説明

識別タグおよびそれを備えた光ファイバテープ心線

【課題】 難燃性を有し、かつ、取扱いの容易な識別タグおよびそれを備えた光ファイバテープ心線を提供する。
【解決手段】 難燃性樹脂からなるチューブの一面にレーザ光を照射して印字したことを特徴とする識別タグ。前記チューブは角型チューブであることを特徴とする識別タグ。前記難燃性樹脂は難燃ポリエステルエラストマーであることを特徴とする識別タグ。前記レーザ光は波長900〜1000nmのCOレーザ光であることを特徴とする識別タグ。前記いずれかの識別タグを備えたことを特徴とする光ファイバテープ心線。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、識別タグおよびそれを備えた光ファイバテープ心線に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバを効率的に配線するために、複数の光ファイバ心線を並べて樹脂等で被覆した光ファイバテープ心線が用いられている。
光ファイバテープ心線は、先端にコネクタを取り付けて用いられることが多く、コネクタ取り付けの際に表裏を識別することが重要になる。
そこで、識別タグ等が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、光ファイバテープ心線を、光ルーター、光サーバーでの装置間、基板間の配線に用いる場合には高い難燃性を要求されるので、識別タグ自体にも高い難燃性が必要となっていた。
また、配線作業を妨げないように、取扱いの容易な識別タグが求められていた。
【0003】
【特許文献1】特開2000−108414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とする処は、難燃性を有し、かつ、取扱いの容易な識別タグおよびそれを備えた光ファイバテープ心線を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)難燃性樹脂からなるチューブの一面にレーザ光を照射して印字したことを特徴とする識別タグ。
(2)前記チューブは角型チューブであることを特徴とする前記(1)記載の識別タグ。
(3)前記難燃性樹脂は難燃ポリエステルエラストマーであることを特徴とする前記(1)記載の識別タグ。
(4)前記レーザ光は波長900〜1000nmのCOレーザ光であることを特徴とする前記(1)記載の識別タグ。
(5)前記(1)ないし(4)のいずれか記載の識別タグを備えたことを特徴とする光ファイバテープ心線。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、難燃性を有し、かつ、取扱いの容易な識別タグおよびそれを備えた光ファイバテープ心線を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(実施形態1の識別タグ)
まず、図1を用いて実施形態1の識別タグを説明する。
図1は識別タグの斜視図である。
10は識別タグ、11は貫通孔、12はオモテ面、13はウラ面、15は印字である。
本発明の識別タグ10は、難燃性樹脂からなるチューブの一面にレーザ光を照射して印字したことを特徴とする。
識別タグ10には貫通孔11が設けられており、光ファイバテープ心線を挿通して接着剤等で固定することができる。
オモテ面12にはレーザ光による印字が施されており、通常白色である難燃性樹脂が焦げて茶色等に変色している。
印字15のデザインは自由に変更することができ、これにより光ファイバの情報を表示することができる。例えば、数字、文字、記号、バーコード、模様などを用いることができる。また、レーザ光により表面を削って凹凸を設けてもよい。
なお、ウラ面13には印字を施さないことが好ましい。オモテ、ウラを明確に判別するためである。
【0008】
難燃性樹脂としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤を添加したプラスチック樹脂が挙げられ、たとえば難燃性ABS樹脂、難燃性シリコーンゴム、難燃性ポリイミド、難燃性塩化ビニル、難燃性ポリエステルエラストマー、難燃性ポリオレフィンエラストマーが挙げられ、中でも柔軟性を有する難燃性シリコーンゴムや難燃性ポリエステルエラストマーを使用するのが好ましい。
これにより難燃性のある識別タグを得ることができる。
そして、難燃性樹脂の形状はチューブであることが必要である。チューブを用いることでテープ心線を挿入しやすい取扱いの容易な識別タグとなる。
また、チューブとしては、角型チューブ、丸型チューブ、楕円型チューブ、卵型チューブなどを用いることができるが、角型チューブがテープ心線の形状に合致しており好ましい。角型チューブは小型化、薄型化が容易で、量産にも適している。
【0009】
印字に用いるレーザ光としては、波長400〜1100nm、YAGレーザ光、COレーザ光、YVOレーザ光を選択でき、中でも安全性や印字精度の面から波長900〜1000nmのCOレーザ光が好ましい。
【0010】
(実施形態2の識別タグ)
次に、図2を用いて実施形態2の識別タグを説明する。
図2は識別タグの斜視図である。
10′は識別タグ、17は切欠部である。
その他の構成は実施形態1と同一なので詳細な説明を省略する。
実施形態2の識別タグ10′は、切欠部17を有することに特徴を有する。
これにより、光ファイバテープ心線の側方から着脱することが可能となり、取扱いがさらに容易になる。
【0011】
(光ファイバテープ心線)
次に、図3を用いて光ファイバテープ心線を説明する。
図3は光ファイバテープ心線の斜視図である。
Fは光ファイバ心線、Tは光ファイバテープ心線である。
本発明の光ファイバテープ心線は、上述の識別タグ10(または10′)を備えたことを特徴とする。
識別タグ10は光ファイバテープ心線Tの任意の位置に備えることができるが、接続の際の利便性の観点から、図3に示すように光ファイバテープ心線Tの両端あるいはその近辺に備えることが好ましい。
【0012】
本発明に用いる光ファイバ心線Fとしては、プラスチックファイバ、石英光ファイバなどを用いることができる。光ファイバの径はいかなるものでもよく、例えば0.25mm心線、0.9mm心線、2mmコード等を用いることができる。
また、光ファイバテープ心線Tとしては、光ファイバ心線Fを並べて周囲を難燃性樹脂で被覆したものを用いることができる。
【0013】
以上のように、本発明によれば、難燃性を有し、かつ、取扱いの容易な識別タグおよびそれを備えた光ファイバテープ心線を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1の識別タグの斜視図
【図2】実施形態2の識別タグの斜視図
【図3】光ファイバテープ心線の斜視図
【符号の説明】
【0015】
10、10′ 識別タグ
11 貫通孔
12 オモテ面
13 ウラ面
15 印字
17 切欠部
F 光ファイバ心線
T 光ファイバテープ心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃性樹脂からなるチューブの一面にレーザ光を照射して印字したことを特徴とする識別タグ。
【請求項2】
前記チューブは角型チューブであることを特徴とする請求項1記載の識別タグ。
【請求項3】
前記難燃性樹脂は難燃ポリエステルエラストマーであることを特徴とする請求項1記載の識別タグ。
【請求項4】
前記レーザ光は波長900〜1000nmのCOレーザ光であることを特徴とする請求項1記載の識別タグ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか記載の識別タグを備えたことを特徴とする光ファイバテープ心線。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−15020(P2010−15020A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175574(P2008−175574)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000153591)株式会社巴川製紙所 (457)
【Fターム(参考)】