説明

調理用具の柄部

【課題】 例えば従来から存するフライパンの柄部は、その器体に対し固定状態に取付けられているものであるから、調理者はその使用時に柄部を常時把持しながら、器体を上下方向,左右方向又は円方向などに作動し、器体上の食材の掻きまぜ作業をしなければならず、手首部分に過労を与えることになり、腱鞘炎になる人が多かったことに鑑み、本発明は、調理用具類の柄部の構造を根本的に改良し、使用者の立場に立った使い易く疲労を与えない柄部を調理用具について提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、器体1の一部に連結する柄体の全部又は一部を発条材によって構成する調理用具の柄部20であり、発条材は板状発条材又は螺旋状発条材から成るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライパン等各種の鍋,ざる,てぼ,すくい網その他の調理用具の柄部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば従来から存するフライパンの柄部は、その器体に対し固定状態に取付けられているものであるから、調理者はその使用時に柄部を常時把持しながら、器体を上下方向,左右方向又は円方向などに作動し、器体上の食材の掻きまぜ作業をしなければならず、手首部分に過労を与えることになり、腱鞘炎になる人が多かった。
【0003】
そこで、このようなフライパン等の調理用具について柄部が改良されたものが存するかどうかを調査したところ、次のようなものしか存しなかったことが判明し、本発明者が意図した技術は皆無であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−229879号公報
【特許文献2】実公平2−20967号公報
【特許文献3】意匠登録第988005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、従来存しなかった調理用具類の柄部の構造を根本的に改良し、使用者の立場に立った使い易く疲労を与えない柄部を調理用具について提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、器体の一部に連結する柄体の全部又は一部を発条材によって構成する調理用具の柄部である。
【0007】
また、発条材は板状発条材又は螺旋状発条材から成る調理用具の柄部である。
【発明の効果】
【0008】
調理場において調理作業を行う者は、フライパン等の鍋,ざる,てぼ,すくい網などを一時に連続して使用する際に、その器体に対する動作を、把持する柄体において上下往復運動や左右往復運動や円運動などを軽快かつ円滑に行うことによって、器体上の食材を掻きまぜる調理の目的を極めて良好に達成することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一フライパン例の全体の分離状態を示す斜視図
【図2】図1の全体の組立状態を示す斜視図
【図3】図2の中央部側断面図
【図4】他フライパン例の全体の組立状態を示す斜視図
【図5】別のフライパン例の全体の組立状態を示す斜視図
【図6】図5要部の中央部側断面図
【図7】別々のフライパン例の全体の組立状態を示す斜視図
【図8】図7要部の中央部側断面図
【図9】ざる網例の全体の組立状態を示す斜視図
【図10】てぼ例の全体の組立状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、器体の一部に連結する柄体の一部又は全部に,発条材を設けて成る調理用具の柄部に関するものであるところ、この調理用具の概念は広範囲のものであり、またこの柄部は単に調理用具の持ち手の役割をしているだけでなく、使用者が、食材を収容している器体が自由に動き回ることを柄部に要求した時に、柄部も器体の動きに一緒に合わせて自由に作動するようになるのである。
【0011】
この場合、柄体の一部に使用する発条材が螺旋状に成る場合は、器体を上下方向又は左右方向に往復作動することができるから、例えばフライパンの器体上のオムレツや卵焼き等の調理のための返し運動が、持ち手の柄体を上下方向又は左右方向に繰返し行う弾発作用によって確実になされるようになり、また同じフライパンでも発条板の柄体にあっては、器体の上下作動によって前記同様の往復運動を円滑に行うことができるようになるのである。
【0012】
さらに、そば,ラーメン,うどん等の麺類をゆでるときに使用する「てぼ」にあっては、棒状又は板状の発条材を使用することから、網体の水切りや湯切りの場合に、柄体を把持して網体を上下に振りつける時に、前後にも作動する弾発力によって振り払うことができるようになるのである。
【実施例1】
【0013】
図1乃至図3に例示するフライパンの柄部の構造について説明する。
【0014】
1はフライパンの器体で、この器体の形状及び深さなどは任意である。
【0015】
2は前記器体1の周側面部の一部に設けた受金具で、この受金具には連結金具3の先端部3’を螺子4を介して連結する。
【0016】
5は前記連結金具3内に一側部を嵌挿して固着6する適当長さの螺旋発条材で、この螺旋発条材の性質は、伸張性を有するものでも収縮性を有するものでもよい。
【0017】
前記連結金具3から外出する前記螺旋発条材5の他側部の長さは任意であるが、この他側部の一端部には把柄体7の先端部8を嵌挿して固着9する。
【実施例2】
【0018】
図4に例示するフライパンの柄部の構造について説明する。
【0019】
10はフライパンの器体1の周側面部の一部に設けた柄部の基片部で、この基片部は全体の柄形状に成る把柄部11と同形に形成する。
【0020】
12,12は前記基片部10と把柄部11との間の上下両側部に固着13,13して連結した板状発条材で、この板状発条材が前記基片部10と把柄部11とに挟まれて上下方向に弾発作用をする。
【実施例3】
【0021】
図5及び図6に例示するフライパンの柄部の構造について説明する。
【0022】
20はフライパンの器体1の周側面部の一部に基端部21を固着した全体が発条板から成る柄部で、この柄部の形状は、前記基端部に近い前側部22が谷形状に曲折し、その谷形状部から垂直部23を形成した後、この垂直部の上端からやや傾斜状の水平部から成る後側部24を形成し、この後側部には軟質合成樹脂製の把柄材25を一体に設ける。
【0023】
前記形状に成る柄部20において、例えば、前側部22と垂直部23との谷部の角度は約80°,垂直部23と水平後側部24との間の角度は約120°とする。
【実施例4】
【0024】
図7及び図8に例示するフライパンの柄部の構造について説明する。
【0025】
20’はフライパンの器体の周側面部の一部に基端部21’を固着した全体が発条板から成る柄部で、この柄部の形状は、前記基端部に近い前側部22’が緩やかな谷形状に曲折し、その谷形状部から緩やかな立上り部23’を形成した後、この立上り部からやや傾斜状の水平部から成る後側部24’を形成し、この後側部には軟質合成樹脂製の把柄材25’を一体に設ける。
【0026】
前記形状に成る柄部20’において、前側部22’と立上り部23’との間の谷形状の角度や立上り部23’と水平後側部24’との間の傾斜角度はいずれも任意であり、使用者の好みに応じるオーダーメイドで製作してもよい。
【0027】
また、前記柄部20を構成する発条板の構成は1枚ものでも2枚ものでもよく、一体性があればよい。
【実施例5】
【0028】
図9に例示するざる網の柄部の構造について説明する。
【0029】
14はざる網の器体1の周側面部の一部に設けた受金具で、この受金具には板状発条材15を中間部に介装して把柄部材16を連結する。
【0030】
この板状発条材に代えて、螺旋状発条材を使用してもよい。
【実施例6】
【0031】
図10に例示する「てぼ」の柄部の構造について説明する。
【0032】
17はてぼ網の器体1の周側面部の一部に設けた左右2本の線材にて成る支持部材で、この支持部材には棒状発条材18,18を中間部に介装して把柄部材19を連結する。
【0033】
この棒状発条材に代えて、板状発条材又は螺旋状発条材を使用してもよい。
【0034】
この把柄部材19にあっては、全体を伸張性のある発条体によって前記棒状発条材18,18に連設して構成してもよい。
【0035】
前記棒状発条材18,18は、上下方向および左右方向に弾発力が作用するようになる。
【符号の説明】
【0036】
1 器体
2 受金具
3 連結金具
3’ 先端部
4 螺子
5 螺旋発条材
6 固着部
7 把柄体
8 先端部
9 固着部
10 基片部
11 把柄部
12,12 板状発条材
13,13 固着部
14 受金具
15 板状発条材
16 把柄部材
17 支持部材
18,18 棒状発条材
19 把柄部材
20 柄部
20’ 柄部
21 基端部
21’ 基端部
22 前側部
22’ 前側部
23 垂直部
23’ 立上り部
24 後側部
24’ 後側部
25 把柄材
25’ 把柄材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器体の一部に連結する柄体の全部を発条材によって構成することを特徴とする調理器具の柄部。
【請求項2】
器体の一部に連結する柄体の一部に発条材を設けて成ることを特徴とする調理器具の柄部。
【請求項3】
発条材が板状発条から成る請求項1又は2に記載するフライパンの柄部。
【請求項4】
発条材が板状発条から成る請求項1又は2に記載するざる網の柄部。
【請求項5】
発条材が板状発条から成る請求項1又は2に記載するてぼの柄部。
【請求項6】
発条材が螺旋状発条から成る請求項1又は2に記載するフライパンの柄部。
【請求項7】
発条材が螺旋状発条から成る請求項1又は2に記載するざる網の柄部。
【請求項8】
発条材が螺旋状発条から成る請求項1又は2に記載するてぼの柄部。
【請求項9】
発条材が棒状発条から成る請求項1又は2に記載するてぼの柄部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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