向かって深さが深くなる凹曲面であり、金属膜は、少なくとも凹部の底面に沿って形成されている。
【0018】
本発明に係る認識マークにおいて、凹部の底面の形状は、半球面状であることが好ましい。
【0019】
本発明に係る認識マークにおいて、金属膜は、凹部の底面の上にのみ形成されていることが好ましい。
【0020】
本発明に係る認識マークにおいて、金属膜は、凹部の底面の上、及び絶縁膜における凹部の周囲部分の上に形成され、金属膜は、周縁部から中央部に向かって凹む凹曲状の凹曲部と、凹曲部の周縁部と接続する環状の平坦部とを有していることが好ましい。
【0021】
本発明に係る認識マークにおいて、平坦部の上に形成された反射防止膜をさらに備えていることが好ましい。
【0022】
本発明に係る認識マークにおいて、反射防止膜の上に形成された保護膜をさらに備えていてもよい。
【0023】
本発明に係る認識マークにおいて、絶縁膜の上に形成され、開口部を有する保護膜をさらに備え、保護膜の開口部から、金属膜及び絶縁膜における金属膜の周囲部分が露出されていることが好ましい。
【0024】
本発明に係る認識マークにおいて、絶縁膜の表面には、複数の凹部が連続して形成され、複数の金属膜の各々は、複数の凹部の底面の各々の上に形成されていてもよい。
【0025】
本発明に係る認識マークにおいて、絶縁膜の表面には、複数の凹部が隣り合って形成され、金属膜は、複数の凹部の底面の上、及び絶縁膜における複数の凹部の各々の周囲部分の上に形成されていてもよい。
【0026】
本発明に係る認識マークにおいて、絶縁膜は、基板の上に形成され、その表面に第1の凹部が形成された第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜の表面及び第1の凹部の底面に沿って形成された第2の絶縁膜とを有し、第1の凹部の底面は、開口部周縁から中央部に向かって深さが深くなる凹曲面であり、第2の絶縁膜は、第1の凹部の底面に沿って形成され、且つ、周縁部から中央部に向かって凹む凹曲状の凹曲部を有し、凹部は、第1の凹部と凹曲部とから構成されていてもよい。
【0027】
前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体装置は、半導体素子を有する半導体チップを備え、半導体チップの表面には、本発明に係る認識マークが形成されている。
【0028】
本発明に係る半導体装置において、ダイパッド及びリードを有し、半田によりダイパッドの上に半導体チップが固着されたリードフレームをさらに備え、ワイヤにより、半導体チップの電極とリードとが電気的に接続されていることが好ましい。
【0029】
本発明に係る半導体装置において、絶縁膜は、基板の上に形成され、その表面に第1の凹部が形成された第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜の表面及び第1の凹部の底面に沿って形成された第2の絶縁膜とを有し、基板における素子分離領域の上には、半導体素子を電気的に分離する素子分離膜が形成され、半導体素子は、基板における素子形成領域に形成された不純物拡散領域と、基板における素子形成領域の上に形成された層間絶縁膜と、層間絶縁膜の上に形成され、且つ、層間絶縁膜を貫通するコンタクトにより不純物拡散領域と電気的に接続する電極とを有し、金属膜は、電極と同一の材料からなり、第1の絶縁膜は、素子分離膜と同一の材料からなり、第2の絶縁膜は、層間絶縁膜と同一の材料からなることが好ましい。
【0030】
本発明に係る半導体装置において、半導体素子は、バイポーラトランジスタであり、不純物拡散領域は、ベース領域、エミッタ領域及びコレクタ領域であり、電極は、ベース電極、エミッタ電極及びコレクタ電極であり、ベース電極及びエミッタ電極の各々には、ワイヤがボンディングされてもよい。
【0031】
本発明に係る半導体装置において、半導体素子は、MOSトランジスタ、接合型トランジスタ又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタであってもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る認識マーク及び当該認識マークを用いた半導体装置によると、認識マークは、周縁部から中央部に向かって凹む凹曲状(好ましくは、半球状)の金属膜を備えている。これにより、半導体チップの表面がリードフレームの表面に対して傾斜することがあっても、金属膜により反射された反射光の方向を、リードフレームの表面に対して垂直な方向にすることができ、反射光が、光学系装置を経由することができる。このため、画像認識装置により、認識マークを認識し、ワイヤがボンディングされる半導体チップの電極の位置を検出することができる。このため、位置が検出された電極に、ワイヤを精度良くボンディングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1(a) 及び(b) は、本発明の一実施形態に係る認識マークの構造を示す図であり、図1(a) は平面図であり、図1(b) は、図1(a) に示すIb-Ib線における断面図である。
【図2】図2(a) 〜(e) は、本発明の一実施形態に係る認識マークの形成方法を工程順に示す断面図である。
【図3】図3(a) 〜(d) は、本発明の一実施形態に係る認識マークの形成方法を工程順に示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る認識マークが形成された半導体チップの構造を示す平面図である。
【図5】図5(a) 及び(b) は、認識マークを利用して、半導体チップの電極の位置を検出する方法について示す概要図である。
【図6】図6は、認識マークのその他の配置例を示す平面図である。
【図7】図7(a) 及び(b) は、本発明の一実施形態の第1の変形例に係る認識マークの構造を示す図であり、図7(a) は、平面図であり、図7(b) は、図7(a) に示すVIIb-VIIb線における断面図である。
【図8】図8(a) 及び(b) は、本発明の一実施形態の第2の変形例に係る認識マークの構造を示す図であり、図8(a) は、平面図であり、図8(b) は、図8(a) に示すVIIIb-VIIIb線における断面図である。
【図9】図9(a) 及び(b) は、本発明の一実施形態の第3の変形例に係る認識マークの構造を示す図であり、図9(a) は、平面図であり、図9(b) は、図9(a) に示すIXb-IXb線における断面図である。
【図10】図10(a) 〜(e) は、本発明の一実施形態の第3の変形例に係る認識マークの形成方法を工程順に示す断面図である。
【図11】図11(a) 及び(b) は、本発明の一実施形態の第4の変形例に係る認識マークが形成された半導体チップの構造を示す図であり、図11(a) は、平面図であり、図11(b) は、図11(a) に示すXIb-XIb線における拡大断面図である。
【図12】図12は、特許文献1に記載の認識マークの構造を示す断面図である。
【図13】図13は、認識マークを利用して、半導体チップの位置を検出する方法について示す概要図である。
【図14】図14は、問題について説明する概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(一実施形態)
本発明の一実施形態に係る認識マークの構造について、図1(a) 及び(b) を参照しながら説明する。本実施形態では、認識マークを、半導体素子として例えばバイポーラトランジスタを備えた半導体チップに適用する場合を具体例に挙げて説明する。図1(a) 及び(b) において、半導体チップにおける、認識マークが形成される認識マーク形成領域のみを図示し、半導体素子(例えばバイポーラトランジスタ)が形成される素子形成領域、及び半導体素子を電気的に分離する素子分離膜が形成される素子分離領域等を図示していない。
【0035】
図1(a) 及び(b) に示すように、本実施形態に係る認識マークMaは、基板11の上に形成され、且つ、その表面に凹部13が形成された絶縁膜14Xと、凹部13に形成された金属膜15aとを備えている。
【0036】
絶縁膜14Xは、図1(b) に示すように、基板11の上に形成され、且つ、その表面に凹部12xが形成された絶縁膜12と、絶縁膜12の表面及び凹部12xの底面に沿って形成された絶縁膜14とを有している。
【0037】
絶縁膜14は、凹部12xの底面に沿って形成され、且つ、周縁部から中央部に向かって凹む凹曲状の凹曲部14pを有している。図1(b) から判るように、凹部12xと凹曲部14pとから、凹部13が構成されている。
【0038】
凹部13の底面は、凹部12xの底面と対応した形状を有し、開口部周縁から中央部に向かって深さが深くなる凹曲面である。凹部13の底面の形状は、半球面状であることが好ましい。なお、本明細書において、「半球面状」とは、厳密な半球面の形状だけでなく、実質的な半球面の形状も含む。凹部13の平面形状は、図1(a) に示すように、円形状であることが好ましい。
【0039】
金属膜15aは、凹部13の底面に沿って形成され、金属膜15aの形状は、周縁部から中央部に向かって凹む凹曲状である。金属膜15aの形状は、半球状であることが好ましい。金属膜15aの膜厚は、周縁部から中央部まで一定である。金属膜15aの外側面の平面形状は、図1(a) に示すように、円形状であることが好ましい。
【0040】
凹部13の底面の曲率は、開口部周縁から中央部に向かって一定であってもよく、又は、開口部周縁から中央部に向かって変化していてもよい。凹部13の底面の曲率は、後述の通り、凹部13の底面に沿って形成された金属膜15aにより反射された反射光が光学系装置(図5(a) 及び(b):23参照)を経由するような曲率を持てばよい。
【0041】
基板11は、例えばシリコンからなる。絶縁膜12は、例えばシリコン酸化膜である。絶縁膜14は、例えばBPSG(Boro-Phospho Silicate Glass)膜である。金属膜15は、例えばアルミニウム(Al)膜である。
【0042】
以下に、本実施形態に係る認識マークの形成方法について、図2(a) 〜(e) 及び図3(a) 〜(d) を参照しながら説明する。上述の通り、本実施形態では、認識マークを、半導体素子として例えばバイポーラトランジスタを備えた半導体チップに適用する場合を具体例に挙げて説明する。図2(a) 〜図3(d) において、半導体チップにおける、認識マーク形成領域のみを図示し、素子形成領域及び素子分離領域等を図示していない。
【0043】
まず、図2(a) に示すように、例えば熱酸化法等により、例えばシリコンからなる基板11の上に、例えば膜厚が1.5μmの酸化シリコン(SiO2)からなる絶縁膜12を形成する。なお、図2(a) は、認識マーク形成領域のみを示す部分的な断面図であるため、図示されないが、絶縁膜12は、基板11における図示されない領域(即ち、素子形成領域及び素子分離領域等)の上にも形成される。
【0044】
その後、図2(a) に示すように、リソグラフィにより、絶縁膜12の上に、第1の開口部Oを有するレジストRe1を形成する。なお、図示されないが、レジストRe1は、絶縁膜12における図示されない領域の上にも形成され、且つ、絶縁膜12における素子形成領域を露出する第2の開口部を有する。第1の開口部Oの平面形状は、例えば円形状であり、第1の開口部Oの開口径(直径)は、例えば1μmである。
【0045】
次に、図2(b) に示すように、レジストRe1をマスクとして、絶縁膜12に対して、エッチングを行う。当該エッチングは、例えば、エッチング液としてフッ酸水溶液等を用いたウエットエッチングである。これにより、図2(b) に示すように、絶縁膜12に、凹部12xを形成する。それと共に、図2(b) は、認識マーク形成領域のみを示す部分的な断面図であるため、図示されないが、絶縁膜12における素子形成領域を除去して、基板11における素子形成領域を露出する。言い換えれば、基板11における素子分離領域の上に、絶縁膜12を残存させる。残存した絶縁膜12は、半導体素子を電気的に分離する素子分離膜として機能する。
【0046】
凹部12xは、第1の開口部Oを通って供給されるエッチング液により絶縁膜12が除去されることで形成される。このため、凹部12xの底面は、第1の開口部Oの中心から略一定の距離だけ離れている。凹部12xの底面は、開口部周縁から中央部に向かって深さが深くなる凹曲面である。凹部12xの平面形状は、例えば円形状である。凹部12xの中央での深さDは、例えば約1.5μmであり、凹部12xの開口径(直径)は、例えば約4μmである。なお、絶縁膜12の膜厚、絶縁膜12に対して行うウエットエッチングの時間及び第1の開口部Oの開口径を調整すれば、凹部12xの底面の形状を適宜調整することができる。
【0047】
次に、図2(c) に示すように、レジストRe1を除去する。その後、図2(c) は、認識マーク形成領域のみを示す部分的な断面図であるため、図示されないが、基板11における素子形成領域に、例えばダメージ防止のためのシリコン酸化膜を形成し、不純物をイオン注入する。これにより、不純物注入領域を形成する。その後、図示されないが、例えば熱処理等により、当該不純物注入領域に含まれる不純物を拡散させる。これにより、不純物拡散領域(具体的には例えば、p型(又はn型)ベース領域、n型(又はp型)エミッタ領域及びn型(又はp型)コレクタ領域)を形成する。
【0048】
次に、図2(c) に示すように、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により、絶縁膜12の表面及び凹部12xの底面に沿って、絶縁膜14を形成する。絶縁膜14は、例えば膜厚が500nmのBPSG膜である。絶縁膜14は、凹部12xの底面に沿って形成された凹曲部14pを有している。凹部12xと凹曲部14pとから、凹部13が構成されている。なお、図示されないが、絶縁膜14は、基板11における素子形成領域の上、及び基板11における素子分離領域の上に残存した絶縁膜12等の上にも形成される。ここで、絶縁膜14は、不純物拡散領域と、絶縁膜14の上に形成される電極との間を電気的に分離する層間絶縁膜として機能する。
【0049】
次に、図2(d) に示すように、リソグラフィにより、絶縁膜14の上に、レジストRe2を形成する。図2(d) は、認識マーク形成領域のみを示す部分的な断面図であるため、図示されないが、レジストRe2は、絶縁膜14における図示されない領域の上にも形成され、且つ、不純物拡散領域の上方に位置する開口部を有する。次に、図示されないが、レジストRe2をマスクとして、絶縁膜14に対して、エッチングを行う。これにより、絶縁膜14における図示されない領域(特に、素子形成領域)に、不純物拡散領域を露出するコンタクトホールを形成する。このとき、レジストRe2により、絶縁膜14(特に、絶縁膜14における認識マーク形成領域)がエッチングされることを防止する。その後、レジストRe2を除去する。
【0050】
次に、図2(e) に示すように、例えばスパッタ法等により、絶縁膜14の表面及び凹部13の底面に沿って、金属膜15を形成する。金属膜15は、例えば膜厚が600nmのAl膜である。なお、図2(e) は、認識マーク形成領域のみを示す部分的な断面図であるため、図示されないが、金属膜15は、絶縁膜14における図示されない領域の上にも形成され、コンタクトホールを埋め込むように形成される。
【0051】
次に、図3(a) に示すように、リソグラフィにより、金属膜15の上に、凹部13の上方を覆うレジストRe3を形成する。それと共に、図3(a) は、認識マーク形成領域のみを示す部分的な断面図であるため、図示されないが、リソグラフィにより、金属膜15における図示されない領域(特に、素子形成領域)の上に、不純物拡散領域の上方に位置する電極形成用レジストを形成する。
【0052】
次に、図3(b) に示すように、レジストRe3及び電極形成用レジストをマスクとして、金属膜15に対して、エッチングを行う。当該エッチングは、例えば、エッチングガスとして三塩化ホウ素(BCl3)等のガスを用いたドライエッチング、又はエッチング液として燐酸及び酢酸等を含む混合薬液を用いたウエットエッチングである。これにより、凹部13の底面の上に、金属膜15aを残存させる。それと共に、図3(b) は、認識マーク形成領域のみを示す部分的な断面図であるため、図示されないが、絶縁膜14における図示されない領域(特に、素子形成領域)の上に、電極(具体的には例えば、ベース電極、エミッタ電極及びコレクタ電極)を形成する。コンタクトホールに金属膜が埋め込まれたコンタクトにより、不純物拡散領域と電極とが電気的に接続されている。その後、レジストRe3及び電極形成用レジストを除去する。
【0053】
次に、図3(c) に示すように、例えばCVD法等により、絶縁膜14及び金属膜15aの上に、例えば窒化シリコン(SiN)からなる保護膜16を形成する。なお、図3(c) は、認識マーク形成領域のみを示す部分的な断面図であるため、図示されないが、保護膜16は、絶縁膜14における図示されない領域の上にも形成され、電極を覆うように形成される。
【0054】
次に、図示されないが、保護膜16の上に、保護膜16における認識マーク形成領域を露出する開口部、及び、電極の上方に位置する開口部を有するレジストを形成する。
【0055】
次に、図3(d) に示すように、当該レジストをマスクとして、保護膜16に対して、エッチングを行う。これにより、保護膜16における認識マーク形成領域を除去して、金属膜15aを露出する。それと共に、図3(d) は、認識マーク形成領域のみを示す部分的な断面図であるため、図示されないが、保護膜16における電極の上に形成された部分を除去して、電極を露出する。その後、当該レジストを除去する。
【0056】
以上のようにして、基板(ウエハ)11の上に半導体チップを作り込む前工程が終了すると共に、半導体チップの表面に認識マークMaを形成することができる。
【0057】
なお、図示を省略するが、前工程の終了後、後工程を行う。
【0058】
具体的には、まず、ダイシング等により、複数の半導体チップが作り込まれた基板(ウエハ)11を、各半導体チップ毎に分割する。その後、半田により、半導体チップをリードフレームのダイパッドの上に固着する。なお、リードフレームは、枠体と、枠体内に配置されたダイパッドと、枠体とダイパッドとを接続するリードとを有している。
【0059】
次に、ワイヤボンディング装置を用いて、ワイヤにより、半導体チップの電極とリードフレームのリードとを電気的に接続する。このとき、ワイヤボンディング装置に内蔵された画像認識装置を用いて、認識マークMaを認識し、半導体チップの電極の位置を検出する。これにより、半導体チップの電極(具体的には例えば、ベース電極及びエミッタ電極,後述の図4:15x,15y参照)に、ワイヤを精度良くボンディングすることができる。
【0060】
次に、封止樹脂により、半導体チップ、リードフレーム及びワイヤを封止する。その後、リードと枠体との間を切断して、枠体を切り離す。
【0061】
以上のようにして、本実施形態に係る認識マークMaが形成された半導体チップを備えた半導体装置を製造することができる。
【0062】
以下に、本発明の一実施形態に係る認識マークが形成された半導体チップの構造について、図4を参照しながら説明する。なお、前述の図1(b) 及び図3(d) は、図4に示すIb-Ib線における断面図を拡大したものに相当する。
【0063】
図4に示すように、半導体チップ1の表面には、ベース電極15x、エミッタ電極15y及び認識マークMaが形成されている。なお、図4において、コレクタ電極の図示を省略している。半導体チップ1の表面に形成された認識マークMaの個数は、例えば2つである。なお、本実施形態では、認識マークMaの個数が、2つである場合を具体例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、認識マークMaの個数は、少なくとも1つであればよい。
【0064】
図4に示すように、半導体チップ1の表面における4つの角部のうちの1つの角部に、例えば1つの認識マークMaが配置されていると共に、もう1つの角部に、例えば1つの認識マークMaが配置されている。当該1つの角部と当該もう1つの角部とは、対角線の上にある。なお、本実施形態では、認識マークMaが、半導体チップ1の表面における角部に配置される場合を具体例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【0065】
半導体チップ1は、半導体素子として例えばバイポーラトランジスタを備えている。バイポーラトランジスタは、前述の図2(a) 〜図3(d) において説明したように、基板1における素子形成領域に形成された不純物拡散領域(具体的には例えば、ベース領域、エミッタ領域及びコレクタ領域)と、基板1における素子形成領域の上に形成された絶縁膜14(層間絶縁膜)と、絶縁膜14の上に形成され、且つ、絶縁膜14を貫通するコンタクトにより、不純物拡散領域と電気的に接続する電極(具体的には例えば、ベース電極、エミッタ電極及びコレクタ電極)とを備えている。基板11における素子分離領域の上には、半導体素子を電気的に分離する絶縁膜12(素子分離膜)が形成されている。
【0066】
認識マークMaの絶縁膜12は、素子分離膜と同一の材料からなる。認識マークMaの絶縁膜14は、層間絶縁膜と同一の材料からなる。金属膜15aは、電極と同一の材料からなる。
【0067】
以下に、本発明の一実施形態に係る認識マークが形成された半導体チップを備えた半導体装置の構造について説明する。
【0068】
半導体装置は、半導体素子を有する半導体チップと、ダイパッド及びリードを有し、且つ、半田によりダイパッドの上に半導体チップが固着されたリードフレームとを備えている。半導体チップの表面には、認識マークが形成されている。ワイヤにより、半導体チップの電極とリードとが電気的に接続されている
以下に、後工程の際に行うワイヤボンディング時に、認識マークを利用して、半導体チップの電極の位置を検出する方法について、図5(a) 及び(b) を参照しながら説明する。図5(a) 及び(b) において、下側に図示した認識マークMaは、図1(b) 及び図3(d) に図示した認識マークMaを縮小したものに相当する。よって、図5(a) 及び(b) において、半導体チップにおける、認識マーク形成領域のみを図示し、素子形成領域及び素子分離領域等を図示していない。図5(a) 及び(b) において、半導体チップが固着されるリードフレーム、及びリードフレームに半導体チップを固着する半田等の図示を省略している。
【0069】
図5(a) は、半導体チップの表面が、リードフレーム(図示省略)の表面に対して平行である場合について示している。一方、図5(b) は、半導体チップの表面が、リードフレームの表面に対して傾斜している場合について示している。
【0070】
図5(a) 及び(b) に示すように、ワイヤボンディング装置は、光源21、光源21から照射された入射光L1を認識マークMaの金属膜15aに到達させるハーフミラー22、金属膜15aにより反射された反射光L2を経由させ、且つ、CCDカメラを含む光学系装置23、及び光学系装置23と接続される画像認識装置24を備えている。
【0071】
画像認識装置24には、認識マークMaの位置とワイヤがボンディングされる半導体チップの電極(具体的には例えば、ベース電極とエミッタ電極)の位置との位置関係が、予め記憶されている。
【0072】
図5(a) 及び(b) に示すように、光源21から照射された入射光L1は、ハーフミラー22により、認識マークMaの金属膜15aに到達する。到達した入射光は、金属膜15aにより反射され、反射した反射光L2は、CCDカメラを含む光学系装置23を経由する。反射光L2が経由した光学系装置23と接続される画像認識装置24により、認識マークMaを認識する。認識マークMaの位置と半導体チップの電極の位置との位置関係が記憶された画像認識装置24により、認識された認識マークMaの位置を、電極の位置に変換することによって、電極の位置を検出する。
【0073】
図5(a) に示すように、半導体チップの表面が、リードフレーム(図示省略)の表面に対して平行である場合、反射光L2の方向は、リードフレームの表面に対して垂直な方向である。
【0074】
一方、図5(b) に示すように、半導体チップの表面が、リードフレームの表面に対して傾斜した場合であっても、金属膜15aにより反射された反射光L2の方向を、リードフレームの表面に対して垂直な方向にすることができ、反射光L2が、光学系装置23を経由することができる。
【0075】
本実施形態によると、認識マークMaは、周縁部から中央部に向かって凹む凹曲状(好ましくは、半球状)の金属膜15aを備えている。これにより、図5(b) に示すように、半導体チップ1の表面が、リードフレームの表面に対して傾斜することがあっても、金属膜15aにより反射された反射光L2の方向を、リードフレームの表面に対して垂直な方向にすることができ、反射光L2が、光学系装置23を経由することができる。このため、画像認識装置24により、認識マークMaを認識し、ワイヤがボンディングされる半導体チップの電極の位置を検出することができる。このため、位置が検出された電極に、ワイヤを精度良くボンディングすることができる。
【0076】
さらに、図2(a) 〜図3(d) において説明したように、認識マークMaの形成は、半導体装置の製造工程(特に、前工程)を利用して行うことができる。このため、製造コストの増大を招くことなく、認識マークMaを形成することができる。
【0077】
なお、本実施形態では、図4に示すように、認識マークMaの配置例として、半導体チップ1の表面における4つの角部のうちの1つの角部に、1つの認識マークMaを配置すると共に、もう1つの角部に、1つの認識マークMaを配置する場合を具体例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【0078】
認識マークのその他の配置例について、図6を参照しながら説明する。
【0079】
図6に示すように、半導体チップ1の表面における4つの角部のうちの1つの角部に、例えば5つの認識マークMaを連続して配置すると共に、もう1つの角部に、例えば5つの認識マークMaを連続して配置する。当該1つの角部と当該もう1つの角部とは、対角線の上にある。このようにすると、連続して配置された複数の認識マークMaを容易に認識することができる。なお、連続して配置された認識マークMaの個数が、5つの場合を具体例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、少なくとも2つ以上であればよい。
【0080】
(一実施形態の第1の変形例)
以下に、本発明の一実施形態の第1の変形例に係る認識マークの構造について、図7(a) 及び(b) を参照しながら説明する。図7(a) 及び(b) において、一実施形態と同様の構成要素には、図1(a) 及び(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、一実施形態と同様の説明を適宜省略する。
【0081】
一実施形態と本変形例との相違点は、以下の点である。
【0082】
一実施形態では、図3(b) に示すように、金属膜15に対してエッチングを行うエッチング時に、凹部13の上方のみを覆うレジストRe3を用いて、凹部13の底面の上にのみ、金属膜15aを残存させる。これにより、図1(a) 及び(b) に示すように、金属膜15aの形状は、周縁部から中央部に向かって凹む凹曲状である。
【0083】
これに対し、本変形例では、金属膜15に対してエッチングを行うエッチング時に、レジストRe3の代わりに、凹部13の上方だけでなく凹部13の周囲の上方も覆うレジストを用いて、凹部13の底面の上にだけでなく絶縁膜14における凹部13の周囲部分の上にも、金属膜を残存させる。これにより、図7(a) 及び(b) に示すように、金属膜15bは、周縁部から中央部に向かって凹む凹曲状の凹曲部15b1と、凹曲部15b1の周縁部と接続する環状の平坦部15b2とを有している。平坦部15b2の外側面の平面形状は、図7(a) に示すように、例えば円形状である。
【0084】
本変形例によると、一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
さらに、金属膜15bが平坦部15b2を有することにより、凹曲部15b1と平坦部15b2との間のコントラスト、及び平坦部15b2と絶縁膜14における平坦部15b2の周囲部分との間のコントラストを大きくすることができ、認識マークMbの認識性を高めることができる。
【0086】
なお、本変形例では、図7(a) に示すように、平坦部15b2の外側面の平面形状が、円形状である場合を具体例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば方形状又は多角形状等であってもよい。
【0087】
(一実施形態の第2の変形例)
以下に、本発明の一実施形態の第2の変形例に係る認識マークの構造について、図8(a) 及び(b) を参照しながら説明する。図8(a) 及び(b) において、一実施形態と同様の構成要素には、図1(a) 及び(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、一実施形態と同様の説明を適宜省略する。
【0088】
一実施形態と本変形例との相違点は、以下の点である。
【0089】
一実施形態では、図3(d) に示すように、保護膜16に対して行うエッチング時に、保護膜16における認識マーク形成領域の全部を露出する開口部を有するレジストを用いて、保護膜16における認識マーク形成領域の全部を除去する。これにより、図1(a) 及び(b) に示すように、絶縁膜14における認識マーク形成領域の上には、保護膜16が残存していない。
【0090】
これに対し、本変形例では、保護膜16に対して行うエッチング時に、保護膜16における認識マーク形成領域の一部を露出する開口部を有するレジストを用いて(具体的には、金属膜15aの上方及び金属膜15aの周囲の上方を露出する開口部を有するレジストを用いて)、保護膜16における認識マーク形成領域の一部を除去する。これにより、図8(a) 及び(b) に示すように、絶縁膜14における認識マーク形成領域の上には、開口部を有する保護膜16が残存し、保護膜16の開口部から、金属膜15a、及び絶縁膜14における金属膜15aの周囲部分が露出されている。保護膜16の開口部の平面形状は、図8(a) に示すように、例えば円形状である。
【0091】
本変形例によると、一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
さらに、保護膜16により、金属膜15aと保護膜16との間のコントラストを大きくし、認識マークMcの認識性を高めることができる。
【0093】
なお、本変形例では、図8(a) に示すように、保護膜16の開口部の平面形状が、円形状である場合を具体例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば方形状又は多角形状等であってもよい。
【0094】
(一実施形態の第3の変形例)
以下に、本発明の一実施形態の第3の変形例に係る認識マークの構造について、図9(a) 及び(b) を参照しながら説明する。図9(a) 及び(b) 並びに後述の図10(a) 〜(e) において、一実施形態と同様の構成要素には、図1(a) 及び(b) 並びに図2(a) 〜図3(d) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、一実施形態と同様の説明を適宜省略する。
【0095】
一実施形態と本変形例との相違点は、以下の点である。
【0096】
一実施形態では、図1(a) 及び(b) に示すように、認識マークMaは、基板11の上に形成された絶縁膜14Xと、金属膜15aとを備えている。金属膜15aは、凹部13の底面の上に形成されている。金属膜15aの形状は、周縁部から中央部に向かって凹む凹曲状である。
【0097】
これに対し、本変形例では、図9(a) 及び(b) に示すように、認識マークMdは、基板11の上に形成された絶縁膜14Xと、金属膜15dとを備え、さらに、反射防止膜17と保護膜16とを備えている。金属膜15dは、凹部13の底面の上、及び絶縁膜14Xにおける凹部13の周囲部分の上に形成されている。金属膜15dは、周縁部から中央部に向かって凹む凹曲状の凹曲部15d1と、凹曲部15d1の周縁部と接続する環状の平坦部15d2とを有している。平坦部15d2の上には、反射防止膜17及び保護膜16が順次形成されている。図9(a) に示すように、保護膜16の平面形状は、環状であり、保護膜16の外側面の平面形状は、例えば円形状である。反射防止膜17の平面形状は、環状であり、反射防止膜17の外側面の平面形状は、例えば円形状である。反射防止膜17は、例えば、窒化チタン(TiN)膜の単層膜、又はTiN膜とチタン(Ti)膜との積層膜である。保護膜16は、例えば、SiN膜である。
【0098】
反射防止膜17は、反射防止膜17の上にレジスト(後述の図10(b):Re4参照)を形成するリソグラフィ時に、反射光を低減してレジストの加工精度を向上する機能、及び金属膜15の酸化を防止して電極の信頼性を向上する機能を有している。
【0099】
以下に、本発明の一実施形態の第3の変形例に係る認識マークの形成方法について、図10(a) 〜(e) を参照しながら説明する。
【0100】
まず、一実施形態における図2(a) 〜(e) に示す工程と同様の工程を行う。
【0101】
次に、図10(a) に示すように、例えばスパッタ法等により、金属膜15の上に、反射防止膜17を形成する。なお、図10(a) は、認識マーク形成領域のみを示す部分的な断面図であるため、図示されないが、反射防止膜17は、金属膜15における図示されない領域の上にも形成される。
【0102】
次に、図10(b) に示すように、一実施形態における図3(a) に示す工程と同様の工程を行う。具体的には、リソグラフィにより、反射防止膜17の上に、凹部13の上方だけでなく凹部13の周囲の上方も覆うレジストRe4を形成する。本変形例では、凹部13の上方のみを覆うレジスト(図3(a):Re3参照)の代わりに、レジストRe4を形成する。それと共に、リソグラフィにより、反射防止膜17における図示されない領域の上に、電極形成用レジストを形成する。
【0103】
次に、図10(c) に示すように、一実施形態における図3(b) に示す工程と同様の工程を行う。具体的には、レジストRe4及び電極形成用レジストをマスクとして、反射防止膜17及び金属膜15に対して、エッチングを順次行う。当該エッチングは、ドライエッチングであることが好ましい。これにより、凹部13の底面の上、及び絶縁膜14における凹部13の周囲部分の上に、その表面の上に反射防止膜17が形成された金属膜15dを残存させる。金属膜15dは、凹曲部(図9(a) 及び(b):15d1参照)と平坦部(図9(b):15d2参照)とを有する。それと共に、絶縁膜14における図示されない領域の上に、その上面の上に反射防止膜17が形成された電極を形成する。
【0104】
次に、図10(d) に示すように、一実施形態における図3(c) に示す工程と同様の工程を行う。具体的には、絶縁膜14及び反射防止膜17の上に、保護膜16を形成する。なお、図10(d) は、認識マーク形成領域のみを示す部分的な断面図であるため、図示されないが、保護膜16は、絶縁膜14における図示されない領域の上にも形成され、且つ、その上面の上に反射防止膜17が形成された電極を覆うように形成される。
【0105】
次に、図10(d) に示すように、リソグラフィにより、平坦部の上方を覆うレジストRe5を形成する。それと共に、図示されないが、リソグラフィにより、保護膜16における図示されない領域の上に、電極の上方に位置する開口部を有する電極露出用レジストを形成する。
【0106】
次に、図10(e) に示すように、一実施形態における図3(d) に示す工程と同様の工程を行う。具体的には、レジストRe5及び電極露出用レジストをマスクとして、保護膜16及び反射防止膜17に対して、エッチングを順次行う。これにより、凹曲部を露出させる一方、平坦部の上に、反射防止膜17及び保護膜16を順次残存させる。それと共に、図10(e) は、認識マーク形成領域のみを示す部分的な断面図であるため、図示されないが、保護膜16及び反射防止膜17における電極の上に形成された部分を除去して、電極を露出する。その後、レジストRe5及び電極露出用レジストを除去する。
【0107】
以上のようにして、基板(ウエハ)11の上に半導体チップを作り込む前工程(ウエハ工程)が終了すると共に、半導体チップの表面に認識マークMdを形成することができる。
【0108】
本変形例によると、一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0109】
さらに、凹曲部15d1と平坦部15d2の上に反射防止膜17を介して形成された保護膜16との間のコントラスト、及び、平坦部15d2の上に反射防止膜17を介して形成された保護膜16と絶縁膜14における平坦部15d2の周囲部分との間のコントラストを大きくし、認識マークMdの認識性を高めることができる。
【0110】
(一実施形態の第4の変形例)
以下に、本発明の一実施形態の第4の変形例に係る認識マークが形成された半導体チップの構造について、図11(a) 及び(b) を参照しながら説明する。図11(a) 及び(b) において、一実施形態と同様の構成要素には、図4及び図1(b) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、一実施形態と同様の説明を適宜省略する。
【0111】
図11(a) に示すように、半導体チップ1の表面における4つの角部のうちの1つの角部には、例えば1つの認識マークMeが配置されていると共に、もう1つの角部には、例えば1つの認識マークMeが配置されている。当該1つの角部と当該もう1つの角部とは、対角線の上にある。
【0112】
認識マークMeは、図11(b) に示すように、基板11の上に形成され、且つ、その表面に複数(例えば7つ)の凹部13が隣り合って形成された絶縁膜14Xと、複数の凹部13の底面の上、及び絶縁膜14Xにおける複数の凹部13の各々の周囲部分の上に形成された金属膜15eとを備えている。
【0113】
絶縁膜14Xは、図11(b) に示すように、基板11の上に形成され、且つ、その表面に複数(例えば7つ)の凹部12xが隣接して形成された絶縁膜12と、絶縁膜12の表面及び複数の凹部12xの底面に沿って形成された絶縁膜14とを有している。
【0114】
金属膜15eの平面形状は、図11(a) に示すように、例えば六角形状である。認識マークMeに含まれる複数の凹部12xの各々は、例えば同一の形状である。
【0115】
一実施形態と本変形例との相違点は、以下の点である。
【0116】
一実施形態では、図1(b) 及び図4に示すように、1つの凹部13の底面の上に、金属膜15aが形成されている。
【0117】
これに対し、本変形例では、図11(a) 及び(b) に示すように、複数(例えば7つ)の凹部13の底面の上、及び絶縁膜14Xにおける複数の凹部13の各々の周囲部分の上に、金属膜15eが形成されている。
【0118】
本変形例によると、一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0119】
さらに、図5において、光源21の光量が低下した場合などの環境下でも、一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0120】
なお、本変形例では、認識マークMeに含まれる凹部13の個数が、例えば7つである場合を具体例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、少なくとも2つ以上であればよい。
【0121】
なお、本変形例では、図11(a) に示すように、金属膜15eの平面形状が、六角形状である場合を具体例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば円形状又は方形状等であってもよい。
【0122】
なお、本変形例では、図11(a) に示すように、認識マークMeに含まれる複数の凹部12xの各々が、同一の形状である場合を具体例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、異なる形状であってもよい。但し、この場合も、複数の凹部12xの底面は、全て、開口部周縁から中央部に向かって深さが深くなる凹曲面であることが好ましい。
【0123】
なお、既述の通り、半導体チップが、比較的に小さいサイズを有する場合、半導体チップの表面がリードフレームの表面に対して傾斜する角度が、比較的に小さい角度であっても、反射光は、光学系装置を経由することができず、画像認識装置により、認識マークを認識することができない。よって、本発明に係る認識マークを、比較的に小さいサイズを有する半導体チップに適用することにより、本発明の効果を有効に得ることができる。なお、当然のことながら、本発明に係る認識マークを、比較的に大きいサイズ(例えば、0.5mm×0.5mm程度よりも大きいサイズ)を有する半導体チップに適用しても、本発明の効果を得ることができる。
【0124】
なお、一実施形態及びその第1〜第4の変形例では、半導体素子が、バイポーラトランジスタである場合を具体例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えばMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、接合型トランジスタ(J−FET:Junction Field Effect Transistor)、又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ (IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)等であってもよい。
【0125】
なお、一実施形態及びその第1〜第4の変形例では、その表面に凹部12xが形成される絶縁膜12として、シリコン酸化膜を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えばTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜、ポリシリコン膜、又はそれらの複合膜等を用いてもよい。
【0126】
なお、一実施形態及びその第1〜第4の変形例では、金属膜15a,15b,15d,15eとして、Al膜を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えばAl膜以外の金属膜を用いてもよい。当該金属膜は、高い反射率を有する膜であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0127】
以上説明したように、本発明は、半導体チップの表面がリードフレームの表面に対して傾斜することがあっても、認識マークを認識することができ、認識マーク及び当該認識マークを用いた半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0128】
1 半導体チップ
11 基板
12 絶縁膜
12x 凹部(第1の凹部)
13 凹部
14 絶縁膜
14p 凹曲部
14X 絶縁膜
15 金属膜
15a,15b,15d,15e 金属膜
15x ベース電極
15y エミッタ電極
15b1,15d1 凹曲部
15b2,15d2 平坦部
16 保護膜
17 反射防止膜
21 光源
22 ハーフミラー
23 光学系装置
24 画像認識装置
Ma,Mb,Mc,Md,Me 認識マーク
Re1,Re2,Re3,Re4,Re5 レジスト
D 深さ
L1 入射光
L2 反射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的に認識される認識マークであって、
基板の上に形成され、その表面に凹部が形成された絶縁膜と、
前記凹部に形成された金属膜とを備え、
前記凹部の底面は、開口部周縁から中央部に向かって深さが深くなる凹曲面であり、
前記金属膜は、少なくとも前記凹部の底面に沿って形成されていることを特徴とする認識マーク。
【請求項2】
前記凹部の底面の形状は、半球面状であることを特徴とする請求項1に記載の認識マーク。
【請求項3】
前記金属膜は、前記凹部の底面の上にのみ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の認識マーク。
【請求項4】
前記金属膜は、前記凹部の底面の上、及び前記絶縁膜における前記凹部の周囲部分の上に形成され、
前記金属膜は、
周縁部から中央部に向かって凹む凹曲状の凹曲部と、
前記凹曲部の周縁部と接続する環状の平坦部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の認識マーク。
【請求項5】
前記平坦部の上に形成された反射防止膜をさらに備えていることを特徴とする請求項4に記載の認識マーク。
【請求項6】
前記反射防止膜の上に形成された保護膜をさらに備えていることを特徴とする請求項5に記載の認識マーク。
【請求項7】
前記絶縁膜の上に形成され、開口部を有する保護膜をさらに備え、
前記保護膜の前記開口部から、前記金属膜及び前記絶縁膜における前記金属膜の周囲部分が露出されていることを特徴とする請求項1に記載の認識マーク。
【請求項8】
前記絶縁膜の表面には、複数の前記凹部が連続して形成され、
複数の前記金属膜の各々は、複数の前記凹部の底面の各々の上に形成されていることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の認識マーク。
【請求項9】
前記絶縁膜の表面には、複数の前記凹部が隣り合って形成され、
前記金属膜は、複数の前記凹部の底面の上、及び前記絶縁膜における複数の前記凹部の各々の周囲部分の上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の認識マーク。
【請求項10】
前記絶縁膜は、
前記基板の上に形成され、その表面に第1の凹部が形成された第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜の表面及び前記第1の凹部の底面に沿って形成された第2の絶縁膜とを有し、
前記第1の凹部の底面は、開口部周縁から中央部に向かって深さが深くなる凹曲面であり、
前記第2の絶縁膜は、前記第1の凹部の底面に沿って形成され、且つ、周縁部から中央部に向かって凹む凹曲状の凹曲部を有し、
前記凹部は、前記第1の凹部と前記凹曲部とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の認識マーク。
【請求項11】
半導体素子を有する半導体チップを備え、
前記半導体チップの表面には、請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載された認識マークが形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
ダイパッド及びリードを有し、半田により前記ダイパッドの上に前記半導体チップが固着されたリードフレームをさらに備え、
ワイヤにより、前記半導体チップの電極と前記リードとが電気的に接続されていることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記絶縁膜は、
前記基板の上に形成され、その表面に第1の凹部が形成された第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜の表面及び前記第1の凹部の底面に沿って形成された第2の絶縁膜とを有し、
前記基板における素子分離領域の上には、前記半導体素子を電気的に分離する素子分離膜が形成され、
前記半導体素子は、
前記基板における素子形成領域に形成された不純物拡散領域と、
前記基板における素子形成領域の上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜の上に形成され、且つ、前記層間絶縁膜を貫通するコンタクトにより前記不純物拡散領域と電気的に接続する電極とを有し、
前記金属膜は、前記電極と同一の材料からなり、
前記第1の絶縁膜は、前記素子分離膜と同一の材料からなり、
前記第2の絶縁膜は、前記層間絶縁膜と同一の材料からなることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記半導体素子は、バイポーラトランジスタであり、
前記不純物拡散領域は、ベース領域、エミッタ領域及びコレクタ領域であり、
前記電極は、ベース電極、エミッタ電極及びコレクタ電極であり、
前記ベース電極及び前記エミッタ電極の各々には、ワイヤがボンディングされることを特徴とする請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体素子は、MOSトランジスタ、接合型トランジスタ又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−38311(P2013−38311A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174807(P2011−174807)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】