説明

調圧弁

【課題】高圧用と低圧用のばねを備えて低圧状態と高圧状態とに切り換え可能で、かつ、適切な強さのばねを使用可能とし、圧の微調整も容易な調圧弁を提供する。
【解決手段】この調圧弁は、皿ばね28と、皿ばね28の内側に配置された圧縮コイルばね29とを備えている。弁27と皿ばね28との間に荷重を伝達させる筒状の第1カラー35が設けられている。第1カラー35の内側で弁27と圧縮コイルばね29と間に荷重を伝達させる第2カラー36が設けられている。第1カラー35には、この第1カラー35を弁側に移動可能として皿ばね28の荷重を弁27に伝達可能とする伝達状態と、当該第1カラー35の弁27側への移動を規制して皿ばね28の荷重を弁27に伝達不可とする非伝達状態とのいずれかとするハンドル52が接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプの吐出圧の調節等に用いられる調圧弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮ばねで弁を弁座に付勢した状態で、圧縮ばねの圧縮度合いを例えばねじ部材のねじ込み量で調整することにより、調圧可能な調圧弁が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような調圧弁の用途の1つとしては、薬剤散布用のポンプの吐出圧を調圧することが挙げられる。
【0003】
このような調圧弁には、低圧散布と高圧散布とを切り替え可能なものがある。
図10に、低圧散布と高圧散布とに切り替え可能な調圧弁の例を示す。
この調圧弁は、ボディ1を備え、ボディ1にはポンプの吐出口に連通する流入口11と、余液口12が設けられている。流入口11には、弁座3とこの弁座3に接離可能な弁2とが設けられている。弁2の上側には、ばね受4等の後述のばねの荷重を伝達する伝達部材が上下動自在に配置され、当該ばね受4の上に、有蓋円筒状のばね筒5に収納された皿ばね6と圧縮コイルばね7が配置されている。
【0004】
皿ばね6は、複数個が交互に表裏を反対にして上下に積層されている。これらの皿ばね6の内側に圧縮コイルばね7が配置されている。圧縮コイルばね7は、低圧散布用に用いられ、低荷重のばねとなっており、皿ばね6は、高圧散布用に用いられ、高荷重のばねとなっている。圧縮コイルばね7の圧縮されていない状態での長さ(自由高さ)は、皿ばね6の長さ(自由高さ)より長くなっている。
【0005】
ばね筒5の上端部中央には、握り8が螺合されており、握り8をねじ込むことにより、ばね押部材9を介して圧縮コイルばね7および皿ばね6を圧縮できるようになっている。
ばね受4とばね押部材9との間に配置された圧縮コイルばね7および皿ばね6において、圧縮コイルばね7の方が自由高さが長いので、握り8をねじ込んだ際に、締め付けが緩い状態では、圧縮コイルばね7だけが圧縮され、皿ばね6は圧縮されず、圧縮コイルばね7の付勢力だけが弁2に作用することになり、これにより調圧弁は、低荷重の状態となるので、ポンプの吐出圧が低圧状態となって、低圧散布を行う状態となる。
【0006】
握り8をねじ込んでさらに締め付けていくと、圧縮コイルばね7だけではなく皿ばね6も圧縮されることになり、弁2には圧縮コイルばね7と皿ばね6の付勢力が作用することになり、これにより調圧弁は、高荷重の状態となるので、ポンプの吐出圧が高圧状態となって、高圧散布を行う状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−4156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、このような低圧散布と高圧散布とが可能な調圧弁においては、高圧で使用する場合に、高圧用の皿ばね6だけではなく、低圧用の圧縮コイルばね7も圧縮される。すなわち、圧縮コイルばね7と皿ばね6とを圧縮する際に、低圧散布用の圧縮コイルばね7が先に圧縮され、皿ばね6が圧縮される前の段階までにおいて、低圧散布のための荷重を弁2に付与することになる。したがって、圧縮コイルばね7は、皿ばね6が圧縮される前の段階までの低圧散布のための仕様値を備えていればよいことになる。
【0009】
しかし、さらに握りを回転させてねじ込むと、皿ばね6が圧縮され、高圧散布のための荷重を弁2に付与することになるが、この際に、圧縮コイルばね7がさらに上述の仕様値の対応範囲以上に圧縮されることになるので、許容応力値の関係で、実際の圧縮コイルばね7の仕様値は、上述の低圧散布に必要とされる仕様値より高圧用の仕様値とする必要がある。
このため圧縮コイルばね7を大きくする必要が生じる。この際に圧縮コイルばね7が皿ばね6の中央の穴内に収容された状態なので、圧縮コイルばね7が大きくなった場合に、皿ばね6も大きくする必要が生じ、これによりばね筒5も大きくなってしまう。
【0010】
また、皿ばね6も大きくなることで、高圧散布に必要な仕様値よりさらに高圧用の設定の仕様値となってしまう虞がある。
このように圧縮コイルばね7や皿ばね6が必要以上に大きくなると、ばね定数も大きくなってしまい、低圧散布および高圧散布とも調圧性能がよくない調圧弁となってしまう。すなわち、圧縮コイルばね7および皿ばね6が必要以上にばね定数が大きくなることにより、握り8のねじ込み量を少し増やしただけで荷重が大きく変わり、細かな調圧がし難い調圧弁となってしまう。
また、上述のように圧縮コイルばねは、皿ばね6が圧縮される際にもさらに圧縮されることで、圧縮量が大きくなり強度上不利となる。
【0011】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、高圧用圧縮ばねと、低圧用圧縮ばねとを用いて、高圧での使用と低圧での使用を可能とする際に、低圧用圧縮ばねが必要以上に大きく圧縮されるのを防止し、各圧での使用に適した仕様値の圧縮ばねを使用可能とすることにより、圧力の微調整を容易とする調圧弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の調圧弁は、圧縮量調整手段(40)により圧縮量を調整可能な圧縮ばね(28,29)の荷重を弁(27)に作用させつつ当該弁(27)と弁座(26)との間に液体を通過させて圧力を生じさせる調圧弁において、
前記圧縮ばね(28,29)として、第1のばね(28)と、当該第1のばね(28)より低い圧力を生じさせる第2のばね(29)とを備え、
前記弁(27)と前記第1のばね(28)との間に前記弁(27)に前記第1のばね(28)の荷重を伝達させる第1の伝達部材(35)が設けられ、前記弁(27)と前記第2のばね(29)との間に前記弁(27)に前記第2のばね(29)の荷重を伝達させる第2の伝達部材(36)が設けられ、
前記第1の伝達部材(35)には、当該第1の伝達部材(35)を前記弁(27)側に移動可能として前記第1のばね(28)の荷重を前記弁(27)に伝達可能とする伝達状態と、当該第1の伝達部材(35)の弁(27)側への移動を規制して前記第1のばね(28)の荷重を前記弁(27)に伝達不可とする非伝達状態とのいずれかとする切り替え手段(50)が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の調圧弁は、請求項1に記載の発明において、前記第1のばね(28)および前記第2のばね(29)と、前記第1の伝達部材(35)および第2の伝達部材(36)とを軸方向に並べた状態で収容する筒状のばね筒(25)を備え、
前記第1のばね(28)と、前記第2のばね(29)とが内外に重なるように同軸上に配置され、
第1の伝達部材(35)と第2の伝達部材(36)とが内外に重なるように同軸上に配置され、
前記切り換え手段は、前記ばね筒(25)と前記第1の伝達部材と前記第2の伝達部材とを貫通するとともに、前記伝達状態の際に前記弁(27)側への移動が許容され、前記非伝達状態の際に前記弁側の移動が規制されるピン(51)を備え、
前記ばね筒(25)および第2の伝達部材(36)には、前記ピン(51)が貫通するとともに前記ピン(51)の前記弁(27)側への移動を許容する長穴(25c、36a)が形成され、
第1の伝達部材(35)には、当該第1の伝達部材が前記ピンと一体に移動するように前記ピンが貫通した状態で嵌合する貫通孔(35a)が形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の調圧弁は、請求項2に記載の発明において、前記切り替え手段(50)は、前記伝達状態と前記非伝達状態とを切り替えるハンドル(52)を備え、
前記ハンドル(52)には、前記ばね筒(25)を貫通した前記ピン(51)の端部に係合して当該ピンを回転中心とし前記伝達状態となる角度と前記非伝達状態となる角度との間を回転自在な切り換え部(54)と、当該切り換え部(54)を回転操作する操作レバー(53)とを備え、
前記ばね筒(25)の外周側には、前記ピン(51)より弁(27)側に前記切り換え部(54)と対向する係合部(25b)が設けられ、
前記切り換え部(54)の外周面には、前記ピン(51)から所定距離となる位置に設けられるとともに、前記非伝達状態となる角度で前記係合部(25b)に当接することにより、前記ピン(51)の前記弁(27)側への移動を規制する非伝達用外周面部(55)と、前記ピン(51)から前記所定距離より短い距離となる位置に設けられ、前記伝達状態となる角度で、前記係合部(25b)に対向する伝達用外周面部(56A)とが備えられていることを特徴とする。
【0015】
なお、上記における括弧内の符号は、図面において対応する要素を便宜的に表記したものであり、したがって本発明は図面上の記載に限定されるものではない。これは、「特許請求の範囲」の記載についても同様である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、低圧用の第2のばねの荷重を用いた低圧状態での調圧と、高圧用の第1のばねの荷重を用いた高圧状態での調圧とを行うことができる。
すなわち、第2のばねの荷重を用いた低圧状態での調圧においては、切り替え手段により、第1の伝達部材の弁側への移動を規制することにより非伝達状態として、第1のばねの荷重が弁に伝達されない状態で、圧縮量調整手段により第1のばねおよび第2のばねの圧縮量を調整する。第1のばねと第2のばねとは圧縮量調整手段により押し付けられて圧縮される。
この際に、第1のばねの荷重は、切り替え手段により、弁に伝達されず、第2のばねの荷重だけが第2の伝達部材を介して、弁に作用する。したがって、調圧弁は、第2のばねの圧縮量に基づいた荷重による圧力調整を行う。
【0017】
一方、第1のばねの荷重を用いた高圧状態での調圧においては、切り替え手段により、第1の伝達部材の弁側への移動が可能な伝達状態とすることにより、第1のばねの荷重が弁に伝達される。第2のばねの荷重は、高圧状態での調圧においても弁に伝達される。
この高圧状態では、圧縮量調整手段により、第1のばねと第2のばねが圧縮されるが、第2のばねが、低圧状態での圧縮調整手段での圧縮範囲を越えて圧縮された状態となることがない。したがって、本発明の高圧状態では、従来のように第2のばねが低圧状態での使用の圧縮範囲を越えて大きく圧縮されることがないので、強度上不利となることがない。
【0018】
また、従来のように第2のばねが低圧状態での使用から高圧状態での使用となる際に、低圧状態での最も圧縮された状態よりさらに圧縮されるようなことがないので、低圧状態での圧縮範囲内での圧縮に好適な仕様値の第2のばねを使用することができる。したがって、例えば、第1のばねの内部に第2のばねが配置される場合に、第1のばねは内部に配置される第2のばねが必要以上に大きくなることがないので、高圧状態に適した仕様値の第1のばねを用いることができる。
【0019】
また、必要以上に大きなばね定数の第1のばねや第2のばねが使用されることがなく、適切な仕様値(たとえば、適切なばね定数)の第1のばねや第2のばねを使用できるので、圧縮量調整手段での少しの第1のばねおよび第2のばねの圧縮量の調整で、ばね荷重が大きく変化することがなく、調圧の微調整を容易に行うことができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、伝達状態の際に前記弁側への移動が許容され、非伝達状態の際に前記弁側への移動が規制されるピンが、ばね筒と第2の伝達部材の長穴を通るとともに第1の伝達部材の貫通孔を通っており、当該ピンが第1の伝達部材の貫通孔に嵌合して第1の伝達部材だけがピンと一体に移動可能となっている。
しがって、第2の伝達部材は、常時第2のばねの付勢力を弁側に伝達可能な状態で、第1の伝達部材だけが、伝達状態では弁側に移動可能となり、非伝達状態では弁側への移動が規制されることにより、伝達状態の場合にだけ、第1の伝達部材が第1のばねの付勢力を弁に伝達可能となる。
以上のことから、ピンを用いた簡単な構成により、同軸上に配置される第1の伝達部材と第2の伝達部材とのうちの第1の伝達部材だけを伝達状態と非伝達状態とに切り換えることができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、ハンドルの操作レバーを操作して、ピンの端部に係合して当該ピンを回転中心として回転可能な切り換え部を、前記非伝達状態とする角度とすると、切り換え部の外周面の非伝達用外周面部がばね筒の前記ピンが貫通する部位よりも弁側に設けられた係合部に当接する。
この状態では、ピンより弁側の係合部とピンを回転中心とする切り替え部とが当接していることにより、ピンの弁側への移動が規制されることになる。なお、ピンから切り換え部の非伝達用外周面部までの所定距離は、例えば、弁が弁座に当接し、第1の伝達部材が最も弁側に配置された状態での第1の伝達部材に嵌合するピンから係合部までの距離より長い距離である。
一方、切り換え部を伝達状態とする角度では、係合部に切り換え部の非伝達用外周面部が対向した状態となり、この際には、例えば、係合部と非伝達外周面とが接触しない状態となる。すなわち、ピンから非伝達外周面までの距離は、前記所定距離より短く、さらに、前記弁が弁座に当接し、第1の伝達部材が最も弁側に配置された状態での第1の伝達部材に嵌合するピンから係合部までの距離以下となる。
以上のことからバンドルの操作レバーで切り換え部を回転させるだけの簡単な操作で、例えば、低圧散布を行う状態と、高圧散布を行う状態を切り換えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る調圧弁を示す図であって、低圧散布時の調圧弁を示す側面図である。
【図2】同、高圧散布時の調圧弁を示す側面図である。
【図3】同、図1のA−A線に沿う断面図である。
【図4】同、図2のB−B線に沿う断面図である。
【図5】同、ばね筒を示す断面図である。
【図6】同、第2カラーを示す断面図である。
【図7】同、第1カラーを示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実の施形態に係る調圧弁を示す図であって、低圧散布時の調圧弁を示す断面図である。
【図9】同、高圧散布時の調圧弁を示す断面図である。
【図10】従来の調圧弁を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1〜図7は本発明の第1の実施の形態に係る調圧弁を示す図であって、図1は低圧散布時の調圧弁を示す側面図であり、図2は高圧散布時の調圧弁を示す側面図であり、図3は低圧散布時の調圧弁を示す断面図であり、図4は高圧散布時の調圧弁を示す断面図であり、図5はばね筒を示す断面図であり、図6は第2カラーを示す断面図であり、図7は第1カラーを示す断面図である。
【0024】
図1〜図4に示すように、この調圧弁は、流入口21と余液口22と接続口23とが形成されたボディ24と、このボディ24の接続口23に接合されるばね筒25と、ボディ24の流入口21に設けられる弁座26と、この弁座26に対向して配置される弁27と、ばね筒25内に配置される高圧用の第1のばねとしての皿ばね28と、同じくばね筒25内に配置される低圧用の第2のばねとしての圧縮コイルばね29と、これら皿ばね28および圧縮コイルばね29の荷重を弁27に伝達する伝達手段30と、皿ばね28および圧縮コイルばね29の圧縮量を調整する圧縮量調整手段40と、皿ばね28の荷重を弁27に伝達する状態と伝達しない状態を切り替える切り替え手段50とを備えている。
【0025】
ボディ24の流入口21は下側に開口しており、この流入口21が図示しないポンプの吐出口に接続されるようになっている。この例において、ポンプは、薬剤散布用のもので、例えば、薬液を吐出するものとなっている。また、この例の調圧弁では、後述のように低圧散布(例えば、0.5MPaレベル)用の低圧状態と高圧散布(例えば、3MPaレベル)用の高圧状態とに切り替えられることにより、薬剤散布を低圧散布と高圧散布とに切り換えることができるようになっている。
余液口22は、略水平方向を向くように開口しており、また接続口23は、流入口21と同軸に配置されるとともに、流入口21と逆方向の上側に開口している。
【0026】
ボディ24の接続口23側の内部には、ガイド筒31が設けられている。ガイド筒31は、概略円筒状に形成されており、ボディ24の内部において、接続口23から流入口21に向かって延びている。このガイド筒31は、上端部に形成された大径部が、ボディ24の接続口23に形成された段差部に係止されるとともに、ばね筒25の下端面によって接続口23から抜け出るのを阻止されることにより、ボディ24に固定されている。ガイド筒31の大径部の外周面と、接続口23の内周面との間にはOリング61が設けられており、これによりガイド筒31の外周を通って液体が接続口23から外部に漏れないようになっている。
【0027】
ガイド筒31内には、円柱状の弁保持部材32が上下移動自在に嵌合されている。ガイド筒31の内周面と弁保持部材32の外周面との間には、Oリング62,62が設けられ、これらの間の液密が保たれている。弁保持部材32の先端(下端)には、弁27がボルト65により固定されている。
また、ガイド筒31内には、弁保持部材32の上側に緩衝部材としての防振ゴム33が配置され、さらに防振ゴム33の上側にばね受34が配置されている。これらの防振ゴム33およびばね受け34もガイド筒31内を上下移動自在に設けられている。
【0028】
ばね筒25は、ガイド筒31と同軸に配置されているとともに、連通した状態となっている。ばね受け34は、ばね筒25およびガイド筒31に渡って配置されている。ばね筒25の内径とガイド筒31の上端部の内径とは同じ径に形成されており、ばね受34は、ばね筒25とガイド筒31とに跨って上下移動するようになっている。
【0029】
ばね筒25は、有蓋円筒状に形成されており、蓋部分の中央部には、ねじ孔(雌ねじ)25aが形成され、ねじ孔(雌ねじ)25aに握り41の雄ねじ部42が螺合されている。ねじ孔25aは、ばね筒25の本体部分(円筒部分)と同軸に配置されている。
ばね筒25内には、ばね筒25の内径より少し小さい外径の皿ばね28が配置されている。皿ばね28は、複数個が交互に表裏を反対にして上下に積層されている。皿ばね28の内側には、圧縮コイルばね29が配置されている。圧縮コイルばね29の外径は、皿ばね28の内径より少し小さく設定されている。
【0030】
皿ばね28および圧縮コイルばね29の軸方向は、ばね筒25の軸方向と同じとなっているとともに、ばね筒25と皿ばね28と圧縮コイルばね29とは、同軸に配置されている。複数の皿ばね28全体の自由高さの方が圧縮コイルばね29の自由高さより少し長くなるように設定されている。
ばね筒25の開放側端部には、拡径した板状のフランジ部25bが形成されているとともに、ボディ24の接続口23側の端部には、板状のフランジ部24bが形成されており、これらのフランジ部25b、24bを貫通してボルト71がポンプの吐出部等にねじ込まれることにより、ばね筒25とボディ24とが一体的に固定されるとともに、調圧弁がポンプの吐出部等に取り付けられる。
【0031】
図5に示すように、ばね筒25の下端部の左右には、後述のピン51が貫通する長穴25cが形成されている。長穴25cは、その長さ方向がばね筒25の軸方向と平行となっている。2つの長穴25cの中心を繋ぐ線分は、ばね筒25の軸心を通る(軸心と交差する)ようになっている。
ばね筒25の内部には、上述のように皿ばね28と圧縮コイルばね29とが配置されるが、皿ばね28および圧縮コイルばね29の上側には、ばね筒25の内径より少し小さな外径の円板状のばね押部材43が配置されている。
【0032】
ばね押部材43は、ばね筒25内でこのばね筒25の軸方向に移動自在に配置されており、その下面に皿ばね28および圧縮コイルばね29の上端が当接している。ばね押部材43の下面中央部には下方に突出する突出部が形成されており、この突出部の外周に圧縮コイルばね29の上端部の内周が嵌合している。握り41を回転してねじ込むことにより、ばね押部材43を上側から押して、ばね筒25の蓋側から皿ばね28および圧縮コイルばね29側にばね押部材43を移動させ、これにより皿ばね28および圧縮コイルばね29を圧縮するようになっている。したがって、ばね筒25の蓋部分に螺合する雄ねじ部42を有する握り41とばね押部材43とにより、圧縮量調整手段40が構成されている。
圧縮量調整手段40は、上述のように略同じ自由高さを有する皿ばね28と圧縮コイルばね29とを、略同じ圧縮量だけ同時に圧縮する構成となっている。
【0033】
ばね筒25内のボディ24側には、筒状の第1カラー35と筒状の第2カラー36とがばね筒25と同軸に配置されている。第1カラー35は、その外径がばね筒25の内径より少し小さいものとされ、ばね筒25の軸方向に沿って移動自在となっている。第1カラー35の上端には、皿ばね28の下端が当接するようになっている。第1カラー35の内側には、第1カラー35の内径より少し小さい外径を有する第2カラー36が配置されている。第2カラー36は、第1カラー35の内側で第1カラー35の軸方向に沿って移動自在となっている。第2カラー36の上端には、中間ばね受36Aを介して圧縮コイルばね29の下端が当接するようになっている。すなわち、中間ばね受36Aの上面および下面にそれぞれ、圧縮コイルばね29の下端および第2カラー36の上端が当接している。中間ばね受36Aの上下面の中央部にはそれぞれ、上方および下方に突出する突出部が形成されており、上側の突出部の外周に圧縮コイルばね29の下端部の内周が嵌合しているとともに、下側の突出部の外周に第2カラー36の上端部の内周が嵌合している。中間ばね受36Aの外周は、皿ばね28の内径より少し小さく設定されており、皿ばね28の下端部の内側に配置されている。
【0034】
ばね筒25内の第1カラー35および第2カラー36の下側には、前述のばね受34が配置されている。ばね受34は、肉厚の円板状に形成されており、その上面の中央部には、円柱状の突出部が形成されている。ばね受34の上面の外周部分には、第1カラー35の下端が当接するようになっている。ばね受34の上面の第1カラー35が当接する部分より内側に第2カラー36の下端が当接するようになっている。ばね受34の突出部は、第2カラー36の下端部の内側に挿入されている。
【0035】
このような構成において、握り41をねじ込んで、ばね押部材43を下降させると、皿ばね28および圧縮コイルばね29が圧縮される。皿ばね28および圧縮コイルばね29においては、ばね筒25の軸方向に沿った付勢力(ばね荷重)が生じることになる。これにより、皿ばね28の下端に当接する第1カラー35に下向きの付勢力が作用し、圧縮コイルばね29の下端に当接する第2カラー36に下向きの付勢力が作用する。これらの第1カラー35および第2カラー36の付勢力によりばね受34が下側に押され、ばね受34から防振ゴム33、弁保持部材32を介して弁27が弁座26に押し付けられた状態となる。
【0036】
以上のことから、第1カラー35、第2カラー36、ばね受34、防振ゴム33および弁保持部材32は、皿ばね28および圧縮コイルばね29の荷重を弁27に伝達する伝達手段30を構成している。
また、第1カラー35は、第1のばねである皿ばね28の荷重をばね受34等の部材を介して弁27に伝達する第1の伝達部材を構成し、第2カラー36は、第2のばねである圧縮コイルばね29の荷重をばね受34等の部材を介して弁27に伝達する第2の伝達部材を構成している。
【0037】
図7に示すように、第1カラー35には、ばね筒25の長穴25cに対向する位置に、この長穴25cと連通するように円形の貫通孔35aが形成されている。すなわち、筒状の第1カラー35には、左右側部にそれぞれ貫通孔35aが形成されている。
また、第1カラー35の貫通孔35aの形成位置は、第1カラー35が後述のようにばね受34に当接した状態(高圧散布のための高圧状態)では、ばね筒25の長穴25cの下部側に対向する位置に位置するようになっている。
【0038】
図6に示すように、第2カラー36には、ばね筒25の長穴25cと、第1カラー35の貫通孔35aとの両方に対向する長穴36aが形成されている。すなわち、筒状の第2カラー36には、左右側部のそれぞれに長穴36aが形成されている。第2カラー36の長穴36aは、ばね筒25の長穴25cと重なった状態となっており、第2カラー36の長穴36aとばね筒25の長穴25cとは、上端部および下端部の位置が略同じとなっている。
【0039】
これらのばね筒25の左右側部の長穴25c、第1カラー35の左右側部の円形の貫通孔35aおよび第2カラー36の左右側部の長穴36aには、円柱状のピン51が挿入されており、このピン51の左右端部は、ばね筒25の外周面から外側に突出している。ピン51の外径は、第1カラー35の貫通孔35aより僅かに小さい外径とされ、かつ、ばね筒25の長穴25cの幅(短径)および第2カラー36の長穴36aの幅(短径)より僅かに小さくされている。このピン51をばね筒25および第2カラー36の長穴36aの長さ(長径)の範囲内で上下動させた場合に、ばね筒25および第2カラー36に対して第1カラー35がピン51とともに上下動する構成となっている。
【0040】
ピン51のばね筒25から外側に突出する左右の端部には、ハンドル52の基端部が回動自在に取り付けられている。ハンドル52は、棒状の操作レバー53と、操作レバー53の基端部から二股に分岐されピン51の両端部にそれぞれ取り付けられる一対のカム部(切り換え部)54とを備えている。
【0041】
カム部54は、その下側となる外周面がカムとして機能するもので、操作レバー53を持ち上げた時に、その下側の外周面(平面)がばね筒25のフランジ部(係合部)25bの上面に押し付けられるようになっている。
左右のカム部54は、同形状に形成され、左右のカム部54の下側の外周面には、図1に示すように、後述する低圧状態(非伝達状態)において、フランジ部25bの上面に当接する低圧当接部(非伝達用外周面部)55と、図2に示すように、後述する高圧状態と低圧状態との切替時において、フランジ部25bの上面に当接する高低切替当接部56とが周方向に隣接して配置されている。低圧当接部55は、略平面状とされ、高低切替当接部56は、所定の曲率半径の円弧面上に形成されている。高低切替当接部56を境として、低圧当接部55の反対側となるカム部54の外周面部分が伝達用外周面部56Aとなる。
【0042】
フランジ部25bに低圧当接部55が当接するカム部54の角度が非伝達状態でカム部54の角度となり、フランジ部25bに伝達用外周面部56Aが対向した状態となるカム部54の角度が伝達状態でのカム部54の角度となる。
また、カム部54において、ピン51の位置から低圧当接部55までの距離は、ピン51から伝達用外周面部56Aまでの距離より長くなっている。ピン51の位置から低圧当接部55までの距離(所定距離)は、弁27が弁座26に当接し、第1のカラー35が最も弁27側に配置された状態での第1のカラー35に嵌合するピン51からフランジ部25bまでの距離より長い。また、ピン51から伝達用外周面部56Aまでの距離は、上述のピン51からフランジ部25bまでの距離以下となっている。
【0043】
また、左右のカム部54の中央部には、ピン孔57が形成されており、これらのピン孔57にそれぞれ、ピン51の両端部が挿入され、抜け止めされている。ハンドル52は、操作レバー53を操作することにより、ピン51が挿入されたピン孔57を中心として回動する。
そして、ハンドル52のカム部54の低圧当接部がフランジ部25b上面に当接する状態が低圧状態となり、この低圧当接部がフランジ部25b上面に当接した状態からこのフランジ部25b上面に高低切替当接部56がフランジ部25b上面に当接する状態を越えるように回転させた状態が高圧状態となる。
したがって、ハンドル52を上述の低圧状態と高圧状態との間で回動するように操作することにより、低圧状態と高圧状態とを切り替えることができる。
【0044】
また、ハンドル52のカム部54が上述の低圧状態と高圧状態との間を回動した際に、ピン孔57およびピン孔57に挿入されたピン51は、ばね筒25および第2カラー36の長穴25c、36aに沿って上下動するが、ピン51の位置は、高圧状態より低圧状態の方がより高い位置(ボディ24や弁座26から離れる位置)となっている。
【0045】
図1および図3に示すように、低圧状態においては、平面状の低圧当接部55が平面状のフランジ部25b上面に当接しているとともに、これら平面部分に直交する方向に皿ばね28の付勢力が作用するので、ハンドル52が操作されなければ、安定した状態となっており、ハンドル52が操作されないかぎり低圧状態を維持するようになっている。
【0046】
また、低圧状態では、高圧状態よりピン51の位置が上側となるので、ピン51と一体に上下動する第1カラー35が高圧状態より上側の位置で保持された状態となる。
これにより、低圧状態では、例えば、弁27、弁保持部材32、防振ゴム33、ばね受34が順に当接するとともに、弁座26に弁27が当接した状態では、ばね受34から第1カラー35が少し離れた状態となるとともに、下側への移動が規制された状態となる。
【0047】
このように、第1カラー35の下側への移動が規制されることにより、皿ばね28の付勢力が第1カラー35に作用しても、第1カラー35から付勢力が、ばね受34側に伝達されることがなく、皿ばね28の荷重は弁27に作用しない。この状態では、圧縮コイルばね29の付勢力だけが第2カラー36からばね受34、防振ゴム33、弁保持部材32を介して弁27に伝達され、弁27を弁座26に押し付ける状態となる。
【0048】
一方、高圧状態では、低圧当接部がフランジ部25b上面に当接した状態から当該フランジ部25b上面に高低切替当接部56がフランジ部25b上面に当接する状態を越えるように回動させた状態となることにより、第1カラー35の下側への移動の規制が解除された状態となり、皿ばね28の付勢力により第1カラー35が弁座26側(下側)に移動可能となる。
これにより、高圧状態では、皿ばね28および圧縮コイルばね29の付勢力が第1カラー35および第2カラー36からばね受34、防振ゴム33、弁保持部材32を介して弁27に伝達され、弁27が弁座26に押し付けられる状態となる。
【0049】
以上のような調圧弁においては、ハンドル52の操作レバー53を上下に回動操作することにより、低圧散布用の低圧状態と、高圧散布用の高圧状態とを簡単に切り替えられるようになっており、この例では、操作レバー53を起こして立てるように操作し、ハンドル52のカム部54の低圧当接部55をフランジ部25bの上面に当接した状態とすると、第1カラー35が上述のように少し上側に移動するとともに、下側へ(弁側へ)の移動が規制された状態となる。
【0050】
これにより、上述のように皿ばね28の荷重は弁27に伝達されない。この状態では、圧縮コイルばね29の荷重のみが第2カラー36、ばね受34等を介して弁27に伝達され、弁27が弁座26側に付勢される。この状態では、圧縮コイルばね29の荷重だけが弁27に伝達されるとともに、圧縮コイルばね29の強さが、皿ばね28の強さより低くなっていることから、小さな荷重が弁27に作用し、低圧散布用の低圧状態となる。
【0051】
一方、低圧状態からハンドル52の操作レバー53を伏せるように操作し、ハンドル52のカム部54の高低切替当接部56がフランジ部25bの上面に当接した状態を越えるようにすると、第1カラー35が下側への移動の規制が解除され、第1カラー35が下側に移動し、ばね受34に当接した状態となる。この際にポンプが作動していなければ、第1カラー35、ばね受34等を介して弁27を弁座26に押し付けた状態となる。
【0052】
この状態では、弁27には、低圧状態で作用していなかった皿ばね28の荷重が伝達されて作用し、圧縮コイルばね29の荷重とそれより強い皿ばね28の荷重が作用することになり、高圧散布が可能な高圧状態となる。
なお、高圧状態および低圧状態のいずれにおいても、握り41のねじ込み量、すなわち、握り41のねじ込み量に基づいて皿ばね28および圧縮コイルばね29の圧縮量が決まり、この圧縮量とばね定数に基づいて、弁27に作用する荷重が決まることになる。
【0053】
以上のことから、第1カラー35は、弁27に皿ばね28の荷重を伝達する伝達状態と、皿ばね28の荷重を弁27に伝達しない非伝達状態とにハンドル52によって切り替え可能となっている。したがって、操作レバー53、カム部54を備えるハンドル52とピン51とが切り替え手段50を構成している。
この例では、従来と同様に高圧状態では、皿ばね28の荷重と圧縮コイルばね29の荷重とが両方作用することになるが、高圧状態における皿ばね28および圧縮コイルばね29の圧縮量の範囲と、低圧状態における皿ばね28および圧縮コイルばね29の圧縮量の範囲とは、ほぼ同じとなっている。したがって、従来のように高圧状態において、圧縮コイルばね29が低圧状態で最も圧縮された状態より、さらに圧縮された状態となることがなく、圧縮コイルばね29は、高圧状態であっても、低圧状態での使用範囲内での圧縮量以上に圧縮されることがない。
【0054】
なお、皿ばね28は、低圧状態において、下端側が少し上に持ち上げられた状態となることから、低圧状態における最大圧縮量が、高圧状態における最大圧縮量より少し大きくなるが、皿ばね28の仕様に影響を与えるほどのものではない。
このように高圧状態でも低圧状態でも、皿ばね28および圧縮コイルばね29の圧縮量の範囲が略同じで、最も大きな圧縮量も同じなので、従来のように、圧縮コイルばね29が高圧状態で、低圧状態での最も大きな圧縮量よりさらに大きな圧縮量まで圧縮されることがない。
【0055】
したがって、圧縮コイルばね29および皿ばね28とも、それらの使用状態に適した仕様値のばねを選択して使用することができる。
したがって、従来、圧縮コイルばね29や皿ばね28が使用時に必要とされる圧縮率よりも高い圧縮率に対応した仕様のものを使用していたのに対して、使用される範囲に適した圧縮コイルばね29や皿ばね28が用いられることにより、調圧において、少しの握り41のねじ込みで、圧力が大きく異なってしまうようなことがなく、微調整を容易に行うことが可能となる。
また、低圧散布と高圧散布を切り換えられる従来の調圧弁に比較して低圧縮率となる仕様値の圧縮コイルばね29および皿ばね28を用いることができるので、ポンプの吐出側に接続されたノズルを閉としてポンプを作動するとともに、調圧弁の無負荷状態として、ポンプから吐出される薬液を全て余液口22から流出させる状態とした際、すなわち全余水時における圧力変化を小さくすることができる。
【0056】
図8および図9は、本発明の第2の実施の形態に係る調圧弁を示す図であって、図8は低圧散布を行う低圧状態の調圧弁を示す断面図、図9は高圧散布を行う高圧状態の調圧弁を示す断面図である。
この第2の実施の形態の調圧弁は、ピン58の形状と、第2カラー38の形状が異なる以外は、第1の実施の形態の調圧弁と同様の構成を有するものとなっている。
以下に、第1の実施の形態と異なる構成となる部分だけを説明し、同様の構成となる部分の説明を省略する。
【0057】
図8および図9に示すように、第2の実施の形態におけるピン58は、左右に分離された状態となっており、第1の実施の形態のピン51のように第2カラー36にピンが貫通された状態となっていない。
したがって、第2の実の施形態の第2カラー38には、ピン58を貫通するための長穴が形成されず、第2カラー38は、外周面および内周面に孔の無い円筒状の部材となっている。
第1カラー35には、第1の実施の形態と同様の貫通孔35aが形成されている。また、ばね筒25にも第1の実施の形態と同様の長穴25cが形成されている。
【0058】
左右に分割された状態のピン58はそれぞれ、先端部が第1カラー35の貫通孔35aに挿入されて当該貫通孔35aに固定された状態となっている。
また、ピン58のばね筒25から外側に突出した部分は、第1の実施の形態と同様にハンドル52の左右のカム部54のピン孔57に挿入されて固定された状態となっている。
【0059】
この調圧弁は、ハンドル52を操作することにより、第2カラー36に影響を与えることなく、図9に示すように、第1カラー36を皿ばね28の荷重を弁27に伝達可能な伝達状態と、図8に示すように、弁27に伝達不可能な非伝達状態とに切り替え可能となり、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0060】
25 ばね筒
25b フランジ部(係合部)
25c 長穴
27 弁
28 皿ばね(圧縮ばね、第1のばね)
29 圧縮コイルばね(圧縮ばね、第2のばね)
35 第1カラー(第1の伝達部材)
35a 貫通孔
36 第2カラー(第2の伝達部材)
36a 長穴
40 圧縮量調整手段
50 切り替え手段
51 ピン
52 ハンドル
53 操作レバー
54 切り換え部
55 低圧用当接部(非伝達用外周面部)
56A 伝達用外周面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮量調整手段(40)により圧縮量を調整可能な圧縮ばね(28,29)の荷重を弁(27)に作用させつつ当該弁(27)と弁座(26)との間に液体を通過させて圧力を生じさせる調圧弁において、
前記圧縮ばね(28,29)として、第1のばね(28)と、当該第1のばね(28)より低い圧力を生じさせる第2のばね(29)とを備え、
前記弁(27)と前記第1のばね(28)との間に前記弁(27)に前記第1のばね(28)の荷重を伝達させる第1の伝達部材(35)が設けられ、前記弁(27)と前記第2のばね(29)との間に前記弁(27)に前記第2のばね(29)の荷重を伝達させる第2の伝達部材(36)が設けられ、
前記第1の伝達部材(35)には、当該第1の伝達部材(35)を前記弁(27)側に移動可能として前記第1のばね(28)の荷重を前記弁(27)に伝達可能とする伝達状態と、当該第1の伝達部材(35)の弁(27)側への移動を規制して前記第1のばね(28)の荷重を前記弁(27)に伝達不可とする非伝達状態とのいずれかとする切り替え手段(50)が設けられていることを特徴とする調圧弁。
【請求項2】
前記第1のばね(28)および前記第2のばね(29)と、前記第1の伝達部材(35)および第2の伝達部材(36)とを軸方向に並べた状態で収容する筒状のばね筒(25)を備え、
前記第1のばね(28)と、前記第2のばね(29)とが内外に重なるように同軸上に配置され、
第1の伝達部材(35)と第2の伝達部材(36)とが内外に重なるように同軸上に配置され、
前記切り換え手段は、前記ばね筒(25)と前記第1の伝達部材と前記第2の伝達部材とを貫通するとともに、前記伝達状態の際に前記弁(27)側への移動が許容され、前記非伝達状態の際に前記弁側の移動が規制されるピン(51)を備え、
前記ばね筒(25)および第2の伝達部材(36)には、前記ピン(51)が貫通するとともに前記ピン(51)の前記弁(27)側への移動を許容する長穴(25c、36a)が形成され、
第1の伝達部材(35)には、当該第1の伝達部材が前記ピンと一体に移動するように前記ピンが貫通した状態で嵌合する貫通孔(35a)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の調圧弁。
【請求項3】
前記切り替え手段(50)は、前記伝達状態と前記非伝達状態とを切り替えるハンドル(52)を備え、
前記ハンドル(52)には、前記ばね筒(25)を貫通した前記ピン(51)の端部に係合して当該ピンを回転中心とし前記伝達状態となる角度と前記非伝達状態となる角度との間を回転自在な切り換え部(54)と、当該切り換え部(54)を回転操作する操作レバー(53)とを備え、
前記ばね筒(25)の外周側には、前記ピン(51)より弁(27)側に前記切り換え部(54)と対向する係合部(25b)が設けられ、
前記切り換え部(54)の外周面には、前記ピン(51)から所定距離となる位置に設けられるとともに、前記非伝達状態となる角度で前記係合部(25b)に当接することにより、前記ピン(51)の前記弁(27)側への移動を規制する非伝達用外周面部(55)と、前記ピン(51)から前記所定距離より短い距離となる位置に設けられ、前記伝達状態となる角度で、前記係合部(25b)に対向する伝達用外周面部(56A)とが備えられていることを特徴とする請求項2に記載の調圧弁

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−255748(P2010−255748A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106494(P2009−106494)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】