説明

誘電体粒子集合体、それを用いた低温焼結誘電体磁器組成物及びそれを用いて製造される低温焼結誘電体磁器

Tiを含有する誘電体からなり表層部にTiとZnとを含む酸化物を含有してなる誘電体粒子の集合体100重量部に対してガラス成分を2.5〜20重量部配合することで低温焼結誘電体磁器組成物が提供される。この低温焼結誘電体磁器組成物を880〜1000℃で焼成することで低温焼結誘電体磁器を製造する。これにより、Ag及びCuまたはこれらの少なくとも1つを含む合金からなる内部導体を有する積層構造電子部品を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にマイクロ波帯において使用される積層構造の電子部品であるところの、積層誘電体共振器、積層セラミックコンデンサ、積層LCフィルタ及び積層誘電体基板等を製造するのに使用される低温焼結誘電体磁器組成物、それに用いられる誘電体粒子集合体及び前記低温焼結誘電体磁器組成物を用いて製造される低温焼結誘電体磁器、更にはこれらの製造方法に関するものである。更に詳しく述べると、本発明は、ガラスを含有させても低温では容易には焼結しないと考えられていたTiを含有する誘電体材料を、1000℃以下の低温で焼成するのを可能にする誘電体粒子集合体及び該誘電体粒子集合体を用いて得られる低温焼結誘電体磁器組成物並びに該低温焼結誘電体磁器組成物を用いて製造される低温焼結誘電体磁器、更にはこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロ波回路の集積化に伴い、小型でかつ誘電損失(tanδ)が小さく誘電特性が安定した誘電体共振器が求められている。誘電体共振器を用いて誘電体フィルタを形成する場合、誘電体共振器を構成する誘電体に要求される特性は、(1)温度変化に対する特性の変動を極力小さくするため共振周波数の温度係数τfの絶対値を小さくできること、及び、(2)誘電体フィルタに要求される挿入損失を極力小さくするため共振のQ値を高くできること、である。さらに、携帯電話等で使用されるマイクロ波付近では誘電体の比誘電率εにより共振器の長さが制約を受けるので、素子の小型化には比誘電率εが高いことが要求される。ここで、誘電体共振器の長さは使用電磁波の波長が基準となる。比誘電率εの誘電体中を伝播する電磁波の波長λは、真空中の電磁波の伝播波長をλとするとλ=λ/(ε1/2となる。したがって、素子は使用される誘電体の誘電率が大きいほど小型化できる。
【0003】
一方、積層構造の誘電体共振器等は、層状に内部導体を配置し、該内部導体を層状の焼結誘電体磁器により挟持した積層構造電子部品として構成されている。これら積層構造電子部品の内部導体の材料としては、Au、Pt、Pd等の貴金属が用いられてきたが、コストダウンの観点から、これら導体材料より比較的安価なAgもしくはCu、またはAgもしくはCuを主成分とする合金が用いられるようになりつつある。特にAgまたはAgを主成分とする合金は、その直流抵抗が低いことから、誘電体共振器のQ特性を向上させることができる等の利点があり、その使用の要求が高まっている。しかしAgまたはAgを主成分とする合金は、融点が960℃程度と低いので、これより低い温度で安定に焼結できる誘電体材料と組み合わせて使用することが必要となる。
【0004】
上記のような誘電特性を満足するような誘電体材料として、低温焼成を可能にするために、適当なガラス成分を混合してなるものが使用されている。例えば、高誘電率の誘電体材料として、BaO−TiO−Nd系セラミックスとガラスとの複合材料からなるガラスセラミックス(特開平8−239263号公報[特許文献1]、特開平10−330161号公報[特許文献2])が知られている。
【特許文献1】特開平8−239263号公報
【特許文献2】特開平10−330161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、BaO−TiO−Nd系セラミックス材料は低温焼結が難しく、特許文献1に示されたガラスセラミックス材料は、平均粒子径0.1μm以下まで微粉砕することが必要であり、粉砕工程に長時間を要する。また、それでも焼成しにくいため、このガラスセラミックス材料は、グリーンシートの積層体を焼成する際に複雑な焼成パターンを要する問題点がある。
【0006】
また、特許文献2に示されたガラスセラミックス材料では、低温焼結させるために、ガラスとともにCuO、ZnO、SnO等を添加することで、平均粒子径を0.3μmまで大きくすることが可能となっている。しかし、このガラスセラミックス材料は、やはり低温焼結が難しく、粉砕工程に長時間を要し、さらにグリーンシートの積層体を焼成する際に複雑な焼成パターンを要する問題点がある。
【0007】
上記BaO−TiO−Nd系セラミックス材料と同じように、BaTiOやSrTiOなどの材料も、高誘電率でありながら、焼結が難しい材料である。このような材料は、単にガラスと混合して焼成しても低温では焼結が難しい材料である。
【0008】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、焼結の難しいTi元素を含有する誘電体材料であっても、容易に1000℃以下の低温で焼結させることのできる低温焼結誘電体磁器組成物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、そのような低温焼結誘電体磁器組成物に用いられる誘電体粒子の集合体及び前記低温焼結誘電体磁器組成物を用いて製造される低温焼結誘電体磁器を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、上記目的を達成するものとして、Tiを含有する誘電体からなる粒子の集合体であって、前記粒子は表層部にTiとZnとを含む酸化物を含有してなることを特徴とする誘電体粒子集合体、が提供される。
【0011】
本発明の一態様においては、前記TiとZnとを含む酸化物は、ZnTiOおよび/またはZnTiOである。本発明の一態様においては、前記Tiを含有する誘電体は、BaO−TiO−Nd系誘電体、BaTiO系誘電体、またはSrTiO系誘電体である。本発明の一態様においては、前記Tiを含有する誘電体は、BaO−TiO−Nd系誘電体であって、BaOを10〜16モル%、TiOを67〜72モル%及びNdを16〜18モル%含有する主成分と、該主成分100重量部に対し副成分としてBiを7〜10重量部及びAlを0.3〜1.0重量部とを含有してなる。本発明の一態様においては、前記TiとZnとを含む酸化物を含有する表層部は、厚さが50nm以下である。本発明の一態様においては、前記誘電体粒子集合体は平均粒子径が0.4μm〜3.0μmである。
【0012】
本発明によれば、上記目的を達成するものとして、以上のような誘電体粒子集合体を製造する方法であって、Tiを含有する誘電体母材粒子の集合体にZnOを混合し、仮焼処理することを特徴とする誘電体粒子集合体の製造方法、が提供される。本発明の一態様においては、前記誘電体母材粒子の集合体100重量部に対して前記ZnOを0.5〜10重量部混合する。本発明の一態様においては、前記仮焼処理は酸素含有雰囲気下で行われる。本発明の一態様においては、前記仮焼処理の温度は900〜1200℃である。
【0013】
本発明によれば、上記目的を達成するものとして、以上のような誘電体粒子集合体100重量部に対してガラス成分を2.5〜20重量部配合してなることを特徴とする低温焼結誘電体磁器組成物、が提供される。本発明の一態様においては、前記ガラス成分は、ZnOを45〜70重量%、Bを5〜13重量%、SiOを7〜40重量%、Alを8〜20重量%含有してなる。
【0014】
本発明によれば、上記目的を達成するものとして、以上のような誘電体粒子集合体を構成する誘電体粒子100重量部とガラス成分2.5〜20重量部とからなることを特徴とする低温焼結誘電体磁器、が提供される。本発明の一態様においては、前記ガラス成分は、ZnOを45〜70重量%、Bを5〜13重量%、SiOを7〜40重量%、Alを8〜20重量%含有してなる。
【0015】
本発明によれば、上記目的を達成するものとして、以上のような低温焼結誘電体磁器組成物を880〜1000℃で焼成する焼成工程を含むことを特徴とする、低温焼結誘電体磁器の製造方法、が提供される。本発明の一態様においては、前記ガラス成分は、ZnOを45〜70重量%、Bを5〜13重量%、SiOを7〜40重量%、Alを8〜20重量%含有してなる。本発明の一態様においては、前記焼成工程は前記低温焼結誘電体磁器組成物を含む層と金属を含む層との積層体に対してなされ、これにより前記金属からなる層を内部導体とする積層構造電子部品を得る。本発明の一態様においては、前記金属からなる層はAg及びCuまたはこれらの少なくとも1つを含む合金からなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、Tiを含有する誘電体からなり表層部にTiとZnとを含む酸化物を含有してなる誘電体粒子の集合体100重量部に対してガラス成分を2.5〜20重量部配合することで低温焼結誘電体磁器組成物が提供され、該低温焼結誘電体磁器組成物を880〜1000℃で焼成することで低温焼結誘電体磁器を製造することが可能となる。これにより、Ag及びCuまたはこれらの少なくとも1つを含む合金からなる内部導体を有する積層構造電子部品を提供することができる。このように、本発明によれば、誘電率が高く電子部品用材料として優れていながら従来は低温焼成が困難であったTiを含有する誘電体材料を、容易にAg及びCuまたはこれらの少なくとも1つを含む合金の融点以下である1000℃以下の低温にて焼結させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1で得られた本発明に係る誘電体粒子集合体のX線回折図である。
【図2】実施例1で得られた本発明に係る誘電体磁器のX線回折図である。
【図3】本発明に係る誘電体磁器である積層型電子部品の一実施形態としてのトリプレートタイプの誘電体共振器の模式的斜視図である。
【図4】図3の誘電体共振器の模式的断面図である。
【図5】実施例3で得られた本発明に係る誘電体粒子集合体を構成する誘電体粒子の透過型電子顕微鏡観察写真である。
【図6】図5中のスポット1で評価したEDS(Energy Dispersive Spectrometer)のスペクトルである。
【図7】図5中のスポット5で評価したEDSのスペクトルである。
【符号の説明】
【0018】
1 誘電体磁器層
2 内部導体
3 外部導体
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明による誘電体粒子集合体、低温焼結誘電体磁器組成物及び低温焼結誘電体磁器並びにそれらの製造方法について具体的に説明する。
【0020】
本発明の誘電体粒子集合体は、Ti(チタン元素)を含有する誘電体からなる多数の粒子の集合体であって、以下において「誘電体粒子からなる粉末」と称されることがある。Tiを含有する誘電体からなる粒子は、表層部にTiとZnとを含む酸化物を含有している。ここで、Tiを含有する誘電体としては、BaO−TiO−Nd系誘電体、BaTiO系誘電体、またはSrTiO系誘電体が例示される。特に、BaO−TiO−Nd系誘電体は、BaOを10〜16モル%、TiOを67〜72モル%及びNdを16〜18モル%含有する主成分と、該主成分100重量部に対し副成分としてBiを7〜10重量部及びAlを0.3〜1.0重量部とを含有してなる仮焼済みのものであるのが好ましい。また、粒子の表層部に含有されるTiとZnとを含む酸化物としては、ZnTiOおよび/またはZnTiOが例示される。TiとZnとを含む酸化物を含有する表層部は、厚さがたとえば10nm以上50nm以下である。但し、TiとZnとを含む酸化物を含有する表層部の厚さは、必ずしも粒子全面にわたって均一でなくともよく、上記数値は平均的にみた厚さ範囲である。本発明の誘電体粒子集合体は、平均粒子径がたとえば0.4μm〜3.0μmである。
【0021】
本発明による誘電体粒子集合体の製造方法は、Tiを含有する誘電体母材粒子の集合体にZnOを混合し、仮焼処理するものである。Tiを含有する誘電体母材粒子としては、Znを実質上含有しないものを使用することができる。誘電体母材粒子の集合体100重量部に対してZnOを0.5〜10重量部混合するのが好ましい。仮焼処理は酸素含有雰囲気下(たとえば大気中)で行われるのが好ましい。仮焼処理の温度は、たとえば900〜1200℃である。
【0022】
本発明の低温焼結誘電体磁器組成物は、以上のような誘電体粒子集合体100重量部に対してガラス成分を2.5〜20重量部配合してなるものである。ガラス成分としては、たとえば、ZnOを45〜70重量%、Bを5〜13重量%、SiOを7〜40重量%、Alを8〜20重量%含有するものが例示される。
【0023】
本発明の低温焼結誘電体磁器は、以上のような誘電体粒子集合体を構成する誘電体粒子100重量部とガラス成分2.5〜20重量部とからなるものであり、以上のような低温焼結誘電体磁器組成物を880〜1000℃で焼成する焼成工程を含む製造方法により製造することができる。焼成工程は、たとえば、低温焼結誘電体磁器組成物を含む層と金属を含む層との積層体に対してなされ、これによりAg及びCuまたはこれらの少なくとも1つを含む合金からなる層を内部導体とする積層構造電子部品を得ることができる。
【0024】
以下、更に詳細に説明する。
【0025】
本発明の低温焼結誘電体磁器の製造方法は、Ti元素を含有する誘電体粒子(母材粒子)からなる粉末(多数の粒子の集合体)にZnOを混合し、焼成(仮焼)して、前記Ti元素を含有する誘電体母材粒子の表面(表層部)にTiとZnとを含有する酸化物を形成する工程(即ち、誘電体粒子集合体を製造する工程)と、前記誘電体母材粒子の表面にTiとZnを含有する酸化物を表面に形成した誘電体粒子からなる粉末と、ガラス成分とを混合し(即ち、低温焼結誘電体磁器組成物を得)、880〜1000℃で焼成する工程とを有する。低温焼結化のため、本発明では、ベースとなるTi元素を含有する誘電体母材粒子に対して、その表面におけるZnO系複合酸化物の形成とガラス成分の添加という手法を採用している。ガラス成分としては、ZnO−B−SiO−Al系ガラス材料を採用することができる。
【0026】
Ti元素を含有する誘電体母材粒子としては、BaO−TiO−Nd系材料や、BaTiOや、SrTiOなどの材料からなるものが挙げられる。例えば、BiとAlとを含有するBaO−TiO−Nd系の誘電体材料は、それ自身が高誘電率を呈する誘電特性をもつ。しかし、それ単独で良好な特性を発現させるためには1300℃程度以上の高温での通常焼成を行わなければならない。内部電極材として、例えばCuあるいはAgを用いる場合には、1000℃程度の低い焼成温度を可能にする誘電体材料が要求される。因に、Cuの融点は1083℃、Auの融点は1063℃である。なおAgの融点は960℃であるが、誘電体材料の内部にAgを埋没して焼成した場合、1000℃で焼成しても内部のAg電極パターンは崩れないことが分かっている。したがって1000℃以下で焼結できれば、内部電極用として好ましい上記の金属を含む層と誘電体磁器組成物を含む層との積層体を焼成して、積層構造電子部品を製造できることになる。
【0027】
BaO−TiO−Nd系の誘電体材料は、BaOが10〜16モル%、TiOが67〜72モル%、Ndが16〜18モル%の組成を有する主成分と、該主成分100重量部に対し、副成分としてBiを7〜10重量部、Alを0.3〜1.0重量部含有している仮焼済みのBaO−TiO−Nd系高誘電率材料であることが好ましい。この組成のBaO−TiO−Nd系誘電体材料は、次のように材料自体の最良の特性を発現させることができる。例えば、主成分であるBaOは、10モル%未満では得られる誘電体磁器の比誘電率が小さくなり、16モル%を超えると得られる誘電体磁器の共振周波数の温度係数の絶対値が大きくなる傾向にある。TiOは67モル%未満では焼結性が悪くなり、72モル%を超えると得られる誘電体磁器の共振周波数の温度係数の絶対値が大きくなる傾向にある。Ndは、16モル%未満では得られる誘電体磁器の共振周波数の温度係数の絶対値が大きくなり、18モル%を超えると得られる誘電体磁器の比誘電率が小さくなる傾向にある。また副成分であるBiは、主成分100重量部に対し7重量部未満では得られる誘電体磁器の共振周波数の温度係数の改善効果が小さく、10重量部を超えると焼結性が悪くなる傾向にある。Alは、0.3重量部未満では得られる誘電体磁器の共振のQ値及び共振周波数の温度係数の改善効果が少なく、1.0重量部を超えると得られる誘電体磁器の比誘電率が小さく共振のQ値が減少する傾向にある。
【0028】
本発明の低温焼結誘電体磁器の製造方法では、Ti元素を含有する誘電体母材粒子からなる粉末にZnOを混合し、仮焼する。これにより、前記誘電体母材粒子中のTiO成分がZnOと反応し、誘電体母材粒子の表面にTiとZnとを含有する酸化物を形成する。TiとZnとを含有する酸化物としては、ZnTiOまたはZnTiOあるいはこれらの混合成分が例示される。ZnTiOまたはZnTiOは、誘電率が高く、ガラスとのなじみがよい材料であり、ベースとなる誘電体母材粒子と後から添加するガラス成分との接着材の役目を果たすと考えられる。
【0029】
TiとZnとを含有する酸化物の誘電体母材粒子表面での形成は、高誘電率材料の誘電体母材粒子の低温焼結を可能にするためのものである。このような目的を達成すべく本発明者が種々の酸化物を検討した結果、TiとZnとを含有する酸化物の適量形成が焼結磁器の相対密度(実際の密度/理論密度)の向上に有効であることが分かった。BaO−TiO−Nd系の誘電体材料を使用した場合、ZnO添加量は、母材100重量部に対し、0.5〜10重量部が好ましい。0.5重量部未満では得られる誘電体磁器の相対密度が低下し、10重量%を超えると得られる誘電体磁器の比誘電率が小さくなる傾向にある。このようにして作製した誘電体粒子の集合体のX線回折図においては、例えば図1のように、母材粒子の成分に基づく回折ピークとともに、表層部のZnTiO及びZnTiOなどに基づく回折ピークが観測される。
【0030】
次に、本発明では、上記のようにして得られた、誘電体母材粒子の表面にTiとZnとを含有する酸化物を形成した誘電体粒子からなる粉末と、ガラス成分(ガラス材料)とを混合し低温焼結誘電体磁器組成物を得る。そして、この低温焼結誘電体磁器組成物を880〜1000℃で焼成する。
【0031】
ガラス材料は、高誘電率材料を低温結晶化するためのものである。このような目的を達成すべく本発明者が種々の組成系のガラスについて実験を行った結果、ZnO−B−SiO−Al系のガラス材料の適量添加が焼結磁器の相対密度(実際の密度/理論密度)の向上に有効であることが分かった。
【0032】
ガラス成分は粒子の形態で誘電体粒子からなる粉末に配合され、これにより低温焼結誘電体磁器組成物が得られる。低温焼結誘電体磁器組成物を構成する誘電体粒子及びガラス成分粒子は、焼成により高い無負荷Q値と安定した比誘電率εとをもつ低温焼結誘電体磁器を得るために、粒子径の均一性が高められているのが好ましい。そのため、誘電体粒子の集合体及びガラス成分粒子の集合体は、それぞれ平均粒子径が3.0μm以下、好ましくは2.0μm以下、特に好ましくは1.0μm以下である。なお、平均粒子径は、過度に小さくすると取り扱いが困難になる場合があるので、0.4μm以上、特に0.5μm以上とするのが好ましい。
【0033】
また、前記ガラス成分は、ZnOが45〜70重量%、Bが5〜13重量%、SiOが7〜40重量%、Alが8〜20重量%のガラスであることが好ましい。ZnOは、45重量%未満では得られる誘電体磁器の相対密度が低下し、70重量%を超えると得られる誘電体磁器の比誘電率が小さくなる傾向にある。Bは、5重量%未満では得られる誘電体磁器の共振のQ値が低くなり、13重量%を超えると得られる誘電体磁器の相対密度は低くなる傾向にある。SiOは、7重量%未満では得られる誘電体磁器の共振周波数の温度係数の改善効果が少なく、40重量%を超えると得られる誘電体磁器の相対密度が低くなる傾向にある。Alは、8重量%未満では得られる誘電体磁器の共振のQ値が低くなり、20重量%を超えると得られる誘電体磁器の比誘電率が小さくなる傾向にある。
【0034】
前記誘電体母材粒子の表面にTiとZnとを含有する酸化物を形成した誘電体粒子からなる粉末100重量部に対する前記ガラス材料の混合量が2.5〜20重量部であることが好ましい。このようなガラス材料を、ZnO複合酸化物を表面に形成した誘電体材料100重量部に対して2.5〜20重量部添加することで、低温焼結誘電体磁器組成物を880〜1000℃の適当な温度で焼成したときに、相対密度90%以上の低温焼結誘電体磁器を得ることができる。ガラス材料添加量は、2.5重量部未満では低温焼結化しにくく、20重量部を超えると得られる誘電体磁器の比誘電率が低下してしまう傾向にある。このようにして作製した誘電体磁器のX線回折図は、例えば図2のようになる。
【0035】
本発明の誘電体磁器を得る方法についてさらに説明する。まず、酸化亜鉛とTi元素を含有する誘電体粒子からなる粉末とを所定の比率に秤量し、水、アルコール等の溶媒と共に湿式混合する。続いて、水、アルコール等を除去した後、酸素含有雰囲気(例えば空気雰囲気)下にて900〜1200℃で約1〜5時間程度仮焼する。このようにして得られた仮焼粉はTi元素を含有する誘電体母材粒子の表面にTiとZnとを含有する酸化物が形成された誘電体粒子からなる粉末である。次にTiとZnとを含有する酸化物が表面に形成された誘電体粒子からなる粉末と、ZnOが45〜70重量%、Bが5〜13重量%、SiOが7〜40重量%、Alが8〜20重量%である無鉛低融点ガラスとを所定の比率になるように秤量し、水、アルコール等の溶媒と共に湿式混合する。続いて、水、アルコール等を除去した後、目的の低温焼結誘電体磁器の組成となる原料粉末(低温焼結誘電体磁器組成物)を作製する。
【0036】
本発明の低温焼結誘電体磁器の原料粉末はペレット状に焼成され、その形態にて誘電特性を測定される。詳しくは、前記原料粉末にポリビニルアルコールの如き有機バインダーを混合して均質にし、乾燥、粉砕をおこなった後、ペレット形状に加圧成形(圧力100〜1000Kg/cm程度)する。得られた成形物を空気の如き酸素含有ガス雰囲気下にて880〜1000℃で焼成することにより、表面にTiとZnとを含有する酸化物を形成したTi元素を含有する誘電体材料の結晶相と、ガラス相とが共存する誘電体磁器を得ることができる。ガラスは誘電体粒子同士の間の位置する。
【0037】
また、本発明は、Ti元素を含有する誘電体母材粒子の表面にZnTiOおよび/またはZnTiOを形成した誘電体粒子の集合体に関する。Ti元素を含有する誘電体母材粒子としては、BaO−TiO−Nd系材料や、BaTiOや、SrTiOなどの材料が挙げられる。このTi元素を含有する誘電体母材粒子からなる粉末にZnOを混合し、焼成して、Ti元素を含有する誘電体母材粒子の表面にZnTiOおよび/またはZnTiOを形成した本発明の誘電体粒子を得ることができる。
【0038】
Ti元素を含有する誘電体母材粒子の表面にZnTiOおよび/またはZnTiOを形成した誘電体粒子は、ガラス成分と混合して、880〜1000℃の適当な温度で焼成したときに、本発明の低温焼結誘電体磁器を得ることができ、誘電体磁器の相対密度90%以上を達成することができる。
【0039】
Ti元素を含有する誘電体として、特に好ましくは、BaO−TiO−Nd系誘電体が例示される。本発明のZnTiOおよび/またはZnTiOを表面に形成したBaO−TiO−Nd系誘電体粒子は、酸化バリウムBaO、酸化チタンTiO、酸化ネオジウムNdを所定量で混合し焼成した後、更に酸化亜鉛(ZnO)を混合して焼成(仮焼)することにより得ることができる。BaO−TiO−NdおよびZnOの原料としては、BaO、TiO、Nd、及びZnOの他に、焼成時に酸化物となるBa、Ti、Nd、及びZnのそれぞれの硝酸塩、炭酸塩、水酸化物、塩化物、及び有機金属化合物等を使用してもよい。
【0040】
また、本発明の低温焼結誘電体磁器は、前記のTi元素を含有する誘電体母材粒子の表面にZnTiOおよび/またはZnTiOを形成した誘電体粒子間にガラスを有することを特徴とする。このような低温焼結誘電体磁器は、上記のTi元素を含有する誘電体母材粒子の表面にZnTiOおよび/またはZnTiOを形成した誘電体粒子の集合体と、ガラス成分とを混合して得られる低温焼結誘電体磁器組成物を焼成することにより得られる。本発明の誘電体磁器は、低温焼結と優れた誘電体特性を併せ持つものである。ガラス成分としては、特に限定されないが、ZnO−B−SiO−Al系のガラス材料が低温焼成と高い相対密度とを可能にする点で好ましい。
【0041】
本発明の誘電体磁器は、上記の本発明の製造方法により得ることが出来る。即ち、好ましい実施形態として、平均粒子径を0.4〜3.0μm程度に調整した仮焼済みのTiを含有する誘電体母材粒子の表面にTiとZnとを含有する酸化物を形成して誘電体粒子を得、その誘電体粒子に、ZnOが45〜70重量%、Bが5〜13重量%、SiOが7〜40重量%、Alが8〜20重量%である組成の、既にガラス化されている材料を、前記TiとZnを含む酸化物を表面に形成した高誘電率粒子100重量部に対して2.5〜20重量部添加して低温焼結誘電体磁器組成物を得、これを880〜1000℃で焼成することで、誘電体磁器を得ることができる。この誘電体磁器の相対密度を90%以上にすることが可能である。得られた誘電体磁器の組成は、焼成前の誘電体磁器組成物のものとほぼ同じであり、Ti元素を有する誘電体粒子と、その誘電体粒子の表面に形成したTiとZnとを含む酸化物と、それらの粒子間に存在するガラス相とからなる。
【0042】
本発明の誘電体磁器組成物は、適当な形状及びサイズに成形して焼成するか、あるいはドクターブレード法等によるシート成形、及びシート(誘電体磁器組成物層)と電極(金属含有層)とによる積層化を行なった後に焼成することにより、各種積層セラミック部品(積層構造電子部品)を得ることができる。積層セラミック部品としては、積層セラミックコンデンサ、積層LCフィルタ、積層誘電体共振器、積層誘電体基板などが挙げられる。
【0043】
積層セラミック部品の一実施形態としては、複数の誘電体層と、該誘電体層間に形成された内部電極と、該内部電極に電気的に接続された外部電極とを備えており、前記誘電体層が前記誘電体磁器組成物を焼成して得られる誘電体磁器にて構成され、前記内部電極がCu単体若しくはAg単体、又はCu若しくはAgを主成分とする合金材料にて形成されている。本発明の積層セラミック部品は、誘電体磁器組成物を含有する層と、Cu単体若しくはAg単体、又はCu若しくはAgを主成分とする合金材料を含む層とを、同時焼成することにより得られる。
【0044】
上記積層セラミック部品の一実施形態として、例えば図3及び図4に示したトリプレートタイプの誘電体共振器が挙げられる。
【0045】
図3は、本発明の誘電体磁器を使用したトリプレートタイプの誘電体共振器を示す模式的斜視図である。図4は、図3の誘電体共振器の模式的断面図である。図3及び図4に示すように、トリプレートタイプの誘電体共振器は、複数の誘電体層1と、該誘電体層間に形成された内部電極2と、該内部電極に電気的に接続された外部電極3とを備える積層セラミック部品である。トリプレートタイプの誘電体共振器は、内部電極2を中央部に配置して複数枚の誘電体誘電体層1を積層して得られる。内部電極2は、図に示した第1の面Aからこれに対向する第2の面Bまで貫通するように形成されており、第1の面Aのみ開放面で、第1の面Aを除く共振器の5面には外部電極3が形成されており、第2の面Bにおいて内部電極2と外部電極3が接続されている。内部電極2の材料は、CuまたはAgあるいは、それらを主成分とする合金で構成されている。本発明の誘電体磁器組成物によれば、低温で焼成できるため、これらの内部電極材料の使用が可能となる。
【実施例】
【0046】
実施例1:
前もって表1に示した組成比で調整し仮焼して作製したBaO−TiO−Nd系材料(誘電体母材粒子)とこの誘電体材料100重量部に対してZnOを1重量部添加したものをエタノールと共にボールミルにいれ、12時間湿式混合した。尚、表1において、BaO−TiO−Nd系材料を構成する副成分としてのBi及びAlの量は、BaO−TiO−Nd系材料を構成する主成分であるBaO、TiO及びNdの合計量100重量部に対する重量部で示されている。
【0047】
溶液を脱媒後、空気雰囲気下1100℃で仮焼し、誘電体母材粒子の表面にTiとZnとを含む酸化物を形成したBaO−TiO−Nd系材料の仮焼粉(誘電体粒子集合体)を得た。この仮焼粉の平均粒子径は1.0μmであった。図1に作製した仮焼粉のX線回折図を示した。図1に示したように本発明で作製した仮焼粉はBaO−TiO−Nd相の他に新たにTiとZnとを含む酸化物であるZnTiO相及びZnTiO相が生成していることがわかる。
【0048】
次に、表面にZnTiO相及びZnTiO相を形成したBaO−TiO−Nd系材料の仮焼粉と、該仮焼粉100重量部に対して、ZnO:45重量%、B:7重量%、SiO:40重量%、Al:8重量%から構成されるガラス粉末(平均粒子径1.9μm)5重量部を添加したものをボールミルにいれ、24時間湿式混合した。溶液を脱媒・乾燥して低温焼結用の材料粉体(低温焼結誘電体磁器組成物)を得た。
【0049】
その後、この粉体に適量のポリビニルアルコール溶液を加えて乾燥後、直径12mm、厚み4mmのペレットに成形し、空気雰囲気下において、950℃で2時間焼成した。図2に作製した焼結体のX線回折図を示した。図2に示したように本発明の誘電体磁器(焼結体)においてもBaO−TiO−Nd相の他にTiとZnとを含む酸化物であるZnTiO相及びZnTiO相が共存していることがわかる。
【0050】
こうして得られた誘電体磁器を直径7mm、厚み3mmの大きさに加工した後、誘電共振法によって、共振周波数5〜7GHzにおける無負荷Q値、比誘電率ε及び共振周波数の温度係数τfを求めた。その結果を表1に示した。尚、表1において、各実施例及び各比較例の良否判定結果が、○及び×で示されている。○は得られた誘電体磁器の誘電特性が良好であることを示し、×は得られた誘電体磁器の誘電特性が不良であるか又は誘電体磁器が得られなかったことを示す。
【0051】
【表1】

【0052】
実施例2〜11:
上記実施例1と同様にして、但し表1に示した条件で作製した表面にTiとZnとの酸化物を形成した誘電体粒子集合体を用い、表1に示した組成のガラス粉末を用いて、これらを表1に示した配合比で混合し、実施例1と同一の条件でペレット形状の焼結体を作製して、実施例1と同様な方法で種々の特性を評価した。その結果を表1に示した。
【0053】
実施例12〜13:
上記実施例1と同様にして、但し表1に示した条件で作製した表面にTiとZnとの酸化物を形成したBaTiO、SrTiOからなる誘電体粒子の集合体を用い、表1に示した組成のガラス粉末を用いて、これらを表1に示した配合比で混合し、実施例1と同一の条件でペレット形状の焼結体を作製して、実施例1と同様な方法で種々の特性を評価した。その結果を表1に示した。
【0054】
比較例1〜5:
上記実施例1と同様にして、但しBaO−TiO−Nd材料(誘電体母材粒子)の表面にTiとZnとを含む酸化物を形成する処理を行わずに得た表1に示した組成の誘電体粒子の集合体を用い、表1に示した組成のガラス粉末を用いて、これらを表1に示した配合比で混合し、実施例1と同一の条件でペレット形状の焼結体を作製して、実施例1と同様な方法で種々の特性を評価した。その結果を表1に示した。
【0055】
比較例6〜7:
上記実施例12または13と同様にして、但しBaTiOまたはSrTiO材料(誘電体母材粒子)の表面にTiとZnとを含む酸化物を形成する処理を行わずに得た誘電体粒子の集合体を用い、表1に示した組成のガラス粉末を用いて、これらを表1に示した配合比で混合し、実施例1と同一の条件でペレット形状の焼結体を作製して、実施例1と同様な方法で種々の特性を評価した。その結果を表1に示した。
【0056】
実施例14:
上記実施例3と同様な条件で作製した表面にTiとZnとの酸化物を形成した誘電体粒子をArイオンミリングによって加工して試料を作製し、該誘電体粒子の内部を日本電子製JEM−2010F(電界放射型透過型電子顕微鏡、加速電圧200kV)で観察し、組成をNORAN製UTW型Si(Li)半導体検出器(ビーム径1nm)で評価した。その結果を図5、図6及び図7と表2とに示した。図5は、実施例3で得られた本発明にかかるTi元素を含有する誘電体母材粒子の表面にTiとZnとを含有する酸化物を形成した誘電体粒子の透過型電子顕微鏡観察写真である。また、図6及び図7は、それぞれ図5中のスポット1及び5で評価したEDSのスペクトルである。
【0057】
表2から、Znは、スポット1〜3においてのみ検出され、スポット4及び5においては検出されないことが分かる。Znは、特にスポット1〜2、とりわけスポット1において集中して検出されている。即ち、誘電体粒子においては、TiとZnとを含む酸化物は誘電体粒子の表層部のみに形成されており、図4を参照すると、該表層部の厚さは50nm以下であることが推定される。
【0058】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
Tiを含有する誘電体からなる粒子の集合体であって、前記粒子は表層部にTiとZnとを含む酸化物を含有してなることを特徴とする誘電体粒子集合体。
【請求項2】
前記TiとZnとを含む酸化物は、ZnTiOおよび/またはZnTiOであることを特徴とする、請求項1記載の誘電体粒子集合体。
【請求項3】
前記Tiを含有する誘電体は、BaO−TiO−Nd系誘電体、BaTiO系誘電体、またはSrTiO系誘電体であることを特徴とする、請求項1記載の誘電体粒子集合体。
【請求項4】
前記Tiを含有する誘電体は、BaO−TiO−Nd系誘電体であって、BaOを10〜16モル%、TiOを67〜72モル%及びNdを16〜18モル%含有する主成分と、該主成分100重量部に対し副成分としてBiを7〜10重量部及びAlを0.3〜1.0重量部とを含有してなることを特徴とする、請求項1記載の誘電体粒子集合体。
【請求項5】
前記TiとZnとを含む酸化物を含有する表層部は、厚さが50nm以下であることを特徴とする、請求項1記載の誘電体粒子集合体。
【請求項6】
前記誘電体粒子集合体は平均粒子径が0.4μm〜3.0μmであることを特徴とする、請求項1記載の誘電体粒子集合体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか記載の誘電体粒子集合体を製造する方法であって、Tiを含有する誘電体母材粒子の集合体にZnOを混合し、仮焼処理することを特徴とする誘電体粒子集合体の製造方法。
【請求項8】
前記誘電体母材粒子の集合体100重量部に対して前記ZnOを0.5〜10重量部混合することを特徴とする、請求項7記載の誘電体粒子集合体の製造方法。
【請求項9】
前記仮焼処理は酸素含有雰囲気下で行われることを特徴とする、請求項7記載の誘電体粒子集合体の製造方法。
【請求項10】
前記仮焼処理の温度は900〜1200℃であることを特徴とする、請求項7記載の誘電体粒子集合体の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか記載の誘電体粒子集合体100重量部に対してガラス成分を2.5〜20重量部配合してなることを特徴とする低温焼結誘電体磁器組成物。
【請求項12】
前記ガラス成分は、ZnOを45〜70重量%、Bを5〜13重量%、SiOを7〜40重量%、Alを8〜20重量%含有してなることを特徴とする、請求項11記載の低温焼結誘電体磁器組成物。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれか記載の誘電体粒子集合体を構成する誘電体粒子100重量部とガラス成分2.5〜20重量部とからなることを特徴とする低温焼結誘電体磁器。
【請求項14】
前記ガラス成分は、ZnOを45〜70重量%、Bを5〜13重量%、SiOを7〜40重量%、Alを8〜20重量%含有してなることを特徴とする、請求項13記載の低温焼結誘電体磁器。
【請求項15】
請求項11記載の低温焼結誘電体磁器組成物を880〜1000℃で焼成する焼成工程を含むことを特徴とする、低温焼結誘電体磁器の製造方法。
【請求項16】
前記ガラス成分は、ZnOを45〜70重量%、Bを5〜13重量%、SiOを7〜40重量%、Alを8〜20重量%含有してなることを特徴とする、請求項15記載の低温焼結誘電体磁器の製造方法。
【請求項17】
前記焼成工程は前記低温焼結誘電体磁器組成物を含む層と金属を含む層との積層体に対してなされ、これにより前記金属からなる層を内部導体とする積層構造電子部品を得ることを特徴とする、請求項15記載の低温焼結誘電体磁器の製造方法。
【請求項18】
前記金属からなる層はAg及びCuまたはこれらの少なくとも1つを含む合金からなることを特徴とする、請求項17記載の低温焼結誘電体磁器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【国際公開番号】WO2005/085154
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【発行日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510723(P2006−510723)
【国際出願番号】PCT/JP2005/003628
【国際出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】