説明

調節性T細胞を同定する方法

本発明は、調節性T細胞を同定、定量、及び単離するための方法及びキットと、調節性T細胞量に基づいた、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、アレルギー性疾患、それらの素因、感染症、癌の診断又はモニタリング、癌治療及び/又は臓器移植のための方法及びキットと、調節性T細胞量に基づいた、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、アレルギー性疾患、それらの素因、感染症、癌のための治療法及び/又は臓器移植に対する反応を予測する方法及びキットと、単離した調節性T細胞を使用する治療法のための方法及びキットとに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調節性T細胞の同定、定量及び医単離のための方法及びキットと、調節性T細胞量に基づいた、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、アレルギー性疾患、それらの素因、感染症、癌の診断又はモニタリング、癌治療及び/又は臓器移植のための方法及びキットと、調節性T細胞量に基づいた、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、アレルギー性疾患、それらの素因、感染症、癌のための治療法及び/又は臓器移植に対する反応を予測する方法及びキットと、単離した調節性T細胞を使用する治療法のための方法及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的サンプル中にある特異的な型の細胞の同定は、科学的、診断的、及び医学的努力についての根本的に重要な局面を含む。そのような同定を達成できる手段は、細胞の表面上で発現される分子の型の確認をしばしば必要とする。そのような細胞表面発現パターンは、当業者に既知の標準方法を使用して、典型的には或る特定の細胞表面分子に対して特異的な抗体への細胞の露出を伴って求めることができる。この目的に使用される抗体は、或る特定の波長の光による励起でシグナルを発する蛍光色素と直接又は間接的に結合することができる。このように、生物学的サンプルにおける特定の細胞集団の存在及び定量化を求めることが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
細胞表面発現のパターンに基づいて、生物学的サンプルにおける免疫細胞の異なる集団を同定することができる場合には、そのような技術は免疫学分野内で特定の用途があることがわかる。例えば、多くのリンパ球がそれらの表面上でCD45を発現すること、並びにT細胞として既知のリンパ球の特定の集団がT細胞の活性化及び発生のレベルによって、CD4及びCD25を含む様々な他の細胞表面分子も発現することができることは既知である。
【0004】
CD4T細胞は、免疫反応の生成及び自己免疫性疾患の抑制の両方において、根本的に重要なT細胞の不均一集団を含む。CD4T細胞の別個の亜集団は、CD25及び転写因子Foxp3も発現する。調節性T細胞(Treg)として大まかに定義されたこの亜集団は、自己免疫寛容を維持するという点で極めて重要な役割を果たす(1)。Tregの重要性のための最もよい証拠がマウスのモデルから生じるが、ますます多くの報告は、マスター調節因子のFoxp3転写因子自体が欠損している非常に重症のIPEX(免疫調節異常、多発性内分泌障害、腸疾患、及びX連鎖遺伝)症候群(12)に加えて、様々な自己免疫性疾患(2〜8)、免疫炎症性疾患(9)及びアレルギー性疾患(10、11)のヒト患者におけるTregの数及び/又は機能の障害を概説した。Treg数の障害は、肝細胞癌(13)及び頭頸部癌(14)のような癌においても報告されている。
【0005】
したがって、生物学的サンプル内のTreg集団を正確に同定し且つ定量する手段についての明確な必要性がある。しかしながら、特に抗原による感作を受けた(antigen-experienced)CD4T細胞の最大20%がさらにCD25を発現するヒト末梢血中でTregを、CD25+の活性化されたメモリーT細胞と正確に区別することは、困難であることが証明された(15)。T細胞集団の正確な識別の測定におけるそのような混乱が、曖昧な結果を報告するいくつかの研究をもたらした。例えば、いくつかの研究は、自己免疫の症状(2、3、8、16)におけるTreg数の明らかな減少を実証したが、他の研究は、CD4CD25T細胞の正常数又は数の増加さえ示している(17〜20)。
【0006】
本発明者らは、CD45RA/ROの発現に基づいて、CD25の抗原による感作を受けた従来のT細胞の多くの集団から、胸腺に由来する成人のヒトナイーブCD4CD25Treg細胞の亜集団を区別することができることを示した(21)。このナイーブTreg集団は、炎症性腸疾患(IBD)の若年患者において減少し、これらの患者におけるTreg産生の一次的欠損の存在と一致している(22)。しかしながら、38個の異なるモノクローナル抗体での本発明者らによる検査は、活性化/メモリーCD45RA/ROT細胞から、ヒトCD45RA/ROTregを分離するいかなる手段も提供しなかった(21)。これらのモノクローナル抗体の多くは、CD45RA−/ROTregの同定の正確な手段を提供すると以前に主張されたものである(15、23)。したがって、Treg集団を同定する改良方法についての必要性があることは明らかである。
【0007】
抗原による感作を受けたCD4T細胞及びCD4Tregの両方はまたCD25も発現することができるので、CD4/CD25の状態に基づいてTregを同定する従来の方法は不十分であり、データの誤った解釈、及び特定の病状と特定のT細胞集団との不正確な関連性についての可能性がもたらされる。実際は、アレルギー性疾患、自己免疫性疾患及び免疫炎症性疾患の患者が、Tregの数又は機能に一次的欠損を有するか否かという問題を取り巻く論争の少なくとも一部は、Tregの正確な同定における困難から生じる。ヒトTregによるCD25の構成的発現の範囲は、抗原による感作を受けた活性化/メモリーCD4+細胞の範囲と重なる。
【0008】
さらにFoxp3は、Tregの発生に対して重要であるが、活性化T細胞によっても発現され、したがってTregと活性化/メモリーCD4細胞との明確な選別を与えない(24)。したって、正確にTreg集団を同定し且つ定量する改良方法についての必要性が明らかにある。
【0009】
本発明は、Treg集団は、当該集団の表面上で発現されたCD127のレベルを評価することにより正確に定義することができるという、本発明者らによる驚くべきそして思いもよらない発見に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を同定する方法であって、霊長類の生物学的サンプル中の少なくとも1つの細胞を分析し、細胞のCD127、CD4及びCD25の発現レベルを測定する、分析することを含み、CD127lowCD4CD25の発現が調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を示す方法が提供される。
【0011】
分析する工程は、少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドについて細胞の発現レベルを測定することをさらに含んでもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、細胞表面に結合又は細胞内に存在してもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、CD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95を含んでもよい。
【0012】
霊長類の生物学的サンプルは、細胞株又は体液又は組織を含んでもよい。体液又は組織血液、リンパ液、胸腺、リンパ節、脾臓、又は扁桃腺を含んでもよい。霊長類の生物学的サンプルは、少なくとも1つの単離リンパ球を含んでもよい。霊長類の生物学的サンプルは、少なくとも1つのT細胞を含んでもよい。
【0013】
分析する工程は免疫測定法を含んでもよい。免疫測定法は酵素免疫測定法又は放射免疫測定法を含んでもよい。さらに又は或いは、分析する工程はフローサイトメトリーを含んでもよい。さらに又は或いは、フローサイトメトリー分析は蛍光活性化細胞選別を含んでもよい。
【0014】
さらに又は或いは、細胞の発現レベルはポリメラーゼ連鎖反応によって測定されてもよい。ポリメラーゼ連鎖反応は定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応であってもよい。任意で、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応は蛍光活性化細胞選別後に行なわれてもよい。
【0015】
一実施形態において、この方法は、
(a)ヒトの生物学的サンプルを得る工程と、
(b)細胞表面のCD127、CD4及びCD25に対する抗体と霊長類の生物学的サンプル中の少なくとも1つの細胞を接触させる工程と、
(c)少なくとも1つの細胞をフローサイトメトリーにかける工程と、
(d)CD127lowCD4CD25の発現のフローサイトメトリーのシグナルを分析する工程と
を含み、CD127lowCD4CD25の発現が調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を示す。
【0016】
この方法は調節性T細胞を単離するために使用されてもよい。
【0017】
この方法は、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、アレルギー性疾患、それらの素因、感染症、癌の診断又はモニタリング、癌治療及び/又は臓器移植のために使用されてもよい。
【0018】
この方法は、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、アレルギー性疾患、それらの素因、感染症、癌のための治療及び/又は臓器移植に対する反応の予測のために使用されてもよい。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を同定する方法であって、霊長類の生物学的サンプル中の少なくとも1つの細胞を分析し、細胞のCD127の発現レベルを測定する、分析することを含み、サンプル中の少なくとも1つの細胞が、あらかじめCD4及び/又はCD25の発現について分析されて、CD4及び/又はCD25であることが明らかにされており、CD127lowCD4CD25の発現が、調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を示す方法が提供される。
【0020】
少なくとも1つの細胞が、あらかじめCD4の発現について分析される場合、分析する工程は細胞のCD25の発現レベルを測定することをさらに含む。
【0021】
少なくとも1つの細胞が、あらかじめCD25の発現について分析される場合、分析する工程は細胞のCD4の発現レベルを測定することをさらに含む。
【0022】
分析する工程は、少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドについての細胞の発現レベルを測定することをさらに含んでもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、細胞表面に結合又は細胞内に存在してもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、CD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95を含んでもよい。
【0023】
霊長類の生物学的サンプルは、細胞株又は体液又は組織を含んでもよい。体液又は組織は、血液、リンパ液、胸腺、リンパ節、脾臓又は扁桃腺を含んでもよい。霊長類の生物学的サンプルは、少なくとも1つの単離リンパ球を含んでもよい。霊長類の生物学的サンプルは、少なくとも1つのT細胞を含んでもよい。霊長類の生物学的サンプルは、少なくとも1つのCD4T細胞、少なくとも1つのCD25T細胞又は少なくとも1つのCD4CD25T細胞を含んでもよい。
【0024】
この方法は調節性T細胞を単離するために使用されてもよい。
【0025】
この方法は、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、アレルギー性疾患、それらの素因、感染症、癌の診断又はモニタリング、癌治療及び/又は臓器移植のために使用されてもよい。
【0026】
この方法は、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、アレルギー性疾患、それらの素因、感染症、癌のための治療及び/又は臓器移植に対する反応を予測するために使用されてもよい。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、霊長類の被験体において調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を同定するためのキットであって、少なくともCD127の細胞の発現レベルを測定するための少なくとも1つの薬剤を含むキットが提供される。
【0028】
少なくとも1つの薬剤は、少なくとも1つの抗CD127抗体及び/又はCD127に対して特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドから選択されてもよい。
【0029】
このキットは、霊長類の被験体において少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドの細胞の発現レベルを測定するために少なくとも1つの薬剤をさらに含んでもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、CD4、CD25、CD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95から成る群から選択されてもよい。
【0030】
このキットは調節性T細胞を単離するために使用されてもよい。
【0031】
このキットは、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、アレルギー性疾患、それらの素因、感染症、癌の診断又はモニタリング、癌治療及び/又は臓器移植のために使用されてもよい。
【0032】
このキットは、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、アレルギー性疾患、それらの素因、感染症、癌のための治療及び/又は臓器移植に対する反応を予測するために使用されてもよい。
【0033】
本発明の第4の態様によれば、霊長類の被験体において調節性T細胞の集団を同定するためのキットであって、少なくともCD127の細胞の発現レベルを測定するための少なくとも1つの薬剤を含むキットが提供される。
【0034】
少なくとも1つの薬剤は、少なくとも1つの抗CD127抗体及び/又はCD127に対して特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドから選択されてもよい。
【0035】
このキットは、霊長類の被験体において少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドの細胞の発現レベルを測定するために少なくとも1つの薬剤をさらに含んでもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、CD4、CD25、CD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95から成る群から選択されてもよい。
【0036】
本発明の第5の態様によれば、霊長類の生物学的サンプル中の調節性T細胞の量を定量化する方法であって、サンプル中の細胞を分析し、細胞のCD127及びCD4及びCD25の発現レベルを測定する、分析することを含み、サンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量がサンプル中の調節性T細胞の量を示す方法が提供される。
【0037】
分析する工程は、少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドについての細胞の発現レベルを測定することをさらに含んでもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、細胞表面に結合又は細胞内に存在してもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、CD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95を含んでもよい。
【0038】
霊長類の生物学的サンプルは、細胞株又は体液又は組織を含んでもよい。体液又は組織は、血液、リンパ液、胸腺、リンパ節、脾臓又は扁桃腺を含んでもよい。霊長類の生物学的サンプルは、少なくとも1つの単離リンパ球を含んでもよい。霊長類の生物学的サンプルは、少なくとも1つのT細胞を含んでもよい。
【0039】
分析する工程は免疫測定法を含んでもよい。免疫測定法は酵素免疫測定法又は放射免疫測定法を含んでもよい。さらに又は或いは、分析する工程はフローサイトメトリーを含んでもよい。さらに又は或いは、フローサイトメトリー分析は蛍光活性化細胞選別を含んでもよい。
【0040】
さらに又は或いは、細胞の発現レベルはポリメラーゼ連鎖反応によって測定されてもよい。ポリメラーゼ連鎖反応は定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応であってもよい。任意で、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応は蛍光活性化細胞選別後に行なわれてもよい。
【0041】
本発明の第6の態様によれば、霊長類の生物学的サンプル中の調節性T細胞の量を定量化する方法であって、細胞のCD127の発現レベルを測定するためのサンプル中の分析細胞を含み、細胞があらかじめCD4及び/又はCD25の発現について分析されて、CD4及び/又はCD25であることが明らかにされており、サンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量がサンプル中の調節性T細胞の量を示す方法が提供される。
【0042】
細胞があらかじめCD4の発現について分析される場合、分析する工程は細胞のCD25の発現レベルを測定することをさらに含む。
【0043】
細胞があらかじめCD25の発現について分析される場合、分析する工程は細胞のCD4の発現レベルを測定することをさらに含む。
【0044】
分析する工程は少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドについての細胞の発現レベルを測定することをさらに含んでもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、細胞表面に結合又は細胞内に存在してもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、CD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95を含んでもよい。
【0045】
霊長類の生物学的サンプルは、細胞株又は体液又は組織を含んでもよい。体液又は組織は、血液、リンパ液、胸腺、リンパ節、脾臓又は扁桃腺を含んでもよい。霊長類の生物学的サンプルは、少なくとも1つの単離したリンパ球を含んでもよい。霊長類の生物学的サンプルは、少なくとも1つのT細胞を含んでもよい。霊長類の生物学的サンプルは、少なくとも1つのCD4T細胞、少なくとも1つのCD25T細胞又は少なくとも1つのCD4CD25T細胞を含んでもよい。
【0046】
本発明の第7の態様によれば、霊長類の被験体において、調節性T細胞の過剰生産又は低生産を診断する方法であって、
(a)上記被験体から生物学的サンプルを得ること、及び
(b)サンプル中の細胞を分析し、細胞のCD127、CD4及びCD25の発現レベルを測定する、分析すること
を含み、サンプル中の少量のCD127lowCD4CD25細胞が被験体の調節性T細胞の低生産を示し、サンプル中の多量のCD127lowCD4CD25細胞が被験体の調節性T細胞の過剰生産を示す方法が提供される。調節性T細胞の低生産は、炎症性腸疾患、又はその素因に関連してもよい。調節性T細胞の過剰生産は、癌又はウイルス感染に関連してもよい。癌は幹細胞癌であってもよい。ウイルス感染はHIVであってもよい。
【0047】
この方法は、少なくとも1つの対照サンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量と、霊長類の被験体から得られたサンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量を比較することを含んでもよい。典型的には対照サンプルは、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、若しくはアレルギー性疾患、それらの素因、又は調節性T細胞の量の変化に関連する他の疾患をともなわない霊長類の被験体由来のサンプルであってもよい。
【0048】
本発明の第8の態様によれば、霊長類の被験体において疾患を診断する方法であって、
(a)上記被験体から生物学的サンプルを得ること、及び
(b)サンプル中の細胞を分析し、細胞のCD127、CD4及びCD25の発現レベルを測定する、分析すること
を含み、サンプル中の少量のCD127lowCD4CD25細胞が被験体の疾患を示す方法が提供される。疾患が、炎症性腸疾患、全身性紅斑性狼瘡、乾癬性関節炎、若年性特発性関節炎、若年性糖尿病、川崎病、又は調節性T細胞の量の変化に関連する他の疾患であってもよい。
【0049】
この方法は、少なくとも1つの対照サンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量と、霊長類の被験体から得られたサンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量を比較することを含んでもよい。典型的には対照サンプルは、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、若しくはアレルギー性疾患、それらの素因、又は調節性T細胞の量の変化に関連する他の疾患をともなわない霊長類の被験体由来のサンプルであってもよい。
【0050】
本発明の第9の態様によれば、病状、感染又は治療の経過の間に霊長類の被験体の調節性T細胞の量をモニタリングする方法であって、
(a)上記被験体から生物学的サンプルを得ること、及び
(b)サンプル中の細胞を分析し、細胞のCD127、CD4及びCD25の発現レベルを測定する、分析すること
を含み、サンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量がサンプル中の調節性T細胞の量を示す方法が提供される。
【0051】
病状又は感染は、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患若しくはアレルギー性疾患、又はそれらの素因、感染症又は癌を含む群から選択されてもよい。
【0052】
この治療は化学療法であってもよい。
【0053】
この方法は、少なくとも1つの対照サンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量と、霊長類の被験体から得られたサンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量を比較することを含んでもよい。典型的には対照サンプルは、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、若しくはアレルギー性疾患、それらの素因、感染症若しくは癌、又は調節性T細胞の量の変化に関連する他の疾患をともなわない霊長類の被験体由来のサンプルであってもよい。
【0054】
本発明の第10の態様によれば、霊長類の被験体の病状又は感染のための治療に対する反応を、被験体の調節性T細胞の量に基づいて予測する方法であって、
(a)上記被験体から生物学的サンプルを得ること、及び
(b)サンプル中の細胞を分析し、細胞のCD127、CD4及びCD25の発現レベルを測定する、分析すること
を含み、サンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量がサンプル中の調節性T細胞の量を示す方法が提供される。
【0055】
病状又は感染は、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患若しくはアレルギー性疾患、又はそれらの素因、感染症又は癌を含む群から選択されてもよい。
【0056】
この治療は化学療法であってもよい。
【0057】
この方法は、少なくとも1つの対照サンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量と、霊長類の被験体から得られたサンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量を比較することを含んでもよい。典型的には対照サンプルは、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、若しくはアレルギー性疾患、又はそれらの素因、感染症若しくは癌又は調節性T細胞の量の変化に関連する他の疾患をともなわない霊長類の被験体由来のサンプルであってもよい。
【0058】
本発明の第11の態様によれば、
(a)霊長類の被験体における調節性T細胞の過剰生産又は低生産、
(b)霊長類の被験体における自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患若しくはアレルギー性疾患、又はそれらの素因、及び/又は
(c)霊長類の被験体における調節性T細胞の量の変化に関連する疾患
の診断で用いられるキットであって、
少なくともCD127の細胞の発現レベルの分析のために少なくとも1つの薬剤を含むキットが提供される。
【0059】
少なくとも1つの薬剤は、少なくとも1つの抗CD127抗体及び/又はCD127に対して特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドから選択されてもよい。
【0060】
このキットは、少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドの細胞の発現レベルを測定するために、少なくとも1つの薬剤をさらに含んでもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、CD4、CD25、CD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95から成る群から選択されてもよい。
【0061】
本発明の第12の態様によれば、病状、感染又は治療の経過の間に、霊長類の被験体における調節性T細胞の量をモニタリングするのに用いられるキットであって、少なくともCD127の細胞の発現レベルを分析するための少なくとも1つの薬剤を含むキットが提供される。
【0062】
少なくとも1つの薬剤は、少なくとも1つの抗CD127抗体及び/又はCD127に対して特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドから選択されてもよい。
【0063】
病状又は感染は、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患若しくはアレルギー性疾患、又はそれらの素因、感染症又は癌を含む群から選択されてもよい。
【0064】
この治療は化学療法であってもよい。
【0065】
このキットは、少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドの細胞の発現レベルを測定するために、少なくとも1つの薬剤をさらに含んでもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、CD4、CD25、CD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95から成る群 から選択されてもよい。
【0066】
本発明の第13の態様によれば、霊長類の被験体における病状又は感染のための治療に対する反応を被験体における調節性T細胞の量に基づいて予測するのに用いられるキットであって、少なくともCD127の細胞の発現レベルを分析するための少なくとも1つの薬剤を含むキットが提供される。
【0067】
少なくとも1つの薬剤は、少なくとも1つの抗CD127抗体及び/又はCD127に対して特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドから選択されてもよい。
【0068】
病状又は感染は、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患若しくはアレルギー性疾患、又はそれらの素因、感染症又は癌を含む群から選択されてもよい。
【0069】
この治療は化学療法であってもよい。
【0070】
このキットは、少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドの細胞の発現レベルを測定するために、少なくとも1つの薬剤をさらに含んでもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、CD4、CD25、CD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95から成る群から選択されてもよい。
【0071】
本発明の第14の態様によれば、調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を単離するための方法であって、
(a)霊長類の生物学的サンプル中の少なくとも1つの細胞を分析し、細胞のCD127、CD4及びCD25の発現レベルを測定する、分析することであって、CD127lowCD4CD25の発現が調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を示す、分析すること、及び
(b)上記少なくとも1つの細胞を単離することであって、当該少なくとも1つの細胞がCD127lowCD4CD25である、単離すること
を含む方法が提供される。
【0072】
分析する工程は少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドについての細胞の発現レベルを測定することをさらに含んでもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、細胞表面に結合又は細胞内に存在してもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドはCD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95を含んでもよい。
【0073】
霊長類の生物学的サンプルは、細胞株又は体液又は組織を含んでもよい。体液又は組織は、血液、リンパ液、胸腺、リンパ節、脾臓又は扁桃腺を含んでもよい。霊長類の生物学的サンプルは、少なくとも1つの単離したリンパ球を含んでもよい。霊長類の生物学的サンプルは、少なくとも1つのT細胞を含んでもよい。
【0074】
分析する工程はフローサイトメトリーを含んでもよい。さらに又は或いは、フローサイトメトリー分析は蛍光活性化細胞選別を含んでもよい。
【0075】
一実施形態において、この方法は、
(a)霊長類の生物学的サンプルを得る工程と、
(b)細胞表面のCD127、CD4及びCD25に対する抗体と霊長類の生物学的サンプル内の少なくとも1つの細胞を接触させる工程と、
(c)少なくとも1つの細胞をフローサイトメトリーにかける工程と、
(d)CD127lowCD4CD25の発現についてフローサイトメトリーで分析する工程と、
(f)蛍光活性化細胞選別によってCD127lowCD4CD25細胞を単離する工程と
を含み、CD127lowCD4CD25の発現が調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を示す。
【0076】
本発明の第15の態様によれば、調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を単離するための方法であって、
(a)霊長類の生物学的サンプル中の少なくとも1つの細胞を分析し、細胞のCD127の発現レベルを測定する、分析することであって、サンプル中の少なくとも1つの細胞があらかじめCD4及び/又はCD25の発現について分析されて、CD4及び/又はCD25であることが明らかにされており、CD127lowCD4CD25の発現が調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を示す、分析すること、及び
(b)上記少なくとも1つの細胞を単離することであって、当該少なくとも1つの細胞がCD127lowCD4CD25である、単離すること
を含む方法が提供される。
【0077】
少なくとも1つの細胞があらかじめCD4の発現について分析された場合、分析する工程は細胞のCD25の発現レベルを測定することをさらに含む。
【0078】
少なくとも1つの細胞があらかじめCD25の発現について分析された場合、分析する工程は細胞のCD4の発現レベルを測定することをさらに含む。
【0079】
分析する工程は少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドについての細胞の発現レベルを測定することをさらに含んでもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、細胞表面に結合又は細胞内に存在してもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドはCD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95を含んでもよい。
【0080】
霊長類の生物学的サンプルは、細胞株又は体液又は組織を含んでもよい。体液又は組織は、血液、リンパ液、胸腺、リンパ節、脾臓又は扁桃腺を含んでもよい。霊長類の生物学的サンプルは、少なくとも1つの単離したリンパ球を含んでもよい。霊長類の生物学的サンプルは、少なくとも1つのT細胞を含んでもよい。霊長類の生物学的サンプルは、少なくとも1つのCD4T細胞、少なくとも1つのCD25T細胞又は少なくとも1つのCD4CD25T細胞を含んでもよい。
【0081】
本発明の第16の態様によれば、第14の態様又は第15の態様の方法によって単離した場合に、少なくとも1つの調節性T細胞が提供される。
【0082】
本発明の第17の態様によれば、第14の態様又は第15の態様の方法によって単離した場合に、少なくとも1つの調節性T細胞を使用する調節性T細胞治療法のための方法が提供される。
【0083】
定義
本明細書の文脈において、用語「含むこと」は、「主に包含するが、必ずしも単独では含まないこと」を意味する。さらに、「含む」及び「含む(三人称単数)」のような、単語「含むこと」の変形は、対応して意味を変える。
【0084】
本明細書において使用されるような用語「発現」は、コードされたポリペプチド又はタンパク質を含む、遺伝子の発現又は遺伝子産物の発現を同じ意味で指す。遺伝子産物の発現は、ポリペプチドと結合する抗体(複数可)を使用して、例えば免疫測定法によって求められてもよい。或いは遺伝子の発現は、例えばmRNA(メッセンジャーRNA)のレベルの測定によって求められてもよい。
【0085】
本明細書において使用されるように、用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって互いに結合したアミノ酸で構成されるポリマーを意味する。したがって用語「ポリペプチド」は、その範囲内に全長タンパク質及びその断片を含んでいる。
【0086】
本明細書において使用されるように、用語「ポリヌクレオチド」は、ホスホジエステル骨格によって互いに結合したヌクレオチド残基で構成される核酸を意味する。したがってポリヌクレオチドは、その範囲内にDNA、RNA及び特にメッセンジャーRNA(mRNA)を含んでいる。
【0087】
本明細書において使用されるように、用語「オリゴヌクレオチド」は、鋳型指示核酸合成の開始点として作用することができる一本鎖核酸を意味する。オリゴヌクレオチドは、典型的には2〜約500塩基長にわたる一本鎖核酸である。オリゴヌクレオチドの正確な長さは特定の用途に従って変化するが、典型的には15〜30ヌクレオチドにわたる。オリゴヌクレオチドは、鋳型の正確な配列を反映する必要がないが、鋳型にハイブリダイズするのに十分に相補的でなくてはならず、それによって標的配列の優先的な増幅を促進する。したがってオリゴヌクレオチドを、mRNAのような特定の遺伝子又は遺伝子産物に対して「特異的である」と呼ぶことは、必ずしも標的ポリヌクレオチドの正確な配列を反映せずに、その範囲内に優先的に鋳型にハイブリダイズするのに十分な配列の相補性を含むオリゴヌクレオチドを包含する。
【0088】
本明細書において使用されるように、用語「Treg」は調節性T細胞(単数又は複数)を指す。
【0089】
本明細書において使用されるように、用語「low」又は「lo」は同じ意味で使用され、分析されているサンプルの全体を含む細胞の集団によるCD127、CD4又はCD25のような特定の分子又はポリヌクレオチドの発現レベルと比較した場合、サンプル内の特定の細胞又は細胞の集団によるその分子又はポリヌクレオチドの発現レベルが低いことを指す。例えば、用語「CD127low」は、分析されているサンプルの全体を含む細胞の集団によるCD127の発現レベルと比較する場合、サンプル内の特定の細胞又は細胞の集団によるCD127の発現レベルが低いことを指す。より詳細には、用語「low」は、サンプル内の1つ又は複数の他の別個の集団により発現されたレベルよりも低いレベルで特定の分子を発現する別個の細胞の集団を指してもよい。同様に、用語「high」又は「bright」は、同じ意味で使用され、対応する意味を有している。用語「int」は、サンプル内の2つ以上の他の別個の集団により発現されたレベルの間にあるレベルで、特定の分子を発現する別個の細胞の集団を指してもよい。すなわち、発現レベルは、1つの他の別個の細胞の集団により発現されたレベルよりも低く、他の別個の細胞の集団により発現されるレベルよりも高い。
【0090】
本明細書において使用されるように、特定の分子又はポリヌクレオチドの発現レベルに関連して使用される場合の用語「」は、分析されているサンプルの全体を含む細胞の集団によるCD127、CD4又はCD25のような特定の分子又はポリヌクレオチドの発現レベルと比較する場合、サンプル内の特定の細胞又は細胞の集団によるその分子又はポリヌクレオチドの発現レベルが高いか又は中間であることを指す。例えば、用語「CD4」は、分析されているサンプルの全体を含む細胞の集団によるCD4の発現レベルと比較する場合、サンプル内の特定の細胞又は細胞の集団によるCD4の発現レベルが比較的高いか又は中間であることを指す。
【0091】
本明細書において使用されるように、特定の分子又はポリヌクレオチドの発現レベルに関連して使用される場合の用語「」は、分析されているサンプルの全体を含む細胞の集団によるCD127、CD4又はCD25のような特定の分子又はポリヌクレオチドの発現レベルと比較する場合、サンプル内の特定の細胞又は細胞の集団によるその分子又はポリヌクレオチドの発現レベルが低いことを指す。例えば、用語「CD4」は、分析されているサンプルの全体を含む細胞の集団によるCD4の発現レベルと比較する場合、サンプル内の特定の細胞又は細胞の集団によるCD4の発現レベルが低いことを指す。
【0092】
本明細書において使用されるように、用語「low」又は「lo」が、分析されているサンプルの全体を含む細胞の量と比較される場合、CD127lowCD4CD25細胞のような生物学的サンプル中の特定の細胞の量が少ないことを指してもよい。さらに又は或いは、用語「low」は、分析されているサンプルの全体に関して対照サンプルと比較された場合、CD127lowCD4CD25細胞のようなサンプル中の特定の細胞の量の比率が低いことを指してもよい。典型的には、対照サンプルは、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患若しくははアレルギー性疾患、又はそれらの素因のない被験体由来のサンプルであってもよい。「high」又は「bright」という用語は対応する意味を有する。
【0093】
これより本発明の実施形態は、添付の図面に関して、例示のみのために記述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0094】
ヒトCD4T細胞により発現された表面分子に対するモノクローナル抗体の多量のパネルを検査することにより、本発明者らは、フローサイトメトリー、蛍光活性化細胞選別(FACS)及びリアルタイム定量的PCR(RT−qPCR)を使用して、CD127の発現が、Treg及び活性化/メモリー細胞の特質を備えたそれぞれ2つの集団へとヒトCD4CD25CD45ROT細胞を分けることを示した。CD127の発現についてのゲート(gating)は、さらにCD45ROの発現にまだ変換していない従来の活性化T細胞からのCD4CD25CD45RATregの分離において、より明瞭にすることができる。この驚くべきそして思いもよらない発見は、本発明者らによる、他の38個のマーカーの多くがマウスのサンプルにおいてTregを効果的に分離するが、CD4CD25CD45ROTregとCD4CD25CD45RO活性化/メモリー細胞との分離を提供しなかったという事前の検査とは対照的であると思われる(図1及び参考文献20)。さらに、事前の研究はマウス調節性T細胞の表面上にCD127の低レベルの発現を示唆しているが(25、26)、典型的にはマーカーはマウスT細胞サンプルとヒトT細胞サンプルとの間で明確に異なる発現パターンを示し(図1Cを参照)、それにより予測不能な種間の推定を与える。さらに認められている考え方に反して、本発明者らは、マウスCD4Tregと非Tregとの間のCD127の発現の発表されている差は、CD127を単独で使用して2つの集団を正確にゲートするのためには、明らかに不十分であること、及びさらにマウスCD4T細胞を共染色するためのCD25及びCD127の使用は、Tregと非Tregとを区別する点ではCD25単独の使用を超える利点はないことを実証した(25、26)。
【0095】
したがって本発明は、一般に霊長類においてCD127の発現に基づいて、CD25の従来のCD4T細胞からTregを単離するための戦略に関する。本明細書において例示されるように、CD4及びCD25についてのゲート、又はCD45アイソフォームについてのゲートの追加と併用して、CD127の発現に対する細胞表面染色を適用することができる。ゲート戦略の有効性は3つの方法により確認された。第1に、in vitroの抑制分析は、CD127の発現がCD4CD25T細胞を抑制活性があるCD127lo細胞の2つの集団に分けるが、CD127hi細胞は分けないことを示した。第2に、FoxP3に対する抗体による染色は、ヒト末梢リンパ系組織に由来した複数サンプルのCD4T細胞集団中のCD25CD127lo細胞とCD25FoxP3細胞との間で、85%超の相関性があることを示した。第3に、RT−qPCRは、Treg集団を表わすと判断されたサンプルにおける高レベルのFoxp3 mRNA発現を示した。この戦略を使用して、本発明者らは、CD45RA陽性の細胞又はCD45RA陰性細胞のいずれかの中のCD127lowCD4CD25Tregが、CD45アイソフォームの発現について匹敵するCD127hiCD4CD25T細胞よりも、少なくとも10倍超のFoxp3 mRNAを発現したことを実証した。
【0096】
したがって、本発明は、調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を同定するため、調節性T細胞の量を定量化するため、及びさらなる研究又は治療における使用のために生存可能な調節性T細胞を分離するための方法を提供する。この方法は、細胞のCD127、CD4及び/又はCD25の発現レベルについて分析することを含んでもよく、CD127lowCD4CD25の発現が調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を示す。
【0097】
この方法は調節性T細胞を単離するために使用されてもよい。単離した調節性T細胞は、様々な目的に使用されてもよく、養子T細胞移入又は自己T細胞移入のための多くの調節性T細胞を増幅する細胞培養を含むが、これに限定されず、増幅又は前増幅された細胞培養物からの特定のT細胞サブセットを選択することを含んでもよいし、又は含んでなくてもよい。単離した調節性T細胞は、後日の被験体の治療のために保存されてもよい。
【0098】
この方法は、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、アレルギー性疾患、それらの素因、感染症、癌の診断又はモニタリング、癌治療及び/又は臓器移植のために使用されてもよい。
【0099】
この方法は、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、アレルギー性疾患、それらの素因、感染症、癌のための治療及び/又は臓器移植に対する反応を予測するために使用されてもよい。
【0100】
当業者は、分析されている生物学的サンプルの正確な性質を説明するために、本発明の方法が変えられてもよいことを容易に認識するだろう。例えば生物学的サンプルが、任意のタンパク質又はポリヌクレオチドの発現についてあらかじめ分析されていないT細胞の集団を含む場合には、この方法は少なくともCD127、CD4及びCD25の発現について分析することを含んでもよい。しかしながら生物学的サンプルが、CD4及び/又はCD25の発現についてあらかじめ分析されているT細胞の集団を含む場合には、この方法はCD127及びCD25、又はCD127及びCD4についてのみ、それぞれ分析することを含んでもよい。すべての場合において、本発明の方法は、例えばCD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95のような、他のタンパク質又はポリヌクレオチドの細胞の発現レベルについて分析することによって、調節性T細胞の識別又は調節性T細胞の量をさらに確認する他の方法と併用して使用されてもよい。
【0101】
当業者は、本発明の方法がさらに例えばCD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95のような、他のタンパク質又はポリヌクレオチドの細胞の発現レベルについて分析することによって、調節性T細胞の識別又は量をさらに確認する他の方法と併用して使用されてもよいことを容易に認識するだろう。
【0102】
さらに本発明者らは、43人の対照と比較して、炎症性腸疾患(IBD)の38人の患者に対してCD4/CD25/CD45RA/CD127ゲート戦略を適用した。従来のようにゲートされたCD25CD4Treg中の高い変動率(免疫炎症性症状を患う患者において特に明らかである)は、特に潰瘍性大腸炎の患者におけるCD127hiCD4CD25細胞汚染の同定により減少した。IBD患者と正常対照との比較のためのCD4/CD25/CD45RA/CD127染色及びゲート戦略の使用は、患者においてTregとして同定された多くの細胞が存在したことを示しただけではなく、一貫してTregのCD45RAサブセットが減少することを示した。この減少は、IBD発症のピーク年齢に対応する15〜30歳間での患者において特に明らかであった。CD127細胞表面染色戦略の使用は、これまでに活性化細胞によるCD25ゲートの汚染に起因した患者間の変動率の多くを取り除き、調節性T細胞の真の数の正確な推測を直接ex vivoで可能にした。
【0103】
さらに本発明者らは、臍帯血サンプルと若年者及び高齢者の末梢血との間のTreg数及び機能を比較し、CD127染色を使用して、Tregの機能的な活性がCD45RA発現からCD45RORA表現型の発現への移行の間、不変のままであることを実証した。
【0104】
さらにTregの同定におけるCD127の使用のための実験的支持も、アルツハイマー病、重症のアトピー性湿疹、喘息、シェーグレン症候群、HlV及び黒色腫を含む、様々な他の疾患モデルを使用して、本発明者らにより実証され、それによって病状範囲の診断におけるCD127の使用を実証した。
【0105】
重要なことには本発明者らは、CD127を使用したTregの同定に基づいて、透析あり又は透析なしの腎移植患者対慢性腎不全患者における循環Treg数をさらに測定し、それによって治療に対する反応性のモニタリングにおけるCD127の使用をさらに実証した。
【0106】
特に本発明者らは、18人の原発性シェーグレン症候群の患者及び17人の年齢及び性別が一致した対照由来の末梢血白血球に対してCD4/CD25/CD45RA/CD127ゲート戦略を適用し、年齢とは無関係に原発性シェーグレン症候群の群において、ナイーブTreg数及び全Treg数の両方が増加することを実証した。皮膚プリックテスト陽性及びイエダニ抗原による刺激に応じてin vitroでインターロイキン−5を分泌した9人の喘息患者において、ナイーブTregのパーセンテージは有意に増加した。6人の重症のアトピー性湿疹の患者及び7人の対照におけるCD4/CD25//CD127戦略の使用は、全Treg細胞の2.5倍の増加を示した。原発性シェーグレン症候群、アトピー性湿疹及びアトピー性喘息はすべて、特定物質に対する抗体の異常な産生を含む。それゆえ抗体産生に関連した免疫病は、したがって異常に高い数のTreg細胞(特にナイーブTreg細胞)に関連しているかもしれない。
【0107】
さらに、本発明者らはHIVに感染した患者からの末梢血白血球に対してCD4/CD25/CD45RO/CD127ゲート戦略を適用した。一次感染をともなう患者(セロコンバータ(seroconverters:血清転換者))、及び治療を受けない群と抗レトロウイルスの薬剤による治療を受けた群へさらに分けられた慢性病をともなう患者、及び免疫再構築症候群(IRD)を発症し抗レトロウイルスの薬剤で治療された患者の4つの群の患者が検討された。CD45ROTregの数はIRDの患者において増加し、これは疾患病理に関連しているかもしれない。さらに、ナイーブTregは急性一次疾患の患者において過剰に存在した。したがって、この方法は感染症のTreg数における異常を定義するために使用することができる。
【0108】
免疫抑制療法を受ける腎移植のレシピエントにおいて、CD4/CD25/CD45RA/CD127ゲート戦略は、CD45RATregの数が有意に減少したが、CD45RAの数が有意に減少しなかったことを示した。したがって、この方法は移植及び免疫抑制療法を受ける患者においてTreg数をモニタリングするために使用することができる。
【0109】
黒色腫の患者において、CD4/CD25/CD127ゲート戦略は、ワクチン接種治験の経過の全体にわたってTreg数を追跡するために適用された。
【0110】
同じ抗体の組み合わせもマカクのようなヒト以外の霊長類においてTregを定量するために使用され、それによってヒトだけでなく他の霊長類に対して本明細書において開示された方法の適用可能性を実証した。
【0111】
したがって、本発明は、被験体において調節性T細胞の過剰生産又は低生産を診断する方法であって、生物学的サンプル中のCD127lowCD4CD25を発現する細胞の量が、被験体の調節性T細胞の過剰生産又は低生産を示す方法をさらに提供する。
【0112】
本発明は、被験体における自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患若しくはアレルギー性疾患、又は調節性T細胞量の変化に関連する疾患、又はそれらの素因を診断するための方法であって、被験体からの生物学的サンプルを分析し、生物学的サンプル中のCD127lowCD4CD25を発現する細胞の量を求める、分析することを含み、サンプル中の少量のCD127lowCD4CD25細胞が、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患若しくはアレルギー性疾患、調節性T細胞量の変化に関連する疾患、又はそれらの素因を示す方法をさらに提供する。
【0113】
本発明は、病状、感染又は治療の経過の間に被験体の調節性T細胞の量をモニタリングする方法であって、当該被験体から生物学的サンプルを得ること、及びサンプル中の細胞を分析し、細胞のCD127、CD4及びCD25の発現レベルを測定する、分析することを含み、サンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量がサンプル中の調節性T細胞の量を示す方法をさらに提供する。
【0114】
本発明は、被験体の病状又は感染のための治療に対する反応を、被験体の調節性T細胞の量に基づいて予測する方法であって、当該被験体から生物学的サンプルを得ること、及びサンプル中の細胞を分析し、細胞のCD127、CD4及びCD25の発現レベルを測定する、分析することを含み、サンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量が、サンプル中の調節性T細胞の量を示す方法をさらに提供する。
【0115】
本発明は、調節性T細胞又は調節性T細胞の集団の同定ためのキットであって、少なくともCD127の細胞の発現レベルを測定するために生物学的サンプルの中の少なくとも1つの細胞を分析するための薬剤(複数可)を含むキットをさらに提供する。このキットは、例えばCD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95のような、他の細胞タンパク質又はポリヌクレオチドの細胞の発現レベルについて分析することによって、調節性T細胞をさらに識別するためにさらなる薬剤を含んでもよい。このキットも分析されている生物学的サンプルの正確な性質を説明するために変更されてもよい。例えば生物学的サンプルは、あらかじめCD4及び/又はCD25の発現について分析されている、又は分析されていないT細胞の集団を含んでもよい。
【0116】
このキットは、調節性T細胞を単離するために使用されてもよい。単離した調節性T細胞は、様々な目的に使用されてもよく、養子T細胞移入又は自己T細胞移入のための多くの調節性T細胞を増幅する細胞培養を含むが、これに限定されず、増幅又は前増幅された細胞培養物からの特定のT細胞サブセットを選択することを含んでもよいし、又は含んでなくてもよい。単離した調節性T細胞は、後日の被験体の治療のために保存されてもよい。
【0117】
このキットは、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、アレルギー性疾患、それらの素因、感染症、癌の診断又はモニタリング、癌治療及び/又は臓器移植のために使用されてもよい。
【0118】
このキットは、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、アレルギー性疾患、それらの素因、感染症、癌のための治療及び/又は臓器移植に対する反応を予測するために使用されてもよい。
【0119】
したがって、本発明は、調節性T細胞の過剰生産若しくは低生産、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患若しくはアレルギー性疾患、調節性T細胞量の変化に関連している疾患、或いは自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患若しくはアレルギー性疾患、又は調節性T細胞量の変化に関連している疾患を診断するのに使用するためのキットであって、生物学的サンプルの中の少なくとも1つの細胞の少なくともCD127の発現を分析するための薬剤(複数可)を含むキットも提供する。
【0120】
本発明は、病状、感染又は治療の経過の間に被験体の調節性T細胞の量のモニタリングするのに使用するためのキットであって、少なくともCD127の細胞の発現レベルを分析するために少なくとも1つの薬剤を含むキットも提供する。
【0121】
本発明は、被験体の病状又は感染のための治療に対する反応を、被験体の調節性T細胞の量に基づいて予測するのに使用するキットであって、少なくともCD127の細胞の発現レベルを分析するのために少なくとも1つの薬剤を含むキットをさらに提供する。
【0122】
本発明は、調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を単離するための方法であって、生物学的サンプルの中の少なくとも1つの細胞を分析し、細胞のCD127、CD4及びCD25の発現レベルを測定する、分析することを含み、CD127lowCD4CD25の発現が調節性T細胞又は調節性T細胞の集団及び単離された当該少なくとも1つの細胞を示し、当該少なくとも1つの細胞がCD127lowCD4CD25である方法をさらに提供する。
【0123】
分析する工程は、少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドについての細胞の発現レベルを測定することをさらに含んでもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、細胞表面に結合又は細胞内に存在してもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、CD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95を含んでもよい。
【0124】
当業者は、単離された調節性T細胞が、Treg数の増大、トランスフェクション及び/又は形質転換のようなin vitroの操作を含む(これらに限定されない)様々な用途に使用されてもよいことを認識するだろう。単離されたTregについての他の用途は、内因性のTregの低発現又はTregの異常発現を伴う疾患に対する治療のために被験体の中へのTregの注入を含んでもよい。したがって単離されたTregは、そのような治療の一部として、自己Treg移入及び/又はTregの養子移入に使用されてもよいことは明らかである。
【0125】
単離したTregは、Tregトランスクリプトームの定義、Treg同定のためのmRNAのプロファイリング又は抗体の調製、及び/又は機能的阻害のためにも使用されてもよいことは、当業者によりさらに認識されるだろう。
【0126】
本発明は、調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を単離する方法であって、生物学的サンプルの中の少なくとも1つの細胞の分析し、細胞のCD127の発現レベルを測定する、分析することを含み、サンプルの中の少なくとも1つの細胞があらかじめCD4及び/又はCD25の発現について分析されて、CD4及び/又はCD25であることが明らかになっており、CD127lowCD4CD25の発現が調節性T細胞又は調節性T細胞の集団及び単離された当該少なくとも1つの細胞を示し、当該少なくとも1つの細胞がCD127lowCD4CD25である方法をさらに提供する。少なくとも1つの細胞があらかじめCD4の発現について分析される場合、分析する工程は細胞のCD25の発現レベルを測定することをさらに含む。少なくとも1つの細胞があらかじめCD25の発現について分析される場合、分析する工程は細胞のCD4の発現レベルを測定することをさらに含む。
【0127】
分析する工程は、少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドについての細胞の発現レベルを測定することをさらに含んでもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、細胞表面に結合又は細胞内に存在してもよい。少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドは、CD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95を含んでもよい。
【0128】
本明細書において開示された方法により単離した場合、本発明は少なくとも1つの調節性T細胞をさらに提供する。
【0129】
本発明は、本明細書において開示された方法により単離した場合、少なくとも1つの調節性T細胞を使用する調節性T細胞治療法のための方法をさらに提供する。
【0130】
当業者は、調節性T細胞が、血液、リンパ液若しくは胸腺を含む(これらに限定されない)様々な細胞株又は体液又は組織中に同定、定量化及び/又は単離されてもよいことを認識するだろう。
【0131】
本発明の特定の実施形態は、CD127、CD4、CD25、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95の発現の検出、並びにTregレベルの測定のために、他の分子なしで又は他の分子と共に、CD127、CD4、CD25、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95に対して作製された1つ又は複数の抗体の使用を提供する。抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体であってもよく、抗原としてCD127、CD4、CD25、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95若しくはその抗原性断片又はその部分の使用により作製されてもよい。抗体結合は、CD127一次抗体、CD4一次抗体、CD25一次抗体、Foxp3一次抗体、CTLA−4一次抗体及び/又はCD95一次抗体に対する検出可能な標識によって検出されてもよい。或いは、抗CD127抗体、抗CD4抗体、抗CD25抗体、抗Foxp3抗体、抗CTLA−4抗体及び/又は抗CD95抗体は、検出を可能にするために適切に標識される二次抗体又は試薬による結合によって検出されてもよい。様々な方法は、免疫測定法での結合の検出について当技術分野において既知であり、本発明の範囲内である。例えば、CD127、CD4、CD25、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95レベルの測定は、例えば、酵素免疫測定法(ELISA)、サンドイッチ免疫測定法、免疫放射定量測定法(IRMA)、放射免疫測定法(RIA)、免疫電気泳動測定法、in situ免疫測定法、免疫拡散測定法、免疫蛍光測定法、ウェスタンブロット、リガンド結合測定法等を含む、当技術分野において既知の多くの技法のうちのいずれか1つにより達成することができる。或いは、CD127、CD4、CD25、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95レベルの測定は、上で記述されるような抗CD127抗体、抗CD4抗体、抗CD25抗体、抗Foxp3抗体、抗CTLA−4抗体及び/又は抗CD95抗体を使用して、フローサイトメトリー(蛍光活性化細胞選別(FACS)を含んでいてもよいし、又は含んでいなくてもよい)により達成することができる。
【0132】
本発明の方法における使用のために適切な抗体は、当技術分野において既知の技法を使用してCD127に対して作製することができる。適切な抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、Fab断片、及びFab発現ライブラリーを含むが、これらに限定されない。
【0133】
適切な抗体は、CD127、CD4、CD25、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95ポリペプチドの不連続部位又は断片から調製されていてもよい。抗原性のCD127、CD4、CD25、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95のポリペプチドは、少なくとも約5アミノ酸、及び典型的には少なくとも約10アミノ酸を含む。
【0134】
適切な抗体の生成のための方法は、当業者により容易に認識されるだろう。例えば、典型的にはFab部分を含む、抗CD127モノクローナル抗体、抗CD4モノクローナル抗体、抗CD25モノクローナル抗体、抗Foxp3モノクローナル抗体、抗CTLA−4モノクローナル抗体及び/又は抗CD95モノクローナル抗体は、抗体−実験用マニュアル(Antibodies-A Laboratory Manual)、 Harlow and Lane, eds., Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y. (1988)に記述されているハイブリドーマ技術を使用して調製されていてもよい。本質的には、HbA1、その断片又はそのアナログに対するモノクローナル抗体の調製において、培養における継続的な細胞株による抗体分子の産生を提供する任意の技法が使用されてもよい。これらは、Kohler et al., Nature, 256:495-497 (1975)によりもとは開発されたハイブリドーマ技法、並びにトリオーマ技法(ヒトB細胞ハイブリドーマ技法)[Kozbor et al., Immunology Today, 4:72 (1983)]、及びヒトモノクローナル抗体を産生するEBVハイブリドーマ技法[Cole et al, in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, pp. 77-96, Alan R. Liss, Inc., (1985)]を含む。不死化抗体産生細胞株は、腫瘍形成性のDNAによるBリンパ球の直接的な形質転換、又はエプスタインバーウイルスによるトランスフェクションのような、融合以外の技法により作製することができる。例えば、M. Schreier et al.著「ハイブリドーマ技法(Hybridoma Techniques)」(1980)、Hammerling et al.著「モノクローナル抗体及びT細胞ハイブリドーマ(Monoclonal Antibodies and T-cell Hybridomas)」(1981)、Kennett et al.著「モノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies)」(1980)を参照。
【0135】
本発明を実行するのに役立つモノクローナル抗体は、適切な抗原特異性の抗体分子を分泌するハイブリドーマを含む培養液から成るモノクローナルハイブリドーマ培養を開始することによって産生することができる。培養は、ハイブリドーマが培地へ抗体分子を分泌するのに十分な条件下で、且つ十分な期間維持される。次に、抗体含有培地を回収する。次に、抗体分子を周知の技法によりさらに単離してもよい。
【0136】
同様に、ポリクローナル抗体、若しくはその断片又はそのアナログの産生のために使用されてもよい当技術分野において既知の様々な手順がある。ポリクローナル抗体の産生のために、ウサギ、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギなどを含む(これらに限定されない)様々な宿主動物は、CD127ポリペプチド、CD4ポリペプチド、CD25ポリペプチド、Foxp3ポリペプチド、CTLA−4ポリペプチド及び/又はCD95ポリペプチド、若しくはその断片又はそのアナログによる注射により免疫付与することができる。さらに、CD127ポリペプチド、CD4ポリペプチド、CD25ポリペプチド、Foxp3ポリペプチド、CTLA−4ポリペプチド及び/又はCD95ポリペプチド若しくは断片又はそのアナログは、免疫原性キャリア、例えばウシ血清アルブミン(BSA)、キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)に結合することができる。さらに、免疫反応を増加するためにフロインド(完全及び不完全)、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル、リゾレシチンのような界面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシニアン、ジニトロフェノール、並びにBCG(カルメット・ゲラン桿菌)及びコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)のような潜在的に有用なヒトアジュバントを含む(これらに限定されない)様々なアジュバントが使用されてもよい。
【0137】
所望の抗体のためのスクリーニングも当技術分野において既知の様々な技術により達成することができる。抗体の免疫特異的な結合のための測定法は、放射免疫測定法、ELISA(酵素免疫測定法)、サンドイッチ免疫測定法、免疫放射定量測定法、ゲル内拡散沈降反応、免疫拡散測定法、in situ免疫測定法、ウェスタンブロット、沈降反応、凝集反応測定法、補体結合測定法、免疫蛍光測定法、プロテインA測定法、及び免疫電気泳動測定法等を含んでもよいが、これらに限定されない(例えば、Ausubel et al., eds, 1994,著「分子生物学における最新のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology), Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New Yorkを参照)。
【0138】
さらに又は或いは、CD127、CD4、CD25、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95のレベルの測定は、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含むPCRにより達成することができ、そのようなPCRにおける使用のためのCD127、CD4、CD25、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95をコードするポリヌクレオチドに対して特異的なプライマーが当業者によって容易に設計できる。
【0139】
典型的には、本発明の方法によれば、ポリヌクレオチド発現の分析はPCR増幅により行なわれる。増幅産物は、核酸シークエンシングによりさらに分析されてもよい。PCR増幅は、細胞から抽出されたポリヌクレオチドで行なわれてもよく、或いは配列は、事前のポリヌクレオチドを精製する工程の必要なく直接増幅されてもよい。
【0140】
PCR増幅反応、続く断片の解像及び核酸シークエンシングのために用いられる方法及び試薬は、当業者に周知である。各々の場合において、適切なプロトコル及び試薬は主として個々の状況に依存する。指導書は、様々な出典、例えばSambrook et al.著「分子クローニング:実験用マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」, Cold Spring Harbor, New York, 1989、及びAusubel et al.著「分子生物学における最新のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」, Greene Publ. Assoc, and Wiley-Intersciences, 1992のようなものから得られてもよい。当業者は、所望の産物を得る能力に影響せずに、これらの手順の様々なパラメーターが変更されてもよいことを容易に認識するだろう。例えば、PCR増幅の場合には、塩濃度は変更されてもよく、又は変性工程、アニーリング工程及び伸張工程の1つ又は複数の時間及び/又は温度が変更されてもよい。同様に、鋳型として使用されるポリヌクレオチドの量も、利用可能なポリヌクレオチドの量又は効率的な増幅のために必要な最適量の鋳型に依存して変更されてもよい。
【0141】
典型的には本発明の方法及びキットで用いられるためのオリゴヌクレオチドは、一般的には15〜30の塩基長のオリゴヌクレオチドである。そのようなオリゴヌクレオチドは、例えば適切な配列の直接化学合成又はクローニング及び制限を含む任意の適切な方法により調製することができる。オリゴヌクレオチド中のすべての塩基が、オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする鋳型分子の配列を反映する必要はなく、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドが鋳型にハイブリダイズすることを可能にするのに十分な相補的な塩基を含むことだけが必要である。オリゴヌクレオチドは、鋳型中の塩基に相補的ではないが、むしろ塩基の伸張又は増幅に際してポリヌクレオチドへ変化を取り込むように設計されている塩基である、1つ又は複数の位置でのミスマッチ塩基を含んでもよい。オリゴヌクレオチドは、増幅されたポリヌクレオチドのクローニングを促進するために、例えば5'末端での制限酵素認識配列の形で追加の塩基を含んでもよい。
【0142】
Tregレベルを測定する本発明の方法は、対象となる被験体、例えば自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患若しくはアレルギー性疾患、又はTreg量の変化に関連する疾患に罹患した疑いのある個体、或いはそれらの素因を有する個体から得られたサンプル中のTregのレベルを、1つ又は複数の対照サンプル由来のTregのレベルと比較する工程を含んでもよい。典型的には、対照サンプルは、正常レベルのTregを有する被験体由来のサンプルであってもよい。
【0143】
本発明は、Tregレベルの測定のためのキットも提供し、キットが本発明の方法の利用を促進する。典型的には、本発明の方法を行なうためのキットは、この方法を行なうために必要な試薬をすべて含んでいる。例えば、一実施形態において、このキットは、CD127、CD4、CD25、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95に対して作製された抗体を含む第1の容器と、検出可能な標識と共に抗体の結合パートナーから成る結合物を含む第2の容器とから成ってもよい。
【0144】
典型的には、上で記述されたキットはまた、例えば、洗浄試薬、及び/又は、結合された抗体の存在を定量的に検出することができる他の試薬を含む、1つ又は複数の他の容器から成る。好ましくは、検出試薬は標識された(二次)抗体を含むか、又はCD127、CD4、CD25、Foxp3、CTLA−4及び/又はCD95に対して作製された抗体自体が標識された場合には、コンパートメントは、標識された抗体と反応することができる抗体結合試薬から成る。
【0145】
本発明の文脈において、コンパートメント化された(compartmentalised:区画化)キットは、試薬が別々の容器に含まれており、小さなガラス容器、プラスチックの容器、又はプラスチック若しくは紙のストリップを含んでもよい任意のキットを含む。そのような容器は、サンプル及び試薬の二次汚染(cross-contamination)を回避しながら1つのコンパートメントから他のコンパートメントへの試薬の効率的な移行、及び定量的様式で1つのコンパートメントから他のコンパートメントへの各々の容器の薬剤又は溶液の追加を可能にし得る。そのようなキットはまた、試験サンプルを受け入れる容器と、分析で使用する抗体(複数可)を含む容器と、洗浄試薬(リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝液等のような)含む容器と、検出試薬を含む容器とを含んでもよい。
【0146】
典型的には本発明のキットは、適切な方法を行うようにキット構成要素を使用するための取扱説明書も含む。
【0147】
本発明の方法及びキットは、ヒト及び、例えばヒト以外の霊長類、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、トリ、ネコ及びイヌの種を含む他の動物を含む任意の動物に、等しく適用可能である。したがって、異なる種への応用については、本発明の単一のキットが適用可能であってもよく、又は或いは、例えば各々の個々の種に対して特異的な試薬を含む異なるキットが必要であってもよい。
【0148】
本発明の方法及びキットは、Tregレベルを測定することが望ましい任意の状況における適用を見出す。本発明は、Tregの低発現又は過剰発現の診断、及びアレルギー性疾患、自己免疫性疾患、免疫不全に関連した自己免疫性疾患、環境抗原に対する不適当な免疫反応により引き起こされた疾患、炎症性腸疾患、免疫の関与をともなう炎症性疾患、免疫反応自体が疾患を引き起こす感染症、移植病、癌及びウイルス感染のような、Tregの低発現若しくは過剰発現の症状又はそれらの素因の診断においても適用を見出す。
【0149】
同様に、本発明の方法及びキットは、霊長類、及び本明細書において検討された他の種を含む(これらに限定されない)動物の検査及びスクリーニングにもまた適用されてよい。
【0150】
本発明は、これより、以下の具体的な実施例に対する参照によりさらに詳しく記述され、本発明の範囲を限定する任意の方法で解釈されるべきではない。
【実施例】
【0151】
一般的な方法
サンプル
末梢血は、健康な成人のドナー及び炎症性腸疾患を有する患者から得られた(Centenary Institute)及びRoyal Prince Alfred Hospital, Camperdown, NSW, Australia)。軟膜は、オーストラリアの赤十字血液サービス(Australian Red Cross Blood Service)(Sydney, NSW, Australia)から得られた。Nepean Hospital, Penrith, NSW, Australiaからの臍帯血サンプルは胎盤娩出直後に臍帯静脈から得られた。新生児は、満期であり、血液学的異常や感染合併症を有していなかった。正常な胸腺標本は、Children's Hospital, Westmead, NSW, Australiaで矯正心臓外科手術を受ける1〜7ヶ月齢の子供由来のものであった。研究は、児童倫理委員会(Children Ethics Committee)のためのシドニー中部及び西部領域の保健サービス(Central and Western Sydney Area Health Services)及びRoyal Alexandra Hospitalの承認により行なわれた。
【0152】
他のすべてのヒト末梢血サンプルは、患者の完全な同意及び適切な倫理委員会の承認により得られた。マカクの研究は、メルボルン大学及びCSIRO畜産業動物実験(Livestock Industries Animal Experimentation)及び倫理委員会の承認により実行された。
【0153】
標本からのCD4 T細胞の単離
末梢血、軟膜及び臍帯血単核細胞はフィコールパック勾配(Lymphoprep, Nycomed, Oslo, Norway)における遠心分離により調製された。
【0154】
胸腺の新鮮な手術標本は、80ゲージのステンレス鋼メッシュを通して引き裂くこと及びゆっくりしたピペッティングにより塊を分散させることによって分離された。リンパ節は腸の手術標本中に同定され、腸壁から切り取られ、80ゲージのステンレス鋼メッシュを通して引き裂くこと及びゆっくりしたピペッティングにより塊を分散させることによって分離された。単一細胞懸濁液はすべて液体窒素中で凍結保存され、フローサイトメトリーによる分析のためにバッチで染色された。
【0155】
抗体及びフローサイトメトリー
抗CD4モノクローナル抗体、抗CD25モノクローナル抗体及び抗CD45ROモノクローナル抗体(mAb)(それぞれ、クローンOKT4、7GB6及びUCHTL−1)は、標準的なプロトコルによるAlexa488(Molecular Probes, Oregon, USA)及びFITC(Sigma)で標識された。ヒト分子に対する特異性を有する以下のマウスmAbが、この研究で使用された:ビオチン−、Alexa488−、FITC−、PE−、PerCp又はPECy5結合した抗CD3、抗CD4、抗CD5、抗CD8、抗CD38、抗CD40L、抗CD44、抗CD45RA、抗CD45RO、抗CD54、抗CD56、抗CD57、抗CD58、抗CD62L、抗CD69、抗CD71、抗CD74、抗CD84、抗CD95、抗CD95L、抗CD103、抗CD122、抗CD134、抗CD152、抗HLA−DR、抗CXCR4、抗CXCR5(PharMingen, SanDiego, CA)、抗CD21、抗CD23、抗CD25、抗GITR(BD Biosciences, San Jose, CA)、抗CD27(Ancell, Bayport, MN)、抗CD28、抗CD30(Miltenyi Biotec GmbH, Gladbach, Germany)、抗CD70、抗CD127、抗CD244(Immunotech, Marseille, France)、抗CD148、抗CD150(DNAX Research Institute, Palo Alto, CA)、抗CD11a(Caltag, Burlingame, CA)及びFox P3(eBioscience又はBiolegend)。ビオチン複合体は、Alexa594(Molecular Probes)又はPerCp(PharMingen)と結合したストレプトアビジンにより生じた。PE−及びFITC結合した抗マウスmAb(Southern Biotechnology, Birmingham, AL)を使用して、非結合抗CCR7(PharMingen)を検出した。
【0156】
単細胞懸濁液を5%FCSと5mMのアジ化ナトリウムとを含むPBSで洗浄した(FACS洗浄)。FACS洗浄において、5×10個の細胞のアリコートを96ウェルの丸底PVCマイクロタイタープレート(ICN, Costa Mesa, CA)で染色した。細胞を洗浄し、必要に応じて、1%ホルムアルデヒドで固定した。2%パラホルムアルデヒドにおける固定の後に細胞内染色を行ない、その後浸透させ、0.1%サポニンを含む緩衝液で染色した。製造業者の取扱説明書に従って、FoxP3に対する染色を行った。前方散乱プロファイルと側方散乱プロファイルとに基づいてリンパ球についてゲートされた全量1×10個の染色した細胞(events)をFACSCalibur(商標)(Becton Dickinson, Mountain View, CA)又はFACSVantage(商標)(BD Biosciences)を使用して回収した。FlowJoプログラム(Treestar, San Carlos, CA)を使用して分析を行った。
【0157】
蛍光活性化細胞選別
軟膜単核細胞(5×10)は、ストレプトアビジン−Alexa594又はストレプトアビジン−PerCPで生じたCD4−FITCモノクローナル抗体、CD25−APCモノクローナル抗体、CD127−PEモノクローナル抗体及びCD45RA−ビオチンモノクローナル抗体の組み合わせによって染色された。選別前にAutoMacs(商標)(Miltenyi Biotech)を使用して、抗FITCビーズ(Miltenyi Biotech GmbH)による正の選択が行われた。胸腺細胞(5×10)は、CD4−PE−Cy5.5、CD3−PE、CD8−APC CD25−Alexa488、及びCD45RA−ビオチンmAbの組み合わせで染色された。FACSVantage(商標)又はFACSAria(商標)細胞分別装置を使用して、分別を行った。
【0158】
リアルタイムqPCR
RNA抽出のために、全RNAは、トリゾール(Invitrogen, Life Technologies)での溶解後に1〜5×10個の分別細胞から抽出された。Superscript IIリバーストランスクリプターゼ及びオリゴ(dT)2−18プライマー(Invitrogen)を最終容量20μlで使用して、サンプル全体を逆転写させた。リアルタイム定量PCR(RT qPCR)のために、反応混合物(18μl)は、2μlのcDNAと、10μlのPlatinum SYBR Green SuperMix UDG(Invitrogen)と、0.25pmolのフォワードプライマー及びリバースプライマーとを含んでいた。qPCRは、Rotor−Gene3000システム(Corbett research)で行った。アンプリコンがイントロン/エキソン境界にかかり、ゲノムDNAの増幅が最小限になるように、プライマーを設計した。プライマー配列は以下のようなものであった:Foxp3センス、GGCAAATGGTGTCTGCAAGTG(配列番号1)及びアンチセンス、GGATGATGCCACAGATGAAGC(配列番号2)。他の遺伝子に対するプライマー配列は、GATA3センス AACTGTCAGACCACCACAACCACAC(配列番号3)、GATA3アンチセンス GGATGCCTTCCTTCTTCATAGTCAGG(配列番号4)、T−betセンス CACTACAGGATGTTTGTGGACGTG(配列番号5)、T−betアンチセンス CCCCTTGTTGTTTGTGAGCTTTAG(配列番号6)であった。プライマーは、Invitrogenにより供給された。β−アクチンに対するプライマーは、以下のようなものであった:センス TCGACAACGGCTCCGGCATGTGCAAG(配列番号7)及びアンチセンス AGCCACACGCAGCTCATTGTAGAAG(配列番号8)(Sigma Genosys, Australia)。
【0159】
Foxp3、T−bet及びGATA−3に対するRT−qPCRを以下の条件下で行った:段階1:94℃で5分間;段階2:94℃で20秒間、58℃で20秒間及び72℃で20秒間。75℃で15秒間のさらなる工程を加えて、プライマー二量体バックグラウンドを低減させた。45サイクルの増幅を行った。β−アクチンに対して正規化することによって、Foxp3、T−bet及びGATA−3の相対発現を求めた。
【0160】
in vitroの抑制の分析
in vitroの抑制分析は、96ウェルの丸底ウェルプレート中の、5%熱不活性化FCS、2mMのL−グルタミン、100U/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシンを追加したRPMI 1640から成る培地中で実行された。すべてのウェルは、5×10個のAPC、2×10個のレスポンダー細胞(responder cells:キラー細胞)(選別されたCD4CD25CD45RA細胞又はCD4CD25細胞)及び0.25μg/mlの抗CD3(UCHT−1又はHit3a、PharMingen)を含んでいた。各々のウェルに加えられたサプレッサー細胞の推測上の数は、2×10、0.5×10、2×10又は0のいずれかであり、それぞれ1:1、0.25:1、0.1:1又は0:1のサプレッサー細胞対レスポンダー細胞の最終的な比率を与えた。対照培養では、レスポンダー細胞がサプレッサー細胞の代わりに加えられた。CFSE分析については、レスポンダー細胞はCFSEにより標識され、細胞分裂はフローサイトメトリーを使用して72時間後に測定された。増殖のパーセントは、レスポンダー細胞のみを含む対照ウェル中で分裂した細胞の平均の数に対して計算された。チミジン分析については、3日間、4日間又は5日間の培養後に培養物がパルスされた予備実験は、抑制の程度がその期間にわたって安定していることを示し、したがって、続く培養物はすべて72時間でのHTdRによりパルスされ、16時間後に採取されて、CFSE及びチミジンの分析の直接的な比較を可能にした。
【0161】
サイトカイン(IFN−γ、IL−4、IL−5、IL−10)は、製造業者の取扱説明書に従ってOptEIAキット(BD)を使用して測定された。これまでに記述されたように、トランスウェル分析は24ウェルプレートにおいて実行された(15)。
[実施例1]
【0162】
ヒト及びマウスのCD4T細胞によるCD25の発現、及びそれらの同定及び単離のための代替戦略
図1A及び図1Bは、マウス及びヒトのCD4T細胞によるCD25の発現における差を示す。マウス末梢血において、6%のCD25を発現する細胞の別個の集団は、陰性の集団とは明らかに識別可能である(図1A)。10%のCD4T細胞による発現の同じようなプロファイルは、ヒト臍帯血中に見られる。しかしながら、成人血のCD4T細胞についてのプロファイルは、分離した亜集団として識別可能なCD25を最も高いレベルで発現する細胞はわずか1〜2%であるが、98%の他の細胞における発現レベルは中間から真の陰性に及んでいるというように、全く異なる。臍帯血プロファイル(点線、図1B)により示されたレベルでのゲートの設定は、成人の末梢血中でCD4T細胞の大多数の集団を横断する。同じようなゲートジレンマはヒトのリンパ節により提起されるが、マウスのリンパ節では提起されない。種間差に対する主要原因は、ヒト末梢血CD4T細胞の大部分における中間レベルの発現であり、それは抗原による感作を受けた「従来の」CD4細胞に対応する。CD4T細胞の多量の画分が活発に分裂している(図1A「刺激された」、これはRAG−/−動物を再構成する恒常性を保って分裂する集団を示す)マウスにおいてでさえ、従来の活性化T細胞におけるCD25の発現の平均のレベルは、CD25Tregの同定を著しく妨害しない。ヒト抗原による感作を受けた「従来の」CD4T細胞の大多数に対する高親和性IL−2受容体の発現の生理的な意義は、不明瞭なままである。
【0163】
図1A及び図1Bにおいて実証された染色パターンの1つのさらなる態様は、ヒト成人血中でCD25bright細胞の別個の集団が、CD4の発現のわずかな減少を示すということである。この減少は、マウスにおけるCD25Tregの全集団中でも明らかである。残念なことにこの減少は、Tregを、抗原による感作を受けた従来のT細胞から識別するためのゲート戦略での使用を可能にするほどは多量ではない。しかしながら、マウスのモデルにおける本発明者らの研究は、CD25の構成的発現のように、CD4の減少した発現がTregの非常に安定した表現型のマーカーを表わすことを示した。これとは対照的に、従来のT細胞は、in vivoにおける活性化に際してCD4の発現を上方調節する。
【0164】
39個のマーカーの検査が、CD25を中間レベルから高レベルで発現するCD4細胞中の亜集団を同定する能力を測定するために試みられた(CD25int−hi、図1において点線により同定される)。マウスで有用なマーカーがヒトにおいて正確にTregを区別できるか否かを検査するために、マウス及びヒトの染色パターンが比較された(図1C)。このデータは、マウスのデータに基づいたヒトのパターンの予測は可能ではないことを示す。さらなるヒトマーカーを成人血に対して検査した。CD45RAの発現は、胸腺、臍帯血、成人血、リンパ節及び胸腺に存在する「ナイーブ」Tregの集団を同定した。しかしながらCD45RARO集団内で、マーカーのどれも、CD127(図2)以外に、Treg及び抗原による感作を受けた細胞(図1D)により差異的に発現されなかった。CD45RO、CD58及びCD95と異なり、TregにおけるCD127の発現レベルはナイーブT細胞よりも低かったが、抗原による感作を受けた細胞における発現はより高かった。したがって、CD127細胞対CD25細胞のプロファイルは、CD4対CD25のプロファイルに類似していたが、CD127の発現の範囲はより大きく、フローサイトメトリー選別によるヒト成人血Tregの分離を可能にした。特に興味深いのは臍帯血プロファイルであり、図1において単一集団に見えたものはCD127の発現についての染色後に2つの集団に明らかに分離されたことだった。
[実施例2]
【0165】
CD127の発現は、ヒトCD25CD4T細胞の2つの集団を区別する
様々なリンパ組織におけるCD25CD4T細胞の2つの集団を区別するCD127の発現の能力は、CD4、CD25及びCD127に対するmAbによって、正常成人血、リンパ節、臍帯血及び胸腺の染色サンプルで検査された。
【0166】
成人血は、CD127hi細胞の大多数の集団とは異なるCD25CD127lo細胞の集団を含んでいた(図2a)。CD25CD127lo集団に加えて、リンパ節はかなりの数のCD25CD127loT細胞も含んでおり、それは少数の正常成人由来の血液において顕著であった(図示せず)。臍帯血では、抗CD127による染色は、これまでに主張されたように、CD25集団が均質ではなく(27)、むしろCD25CD127lo細胞及びCD25CD127hi細胞の混合物から成ることを明らかにした。胸腺において、CD25を発現する抗原による感作を受けた細胞が存在しない場合には、最も高いレベルのCD25を有する細胞はCD127の中間の発現を保持した(図2a)。
[実施例3]
【0167】
CD4CD25T細胞におけるFoxP3とCD127との発現の間の逆相関性
CD25CD127lo集団中のFoxp3タンパク質の発現を測定するために、成人血及び臍帯血、リンパ節及び胸腺由来の細胞は、Foxp3及びCD127に対するmAbにより共染色された(図2b)。血液及びリンパ節では、FoxP3細胞の集団はCD127loであり、図2aにおけるCD25CD127lo細胞の集団の大きさに類似していた。これとは対照的に、胸腺のFoxP3集団は、CD25CD127lo集団よりもかなり多かった。末梢血では、CD4CD127lo細胞(図2c、左上パネル中のようにゲートされた)の87%は、CD25Foxp3ゲート内にあり(図2c、左下パネル)、反対に、CD25Foxp3細胞の84%は、CD4CD127loゲート内に検出された(図2c、右側のパネル)。しかしながら、胸腺のCD4CD8T細胞において、Foxp3細胞の45%はCD25であり(図2d、右下パネル)、それゆえにCD25CD127lo細胞はFoxp3細胞よりも有意に小さな集団から成っていた。それにもかかわらず、胸腺のCD4CD8Foxp3細胞はすべてCD127loであった。したがって、CD25、CD127及びFoxP3の発現は、胸腺と末梢血との間で異なっていた。
[実施例4]
【0168】
FoxP3の発現とCD127lo表現型との間の相関性
制御活性を有するナイーブCD4CD45RACD25細胞のサブセットがFoxP3CD127lo表現型も有するか否かを検査するために、本発明者らは、CD3、CD4、CD45RA、CD25、CD127及びFoxP3に対するmAbにより成人血、リンパ節及び臍帯血細胞を染色した(図3a)。CD3CD4細胞はCD45RAサブセット及びCD45RAサブセットへ分離され、Foxp3ゲート内のCD25CD127lo細胞のパーセンテージが計算された。すべての組織において、全Foxp3細胞の90%超はCD25CD127loであったが、残りの細胞はCD25intCD127hiであった。さらに、CD127hi細胞の比率はCD45RAFoxp3サブセット及びCD45RAFoxp3サブセット内で同様であった。
【0169】
CD25CD127lo集団及びCD25FoxP3集団中の細胞のパーセンテージ間の相関性の強さを求めるために、9人の健康なボランティア由来の末梢血サンプルを分析した(図3b)。CD45RAサブセット及びCD45RAサブセットの両方において、2つのゲート内の細胞数は非常に類似しており、末梢血におけるCD25FoxP3細胞の数とCD25CD127lo細胞の数が強く相関することを示した。
[実施例5]
【0170】
健康なボランティアの末梢血におけるCD4CD25CD127lo細胞の数
正常なレベルの循環しているCD4CD25CD127lo細胞を定義するために、43人の健康なボランティアの集団由来の末梢血サンプルを調べた(図4)。CD4T細胞のパーセンテージとしてのCD45RACD25CD127lo細胞の平均数(±SEM)は、4.29±0.24%であったが、CD45RACD25CD127lo細胞のパーセンテージは2.05±0.14%であり、CD4T細胞は合計で6.35±0.26%であった(図4b)。これは、本発明者らによりこれまでに観察されたマウス血液におけるCD4T細胞の6.42±0.50%の図と一致しており(Tan and Fazekas de St Groth、未発表データ)、ヒト末梢血における1〜2%の従来の推測とは対照的であった(19)。さらに、エフェクター/メモリーTreg対ナイーブTregの比率は(図4a)、マウスについてこれまでに本発明者らが求めたエフェクターTreg対ナイーブTregの2:1比率の類似していた(Higgins and Fazekas de St Groth、未発表データ)。
【0171】
次に本発明者らは、CD4/CD25/CD45RA染色を使用して、末梢血におけるナイーブTregの数が年齢に応じて減少することを実証し、胸腺退縮の効果が示唆された(図4C)。この減少は、これまでに記述された、年齢にともなうCD45RAT細胞の消失に部分的にのみ起因した。これとは対照的に、CD45RATregのパーセンテージは、末梢血白血球内のCD4T細胞のパーセンテージと同様に、一生を通じて比較的安定していた。
[実施例6]
【0172】
CD127及びCD25の発現に基づいて選別されたCD4T細胞のサブセットにおける転写因子についてのmRNAの測定
本発明者らは、末梢血CD4T細胞の選別されたサブセット内のFoxp3 mRNAのレベルを測定した(図5a)。CD25CD45RACD127lo細胞(集団1)はCD25CD45RACD127hi細胞(集団4、図5b)よりも100倍多くのFoxp3 mRNAを発現した。中間レベルのFoxp3 mRNAは、CD25CD45RACD127hi細胞(集団3)及びCD25CD45RACD127lo細胞(集団2)で存在した。他方では、集団2はT−bet(Th1エフェクター機能のマスター調節因子)について最も高いレベルでmRNAを発現したが、GATA3(Th2機能のマスター調節因子)は等しくすべての集団で発現された(図5c)。これらの結果は、集団2がCD127loエフェクター細胞を含むことを示す。CD45RA画分内で、CD25CD127lo細胞は、ナイーブCD25CD127hi細胞よりも100倍多いFoxp3を発現した(図5b)。
【0173】
臍帯血において、CD25CD127lo細胞は対応するナイーブCD4CD25細胞よりも500倍多いFoxp3 mRNAを発現した(図5b、右側のパネル)。対応する成人集団(集団3、図5b)について実証されるように、抗原による感作を受けたT細胞のCD25intCD127hi集団(集団8)は、中間レベルのFoxp3を発現した。
[実施例7]
【0174】
CD127染色に基づいて選別されたサブセットによるin vitroの抑制
CD45RAサブセット及びCD45RAサブセットへ分割された成人血のCD4T細胞は、図6a(左パネル)において図示されたゲートに従って選別された。選別されたCD45RACD25自己細胞(集団5)を、抑制活性を測定するために、共培養においてレスポンダー細胞として使用した。細胞増殖の指標としてチミジン(図6b)又はCFSE(図示せず)のいずれかを使用する分析は、各々のCD45サブセット(集団1及び集団3、図6b)内のCD25CD127loT細胞のみがin vitroの抑制を媒介したことを示した。CD45RATregは、それらのCD45RA相当物と同じくらい有力であった。臍帯血分析については、臍帯血細胞の大部分がある程度までCD45RAを発現するので、CD45アイソフォーム発現は細胞をさらに分けるためには使用されなかった。図6a(右側パネル)におけるゲートに従って選別されたCD25CD127loサブセット及びCD25CD127hiサブセットは、CD4CD25CD127hi自己レスポンダー細胞(集団8)と共培養された。前と同じように、チミジン(図6b)及びCFSE分析(図示せず)の両方は、CD4CD25細胞の抑制活性が、CD127loサブセット(集団6、図6b)に限定されることを示した。
【0175】
これまでの報告は、CD25int細胞ではなくCD25bright細胞が抑制活性を有していることを示した(19)。しかしながら、それらの研究において、CD25intゲートにおける大多数の細胞は、CD45RACD127hiの従来のT細胞(集団2、図6a、図6b)であり、それによって分析における抑制の効率が損なわれる。異なるレベルのCD25を発現するCD45RACD127lo細胞の抑制活性を比較するために、CD45RAサブセット及びCD45RAサブセットへ分割された成人血CD4T細胞は、図6cにおいて図示されたゲートに従って選別された。すべての3つのCD45RACD25CD127lo集団(集団9〜集団11)は、抑制活性を示し(図6d、左下のパネル)、高レベルのFoxP3の発現と一致している(図2)。さらに、3つの集団はすべて、レスポンダー細胞によるIFNγ産生を抑制し、集団10及び集団11は少量のIL−10を分泌した。IL−4又はIL−5の分泌はいかなる培養においても全く検出されなかった(データ図示せず)。興味深いことには、CD45RACD25CD127lo細胞(集団12)は、増殖及びIFNγ産生のある程度の抑制を示し、それらはFoxP3タンパク質を発現しなかったが、検出可能なレベルのIL−10を分泌した(図2及び図3)。
【0176】
Tregとレスポンダー細胞との間の細胞表面相互作用がCD25CD127lo細胞による抑制に必要か否かを検査するために、トランスウェル培養が実行された(図6e)。サプレッサー細胞とレスポンダー細胞との間の細胞間接触が阻害された場合、抑制は見られず、CD25CD127lo細胞による抑制におけるIL−10のような可溶性因子についての役割は除外された。実際はトランスウェル培養において、サプレッサー細胞を欠く対照培養と比較した場合、レスポンダー細胞の増殖は増大した(図6e)。
【0177】
総合して考えると、これらの結果は、臍帯血及び成人血の両方において抑制活性がCD25CD127lo細胞に限定されたことを示す。これとは対照的に、CD4CD25T細胞を2つの集団へ分割するHLA−DRのようなマーカーは、in vitroの活性の異なる範囲によりTregサブセットを区別する(28)。少ない割合のCD25FoxP3細胞(10%未満)は、CD127の高い発現を保持した(図3)。CD25CD127hi細胞の集団は全体として、標準のin vitroの分析において抑制活性を示さない(図6)。したがって、これらのデータは、FoxP3の発現がヒトT細胞で必須の抑制機能を常に与えるとは限らないことを示す。
[実施例8]
【0178】
IBD患者及び対照被験体におけるTreg数の比較
活性化T細胞からのTregの区別において、CD4/CD25/CD127/CD45RA染色戦略がさらなる明瞭さを与えたことを示したので、本発明者らは、43人の対照及び38人のIBD患者の集団由来の末梢血サンプルにこの方法を適用した(表1)。
【0179】
【表1】

【0180】
フローサイトメトリーのデータは、多くのゲート戦略を使用して、CD127依存的方法の使用の利点を明らかにするために分析された(図7)。従来の「CD25bright」及び「CD25int」戦略(図7aにおいてそれぞれゲートA及びゲートBと標識された)の両方は、対照と比較して、CD患者における統計的に有意な増加と共に、IBD患者において広範囲の値を示した。本発明者らは、CD45ROゲート(ゲートC、図7b)がCD25bightゲートに類似したCD45スプライス変異の差異的な発現に基づいた戦略をこれまでに使用したが、CD45RAゲートはナイーブTregの新規サブセットを定義した(ゲートD、図7b)。ゲートE及びゲートF(図7c)によって示されるように、本明細書において記述される新しいCD4/CD25/CD45RA/CD127染色戦略が適用された。前と同じように、CD患者は、CD45RATreg数の有意な増加を示した。ナイーブTregのパーセンテージの有意な減少は、CD患者及びUC患者の両方において見られた。
【0181】
図7のゲート戦略の適用の結果として、個々のサンプルについてTregのパーセンテージの異なる推測を示すために、本発明者らは、81人の患者及び対照の組み合わせ群についての様々なゲートの間の相関性を図示した(図8)。最も高い相関性(r>0.85)が、CD4/CD25/CD45RA戦略(ゲートC及びゲートD)に由来したデータと、それぞれ新しいゲートE及びゲートFに由来したデータとの間であった。ゲートB以外のゲートはすべて従来のT細胞による汚染を減少させるように試みて、CD25の発現が最も低いTregを排除したためにCD127loTreg数が過小評価された。ゲートBは、CD127hiCD25T細胞による汚染のために過大評価を与えた。したがって、新しい戦略に由来したデータは、他のゲート戦略からのデータと相関するが、数値は有意に異なる。
[実施例9]
【0182】
IBD患者におけるCD127loCD25Tregの加齢に関連した変化
末梢血においてナイーブTregの数が年齢に応じて減少すると主張するこれまでの報告とは対照的に、本発明者らは、ナイーブTregのパーセンテージがIBD患者にとって本質的に一定であったことを示し、それゆえに若年患者でのナイーブTreg欠損は、高齢患者においては明白ではなかった(図9a)。より若い患者における欠損の一部は、対照と比較して、患者におけるCD4CD45RA細胞のパーセンテージの減少のためであったが(図9b)、CD4細胞のパーセンテージ全体では差はなかった(図9e)。
【0183】
ナイーブTregとは対照的に、CD45RA(RO)Tregの数は、患者及び対照の両方において成人期を通じて安定していた(図9c)。CD45RATregは全Tregの大多数を成すので、全Tregの多くも一生を通じて安定していた。患者における全体的な免疫活性のより高い程度を反映して、CD4CD45RAT細胞の相互増加が、対照と比較して患者において見られ(図9d)、CD45RAT細胞のパーセンテージは患者及び対照の両方において年齢と共に増加した。
【0184】
図10は、3つの年齢集団へ分割された対照、CD患者及びUC患者におけるTregのパーセンテージの比較を与え、ナイーブTregにおける欠損が、15歳〜45歳のCD患者、及び15歳〜30歳のUC患者において統計的有意差に達したことを示した。対照的に、3つの集団のうちのいずれかの中にも、患者と対照との間で活性化されたTreg数及び全Treg数において有意差はなかった。
【0185】
図11において示されるように、ナイーブTregにおける欠損は疾患活性と無関係であり、治療によって影響されなかった。これは疾患発生率の若年ピークと相関性があったので、疾患を発症しやすい可能性がある原発性の異常を表わしているかもしれない。
[実施例10]
【0186】
IBD患者及び対照の腸粘膜及び腸間膜リンパ節におけるCD127loCD25Treg
血液の研究に加えて、本発明者らは、IBDの患者、又は憩室症若しくは失調症のために結腸を切除した患者から切除された新鮮な結腸の標本由来の粘膜及びリンパ節を得た。
【0187】
図12において示されるように、有意差は、CD患者及びUC患者の腸粘膜及び排水リンパ節におけるCD4T細胞中のCD25CD127loTregのパーセンテージの間で観察されなかった。このデータは、粘膜及びリンパ節におけるTregのパーセンテージが、末梢血よりも一般に高いことを示す(図4において示されたように)。
[実施例11]
【0188】
臍帯血、若年者及び高齢者の末梢血におけるTreg数及び機能の比較
この研究は、乳児期から後期成人期への調節性T細胞の数の変化を評価するために、細胞内のFoxP3染色対CD4/CD25/CD127の組み合わせを比較した。このデータは、図13〜図17において示されるように、CD45RAコンパートメントとCD45ROコンパートメントとの間の分布は著しく移行するが、Treg細胞のプールが一生を通じて狭い範囲内で維持されることを示す。この移行は、従来のT細胞の移行に匹敵する。
【0189】
健康な成人ドナー(年齢群20歳〜25歳及び60歳超)由来の末梢血は、静脈穿刺によって得られ、リチウム−ヘパリンチューブへ回収された。健康な満期新生児由来の臍帯血サンプルは、Nepean Hospitalにおいてクランプで留めた臍帯から出産直後に得られた。単核細胞はフィコール−ハイパック(Amersham Pharmacia, Piscataway, NJ)勾配遠心分離によって単離した。西部シドニー領域保健サービス(Western Sydney Area Health Services)の倫理委員会は研究を承認した。
【0190】
図13において、CD4CD25細胞についての従来のゲートは、若年(20歳〜25歳)の健康なドナー及び高齢(60歳超)の健康なドナー由来の、臍帯血及び末梢血のサンプルに対して適用された。この分析は、一生を通じてCD4CD25Treg細胞の有意な増加を示す。新しいマーカーの組み合わせを使用して、図14(上部のパネル)において示されように、この増加ははるかに少なく(図15、右側のパネル)、CD4及びFoxP3についての染色で見られた増加に匹敵していた(図15、左側のパネル)。図14の下部のパネルにおいて示されるように、CD45RAが分析に含まれていた場合、CD45RATregとCD45RATregとの数の間で相互関係は、3つの年齢集団の数における統計的に高い有意差により明らかだった(図16)。
【0191】
Tregの抑制機能が一生を通じて変化するか否か検査するために、抑制の分析は、図17の上部のパネルにおいて示されるように、CD4/CD25及びCD127による染色に基づいて選別された細胞を使用して実行された。これらの分析は、各々の3つの年齢集団のドナーから選別された細胞について同等の抑制機能を示した。したがって、CD45RA発現からCD45RORA表現型の発現への移行は、in vitroにおける機能的な活性に影響しない。
[実施例12]
【0192】
健康な高齢の患者対アルツハイマー病の高齢の患者における循環Treg数の比較
75歳を超えた4人の健常な個体由来の末梢血Tregは、アルツハイマー病を患う年齢の一致した5人の個体と比較された。この研究は、ラッシュ施設内倫理委員会(Rush Institutional Review Board)の承認によりラッシュ大学メディカルスクール(Rush University Medical School)で実行された。この研究の被験体の詳細は表2に示される。
【0193】
【表2】

【0194】
図18に示されたように、ナイーブTreg(CD4CD45ROCD127loCD25)中のT細胞の数、及び75歳を超えた個体における活性化/メモリーTreg(CD4CD45ROCD127loCD25)のコンパートメントは、非常に可変的であった。2つの被験者群の間で、差は見い出されなかった。
[実施例13]
【0195】
重症のアトピー性湿疹の患者対健康な対照における循環Treg数の増加
Westmead hospitalに通院する重症のアトピー性湿疹の患者(20,000I.U.の平均のIgEレベル)由来の末梢血は、CD4/CD25/CD127/FoxP3で染色された。患者のうちの1人についてのCD127対FoxP3による染色の比較は、図19に示される。健康な対照に関しては、FoxP3の発現とCD127loCD25表現型との間で明確な相関性があった。図20は、CD4CD25細胞の従来のゲート対CD4CD25CD127loゲートに由来したTreg数の比較を示す。前者は健康な被験体と湿疹患者との間で差を示さないが、新しいゲートは湿疹患者におけるTreg細胞の有意に高い増加を示す。
[実施例14]
【0196】
喘息のアトピー患者対健康な対照における循環Treg数の比較
末梢血サンプルは、表3に示されるような個体から得られた。
【0197】
【表3】

【0198】
図21に示されるように、3つの被験体群で全Treg(CD4CD25CD127lo)のパーセンテージ、又はナイーブCD4CD25CD127loCD45RATregのパーセンテージに有意差はなかった。
【0199】
さらなる比較は、図21中の集団に由来した患者に対して実行された(すなわち、非アトピーの対照群は両方のデータのセットにおいて同じである)。表4に示されるように、イエダニ(HDM)による48時間のin vitroの培養に際して産生されたIL5の量に関するデータは、アトピーのサブセット(IL5−群中の5人の喘息患者及びIL5群中の4人の喘息患者)に対して利用可能であった。
【0200】
【表4】

【0201】
図22に示されたように、喘息性群を培養においてHDMへの露出後に検出可能なIL−5を分泌した群及び分泌しなかった群へさらに分けることは、3つの群の間での全Treg(CD4CD25CD127lo)のパーセンテージに有意な差をもたらさなかった。しかしながら、CD4T細胞のパーセンテージとしてのナイーブCD25CD127loCD45RATreg、及びCD25CD127loCD45RATreg対CD25CD127loCD45RATregの比率の両方は、他の2つの群と比較して、IL5群において有意に増加した。したがって、HDM反応性喘息患者は、循環ナイーブTreg細胞の有意な増加、及び末梢血におけるナイーブTregと活性化/メモリーTregとの比率の増加を示す。
[実施例15]
【0202】
シェーグレン症候群の患者対健康な対照中の循環Treg数の比較
18人の原発性のシェーグレン症候群患者(すべて女性)及び17人の年齢の一致した健康な女性の対照由来の末梢血を、CD4/CD25/CD127/CD45RA mAbの組み合わせで染色した。原発性シェーグレン症候群はヨーロッパの基準に従って診断された(29)。図23に示されるように、ナイーブTreg細胞と全(しかし活性化されていない)Treg細胞とのパーセンテージは、シェーグレン症候群患者においてより高かった。この増加は年齢分布全体にわたって見られた。
[実施例16]
【0203】
HIV感染の異なるステージの患者における循環Treg数の比較
末梢血は、28人の進行性疾患のHIV患者(Rush University Medical Center, Chicago, IL)、10人の一次感染をともなう患者(セロコンバータ、St Vincents Hospital, Darlinghurst, NSW, Australia)、及び7人の免疫再構築症候群(IRD)を発症したHIV患者(St Vincent Hospital)から得られた。一次感染をともなう患者及び28人中の3人の後期疾患の患者以外のすべて患者は、抗レトロウイルスの薬剤による治療を受けていた。この研究は、中央領域保健サービス(Central Area Health Services)及びラッシュ施設内倫理委員会の承認で行なわれた。
【0204】
代表的なフロープロファイルは図24に示される。CD25CD127lo細胞の大量の増加があった場合には、CD4T細胞中のCD25及びCD127の発現パターンは、IRDの患者とは別に、HlVの患者において変わらなかった。CD45RO発現に基づいた細別は、IRD患者のTreg増加が主にCD4T細胞のCD45ROサブセット内であることを示した。
【0205】
CD25CD127lo集団内のFoxp3の発現を測定するために、IRDの患者由来の細胞は、CD4、CD25、Foxp3及びCD127に対するモノクローナル抗体の組み合わせにより染色された。CD4CD127loCD25細胞の96.7%及び97.8%(図25、左側のパネル)は、それぞれCD25Foxp3ゲート及びCD4CD127loFoxp3ゲートの97.8%内であった(図25、右側のパネル)。したがって、CD4CD25細胞内でのCD127lo表現型とFoxp3タンパク質の発現との間で高い一致率があった。
【0206】
図26に示されるように、CD45ROTregはIRDのHIV患者において有意に増加した。セロコンバータと比較して、一般に慢性HIV患者はより少数のナイーブTregを有しており、この差はARTにより治療されている進行性疾患の群において統計的有意差に達した。
[実施例17]
【0207】
黒色腫の患者における循環Treg数の測定
メルボルンのオースティン病院のルードウィヒ癌研究所(Ludwig Institute For Cancer Research at the Austin Hospital)で行なわれた研究において、黒色腫の患者由来の末梢血においてTregが列挙された。表5に示される6人の患者は、ワクチン治験に登録されなかったが、個体中のTreg数の日々の変動を評価するために多くの週にわたって1週当たり3回採血された。
【0208】
【表5】

【0209】
図27に示されるように、CD4/CD127/CD25による染色に由来したTreg数とCD4/FoxP3分析に由来したTreg数との間で高い相関性があった(右側のパネル)。Treg数は、Treg数が一般により高い患者で、一般に1ヶ月を超える期間にわたって安定しており、より縦方向の変化を示した(左側パネルと中心のパネル)。
【0210】
表6に示される患者は、LUD2002−013治験(NY−ESO−1+ISCOMATRIXによるワクチン接種)に登録された。12人の患者はすべて進行性の転移性黒色腫であった。
【0211】
【表6】

【0212】
図28に示されるように、ワクチン接種後のTreg数における変化は、図27に示される縦断的研究において明らかであったにすぎなかった。この変化は、幾人かの患者において上昇した値(例えば10)であり、他の患者において低下した値(例えば10)であり、本質的に無作為であった。
[実施例18]
【0213】
腎移植患者対透析をともなうか、又は透析をともなわない慢性腎不全患者における循環Treg数の測定
60人の慢性腎不全(CRF)の患者群がPrince of Wales Hospital(Sydney)で登録された。患者の詳細は表7において示される。
【0214】
【表7】

【0215】
各々の群における20人の患者由来の末梢血白血球はCD4/CD25/CD127/CD45RAにより染色され、図4Aにおいて示されるようにゲートされた。
【0216】
図29において示されるように、活性化/メモリーTregの数は、透析群において最も高く、移植群において最低であり、この差は統計的に有意であった。数の減少は恐らく移植片拒絶を防ぐために使用される免疫抑制療法の結果であった。ナイーブTreg数は、3つの群内で有意に変化しなかった。
[実施例19]
【0217】
マカクのTregを検出するための抗ヒトCD4/CD25/CD127/CD45RO mAb反応混液の使用
末梢血は、メルボルン大学及びCSIRO畜産業動物実験及び倫理委員会の承認により行なわれたワクチン接種研究の一部として32匹のマカクから得られた。対照(11匹の被験体)、Gagタンパク質により治療された群(10匹の被験体)、並びにGag、Env、Pol及びRTNVVVにより治療された群(10匹の被験体)の異なる3群があった。
【0218】
ヒト分子について一次的特異性を有するマウスmAbがこの研究において使用された:抗CD3、抗CD4、抗CD8、抗CD45RO(PharMingen, San Diego, CA)、抗CD25(BD Biosciences, San Jose, CA)、抗CD127(Immunotech, Marseille, France)。
【0219】
図30において示されるように、マカクの末梢血白血球中のCD25、CD45RO及びCD127の発現は、ヒトにおける発現に類似していた。それゆえに、CD4CD25CD127lo細胞を同定するために同じゲート戦略を利用することができるかもしれない。図31は、マカクの末梢血中のTregのパーセンテージが本質的にヒトにおけるものと同じで、ワクチン接種が数に影響しなかったことを示す。
【0220】
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【図面の簡単な説明】
【0221】
【図1】フローサイトメトリーによる、ヒト及びマウスの末梢血白血球及びリンパ節細胞中のCD4対CD25の細胞表面の発現の比較を示した図である。末梢血白血球及びリンパ節(LN)細胞はCD4及びCD25に対するモノクローナル抗体を使用して、染色され、CD4を発現する生細胞についてはゲートした。(a) マウスにおいて、多くのCD4T細胞が活発に増殖している(「刺激された」プロット)ときにおいても、CD25を発現する従来の活性化CD4T細胞の数が、CD4CD25調節性細胞の数に比べて低い。(b) 成人のヒト末梢血において、CD4T細胞の最大20%〜30%はCD25を発現し、これらの細胞の多くは、異種抗原との遭遇から生じるエフェクター細胞及びメモリー細胞であるように思われる。対照的に、ヒト臍帯血プロファイルは、マウスのプロファイルと類似している。成人ヒトリンパ節プロファイルは、成人ヒト末梢血のプロファイルに類似している。(c) マウス末梢血CD4T細胞とヒト末梢血CD4T細胞との間での、CD38、CD44、CD62L、OX40及びCTLA−4の発現の比較。細胞は、CD4を発現する生細胞についてゲートする。ヒト細胞についての発現パターンは、マウスのデータに基づいて正確に予測することはできない。(d) 8つのマーカーについての染色は、活性化/メモリーT細胞からヒト末梢血CD4CD25highT細胞を区別できなかった。末梢血白血球を、CD4、CD25、及びHLA−DR、CD71、CCR7、CD45RA、CD27、CD58、CD95又はCD45ROのいずれかの発現について染色した。プロファイルは、CD4を発現する生細胞についてゲートされる。CD45RA、CD45RO、CD58及びCD95はすべて、CD45RACD4T細胞の第2の集団を示したが、これらの抗体の各々は、CD45ROCD4Tregと従来のCD25を発現する活性化/メモリーT細胞を区別できなかった。
【図2】成人血、リンパ節、臍帯血及び胸腺におけるCD127及びFoxP3の発現を示した図である。(a) プロットは、CD4CD8T細胞についてゲートされる。CD25CD127lo細胞はボックスで囲まれ、ボックス中の細胞の%が示される。リンパ節サンプルでは、CD25CD127lo細胞もボックスで囲まれる。(b) プロットはCD4CD8T細胞についてゲートされる。FoxP3CD127lo細胞はボックスで囲まれ、ボックス中の細胞の%が示される。(c) 末梢血中のFoxP3CD25表現型とCD25CD127lo表現型との間の相関性。各々のサブセットについてのCD4細胞のゲートが示され、相互サブセットに従ってゲートされた細胞が分布される。(d) 胸腺におけるFoxP3表現型とCD25CD127lo表現型との間の相関性。
【図3】FoxP3表現型とCD127lo表現型との発現の間の相関性を示した図である。(a) 成人の血液、リンパ節及び臍帯血由来の白血球は、CD3CD4CD45RA集団及びCD45RA集団の中へゲートされた。FoxP3細胞はボックスで囲まれ、ボックスにおける細胞の%は、FoxP3ゲート内のCD25対CD127の発現と共に示される。(b) 健康なボランティア由来の9つの末梢血サンプルにおける、CD4CD45RA集団及びCD45RA集団中のCD25CD127lo細胞及びCD25FoxP3細胞のパーセンテージの間の相関性。
【図4】43人の健康なボランティア由来の末梢血におけるCD4CD25CD127lo細胞のパーセンテージを示した図である。(a) CD45RA亜集団及びCD45RA亜集団にさらに分けられたCD4細胞についてのゲートの戦略。ボックスは、各々の細胞集団についての分析ゲートの配置を示す。(b) 全CD4T細胞中でのパーセンテージとして表されたCD45RACD25CD127lo細胞及びCD45RACD25CD127lo細胞。全Tregのパーセンテージは、CD45RATregサブセット及びCD45RATregサブセットの値を共に加えることにより導き出された。水平バーは群の平均値を意味する。(c) 様々なCD4T細胞亜集団と年齢との関係。
【図5】CD4T細胞の選別された集団におけるFoxp3 mRNA発現の定量分析を示した図である。(a) 成人血及び臍帯血由来のCD4T細胞サブセットの単離のための選別戦略。ドットのプロットは、成人血の場合にはCD45RAと共にCD4を発現するリンパ球についてゲートされる。番号が付けられたボックスは、各々の細胞集団についてのフロー選別ゲートの配置を示す。(b) Foxp3のためのRT qPCRを、選別された細胞集団から調製されたRNAを使用して、二重で実行した。選別された4人のドナー由来のCD45RA細胞は比較された。しかし、十分なCD45RA細胞は2人のドナーのみに利用可能であった。(c) 2人の成人のドナーから選別された細胞集団から調製されたRNAを使用するT−bet及びGATA3のためのRT qPCR。
【図6】成人血及び臍帯血由来のTregによるin vitroの増殖の抑制を示した図である。(a) CD4T細胞サブセットの単離のための選別戦略。ドットのプロットは、成人血の場合にはCD45RAと共にCD4を発現するリンパ球についてゲートされる。番号が付けられたボックスは、各々の細胞集団についてのフロー選別ゲートの配置を示す。(b) 成人血からフロー選別された集団(1〜5)及び臍帯血からフロー選別された集団(6〜8)による抑制。レスポンダー細胞は、成人血についてCD4CD45RAGD25自己細胞(集団5)、及び臍帯血についてCD4CD25自己細胞(集団8)として選別された。サプレッサー細胞とレスポンダー細胞との比率は図の上に示される。バーは、3〜4つの重複した培養の平均±SEMを表わす。成人血の分析は2つの独立した実験の典型であり、臍帯血データは1回の実験に由来する。(c) CD25の発現に基づいて選別された成人血由来のCD4CD127loT細胞のサブセットの単離のための戦略。(d) 成人血からフロー選別された集団(9〜14)による抑制及びサイトカイン産生。レスポンダー細胞は選別されたCD4CD45RACD25自己細胞(集団14)であった。サイトカイン分析における検出限界は点線により示される。nd:検出されない。(e) フロー選別された集団(9、13〜14及び0)の1:1の比率でのトランスウェル培養。
【図7】様々なゲート戦略を使用する対照及びIBD患者のTreg数の比較を示した図である。43人の対照及び38人のIBD患者(19人のクローン病(CD)患者及び19人の潰瘍性大腸炎(UC)患者を含む)由来のPBMCを血液から精製し、CD4、CD25、CD127及びCD45RAに対するmAbにより染色した。(a、b) CD4を発現するリンパ球をゲートAからゲートDに従って分析し、個々のデータ点はCD4T細胞のパーセンテージとしてプロットした。(c) CD4を発現するリンパ球を、CD45RA集団及びCD45RA集団にさらに分け、ゲートE及びゲートFに従って分析し、個々のデータ点はCD4T細胞のパーセンテージとしてプロットした。離れている右側のボックスの値は、ゲートE及びゲートFに由来した個々の値の追加により導き出された。水平バーは群の平均値を表わす。ゲートE、ゲートF及びゲートE+FについてのCD4T細胞の%としての平均±SEMは、ナイーブTreg(ゲートE)、対照 2.05±0.14、CD 1.34±0.14、UC 1.16±0.13;エフェクター/メモリーTreg(ゲートF)、対照 4.29±0.24、CD 6.05±0.69、UC 4.19±0.32;全Treg(ゲートE+F)、対照 6.35±0.26、CD 7.39±0.72、UC 5.34±0.38であった。群間の差の統計分析は、CD及びUCの中央値を対照群と比較して、ノンパラメトリックのクラスカル・ワリス及びダンの多重比較検定を使用した。P値<0.05は有意であると考えられた。
【図8】81人の患者及び対照からプールされたデータを使用して、図7に示されるゲートに従ったTregのための異なるゲートの戦略の相関性を示した図である。(a) ゲートA対ゲートE。(b) ゲートB対ゲートE。(c) ゲートC対ゲートE。(d) ゲートD対ゲートF。線形回帰式は各々のボックスの中に示される。相関係数の有意性は、ノンパラメトリックのスピアマン検定を使用して推測された。
【図9】CD4Treg及び他の亜集団、並びに対照及びIBDの患者における年齢の関係を示した図である。データは図7cに示された分析に由来する。線形回帰を、対照(N=43)群及び患者(N=38)群について実行した。相関係数の有意性はノンパラメトリックのスピアマン検定を使用して推測された。
【図10】3つの年齢集団に分けられた対照、CD患者及びUC患者のTregパーセンテージの比較を示した図である。データは図7cに示された分析に由来する。(a) 全CD4T細胞のパーセンテージとしてのCD4CD25CD45RACD127lo細胞(ゲートF、図7c)。(b) 全CD4T細胞のパーセンテージとしてのCD4CD25CD45RACD127lo細胞(ゲートE、図7c)。(c) 全CD4T細胞のパーセンテージとしての全CD4CD25CD127lo細胞(ゲートE及びゲートF(図7c)由来の個々のデータを加えることにより導き出されたデータ)。ノンパラメトリックのクラスカル・ワリス及びダンの多重比較検定を、CD及びUCの中央値を対照群と比較するために適用した。P値<0.05は、有意であると考えられた。
【図11】15歳〜30歳の患者集団におけるナイーブTreg数に対して、疾患活性又は治療法の効果がないことを示した図である。データは図7において示される実験に由来する。患者サンプルは、病理組織検査と共に、結腸内視鏡検査又は手術の時における肉眼的外観に基づいて、活動期の疾患対非活動期の疾患を示すものに分けられた。治療法は、コルチコステロイド、DNAアナログ、アミノサリチル酸塩及び/又は抗生物質による治療を含んだ。「治療なし」の患者は、治療を全く受けていなかった。
【図12】CD患者及びUC患者において、腸粘膜及び排出リンパ節のCD4T細胞中のCD25CD127lo Tregのパーセンテージの間に有意な差はないことを示した図である。このデータは、粘膜及びリンパ節のTregのパーセンテージが末梢血のTregよりも一般に高いことを示す(図4と比較して)。
【図13】異なる年齢の正常な対照のTregの区別ための従来のゲート戦略を示した図である。上部のパネル:CD4及びCD25による染色の例。下部のパネル:従来のCD4染色及びCD25染色を使用して評価されるように、一生を通じてTreg数は増加する。***P<0.001。CB=臍帯血;20−25a=20歳〜25歳の対照;>60a=60歳を超える対照。
【図14】CD4、CD25、CD127及びCD45RAによる染色を使用して、異なる年齢の正常な対照のTregを区別するための新規のゲート戦略を示した図である。上部のパネル:CD4細胞をゲートした。下部のパネル:CD4CD45RA細胞又はCD4CD45RA細胞をゲートした。
【図15】CD25CD127lo細胞と比べて、CD25FoxP3細胞についてゲートすることを使用するTreg数の比較を示した図である。20歳〜25歳、及び60歳を越える年齢集団における成人の臍帯血及び末梢血の細胞のパーセンテージは表示されたゲートを使用して計算された。P<0.05;ns、統計的に有意ではない。
【図16】CD45RATreg数及びCD45RATreg数における年齢による変化を示した図である。血液白血球サンプルは、CD4、CD25、CD45RA及びCD127に対する抗体により染色され、図14の下部のパネルのようにゲートされた。年齢により反対にCD45RATregは減少し、CD45RATregが増加することは明らかである。***P<0.001、**P<0.01、P<0.05。
【図17】抑制は、すべての年齢のドナーから選別されたCD4CD25CD127lo細胞に限定されることを示した図である。A) CD4、CD25及びCD127による染色を使用して、異なる年齢の正常な対照のTregを区別するためのゲート戦略。B) 成人血及び臍帯血からフロー選別された集団による抑制。レスポンダー細胞は選別されたCD4CD127hiCD25自己細胞であった。サプレッサー細胞とレスポンダー細胞との比率は図の下に示される。培養を72時間チミジンによりパルス標識し、16時間後に採取した。バーは、3〜4つの重複した培養の1分当たりの平均±SEMの計測数を表わす。C) 選別された同じ集団からの重複培養は、CFSE標識されたレスポンダー細胞を使用して設定し、増殖の%は、レスポンダー細胞のみを含んでいる培養物中の分割された細胞の平均の数に関連すると計算された。バーは、3〜4つの重複した培養物の1分当たりの平均±SEMの計測数を表わす。
【図18】アルツハイマー病患者対健康な高齢対照における循環Treg数の比較を示した図である。血液白血球サンプルを、CD4、CD25、CD45RA及びCD127に対する抗体により染色し、図14の下部のパネルのようにゲートした。4人の対照患者は75歳〜90歳で、正常な認知機能を有していた。5人のアルツハイマー病の患者は83歳〜92歳の間の年齢であった。ナイーブTregはCD4CD25CD127loCD45ROでゲートされ、活性化/メモリーTregはCD4CD25CD127loCD45ROとしてゲートされた。有意な差は2つの群の間で見られなかった。
【図19】CD4、CD25、CD127及びFoxP3により染色された湿疹患者由来のPBLにおけるTregのゲート例を示した図である。ドットのプロットはCD4細胞についてゲートされる。FoxP3及びCD127の発現パターンは、対照(例えば図3において)における発現パターンに類似する。したがって、FoxP3細胞はCD25であり、CD127loCD25集団に対応する。
【図20】異なるゲート戦略を使用する湿疹患者及び健康な対照の間のTreg数の比較を示した図である。(A) 従来のCD4CD25ゲート。差は統計的に有意ではない。(B) 図19において説明されるような、CD4CD25CD127loゲート。(B)における結果は、FoxP3染色を使用して確認された。湿疹患者は年齢が一致した対照よりも有意に多くのTregを有する(P<0.001)。
【図21】非アトピーの被験体、喘息をともなわないアトピーの被験体、及び喘息のアトピーの被験体の血液中の全Treg(CD4CD25CD127lo)、及びナイーブTreg(CD4CD45RACD25CD127lo)の頻度を示した図である。データは中央値及び範囲によりボックスプロット(25%〜75%)として表示される。3つの群の間で有意差はなかった。
【図22】培養中のイエダニ(HDM)に対するIL5反応に従って分けられた、非アトピーの被験体(皮膚プリックテスト陰性(SPT−ve))及びアトピーの被験体の血液中のTregの頻度を示した図である。上部のパネル:全Treg(CD4CD25CD127lo)及びCD45RATreg(CD4CD45RACD25CD127lo)。下部のパネル:ナイーブCD45RATregと活性化/メモリーCD45RATregとの比率。ナイーブTregのパーセンテージ、及びナイーブTregとエフェクター/メモリーTregとの比率の両方は、培養中のHDMに反応して検出可能なIL−5を産生する患者においてCD4T細胞の比率として有意に増加したが、この群における全Treg細胞において全体的な増加はなかった。
【図23】原発性のシェーグレン症候群の患者の血液中のナイーブTreg、活性化Treg及び全Tregの頻度を示した図である。血液白血球サンプルはCD4、CD25、CD45RA及びCD127に対する抗体により染色され、図14の下部のパネルのようにゲートされた。対照は年齢及び性別を一致させた。年齢を一致させた対照と比較して、患者群におけるCD4T細胞のパーセンテージとして、ナイーブTreg及び全Tregの両方における有意な増加があった。
【図24】HIVの患者の3つの異なる群におけるCD127の発現例を示した図である。(a) プロットはCD4CD8T細胞についてゲートされる。CD25CD127lo細胞はボックスで囲まれ、ボックス中の細胞の%が示される。(b) プロットは、CD4CD8CD45ROT細胞又はCD4CD8CD45ROT細胞についてゲートされる。CD25CD127lo細胞がボックスで囲まれる。IRD=免疫再構築症候群。
【図25】IRDのHIV患者におけるFoxP3の発現とCD127lo表現型との間の相関性を示した図である。HIVIRD患者由来のPBMCは、CD3CD4細胞についてゲートされた。CD25CD127lo細胞はボックスで囲まれ、同じゲート内のCD25Foxp3細胞及びCD127loFoxP3細胞のパーセンテージの間の相関性が示される。
【図26】セロコンバータ、進行性疾患の患者(±抗レトロウイルス療法)、並びに進行性疾患、抗レトロウイルス療法及び免疫再構築症候群の患者へ分けられたHIV患者におけるTreg数を示した図である。セロコンバータ中の全Tregの平均数は、8.68±0.83%(平均±標準誤差)であり、抗レトロウイルス療法あり又はなしの進行性疾患の患者中のTregの平均数は、それぞれ6.68±0.68%及び8.78±2.3%であり、IRDの患者中のTregの平均数は、16.64±2.66%であった。IRD患者は、CD45ROTreg細胞及び全Treg細胞の有意により高いパーセンテージを示したが、セロコンバータにおいては、ARTにより治療された慢性HIVと比較して、ナイーブTreg数は有意に増加した。
【図27】メラノーマ患者における、一週間に3度の採血についての、CD127/CD25/CD4染色をFoxP3/CD25/CD4染色と比較するTreg数の縦断的研究を示した図である。いずれかの技法を使用して、Tregの数は、2つの方法間の高い相関性があり、一般に安定していた(右側のパネル)。
【図28】メラノーマ患者におけるワクチン接種研究を示した図である。患者は、最初のワクチン接種の前に、及び次に続く各々のワクチン接種後に採血された。ワクチン接種によるTreg数の有意な変化はなかった。
【図29】慢性腎不全(CRF)、透析を行なうCRF、及び腎移植をともなう患者における、活性化循環Treg対ナイーブTregの比較を示した図である。臓器移植患者は、免疫抑制剤を用いた治療の結果として、CD45RATreg数が有意に減少した。
【図30】マカク抗原と交差反応する抗ヒト抗体を使用して、マカクにおけるTregゲートの例を示した図である。上部のパネル:CD25対CD45RO及びCD127の発現についてのゲートを示すCD4T細胞のドットプロット。ゲート内の細胞のパーセンテージが表示される。下部のパネル:示されるようにCD45RO細胞及びCD45RO細胞中のCD25CD127lo細胞についてのゲート。ボックスはゲートを表わし、パーセンテージはゲート中に示される。さらに、Tregのパーセンテージは、全CD4T細胞のパーセンテージとして計算される(太字で示された)。
【図31】図30のようにゲートされたマカクの末梢血中のTregサブセットを示した図である。全Tregの範囲は、4.39%〜11.42%であり、免疫付与後に有意な変化はなかった。
【0222】
「配列表」
SEQUENCE LISTING
<110> Centenary Institute of Cancer Medicine and Cell Biology

<120> Method for Identifying Regulatory T Cells

<130> 715732

<160> 8

<170> PatentIn version 3.2

<210> 1
<211> 21
<212 > DNA
<213> Artificial

<220>
<223> synthetic sequence

<400> 1
ggcaaatggt gtctgcaagt g

<210> 2
<211> 21
<212 > DNA
<213> Artificial

<220>
<223> synthetic sequence

<400> 2
ggatgatgcc acagatgaag c

<210> 3
<211> 25
<212 > DNA
<213> Artificial

<220>
<223> synthetic sequence

<400> 3
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<210> 4
<211> 26
<212> DNA
<213> Artificial

<220>
<223> synthetic sequence

<400> 4
ggatgccttc cttcttcata gtcagg

<210> 5
<211> 24
<212> DNA
<213> Artificial

<220>
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<400> 5
cactacagga tgtttgtgga cgtg

<210> 6
<211> 24
<212> DNA
<213> Artificial

<220>
<223> synthetic sequence

<400> 6
ccccttgttg tttgtgagct ttag

<210> 7
<211> 26
<212> DNA
<213> Artificial

<220>
<223> synthetic sequence

<400> 7
tcgacaacgg ctccggcatg tgcaag

<210> 8
<211> 25
<212 > DNA
<213> Artificial

<220>
<223> synthetic sequence

<400> 8
agccacacgc agctcattgt agaag

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を同定する方法であって、霊長類の生物学的サンプル中の少なくとも1つの細胞を分析し、細胞のCD127、CD4及びCD25の発現レベルを測定する、分析することを含み、CD127lowCD4CD25の発現が調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を示す方法。
【請求項2】
前記分析する工程が、少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドについて細胞の発現レベルを測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドが、細胞表面に結合又は細胞内に存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドが、CD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4又はCD95を含む群から選択される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記霊長類の生物学的サンプルが、細胞株、体液又は組織を含む群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記体液が血液又はリンパ液を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記サンプルが、胸腺、リンパ節、脾臓、扁桃腺、少なくとも1つの単離リンパ球又は少なくとも1つのT細胞を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
(a)霊長類の生物学的サンプルを得る工程と、
(b)細胞表面のCD127、CD4及びCD25に対する抗体と前記霊長類の生物学的サンプル中の少なくとも1つの細胞を接触させる工程と、
(c)前記少なくとも1つの細胞をフローサイトメトリーにかける工程と、
(d)CD127lowCD4CD25の発現の前記フローサイトメトリーのシグナルを分析する工程と
を含み、前記CD127lowCD4CD25の発現が調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を示す、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を同定する方法であって、霊長類の生物学的サンプル中の少なくとも1つの細胞を分析し、細胞のCD127の発現レベルを測定する、分析することを含み、該サンプル中の該少なくとも1つの細胞が、あらかじめCD4及び/又はCD25の発現について分析されて、CD4及び/又はCD25であることが明らかにされており、CD127lowCD4CD25の発現が、調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を示す方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの細胞が、あらかじめCD4の発現について分析されており、前記分析する工程が、細胞のCD25の発現レベルを測定することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの細胞が、あらかじめCD25の発現について分析されており、前記分析する工程が、細胞のCD4の発現レベルを測定することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプルが、胸腺、リンパ節、脾臓、扁桃腺、少なくとも1つの単離リンパ球、少なくとも1つのT細胞、少なくとも1つのCD4T細胞、少なくとも1つのCD25T細胞又は少なくとも1つのCD4CD25T細胞を含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
霊長類の被験体において、調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を同定するためのキットであって、少なくともCD127の細胞の発現レベルの測定ための少なくとも1つの薬剤を含むキット。
【請求項14】
前記少なくとも1つの薬剤が、少なくとも1つの抗CD127抗体又はCD127に対して特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む群から選択される、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
霊長類の被験体において、少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドの細胞の発現レベルを測定するための少なくとも1つの薬剤をさらに含む、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
前記少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドが、CD4、CD25、CD45RA、CD45RO、Foxp3、CTLA−4又はCD95を含む群から選択される、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
調節性T細胞の集団を定量するためのキットであって、少なくともCD127の細胞の発現レベルの測定ための少なくとも1つの薬剤を含むキット。
【請求項18】
霊長類の生物学的サンプル中の調節性T細胞の量を定量化する方法であって、細胞のCD127、CD4及びCD25の発現レベルを測定するために該サンプル中に分析細胞を含み、該サンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量が該サンプル中の調節性T細胞の量を示す方法。
【請求項19】
霊長類の生物学的サンプル中の調節性T細胞の量を定量化する方法であって、細胞のCD127の発現レベルを測定するために該サンプル中に分析細胞を含み、該細胞があらかじめCD4及び/又はCD25の発現について分析されて、CD4及び/又はCD25であることが明らかにされており、該サンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量が該サンプル中の調節性T細胞の量を示す方法。
【請求項20】
霊長類の被験体において、調節性T細胞の過剰生産又は低生産を診断する方法であって、
(a)前記被験体から生物学的サンプルを得ること、及び
(b)前記サンプル中の細胞を分析し、細胞のCD127、CD4及びCD25の発現レベルを測定する、分析すること
を含み、前記サンプル中の少量のCD127lowCD4CD25細胞が前記被験体の調節性T細胞の低生産を示し、該サンプル中の多量のCD127lowCD4CD25細胞が該被験体の調節性T細胞の過剰生産を示す方法。
【請求項21】
調節性T細胞の低生産が、炎症性腸疾患若しくはその素因、又は臓器移植に関連する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
調節性T細胞の過剰産生が、原発性シェーグレン症候群、湿疹、喘息、肝細胞癌又はHIV感染に関連する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの対照サンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量と、前記霊長類の被験体から得られたサンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量を比較することを含む、請求項20〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの対照サンプルが、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患、若しくはアレルギー性疾患、肝細胞癌、臓器移植、HIV感染、それらの素因、又は調節性T細胞の量の変化に関連する他の疾患をともなわない霊長類の被験体由来である、請求項20〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
霊長類の被験体において疾患を診断する方法であって、
(a)前記被験体から生物学的サンプルを得ること、及び
(b)前記サンプル中の細胞を分析し、細胞のCD127、CD4及びCD25の発現レベルを測定する、分析すること
を含み、前記サンプル中の少量のCD127lowCD4CD25細胞が前記被験体の疾患を示す方法。
【請求項26】
前記疾患が、炎症性腸疾患、全身性紅斑性狼瘡、乾癬性関節炎、若年性特発性関節炎、若年性糖尿病、川崎病、肝細胞癌、HIV感染又は調節性T細胞の量の変化に関連する他の疾患を含む群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
病状、感染又は治療の経過の間に霊長類の被験体の調節性T細胞の量をモニタリングする方法であって、
(a)前記被験体から生物学的サンプルを得ること、及び
(b)前記サンプル中の細胞を分析し、細胞のCD127、CD4及びCD25の発現レベルを測定する、分析すること
を含み、前記サンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量が該サンプル中の調節性T細胞の量を示す方法。
【請求項28】
前記病状又は前記感染が、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患若しくはアレルギー性疾患、又はそれらの素因、感染症又は癌を含む群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記治療が化学療法である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
霊長類の被験体の病状又は感染のための治療に対する反応を、該被験体の調節性T細胞の量に基づいて予測する方法であって、
(a)前記被験体から生物学的サンプルを得ること、及び
(b)前記サンプル中の細胞を分析し、細胞のCD127、CD4及びCD25の発現レベルを測定する、分析すること
を含み、前記サンプル中のCD127lowCD4CD25細胞の量が該サンプル中の調節性T細胞の量を示す方法。
【請求項31】
(a)霊長類の被験体における調節性T細胞の前記過剰生産又は前記低生産、
(b)霊長類の被験体における自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患若しくはアレルギー性疾患、又はそれらの素因、及び/又は
(c)霊長類の被験体における調節性T細胞の量の変化に関連する疾患
の診断で用いられるキットであって、
少なくともCD127の細胞の発現レベルの分析のために少なくとも1つの薬剤を含むキット。
【請求項32】
前記少なくとも1つの薬剤が、少なくとも1つの抗CD127抗体及び/又はCD127に対して特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドから選択される、請求項31に記載のキット。
【請求項33】
少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドの細胞の発現レベルを測定するための少なくとも1つの薬剤をさらに含む、請求項31又は32に記載のキット。
【請求項34】
病状、感染又は治療の経過の間に、霊長類の被験体における調節性T細胞の量をモニタリングするのに用いられるキットであって、少なくともCD127の細胞の発現レベルを分析するための少なくとも1つの薬剤を含むキット。
【請求項35】
前記少なくとも1つの薬剤が、少なくとも1つの抗CD127抗体及び/又はCD127に対して特異的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドから選択される、請求項34に記載のキット。
【請求項36】
前記病状又は前記感染が、自己免疫性疾患、免疫炎症性疾患若しくはアレルギー性疾患、又はそれらの素因、感染症又は癌を含む群から選択されてもよい、請求項34又は35に記載のキット。
【請求項37】
前記治療が化学療法である、請求項34に記載のキット。
【請求項38】
少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドの細胞の発現レベルを測定するための少なくとも1つの薬剤をさらに含む、請求項34〜37のいずれか一項に記載のキット。
【請求項39】
霊長類の被験体における病状又は感染のための治療に対する反応を、該被験体における調節性T細胞の量に基づいて予測するのに用いられるキットであって、少なくともCD127の細胞の発現レベルの分析のための少なくとも1つの薬剤を含むキット。
【請求項40】
調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を単離するための方法であって、
(a)霊長類の生物学的サンプル中の少なくとも1つの細胞を分析し、細胞のCD127、CD4及びCD25の発現レベルを測定する、分析することであって、CD127lowCD4CD25の発現が調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を示す、分析すること、及び
(b)前記少なくとも1つの細胞を単離することであって、該少なくとも1つの細胞がCD127lowCD4CD25である、単離すること
を含む方法。
【請求項41】
前記分析する工程が、少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドについての細胞の発現レベルを測定することをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を単離するための方法であって、
(a)霊長類の生物学的サンプル中の少なくとも1つの細胞を分析し、細胞のCD127の発現レベルを測定する、分析することであって、該サンプル中の該少なくとも1つの細胞があらかじめCD4及び/又はCD25の発現について分析されて、CD4及び/又はCD25であることが明らかにされており、CD127lowCD4CD25の発現が調節性T細胞又は調節性T細胞の集団を示す、分析すること、及び
(b)前記少なくとも1つの該細胞を単離することであって、該少なくとも1つの細胞がCD127lowCD4CD25である、単離すること
を含む方法。
【請求項43】
前記少なくとも1つの細胞があらかじめCD4の発現について分析され、前記分析する工程が細胞のCD25の発現レベルを測定することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つの細胞があらかじめCD25の発現について分析され、前記分析する工程が細胞のCD4の発現レベルを測定することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記分析する工程が、少なくとも1つの追加の細胞のポリペプチド又はポリヌクレオチドについての細胞の発現レベルを測定することをさらに含む、請求項42〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
請求項40〜45のいずれか一項に記載の方法によって単離した場合の少なくとも1つの調節性T細胞。
【請求項47】
請求項40〜45のいずれか一項に記載の方法によって単離した場合の少なくとも1つの調節性T細胞を使用する、調節性T細胞療法についての方法。
【請求項48】
前記T細胞療法が、自己免疫性疾患、アレルギー性疾患、免疫炎症性疾患若しくは感染症、癌のための治療法又は臓器移植を含む群から選択される、請求項47に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公表番号】特表2009−508089(P2009−508089A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524311(P2008−524311)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001080
【国際公開番号】WO2007/014420
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(508034772)センテナリ インスティチュート オブ キャンサー メディシン アンド セル バイオロジー (1)
【Fターム(参考)】