調光装置
【課題】LED照明器具を位相制御方式により調光制御する調光装置において、自動的に調光テーブルを選択可能とし、設定の手間を省力化すると共に、照明器具内のLED合成順電圧に応じて最適な調光制御を可能とする。
【解決手段】自己保持機能を有する双方向スイッチング素子Q1と、LEDを用いた照明器具2と、交流電源Vsとを直列に接続して閉回路を構成し、双方向スイッチング素子Q1のオン期間を可変とすることで照明器具2への実効電力を可変とする位相制御回路を備える調光装置において、入力電圧のゼロクロスと双方向スイッチング素子Q1に流れる電流のゼロクロスとの時間差を計測し、計測された時間差に基づいて調光レベルと双方向スイッチング素子Q1のオン期間の関係である調光テーブルを選択する。
【解決手段】自己保持機能を有する双方向スイッチング素子Q1と、LEDを用いた照明器具2と、交流電源Vsとを直列に接続して閉回路を構成し、双方向スイッチング素子Q1のオン期間を可変とすることで照明器具2への実効電力を可変とする位相制御回路を備える調光装置において、入力電圧のゼロクロスと双方向スイッチング素子Q1に流れる電流のゼロクロスとの時間差を計測し、計測された時間差に基づいて調光レベルと双方向スイッチング素子Q1のオン期間の関係である調光テーブルを選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位相制御方式のLED照明用調光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、白熱灯を調光する手段としてトライアック等の双方向スイッチを用いた位相制御方式がよく用いられている。位相制御方式は、一般的に商用交流電源と白熱灯負荷との間に直列に接続された双方向スイッチング素子のONする位相角(点弧位相角)を制御することにより、白熱灯負荷に供給する商用交流電圧の実効値を可変させて白熱灯負荷を調光制御する方式である。
【0003】
位相制御方式を用いた最も簡単でよく知られている回路は、図7に示すように、双方向スイッチング素子であるトライアックQ1と、トライアックQ1をトリガするダイアックのようなトリガ素子Qtと、可変抵抗VR1とコンデンサCtで構成できる。この回路では調光装置の“つまみ”を手で回すことによって、つまみに接続された可変抵抗VR1の抵抗値が変化して、コンデンサCtが充電され、トリガ素子Qtの動作電圧以上の電圧が印加されると、トリガ素子Qtが動作(パルスをトライアックQ1に出力)してトライアックQ1が導通(オン)する。その導通時の商用交流電源Vsの電圧、すなわち交流電源Vsのゼロクロスのタイミングからの時間(導通位相角)を可変抵抗VR1の抵抗値により制御できる。
【0004】
トライアックQ1が導通すると、トリガ素子Qtに印加されていた電圧が略ゼロになり、トリガ素子Qtの動作は止まるが、トライアックQ1には保持電流以上の電流が負荷Laを介して流れているため、導通状態を保持する。負荷Laが白熱灯の場合は、交流電源Vsからの入力電圧と負荷電流は同位相のため、電源電圧のゼロクロスポイントで負荷電流もゼロとなり、トライアック電流が保持電流以下となり、トライアックQ1がターンオフする。以上の動作を商用交流電源の半周期毎に繰り返す。
【0005】
図7の回路構成では、つまみを回した角度(可変抵抗VR1の抵抗値)と白熱灯負荷Laに供給する商用交流電圧の実効値(あるいは白熱灯の光出力)の関係は、構成する部品の定数によって決まり、つまみを動かしても光出力があまり変わらない領域や、少しつまみを動かしただけで光出力が急激に変化する領域があり、操作感が悪い。
【0006】
そこで、図8に示すように、マイコンを利用したデジタル信号処理でトライアックQ1を制御する調光装置が存在する。調光装置1の入力端には交流電源Vsが接続され、出力端には負荷(照明器具2)が接続されている。調光装置1の内部には、入力側の交流電源Vsと出力側の負荷(照明器具2)の間に直列的に接続されたトライアックQ1と、交流電源Vsのゼロクロスタイミングを検出するゼロクロス電圧検出手段11と、調光レベルを調整する調光レベル設定手段12と、負荷の種類別に調光レベルとトライアックQ1の導通時間の関係(調光テーブル)を記憶した記憶手段13と、トライアックQ1を駆動する駆動手段14と、上記調光レベル設定手段12で設定した調光レベルに対応した導通時間にわたり駆動手段14をオン/オフ制御する制御回路15と、トライアックQ1から発生するノイズを低減するためのノイズフィルター回路16(コンデンサC1、チョークL1)を備えている。なお、ノイズ低減用に負荷(照明器具2)に並列にコンデンサC2を接続することもある。記憶手段13はROM等で構成するが、制御回路15がワンチップマイコン等で構成される場合は、制御回路15に内蔵される。図8では、制御電源回路やマイコンのクロック回路などは図示を省略している。
【0007】
図8の調光装置の動作について説明すると、ゼロクロス電圧検出手段11で検出した交流電源Vsのゼロクロスタイミングを基点に、記憶手段13に記憶した調光テーブルに基づいて、トライアックQ1のスイッチングのタイミングを変化させることにより負荷に印加される実効電圧を変化させて負荷の出力を調整する。ここで、トライアックQ1のトリガ信号(駆動手段14の出力信号)は、図7の調光装置のトリガ信号とは異なり、外部ノイズによる誤動作を防止する目的でパルストリガではなく、DCトリガ信号にすることが多い。パルストリガの場合、ノイズによってトライアック電流が保持電流以下になると、トライアックQ1がオフする誤動作の可能性がある。図8の調光装置を用いて、白熱灯負荷を調光制御する場合の各部波形を図10(a)に示す。
【0008】
ところで、近年では、照明分野においてLED(発光ダイオード)を光源として利用する用途が増えている。LED照明器具を白熱灯の代替光源として使う場合、図8で説明したような調光装置に接続して調光制御するニーズがある。ところで、一般的なLED照明器具では、商用交流電源をダイオードで整流した後、電解コンデンサで平滑した直流電圧を電源とするが、基本的に平滑した電源では位相制御調光はできない。なぜなら、整流平滑方式の照明器具では、商用交流電源の山部の期間のみ入力電流が流れるからである。したがって、図9に示すように、ダイオードブリッジDBで全波整流した脈流電源に複数のLEDと電流制限用の抵抗R0の直列回路を接続した構成にする必要がある。なお、ノイズ低減のためにダイオードブリッジDBの入力側にコンデンサC0を接続する場合があるが、このコンデンサC0は比較的小容量である。
【0009】
一方、図8のコンデンサC2や図9のコンデンサC0のように、負荷に並列的にコンデンサが接続されている構成で、DCトリガ方式でトライアックを駆動する場合は、コンデンサの容量性によって誤動作することがある。この誤動作について、図11〜図13を用いて説明する。
【0010】
図11において、Vsは交流電源、1は位相制御式調光装置、2は照明器具である。この構成では、双方向スイッチであるトライアックQxとフィルタチョークLxの直列接続にフィルタコンデンサCxが並列に接続され、更に照明器具2側の雑音防止用コンデンサCyが直列接続される構成となるため、トライアックQxに流れる電流は商用周波数で使用する場合、容量性要素の影響で電源電圧の位相に対し進相となる場合がある。
【0011】
図12は回路動作を示す。ここでは、位相制御信号として、ターンオン時にのみゲート電圧を与えるパルストリガ方式ではなく、ターンオン期間中はゲート電圧を与え続けるDCトリガ方式(ベタトリガ方式ともいう)を用いている。トライアックQxは位相制御信号がオフとなった後、保持電流以下の電流となるとオフする素子であるが、上述の進相電流の影響で位相制御信号がオフとなるタイミングで既にトライアックQxに流れる電流がゼロクロスポイントをまたいで転流しており、位相制御信号がオフの瞬間、保持電流以上の電流が流れていた場合、トライアックQxをオフできないので、交流電源の次の半周期にわたり、電流がゼロになるまでトライアックQxはオン状態を維持してしまう。
【0012】
そこで従来、この問題を解決するために、図13に示すように設計の段階でトライアックに流れる電流がゼロクロスポイントをまたぐ手前で位相制御信号をオフするように時間設定することで進相電流による調光動作の不具合を回避していた。図中、t1のタイミングで位相制御信号がオフしてもトライアックQ1はオフできないが、t2のタイミングで位相制御信号がオフすることでトライアックQ1はオフすることができる。
【0013】
なお、特許文献1には、照明器具の種類に応じた調光特性テーブルを切替スイッチにより選択可能とする点が開示されており、特許文献2には、設定照度と出力電圧の対応関係を設定したテーブルを持つ調光装置が開示されているが、LED照明器具や進相電流による調光不具合を解決できない。
【特許文献1】特開2001−297886号公報
【特許文献2】特開平11−67470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図8に示した位相制御式の調光装置にLED照明器具を接続した場合、図10(a)に各部波形を示した白熱灯負荷と異なり、図10(b)、図10(c)に示すように調光可能な範囲が狭くなる。これはLED照明器具では、構成するLED素子と電流制限用抵抗の直列回路に印加する電圧が、LEDの順電圧Vfの合成電圧以上でなければLEDに電流が流れないからである。すなわち、順電圧Vfの合成電圧未満では点灯しないことが原因である。この順電圧Vfの合成電圧は、照明器具によって構成するLED素子の種類や直列に接続するLED素子の数が異なるので、器具ごとに異なる。したがって、図10(b)、図10(c)に示すように、LED照明器具でも調光可能な範囲に差が生じる。
【0015】
このように、調光可能な範囲の異なる複数種類のLED照明器具と白熱灯照明器具を、同一の調光テーブルに基づいて調光制御すると、LED照明器具ではつまみを回しても調光レベルが変化しない範囲が生じる。また、マイコンで制御する場合、調光レベルを例えば8ビットの分解能で制御するのであれば、白熱灯に対しては256階調に調光レベルの設定が可能であるが、LED照明器具の場合は調光可能な範囲が狭いために、実際的に有効な調光レベルは256階調より大幅に粗くなる。
【0016】
その不具合を解決するために白熱灯用やLED照明器具の種類毎にそれぞれ調光テーブルを記憶回路に保存して、手動でスイッチを切り替えることによって調光テーブルを選択する方式は考えられるが、白熱灯とLEDの2種類程度であれば使用者が切り替えることも可能であるが、LED照明器具も複数種類になると手動で切り替える方式は現実的ではない。
【0017】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、LED照明器具を位相制御方式により調光制御する調光装置において、自動的に調光テーブルを選択できるようにすることによって、設定の手間を省力化すると共に、照明器具内のLED合成順電圧に応じて最適な調光制御を可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、上記の課題を解決するために、図1に示すように、自己保持機能を有する双方向スイッチング素子Q1と、LEDを用いた照明負荷(照明器具2)と、交流電源Vsとを直列に接続して閉回路を構成し、双方向スイッチング素子Q1のオン期間を可変とすることで照明負荷への実効電力を可変とする位相制御回路を備える調光装置であって、前記位相制御回路は、調光レベルを設定するための調光レベル設定手段12と、双方向スイッチング素子Q1に流れる電流のゼロクロスを検出する第1のゼロクロス検出手段17と、交流電源Vsからの入力電圧のゼロクロスを検出する第2のゼロクロス検出手段11と、入力電圧のゼロクロスと双方向スイッチング素子に流れる電流のゼロクロスとの時間差を計測する手段と、計測された時間差に基づいて調光レベルと双方向スイッチング素子のオン期間の関係である調光テーブルを選択する手段とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明により、双方向スイッチング素子の電流が略ゼロになるタイミングに応じて調光テーブルを選択することによって、照明器具内のLED合成順電圧に応じて最適な調光制御が可能になる。さらに自動的に調光テーブルを選択できることで設定の手間が省ける。
請求項2の発明によれば、負荷の容量性によって進相電流が流れる場合に、ONタイミングではゼロ電流を検出できないことがあるが、OFFタイミングであればゼロ電流を検出できる。また、OFFタイミングを検出する方式はパルストリガで駆動する場合も有効であり、設計の自由度を増す効果がある。
請求項3の発明によれば、双方向スイッチング素子に流れる電流が導通状態から略ゼロになったOFFタイミングだけでなく、電流が導通開始したONタイミングを併用して、調光テーブルを選択するものであるから、OFFタイミングだけを用いる場合に比べてパラメータが増えることにより、調光テーブル選択の精度を向上できる。
【0020】
請求項4の発明によれば、通常動作時は調光テーブルの選択処理が不要であるから、制御にマイコンを用いた場合の処理を簡略化できる。
請求項5の発明によれば、カレントトランスやトライアックに直列接続した抵抗を用いて電流検出する方式と比較して、負荷容量に関わらず電流検出ができ、電力ロスや温度上昇も少なく、部品サイズの小型化やコスト低減の面でも有利である。
請求項6の発明によれば、負荷検出モードの有無に関わらず、請求項5と同様の効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(基本構成)
図1に本発明の基本構成図を示す。図1に示す回路は、マイコンを利用したデジタル信号処理でトライアックQ1を制御する調光装置である。調光装置1の入力端には交流電源Vsが接続され、出力端には負荷(照明器具2)が接続されている。調光装置1の内部には、入力側の交流電源Vsと出力側の負荷(照明器具2)の間に直列的に接続されたトライアックQ1と、交流電源Vsのゼロクロスタイミングを検出するゼロクロス電圧検出手段11と、調光レベルを調整する調光レベル設定手段12と、負荷の種類別に調光レベルとトライアックQ1の導通時間の関係(調光テーブル)を記憶した記憶手段13と、トライアックQ1を駆動する駆動手段14と、上記調光レベル設定手段12で設定した調光レベルに対応した導通時間にわたり駆動手段14をオン/オフ制御する制御回路15と、トライアックQ1に流れる電流が略ゼロになるタイミングを検出する電流検出手段17とを備えている。なお、ノイズ低減用に負荷(照明器具)に並列にコンデンサC2を接続することもある。制御電源回路やマイコンのクロック回路などは図示を省略している。
【0022】
トライアックQ1は自己保持機能を有する双方向スイッチング素子であり、2個の逆阻止3端子サイリスタ(SCR)を逆並列接続して用いても良い。調光レベル設定手段12は、つまみやフェーダで調光レベルを設定し、制御回路15に入力する可変抵抗などで構成される。記憶手段13はROM等で構成するが、制御回路15がワンチップマイコン等で構成される場合は、制御回路15に内蔵される。トライアックQ1のトリガ信号(駆動手段14の出力信号)は、図7の調光装置のトリガ信号と異なり、外部ノイズによる誤動作を防止する目的で、パルストリガではなく、DCトリガ信号にすることが多い。パルストリガの場合、ノイズによってトライアックQ1の電流が保持電流以下になると、トライアックQ1がオフする誤動作の可能性がある。
【0023】
動作を説明すると、ゼロクロス電圧検出手段11で検出した交流電源Vsのゼロクロスタイミングを基点に、記憶手段13に記憶した調光テーブルに基づいて、トライアックQ1のスイッチングのタイミングを変化させることにより負荷に印加される実効電圧を変化させて負荷の出力を調整する。ここで調光テーブルについて説明する。
【表1】
【0024】
表1は調光テーブルの一例である。上記調光レベル設定手段12で調光レベルを変更したとき、制御回路15ではA/D変換等によって設定したい調光レベルをデジタル値に変換する。例えばA/D変換が8ビットの分解能であれば、0から255までのデジタル値になる。これが表1の調光ステップである。その調光ステップに対応する調光比を実現するために、トライアックQ1の導通時間が調光テーブルに記録されている。ここで、調光ステップと調光比の関係をグラフ化したものが図2である。
【0025】
制御回路15は記憶手段13を参照して、調光ステップに対応する導通時間を読み出し、ゼロクロス電圧検出手段11で検出した交流電源Vsのゼロクロスタイミングから、(交流電源半周期−導通時間)後にトライアックQ1の駆動を開始する。トライアックQ1の駆動電圧は、遅くとも次のゼロクロスタイミングまでにOFFさせる。なお、交流電源半周期は50Hzの商用電源の場合、0.01秒になる。
【0026】
また、負荷によって、電流検出手段17が検出した負荷電流が略ゼロとなるタイミングに応じて、記憶手段13に保存された調光テーブルを選択する。そのために、記憶手段13には、異なる負荷の種別毎に、あらかじめ調光レベルと双方向スイッチング素子Q1の導通時間の関係(調光テーブル)を複数通り記憶してあり、そのなかから負荷に適合した調光テーブルを選択する。具体的には、例えば、表1の調光ステップを下位8ビットのアドレスとして、ROM上に導通時間のデータがデジタル値として格納されており、ROMの読出アドレスの上位複数ビットを切り替えることで、異なる調光テーブルを読み出せるようにしている。
【0027】
(実施形態1)
本発明の具体的な実施形態1を図3を用いて説明する。調光装置の負荷端子a,bには照明器具2が接続されている。商用の交流電源Vsは調光装置の電源端子c,dに接続されている。電源端子c,dに接続されたコンデンサC1とチョークL1はノイズ低減用のフィルター回路を構成している。
【0028】
Q1はトライアックである。コンデンサC3と抵抗R1はトライアックQ1のゲート信号を安定化するための部品である。ダイオードD1、PNPトランジスタQ2、抵抗R2、R3、R7は、トライアックQ1の駆動手段であり、ワンチップマイコンIC2のOUT端子が“L”出力になると、PNPトランジスタQ2がONしてトライアックQ1のゲート電流が流れ、トライアックQ1が導通を開始する。
【0029】
ダイオードD3、電解コンデンサC4、IC1、チョークコイルL2、電解コンデンサC6は、制御電源用の非絶縁スイッチング電源回路を構成している。IC1はスイッチング電源ユニットであり、例えば松下電器製MIP9A01である。ダイオードD3で半波整流、電解コンデンサC4で平滑した直流電源がDRIN端子に入力されると、電解コンデンサC6の両端に5Vが出力される。これがマイコンIC2の電源電圧Vccとなる。
【0030】
ここで、電解コンデンサC6のプラス側がトライアックQ1のT1端子と同電位であり、制御電源電圧Vccのグランド(電解コンデンサC6のマイナス側)はトライアックQ1のT1端子に対して−5Vとなる。従って、交流電源Vsの極性に関わらず、PNPトランジスタQ2がONすれば、トライアックQ1にゲート電流が流れる。つまり、電解コンデンサC6のプラス側→トライアックQ1のT1端子→G端子→ダイオードD1→PNPトランジスタQ2→抵抗R3→電解コンデンサC6のマイナス側の経路でゲート電流が流れる。
【0031】
ダイオードD2、D4〜D7、抵抗R4〜R11、PNPトランジスタQ3、ツェナーダイオードZD1、コンデンサC5、NPNトランジスタQ4、コンデンサC7がゼロクロス電圧検出手段を構成している。交流電源Vsの端子c側の電圧が端子d側より高い場合は、ダイオードD2がONして抵抗R4とR5の中点に電圧が発生してダイオードD5もONする。交流電源Vsの端子d側の電圧が端子c側よりも高い場合は、ダイオードD4がONしてPNPトランジスタQ3がONする。その結果、ダイオードD7がONする。ダイオードD5とD7はダイオードOR構成であり、どちらか一方がONすればトランジスタQ4がONする。従って、交流電源Vsがゼロクロスの時だけトランジスタQ4がOFFしてマイコンIC2のVZERO端子が“H”レベルになる。それ以外の場合はVZERO端子が“L”レベルになる。
【0032】
VR1は調光装置の“つまみ”に接続された可変抵抗であり、調光レベル設定手段を構成し、マイコンIC2のA/D変換端子VRにアナログ電圧が入力される。カレントトランスCT、抵抗R12、ダイオードブリッジDB1、抵抗R13、PNPトランジスタQ5、ダイオードD8、抵抗R14、抵抗R15は電流検出手段を構成している。照明器具電流(トライアックQ1の電流)が流れていれば、抵抗R12、ダイオードブリッジDB1を介して抵抗R13に電流が流れてPNPトランジスタQ5がONする。その結果、抵抗R15の両端に電圧が発生してマイコンIC2のIZERO端子が“H”レベルになる。逆にカレントトランスCTに所定以上の電流が流れなければ、トランジスタQ5がOFFしてIZERO端子が“L”レベルになる。ダイオードD8は保護用であり、PNPトランジスタQ5のON時の抵抗R15の電圧が制御電源電圧Vccを超えて上昇しようとすると、ダイオードD8が導通して電圧をクランプする。
【0033】
以上をまとめると、トライアックQ1に所定以上の電流が流れていればIZERO端子は“H”レベル、そうでなければIZERO端子は“L”レベルとなる。また、交流電源Vsからの入力電圧がゼロクロスの時だけVZERO端子が“H”レベルになり、それ以外の場合はVZERO端子は“L”レベルになる。可変抵抗VR1の設定値はVR端子から読み込まれる。そして、マイコンIC2は、IZERO端子の状態、VZERO端子の状態、及びVR端子のアナログ値を読み込むことにより、OUT端子から位相制御信号を出力し、トライアックQ1を制御している。
【0034】
その制御の内容について説明する。電源投入後の最初の交流半周期にわたり、調光比100%で点灯させる。すなわち、交流半周期の間、トライアックQ1に駆動信号を与え続ける。具体的には、交流半周期の間、マイコンIC2のOUT端子を“L”レベルに維持し、PNPトランジスタQ2をONとし、トライアックQ1のゲート電流を流し続ける。
【0035】
負荷がLED照明器具である場合には、図10(b)や図10(c)に示すように、照明器具内のLED合成順電圧に応じてトライアックQ1の電流が略ゼロになるタイミングがある。このタイミングはマイコンIC2のIZERO端子が“H”→“L”に変化するタイミングとして検出できる。電源電圧ゼロクロスのタイミングから、トライアックQ1の電流が略ゼロになるまでの時間は、照明器具内のLED合成順電圧によって異なるので、マイコンIC2はその時間を計時して、その計時結果よりマイコンIC2のROM(記憶手段)内の調光テーブルを選択する。
【0036】
選択された調光テーブルに基づいて次回以降の半周期では、調光装置の“つまみ”で設定したVR端子の電圧に応じた時間、すなわち調光ステップに対応する導通時間を読み出して、ゼロクロス電圧検出手段で検出した交流電源のゼロクロスタイミングから、(交流電源半周期−導通時間)後にトライアックQ1の駆動信号をONする。そして、次の電流ゼロクロスのタイミングまでに、トライアックQ1の駆動信号をOFFする。このようにして所定の調光レベルで調光制御できる。
【0037】
上述のように、トライアックQ1の電流が略ゼロになるタイミングに応じて調光テーブルを選択することによって、照明器具内のLED合成順電圧に応じて最適な調光制御が可能になる。さらに自動的に調光テーブルを選択できることで設定の手間が省ける。
【0038】
また、トライアックQ1の電流が導通状態から略ゼロになったタイミング(OFFタイミング)だけでなく、トライアックQ1の電流が導通開始したタイミング(ONタイミング)と、トライアックQ1の電流が導通状態から略ゼロになったタイミング(OFFタイミング)とに応じて、調光テーブルを選択してもよい。OFFタイミングだけに基づいて調光テーブルを選択する場合に比べると、パラメータが増えることにより、調光テーブル選択の精度を向上できる。
【0039】
なお、カレントトランスCTの代わりにトライアックQ1に直列接続した抵抗の両端電圧によって、トライアックQ1の電流検出を行っても良い。
【0040】
(実施形態2)
本発明の第2の実施形態を図4で説明する。図3との構成上の違いは、電流検出手段としてカレントトランスCTを用いずトライアックQ1の両端電圧によって検出する構成とした点である。すなわち、交流電源Vsがゼロクロス以外でトライアックQ1がOFF(非導通)のときには、トライアックQ1の両端電圧に一定以上の電圧(負荷のインピーダンスによって値は変化する)が発生する。そのときトライアックQ1のT2端子側に接続した抵抗R12、ダイオードブリッジDB1を介して抵抗R13に電流が流れてPNPトランジスタQ5がONする。その結果、IZERO端子が“H”レベルになる。逆にトライアックQ1がONのときには、PNPトランジスタQ5がOFFとなり、IZERO端子は“L”レベルになる。なお、トライアックQ1がOFFのときに、負荷側に電流の流れる経路が全くなければ、PNPトランジスタQ5がONできないので、負荷(照明器具)に並列に抵抗R16を接続する。照明器具内に抵抗R16に相当する電流の経路があれば、抵抗R16は省略できる。なお、抵抗R16はトライアックQ1の保持電流を考慮して設計する必要がある。
【0041】
次に動作について説明する。実施形態1と異なるのは、電源投入直後に特別な負荷検出モードを設けて、そのモード中(電源半周期)はトライアックQ1をパルストリガで駆動する。そのトリガは、図5の駆動信号のように、電源電圧の山部すなわちゼロクロス電圧タイミングより約1/4周期(位相角略90°)で行う。電源電圧山部で駆動することによって照明器具のLED合成順電圧Vfに関わらずトライアックQ1がONできる(パルストリガのため、LED合成順電圧より低い電源電圧では駆動してもトライアックQ1がONしない)。
【0042】
DCトリガの場合は、図12に示したように、負荷の容量性によって進相電流が流れ、LEDに流れる照明器具の電流が無くなっても逆向きの電流が流れるため、トライアックQ1は一瞬OFFしても逆向きに電流が流れることがあるが、ここではパルストリガのため、電流ゼロクロス時点でトライアックQ1の電流が保持電流以下となり、必ずOFFする。このため確実に電流ゼロタイミングが検出できる。この負荷検出モードにおいて調光テーブルの選択ができれば、その後の通常モードでは照明器具に対応した調光テーブルに基づいて調光制御できる。
【0043】
実施形態1のように、カレントトランスCTやトライアックQ1に直列接続した抵抗を用いて電流検出する方式では、それらの部品に負荷電流が流れる構成のため、電流容量の大きい部品を選択しなければならず、サイズやコスト面で問題がある。また、その部品での電力ロスもあり、温度上昇も高い。さらに、負荷電流の幅が大きい(小負荷から大負荷まで対応する)調光装置であれば、ダイナミックレンジの大きい電流検出手段でなければならないが、本実施形態では、トライアックQ1の両端電圧で電流検出する方式のため、負荷容量に関わらず電流検出ができ、電力ロスも少なく、部品サイズやコスト面でも有利である。
【0044】
(実施形態3)
本発明の実施形態3を図6を用いて説明する。実施形態1と同じ部分はブロック図で示す。実施形態1との違いは、駆動回路として、フォトトライアックPT1でトライアックQ1を駆動する回路であることと、電流検出手段の構成が異なる。
【0045】
駆動回路については、フォトトライアックPT1の2次側と抵抗R17、抵抗R1の直列回路がトライアックQ1と並列的に接続されている。マイコンIC2の駆動信号によりPNPトランジスタQ2がONすると、フォトトライアックPT1の1次側の発光ダイオードをONする。その結果、フォトトライアックPT1の2次側がONして抵抗R1の両端に電圧が発生してトライアックQ1を駆動する。
【0046】
電流検出手段については、トライアックQ1の保持電流とフォトトライアックPT1の保持電流の差を利用している。トライアックQ1は負荷電流を流す関係から比較的電流定格の大きい部品を選択する。フォトトライアックPT1はトライアックQ1を駆動することが目的であるから両者の保持電流は、(トライアックQ1の保持電流)>(フォトトライアックPT1の保持電流)という関係がある。そのため、マイコンIC2から駆動信号が出ていて、かつ照明器具のLED合成順電圧以下に負荷電圧が下がったとき、トライアックQ1がOFFしても短い時間であるが、フォトトライアックPT1がONしている期間がある。このとき、抵抗R17とR1には電流が流れているため、両端に電圧が発生する。そこで、この電圧を検出する手段を設け、電流検出手段17としている。
【0047】
抵抗R17とR1の両端電圧は、トライアックQ1がONしているときは、フォトトライアックPT1、抵抗R17、R1の直列回路の両端電圧は略0Vであるから、抵抗の両端電圧も略0Vである。トライアックQ1がOFFでフォトトライアックPT1がON状態に移行すると電圧が発生する。この抵抗R17とR1の両端電圧を所定の閾値電圧と比較することで、トライアックQ1の電流OFFタイミングが検出できる。このタイミングによって、調光テーブルを最適に選択できる。
【0048】
本実施形態では、以上のような電流検出手段17を採用したことによって、実施形態1のようなカレントトランスCTなどの部品を使う必要がなく、また、実施形態2に示したような、特別の負荷検出モードを設けなくてもよいため、設計の自由度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の基本構成を示すブロック回路図である。
【図2】本発明に用いる調光テーブルの一例を示す調光特性図である。
【図3】本発明の実施形態1の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の実施形態2の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の実施形態2の動作説明のための波形図である。
【図6】本発明の実施形態3の構成を示す回路図である。
【図7】従来例1の調光装置の回路図である。
【図8】従来例2の調光装置の回路図である。
【図9】従来のLED照明器具の回路図である。
【図10】従来例2の動作説明のための波形図である。
【図11】従来例2の課題を説明するための回路図である。
【図12】従来例2の課題を説明するための波形図である。
【図13】従来例2の課題解決手段を説明するための波形図である。
【符号の説明】
【0050】
Q1 トライアック
Vs 交流電源
1 位相制御式調光装置
2 照明負荷(LED照明器具)
11 ゼロクロス電圧検出手段
17 ゼロクロス電流検出手段
【技術分野】
【0001】
本発明は位相制御方式のLED照明用調光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、白熱灯を調光する手段としてトライアック等の双方向スイッチを用いた位相制御方式がよく用いられている。位相制御方式は、一般的に商用交流電源と白熱灯負荷との間に直列に接続された双方向スイッチング素子のONする位相角(点弧位相角)を制御することにより、白熱灯負荷に供給する商用交流電圧の実効値を可変させて白熱灯負荷を調光制御する方式である。
【0003】
位相制御方式を用いた最も簡単でよく知られている回路は、図7に示すように、双方向スイッチング素子であるトライアックQ1と、トライアックQ1をトリガするダイアックのようなトリガ素子Qtと、可変抵抗VR1とコンデンサCtで構成できる。この回路では調光装置の“つまみ”を手で回すことによって、つまみに接続された可変抵抗VR1の抵抗値が変化して、コンデンサCtが充電され、トリガ素子Qtの動作電圧以上の電圧が印加されると、トリガ素子Qtが動作(パルスをトライアックQ1に出力)してトライアックQ1が導通(オン)する。その導通時の商用交流電源Vsの電圧、すなわち交流電源Vsのゼロクロスのタイミングからの時間(導通位相角)を可変抵抗VR1の抵抗値により制御できる。
【0004】
トライアックQ1が導通すると、トリガ素子Qtに印加されていた電圧が略ゼロになり、トリガ素子Qtの動作は止まるが、トライアックQ1には保持電流以上の電流が負荷Laを介して流れているため、導通状態を保持する。負荷Laが白熱灯の場合は、交流電源Vsからの入力電圧と負荷電流は同位相のため、電源電圧のゼロクロスポイントで負荷電流もゼロとなり、トライアック電流が保持電流以下となり、トライアックQ1がターンオフする。以上の動作を商用交流電源の半周期毎に繰り返す。
【0005】
図7の回路構成では、つまみを回した角度(可変抵抗VR1の抵抗値)と白熱灯負荷Laに供給する商用交流電圧の実効値(あるいは白熱灯の光出力)の関係は、構成する部品の定数によって決まり、つまみを動かしても光出力があまり変わらない領域や、少しつまみを動かしただけで光出力が急激に変化する領域があり、操作感が悪い。
【0006】
そこで、図8に示すように、マイコンを利用したデジタル信号処理でトライアックQ1を制御する調光装置が存在する。調光装置1の入力端には交流電源Vsが接続され、出力端には負荷(照明器具2)が接続されている。調光装置1の内部には、入力側の交流電源Vsと出力側の負荷(照明器具2)の間に直列的に接続されたトライアックQ1と、交流電源Vsのゼロクロスタイミングを検出するゼロクロス電圧検出手段11と、調光レベルを調整する調光レベル設定手段12と、負荷の種類別に調光レベルとトライアックQ1の導通時間の関係(調光テーブル)を記憶した記憶手段13と、トライアックQ1を駆動する駆動手段14と、上記調光レベル設定手段12で設定した調光レベルに対応した導通時間にわたり駆動手段14をオン/オフ制御する制御回路15と、トライアックQ1から発生するノイズを低減するためのノイズフィルター回路16(コンデンサC1、チョークL1)を備えている。なお、ノイズ低減用に負荷(照明器具2)に並列にコンデンサC2を接続することもある。記憶手段13はROM等で構成するが、制御回路15がワンチップマイコン等で構成される場合は、制御回路15に内蔵される。図8では、制御電源回路やマイコンのクロック回路などは図示を省略している。
【0007】
図8の調光装置の動作について説明すると、ゼロクロス電圧検出手段11で検出した交流電源Vsのゼロクロスタイミングを基点に、記憶手段13に記憶した調光テーブルに基づいて、トライアックQ1のスイッチングのタイミングを変化させることにより負荷に印加される実効電圧を変化させて負荷の出力を調整する。ここで、トライアックQ1のトリガ信号(駆動手段14の出力信号)は、図7の調光装置のトリガ信号とは異なり、外部ノイズによる誤動作を防止する目的でパルストリガではなく、DCトリガ信号にすることが多い。パルストリガの場合、ノイズによってトライアック電流が保持電流以下になると、トライアックQ1がオフする誤動作の可能性がある。図8の調光装置を用いて、白熱灯負荷を調光制御する場合の各部波形を図10(a)に示す。
【0008】
ところで、近年では、照明分野においてLED(発光ダイオード)を光源として利用する用途が増えている。LED照明器具を白熱灯の代替光源として使う場合、図8で説明したような調光装置に接続して調光制御するニーズがある。ところで、一般的なLED照明器具では、商用交流電源をダイオードで整流した後、電解コンデンサで平滑した直流電圧を電源とするが、基本的に平滑した電源では位相制御調光はできない。なぜなら、整流平滑方式の照明器具では、商用交流電源の山部の期間のみ入力電流が流れるからである。したがって、図9に示すように、ダイオードブリッジDBで全波整流した脈流電源に複数のLEDと電流制限用の抵抗R0の直列回路を接続した構成にする必要がある。なお、ノイズ低減のためにダイオードブリッジDBの入力側にコンデンサC0を接続する場合があるが、このコンデンサC0は比較的小容量である。
【0009】
一方、図8のコンデンサC2や図9のコンデンサC0のように、負荷に並列的にコンデンサが接続されている構成で、DCトリガ方式でトライアックを駆動する場合は、コンデンサの容量性によって誤動作することがある。この誤動作について、図11〜図13を用いて説明する。
【0010】
図11において、Vsは交流電源、1は位相制御式調光装置、2は照明器具である。この構成では、双方向スイッチであるトライアックQxとフィルタチョークLxの直列接続にフィルタコンデンサCxが並列に接続され、更に照明器具2側の雑音防止用コンデンサCyが直列接続される構成となるため、トライアックQxに流れる電流は商用周波数で使用する場合、容量性要素の影響で電源電圧の位相に対し進相となる場合がある。
【0011】
図12は回路動作を示す。ここでは、位相制御信号として、ターンオン時にのみゲート電圧を与えるパルストリガ方式ではなく、ターンオン期間中はゲート電圧を与え続けるDCトリガ方式(ベタトリガ方式ともいう)を用いている。トライアックQxは位相制御信号がオフとなった後、保持電流以下の電流となるとオフする素子であるが、上述の進相電流の影響で位相制御信号がオフとなるタイミングで既にトライアックQxに流れる電流がゼロクロスポイントをまたいで転流しており、位相制御信号がオフの瞬間、保持電流以上の電流が流れていた場合、トライアックQxをオフできないので、交流電源の次の半周期にわたり、電流がゼロになるまでトライアックQxはオン状態を維持してしまう。
【0012】
そこで従来、この問題を解決するために、図13に示すように設計の段階でトライアックに流れる電流がゼロクロスポイントをまたぐ手前で位相制御信号をオフするように時間設定することで進相電流による調光動作の不具合を回避していた。図中、t1のタイミングで位相制御信号がオフしてもトライアックQ1はオフできないが、t2のタイミングで位相制御信号がオフすることでトライアックQ1はオフすることができる。
【0013】
なお、特許文献1には、照明器具の種類に応じた調光特性テーブルを切替スイッチにより選択可能とする点が開示されており、特許文献2には、設定照度と出力電圧の対応関係を設定したテーブルを持つ調光装置が開示されているが、LED照明器具や進相電流による調光不具合を解決できない。
【特許文献1】特開2001−297886号公報
【特許文献2】特開平11−67470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図8に示した位相制御式の調光装置にLED照明器具を接続した場合、図10(a)に各部波形を示した白熱灯負荷と異なり、図10(b)、図10(c)に示すように調光可能な範囲が狭くなる。これはLED照明器具では、構成するLED素子と電流制限用抵抗の直列回路に印加する電圧が、LEDの順電圧Vfの合成電圧以上でなければLEDに電流が流れないからである。すなわち、順電圧Vfの合成電圧未満では点灯しないことが原因である。この順電圧Vfの合成電圧は、照明器具によって構成するLED素子の種類や直列に接続するLED素子の数が異なるので、器具ごとに異なる。したがって、図10(b)、図10(c)に示すように、LED照明器具でも調光可能な範囲に差が生じる。
【0015】
このように、調光可能な範囲の異なる複数種類のLED照明器具と白熱灯照明器具を、同一の調光テーブルに基づいて調光制御すると、LED照明器具ではつまみを回しても調光レベルが変化しない範囲が生じる。また、マイコンで制御する場合、調光レベルを例えば8ビットの分解能で制御するのであれば、白熱灯に対しては256階調に調光レベルの設定が可能であるが、LED照明器具の場合は調光可能な範囲が狭いために、実際的に有効な調光レベルは256階調より大幅に粗くなる。
【0016】
その不具合を解決するために白熱灯用やLED照明器具の種類毎にそれぞれ調光テーブルを記憶回路に保存して、手動でスイッチを切り替えることによって調光テーブルを選択する方式は考えられるが、白熱灯とLEDの2種類程度であれば使用者が切り替えることも可能であるが、LED照明器具も複数種類になると手動で切り替える方式は現実的ではない。
【0017】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、LED照明器具を位相制御方式により調光制御する調光装置において、自動的に調光テーブルを選択できるようにすることによって、設定の手間を省力化すると共に、照明器具内のLED合成順電圧に応じて最適な調光制御を可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、上記の課題を解決するために、図1に示すように、自己保持機能を有する双方向スイッチング素子Q1と、LEDを用いた照明負荷(照明器具2)と、交流電源Vsとを直列に接続して閉回路を構成し、双方向スイッチング素子Q1のオン期間を可変とすることで照明負荷への実効電力を可変とする位相制御回路を備える調光装置であって、前記位相制御回路は、調光レベルを設定するための調光レベル設定手段12と、双方向スイッチング素子Q1に流れる電流のゼロクロスを検出する第1のゼロクロス検出手段17と、交流電源Vsからの入力電圧のゼロクロスを検出する第2のゼロクロス検出手段11と、入力電圧のゼロクロスと双方向スイッチング素子に流れる電流のゼロクロスとの時間差を計測する手段と、計測された時間差に基づいて調光レベルと双方向スイッチング素子のオン期間の関係である調光テーブルを選択する手段とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明により、双方向スイッチング素子の電流が略ゼロになるタイミングに応じて調光テーブルを選択することによって、照明器具内のLED合成順電圧に応じて最適な調光制御が可能になる。さらに自動的に調光テーブルを選択できることで設定の手間が省ける。
請求項2の発明によれば、負荷の容量性によって進相電流が流れる場合に、ONタイミングではゼロ電流を検出できないことがあるが、OFFタイミングであればゼロ電流を検出できる。また、OFFタイミングを検出する方式はパルストリガで駆動する場合も有効であり、設計の自由度を増す効果がある。
請求項3の発明によれば、双方向スイッチング素子に流れる電流が導通状態から略ゼロになったOFFタイミングだけでなく、電流が導通開始したONタイミングを併用して、調光テーブルを選択するものであるから、OFFタイミングだけを用いる場合に比べてパラメータが増えることにより、調光テーブル選択の精度を向上できる。
【0020】
請求項4の発明によれば、通常動作時は調光テーブルの選択処理が不要であるから、制御にマイコンを用いた場合の処理を簡略化できる。
請求項5の発明によれば、カレントトランスやトライアックに直列接続した抵抗を用いて電流検出する方式と比較して、負荷容量に関わらず電流検出ができ、電力ロスや温度上昇も少なく、部品サイズの小型化やコスト低減の面でも有利である。
請求項6の発明によれば、負荷検出モードの有無に関わらず、請求項5と同様の効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(基本構成)
図1に本発明の基本構成図を示す。図1に示す回路は、マイコンを利用したデジタル信号処理でトライアックQ1を制御する調光装置である。調光装置1の入力端には交流電源Vsが接続され、出力端には負荷(照明器具2)が接続されている。調光装置1の内部には、入力側の交流電源Vsと出力側の負荷(照明器具2)の間に直列的に接続されたトライアックQ1と、交流電源Vsのゼロクロスタイミングを検出するゼロクロス電圧検出手段11と、調光レベルを調整する調光レベル設定手段12と、負荷の種類別に調光レベルとトライアックQ1の導通時間の関係(調光テーブル)を記憶した記憶手段13と、トライアックQ1を駆動する駆動手段14と、上記調光レベル設定手段12で設定した調光レベルに対応した導通時間にわたり駆動手段14をオン/オフ制御する制御回路15と、トライアックQ1に流れる電流が略ゼロになるタイミングを検出する電流検出手段17とを備えている。なお、ノイズ低減用に負荷(照明器具)に並列にコンデンサC2を接続することもある。制御電源回路やマイコンのクロック回路などは図示を省略している。
【0022】
トライアックQ1は自己保持機能を有する双方向スイッチング素子であり、2個の逆阻止3端子サイリスタ(SCR)を逆並列接続して用いても良い。調光レベル設定手段12は、つまみやフェーダで調光レベルを設定し、制御回路15に入力する可変抵抗などで構成される。記憶手段13はROM等で構成するが、制御回路15がワンチップマイコン等で構成される場合は、制御回路15に内蔵される。トライアックQ1のトリガ信号(駆動手段14の出力信号)は、図7の調光装置のトリガ信号と異なり、外部ノイズによる誤動作を防止する目的で、パルストリガではなく、DCトリガ信号にすることが多い。パルストリガの場合、ノイズによってトライアックQ1の電流が保持電流以下になると、トライアックQ1がオフする誤動作の可能性がある。
【0023】
動作を説明すると、ゼロクロス電圧検出手段11で検出した交流電源Vsのゼロクロスタイミングを基点に、記憶手段13に記憶した調光テーブルに基づいて、トライアックQ1のスイッチングのタイミングを変化させることにより負荷に印加される実効電圧を変化させて負荷の出力を調整する。ここで調光テーブルについて説明する。
【表1】
【0024】
表1は調光テーブルの一例である。上記調光レベル設定手段12で調光レベルを変更したとき、制御回路15ではA/D変換等によって設定したい調光レベルをデジタル値に変換する。例えばA/D変換が8ビットの分解能であれば、0から255までのデジタル値になる。これが表1の調光ステップである。その調光ステップに対応する調光比を実現するために、トライアックQ1の導通時間が調光テーブルに記録されている。ここで、調光ステップと調光比の関係をグラフ化したものが図2である。
【0025】
制御回路15は記憶手段13を参照して、調光ステップに対応する導通時間を読み出し、ゼロクロス電圧検出手段11で検出した交流電源Vsのゼロクロスタイミングから、(交流電源半周期−導通時間)後にトライアックQ1の駆動を開始する。トライアックQ1の駆動電圧は、遅くとも次のゼロクロスタイミングまでにOFFさせる。なお、交流電源半周期は50Hzの商用電源の場合、0.01秒になる。
【0026】
また、負荷によって、電流検出手段17が検出した負荷電流が略ゼロとなるタイミングに応じて、記憶手段13に保存された調光テーブルを選択する。そのために、記憶手段13には、異なる負荷の種別毎に、あらかじめ調光レベルと双方向スイッチング素子Q1の導通時間の関係(調光テーブル)を複数通り記憶してあり、そのなかから負荷に適合した調光テーブルを選択する。具体的には、例えば、表1の調光ステップを下位8ビットのアドレスとして、ROM上に導通時間のデータがデジタル値として格納されており、ROMの読出アドレスの上位複数ビットを切り替えることで、異なる調光テーブルを読み出せるようにしている。
【0027】
(実施形態1)
本発明の具体的な実施形態1を図3を用いて説明する。調光装置の負荷端子a,bには照明器具2が接続されている。商用の交流電源Vsは調光装置の電源端子c,dに接続されている。電源端子c,dに接続されたコンデンサC1とチョークL1はノイズ低減用のフィルター回路を構成している。
【0028】
Q1はトライアックである。コンデンサC3と抵抗R1はトライアックQ1のゲート信号を安定化するための部品である。ダイオードD1、PNPトランジスタQ2、抵抗R2、R3、R7は、トライアックQ1の駆動手段であり、ワンチップマイコンIC2のOUT端子が“L”出力になると、PNPトランジスタQ2がONしてトライアックQ1のゲート電流が流れ、トライアックQ1が導通を開始する。
【0029】
ダイオードD3、電解コンデンサC4、IC1、チョークコイルL2、電解コンデンサC6は、制御電源用の非絶縁スイッチング電源回路を構成している。IC1はスイッチング電源ユニットであり、例えば松下電器製MIP9A01である。ダイオードD3で半波整流、電解コンデンサC4で平滑した直流電源がDRIN端子に入力されると、電解コンデンサC6の両端に5Vが出力される。これがマイコンIC2の電源電圧Vccとなる。
【0030】
ここで、電解コンデンサC6のプラス側がトライアックQ1のT1端子と同電位であり、制御電源電圧Vccのグランド(電解コンデンサC6のマイナス側)はトライアックQ1のT1端子に対して−5Vとなる。従って、交流電源Vsの極性に関わらず、PNPトランジスタQ2がONすれば、トライアックQ1にゲート電流が流れる。つまり、電解コンデンサC6のプラス側→トライアックQ1のT1端子→G端子→ダイオードD1→PNPトランジスタQ2→抵抗R3→電解コンデンサC6のマイナス側の経路でゲート電流が流れる。
【0031】
ダイオードD2、D4〜D7、抵抗R4〜R11、PNPトランジスタQ3、ツェナーダイオードZD1、コンデンサC5、NPNトランジスタQ4、コンデンサC7がゼロクロス電圧検出手段を構成している。交流電源Vsの端子c側の電圧が端子d側より高い場合は、ダイオードD2がONして抵抗R4とR5の中点に電圧が発生してダイオードD5もONする。交流電源Vsの端子d側の電圧が端子c側よりも高い場合は、ダイオードD4がONしてPNPトランジスタQ3がONする。その結果、ダイオードD7がONする。ダイオードD5とD7はダイオードOR構成であり、どちらか一方がONすればトランジスタQ4がONする。従って、交流電源Vsがゼロクロスの時だけトランジスタQ4がOFFしてマイコンIC2のVZERO端子が“H”レベルになる。それ以外の場合はVZERO端子が“L”レベルになる。
【0032】
VR1は調光装置の“つまみ”に接続された可変抵抗であり、調光レベル設定手段を構成し、マイコンIC2のA/D変換端子VRにアナログ電圧が入力される。カレントトランスCT、抵抗R12、ダイオードブリッジDB1、抵抗R13、PNPトランジスタQ5、ダイオードD8、抵抗R14、抵抗R15は電流検出手段を構成している。照明器具電流(トライアックQ1の電流)が流れていれば、抵抗R12、ダイオードブリッジDB1を介して抵抗R13に電流が流れてPNPトランジスタQ5がONする。その結果、抵抗R15の両端に電圧が発生してマイコンIC2のIZERO端子が“H”レベルになる。逆にカレントトランスCTに所定以上の電流が流れなければ、トランジスタQ5がOFFしてIZERO端子が“L”レベルになる。ダイオードD8は保護用であり、PNPトランジスタQ5のON時の抵抗R15の電圧が制御電源電圧Vccを超えて上昇しようとすると、ダイオードD8が導通して電圧をクランプする。
【0033】
以上をまとめると、トライアックQ1に所定以上の電流が流れていればIZERO端子は“H”レベル、そうでなければIZERO端子は“L”レベルとなる。また、交流電源Vsからの入力電圧がゼロクロスの時だけVZERO端子が“H”レベルになり、それ以外の場合はVZERO端子は“L”レベルになる。可変抵抗VR1の設定値はVR端子から読み込まれる。そして、マイコンIC2は、IZERO端子の状態、VZERO端子の状態、及びVR端子のアナログ値を読み込むことにより、OUT端子から位相制御信号を出力し、トライアックQ1を制御している。
【0034】
その制御の内容について説明する。電源投入後の最初の交流半周期にわたり、調光比100%で点灯させる。すなわち、交流半周期の間、トライアックQ1に駆動信号を与え続ける。具体的には、交流半周期の間、マイコンIC2のOUT端子を“L”レベルに維持し、PNPトランジスタQ2をONとし、トライアックQ1のゲート電流を流し続ける。
【0035】
負荷がLED照明器具である場合には、図10(b)や図10(c)に示すように、照明器具内のLED合成順電圧に応じてトライアックQ1の電流が略ゼロになるタイミングがある。このタイミングはマイコンIC2のIZERO端子が“H”→“L”に変化するタイミングとして検出できる。電源電圧ゼロクロスのタイミングから、トライアックQ1の電流が略ゼロになるまでの時間は、照明器具内のLED合成順電圧によって異なるので、マイコンIC2はその時間を計時して、その計時結果よりマイコンIC2のROM(記憶手段)内の調光テーブルを選択する。
【0036】
選択された調光テーブルに基づいて次回以降の半周期では、調光装置の“つまみ”で設定したVR端子の電圧に応じた時間、すなわち調光ステップに対応する導通時間を読み出して、ゼロクロス電圧検出手段で検出した交流電源のゼロクロスタイミングから、(交流電源半周期−導通時間)後にトライアックQ1の駆動信号をONする。そして、次の電流ゼロクロスのタイミングまでに、トライアックQ1の駆動信号をOFFする。このようにして所定の調光レベルで調光制御できる。
【0037】
上述のように、トライアックQ1の電流が略ゼロになるタイミングに応じて調光テーブルを選択することによって、照明器具内のLED合成順電圧に応じて最適な調光制御が可能になる。さらに自動的に調光テーブルを選択できることで設定の手間が省ける。
【0038】
また、トライアックQ1の電流が導通状態から略ゼロになったタイミング(OFFタイミング)だけでなく、トライアックQ1の電流が導通開始したタイミング(ONタイミング)と、トライアックQ1の電流が導通状態から略ゼロになったタイミング(OFFタイミング)とに応じて、調光テーブルを選択してもよい。OFFタイミングだけに基づいて調光テーブルを選択する場合に比べると、パラメータが増えることにより、調光テーブル選択の精度を向上できる。
【0039】
なお、カレントトランスCTの代わりにトライアックQ1に直列接続した抵抗の両端電圧によって、トライアックQ1の電流検出を行っても良い。
【0040】
(実施形態2)
本発明の第2の実施形態を図4で説明する。図3との構成上の違いは、電流検出手段としてカレントトランスCTを用いずトライアックQ1の両端電圧によって検出する構成とした点である。すなわち、交流電源Vsがゼロクロス以外でトライアックQ1がOFF(非導通)のときには、トライアックQ1の両端電圧に一定以上の電圧(負荷のインピーダンスによって値は変化する)が発生する。そのときトライアックQ1のT2端子側に接続した抵抗R12、ダイオードブリッジDB1を介して抵抗R13に電流が流れてPNPトランジスタQ5がONする。その結果、IZERO端子が“H”レベルになる。逆にトライアックQ1がONのときには、PNPトランジスタQ5がOFFとなり、IZERO端子は“L”レベルになる。なお、トライアックQ1がOFFのときに、負荷側に電流の流れる経路が全くなければ、PNPトランジスタQ5がONできないので、負荷(照明器具)に並列に抵抗R16を接続する。照明器具内に抵抗R16に相当する電流の経路があれば、抵抗R16は省略できる。なお、抵抗R16はトライアックQ1の保持電流を考慮して設計する必要がある。
【0041】
次に動作について説明する。実施形態1と異なるのは、電源投入直後に特別な負荷検出モードを設けて、そのモード中(電源半周期)はトライアックQ1をパルストリガで駆動する。そのトリガは、図5の駆動信号のように、電源電圧の山部すなわちゼロクロス電圧タイミングより約1/4周期(位相角略90°)で行う。電源電圧山部で駆動することによって照明器具のLED合成順電圧Vfに関わらずトライアックQ1がONできる(パルストリガのため、LED合成順電圧より低い電源電圧では駆動してもトライアックQ1がONしない)。
【0042】
DCトリガの場合は、図12に示したように、負荷の容量性によって進相電流が流れ、LEDに流れる照明器具の電流が無くなっても逆向きの電流が流れるため、トライアックQ1は一瞬OFFしても逆向きに電流が流れることがあるが、ここではパルストリガのため、電流ゼロクロス時点でトライアックQ1の電流が保持電流以下となり、必ずOFFする。このため確実に電流ゼロタイミングが検出できる。この負荷検出モードにおいて調光テーブルの選択ができれば、その後の通常モードでは照明器具に対応した調光テーブルに基づいて調光制御できる。
【0043】
実施形態1のように、カレントトランスCTやトライアックQ1に直列接続した抵抗を用いて電流検出する方式では、それらの部品に負荷電流が流れる構成のため、電流容量の大きい部品を選択しなければならず、サイズやコスト面で問題がある。また、その部品での電力ロスもあり、温度上昇も高い。さらに、負荷電流の幅が大きい(小負荷から大負荷まで対応する)調光装置であれば、ダイナミックレンジの大きい電流検出手段でなければならないが、本実施形態では、トライアックQ1の両端電圧で電流検出する方式のため、負荷容量に関わらず電流検出ができ、電力ロスも少なく、部品サイズやコスト面でも有利である。
【0044】
(実施形態3)
本発明の実施形態3を図6を用いて説明する。実施形態1と同じ部分はブロック図で示す。実施形態1との違いは、駆動回路として、フォトトライアックPT1でトライアックQ1を駆動する回路であることと、電流検出手段の構成が異なる。
【0045】
駆動回路については、フォトトライアックPT1の2次側と抵抗R17、抵抗R1の直列回路がトライアックQ1と並列的に接続されている。マイコンIC2の駆動信号によりPNPトランジスタQ2がONすると、フォトトライアックPT1の1次側の発光ダイオードをONする。その結果、フォトトライアックPT1の2次側がONして抵抗R1の両端に電圧が発生してトライアックQ1を駆動する。
【0046】
電流検出手段については、トライアックQ1の保持電流とフォトトライアックPT1の保持電流の差を利用している。トライアックQ1は負荷電流を流す関係から比較的電流定格の大きい部品を選択する。フォトトライアックPT1はトライアックQ1を駆動することが目的であるから両者の保持電流は、(トライアックQ1の保持電流)>(フォトトライアックPT1の保持電流)という関係がある。そのため、マイコンIC2から駆動信号が出ていて、かつ照明器具のLED合成順電圧以下に負荷電圧が下がったとき、トライアックQ1がOFFしても短い時間であるが、フォトトライアックPT1がONしている期間がある。このとき、抵抗R17とR1には電流が流れているため、両端に電圧が発生する。そこで、この電圧を検出する手段を設け、電流検出手段17としている。
【0047】
抵抗R17とR1の両端電圧は、トライアックQ1がONしているときは、フォトトライアックPT1、抵抗R17、R1の直列回路の両端電圧は略0Vであるから、抵抗の両端電圧も略0Vである。トライアックQ1がOFFでフォトトライアックPT1がON状態に移行すると電圧が発生する。この抵抗R17とR1の両端電圧を所定の閾値電圧と比較することで、トライアックQ1の電流OFFタイミングが検出できる。このタイミングによって、調光テーブルを最適に選択できる。
【0048】
本実施形態では、以上のような電流検出手段17を採用したことによって、実施形態1のようなカレントトランスCTなどの部品を使う必要がなく、また、実施形態2に示したような、特別の負荷検出モードを設けなくてもよいため、設計の自由度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の基本構成を示すブロック回路図である。
【図2】本発明に用いる調光テーブルの一例を示す調光特性図である。
【図3】本発明の実施形態1の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の実施形態2の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の実施形態2の動作説明のための波形図である。
【図6】本発明の実施形態3の構成を示す回路図である。
【図7】従来例1の調光装置の回路図である。
【図8】従来例2の調光装置の回路図である。
【図9】従来のLED照明器具の回路図である。
【図10】従来例2の動作説明のための波形図である。
【図11】従来例2の課題を説明するための回路図である。
【図12】従来例2の課題を説明するための波形図である。
【図13】従来例2の課題解決手段を説明するための波形図である。
【符号の説明】
【0050】
Q1 トライアック
Vs 交流電源
1 位相制御式調光装置
2 照明負荷(LED照明器具)
11 ゼロクロス電圧検出手段
17 ゼロクロス電流検出手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己保持機能を有する双方向スイッチング素子と、LEDを用いた照明負荷と、交流電源とを直列に接続して閉回路を構成し、双方向スイッチング素子のオン期間を可変とすることで照明負荷への実効電力を可変とする位相制御回路を備える調光装置であって、前記位相制御回路は、調光レベルを設定するための調光レベル設定手段と、双方向スイッチング素子に流れる電流のゼロクロスを検出する第1のゼロクロス検出手段と、交流電源からの入力電圧のゼロクロスを検出する第2のゼロクロス検出手段と、入力電圧のゼロクロスと双方向スイッチング素子に流れる電流のゼロクロスとの時間差を計測する手段と、計測された時間差に基づいて調光レベルと双方向スイッチング素子のオン期間の関係である調光テーブルを選択する手段とを備えることを特徴とする調光装置。
【請求項2】
双方向スイッチング素子に流れる電流が導通状態から略ゼロになったタイミングに応じて調光テーブルを選択することを特徴とする請求項1記載の調光装置。
【請求項3】
双方向スイッチング素子に電流が流れ始めたタイミングと、双方向スイッチング素子に流れる電流が導通状態から略ゼロになったタイミングとに応じて調光テーブルを選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の調光装置。
【請求項4】
電源投入直後に設けた負荷判別モードにおいて、調光テーブルを選択し、その後の通常モードでは選択した調光テーブルに応じて調光制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の調光装置。
【請求項5】
双方向スイッチング素子をパルストリガして導通させた後、双方向スイッチング素子の両端電圧が上昇した時点を検出することで、双方向スイッチング素子に流れる電流が導通状態から略ゼロになったタイミングを検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の調光装置。
【請求項6】
前記双方向スイッチング素子よりも保持電流が小さく、前記双方向スイッチング素子を駆動するための補助双方向スイッチング素子と抵抗の直列回路を前記双方向スイッチング素子に並列的に接続し、前記抵抗の両端電圧を検出することによって、双方向スイッチング素子に流れる電流が導通状態から略ゼロになったタイミングを検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の調光装置。
【請求項1】
自己保持機能を有する双方向スイッチング素子と、LEDを用いた照明負荷と、交流電源とを直列に接続して閉回路を構成し、双方向スイッチング素子のオン期間を可変とすることで照明負荷への実効電力を可変とする位相制御回路を備える調光装置であって、前記位相制御回路は、調光レベルを設定するための調光レベル設定手段と、双方向スイッチング素子に流れる電流のゼロクロスを検出する第1のゼロクロス検出手段と、交流電源からの入力電圧のゼロクロスを検出する第2のゼロクロス検出手段と、入力電圧のゼロクロスと双方向スイッチング素子に流れる電流のゼロクロスとの時間差を計測する手段と、計測された時間差に基づいて調光レベルと双方向スイッチング素子のオン期間の関係である調光テーブルを選択する手段とを備えることを特徴とする調光装置。
【請求項2】
双方向スイッチング素子に流れる電流が導通状態から略ゼロになったタイミングに応じて調光テーブルを選択することを特徴とする請求項1記載の調光装置。
【請求項3】
双方向スイッチング素子に電流が流れ始めたタイミングと、双方向スイッチング素子に流れる電流が導通状態から略ゼロになったタイミングとに応じて調光テーブルを選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の調光装置。
【請求項4】
電源投入直後に設けた負荷判別モードにおいて、調光テーブルを選択し、その後の通常モードでは選択した調光テーブルに応じて調光制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の調光装置。
【請求項5】
双方向スイッチング素子をパルストリガして導通させた後、双方向スイッチング素子の両端電圧が上昇した時点を検出することで、双方向スイッチング素子に流れる電流が導通状態から略ゼロになったタイミングを検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の調光装置。
【請求項6】
前記双方向スイッチング素子よりも保持電流が小さく、前記双方向スイッチング素子を駆動するための補助双方向スイッチング素子と抵抗の直列回路を前記双方向スイッチング素子に並列的に接続し、前記抵抗の両端電圧を検出することによって、双方向スイッチング素子に流れる電流が導通状態から略ゼロになったタイミングを検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の調光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−32033(P2006−32033A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206744(P2004−206744)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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