説明

誘導加熱調理器

【課題】冷却ファンを2つ以上用いて冷却を行う構成において、冷却ファン同士の回転数差による生じる意図していないうなり音を発生させないこと。
【解決手段】第1及び第2冷却ファン7a、7bの回転数を検知する回転数検知部8と、回転数検知部8の検知結果を入力し第1及び第2冷却ファン7a、7bの回転数を制御する回転数制御部9とを備え、回転数制御部9は回転数検知部8の検知結果に基づき、第1及び第2の冷却ファン7a、7bの回転数をうなり音が発生しない範囲内に制御すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱部品を強制的に冷却する冷却ファンのうなり音を抑え、静音化を図る誘導加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の誘導加熱調理器は、加熱部と冷却ファンのファン速度を一義的に定め、冷却ファンは、入力部にて選択された加熱部に対応したファン速度にて駆動させる構成としたものである(例えば特許文献1参照)。
【0003】
以下、その従来例について図2を用いて説明する。
【0004】
図3は、特許文献1に記載された従来の加熱調理器の動作特性図である。誘導加熱調理器の外郭を構成する本体の上部には、トッププレートと吸気部を備えている。また、トッププレートの上面には鍋を誘導加熱する加熱コイル、インバータからなる誘導加熱部と、ラジェントヒータを加熱する加熱部とが設けられている。また、吸気部の下方には冷却ファンを備え、冷却ファンの送風方向にはインバータが配されている。さらに、インバータなどの回路ユニットの左側で、加熱コイルの下には加熱庫内にあるロースタヒータを加熱する手段が設けられている。
【0005】
上記構成において、加熱部と冷却ファンのファン速度は一義的に定められており、第1の加熱手段106が動作する際には、冷却ファン108は高速で駆動され、第2の加熱手段107が動作する際には、冷却ファン108は中速で駆動される。すなわち、入力手段110により第1の加熱手段106が選択されると、制御手段111は入力手段110からの信号に基づいて第1の加熱手段106による加熱を開始すると共に、ファン回転数制御手段112に冷却ファン108を高速で駆動させる信号を送付することにより、ファン回転数制御手段112は冷却ファン108を高速で駆動させる。また、入力手段110により第2の加熱手段107が選択されると、制御手段111は入力手段110からの信号に基づいて第2の加熱手段107による加熱を開始すると共に、ファン回転数制御手段112に冷却ファン108を中速で駆動させる信号を送付することにより、ファン回転数制御手段112は冷却ファン108を中速で駆動させる。このように、加熱出力に応じて冷却ファン108の回転数を変更する構成とすることにより、機器の冷却を十分維持しながら、冷却ファン108の回転数を必要最小限に抑えることができ、騒音を低減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−047305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、複数の冷却ファンを使用してインバータ部品等の発熱部品の冷却を行う場合、冷却ファン各々、一様に駆動させたとしても、冷却ファン自身のバラツキや、冷却ファンを駆動させる電圧のバラツキ等により、冷却ファン同士に回転数差が生じてしまい、その回転数差がうなり音となるため、意図していないうなり音が発生してしまうという課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱調理器は、加熱コイルと、スイッチング手段を有し、直流を高周波交流に変換し、加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路と、インバータ回路の動作を制御する制御部と、加熱コイル及びインバータ回路を構成するインバータ部品とを強制的に冷却する2個の第1冷却ファン及び第2冷却ファンと、第1及び第2冷却ファンの回転数を検知する回転数検知部と、回転数検知部の検知結果を入力し第1及び第2冷却ファンの回転数を制御する回転数制御部とを備え、回転数制御部は回転数検知部の検知結果に基づき、第1及び第2の冷却ファンの回転数をうなり音が発生しない範囲内に制御するようにしたものである。
【0009】
加熱コイル及びインバータ回路を構成するインバータ部品等の発熱部品を2個の冷却ファンを用いて強制的に冷却する場合において、2個の冷却ファンそれぞれの回転数を独立して検知すると共に、その検知した回転数が2個の冷却ファンの回転数差から生じるうなり音が発生しない範囲に制御することができ、意図していないうなり音の発生を抑制し、騒音を低減することができる。
【発明の効果】
【0010】
加熱コイル及びインバータ回路を構成するインバータ部品等の発熱部品を2個の冷却ファンを用いて強制的に冷却する場合において、2個の冷却ファンそれぞれの回転数を独立して検知し、その検知した回転数が2個の冷却ファンの回転数差から生じるうなり音が発生しない範囲に制御することにより、意図していないうなり音の発生を抑制し、騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における誘導加熱調理器のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における誘導加熱調理器の他の例のブロック図
【図3】特許文献1における従来の加熱調理器の動作特性図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、加熱コイルと、スイッチング手段を有し、直流を高周波交流に変換し、前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路と、前記インバータ回路の動作を制御する制御部と、前記加熱コイル及び前記インバータ回路を構成するインバータ部品とを強制的に冷却する2個の第1冷却ファン及び第2冷却ファンと、前記第1及び第2冷却ファンの回転数を検知する回転数検知部と、前記回転数検知部の検知結果を入力し前記第1及び第2冷却ファンの回転数を制御する回転数制御部とを備え、前記回転数制御部は前記回転数検知部の検知結果に基づき、前記第1及び第2の冷却ファンの回転数をうなり音が発生しない範囲内に制御することを特徴としたものである。これにより、加熱コイル及びインバータ回路を構成するインバータ部品等の発熱部品を2個の冷却ファンを用いて強制的に冷却する場合においても、2個の冷却ファンそれぞれの回転数を独立して検知すると共に、検知した冷却ファンそれぞれの回転数を、冷却ファンの回転数差から生じるうなり音が発生しない範囲に制御することができ、意図していないうなり音の発生を抑制し、騒音を低減することができる。
【0013】
第2の発明は、特に第1の発明において、回転数制御部は、第1及び第2の冷却ファンの回転数を目標回転数Nとなるように制御を行うことで、第1及び第2の冷却ファンの回転数をうなり音が発生しない範囲内に制御することを特徴したものである。これにより、検知した2個の冷却ファンそれぞれの回転数を、あらかじめ設定しておいた目標回転数に合わせることができ、冷却性能を維持しつつ、冷却ファンの回転数差から生じるうなり音が発生しない範囲に制御することができ、意図していないうなり音の発生を抑制し、騒音を低減することができる。
【0014】
第3の発明は、特に第2の発明において、回転数制御部は、第1及び前記第2冷却ファンの回転数制御を、印加するPWM信号のオン時間の増減により行うことを特徴としたものである。これにより、回転数制御部が印加するPWM信号をアナログ信号に変換しその電圧値に応じて、第1及び第2冷却ファンの駆動状態を制御可能であるため、回転数の微調整が可能となり、第1及び第2冷却ファンの回転数をあらかじめ設定しておいた目標回転数と一致させることが容易に行える。
【0015】
第4の発明は、特に第3の発明において、回転数検知部は、パルス信号のエッジを検出する割り込み制御回路と、割り込み制御回路に複数のパルス信号を切り替えて入力する切り替え回路とを有し、第1及び第2冷却ファンから出力されるパルス信号を、切り替え回路が一定間隔で切り替えながら割り込み検知回路に入力し、割り込み検知回路が一定区間のパルス信号のエッジ数をカウントすることにより、第1及び第2冷却ファン各々の回転数を独立して検知することを特徴とするものである。これにより、第1及び第2冷却ファンの回転数検知を専用ICを用いることなく、汎用のマイクロコンピュータにて実現可能であり、システムを安価に構築することができる。
【0016】
第5の発明は、特に第4の発明において、回転数検知部は、検知した前記第1及び第2冷却ファンの回転数が目標回転数と大きくずれている場合に、割り込み検知回路にてパルス信号を検知する検知時間を短く設定し、検知した前記第1及び第2の冷却ファンの回転数が目標回転数と大きくはずれていない場合に、割り込み検知回路にてパルス信号を検知する検知時間を長く設定することを特徴とするものである。これにより、第1及び第2冷却ファンの回転数が目標回転数と大きくずれている場合は、第1及び第2冷却ファンの回転数の増減を短時間で行うことができ、第1及び第2冷却ファンの回転数が目標回転数と大きくはずれていない場合には、第1及び第2冷却ファンの回転数の増減を安定して行うことができるため、冷却性能を維持しつつ、冷却ファンの回転数差から生じるうなり音が発生しない範囲に制御することができ、意図していないうなり音の発生を抑制し、騒音を低減することができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における誘導加熱調理器の構成を示すブロック図である。
【0019】
図1において、本発明の第1の実施の形態における誘導加熱調理器は、加熱コイル3b、スイッチング手段3aを含み商用電源1を整流回路2整流した直流を高周波交流に変換し、加熱コイル3bに高周波電流を供給して天板に載置された鍋3cを誘導加熱するインバータ回路3のスイッチング手段3aを駆動して加熱出力を制御するインバータ制御部4、インバータ制御部4の動作を制御する制御部5、インバータ制御部4の動作を設定すると共に、その設定内容を表示する操作表示部6と、加熱コイル3b及びインバータ制御部4を構成するインバータ回路3の部品を強制的に冷却する第1冷却ファン7a、第2冷却ファン7bと、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bの回転数を独立して検知する回転数検知部8と、回転数検知部8の検知結果を入力し第1冷却ファン7a、第2冷却ファン7bそれぞれの回転数を制御する回転数制御部9とで構成されている。
【0020】
操作表示部6に設けられたスイッチ等を操作することにより操作表示部6は、制御部5に動作開始信号を出力し、それを受けた制御部5はインバータ制御部4に搭載されたIGBT等で構成されるスイッチング手段3aの駆動信号を出力すると共に、回転数制御部9に第1冷却ファン7a、第2冷却ファン7bの駆動信号を出力する。これを受けたインバ
ータ制御部4は搭載されたスイッチング手段3aを駆動することにより、高周波電流を加熱コイル3bに供給し、回転数制御部9は第1冷却ファン7a、第2冷却ファン7bにPWMの駆動信号を印加し、第1冷却ファン7a、第2冷却ファン7bを駆動させる。このとき回転数検知部8は、第1冷却ファン7aの回転数に同期したパルスを発生する第1回転センサ9aからのパルス信号及び、第2冷却ファン7bの回転数に同期したパルスを発生する第2回転センサ9bからのパルス信号を検知することにより、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bの回転数を独立して検知する。
【0021】
以上のように構成された誘導加熱装置において、以下、図1を用いて、その動作、作用を説明する。
【0022】
制御部5からファン駆動信号を受けた回転数制御部9は、第1冷却ファン7a、第2冷却ファン7bそれぞれの回転数が、あらかじめ設定しておいた冷却ファンの目標回転数N(例えば5000rpm)となるように、第1冷却ファン7a、第2冷却ファン7bに印加するPWM駆動信号のデューティ時間を変更する。すなわち、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bは、回転数制御部9から印加されたPWM駆動信号をアナログ電圧に変換し、そのアナログ電圧の電圧値に応じて、回転する速度を変更する。ここでは、PWM駆動信号のオン時間が長い場合に、アナログ電圧に変換した電圧値が高くなり、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bは高速回転し、逆にPWM駆動信号のオン時間が短い場合に、アナログ電圧に変換した電圧値が低くなるため、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bは低速回転することとする。
【0023】
また、回転数検知部8は、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bの第1回転センサ9a及び第2回転センサ9bから出力される回転パルス信号を検知することにより、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bの回転数を検出する。ここでは、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bが1回転すると、対応する第1回転センサ9a及び第2回転センサ9bから2パルスのパルス信号が発生することとする。すなわち、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bが回転数=3000rpmにて回転しているとき、第1回転センサ9a及び第2回転センサ9bは、1分間あたり6000パルス(3000×2)のパルス信号を出力する。逆に、回転数検知部8が、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bから、1分間あたり8000パルスのパルス信号を検知した場合、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bは4000rpm(8000/2)の回転数にて回転していることとなる。
【0024】
このとき、回転数検知部8が検知した第1冷却ファン7a及び、第2冷却ファン7bの回転数が、目標回転数N(例えば5000rpm)となるように、回転数制御部9は第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bに印加するPWM駆動信号のオン時間を調整する。すなわち、第1冷却ファン7aが4000rpmにて回転している場合、回転数検知部8が、第1冷却ファン7aから1分間あたり8000パルスのパルス信号を検知するため、第1冷却ファン7aが4000rpmにて回転していることを検知する。これを受けた回転数制御部9は、目標回転数N(ここでは5000rpm)と比較し、回転数が目標回転数Nに到達していないことから、第1冷却ファン7aに印加するPWM駆動信号のオン時間を増加させる。PWM駆動信号のオン時間を増加させることにより、その信号をアナログ電圧に変換した電圧値が増加前よりも高くなることから、第1冷却ファン7aは4000rpmより高速(例えば4100rpm)にて回転することとなる。逆に、第1冷却ファン7aが5500rpmと目標回転数N(ここでは5000rpm)より高速で回転している場合は、PWM駆動信号のオン時間を減少させることにより、その信号をアナログ電圧に変換した電圧値が減少前よりも低くなることから、第1冷却ファン7aは5500rpmより低速(例えば5400rpm)にて回転することとなる。さらに、第1冷却ファン7aが目標回転数Nと比較して、あらかじめ設定したしきい値M回転(例えば±1
0rpm、冷却ファンの回転数差の要因から発生するうなりがない程度に設定)以下の差であれば、回転数制御部9は第1冷却ファン7aのPWM駆動信号のオン時間を現状のまま保持する。以上のように、回転数制御部9は第1冷却ファン7aが目標回転数N±M(しきい値)が保持できるように同様の処理(PMW駆動信号のオン時間の調整)を駆動信号を受信している間繰り返す。また、回転数制御部9は、第2冷却ファン7bについても第1冷却ファン7aと同様に、目標回転数NとなるようにPWM駆動信号のオン時間の調整を行う。
【0025】
これによって、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7b共に、目標回転数Nにて回転するようにPWM駆動信号のオン時間を独立して調整できるため、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bの回転数差により発生するうなり音を抑制し、騒音を低減することができる。
【0026】
また、図2に示すように回転数検知部8は、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bから、回転に同期した回転パルス信号を検知するために、パルス信号のエッジを検出する割り込み検知回路10と、割り込み検知回路10に複数のパルス信号を切り換えて入力する切り替え回路11とを有し、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bから出力される回転パルス信号を、切り替え回路11が一定間隔T(例えば1分)で切り替えながら割り込み検知回路10に入力し、割り込み検知回路10が一定区間Tのパルス信号のエッジ数をカウントすることにより、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bの回転数を独立して検知する。すなわち、回転数検知部8は、まず切り替え回路11を第1冷却ファン7aからのパルス信号を選択し、一定時間Tの間、割り込み検知回路10にてパルス信号のエッジ数をカウントすることにより、第1冷却ファン7aの回転数を検知する。一定時間T経過後、回転数検知部8は、切り替え回路11を第2冷却ファン7bからのパルス信号を選択するように切り替え、一定区間Tの間、割り込み検知回路10にてパルス信号のエッジ数をカウントすることにより、第2冷却ファン7bの回転数を検知する。以上のように、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bの回転数の検知を、一定時間Tにて切り替えながら検知する処理を繰り返し行い、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bの回転数を随時検知する。
【0027】
これによって、パルス信号のエッジ数をカウントする割り込み検知回路10を複数有する必要が無く、冷却ファンの回転数を検知するために専用のICではなく、汎用的なマイクロコンピュータにて実現可能であるため、安価にシステム構築ができる。
【0028】
さらに、回転数検知部8は、検知した第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bの回転数が目標回転数Nに対して、大きくズレている場合(例えば1000rpm以上)は、第1冷却ファン7a或いは第2冷却ファン7bの回転パルスをカウントする時間Tを短く(例えば1秒)設定すると共に、回転数制御部9は第1冷却ファン7a或いは第2冷却ファン7bに印加するPWMのオン時間の増減も大きくする(例えば±5%増減させる)。また、目標回転数Nに対して、大きくはズレていない場合(例えば1000rpm未満)は、第1冷却ファン7a或いは第2冷却ファン7bの回転パルスをカウントする時間Tを長く(例えば1分)設定すると共に、回転数制御部9は第1冷却ファン7a或いは第2冷却ファン7bに印加するPWMのオン時間の増減を小さくする(例えば1%増減させる)。すなわち、第1冷却ファン7aが回転数3000rpmにて駆動しているとした場合、回転数検知部8は、回転パルスをカウントする時間Tを短く(例えば1秒)設定し、回転パルスをカウントする。このとき、1分間回転パルスをカウントした場合は、6000(=3000×2)パルスとなるが、時間が短く1秒であるため、100(=6000/60)パルスとなる。回転数検知部8は、カウントしたパルス数を元に回転数を検知し、その情報を受けた回転数制御部9は第1冷却ファン7aに印加しているPWMのオン時間を+5%増加させる。また、第1冷却ファン7aが回転数5500rpmにて駆動している
とした場合、回転数検知部8は、回転パルスをカウントする時間Tを長く(例えば1分)設定し、回転パルスをカウントする。このときの回転パルス数は11000(=5500×2)パルスとなる。回転数検知部8は、カウントしたパルス数を元に回転数を検知し、その情報を受けた回転数制御部9は第1冷却ファン7aに印加しているPWMのオン時間を−1%減少させる。また、第2冷却ファン7bに対しても第1冷却ファン7aと同様の処理を独立して行う。
【0029】
これによって、回転数検知部8にて検知した第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bの回転数が、目標回転数Nに対して大きくずれている場合は、回転数検知部8にて検知に要する時間を短く設定すると共に、回転数制御部9で制御しているPMWのオン時間の増減を大きくすることにより、より短時間で、目標回転数Nに到達させることができる。さらに、回転数検知部8にて検知した第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7bの回転数が、目標回転数Nに対して大きくはずれていない場合は、回転数検知部8にて検知に要する時間を短く設定すると共に、回転数制御部9で制御しているPWMのオン時間の増減を小さくすることにより、第1冷却ファン7a及び第2冷却ファン7b共に、より安定した状態で目標回転数Nでの回転を維持することができる。
【0030】
なお、回転数検知部8及び回転数制御部9にて回転数の制御を行う第1及び第2の冷却ファン7a、7bは、2つ以上あればよく、2つに限定するものではない。
【0031】
なお、本発明における誘導加熱調理器は、負荷を過熱する装置(調理器)であればよく、特に限定するものではない。
【0032】
以上のように、冷却ファンを2つ以上用いて冷却を行う構成において、それぞれの冷却ファンは回転数に応じたパルス信号を発生し、回転数検知部がそのパルス信号を独立してカウントすることにより、それぞれの冷却ファンの回転数を検知し、その情報を元に回転数制御部が目標回転数Nとなるように、それぞれの冷却ファンを動作させることにより、複数個ある冷却ファンの回転数差から発生するうなり音を抑制し、騒音を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明にかかる誘導加熱調理器は、複数個ある冷却ファンの回転数差により発生するうなり音を抑制し、騒音が低減され、使用者の快適性を向上させることができるため、冷却ファンを複数個有する誘導加熱器に適用できる。
【符号の説明】
【0034】
1 商用電源
2 整流回路
3 インバータ回路
3a スイッチング手段
3b 加熱コイル
3c 鍋
4 インバータ制御部
5 制御部
6 操作表示部
7a 第1冷却ファン
7b 第2冷却ファン
8 回転数検知部
9 回転数制御部
10 割り込み検知回路
11 切り替え回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱コイルと、スイッチング手段を有し、直流を高周波交流に変換し、前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路と、前記インバータ回路の動作を制御する制御部と、前記加熱コイル及び前記インバータ回路を構成するインバータ部品とを強制的に冷却する2個の第1冷却ファン及び第2冷却ファンと、前記第1及び第2冷却ファンの回転数を検知する回転数検知部と、前記回転数検知部の検知結果を入力し前記第1及び第2冷却ファンの回転数を制御する回転数制御部とを備え、前記回転数制御部は前記回転数検知部の検知結果に基づき、前記第1及び第2冷却ファンの回転数をうなり音が発生しない範囲内に制御する誘導加熱調理器。
【請求項2】
前記回転数制御部は、前記第1及び第2冷却ファンの回転数を目標回転数Nとなるように制御を行うことで、前記第1及び第2冷却ファンの回転数をうなり音が発生しない範囲内に制御する請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項3】
前記回転数制御部は、前記第1及び前記第2冷却ファンの回転数制御を、印加するPWM信号のオン時間の増減により行う請求項2に記載の誘導加熱調理器。
【請求項4】
前記回転数検知部は、パルス信号のエッジを検出する割り込み制御回路と、前記割り込み制御回路に複数のパルス信号を切り替えて入力する切り替え回路とを有し、前記第1及び第2冷却ファンから出力されるパルス信号を、前記切り替え回路が一定間隔で切り替えながら前記割り込み検知回路に入力し、前記割り込み検知回路が一定区間のパルス信号のエッジ数をカウントすることにより、前記第1及び第2冷却ファン各々の回転数を独立して検知する請求項3に記載の誘導加熱調理器。
【請求項5】
前記回転数検知部は、検知した前記第1及び第2の冷却ファンの回転数が目標回転数と大きくずれている場合に、前記割り込み検知回路にてパルス信号を検知する検知時間を短く設定し、検知した前記第1及び第2冷却ファンの回転数が目標回転数と大きくはずれていない場合に、前記割り込み検知回路にてパルス信号を検知する検知時間を長く設定する請求項4に記載の誘導加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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