説明

誘導加熱調理器

【課題】誘導加熱調理器の組み込まれたキッチン内部の収納空間を拡大し、キッチン使用者の使い勝手の向上を図る。
【解決手段】キッチンに組み込む本体外郭を形成する金属ケース8と、本体上面に設けられたトッププレート9と、該トッププレート9の下方に設けられた誘導加熱コイル2と、該誘導加熱コイル2を制御する制御基板7と、ベース面とフィン部とを有するヒートシンク6と、前記制御基板7を冷却するファン装置40と、前記金属ケース8の底面に設けられた吸気口11を備え、前記制御基板7の高発熱素子5が設置されるベース面が前記トッププレート9側となり、前記フィン部が前記ファン装置40側となるように、前記ヒートシンク6を該トッププレート9と略平行にして配し、更に、前記制御基板7を前記誘導加熱コイル2の外周に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部を効率的に冷却可能な薄型誘導加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅用機器を全て電化するオール電化住宅の流れが顕著になりつつある。この一環として、渦電流を利用して鍋そのものを発熱させる誘導加熱調理器が見直されており、ワンルームマンションやミニキッチンなどに対応した薄型の組込タイプ(ビルトイン型)の普及も進んでいる。
【0003】
この種の薄型の誘導加熱調理器は、誘導加熱コイルが1口或いは2口のみで、焼き魚などを調理する加熱室(ロースター)を持たないものが一般的である。
【0004】
また、誘導加熱調理器では加熱調理時に誘導加熱コイルや誘導加熱コイルの火力を制御する制御基板などから発熱が生じるため、冷却ファン(ファン装置)を用いて誘導加熱コイルや制御基板を送風冷却することが一般的に行われている。
【0005】
従来の誘導加熱機器では、本体内に搭載した軸流ファンや多翼ファンを用いて、誘導加熱調理器の下方のキッチン内部空間の空気を取り込み、制御基板や誘導加熱コイルに冷却風を供給して冷却する。制御基板や誘導加熱コイルを冷却した空気は、誘導加熱調理器の上面の排気口から外部に排気される構造となっている。
【0006】
このような薄型の誘導加熱調理器は、本体(金属ケース)高さが大きいほど、本体下方のキッチン収納部を狭めて収納容積を小さくするので、80mmから100mm程度の本体高さ寸法のものが多い。また、その本体内の空冷構造は、図8に示すように、トッププレートの下方に誘導加熱コイルと制御基板を重ねた配置が一般的である。
【0007】
つまり、この種の誘導加熱調理器における一般的な空冷構造とは、特許文献1の図8に記載された空冷構造にもあるように、金属製の外郭ケース(金属ケース)の底に設けた吸気口から空気を吸い込んで外郭ケース内に送風し、本体内の温度上昇を抑えた構造であり、特許文献1では基板ケース底面の吸気口を外郭ケース底面に嵌め込んで突き出し、その側壁も吸気口を成したものである。
【0008】
一方、特許文献2は主に一般家庭用の100V電源で使用する卓上タイプの誘導加熱調理器で、冷却ファン(ファン装置)とプリント基板(制御基板)を誘導加熱コイルの下方に配置した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−251091号公報
【特許文献2】特開2007−287374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
誘導加熱調理器の加熱効率向上や大火力化、非磁性体鍋の加熱などの仕様や機能性向上に伴い、誘導加熱調理器に使われる電子部品の数や容積が増加した場合、本体内部の実装密度や発熱量が増加する。
【0011】
誘導加熱調理器の内部の冷却性能を高める一手法として誘導加熱調理器の容積を大きくし、実装密度を下げる方法が考えられる。ところが、キッチンに組み込まれるビルトイン型の誘導加熱調理器では、キッチンに嵌め込む開口が標準化されており、誘導加熱調理器本体の幅や奥行き寸法が制限されるため、幅や奥行き寸法を大きくすることはできない。従って、誘導加熱調理器の高さを増やし実装密度を下げる必要があるが、誘導加熱調理器の高さを増やした場合、下方のキッチン収納部を狭めることになってしまうため、誘導加熱調理器の高さを増やすことは望ましくない。
【0012】
一方、誘導加熱調理器の内部の冷却性能を高める他の手法として、誘導加熱コイルや制御基板などの発熱部品の冷却に用いる風量を大きくする方法や発熱部品にヒートシンクを付加して発熱部品の冷却効率を高める方法がある。この場合、誘導加熱調理器の高さが大きくなりキッチン収納部を狭めるという問題は生じない。
【0013】
しかし、ファン装置を大きくして送風性能を高めた場合、電子部品の搭載容積が縮小するし、高発熱素子に設置するヒートシンクの放熱面積も得難くなる。また、大風量を得る手段としてファン装置の高回転数化を選択すれば、ファン騒音や本体の振動音が生じ易くなり、使用時の快適性を著しく損なうことになる。
【0014】
また、図8で示した従来構造や特許文献1の構造は金属ケース内に収納される制御基板などの実装密度が低い構造に適用できるものであって、高密度実装された構造に全く対応できるものでなく、誘導加熱調理器の金属ケースを薄型化してキッチン下側の収納スペースを広げることはできない。
【0015】
また、これらの構造はファン装置を挟んで設けた吸気口から排気口までの空間に誘導加熱コイルと制御基板が配置されただけで、より冷却が必要とする部品に適切な風路を構成し、効率良く冷却風を流す構成が見られない。
【0016】
一方、特許文献2のような電源入力が小さい誘導加熱調理器では、本体に使用される電子部品の寸法、発熱は何れも小さく、誘導加熱コイルの下方にも高発熱素子を実装した制御基板やその他の電子部品及びヒートシンクを容易に配置できるが、高火力を要するビルトイン型誘導加熱調理器の空冷構造として安易に採用できるものでない。
【0017】
本願発明は、上記の課題のうち少なくとも1つを解決するために為されたものであり、発熱の大きい電子部品の配置を改善することによって、誘導加熱調理器の薄型化と、十分な冷却性能の確保を両立するとともに、誘導加熱調理器の薄型化によって、誘導加熱調理器下方のキッチン収納部の拡大を可能にし、キッチン使用者の使い勝手を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、請求項1では、キッチンに組み込む本体外郭を形成する金属ケースと、本体上面に設けられたトッププレートと、該トッププレートの下方に設けられた誘導加熱コイルと、該誘導加熱コイルを制御する制御基板と、ベース面とフィン部とを有するヒートシンクと、前記制御基板を冷却するファン装置と、前記金属ケースの底面に設けられた吸気口を備え、前記制御基板の高発熱素子が設置されるベース面が前記トッププレート側となり、前記フィン部が前記ファン装置側となるように、前記ヒートシンクを該トッププレートと略平行にして配し、更に、前記制御基板を前記誘導加熱コイルの外周に配置した。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、キッチンに収納される誘導加熱調理器を薄型化できる。また、誘導加熱調理器の下方のキッチン収納部を拡大させることができ、キッチン使用者の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1の誘導加熱調理器の上面図。
【図2】実施例1の誘導加熱調理器の分解斜視図。
【図3】実施例1の誘導加熱調理器の分解斜視図。
【図4】実施例1の誘導加熱調理器の側面断面図。
【図5】実施例2の誘導加熱調理器の側面断面図。
【図6】実施例3の誘導加熱調理器の側面断面図。
【図7】実施例4の誘導加熱調理器の分解斜視図。
【図8】従来の誘導加熱調理器の側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の誘導加熱調理器として、ビルトイン型の薄型IHクッキングヒータを例に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1から図4を用いて、本発明の実施例1の誘導加熱調理器であるビルトイン型の2口IHクッキングヒータを説明する。なお、本実施例の誘導加熱調理器はオーブン加熱やグリル加熱などを行える加熱室を有しないものとする。
【0023】
図1は、本実施例の誘導加熱調理器の上面図であり、トッププレート9上に二口の鍋載置部90a、90bを備えたものである。ここでは、鍋載置部90a、90bの下方に設けられる二つの誘導加熱コイル2と、誘導加熱コイル2の駆動を制御する制御基板7の位置関係を、トッププレート9を透過して示している。
【0024】
図2は、本実施例の誘導加熱調理器の分解斜視図であり、トッププレート9を外し、誘導加熱コイル2や誘導加熱コイル2に高周波電流を供給する制御基板7を収納した本体外郭を構成する金属ケース8内の部品配置などを示したものである。また、図3は、金属ケース8内の部品を取り外し、各々の部品の形状を下方の構造を説明するための分解図である。
【0025】
図4は、誘導加熱調理器の左前側鍋載置部9aの下方に配置した誘導加熱コイル2を含む側面断面図である。
【0026】
図1に示すように、本実施例の誘導加熱調理器本体上面にはトッププレート9と、本体内部の空気を排気する排気口81に設けた排気カバー91と、被調理鍋の火加減などを操作する操作部90が設けられている。
【0027】
このトッププレート9の下方には鍋載置部9a、9bの略下側位置に誘導加熱コイル2がそれぞれ設けられており、誘導加熱できる被調理鍋を左右の鍋載置部9a、9bに載置して加熱調理ができる。
【0028】
本体上面に設けられ、金属ケース8を保持するトッププレート9は耐熱ガラスを金属枠で外周を挟んだ構成であり、排気口81はその外郭の金属枠部に設けられる。排気口81には小さい複数の開口を設けた排気カバー91を配しており、調理時にスプーンなどの調理小物や食品屑などが入らないようになっている。
【0029】
金属ケース8内には誘導加熱コイル2とともに、誘導加熱コイル2に高周波電流を供給する複数の電子部品などが実装された制御基板7や回路基板70、これらを冷却するファン装置40、41などが搭載される。ここで、誘導加熱コイル2に高周波電流を供給するインバータ回路には、IGBTやダイオードブリッジなど特に発熱量の大きい高発熱素子5が含まれており、図3に示すように、高発熱素子5は制御基板7の基板部分からはみ出すように配置される。そして、高発熱素子5はヒートシンク6の平坦面に熱的に接続されており、ヒートシンク6を冷却することで高発熱素子5を効果的に冷却することができる。
【0030】
電子部品が実装される制御基板7や回路基板70は、金属ケース8と絶縁して配置するため、各々樹脂など絶縁部材(基板ベース7a、70a)に固定して金属ケース8内に設けられる。
【0031】
図3や図4に示すように、本実施例では、主に誘導加熱コイル2を冷却する2個のファン装置40と、主に高発熱素子5のヒートシンク6を冷却するファン装置41を、金属ケース8の底面の吸気口82の上方に設けた構成となっている。
【0032】
ここで、ファン装置40、41は回転軸を略本体上下方向に設けた軸流ファンで、吸気口82とファン装置40と誘導加熱コイル2、及び吸気口82とファン装置41とヒートシンク6が本体上下方向に重なるようにそれぞれ整列して配置される。これらの部品配置が部分的に重なるように直線上の風路を構成することにより、ファン装置40、41により吸気口82から吸い込んだ吸気流10を部品冷却に使用するとともに、効率良く排気口81まで誘導し、誘導加熱コイル2や高発熱素子5を冷却することができる。
【0033】
よって、誘導加熱コイル2と制御基板7はトッププレート9近傍に並列に配置され、制御基板7とトッププレート9の間隙が幅広の通風路を構成し、誘導加熱コイル2などを冷却した空気を少ない通風抵抗で排気口81まで導くことができる。
【0034】
また、ヒートシンク6は高発熱素子5の設置面をトッププレート9側に向けてトッププレート9と略平行にして設けており、高発熱素子5は制御基板7のトッププレート9側の基板面に実装し、ヒートシンク6に設置している。
【0035】
尚、本実施例では制御基板7が電子部品の配線パターンが片面のみの片面実装タイプであっても、両面実装タイプであっても差し支えない。つまり、片面実装であれば、コンデンサ51など主な電子部品が実装されるパターン面を下方に向け、スルーホールを利用して高発熱素子5を基板の裏面に実装する。片面実装の基板は両面実装の基板に比べ安価である利点が大きい。一方、両面実装では、基板実装面積を増やすことができるので、電子部品の配置設計が容易になる。
【0036】
ここで、ヒートシンク6と高発熱素子5の間に、例えば熱伝導グリースや熱伝導シートなどの伝熱部材を挟んで固定すれば、高発熱素子5の熱を効率よくヒートシンク6に熱伝導させ、部品温度を下げることができる。
【0037】
また、ヒートシンク6の下方にはファン装置41を近接して配置しており、ファン装置41を介して吸気口82から流入した吸気流10を直に高発熱素子5を設置したヒートシンク面に吹き付け、熱伝達を高めた冷却を行っている。ファン装置41から近い位置にヒートシンク6を設けることで、ファン装置41の回転成分(旋回流)による乱れを利用して高性能化が図れている。冷却効率の向上により、ファン装置の低風量化や低回転数化による運転騒音の低下や、ヒートシンク小型化による低コスト化なども可能である。
【0038】
尚、インバータ回路として、複数の高発熱素子5を要するフルブリッジ回路などに採用した場合、ヒートシンク6をファン装置41に架かるように分割し、吹き出す空気が流入するように配置すればよい。
【0039】
ヒートシンク6は、アルミや銅などの熱伝導率が高い材質で加工されるものであり、本実施例では、高発熱素子5の設置面に対して平板を直角に複数枚立った平板フィン構造のものを例示する。平板フィン構造は、フィン間に流入する空気の流出経路がフィン枚数方向に限定されるため、ヒートシンク6から吹き出た空気を、さらに他の部品の冷却に利用できる点で非常に有用である。
【0040】
また、本実施例では、高発熱素子5を設置するヒートシンク6のベース面と反対の裏面(平板フィンの付け根の部分)を、制御基板7の基板面の高さに略一致させた構成となっており、フィン間を抜けた空気に対し風路断面積の変化を小さくし、より効率良く低圧損で空気が流れるよう配置している。
【0041】
よって、高発熱素子5が設置されるヒートシンク6のベース面も制御基板7や、誘導加熱コイル2と同程度の高さに配置され、ヒートシンク6は高発熱素子5を実装した制御基板7の上下に跨って配置している。
【0042】
尚、ヒートシンク6の別の例として、高発熱素子5の設置面に対して角柱或いは円柱のピンが直角に複数本立ったピンフィン構造であっても良く、その場合ヒートシンク四方から吹き出る流れを誘導する部材を設ければよい。
【0043】
また、高周波電流を供給するインバータ回路は、IGBTなどの高発熱素子5とともにコンデンサ51(電解コンデンサや共振コンデンサ)などの大容積電子部品が制御基板7に実装される。本実施例では、高発熱素子5とコンデンサ51が制御基板7の表裏に実装されており、コンデンサ51はファン装置41やヒートシンク6の外周位置にレイアウトされ、ヒートシンク6から吹き出た空気により冷却される。
【0044】
つまり、高発熱素子5を実装した制御基板7は誘導加熱コイル2の外周に配置し、高発熱素子5はトッププレート側の制御基板に実装し、コンデンサ等の他の電子部品をその裏面に実装したことにより、金属ケース8の高さが低くてもヒートシンク6やファン装置41の搭載容積を確保できる。
【0045】
従って、薄型の金属ケース8に全ての部品を収納し、組み込まれたキッチン下側の収納空間を拡大し、キッチン使用者の使い勝手を向上できる
本実施例の誘導加熱調理器では図4の側面断面図に示すように、一口分の誘導加熱に対して、ファン装置40、41が狭い金属ケース8内に収納されている。金属ケース8内には、制御基板7とともに、小さい電子部品50を実装した回路基板70を誘導加熱コイル2の下方に配置している。
【0046】
ここで、回路基板70は部品厚さが小さいので、ファン装置40、41に架からない配置であれば、誘導加熱コイル2の下方だけでなく、制御基板7の下方まで面積を広げ、回路基板70と制御基板7が水平方向に重なるよう配置してもよい。尚、制御基板7にコンデンサ51とともに全て部品実装可能であれば、回路基板70は設けなくともよい。
【0047】
つまり、ファン装置40から吹き出す空気は誘導加熱コイル2と回路基板70の間隙を風路とし、排気口81に向かって流れる。
【0048】
誘導加熱コイル2はコイルベース21上に載置され、例えばバネなどを用いた弾力性のある3ヶ所の保持バネ29で支えており、トッププレート9と密着させるように押し付けられ、安定した誘導加熱ができるように被調理鍋と誘導加熱コイル2の距離を一定に保持させる。
【0049】
コイルベース21にはフェライトが中央から放射状に配置され、誘導加熱コイル2の漏れ磁束を少なくする構成が採られており、コイルベース21をファン装置40側から見ると誘導加熱コイル2の裏面がフェライトの間隙から露出している。従って、誘導加熱コイル2の下方に配置したファン装置40が駆動することにより、冷却風が直接に誘導加熱コイル2裏面に衝突し、効率良くその表面温度を下げ、安定した誘導加熱を行うことができる。
【0050】
尚、コイルベース21の中央付近にはトッププレート9の温度から間接的に被調理鍋の温度を検知する例えばサーミスタなどの接触式の温度センサ2aが少なくとも一つは配置される。ファン装置40、41の回転数はトッププレート9上の操作部90で設定される火力や、温度センサ2aの指示値によって可変させてもよい。
【0051】
このように、本実施例の構成では、冷却性能を確保するのに十分な冷却風路を保持しつつ、誘導加熱コイル2、制御基板7、ヒートシンク6、ファン装置40、41を効率良く高密度に金属ケース8内への配置でき、誘導加熱調理器の本体の薄型化を実現することができる。
【実施例2】
【0052】
図5の断面図を用いて実施例2の誘導加熱調理器を説明する。実施例2は、実施例1で示したファン装置41を省略したことに伴い、ヒートシンク6の形状を変更することで、制御基板7の冷却を誘導加熱コイル2側のファン装置40で行う実施例である。なお、実施例1と同等の構成については説明を省略することとする。
【0053】
本実施例では、制御基板7の高発熱素子5に設置するヒートシンク6のフィンを金属ケース8の底面まで延ばした構成となっている。つまり、ヒートシンク6の放熱面積を広くしたものである。本構成では、ヒートシンク6に供給する空気は誘導加熱コイル2の下方に設けたファン装置40であり、ファン装置40から吹き出した空気が、誘導加熱コイル2とヒートシンク6に向かって吹き出す構造となっている。ファン装置40は、実施例1に示したファン装置41に比べ、比較的周りの空間を広く取り易いため、回路基板70を小型化することで、ファン装置40の外形や厚さを大きくし、風量特性の大きいファン装置を配置することが可能である。
【0054】
ファン装置40から誘導加熱コイル2に流れる主な空気は、コイルベース21に沿って流れ、誘導加熱コイル2を冷却し、制御基板7とトッププレート9の間隙を通って排気口81に導かれる。
【0055】
ファン装置40からヒートシンク6に流れる主な空気は、回路基板70に沿って流れ、ヒートシンク6のフィン間を通って高発熱素子5を冷却し、さらにその下流のコンデンサ51などを冷却し、排気口81から排気流11として流れ出る。
【0056】
このように、本実施例の誘導加熱調理器によれば、誘導加熱コイル2を冷却するために設けられたファン装置40を用いて、制御基板7も冷却できるので、実施例1の構成よりも簡易な構成で同様の冷却性能を実現することができ、実施例1の構成よりも更に薄い誘導加熱調理器を得ることが容易となる。
【実施例3】
【0057】
図6の断面図を用いて実施例3の誘導加熱調理器を説明する。実施例3は実施例2の制御基板7の変形例であり、実施例2と同等の構成については説明を省略することとする。
【0058】
本実施例では、ヒートシンク6に設置する高発熱素子5を、制御基板7の基板部分と同程度の高さ位置に配置したものである。本構成では制御基板7とトッププレート9の間隙に風路の一部を遮蔽する高発熱素子5が無いため、誘導加熱コイル2を冷却した後の空気を効率良く排気口81まで誘導できる。図示したように、制御基板7に開口や切り欠きを設け、高発熱素子5を嵌め込む構成であれば、さらに実装密度を向上させ、実施例2の構成と比較しても、本体の小型化に有効となる。
【実施例4】
【0059】
図7の分解斜視図を用いて実施例4の誘導加熱調理器を説明する。実施例4は、一口のビルトイン型IHクッキングヒータに本発明を適用したものであり、実施例1と同等の構成については説明を省略することとする。
【0060】
図7は、トッププレート9と誘導加熱コイル2を外し、誘導加熱コイル2に高周波電流を供給する制御基板7を収納した本体外郭を構成する金属ケース8内の部品配置などを示した本体内部構造の斜視図である。
【0061】
本実施例のように、制御基板7は誘導加熱コイル2の外方の存在する空間を利用し、誘導加熱コイル2を外周から覆うようにコ字形状にすれば、広い実装面積を得ることが可能になり、小さいスペースの金属ケース8内に誘導加熱に必要な電子部品を収納できるとともに、全ての電子部品を効率良く冷却することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
2 誘導加熱コイル
2a 温度センサ
5 高発熱素子
6 ヒートシンク
7 制御基板
7a、70a 基板ベース
8 金属ケース
9 トッププレート
9a、9b 鍋載置部
10 吸気流
11 排気流
20、24 フェライト
21 コイルベース
29 保持バネ
40、41 ファン装置
50 電子部品
51 コンデンサ
70 回路基板
81 排気口
82 吸気口
90 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチンに組み込む本体外郭を形成する金属ケースと、
本体上面に設けられたトッププレートと、
該トッププレートの下方に設けられた誘導加熱コイルと、
該誘導加熱コイルを制御する制御基板と、
ベース面とフィン部とを有するヒートシンクと、
前記制御基板を冷却するファン装置と、
前記金属ケースの底面に設けられた吸気口を備え、
前記制御基板の高発熱素子が設置されるベース面が前記トッププレート側となり、前記フィン部が前記ファン装置側となるように、前記ヒートシンクを該トッププレートと略平行にして配し、
更に、前記制御基板を前記誘導加熱コイルの外周に配置したことを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項2】
前記ヒートシンクのベース面と前記制御基板が略同一高さに設けられていることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
【請求項3】
前記ファン装置は、前記ヒートシンクの下方にあることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
【請求項4】
前記ファン装置は、前記誘導加熱コイルの下方にあることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
【請求項5】
前記高発熱素子をトッププレート側の制御基板に実装し、コンデンサ等の他の電子部品をその裏面に実装したことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
【請求項6】
前記ヒートシンクが前記制御基板の上下に跨って配置されることを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate