説明

誘導素子及び誘導素子を製造するための方法

本発明は、複数の層から形成される誘導素子の製造方法に関し、この場合
a)導電性材料(511〜514;521〜524)を前記素子(I,II,III,IV)の巻線として第1の非磁性誘電セラミック層(5;5a〜5h)に配設するステップと、
b)少なくとも1つの貫通形孔部ないし切欠部(53,53′,53″,53′″)を非磁性誘電セラミック層に形成するステップと、
c)第1の磁性セラミック層(6)を前記非磁性誘電セラミック層の上側に配置し、第2の磁性セラミック層(7)を前記非磁性誘電セラミック層の下側に配置するステップとを実施し、さらに
d)前記磁性セラミック層(6,7)の少なくとも1つを可塑的に次のように、すなわち前記2つの磁性セラミック層が前記孔部ないし切欠部領域においてコンタクトしかつ当該素子の磁気コアが形成されるように成形するプロセスステップが実施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の層で形成される誘導素子の製造のための方法に関している。さらに本発明はそのような誘導素子にも関している。
【0002】
従来技術
静的磁気装置、例えばトランス、誘導器などは主に、エネルギーの蓄積や変換、インピーダンス整合、フィルタリング、電磁障害ビームの抑圧、電圧ないし電流変換などのために設計されている回路素子である。さらにこれらの素子は、共振回路の主要なコンポーネントでもある。この誘導素子は、一次電流によって形成される磁気的な交番磁界の形成に基づくものである。前記一次電流自体は二次電流を誘起している。それ故に許容され得る小型化と相応の作用を伴う高周波用誘導素子は、磁気材料なしでも電流パスの適切な配置によって作成することが可能である。
【0003】
前記小型化に対しては巻線の巻回される比較的高価な素子、例えば平型コイルなどがその有用性について実証されている。それらは有機材料またはセラミック材料からなる従来の多層型回路支持体に集積することができる。特にここではFR4材料またはLTCC(Low Temperature Cofired Ceramics)技法による十分に広幅な平型の回路支持体などがあげられる。これらの技法では未焼結のセラミックグリーンフィルムに、金属を含んだ導電性ペーストを用いて打ち抜き加工やスクリーン印刷手法によりバイア構造部やフラットな線路構造部が設けられ、その後でそれらが共に1つの積層部として焼結されている。これにより熱的な負荷が可能でかつ損失の少ない基板を形成することができ、さらにこの基板は従来技法による気密密閉も可能である。
【0004】
電力用電子回路における電流変換器及び電圧変換器並びにローパスフィルタへの幅広い適用範囲を保つためには、低周波構成素子が故により良好な磁気的結合が求められる。これは磁束の形成を強化できる磁気材料に基づいて形成することができる。この目的に対してはフェライトセラミックからなる様々なトランスコアやコイルが市販されており、それらは金属ブラケットを用いて前述したような平型の回路支持体に固定することができる。
【0005】
ユーザーにとって製造コストの削減に効果のある完璧なモノリシックによる解決手段はいまだに確立されていない。というのも材料とプロセス技術に対する要求がさらに高まっているからである。ここでの問題点は、フェライト材料の磁気的性能の増大にある。つまりそのような材料の浸透性にある。セラミック技術を用いた結果としては経験的に、セラミック特有の抵抗の減衰と、トランスの一次側と二次側の間で必要とされる直流電圧の絶縁性の低下が伴うことがわかっている。このことに対抗するための基本として、電流の流れる巻線を浸透性の少ない良好な絶縁材料に埋込むことが行われる。それはワイヤの巻回された構成素子における巻線絶縁と空気に相応する。
【0006】
一方では高い透磁率を備え、他方では巻回部の良好な絶縁性を備えた2つの空間領域が基本的な形態で図1に示されている。そこではトロイダル型コア1が示されており、このコア1は一方の側では一次巻線2を取り巻き、他方の側では二次巻線3を取巻く。さらに別の構成が図2には示されており、そこでは2つのトロイダル型コア1a,1bが設けられている。これらのコアは水平方向で相隣接して配置されており、この場合これらの2つのトロイダル型コア1a、1bは、水平方向で見て上下に配置された一次巻線2と二次巻線4によって取巻かれている。
【0007】
図3には図2による一次巻線2の一平面における断面が示されている。この場合波線で示されているのが一次巻線2であるのが見て取れる。この一次巻線2はフェライトコアからなる中央領域11を有しており、この中央領域11はトライダル型コア1a,1bによって形成され、取り囲まれている。またトライダル型コア1a,1bによって誘導素子のフェライトコアも形成されている。当該断面図において見て取れる垂直方向のフェライト脚部は前記トライダル型コア1a,1bに対する上側と下側のフェライトカバー層によって囲まれている。巻線2及び3並びにトライダル型コア1a,1bは、誘電体4に埋込まれている。
【0008】
図4には、垂直方向にフェライト材料からなる脚部を5つ備えたポットタイプのコアの近似例が示されている。これらの脚部は中央領域11と、垂直方向の外側脚部1a,1b,1c,1dによって特徴付けられる。ここでもこの装置は絶縁性の誘電媒体内に埋込まれている。
【0009】
米国特許出願第5,349,743号明細書からはLTCC技法に基づくモノリシックに集積されたプレーナー型トランスの製造方法が公知である。この場合図1及び図2に示されている基本構造は、高い固有抵抗のもとで低い透磁率を有する材料と、低い固有抵抗のもとで高い透磁率を有する材料の結合によって形成されている。これらの2つの材料の統合は、一方の材料のフィルムへの開口部の打ち抜き加工と、他の材料のフィルム部分ないしフィルムスタックを用いた開口部の充填と、それに続く全体の焼結処理によって行われている。これらのインレイ過程自体は相互に良好に調整された材料のもとで複雑となり、エラーを誘発しやすく、それと共に比較的高価にある。なぜなら前記フィルムを突合わせ処理する必要があるからである。
【0010】
さらに米国特許出願第6,198,374号明細書からは従来のLTCC技法による方法が開示されている。この方法では、唯一のフィルムタイプのみが、すなわち最良にマッチしたフェライトを使用するものだけが用いられ、そのうえに導体路がプリントされている。それらは引き続き例えばスクリーン印刷によって非磁性の誘電材料でコーティングされる。それによって巻線の巻回部の周囲において有効透磁率が低減され、磁束線の漏れに起因する漂遊インダクタンスも低減される。さらに付加的に巻回部間の電気的な絶縁も改善されるものとなる。しかしながらこの手法の欠点は、巻回部領域における付加的な材料層が、絶縁破壊を回避する理由から任意の厚さに選択できないことである。特に導体路自体は既に抵抗損失の低減のためにできるだけ厚く設計されていなければならない。そのためこの公知方法は限られた効果しか提供することができない。
【0011】
発明の概要
発明が解決しようとする課題
それ故に本発明の課題は、絶縁破壊に対する耐性の高い誘導素子を低コストで製造することのできる方法を提供することである。さらに本発明の課題はこの種の誘導素子を提供することでもある。
【0012】
課題を解決するための手段
前記課題は本発明により、
a)導電性材料を前記素子の巻線として第1の非磁性誘電セラミック層に配設するステップと、
b)少なくとも1つの貫通形孔部ないし切欠部を前記非磁性誘電セラミック層に形成するステップと、
c)第1の磁性セラミック層を前記非磁性誘電セラミック層の上側に配設し、第2の磁性セラミック層を前記非磁性誘電セラミック層の下側に配設するステップとを実施し、さらに、
d)前記磁性セラミック層の少なくとも1つを可塑的に次のように成形する、すなわち前記2つの磁性セラミック層が前記孔部ないし切欠部領域においてコンタクトしかつ当該素子の磁気コアが形成されるように成形するプロセスステップを実施するステップとを有するようにして解決される。
【0013】
また前記課題は本発明により、
誘導素子の少なくとも1つの導電性巻線が非磁性誘電セラミック層に配設され、前記非磁性誘電セラミック層に少なくとも1つの貫通形孔部ないし切欠部が形成されており、
第1の磁性セラミック層が前記非磁性誘電セラミック層の上側に配置され、
第2の磁性セラミック層が前記非磁性誘電セラミック層の下側に配置されており、その場合前記磁性セラミック層の少なくとも1つが前記孔部ないし切欠部領域において次のように可塑的に成形されている、すなわち前記磁性セラミック層が他の磁性セラミック層と接続され、さらに当該素子の磁気コアが形成されるように成形されて解決される。
【0014】
本発明による誘導素子の製造方法ではこの誘導素子が複数の層から形成されている。その場合導電性材料が当該素子の巻回部若しくは巻線として第1の非磁性誘電セラミック層に配設されている。さらに少なくとも1つの貫通形孔部ないし切欠部が非磁性誘電セラミック層に設けられる。第1の磁性セラミック層若しくは相応する積層部は前記非磁性誘電セラミック層の上側に配置される。別個の第2の磁性セラミック層若しくは相応する積層部は、前記非磁性誘電セラミック層の下側に配置される。
【0015】
そのようにして得られる誘導素子の介在状態はその後で少なくとも1つのさらなるプロセスステップに移行する。その場合すくなくとも1つの磁性セラミック層が次のように可塑的に成形される。すなわち前記2つの磁性セラミック層が孔部ないし切欠部領域においてコンタクトしかつ当該素子の磁気コアが形成されるように成形される。この方法によれば簡素でかつ低コストな形態で誘導素子が製造されるようになる。この誘導素子は、その巻線間ないし巻回部間で最適な絶縁耐力を備えるようになる。なおこれらのプロセスステップの順序は必ずしも前記した順番通りでなくてもよい。特に最初に挙げた2つのステップは逆の順番で実施されてもよい。
【0016】
有利には、前記導電性材料は、非磁性誘電セラミック層内に埋込まれるか又は印刷される。また前記非磁性誘電セラミック層と磁性セラミック層はフィルムとして提供される。
【0017】
前記非磁性誘電セラミック層の面内の孔部ないし切欠部の寸法は、当該セラミック層の厚みよりも大きく形成される。
【0018】
これによりここでの巻回部ないし巻線部は従来技法に比べてより有利に通常形式で非磁性誘電セラミック層に埋込まれるか少なくともそこに印刷される。経験的に見て層の数は5〜10の範囲で十分であり、それによって誘導素子全体での材料厚は数百μm以内の比較的僅かな材料厚で収まる。磁気的な貫通コンタクトを実現するために、少なくとも1つの非磁性誘電セラミック層が有利には打ち抜き加工された開口部を備え、その広がりは多層構造部の材料厚に比べて大きい。この場合貫通孔部ないし切欠部が例えば1mm〜3mmの間の直径、有利には約2mmの直径を有し得る。
【0019】
有利には引き続き当該非磁性誘電セラミック層の上側と下側に誘電セラミック層が有利にはそれぞれ少なくとも1つの遮蔽されたフェライト性カバーフィルムが有利な形態で積層される。
【0020】
この場合さらに有利には、当該磁性セラミック層が直接的に導電材料上と接続部ないし巻線部上に被着され、さらに非磁性誘電セラミック層の上側と下側に被着される。前記巻回部ないし巻線部はさらなる非磁性誘電セラミック層によって覆われていてもよい。それによりこの巻回部ないし巻線部は実質的に完全に非磁性誘電セラミック層によって囲繞されるようになる。なおこの構成のもとでは磁性セラミック層との直接的な結合部分は設けられない。
【0021】
有利には少なくとも1つの磁性セラミック層のプラスチック成形ないし可塑的成形のためのプロセスステップが焼結過程として実施される。この焼結過程は次のように行われる。すなわち有利にはフェライト性フィルムからなる磁性セラミック層がガラス成分の軟化のために、非磁性誘電セラミック層の貫通孔部ないし切欠部の中央に位置するように可塑的成形によって行われる。
【0022】
有利には2つの磁性セラミック層が当該焼結過程中に成形される。それにより実質的に磁束を閉込めるのに十分な大きさの磁性バイアが形成される。この磁性セラミック層によって当該誘導素子の磁気コアが最適な形態で形成される。
【0023】
有利には少なくとも磁気セラミック層に対して当該焼結期間中に当該セラミック層の変形を補助するためのコーティングが施される。この種のコーティングによれば、磁性セラミック層の孔部ないし切欠部内への成形が改善され、それと共に2つの磁性セラミック層のコンタクト形成も改善される。2つの磁性セラミック層の間のコンタクト面はこれによって可及的に大きく形成できる。
【0024】
有利には、複数の非磁性誘電セラミック層が積層され、該積層部においてはそれぞれ少なくとも1つの孔部ないし切欠部が形成され、この場合前記非磁性誘電セラミック層は、孔部ないし切欠部が少なくとも領域毎に重畳するように上下に配置される。
【0025】
さらに有利には、前記孔部ないし切欠部は前記各セラミック層内で異なった寸法で形成され、さらに全ての非磁性誘電セラミック層を貫通する孔部ないし切欠部が少なくとも領域毎に先細に形成されるように積層される。
【0026】
有利には、このように製造される複数の非磁性誘電セラミック層を備えた誘導素子の断面図には、まず先細に形成されてその後で再び拡張される孔部ないし切欠部が示される。
【0027】
さらに有利にはこの先細部分とそれに続く拡張部分が断面において次のように形成される。すなわち貫通する孔部ないし切欠部が当該断面において水平方向に配置される対称線に対して線対称に形成される。
【0028】
有利には前記先細の形態として段状の輪郭が形成される。段状に形成される磁性バイアは、誘電層の数と磁性層の数に関する高いデザイン自由度を提供する。
【0029】
有利には少なくとも磁性セラミック層に磁気材料が被着され、その場合に前記磁気セラミック層は、次のように非磁性誘電セラミック層に配置される、すなわち前記磁気材料が孔部ないし切欠部領域内に位置付けされるように配置される。
【0030】
また前記磁気材料は有利には、実質的に複数の積層された非磁性誘電セラミック層における先細の孔部ないし切欠部の相補的構成に相応する構造で被着される。より多くの巻回数とより多くの層数のもとではこの種の段状のデザインは、当該孔部ないし切欠部領域において外方の磁性セラミック層、特にフェライト層における過度に小さな曲率半径の発生を回避させる。
【0031】
有利には前記磁気材料は磁性セラミック層に印刷される。それにより有利には孔部ないし切欠部における磁性セラミック層の可塑的変形の低減が達成される。
【0032】
また有利にはこの磁性材料がフェライト性の厚膜ペーストとしてスクリーン印刷儀容によって印刷される。さらに付加的に孔部ないし切欠部を完全に遮蔽しそれと共に空隙の形成をシャットアウトするために、当該孔部ないし切欠部領域における積層化の前に前記フェライト性ペーストが磁性セラミック層上に複数回印刷される。
【0033】
有利には少なくとも2つの非磁性誘電セラミック層が形成され、それらの間に磁性層、特に磁性セラミック層が形成される。有利にはこの磁性セラミック層は連続した層として形成されてもよい。それにより磁力線の分布が所期のように設定できるようになる。それにより例えば磁力線を側方においても全ての巻回部を通過させることなく逃がすことが可能となる。この漂遊インダクタンスの大きさは当該の付加的に設けられる磁性セラミック層の厚さによって所期のように設定可能となる。
【0034】
非磁性誘電セラミック層だけを備えた構成のもとでは、前記導電性材料が巻回部の形成のために当該非磁性誘電セラミック層の上側と下側に形成され得る。
【0035】
前記導電性材料は、誘導素子の一次巻線と二次巻線の形成のために配設されていてもよい。
【0036】
また有利には前記非磁性誘電セラミック層は、20μm〜200μmの範囲の厚み、特に50μm〜100μmの範囲の厚みで形成される。
【0037】
複数の導体路ないし巻回部は絶縁性の高い誘電セラミック内に完全に埋込まれていてもよい。このセラミック層は高い絶縁破壊耐力に基づいて相応に薄く設計することが可能である。これによりコストが節約でき、物理的サイズも最小化できる。
【0038】
有利には当該誘電素子がモノリシックに集積されたプレーナー型トランスとして形成される。
【0039】
本発明において提案された方法によれば、透磁率の機能と電気的絶縁性が各空間領域においてそれぞれ適宜に形成される特異的なセラミックによって実現される。これらの結果として高度な要求とデザインの有効性、並びに構造部における有用性が達成される。またその場合には必要に応じて様々なセラミックが使用され得る。例えば当該の誘導素子が高い周波数、例えば1GHz〜2GHzの範囲の周波数のもとで使用される場合には、有利にはヘクサフェライトセラミック"hexa−ferrite−ceramics"、特にバリウムヘクサフェライトセラミック"barium−hexa−ferrite−ceramics"が用いられてもよい。これらは約10〜30の間の透磁率を有している。
【0040】
第2クラスのセラミックは、約10MHz〜30MHzの中間領域にある周波数が要求される場合に用いられる。その際には例えばCnNiZn−フェライト材料が利用されてもよい。このような中間周波数領域で用いるための構成素子に対して用いられるセラミックの透磁率は、約150〜約500の間の透磁率値を有している。
【0041】
さらに約1MHz〜3MHzの間の範囲の比較的低い周波数で用いられる構成素子に対してはさらなるクラスのセラミックが用いられる。その際には例えばMnZn−フェライト材料が使用される。有利にはこのようなクラスで用いられるセラミックは約500〜1000の間の透磁率値を有する。
【0042】
有利には前記孔部ないし切欠部は前記各セラミック層において異なる寸法を伴って形成され、さらに全ての非磁性誘電セラミック層を貫通する孔部ないし切欠部が少なくとも領域毎に先細に形成されるように積層されている。
【0043】
有利には前記先細の形態として段状の輪郭が形成されている。
【0044】
有利には少なくとも磁性セラミック層に磁気材料が被着され、その場合に前記磁気材料が孔部ないし切欠部の領域に位置付けされるように前記磁性セラミック層がステップc)に従って非磁性誘電セラミック層に配置される。
【0045】
有利には前記磁気材料は、実質的に先細の孔部ないし切欠部の相補的構造に対応する構造で被着されている。
【0046】
有利には、前記磁気材料は、印刷されている。
【0047】
有利には少なくとも2つの非磁性誘電セラミック層が形成され、それらの間に磁性層、特に磁性セラミック層が形成されている。
【0048】
有利には前記導電性材料が非磁性誘電セラミック層の上側と下側に形成されている。
【0049】
有利には前記導電性材料は、前記素子の一次巻線と二次巻線の形成のために配設されている。
【0050】
有利には前記非磁性誘電セラミック層は、20μm〜200μmの間の厚み、特に50μm〜100μmの間の厚みで形成されている。
【0051】
有利にはモノリシックに集積されたプレーナー型トランスが形成されている。
【0052】
本発明による方法では、例えば米国特許出願6,198,374号明細書に記載されている方法で実施されているような制限された能力の混合材料は用いられない。それどころか例えば米国特許出願6,198,374号明細書による従来技法において行われているような問題のあるプロセスステップも存在しない。
【0053】
本発明による誘導素子は複数の層から形成されており、特にモノリシックに集積化されたプレーナー型トランスとして実現されている。この誘導素子は、少なくとも1つの導電性巻線を含んでおり、この導電性巻線は第1の非磁性誘電セラミック層に配設されている。この非磁性誘電セラミック層においては少なくとも1つの貫通形孔部ないし切欠部が形成されている。
【0054】
前記誘導素子は、さらに第1の磁性セラミック層を含んでおり、この第1の磁性セラミック層は前記非磁性誘電セラミック層の上側に配置されている。さらに第2の磁性セラミック層が前記非磁性誘電セラミック層の下側に配置されている。前記磁性セラミック層の少なくとも1つは、前記孔部ないし切欠部領域において次のように可塑的に成形されている。すなわち前記磁性セラミック層が他の磁性セラミック層と前記孔部ないし切欠部の領域において接続され、さらに全体として前記2つのセラミック層によって当該素子の磁気コアが形成されるように成形されている。このように提供される当該の誘導素子は、巻回部ないし巻線部の間で最適な絶縁耐力を有し、さらに低コストで製造もできる。
【0055】
本発明のさらに別の有利な構成例は従属請求項に記載されている。また本発明による方法の別の有利な実施例は、本発明による誘導素子のさらなる有利な構成例としても見なすことができるものである。
【0056】
以下の明細書では本発明の有利な実施例を以下の概略的な図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】公知のトランスの第1の基本構造を示した図
【図2】公知のトランスの第2の基本構造を示した図
【図3】図2によるトランスの断面図
【図4】公知のトランスのさらなる実施形態の断面図
【図5】本発明による誘導素子の第1実施例の断面図
【図6】本発明による誘導素子の第2実施例の断面図
【図7】本発明による誘導素子のさらなる実施例の未完成状態での断面図
【図8】本発明による誘導素子のさらなる実施例の断面図
【0058】
発明を実施するための形態
図中同じ構成要素及び機能の同じ構成要素には同じ符号が付されている。
【0059】
本願明細書において"非磁性材料"とは、磁性セラミック層に対して用いられる磁性材料に比べて比透磁率が1か1に近い値を有している材料のことである。
【0060】
図5には完成状態のモノリシックに集積化されたプレーナー型トランスIが示されている。この場合は積層部に沿った長手方向での断面図が示されており、ここではプレーナー型トランスIの本発明にとって主要な部材のみが示されている。この断面図はLTCC技法で製作された巻回数の少ないプレーナー型トランスIを示している。プレーナー型トランスIは非磁性誘電セラミック層5を有しており、この非磁性誘電セラミック層5はフィルムとして形成されている。この非磁性誘電セラミック層5の上側51には当該実施例では、電流が流される遮蔽された導体線路ないし巻回部511,512,513,514が配設されており、これらの導体線路ないし巻回部は所定の巻回方向でトランスコアを取り囲み、当該プレーナー型トランスIの一次巻線の巻回部を表している。平面図において見ればこの一次巻線は螺旋状に形成されている。この巻線の図には示されていない端部にはコンタクト形成部が設けられ、このコンタクト形成部によってエネルギー供給部との電気的な接続が可能となっている。
【0061】
前記非磁性誘電セラミック層5の下側52には、二次巻線が形成されており、この二次巻線は、巻回部521,522,523,524を含んでいる。この二次巻線もさらなる電気的コンタクト形成部に対して設けられている端部を有している。一次巻線の巻回部511〜514も二次巻線の巻回部521〜524も従来の方式で前記非磁性誘電セラミック層5の上側51ないしは下側52にプリントされる。
【0062】
そのうえさらに当該プレーナー型トランスIは、貫通型孔部ないし切欠部53を有しており、この貫通型孔部ないし切欠部53は打ち抜き過程によって生成されている。
【0063】
図示の実施例では第1の磁性セラミック層6が前記非磁性誘電セラミック層5の上側51並びに巻回部511〜514のすぐ上に配置されている。同様に前記非磁性誘電セラミック層5の下側52並びに巻回部521〜524のすぐ下には第2の磁性セラミック層7が配置されている。これらの2つの別個の磁性セラミック層6,7は、孔部ないし切欠部53の領域において可塑的に成形され、さらに中央部にて相互に接続されている。それにより当該孔部53ないし切欠部領域において実質的に磁性バイアが形成される。これにより前記2つの磁性セラミック層6,7は当該プレーナー型トランスIの磁気コアを形成する。それに対しては磁性セラミック層6,7は前記孔部ないし切欠部53におけるx軸方向で相対向する縁部領域においても相互にコンタクトする。この縁部領域におけるコンタクト形成も前記セラミック層6,7の少なくとも1つの可塑的成形によって形成される。前記セラミック層6,7の可塑的成形に基づいて生じる孔部ないし切欠部53領域におけるy軸方向での湾曲形態は、必要に応じて後続のドクタープロセスによって平坦化されてもよい。その際には例えばさらなる誘電ペーストが相応の箇所に被着されてもよい。これは当該のドクタープロセスによっても形成され得る。
【0064】
図5に示されている完成された状態のプレーナー型トランスIは次のように形成されている。すなわちまず誘電セラミック層5を作成し、その後でさらなる処理を施すようにして形成される。それに対しては少なくとも前記孔部53の少なくとも1つが打ち抜き加工される。さらに導電性の材料が巻回部511〜514並びに巻回部521〜524の形成のために前記非磁性誘電セラミック5上にプリントされる。
【0065】
当該実施例においてはx軸方向の前記孔部ないし切欠部が打ち抜き加工される。これの大きさは実質的に非磁性誘電セラミック層5の(y軸方向の)厚みよりも大きい。
【0066】
引き続き前記非磁性誘電セラミック層5の上側51と下側52には、2つの別個に提供される磁性セラミック層6,7がフェライトからなる遮蔽された未焼結のグリーンフィルムとして提供され、さらに次のように積層される。すなわち前記磁性セラミック層6,7がそれらの有機結合成分に基づいて孔部ないし切欠部53領域における可塑的成形により中央において相互に当接される。それにより当該孔部ないし切欠部領域においてプレーナー型トランスIの磁気コアの中央領域9が形成される。引き続き焼結過程が行われる。当該の実施例においては前記可塑的成形が積層プロセスによって行われる。前記磁性セラミック層6,7の箇所においては、当該素子の必要性に応じてそれぞれ複数の磁気的層からなる積層部が形成されるものであってもよい。
【0067】
図6には、LTCC技法によって作成されるモノリシックに積層化されたプレーナー型トランスIIのさらなる実施例が示されている。ここでも完成された状態のプレーナー型トランスIIの一部が縦断面図で示されている。この断面図では巻回数の多いプレーナー型トランスIIにおける構造が示されている。
【0068】
このプレーナー型トランスIIは、非磁性誘電セラミック層5a,5b,5c,5d,5eを有しており、これらの非磁性誘電セラミック層5a,5b,5c,5d,5eは上下に積層されて配置されている。前記非磁性誘電セラミック層5a,5b,5c,5d,5eにはそれぞれ上側に巻回部が設けられている。この場合例えば巻回部511b,512b,513b,514bは、前記非磁性誘電セラミック層5bの上側51bにプリントされている。巻回部511a,512a,513a,514aは、前記非磁性誘電セラミック層5aの上側51aにプリントされている。これらの巻回部は当該実施例ではプレーナー型トランスIIの一次巻線に割り当てられている。図では詳細には示されていないが、非磁性誘電セラミック層5dと5eの上にプリントされている巻回部は当該実施例ではプレーナー型トランスIIの二次巻線に割り当てられている。これらの巻回部も次のように配置されている。すなわち、上側、例えば非磁性誘電セラミック層5aの上側に配置された巻回部がx軸方向で一次巻線にそして後続の二次巻線に交互に対応付けられるように配置されている。
【0069】
図6の描写から明らかなように、非磁性誘電セラミック層5bには非磁性誘電セラミック層5cが遮蔽されるカバー層として配置されている。それにより当該プレーナー型トランスIIの巻回部は誘電セラミック材料によって完全に取り囲まれるようになる。
【0070】
ここでも磁性セラミック層6,7が積層された非磁性誘電セラミック層5a,5b,5c,5d,5eの相対向する側に積層され、孔部ないし切欠部53′領域において可塑的に成形され、それによって前記磁性セラミック層が当該領域において相互に結合されている。これにより、ここでもプレーナー型トランスIIの磁気コアの中央領域9′が形成されるものとなる。
【0071】
図からも明らかなように、前記積層された非磁性誘電セラミック層5a,5b,5c,5d,5eはそれぞれ孔部ないし切欠部を有し、それらは異なる寸法を有している。この場合前記非磁性誘電セラミック層5a,5b,5c,5d,5eは次のように積層される。すなわちそれぞれ当該のセラミック層内に形成された個々の孔部ないし切欠部が共通の貫通側孔部ないし切欠部53′を形成するように積層される。その場合図面から明らかなように、前記非磁性誘電セラミック層5cは図示の断面図において、少なくともx軸方向で他の電気的非磁性誘電セラミック層5b,5a,5dにおいて個別に形成されている孔部ないし切欠部よりも大きい孔部ないし切欠部を有している。
【0072】
その上さらに次のことが明らかである。すなわち前記非磁性誘電セラミック層5bと5dにおいて形成される孔部ないし切欠部が非磁性誘電セラミック層5aにおいて形成される孔部ないし切欠部よりも大きいことである。当該の実施例では前記非磁性誘電セラミック層5a,5b,5c,5d,5eが次のように上下に積層されている。すなわち、上方の非磁性誘電セラミック層5cから出発して中心に配置されている非磁性誘電セラミック層5aまでのy軸方向において先細形状となっている孔部ないし切欠部53′が生じるように積層されている。この実施例では段状の輪郭が実現されている。前記孔部ないし切欠部53′は、中心に配置されている非磁性誘電セラミック層5aから出発して下方の非磁性誘電セラミック層5eまでは再び拡幅している。ここでも段上の輪郭が形成されている。当該実施例では、当該のプレーナー型トランスIIが、前記非磁性誘電セラミック層5aを通ってx軸方向に引かれる対称軸線に対して対称に形成されている。
【0073】
本発明による、完成された状態で示されるプレーナー型トランスIIの構成は有利には図5に示したプレーナー型トランスIの製造に類似して実施され得る。
【0074】
図7には、さらなるプレーナー型トランスIIIの断面図が示されている。このさらなるプレーナー型トランスIIIはまだ未完成状態でのプロセス経過において示されたものである。ここでも当該構成素子の中央領域における主要な構造部のみを示した部分断面図のみが示されている。
【0075】
ここでの非磁性誘電セラミック層5a,5b,5c,5d,5eの構成と配置形態は図6による構成に類似している。その上さらにこの図7においては、第1の磁性セラミック層6か、あるいは場合によってさらなる付加的な層6a,6bを伴う付加的構造部を備えた相応の積層部が識別できる。これらの付加的な層6aと6bは磁性材料からなり、さらに当該の実施例においてはフェライト性のカバー層ペーストを使用してスクリーン印刷技法により被着されている。ここではこれらの層6a,6bが、前記磁性セラミック層6の、非磁性誘電セラミック層5a,5b,5c,5d,5eに対向している側に形成されていることがみてとれる。これらの層6a、6bは、段状の輪郭で形成されており、これは次のような構想に基づくものである。すなわちそれらの層が前記非磁性誘電セラミック層5cと5bの段状構造に対する相補的構造として形成されるようにすることである。
【0076】
それに対して類似するように第2の磁性セラミック層7にも層7a,7bからなる相応の積層部が形成されており、これらの層も前記非磁性誘電セラミック層5d,5eによって形成される段状の輪郭に対する相補的構造部として形成されている。磁性セラミック層6,7は、後に続くプロセスにおいて次のように位置付けされる。すなわち図7において示されているように、層6a,6b並びに層7a,7bが実質的に非磁性誘電セラミック層5a〜5bによって形成される段状の輪郭の領域に配置されるように位置付けされる。最終的な焼結過程の前にこれらのセラミック層6,7からなる構造部は、前記非磁性誘電セラミック層5a,5b,5c,5d,5eからなる積層形態部分に積層され、それによって孔部ないし切欠部53″が形成される。セラミック層6,7のこのような相補的構造化によって、当該プレーナー型トランスIIIの磁気コア中央領域における隙間の生じない構成が支援されるものとなる。
【0077】
図8にはさらなるモノリシックに集積化されたプレーナー型トランスIVのさらなる実施例の断面図が示されている。この場合このプレーナー型トランスIVは、完成された状態で表されている。この図からは、非磁性誘電セラミック層5aと非磁性誘電セラミック層5fの間に、さらなる磁性セラミック層10として構成された中間層が形成されているのがみてとれる。この磁性セラミック層10に対しては対称的な配置構成で、孔部ないし切欠部53′″の領域において段状に構成される非磁性誘電セラミック層5a,5b,5c,並びに5f,5g,5hがそれぞれ積層されて設けられている。さらに当該のプレーナー型トランスIVの磁気コアの中央領域9″が形成されている。中央の磁性セラミック層10(これはフェライト性のフィルムであってもよい)の集積化により、一次巻線(当該実施例ではセラミック層5g,5hに設けられている巻回部)の磁力線が二次巻線(当該実施例ではセラミック層5a,5bに設けられている巻回部)の前に分岐され、所期の漂遊インダクタンスを生成させている。このように発生させた所期の漂遊インダクタンスの利点は、個々のインピーダンス調整を達成するための別個の付加的な構成要素を何も必要としないことである。この場合例えば一次側に付加的な漂遊インダクタンスを持たせることができ、これは当該構成素子の回路技術的構成に対するさらなる自由度を示す。図示の実施例においてはこの種の所期の調整が集積された構成によって可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層から形成される誘導素子の製造方法において、
a)導電性材料(511〜514;521〜524)を前記素子(I,II,III,IV)の巻線として第1の非磁性誘電セラミック層(5;5a〜5h)に配設するステップと、
b)少なくとも1つの貫通形孔部ないし切欠部(53,53′,53″,53′″)を前記非磁性誘電セラミック層(5;5a〜5h)に形成するステップと、
c)第1の磁性セラミック層(6)を前記非磁性誘電セラミック層(5;5a〜5h)の上側に配設し、第2の磁性セラミック層(7)を前記非磁性誘電セラミック層(5;5a〜5h)の下側に配設するステップとを実施し、さらに、
d)前記磁性セラミック層(6,7)の少なくとも1つを可塑的に次のように成形する、すなわち前記2つの磁性セラミック層(6,7)が前記孔部ないし切欠部(53,53′,53″,53′″)領域においてコンタクトしかつ当該素子(I,II,III,IV)の磁気コアが形成されるように成形するプロセスステップを実施するステップとを有していることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記導電性材料(511〜514;521〜524)は、非磁性誘電セラミック層(5,5a〜5h)内に埋込まれるか又は印刷される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記非磁性誘電セラミック層(5,5a〜5h)と磁性セラミック層(6,7)はフィルムとして供給される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記非磁性誘電セラミック層(5,5a〜5h)の面における孔部ないし切欠部(53,53′,53″,53′″)の寸法は、前記ステップb)によるセラミック層(5,5a〜5h)の厚みよりも大きく形成される、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記磁性セラミック層(6,7)は、前記ステップc)による非磁性誘電セラミック層(5,5a〜5h)の上側と下側に積層される、請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ステップd)に従って焼結過程が実施される、請求項1から5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
少なくとも磁気セラミック層(6,7)に対してステップd)の期間中に当該セラミック層(6,7)の成形を支援するためのコーティングが施される、請求項1から6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記導電性材料(511〜514;521〜524)上にさらなる非磁性誘電層、特にセラミック層(5c、5f)が被着される、請求項1から7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
複数の非磁性誘電セラミック層(5a〜5h)が積層されており、該積層部においてはそれぞれ少なくとも1つの孔部ないし切欠部が形成されており、この場合前記非磁性誘電セラミック層(5a〜5h)は、孔部ないし切欠部が少なくとも領域毎に重畳するように上下に配置されている、請求項1から8いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記孔部ないし切欠部は前記各セラミック層(5a〜5h)において異なる寸法を伴って形成され、さらに全ての非磁性誘電セラミック層(5a〜5h)を貫通する孔部ないし切欠部(53′,53″,53′″)が少なくとも領域毎に先細に形成されるように積層されている、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記先細の形態として段状の輪郭が形成されている、請求項10記載の方法。
【請求項12】
少なくとも磁性セラミック層(6,7)に磁気材料(6a,6b;7a,7b)が被着され、その場合に前記磁気材料(6a,6b;7a,7b)が孔部ないし切欠部(53,53′,53″,53′″)の領域に位置付けされるように前記磁性セラミック層(6,7)がステップc)に従って非磁性誘電セラミック層(5,5a〜5h)に配置される、請求項1から11いずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記磁気材料(6a,6b;7a,7b)は、実質的に先細の孔部ないし切欠部(53,53′,53″,53′″)の相補的構造に対応する構造で被着されている、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記磁気材料(6a,6b;7a,7b)は、印刷されている、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
少なくとも2つの非磁性誘電セラミック層(5a〜5h)が形成され、それらの間に磁性層、特に磁性セラミック層(10)が形成されている、請求項9から14いずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記導電性材料(511〜514;521〜524)が非磁性誘電セラミック層(5)の上側(51)と下側(52)に形成されている、請求項1から15いずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記導電性材料(511〜514;521〜524)は、前記素子(I,II,III,IV)の一次巻線と二次巻線の形成のために配設されている、請求項1から16いずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記非磁性誘電セラミック層(5,5a〜5h)は、20μm〜200μmの間の厚み、特に50μm〜100μmの間の厚みで形成されている、請求項1から17いずれか1項記載の方法。
【請求項19】
モノリシックに集積されたプレーナー型トランス(I,II,III,IV)が形成されている、請求項1から18いずれか1項記載の方法。
【請求項20】
複数の層を有している誘導素子において、
当該素子(I,II,III,IV)の少なくとも1つの導電性巻線が非磁性誘電セラミック層(5;5a〜5h)に配設され、前記非磁性誘電セラミック層(5;5a〜5h)に少なくとも1つの貫通形孔部ないし切欠部(53,53′,53″,53′″)が形成されており、
第1の磁性セラミック層(6)が前記非磁性誘電セラミック層(5;5a〜5h)の上側に配置され、
第2の磁性セラミック層(7)が前記非磁性誘電セラミック層(5;5a〜5h)の下側に配置されており、その場合前記磁性セラミック層(6,7)の少なくとも1つが前記孔部ないし切欠部(53,53′,53″,53′″)領域において次のように可塑的に成形されている、すなわち前記磁性セラミック層が他の磁性セラミック層(6,7)と接続され、さらに当該素子(I,II,III,IV)の磁気コアが形成されるように成形されていることを特徴とする誘導素子。
【請求項21】
前記非磁性誘電セラミック層(5,5a〜5h)の上側(51)と下側(52)に巻線が形成されている、請求項20記載の誘導素子。
【請求項22】
前記非磁性誘電セラミック層(5,5a〜5h)の面における孔部ないし切欠部(53,53′,53″,53′″)の寸法は、前記セラミック層(5,5a〜5h)の厚みよりも大きく形成されている、請求項20または21記載の誘導素子。
【請求項23】
複数の非磁性誘電セラミック層(5a〜5h)が積層されており、該積層部においてはそれぞれ少なくとも1つの孔部ないし切欠部が形成されており、この場合前記非磁性誘電セラミック層(5a〜5h)は、当該孔部ないし切欠部が少なくとも領域毎に重畳するように上下に配置されている、請求項20から22いずれか1項記載の誘導素子。
【請求項24】
前記孔部ないし切欠部は、各セラミック層(5a〜5h)において異なる寸法を有しており、さらに前記セラミック層(5a〜5h)は、全ての非磁性誘電セラミック層(5a〜5h)を貫通する少なくとも領域毎に先細の孔部ないし切欠部(53′,53″,53′″)が形成されるように積層されている、請求項23記載の誘導素子。
【請求項25】
前記先細の形態は段形状の輪郭を有している、請求項24記載の誘導素子。
【請求項26】
少なくとも2つの非磁性誘電セラミック層(5a〜5h)が形成され、それらの間に磁性層、特に磁性セラミック層(10)が形成されている、請求項20から25いずれか1項記載の誘導素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−537976(P2009−537976A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510399(P2009−510399)
【出願日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054285
【国際公開番号】WO2007/131884
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(504458493)オスラム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (168)
【氏名又は名称原語表記】Osram Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Strasse 1, D−81543 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】