説明

識別情報送信装置及び入退場管理システム及び識別情報送信プログラム及び識別情報送信方法及び入退場管理方法

【課題】操作者が移動体に乗車したままでIDカードのID認証をすることができるとともに、安全で確実なID認証をすることができるシステムを提供する。
【解決手段】移動体に搭載され、識別情報を送信するID情報送信装置120にあって、車両20を操作する操作者31を示すID情報が格納されたIC(集積回路)カード1から、識別情報を読み取るICカードリーダ2(識別情報読み取り部)と、ICカードリーダ2により読み取られた識別情報を、操作者31のセキュリティエリア53への入退場の許否を判断するための情報として、DSRC車載器アンテナ8により送信するDSRC車載器7とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別情報送信装置及び入退場管理システムに関するものである。本発明は、特に、移動体を操作する操作者の識別情報が格納されたIC(集積回路)カードの情報を、移動体に搭載された無線通信装置にて入退場管理装置に送信する識別情報送信装置及び入退場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の非接触ICカードの入退場管理システム110においては、図7に示すように、運転者が車両を操縦してセキュリティエリアへ出入りする場合に、運転者はそのたびに車両を降りてICカードリーダが設置されている場所まで行き、ID認証をする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−97976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の非接触ICカードの入退場管理システム110においては、運転者が車両を操縦してセキュリティエリアへ出入りする場合に、運転者はそのたびに車両を降りてICカードリーダが設置されている場所まで行き、ID認証をする必要があるので非効率であった。
【0005】
また、従来の非接触ICカードの入退場管理システム110においては、人の入退場管理は可能であるが車両自体の入退場管理はされておらず、車両がどこにあるかは入退場管理システム110では、把握できないという課題があった。
【0006】
また、従来の非接触ICカードの入退場管理システム110においては、車両を運転する場合の運転者の運転権限の有無等のID認証を行っておらず、誰でも運転が可能であるため、運転権限を持たない人でも車両を運転することができてしまう危険があるという課題があった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、操作者が移動体に乗車したままで自己のIDカードのID認証をすることができるとともに、確実性の高いID認証を行いセキュリティ的にも安全性の高いシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る識別情報送信装置は、移動体に搭載され、識別情報を送信する識別情報送信装置であって、
前記移動体を操作する操作者を示す識別情報が格納されたIC(集積回路)カードから、前記識別情報を読み取る識別情報読み取り部と、
前記識別情報読み取り部により読み取られた前記識別情報を、前記操作者の所定のエリアへの入退場の許否を判断するための情報として、移動体側無線通信装置により送信する識別情報送信部と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る識別情報送信装置は、移動体に搭載され、識別情報を送信する識別情報送信装置であって、識別情報読み取り部が前記移動体を操作する操作者を示す識別情報が格納されたIC(集積回路)カードから、前記識別情報を読み取り、識別情報送信部が前記識別情報読み取り部により読み取られた前記識別情報を、前記操作者の所定のエリアへの入退場の許否を判断するための情報として、移動体側無線通信装置により送信する識別情報送信部とを備えているので、操作者は移動体に乗車したままの状態で自己のIDカードのID認証をすることができ、作業の効率化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係る入退場管理システム100の全体構成図である。
【図2】実施の形態1における入退場管理システム100のブロック構成図である。
【図3】実施の形態1におけるID情報送信装置120のハードウェア資源の一例を示す図である。
【図4】実施の形態1におけるID情報送信装置120のID情報読み取り処理を示すフロー図である。
【図5】実施の形態1におけるID情報送信装置120のID情報送信処理を示すフロー図である。
【図6】実施の形態1におけるID情報受信装置130のID情報受信方法及び入退場管理装置51の入退場管理方法を示すフロー図である。
【図7】従来の入退場管理システム110の全体構成を示す図である。
【図8】実施の形態2に係る動力源始動制御装置が搭載された車両を示す図である。
【図9】実施の形態2に係る動力源始動制御装置の構成を示すブロック図である。
【図10】ICカードをICカードリーダにかざす方式の課題を示す図である。
【図11】実施の形態2に係る蓋ロック機構付きBOXの外観例を示す斜視図及び側面図である。
【図12】実施の形態2に係る蓋ロック機構付きBOXの本体側の内部構成例を示す斜視図である。
【図13】実施の形態2に係る蓋ロック機構付きBOXの本体側の内部構成例を示す斜視図である。
【図14】実施の形態2に係る蓋ロック機構付きBOXの蓋側の構成例を示す斜視図及び側面図である。
【図15】実施の形態2に係る蓋ロック機構付きBOXの蓋ロック機構の仕組みを示す図である。
【図16】実施の形態2に係る蓋ロック機構付きBOXの内部構成例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0012】
実施の形態1.
本実施の形態では、車両が所定のエリアへ入退場する際に、車両及び運転者の入退場の許否等を含む入退場の管理をするためのシステムについて説明する。車両は移動体の一例であり、例えば、フォークリフト、乗用車、トラック、その他操作者(運転者、操縦者)が操作(運転、操縦)する移動体である。
【0013】
図1は、実施の形態1に係る入退場管理システム100の全体構成図である。図1を用いて、入退場管理システム100の全体構成について説明する。
【0014】
図1では、車両20として、例えば、操作者31が操作するフォークリフトのような車両20がセキュリティエリア53に入場する場合を想定している。通常、フォークリフトのような特定の車両20(移動体)では、安全上、特定の操縦許可証等が必要である。このような操縦許可証を有していない者が、フォークリフトのような特殊な車両20を操作するのは、大変危険である。当然、普通乗用車等の車両20でも運転免許証は必要である。
【0015】
したがって、車両20のセキュリティエリア53等の所定のエリアへの入退場については、車両20の操作者31が車両20を操作する権限を有しているかをチェックするとともに、車両20及び操作者31がセキュリティエリア53に入退場する権限を有しているかをチェックする必要がある。本実施の形態では、操作者31の社員証等のIC(集積回路)カード(ICカード1)に登録されているID情報(識別情報)を用いて、操作者31の運転する車両20の入退場管理を簡単かつ確実に行う方式について説明する。ここで、ID情報は符号化(暗号化)されているものとする。
【0016】
図1に示すように、入退場管理システム100では、管理対象である車両20には、ICカードリーダ2、車載制御部4、通信ボタン6、DSRC車載器7、DSRC車載器アンテナ8が搭載されている。
【0017】
また、入退場管理システム100では、入退場ゲート23近傍に、DSRC制御機アンテナ9が設置されている。さらに、入退場管理システム100は、DSRC制御機アンテナ9と接続されたDSRC制御機50、入退場管理装置51、ゲート開閉制御装置52を備えている。
【0018】
操作者31(車両運転者)は、ICカード1をICカードリーダ2にかざしてID情報を読み込ませる。ID情報は、車載制御部4に入力され復号化され、車載制御部4の記憶装置に記憶(保持)される。ここで、例えば、後述する動力源始動制御装置10(図示なし)が、ID情報から運転権限情報を読み取り、車両の駆動制御を行うとしてもよい。
【0019】
操作者31の操作により、車両20がDSRC通信エリアに進入する。つまり、DSRC車載器アンテナ8とDSRC制御機アンテナ9とが、DSRC無線通信可能となるエリアである。車両20が、DSRC通信エリアに進入することによりDSRC無線通信が開始される。ここで、DSRC(Dedicated Short Range Communication)無線通信とは、双方向無線通信技術のことであり、狭域通信、もしくは専用狭域通信と呼ばれるものである。通信できる距離は数メートル〜数百メートルと短いが、利用可能範囲をあえて狭くすることで、特定のスポット内での高速な通信(4Mbps程度)を実現するものである。
【0020】
車両20がDSRC通信エリアに進入し、操作者31が通信ボタン6を押すと、車載制御部4からDSRC車載器7にID情報(社員証データ等)が送信される。そして、DSRC車載器アンテナ8とDSRC制御機アンテナ9とがDSRC無線通信を行うことにより、DSRC制御機50は、DSRC車載器7からID情報(社員証データ等)を取得する。DSRC制御機50が取得したID情報(社員証データ等)を入退場管理装置51に送信する。
【0021】
入退場管理装置51は、ID情報(社員証データ等)から認証処理を行い、入退場ゲート23のゲートシャッターの開閉制御を行う。すなわち、ID認証が完了すると、ゲートシャッターが開放され、車両20が通行することができる。
【0022】
図2は、実施の形態1における入退場管理システム100のブロック構成図である。図2を用いて、入退場管理システム100のブロック構成について説明する。
【0023】
入退場管理システム100は、車両20側にID情報送信装置120を備える。ID情報送信装置120は、識別情報送信装置の一例である。ID情報送信装置120は、ICカードロック機構33(蓋ロック機構付きBOX11)、車載制御部4、車両駆動制御部5、通信ボタン6、DSRC車載器7、DSRC車載器アンテナ8、方位センサ34を備える。ICカードロック機構33は、ICカード1の情報を読み取るICカードリーダ2を備える。
【0024】
入退場管理システム100は、路側側(入退場ゲート23側)に、ID情報受信装置130、入退場管理装置51、ゲート開閉制御装置52、入退場ゲート23を備える。入退場管理システム100では、ID情報受信装置130と入退場管理装置51とゲート開閉制御装置52とをあわせて入退場システムと呼ぶものとする。ID情報受信装置130は、DSRC制御機アンテナ9、DSRC制御機50を備える。
【0025】
ICカードリーダ2は、ICカード1に記録されているID情報(識別情報の一例)を読み込む。ICカードリーダ2は、識別情報読み取り部の一例である。ID情報には、通常の社員証データ(例えば、社員番号、氏名、所属部署、アクセス権等)の他に、危険物を取り扱うための権限があるか否かを判断するための情報、危険物を取り扱うための権限を有する場合に取り扱いが許可されている危険物の種別に関する情報、セキュリティエリア53に出入りするための権限があるか否かを判断するための情報、特定車両を操作するための権限があるか否かを判断するための情報、特定車両を操作するための権限を有する場合に操作が許可される車両種別に関する情報等の情報が含まれる。所定の権限があるか否かを判断するための情報として、通常の社員証データ等の情報を用いても構わない。
【0026】
本実施の形態では、ICカードリーダ2は、ICカードロック機構33に備えられている。ICカードロック機構33は、操作者31によりICカード1がセットされると、ID情報を読み取るとともに、ID情報から操作者31の運転権限に関する情報を読み取り車両20の駆動制御を行う。ICカードロック機構33は、車両20の駆動制御の後(車両のエンジン始動後)すぐにICカード1を他の操作者(運転手)に貸したり返したりすることができないようにロックする機構である。すなわち、車両20の操作者31(運転者(車両の駆動許可者))を限定し、操作者31(運転者)のなりすましを防止し、セキュリティを強化できる機構である。
【0027】
ここでは、ICカードリーダ2は、ICカードロック機構33に備えられているが、必ずしもICカードロック機構33がなくてはいけないわけではない。ICカード1からID情報を読み取ることができるICカードリーダ2を備えていれば、ICカードロック機構33はなくても構わない。具体的なICカードロック機構33の構造については、後述する。
【0028】
車載制御部4は、ICカードリーダ2により読み取られたID情報を入力する。車載制御部4は、入力したID情報を復号化し、記憶装置に記憶する。
【0029】
車両駆動制御部5は、車載制御部4からID情報を入力し、ID情報から操作者31が車両20を操作する(運転する)権限があるか否かを判断する。操作者31に車両20を操作する(運転する)権限があると判断した場合には、例えば、車両駆動制御部5は車両20のエンジンを始動する等のエンジン(動力源)駆動制御を行う。
【0030】
通信ボタン6は、操作者31がID情報を送信して入退場ゲート23を開制御したい場合に押下(接触)するボタンである。通信ボタン6は、操作者31がID情報の送信を指示する(ICカードリーダ2により読み取られたID情報の送信を指示する)送信指示信号を入力して、入力した送信指示信号を車載制御部4(からDSRC車載器7)へ送信する。通信ボタン6は、送信指示部の一例である。通信ボタン6は、操作者31により押下されるボタンでなくても良い。通信ボタン6は、タッチセンサ、スイッチ、リモートコントロール機等でも構わない。
【0031】
車載制御部4は、ICカードリーダ2により読み取られたID情報を、操作者31のセキュリティエリア53(所定のエリア)への入退場の許否を判断するための情報として、DSRC車載器7及びDSRC車載器アンテナ8(移動体側無線通信装置)により送信する。車載制御部4は、通信ボタン6から送信指示信号を受信した場合に、ID情報を前記DSRC車載器7及びDSRC車載器アンテナ8(移動体側無線通信装置)により送信する。
【0032】
DSRC車載器7は、車載制御部4よりID情報を入力すると、DSRC車載器アンテナ8を用いてID情報を送信する。
【0033】
DSRC車載器アンテナ8は、車両20に搭載されている。DSRC車載器アンテナ8は、DSRC無線通信により、ID情報を送信する。
【0034】
DSRC制御機アンテナ9は、DSRC無線通信により送信されたID情報を受信する。DSRC制御機アンテナ9は、入退場ゲート23近傍に設置され、入退場ゲート23を利用する車両20から発信されるID情報を受信する。
【0035】
DSRC制御機50は、DSRC制御機アンテナ9により受信されたID情報を入力する。DSRC制御機50は、入力したID情報を入退場管理装置51に送信する。
【0036】
入退場管理装置51は、DSRC制御機50からID情報を受信する。入退場管理装置51では、受信したID情報の認証処理を行う。入退場管理装置51は、ID情報により操作者31が入退場可能である権限を有すると判断すると、入退場ゲート23の開制御を行うための開閉制御信号(開制御信号)をゲート開閉制御装置52へ送信する。あるいは、入退場管理装置51は、操作者31及び車両20ともに入退場可能である権限を有すると判断すると、入退場ゲート23の開制御を行うための開閉制御信号(開制御信号)をゲート開閉制御装置52へ送信するとしてもよい。また、入退場管理装置51は、開制御信号をゲート開閉制御装置52へ送信した後、一定時間後に入退場ゲート23の閉制御を行うための開閉制御信号(閉制御信号)をゲート開閉制御装置52へ送信する処理を行うとしてもよい。あるいは、入退場管理装置51は、センサ等により車両20が入退場ゲート23を通過したことを判断し、その後、入退場ゲート23の閉制御を行うための開閉制御信号(閉制御信号)をゲート開閉制御装置52へ送信する処理を行うとしてもよい。
【0037】
入退場ゲート23は、ゲート開閉制御装置52の開閉制御信号にしたがってゲートの開閉制御が行われる。
【0038】
図3は、実施の形態1におけるID情報送信装置120のハードウェア資源の一例を示す図である。
図3において、ID情報送信装置120は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、CRT(Cathode・Ray・Tube)やLCD(液晶)の表示画面を有する表示装置901、通信ボード915、ICカードリーダ2、通信ボタン6、方位センサ34、ICカードロック機構33、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部の一例である。
【0039】
通信ボード915、ICカードリーダ2、通信ボタン6、方位センサ34、ICカードロック機構33などは、入力部、入力装置の一例である。
また、表示装置901、通信ボード915などは、出力部、出力装置の一例である。
【0040】
通信ボード915は、DSRC無線通信装置である。通信ボード915は、LAN942等に接続されていてもよい。通信ボード915は、LAN942に限らず、インターネット940、ISDN等のWAN(ワイドエリアネットワーク)などに接続されていても構わない。
【0041】
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム921(OS)、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921により実行される。
【0042】
上記プログラム群923には、以下に述べる実施の形態の説明において「〜部」、「〜手段」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、以下に述べる実施の形態の説明において、「〜の判定結果」、「〜の計算結果」、「〜の処理結果」として説明する情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」、「〜データベース」、「〜データ」の各項目として記憶されている。「〜ファイル」、「〜データベース」、「〜データ」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリになどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
また、以下に述べる実施の形態の説明において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD(Digital・Versatile・Disk)等の記録媒体に記録されていてもよい。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0043】
また、以下に述べる実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「手段」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、以下に述べる「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、以下に述べる「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0044】
図4は、実施の形態1におけるID情報送信装置120のID情報読み取り処理を示すフロー図である。図4を用いてID情報送信装置120のID情報読み取り処理について説明する。
【0045】
S1において、ICカードリーダ2は、ICカード1の読み込み待機状態である。例えば、車載制御部4がICカードリーダ2にポーリングを送信することにより、ICカードリーダ2は、ICカード1の読み込みを待機する。
【0046】
S2では、ICカードリーダ2は、取得可能なID情報があるか否かを処理装置により判断する。すなわち、操作者31が、車両20に乗り込み、例えば社員証等のICカード1を車両20に搭載されたICカードリーダ2にかざしたか否かである。S2において、NOの場合(すなわち、取得可能なID情報がない場合)は、S1に処理が戻る。S2において、YESの場合(すなわち、取得可能なID情報がある場合、操作者31がICカード1をICカードリーダ2にかざした場合)、処理はS3に進む。
【0047】
S3において、ICカードリーダ2は、ID情報を読み取る。車載制御部4は、処理装置により、ICカードリーダ2により読み取られたID情報を入力し、復号化する。車載制御部4は、処理装置により復号化したID情報を記憶装置に記憶する。
【0048】
S4において、車載制御部4は、処理装置を用いて、復号化したID情報について、車両20の運転権限を有するか否かを認証(判定)する。例えば、車載制御部4は、車両毎に運転権限を有する操作者の社員番号が登録された運転権限テーブルを記憶装置に備え、復号化したID情報の社員番号で運転権限テーブルを検索することにより、運転権限を有するか否かを認証(判定)してもよい。
【0049】
車載制御部4は、読み込んだID情報が運転権限を有さない場合には(S4にてNO)、例えばスピーカや表示装置901等よりエラー情報を出力し、S1に戻る。車載制御部4は、読み込んだID情報が運転権限を有する場合には(S4にてYES)、処理をS5に進める。
【0050】
S5において、車載制御部4は、処理装置を用いて、ICカードロック機構33にICカードロック信号を送信する。ICカードロック信号とは、操作者31がICカード1を物理的に取り出せないようにすることを指示する信号である。
【0051】
S6において、車載制御部4は、処理装置により、車両5の車両駆動制御を行う。つまり、車載制御部4は、処理装置により、車両駆動制御部5に車両駆動信号を送信する。これにより、車両駆動制御部5は、例えば、エンジンを始動する、あるいはエンジン始動待ち状態となる等の車両駆動制御を行い、操作者31が車両20の駆動を可能な状態にする。
【0052】
以上が、ID情報送信装置120のID情報読み取り処理である。ここでは、S4からS6の処理において、操作者31に運転権限があるか否かの認証処理(S4)と、操作者31に運転権限がある場合のICカードロック処理(S5)と、操作者31に運転権限がある場合の車両駆動制御処理(S6)とについて説明したが、これらの処理はなくても構わない。しかし、入退場管理システム100のセキュリティの向上を考えると、S4からS6の処理を行う方が好適である。
【0053】
図5は、実施の形態1におけるID情報送信装置120のID情報送信処理を示すフロー図である。図5を用いて、ID情報送信装置120のID情報送信処理について説明する。
【0054】
S7において、車載制御部4は、処理装置により、通信ボタン6の押下の待機状態となる。すなわち、車載制御部4は、送信指示信号待ち状態となる。
【0055】
S8において、車載制御部4は、「車両20がDSRC通信エリアにいる」かつ「通信ボタン6より送信指示信号が入力された」状態であるか否かを処理装置により判断する。
【0056】
S8において、車載制御部4は、「車両20がDSRC通信エリアにいる」かつ「通信ボタン6より送信指示信号が入力された」状態でない場合(S8にてNOの場合)、処理をS7に戻す。S8において、車載制御部4は、「車両20がDSRC通信エリアにいる」かつ「通信ボタン6より送信指示信号が入力された」状態である場合(S8にてYESの場合)、処理をS9に進める。
【0057】
S9において、車載制御部4は、処理装置により、ID情報をDSRC車載器7へ出力する。そして、DSRC車載器7は、処理装置により、入力したID情報をDSRC無線通信により送信するために変調してDSRC車載器アンテナ8に送信する。変調されたID情報は、DSRC車載器アンテナ8から電波として発信される。
【0058】
以上が、ID情報送信装置120のID情報送信処理である。
【0059】
図6は、実施の形態1におけるID情報受信装置130のID情報受信方法及び入退場管理装置51の入退場管理方法を示すフロー図である。図6を用いて、ID情報受信装置130のID情報受信方法及び入退場管理装置51の入退場管理方法について説明する。
【0060】
S10において、DSRC制御機アンテナ9は、DSRC車載器アンテナ8から電波として発信されたID情報を受信する。DSRC制御機50は、処理装置により、DSRC制御機アンテナ9が電波として受信したID情報を復調する。すなわち、DSRC制御機50は、DSRC車載器7に格納されたID情報をDSRC車載器アンテナ8及びDSRC制御機アンテナ9を介してDSRC無線通信により取得する。
【0061】
S11において、DSRC制御機50は、入退場管理装置51に復調したID情報を送信する。
【0062】
S12において、入退場管理装置51は、DSRC制御機50よりID情報を入力して、入力したID情報のID認証を処理装置により行う。入退場管理装置51は、例えば、当該セキュリティエリア53を含む所定のエリア毎に、入退場が許可されている社員(操作者)の社員番号が登録された入退場許可テーブルを記憶装置に備える。入退場管理装置51では、処理装置を用いて、入力したID情報の社員番号により入退場許可テーブルを検索することにより、ID認証を判定する。
【0063】
ここで、ID情報には、「特定車両を操作するための権限を有する場合に操作が許可される車両種別に関する情報」(例えば、社内で固有に採番された車両番号等)が記録されているとする。社員1人に対して1台の車両が登録されている場合は、入退場管理装置51は、社員番号により、操作者31のID認証だけでなく、操作者31の運転する車両20の認証を行うこともできる。
【0064】
例えば、入退場管理装置51は、当該セキュリティエリア53を含む所定のエリア毎に、入退場が許可されている車両番号が登録された入退場許可車両テーブルを備える。入退場管理装置51は、処理装置を用いて、入力したID情報の社員番号及び車両番号を用いて入退場許可テーブル及び入退場許可車両テーブルを検索することにより、操作者31のID認証及び車両20の認証を判定することができる。操作者31及び車両20ともに入退場が許可されている場合のみ、認証が許可されたものとするとしてもよい。
【0065】
入退場管理装置51によりID情報の認証がされなかった場合(S12でNOの場合)、処理はS7に戻る。入退場管理装置51によりID情報が認証された場合(S12でYESの場合)、処理はS13に進む。
【0066】
S13において、入退場管理装置51は、ID情報の認証が完了すると、処理装置により、開閉制御信号をゲート開閉制御装置52に送信する。ゲート開閉制御装置52は、処理装置により、開閉制御信号(開制御信号)を入力すると、入退場ゲート23に開制御信号を送信し入退場ゲート23を開く。
【0067】
S14において、ゲート開閉制御装置52は、処理装置により、入退場ゲート23が開状態において、所定の時間、開制御信号を受信しない場合には、入退場ゲート23を閉めるための閉制御信号を送信し、入退場ゲート23を閉める。
【0068】
ここで、入退場管理装置51は、処理装置により、車両20の入場時にID認証を行った操作者31及び車両20がセキュリティエリア53内に存在することを示す情報を記憶装置等に記憶することで、操作者31及び車両20についての管理を行うこともできる。また、入退場管理装置51は、処理装置により、車両20の退場時にID認証を行った操作者31及び車両20がセキュリティエリア53内に存在しないことを示す情報を記憶装置等に記憶することで、操作者31及び車両20についての管理を行うこともできる。
【0069】
以上のように、実施の形態1に係る入退場管理システム100は、車両20がセキュリティエリア53を入退場する場合において、ICカードリーダ2で読み取った運転者(操作者31)のICカード1のID情報をDSRC車載器7に格納し、DSRC無線通信を介して入退場システム(ID情報受信装置130、入退場管理装置51、ゲート開閉制御装置52)に送信することで、車両20及び運転者の入退場の管理を行うことを特徴とする。このように、入退場管理システム100は、ID情報送信装置120を備えているので、運転者は車両20を降りることなくセキュリティエリア53に入ることが可能となる。また、人(運転者(操作者31))だけでなく、車両20の入退場も管理することが可能となる。
【0070】
実施の形態1に係る入退場管理システム100は、車両20がセキュリティエリア53を入退場する場合において、運転者のICカード1のID情報をDSRC通信を介して入退場システム(ID情報受信装置130、入退場管理装置51、ゲート開閉制御装置52)に送信する。運転者のICカード1のID情報を車両20に備えた通信ボタン6を押下することをトリガとして入退場システム(ID情報受信装置130、入退場管理装置51、ゲート開閉制御装置52)に送信することを特徴とする。このように、DSRCの通信エリアに入っただけでは、入退場ゲート23を開かないように制御することを可能とする。これにより、むやみに入退場ゲート23を開かないようにし、セキュリティエリア53への不正侵入を防止することを可能とする。
【0071】
実施の形態1に係る入退場管理システム100は、車両20を運転(操作)する場合において、運転者のICカード1の暗号化されたID情報を車両20に搭載したICカードリーダ2で読み取り、車載制御部4にて暗号化されたID情報を復号化し、車両20を運転する権限があれば、車両20のエンジン制御(車両駆動制御)を行うことを特徴とする。これにより、車両20を運転する権限がない人が、車両20を動作(操作)させることを防ぐことを可能とする。
【0072】
実施の形態1に係る入退場管理システム100は、運転者のICカード1から得られたID情報を認証し、車両20のエンジンを制御する際に、運転者のICカード1を物理的にロックするICカードロック機構33を備えることを特徴とする。これにより、車両20を運転する権限をもつ人が車両を離れる際に、車両のエンジンをOFFにしない限り、ICカード1を取り出すことが出来ず、ICカード1の不正流用等ができないようにすることを可能とする。
【0073】
実施の形態2.
本実施の形態では、例えばIC(集積回路)カードを用いた車両の駆動制御に関連して、ICカードをICカードリーダへ読み込ませる機構を工夫する(後述するICカードロック機構を設ける)ことで、車両の運転者(車両の駆動許可者)を限定し、運転者のなりすましを防止し、セキュリティを強化できる方法について説明する。
【0074】
まず、全体構成について説明する。
【0075】
図8は、本実施の形態に係る動力源始動制御装置10が搭載された車両20を示す図である。
【0076】
図8において、動力源始動制御装置10は、車両20内(例えば、運転手の手元付近)に設置されている。車両20には、車両駆動制御回路21(実施の形態1における車両駆動制御部5)、エンジン22等が搭載されている。車両駆動制御回路21は、例えばキースイッチ操作回路等であり、エンジン22を駆動制御する駆動制御装置の一例である。エンジン22は、動力源の一例であり、車両20を駆動可能なものであれば、モータ(例えば、車両20が電気自動車の場合)等であってもよい。動力源始動制御装置10は、車両駆動制御回路21に接続されており、車両駆動制御回路21に対してエンジン22の始動の許否を示す信号を送信する。なお、図中、車両20の例として乗用車を示しているが、車両20はフォークリフト、その他の自動車、あるいは、列車等であってもよい。また、車両20は移動体の一例であり、本実施の形態は車両20以外にも、例えば船舶、航空機等に適用可能である。
【0077】
図9は、動力源始動制御装置10の構成を示すブロック図である。
【0078】
動力源始動制御装置10は、蓋ロック機構付きBOX11(実施の形態1におけるICカードロック機構33)、制御PC12(パーソナルコンピュータ又はマイクロコンピュータ)(実施の形態1における車載制御部4)、及び、スイッチ13等で構成される。蓋ロック機構付きBOX11には、ICカードリーダ14(実施の形態1におけるICカードリーダ2)とカード有無/蓋開閉状態検知センサ15が収納されている。蓋ロック機構付きBOX11には、ICカード30(社員証等)を着脱自在に装着する記憶媒体装着部16が備わっている。また、蓋ロック機構付きBOX11には、その名のとおり、蓋ロック機構が備わっている。
【0079】
運転者が蓋ロック機構付きBOX11の蓋を開けた状態でICカード30(実施の形態1におけるICカード1)を記憶媒体装着部16に装着し、蓋を閉じる(同時に、蓋はロックされる)と、カード有無/蓋開閉状態検知センサ15は、ICカード30が記憶媒体装着部16に装着されたこと(ICカード30があること)と、蓋が閉じられたことを検知し、その旨を検知情報として制御PC12に伝える。制御PC12は、検知情報を受け取って初めて、ICカードリーダ14を介して、ICカード30の情報を取得する。制御PC12は、取得したICカード30の情報から、運転者の車両20についての運転権限を判別し、運転権限があると判断したときは、スイッチ13をONする制御を行う。スイッチ13は、車両駆動制御回路21と接続されており、スイッチ13がONになることで、車両20を駆動することが可能となる。また、蓋ロック機構付きBOX11の蓋は、車両20の駆動が開始された後、駆動が停止されて初めてロックが解除されるようになっている。
【0080】
ICカード30は、上記の情報として、車両20の運転者の権限を判定するための権限データが格納された記憶媒体の一例である。また、本実施の形態では、ICカード30は、権限データとともに、特定の場所への入場時に運転者を認証するための認証データを格納しており、社員証等を兼ねているものとする。なお、ICカード30が認証データを格納することは必須ではなく、権限データのみを格納していてもよい。
【0081】
ICカードリーダ14は、記憶媒体読み取り部17を備える。記憶媒体読み取り部17は、記憶媒体装着部16に装着されたICカード30から権限データを無線通信により読み取って制御PC12に送信する。
【0082】
なお、本実施の形態では、記憶媒体装着部16をICカードリーダ14とは分離して蓋ロック機構付きBOX11の中に設けているが、記憶媒体装着部16をICカードリーダ14自体に実装してもよい。いずれの形態においても、記憶媒体装着部16は、蓋ロック機構付きBOX11の本体に収納される。
【0083】
制御PC12は、権限判定部18(実施の形態1における車載制御部4)、動力源始動制御部19(実施の形態1における車載制御部4)を備える。権限判定部18は、ICカード30が記憶媒体装着部16に装着されており(カード有の状態)、かつ、蓋ロック機構付きBOX11の蓋が閉じられている(蓋閉の状態)ことがカード有無/蓋開閉状態検知センサ15にて検知されているか確認する。権限判定部18は、カード有かつ蓋閉の状態が確認できた場合、ICカードリーダ14の記憶媒体読み取り部17にICカード30から権限データを読み取らせ、読み取らせた権限データを記憶媒体読み取り部17から受信する。そして、権限判定部18は、受信した権限データに基づいて運転者(ICカード30の所有者)に車両20を運転する権限があるか否かを判定する。動力源始動制御部19は、権限判定部18により当該運転者に車両20を運転する権限があると判定された場合、車両駆動制御回路21に対してエンジン22の始動を許可する信号を送信する。本実施の形態では、この場合、動力源始動制御部19は、スイッチ13を閉じて(ONにして)車両駆動制御回路21へエンジン22の始動を指令する信号を送信する。
【0084】
なお、本実施の形態では、権限判定部18は、カード有かつ蓋閉の状態が確認できた場合にのみ、ICカードリーダ14の記憶媒体読み取り部17から権限データを受信するが、カード有の状態さえ確認できれば、権限データを受信するようにしてもよい。この場合、動力源始動制御部19は、蓋ロック機構付きBOX11の蓋が閉じられている(蓋閉の状態)ことがカード有無/蓋開閉状態検知センサ15にて検知されているか確認する。動力源始動制御部19は、権限判定部18により運転者に車両20を運転する権限があると判定され、かつ、蓋閉の状態が確認できた場合にのみ、車両駆動制御回路21に対してエンジン22の始動を許可する信号を送信する。いずれの形態においても、動力源始動制御部19は、権限判定部18により運転者に車両20を運転する権限があると判定され、かつ、蓋ロック機構付きBOX11の蓋が閉じられている場合にのみ、車両駆動制御回路21に対してエンジン22の始動を許可する信号を送信する。
【0085】
蓋ロック機構付きBOX11に備えられた蓋ロック機構は、制御PC12の動力源始動制御部19により送信された信号に従って車両駆動制御回路21がエンジン22を始動した後、エンジン22が停止するまで、蓋を閉状態でロックする。これにより、ICカード30を記憶媒体装着部16から取り外せない状態を保持する。
【0086】
なお、本実施の形態では、蓋ロック機構によってICカードロック機構を実現しているが、他のロック機構によってICカードロック機構を実現しても構わない。例えば、ICカードリーダ14自体に、エンジン22の始動後、エンジン22が停止するまでICカード30を記憶媒体装着部16から取り外せない状態を保持するロック機構が備わっていてもよい。
【0087】
上記のように、本実施の形態では、車両20に設置された動力源始動制御装置10が、車両20を運転できる人を判別するのに、ICカード30に書き込まれた運転権限情報(権限データとして保存される情報)をICカードリーダ14で参照することで、車両20の駆動許可/不許可の判断を行う。動力源始動制御装置10は、車両20の駆動許可を判断すると、車両駆動制御回路21に車両20のエンジン22を始動させる。仮に、動力源始動制御装置10が蓋ロック機構付きBOX11を備えておらず、図10に示すように、ICカード30を単にICカードリーダ14にかざすだけの方式を採用している場合、一旦車両20のエンジン22が始動されてしまうと、それ以降は運転許可のない人でも車両20の運転ができてしまう(いわゆる“運転手のなりすまし”が可能となる)ことになる。また、車両20のエンジン22を始動させた後、そのICカード30を使って、同様のICカードリーダ14を搭載した他の車両のエンジンも始動させることが可能であり、運転権限のある1人の運転手が複数車両のエンジンを始動させ、他の運転権限のない人にそれぞれの車両を運転させること(いわゆる“運転手のなりすまし”)も可能となってしまう。これに対し、本実施の形態では、蓋ロック機構付きBOX11内にICカードリーダ14を搭載し、ICカード30を蓋ロック機構付きBOX11内に収納し、蓋を閉じた時点で初めてICカード30をICカードリーダ14に読み込ませる方式を採用している。そして、一旦蓋をすると、車両20のエンジン22を停止するまでは、蓋がロックされたままとなり、ICカード30を取り出せないようにしている。
【0088】
このような方式をとることで、本実施の形態では、エンジン22の始動後すぐにICカード30を他の運転手に貸したり返したり、他の車両のICカードリーダ14に読み込ませたりすることができないようにしている。また、社員証等で構内の入出管理等を行っている場合、社員証等をICカード30とする(前述したように、ICカード30に権限データとともに認証データを格納する)ことで、ICカード30は肌身離さず携帯しておく必要があるものにし、ICカード30を置き去りにしたまま、他の運転手に交代することができないようにしている。よって、本実施の形態によれば、運転手のなりすましを防止し、セキュリティを強化することができる。
【0089】
次に、動作について説明する。
【0090】
図11(a)は、蓋ロック機構付きBOX11の外観例を示す斜視図である。図11(b)は、図11(a)の蓋ロック機構付きBOX11をAから見た側面図である。
【0091】
図11(a)において、蓋ロック機構付きBOX11は、一部が開口された本体側41(本体)と、本体側41の開口された部分を、図11(b)に示したように開閉自在に覆う蓋側42(蓋)とで構成されている。
【0092】
図12及び図13は、蓋ロック機構付きBOX11の本体側41の内部構成例を示す斜視図である。
【0093】
図12には、ICカードリーダ14と、カード有無/蓋開閉状態検知センサ15の一部であるカード有無検知センサ15aの設置例を示している。カード有無検知センサ15aは、例えばフォトセンサ等である。図12の例では、カード有無検知センサ15aの中央に設けられた凹溝が記憶媒体装着部16を形成している。ICカード30が記憶媒体装着部16に装着されると、ICカード30によって光の照射経路が遮られるため、カード有無検知センサ15aは、ICカード30があることを検知できる。図13には、カード有無/蓋開閉状態検知センサ15の一部である蓋開閉状態検知センサ15bと、蓋ロック用ストッパ43の設置例を示している。蓋開閉状態検知センサ15bは、例えばフォトセンサ等である。蓋が閉じられると、後述するように光の照射経路が遮られるため、蓋開閉状態検知センサ15bは、蓋が閉まったことを検知できる。蓋ロック用ストッパ43の機能については後述する。なお、蓋ロック機構付きBOX11の本体側41は、実際には、図12及び図13の両方の構成品が全て設置された状態となる(便宜上、図12及び図13で分けて示している)。
【0094】
図14(a)は、蓋ロック機構付きBOX11の蓋側42の構成例を示す斜視図である。図14(b)は、図14(a)の蓋側42をBから見た側面図である。
【0095】
蓋開閉状態検知センサ15bが、蓋が閉まった状態を検知できるように、蓋側42には、蓋開閉検知用板金44が設置されている。蓋が閉じられると、この蓋開閉検知用板金44によって光の照射経路が遮られるため、蓋開閉状態検知センサ15bは、蓋が閉まったことを検知できる。蓋側42には、蓋をロックできるように、ストッパ金具45及び電磁ソレノイド46も設置されている。ストッパ金具45は、電磁ソレノイド46から出ている棒47の先端に取り付けられている。電磁ソレノイド46は、導通(通電)の有無により、棒47の状態を制御する。具体的には、電磁ソレノイド46は、導通有で棒47を吸引し、導通無で棒47を復帰させる。つまり、電磁ソレノイド46が通電されると棒47が引っ込んでストッパ金具45が変位し、電磁ソレノイド46が通電されなくなるとバネの力により棒47が伸びて、ストッパ金具45が元の位置に戻る)。
【0096】
図15は、蓋ロック機構付きBOX11の蓋ロック機構の仕組みを示す図である。
【0097】
図15に、蓋を閉じたときに、蓋がロックされる仕組みの例を示す。蓋を閉じようとすると、ストッパ金具45が蓋ロック用ストッパ43に干渉するが、そのまま蓋を閉じると、ストッパ金具45がテーパー状(傾斜)になっているため、棒47が引っ込み、ストッパ金具45が蓋ロック用ストッパ43の下に潜り込むことになる。その結果、今度は蓋を開けようとしても、ストッパ金具45が蓋ロック用ストッパ43に干渉し、蓋が開かないようになる(ロック状態)。
【0098】
図16は、蓋ロック機構付きBOX11の内部構成例を示す側面図である。
【0099】
図16に、ICカード30を記憶媒体装着部16に装着し(前述したように、ICカードリーダ14自体に記憶媒体装着部16を設けている場合には、ICカード30をICカードリーダ14に挿入等することになる)、蓋ロック機構付きBOX11の蓋を閉めたときの状態を示す。ICカード30を記憶媒体装着部16に装着し、蓋を閉じることで、蓋開閉検知用板金44が蓋開閉状態検知センサ15bで検知され、ICカード30がカード有無検知センサ15aで検知される。また、ストッパ金具45が蓋ロック用ストッパ43の下側になるため、蓋がロックされる。この状態で、制御PC12がICカード30のデータ内の運転権限を判別し、運転権限がある場合はスイッチ13をONとし、車両20のエンジン22の駆動が可能となる。一旦エンジン22が駆動すると、エンジン22を停止するまでは、電磁ソレノイド46は非導通の状態としておき、棒47は復帰(伸びる)状態を維持することで、蓋ロック状態を保つ。エンジン22が停止されると、電磁ソレノイド46を導通の状態として、棒47を吸引(引っ込む)させ、蓋ロック状態を解除することで、蓋を開けてICカード30を取り出すことができる。本実施の形態では、このような仕組みを採用することで、ICカード30を記憶媒体装着部16に装着し(あるいは、ICカードリーダ14に挿入等し)、車両20のエンジン22を始動した後に、同じICカード30を使って他の車両のエンジンを始動したりする運転手のなりすましを防止し、セキュリティを強化することができる。また、本実施の形態では、ICカード30を置き去りにしたまま、他の運転手に交代することができない(ICカード30で構内の出入り管理等を行っている場合、ICカード30は肌身離さず携帯しておく必要がある)ことを利用し、運転手のなりすましを防止し、セキュリティを強化することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 ICカード、2 ICカードリーダ、4 車載制御部、6 通信ボタン、7 DSRC車載器、8 DSRC車載器アンテナ、9 DSRC制御機アンテナ、10 動力源始動制御装置、11 蓋ロック機構付きBOX、12 制御PC、13 スイッチ、14 ICカードリーダ、15 カード有無/蓋開閉状態検知センサ、15a カード有無検知センサ、15b 蓋開閉状態検知センサ、16 記憶媒体装着部、17 記憶媒体読み取り部、18 権限判定部、19 動力源始動制御部、20 車両、21 車両駆動制御回路、22 エンジン、23 入退場ゲート、30 ICカード、31 操作者、33 ICカードロック機構、34 方位センサ、41 本体側、42 蓋側、43 蓋ロック用ストッパ、44 蓋開閉検知用板金、45 ストッパ金具、46 電磁ソレノイド、47 棒、50 DSRC制御機、51 入退場管理装置、52 ゲート開閉制御装置、53 セキュリティエリア、100 入退場管理システム、110 入退場管理システム、120 ID情報送信装置、130 ID情報受信装置、901 表示装置、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、923 プログラム群、924 ファイル群、940 インターネット、942 LAN。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載され、識別情報を送信する識別情報送信装置であって、
前記移動体を操作する操作者を示す識別情報が格納されたIC(集積回路)カードから、前記識別情報を読み取る識別情報読み取り部と、
前記識別情報読み取り部により読み取られた前記識別情報を、前記操作者の所定のエリアへの入退場の許否を判断するための情報として、移動体側無線通信装置により送信する識別情報送信部と
を備えることを特徴とする識別情報送信装置。
【請求項2】
前記識別情報送信装置は、さらに、
前記識別情報読み取り部により読み取られた前記識別情報の送信を指示する送信指示信号を入力して、入力した前記送信指示信号を前記識別情報送信部へ送信する送信指示部を備え、
前記識別情報送信部は、
前記送信指示部から前記送信指示信号を受信した場合に、前記識別情報を前記移動体側無線通信装置により送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の識別情報送信装置。
【請求項3】
前記識別情報送信部は、
DSRC(Dedicated Short Range Communication)通信により、前記識別情報を送信することを特徴とする請求項1または2に記載の識別情報送信装置。
【請求項4】
操作者が操作する移動体の所定のエリアへの入退場の管理を行う入退場管理システムにおいて、
前記操作者を示す識別情報が格納されたIC(集積回路)カードから、前記識別情報を読み取る識別情報読み取り部と、
前記識別情報読み取り部により読み取られた前記識別情報を、前記操作者の所定のエリアへの入退場の許否を判断するための情報として、移動体側無線通信装置により送信する識別情報送信部と、
前記識別情報送信部により送信された前記識別情報を、前記所定のエリアの入退場ゲート近傍に設置されたエリア側無線通信装置により受信する識別情報受信部と、
前記識別情報受信部により受信された前記識別情報を入力して、入力した前記識別情報に基づいて、前記操作者が前記所定のエリアへの入退場を許可されているか否かを処理装置により判断する入退場管理部と、
前記入退場管理部の判断結果に基づいて、前記入退場ゲートを開閉制御するゲート開閉制御部とを備えることを特徴とする入退場管理システム。
【請求項5】
移動体に搭載され、識別情報を送信する識別情報送信装置の識別情報送信プログラムであって、
識別情報読み取り部により前記移動体を操作する操作者を示す識別情報が格納されたIC(集積回路)カードから、前記識別情報を読み取る識別情報読み取り処理と、
識別情報送信部により前記識別情報読み取り処理により読み取られた前記識別情報を、前記操作者の所定のエリアへの入退場の許否を判断するための情報として、移動体側無線通信装置により送信する識別情報送信処理と
をコンピュータである識別情報送信装置に実行させることを特徴とする識別情報送信プログラム。
【請求項6】
移動体に搭載され、識別情報を送信する識別情報送信装置の識別情報送信方法であって、
識別情報読み取り部が前記移動体を操作する操作者を示す識別情報が格納されたIC(集積回路)カードから、前記識別情報を読み取る識別情報読み取りステップと、
識別情報送信部が前記識別情報読み取りステップにより読み取られた前記識別情報を、前記操作者の所定のエリアへの入退場の許否を判断するための情報として、移動体側無線通信装置により送信する識別情報送信ステップと
を備えることを特徴とする識別情報送信装置の識別情報送信方法。
【請求項7】
操作者が操作する移動体の所定のエリアへの入退場の管理を行う入退場管理システムの入退場管理方法において、
識別情報読み取り部が前記操作者を示す識別情報が格納されたIC(集積回路)カードから、前記識別情報を読み取る識別情報読み取りステップと、
識別情報送信部が前記識別情報読み取りステップにより読み取られた前記識別情報を、前記操作者の所定のエリアへの入退場の許否を判断するための情報として、移動体側無線通信装置により送信する識別情報送信ステップと、
識別情報受信部が前記識別情報送信ステップにより送信された前記識別情報を、前記所定のエリアの入退場ゲート近傍に設置されたエリア側無線通信装置により受信する識別情報受信ステップと、
入退場管理部が前記識別情報受信ステップにより受信された前記識別情報を入力して、入力した前記識別情報に基づいて、前記操作者が前記所定のエリアへの入退場を許可されているか否かを処理装置により判断する入退場管理ステップと、
ゲート開閉制御部が前記入退場管理ステップの判断結果に基づいて、前記入退場ゲートを開閉制御するゲート開閉制御ステップとを備えることを特徴とする入退場管理システムの入退場管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−196243(P2010−196243A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38686(P2009−38686)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】