説明

誘導旗

【課題】振った場合の旗本体の捲くれ上がり発生を少なくし、派手な発光状態をつくることで遠くからでも目に付き易くなり、自動車の停止や誘導の目的を一目で運転者に知らすことができる誘導旗を提供する。
【解決手段】メッシュ生地を用いて矩形状に形成した旗本体2の表面側に、発光色の異なる複数の超高輝度薄型チップのLED素子3を配置した発光標識ベルト4を重ねて取付け、前記旗本体2の上端部に設けた旗棒5の内部に、前記各LED素子3を点滅させるための電源を組込み、前記旗本体2の下端部に対して、文字を表記した別体の表示シート7を着脱自在に取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に暗所や夜間において、走行してきた自動車を停止させたり目的の場所に誘導するのに用いる誘導旗に関する。
【背景技術】
【0002】
暗所や夜間において、検問や交通整理のために、走行してきた自動車を停止させたり目的の場所に誘導する場合、握り用の旗棒に旗本体の上端縁を取付けて形成された誘導旗を用い、この誘導旗を旗本体が自動車と対面するように掲げて揺らすようにすることで、運転者に存在を知らして停止又は誘導することが行なわれている。
【0003】
従来の誘導旗は、注意色となる矩形状の布地を用いた旗本体の表面に、光線の反射ベルトを取付けたり旗棒に発光体を取付けた構造を有し、運転者の注意を喚起するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−121129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の誘導旗は、旗本体が布地によって形成されているため、これを振ったときの風に対する抵抗の発生が大きく、振った旗本体が捲くれ上がり、自動車からの視認が困難となり、警官や誘導員に近づくまでわからないことがあり、反射ベルトや発光体の効果を十分に生かすことができないという問題がある。
【0005】
また、誘導旗で止められる自動車の運転者は、停車や誘導の目的が瞬時に理解できないため、警官や誘導員に対して目的を質問することになり、そのため、一々説明を聞くために自動車の停車時間が長くなり、検問や誘導に余計な時間がかかることになる。
【0006】
そこでこの発明の課題は、振った場合の旗本体の捲くれ上がり発生を少なくし、派手な発光状態をつくることで遠くからでも目に付き易くなり、自動車からの視認が確実に行なえると共に、自動車の停止や誘導の目的を一目で運転者に知らすことができる誘導旗を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を解決するために、この発明は、メッシュ生地を用いて矩形状に形成した旗本体の表面側に、発光色の異なる複数の超高輝度薄型チップのLED素子を配置した発光標識ベルトを重ねて取付け、前記旗本体の上端部に設けた旗棒の内部に、前記各LED素子を点滅させるための電源を組込み、前記旗本体の下端部に別体の表示シートを着脱自在に取付けた構成を採用したのである。
【0008】
上記発光標識ベルトは、光線を反射する反射ベルトに設けた窓孔の部分に発光色の異なる複数の超高輝度薄型チップのLED素子を配置し、前記反射ベルトの背面側に前記各LED素子を電気的に接続するフレキシブル基板を重ねて配置した構造になっているようにすることができる。
【0009】
また、上記表示シートは、その上端部が旗本体の下端部に一対の係止具を用いて着脱自在に取付けられている構造にしてもよい。
【0010】
ここで、上記発光標識ベルトは、表面が黄色等の光線の反射膜となり、各LED素子の配置位置に複数の窓孔を設けた帯状の反射ベルトと、この反射ベルトの裏面側に重ねて配置され、表面側で窓孔と対応する位置に取付けたLED素子を窓孔に嵌め込んだ帯状のフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板の裏面側に重なる帯状の補強用裏側シートと、前記反射ベルトの表面側に重なり、超高輝度薄型チップのLED素子を外部衝撃や雨水から保護する透明な軟質の合成樹脂シートを用いた帯状の保護シートを重ね、これら積層体の両側縁を熱溶着や接着等の手段で固着して形成されている。
【0011】
上記、発光標識ベルトは、旗本体の表面側で旗本体の幅方向の全長にわたるように重ね、その両側縁を旗本体に縫着することにより、上下に間隔をおいて二列が平行配置で取付けられている。
【0012】
また、フレキシブル基板は、LED素子の発光色の種類数に等しい配線とアース配線及びLED素子の点滅回路を有し、同色のLED素子は共通の配線に接続され、このフレキシブル基板の前記配線に、電池を用いた電源と、電源からの通電をオン、オフするスイッチを接続し、これらは、旗棒の内部に収納され、スイッチのオン状態で、発光色の異なるLED素子を交互に点滅させるようになっている。
【0013】
上記旗棒は、大径パイプと小径パイプを嵌め合わせた伸縮構造とし、大径パイプの内部で先端側の位置に上記電源とスイッチを収納し、大径パイプの先端に設けたキャップを外すことで電源の取換えが行なえると共に、小径パイプを押し込んだ位置で軸方向に移動させることでスイッチのオン、オフ操作が行なえるようになっている。
【0014】
上記発光標識ベルトは、フレキシブル基板に接続したスイッチをオンすると、各LED素子が点滅回路の作動で点滅するが、LED素子は発光色の異なる配置になり、しかも、発光色の異なるものが交互に点滅することで、単色の点滅に比べて派手な発光状態をつくることができ、遠くからでも目に付きやすくなる。
【0015】
上記各LED素子の電気的な接続にフレキシブル基板を用いると、配線構造が強度を持ち、引っ張りや曲げ等の外力が加わっても断線するようなことがなく、かつ、保護シートがLED素子を外部衝撃や雨水から保護しているので、耐久性の向上が図れることになる。
【0016】
また、上記表示シートを旗本体に取付ける一対の係止具は、例えば、面ファスナーを用い、この表示シートは、表面が黄色等の光線の反射膜となるシートを用いて横長に形成され、その表面に検問中や事故等の文字が表記されている。
【発明の効果】
【0017】
この発明によると、発光色の異なる複数の超高輝度薄型チップのLED素子を配置した発光標識ベルトを重ねて取付けた旗本体に、メッシュ生地を用いたので、旗本体を振った場合の風の抵抗が少なく、旗本体の捲くれ上がり発生を少なくし、発光標識ベルトが派手な発光状態をつくることで遠くからでも目に付き易くなり、自動車からの視認が遠方からでも確実に行なえ、暗所や夜間において、自動車の停止や誘導が安全に行なえると共に、旗本体の下縁に目的の文字を表記した表示シートを取付けることにより、自動車の停止や誘導の目的を一目で運転者に知らすことができる。
【0018】
また、表示シートを取替え自在としたので、自動車の停止や誘導の目的に応じたものを選択して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1と図2のように、誘導旗1は、旗本体2の表面側に、発光色の異なる複数の超高輝度薄型チップのLED素子3を配置した発光標識ベルト4を重ねて取付け、前記旗本体2の上端縁辺を取付けた旗棒5の内部に、前記各LED素子3を点滅点灯させるための電源14とスイッチ15を収納し、前記旗本体2の下端部に別体の表示シート7を着脱自在に取付けた構造になっている。
【0021】
上記旗本体2は、メッシュ生地を用いて必要とする大きさの矩形状に形成され、その上縁辺を旗棒5に巻着固定すると共に、この旗本体2の表面側に取付けた発光標識ベルト4は、図3(a)と(b)のように、表面が黄色等の光線の反射膜となり、各LED素子3の取付け位置に角形の窓孔8を長さ方向に所定の間隔で複数設けた帯状の反射ベルト9と、この反射ベルト9の裏面側に重ねて配置され、表面側で各窓孔7と対応する位置に取付けたLED素子3を窓孔8に嵌め込んだ帯状のフレキシブル基板10と、前記フレキシブル基板10の裏面側に重なる帯状の補強用裏側シート11と、前記反射ベルト9の表面側に重なり、LED素子3を外部衝撃や雨水から保護する透明な軟質の合成樹脂シートを用いた帯状の保護シート12を重ね、これら積層体の両側縁を熱溶着や接着等の手段で固着して形成されている。
【0022】
上記発光標識ベルト4は、旗本体2の表面側で旗本体2の幅方向の全長にわたるように重ね、その両側縁を旗本体2に縫着することにより取付け、図示の場合、発光標識ベルト4は上下に間隔をおいて二列を平行配置で取付けたが、旗本体2の大きさと発光標識ベルト4の本数は任意に設定すればよい。
【0023】
また、フレキシブル基板10は、LED素子3の発光色の種類数に等しい配線とアース配線及びLED素子3を点滅させるための点滅回路(LEDコントロールユニット)を有し、同色のLED素子3は共通の配線に接続され、図1のように、このフレキシブル基板10の一端側において、前記フレキシブル基板10の配線に、電池を用いた電源14と、電源14からの通電をオン、オフするスイッチ15がコード13を介して接続され、これらが上記旗棒5の内部に収納され、スイッチ15をオンした通電状態で、発光色の異なるLED素子3を交互に点滅させるようになっている。
【0024】
上記各超高輝度薄型チップのLED素子3は、例えば、発光色が赤色、青色、白色等の三種類を用い、これが交互の配置となるようフレキシブル基板10に取付け、各LED素子3を反射ベルト9の対応する窓孔8に嵌め込んで表面側に露出させた状態で、フレキシブル基板10は反射ベルト9の裏面に重ねて固定されている。
【0025】
フレキシブル基板10は、例えば、長さ方向に沿ってLED素子3の発光色の種類数に等しい三本の配線とアース配線を有し、同色のLED素子3は共通の配線とアース配線に接続され、このフレキシブル基板10の一端側で配線と接続した電源14やスイッチ15が旗棒5内に収納され、スイッチ15をオン状態にすると、フレキシブル基板10に設けた点滅回路の働きによって、発光色の異なるLED素子3を交互に順次又はランダムに点滅させるようになっている。
【0026】
なお、LED素子3の発光色の種類は三種類に限定されるものではなく、それ以上の種類にしてもよく、種類が増えれば、一本の配線で二色のLED素子3を同時に点滅させるようにすればよいと共に、フレキシブル基板10の採用により、発光標識ベルト4は柔軟性を有し、旗本体2の変形性を大きく阻害しないようになっている。
【0027】
上記旗棒5は、図1と図2のように、大径パイプ5aと小径パイプ5bを軸方向に伸縮自在に嵌め合わせ、大径パイプ5aの端部に設けた周知の締め付け機構により小径パイプ5bを所望の位置で固定して長さを任意に調整できる伸縮構造となり、大径パイプ5aの内部空間で先端側の位置に、電源14と、電源14からの通電をオン、オフするスイッチ15を収納し、大径パイプ5aの先端に設けたねじ式のキャップ16を外すことで電源14の取換えが行なえると共に、スイッチ15は、電源14に対して内側に配置し、小径パイプ5bを押し込んだ位置で軸方向に移動させることでこのスイッチ15のオン、オフ操作が行なえるようになっている。
【0028】
上記表示シート7の上端縁を旗本体2の下端部に着脱自在に取付ける一対の係止具17は、例えば、面ファスナーやホックを用い、この表示シート7は、表面が黄色等の光線の反射膜となるシートを用いて旗本体2の横幅と同様の長さの横長に形成され、その表面に検問中や事故等の文字が表記され、誘導旗1の使用目的に応じた文字を表記したものを選択して使用するようになっている。
【0029】
この発明の誘導旗1は、上記のような構成であり、旗本体2の下縁部に検問中や事故等の規制指示や誘導に対応した文字が表記された表示シート7を選んで取付け、旗棒5を握り、小径パイプ5bを押し込むことでスイッチ15を押してオンにした状態で、旗本体2の表面を進行してくる自動車に向くようにして掲げる。
【0030】
スイッチ15をオンしてフレキシブル基板10の配線に通電となると、このフレキシブル基板10に設けた点滅回路の働きによって、発光標識ベルト4の各超高輝度薄型チップのLED素子3が点滅するが、発光標識ベルト4に並べて取付けた各LED素子3は発光色の異なる配置になり、しかも、発光色の異なる赤色、青色、白色等のものが同時や交互、ランダムに点滅することで、単色の点滅に比べて派手な発光状態をつくることができ、暗所や夜間において、ドライバーは遠くからでも目に付きやすくなる。
【0031】
従って、この誘導旗1で交通整理や検問を行うと、発光標識ベルト4に取付けた各LED素子3の派手な点滅発光によって、暗所や夜間において遠方からでもドライバーは確実に視認することができ、これによって自動車を減速や停止させることで目的を確実に達成することができ、暗所や夜間における交通の規制指示や誘導等の作業の安全性も向上させることができる。
【0032】
また、旗本体2の下縁には、目的に応じた文字を表記した表示シート7が取付けてあるので、ドライバーは誘導や停止の目的を即座に判断でき、警官や誘導員の指示に質問を受けることなく従順に従わせることができる。
【0033】
なお、誘導旗1の使用時において、旗本体2はメッシュ地を用いて形成されているので、振ったりかざした場合に風の抵抗が少なく、旗本体2の捲くれ上がり発生を少なくすことで、旗本体2の表面を常時自動車に対面させることができ、ドライバーに対する視認性がよくなり、確実に自動車を停車もしくは減速させることができる。
【0034】
また、誘導旗1を使用しないときは、旗棒5の小径パイプ5bを引き戻してスイッチ15の押圧を解き、フレキシブル基板10への通電をオフにした状態で、旗本体2を旗棒5に巻き付けて全体をまるめておけばよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明に係る誘導旗とこれに取付ける表示シートの分解斜視図
【図2】旗本体を取付けた旗棒とその内部に電源やスイッチを収納した構造を示す拡大した縦断正面図
【図3】(a)は旗本体の表面に取付けた発光標識ベルトの拡大した一部切欠き正面図、(b)は(a)の矢印b−b線での拡大した断面図
【符号の説明】
【0036】
1 誘導旗
2 旗本体
3 LED素子
4 発光標識ベルト
5 旗棒
7 表示シート
8 窓孔
9 反射ベルト
10 フレキシブル基板
11 補強用裏側シート
12 保護シート
13 コード
14 電源
15 スイッチ
16 キャップ
17 係止具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュ生地を用いて矩形状に形成した旗本体の表面側に、発光色の異なる複数の超高輝度薄型チップのLED素子を配置した発光標識ベルトを重ねて取付け、前記旗本体の上端部に設けた旗棒の内部に、前記各LED素子を点滅させるための電源を組込み、前記旗本体の下端部に別体の表示シートを着脱自在に取付けた誘導旗。
【請求項2】
上記発光標識ベルトは、光線を反射する反射ベルトに設けた複数の窓孔の部分に発光色の異なる超高輝度薄型チップのLED素子を配置し、前記反射ベルトの背面側に前記各LED素子を電気的に接続するフレキシブル基板を重ねて配置した構造になっている請求項1に記載の誘導旗。
【請求項3】
上記表示シートは、その上端部が旗本体の下端部に一対の係止具を用いて着脱自在に取付けられている請求項1又は2に記載の誘導旗。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−282384(P2009−282384A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135499(P2008−135499)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(507340887)ワイケーイー株式会社 (3)
【出願人】(508154335)西日本高速道路サービス関西株式会社 (2)
【Fターム(参考)】