説明

調整可能なビーム制限開口部によって可能にされた高感度及び高処理能力の電子ビーム検査柱

一実施形態は、基板の欠陥検査及び/又は点検、或いは基板上の特徴部の限界寸法を測定する電子ビーム装置に関する。この装置は、電子銃及び電子柱を含む。電子銃は電子源及び調整可能なビーム制限開口部を含み、電子源は、電子ビーム用の電子を発生させるように構成されており、調整可能なビーム制限開口部は、多様な開口部サイズから1つの開口部サイズを選択して使用するように構成されている。別の実施形態は、装置に電子ビームを供給することに関する。高感度と高処理能力の両方を得るように大きいビーム電流を維持しながら、本開示の装置及び方法はスポットのぼやけを有利に低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)本願は、2009年11月18日に出願された米国仮特許出願第61/262,494号の利益を主張し、この出願全体を本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、概して電子ビーム(eビーム)検査装置、及びこれを用いた方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体産業及びこれに関連したマイクロエレクトロニクス産業用の工程管理と生産性管理では、自動検査システム及び自動点検システムが重要である。このようなシステムは、光学ビームと電子ビーム(eビーム)に基づくシステムを含む。
【0004】
半導体装置を製造する際、製品開発サイクルを短縮して製造歩留まりを増加させるように、開発工程及び製造工程における初期の欠陥検出がますます重要になってきている。これら欠陥の進行を防ぐように、走査型電子顕微鏡技術に基づく高度なウェハ検査システム及び点検システムが、欠陥の検出、点検、及び分類に用いられ、かつ根本原因に関する情報の製造工程へのフィードバックに用いられている。関連欠陥のサイズは、半導体装置の製造に適用されている設計則に正比例する。走査型電子顕微鏡技術に基づく高度なウェハ検査システム及び点検システムによって、ウェハ検査及び点検の性能要求が減少し続けているため、画像解像度と画像速度(単位時間当たりの欠陥処理量)の両方に関してSEM(走査型電子顕微鏡)の適用は増加している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態は、基板の欠陥検査及び/又は点検、或いは基板上の特徴部の限界寸法を測定する電子ビーム装置に関する。この装置は、電子銃及び電子柱を含む。電子銃は、電子源及び調整可能なビーム制限開口部を含む。電子源は、電子ビーム用の電子を発生させるように構成されている。調整可能なビーム制限開口部は、多様な開口部サイズから1つの開口部サイズを選択して使用するように構成されている。電子柱は、対物レンズ、可動な基板保持器及び検出器を含む。対物レンズは、標的領域上に電子ビームの焦点を合わせる。可動な基板保持器は、基板を保持する。検出器は、信号電子(すなわち、二次電子及び/又は後方散乱電子)を検出するように構成されている。
【0006】
別の実施形態は、装置に電子ビームを供給することに関する。電子ビーム用の電子を電子銃内の電子源によって発生させる。多様な開口部サイズを有する調整可能なビーム制限開口部を電子銃内に設け、調整可能なビーム制限開口部の多様な開口部サイズから1つの開口部サイズを選択する。電子ビームの焦点を基板の標的領域上に合わせ、信号電子を検出する。
【0007】
別の実施形態は、電子画像装置に電子ビームを供給する方法に関する。装置で使用するビーム電流をユーザーが設定する。電子銃内の調整可能なビーム制限開口部のサイズを選択し、かつビーム電流選択開口部のサイズを選択することによって、ユーザーが設定したビーム電流を含む多様な範囲のビーム電流を供給する。
【0008】
高感度と高処理能力の両方を得るように大きいビーム電流を維持しながら、本開示の装置及び方法はスポットのぼやけを有利に低減する。これは、感度(解像度)と処理能力(速度)との間の従来のトレードオフに対処した結果の相乗効果である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】半導体アプリケーションに用いる従来の電子ビームツールの選択部品を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体アプリケーションに用いる電子ビームツールの選択部品を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る半導体アプリケーションに用いる電子ビームツールの更なる部品を示す模式図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る半導体アプリケーションに用いる電子ビームツールの選択部品を示す模式図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る半導体アプリケーションに用いる電子ビームツールの選択部品を示す模式図である。
【図6】本発明の実施形態に係る切替可能なBLA配列を示す模式図である。
【図7】本発明の実施形態に係る、切替可能なBLA配列を直線的に動かすメカニズムの実施例を示す。
【図8】本発明の実施形態に係る調整可能なBLAを示す模式図である。
【図9】本発明の実施形態に係る、BLAのサイズを調整するメカニズムの実施例を示す。
【図10】本発明の実施形態に係る、回転する切替可能なBLAを示す模式図である。
【図11】本発明の実施形態に係る、ビーム電流を調整するマトリクスを示す模式図である。
【図12】本発明の実施形態により得られる改良解像度及び/又は改良処理能力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
電子ビーム(eビーム)画像装置は、半導体製造に関する様々なアプリケーションに利用されている。これらのアプリケーションは、欠陥の自動電子ビーム検査、欠陥の自動点検、及び限界寸法の測定(Critical Dimension Measurements、CD−SEM)を含む。
【0011】
半導体製造でのアプリケーションに用いる従来の電子ビームツールには、感度(すなわち、解像度)と性能との間のトレードオフに実質的に欠点又は制限があることを出願人は見出した。非常に小さな欠陥に対する電子ビームツールの感度は、ツールの画像解像度に関連している。従来の電子ビーム検査(すなわち、欠陥点検、若しくはCD−SEM)ツールの画像解像度を改良するために、非常に小さいビーム電流が要求される。あいにく、ビーム電流が非常に小さいと、処理能力の性能が非常に低くなる。他方、処理能力の性能を高くするために、大きいビーム電流が要求される。しかしながら、大きいビーム電流によって画像解像度が低くなる。
【0012】
本願は、半導体アプリケーションに用いる従来の電子ビームツールの修正実施形態を開示する。この修正実施形態は、高処理能力の性能要件で妥協せずに、究極的に電子ビームツールの解像度を改良できる。本願は、解像度と性能との間のトレードオフに関する従来の知見を克服するものであるが、この結果は予期せぬものであった。
【0013】
図1は、半導体アプリケーションに用いる従来の電子ビームツールの選択部品を示す模式図である。この電子ビームツールは、電子銃(電子ビーム銃)102内のビーム制限開口部(BLA(Beam-Limiting Aperture)、又は、銃のBLA)105と、電子柱(電子ビーム柱)110内のビーム電流選択開口部112(BSA(Beam-current Selection Aperture)、又は、柱のBSA)と、を含む。一般的に、電子銃102及び電子柱110は、これらのチャンバー内を高真空にするように、電子銃チャンバー及び電子柱チャンバーから外へ空気をポンプで送り出す真空システムを含む。
【0014】
従来の走査型電子顕微鏡では、電子エミッタ103は、電子銃のチャンバー内で電子を発生させ、電子銃レンズ104は、電子ビーム形成用に電子銃のチャンバー内で放出された電子の焦点を合わせるように構成されている。BLA105は、固定開口部であり、この固定開口部は、この開口部の孔を通る一部のビームのみを許容することでビームを低減し、開口部の中心は装置の光軸101に沿っている。
【0015】
電子銃のレンズ104によって形成され、BLA105を通過した後の電子ビームは、電子銃102を出て電子柱110に入る(電子柱110の中心は装置の光軸に沿っている)。図1では、銃電流124は、銃のBLA105と柱のBSA112との間の電子ビームの電流のことを言う。
【0016】
柱のBSA112は、ウェハ上まで続くビーム電流126を選択するように複数の選択可能な開口部を設けるよう構成されている。選択されたビーム電流126は、電子柱110の対物レンズ114によってウェハ116上に焦点が合わせられる。
【0017】
半導体アプリケーションに用いる従来の電子ビームツールでは、ビーム制限開口部(BLA)及び電子源の角電流密度(Ja)が一定値に固定されていることを出願人は注記する。一般に、固定BLAサイズ及び固定Jaは、その半導体アプリケーションが、ビーム電流(BC)が小さいアプリケーションなのか、それともビーム電流(BC)が大きいアプリケーションなのかに主に依存する。電子ビーム点検やCD−SEMなどの小さいBCのアプリケーションは、5ナノアンペア(nA)未満のビーム電流を通常使用する。その一方、電子ビーム検査などの大きいBCのアプリケーションは、100nAを超えるビーム電流を通常使用する。
【0018】
小さいBCのアプリケーションでは、小さな固定BLA及びより低い固定Jaが、一般に、要求される超高解像度の実現に使用される。例えば、小さな固定BLAは、5μm(マイクロメートル)から50μm範囲の直径を有することが可能である。より低い固定Jaは、約1ナノメートル(nm)の解像度に達するように0.2ミリアンペア/ステラジアン(mA/sr)から1ミリアンペア/ステラジアン範囲であることが可能である。
【0019】
他方、大きいBCのアプリケーションでは、大きな固定BLA、及び、より高い固定Jaが、一般に、要求される高処理速度の実現に使用される。例えば、大きな固定BLAは、100μmから500μm範囲の直径を有することが可能である。より高い固定Jaは、0.5mA/srから3mA/sr範囲であることが可能である。
【0020】
出願人は、銃電流124の各電子間の相互作用がウェハ116上のスポットのぼやけに実質的に寄与することを見出した。出願人は、高感度と高処理能力の両方を得るように大きいBCを維持しながらこのスポットのぼやけを低減する電子銃及び/又は電子柱の特定の修正実施形態を更に見出した。
【0021】
図2は、本発明の実施形態に係る半導体アプリケーションに用いる電子ビームツールの選択部品を示す模式図である。図2に見られるように、調整可能なBLA205が電子銃202内に配置されている。
【0022】
調整可能なBLA205によって、大きいBCを維持しながらスポットのぼやけを低減する電子ビームツールが可能となる。BLA205のサイズの調整によって、銃のBLA205と柱のBSA112との間の各電子間(e‐e)の相互作用を低減するように、銃電流224を制御可能に調整してもよい。その結果、柱のBSA112は大きいビーム電流126を選択できる一方で、各電子間相互作用は柱(特に、調整可能なBLA205と柱のBSA112との間)にてより一層低減されるため、ウェハ上のスポットのぼやけが実質的に減少する。
【0023】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る半導体アプリケーションに用いる電子ビームツールの更なる部品を示す模式図である。図示のように、電子ビームツールは、電子銃102及び電子柱110を含む。
【0024】
電子銃102では、電子エミッタ103は、電子源であり、銃レンズ104は、電子ビームを形成するように放出された電子の焦点を合わせる。上述したように、調整可能なBLA205は、電子銃202を出て柱の光軸106に沿い電子柱110に入るビームのサイズの制限に利用される。
【0025】
電子柱110では、ビーム電流選択開口部(BSA)112は、標的の半導体ウェハ(又は他の標的の基板)116に照射される所望のビーム電流の選択に使用される。ウェハ118の領域を横切るビームを制御可能にスキャン(例えば、ラスタスキャン)するように偏向器313を構成してもよく、スキャン偏向器313にスキャンコントローラ346を連結して、偏向の制御に使用してもよい。
【0026】
対物レンズ114は、制御可能に偏向されたビームの焦点をウェハ116上に合わせるように構成されている。半導体製造工程の一部として、欠陥の自動検査及び/又は自動点検、又は限界寸法の自動測定のために、ウェハ116を保持するとともに電子柱110内にウェハ116を移送する(移動させる)ように可動な基板保持器318を構成してもよい。
【0027】
二次電子(及び/又は後方信号電子(Backsignal Electrons))を検出するように検出器332を配置してもよく、検出器332に連結されたデータ処理システム348が、分析用の有用な画像を形成可能なように検知データの格納及び処理に使用される。
【0028】
当該装置は、更に、システムコントローラ340を含む。システムコントローラ340は、プロセッサ、実行可能命令用及びデータ用のメモリ、並びに他の種々部品を含んでいてもよい。システムコントローラ340は、スキャンコントローラ346、データ処理システム348、及び当該装置の他の多様な部品(様々なレンズなど用の電圧源又は電流源など)に通信可能に接続されていてもよい。
【0029】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る半導体アプリケーションに用いる電子ビームツールの選択部品を示す模式図である。図4に見られるように、固定BLA404(電子源により近いBLA)と、調整可能なBLA405(電子源からより離れたBLAであって、柱のBSAよりは電子源にはるかに近いBLA)との両方が、電子銃402内に配置されている。
【0030】
固定BLA404は、放出されたビームを制限することで、各BLA間の電流406を低減する。調整可能なBLA405は、この低減された電流を更に低減することで、各電子間の相互作用を低減するように銃電流224を調整する。これによって、電子ビームツールは、大きいBCを維持しながらスポットのぼやけを低減できる。一実施例では、調整可能なBLA405は、複数の異なった選択可能な開口部サイズ(例えば、4つから6つのサイズ)を有していてもよい。別の実施例では、調整可能なBLA405は、開口部サイズが調整可能であってもよい。
【0031】
図5は、本発明の第3の実施形態に係る半導体アプリケーションに用いる電子ビームツールの選択部品を示す模式図である。図5に見られるように、固定BLA404と、組み合わされた調整可能なBLA及びBSA505との両方が、電子銃502内に配置されている。
【0032】
固定BLA404は、放出されたビームを制限することで、各BLA間の電流406を低減する。組み合わされた調整可能なBLA及びBSA505は、この低減された電流を更に低減し、ウェハへのビーム電流506の選択も行う。すなわち、組み合わされた調整可能なBLA及びBSA505は、調整可能なBLAと、BSAとの両方の機能を提供する。一実施例では、組み合わされた調整可能なBLA及びBSA505は、約10個から12個の異なった選択可能な開口部サイズを有していてもよい。別の実施例では、組み合わされた調整可能なBLA及びBSA505は、開口部サイズが調整可能であってもよい。
【0033】
この実施形態の図5に更に示すように、電子柱510は、BSAを必要としない。これは、電子銃502内の組み合わされた調整可能なBLA及びBSA505が、ウェハへの電流506を既に選択しているからである。
【0034】
図6は、本発明の実施形態に係る切替可能なBLA配列602を示す模式図である。この実施形態では、切替可能なBLA配列602は、異なったサイズの別個の開口部604の直線配列を有する。この実施例では、開口部604は、その配列内でサイズに従って配置されている。そのメカニズムを直線的に移動させることによって、実質的に高い電流密度を維持しながら各電子間の相互作用が低減可能なように所望の開口部サイズを選択する。
【0035】
図7に、本発明の実施形態に係る切替可能なBLA配列を直線的に移動させるメカニズムの実施例を示す。図示のように、電子銃チャンバー内の選択可能な開口部604の配列に開口部ロッド702を取り付けてもよく、電子銃チャンバーの真空環境の外にロッドの一部を位置決め可能なように蛇腹704を使用してもよい。その配列において異なった開口部サイズを選択するために、ロッドの直線運動710を利用してもよい。
【0036】
図8は、本発明の実施形態に係る調整可能なBLA802を示す模式図である。この実施形態では、調整可能なBLA802は、開口部804を有する。開口部804のサイズは、真空中での大きな移動距離を伴うBLAの位置変更を行うことなく、より大きい開口部サイズ806からより小さい開口部サイズ808まで調整してもよい。
【0037】
図9に、本発明の実施形態に係るBLAのサイズを調整するメカニズムの実施例を示す。図示するように、調整可能な開口部904を効果的に形成するように、摺動可能な電子不透過性片902を使用してもよい。
【0038】
図10は、本発明の実施形態に係る切替可能なBLAの回転運動1002を示す模式図である。図示するように、複数の選択可能な開口部1006を、電子不透過性ディスクに形成してもよい。例えば、選択可能な開口部1006は、これら開口部の中心がディスクの回転軸1004と同心である円1008上に位置するように配置してもよい。
【0039】
図11は、本発明の実施形態に係るビーム電流を調整するマトリクスを示す模式図である。図11に示すように、ビーム電流の概略調整がBLAサイズの選択によって提供し得る一方、ビーム電流の微調整が電子源の角電流密度(Ja)の調整によって(例えば、銃の引き出し電圧の変更によって)提供し得る。
【0040】
図示の実施例では、小さいBLAと低いJaの選択によって、ビーム電流の最も小さい範囲(範囲1)を選択してもよい。小さいBLAと高いJaの選択によって、ビーム電流の次の範囲(範囲2)を選択してもよい。一般に、範囲2は範囲1よりビーム電流が大きいが、2つの範囲の間には重なりがあってもよい。大きいBLAと低いJaの選択によって、ビーム電流の次の範囲(範囲3)を選択してもよい。一般に、範囲3は範囲2よりビーム電流が大きいが、2つの範囲の間には重なりがあってもよい。最後に、大きいBLAと高いJaの選択によって、ビーム電流の最も大きい範囲(範囲4)を選択してもよい。一般に、範囲4は範囲3よりビーム電流が大きいが、2つの範囲の間には重なりがあってもよい。また、用いるBSAは、各範囲内でビーム電流を調整するように選択してもよい。
【0041】
図11には、概略調整用の2つの設定(小さいBLA、又は、大きいBLA)を示すが、この概略調整は2つ以上の設定で実施してもよい。また、図11には、微調整用の2つの範囲(低いJa及び高いJa)を示すが、2つ以上の範囲で微調整を実施してもよい。
【0042】
本発明の実施形態によれば、ユーザーは、電子ビーム装置で利用されるようにビーム電流を設定できる。そして、この装置の制御電子回路は、ユーザーが設定したビーム電流を含む範囲を提供するように、BLAサイズと角電流密度(Ja)を制御可能に選択又は調整できる。また、ユーザーが設定したビーム電流に達するように、BSAサイズを変更又は選択できる。
【0043】
図12は、本発明の実施形態により得られる改良解像度及び/又は改良処理能力を示すグラフである。グラフの点線は、固定BLA及び固定Jaを備えた従来の装置に関する、ビーム電流に対するスポットのサイズを示す。これとの比較で、グラフの実線は、本発明の実施形態に係る調整可能なBLA及び可変のJaを備えた装置に関する、ビーム電流に対するスポットのサイズを示す。
【0044】
図12に示すように、実線は概して点線より低い。これは、同一のビーム電流にて、調整可能なBLA及び可変のJaを備えた装置の達成可能なスポットのサイズは、固定BLA及び固定Jaを備えた従来の装置と比較して、はるかに小さいことを示す。あるいは、これは、同一のスポットのサイズにて、調整可能なBLA及び可変のJaを備えた装置の達成可能なビーム電流は、固定BLA及び固定Jaを備えた従来の装置と比較して、はるかに高いことを示す。
【0045】
上述した図は、必ずしも実寸スケールではなく、例示であることを意図し、かつ特定の実施例に限定されるものではない。上に記載した発明は、例えば、自動検査システム又は自動点検システムで使用してもよい。更には、この発明は、例えば、製造環境内のウェハ、光マスク、X線マスク、電子ビーム近接マスク、ステンシルマスク、及び類似の基板の検査又は点検に適用してもよい。
【0046】
上述の記載では、多数の特定の詳細が、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために述べられている。しかしながら、本発明の例示的実施形態の上の記載は、本発明に係るすべての実施形態が網羅されることを意図せず、かつ、開示した明確な形態に本発明が限定されることを意図しない。当業者は、本発明が1つ以上の特定の詳細を有さずに実施できるか、或いは他の方法、部品などで実施できると認識するであろう。たとえば、本明細書に開示された様々なレンズ又は偏向器が、磁気的及び/又は電気的なものであってもよい。二次電子及び/又は後方信号電子の検出は、対物レンズの外で、及び/又は対物レンズを通して行ってもよい。試料を磁界内及び/又は電界内に置いてもよいし、置かなくてもよい。
【0047】
他の実施例では、周知の構造又は工程を、本発明の態様を明りょうにするために詳細には示さず、記載してもいない。本発明の特定の実施形態及び実施例が本明細書では例示的な目的のために記載されているが、当業者が認識し得るように、多様な均等な修正が本発明の範囲内で可能である。
【0048】
上の詳細な記載を鑑みて、本発明にこれらの修正を施すことができる。以下の請求項で用いる用語によって、本明細書及び請求項で開示する特定の実施形態に本発明が限定されると解釈すべきではない。むしろ、本発明の範囲は以下の請求項に基づき確定すべきであり、これら請求項は、請求項解釈の確立した原則に従って解釈すべきある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の欠陥検査および/または点検、あるいは前記基板上の特徴部の限界寸法を測定する電子ビーム装置であって、
電子ビーム用の電子を発生させる電子源と、複数の開口部サイズから1つの開口部サイズを選択して使用する調整可能なビーム制限開口部と、を含む電子銃と、
標的領域上に前記電子ビームの焦点を合わせる対物レンズと、前記基板を保持する可動な基板保持器と、信号電子を検出する検出器と、を含む電子柱と
を備える電子ビーム装置。
【請求項2】
前記調整可能なビーム制限開口部は、前記電子銃が高真空環境にある間に調整可能である、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項3】
前記調整可能なビーム制限開口部は、切替可能な開口部の配列を有する、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項4】
前記切替可能な開口部の配列は、直線に配列された複数の開口部を含む、請求項3に記載の電子ビーム装置。
【請求項5】
前記切替可能な開口部の配列は、円形に配列された複数の開口部を含む、請求項3に記載の電子ビーム装置。
【請求項6】
前記調整可能なビーム制限開口部は、調整可能な開口部を有する、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項7】
更に、前記電子柱にビーム電流選択開口部を備え、前記ビーム電流選択開口部は、前記基板のスポット上に焦点が合うビーム電流を選択する複数の開口部で構成されている、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項8】
更に、前記電子銃に固定ビーム制限開口部を備え、前記固定ビーム制限開口部は、前記電子源と前記調整可能なビーム制限開口部との間に配置されている、請求項1に記載の電子ビーム装置。
【請求項9】
前記電子銃における前記調整可能なビーム制限開口部は、前記調整可能なビーム制限開口部がビーム電流選択開口部としても機能するように、前記基板上に焦点が合うビーム電流を選択もする、請求項8に記載の電子ビーム装置。
【請求項10】
前記電子銃における前記調整可能なビーム制限開口部は、少なくとも10個の異なった開口部サイズを含む、請求項9に記載の電子ビーム装置。
【請求項11】
更に、前記電子柱にビーム電流選択開口部を備え、前記ビーム電流選択開口部は、前記基板のスポット上に焦点が合うビーム電流を選択する複数の開口部で構成されている、請求項8に記載の電子ビーム装置。
【請求項12】
基板の欠陥検査および/または点検、あるいは前記基板上の特徴部の限界寸法を測定する半導体製造機器に電子ビームを供給する方法であって、
電子銃内の電子源によって電子ビーム用の電子を発生させる工程と、
前記電子銃内に複数の開口部サイズを有する調整可能なビーム制限開口部を設ける工程と、
前記調整可能なビーム制限開口部の前記複数の開口部サイズから1つの開口部サイズを選択する工程と、
前記基板の標的領域上に前記電子ビームの焦点を合わせる工程と、
信号電子を検出する工程と
を備える方法。
【請求項13】
前記開口部サイズを選択する工程を、前記ビーム制限開口部が前記電子銃の高真空環境内にある間に行う、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記開口部サイズを選択する工程を、選択された前記開口部の中心が前記電子銃の光軸と一致するように直線運動によって行う、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記開口部サイズを選択する工程を、選択された前記開口部の中心が前記電子銃の光軸と一致するように回転運動によって行う、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記開口部サイズを選択する工程を、前記電子銃における前記ビーム制限開口部のサイズを縮小または拡大して行う、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
更に、前記電子銃に固定ビーム制限開口部を設ける工程を備え、前記固定ビーム制限開口部は、前記電子源と前記調整可能なビーム制限開口部との間に配置される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
電子画像装置に電子ビームを供給する自動化された方法であって、
電子銃内の電子源によって電子ビーム用の電子を発生させる工程と、
前記電子画像装置で使用するビーム電流をユーザーが設定する工程と、
前記電子銃内の調整可能なビーム制限開口部のサイズを選択すると共にビームの角電流密度を選択するために、マイクロコントローラを用いて前記ユーザーが設定した前記ビーム電流を含む範囲のビーム電流を供給する工程と
を備える自動化された方法。
【請求項19】
更に、前記ユーザーが設定した前記ビーム電流を前記範囲内で実現するために、ビーム電流選択開口部のサイズの変更にマイクロコントローラを使用する工程を備える請求項18に記載の自動化された方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2013−511809(P2013−511809A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539943(P2012−539943)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/056048
【国際公開番号】WO2011/062810
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(502442049)ケーエルエー−テンカー・コーポレーション (77)
【氏名又は名称原語表記】KLA−TENCOR CORPORATION
【Fターム(参考)】