調光調色特性を備えた有機EL光源装置及び照明装置
【課題】有機EL光源装置及び照明装置において、光源として十分な輝度で発光させることができるようにすると共に長寿命を実現し、また、必要に応じて発光色を調整、可変することができるようにする。
【解決手段】有機EL光源装置30は、電極1の間に一層以上の発光層2を有する有機EL素子10が光透過性の基板3上に形成された有機EL光源20を複数備え、各有機EL光源20は、いずれかの部位に光取り出し処理が施されると共に、各有機EL光源20からの発光が混合して得られるように立体的に配置される。各有機EL光源20からの発光が混合して得られるので、光源として十分な輝度で発光させることができ、また、各有機EL光源20を調整することにより、必要に応じて発光色を調整、可変させることができる。また、寿命に達した有機EL光源20のみを交換することができるので有機EL光源装置30及び照明装置としての寿命を伸ばすことができる。
【解決手段】有機EL光源装置30は、電極1の間に一層以上の発光層2を有する有機EL素子10が光透過性の基板3上に形成された有機EL光源20を複数備え、各有機EL光源20は、いずれかの部位に光取り出し処理が施されると共に、各有機EL光源20からの発光が混合して得られるように立体的に配置される。各有機EL光源20からの発光が混合して得られるので、光源として十分な輝度で発光させることができ、また、各有機EL光源20を調整することにより、必要に応じて発光色を調整、可変させることができる。また、寿命に達した有機EL光源20のみを交換することができるので有機EL光源装置30及び照明装置としての寿命を伸ばすことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示機用バックライト、電飾、サイン用光源、発光ポスター、又は照明用光源などに用いることのできる有機EL光源装置、及びそれを用いた前述の品々に例示される照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、一般に、透明電極からなる陽極、ホール輸送層、発光層、電子注入層、及び陰極の各層が、透明基板の片側の表面に、この順で積層した構成で形成される。このような有機EL素子においては、陽極と陰極の間に電圧を印加することによって、陰極側から注入された電子と、陽極側から注入されたホールが発光層内で再結合し、有機発光層で発光した光が透明電極、透明基板を通して取り出される。
【0003】
有機EL素子を光源として用いる場合、用途によって要求される特性は異なるが、概して比較的高輝度で発光することが好まれる。また、高演色性であること、発光輝度を調整できること、発光色を調整できること、光源の器具内の配置によって発光色及び/又は発光輝度を違えることが要求される場合もある。
【0004】
有機EL素子の発光色は、用いる材料を適宜選択することで、比較的任意に調整することが可能である。また、図14に示されるように異なる発光色を発する複数の素子110r,110g,110bを並置、若しくは、図15に示されるように立体的に配置、又は、図16及び図17に示されるように1つの有機EL素子110内の発光層102に、異なる発光を生じる発光材料を積層(発光層102a及び発光層102b)又は混合して備えることで、それらの発光を混色し、様々な色の発光や白色発光を得ることができる。また、図18に示されるように、有機EL素子110を備えた基板103からなる有機EL光源120に、所謂、蛍光材料を含む層107を設けることで波長変換を行い、それらの混合によって、様々な色の発光や白色発光を得る例も知られている。
【0005】
しかしながら、図14に示される有機EL発光装置130においては、均一発光を得るためには、それぞれの素子110r,110g,110bのサイズを十分に小さくする必要があり、それらの製造、配線、駆動、及びそれらを実現するためのコスト等の観点で不利である。更に、上記構造の形成には有機EL素子の発光面を区分し配線を設ける必要があるため、必然的に発光可能領域(開口率)が小さくなり、大光束を確保することが望まれる光源用途としては、好ましくない。
【0006】
また、図15に示される有機EL発光装置130においては、例えば、特許文献1に記載される如く、一枚の基板103上に絶縁膜109を介して複数の陽極/有機層/陰極化からなる有機発光素子110r,110g,110bを積層し、それらを独立に駆動するもの(SOLED)等が知られている。しかし、厚み1μm以下といった薄膜積層体内に複数の電極を作製し、且つ、そこからの配線を取り回す必要があるためその構造は比較的複雑なものとならざるを得ず、信頼性の低下も懸念される。また、最も寿命の短い発光色の素子寿命に光源寿命が規定され、さらに劣化による輝度低下を防止するために通電電流を大きくした場合にはその発光層における発熱が大きくなり積層して形成されている他色の発光層にも悪影響を及ぼすことも問題である。よって、この構造の有機EL発光装置130を照明用途に用いるには、何らかの改良を加えることが必要であると考えられる。
【0007】
図16及び図17は簡便な混色法として使用されているが、投入電力密度、すなわち発光強度に応じて発光色が変化する可能性があること、また、色調が固定されることが問題である。図18の場合には、前述の問題である発光色変化は小さいが、色調が固定されることには変わりはない。
【0008】
一方、有機EL素子の輝度と寿命は、おおよそ反比例の関係にあるため、前述のような一般的な構造を有する有機EL素子を高輝度で発光させた場合、その寿命が短くなることが技術課題として知られている。近年、高輝度発光で長寿命を達成するために、陽極と陰極の間に複数の有機発光層を積層すると共に、隣り合う各発光層の間に、等電位面を形成する層、もしくは電荷発生層を設けるようにした、いわゆるマルチフォトン素子が提案されている(例えば、特許文献2乃至特許文献4参照)。
【0009】
図19は、このようなマルチフォトン素子として形成される有機EL素子110mの構造の一例を示すものであり、陽極101と陰極101rの間に複数の発光層102を、隣接する発光層102の間に等電位面を形成する層又は電荷発生層105を介在させた状態で積層し、これを透明基板103の表面に積層したものであり、陽極101は光透過性の電極として、陰極101rは光反射性の電極として形成してある。なお、図19において、発光層102の両側にはホール輸送層と電子注入層が設けられているが、ホール輸送層と電子注入層の図示は省略してある。この素子に電圧を印可すると各等電位面を形成する層又は電荷発生層105からも陽極101方向には電子が、陰極101r方向にはホールが注入され、結果複数の発光層102があたかも直列的に接続された状態で同時に発光し、各発光層102からの光が合算されることで、従来型の有機EL素子では実現不可能であった高い電流効率、量子効率を実現することができ、高輝度発光で長寿命を実現可能な構造の一つである。さらに、色調の異なる複数の発光層102を備えることで、それらの発光が混色された発光を得ることができることも特徴である。
【0010】
しかし、この種の有機EL素子は、その発光輝度、発光スペクトルが有機EL素子を構成する有機層等の膜厚に強く依存し、且つ、輝度、発光スペクトルの強い角度依存性を有することが知られている。光源用途として用いる場合、いわゆる均一発光をせず、また生産時の歩留まり低下につながるという欠点を有する可能性があるものである。また、上記の例と同様、駆動時に発光色を任意に変化させることは不可能な構成である。
【0011】
また、これらの例で示した有機EL素子は、いずれも駆動に伴い色調がずれる問題を有する。白色を得るために用いている各色の発光材料の耐久性が異なるために、駆動と共に一部の色を発する材料が先に劣化することがその理由の一例である。
【0012】
一方、両方の電極が透明である複数の有機EL素子を積層して用い、それにより発光色を任意に可変できる構造の器具が提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、特許文献5には、有機ELの構造について透明電極以外の部分に関しては述べられておらず、特に有機ELの発光効率特性に大きな制限をもたらす基板からの光取り出しに関して考慮がなされていないため、この構造の器具の発光効率は素子の本来の効率を生かすことができず、概して低いものとなる。
【0013】
また、複数の有機EL素子を積層して配置し、かつ配置する際の素子の順番を規定することで、他の素子からの光を励起光としたフォトルミネセンス光を利用するとした照明装置が提案されている(例えば、特許文献6参照)。しかし、有機EL素子を構成する有機薄膜はその厚みが非常に小さいため、フォトルミネッセンス光の発光強度は必ずしも大きいものではなく、また有機EL素子を積層し、かつ反射部位を設けることによって光路が多重反射に基づき複雑になるため、本公報記載の効果を有効に活用して所望の発光色を得ることは難しい。
【特許文献1】米国特許第5707745号明細書
【特許文献2】特開平11−329748号公報
【特許文献3】特開2003−45676号公報
【特許文献4】特開2003−272860号公報
【特許文献5】特開2003−288995号公報
【特許文献6】特開2002−260859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
以上に挙げた問題点は、有機EL素子を光源用途に用いる場合には、必ずしも好ましいものではなく、その解決が望まれている。
【0015】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、光源として十分な輝度で発光させることができ、同時に長寿命を実現し、また、必要に応じて発光色を調整、可変させることも可能であり、更に、発光特性に問題が生じた場合又は発光色を変化させたいときに簡便に対処することが可能な構造を有する有機EL光源装置及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、陽極と陰極の間に一層以上の発光層を有する有機EL素子が光透過性の基板上に形成された有機EL光源を複数備えた有機EL光源装置であって、前記複数の有機EL光源は、各有機EL光源のいずれかの部位に光取り出し処理が施され、且つ、各有機EL光源からの発光が混合して得られるように立体的に配置され、これら各有機EL光源の発光を独立又は連動して制御することにより、発光の強度及び/又は色調を変化させることが可能なことを特徴とする。
【0017】
請求項2は、請求項1に記載の有機EL光源装置において、前記複数の有機EL光源は、各有機EL光源が積層された位置関係にあり、これら有機EL光源のうち、光取り出し側から最も遠くに位置する有機EL光源の、光取り出し側から遠い側に位置する電極は光反射性の電極であり、且つ、この有機EL光源の光取り出し側から近い側に位置する電極は光透過性の電極であり、他の有機EL光源の陽極及び陰極が全て光透過性の電極であることを特徴とする。
【0018】
請求項3は、請求項1に記載の有機EL光源装置において、前記複数の有機EL光源は、各有機EL光源が積層された位置関係にあり、前記有機EL光源を構成する陽極と陰極の全てが、光透過性の電極であることを特徴とする。
【0019】
請求項4は、請求項3に記載の有機EL光源装置において、前記複数の有機EL光源のうち、光取り出し側から最も遠くに位置する有機EL光源の、光取り出し側から遠い側に位置する前記電極と対向する位置に、これら有機EL光源が発した光を反射する光反射部を備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項5は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の有機EL光源装置において、前記複数の有機EL光源は、発光色が異なる有機EL光源を含み、これら各有機EL光源の発光を独立又は連動して制御することにより、発光色を変化させることが可能なことを特徴とする。
【0021】
請求項6は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の有機EL光源装置において、前記有機EL素子は、陽極と陰極の間に複数の発光層を備えると共に、これら発光層の間に、少なくとも1層の電荷発生層又は等電位面形成層を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項7は、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の有機EL光源装置において、複数の前記有機EL素子及び/又は前記有機EL光源が直列に接続されていることを特徴とする。
【0023】
請求項8は、請求項1乃至請求項7の何れかに記載の有機EL光源装置において、前記有機EL光源のいずれかの部位に、反射防止処理が施されていることを特徴とする。
【0024】
請求項9は、請求項1乃至請求項8の何れかに記載の有機EL光源装置において、前記有機EL光源が発した光が通過するいずれかの部位に、該有機EL光源が発した光の波長を変換する波長変換層を備えたことを特徴とする。
【0025】
請求項10は、請求項1乃至請求項9の何れかに記載の有機EL光源装置において、前記有機EL光源が発した光を屈折及び/又は反射することにより、前記有機EL光源が発した光に指向性を付与する指向性制御部材を備えたことを特徴とする。
【0026】
請求項11は、請求項1乃至請求項10の何れかに記載の有機EL光源装置において、前記有機EL光源の駆動回路が、該有機EL光源の基板上に設けられていることを特徴とする。
【0027】
請求項12は、請求項1乃至請求項11の何れかに記載の有機EL光源装置において、駆動電圧が20V以上であることを特徴とする。
【0028】
請求項13は、請求項1乃至請求項12の何れかに記載の有機EL光源装置を備えたことを特徴とする照明装置である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、複数の有機EL光源を備え、各有機EL光源は光取り出し処理が施されると共に、各有機EL光源からの発光が混合して得られるように立体的に配置されているので、光源として十分な輝度で発光させることができ、また、各有機EL光源を調整することにより、必要に応じて発光色を調整、可変させることも可能である。また、各有機EL光源を独立して交換することにより、発光特性に問題が生じた場合(例えば、一部の有機EL光源が寿命に達した場合)、又は発光色を変化させたいときに簡便に対処することができ、寿命に達した有機EL光源のみを交換することで有機EL光源装置及び照明装置としての寿命を伸ばすことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態に係る有機EL光源装置及び照明装置について説明する。本発明の有機EL光源装置は、複数の有機EL光源を立体的に配置することで、液晶表示機用バックライト、電飾、サイン用光源、発光ポスター、又は照明用光源などに好適に用いることができるものである。なお、以下においては、陽極と陰極との間に一層以上の発光層を有し、陽極と陰極との間に電圧を印加することによって発光を生じるものを有機EL素子といい、有機EL素子が光透過性の基板上に形成されたものを有機EL光源という。また、有機EL光源を複数まとめて一つの光源装置としたものを有機EL光源装置といい、有機EL光源装置を備える照明装置を照明装置と称する。
【0031】
有機EL素子を構成する電極のうち、少なくとも1方の電極には光透過性の電極が用いられ、必要に応じて両方の電極に光透過性の電極が用いられる。なお、このように両方の電極に光透過性の電極が用いられた有機EL素子として、公知の任意の構成のものを使用することができる。光透過性の電極としては、本発明の効果の妨げにならない限り任意のものを用いることができ、例えば、インジウム−錫酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、錫酸化物、Au等の金属の極薄膜、導電性高分子、導電性の有機材料、ドーパント(ドナー又はアクセプタ)含有有機層、導電体と導電性有機材料(高分子含む)の混合物、及びこれらの積層体等が挙げられる。
【0032】
また、これらの電極と有機層の間に、電極からのキャリア注入性を向上させるためのバッファ層、又は電極成膜時のダメージを低減するための層を形成してもよく、例えば、アルカリ金属ドープ有機層、銅フタロシアニン層、アクセプタドープ有機層等を形成してもよい。
【0033】
有機EL素子の発光層を構成する有機材料としては、例えば、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、ピラン、キナクリドン、ルブレン、及びこれらの誘導体、あるいは、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、及び、これらの発光性化合物からなる基を分子内の一部分に有する化合物あるいは高分子等が挙げられる。
【0034】
また、上記化合物に代表される蛍光色素由来の化合物のみならず、いわゆるリン光発光材料、一部の例を列記するならば、Ir錯体、Os錯体、Pt錯体、ユーロピウム錯体、等々の発光材料、又はそれらを分子内に有する化合物若しくは高分子も好適に用いることができる。これらの材料は、必要に応じて適宜選択して用いることができる。
【0035】
有機EL光源には、光透過性の任意の基板を用いることができる。具体的には、ガラス、樹脂フィルム、樹脂板、ガラスと樹脂の複合板、樹脂上に無機薄膜層を形成したもの、屈折率の異なる原料が混合していることにより散乱性を有しているガラス若しくは樹脂基板、表面を粗面化若しくは表面に光散乱剤を塗布することによってヘーズ値の上昇したガラス若しくは樹脂基板、又は、低屈折率層を積層した樹脂若しくは樹脂基板等が例として挙げられる。
【0036】
本発明の有機EL光源は、そのいずれかの部位に光取り出し処理がなされていることが必要である。光取り出し処理とは、例えば、基板表面の粗面化、上記の光散乱性を有する基板の使用、拡散フィルム等、光散乱性を有する部材の基板表面上又は透明電極(光透過性の電極)上への光学的接合、有機EL素子を構成する電極それ自体が凹凸構造、回折格子構造を有するもの、あるいは電極が形成される基板が凹凸構造、回折格子構造を有するためにそれ上に形成された電極もそれに準じた構造を有するもの、有機EL素子を構成する薄膜の一部が光散乱能を有するもの、などを例として挙げることができる。
【0037】
なお、ここで挙げた凹凸構造、回折格子構造とは、必ずしもその形状が凹凸又は回折格子状である必要はなく、屈折率がそれに準じるプロファイルを有するものなども好適に用いることが可能である。また、いずれかの部位とは、光取り出し処理法によって異なるが、基板の表面、若しくは基板そのもの、透明電極の表面、若しくは透明電極そのもの、又は有機EL素子の内部などが挙げられる。
【0038】
光取り出し処理により、有機EL光源の発光特性が向上するのはもちろんであるが、同時に各有機EL光源の発光色調、スペクトルのムラ及び角度依存性が低減されたものとなり、結果としてこれら有機EL光源を用いた有機EL光源装置及び照明装置として、発光品位が向上したものを得ることができる。
【0039】
また、有機EL光源は、その封止に光透過性の封止部材を用いることが好ましい。光透過性の封止部材とは、例えば、ガラス缶、ガラス板、SiON、SiN、SiO2、アルミナ等の無機膜、及び前述の無機膜と有機膜の複合体、石英板、バリア性フィルム、バリア性樹脂板、低吸湿・低ガス透過性樹脂(接着剤、シール剤なども含む)等が挙げられる。また、非発光点の発生及び成長を防ぐために通常何らかの乾燥剤を封止部材の内部に含有させることがあるが、これについても、光透過性のものが好ましく用いられる。但し、光非透過性のものでも、その大きさ或は配置場所によっては、特にその使用を制限するものではない。
【0040】
本発明の有機EL光源装置及び照明装置では,上記の有機EL光源を立体的に配置して用いる。配置方法は特に限定はしないが、複数の有機EL光源を積層する方法、縦、斜め、水平等、種々の向きに設定した小型有機EL光源を貼り合わせ、敷き詰め等の任意の方法によって組み合わせる方法などが使用可能である。これらの立体的配置によって、各有機EL光源が発する光を混合して、あるいは複合して用いることが可能となる。
【0041】
本発明の有機EL光源装置及び照明装置では、上述の有機EL光源を積層して用いることが好ましい。積層数は特に限定されることはなく,必要に応じて適宜選択される。図1は,同一の発光色を有する有機EL光源20,20rを3層、積層した場合の例である。これら有機EL光源20,20rのうち、光取り出し側(同図において下側)から最も遠くに位置する有機EL光源20rの、光取り出し側から遠い側に位置する電極は反射電極(光反射性の電極)1rであり、且つ、この有機EL光源20rの光取り出し側から近い側に位置する電極は光透過性の電極1であり、他の有機EL光源20の陽極及び陰極は、全て光透過性の電極1である。なお、同図において、2は発光層、3は基板、10及び10rは有機EL素子、20及び20rは有機EL光源を示している。
【0042】
この構成において、片側の電極が反射電極1rである有機EL光源20rでは、透明電極1側、すなわち光取り出し側に生じた光は直接、電極1を透過し、また反射電極1r側に生じた光は反射電極1rで反射されることにより透明電極1側に出射する。一方、両電極が透明電極1である有機EL光源20で生じた光は、両電極1を透過し、有機EL光源20の両側に出射する。このうち光取り出し側と反対側に出射した光は、他の有機EL光源20,20r中を透過し、光取り出し側から最も遠くに位置する有機EL光源20rの反射電極1rで反射され、最終的には、全ての光が一方向に出射する。
【0043】
図2は、全ての有機EL光源20の電極を透明なものとし,両側に光を発することができる構成である。このとき、上記構成のものと同様、各有機EL光源20で発した光は、他の有機EL光源20中を透過し、両方向にそれぞれ合わさって観測される。
【0044】
図3は、図2の片側の面(光取り出し側から最も遠くに位置する有機EL光源20の、光取り出し側から遠い側に位置する電極1と対向する位置)に、これら有機EL光源20が発した光を反射する光反射部4を配置して、光取り出し側に光を反射させ,片側にのみ光を出射させる構成である。なお、光反射部4の配置は、有機EL光源20の背面でもよいし、有機EL光源装置30の所定の場所、又は、照明装置の所定の位置であっても良く、必要に応じて適宜選定されるものである。
【0045】
有機EL光源20の光反射部4側に発された光は、光反射部4によって反射され、光取り出し側に合算されて観測される。ここで、光反射部4は、鏡面反射面でもよいし、光散乱性の反射面、あるいは回折格子を備えた反射面でもよく、必要に応じて適宜選定することができる。この光反射部4を備えることで、有機EL素子10の発光強度、発光スペクトルの角度依存性を上述の反射電極1rを用いたものよりも低減することが可能である。すなわち、反射電極1rの代わりに透明電極1を設け、光反射部4を形成した場合、有機EL光源20の発光部位から反射面までの距離が長くなり、この距離が光学波長よりも十分に大きなオーダになり易いため、発光部位から直接、有機EL素子10外に出射する光と反射面で反射された光の干渉を抑制することができ、有機EL素子10の発光強度、発光スペクトルの角度依存性を低減することができる。
【0046】
図4は、図19の構造と図3の構造を組み合わせたものであり、陽極と陰極の間に複数の有機発光層2を積層すると共に、隣り合う各発光層2の間に、等電位面を形成する層(等電位面形成層)、又は電荷発生層5を設けたものであり、1つの有機EL光源20の発することができる光量を増大させた構成である。この構成を取るときの透明電極1、反射電極1r、又は光反射部4の設け方は、上記の例に基づき任意のものを採用することができる。この場合にも、光反射部4を設けることによって、透明電極1のみを用いた有機EL素子10を用いる構成の有機EL光源装置30及び照明装置は、上記の反射電極1rを備えた有機EL光源20rを用いたものよりも、有機EL素子10の発光強度、発光スペクトルの角度依存性を低減することができる。
【0047】
なお、有機EL光源20,20rに用いられる有機EL素子10,10rの構造、形状は、特に限定されるものではなく、例えば、有機EL素子10,10rの発光層2は単一の発光層2からなるものでも良いし、複数の発光層2からなるものであっても構わない。また、有機EL光源20,20rは単独の有機EL素子10,10rで形成されるもの、複数の有機EL素子10,10rで形成されるものいずれも使用可能である。あるいは発光層2内に複数の発光材料を有し、それらが混合された発光を示すものも使用可能である。
【0048】
また、本発明で用いる有機EL光源20,20rの発光色は、それぞれが同一のものであっても良いし、また必要に応じて異なるものを用いても構わない。例えば、白色発光を示す有機EL光源20,20rを複数積層する方法、補色関係にある2色を積層する方法、三原色を積層する方法、白色に加えて三原色を積層する方法など、任意の組み合わせを用いることができる。また1つの有機EL光源20,20r中に複数の発光層2を設けた構造の有機EL光源20,20rを用いる場合も然りである。更に、有機EL光源20,20rとして、上記の、異なる発光色を有する複数の有機EL素子10,10rを並置したもの、波長変換層を備えたもの、有機EL素子10,10rを積層したもの、例えば、上記の絶縁層、電荷発生層、等電位面を形成する層などを含む構造の有機EL光源20,20rなども用いることが可能である。
【0049】
発光色が同一の有機EL光源20,20rを用いた場合、有機EL光源20,20rの配置数、又は積層数を増やすことにより、有機EL光源装置30の光量を増大させることが可能である。本発明の構成からなる有機EL光源装置30は、発光強度・色度の視野角依存性が小さいことが特徴であり、照明光源としての品位に優れたものとなる。特に、同色のものを複数枚積層して有機EL光源装置30を構成する場合、各有機EL光源20,20rに若干の色ばらつきが存在していたとしても有機EL光源装置30としての発光色は平均化されるため、結果として有機EL光源20,20rの色ばらつきに関する歩留まりを向上させる効果も現れる。
【0050】
また、発光色が異なる有機EL光源20,20rを含む場合、光量増大の効果に加え、個々の有機EL光源20の発光強度を制御することで発光色を変化させることが可能である。発光色は特に限定するものではないが、いわゆる白色光源と橙色光源との組み合わせでは、橙色光源の発光強度の調整により、例えば、昼白色光から電球色の範囲での発光色調整が可能である。
【0051】
また、各有機EL光源20の発光色を、例えば三原色、あるいは補色の関係にある任意の組み合わせとすることで、白色発光する有機EL光源装置30を得ることができる。発光色は必要に応じて選定することができ、演色性を重視する組み合わせとなる発光色を選定すること、あるいはその他の目的に応じた発光色を選定することなど、任意に設定可能である。特に、本発明に示す、積層して混色を行う有機EL光源装置30においては、積層方向に異なる位置で発光した光が混合されるため、その混合は、特に光源のサイズが大きい場合には、例えば、複数の異なる発光色の光源を並置した場合などに比して格段に良く、結果として得られる光の品位は高いものとなる。
【0052】
本発明の有機EL光源装置30及び照明装置は、各有機EL光源20を独立に組み合わせ可能な構造であってもよい。例えば、n層からなる有機EL光源装置30の場合、1層が破損あるいは特性が低下した際に、該当する有機EL光源20のみを交換することによって他の有機EL光源20をそのまま用い続けることができる。また、発光色を変更したい場合、必要な有機EL光源20のみ変更することで対応が可能である。このとき、有機EL光源20の交換は、全有機EL光源20の1/nに留まるため、非破損光源の有効活用の観点で有利である。
【0053】
図5は,有機EL光源20上の有機EL素子10を複数に分割し、それらを電気的に接続した構成を示している。この構成を採ることにより、一部の有機EL素子10pが短絡等の欠陥を起こした場合にも、その部分のみを切り離すことにより、他の部位の有機EL素子10pに与える影響を極小に抑えることができる。なお、欠陥検出のために、駆動回路に異常電流検出部及び電流遮断部等を設けることも可能である。また、有機EL光源20は複数の基板3にまたがっていても構わない。複数の基板3を並置することにより1つの有機EL光源20とすることは、有機EL光源装置30の歩留まりその他の観点で有効な手段である。
【0054】
更に、図6は,図5に示される構成において、複数に分割されている有機EL素子10pを、接続部6を介して直列に接続したものである。有機EL素子10pを直列に接続する利点としては,例えば,Applied Physics Letters 82, 2580 (2003)に報告されているものの如く、1素子の欠陥による光源全体への影響(全体が非点灯となること)、1素子が非点灯となった場合にも有機EL光源20全体が与える光量の低下が極小化されること等がある。しかし、実際に、非点灯部が生じた場合には,その部分が、例えば、矩形状の発光欠陥として視認されるため、有機EL光源装置30として品位に劣ることが問題であった。図6に示される構成の場合,任意の1層の有機EL光源20に欠陥が生じた場合にも、他の層の有機EL光源20の発光が該欠陥部でも視認されるため、上記の品位低下を非常に小さいものとすることができる。また、図6では1つの有機EL光源20内での直列接続のみ図示したが,複数の有機EL光源20を同様に直列接続することもやはり好ましい。この場合にも、いずれかの有機EL光源20に短絡欠陥が生じたときにも有機EL光源20全体が非発光となることを避けることが可能である。
【0055】
本発明の有機EL光源装置30及び照明装置では、有機EL素子10の直列接続、有機EL光源20の直列接続、及び図19の如く有機EL素子10の積層を任意に組み合わせ、駆動電圧を20V以上にすることが好ましい。有機EL光源装置30には、その使用用途を考えると、例えば家庭用の100Vの交流電力が供給されるが、このとき、有機EL光源装置30の駆動電圧が供給電圧に比して極端に小さい場合、電圧降下回路での電力ロスが生じ、結果として有機EL光源装置30の効率を低下させることになる。上記構造の組み合わせにより、駆動電圧を20V以上とすることで,電力ロスを低減することが可能である。
【0056】
本発明の有機EL光源装置30及び照明装置は、その任意の部位に反射防止処理を行うことが好ましい。有機EL光源装置30は、複数の有機EL光源20を積層する構成であるため、ある有機EL光源20から生じた光の一部が他の有機EL光源20を透過する際にロスする光の割合を極小化することで、有機EL光源装置30の効率を向上させることが可能である。反射防止処理方法は、公知の任意の方法を利用することができ、特に限定はしないが、例えば、多層膜による反射防止膜、低屈折率膜、屈折率傾斜膜による反射防止膜、微細凹凸による反射防止膜などを好適に用いることができる。反射防止処理は有機EL素子10を備える基板3のみならず、封止板、その他この後に記す光学部材など、必要に応じてその場所を選定して行うことができる。
【0057】
本発明の有機EL光源装置30及び照明装置は、その任意の部位に波長変換層を設けることができる。たとえば、図7の如く、光取り出し側に最も近い基板3に波長変換層7を設ける方法、あるいは図8に示すように、別基板13に波長変換層7を設けて光取り出し側に配置する方法等が挙げられる。そのほか、基板3内に色変換層を配設する方法、各有機EL光源20に波長変換層7を設ける方法、あるいは、有機EL光源装置30を備える照明装置側に設ける場合など、任意の方法を用いることができる。波長変換層7に用いる材料としては、特に限定はしないが、例えば、YAG系蛍光体など無機系の蛍光体、ペリレン誘導体、あるいは、例えば有機EL素子10に用いる材料として列記した類の有機の蛍光体、及びその他の蛍光体が挙げられ、それらを塗布、焼成、バインダーに混合しての成膜、セルに封じた溶液状態での配置等の方法によって波長変換層7として用いることができる。波長変換層7が光散乱性の場合、有機EL光源20に直接形成することで、光取り出し効率を向上させることも同時に実現できる。また、波長変換層7の上部に光散乱層を設けることで、有機EL光源装置30の発光色の角度依存性を低減することも可能である。外光による波長変換層7からの発光を抑えるためには、光取り出し側の最表面以外の部位に設けることが考えられるが、外光入射防止等の手段を講じる場合にはこの限りではない。
【0058】
本発明の有機EL光源装置30及び照明装置は、プリズムシート、マイクロレンズ、反射コーン(指向性制御部材)等の屈折・反射機能を有する部位を備え、発光に指向性を付与することも可能である。プリズムシートとしては、例えば、住友3M製のBEFシリーズ、三菱レイヨン製のプリズムシートその他のものが例として挙げられ、これらを有機EL光源20の光取り出し面側に配置することで、特定方向への集光が可能になるものである。マイクロレンズも特にその構造は規定しないが、同様に光に指向性を与えることができるものを用いることができる。また反射コーンとは、例えば四角錐の頂点部を底面に対して平行あるいは非平行に切り落とし、その内部を反射性に加工したものであり、その形状(長さ・角度)を所定に設計することで、ある特定方向への集光が可能となるものである。ここでは集光部材の例としていくつかのものを挙げたが、これ以外の集光部材、例えば凹面鏡、U字型反射面、V字型反射面、プリズム、レンズ等々、その他任意の反射・屈折部材を用いることももちろん可能である。これらの部位を備えることで、たとえば照明装置正面方向のみを集中的に照らす照明装置、照明装置の正面以外を照らす照明装置、一方向だけを線状に照らす光源装置など、特殊な配光分布をもった光源装置を実現することも可能となる。これらの部材にも必要に応じて反射防止処理、場合によっては増反射処理等を施すことができる。
【0059】
本発明の有機EL光源装置30は、その駆動回路が有機EL光源20の基板3上に設けられていても良い。有機EL光源20は比較的薄く形成することができるため、基板3上に薄型化した回路を設けることで、回路一体型薄型光源の実現が可能である。一方、別体化した回路を有機EL光源20横に配置した場合、有機EL光源20の薄さという特長が失われ、また、設置面積の観点でも不利となる場合がある。有機EL光源20の基板3上に回路を配置した場合、その取り扱いも容易であり、また、場合によってはその回路の発する熱で有機EL光源20を加熱することで効率向上、輝度向上させ、消費電力を低減することも可能である。本回路は、有機EL光源20に一体化していてもよいし、また必要に応じて取り外すことができるようにすることで、有機EL光源20の交換に対応できるようにしてもよい。
【0060】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。まず、実施例及び比較例に使用される有機EL光源の製造方法について説明する。
【0061】
(参考例1)
ガラス厚み0.7mmのITO付きガラス基板(ITO膜厚1100Å、シート抵抗12Ω/□)を、図9(a)に示す形にエッチング(同図においてIがITOが形成された部分)、切断した後、純水、アセトン、イソプロピルアルコールで各10分間超音波洗浄、イソプロピルアルコール蒸気で2分間蒸気洗浄、乾燥し、さらに30分間、UVオゾン洗浄した。
【0062】
続いて、上記基板を真空蒸着装置にセットし、図9(b)に示す開口A1を有するマスクM1を用いて、5×10-5Paの減圧下、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(以下α−NPDと略称)(ケミプロ化成株式会社製)を、1Å/sの蒸着速度で800Å厚に蒸着して、陽極の上にホール輸送層を形成した。次に、ホール輸送層の上に、青色発光層としてジナフチルアントラセン誘導体(コダック製「BH−2」)に、ジスチリルアリーレン誘導体を4質量%ドープした層を500Å厚積層することによって、有機発光層を設けた。
【0063】
次に、有機発光層の上に、バソクプロイン(BCP:(株)同仁化学研究所製)とLiをモル比1:1で200Å厚に共蒸着して電子注入層を設けた。最後に陰極としてアルミニウムを図10(a)に示す開口A2を有するマスクM2を用いて4Å/sの成膜速度で800Å積層し、青色有機EL素子を得た。得られた素子は、図10(b)に示すガラス封止板P及び、エポキシ系接着剤を用いて封止し、さらにガラス基板の表面を#120のサンドブラスト処理によって粗面化し、光取り出し処理とした。本参考例で得られた素子からなる光源を以後、反射型青色光源と称する。
【0064】
(参考例2)
陰極として対向スパッタ装置でITOを4Å/sのレートにて1000Å厚に形成したこと以外は参考例1と同様にして有機EL素子を得た。本参考例で得られた素子からなる光源を以後、透過型青色光源と称する。
【0065】
(参考例3)
緑色発光層として、Alq3にクマリン545Tを1質量%ドープした層を200Å、Alq3単独の層を300Å設けたこと以外は参考例1と同様にして、緑色有機EL素子を得た。本参考例で得られた素子からなる光源を以後、反射型緑色光源と称する。
【0066】
(参考例4)
陰極として、対向ターゲット式スパッタにより4Å/sのレートにて1000Å厚のITO膜を形成したこと以外は参考例3と同様にして、緑色有機EL素子を得た。本参考例で得られた素子からなる光源を以後、透過型緑色光源と称する。
【0067】
(参考例5)
赤色発光層として、Alq3にDCJTBを1重量%ドープした層を500Å設けたこと、及び光取り出し処理として、きもと製散乱シート100GM2を基板上に屈折率1.51の光学接着剤で貼付したこと以外は参考例1と同様にして、赤色有機EL素子を得た。本参考例で得られた素子からなる光源を以後、反射型赤色光源と称する。
【0068】
(参考例6)
陰極として、対向ターゲット式スパッタにより4Å/sのレートにて1000Å厚のITO膜を形成したこと以外は参考例5と同様にして、赤色有機EL素子を得た。本参考例で得られた素子からなる光源を以後、透過型赤色光源と称する。
【0069】
(参考例7)
参考例1に記した基板を用い、800Å厚のα-NPDからなるホール輸送層、BH−2にジスチリルアリーレン誘導体を4質量%ドープした層からなる500Å厚の発光層、BCPとLiをモル比1:1で200Å厚に共蒸着した電子注入層を形成した。次いで、酸化バナジウム(V2O5)を成膜速度2Å/sで100Å厚に蒸着し、電荷発生層を形成した。この後、α-NPDを700Å、Alq3にクマリン545Tを1質量%ドープした層を200Å、Alq3単独の層を300Å設け、BCPとLiからなる電子注入層を200Å積層した。最後に陰極として対向ターゲット式スパッタにより4Å/sのレートにて1000Å厚のITO膜を形成し、2層の発光層を備えた青緑色発光有機発光素子を得た。以後、本参考例で得られた素子からなる光源を、透過型青緑色光源と称する。
【0070】
(参考例8)
図11(a)(b)に示す構造を有する青色発光素子を作製した。発光面は9つのセグメントSとして区切って形成され、また、図11(b)の断面図に示すように基板3側に形成されている電極1aと、有機EL素子の反対面に位置する電極1bとが非発光部位で接続されており、各セグメントSが直列接続されている構造を有するものである。所定の電流値を、セグメント1つに通電するときの電圧をVsとしたとき、本参考例で得られた9セグメントが接続された有機EL光源は同一電流通電に9Vsの電圧を要することを確認した。以下本参考例で得られた素子からなる光源を、透過型青色光源(直列)と称する。
【実施例1】
【0071】
透過型青緑色光源とその背面側にアルミニウムを1500Å厚に蒸着して作製した反射面を配置したもの20a、及び、反射型赤色光源20bを図12に示すように配置して有機EL光源装置を作製した。用いた両光源20a,20bの数はそれぞれ18である。光源装置を目視すると、2色の発光が見られるが、光源装置から約1m離れた場所への投影光は白色に近いものであった。またその照度は、比較例1に示した光源装置のそれの1.4倍程度であった。
【実施例2】
【0072】
観測面側から、透過型青色光源、透過型青色光源、反射型青色光源の順に積層して配置した有機EL光源装置を作製した。得られた光源装置からの発光強度は、反射型青色光源のそれの約3倍であった。
【実施例3】
【0073】
観測面側から、透過型青色光源、透過型緑色光源、反射型赤色光源の順に積層して配置した有機EL光源装置を作製した。得られた光源装置からの発光強度は、各光源から発する強度の合算値とほぼ一致し、かつ発光色は白色に近いものであった。
【実施例4】
【0074】
実施例3において、透過型緑色光源の発光強度を通電電流値を減少させることにより半減させた。その結果、光源装置からの発光強度は緑色光源からの発光強度減少分程度低下し、かつ発光色は赤紫色味を増した。
【実施例5】
【0075】
実施例3において、反射型赤色光源の発光強度を1.5倍程度に増大させた。その結果、光源装置の発光色は赤みを増し、いわゆる電球色に近い色度の光が得られた。
【実施例6】
【0076】
観測面側から、透過型緑色光源、透過型赤色光源、透過型青色光源の順に積層して配置した有機EL光源装置を作製した。この光源を発光させたときの観測面側の発光強度をL1とする。さらに透過型青色光源の背面側に1000Å厚のアルミニウムを蒸着して作製したミラーを配置したところ、観測面側の発光強度は、1.9L1に増大した。またこのとき発光色の変化はほとんど見られなかった。さらに、発光色の角度依存性もほとんどなく、ほぼ全方位から白色発光が観測された。
【実施例7】
【0077】
実施例3で作製した有機EL光源装置を常時点灯させたところ、赤色光源の劣化が他色光源に比して早く、発光色は次第に青緑色に近づいた。ここで、赤色光源への通電量を増大させ、赤色光源からの発光強度を増大させたところ、発光色を初期の色に復元することができた。
【実施例8】
【0078】
実施例7において、赤色光源への通電量を増大させるかわりに、反射型赤色光源を新しいものにとりかえたところ、発光色を初期の色に復元することが可能であった。
【実施例9】
【0079】
実施例3において、光源の配置順を観測面側から、透過型赤色光源、透過型青色光源、反射型緑色光源の順に変更した。得られた発光色は実施例2のそれと同等のものであった。また、透過型赤色光源と透過型青色光源の間に、0.3重量部のLumogenF Rot305(BASF社製;蛍光発光波長の極大値〜600nm)、バイロン29SS(東洋紡績製)330重量部、メチルエチルケトン150重量部、トルエン150重量部からなる液状組成物を塗布して形成した、厚み0.15mmの赤色変換層を備えたガラス基板を挿入した。このとき、光源の発光色は赤みを増し、いわゆる電球色に近いものとなった。
【実施例10】
【0080】
観測面側から、透過型青緑色光源、反射型赤色光源を積層することで、白色発光有機EL光源装置を得た。またこのとき、透過型青緑色光源の表裏面及び反射型赤色光源の光取り出し側の面に、帝人株式会社製反射防止フィルムオプトファインを光学接着剤で貼付した。2つの光源の積層であるが、その発光強度は実施例3で得られた光源装置のそれとほぼ同等であった。
【実施例11】
【0081】
有機EL光源の表裏面、及び封止板の両面を反射防止処理した各種光源を用い、観測面側から透過型青色光源(直列)、透過型青色光源(直列)、1000Å厚のアルミニウムを蒸着して作製したミラーの順に積層して有機EL光源装置を作製した。透過型青色光源(直列)を輝度1000cd/m2で発光させたときの電圧は37Vであった。75Vの電圧を本有機EL光源装置に印加したときの発光輝度は約2000cd/m2であった。また、点灯中に図11(a)中に示した位置xの有機EL素子が短絡したが、その他の8箇所の有機EL素子はその後も点灯し、また、本実施例の有機EL光源装置を見たときには若干の輝度ムラが感じられるものの、観測面全体が発光することが確認できた。
【実施例12】
【0082】
(実施例12)
実施例11で作製した有機EL光源装置の光取り出し側の表面に、住友スリーエム製プリズムシートThinBEFをそのプリズムの向きが直交するように2枚重ねて配置した。このとき、正面輝度は、元の光源装置に対して約3倍、また45°方向から光源装置を見たときの発光輝度は正面方向への輝度の約10分の1であり、正面方向への集光が可能となった。
【実施例13】
【0083】
AC100VからDC50Vへの変換回路を透過型青色光源(直列)の基板上に作製した。この透過型青色光源(直列)に、透過型青緑色光源、透過型赤色光源を積層し、また直列接続した。このとき、基板外に駆動回路を持たない形状とすることができ、また光源装置の厚みは有機EL光源3枚分とほぼ同等のものであった。
【0084】
(比較例1)
透過型青緑色光源とその背面側にアルミニウムを1500Å厚に蒸着して作製した反射面を配置したもの20a、及び、反射型赤色光源20bを図13に示すように配置して有機EL光源装置を作製した。用いた両光源20a,20bの数はそれぞれ12である。なお、光源装置の設置面積は、実施例1に示すものと同等としたため、使用した光源数は実施例1よりも少ない。光源装置を目視すると、2色の発光が見られるが、光源装置から約1m離れた場所への投影光は白色に近いものであった。またその照度は、実施例1に示した光源装置のそれの1.4分の1程度であった。
【0085】
(比較例2)
観測面側から、反射型青色光源を3枚積層して有機EL光源装置を作製した。本光源装置の発光強度は、反射型青色光源のそれと同一であり、3枚積層したことによる発光強度の増大は全く見られなかった。
【0086】
(比較例3)
参考例7で作製した青緑色光源を常時点灯させたところ、青色発光強度が次第に低下し、発光色は緑色に近づいた。通電量を適宜変化させたが元の発光色を得ることはできなかった。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態に係る有機EL光源装置の断面図であって、有機EL光源のうち1つが反射電極を備える場合の構成を示す図。
【図2】同有機EL光源装置の断面図であって、全ての有機EL光源が両電極として透明電極を備える場合の構成を示す図。
【図3】同有機EL光源装置の断面図であって、光反射部を備える場合の構成を示す図。
【図4】同有機EL光源装置の断面図であって、等電位面又は電荷発生層を備える場合の構成を示す図。
【図5】同有機EL光源装置の断面図であって、分割された複数の有機EL素子を有する有機EL光源を備える場合の構成を示す図。
【図6】同有機EL光源装置の断面図であって、直列接続された複数の有機EL素子を有する有機EL光源を備える場合の構成を示す図。
【図7】同有機EL光源装置の断面図であって、有機EL光源の基板に波長変換層を備える場合の構成を示す図。
【図8】同有機EL光源装置の断面図であって、有機EL光源以外の別基板に波長変換層を備える場合の構成を示す図。
【図9】(a)は実施例及び比較例において有機EL光源装置の製造に用いられるITO付きガラス基板の正面図、(b)は同有機EL光源装置の製造に用いられるマスクの正面図。
【図10】(a)は同有機EL光源装置の製造に用いられるマスクの正面図、(b)は同有機EL光源装置の製造に用いられるガラス封止板の正面図。
【図11】(a)は同有機EL光源装置に用いられる青色発光素子の正面図、(b)は同青色発光素子の断面図。
【図12】実施例1の有機EL光源装置の正面図及び上面図。
【図13】比較例1の有機EL光源装置の正面図及び上面図。
【図14】従来例に係る有機EL光源装置の断面図。
【図15】従来例に係る有機EL光源装置の断面図。
【図16】従来例に係る有機EL光源装置の断面図。
【図17】従来例に係る有機EL光源装置の断面図。
【図18】従来例に係る有機EL光源装置の断面図。
【図19】従来例に係る有機EL光源装置の断面図。
【符号の説明】
【0088】
1 透明電極
1r 反射電極
2 発光層
3 基板
4 光反射部
5 等電位面を形成する層又は電荷発生層
6 波長変換層
10,10r 有機EL素子
20,20r 有機EL光源
30 有機EL光源装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示機用バックライト、電飾、サイン用光源、発光ポスター、又は照明用光源などに用いることのできる有機EL光源装置、及びそれを用いた前述の品々に例示される照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、一般に、透明電極からなる陽極、ホール輸送層、発光層、電子注入層、及び陰極の各層が、透明基板の片側の表面に、この順で積層した構成で形成される。このような有機EL素子においては、陽極と陰極の間に電圧を印加することによって、陰極側から注入された電子と、陽極側から注入されたホールが発光層内で再結合し、有機発光層で発光した光が透明電極、透明基板を通して取り出される。
【0003】
有機EL素子を光源として用いる場合、用途によって要求される特性は異なるが、概して比較的高輝度で発光することが好まれる。また、高演色性であること、発光輝度を調整できること、発光色を調整できること、光源の器具内の配置によって発光色及び/又は発光輝度を違えることが要求される場合もある。
【0004】
有機EL素子の発光色は、用いる材料を適宜選択することで、比較的任意に調整することが可能である。また、図14に示されるように異なる発光色を発する複数の素子110r,110g,110bを並置、若しくは、図15に示されるように立体的に配置、又は、図16及び図17に示されるように1つの有機EL素子110内の発光層102に、異なる発光を生じる発光材料を積層(発光層102a及び発光層102b)又は混合して備えることで、それらの発光を混色し、様々な色の発光や白色発光を得ることができる。また、図18に示されるように、有機EL素子110を備えた基板103からなる有機EL光源120に、所謂、蛍光材料を含む層107を設けることで波長変換を行い、それらの混合によって、様々な色の発光や白色発光を得る例も知られている。
【0005】
しかしながら、図14に示される有機EL発光装置130においては、均一発光を得るためには、それぞれの素子110r,110g,110bのサイズを十分に小さくする必要があり、それらの製造、配線、駆動、及びそれらを実現するためのコスト等の観点で不利である。更に、上記構造の形成には有機EL素子の発光面を区分し配線を設ける必要があるため、必然的に発光可能領域(開口率)が小さくなり、大光束を確保することが望まれる光源用途としては、好ましくない。
【0006】
また、図15に示される有機EL発光装置130においては、例えば、特許文献1に記載される如く、一枚の基板103上に絶縁膜109を介して複数の陽極/有機層/陰極化からなる有機発光素子110r,110g,110bを積層し、それらを独立に駆動するもの(SOLED)等が知られている。しかし、厚み1μm以下といった薄膜積層体内に複数の電極を作製し、且つ、そこからの配線を取り回す必要があるためその構造は比較的複雑なものとならざるを得ず、信頼性の低下も懸念される。また、最も寿命の短い発光色の素子寿命に光源寿命が規定され、さらに劣化による輝度低下を防止するために通電電流を大きくした場合にはその発光層における発熱が大きくなり積層して形成されている他色の発光層にも悪影響を及ぼすことも問題である。よって、この構造の有機EL発光装置130を照明用途に用いるには、何らかの改良を加えることが必要であると考えられる。
【0007】
図16及び図17は簡便な混色法として使用されているが、投入電力密度、すなわち発光強度に応じて発光色が変化する可能性があること、また、色調が固定されることが問題である。図18の場合には、前述の問題である発光色変化は小さいが、色調が固定されることには変わりはない。
【0008】
一方、有機EL素子の輝度と寿命は、おおよそ反比例の関係にあるため、前述のような一般的な構造を有する有機EL素子を高輝度で発光させた場合、その寿命が短くなることが技術課題として知られている。近年、高輝度発光で長寿命を達成するために、陽極と陰極の間に複数の有機発光層を積層すると共に、隣り合う各発光層の間に、等電位面を形成する層、もしくは電荷発生層を設けるようにした、いわゆるマルチフォトン素子が提案されている(例えば、特許文献2乃至特許文献4参照)。
【0009】
図19は、このようなマルチフォトン素子として形成される有機EL素子110mの構造の一例を示すものであり、陽極101と陰極101rの間に複数の発光層102を、隣接する発光層102の間に等電位面を形成する層又は電荷発生層105を介在させた状態で積層し、これを透明基板103の表面に積層したものであり、陽極101は光透過性の電極として、陰極101rは光反射性の電極として形成してある。なお、図19において、発光層102の両側にはホール輸送層と電子注入層が設けられているが、ホール輸送層と電子注入層の図示は省略してある。この素子に電圧を印可すると各等電位面を形成する層又は電荷発生層105からも陽極101方向には電子が、陰極101r方向にはホールが注入され、結果複数の発光層102があたかも直列的に接続された状態で同時に発光し、各発光層102からの光が合算されることで、従来型の有機EL素子では実現不可能であった高い電流効率、量子効率を実現することができ、高輝度発光で長寿命を実現可能な構造の一つである。さらに、色調の異なる複数の発光層102を備えることで、それらの発光が混色された発光を得ることができることも特徴である。
【0010】
しかし、この種の有機EL素子は、その発光輝度、発光スペクトルが有機EL素子を構成する有機層等の膜厚に強く依存し、且つ、輝度、発光スペクトルの強い角度依存性を有することが知られている。光源用途として用いる場合、いわゆる均一発光をせず、また生産時の歩留まり低下につながるという欠点を有する可能性があるものである。また、上記の例と同様、駆動時に発光色を任意に変化させることは不可能な構成である。
【0011】
また、これらの例で示した有機EL素子は、いずれも駆動に伴い色調がずれる問題を有する。白色を得るために用いている各色の発光材料の耐久性が異なるために、駆動と共に一部の色を発する材料が先に劣化することがその理由の一例である。
【0012】
一方、両方の電極が透明である複数の有機EL素子を積層して用い、それにより発光色を任意に可変できる構造の器具が提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、特許文献5には、有機ELの構造について透明電極以外の部分に関しては述べられておらず、特に有機ELの発光効率特性に大きな制限をもたらす基板からの光取り出しに関して考慮がなされていないため、この構造の器具の発光効率は素子の本来の効率を生かすことができず、概して低いものとなる。
【0013】
また、複数の有機EL素子を積層して配置し、かつ配置する際の素子の順番を規定することで、他の素子からの光を励起光としたフォトルミネセンス光を利用するとした照明装置が提案されている(例えば、特許文献6参照)。しかし、有機EL素子を構成する有機薄膜はその厚みが非常に小さいため、フォトルミネッセンス光の発光強度は必ずしも大きいものではなく、また有機EL素子を積層し、かつ反射部位を設けることによって光路が多重反射に基づき複雑になるため、本公報記載の効果を有効に活用して所望の発光色を得ることは難しい。
【特許文献1】米国特許第5707745号明細書
【特許文献2】特開平11−329748号公報
【特許文献3】特開2003−45676号公報
【特許文献4】特開2003−272860号公報
【特許文献5】特開2003−288995号公報
【特許文献6】特開2002−260859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
以上に挙げた問題点は、有機EL素子を光源用途に用いる場合には、必ずしも好ましいものではなく、その解決が望まれている。
【0015】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、光源として十分な輝度で発光させることができ、同時に長寿命を実現し、また、必要に応じて発光色を調整、可変させることも可能であり、更に、発光特性に問題が生じた場合又は発光色を変化させたいときに簡便に対処することが可能な構造を有する有機EL光源装置及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、陽極と陰極の間に一層以上の発光層を有する有機EL素子が光透過性の基板上に形成された有機EL光源を複数備えた有機EL光源装置であって、前記複数の有機EL光源は、各有機EL光源のいずれかの部位に光取り出し処理が施され、且つ、各有機EL光源からの発光が混合して得られるように立体的に配置され、これら各有機EL光源の発光を独立又は連動して制御することにより、発光の強度及び/又は色調を変化させることが可能なことを特徴とする。
【0017】
請求項2は、請求項1に記載の有機EL光源装置において、前記複数の有機EL光源は、各有機EL光源が積層された位置関係にあり、これら有機EL光源のうち、光取り出し側から最も遠くに位置する有機EL光源の、光取り出し側から遠い側に位置する電極は光反射性の電極であり、且つ、この有機EL光源の光取り出し側から近い側に位置する電極は光透過性の電極であり、他の有機EL光源の陽極及び陰極が全て光透過性の電極であることを特徴とする。
【0018】
請求項3は、請求項1に記載の有機EL光源装置において、前記複数の有機EL光源は、各有機EL光源が積層された位置関係にあり、前記有機EL光源を構成する陽極と陰極の全てが、光透過性の電極であることを特徴とする。
【0019】
請求項4は、請求項3に記載の有機EL光源装置において、前記複数の有機EL光源のうち、光取り出し側から最も遠くに位置する有機EL光源の、光取り出し側から遠い側に位置する前記電極と対向する位置に、これら有機EL光源が発した光を反射する光反射部を備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項5は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の有機EL光源装置において、前記複数の有機EL光源は、発光色が異なる有機EL光源を含み、これら各有機EL光源の発光を独立又は連動して制御することにより、発光色を変化させることが可能なことを特徴とする。
【0021】
請求項6は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の有機EL光源装置において、前記有機EL素子は、陽極と陰極の間に複数の発光層を備えると共に、これら発光層の間に、少なくとも1層の電荷発生層又は等電位面形成層を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項7は、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の有機EL光源装置において、複数の前記有機EL素子及び/又は前記有機EL光源が直列に接続されていることを特徴とする。
【0023】
請求項8は、請求項1乃至請求項7の何れかに記載の有機EL光源装置において、前記有機EL光源のいずれかの部位に、反射防止処理が施されていることを特徴とする。
【0024】
請求項9は、請求項1乃至請求項8の何れかに記載の有機EL光源装置において、前記有機EL光源が発した光が通過するいずれかの部位に、該有機EL光源が発した光の波長を変換する波長変換層を備えたことを特徴とする。
【0025】
請求項10は、請求項1乃至請求項9の何れかに記載の有機EL光源装置において、前記有機EL光源が発した光を屈折及び/又は反射することにより、前記有機EL光源が発した光に指向性を付与する指向性制御部材を備えたことを特徴とする。
【0026】
請求項11は、請求項1乃至請求項10の何れかに記載の有機EL光源装置において、前記有機EL光源の駆動回路が、該有機EL光源の基板上に設けられていることを特徴とする。
【0027】
請求項12は、請求項1乃至請求項11の何れかに記載の有機EL光源装置において、駆動電圧が20V以上であることを特徴とする。
【0028】
請求項13は、請求項1乃至請求項12の何れかに記載の有機EL光源装置を備えたことを特徴とする照明装置である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、複数の有機EL光源を備え、各有機EL光源は光取り出し処理が施されると共に、各有機EL光源からの発光が混合して得られるように立体的に配置されているので、光源として十分な輝度で発光させることができ、また、各有機EL光源を調整することにより、必要に応じて発光色を調整、可変させることも可能である。また、各有機EL光源を独立して交換することにより、発光特性に問題が生じた場合(例えば、一部の有機EL光源が寿命に達した場合)、又は発光色を変化させたいときに簡便に対処することができ、寿命に達した有機EL光源のみを交換することで有機EL光源装置及び照明装置としての寿命を伸ばすことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態に係る有機EL光源装置及び照明装置について説明する。本発明の有機EL光源装置は、複数の有機EL光源を立体的に配置することで、液晶表示機用バックライト、電飾、サイン用光源、発光ポスター、又は照明用光源などに好適に用いることができるものである。なお、以下においては、陽極と陰極との間に一層以上の発光層を有し、陽極と陰極との間に電圧を印加することによって発光を生じるものを有機EL素子といい、有機EL素子が光透過性の基板上に形成されたものを有機EL光源という。また、有機EL光源を複数まとめて一つの光源装置としたものを有機EL光源装置といい、有機EL光源装置を備える照明装置を照明装置と称する。
【0031】
有機EL素子を構成する電極のうち、少なくとも1方の電極には光透過性の電極が用いられ、必要に応じて両方の電極に光透過性の電極が用いられる。なお、このように両方の電極に光透過性の電極が用いられた有機EL素子として、公知の任意の構成のものを使用することができる。光透過性の電極としては、本発明の効果の妨げにならない限り任意のものを用いることができ、例えば、インジウム−錫酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、錫酸化物、Au等の金属の極薄膜、導電性高分子、導電性の有機材料、ドーパント(ドナー又はアクセプタ)含有有機層、導電体と導電性有機材料(高分子含む)の混合物、及びこれらの積層体等が挙げられる。
【0032】
また、これらの電極と有機層の間に、電極からのキャリア注入性を向上させるためのバッファ層、又は電極成膜時のダメージを低減するための層を形成してもよく、例えば、アルカリ金属ドープ有機層、銅フタロシアニン層、アクセプタドープ有機層等を形成してもよい。
【0033】
有機EL素子の発光層を構成する有機材料としては、例えば、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、ピラン、キナクリドン、ルブレン、及びこれらの誘導体、あるいは、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、及び、これらの発光性化合物からなる基を分子内の一部分に有する化合物あるいは高分子等が挙げられる。
【0034】
また、上記化合物に代表される蛍光色素由来の化合物のみならず、いわゆるリン光発光材料、一部の例を列記するならば、Ir錯体、Os錯体、Pt錯体、ユーロピウム錯体、等々の発光材料、又はそれらを分子内に有する化合物若しくは高分子も好適に用いることができる。これらの材料は、必要に応じて適宜選択して用いることができる。
【0035】
有機EL光源には、光透過性の任意の基板を用いることができる。具体的には、ガラス、樹脂フィルム、樹脂板、ガラスと樹脂の複合板、樹脂上に無機薄膜層を形成したもの、屈折率の異なる原料が混合していることにより散乱性を有しているガラス若しくは樹脂基板、表面を粗面化若しくは表面に光散乱剤を塗布することによってヘーズ値の上昇したガラス若しくは樹脂基板、又は、低屈折率層を積層した樹脂若しくは樹脂基板等が例として挙げられる。
【0036】
本発明の有機EL光源は、そのいずれかの部位に光取り出し処理がなされていることが必要である。光取り出し処理とは、例えば、基板表面の粗面化、上記の光散乱性を有する基板の使用、拡散フィルム等、光散乱性を有する部材の基板表面上又は透明電極(光透過性の電極)上への光学的接合、有機EL素子を構成する電極それ自体が凹凸構造、回折格子構造を有するもの、あるいは電極が形成される基板が凹凸構造、回折格子構造を有するためにそれ上に形成された電極もそれに準じた構造を有するもの、有機EL素子を構成する薄膜の一部が光散乱能を有するもの、などを例として挙げることができる。
【0037】
なお、ここで挙げた凹凸構造、回折格子構造とは、必ずしもその形状が凹凸又は回折格子状である必要はなく、屈折率がそれに準じるプロファイルを有するものなども好適に用いることが可能である。また、いずれかの部位とは、光取り出し処理法によって異なるが、基板の表面、若しくは基板そのもの、透明電極の表面、若しくは透明電極そのもの、又は有機EL素子の内部などが挙げられる。
【0038】
光取り出し処理により、有機EL光源の発光特性が向上するのはもちろんであるが、同時に各有機EL光源の発光色調、スペクトルのムラ及び角度依存性が低減されたものとなり、結果としてこれら有機EL光源を用いた有機EL光源装置及び照明装置として、発光品位が向上したものを得ることができる。
【0039】
また、有機EL光源は、その封止に光透過性の封止部材を用いることが好ましい。光透過性の封止部材とは、例えば、ガラス缶、ガラス板、SiON、SiN、SiO2、アルミナ等の無機膜、及び前述の無機膜と有機膜の複合体、石英板、バリア性フィルム、バリア性樹脂板、低吸湿・低ガス透過性樹脂(接着剤、シール剤なども含む)等が挙げられる。また、非発光点の発生及び成長を防ぐために通常何らかの乾燥剤を封止部材の内部に含有させることがあるが、これについても、光透過性のものが好ましく用いられる。但し、光非透過性のものでも、その大きさ或は配置場所によっては、特にその使用を制限するものではない。
【0040】
本発明の有機EL光源装置及び照明装置では,上記の有機EL光源を立体的に配置して用いる。配置方法は特に限定はしないが、複数の有機EL光源を積層する方法、縦、斜め、水平等、種々の向きに設定した小型有機EL光源を貼り合わせ、敷き詰め等の任意の方法によって組み合わせる方法などが使用可能である。これらの立体的配置によって、各有機EL光源が発する光を混合して、あるいは複合して用いることが可能となる。
【0041】
本発明の有機EL光源装置及び照明装置では、上述の有機EL光源を積層して用いることが好ましい。積層数は特に限定されることはなく,必要に応じて適宜選択される。図1は,同一の発光色を有する有機EL光源20,20rを3層、積層した場合の例である。これら有機EL光源20,20rのうち、光取り出し側(同図において下側)から最も遠くに位置する有機EL光源20rの、光取り出し側から遠い側に位置する電極は反射電極(光反射性の電極)1rであり、且つ、この有機EL光源20rの光取り出し側から近い側に位置する電極は光透過性の電極1であり、他の有機EL光源20の陽極及び陰極は、全て光透過性の電極1である。なお、同図において、2は発光層、3は基板、10及び10rは有機EL素子、20及び20rは有機EL光源を示している。
【0042】
この構成において、片側の電極が反射電極1rである有機EL光源20rでは、透明電極1側、すなわち光取り出し側に生じた光は直接、電極1を透過し、また反射電極1r側に生じた光は反射電極1rで反射されることにより透明電極1側に出射する。一方、両電極が透明電極1である有機EL光源20で生じた光は、両電極1を透過し、有機EL光源20の両側に出射する。このうち光取り出し側と反対側に出射した光は、他の有機EL光源20,20r中を透過し、光取り出し側から最も遠くに位置する有機EL光源20rの反射電極1rで反射され、最終的には、全ての光が一方向に出射する。
【0043】
図2は、全ての有機EL光源20の電極を透明なものとし,両側に光を発することができる構成である。このとき、上記構成のものと同様、各有機EL光源20で発した光は、他の有機EL光源20中を透過し、両方向にそれぞれ合わさって観測される。
【0044】
図3は、図2の片側の面(光取り出し側から最も遠くに位置する有機EL光源20の、光取り出し側から遠い側に位置する電極1と対向する位置)に、これら有機EL光源20が発した光を反射する光反射部4を配置して、光取り出し側に光を反射させ,片側にのみ光を出射させる構成である。なお、光反射部4の配置は、有機EL光源20の背面でもよいし、有機EL光源装置30の所定の場所、又は、照明装置の所定の位置であっても良く、必要に応じて適宜選定されるものである。
【0045】
有機EL光源20の光反射部4側に発された光は、光反射部4によって反射され、光取り出し側に合算されて観測される。ここで、光反射部4は、鏡面反射面でもよいし、光散乱性の反射面、あるいは回折格子を備えた反射面でもよく、必要に応じて適宜選定することができる。この光反射部4を備えることで、有機EL素子10の発光強度、発光スペクトルの角度依存性を上述の反射電極1rを用いたものよりも低減することが可能である。すなわち、反射電極1rの代わりに透明電極1を設け、光反射部4を形成した場合、有機EL光源20の発光部位から反射面までの距離が長くなり、この距離が光学波長よりも十分に大きなオーダになり易いため、発光部位から直接、有機EL素子10外に出射する光と反射面で反射された光の干渉を抑制することができ、有機EL素子10の発光強度、発光スペクトルの角度依存性を低減することができる。
【0046】
図4は、図19の構造と図3の構造を組み合わせたものであり、陽極と陰極の間に複数の有機発光層2を積層すると共に、隣り合う各発光層2の間に、等電位面を形成する層(等電位面形成層)、又は電荷発生層5を設けたものであり、1つの有機EL光源20の発することができる光量を増大させた構成である。この構成を取るときの透明電極1、反射電極1r、又は光反射部4の設け方は、上記の例に基づき任意のものを採用することができる。この場合にも、光反射部4を設けることによって、透明電極1のみを用いた有機EL素子10を用いる構成の有機EL光源装置30及び照明装置は、上記の反射電極1rを備えた有機EL光源20rを用いたものよりも、有機EL素子10の発光強度、発光スペクトルの角度依存性を低減することができる。
【0047】
なお、有機EL光源20,20rに用いられる有機EL素子10,10rの構造、形状は、特に限定されるものではなく、例えば、有機EL素子10,10rの発光層2は単一の発光層2からなるものでも良いし、複数の発光層2からなるものであっても構わない。また、有機EL光源20,20rは単独の有機EL素子10,10rで形成されるもの、複数の有機EL素子10,10rで形成されるものいずれも使用可能である。あるいは発光層2内に複数の発光材料を有し、それらが混合された発光を示すものも使用可能である。
【0048】
また、本発明で用いる有機EL光源20,20rの発光色は、それぞれが同一のものであっても良いし、また必要に応じて異なるものを用いても構わない。例えば、白色発光を示す有機EL光源20,20rを複数積層する方法、補色関係にある2色を積層する方法、三原色を積層する方法、白色に加えて三原色を積層する方法など、任意の組み合わせを用いることができる。また1つの有機EL光源20,20r中に複数の発光層2を設けた構造の有機EL光源20,20rを用いる場合も然りである。更に、有機EL光源20,20rとして、上記の、異なる発光色を有する複数の有機EL素子10,10rを並置したもの、波長変換層を備えたもの、有機EL素子10,10rを積層したもの、例えば、上記の絶縁層、電荷発生層、等電位面を形成する層などを含む構造の有機EL光源20,20rなども用いることが可能である。
【0049】
発光色が同一の有機EL光源20,20rを用いた場合、有機EL光源20,20rの配置数、又は積層数を増やすことにより、有機EL光源装置30の光量を増大させることが可能である。本発明の構成からなる有機EL光源装置30は、発光強度・色度の視野角依存性が小さいことが特徴であり、照明光源としての品位に優れたものとなる。特に、同色のものを複数枚積層して有機EL光源装置30を構成する場合、各有機EL光源20,20rに若干の色ばらつきが存在していたとしても有機EL光源装置30としての発光色は平均化されるため、結果として有機EL光源20,20rの色ばらつきに関する歩留まりを向上させる効果も現れる。
【0050】
また、発光色が異なる有機EL光源20,20rを含む場合、光量増大の効果に加え、個々の有機EL光源20の発光強度を制御することで発光色を変化させることが可能である。発光色は特に限定するものではないが、いわゆる白色光源と橙色光源との組み合わせでは、橙色光源の発光強度の調整により、例えば、昼白色光から電球色の範囲での発光色調整が可能である。
【0051】
また、各有機EL光源20の発光色を、例えば三原色、あるいは補色の関係にある任意の組み合わせとすることで、白色発光する有機EL光源装置30を得ることができる。発光色は必要に応じて選定することができ、演色性を重視する組み合わせとなる発光色を選定すること、あるいはその他の目的に応じた発光色を選定することなど、任意に設定可能である。特に、本発明に示す、積層して混色を行う有機EL光源装置30においては、積層方向に異なる位置で発光した光が混合されるため、その混合は、特に光源のサイズが大きい場合には、例えば、複数の異なる発光色の光源を並置した場合などに比して格段に良く、結果として得られる光の品位は高いものとなる。
【0052】
本発明の有機EL光源装置30及び照明装置は、各有機EL光源20を独立に組み合わせ可能な構造であってもよい。例えば、n層からなる有機EL光源装置30の場合、1層が破損あるいは特性が低下した際に、該当する有機EL光源20のみを交換することによって他の有機EL光源20をそのまま用い続けることができる。また、発光色を変更したい場合、必要な有機EL光源20のみ変更することで対応が可能である。このとき、有機EL光源20の交換は、全有機EL光源20の1/nに留まるため、非破損光源の有効活用の観点で有利である。
【0053】
図5は,有機EL光源20上の有機EL素子10を複数に分割し、それらを電気的に接続した構成を示している。この構成を採ることにより、一部の有機EL素子10pが短絡等の欠陥を起こした場合にも、その部分のみを切り離すことにより、他の部位の有機EL素子10pに与える影響を極小に抑えることができる。なお、欠陥検出のために、駆動回路に異常電流検出部及び電流遮断部等を設けることも可能である。また、有機EL光源20は複数の基板3にまたがっていても構わない。複数の基板3を並置することにより1つの有機EL光源20とすることは、有機EL光源装置30の歩留まりその他の観点で有効な手段である。
【0054】
更に、図6は,図5に示される構成において、複数に分割されている有機EL素子10pを、接続部6を介して直列に接続したものである。有機EL素子10pを直列に接続する利点としては,例えば,Applied Physics Letters 82, 2580 (2003)に報告されているものの如く、1素子の欠陥による光源全体への影響(全体が非点灯となること)、1素子が非点灯となった場合にも有機EL光源20全体が与える光量の低下が極小化されること等がある。しかし、実際に、非点灯部が生じた場合には,その部分が、例えば、矩形状の発光欠陥として視認されるため、有機EL光源装置30として品位に劣ることが問題であった。図6に示される構成の場合,任意の1層の有機EL光源20に欠陥が生じた場合にも、他の層の有機EL光源20の発光が該欠陥部でも視認されるため、上記の品位低下を非常に小さいものとすることができる。また、図6では1つの有機EL光源20内での直列接続のみ図示したが,複数の有機EL光源20を同様に直列接続することもやはり好ましい。この場合にも、いずれかの有機EL光源20に短絡欠陥が生じたときにも有機EL光源20全体が非発光となることを避けることが可能である。
【0055】
本発明の有機EL光源装置30及び照明装置では、有機EL素子10の直列接続、有機EL光源20の直列接続、及び図19の如く有機EL素子10の積層を任意に組み合わせ、駆動電圧を20V以上にすることが好ましい。有機EL光源装置30には、その使用用途を考えると、例えば家庭用の100Vの交流電力が供給されるが、このとき、有機EL光源装置30の駆動電圧が供給電圧に比して極端に小さい場合、電圧降下回路での電力ロスが生じ、結果として有機EL光源装置30の効率を低下させることになる。上記構造の組み合わせにより、駆動電圧を20V以上とすることで,電力ロスを低減することが可能である。
【0056】
本発明の有機EL光源装置30及び照明装置は、その任意の部位に反射防止処理を行うことが好ましい。有機EL光源装置30は、複数の有機EL光源20を積層する構成であるため、ある有機EL光源20から生じた光の一部が他の有機EL光源20を透過する際にロスする光の割合を極小化することで、有機EL光源装置30の効率を向上させることが可能である。反射防止処理方法は、公知の任意の方法を利用することができ、特に限定はしないが、例えば、多層膜による反射防止膜、低屈折率膜、屈折率傾斜膜による反射防止膜、微細凹凸による反射防止膜などを好適に用いることができる。反射防止処理は有機EL素子10を備える基板3のみならず、封止板、その他この後に記す光学部材など、必要に応じてその場所を選定して行うことができる。
【0057】
本発明の有機EL光源装置30及び照明装置は、その任意の部位に波長変換層を設けることができる。たとえば、図7の如く、光取り出し側に最も近い基板3に波長変換層7を設ける方法、あるいは図8に示すように、別基板13に波長変換層7を設けて光取り出し側に配置する方法等が挙げられる。そのほか、基板3内に色変換層を配設する方法、各有機EL光源20に波長変換層7を設ける方法、あるいは、有機EL光源装置30を備える照明装置側に設ける場合など、任意の方法を用いることができる。波長変換層7に用いる材料としては、特に限定はしないが、例えば、YAG系蛍光体など無機系の蛍光体、ペリレン誘導体、あるいは、例えば有機EL素子10に用いる材料として列記した類の有機の蛍光体、及びその他の蛍光体が挙げられ、それらを塗布、焼成、バインダーに混合しての成膜、セルに封じた溶液状態での配置等の方法によって波長変換層7として用いることができる。波長変換層7が光散乱性の場合、有機EL光源20に直接形成することで、光取り出し効率を向上させることも同時に実現できる。また、波長変換層7の上部に光散乱層を設けることで、有機EL光源装置30の発光色の角度依存性を低減することも可能である。外光による波長変換層7からの発光を抑えるためには、光取り出し側の最表面以外の部位に設けることが考えられるが、外光入射防止等の手段を講じる場合にはこの限りではない。
【0058】
本発明の有機EL光源装置30及び照明装置は、プリズムシート、マイクロレンズ、反射コーン(指向性制御部材)等の屈折・反射機能を有する部位を備え、発光に指向性を付与することも可能である。プリズムシートとしては、例えば、住友3M製のBEFシリーズ、三菱レイヨン製のプリズムシートその他のものが例として挙げられ、これらを有機EL光源20の光取り出し面側に配置することで、特定方向への集光が可能になるものである。マイクロレンズも特にその構造は規定しないが、同様に光に指向性を与えることができるものを用いることができる。また反射コーンとは、例えば四角錐の頂点部を底面に対して平行あるいは非平行に切り落とし、その内部を反射性に加工したものであり、その形状(長さ・角度)を所定に設計することで、ある特定方向への集光が可能となるものである。ここでは集光部材の例としていくつかのものを挙げたが、これ以外の集光部材、例えば凹面鏡、U字型反射面、V字型反射面、プリズム、レンズ等々、その他任意の反射・屈折部材を用いることももちろん可能である。これらの部位を備えることで、たとえば照明装置正面方向のみを集中的に照らす照明装置、照明装置の正面以外を照らす照明装置、一方向だけを線状に照らす光源装置など、特殊な配光分布をもった光源装置を実現することも可能となる。これらの部材にも必要に応じて反射防止処理、場合によっては増反射処理等を施すことができる。
【0059】
本発明の有機EL光源装置30は、その駆動回路が有機EL光源20の基板3上に設けられていても良い。有機EL光源20は比較的薄く形成することができるため、基板3上に薄型化した回路を設けることで、回路一体型薄型光源の実現が可能である。一方、別体化した回路を有機EL光源20横に配置した場合、有機EL光源20の薄さという特長が失われ、また、設置面積の観点でも不利となる場合がある。有機EL光源20の基板3上に回路を配置した場合、その取り扱いも容易であり、また、場合によってはその回路の発する熱で有機EL光源20を加熱することで効率向上、輝度向上させ、消費電力を低減することも可能である。本回路は、有機EL光源20に一体化していてもよいし、また必要に応じて取り外すことができるようにすることで、有機EL光源20の交換に対応できるようにしてもよい。
【0060】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。まず、実施例及び比較例に使用される有機EL光源の製造方法について説明する。
【0061】
(参考例1)
ガラス厚み0.7mmのITO付きガラス基板(ITO膜厚1100Å、シート抵抗12Ω/□)を、図9(a)に示す形にエッチング(同図においてIがITOが形成された部分)、切断した後、純水、アセトン、イソプロピルアルコールで各10分間超音波洗浄、イソプロピルアルコール蒸気で2分間蒸気洗浄、乾燥し、さらに30分間、UVオゾン洗浄した。
【0062】
続いて、上記基板を真空蒸着装置にセットし、図9(b)に示す開口A1を有するマスクM1を用いて、5×10-5Paの減圧下、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(以下α−NPDと略称)(ケミプロ化成株式会社製)を、1Å/sの蒸着速度で800Å厚に蒸着して、陽極の上にホール輸送層を形成した。次に、ホール輸送層の上に、青色発光層としてジナフチルアントラセン誘導体(コダック製「BH−2」)に、ジスチリルアリーレン誘導体を4質量%ドープした層を500Å厚積層することによって、有機発光層を設けた。
【0063】
次に、有機発光層の上に、バソクプロイン(BCP:(株)同仁化学研究所製)とLiをモル比1:1で200Å厚に共蒸着して電子注入層を設けた。最後に陰極としてアルミニウムを図10(a)に示す開口A2を有するマスクM2を用いて4Å/sの成膜速度で800Å積層し、青色有機EL素子を得た。得られた素子は、図10(b)に示すガラス封止板P及び、エポキシ系接着剤を用いて封止し、さらにガラス基板の表面を#120のサンドブラスト処理によって粗面化し、光取り出し処理とした。本参考例で得られた素子からなる光源を以後、反射型青色光源と称する。
【0064】
(参考例2)
陰極として対向スパッタ装置でITOを4Å/sのレートにて1000Å厚に形成したこと以外は参考例1と同様にして有機EL素子を得た。本参考例で得られた素子からなる光源を以後、透過型青色光源と称する。
【0065】
(参考例3)
緑色発光層として、Alq3にクマリン545Tを1質量%ドープした層を200Å、Alq3単独の層を300Å設けたこと以外は参考例1と同様にして、緑色有機EL素子を得た。本参考例で得られた素子からなる光源を以後、反射型緑色光源と称する。
【0066】
(参考例4)
陰極として、対向ターゲット式スパッタにより4Å/sのレートにて1000Å厚のITO膜を形成したこと以外は参考例3と同様にして、緑色有機EL素子を得た。本参考例で得られた素子からなる光源を以後、透過型緑色光源と称する。
【0067】
(参考例5)
赤色発光層として、Alq3にDCJTBを1重量%ドープした層を500Å設けたこと、及び光取り出し処理として、きもと製散乱シート100GM2を基板上に屈折率1.51の光学接着剤で貼付したこと以外は参考例1と同様にして、赤色有機EL素子を得た。本参考例で得られた素子からなる光源を以後、反射型赤色光源と称する。
【0068】
(参考例6)
陰極として、対向ターゲット式スパッタにより4Å/sのレートにて1000Å厚のITO膜を形成したこと以外は参考例5と同様にして、赤色有機EL素子を得た。本参考例で得られた素子からなる光源を以後、透過型赤色光源と称する。
【0069】
(参考例7)
参考例1に記した基板を用い、800Å厚のα-NPDからなるホール輸送層、BH−2にジスチリルアリーレン誘導体を4質量%ドープした層からなる500Å厚の発光層、BCPとLiをモル比1:1で200Å厚に共蒸着した電子注入層を形成した。次いで、酸化バナジウム(V2O5)を成膜速度2Å/sで100Å厚に蒸着し、電荷発生層を形成した。この後、α-NPDを700Å、Alq3にクマリン545Tを1質量%ドープした層を200Å、Alq3単独の層を300Å設け、BCPとLiからなる電子注入層を200Å積層した。最後に陰極として対向ターゲット式スパッタにより4Å/sのレートにて1000Å厚のITO膜を形成し、2層の発光層を備えた青緑色発光有機発光素子を得た。以後、本参考例で得られた素子からなる光源を、透過型青緑色光源と称する。
【0070】
(参考例8)
図11(a)(b)に示す構造を有する青色発光素子を作製した。発光面は9つのセグメントSとして区切って形成され、また、図11(b)の断面図に示すように基板3側に形成されている電極1aと、有機EL素子の反対面に位置する電極1bとが非発光部位で接続されており、各セグメントSが直列接続されている構造を有するものである。所定の電流値を、セグメント1つに通電するときの電圧をVsとしたとき、本参考例で得られた9セグメントが接続された有機EL光源は同一電流通電に9Vsの電圧を要することを確認した。以下本参考例で得られた素子からなる光源を、透過型青色光源(直列)と称する。
【実施例1】
【0071】
透過型青緑色光源とその背面側にアルミニウムを1500Å厚に蒸着して作製した反射面を配置したもの20a、及び、反射型赤色光源20bを図12に示すように配置して有機EL光源装置を作製した。用いた両光源20a,20bの数はそれぞれ18である。光源装置を目視すると、2色の発光が見られるが、光源装置から約1m離れた場所への投影光は白色に近いものであった。またその照度は、比較例1に示した光源装置のそれの1.4倍程度であった。
【実施例2】
【0072】
観測面側から、透過型青色光源、透過型青色光源、反射型青色光源の順に積層して配置した有機EL光源装置を作製した。得られた光源装置からの発光強度は、反射型青色光源のそれの約3倍であった。
【実施例3】
【0073】
観測面側から、透過型青色光源、透過型緑色光源、反射型赤色光源の順に積層して配置した有機EL光源装置を作製した。得られた光源装置からの発光強度は、各光源から発する強度の合算値とほぼ一致し、かつ発光色は白色に近いものであった。
【実施例4】
【0074】
実施例3において、透過型緑色光源の発光強度を通電電流値を減少させることにより半減させた。その結果、光源装置からの発光強度は緑色光源からの発光強度減少分程度低下し、かつ発光色は赤紫色味を増した。
【実施例5】
【0075】
実施例3において、反射型赤色光源の発光強度を1.5倍程度に増大させた。その結果、光源装置の発光色は赤みを増し、いわゆる電球色に近い色度の光が得られた。
【実施例6】
【0076】
観測面側から、透過型緑色光源、透過型赤色光源、透過型青色光源の順に積層して配置した有機EL光源装置を作製した。この光源を発光させたときの観測面側の発光強度をL1とする。さらに透過型青色光源の背面側に1000Å厚のアルミニウムを蒸着して作製したミラーを配置したところ、観測面側の発光強度は、1.9L1に増大した。またこのとき発光色の変化はほとんど見られなかった。さらに、発光色の角度依存性もほとんどなく、ほぼ全方位から白色発光が観測された。
【実施例7】
【0077】
実施例3で作製した有機EL光源装置を常時点灯させたところ、赤色光源の劣化が他色光源に比して早く、発光色は次第に青緑色に近づいた。ここで、赤色光源への通電量を増大させ、赤色光源からの発光強度を増大させたところ、発光色を初期の色に復元することができた。
【実施例8】
【0078】
実施例7において、赤色光源への通電量を増大させるかわりに、反射型赤色光源を新しいものにとりかえたところ、発光色を初期の色に復元することが可能であった。
【実施例9】
【0079】
実施例3において、光源の配置順を観測面側から、透過型赤色光源、透過型青色光源、反射型緑色光源の順に変更した。得られた発光色は実施例2のそれと同等のものであった。また、透過型赤色光源と透過型青色光源の間に、0.3重量部のLumogenF Rot305(BASF社製;蛍光発光波長の極大値〜600nm)、バイロン29SS(東洋紡績製)330重量部、メチルエチルケトン150重量部、トルエン150重量部からなる液状組成物を塗布して形成した、厚み0.15mmの赤色変換層を備えたガラス基板を挿入した。このとき、光源の発光色は赤みを増し、いわゆる電球色に近いものとなった。
【実施例10】
【0080】
観測面側から、透過型青緑色光源、反射型赤色光源を積層することで、白色発光有機EL光源装置を得た。またこのとき、透過型青緑色光源の表裏面及び反射型赤色光源の光取り出し側の面に、帝人株式会社製反射防止フィルムオプトファインを光学接着剤で貼付した。2つの光源の積層であるが、その発光強度は実施例3で得られた光源装置のそれとほぼ同等であった。
【実施例11】
【0081】
有機EL光源の表裏面、及び封止板の両面を反射防止処理した各種光源を用い、観測面側から透過型青色光源(直列)、透過型青色光源(直列)、1000Å厚のアルミニウムを蒸着して作製したミラーの順に積層して有機EL光源装置を作製した。透過型青色光源(直列)を輝度1000cd/m2で発光させたときの電圧は37Vであった。75Vの電圧を本有機EL光源装置に印加したときの発光輝度は約2000cd/m2であった。また、点灯中に図11(a)中に示した位置xの有機EL素子が短絡したが、その他の8箇所の有機EL素子はその後も点灯し、また、本実施例の有機EL光源装置を見たときには若干の輝度ムラが感じられるものの、観測面全体が発光することが確認できた。
【実施例12】
【0082】
(実施例12)
実施例11で作製した有機EL光源装置の光取り出し側の表面に、住友スリーエム製プリズムシートThinBEFをそのプリズムの向きが直交するように2枚重ねて配置した。このとき、正面輝度は、元の光源装置に対して約3倍、また45°方向から光源装置を見たときの発光輝度は正面方向への輝度の約10分の1であり、正面方向への集光が可能となった。
【実施例13】
【0083】
AC100VからDC50Vへの変換回路を透過型青色光源(直列)の基板上に作製した。この透過型青色光源(直列)に、透過型青緑色光源、透過型赤色光源を積層し、また直列接続した。このとき、基板外に駆動回路を持たない形状とすることができ、また光源装置の厚みは有機EL光源3枚分とほぼ同等のものであった。
【0084】
(比較例1)
透過型青緑色光源とその背面側にアルミニウムを1500Å厚に蒸着して作製した反射面を配置したもの20a、及び、反射型赤色光源20bを図13に示すように配置して有機EL光源装置を作製した。用いた両光源20a,20bの数はそれぞれ12である。なお、光源装置の設置面積は、実施例1に示すものと同等としたため、使用した光源数は実施例1よりも少ない。光源装置を目視すると、2色の発光が見られるが、光源装置から約1m離れた場所への投影光は白色に近いものであった。またその照度は、実施例1に示した光源装置のそれの1.4分の1程度であった。
【0085】
(比較例2)
観測面側から、反射型青色光源を3枚積層して有機EL光源装置を作製した。本光源装置の発光強度は、反射型青色光源のそれと同一であり、3枚積層したことによる発光強度の増大は全く見られなかった。
【0086】
(比較例3)
参考例7で作製した青緑色光源を常時点灯させたところ、青色発光強度が次第に低下し、発光色は緑色に近づいた。通電量を適宜変化させたが元の発光色を得ることはできなかった。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態に係る有機EL光源装置の断面図であって、有機EL光源のうち1つが反射電極を備える場合の構成を示す図。
【図2】同有機EL光源装置の断面図であって、全ての有機EL光源が両電極として透明電極を備える場合の構成を示す図。
【図3】同有機EL光源装置の断面図であって、光反射部を備える場合の構成を示す図。
【図4】同有機EL光源装置の断面図であって、等電位面又は電荷発生層を備える場合の構成を示す図。
【図5】同有機EL光源装置の断面図であって、分割された複数の有機EL素子を有する有機EL光源を備える場合の構成を示す図。
【図6】同有機EL光源装置の断面図であって、直列接続された複数の有機EL素子を有する有機EL光源を備える場合の構成を示す図。
【図7】同有機EL光源装置の断面図であって、有機EL光源の基板に波長変換層を備える場合の構成を示す図。
【図8】同有機EL光源装置の断面図であって、有機EL光源以外の別基板に波長変換層を備える場合の構成を示す図。
【図9】(a)は実施例及び比較例において有機EL光源装置の製造に用いられるITO付きガラス基板の正面図、(b)は同有機EL光源装置の製造に用いられるマスクの正面図。
【図10】(a)は同有機EL光源装置の製造に用いられるマスクの正面図、(b)は同有機EL光源装置の製造に用いられるガラス封止板の正面図。
【図11】(a)は同有機EL光源装置に用いられる青色発光素子の正面図、(b)は同青色発光素子の断面図。
【図12】実施例1の有機EL光源装置の正面図及び上面図。
【図13】比較例1の有機EL光源装置の正面図及び上面図。
【図14】従来例に係る有機EL光源装置の断面図。
【図15】従来例に係る有機EL光源装置の断面図。
【図16】従来例に係る有機EL光源装置の断面図。
【図17】従来例に係る有機EL光源装置の断面図。
【図18】従来例に係る有機EL光源装置の断面図。
【図19】従来例に係る有機EL光源装置の断面図。
【符号の説明】
【0088】
1 透明電極
1r 反射電極
2 発光層
3 基板
4 光反射部
5 等電位面を形成する層又は電荷発生層
6 波長変換層
10,10r 有機EL素子
20,20r 有機EL光源
30 有機EL光源装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と陰極の間に一層以上の発光層を有する有機EL素子が光透過性の基板上に形成された有機EL光源を複数備えた有機EL光源装置であって、
前記複数の有機EL光源は、各有機EL光源のいずれかの部位に光取り出し処理が施され、且つ、各有機EL光源からの発光が混合して得られるように立体的に配置され、これら各有機EL光源の発光を独立又は連動して制御することにより、発光の強度及び/又は色調を変化させることが可能なことを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の有機EL光源装置において、
前記複数の有機EL光源は、各有機EL光源が積層された位置関係にあり、
これら有機EL光源のうち、光取り出し側から最も遠くに位置する有機EL光源の、光取り出し側から遠い側に位置する電極は光反射性の電極であり、且つ、この有機EL光源の光取り出し側から近い側に位置する電極は光透過性の電極であり、他の有機EL光源の陽極及び陰極が全て光透過性の電極であることを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項3】
請求項1に記載の有機EL光源装置において、
前記複数の有機EL光源は、各有機EL光源が積層された位置関係にあり、
前記有機EL光源を構成する陽極と陰極の全てが、光透過性の電極であることを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の有機EL光源装置において、
前記複数の有機EL光源のうち、光取り出し側から最も遠くに位置する有機EL光源の、光取り出し側から遠い側に位置する前記電極と対向する位置に、これら有機EL光源が発した光を反射する光反射部を備えたことを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の有機EL光源装置において、
前記複数の有機EL光源は、発光色が異なる有機EL光源を含み、これら各有機EL光源の発光を独立又は連動して制御することにより、発光色を変化させることが可能なことを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の有機EL光源装置において、
前記有機EL素子は、陽極と陰極の間に複数の発光層を備えると共に、これら発光層の間に、少なくとも1層の電荷発生層又は等電位面形成層を備えたことを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の有機EL光源装置において、
複数の前記有機EL素子及び/又は前記有機EL光源が直列に接続されていることを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れかに記載の有機EL光源装置において、
前記有機EL光源のいずれかの部位に、反射防止処理が施されていることを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載の有機EL光源装置において、
前記有機EL光源が発した光が通過するいずれかの部位に、該有機EL光源が発した光の波長を変換する波長変換層を備えたことを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9の何れかに記載の有機EL光源装置において、
前記有機EL光源が発した光を屈折及び/又は反射することにより、前記有機EL光源が発した光に指向性を付与する指向性制御部材を備えたことを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10の何れかに記載の有機EL光源装置において、
前記有機EL光源の駆動回路が、該有機EL光源の基板上に設けられていることを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11の何れかに記載の有機EL光源装置において、
駆動電圧が20V以上であることを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12の何れかに記載の有機EL光源装置を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項1】
陽極と陰極の間に一層以上の発光層を有する有機EL素子が光透過性の基板上に形成された有機EL光源を複数備えた有機EL光源装置であって、
前記複数の有機EL光源は、各有機EL光源のいずれかの部位に光取り出し処理が施され、且つ、各有機EL光源からの発光が混合して得られるように立体的に配置され、これら各有機EL光源の発光を独立又は連動して制御することにより、発光の強度及び/又は色調を変化させることが可能なことを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の有機EL光源装置において、
前記複数の有機EL光源は、各有機EL光源が積層された位置関係にあり、
これら有機EL光源のうち、光取り出し側から最も遠くに位置する有機EL光源の、光取り出し側から遠い側に位置する電極は光反射性の電極であり、且つ、この有機EL光源の光取り出し側から近い側に位置する電極は光透過性の電極であり、他の有機EL光源の陽極及び陰極が全て光透過性の電極であることを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項3】
請求項1に記載の有機EL光源装置において、
前記複数の有機EL光源は、各有機EL光源が積層された位置関係にあり、
前記有機EL光源を構成する陽極と陰極の全てが、光透過性の電極であることを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の有機EL光源装置において、
前記複数の有機EL光源のうち、光取り出し側から最も遠くに位置する有機EL光源の、光取り出し側から遠い側に位置する前記電極と対向する位置に、これら有機EL光源が発した光を反射する光反射部を備えたことを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の有機EL光源装置において、
前記複数の有機EL光源は、発光色が異なる有機EL光源を含み、これら各有機EL光源の発光を独立又は連動して制御することにより、発光色を変化させることが可能なことを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の有機EL光源装置において、
前記有機EL素子は、陽極と陰極の間に複数の発光層を備えると共に、これら発光層の間に、少なくとも1層の電荷発生層又は等電位面形成層を備えたことを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の有機EL光源装置において、
複数の前記有機EL素子及び/又は前記有機EL光源が直列に接続されていることを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れかに記載の有機EL光源装置において、
前記有機EL光源のいずれかの部位に、反射防止処理が施されていることを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載の有機EL光源装置において、
前記有機EL光源が発した光が通過するいずれかの部位に、該有機EL光源が発した光の波長を変換する波長変換層を備えたことを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9の何れかに記載の有機EL光源装置において、
前記有機EL光源が発した光を屈折及び/又は反射することにより、前記有機EL光源が発した光に指向性を付与する指向性制御部材を備えたことを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10の何れかに記載の有機EL光源装置において、
前記有機EL光源の駆動回路が、該有機EL光源の基板上に設けられていることを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11の何れかに記載の有機EL光源装置において、
駆動電圧が20V以上であることを特徴とする有機EL光源装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12の何れかに記載の有機EL光源装置を備えたことを特徴とする照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−155940(P2006−155940A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340960(P2004−340960)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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