説明

警備装置、監視対象管理方法、および警備システム

【課題】作業員の失念による監視対象の取り外し忘れを確実に防止すること。
【解決手段】案内板に装着されたRFIDタグ200を検知するRFIDリーダ104と、RFIDリーダ104による検知結果が、RFIDタグ200を検知している検知状態から、RFIDタグ200を検知していない非検知状態になった場合、作業員によるATMに対する作業の開始と判断する状態判断部153と、作業の開始と判断された場合、作業を開始した旨を監視センタ500に通知する通知部157と、を備え、状態判断部153は、さらに、検知結果が非検知状態になった後に再度検知状態になった場合、作業員によるATMに対する作業の終了と判断し、通知部157は、さらに、作業の終了と判断された場合、作業が終了した旨を監視センタ500に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードなどを用いて現金の預け入れや引き出しを行う現金自動預払機が設置された監視領域を警備する警備装置、監視領域に取り付ける監視対象を管理する監視対象管理方法、および当該警備装置を備えた警備システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カードなどを用いて現金の預け入れや引き出しを行う現金自動預払機、すなわちATM(Automated Teller Machine)に障害が発生した場合、作業員が障害対応を行う。この作業員の障害対応の作業中にはATMが利用できないため、ATMコーナーにおける利用者が認識し易い位置に、「ただいまご利用できません」などと記載した、ATMの利用ができない旨を示す案内板を取り付けることがある。
【0003】
この案内板は、ATMの障害が解消した後、作業員がATMコーナーから離れるときに取り外すものであるが、作業員が案内板を取り外すことを失念してしまうことがある。そうすると、ATMコーナーに訪れた利用者は、案内板が取り付けられているATMを利用できないATMと認識するため、障害が解消したにも関わらずそのATMを利用することができない。また、銀行側は、利用者に対してサービスを提供することができない。従って、このように案内板を取り外すことを失念してしまうことで、利用者及び銀行に迷惑を掛けてしまう。
【0004】
ここで、保守員が所定のキーシリンダーにキーを差し込んで保守のために装置を可動させた後、該キーを抜かないと装置が可動しないキーの抜き忘れ防止構造が開示されている(例えば特許文献1参照)。このキーの抜き忘れ防止構造では、キーをキーシリンダーに差し込んだ状態のままでは、装置が可動しないため、キーの抜き忘れを防止することができる。
【0005】
また、上述のような案内板にRFID(Radio Frequency IDentification)タグを付け、作業員にRFIDリーダを所持させる。そして、作業員がATMコーナーから離れるときに、案内板を取り外し忘れると、RFIDタグとRFIDリーダとの距離が離れることにより、RFIDリーダが音声等により注意喚起させる技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−264269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1の構造では、キーと装置の可動とを連動させてキーの抜き忘れを防止しているが、装置の近傍に取り付けた案内板は装置(ATM)の可動と連動させないため、案内板の取り外し忘れの防止策として適用することはできない。また、上述した技術では、作業員がRFIDリーダを携帯する必要があるとともに、例えば、作業員がATMコーナー内などにRFIDリーダを置き忘れてATMコーナーから離れた場合には、作業員に注意喚起がされなくなってしまい、その結果、案内板の取り外し忘れを防止することはできなくなってしまう。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、作業員の失念による監視対象の取り外し忘れを確実に防止する警備装置、監視対象管理方法、および警備システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、現金の預け入れや引き出しを行う現金自動預払機が設置された監視領域の警備を行う警備装置において、監視対象に装着された情報記憶媒体を検知する媒体検知手段と、前記媒体検知手段による検知結果が、前記情報記録媒体を検知している検知状態から、前記情報記録媒体を検知していない非検知状態になった場合、作業員による前記現金自動預払機に対する作業の開始と判断する状態判断手段と、前記作業の開始と判断された場合、作業を開始した旨を、ネットワークを介して接続された監視センタに通知する通知手段と、を備え、前記状態判断手段は、さらに、前記検知結果が前記非検知状態になった後に、再度前記検知状態になった場合、作業員による前記現金自動預払機に対する作業の終了と判断し、前記通知手段は、さらに、前記作業の終了と判断された場合、作業が終了した旨を前記監視センタに通知することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、現金の預け入れや引き出しを行う現金自動預払機が設置された監視領域の警備を行う警備装置で実行される監視対象管理方法において、前記警備装置は、監視対象に装着された情報記憶媒体を検知する媒体検知手段を備え、前記媒体検知手段による検知結果が、前記情報記録媒体を検知している検知状態から、前記情報記録媒体を検知していない非検知状態になった場合、作業員による前記現金自動預払機に対する作業の開始と判断する第1状態判断ステップと、前記作業の開始と判断された場合、作業を開始した旨を、ネットワークを介して接続された監視センタに通知する第1通知ステップと、前記検知結果が前記非検知状態になった後に、再度前記検知状態になった場合、作業員による前記現金自動預払機に対する作業の終了と判断する第2状態判断ステップと、前記作業の終了と判断された場合、作業が終了した旨を前記監視センタに通知する第2通知ステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、現金の預け入れや引き出しを行う現金自動預払機が設置された監視領域の警備を行う警備装置と、前記警備装置とネットワークを介して接続された監視センタとを備えた警備システムにおいて、前記警備装置は、監視対象に装着された情報記憶媒体を検知する媒体検知手段と、前記媒体検知手段による検知結果が、前記情報記録媒体を検知している検知状態から、前記情報記録媒体を検知していない非検知状態になった場合、作業員による前記現金自動預払機に対する作業の開始と判断する状態判断手段と、前記作業の開始と判断された場合、作業を開始した旨を、前記監視センタに通知する通知手段と、を備え、前記状態判断手段は、さらに、前記検知結果が前記非検知状態になった後に、再度前記検知状態になった場合、作業員による前記現金自動預払機に対する作業の終了と判断し、前記通知手段は、さらに、前記作業の終了と判断された場合、作業が終了した旨を前記監視センタに通知し、前記監視センタは、前記警備装置から、前記作業を開始した旨または前記作業が終了した旨を受信する受信手段と、受信した前記作業を開始した旨または前記作業が終了した旨を、情報を表示可能な表示装置に表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、現金の預け入れや引き出しを行う現金自動預払機が設置された監視領域の警備を行う警備装置と、前記警備装置とネットワークを介して接続された監視センタとを備えた警備システムにおいて、前記警備装置は、監視対象に装着された情報記憶媒体を検知する媒体検知手段と、前記媒体検知手段によって前記情報記録媒体を検知している検知状態、または前記情報記録媒体を検知していない非検知状態のいずれかの検知結果を、前記監視センタに通知する通知手段と、を備え、前記監視センタは、前記警備装置から、前記検知結果を受信する受信手段と、受信した前記検知結果が前記検知状態から前記非検知状態になった場合は、作業員による前記現金自動預払機に対する作業の開始と判断し、受信した前記検知結果が前記非検知状態になった後に、再度前記検知状態になった場合は、作業員による前記現金自動預払機に対する作業の終了と判断する状態判断手段と、前記作業の開始と判断された場合は、作業を開始した旨を、情報を表示可能な表示装置に表示し、前記作業の終了と判断された場合は、作業が終了した旨を前記表示装置に表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、監視対象に装着された情報記憶媒体の検知結果により、作業員による作業の開始または作業の終了を判断することで、作業員の失念による監視対象の取り外し忘れを確実に防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる警備装置が配置された監視領域を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1にかかる警備装置および監視センタの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施の形態1にかかる案内板の一例を示す図である。
【図4】図4は、警備モードとRFIDタグの検知結果との関係による監視領域の状態を示す説明図である。
【図5】図5は、作業員によるATMの作業中における監視領域を示す図である。
【図6】図6は、案内板の位置が異常である場合の監視領域を示す図である。
【図7】図7は、監視領域の状態遷移と監視領域状況の関係を示す説明図である。
【図8】図8は、実施の形態1にかかる警備装置における判断処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、実施の形態2にかかる警備装置および監視センタの構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、実施の形態2にかかる監視センタにおける判断処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる警備装置、監視対象管理方法、および警備システムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
通常、監視領域に設置されている現金の預け入れや引き出しを行う現金自動預払機(ATM)が保守作業などの作業中で利用できない場合、ATMコーナーのATM近傍、すなわちATMコーナーに入室してきた利用者が認識し易い位置に、ATMの利用ができない旨を示す案内板を取り付ける。実施の形態1にかかる警備装置は、このように取り付けた案内板を、作業の終了時に作業者が取り外すことを失念しないように、該案内板に装着されたRFIDタグの検知結果を利用して、ATMに対する作業の開始および作業の終了を判断し、案内板の取り外し忘れを防止するものである。
【0017】
図1は、実施の形態1にかかる警備装置が配置された監視領域を示す図である。図1に示すように、警備装置100は、設置されたATM30の前面側に位置し、ATM30から利用者が現金の預け入れや引き出しを行う場所であるATMコーナー20と、ATM30の背面側に位置し、作業員がATM30の保守・管理を行う場所であるATMバックヤード10とを含む監視領域を警備するものである。
【0018】
警備装置100は、ATMバックヤード10の内部に設置されており、電話回線、無線ネットワーク、インターネットなどのネットワーク90を介して監視センタ500と接続されている。ATMバックヤード10には、警備装置100の一部としてのセンサ103aおよびRFIDリーダ104が配置され、ATMバックヤード10の出入口近傍には、警備装置100の一部としてのコントローラ101が配置されている。また、ATMコーナー20には、警備装置100の一部としてのセンサ103bが配置されている。
【0019】
次に、警備装置100の詳細について説明する。図2は、実施の形態1にかかる警備装置および監視センタの構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかる警備装置100は、センサ103aと、センサ103bと、RFIDリーダ104と、コントローラ101と、入出力制御部115と、制御部150と、通信制御部116とを主に備えている。
【0020】
センサ103aは、ATMバックヤード10内に設置されてATMバックヤード10へ入室してきた侵入者や正当な作業者等を検知する人感センサである。また、センサ103bは、ATMコーナー20内に設置されてATMコーナー20へ入室してきた侵入者や正当な利用者等を検知する人感センサである。ここで、センサ103a、103bの種類としては、赤外線の受光量の変化をもとに人の存在を検出する赤外線センサ、赤外線などの受信が遮断されることで人の存在を検出する遮断センサ、電磁波の乱れで人の存在を検知する気配センサ、およびマグネットにより扉の開閉を検出するマグネットセンサなどの監視領域(ATMバックヤード10、ATMコーナー20)の異常を検知する各種センサ等が該当する。
【0021】
RFIDリーダ104は、案内板に装着されたRFIDタグ200が通信距離内である所定の領域に存在する場合に、RFIDタグ200から送信される信号、すなわちRFIDタグ200に記憶されているRFIDタグ200に固有の識別情報であるタグIDを非接触で受信して読み取ることで、RFIDタグ200を検知するものである。RFIDリーダ104による検知結果として、RFIDタグ200が検知されている場合を検知状態といい、RFIDタグ200が非検知である場合(検知していない場合)を非検知状態という。
【0022】
ここで、RFIDとは、電波/電磁波を利用して、非接触でID等の読み出し/書き込みを行なうものであり、内部に電子的な情報を持つタグ(RFIDタグ)が、読み取り装置(RFIDリーダ)と電波で送受信を行うことで、タグに記録されている情報を識別する技術である。また、本実施の形態のRFIDタグ200は、警備装置100のRFIDリーダ104に定期的にタグIDを送信し、RFIDリーダ104は、タグIDを定期的に受信し、警備装置100に登録されているタグIDと認証することにより登録されたRFIDタグであることを確認するものとして説明する。
【0023】
また、本実施の形態における案内板について説明する。案内板には、ATM30が利用できない旨を示す情報が記載され、RFIDタグ200が装着されている。図3は、実施の形態1にかかる案内板の一例を示す図である。図3に示すように、案内板には、「ただいま、ご利用になれません。お近くのATMをご利用くださいませ。○○銀行」のように、ATMが利用できない旨が記載されている。そして、案内板には、ATMコーナーの所定の場所に掛けられるように、上部に紐が取り付けられており、正面右側にはRFIDタグ200が埋め込まれて装着されている。
【0024】
コントローラ101は、利用者からの入力を受け付けるものであり、更に、操作表示部102を備えている。操作表示部102は、例えばタッチ入力式の液晶画面であり、利用者に対して設定画面を表示して、警備モードの設定として警備解除状態と警備状態とのいずれかの警備操作を受け付けるものである。
【0025】
ここで、警備モードとは、監視領域において異常検知した際の通報先への通報の可否、または監視領域に対する報知の可否などを定めたモードであり、異常を検知したときの警備装置100の動作を決定するモードである。警備モードは、通報の可否および通報先、監視領域への報知の有無などによって複数のモードが存在し、代表的な警備モードとしては、警備状態、警備解除状態がある。
【0026】
まず、警備状態とは、警備を必要とする場合に設定する警備モードであり、センサによって異常を検知したときに発せられる検知信号を警備装置が受信した場合に、監視センタに異常を知らせる警報を通報する状態である。なお、警備装置の設置されている監視領域において異常を検知したことを報知する場合もある。これは、侵入者を威嚇する目的や誤報である場合に警報解除操作を促す目的で報知するものである。
【0027】
警備解除状態とは、警備を必要としない場合に設定する警備モードであり、センサによって異常を検知したときに発せられる検知信号を警備装置が受信した場合でも、監視センタへの警報の通報を行わず、監視領域における異常があるとは判断しない状態である。これは、センサにより異常を検知(人の存在の検知、扉の開閉の検知)しても、正当な利用者を検知したものと判断するためである。
【0028】
入出力制御部115は、センサ103a、センサ103b、RFIDリーダ104、およびコントローラ101の入出力制御、監視領域の音声を取得するマイク(図示せず)の入力制御、送信された音声を出力するスピーカ(図示せず)の出力制御により種々のデータの入出力を制御する処理部である。具体的には、例えば、入出力制御部115は、センサ103a、103bにより検知した情報やRFIDリーダ104から受信したタグID、コントローラ101の操作表示部102から受け付けた入力等を制御部150に送出する。
【0029】
通信制御部116は、警備装置100とネットワーク90との間における通信を制御するものであり、具体的にはネットワークボードなどが該当する。
【0030】
制御部150は、警備装置100の全体を制御するものであり、さらに、警備モード設定部151と、警備モード記憶部152と、状態判断部153と、状態記憶部154と、通報部155と、報知部156と、通知部157とを主に備えている。
【0031】
警備モード記憶部152は、監視領域における現在の警備モード、例えば、上述した警備状態または警備解除状態を記憶するメモリなどの記憶媒体である。
【0032】
警備モード設定部151は、操作表示部102によって受け付けた警備操作により、監視領域の警備モードを設定するものである。具体的には、警備モード設定部151は、警備モード記憶部152の記憶内容を警備解除状態から警備状態に変更することにより警備状態に設定し、警備状態から警備解除状態に変更することにより警備解除状態に設定する。
【0033】
本実施の形態では、作業員によりATMバックヤード10で保守作業等が行われる場合は、操作表示部102から警備解除状態に設定する旨の警備操作を受け付け、監視領域の警備モードを警備解除状態に設定する。これにより、作業員はATMバックヤード10に入室可能となる。また、作業員が作業を終了して、ATMバックヤード10から退室する場合は、操作表示部102から警備状態に設定する旨の警備操作を受け付け、監視領域の警備モードを警備状態に設定する。
【0034】
状態記憶部154は、状態判断部153により判断された監視領域の状態を記憶するメモリなどの記憶媒体である。
【0035】
状態判断部153は、設定された警備モード(警備状態または警備解除状態)、およびRFIDタグ200の検知結果(検知状態または非検知状態)に基づいて、監視領域の状態を判断して状態記憶部154に記憶する。そして、状態判断部153は、監視領域の状態遷移から監視領域の状況(監視領域状況)を判断するものである。
【0036】
まず、状態判断部153は、警備モード設定部151により設定された警備モードおよびRFIDリーダ104により検知された検知結果から、監視領域の状態を判断する。ここで、設定された警備モードとRFIDタグ200の検知結果とから判断される監視領域の状態について説明する。図4は、警備モードとRFIDタグの検知結果との関係による監視領域の状態を示す説明図である。状態判断部153は、図4に示す状態A〜Dに分類された監視領域の状態を判断する。
【0037】
まず、状態Aでは、警備モードが警備状態(警備ON)に設定され、かつRFIDタグ200が検知状態となっている。この状態Aでは、ATMバックヤード10には誰もいない警備状態であって、ATM30が利用可能となっており、監視領域の状態は、「正常」となる。
【0038】
次に、状態Bでは、警備モードが警備解除状態(警備OFF)に設定され、かつRFIDタグ200が検知状態となっている。この状態Bにおいて、警備モードが警備状態に設定された場合は上述した状態Aに遷移し、RFIDタグ200が非検知状態となった場合は後述する状態Cに遷移する。
【0039】
具体的には、状態Bは、例えば、作業員がATM30の作業を行うためにATMバックヤード10に入室した直後であり、ATMバックヤード10に入室するために警備モードを警備解除状態に設定したが、まだ案内板はATMコーナー20に取り付けていない状態である。また、状態Bは、例えば、作業員が作業を終えて案内板をATMバックヤード10の所定位置に戻し、ATMバックヤード10から退室する直前の状態である。また、状態Bは、例えば、ATMバックヤード10においてATM30の作業中ではあるが、ATM30は利用可能であるため案内板をATMコーナー20に取り付ける必要がない状態である。従って、これらの状態Bでは、監視領域の状態は「正常」となる。
【0040】
次に、状態Cでは、警備モードが警備解除状態(警備OFF)に設定され、かつRFIDタグ200が非検知状態となっている。この状態Cにおいて、RFIDタグ200が検知状態となった場合は上述した状態Bに遷移し、警備モードが警備状態に設定された場合は後述する状態Dに遷移する。具体的には、状態Cは、例えば、作業員がATM30の作業を行うために、警備モードが警備解除状態に設定された後、案内板がATMコーナー20に取り付けられた状態であり、作業員がATM30の作業を行っている「作業中」となる。
【0041】
図5は、作業員によるATMの作業中における監視領域を示す図である。まず、ATMバックヤード10で保守作業等を行う場合、作業員は、ATMバックヤード10の出入口近傍に設置されたコントローラ101に、警備モードを警備状態から警備解除状態に設定する警備操作を行い、警備装置100は、監視領域を警備解除状態に設定する。これにより作業員はATMバックヤード10に入室可能となる。次に、RFIDタグ200が装着された案内板を、ATMバックヤード10のRFIDリーダ104の所定位置から、ATMコーナー20のATM30の近傍、すなわち入室した利用者が認識し易い位置に取り付ける。そして、図5に示すように、作業員は再びATMバックヤード10に入室してATM30の作業を行う。つまり、状態判断部153は、警備解除状態が設定され、かつRFIDタグ200が非検知状態となったことで、作業員による作業中であると判断できる。
【0042】
次に、状態Dでは、警備モードが警備状態(警備ON)に設定され、かつRFIDタグ200が非検知状態となっている。具体的には、状態Dは、例えば、作業を終えた作業員が案内板をATMバックヤード10の所定位置に戻すのを失念して、警備モードを警備状態に設定した状態である。つまり、この状態Dは、監視領域は警備状態であるのに、案内板がATMバックヤード10の所定位置に戻されておらず、ATMバックヤード10には誰もいない異常な状態である。また、状態Dは、例えば、ATM30が故障(使用不可能)しているため、案内板がそのままATMコーナー20に取り付けられている状態である。従って、これらの状態Dでは、監視領域の状態は「異常」となる。
【0043】
図6は、案内板の位置が異常である場合の監視領域を示す図である。ATM30に対する作業が終了した場合、作業員がATMコーナー20に取り付けた案内板を、ATMバックヤード10のRFIDリーダ104の所定位置に戻すことを失念したとする。もしくは、ATM30が使用不可能であるため、案内板をATMコーナー20に取り付けたままとする。そして、そのまま、ATMバックヤード10から退出した作業員は、コントローラ101に、警備モードを警備解除状態から警備状態に設定する警備操作を行い、警備装置100は、監視領域を警備状態に設定する。そうすると、状態判断部153は、警備状態に設定されたにも関わらず、RFIDタグ200が非検知状態であるため、案内板の位置の異常と判断する。
【0044】
つまり、状態判断部153は、警備モードが警備状態に設定され、RFIDタグ200が検知状態となっている場合は、状態Aと判断し、警備モードが警備解除状態に設定され、RFIDタグ200が検知状態となっている場合は、状態Bと判断し、警備モードが警備解除状態に設定され、RFIDタグ200が非検知状態となっている場合は、状態Cと判断し、警備モードが警備状態に設定され、RFIDタグ200が非検知状態となっている場合は、状態Dと判断する。
【0045】
次に、状態判断部153は、上述のように判断した監視領域の状態の遷移から監視領域状況を判断する。図7は、監視領域の状態遷移と監視領域状況の関係を示す説明図である。状態判断部153は、警備モードが警備解除状態に設定されている場合に、RFIDリーダ104による検知結果が検知状態から非検知状態になった場合、すなわち、状態Bから状態Cに遷移した場合、図7に示すように、監視領域状況が、作業員によるATM30に対する作業の開始と判断する。
【0046】
また、状態判断部153は、警備モードが警備解除状態に設定されている場合に、RFIDリーダ104による検知結果が、上述のように非検知状態になった後に、再度検知状態になった場合、すなわち、状態Bから状態Cに遷移した後に、状態Cから状態Bに遷移した場合、図7に示すように、監視領域状況が作業員によるATM30に対する作業の終了と判断する。
【0047】
つまり、図5に示す状態において、ATM30に対する作業が終了した場合、作業員は、ATMコーナー20に取り付けた案内板を、ATMバックヤード10のRFIDリーダ104の所定位置に戻す。そうすると、状態判断部153は、警備解除状態が設定され、かつRFIDタグ200が検知状態になったことで、作業員による作業が終了したと判断できる。
【0048】
また、状態判断部153は、RFIDリーダ104による検知結果が非検知状態である場合に、警備モードが警備解除状態から警備状態に設定された場合、すなわち、状態Cから状態Dに遷移した場合、図7に示すように、監視領域状況が案内板の位置の異常と判断する。これは、警備モードが警備状態に設定されている場合は、通常、案内板はATMバックヤード10の所定の位置に置かれ、RFIDリーダ104に検知されているためである。
【0049】
通報部155は、警備モードが警備状態に設定されている場合に、センサ103a、103bにより監視領域に不正侵入者が入館したことなどによる異常が検知された場合、監視領域において異常が検知された旨を示す異常検知情報を、ネットワーク90を介して監視センタ500に通報する。
【0050】
通知部157は、状態判断部153により作業員による作業の開始と判断された場合、作業を開始した旨の監視領域状況を監視センタ500に通知するものである。また、通知部157は、状態判断部153により作業の終了と判断された場合、作業が終了した旨の監視領域状況を監視センタ500に通知する。また、通知部157は、状態判断部153により案内板の位置の異常と判断された場合、案内板の位置が異常である旨の監視領域状況を監視センタ500に通知する。
【0051】
報知部156は、警備モードが警備状態に設定された監視領域に不正侵入者が入館したことを検知すると、監視領域に対して異常が検知したことを報知するものである。具体的には、例えば、監視領域に対してサイレンやその旨のアナウンス等を報知する。また、報知部156は、通知部157により作業を開始した旨を監視センタ500に通知された場合、作業を開始した旨を監視センタ500に通知した旨を作業員に対して報知する。また、報知部156は、通知部157により作業が終了した旨を監視センタ500に通知された場合、作業が終了した旨を監視センタ500に通知した旨を作業員に対して報知する。
【0052】
次に、監視センタ500の詳細について説明する。監視センタ500は、監視領域の異常を検知した警備装置100からの通報を受け、待機中の警備員に対して異常が検知された監視領域へ向かう旨の指示を出すとともに、必要に応じて警察や消防など関係機関への通報を行うセンタである。本実施の形態にかかる監視センタ500は、図2に示すように、表示装置501と、受信部511と、送信部512と、表示部515を主に備えている。
【0053】
受信部511は、警備装置100から、作業を開始した旨、作業が終了した旨、または案内板の位置が異常である旨の監視領域状況を受信するものである。また、受信部511は、警備装置100から異常を検知した旨を示す異常検知情報を受信する。
【0054】
表示部515は、受信部511により受信した監視領域状況である、作業を開始した旨、作業が終了した旨、または案内板の位置が異常である旨を、監視員が操作する監視端末における、情報を表示可能な表示装置501に表示するものである。ここで、監視端末とは、監視センタ500に設置された監視装置で処理される情報を閲覧したり、当該監視装置への情報入力を行なうための端末であり、監視員によって操作される端末である。また、監視員とは、監視センタ500内において、各警備先の状態を監視する者をいう。これにより、監視員が監視領域状況を把握できることになる。
【0055】
送信部512は、受信部511により受信した監視領域状況である、案内板の位置が異常である旨を、最後に警備モードを設定した作業員が所持する携帯端末300に送信するものである(図6参照)。この作業員の携帯端末300への送信は、単なる案内板の位置が異常である旨の通知であってもよいし、通知内容に対する返信を求める形式であってもよい。なお、携帯端末300は、監視センタ500とネットワークで接続されている。これにより、作業員が案内板の位置が異常である旨の監視領域状況を把握できることになる。
【0056】
ここで、最後に警備モードを設定した作業員の特定は、例えば、警備装置100において、作業員が警備操作を行った場合に、警備モードとともに作業員の識別情報を受け付け、設定された警備モードと該識別情報とを監視センタ500に送信する。そして、監視センタ500は、受信した作業員の識別情報により、不図示の記憶部に警備モードを設定した者の履歴を記憶しておく。そして、案内板の位置が異常である旨を受信した場合、送信部512は、当該履歴により最後に警備モードを設定した作業員を特定し、その作業員が所持する携帯端末300に案内板の位置が異常である旨を送信する。
【0057】
次に、以上のように構成された警備装置100において、警備モードおよび検知結果に基づいて判断した監視領域の状態(状態A〜D)の遷移により監視領域状況を判断し、該監視領域状況を監視センタ500に通知する処理について説明する。図8は、実施の形態1にかかる警備装置における判断処理の手順を示すフローチャートである。
【0058】
まず、状態判断部153は、RFIDリーダ104によるRFIDタグ200の検知結果が検知状態か否かを判断する(ステップS11)。検知結果が検知状態である場合(ステップS11:Yes)、状態判断部153は、警備モード設定部151により設定された警備モードが警備状態か否かを判断する(ステップS12)。
【0059】
警備モードが警備状態である場合(ステップS12:Yes)、状態判断部153は、検知状態、かつ警備状態であることから、監視領域の状態を状態A(正常)と判断する(ステップS13)。状態判断部153は、状態記憶部154に記憶された監視領域の状態を参照し、監視領域の状態が更新されたか否かを判断する(ステップS18)。監視領域の状態が更新されていない場合(ステップS18:No)、そのまま処理を終了する。
【0060】
一方、監視領域の状態が更新されていた場合(ステップS18:Yes)、状態判断部153は、監視領域の状態遷移により、監視領域状況を判断する(ステップS19)。ここでは、例えば、状態Bから状態Aに遷移した場合、監視領域からの作業員の正常な退館と判断できるため、監視領域状況が正常と判断される。そして、通知部157は、監視領域状況を監視センタ500に通知する(ステップS20)。
【0061】
ステップS12において、警備モードが警備解除状態である場合(ステップS12:No)、状態判断部153は、検知状態、かつ警備解除状態であることがから、監視領域の状態を状態B(正常)と判断する(ステップS14)。状態判断部153は、状態記憶部154に記憶された監視領域の状態を参照し、監視領域の状態が更新されたか否かを判断する(ステップS18)。監視領域の状態が更新されていない場合(ステップS18:No)、そのまま処理を終了する。
【0062】
一方、監視領域の状態が更新されていた場合(ステップS18:Yes)、状態判断部153は、監視領域の状態遷移により、監視領域状況を判断する(ステップS19)。ここでは、例えば、状態Aから状態Bに遷移した場合、監視領域への作業員の正常な入館と判断できるため、監視領域状況が正常と判断される。また、例えば、状態Bから状態Cに遷移した後に、状態Cから状態Bに遷移した場合、作業員による作業の終了と判断される。そして、通知部157は、監視領域状況を監視センタ500に通知する(ステップS20)。
【0063】
ステップS11において、検知結果が非検知状態である場合(ステップS11:No)、状態判断部153は、警備モード設定部151により設定された警備モードが警備状態か否かを判断する(ステップS15)。
【0064】
警備モードが警備解除状態である場合(ステップS15:No)、状態判断部153は、非検知状態、かつ警備解除状態であることから、監視領域の状態を状態C(作業中)と判断する(ステップS16)。状態判断部153は、状態記憶部154に記憶された監視領域の状態を参照し、監視領域の状態が更新されたか否かを判断する(ステップS18)。監視領域の状態が更新されていない場合(ステップS18:No)、そのまま処理を終了する。
【0065】
一方、監視領域の状態が更新されていた場合(ステップS18:Yes)、状態判断部153は、監視領域の状態遷移により、監視領域状況を判断する(ステップS19)。ここでは、例えば、状態Bから状態Cに遷移した場合、作業員による作業の開始と判断される。そして、通知部157は、監視領域状況を監視センタ500に通知する(ステップS20)。
【0066】
ステップS15において、警備モードが警備状態である場合(ステップS15:Yes)、状態判断部153は、非検知状態、かつ警備状態であることから、監視領域の状態を状態D(異常)と判断する(ステップS17)。状態判断部153は、状態記憶部154に記憶された監視領域の状態を参照し、監視領域の状態が更新されたか否かを判断する(ステップS18)。監視領域の状態が更新されていない場合(ステップS18:No)、そのまま処理を終了する。
【0067】
一方、監視領域の状態が更新されていた場合(ステップS18:Yes)、状態判断部153は、監視領域の状態遷移により、監視領域状況を判断する(ステップS19)。ここでは、例えば、状態Cから状態Dに遷移した場合、案内板の位置の異常と判断される。そして、通知部157は、監視領域状況を監視センタ500に通知する(ステップS20)。
【0068】
そして、監視センタ500は、受信した監視領域状況を表示装置501に表示したり、監視領域状況が案内板の位置の異常である場合は、その旨を携帯端末300に送信する。これにより、監視センタ500に所在する監視員に監視領域状況を把握させることができるとともに、作業員に案内板の位置の異常である旨を知らせることができる。
【0069】
このように、実施の形態1の警備装置100では、監視領域の警備モードと、案内板に装着されたRFIDタグ200の検知結果とによって判断した監視領域の状態の遷移から監視領域状況を判断し、該監視領域状況を監視センタ500に通知する。そして、監視センタ500では、監視領域状況が、案内板が所定位置に戻されていないことによる異常であった場合は、最後に警備操作を行なった作業員にその旨を通知することで、異常に対して早急に対応することができる。つまり、具体的には、監視領域の警備モードが警備状態であって、かつ案内板に装着されたRFIDタグ200が非検知状態である場合は、作業員の案内板の取り外しの失念よる案内板の位置の異常と判断し、その旨を作業員に通知する。そして、この通知を受けた作業員がATMコーナー20に戻って案内板をATMバックヤード10の所定位置に戻すことにより、作業員の失念による案内板の取り外し忘れを確実に防止することができる。また、監視センタ500は、監視領域状況として作業の開始を受信し、さらに作業の終了を受信した場合は、案内板がATMバックヤード10の所定位置に戻されたことが把握できる。
【0070】
(実施の形態2)
実施の形態1では、監視領域状況を警備装置において判断する構成となっていた。これに対して、本実施の形態では、監視領域状況を監視センタにおいて判断する構成とするものである。
【0071】
本実施の形態の警備装置が配置された監視領域は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する(図1参照)。次に、警備装置600の詳細について説明する。図9は、実施の形態2にかかる警備装置および監視センタの構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかる警備装置600は、センサ103aと、センサ103bと、RFIDリーダ104と、コントローラ101と、入出力制御部115と、制御部650と、通信制御部116とを主に備えている。ここで、センサ103a、センサ103b、RFIDリーダ104、コントローラ101、および入出力制御部115の構成および機能は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0072】
制御部650は、警備装置600の全体を制御するものであり、さらに、警備モード設定部151と、警備モード記憶部152と、通報部155と、報知部156と、通知部657とを主に備えている。ここで、警備モード設定部151、警備モード記憶部152、通報部155、および報知部156の構成および機能は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0073】
通知部657は、RFIDリーダ104によるRFIDタグ200の検知結果(検知状態または非検知状態)、および警備モード設定部151により設定された警備モードを監視センタ700に通知するものである。
【0074】
次に、監視センタ700の詳細について説明する。監視センタ700は、実施の形態1と同様、監視領域の異常を検知した警備装置600からの通報を受け、待機中の警備員に対して異常が検知された監視領域へ向かう旨の指示を出すとともに、必要に応じて警察や消防など関係機関への通報を行うセンタである。本実施の形態にかかる監視センタ700は、図9に示すように、表示装置501と、受信部711と、送信部712と、状態判断部713と、状態記憶部714と、表示部515とを主に備えている。ここで、表示装置501の構成および機能は実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0075】
受信部711は、警備装置600から、RFIDタグ200の検知結果、および設定された警備モードを受信する。また、受信部711は、警備装置600から、異常検知情報を受信する。
【0076】
状態記憶部714は、状態判断部713により判断された監視領域の状態を記憶するメモリなどの記憶媒体である。
【0077】
状態判断部713は、受信部711により受信した、警備装置600の警備モード(警備状態または警備解除状態)、および警備装置600のRFIDリーダ104によるRFIDタグ200の検知結果(検知状態または非検知状態)に基づいて、監視領域の状態を判断して状態記憶部714に記憶する。
【0078】
この状態判断部713による監視領域の状態判断は、実施の形態1における警備装置100の状態判断部153と同様である。すなわち、状態判断部713は、警備モードが警備状態に設定され、RFIDタグ200が検知状態となっている場合は、状態Aと判断し、警備モードが警備解除状態に設定され、RFIDタグ200が検知状態となっている場合は、状態Bと判断し、警備モードが警備解除状態に設定され、RFIDタグ200が非検知状態となっている場合は、状態Cと判断し、警備モードが警備状態に設定され、RFIDタグ200が非検知状態となっている場合は、状態Dと判断する(図4参照)。
【0079】
また、状態判断部713は、監視領域の状態の遷移から監視領域状況を判断する。具体的には、状態判断部713は、受信した警備モードが警備解除状態に設定されている場合に、受信したRFIDリーダ104による検知結果が検知状態から非検知状態になった場合、すなわち、状態Bから状態Cに遷移した場合、監視領域状況が、作業員によるATM30に対する作業の開始と判断する。
【0080】
また、状態判断部713は、受信した警備モードが警備解除状態に設定されている場合に、受信したRFIDリーダ104による検知結果が非検知状態になった後に、再度検知状態になった場合、すなわち、状態Bから状態Cに遷移した後に、状態Cから状態Bに遷移した場合、監視領域状況が作業員によるATM30に対する作業の終了と判断する。
【0081】
また、状態判断部713は、受信したRFIDリーダ104による検知結果が非検知状態である場合に、受信した警備モードが警備解除状態から警備状態に設定された場合、すなわち、状態Cから状態Dに遷移した場合、監視領域状況が案内板の位置の異常と判断する。
【0082】
送信部712は、状態判断部713により監視領域状況が案内板の位置の異常と判断された場合、案内板の位置が異常である旨を、最後に警備モードを設定した作業員が所持する携帯端末300に送信するものである。この作業員の携帯端末300への送信は、単なる案内板の位置が異常である旨の通知であってもよいし、通知内容に対する返信を求める形式であってもよい。なお、携帯端末300は、監視センタ700とネットワークで接続されている。また、最後に警備モードを設定した作業員の特定は、実施の形態1と同様である。
【0083】
表示部515は、状態判断部713により監視領域状況が作業の開始と判断された場合は、作業を開始した旨を、表示装置501に表示し、監視領域状況が作業の終了と判断された場合は、作業が終了した旨を表示装置501に表示するものである。また、表示部515は、状態判断部713により監視領域状況が案内板の位置の異常と判断された場合、案内板の位置が異常である旨を表示装置501に表示する。
【0084】
次に、以上のように構成された監視センタ700において、警備装置600から受信した警備モードおよび検知結果に基づいて判断した監視領域の状態(状態A〜D)の遷移により監視領域状況を判断し、該監視領域状況を表示または携帯端末300に送信する処理について説明する。図10は、実施の形態2にかかる監視センタにおける判断処理の手順を示すフローチャートである。
【0085】
まず、受信部711は、警備装置600から、RFIDリーダ104によるRFIDタグ200の検知結果、および警備モード設定部151により設定された警備モードを受信する(ステップS31)。
【0086】
そして、状態判断部713は、受信した検知結果が検知状態か否かを判断する(ステップS32)。検知結果が検知状態である場合(ステップS32:Yes)、状態判断部713は、受信した警備モードが警備状態か否かを判断する(ステップS33)。
【0087】
警備モードが警備状態である場合(ステップS33:Yes)、状態判断部713は、検知状態、かつ警備状態であることから、監視領域の状態を状態A(正常)と判断する(ステップS34)。状態判断部713は、状態記憶部714に記憶された監視領域の状態を参照し、監視領域の状態が更新されたか否かを判断する(ステップS36)。監視領域の状態が更新されていない場合(ステップS36:No)、そのまま処理を終了する。
【0088】
一方、監視領域の状態が更新されていた場合(ステップS36:Yes)、状態判断部713は、監視領域の状態遷移により、監視領域状況を判断する(ステップS37)。ここでは、例えば、状態Bから状態Aに遷移した場合、監視領域からの作業員の正常な退館と判断できるため、監視領域状況が正常と判断される。そして、表示部515は、監視領域状況を表示装置501に表示する(ステップS38)。
【0089】
ステップS33において、警備モードが警備解除状態である場合(ステップS33:No)、状態判断部713は、検知状態、かつ警備解除状態であることから、監視領域の状態を状態B(正常)と判断する(ステップS35)。状態判断部713は、状態記憶部714に記憶された監視領域の状態を参照し、監視領域の状態が更新されたか否かを判断する(ステップS36)。監視領域の状態が更新されていない場合(ステップS36:No)、そのまま処理を終了する。
【0090】
一方、監視領域の状態が更新されていた場合(ステップS36:Yes)、状態判断部713は、監視領域の状態遷移により、監視領域状況を判断する(ステップS37)。ここでは、例えば、状態Aから状態Bに遷移した場合、監視領域への作業員の正常な入館と判断できるため、監視領域状況が正常と判断される。また、例えば、状態Bから状態Cに遷移した後に、状態Cから状態Bに遷移した場合、作業員による作業の終了と判断される。そして、表示部515は、監視領域状況を表示装置501に表示する(ステップS38)。
【0091】
ステップS32において、検知結果が非検知状態である場合(ステップS32:No)、状態判断部713は、受信した警備モードが警備状態か否かを判断する(ステップS39)。
【0092】
警備モードが警備解除状態である場合(ステップS39:No)、状態判断部713は、非検知状態、かつ警備解除状態であることから、監視領域の状態を状態C(作業中)と判断する(ステップS40)。状態判断部713は、状態記憶部714に記憶された監視領域の状態を参照し、監視領域の状態が更新されたか否かを判断する(ステップS41)。監視領域の状態が更新されていない場合(ステップS41:No)、そのまま処理を終了する。
【0093】
一方、監視領域の状態が更新されていた場合(ステップS41:Yes)、状態判断部713は、監視領域の状態遷移により、監視領域状況を判断する(ステップS42)。ここでは、例えば、状態Bから状態Cに遷移した場合、作業員による作業の開始と判断される。そして、表示部515は、監視領域状況を表示装置501に表示する(ステップS43)。
【0094】
ステップS39において、警備モードが警備状態である場合(ステップS39:Yes)、状態判断部713は、非検知状態、かつ警備状態であることから、監視領域の状態を状態D(異常)と判断する(ステップS44)。状態判断部713は、状態記憶部714に記憶された監視領域の状態を参照し、監視領域の状態が更新されたか否かを判断する(ステップS45)。監視領域の状態が更新されていない場合(ステップS45:No)、そのまま処理を終了する。
【0095】
一方、監視領域の状態が更新されていた場合(ステップS45:Yes)、状態判断部713は、監視領域の状態遷移により、監視領域状況を判断する(ステップS46)。ここでは、例えば、状態Cから状態Dに遷移した場合、案内板の位置の異常と判断される。そして、表示部515は、監視領域状況を表示装置501に表示する(ステップS47)。
【0096】
次に、送信部712は、記憶部(不図示)から警備モードを設定した者の履歴を取得し(ステップS48)、最後に警備モードを設定した作業員が所持する携帯端末300に、案内板の位置が異常である旨を送信する(ステップS49)。このように、監視センタ700は、判断した監視領域状況を表示装置501に表示したり、監視領域状況が案内板の位置の異常である場合は、その旨を携帯端末300に送信する。これにより、監視センタ500に所在する監視員に監視領域状況を把握させることができるとともに、作業員に案内板の位置の異常である旨を知らせることができる。
【0097】
このように、実施の形態2の監視センタ700では、警備装置600から受信した監視領域の警備モードと、案内板に装着されたRFIDタグ200の検知結果とによって判断した監視領域の状態の遷移から監視領域状況を判断する。そして、監視センタ500は、監視領域状況が、案内板が所定位置に戻されていないことによる異常であった場合は、最後に警備操作を行なった作業員にその旨を通知することで、異常に対して早急に対応することができる。つまり、具体的には、監視領域の警備モードが警備状態であって、かつ案内板に装着されたRFIDタグ200が非検知状態である場合は、作業員の案内板の取り外しの失念よる案内板の位置の異常と判断し、その旨を作業員に通知する。そして、この通知を受けた作業員がATMコーナー20に戻って案内板をATMバックヤード10の所定位置に戻すことにより、作業員の失念による案内板の取り外し忘れを確実に防止することができる。また、監視センタ700は、監視領域状況が作業の開始と判断した後に作業の終了と判断した場合は、案内板がATMバックヤード10の所定位置に戻されたことが把握できる。
【0098】
また、実施の形態1、2では、ATMが設置された監視領域において、案内板の取り外し忘れを防止するものであるが、この技術を他の状況においても適用可能である。例えば、自動車のドアに、「防犯パトロール」や「○○工務店」などといったマグネットシートを取り付けることがある。これは、防犯パトロールを行っている車両であること、また、期間限定で○○工務店に属する車両であることを周知させるものである。このようなマグネットシートを取り付けた場合、防犯パトロールや建築工事を終えたあとは、基本的にはそのマグネットシートは取り外すべきである。なぜならば、当該シートを盗み、これを悪用して小学生を誘拐したり、詐欺を行ったりする者が出てくる可能性があるからである。
【0099】
従って、実施の形態1、2における案内板の取り外し忘れを防止する方法は、このようなマグネットシートに適用すると、例えば、マグネットシートにRFIDタグを装着し、自動車のハンドル部近傍にRFIDリーダを設置する。そして、自動車のエンジンを止めるときには、マグネットシートをハンドル部に近づけRFIDタグが検知された場合に、エンジンを停止させる動作を行わせる。これにより、マグネットシートの取り外し忘れを防止できる。
【符号の説明】
【0100】
10 ATMバックヤード
20 ATMコーナー
90 ネットワーク
100、600 警備装置
101 コントローラ
102 操作表示部
103a、103b センサ
104 RFIDリーダ
115 入出力制御部
116 通信制御部
150、650 制御部
151 警備モード設定部
152 警備モード記憶部
153 状態判断部
154 状態記憶部
155 通報部
156 報知部
157、657 通知部
200 RFIDタグ
300 携帯端末
500、700 監視センタ
501 表示装置
511、711 受信部
512、712 送信部
515 表示部
713 状態判断部
714 状態記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現金の預け入れや引き出しを行う現金自動預払機が設置された監視領域の警備を行う警備装置において、
監視対象に装着された情報記憶媒体を検知する媒体検知手段と、
前記媒体検知手段による検知結果が、前記情報記録媒体を検知している検知状態から、前記情報記録媒体を検知していない非検知状態になった場合、作業員による前記現金自動預払機に対する作業の開始と判断する状態判断手段と、
前記作業の開始と判断された場合、作業を開始した旨を、ネットワークを介して接続された監視センタに通知する通知手段と、を備え、
前記状態判断手段は、さらに、前記検知結果が前記非検知状態になった後に、再度前記検知状態になった場合、作業員による前記現金自動預払機に対する作業の終了と判断し、
前記通知手段は、さらに、前記作業の終了と判断された場合、作業が終了した旨を前記監視センタに通知することを特徴とする警備装置。
【請求項2】
前記監視領域の異常を検知する検知手段と、
前記監視領域において、異常を検知した場合における前記監視センタへの通報の可否または前記監視領域に対する報知の可否など、前記警備装置の動作を決定する複数の状態からなる警備モードの設定として、異常が検知された場合に通報を行う警備状態と異常を検知しても通報を行わない警備解除状態とのいずれかの警備操作を受け付ける操作手段と、
受け付けた前記警備操作により、前記監視領域の前記警備モードを設定する警備設定手段と、
前記警備モードが前記警備状態に設定されている場合に、前記検知手段により前記監視領域の異常が検知された場合、異常を検知した旨を示す異常検知情報を前記監視センタに通報する通報手段と、をさらに備え、
前記状態判断手段は、前記警備モードが前記警備解除状態に設定されている場合に、前記検知結果が前記検知状態から前記非検知状態になった場合、前記作業の開始と判断し、前記警備モードが前記警備解除状態に設定されている場合に、前記検知結果が前記非検知状態になった後に、再度前記検知状態になった場合、前記作業の終了と判断することを特徴とする請求項1に記載の警備装置。
【請求項3】
前記状態判断手段は、さらに、前記検知結果が前記非検知状態である場合に、前記警備モードが前記警備解除状態から前記警備状態に設定された場合、前記監視対象の位置の異常と判断し、
前記通知手段は、さらに、前記監視対象の位置の異常と判断された場合、前記監視対象の位置が異常である旨を前記監視センタに通知することを特徴とする請求項2に記載の警備装置。
【請求項4】
現金の預け入れや引き出しを行う現金自動預払機が設置された監視領域の警備を行う警備装置で実行される監視対象管理方法において、
前記警備装置は、
監視対象に装着された情報記憶媒体を検知する媒体検知手段を備え、
前記媒体検知手段による検知結果が、前記情報記録媒体を検知している検知状態から、前記情報記録媒体を検知していない非検知状態になった場合、作業員による前記現金自動預払機に対する作業の開始と判断する第1状態判断ステップと、
前記作業の開始と判断された場合、作業を開始した旨を、ネットワークを介して接続された監視センタに通知する第1通知ステップと、
前記検知結果が前記非検知状態になった後に、再度前記検知状態になった場合、作業員による前記現金自動預払機に対する作業の終了と判断する第2状態判断ステップと、
前記作業の終了と判断された場合、作業が終了した旨を前記監視センタに通知する第2通知ステップと、
を含むことを特徴とする監視対象管理方法。
【請求項5】
現金の預け入れや引き出しを行う現金自動預払機が設置された監視領域の警備を行う警備装置と、前記警備装置とネットワークを介して接続された監視センタとを備えた警備システムにおいて、
前記警備装置は、
監視対象に装着された情報記憶媒体を検知する媒体検知手段と、
前記媒体検知手段による検知結果が、前記情報記録媒体を検知している検知状態から、前記情報記録媒体を検知していない非検知状態になった場合、作業員による前記現金自動預払機に対する作業の開始と判断する状態判断手段と、
前記作業の開始と判断された場合、作業を開始した旨を、前記監視センタに通知する通知手段と、を備え、
前記状態判断手段は、さらに、前記検知結果が前記非検知状態になった後に、再度前記検知状態になった場合、作業員による前記現金自動預払機に対する作業の終了と判断し、
前記通知手段は、さらに、前記作業の終了と判断された場合、作業が終了した旨を前記監視センタに通知し、
前記監視センタは、
前記警備装置から、前記作業を開始した旨または前記作業が終了した旨を受信する受信手段と、
受信した前記作業を開始した旨または前記作業が終了した旨を、情報を表示可能な表示装置に表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする警備システム。
【請求項6】
前記警備装置は、
前記監視領域の異常を検知する検知手段と、
前記監視領域において、異常を検知した場合における前記監視センタへの通報の可否または前記監視領域に対する報知の可否など、前記警備装置の動作を決定する複数の状態からなる警備モードの設定として、異常が検知された場合に通報を行う警備状態と異常を検知しても通報を行わない警備解除状態とのいずれかの警備操作を受け付ける操作手段と、
受け付けた前記警備操作により、前記監視領域の前記警備モードを設定する警備設定手段と、
前記警備モードが前記警備状態に設定されている場合に、前記検知手段により前記監視領域の異常が検知された場合、異常を検知した旨を示す異常検知情報を前記監視センタに通報する通報手段と、をさらに備え、
前記状態判断手段は、前記警備モードが前記警備解除状態に設定されている場合に、前記検知結果が前記検知状態から前記非検知状態になった場合、前記作業の開始と判断し、前記警備モードが前記警備解除状態に設定されている場合に、前記検知結果が前記非検知状態になった後に、再度前記検知状態になった場合、前記作業の終了と判断し、
前記受信手段は、さらに、前記警備装置から前記異常検知情報を受信することを特徴とする請求項5に記載の警備システム。
【請求項7】
前記警備システムは、前記監視センタとネットワークで接続された携帯端末とをさらに備え、
前記状態判断手段は、さらに、前記検知結果が前記非検知状態である場合に、前記警備モードが前記警備解除状態から前記警備状態に設定された場合、前記監視対象の位置の異常と判断し、
前記通知手段は、さらに、前記監視対象の位置の異常と判断された場合、前記監視対象の位置が異常である旨を前記監視センタに通知し、
前記受信手段は、さらに、前記警備装置から前記監視対象の位置が異常である旨を受信し、
前記表示手段は、さらに、受信した前記監視対象の位置が異常である旨を前記表示装置に表示し、
前記監視センタは、
受信した前記監視対象の位置が異常である旨を前記携帯端末に送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の警備システム。
【請求項8】
現金の預け入れや引き出しを行う現金自動預払機が設置された監視領域の警備を行う警備装置と、前記警備装置とネットワークを介して接続された監視センタとを備えた警備システムにおいて、
前記警備装置は、
監視対象に装着された情報記憶媒体を検知する媒体検知手段と、
前記媒体検知手段によって前記情報記録媒体を検知している検知状態、または前記情報記録媒体を検知していない非検知状態のいずれかの検知結果を、前記監視センタに通知する通知手段と、を備え、
前記監視センタは、
前記警備装置から、前記検知結果を受信する受信手段と、
受信した前記検知結果が前記検知状態から前記非検知状態になった場合は、作業員による前記現金自動預払機に対する作業の開始と判断し、受信した前記検知結果が前記非検知状態になった後に、再度前記検知状態になった場合は、作業員による前記現金自動預払機に対する作業の終了と判断する状態判断手段と、
前記作業の開始と判断された場合は、作業を開始した旨を、情報を表示可能な表示装置に表示し、前記作業の終了と判断された場合は、作業が終了した旨を前記表示装置に表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする警備システム。
【請求項9】
前記警備装置は、
前記監視領域の異常を検知する検知手段と、
前記監視領域において、異常を検知した場合における前記監視センタへの通報の可否または前記監視領域に対する報知の可否など、前記警備装置の動作を決定する複数の状態からなる警備モードの設定として、異常が検知された場合に通報を行う警備状態と異常を検知しても通報を行わない警備解除状態とのいずれかの警備操作を受け付ける操作手段と、
受け付けた前記警備操作により、前記監視領域の前記警備モードを設定する警備設定手段と、
前記警備モードが前記警備状態に設定されている場合に、前記検知手段により前記監視領域の異常が検知された場合、異常を検知した旨を示す異常検知情報を前記監視センタに通報する通報手段と、をさらに備え、
前記通知手段は、さらに、設定された前記警備モードを前記監視センタに通知し、
前記受信手段は、さらに、前記警備装置から、設定された前記警備モードを受信し、
前記状態判断手段は、前記警備モードが前記警備解除状態に設定されている場合に、前記検知結果が前記検知状態から前記非検知状態になった場合、前記作業の開始と判断し、前記警備モードが前記警備解除状態に設定されている場合に、前記検知結果が前記非検知状態になった後、再度前記検知状態になった場合、前記作業の終了と判断し、
前記受信手段は、さらに、前記警備装置から、前記異常検知情報を受信することを特徴とする請求項8に記載の警備システム。
【請求項10】
前記警備システムは、前記監視センタとネットワークで接続された携帯端末とをさらに備え、
前記状態判断手段は、さらに、前記検知結果が前記非検知状態である場合に、前記警備モードが前記警備解除状態から前記警備状態に設定された場合、前記監視対象の位置の異常と判断し、
前記表示手段は、さらに、前記監視対象の位置の異常と判断された場合、前記監視対象の位置が異常である旨を前記表示装置に表示し、
前記監視センタは、
前記監視対象の位置の異常と判断された場合、前記監視対象の位置が異常である旨を前記携帯端末に送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の警備システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−53746(P2011−53746A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199551(P2009−199551)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】