説明

調合システム

【課題】 秤量重量が桁違いに異なる複数の原料を対象として行われる秤量・調合作業における人為的なミスを排除すると共に、秤量計器を替えて調合を継続することに対応する調合システムを提供する。
【解決手段】 基幹サーバ1と、調合処方箋に基づき香料を調合する調合作業者が保持する携帯端末2と、秤量天秤3とを関連付けた状態で、基幹サーバ1に統括されながら調合作業が遂行されることを特徴とする調合システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の原料を秤量・混合する調合システムに関し、特には、使用原料の種類が多く、かつ、各原料の秤量重量が、例えばg単位からt単位まで、と、その懸隔が非常に大きいことを特徴とする、香料等を調合する調合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の原料を秤量して混合する調合システムでは、原料を間違えないこと、秤量を間違えないこと、が最低限要求され、それらを人為的に行うときには、数段階のチェックを組み入れて誤調合の発生を回避している。
近時のIT技術の発展・普及に伴い、調合システムにもコンピュータやコンピュータと端末装置間の情報伝達システムが取り入れられて来ている。
例えば、インキなどの液体製品を製造する場合(特許文献1参照)、食品、医薬品、化粧品などの原材料を配合する場合(特許文献2参照)、家庭用品、医薬品、食品、工業製品といった、多種多様な原料を配合する場合(特許文献3参照)、サラダドレッシング、サラダ調理品、調理冷凍食品、缶詰食品、あるいは化粧品、医薬品、塗料ペイント等のような多品種生産品を多種類の原料を用いて多様な調合をする場合であって、原料毎に秤量して小分けした後小分け容器に収納し、小分け容器を投入場所へ運搬し、さらにそれぞれの原料を調合手順に従って攪拌釜等に順番に投入して調合する場合(特許文献4参照)、練歯磨等を製造する場合(特許文献5参照)、等、多岐に亘って試みられている。
【0003】
従来技術に付いて個別に見てみる。
特許文献1においては、あらかじめホストコンピュータに入力した作業指示データから現場作業者にリモートで作業指示を伝える液体製品製造装置を得ることを第1の目的とし、作業一覧データから作業をスタートさせるものを選択し、ローカルコンピュータにつながるローカルプリンタから作業明細書を印字出力できる液体製品製造装置を得ることを第2の目的とし、製品を製造するための空の移動タンクが、製品を製造するための容量を満足しているかどうかを自動判別することができる液体製品製造装置を得ることを第3の目的とし、ローカルのCRTに、作業に入る工程の原材料を表示して、現場作業者にタンクに投入する原材料を指示すると共に、読み込んだ原材料のバーコードを自動判別して、計量作業スタートモードに入れる液体製品製造装置を得ることを第4の目的とし、計量器から送られてくる計量データを自動で取り込み、計量値があらかじめ規定している計量誤差範囲内に入った時に、ローカルのCRTに計量完了を表示して、作業者に告知する液体製品製造装置を得ることを第5の目的とし、計量完了で実績データを自動作成すると共に、原材料の在庫データを自動でメンテナンスする液体製品製造装置を得ることを第6の目的としている。
【0004】
特許文献2においては、データベースを含むサーバやネットワークの敷設が不要となり、コストの削減を図るとともに、サーバ、DBなどの保守・メンテナンスがいらないためにメンテナンスフリーが実現でき、単純なチェックだけで、運用に柔軟性があり、すでに設置されている基幹システムからの指示で運用可能な配合作業支援システム並びに配合作業支援方法及びチェック装置を提供することを目的とし、配合指示データをチェック装置が読み取り可能な形式で格納した指示媒体を用意するとともに、その指示媒体を原料を収納する容器に貼り付け、作業エリアでは、前記配合指示データを読み取り可能なチェック装置を備え、そのチェック装置にて読み取った前記配合指示データと、別途取得した作業実績に基づき、当該チェック装置が、その配合指示データ通りに作業が行われているかの判断を行うように構成するものとしている
【0005】
特許文献3においては、各作業に係る情報を一括して管理したり履歴として残したりするために、作業管理や履歴管理を、従来に比べより自動化し、また自動化設備内に人手作業が混在する小分け作業や投入作業における人為的な誤りを防ぐために、入庫する各原料に対応して入力された入庫情報に基づいて原料毎に在庫管理を行うこと、秤量すべき原料を示す情報を在庫管理の情報に基づいて作成すること、秤量すべき原料を示す情報を表示するとともに、当該情報と、秤量対象に対して印刷された前記在庫管理の情報とを照合し、照合結果を出力するとともに、その際の秤量結果を示す情報を出力すること、配合処理の際に投入される原料の正誤を確認し、投入結果を示す情報を出力することの各工程にコンピュータを介在させるものである。
【0006】
特許文献4においては、製造計画を与えられ、複数の原料毎に必要な量と各々の原料を配合する手順とを含む小分け配合マスタを作成し、この小分け配合マスタを用いて小分けラベルの発行に必要なラベル情報を各々の原料毎に作成し、さらに前記小分け配合マスタに基づいて作業指示を出力する少なくとも1つのコンピュータと、前記ラベル情報を与えられて小分けラベルを各々の原料毎に発行するラベル発行機と、小分け作業側に設けられ、前記コンピュータに接続されて前記作業指示を与えられる第1の入出力接点制御装置と、前記第1の入出力接点制御装置に接続されて動作を制御され、前記小分けラベルを読み取り、読み取った情報を前記第1の入出力接点制御装置を介して前記コンピュータに転送する読取装置と、前記第1の入出力接点制御装置に接続されて動作を制御され、前記コンピュータから前記作業指示を与えられてその内容を表示し、操作者が入力した情報を前記第1の入出力接点制御装置を介して前記コンピュータに転送する第1の表示及び入力部と、前記第1の入出力接点制御装置に接続されて動作を制御され、各々の原料を秤量し、秤量した測定データを前記第1の入出力接点制御装置を介して前記コンピュータに転送する秤量器と、投入作業側に設けられ、前記コンピュータに接続されて前記作業指示を与えられる第2の入出力接点制御装置と、前記第2の入出力接点制御装置に接続されて動作を制御され、前記小分けラベルの情報を読み取り、読み取った情報を前記第2の入出力接点制御装置を介して前記コンピュータに転送する読取装置と、前記第2の入出力接点制御装置に接続されて動作を制御され、前記コンピュータから前記作業指示を与えられてその内容を表示し、操作者が入力した情報を前記第2の入出力接点制御装置を介して前記コンピュータに転送する第2の表示及び入力部と、前記第2の入出力接点制御装置に接続されて動作を制御され、各々の原料を投入されて攪拌を行う攪拌釜と、前記第2の入出力接点制御装置に接続されて動作を制御され、前記攪拌釜への各々の原料の投入を行う原料投入装置と、を備え、前記コンピュータは、前記第2の読取装置が読み取った情報と前記小分け配合マスタの情報とを比較照合し、投入すべき原料が全て手順通りに前記攪拌釜に投入されるように前記作業指示を出力するものである。
【0007】
特許文献5においては、生産管理システムを統括して情報管理を行うサーバと、生産工程の管理及び監視を行う工程管理監視端末と、各生産工程に対して作業の指示を行う工程指示装置と、前記製品の製造を行う製造設備を制御するコントローラとを備え、前記サーバ、前記工程管理監視端末及び前記工程指示装置は、第1のネットワークに接続され、前記コントローラは、第2のネットワークにそれぞれ接続されているものである。
これらの従来技術においては、秤量計器を替えて調合を継続することは言及されていない。
【0008】
【特許文献1】特開2004−227118号公報
【特許文献2】特開2004−54843号公報
【特許文献3】特開2003−84821号公報
【特許文献4】特開2001−120193号公報
【特許文献5】特開2000−210846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みて、秤量重量が桁違いに異なる複数の原料を対象として行われる秤量・調合作業における人為的なミスを排除すると共に、秤量計器を替えて調合を継続することに対応する調合システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の(香料)調合システムは、
基幹サーバ1と、
携帯端末2と、
秤量天秤3とから構成され、
前記基幹サーバ1は、
調合処方マスターデータを記憶し、
調合処方マスターデータに基づき製造調合データを構成し、
前記製造調合データに基づき調合すべき調合処方箋を識別コードを付して構成し、
送られてくる携帯端末2の識別コード、秤量天秤3の識別コードを前記調合処方箋と関連づけ、
前記調合処方箋に基づき調合に携わる者が管理する携帯端末と、使用する秤量天秤とが関連付けられたことに基づいて、調合操作を開始することを許容する情報を送信し、
送られてくる、調合すべき原料の識別コードを前記製造調合経過データ中の原料の識別コードと対比して調合すべき原料としての適否を判別して前記携帯端末に照合結果を送付し、
送られてくる、原料毎の調合結果を前記調合処方箋に逐次追加記録し、
調合の全てが完了した旨の情報が送信された場合に、調合処方箋を書き換え不能データの形で保管するものであり、
前記携帯端末は、
固有の識別コードを有し、かつ、その識別コードは、人間が読むことのできる表記および/または機械が読める表記で表示されており、
前記基幹サーバから送信されてくる調合処方箋その他のデータ(情報)を人が読める表記で表示する機能およびラベルの形で印字できる機能を有しており、
前記基幹サーバへのデータ送信機能を有し、
前記基幹サーバへのデータ送信時には、送信されるデータに当該携帯端末の識別コードが付加され、
前記基幹サーバへデータを送信するための、入力装置および/または読み取り装置を備えているものであり、
前記秤量天秤は、
固有の識別コードを有し、かつ、その識別コードは、人間が読むことのできる表記および/または機械が読める表記で表示されており、
前記秤量データを前記基幹サーバへ送信する機能を有し、
前記基幹サーバへのデータ送信時には、送信されるデータに前記秤量天秤の識別コードが付加されるものとなっているものであり、
前記調合処方箋と前記携帯端末と前記秤量天秤との組み合わせが確立された状態で、前記基幹サーバの統括の下に、前記調合処方箋にしたがって調合操作が遂行されることを特徴とする。
【0011】
前記基幹サーバ1と、前記携帯端末2・前記秤量天秤3との間のデータ(情報)の送受信が無線LANを介してなされること、前記秤量天秤3が、秤量可能量のレベルを102オーダー単位で異にする複数種類存在し、秤量精度が2桁以上である電子天秤であること、前記各識別コードが、一次元バーコードまたは二次元バーコード化されて表示されていること、前記基幹サーバ1は、同時に複数の調合操作を統括することができるものであること、が各々好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって初めて、秤量計器を替えて調合しなければならない調合作業において、秤量計器を替えた後の調合作業においても、それ以前の調合作業におけると同様に、且つ、それ以前の調合作業における誤操作防止機能を継承して、調合作業における誤操作防止機能を有効に作動させることができる調合システムを構築することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、秤量可能重量レベルを異にする複数の秤量天秤を順次用いて調合作業を遂行する場合であって、調合処方箋に基づく秤量(調合)作業の進行状況を、携帯端末を介することによって、サーバが逐次統括・確認・記録することを基本とする。
香料の調合は特殊な調合技術であり、1つの香料を調合するためには、多数の香料化合物(例えば数百種類に亘ることもある)を調合する必要がある。例えば、一つの「香り」を構成するためには多数に香料化合物が関与しているが、それぞれの香料化合物の存在量は多量に含まれる成分から微量成分まで広い範囲にわたる。さらに、各々の香料化合物の閾値はそれぞれ大きく異なっている。なお、閾値とは、香料化合物を希釈していった場合に、香気を感じることのできる最小濃度をいう。
【0014】
したがって、ある程度多量に含まれているにもかかわらず、全体の香気への寄与が僅かである成分が存在する一方で、少量〜極微量しか含まれていないが全体の香気に大きな影響をおよぼしている成分が存在することもある。そのため、それぞれの香料化合物を調合する場合、極微量〜数十%に亘る範囲での調合が必要になってしまうことも珍しくない。
調合香料を構成する各原料は、通常、有効数字2桁程度で秤量・調合されるが、上記のような理由により、各原料の秤量・調合されるべき実際の重量はそれぞれの有効数字を保ちながら、数桁の亘ることが多い。
【0015】
秤量計器(以下、天秤という)は、秤量精度(秤量感度)と秤量可能重量のレベルとが、それぞれ、定められている。したがって、香料の調合のように、それぞれの香料化合物の秤量・調合されるべき重量の有効桁数はほぼ同じであるにもかかわらず、香料化合物間での秤量・調合されるべき重量に数桁に亘る懸隔がある場合には、その秤量(調合)作業は、秤量精度(秤量感度)と秤量可能重量レベルを異にする複数種類の天秤が用いられることになる。
また、原料の保管・管理状況によっては、同じレベルの天秤での秤量(調合)が可能である場合であっても、天秤を替えなければならない場合も起こり得る。
【0016】
レベルの異なる天秤に移動する場合、或いは同レベルの天秤であっても天秤を移動する場合、進行中の調合物を移動・移し替えが必要になる。したがって、各秤量・調合管理だけでなく、移送(移し替え)管理も必要となる。
調合操作は、一の部屋・一の建屋内で行われる必要性は、必ずしも、ない。
以下に、図面を参照しながら、香料の調合を例にして、本発明を詳細に説明する。
本発明では、携帯端末2を介して、基幹サーバ1と天秤3とを接続および確認が行われる。
本発明の(香料)調合システムで用いられる基幹サーバ1は、香料を調合するための各種の調合処方マスターデータを保有しており、調合総量を加味した調合されるべき製造調合データを構成することができ、必要に応じて調合されるべき順序を付しておくことができる。
【0017】
調合操作を開始するとき、調合作業をする者(グループ)は、操作する携帯端末2から、調合操作を開始すべき製造調合データを取得するために、基幹サーバ1にアクセスし、調合処方箋の特定・送信を要請する信号を基幹サーバ1に送信する。アクセスされた基幹サーバ1は、最優先の調合すべき製造調合データを、アクセスしてきた携帯端末2ないし調合作業をする者(グループ)を識別できるコードを含む固有の調合処方箋を構成させ、それを製造調合経過データの形態で暫定(更新・書き換え可能)データとして保管すると共に、アクセスしてきた携帯端末2にそれを送信する。送信に替えて、紙に印字された「処方箋」の形で受け取ることでも差し支えない。紙「処方箋」による場合には、そこに印字されている調合処方箋の識別コードを基幹サーバ1に送信することによって、要請と受信との両過程を経たことと同等になる。
送信は、有線的に行うこともできるが、無線LANを介して行うこともできる。図には、象徴的に無線LANのアクセスポイント(AP)5を示す。
なお、6は、(外付け)記憶媒体である。
【0018】
最優先の調合すべき製造調合データが調合操作途中の製造調合データである場合には、送信を要請してきた携帯端末2ないし調合作業をする者(グループ)に係るデータを更新して、アクセスしてきた携帯端末2にそれを送信する。紙「処方箋」を利用する場合で、調合途中経過を記録している場合には、調合を再開することを送信するだけで済ませることもできる。
同一の調合処方から構成される製造調合データであっても、調合が開始される度に異なる識別コード(ロットコード)を付して、相互に識別できるようにする。
調合処方箋は、調合すべき香料名、調合する原料の種類とその調合量が含まれることを基本とし、以降の調合操作の経緯が記録され得るデータとして、削除不能の態様で基幹サーバ1内に保管される。
【0019】
調合(秤量)されるべき調合処方箋を受領した携帯端末2は、その内容をそのモニターに表示し、或いはプリントアウトして、受領した調合処方箋の内容を、調合作業者が確認することができるようにする。
調合処方箋を受領した携帯端末2は、秤量(調合)する秤量天秤(電子天秤であることができる)3を選択・特定して、基幹サーバ1にそれらの識別コードを送信する。
携帯端末2が有する入力キーでそれぞれ入力してそれらの識別コードを送信することでも差し支えないが、秤量天秤3に貼付されているラベルないし記銘板等に表示されているバーコード等の機械読み取り可能な表記をスキャンすることによって送信させることが好ましい。
【0020】
使用する秤量天秤3の識別コードを送信された基幹サーバ1は、暫定データ(更新可能データ)として(関連付けを)更新する。
基幹サーバ1は、携帯端末2(調合に携わる者ないしグループ)と、調合すべき調合処方箋と、使用する秤量天秤3とが関連付けられたことに基づいて、調合操作を開始することを許容する情報を送信する。
調合処方箋を参照して、原料が収納されている原料容器を、その識別コードを(識別コードデータを入力するか、スキャンすることによって)携帯端末2で特定ずる(基幹サーバ1に送信する)。
基幹サーバ1は、送信されてきた原料容器(の識別コード)が調合処方箋に適応することを確認(照合)して、適否の指示を携帯端末2に送信し、暫定データ(更新可能データ)として、調合処方箋に格納する。
否の場合、携帯端末2にその旨の指示を送信すると同時に、携帯端末2に備わることが好ましい警報装置を鳴らす、等、音声による伝達を併せて行っても良い。
【0021】
原料容器の特定は、調合処方箋に秤量順序が規定されている場合にはそれに従い、秤量順序が特定されていない場合には、使用する秤量天秤3に適用可能な原料を、秤量天秤3と原料容器との関係(原料容器の所在場所が移動不可の場合、原料容器の所在場所が調合処方箋に関して偏在している場合等)等の事情を勘案して、適宜選択して行われ得る。
基幹サーバ1からの適の指示を受けて、その原料の秤量(調合)を行う。秤量(調合)が完了したら、その旨を基幹サーバ1に送信する。使用している秤量天秤3に個別原料の秤量「完了」サインを発信する発信ボタンが備えられている場合には、それを操作してその旨を基幹サーバ1に送信することができる。
基幹サーバ1は、受信した個別原料の秤量が完了した旨の情報を調合処方箋に保存し、暫定データとして記録し直す。使用している秤量天秤3が電子天秤であって、調合した原料量が発信可能なものであれば、その実際の調合した原料量も、併せて、記録することができる。
【0022】
一の原料の調合が完了し、使用中の秤量天秤3で調合することができる調合処方箋に示される残りの原料があれば、原料容器の確認からその原料の調合完了、基幹サーバ1への完了情報の送信迄の操作を繰り返す。
用いている秤量天秤3の秤量可能量が尽きて、より大きな秤量が可能な秤量天秤3を換える必要に至ったとき、あるいは、保管位置が特定されている原料を調合するために秤量天秤3を換える必要に至ったとき、などには、秤量天秤3および調合容器4での調合の完了のサインを基幹サーバ1へ送信する。この時、調合容器4に仕掛かり中である旨、また、そこで用いられた調合処方箋がどれであるのか、等を示す、人間に読める文字を含む所要の情報が表示されたラベルを貼付しておくと便利である。
この完了のサインの送信によって、携帯端末2は、次の調合作業のための新たな調合処方箋を基幹サーバ1から受け取ることができるようになる。
【0023】
基幹サーバ1への調合の完了のサイン(個別原料の調合の完了のサインを含む)の送信は、それぞれに送信機能が備わっていれば、秤量天秤3からサインを直接送信しても良いが、携帯端末2を介して行う場合には、携帯端末2で再度秤量天秤3に貼付されている表記をスキャンすることによってそれを特定した上で、携帯端末2を介して送信されることが簡便である。
基幹サーバ1では、調合の完了のサインを受信して、調合処方箋の所要事項を更新する。
送信された調合の完了のサインによって、調合処方箋によって調合すべきとされている原料の全ての調合が完了した場合には、調合された香料組成物(一次組成物)が、取引単位への分割測り分け、混合物内での化学反応進行ないし養生(熟成)等々の次工程への移行が可能である旨の情報を付与し、調合完了処方データとして、不変データ化して、保存・管理される。そして、後々に生起するかも知れない履歴遡及調査に備えられる。
【0024】
また、原料の全ての調合が完了していない場合には、さらに追加調合が必要な製造調合データとして保管され、何れかの携帯端末2からの調合用の調合処方箋の要請に備える。
携帯端末2が調合操作を開始するために調合処方箋を基幹サーバ1に要請したときに、送られてきた調合処方箋に調合継続中である旨の情報を有する調合処方箋である旨の情報が含まれている場合には、調合途中である混合組成物が収納されている調合容器4を確認し、その調合容器4に調合操作を追加する。秤量天秤3の秤量可能量の関係で容量の大きなレベルの調合容器4に移し替える操作から始めることが必要なことも含まれ得る。
【0025】
同一の秤量天秤3、同一の調合容器4での調合操作が操業時間内で完了せず、日を改めて継続される場合も、完了のサインに類似する調合操作継続のサインを基幹サーバ1に送信しておくことができる。
一つの調合処方箋による調合操作は同一の携帯端末2ないし調合作業をする者(グループ)によって行われることが望ましいような場合には、継続して提供される調合処方箋にその旨の情報を付加しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の調合システムを構成する装置・器具を示す概念図である。
【符号の説明】
【0027】
1:基幹サーバ
2:携帯端末
3:秤量天秤(電子天秤であることができる)
4:調合容器
5:無線LANのアクセスポイント(AP)
6:(外付け)記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基幹サーバと、
携帯端末と、
秤量天秤とから構成され、
前記基幹サーバは、
調合処方マスターデータを記憶し、
調合処方マスターデータに基づき製造調合データを構成し、
前記製造調合データに基づき調合すべき調合処方箋を識別コードを付して構成し、
送られてくる携帯端末の識別コード、秤量天秤の識別コードを前記調合処方箋と関連づけ、
前記調合処方箋に基づき調合に携わる者が管理する携帯端末と、使用する秤量天秤とが関連付けられたことに基づいて、調合操作を開始することを許容する情報を送信し、
送られてくる、調合すべき原料の識別コードを前記製造調合経過データ中の原料の識別コードと対比して調合すべき原料としての適否を判別して前記携帯端末に照合結果を送付し、
送られてくる、原料毎の調合結果を前記調合処方箋に逐次追加記録し、
調合の全てが完了した旨の情報が送信された場合に、調合処方箋を書き換え不能データの形で保管するものであり、
前記携帯端末は、
固有の識別コードを有し、かつ、その識別コードは、人間が読むことのできる表記および/または機械が読める表記で表示されており、
前記基幹サーバから送信されてくる調合処方箋その他のデータ(情報)を人が読める表記で表示する機能およびラベルの形で印字できる機能を有しており、
前記基幹サーバへのデータ送信機能を有し、
前記基幹サーバへのデータ送信時には、送信されるデータに当該携帯端末の識別コードが付加され、
前記基幹サーバへデータを送信するための、入力装置および/または読み取り装置を備えているものであり、
前記秤量天秤は、
固有の識別コードを有し、かつ、その識別コードは、人間が読むことのできる表記および/または機械が読める表記で表示されており、
前記秤量データを前記基幹サーバへ送信する機能を有し、
前記基幹サーバへのデータ送信時には、送信されるデータに前記秤量天秤の識別コードが付加されるものとなっているものであり、
前記調合処方箋と前記携帯端末と前記秤量天秤との組み合わせが確立された状態で、前記基幹サーバの統括の下に、前記調合処方箋にしたがって調合操作が遂行されることを特徴とする調合システム。
【請求項2】
前記基幹サーバと、前記携帯端末・前記秤量天秤との間のデータ(情報)の送受信が無線LANを介してなされる請求項1に記載の調合システム。
【請求項3】
前記秤量天秤が、秤量可能量のレベルを102オーダー単位で異にする複数種類存在し、秤量精度が2桁以上である電子天秤である請求項1または請求項2に記載の調合システム。
【請求項4】
前記各識別コードが、一次元バーコードまたは二次元バーコード化されて表示されている請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の調合システム。
【請求項5】
前記基幹サーバは、同時に複数の調合操作を統括することができる請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の調合システム。

【図1】
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