説明

誘導駆動ガス放電ランプ回路

2次回路を備える誘導駆動ガス放電ランプアセンブリであって,予熱周波数の電力が2次回路に供給されているときは予熱を行い,点灯周波数の電力が2次回路に供給されているときは通常の点灯を行う,ガス放電ランプアセンブリである。一実施例では,起動回路は,ランプの両電極間に接続された予熱コンデンサと,2次コイルとランプとの間に配置された点灯コンデンサと,を含む。予熱コンデンサは,予熱周波数では該予熱コンデンサを通る電流経路が,ランプのガスを通る電流経路より低いインピーダンスを有し,点灯周波数では予熱周波数では該予熱コンデンサを通る電流経路が,ランプのガスを通る電流経路より高いインピーダンスを有するように選択される。1次回路は,共振周波数が予熱周波数及び点灯周波数に一致するタンク回路を含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス放電ランプに関し,より詳細にはガス放電ランプを起動し,駆動する回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス放電ランプは広範な応用に用いられている。従来のガス放電ランプは,ランプスリーブ内に互いに間隔を保つ電極対を含む。ガス放電ランプは通常不活性ガスで満たされている。多くの応用では,光出力を強化するか,別の影響を与えるように金属蒸気がガスに加えられる。点灯(operation)中は,ガスを通じて電極間を電流が流れる。これによってガスが放電光を発する。光の波長(すなわち色)は,種々のガス及びガス内の種々の添加物を用いて変えることができる。いくつかの応用,例えば従来の蛍光灯ではガスが紫外光を放出し,その紫外光がランプスリーブ内部に塗布された蛍光体によって可視光に変換される。
【0003】
従来のガス放電ランプの点灯原理は比較的直截的であるが,従来のガス放電ランプは通常,特別な起動過程を必要とする。例えば,従来のガス放電ランプを起動する従来の過程は,電極を予熱して電極の周囲に多量の電子を発生させ(「予熱」段階),そしてガスを通じて電極間にアーク放電を生じさせるのに十分な強度の電流スパイクを電極間に印加する(「点火(strike)」段階)。ガスを通じたアーク放電が起きると,ランプの点灯を維持するために必要な電力は非常に小さいので,電力は減少される。
【0004】
多くの応用では,電極を直列に接続し,白熱ランプのフィラメントのように電極間に電流を通じて電極を予熱する。電極を通じて電流が流れると,電極の固有抵抗によって電子が励起される。電極が十分に予熱されると電極間に直接の電気接続が形成され,それによってガスを通る経路が電極間を電気が流れる唯一の経路となる。ほぼ同時に,電極に印加する電力を増加させ,電子が電極間にアーク放電を起こすのに十分な電位差を与える。
【0005】
起動回路は,広範な方法による広範な構成及び動作を用いる。一応用では,電力供給回路は,特定範囲の電力が供給されたときだけ二つの電極間に予熱電流を印加するように構成されたトランス対を含む。電力の周波数を変えることによって,予熱動作を選択的に制御することができる。この電力供給回路は,機能はするものの,二つの追加のトランスを用いる必要があり,電力供給回路の費用及びサイズを劇的に増加させる。更に,この回路は電力供給回路とランプとの間に直接の電気接続を含む。直接の電気接続はいくつかの欠点を有する。例えば,直接の電気接続を行うには,ランプを設置又は撤去するときにユーザが電気接続(及び時には機械的接続)を行う必要がある。更に直接電気接続は,電力供給回路とランプとの間が橋絡(bridge)されるという比較的高い電気的問題のリスクがある。
【0006】
いくつかの応用では,ガス放電ランプは誘導結合によって給電される。これは,例えば電線接続などの直接電気接続の必要性をなくし,また電力供給回路とガス放電ランプとの間をある程度絶縁する。誘導結合は直接電気接続に対して種々の利点をもたらすが,誘導結合を利用すると起動過程が複雑になる。誘導システムにおいて,起動回路の動作を制御する一つの方法は,電極間を選択的に直接電気接続することができる磁気制御リードスイッチを提供することである。この起動器構成は信頼性があるものの,電磁石とリードスイッチとの間が近接している必要がある。また上記二つの部品間に特定の方向付けが必要である。まとめると,これらの要求条件は,電力供給回路の設計及び構成,並びにランプ回路全体に重要な制約を与える可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は,2次回路に印加する電力の周波数を変えることによって,予熱モード及び点灯モードで選択的に動作できるガス放電ランプの誘導電力供給回路を提供する。一実施例では,誘導電力供給回路は一般に,1次コイルに印加される電力の周波数を変えるための周波数制御器を備えた1次回路と,1次コイルから誘導受電する2次コイルと,ガス放電ランプ及び予熱コンデンサを備える2次回路と,を含む。予熱コンデンサは,予熱周波数範囲内で1次コイルが動作しているときはランプを予熱し,点灯周波数範囲内で1次コイルを動作しているときは正常なランプ点灯をさせるように選択される。一実施例では,予熱コンデンサはランプ電極間に直列に接続される。
【0008】
一実施例では,予熱コンデンサと,予熱周波数と,点灯周波数とは,予熱周波数ではランプを通る電流経路のインピーダンスが,電極を通る電流経路のインピーダンスより高く,点灯周波数ではランプを通る電流経路のインピーダンスが,電極を通る電流経路のインピーダンスより低いように選択される。
【0009】
一実施例では,2次回路は,2次コイルとランプとの間に直列に配置された点灯コンデンサを更に含む。点灯コンデンサの容量は,2次コイルのインダクタンスと実質的に平衡するように選択してもよい。この実施例では,予熱コンデンサは,点灯コンデンサの容量にほぼ等しい容量を有してもよい。
【0010】
一実施例では,1次回路は,予熱周波数及び点灯周波数で共振するようになっている。一実施例では,1次回路は可変容量を有するタンク回路と,該タンク回路の容量を選択的に変えることができる制御器と,を含む。1次回路は,可変インダクタのようなタンク回路の共振周波数を変更するための代替回路を含んでもよい。
【0011】
一実施例では,可変共振周波数タンク回路は,1又は複数のスイッチを動かすことによって選択的に動作するようにした多数のコンデンサを含んでもよい。このスイッチは,およそ予熱周波数で1次コイルが共振を起こすようにタンク回路の実効容量が設定された第1位置と,およそ点灯周波数で1次コイルが共振を起こすようにタンク回路の実効容量が設定された第2位置と,の間で動かすことができる。
【0012】
一実施例では,タンク回路は,第1コイルと接地の間に接続されたタンク点灯コンデンサと,予熱コンデンサと並列に,スイッチを含む線に沿って,1次コイルと接地との間に接続されたタンク予熱コンデンサと,を含む。このスイッチは,予熱コンデンサを選択的に有効又は無効にするように動かすことができ,それによって,1次コイルの共振周波数を予熱周波数と点灯周波数とに切り替えることができる。
【0013】
別の態様では,本発明はガス放電ランプを起動し,点灯させる方法を提供する。この態様の一実施例では,本方法は,ランプを通る電流経路のインピーダンスが予熱コンデンサを通る電流経路のインピーダンスより高くなる予熱周波数の電力を,ランプを予熱するのに十分な時間,2次回路に印加することによってランプを予熱するステップと,ランプを通る電流経路のインピーダンスが予熱コンデンサを通る電流経路のインピーダンスより低くなる点灯周波数の電力を2次回路に印加することによってランプを点灯させるステップと,を含んでもよい。
【0014】
一実施例では,予熱周波数は,予熱コンデンサと点灯コンデンサとの結合容量を考慮した2次回路の共振周波数にほぼ対応し,点灯周波数は,点灯コンデンサの容量だけを考慮した2次回路の共振周波数にほぼ対応する。
【0015】
一実施例では,本方法は,予熱段階では予熱周波数に一致し,点灯段階では点灯周波数に一致するように1次回路の共振周波数を変更するステップを更に含む。一実施例では,このステップは,予熱段階と点灯段階とでタンク回路の実効容量を変更するステップとして更に規定される。別の実施例では,このステップは,予熱段階と点灯段階とでタンク回路の実効インダクタンスを変更するステップとして更に規定される。
【0016】
本発明は,ガス放電ランプを予熱し,起動し,点灯させる単純で効果的な回路及び方法を提供する。本発明は,最小数の部品を用いて複雑な機能を達成している。これによって回路全体の費用及びサイズが減少する。また本発明は,少数の部品だけを含み,それら部品は本質的に受動性であり,動作が複雑ではないので,信頼性を改善できる可能性がある。通常の応用では,1次回路が予熱周波数から点灯周波数に切り替わったとき,システムは自動的にランプを起動(すなわち点火)する。最初の切替えによって,ガスを通じて電極間にアーク放電を起こすのに十分な電圧が電極間に生じる。ランプが起動されるとランプを通るインピーダンスが低下し,ランプを通る電流経路のインピーダンスと,予熱コンデンサを通る電流経路のインピーダンスとの差が更に大きくなる。これによって,正常点灯中に予熱コンデンサを通る電流量が更に減少する。1次回路の共振周波数を選択的に調整できる応用では,予熱及び点灯双方の段階で効率のよい共振動作を行うように1次回路を変更することができる。更に,2次回路部品はランプの基部に容易に組み込むことができ,それによって実用的な実装を可能にする。
【0017】
本発明のこれら及び別の目的と,利点と,特徴とは,現在の実施例の詳細な説明及び図面を参照すれば,容易に理解し認識できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例によるガス放電ランプシステムの簡単な図である。
【図2】2次回路及びタンク回路の回路図である。
【図3】ガス放電ランプを起動し,点灯させる方法の一般ステップを示すフローチャートである。
【図4】代替タンク回路の回路図である。
【図5】ガス放電ランプを起動し,点灯させる方法の一般ステップを示すフローチャートである。
【図6】第2の代替タンク回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施例によるガス放電ランプシステム10を図1に示す。ガス放電ランプシステム10は一般に,1次回路12及びガス放電ランプ16に給電する2次回路14を含む。1次回路12は,1次回路12が誘導送電する電力の周波数を選択的に変える制御器20を含む。2次回路14は,1次コイル18から誘導受電する2次コイル22,及びガス放電ランプ16を含む。2次コイル22は,2次コイル22とランプ16との間に接続された点灯コンデンサ30と,ランプ電極24及び26の間に直列に接続された予熱コンデンサ32と,を更に含む。制御器20は,予熱コンデンサ32を通る電流経路のインピーダンスが,ガス放電ランプ16内のガスを通る電流経路のインピーダンスよりも低くなるように選択された予熱周波数の電力を2次回路14に印加することによって,ランプ16を予熱する。予熱後,制御器20は,予熱コンデンサ32を通る電流経路のインピーダンスが,ガス放電ランプ16内のガスを通る電流経路のインピーダンスよりも高くなるように選択された点灯周波数の電力を2次回路14に印加する。これによって予熱コンデンサ32が非同調状態(detuned)になり,次にガス放電ランプ16内のガスを通る電流経路に沿って電流が流れることになる。
【0020】
上述のとおり,本発明の一実施例の簡単な図が図1に示されている。図示した実施例では,1次回路12は,1次コイル18と,所望の周波数の電力を1次コイル18に印加する周波数制御器20と,を含む。図示した実施例の周波数制御器20は,一般にマイクロコントローラ40と,発振器42と,駆動器44と,インバータ46と,を含む。発振器42及び駆動器44は個別部品であってもよいし,例えばマイクロコントローラ40内のモジュールとして,マイクロコントローラ40に組み込んでもよい。この実施例では,これらの部品は集合的にタンク回路48を駆動する。より詳しく言えば,インバータ46がDC(直流)電源50からタンク回路48へAC(交流)電力を供給する。タンク回路48は1次コイル18を含み,また想定する動作パラメータで1次コイル18のインピーダンスと平衡するように選択されたコンデンサ52も含んでよい。タンク回路48は,直列共振タンク回路であってもよいし,並列共振タンク回路であってもよい。この実施例では,駆動器44はインバータ46内のスイッチを動作させるために必要な信号を供給する。次に駆動器44は発振器42によって設定された周波数で動作する。次に発振器42は,マイクロコントローラ40によって制御される。マイクロコントローラ40は,PIC18LF1320のようなマイクロコントローラであってもよいし,より一般的なはん用マイクロプロセッサであってもよい。図示した1次回路12は単なる例示であって,本質的には種々の周波数で誘導給電ができる任意の一時回路を本発明に組み込んでよい。本発明は,Kuennenほかの米国特許第6,825,620号,"Inductively Coupled Ballast Circuit"(誘導結合バラスト回路),2004年11月30日発行,に記載の誘導1次回路に組み込んでもよい。米国特許第6,825,620号をここに参照する。
【0021】
上述のとおり,2次回路14は,1次コイル18から誘導受電する2次コイル22と,ガス放電ランプ16と,点灯コンデンサ30と,予熱コンデンサ32と,を含む。ここで図2を参照すると,ガス放電ランプ16はランプスリーブ60内で互いに間隔を保つ電極対24及び26を含む。ランプスリーブ60は所望の不活性ガスが充てんされており,また所望であれば金属蒸気も含んでよい。ランプ16は2次コイル22に直列に接続されている。本実施例では,第1電極24は2次コイル22の一方のリードに接続され,第2電極26は2次コイル22の他方のリードに接続されている。本実施例では,点灯コンデンサ30は2次コイル22と第1電極24との間に直列に接続されており,予熱コンデンサ32は第1電極24と第2電極26との間に直列に接続されている。図2において,タンク回路48は1次コイル18及びコンデンサ52を備えている。図2には示していないが,タンク回路48はコネクタ49によってインバータ46と接続されている。
【0022】
図3を参照してシステム10の動作を説明する。本方法は一般に,予熱周波数の電力を2次回路14に印加するステップ(ステップ100)を含む。予熱周波数は,ランプを通る電流経路のインピーダンスが,予熱コンデンサ32を通る電流経路のインピーダンスより高くなる周波数に選択される。一実施例では,周波数制御器20は,点灯コンデンサ30と予熱コンデンサ32との直列共振周波数(fsと記す)にほぼ等しい予熱周波数の電力を2次回路14に印加することによって,ランプ16を予熱する。本実施例におけるfsを計算する公式は下記のとおりである。予熱周波数において,予熱コンデンサ32は十分に同調して電極24及び26の間に直接の電気接続を形成する。これによって予熱コンデンサ32を通じて電極24と26とに直接電流が流れるようになる。この電流が電極24及び26を予熱する。システム10は,電極24及び26が十分に予熱されるまで,予熱周波数の電力を供給する(ステップ102)。予熱段階の時間は応用毎に異なるが,通常は所定の時間であって,従来のガス放電ランプでは1秒から5秒の範囲であろう。予熱後,制御器20は,ランプを通る電流経路のインピーダンスが,予熱コンデンサ32を通る電流経路のインピーダンスより低くなる周波数に選択された点灯周波数の電力を2次回路14に印加する(ステップ104)。本実施例では,点灯周波数は点灯コンデンサ30の共振周波数(foと記す)にほぼ等しい。本実施例におけるfsを計算する公式は下記のとおりである。この周波数変更は,予熱コンデンサ32を非同調にし,実効的にランプ16を通る電流を生じる。この周波数変更は通常,予熱コンデンサが開放回路となるようにはしないが,ガス放電ランプ16内のガスを通るアーク放電を生じさせるのに十分な量の電流が予熱コンデンサを通って流れることを制限する。結果として,点灯周波数への切替えによって,2次回路14に発生した電力が,ランプスリーブ60内のガスを通って一方の電極24から他方の電極26への電流経路を流れるようになる。初め,この周波数変更は,非同調になったコンデンサが,電極24及び26間に十分な電圧を与え,電流がガスを通してアーク放電を起こす。ランプが起動された後,ランプは点灯周波数で正常に点灯し続ける。換言すれば,2次回路16に印加された周波数を一度変更することによって,ランプが予熱段階から起動(すなわち点火)段階を経て点灯段階へ移行する。
【0023】
【数1】

L 2次コイルインダクタンス
C1 点灯コンデンサ容量
C2 予熱コンデンサ容量
fs 予熱周波数
fo 点灯周波数
【0024】
予熱周波数及び点灯周波数を決定する公式によって特定の周波数が得られるが,本願明細書及び請求項において,「予熱周波数」及び「点灯周波数」という用語は,それぞれ上記の計算された「予熱周波数」及び「点灯周波数」を含む周波数範囲を含むものと理解することが望ましい。一般に本システムの効率は,実際の周波数が計算された周波数からずれるとそれだけ損なわれる。通常の応用では,実際の予熱周波数及び実際の点灯周波数は計算された周波数の一定範囲内であることが望ましい。しかし厳密な制限はなく,回路が許容される効率で機能する限り,より大きい偏差が許容される。多くの応用では,予熱周波数はおよそ点灯周波数の2倍である。1次回路12は,ガス放電ランプ16の点灯が必要なくなるまで,2次回路14に電力を印加し続けてよい(ステップ106)。
【0025】
所望であれば,1次回路12’は,1次回路12’が予熱周波数及び点灯周波数双方で共振するように,選択的に調整可能な共振を有するように構成してもよい。この機能を組み込んだ一実施例では,1次回路12’は,タンク回路48’の共振周波数が予熱周波数及び点灯周波数に一致するように選択的に調整できる可変容量タンク回路48’(図4参照)を含んでもよい。図4は,タンク回路48’の容量を変える簡単な回路を示している。図示した実施例では,タンク回路48’は,1次コイル18’と接地との間に接続されたタンク点灯コンデンサ52a’と,1次コイル18’と接地との間に,タンク点灯コンデンサ52a’と並列のスイッチを含む線によって接続されたタンク予熱コンデンサ52b’と,を含む。スイッチを含む線は,該スイッチを含む線を選択的に開放することができるスイッチ53’を含み,それによってタンク回路48’からタンク予熱コンデンサ52b’を実効的に除くことができる。スイッチ53’の動作は,例えばマイクロコントローラ40又は別の制御器である周波数制御器20によって制御してもよい。スイッチ53’は,リレー,FET,トライアック(登録商標),又は専用ACスイッチデバイスなど,本質的に任意の種類の電気スイッチであってよい。
【0026】
この代替回路の動作を,図5を参照して一般的に説明する。1次回路12’は,タンク回路48’の共振周波数を予熱周波数にほぼ等しく調整する(ステップ200)。次に1次回路12’は,予熱周波数の電力を2次回路に供給する(ステップ202)。1次回路12’は,電極24及び26が十分に予熱されるまで,予熱周波数の電力を2次回路に供給し続ける(ステップ204)。各電極が十分に予熱されると,1次回路12’は,タンク回路48’の共振周波数を点灯周波数にほぼ等しく調整する(ステップ206)。1次回路12’は,動作周波数を切り替えて,点灯周波数の電力を2次回路14’へ供給する(ステップ208)。1次回路12’は,必要がなくなるまで電力を供給し続けてもよい(ステップ210)。また,システム10は,障害状態が起きた(例えば,ランプが切れた,若しくは取り外された,又は短絡が起きた)とき,動作を停止する障害論理も含んでよい。
【0027】
並列及び直列のコンデンサ副回路を代替的に用いることによって,種々の容量を実現してもよい。例えば図6は代替タンク回路12’’を示しており,タンク予熱コンデンサ52b’’がタンク点灯コンデンサ52a’’と直列に接続されているが,スイッチ53’’の動作によって,予熱コンデンサ52a’’の周りの回路を短絡させて実効的に回路から予熱コンデンサ52b’’を取り除くためにスイッチを含む線が含まれる。
【0028】
本発明を可変容量タンク回路48’に関連して説明したが,本発明は,タンク回路48’又は1次回路12’の共振周波数を,予熱モードと点灯モードとで変える別の方法も含む。例えば1次回路は可変インダクタンスを含んでもよい。この代替実施例(図示していない)では,タンク回路は,可変インダクタと,該可変インダクタのインダクタンスを選択的に制御する制御器と,を含んでもよい。別の例(図示していない)として,タンク回路は,可変容量タンク回路に関連して上述したものとほとんど同じ方法で,制御器によって回路に接続及び切り離しできる多数のインダクタを含んでもよい。
【0029】
上記の説明は本発明の現在の実施例に関するものである。添付の請求項に規定された本発明の精神及びより広い態様から逸脱することなく,種々の代替物及び変更物を作ることができ,それらは均等論を含む特許法の原理に従って解釈されるものとする。例えば,「一つの」,「この」,又は「前記の」などを用いた単数形のどの請求要素も,該要素を単数に限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導駆動ガス放電ランプアセンブリの2次回路であって,
間隔を保つ第1電極及び第2電極をガス内に有するランプと,
前記第1電極及び前記第2電極に接続された2次コイルと,
前記第1電極と前記第2電極との間に直列に接続された第1コンデンサと,
を備える2次回路。
【請求項2】
前記第1コンデンサは,予熱周波数の電力が前記2次回路に印加されているときは,前記第1コンデンサを通る電流経路が前記ガスを通る電流経路よりも低いインピーダンスを有し,点灯周波数の電力が前記2次回路に印加されているときは,前記第1コンデンサを通る前記電流経路が前記ガスを通る前記電流経路よりも高いインピーダンスを有するように選択された特性を有する請求項1に記載の2次回路。
【請求項3】
前記2次コイルと前記第1電極との間に直列に接続された第2コンデンサを更に含む請求項1に記載の2次回路。
【請求項4】
前記予熱周波数は,前記2次コイルと,前記第1コンデンサと,前記第2コンデンサとの共振周波数にほぼ等しい請求項3に記載の2次回路。
【請求項5】
前記点灯周波数は,前記2次コイルと,前記第2コンデンサとの共振周波数にほぼ等しい請求項3に記載の2次回路。
【請求項6】
周波数制御器及び1次コイルを備える1次回路と,
2次コイルと,ガス放電ランプと,予熱コンデンサと,を備える2次回路であって,前記ガス放電ランプは間隔を保つ第1電極及び第2電極をガス内に有し,前記予熱コンデンサは前記第1電極と前記第2電極との間に直列に接続された2次回路と,
予熱周波数では,予熱コンデンサが前記第1電極から前記第2電極へ前記ガスを通じて電流が流れることを阻止し,点灯周波数では,前記予熱コンデンサが前記第1電極から前記第2電極へ前記ガスを通じて電流を流すように選択的に動作する前記周波数制御器と,
を備えるガス放電ランプアセンブリ。
【請求項7】
前記2次回路は,点灯コンデンサを含む請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記点灯コンデンサは,前記2次コイルと前記第1電極との間に直列に接続される請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記予熱周波数は,前記2次コイルと,前記予熱コンデンサと,前記点灯コンデンサと,の直列共振周波数にほぼ等しいように更に規定される請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記点灯周波数は,前記2次コイルと,前記点灯コンデンサと,の共振周波数にほぼ等しいように更に規定される請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
間隔を保つ第1電極と第2電極をガス内に有するガス放電ランプを起動し,点灯させる方法であって,
前記ランプに接続された2次コイルと,前記第1電極と前記第2電極との間に直列に接続された予熱コンデンサとを備える2次回路を提供するステップと,
前記予熱コンデンサを通る電流経路のインピーダンスが,前記ガスを通る電流経路のインピーダンスより低くなる予熱周波数の電力を2次回路に印加するステップと,
前記予熱コンデンサを通る電流経路のインピーダンスが,前記ガスを通る電流経路のインピーダンスより低くなる点灯周波数の電力を2次回路に印加するステップと,
を有する方法。
【請求項12】
予熱周波数の電力を印加する前記ステップは,前記ランプを予熱するのに十分な時間実行される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
予熱周波数の電力を印加する前記ステップは,前記ランプを予熱するのに十分な所定の時間実行される請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記2次回路は点灯コンデンサを更に含み,前記予熱周波数は,前記2次コイルと,前記点灯コンデンサと,前記予熱コンデンサと,の共振周波数にほぼ等しい請求項14に記載の方法。
【請求項15】
前記点灯周波数は,前記2次コイルと前記点灯コンデンサとの共振周波数にほぼ等しい請求項19に記載の方法。
【請求項16】
間隔を保つ1対の電極をガス内に有するガス放電ランプを起動し,点灯させる方法であって,
前記ガス放電ランプの前記の各電極間に接続された予熱コンデンサを備える2次回路を提供するステップと,
前記予熱コンデンサを通って前記各電極の一方から前記各電極の他方へ電流が流れるように選択した予熱周波数の電力を2次回路に印加するステップと,
前記ガスを通って前記各電極の一方から前記各電極の他方へ電流が流れるように選択した点灯周波数の電力を2次回路に印加するステップと,
を有する方法。
【請求項17】
前記2次回路に点灯コンデンサを提供するステップを更に有し,
前記予熱周波数は,前記2次コイルと,前記点灯コンデンサと,前記予熱コンデンサと,の直列共振周波数にほぼ等しい請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記2次回路に点灯コンデンサを提供するステップを更に有し,
前記点灯周波数は,前記2次コイルと,前記点灯コンデンサと,の直列共振周波数にほぼ等しい請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記予熱周波数は,前記点灯周波数のほぼ2倍に等しい請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記予熱周波数の電力を印加するステップは,約1秒間から約5秒間実行される請求項16に記載の方法。
【請求項21】
誘導駆動ガス放電ランプアセンブリの誘導電力供給システムであって,
予熱周波数及び点灯周波数で動作するタンク回路を備えた1次回路であって,該タンク回路の共振周波数を選択的に変更する共振周波数制御器を備える1次回路と,
間隔を保つ第1電極及び第2電極をガス内に有するランプと,
前記第1電極及び前記第2電極に接続された2次コイルと,
前記第1電極と前記第2電極との間に直列に接続された第1コンデンサと,
を備えるシステム。
【請求項22】
前記第1コンデンサは,予熱周波数の電力が前記2次回路に印加されているときは,前記第1コンデンサを通る電流経路が前記ガスを通る電流経路よりも低いインピーダンスを有し,点灯周波数の電力が前記2次回路に印加されているときは,前記第1コンデンサを通る前記電流経路が前記ガスを通る前記電流経路よりも高いインピーダンスを有するように選択された特性を有する請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記2次コイルと前記第1電極との間に直列に接続された第2コンデンサを更に含む請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記予熱周波数は,前記2次コイルと,前記第1コンデンサと,前記第2コンデンサとの共振周波数にほぼ等しい請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記点灯周波数は,前記2次コイルと,前記第2コンデンサとの共振周波数にほぼ等しい請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
周波数制御器及びタンク回路を備えた1次回路であって,該周波数制御器は予熱周波数及び点灯周波数で選択的に動作し,前記タンク回路の共振周波数を選択的に変更する手段を更に備える1次回路と,
2次コイルと,ガス放電ランプと,予熱コンデンサと,を備える2次回路であって,前記ガス放電ランプは間隔を保つ第1電極及び第2電極をガス内に有し,前記予熱コンデンサは前記第1電極と前記第2電極との間に直列に接続され,前記予熱コンデンサは前記予熱周波数の電力が前記2次回路に供給されたときは,前記第1電極から前記第2電極へ前記ガスを通じて電流が流れることを阻止し,前記予熱コンデンサは前記点灯周波数の電力が前記2次回路に供給されたときは,前記第1電極から前記第2電極へ前記ガスを通じて電流が流れるようにする2次回路と,
を備えるガス放電ランプアセンブリ。
【請求項27】
前記タンク回路の共振周波数を変更する前記手段は,前記タンク回路の容量を変更する手段を含む請求項26に記載のアセンブリ。
【請求項28】
前記タンク回路の共振周波数を変更する前記手段は,前記タンク回路のインダクタンスを変更する手段を含む請求項26に記載のアセンブリ。
【請求項29】
前記2次回路は点灯コンデンサを含む請求項26に記載のアセンブリ。
【請求項30】
前記点灯コンデンサは,前記2次コイルと前記第1電極との間に直列に接続される請求項29に記載のアセンブリ。
【請求項31】
前記予熱周波数は,前記2次コイルと,前記予熱コンデンサと,前記点灯コンデンサと,の直列共振周波数にほぼ等しいように更に規定される請求項30に記載のアセンブリ。
【請求項32】
前記点灯周波数は,前記2次コイルと,前記点灯コンデンサとの共振周波数にほぼ等しいように更に規定される請求項31に記載のアセンブリ。
【請求項33】
前記タンク回路の共振周波数を変更する前記手段は,前記1次回路が前記点灯周波数の電力を前記2次コイルに印加しているときは,前記共振周波数が前記点灯周波数にほぼ対応するように調整し,前記1次回路が前記予熱周波数の電力を前記2次コイルに印加しているときは,前記共振周波数が前記予熱周波数にほぼ対応するよう調整にする制御回路を含む請求項32に記載のアセンブリ。
【請求項34】
間隔を保つ第1電極及び第2電極をガス内に有するガス放電ランプを起動し,点灯させる方法であって,
タンク回路及びタンク回路共振周波数制御器を備える1次回路を提供するステップと,
前記ランプに接続された2次コイルと,前記第1電極と前記第2電極との間に直列に接続された予熱コンデンサと,を備える2次回路を提供するステップと,
前記予熱コンデンサを通る電流経路のインピーダンスが,前記ガスを通る電流経路のインピーダンスより低くなる予熱周波数の電力を2次回路に印加するステップと,
予熱周波数の電力を2次回路に印加する前記ステップで,前記タンク回路の共振周波数を,前記予熱周波数にほぼ対応するように調整するステップと,
前記予熱コンデンサを通る電流経路のインピーダンスが,前記ガスを通る電流経路のインピーダンスより低くなる点灯周波数の電力を2次回路に印加するステップと,
点灯周波数の電力を2次回路に印加する前記ステップで,前記タンク回路の共振周波数を,前記点灯周波数にほぼ対応するように調整するステップと,
を有する方法。
【請求項35】
予熱周波数の電力を印加する前記ステップは,前記ランプを予熱するのに十分な時間実行される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記の各調整ステップのうち少なくとも一つは,前記タンク回路の容量を変化させるステップを含む請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記の各調整ステップのうち少なくとも一つは,前記タンク回路のインダクタンスを変化させるステップを含む請求項34に記載の方法。
【請求項38】
間隔を保つ1対の電極をガス内に有するガス放電ランプを起動し,点灯させる方法であって,
タンク回路を備える1次回路を提供するステップと,
前記ガス放電ランプの前記の各電極間に接続された予熱コンデンサを備える2次回路を提供するステップと,
前記タンク回路の共振周波数が予熱周波数に実質的に一致するように調整するステップと,
前記予熱コンデンサを通って前記各電極の一方から前記各電極の他方へ電流が流れるように選択した前記予熱周波数の電力を2次回路に印加するステップと,
前記タンク回路の共振周波数が点灯周波数に実質的に一致するように調整するステップと,
前記ガスを通って前記各電極の一方から前記各電極の他方へ電流が流れるように選択した前記点灯周波数の電力を2次回路に印加するステップと,
を有する方法。
【請求項39】
前記の各調整ステップのうち少なくとも一つは,前記タンク回路の容量と,前記タンク回路のインダクタンスと,のうち少なくとも一つを変更するステップを含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記2次回路に点灯コンデンサを提供するステップを更に有し,
前記予熱周波数は,前記2次コイルと,前記点灯コンデンサと,前記予熱コンデンサとの直列共振周波数にほぼ等しく,
前記点灯周波数は,前記2次コイルと,前記点灯コンデンサとの直列共振周波数にほぼ等しい請求項39に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−516019(P2010−516019A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544471(P2009−544471)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/IB2007/055300
【国際公開番号】WO2008/084358
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(302070822)アクセス ビジネス グループ インターナショナル リミテッド ライアビリティ カンパニー (122)
【Fターム(参考)】