説明

調光装置、照明装置、及び、調光方法

【課題】磁気式安定器を用いたランプを調光することができる調光装置等を提供する。
【解決手段】調光装置10は、周波数を指定する制御部11と、ランプ22とランプ22に直列に接続されている磁気式安定器21とを含む発光部20と、発光部20に電力を供給する外部電源3との間に配置され、外部電源3からの交流電圧を制御部11が指定する周波数の交流電圧に変換して発光部20に出力する周波数変換部12と、を備える。そして、制御部11は、指定する周波数を変化させることによって、発光部20に出力される交流電圧の周波数を変化させて、ランプ22の発光輝度を変化させる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプの輝度を調整する調光装置、照明装置、及び、調光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ランプの安定器として、磁気式安定器とインバータ式の安定器である電子式安定器とがあるが、ランプの輝度を調整する技術では、安定器として電子式安定器を用い(特許文献1)、インバータのスイッチ素子を駆動する周波数を変化させることによって輝度を調整する(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−129087号公報
【特許文献2】特開平8−273853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ランプの安定器としては磁気式安定器が用いられていることも少なくないため、磁気式安定器においてもランプの輝度を調整したい。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、磁気式安定器を用いたランプを調光することができる調光装置、照明装置、及び、調光方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る調光装置は、
ランプを調光する調光装置であって、
周波数を指定する制御部と、
前記ランプと前記ランプに直列に接続されている磁気式安定器とを含む発光部と、前記発光部に電力を供給する交流電源との間に配置され、前記交流電源からの交流電圧を前記制御部が指定する前記周波数の交流電圧に変換して前記発光部に出力する変換部と、を備え、
前記制御部は、指定する前記周波数を変化させることによって、前記発光部に出力される前記交流電圧の周波数を変化させて、前記ランプの発光輝度を変化させる。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る照明装置は、
ランプに直列に接続される磁気式安定器を備える照明装置であって、
周波数を指定する制御部と、
前記ランプと前記磁気式安定器とを含む発光部と、前記発光部に電力を供給する交流電源との間に配置され、前記交流電源からの交流電圧を前記制御部が指定する前記周波数の交流電圧に変換して前記発光部に出力する変換部と、を備え、
前記制御部は、指定する前記周波数を変化させることによって、前記発光部に出力される前記交流電圧の周波数を変化させて、前記ランプの発光輝度を変化させる。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る調光方法は、
ランプを調光する調光方法であって、
前記ランプと前記ランプに直列に接続されている磁気式安定器とを含む発光部に印加される交流電圧の周波数を徐々に変化させることによって、前記発光部に印加される前記電圧の周波数を変化させ、前記ランプの発光輝度を変化させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、磁気式安定器を用いたランプを調光することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る調光装置及び調光システムの構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、外部電源と発光部とを接続した構成図であり、(b)は、電源出力電圧とランプ電圧との関係を示す図である。
【図3】(a)は、指定周波数をステップ的に変化させた場合の、ランプ電圧の時間変化を示すグラフの図である。(b)は、指定周波数をステップ的に変化させた場合の、ランプ電流の時間変化を示すグラフの図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る調光装置の制御部が行う調光処理のフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る調光装置の制御部が使用する設定値とランプ電流との関係を示す図である。
【図6】(a)は、指定周波数を連続的に徐々に変化させた場合の、ランプ電圧の時間変化を示すグラフの図である。(b)は、指定周波数を連続的に徐々に変化させた場合の、ランプ電流の時間変化を示すグラフの図である。
【図7】図1の周波数変換部の詳細な構成の一例を説明するための図である。
【図8】図1の周波数変換部の詳細な構成の他の例を説明するための図である。
【図9】外部電源を三相交流電源にした場合の周波数変換部の構成の一例を説明するための図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る調光装置及び調光システムの構成の他の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0012】
本実施形態に係る調光装置10は、図1のように、調光システム1に用いられる。調光システム1は、調光装置10と、並列に接続された複数の発光部20と、電流検出部30と、操作部40と、を備える。そして、調光システム1は、外部電源3に接続され、外部電源3から交流電力が供給される。
【0013】
外部電源3は、交流電力を発光部20に供給する商用電源等の交流電源である。外部電源3は、ここでは、定格周波数の単相の交流電圧を出力する。
【0014】
調光装置10は、制御部11と、周波数変換部12とを備える。
【0015】
制御部11は、周波数変換部12を制御し、後述の処理を行う。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)11a、及び、ROM(Read Only Memory)11b、RAM(Random Access Memory)11cを含むマイクロコンピュータ等によって構成される。CPU11aは、ROM11bが記憶するプログラムに従って、ROM11bが記憶するデータを用いて、制御部11が行う処理を実際に行う。ROM11bは、プログラム、データ等を記憶する。なお、ROM11bが記憶するデータは、後述の処理で使用される、指定周波数、設定値、指定周波数の増加値、指定周波数の減少値、目標電流、増加回数等の予め設定されている各種数値のデータ等を含み、これらは、実験等によって予め算出されているものとする。RAM11cは、CPU11aのメインメモリとして機能する。制御部11の少なくとも一部は、上記構成の他、後述の調光処理を行うことが可能な各種回路によって構成されてもよい。
【0016】
周波数変換部12は、複数の発光部20と外部電源3との間に接続され、両者と直列に接続されている。周波数変換部12は、制御部11のもとで動作する。周波数変換部12は、商用電源5が出力する交流電圧(以下、電源出力電圧という。)の周波数を周波数変換し、周波数変換した交流電圧(以下、変換電圧という。)を、発光部3に出力(印加)する(以下では、この処理を周波数変換処理という。)。つまり、周波数変換部12は、電源出力電圧を、周波数の異なる変換電圧に変換可能である。
【0017】
発光部20は、磁気式安定器21とランプ22とを含む。両者は、直列に接続される。
【0018】
磁気式安定器21は、例えば、チョークコイル形の銅鉄形安定器であり、ランプ22に流れる電流を平滑化する安定器として機能する。なお、調光装置10と、互いに並列に接続された複数の磁気式安定器21とによって、ランプ22を点灯するための照明装置が構成される。
【0019】
ランプ22は、それぞれ、HID(High Intensity Discharge)ランプ、蛍光灯等であればよいが、ここでは、HIDランプである。HIDランプとしては、高圧水銀ランプ、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ等がある。
【0020】
発光部20には、周波数変換部12が出力する変換電圧が印加され、電流が流れ、ランプ22に電流が流れることによって、ランプ22は発光する。
【0021】
電流検出部30は、各発光部20に対応して、各発光部20と直列に接続された複数の電流検出器31を含み、これらによって、各発光部20に流れる電流の電流値を検出して制御部11に供給する。なお、電流値は、デジタル情報として制御部11に供給してもよいし、アナログ情報として制御部11に供給してもよい。アナログ情報として制御部11に供給される場合には、制御部11は、このアナログ情報をA/Dコンバータ等によって、A/D変換してデジタル情報に変換して後の処理に用いる。電流検出器31は、例えば、電流によって発生する磁界を測ることによって電流を測定できるクランプメータである。
【0022】
操作部40は、ユーザからの入力操作を受け付ける入力装置によって構成される。操作部40は、ユーザからの入力操作に応じた操作信号を制御部11に供給する。
【0023】
次に、調光システム1の動作について説明する。
【0024】
(点灯動作)
ユーザが、例えば、操作部40を操作してランプ22を点灯する操作(スイッチの切り替え等)を行うと、操作部40は、この入力操作を表す信号を制御部11に供給する。制御部11は、この信号を受け取ると、周波数変換部12の制御を開始し、周波数変換部12に周波数変換処理を開始させる。ここで、制御部11は、予め設定されている、点灯時の周波数を指定周波数として周波数変換部12に対して指定する(本実施形態では、点灯時の指定周波数は、外部電源3の出力周波数に設定されている)。周波数変換部12は、電源出力電圧の周波数を制御部11が指定する指定周波数に変換するように、周波数変換処理を行う。周波数変換部12は、周波数変換処理によって、指定周波数を有する変換電圧を発光部20に出力する。これによって、発光部20には、変換電圧が印加され、ランプ22に電流が流れ、ランプ22は点灯する。なお、変換電圧の実効値は、ランプ22を点灯させることが出来る大きさ(外部電源3の出力電圧の実効値と略同じ)であり、周波数変換部12は、このような実効値の変換電圧を出力するように構成される。
【0025】
(消灯動作)
ユーザが、例えば、操作部40を操作してランプ22を消灯する操作(スイッチの切り替え等)を行うと、操作部40は、この入力操作を表す信号を制御部11に供給する。制御部11は、この信号を受け取ると、周波数変換部12の制御を停止する。これによって、周波数変換部12は動作を停止し、周波数変換処理を停止する。これによって、変換電圧は出力されず、ランプ22には電流が流れなくなるので、ランプ22は消灯する。
【0026】
(調光動作)
ユーザが、例えば、ランプ22の点灯時に、操作部40を操作してランプ22を暗くするスイッチを押す操作を行うと、操作部40は、この入力操作を表す信号を制御部11に供給する。制御部11は、この信号を受け取ると、点灯中のランプ22を所定の輝度(以下、目標輝度という。所定の幅があるものとするが、処理内容によっては1つの値であってもよい。)まで暗くする(発光輝度を低くする)調光処理を開始する。
【0027】
この調光処理では、制御部11は、周波数変換部12に対して、そのときに指定している指定周波数を増加させる。これによって、周波数変換部12が出力して発光部20に印加されている変換電圧の周波数が増加する。この周波数の増加によって、発光部20の安定器21のリアクタンスが増加するので、ランプ22に流れる電流(以下、ランプ電流という。)は減少する。この減少によって、ランプ22の発光輝度は低下し、暗くなる。制御部11は、ランプ22の発光輝度が目標輝度になるまで、指定周波数(つまり、変換電圧の周波数)を増加させる。なお、ランプ22の発光輝度が準定常的(又は定常的、以下同じ)に目標輝度になっているときのランプ電流を目標電流(所定の幅があってもよい)という。
【0028】
ここで、磁気式安定器21に接続されたランプ22の電圧と、外部電源3からの電源出力電圧と、の関係について、図2を参照して説明する。図2(a)の回路図における、外部電源3からの電源出力電圧(発光部20に印加される電圧)とランプ22の電圧であるランプ電圧との関係(ランプ22が発光した後の準定常状態における関係)を図2(b)に示す。
【0029】
図2(b)のように、電源出力電圧の瞬時値が+側の点灯電圧(又は−側の点灯電圧)に達した場合、ランプ電圧は、急激に上昇(−側では低下)し、その後ランプ22が徐々に低下(−側では上昇)して安定する。ここで、ランプ22の発光輝度を下げるために発光部20に印加する電圧を下げる(つまり、電源出力電圧を下げる)ことも考えられる。しかし、この場合、印加される電圧の最大値(又は最小値)が点灯電圧を下回ってしまい、ランプ22は消灯してしまい立ち消えが生じる場合があるので、発光部20に印加する電圧を下げてランプ22の発光輝度を下げることは望ましくない。本実施形態では、発光部20に印加される変換電圧の周波数を上げることで、ランプ22の発光輝度を下げるので、このような不都合は生じない。特にこれは、周波数変換部12が定電圧で変換電圧の周波数を変化させる場合に言える。
【0030】
指定周波数の増加分は、ランプ電流の減少分に密接に関係する。このため、指定周波数の増加度によっては、ランプ電流の減少度が大きくなって、ランプ電流が必要以上に低くなってしまい、ランプ22の放電が維持できずに、ランプ22の立ち消え(ランプ22の消灯)が起こってしまう場合がある。本実施形態では、ランプ22は、HIDランプであるので、点灯状態が続いてランプ22の温度が高くなっているときに立ち消えが生じると、ランプ22の再点灯に必要な電圧は高くなっているので、ランプ22を再点灯させるには、ランプ22の温度が低くなるまで待たなければならない(特に高圧水銀ランプの場合)。このため、本実施形態では、制御部11は、指定周波数を徐々に増加させ、ランプ22が立ち消えになるランプ電流に下がることを防ぐ。
【0031】
ここで、指定周波数とは変換電圧の周波数であるが、周波数を急激に増加させたときの(例えば、60Hzから100Hz)、ランプ22の電圧であるランプ電圧(ここでは、実効値)の時間変化を図3(a)に、ランプ電流(ここでは、実効値)の時間変化を図3(b)に示す。なお、このとき、周波数変換部12は、定電圧(200V)で変換電圧の周波数を変化させている。図3(a)及び(b)のように、ランプ電流は一時的に急激に下がり、時間が経つにつれて、上昇して安定する。これは、ランプ電流が減ったため時間が経つとランプ22の温度が低下し,ガス圧力が低下し,アーク電圧(ランプ電圧)が下がるためである。このため、制御部11は、指定周波数(つまり、変換電圧の周波数)を増加させるときに、立ち消えするランプ電流に達する前に、指定周波数を増加させることをやめ、ランプ22の温度が低下し、ランプ電流が上昇したときに、指定周波数を再度増加させることを繰り返して、ランプ電流を目標電流まで下げて、ランプ22の発光輝度を所定輝度まで下げる。
【0032】
このような調光処理の一例を図4等を参照して説明する。なお、この処理において、制御部11は、予め設定されている設定値を使用する。設定値は、図5に示すように、目標電流を示す数値であり、下限値は、立ち消えするランプ電流よりも所定値だけ上にある値である。上限値は、ランプ22を、目標輝度の有する幅の中の最も明るい輝度(最低限暗くしたい輝度)で発光させるときに必要な値である。設定値の具体的な値は、ランプ22の種類、目標電流、目標輝度等の様々な要素を考慮して適宜決定される。設定値は、各ランプ22について設定されて、各ランプ電流と各設定値とが比較されてもよいし、各ランプ22共通で設定されて、各ランプ電流と1つの設定値とが比較されてもよい。
【0033】
まず、制御部11は、各電流検出器31から供給される電流値に基づいて、ランプ電流(瞬時値の絶対値)を取得する(ステップS101)。
【0034】
制御部11は、各ランプ電流を取得すると、取得した各ランプ電流の全てが前記設定値の範囲内であるか予めであるかを判別する(ステップS102)。制御部11は、各ランプ電流の全てが前記設定値の範囲内にあると判別した場合(ステップS102;YES)、各ランプ電流は、その時点で目標電流にあることになり、各ランプ22の発光輝度も目標輝度になっている。この場合(ステップS102;YES)、各ランプ22はその時点で十分に暗くなったと考えられるので、制御部11は、指定周波数を変化させずに、ステップS106の処理を行う。
【0035】
制御部11は、各ランプ電流の全てが設定値の範囲内にないと判別した場合(ステップS102;NO)、各ランプ電流のうちの少なくとも1つが、設定値の下限値未満になっているかを判別する(ステップS103)。
【0036】
制御部11は、各ランプ電流のうちの少なくとも1つが、設定値の下限値未満になっていると判別した場合(ステップS103;YES)、各ランプ電流のうちの少なくとも1つが、設定値の下限値未満になっているため、制御部11は、指定周波数を予め設定されている減少値だけ減少させる(ステップS104)。各ランプ電流のうちの少なくとも1つが、設定値の下限値未満である場合、そのランプ22のランプ電流が低くなりすぎ、そのランプ22は立ち消えを起こす可能性があるので、これを防止するため、制御部11は、指定周波数を減少させることによって、ランプ電流を上げ、発光輝度を上げる。なお、減少値は、より細かい制御を可能とするように小さな値にするとよい。
【0037】
制御部11は、各ランプ電流のうちの少なくとも1つが、下限値未満になっていないと判別した場合(ステップS103;NO)、各ランプ電流のうちの少なくとも1つが、設定値の上限値よりも大きな値になっているため、制御部11は、指定周波数を予め設定されている増加値だけ増加させる(ステップS105)。各ランプ電流のうちの少なくとも1つが、設定値の上限値を超えている場合、そのランプ電流は以前高く、そのランプ22の発光輝度は、目標輝度にないので、制御部11は、指定周波数を増加させることによって、ランプ電流を下げ、発光輝度を下げる。なお、増加値は、一気にランプ電流が下がって立ち消えが起こらないように小さな値にするとよい。
【0038】
制御部11は、ステップS104又はステップS105の処理を行うと、今回の調光を継続するかを判別する(ステップS106)。ユーザが、例えば、操作部40を操作してランプ22を消灯する操作(スイッチの切り替え等)、又は、操作部40を操作してランプ22の輝度を元に戻す操作(スイッチの切り替え等)を行うと、操作部40は、この入力操作を表す信号を制御部11に供給する。制御部11は、この信号を受け取った場合、調光を継続しないと判別し(ステップS106;NO)、本処理を終了する。一方、制御部11は、この信号を受け取っていない場合、調光を継続すると判別し(ステップS106;YES)、ステップS101の処理に戻る。
【0039】
以上のような処理によって、ランプ電流が下降して設定値の範囲内に入ったあとに、例えば、ランプ電流が準定常状態になるように上昇して、設定値の範囲から再度外れた場合(上限値を超えた場合)であっても、制御部11は、さらに、指定周波数を上げ、ランプ電流を下げることができる。また、上記のような処理によって、少なくとも1つのランプ22のランプ電流が下限の設定値の範囲から外れた場合に、指定周波数を減少させるので、ランプ電流を増加させることができ、これによって、ランプ電流が所定の閾値(下限値)を下回らないように制御部11は動作する(指定周波数を徐々に増加させる)。以上の制御によって、制御部11は、立ち消えを抑制して複数のランプ22全てが目標輝度に近づくように、ランプ22全てを一括して調光できる。さらに、制御部11は、ランプ22の発光輝度を、立ち消えが起こらない範囲で、素早く目標輝度に持っていくことができるので、ランプ22を、立ち消えを防止しながら適切に素早く暗くできる。
【0040】
なお、制御部11は、ランプ電流が急激に下がらないような変化度で、指定周波数を増加させてもよい(例えば、指定周波数を60Hzから100Hzに300秒かけてゆっくり連続的に変化させる)。このときの、ランプ電圧(ここでは、実効値)の時間変化を図6(a)に、ランプ電流(ここでは、実効値)の時間変化を図6(b)に示す。図6のように、ランプ電流が急激に低下しないように(つまり、ランプ電圧の上昇を防ぐように)、指定周波数を徐々に連続的に増加させることによって、立ち消えを心配することなく、ランプ22の発光輝度を低下させることができるので、簡単にランプ22の発光輝度を下げることができる。この場合の指定周波数の増加値(ランプ電圧を上昇させない増加値)は、予め設定されており、制御部11は、予め設定された回数(目標輝度となるような変換電圧の周波数(指定周波数)に変化させるだけの増加回数)だけ、指定周波数を増加値分増加させる。なお、制御部11は、各ランプ電流を、指定周波数を増加させるごとに取得し、ランプ電流それぞれのうちの1つのランプ電流が、目標電流(設定値)に達する(例えば、設定値の範囲内に入るか、設定値の下限値に達する)まで、指定周波数を増加値分だけ増加させてもよい。
【0041】
制御部11は、ランプ電流が急激に下がって立ち消えが起こるような値に達しないような変化度で、ステップ的に指定周波数を徐々に変化させてもよい。この場合には、制御部11は、指定周波数を下げては、所定時間待機し(つまり、ランプ電流が安定するだけの時間待機し)、その後に指定周波数を再度下げるといったような処理を繰り返し行う。待機時間や、指定周波数の下げ幅は、予め実験等によって決定され、設定されているものとする。
【0042】
また、ユーザが、例えば、ランプ22の点灯時かつランプ22の輝度が低いときに、操作部40を操作してランプ22を明るくするスイッチを押す操作を行うと、操作部40は、この入力操作を表す信号を制御部11に供給する。制御部11は、この信号を受け取ると、点灯中のランプ22を暗くする前の輝度まで明るくする調光処理を開始する。この場合には、立ち消えを心配する必要がないので、制御部11は、徐々に(予め設定されている減少値で)又は一気に、指定周波数を予め設定されている指定周波数(例えば、定格周波数)まで、上昇させる。
【0043】
本実施形態では、上記で説明した調光処理によって、制御部11は、指定する周波数を、ランプ22に流れる電流がランプ22の点灯維持に必要な電流を下回らないように徐々に変化させることになる。これによって、この調光処理では、立ち消えが防止され、ランプ22を消灯させずに、ランプ22の発光輝度を落とすことが出来る。また起動時、従来ランプ22を点灯させる場合には、ランプ温度が低く,ガス圧が低いためアーク電圧が低く、ランプ22を点灯させる際に、ランプ22に定格の1.5倍から2倍の余計な電流が流れたり、電力を多く消費してしまったりする不都合が生じる場合があるが、本実施形態のように、ランプ22を消灯させずにランプ電流を設定値の範囲に制御することで、前記の不都合が軽減又は防止されるので、ランプ寿命が延び,省エネ等が実現される。なお、省エネの観点から、目標電流(設定値)を、立ち消えしないような値であり、省エネを達成するような値として設定してもよい。
【0044】
さらに、本実施形態においては、周波数変換部12が可変周波数の電圧源でもあるので磁気式安定器21とランプ22が直列に接続されている発光部20を並列に接続し,複数のランプ22の発光輝度を一括して調光できる。つまり、電子式安定器を使用して調光する場合には、複数の電子式安定器を各ランプ22に配置して、各ランプ22について調光する必要があるが、本実施形態では、1つの調光装置10によって、複数のランプ22を一括して制御可能であるので、設置コスト等が優れる上,従来の設置された配線をそのまま利用することも可能で改良工事コストの削減になる。また、ランプ22が異なる種類のものであっても一括して制御できる。
【0045】
また、上記での調光では、指定周波数を定格周波数(商用電源の定格周波数である50Hz又は60Hz)の4倍ぐらいまで増加させれば、すなわち、指定周波数を定格周波数から300Hzまでの間で変化させれば(例えば、定格周波数から200Hzまで増加させれば)、ランプ22の発光輝度を十分に暗くできるので、本実施形態では、低周波数領域での交流電圧の調整によってランプ22の調光が可能になっている。電子式安定器を使用して調光する場合の電圧は、10kHz以上の高周波になっているので、ノイズ、音響共振等の発生が問題になるが、本実施形態では、低周波数領域での交流電圧の調整によって、このような不都合が低減又は解消される。
【0046】
周波数変換部12は、基本的に、外部電源3からの電源出力電圧(交流電圧)を所定の電圧値を有する直流電圧に変換する定電圧直流電源回路と、定電圧直流電源回路が変換した直流電圧を、指定周波数の変換電圧に変換して発光部20に出力するDC−ACインバータ回路によって構成される。また、周波数変換部12は、外部電源3と、並列に接続されている発光部20との間で、これらと直列に接続されている。
【0047】
周波数変換部12の詳細な構成の一例を図7を参照して説明する。
【0048】
周波数変換部12は、整流器12aと、平滑コンデンサCsと、インバータ回路(DC−ACインバータ回路)12bと、を含む。
【0049】
整流器12aは、直列に接続されたダイオードD1及びD2と、直列に接続されたダイオードD3及びD4と、が並列に外部電源3に接続されたものであり、その交流入力端子は、外部電源3に接続され、その直流出力端子は、平滑コンデンサCsとインバータ12bとに接続されている。整流器12aは、外部電源3から出力される交流電圧を整流する。
【0050】
平滑コンデンサCsは、整流器12aと並列に接続され、整流器12aが整流した電圧を平滑化する。平滑コンデンサCsは、安定した電圧を得るために、大きな静電容量を有することが望ましい。
【0051】
整流器12aと平滑コンデンサCsとによって、定電圧の直流電圧が出力されるので、これらは、定電圧直流電源回路として機能する。
【0052】
インバータ回路12bは、寄生ダイオードを有するスイッチング素子SW1〜SW4によって構成される。スイッチング素子SW1〜SW4は、それぞれ、逆導通型半導体スイッチであり、Nチャンネル型シリコンMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor) 、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等によって構成される。直列に接続されたスイッチング素子SW1及びSW2と、直列に接続されたスイッチング素子SW3及びSW4と、は並列に整流器12a(直流出力端子)に接続されている。インバータ回路12bの交流出力端子は、並列に接続されている発光部20と接続されている。もちろん、スイッチング素子SW1〜SW4に、それぞれの寄生ダイオードに並列に更にダイオードを接続してもよい。
【0053】
制御部11は、指定周波数を有する第1制御信号(方形波)SG1及びSG4をスイッチング素子SW1及びSW4のゲートG1及びG4に供給するとともに、制御信号SG1及びSG4とHighの期間及びLowの期間が逆の第2制御信号(方形波)SG2及びSG3をスイッチング素子SW2及びSW3のゲートG2及びG3に供給する。このような制御信号によって、スイッチング素子SW1及びSW4がペアでスイッチングし、スイッチング素子SW2及びSW3がペアでスイッチングする。スイッチング素子SW1及びSW4とスイッチング素子SW2及びSW3とは、オン・オフが逆になる。このスイッチングの周波数は、指定周波数と同じである。このため、インバータ回路12bは、指定周波数の交流電圧(変換電圧)を作り、発光部20に出力する。
【0054】
制御部11は、前記のような指定周波数に関係する制御信号の供給によって、周波数変換部12に対して指定周波数を指定し、この制御信号が供給される周波数変換部12は、指定された指定周波数を有する変換電圧を生成して出力することになる。なお、周波数変換部12は、定電圧電源回路でもあり、定電圧で、指定周波数を有する変換電圧を出力するとともに、制御部11が指定周波数を変更すると、定電圧で変換電圧の周波数を変化させることができる。定電圧で周波数を変化させることによって、ランプ電流が減少しても,ランプの交流電流のゼロ交差時に,発光部20に印加される電圧が低くなることが防止され、ランプ22の立ち消えがより防止される。
【0055】
周波数変換部12は、他の構成であってもよい。例えば、周波数変換部12は、図8に示すような構成であってもよい。以下、このような構成について説明する。なお、図8の構成において、図7と同じ構成については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0056】
周波数変換部12は、交流入力端子が外部電源3に接続された整流器12aと、この整流器12aの直流出力端子に接続され、整流器12aの後段に位置するローパスフィルタ12cと、を備える。ローパスフィルタ12cは、整流器12aの出力の高周波を遮断する。ローパスフィルタ12cは、コイルL1と、コンデンサC1と、によって構成される。コイルL1の一端は、整流器12aの直流出力端子(+側)に接続され、他端はコンデンサC1に接続される。コンデンサC1は、一端がコイルL1に接続され、他端が整流器12aの直流出力端子(−側)に接続されている。
【0057】
周波数変換部12は、ローパスフィルタ12cの後段にダイオードD5を備える。ダイオードD5はコンデンサC1と並列に接続されている。ダイオードD5は、コンデンサC1の正負が逆転することを防止し、電流の逆流を防止する。
【0058】
周波数変換部12は、ローパスフィルタ12cの後段に、コイルL1と直列に接続されているコイルL2を備える。コイルL2は、一端がダイオードD5、コイルL1等に接続され、他端がMERS(Magnetic Energy Recovery Switch:磁気エネルギー回生スイッチ)の入力端子AC1に接続されている。
【0059】
周波数変換部12は、コイルL1の後段に、MERSを備える。MERSは、スイッチング素子SW6及びSW7と、ダイオードD6及びD7と、コンデンサCMと、を備え、これらは、ブリッジ接続されている。MERSは、入力端子AC1及びAC2、出力端子DC1及びDC2を備える。入力端子AC1と出力端子DC1との間にダイオードD6が、入力端子AC1と出力端子DC2との間にスイッチング素子SW6が、入力端子AC2と出力端子DC1との間にダイオードD6が、入力端子AC2と出力端子DC2との間にスイッチング素子SW7が、接続されている。そして、出力端子DC1と、出力端子DC2とに、コンデンサCMが接続されている。
【0060】
スイッチング素子SW6,SW7のゲートG6,G7には、それぞれ、制御部11から制御信号SG6,SG7が供給される。これらの信号は、同じ内容の信号(同じ周波数の方向波)である。つまり、スイッチング素子SW6及びSW7は、同じタイミングでON・OFFする。また、制御信号SG6,SG7は、外部電源3の電源出力電圧に対して高い周波数のパルス信号である(例えば、外部電源の電源出力電圧、50Hzに対してデューティ比0.5で20kHzのパルス信号)。なお、MERSのコンデンサCMのキャパシタンスは、制御信号SG6,SG7の1周期毎に、充放電を完了するように予め調整されている。
【0061】
制御部11が、制御信号SG6,SG7としてLow信号を、それぞれ、スイッチング素子SW6,SW7に供給するとき、スイッチング素子SW6,SW7はOFF状態になるので、整流器12aの+側からAC1に流れる電流の一部は、AC1→DC1→DC2→AC2→整流器12aのマイナス側に流れる。このとき、コンデンサCMは、充電される。充電が完了すると、スイッチング素子SW6,SW7に流れる電流は略0になる。
【0062】
制御部11が、制御信号SG6,SG7としてHigh信号を、それぞれ、スイッチング素子SW6,SW7に供給するとき、スイッチング素子SW6,SW7はON状態なので、整流器12aの+側からAC1に流れる電流の一部は、AC1→DC2→DC1→AC2→整流器12aのマイナス側に流れる。このとき、コンデンサCMは、放電される。コンデンサCMの放電が完了すると、スイッチング素子SW6,SW7に印加される電圧は略0になる。
【0063】
制御部11は、Low信号の供給によるコンデンサCMの充電完了後に、制御信号SG6,SG7をそれぞれHigh信号に切り替え、コンデンサCMの放電が完了した後に制御信号SG6,SG7をそれぞれLow信号に切り替えることを繰り返す。すなわち、スイッチング素子SW6及びSW7をオンからオフに切り替わるタイミングでは、コンデンサCMに実質的に電荷が蓄積されておらず(電圧が略0)、オフからオンに切り替えるタイミングは、スイッチング素子SW6及びSW7に実質的に電流が流れていない。なお、この切り替えタイミングは、予め設定されているものとする。このようなHigh及びLowの切り替えによって、コンデンサCMに蓄えられる静電エネルギー及びコイルL2に蓄えられる磁気エネルギーが利用されて、出力端子DC1及びDC2からは、昇圧された直流電圧Vdcが出力される。
なお、MERSは上記の動作によって、所謂ソフトスイッチングが実現されている。そのため、高周波のスイッチングにおいても、消費電力が比較的少ない。また、MERSのコンデンサCMに流れる電流量は、外部電源3の電圧値に、とても高い正の相関関係がある。そのため、外部電源3からの入力電流と、外部電源3の出力電圧とはほぼ位相が等しくなり、周波数変換部12の力率は良好になる。
【0064】
周波数変換部12は、MERSの出力端子DC1に接続されたダイオードD8を備える。このダイオードD8は、電流の逆流を防止するためのものである。
【0065】
周波数変換部12は、MERS及びダイオードD8の後段に、コンデンサCsP及びCsNを備える。コンデンサCsPとコンデンサCsNとは、共に、同じ静電容量を持ち、直列に接続されている。コンデンサCsPの一端(コンデンサCsN側と反対側の一端)は、接続点N1及びダイオードD8を介して出力単位DC1に接続されている。コンデンサCsNの一端(コンデンサCsP側と反対側の一端)は、接続点N2を介して出力単位DC2に接続されている。このような構成によって、コンデンサCsP及びCsNには、MERSからの出力である直流電圧Vdcが印加されることになる。コンデンサCsP及びCsNは、直流電圧Vdcを平滑化する。
【0066】
整流器12aからコンデンサCsP及びCsNまでの回路によって、定電圧直流電源回路(昇圧機能付き)が構成される。
【0067】
周波数変換部12は、コンデンサCsP及びCsNの後段に、スイッチング素子SW8及びSW9を備える。スイッチング素子SW8及びSW9は、直列に接続され、出力端子DC1及びDC2から見て、コンデンサCsP及びCsNと並列に接続されている。スイッチング素子SW8,SW9には、制御部11から制御信号SG8,SG9が供給される。制御信号SG8,SG9は、スイッチング素子SW8,SW9をON/OFFさせる、制御信号(方形波)である。制御信号SG8は、制御信号SG9とHighとLowの期間が逆転した信号である。つまり、スイッチング素子SW8と、スイッチング素子SW9と、は、ONとOFFが逆である。
【0068】
制御部11は、指定周波数と同じ周波数を持つ制御信号SG8,SG9を、それぞれ、スイッチング素子SW8,SW9に供給する。これによって、スイッチング素子SW8,SW9のスイッチング周波数は、指定周波数と同じになる。
【0069】
スイッチング素子SW8とスイッチング素子SW9との間と、コンデンサCsPとコンデンサCsNとの間と、には、発光部20及び電流検出装置41が並列に接続されている。
【0070】
スイッチング素子SW8,SW9のON・OFF動作によって、コンデンサCsPとコンデンサCsNとは、充電及び放電を交互に繰り返す。これによって、発光部20には、交流電圧が印加される。すなわち、スイッチング素子SW8及びSW9と、コンデンサCsP及びCsNと、によって、ハーフブリッジのDC−ACインバータ回路が構成されている。コンデンサCsP及びCsNは、DC−ACインバータ回路と定電圧直流電源回路とに兼用されている。
【0071】
以上のような構成では、MERSによって、所謂ソフトスイッチングが実現される。また、外部電源から見た負荷の力率は改善される。つまり、このような構成を採用した調光装置10は、本来磁気安定器21を用いたために悪かった力率が改善される。
【0072】
ここで、電源出力電圧が不安定である場合、電源出力電圧がランプ22の放電電圧を下回り、ランプ22が消灯する可能性があるが、MERSは、昇圧回路でもあるので、このような不都合は解消できる。すなわち、ここでは、MERSを備えることによって、周波数変換部12は、所定の大きさの電圧を補償でき、ランプ22に印加される電圧がランプ22の放電電圧を下回らないように、発光部20に出力する変換電圧のピークを、発光部20の点灯を維持するために必要な電圧に維持させることができる。なお、周波数変換部12は、このような機能を達成する他の例として、昇圧チョッパ回路等を含んでもよい。この場合、制御部11は、周波数変換部12が出力した変換電圧を取得して(変換電圧がフィードバックされ)、変換電圧が予め設定されている目標電圧を保持するように、チョッパ回路のスイッチング周波数を制御する。また、放電が維持されるなら、発光部20に印加される変換電圧(つまり周波数変換部12が出力する変換電圧)は、その波形に限定はなく、例えば、正弦波であっても方形波であってもよい。
【0073】
なお、上記スイッチング素子SW6〜SW9は、それぞれ、逆導通型半導体スイッチであり、Nチャンネル型シリコンMOSFET、IGBT等によって構成される。スイッチング素子SW6〜SW9は、それぞれ、寄生ダイオードを有する。
【0074】
外部電源3は、三相の交流電源であってもよい。この場合の周波数変換部等を図9を参照して説明する。発光部20は、上記と同様、ランプと磁気式安定器が直列接続されたものであり、ここでは、各発光部20はデルタ結線で互いに接続されている。周波数変換部12は、三相交流用に周波数変換部112に変更される。制御部11は、基本的な構成や行う処理が上記と同様であるが、周波数変換部112を制御する際に、特に、制御信号SG11〜SG16を周波数変換部112に供給することによって指定周波数の指定を行う。
【0075】
周波数変換部112には、外部電源3から三相の交流電力が供給される。周波数変換部112は、整流器112a、平滑コンデンサCs、平滑コンデンサCsと、インバータ回路(DC−ACインバータ回路)112bと、を含む。
【0076】
整流器112aは、その交流入力端子に外部電源3が接続され、その直流出力端子は、平滑コンデンサCsとインバータ112bとに接続されている。整流器112aは、外部電源3から出力される交流電圧を整流する。
【0077】
平滑コンデンサCsは、整流器112aと並列に接続され、整流器112aが整流した電圧を平滑化する。
【0078】
整流器112aと平滑コンデンサCsとによって、定電圧の直流電圧が出力されるので、これらは、定電圧直流電源回路として機能する。
【0079】
インバータ回路112bは、寄生ダイオードを有するスイッチング素子SW11〜SW16によって構成される。スイッチング素子SW11〜SW16は、それぞれ、逆導通型半導体スイッチであり、Nチャンネル型シリコンMOSFET、IGBT等によって構成される。直列に接続されたスイッチング素子SW11及びSW14(U相)と、直列に接続されたスイッチング素子SW12及びSW15(V相)と、直列に接続されたスイッチング素子SW13及びSW16(W相)と、は並列に整流器12a(直流出力端子)に接続されている。インバータ回路12bの交流出力端子は、デルタ結線された3つの発光部20と接続されている。
【0080】
制御部11は、指定周波数を有する第1制御信号(方形波)SG11〜SG16をスイッチング素子SW11〜SW16のゲートG11〜G16に供給する。U相、V相、W相の各層の二つのスイッチング素子の、一方がONし、他方がOFFし、かつ、U相、V相、W相においてそれぞれ位相が120度ずれるような各パルス波を、第1制御信号SG11〜SG16として、制御部11は、供給する。このような信号によって、スイッチング素子SW11〜SW16は、スター結線された各発光部20に三相交流電圧を印加する。なお、第1制御信号SG11〜SG16は、指定周波数の信号であり、スイッチング素子SW11〜SW16それぞれのスイッチングの周波数は、指定周波数と同じである。このため、インバータ回路112bは、指定周波数の交流電圧(変換電圧)を作り、発光部20に出力する。
【0081】
制御部11は、前記のような指定周波数に関係する制御信号の供給によって、周波数変換部12に対して指定周波数を指定し、この制御信号が供給される周波数変換部12は、指定された指定周波数を有する変換電圧を生成して出力することになる。なお、周波数変換部12は、定電圧電源でもあり、定電圧で、指定周波数を有する変換電圧を出力するとともに、制御部11が指定周波数を変更すると、定電圧で変換電圧の周波数を変化させることができる。定電圧で周波数を変化させることによって、ランプ電流が減少しても,ランプの交流電流のゼロ交差時に,発光部20に印加される電圧が低くなることが防止され、ランプ22の立ち消えがより防止される。
【0082】
また、三相交流を用いると、HIDランプ22への結線は3本の電線で足り,長距離の配電線ではこれは有利になるからである。さらに入力も三相交流とすれば,大電力の周波数変換部を作ることが容易にできる。発光部20を三相平衡負荷とすることで、電力脈動が防止又は軽減される。電力の脈動が防止又は軽減されると,照明装置として重要な「ちらつき」フリッカを減少することになるので好ましいと言える。
【0083】
複数の三相交流入力で発光部20を三相に分けて三相交流出力に接続した場合、コンデンサCsの容量を小さくして、例えば300Hzのリップルが出ても照明のちらつき(フリッカ)にならない。
【0084】
なお、周波数変換部12(又は112)は、ワンパルスインバータ、PWM制御のインバータ等、適宜のインバータを使用して周波数を変換してもよい。また、ランプ22は、蛍光灯であってもよい。また、発光部20は、1つでもよい。また、ランプ22の劣化度合いによって、調光を変更してもよい。例えば、新品のものと、20%の劣化のものとであれば、70対90になるように指定周波数を変化させてもよい。つまり、ランプ22の明るさがいつでも同じになるように、ランプ22の劣化度合いによって、指定周波数を変化させてもよい。なお、このような制御は、手作業で行われても良いし、制御部11が時間経過(始期は、例えば、ランプ22の交換時に設定されるものとする。)を所定の時計手段を使用して計時し、計時した時間に応じて指定周波数を増加させてもよい。また、例えば、ランプ22は、トンネル内の照明として使用されるときに、制御部11は、トンネル内の車の数を所定の手段によって特定し、特定した車の数に応じて調光を行っても良い。例えば、車の数に応じて、ランプ22の発光輝度を抑えるようにする。
【0085】
また、電流検出部30は、図10のように、並列に接続された複数のランプ22からなるグループと直列に接続された電流検出器31から形成されてもよい。この場合には、上記の調光処理において、ランプ22のグループについて一括した制御が行われる。この場合の設定値は、ランプ22のグループを一まとめにした値として設定される。
【符号の説明】
【0086】
1 調光システム
3 外部電源
10 調光装置
11 制御部
12 周波数変換部
20 発光部
21 磁気式安定器
22 ランプ
30 電流検出部
31 電流検出器
40 操作部
112 周波数変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプを調光する調光装置であって、
周波数を指定する制御部と、
前記ランプと前記ランプに直列に接続されている磁気式安定器とを含む発光部と、前記発光部に電力を供給する交流電源との間に配置され、前記交流電源からの交流電圧を前記制御部が指定する前記周波数の交流電圧に変換して前記発光部に出力する変換部と、を備え、
前記制御部は、指定する前記周波数を変化させることによって、前記発光部に出力される前記交流電圧の周波数を変化させて、前記ランプの発光輝度を変化させる、
ことを特徴する調光装置。
【請求項2】
前記制御部は、指定する前記周波数を、前記ランプに流れる電流が点灯維持に必要な電流を下回らないように徐々に変化させることによって、前記発光部に出力される前記交流電圧の周波数を変化させて、前記ランプの発光輝度を変化させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の調光装置。
【請求項3】
前記制御部は、指定する前記周波数を定格周波数から300Hzの間で徐々に変化させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の調光装置。
【請求項4】
前記変換部は、前記発光部に出力する前記交流電圧のピークを、前記発光部の点灯を維持するために必要な電圧以上に維持させる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の調光装置。
【請求項5】
前記変換部は、前記制御部が指定する周波数の変化に伴って、前記発光部に出力する前記交流電圧の周波数を定電圧で変化させる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の調光装置。
【請求項6】
前記制御部は、予め設定された変化度で、指定する前記周波数を徐々に増加させる、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の調光装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記ランプに流れる電流値を取得し、取得した電流値が閾値を下回らないように、指定する前記周波数を徐々に増加させる、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の調光装置。
【請求項8】
複数の前記発光部が、並列に接続されている、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の調光装置。
【請求項9】
前記ランプは、HIDランプである、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の調光装置。
【請求項10】
ランプに直列に接続される磁気式安定器を備える照明装置であって、
周波数を指定する制御部と、
前記ランプと前記磁気式安定器とを含む発光部と、前記発光部に電力を供給する交流電源との間に配置され、前記交流電源からの交流電圧を前記制御部が指定する前記周波数の交流電圧に変換して前記発光部に出力する変換部と、を備え、
前記制御部は、指定する前記周波数を変化させることによって、前記発光部に出力される前記交流電圧の周波数を変化させて、前記ランプの発光輝度を変化させる、
ことを特徴する照明装置。
【請求項11】
ランプを調光する調光方法であって、
前記ランプと前記ランプに直列に接続されている磁気式安定器とを含む発光部に印加される交流電圧の周波数を徐々に変化させることによって、前記発光部に印加される前記電圧の周波数を変化させ、前記ランプの発光輝度を変化させることを特徴とする調光方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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