説明

誘導式の位置測定装置または角度測定装置

【課題】本発明の課題は、大きな温度領域で使用でき、機械的な公差と測定オブジェクトの摩耗とに対して耐性を有し、特性曲線が線形である可能な限り大きな位置測定領域または角度測定領域を有する省スペースの位置測定装置または角度測定装置を提供することである。
【解決手段】可動の測定エレメントによるオーバーラップの程度に依存して生成されるインダクタンスの変化に起因してパルス周波数を変化する測定コイルを含む測定発振器である第1の発振器と、測定コイルまたは基準コイルを含む測定発振器または基準発振器である第2の発振器とを有し、基準コイルは、該可動の測定エレメントによって完全にオーバーラップされるかまたは完全にカバーされないことにより定義され、該測定発振器および基準発振器のパルス周波数はデジタルの評価回路においてカウントされる構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つまたは3つまたは4つのデジタル発振器を有する誘導式の位置測定装置または角度測定装置に関する。前記デジタル発振器はそれぞれ、測定コイルまたは基準コイルのいずれかを有する。この測定コイルまたは基準コイルはコイルシステムを構成し、このコイルシステムの近傍において可動の測定エレメントは、所定の位置または所定の角度位置をとる。
【背景技術】
【0002】
測定エレメントはたとえば、自動車トランスミッション内に組み込まれたギヤセンサに配属することができる。このような適用事例では、測定エレメントはトランスミッション内の変速段選択調整要素に機械的に接続されている。とりわけ変速段選択調整要素は、ツインクラッチトランスミッションのシフトスイングとすることができる。測定エレメントは、調整要素の直線運動に適合するか、またはたとえばシフトスイングの円弧状の運動に適合することができる。第2のケースでは、円弧状のコイルシステムにわたって案内される測定エレメント自体を、運動方向に相応して湾曲することができる。このような誘導式の位置測定装置によって、オートマチックトランスミッションにおいてどの変速段が現在入れられているかに関するフィードバックが可能になる。さらに、このような誘導式の位置測定装置は、シフト過程のトランスミッション内部の経過をその時点に即して高い位置精度で検出し、たとえば、ツインクラッチトランスミッションにおいて「同期リングAへの係合」位置と「中間」位置と「同期リングBへの係合」位置との間の上記のシフトスイングの運動を、その時点に即して高い位置精度で検出する。
【0003】
誘導式の測定装置は、有利には渦電流センサの原理にしたがって動作する。本発明の枠内では、測定装置におけるインダクタンス変化を、たとえばフェライト等の軟磁性の材料から成る測定エレメントによって実現することもできる。しかし以下では、磁界の強化ではなく、磁界の弱化を例として考察する。測定コイルの磁界は、導電性の測定エレメントに渦電流を生成し、この渦電流はコイルに戻り作用する。とりわけ測定コイルのインダクタンスは、該コイルに対する測定エレメントの相対的な空間的位置によって影響される。このような可変のインダクタンスはコンデンサの容量とともに、たとえばコルピッツ発振器として構成された相応の発振器の固有周波数を決定する。この固有周波数の評価によって、(i)たとえば24mmの測定領域以内の良好な位置分解能で、(ii)たとえば1msの良好な時間分解能で、位置測定を行うことができる。
【0004】
DE4237879A1に、同様に構成された誘導センサのための評価回路が開示されている。2つの測定コイルが差動センサとして接続されている。すなわち両コイルのインダクタンスが、コアの検出される位置に依存して逆方向に変化する。各測定コイルは2つのコンデンサとともに発振器として動作し、この発振器に反転増幅器が補足されて、デジタル方式のコルピッツ発振器が完成される。このような発振器の出力信号はデジタル評価回路において直ちにさらに処理することができる。発振器の振動時間は、発振器信号によってカウンタがトリガされ、たとえば2振動周期の経過後に終了されることによって決定される。カウンタのカウンタ状態は、特別な発振器によって供給されるクロック周波数に同期して上昇される。このクロック周波数は実質的に、センサ発振器の周波数より高い。次に、2つの逆方向のセンサ発振器のカウンタ状態が減算され、デジタル測定結果として出力される。
【0005】
DE4038515A1から、長さ測定または角度測定を行うための別の装置が公知である。この装置はたとえば自動車において、車体レベルを調整するかまたはクランクシャフトの角度位置を測定するために使用される。この測定装置の問題として、周辺条件の大きな温度領域および別の悪影響が挙げられる。走査コイルはそれぞれLC振動回路の一部であり、LC振動回路の方は、調整される走査発振器によって動作する。発振器回路および振動回路はアナログ回路として交流電圧を生成し、この交流電圧の周波数は該振動回路によって決定されるが、測定中は実質的に変化しない。むしろ複数の走査発振器を併用し、これらの振動回路の振幅を、複数の並列な符号トラックからの減衰ないしは非減衰によって調整する。妨害となる走査コイル間のクロストークを消去するためには、振動回路を、ある程度異なる共振周波数に整合する。それぞれの走査コイルを減衰するためには、それぞれ長さ単位で較正された次のようなトラックが使用される。すなわち、交互に金属性の導電性の面と非導電性の面とから成るバイナリトラックが使用される。大きな温度領域において確実な測定結果を得るためには、付加的な基準発振器が設けられる。この基準発振器は走査発振器とともに、実質的には同じ構成で、空間的に次のように配置される。すなわち、走査発振器と同一の周辺環境にさらされるように配置される。この基準発振器は常に非減衰状態に維持され、とりわけ基準発振器は、一定の振幅を有するモードにアナログ制御される。環境影響を反映する前記基準発振器の制御量は、本来の走査発振器の振幅制御に使用され、ひいては該走査発振器の電圧に対する比較値として使用される。
【0006】
上記形式または同様の形式の誘導式測定装置をトランスミッションにおいて使用する際には、公知の温度依存性を超越する5つの問題が増長され、相互間で増幅されて現れる。まず、トランスミッションにおいて、発振器および評価回路を取り付けるのに目的に適ったプリント基板の構成スペースが基本的に狭くなっており、誘導性の測定原理にも起因して制限される。第2に、プリント基板上に平坦に取り付けられたコイルと、発振器回路および評価回路の他の構成部分は、通常の温度ドリフトに影響されるだけでなく、トランスミッション内で−40℃〜+150℃の間の動作温度をとる温度領域内で、可動の測定エレメントと高い信頼性で共働しなければならない。第3に、このことによって引き起こされる熱膨張の他に付加的に、トランスミッションにおける機械的な公差が、平坦な測定コイルと、可能な限り一定の間隔で該測定コイルより上方を案内すべきプレート形の測定エレメントとの間の機能上重要な高さ間隔に影響する。さらに第4に、誘導式センサ系は、変速段切替調整要素の運動経路上に複数の過渡的位置に分解するか、または複数の角度位置に分解しなければならないので、比較的大きな測定領域のセンサの線形の特性曲線が必要である。最後に第5に、トランスミッションのオイルパンに摩耗によって集められた金属沈殿物が測定に影響してはならない(たとえば、動作期間が長くなるとともに永久磁石が鉄の摩耗によって転位されるホールセンサの場合のように)。
【特許文献1】DE4237879A1
【特許文献2】DE4038515A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、省スペースの次のような位置測定装置または角度測定装置を提供することである。すなわち、大きな温度領域で使用でき、機械的な公差と測定オブジェクトの摩耗とに対して耐性を有し、特性曲線が線形である可能な限り大きな位置測定領域または角度測定領域を有する位置測定装置または角度測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、請求項1の特徴を有する誘導式の位置測定装置または角度測定装置によって解決される。従属請求項に、目的に適った実施形態が記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
請求項1記載の測定装置は、以下の特徴を以下のように組み合わせて、目的に適った全体的な解決手段を成す:
DE4237879A1およびDE4038515A1に記載の従来技術のように、発振器としてLC振動回路を使用する。DE4237879A1と異なる点として、これらの発振器は時間多重で同一のコンデンサを共用するのではなく並列して動作し、各発振器は独立して、発振器コイルの切り換えなしで動作する。DE4038515A1と異なる点は、絶対位置測定では1つの測定発振器のみで十分であるか、または択一的に、2つの測定発振器を差動接続で使用するだけで十分である。このことの利点は、小さい部分で較正された2成分の並列する複数の符号トラックを発振器列によって走査する代わりに、それ自体は構造化されておらず比較的広がりを有しており頑強であって目的に適った外側輪郭のみが設けられた測定エレメントを使用することが可能であることだ。
【0010】
本発明の発振器は、振幅が制限されたパルス波形の出力信号を、位置に依存するパルス周波数で供給するという点では、デジタルで動作する。このことの利点は、出力信号をアナログ/デジタル変換器または復調器なしで直接、デジタルで後続処理できることである。DE4038515A1と異なる点として、コイルの減衰を表す尺度としてアナログの振動振幅を使用しない。DE4237879A1と異なる点は、発振器のパルス周波数は25〜60MHzの領域内にあるため、評価回路内で直接(すなわち、付加的なクロック発振器を使用せずに)カウントできる程度の高さであることだ。
【0011】
測定コイルを有する発振器の他に、請求項1記載の別の発振器は基準コイルも有し、この基準コイルによって基準発振器が構成される。このような基準発振器のパルス周波数は、DE4237879A1の測定コイルとも測定発振器とも異なり、可動の測定エレメントがコイルにオーバーラップする程度に依存するのではなく、位置測定とは別個に、測定コイルに同様に影響する妨害影響を検出する。補償すべき妨害量に応じて、基準コイルは可動の測定エレメントの測定領域全体において完全にカバー/減衰されるか(高周波発振器)、または完全に抑圧/減衰されない(低周波発振器)。
【0012】
たとえば、「測定距離の関数であるパルス周波数」曲線の温度依存性は、簡単な計算演算によって補償することができる。良好な結果を得るためには、測定発振器のパルス周波数と低周波発振器の基準パルス周波数との減算を行う。DE4038515A1と異なり、基準発振器を一定に維持するための制御回路を使用しなくてもよく、基準発振器で得られる制御量を測定発振器に供給しなくてもよい。
【0013】
コイルシステムとプレート形の測定エレメントとの間の高さ間隔に大きく影響する機械的な公差を補償するためには、DE4237879A1およびDE4038515A1のいずれでも設けられていない第2の種類の基準発振器が使用される。有利にはすべてのコイルが、測定エレメントによってオーバーラップされるコイルは必ず平坦に形成される。すなわち、フラットコイルとしてプリント基板にエッチングによって形成される。トランスミッションへの測定装置の取り付けに起因する静的な公差によって、各トランスミッションごとに0.5mm〜3mmの間で変動することがある高さ間隔が生じる。その上にさらに、測定装置の動作中に発生する高さ間隔の公差も存在する。これはトランスミッションにおける熱膨張に起因し、さらに±0.5mmが加算される。振動の形態の動的な妨害も、測定エレメントからコイルシステムまでの間隔を変化する。このような妨害影響は、可動の測定エレメントによって測定領域の各位置で完全にオーバーラップされる基準コイルによって遮断される。このようにして渦電流によって引き起こされる最大減衰により、基準コイルのインダクタンスが最小になり、所属の基準発振器のパルス周波数が最大になる。この場合、妨害影響を補償するためには、測定発振器のパルス周波数から基準パルス周波数を単純に減算するだけでも十分である場合がある。しかし、さらに有利なのは、両基準コイルのパルス周波数を相互に減算する構成である。この差は、存在する測定条件下で可能な最大値を供給し、この最大値は、適切な測定時間を適合するための正規化値として使用される。適合的に決定された測定時間中は、測定発振器のパルス周波数も両基準発振器のパルス周波数もカウントされる。このために適した、3つの発振器のための測定コイルシステムおよび基準コイルシステムが特に有利である。
【0014】
すべての発振器のデジタル信号は、集積化された評価回路に供給される。この評価回路はゲートアレイ(GA)として構成されるか、または、使用者によってプログラミング可能とするか(FPGA)、またはアプリケーション固有に固定的に接続することができる(ASIC)。供給されたパルス周波数はすべて、非同期の周波数カウンタ内の入力段でカウントされる。カウンタの開始信号および終了信号は制御ユニットによって生成される。非同期カウンタの測定時間すなわち開始信号と終了信号との差は、制御ユニットに対して、上記の基準測定によって設定される。
【0015】
非同期カウンタのカウンタ状態は、必要な場合にはレジスタに一時記憶され、その後に計算され、とりわけ対ごとに減算される。本発明の実施形態では周波数対の信号差が対象とされ、このような周波数対すべてに対し、評価回路内に減算器が設けられている。
【0016】
評価回路の同期部分は、システム周波数によって内部クロック制御される。DE4237879A1とは異なり、特別なクロック発生器は設けられず、その代わり、システム周波数は発振器のパルス周波数から、カバーされていない基準コイルによって導出される。発振器周波数をシステムクロックとして使用することにより、発振器内部で同様に発生する温度ドリフトに対する温度補償が省略される。さらに、評価回路の構成部分である特別なクロック発生器が削減され、このことによって、ASICチップを使用する際に必要なチップ面積が縮小される。
【0017】
本発明の課題は、ちょうど3つの発振器が設けられた誘導式の位置測定装置または角度測定装置によって特に有利に解決される。第1の発振器は測定発振器として、冒頭に述べた測定コイルを有する。この測定コイルは測定距離に相応して、可動の測定エレメントによって部分的にオーバーラップされる。第2の発振器は低周波発振器として、カバーされない基準コイルを有し、第3の発振器は高周波発振器として、完全にオーバーラップされる基準コイルを使用する。このような3重のコイルシステムは2コイル構成と比較して、次のような利点を有する。すなわち、不利な動作条件下でも位置測定値を補償するために必要な基準値すべてを検出できるという利点を有する。それと同時に3重のコイルシステムは4コイル構成と比較して、測定ボード上の所要スペースが小さくなるという利点を有する。第4のコイル(第2の測定コイル)によって実現される、特性曲線が線形化されるという利点は、より簡単な手段によっても実現することができる。すなわち、プレーナ形の測定コイルの矩形の基本形の終端領域における台形状の拡がりによって実現することができる。測定エレメントのオーバーラップ領域におけるコイルはプレーナコイルであり、ある程度ずれているカバーされない基準コイルは、SMD形態で離散的な3次元の素子として構成することができる。
【0018】
デジタル発振器の有利な構成は、測定コイルまたは基準コイルの他に、コルピッツ接続された2つのコンデンサも有する。その際には、負荷抵抗を有するフィードバック型のインバータが、アナログのLC振動をデジタルパルス列に変換する。後続の処理では、パルス周波数のカウントおよび減算が行われ、このデジタル評価回路のシステム周波数は低周波発振器のパルス周波数から導出される。
【0019】
発振器信号を測定信号としても評価回路のシステム周波数としても2重に使用するという利点は、比較的妨害されない環境で2つの測定発振器で十分である測定装置でも利用することができる。評価回路の動作はここでは、測定発振器のうちいずれか1つのパルス周波数から導出されたシステム周波数によってクロック制御される。測定された周波数‐ひいては制御側のシステム周波数‐が測定領域の枠内で変化を受ける場合、評価回路におけるステップシーケンスは妨害されない。
【0020】
2つの測定コイルは、測定過程中、該測定コイルの部分的なオーバーラップを交代する。これら測定コイルの測定信号の差は特性曲線の勾配を倍化する。このことは公知のように、分解能または測定領域または測定ダイナミクスに利用することができる。
【実施例】
【0021】
本発明の実施例を図1〜17cに基づいて説明する。
【0022】
図1は、部分的に渦電流減衰エレメントによってオーバーラップされた測定コイルの基本的原理を示す。第2のコイルはこの場合、測定コイルとしても使用され、該第2のコイルの部分的なオーバーラップは、第1の測定コイルの部分的なオーバーラップと逆である。両コイルは公知のように、プリント基板上に平坦に設けられ、コイル導体路の接続端は、コンデンサおよび別の回路構成部分によって発振器に接続されている。各コイルあたり1巻きで十分であるが、複数の巻数から1つの扁平な螺旋体を構成することもできる。
【0023】
これら2つのフラットコイルは矩形の基本形を有し、測定方向に相互に連続して配置されている。フラットコイルより上方の所定の高さ間隔において、導電性の渦電流減衰エレメントが可動の測定エレメントとして案内される。択一的な測定原理によれば、測定エレメントをフェライト等の軟磁性材料から形成することもできる。測定コイルのほぼ完全なオーバーラップから該測定コイルのほぼ完全な解放までに及ぶ測定領域内で測定距離を移動し、この測定距離に基づいて、測定エレメントのその時点の位置が検出される。図1に示されたような、逆方向の作用を伴う2コイルシステムは、測定装置の比較的急峻な特性曲線、すなわち比較的高い感度に特に適している。
【0024】
図1aおよび1bは、コイル間の衝突位置に関して図1に対して択一的な差動コイルシステムを示す。このような差動コイルシステムも、本発明において有利に使用することができる。自明のように、測定コイルは3角形の基本形を有し、対角線上の分離線によって矩形の配置にまとめられている。測定エレメントの位置に依存する信号特性経過は逆方向であり、ここでも差信号が検出される。図1cに示された特性曲線はこの場合、測定エレメントの間隔および/または傾きの静的な変化(公差に起因する変化)または動的な変化(運動に起因する変化)を補償するのに使用することができる。図1aの側面図が示すように、位置測定結果は、均質に平行な高さ間隔hからのずれに影響される。図1cの特性曲線マップでは、実線の特性曲線は、均質に平行な高さ間隔hの場合のセンサ1および2の位置ないしはオーバーラップに依存する逆方向の出力信号を示す。比較のために破線の特性曲線は、傾きを有する理想的な信号特性経過を示す。この実施例では、減衰エレメントの右側のエッジの方が、該減衰エレメントの左側のエッジより高い。
【0025】
図2では、図1の2コイルシステムは4コイルシステムに拡張されている。可動の測定エレメントは図1より比較的長く、ここでは2つの隣接するフラットコイルにオーバーラップすることができる。測定コイルが位置測定装置に対して横方向にずれていることは任意選択であり、測定コイルは図15aでは、一直線上に存在する。可動な測定エレメントが測定領域の左半分で停止している場合、上方のコイルIおよび III が測定コイルとしての機能を引き継ぐ。このことは図1と同様である。下方のコイルによって、II は完全にオーバーラップされており、IV は完全にカバーされていない。これらの信号は評価回路において基準信号として使用することができる。永続的に減衰されるコイル II は高周波発振器に所属し、この信号は、コイルシステム全体より上方の可動の測定エレメントの高さ間隔を表す尺度である。永続的に減衰されないコイル IV は低周波発振器に所属し、この信号は、周辺温度とたとえば構成素子の経時変化等の別の妨害量とを表す尺度である。
【0026】
4コイルシステムの可動の測定エレメントが測定領域の右側部分に存在する場合、機能は反転する。ここで下方のコイル II および IV は、差動測定コイルの種類にしたがって部分的に逆にオーバーラップされ、上方のコイル I および III はここでは基準コイルとして使用することができる。このようなコイルシステムは、測定装置のために十分なスペースを使用することができ、測定を特に高精度で、特に妨害なしで行わなければならない場合に適している。
【0027】
図3は、測定コイルと高周波コイルと低周波コイルとを有するコイルシステムの別の有利な構成を示す。図4は、測定領域の2つの異なる位置における所属の測定エレメントを示す。測定コイルはオーバーラップの程度に依存して減衰され、該測定コイルの信号は第1に、位置sの関数f(s)である。しかしこの測定信号には、不安定な高さ間隔hと変動する動作温度Tとに起因する妨害も含まれる。このような妨害を補償するための信号を得るためには、測定コイルの近傍に設けられた高周波コイルと、該測定コイルから離隔されて配置された低周波コイルとが適している。高周波コイルの測定関数をf(h)とし、低周波コイルの測定関数をf(T)とする。測定エレメントまたは減衰エレメントによって影響される高周波コイルと測定コイルとを、図4aにおいて側面輪郭でも示すことにより、高さ間隔hのパラメータを明確に示している。実際には、減衰エレメントは公差に起因して傾き、また機械系の負荷にも起因して動的に傾く。ギヤセンサの中には、測定方向sの傾きを考慮するだけで十分であるギヤセンサが幾つか存在し、また、複数の軸に傾きが生じる別のギヤセンサも幾つか存在する。
【0028】
図5は、図1に示された測定コイルの矩形の基本形を変化し、これによって特性曲線を改善する手段を示す。図6では、特性曲線の象徴的な図示内容(図5でも同様)をより詳細に示している。この特性曲線グラフは、横軸上で可動な測定エレメントの位置sを示し、縦軸上で、部分的にオーバーラップされる測定コイルを有するデジタル発振器のパルス周波数fを示す。基本的に発振器周波数fは、測定エレメントによる測定コイルのオーバーラップsが拡大するとともに上昇する。しかし、測定領域として良好に利用できるのは、ほぼ線形の特性曲線を有する過渡領域の一部のみである。この測定領域を可能な限り広幅にし、また該測定領域内の線形性を改善するためには、測定コイルの矩形の基本形を図5に示されたように変更することが適している。測定領域の左側の端部において基本輪郭を台形状に拡げることにより、特性曲線の端部における湾曲を鮮明に屈曲することができる。ここでは、図5のトランペット形状または台形は一例であると理解すべきであり、当業者であれば、簡単な試行によって最も有利な基本輪郭形状を突き止めることができる。
【0029】
適用目的に応じて選択されたコイルシステムは、他の発振器モジュールおよびデジタル評価回路とともにプリント基板上に配置される。プリント基板装置全体はアルミニウム筐体内に挿入されて封止される。このようにして取り付けられた測定装置は、可動部分を有さないコンパクトな形状を有する。可動な測定エレメントは形状および材料に応じて簡単に定義することができるので、完全に異なる製造法で(たとえば、シフトスイングの鋳込み時に一体鋳造されるラグとして)製造することができ、かつ、封止されたプリント基板装置と確実かつ無妨害で共働することができる。
【0030】
図8および9に示されたブロック回路図は、発振器の信号がどのようにして評価回路に供給されるかを示す。各発振器信号は入力段で周波数カウンタに供給され、周波数カウンタは所定の測定時間中、パルスをカウントする。図7中の関連のグラフは、両基準発振器のカウンタ状態が測定時間中にどのように上昇するかを示している。最も緩慢に上昇するのは、減衰されない低周波発振器のカウンタ状態Flowである。高周波発振器の上昇は、完全にオーバーラップされるので迅速である(インダクタンスの低下は発振器周波数の上昇を意味する)。3mmの高さ間隔が、必要な位置分解能を保証する通常のケースとして定義される。このような測定条件に対し、後続のカウント値すべてを正規化するための基礎となる最大測定値が設定される。この最大測定値は、高周波発振器のカウンタ状態と低周波発振器のカウンタ状態との差であり、この差は測定時間中に上昇する。したがって、部分的にオーバーラップされる測定コイルのカウンタ状態は、周辺定義されたこれら2つの限界値間にある。
【0031】
コイルシステムとは独立して取り付けられた測定エレメントの上記の妨害影響に起因して、高さ間隔が3mmの値からたとえば2mmまたは1mmまで低減することがある。このような測定条件下では、高周波発振器のカウンタ状態はより迅速に上昇する。評価回路は、正規化の基礎となる最大測定値を保持するので、このような測定条件下では測定時間が短縮される。評価回路の第1の実施例(図8および9)ではたとえば、測定装置の較正に際して、また、その後で測定中にも、高さ間隔ひいては測定時間が、決定された規準領域の近傍にあることが検出される。したがって評価回路としては、図8および9に示された実施例で十分である。以下で、図10〜13に基づいて第2の実施例を説明する。この実施例では、測定条件が規準からずれて異なる場合、結果除算が開始される。
【0032】
図8では、測定発振器の信号および低周波発振器の信号が処理されて位置測定結果が導出される。入力段においてパルス周波数がカウントされる。こうするために「結果」制御ユニットは、カウンタに対して開始信号および終了信号を供給する。このためには、一般的なシステム周波数Fsysと測定時間に関する情報とが必要であり、これらは双方とも、図9に示された回路から取り出される。低周波発振器に対する非同期カウンタは、図7に示されているように最大測定時間で上昇され、周辺温度を反映する参照値を供給する。測定発振器の信号は非同期カウンタのカウンタ状態に付加的に、測定エレメントによる部分的なオーバーラップの影響も含む。図8に示された減算器は、温度に依存する差値を供給する。測定時間を再較正または適合するためには、評価回路の図9に示された部分が使用される。低周波発振器の周波数Flowからシステム周波数Fsysが導出され、このシステム周波数Fsysによって「正規化値」制御ユニット(図9)および「結果」制御ユニット(図8)はクロック制御される。特別なクロック発振器は必要ない。システム周波数Fsysとして、低周波発振器のパルス周波数を直接使用することができ、また、分周器を中間接続することもできる。図9では、発振器周波数のうち最も低い周波数が2で分周されることにより、システムクロックが生成される。
【0033】
図9において、入力段および減算器に設けられた非同期カウンタは図8に比類するが、高周波発振器の測定発振器の代わりに、最大可能カウント値を供給する(図7参照)。この差が所定の最大値に達した場合、比較器が測定時間に関する情報を供給する(測定カウンタを終了)。この測定時間情報は、図8および図9では制御ユニットによって、カウンタに対する開始信号および終了信号と、減算器の前方および後方のメモリに対する引継信号とを求めるために必要とされる。
【0034】
図8および9に示された評価回路はゲートアレイ(GA)として実現するか、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として実現するか、または特殊用途向け集積回路(ASIC)として実現することができる。有利な実施形態ではゲートアレイは、非同期で動作するセンサ近傍の評価回路として設けられる。
【0035】
図10に測定時間計算の1つの変形形態が示されている。この変形形態は、機械的な公差に起因して高さ間隔を2mmまたは1mmにまで低減しなければならない場合に適用される。この場合にはカウンタ状態は、決定された最大値を超えて上昇する可能性がある。このような状況は、評価回路の第2の実施例において結果除算によって考慮される。いわば延長された測定時間で得られるカウンタ状態を比較可能に維持し、決定された正規化値を超えないようにするためには、図11に示された評価に減算結果の除算を補足する。周波数領域f3における高い周波数に対しては除算係数4が使用され(図13参照)、周波数領域f2における上昇が比較的小さい周波数に対しては除算係数2が計算経路に供給される(図13も参照されたい)。規準として使用される周波数領域f1では除算係数1が適用される。すなわち、すでに図8に基づいて説明された計算が行われる。
【0036】
測定時間の計算は、図2の実施例では比較的複雑である(図12参照)。高周波発振器と低周波発振器との間の差の計算はこの場合、図13の周波数領域f1を上回り、2通りになる。第1にこの差から、図11において付加的な除算過程で必要とされる除数の値が求められる。第2に、特別な計算で測定時間情報が求められ、「正規化値」制御ユニットおよび「結果」制御ユニットへ供給される。
【0037】
ギヤセンサとして使用される際には、可動の測定エレメントは、誘導式センサを担持するプリント基板と一緒には取り付けられない。むしろ、この薄板はツインクラッチトランスミッションのスイングに取り付けられる。センサコイルからの機能上重要な間隔は、この組立後には比較的可変であり、測定エレメントの相対的な傾きも考慮することができる。このような傾きによって、測定エレメントから測定コイルまでの間隔が基準コイルまでの間隔より小さくなる可能性がある。これを補償するためには、測定コイルの領域内の実際の間隔を推定するために使用される別の基準コイルが、傾き方向あたり少なくとも1つ必要である。測定運動がフラットコイルの平面に対して完全に平行でない場合、妨害量である高さ間隔および傾きは動的に変化することさえある。すなわち、動作に起因する測定運動中に変化することさえある。
【0038】
図14aは、機能的に図4bに比類するコイルシステムを示す。このコイルシステムは、平行な高さ間隔hの変化による妨害を補償するためにだけでなく、傾き角度による付加的な妨害も補償するために使用することができる。図4aに示された1つの高さ測定コイルは、ここでは3つ以上の高周波コイルに置き換えられ、有利な実施例では4つの高周波コイルS1〜S4によって置き換えられている。高周波コイルS1〜S4より上の測定エレメントの異なる高さによって、2つの軸での傾きが見て取れる。測定されるのは、ここでも差信号である。関連の図14bに、図5および図6に示された各特性曲線の線形部分が示されている。この例では、センサS3‐S4の方向の傾きがセンサS1‐S2の方向の傾きより大きい。それゆえ、図14bに示された関連の特性曲線マップにおける差信号S3−S4は大きい。検出された傾きによって、傾きを有する実際の信号特性経過から、傾きを有さない理論的かつ無妨害の理想的な信号特性経過を推定することができる。ここでは実際の測定信号は、測定発振器の周波数と高周波発振器の周波数との差を表し、たとえば基準コイルS3における周波数との差を表す。
【0039】
図15aおよび15bは、1つの主方向のみの傾き補償を示す同様の図である。しばしば、この傾きは単に、図14bでは傾き信号S1‐S2がゼロになるように現れることが多い。したがって、図15aでは複数のコイルが1列に配置され、次のように動作する。すなわち、その時点で部分的にのみオーバーラップされたコイル(たとえばS3)は距離測定に使用されると同時に、完全にオーバーラップされたコイル(たとえばS1およびS2)は測定エレメントの間隔を検出するように動作する。別の実施形態では、コイルS1〜S4は円弧上または円周上に配置され、位置測定装置が角度測定装置とされる。
【0040】
減衰エレメントが傾いている場合、傾斜角度は、完全に減衰されるコイルS1,S2によって供給される異なる高さh1,h2によって計算される。このようにして、コイルS3の距離信号を補正することができる。完全に減衰されるコイルの数が多いほど、この高さ測定および補正は精確になる。
【0041】
図15aでは、図示されている測定位置で(完全にオーバーラップされた)コイルS1およびS2は高さ測定コイルとして見なされ、次のコイルS3,S4およびS5は、分割された距離測定に使用される。というのも、これらは連続して部分的にオーバーラップされるからである。高さコイルと分割された距離測定とのこのような組み合わせは、冗長的な距離測定の一部とすることもできる。このことは図16に示されている。冗長的な距離測定とはここでは、通常の測定コイル1の他に付加的に、第1の測定コイルの上方または下方の別の平面に、別のコイルシステムも同一の測定領域内に配置されていることを意味する。これら2つの冗長的なコイルシステムの測定領域も、部分的にのみオーバーラップすることができる。このことは図16において、測定コイル4によって示されている。
【0042】
図17a〜17cに、図16の冗長的な測定コイルシステムが示されており、この測定コイルシステムが可動の測定エレメントによって3つの異なる測位位置においてどのようにオーバーラップされるかが示されている。測定エレメントまたは操作エレメントのここに図示された3つの位置は、主測定コイル1の測定領域をカバーする。さらに、冗長的な測定コイル2および3は、分割されたコイルシステムとして使用され、このコイルシステムは上記主測定コイル1とほぼ同一の測定領域を有する。それゆえ、測定コイル1が欠落した場合、なおも冗長的な測定コイル2および3によって位置測定を行うことができる。
【0043】
測定コイル4はこの領域において、上記のように間隔変化を補正するための高さ測定コイルとして使用される。図17cに示された最後の位置(すなわち、図17bに示された中間位置から図17cに示された最終位置への移行時)では、常にオーバーラップされる測定コイル3が高さ測定コイルの機能を引き継ぐ。
【0044】
したがってまとめると、図16および17では、高さ測定コイルによって、可動の減衰エレメントまたは測定エレメントの有無の妥当性も求めることが可能であることが理解できる。高さ測定コイルが複数である場合、減衰エレメントの位置を比較的粗く規定することもできる。セーフティ関連のシステムに関しては、SIL1〜3に準拠して分類が行われる。このIEC‐61508規格は、評価系統の欠落時にもフォールバック位置を可能にするためには、独立したソフトウェアシーケンスおよび独立したハードウェア系統を必要とする。このような要求は、図16および17に示された、たとえばギヤセンサに対して使用できるような冗長的な構成において、次の点で満たされる。すなわち、距離センサ系本体が欠落することがあっても、アクチュエータ系の粗い位置(右側、中間、左側)が可能になるという点で満たされる。図17aに示された位置では、距離コイル1の減衰は僅かであり、高さコイル4は完全に減衰される。したがって、高さコイル4を介して付加的に、システムが右側の領域にあることを求めることができる。減衰エレメントが中間に位置する場合(図17b)、距離コイル1は部分的に減衰されるのに対し、コイル3および4は高さコイルとして完全に減衰される。したがって、高さコイル3,4を介して冗長的に、システムが中間の領域にあることを求めることができる。減衰エレメントが左側に存在する場合(図17c)、距離コイル1は完全に減衰され、高さコイル2および3も完全に減衰される。したがって、高さコイル2,3を介して冗長的または付加的に、システムが左側の領域にあることを求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1a】位置測定装置の一部である、測定エレメントを備えた2コイルシステムを示す。
【図1b】位置測定装置の一部である、測定エレメントまたは減衰エレメントを備えた別の2コイルシステムを示す。
【図1c】図1bに示されたセンサ1および2の出力信号が、減衰エレメントの傾きをパラメータとして、該減衰エレメントによるオーバーラップの関数として示された特性曲線マップである。
【図2】位置測定装置の一部である、測定エレメントを備えた4コイルシステムを示す。
【図3】位置測定装置の一部である3コイルシステムを示す。
【図4】可動の測定エレメントによって2つの異なる位置で減衰される図3の3コイルシステムを示す。
【図4a】図4と同様の部分的に減衰された測定コイルと、完全にオーバーラップされた高さ測定コイルとを、平面図および側面図で示す。
【図5】基本形が矩形である測定コイルと、択一的に、矩形の基本形が台形状に拡がった測定コイルとを示す。
【図6】本発明による測定発振器の特性曲線を示すグラフである。
【図7】異なる測定条件における基準発振器の周波数カウントを表すグラフである。
【図8】評価回路において結果計算を行うための第1の実施例の電気的なブロック回路図である。
【図9】評価回路において正規化値および測定時間の計算を行うための第1の実施例の電気的なブロック回路図である。
【図10】評価回路の第2の実施形態を説明するための、図7と同様のカウントグラフを示す。
【図11】評価回路において結果計算を行うための第2の実施例の電気的なブロック回路図である。
【図12】評価回路において正規化値および測定時間の計算を行うための第2の実施例の電気的なブロック回路図である。
【図13】第2の実施形態で必要とされる除算係数を求めるためのグラフである。
【図14a】図4aに示されたコイルシステムに比類する多コイルシステムを示す。ここでは、図4aの高さ測定コイルは4つの高さ測定コイルに置き換えられている。
【図14b】図6の特性曲線の線形領域と同様であるが、任意の方向の測定エレメントの傾斜の付加的な作用が加わった、線形の特性曲線を示す。
【図15a】図2に示されたコイルシステムに比類する多コイルシステムを示す。ここでは、図2の高さ測定コイルは2つの高さ測定コイルに置き換えられている。
【図15b】図6の特性曲線の線形領域と同様であるが、主方向の測定エレメントの傾斜の付加的な作用が加わった、線形の特性曲線を示す。
【図16】分割された冗長的な測定コイルシステムを有する本発明の測定コイルの構成を示す。
【図17a】可動の測定エレメントが3つの異なるオーバーラップ位置に存在する、図16の冗長的な測定コイルシステムを示す。
【図17b】可動の測定エレメントが3つの異なるオーバーラップ位置に存在する、図16の冗長的な測定コイルシステムを示す。
【図17c】可動の測定エレメントが3つの異なるオーバーラップ位置に存在する、図16の冗長的な測定コイルシステムを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置において、
少なくとも1つの測定コイル(I,II,III,IV)を含む2つ以上のデジタルの発振器を有し、
第1の発振器は測定発振器として測定コイル(I,II,III,IV)を含み、
該測定コイル(I,II,III,IV)は、可動の測定エレメントによって該測定コイルと該可動の測定エレメントとの間のオーバーラップの程度に依存して生成されるインダクタンスの変化に起因して、該測定発振器のパルス周波数(s;F Mess の関数であるf)を変化し、
第2の発振器は測定発振器または基準発振器として、測定コイルまたは基準コイル(I,II,III,IV)を含み、
基準コイルは、該可動の測定エレメントによって完全にオーバーラップされるかまたは完全にカバーされないことにより定義され、該基準コイルに所属の基準発振器(Ref‐High;Ref‐Low)のパルス周波数(hの関数であるf;Tの関数であるf)は、該オーバーラップの程度に依存しないようにされており、
デジタルの評価回路が設けられており、該評価回路において前記パルス周波数(f;F)がカウントおよび計算されるように構成されていることを特徴とする、誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項2】
前記評価回路の動作は、前記発振器のうちいずれか1つのパルス周波数(F Low)から導出されたシステム周波数(F Sys)によってクロック制御される、請求項1記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項3】
前記評価回路でカウントされたパルス周波数(F Mess、F Ref,F High,F Low)は対ごとに計算される、請求項1または2記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項4】
少なくとも1つの基準コイル(I,II,III,IV)を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項5】
第2の発振器は低周波発振器(Ref Low)として、前記可動の測定エレメントによってカバーされない基準コイル(I,II,III,IV)を含み、
該低周波発振器(Ref Low)のパルス周波数(T;F Lowの関数であるf)は、周波数に影響するパラメータを補償するために使用され、たとえば周辺温度(T)および構成要素経年変化等を補償するために使用される、請求項4記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項6】
第2の発振器は高周波発振器(Ref High)として、前記可動の測定エレメントによって完全にオーバーラップされる基準コイル(I,II,III,IV)を含み、
該高周波発振器(Ref High)のパルス周波数(h;F Highの関数であるf)は、該可動の測定エレメントのコイル(I,II,III,IV)の高さ間隔(h)の不所望の変化を補償するために使用される、請求項4記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項7】
第2の発振器は低周波発振器(Ref Low)として、前記可動の測定エレメントによってカバーされない基準コイル(I,II,III,IV)を含み、
該低周波発振器(Ref Low)のパルス周波数(T;F Lowの関数であるf)は、周波数に影響するパラメータを補償するために使用され、たとえば周辺温度(T)および構成要素経年変化等を補償するために使用され、
第3の発振器は高周波発振器(Ref High)として、該可動の測定エレメントによって完全にカバーされる基準コイル(I,II,III,IV)を含み、
該高周波発振器(Ref High)のパルス周波数(h;F Highの関数であるf)は、該可動の測定エレメントのコイル(I,II,III,IV)の高さ間隔(h)の不所望の変化を補償するために使用される、請求項4記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項8】
前記第2の発振器および第3の発振器は高周波発振器としてそれぞれ、前記可動の測定エレメントによって完全にオーバーラップされる基準コイルを含み、
該高周波発振器のパルス周波数は、該可動の測定エレメントのコイルの高さ間隔の不所望の変化を補償し、かつ該可動の測定エレメントの測定方向での不所望の傾きを補償するために使用される、請求項1記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項9】
第4の発振器が高周波発振器として、前記可動の測定エレメントによって完全にオーバーラップされる基準コイルを含み、
該高周波発振器のパルス周波数も、該可動の測定エレメントのコイルの高さ間隔の不所望の変化を補償し、かつ該可動の測定エレメントの任意の方向での不所望の傾きを補償するために使用される、請求項8記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項10】
2つの測定コイルが、前記可動の測定エレメントの運動方向に連続して配置され、該測定コイルのうち一方の部分的なオーバーラップが拡大する際に、他方の測定コイルの部分的なオーバーラップは縮小され、評価すべきパルス周波数は相互に逆方向に変化するように構成されている、請求項1記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項11】
測定コイルのパルス周波数およびカバーされない基準コイルのパルス周波数が計算され、とりわけ減算されることによって測定結果が得られ、周波数に影響するパラメータ、たとえば周辺温度および構成要素経年変化等が補償される、請求項9記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項12】
前記システム周波数は、カバーされない基準コイルを有する発振器のパルス周波数から導出される、請求項2記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項13】
カバーされない基準コイルのパルス周波数と、完全にカバーされる基準コイルのパルス周波数とを使用して最大測定結果が計算され、
該最大測定結果は、前記発振器のパルス周波数をカウントするための測定時間を適合するための正規化値として使用される、請求項7記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項14】
前記3つのコイルはプリント基板上に平坦に配置されている、請求項7記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項15】
前記3つのコイルのうち少なくとも1つは、離散的な素子として前記プリント基板上に取り付けられ、とりわけSMD形態ではんだ付けされている、請求項7記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項16】
2つのコイルが前記プリント基板上にエッチングによって平坦に形成されている、請求項15記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項17】
平坦な前記測定コイルは、部分的にオーバーラップされる終端領域において拡開されている矩形の基本形を有し、
該基本形はたとえば、該終端領域において台形状に拡開されている、請求項8記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項18】
前記デジタルの発振器はそれぞれ、前記測定コイルまたは基準コイルの他に、周波数で決定される2つのコンデンサと、抵抗と、インバータとを有する、請求項1から17までのいずれか1項記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項19】
前記デジタルの発振器のパルス周波数は非同期カウンタでカウントされる、請求項1から18までのいずれか1項記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項20】
前記評価回路の同期部分の動作は、前記発振器のうちいずれか1つのパルス周波数から直接導出されたかまたはデジタル分周器を使用して導出されたシステム周波数によってクロック制御される、請求項2記載の位置測定装置または角度測定装置。
【請求項21】
第5の発振器が高周波発振器として、前記可動の測定エレメントによって完全にオーバーラップされた別の基準コイルを含み、
前記補償のために、平均間隔および傾きを4つの間隔測定によって求められ、計算によって前記測定コイルの領域に転置される、請求項9記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項22】
測定発振器である別の発振器が測定コイルを有し、
2つの測定コイルは、前記可動の測定エレメントの運動方向に連続して配置され、該測定コイルのうち一方の部分的なオーバーラップが拡大する際に、他方の測定コイルの部分的なオーバーラップは縮小され、評価すべきパルス周波数は相互に逆方向に変化するように構成されている、請求項7または9または21記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項23】
前記可動の測定エレメントの運動方向にさらに別の測定コイルも有する、請求項22記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項24】
2つの測定コイルを有し、
平坦な前記測定コイルは矩形の基本形を有する(図1)、請求項23から25までのいずれか1項記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項25】
平坦な前記測定コイルは、部分的にオーバーラップされる終端領域において拡開されている矩形の基本形を有する(図5)、請求項22または23記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項26】
前記測定コイルは、終端領域において台形状に拡開されている(図5)、請求項25記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項27】
前記測定コイルは3角形の基本形を有し、対角線上の分離部によって相互に噛み合って配置され、差動コイルを構成する(図1a)、請求項22または23記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項28】
前記第2の発振器は冗長的な測定コイル(2)を含んでいること、すなわち、前記第2の測定コイル(2)は前記第1の測定コイル(1)より下方または上方に、該第1の測定コイル(1)の測定領域内に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項29】
1つまたは複数の別の測定コイル(3,4)が、前記第2の測定コイル(2)と1列に設けられている、請求項28記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項30】
前記冗長的な測定コイル(2,3,4)によって、分割された距離測定が行われる(図15a中のS3,S4,S5;図16中の2,3,4)、請求項29記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項31】
分割された前記冗長的なコイルの構成体(図16中の2,3,4)は、前記第1の測定コイル(1)を部分的にオーバーラップする、請求項30記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。
【請求項32】
分割された前記冗長的なコイルの構成体(2,3,4)は、前記可動の測定エレメントより測定方向に長い、請求項28から31までのいずれか1項記載の誘導式位置測定装置または誘導式角度測定装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4a】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15a】
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【図15b】
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【図16】
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【図17a】
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【図17b】
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【図17c】
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【公開番号】特開2008−129025(P2008−129025A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303376(P2007−303376)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(500445011)チェリー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (4)
【氏名又は名称原語表記】Cherry GmbH
【Fターム(参考)】