説明

課金ジョブ

【課題】 課金ジョブと非課金ジョブが共存する環境において、ユーザを複合機前に待たせないために、課金ジョブを優先して処理する必要がある。しかし、常に非課金ジョブに対して優先させてしまうと、あと少量で非課金ジョブが完了するはずなのに、中断され、課金ジョブが完了するまで待たされてしまうという問題が発生する。
【解決手段】 本提案は、非課金ジョブが実行中で、そこに課金ジョブを投入しようとする際、現在実行中の非課金ジョブの残り処理量が、閾値よりも小さい場合に実行中の非課金ジョブを優先させるというものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、課金ジョブの優先度に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネットカフェなどに設置される複合機には、コインベンダのような課金管理装置が取り付けられるものがある。そして、ジョブのおけるプリント枚数、用紙サイズ、色モードなどから、そのジョブの金額を計算し、複合機に取り付けられたコインベンダを使用し、ユーザに課金する。一般的に、課金ジョブの対象としては、コピージョブ、プリントジョブ、FAXジョブなど挙げられる。ただし、ジョブによって課金しない運用をとる場合もある。たとえば、コピージョブに対しては、複合機に取り付けられたコインベンダで課金するが、プリントジョブに対しては、予めサーバ等で課金を行い、複合機では課金を行わず、プリント処理のみ行うような運用である。そして、このような環境では、課金ジョブと非課金ジョブが共存することとなる。ここでの課金ジョブとは、複合機の機能で課金するジョブを意味する。また、非課金ジョブとは、複合機の機能で課金しないジョブを意味し、前述したような、すでにサーバ等で課金が行われジョブ投入されたものも含む。
【0003】
通常、複合機の課金ジョブにおいては、何らかの原因でキャンセルやジャムが発生する可能性があるため、ジョブが完了するまで、最終的な金額を決定することができない。そのため、課金ジョブの場合、ユーザにはジョブが終了するまで、複合機の前で待ってもらう必要がある。しかし、前述したような課金ジョブと非課金ジョブが共存するような環境では、大量枚数の非課金ジョブや大量の非課金ジョブが投入されていると、課金モードで使用したいユーザはすべてのジョブが完了するまで、しばらく待たなければならなくなるという問題が発生する。
【0004】
上記の課題を解決する従来技術として、非課金ジョブが実行されている場合に、課金ジョブが投入されると、非課金ジョブを中断し、課金ジョブを優先して処理を行うというものがある。この実施例は、コンビニエンスストアなどに設置される複合機で、課金ジョブをお客が投入し、非課金ジョブを店員が投入するようなケースが考えられている。そのため、店員が投入した非課金ジョブよりも、お客が投入した課金ジョブを常に優先しても問題がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−219770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ネットカフェのように、課金ジョブと、サーバで課金済みのため複合機で課金する必要のない非課金ジョブをお客が投入できる環境において、非課金ジョブの実行中でも、常に課金ジョブを優先してしまうと、不公平感がうまれる。また、非課金ジョブが、あと数枚でジョブを完了するのに、課金ジョブに割り込まれると、非課金ジョブを投入したお客にとっては不便さを感じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
画像データに関するジョブを実行するジョブ制御手段と、
前記ジョブ制御手段に対して課金を行う課金ジョブ制御手段と
前記ジョブ制御手段に対して課金を行わない非課金ジョブ制御手段と
非課金ジョブ制御手段よりも課金ジョブ制御手段を優先する実行ジョブ選択手段と
前記非課金ジョブの実行中に、課金ジョブが投入された場合に、実行中ジョブを即時中断するかどうかを判断するための閾値設定手段と
前記非課金ジョブの実行中に、課金ジョブが投入された場合に、前記閾値よりも実行中ジョブの残り処理が少ない場合に、実行中のジョブが終了するまで待機することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0008】
非課金ジョブよりも課金ジョブを優先する環境において、実行中の非課金ジョブの残り処理が少ない場合に、その非課金ジョブを投入したユーザは待たされなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】構成図
【図2】ジョブ実行優先度
【図3】課金モード処理のフローチャート
【図4】待ち受け画面例
【図5】待機画面例
【図6】ジョブ実行処理のフローチャート
【図7】ジョブ投入処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0011】
図1に、本提案の構成図を示す。複合機(101)は、プリンタ装置(102)、スキャナ装置(103)、操作部(104)、制御部(105)から構成されている。また、複合機(101)は、LAN(106)を経由してPC(107)と接続されている。さらに、複合機(101)は、課金管理装置(108)に接続されている。
【0012】
ここで、コピーの処理について説明する。ユーザにより操作部(104)からコピージョブを投入されると、制御部(105)は、操作部(104)で設定された用紙サイズ情報や色モード情報などに従い、スキャナ装置(103)から原稿の画像データを取得する。制御部(105)は、取得した画像データに対して、操作部(104)でユーザに指定された情報に従い画像処理を行う。制御部(105)は、プリンタ装置(102)に画像データを送り印刷を開始する。
【0013】
次に、プリントの処理について説明する。PC(107)からLAN(106)を経由してプリントジョブを投入されると、制御部(105)はPDLの展開処理を行い、PC(107)や操作部(104)でユーザに指定された情報に従いプリントするための画像データを作成する。制御部(105)は、プリンタ装置(102)に画像データを送り印刷を開始する。
【0014】
制御部(105)は、一度印刷を開始しても、何らかの理由で中止したい場合は、コピージョブやプリントジョブの途中でも、ジョブをキャンセルすることができる。ジョブをキャンセルする理由としては、課金管理装置(108)の残金不足などがあげられる。
【0015】
課金管理装置(108)は、ユーザが実行したいジョブにおいて、プリント枚数、用紙サイズ、色モードなどから金額を計算し、その場で課金を行うための装置である。具体的には、コインベンダ、プリペードカード、電子マネーによる課金が上げられる。また、課金方法には、排紙ごとに課金を行う逐次課金と、プリント実行前に一度に課金を行う一括課金がある。ここでは、課金管理装置(109)が必要な金額の計算を行っているが、複合機(101)が金額の計算を行ってもよい。
【0016】
図2に、課金ジョブと非課金ジョブの優先度を示す。ジョブ実行リスト(201)は、課金ジョブ実行リスト(202)と非課金ジョブ実行リスト(203)から構成されている。また、課金ジョブ実行リスト(202)は、複数の課金ジョブから構成され、非課金ジョブ実行リスト(203)は、複数の非課金ジョブから構成される。非課金課金ジョブとは、複合機の機能で課金するジョブを意味する。また、非課金ジョブとは、複合機の機能で課金しないジョブを意味し、すでにサーバ等で課金が行われジョブ投入されたものも含む。
【0017】
通常、複合機の課金ジョブにおいては、何らかの原因でキャンセルやジャムが発生する可能性があるため、ジョブが完了するまで、最終的な金額を決定することができない。そのため、課金ジョブの場合、ユーザにはジョブが終了するまで、複合機の前で待ってもらう必要がある。このような理由から、図2のように、非課金ジョブよりも課金ジョブを優先する必要がある。
【0018】
図3に、課金モード処理のフローチャートを示す。制御部(105)は、ユーザによる課金管理装置(108)への操作により処理を開始(S301)する。(S302)で、課金管理装置(108)にコインが投入されているかのチェックを行う。もし、コインが入っていない場合は、操作部(104)に待ち受け画面の設定(S304)を行う。図4に、待ち受け画面の例を示す。このとき、ユーザによる操作を禁止するとともに、課金ジョブの処理も禁止する。(S302)で、コインが投入されている場合は、待ち受け画面の解除(S303)を行う。次に、(S305)で非課金ジョブが実行中かのチェックを行う。もし、非課金ジョブが実行されていない場合は、処理を終了(S312)する。(S305)で非課金ジョブが実行されている場合は、(S306)で、実行中ジョブの処理の残り時間を計算する。次に、(S307)で、実行中ジョブに対して即時中断を行うかどうかの基準となる閾値を取得する。この値は、複合機内に固定で保持していてもよいし、ユーザにより設定できるようにしてもよい。(S308)で、実行中ジョブの残り時間が閾値よりも大きいかのチェックを行う。もし、閾値よりも大きい場合、すぐにはジョブが終了しないと判断し、実行中のジョブを中断(S309)する。(S308)で、閾値以下の場合は、操作部(104)に、あと少しで実行中のジョブが終了する旨のメッセージを表示する。図5に、待機時の画面の例を示す。(501)のポップアップ表示では、どのくらいの時間で実行中のジョブが終了するかの表示を行ってもよい。(S311)で、実行中のジョブが終了するまで待機する。その際、(501)のポップアップ表示の時間の更新を行ってもよい。実行中のジョブが終了後、処理を終了(S312)する。
【0019】
図6に、ジョブ実行処理のフローチャートを示す。制御部(105)は、処理を開始(S601)すると、(S602)で実行すべきジョブ実行リスト(201)があるかどうかのチェックを行う。もし、ない場合は、処理すべきジョブがないため、終了(S607)する。(S602)で実行すべきジョブ実行リストがある場合は、(S603)で、ジョブ実行リストに課金ジョブがあるかのチェックを行う。もし、課金ジョブがある場合は、ジョブ実行リスト(201)から先頭の課金ジョブ(204)を選択する。(S603)で、課金ジョブがない場合は、ジョブ実行リスト(201)から先頭の非課金ジョブ(207)を選択する。(S604)または(S605)で、実行するジョブを選択したのち、(S606)で、その選択したジョブを実行する。
【0020】
図7に、ジョブ投入処理のフローチャートを示す。制御部(105)は、処理を開始(S701)すると、(S702)でジョブ投入の受付を行う。(S703)で、現在、課金モードかどうかのチェックを行う。もし、課金モードでない場合、(S706)で非課金ジョブとしてジョブ実行リスト(201)に追加する。(S703)で、課金モードである場合、(S704)で、課金管理装置(108)に投入されている金額のチェックを行う。もし、(S702)で受け付けたジョブを実行するのに必要な金額が投入されていない場合は、何もせず処理を終了(S707)する。(S704)で、課金管理装置(108)に必要な金額が投入されている場合は、課金ジョブとしてジョブ実行リスト(201)に追加する。そして、処理を終了(S707)する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに関するジョブを実行するジョブ制御手段と、
前記ジョブ制御手段に対して課金を行う課金ジョブ制御手段と
前記ジョブ制御手段に対して課金を行わない非課金ジョブ制御手段と
非課金ジョブ制御手段よりも課金ジョブ制御手段を優先する実行ジョブ選択手段と
前記非課金ジョブの実行中に、課金ジョブが投入された場合に、実行中ジョブを即時中断するかどうかを判断するための閾値設定手段と
前記非課金ジョブの実行中に、課金ジョブが投入された場合に、前記閾値よりも実行中ジョブの残り処理が少ない場合に、実行中のジョブが終了するまで待機することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記非課金ジョブの実行中に、課金ジョブが投入された場合に、前記閾値よりも実行中ジョブの残り時間が少ない場合に、実行中のジョブが終了するまで待機することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記非課金ジョブの実行中に、課金ジョブが投入された場合に、前記閾値よりも実行中ジョブの残り枚数が少ない場合に、実行中のジョブが終了するまで待機することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−112916(P2011−112916A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270030(P2009−270030)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】