説明

警報処理システム

【課題】
原子力発電プラント緊急時において、最初に発生した事象に対応している際に、複合的に発生する別な事象を効率良く監視するための警報処理システムを提供することにある。
【解決手段】
既知の事象で発生する警報を事象別にテーブル化した事象別発生警報テーブルと、運転員が既知の事象を選択するための入力端末を有し、前記警報優先度決定部は前記運転員が選択した既知の事象で発生する警報を前期事象別発生警報テーブルから読み取り、読み取った警報の優先度を下げる。また、前記警報信号、前記プロセス値及び機器状態信号に基づき、既知の事象に該当するかを判定する事象同定部と、該当する既知の事象がある場合には、事象同定部の判定信号に基づいて運転員に該当する既知の事象を表示する表示装置とを有し、運転員が入力端末で事象を選択するのを支援する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力プラントのプロセスデータを処理して、プラントの異常状態を運転員に提示するための警報処理システムに関し、特に、複数の異常が同時発生した場合において運転員の認知効率を向上するための警報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントは、原子炉、タービン、発電機などが複合した大規模システムであり、複数の運転員によってプラントの運転操作が行われている。このような原子力プラントに設置されている警報システムは、原子炉圧力容器や配管内を循環する冷却材の圧力、温度、流量や炉心中性子束等といったプロセスパラメータの電気信号を取込み、それぞれのパラメータに対して予め与えられた設定値を超過した場合にトリガ回路が働いて警報が発報される仕組みになっている。
【0003】
また、機器の動作や状態についても個々の機器毎に監視し、異常があれば警報を発生するようになっている。運転員は発生した警報とプロセス値などから、プラントに発生している事象や異常の原因を推定するようになっている。しかしながら、この推定にはプラントの動特性やインターロック、警報システムに関する知識に加えて経験的なノウハウも必要となる。
【0004】
特にプラント緊急時においては、原子炉、タービン、発電機などの主要設備がインターロックにより一斉に緊急停止することが多く、ごく短時間に大量の警報が発生する。運転員は緊急時の差し迫った状況の中で、このような警報洪水の中から必要な情報を取捨選択して発生事象と異常原因を特定して対処方法を決定しなくてはならない。
【0005】
このような運転員の負担を軽減し、短時間に適切な判断が可能となるように、これまでに様々な判断支援が検討されている。例えば、重要度の低い警報をフィルタリングしたり、警報に優先度を付けをして表示したりすることにより、運転員に与えられる警報の数を低減する方法が広く活用されている。
【0006】
例えば、特許文献1にはプラントプロセス及び機器の状態信号に基づき、生成した警報信号の優先度を状態信号及び生成した警報信号に基づいて決定し、決定した優先度に基づいて警報の表示制御を行う警報装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−166199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1にも示されるように、これまでプラント緊急時において雪崩的に発生する警報から、重要なものを警報信号とプロセス量や機器状態などのプラント状態信号に基づいて判断し、優先的に提示する方法が検討されてきた。
【0009】
これにより、運転員は緊急時に重要な警報を素早く確認し、発生している事象やその原因を効率よく特定して、その後の対応操作を決めることができる。こうして特定した事象やその原因が、既に想定されたもので発生後のプラント静定・復旧手順が確立されたものと特定できれば、運転員はその操作手順に従ってプラントを復旧することができる。
【0010】
一方、プラント緊急時に複数の異なる事象が複合的に発生する可能性もある。このような複合事象が発生した場合、運転員は、最初に、発生した事象を警報やプラントプロセス及び機器の状態から特定し、その事象に応じた運転操作を開始するが、警報システムは最初に発生した事象に関する警報を含めて多数の警報を発生・表示したままとなる。
【0011】
かかる状態で新たな事象が発生した場合、既に多数発生している警報に新たに追加して警報が発生することになる。このような状況においては、既に多数発生している警報の中で新たな警報が運転員に認識されるまでに時間を要する可能性がある。更に、運転員は、最初に発生した事象に付随して発生した警報なのか、あるいは新たに発生した異なる事象に付随した警報なのかを短時間に判断することができず、素早い対応ができない可能性がある。
【0012】
発明者の経験や検討によれば、このような問題を解決するための方法としては、最初に発生した事象を特定してその事象に対応した操作手順に従っている場合には、現在実施中の操作手順では対応できない新たな事象の発生のみを監視する方法が有効である。即ち、新たな事象のみを監視することにより、運転員は最初に発生した事象に対応しながら、効率良く新しい事象の発生を認識することができる。
【0013】
そこで本発明では、原子力発電プラント緊急時において、最初に発生した事象に対応している際に、複合的に発生する別な事象を効率良く監視するための警報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は、原子力発電プラントのプロセス値と機器状態信号を検出する検出器と、この検出器からの信号を入力として設定値と生成ルールに基づいて警報信号を発生する警報生成部と、前記原子力発電プラントの状態に基づいて発生した前記警報信号の優先度を決定する警報優先度決定部と、前記警報信号を前記優先度に応じて表示方法を変える警報表示装置とを備えた警報処理システムにおいて、既知の事象で発生する警報を事象別にテーブル化した事象別発生警報テーブルと、運転員が既知の事象を選択するための入力端末とを有してなり、前記警報優先度決定部は前記運転員が選択した既知の事象で発生する警報を前記事象別発生警報テーブルから読み取り、読み取った警報の優先度を下げることにより達成される。
【0015】
なお本発明では、上記の警報処理システムにおいて、前記警報信号と前記プロセス値と機器状態信号に基づき、既知の事象に該当するかを判定する事象同定部と、該当する既知の事象がある場合には事象同定部の判定信号に基づいて運転員に該当する既知の事象を表示する表示装置とを有してなり、前記運転員は入力端末で事象を選択するのを支援することが好ましい。
【0016】
また、前記警報表示装置の表示処理部に入力された警報信号は全て高優先識別子を付加することが好ましい。
【0017】
また、定常運転において事象が発生したら警報信号を発生させて赤色点灯することが好ましい。
【0018】
また、前記赤色点灯した事象を復旧対象にすると低優先識別子として緑色点灯とすることが好ましい。
【0019】
また上記目的は、原子力発電プラントのプロセス値及び機器状態信号を検出する検出器と、前記検出器からの信号を入力として設定値及び生成ルールに基づいて警報信号を発生する警報生成部と、プラント状態に基づいて発生した前記警報信号の優先度を決定する警報優先度決定部と、前記警報信号を前記優先度に応じて表示方法を変える警報表示装置とを有する警報処理システムにおいて、既知の事象で発生する警報を事象別にテーブル化した事象別発生警報テーブルと、運転員が運転操作を参照するための電子化された運転手順書システムとを有してなり、前記警報優先度決定部は前記運転手順書システムで参照している事象の識別信号を取り込み、前記識別信号に従って該当する事象で発生する警報を前期事象別発生警報テーブルから読み取り、読み取った警報の優先度を下げることにより達成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、雪崩的に発生した多数の警報の中から既に対応中の原因に付随した警報と、新たに別原因で発生した警報の区別が容易となり、複合事象に対して運転員が的確に対応することが可能な警報処理システムを提供できる。。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施例になる警報処理システムの全体構成を示す図である。
【図2】上記警報処理システムの警報優先度決定部の処理フロー図である。
【図3】上記警報処理システムの事象選択画面の例を示す図である。
【図4】上記警報処理システムの事象別発生警報テーブルの例を示す図である。
【図5】上記警報処理システムの警報表示装置の表示例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施例になる警報処理システムの全体構成を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施例になる警報処理システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明の第1の実施例になる警報処理システムの全体構成を示す図である。
図1において、原子炉圧力容器1の内部や冷却材配管2に設置された検出器3により、冷却材の温度・圧力・流量などのプロセス量や原子炉内の中性子束などが測定される。これらの検出器3は信号伝送器4や信号処理装置5を経由して警報処理装置6内の警報生成部7に入力される。また、冷却材ポンプ8などの主要機器にも検出器9が設置され、異常状態の検知信号や運転・停止を示すON/OFF信号などの機器状態が信号処理装置5を経由して警報生成部7に入力される。
【0024】
警報生成部7は、入力されたプロセス量や機器状態等のプラント状態信号を、記憶装置10に格納された設定値及び警報発生条件と比較し、警報発生条件が成立した場合に当該警報信号を出力するようになっている。プロセス量や機器状態は状態信号処理部16にも同時出力され、状態表示装置17により運転員に提供される。警報生成部7から出力された警報信号は警報優先度決定部11に入力される。
【0025】
この警報優先度決定部11は、入出力端末12を介して運転員により入力された事象選択信号を取り込む。そして、事象選択信号に対応する事象で発生する警報のテーブルを、記憶装置13から、一時格納記憶装置18に読み込む。そして、処理周期内に警報生成部7から入力される警報信号と、記憶装置13から読み込んだテーブルの警報項目とを比較し、警報信号と同一の警報項目がテーブルに含まれている場合は、当該警報に低優先識別子を付加して表示処理部14に出力する。
【0026】
また、警報信号と同一の警報項目がテーブルに含まれていない場合は、当該警報に高優先識別子を付加して表示処理部14に出力する。警報優先度決定部11は、これら優先度識別子を付加された警報信号に加えて、前述の事象選択信号や記憶装置13で読み込んだ事象別発生警報テーブル及びテーブルの各警報項目に対する既発生/未発生の情報等を表示処理部から警報表示装置15に出力する。
【0027】
図2は上記警報優先度決定部11における処理フロー図である。
図2において、図1に示した警報優先度決定部11は、ステップ101で入出力端末12を介して運転員により入力された事象選択信号を取り込む。ステップ102では、事象選択信号に対応する事象で発生する警報のテーブルを記憶装置13から一時格納記憶装置18に読み込む。ステップ103では、処理周期内に警報生成部7から入力される警報信号と、記憶装置13から読み込んだテーブルの警報項目とを比較し、警報信号と同一の警報項目がテーブルに含まれている場合は、当該警報に低優先識別子を付加(ステップ105)して表示処理部14に出力する。ステップ104で警報信号と同一の警報項目がテーブルに含まれていない場合は、当該警報に高優先識別子を付加(ステップ106)して表示処理部14に出力する。
【0028】
ステップ107では全警報信号に識別子を付与するか否かを判断し、要の場合は事象選択信号等を出力し優先度付き警報信号を出力(ステップ108)する。否の場合はステップ104に戻る。ステップ109で警報処理装置を停止するか否かを判断して要の場合は停止し、否の場合はステップ101に戻る。
【0029】
警報優先度決定部11は、これら優先度識別子を付加された警報信号に加えて、前述の事象選択信号や記憶装置13で読み込んだ事象別発生警報テーブル及びテーブルの各警報項目に対する既発生/未発生の情報等を表示処理部に出力する。
【0030】
図3は上記警報処理システムの事象選択画面の例を示す図である。
図3において、この例ではタッチディスプレイを用い、事象選択画面に表示されている選択項目はそのまま操作ボタンとなっている。運転員により操作ボタンが押下げられると事象選択信号を出力する。本実施例では「1.送電線事故」「2.主タービントリップ」「3.燃料被覆管破」「4.再循環ポンプ停止」「5.冷却材喪失」「6.給水制御異常」「7.主蒸気隔離弁閉」「8.反応度印加」などの事象を表示した。
【0031】
例えば、運転員によって「7.主蒸気隔離弁閉」の選択ボタンが押下げられると、主蒸気隔離弁閉事象に対応した事象選択信号として事象No.7が出力される。
【0032】
図4は上記警報処理システムの事象別発生警報テーブルの例を示す図である。
図4において、「主蒸気隔離弁閉」事象に対しては、事象No.7が割付られており、この事象No.7のテーブルには発生警報としてNo.1〜No.10の警報名が設定されている。
【0033】
例えば、警報信号として「原子炉圧力高」や「原子炉水位低」が発生している場合、運転員の事象選択により、これらの警報信号には低優先識別子が付加されて出力されることになる。
【0034】
図1に示した表示処理部14は、高優先識別子を付加された警報の表示色(本例では赤色とする)を決定し、所定の表示窓の点灯指令を出力する。また、低優先識別子を付加された警報には別な表示色(本例では緑色)を決定し、所定の表示窓の点灯指令を出力する。また、警報信号とは別に入力された事象選択信号に基づいて、事象表示窓に選択された事象名をメッセージ表示する指令を出力する。
【0035】
図5は上記警報処理システムの警報表示装置の表示例を示す図であり、図5(a)は事象発生前の警報状態(「定常運転」を選択中)の表示例である。図5(b)は「主蒸気隔離弁閉」発生時の警報状態(「定常運転」を選択中)の表示例である。図5(c)は「主蒸気隔離弁閉」発生時の警報状態(「主蒸気隔離弁閉」を選択中)の表示例である。図5(d)は新たに「冷却材喪失」発生時の警報状態(「主蒸気隔離弁閉」を選択中)の表示例である。
【0036】
図5において、図1に示した警報表示装置15は表示処理部14からの点灯・表示指令に基づいて、表示窓の点灯やメッセージ窓への事象名表示を行う。次に、図5を使って本実施例の警報処理システムを用いた運転員の監視について以下に説明する。
まず、通常運転状態において、運転員は図1に示した状態表示装置17や警報表示装置15によりプラントを監視する。このとき、プラントが定常運転中であれば運転員は特定の事象の代わりに「定常運転」を入出力端末12で指定し、警報優先度決定部11に事象選択信号として「定常運転」が出力される。警報優先度決定部11は、事象選択信号として「定常運転」を受付け、定常運転に対応する事象別発生警報テーブルを記憶装置13から読み込む。ただし、「定常運転」では、当然発生すべき警報は存在しないので、このテーブルには警報項目を登録していない。
【0037】
その結果、警報生成部7で発生した全ての警報信号には、警報優先度決定部11において高優先識別子が付加されて表示処理部14に出力される。また、発生事象として「定常運転」を指定する事象選択信号が出力される。表示処理部14は、入力された警報信号は全て高優先識別子が付加されていることから、全ての警報に赤色を指定して所定の警報窓への点灯指令を出力する。警報表示装置15には、図5に示したように、全ての警報に対応する警報窓が赤色に点灯する。また、メッセージ窓には「定常運転」が表示される。
【0038】
この状態からプラントに異常が発生した場合、例えば、「主蒸気隔離弁閉」事象が発生した場合、警報生成部7から「主蒸気隔離弁閉」「原子炉スクラム」「原子炉圧力高高」「主蒸気管圧力低」などの警報信号が発生する。通常、これらの警報信号はプラントが静定して警報条件が解消された後、運転員がリセット操作をするまで継続して出力されている。警報生成部7から出力された警報信号は、事象選択信号として「定常運転」が選択されているため、警報優先度決定部11で全てに高優先識別子が付加され、警報表示装置14の所定窓が赤色点灯する。
【0039】
運転員は、これらの警報、例えば「主蒸気隔離弁閉」「原子炉スクラム」「原子炉圧力高高」「主蒸気管圧力低」などの警報や状態表示装置17の情報に基づいて、プラントに発生している事象とその原因を特定する。例えば、「主蒸気隔離弁閉」事象と特定できた場合、この事象に対応した操作手順に従ってプラントの静定・復旧作業を行う。このとき、運転員は特定した事象を入出力装置12を介して選択する。例えば、入出力装置12としてタッチディスプレイを用いる場合、図3に示した事象選択画面において「主蒸気隔離弁閉」事象の操作ボタンをタッチ操作する。
【0040】
この結果、「主蒸気隔離弁閉」の事象選択信号が警報優先度決定部11に送信される。警報優先度決定部11は、事象選択信号に応じて、「主蒸気隔離弁閉」に対応した発生警報テーブルを記憶装置13から読み込む。主蒸気隔離弁閉事象に対応したテーブルには「主蒸気隔離弁閉」「原子炉スクラム」「原子炉圧力高高」「主蒸気管圧力低」などの警報項目がテーブルには含まれており、これらの警報に対しては、低優先識別子が付加されて出力される。
【0041】
この結果、表示処理部14では、これら低優先の警報に緑色を指定し、警報表示装置15の所定窓が緑色に点灯される。また、メッセージ窓には「主蒸気隔離弁閉」が表示される。運転員は、警報表示装置15により、「主蒸気隔離弁閉」が選択されていること、及び選択された事象に対する警報が緑色表示されていることが確認でき、次に別な原因で発生する事象の警報、すなわち赤色警報に注意を集中することができる。
【実施例2】
【0042】
図6は本発明の第2の実施例になる警報処理システムの全体構成を示す図である。本実施例では図1の構成に新たに事象特定部19を追加している。
【0043】
図6において、事象特定部16は、警報生成部7及び状態信号処理部16からの情報に基づき、現在発生している事象を同定する。例えば、特定の高圧遮断機に対し開状態を示す警報が発生している場合は、送電線の事故が発生していると判断できる。このようにして特定した事象信号は、入出力端末12を介して運転員に提示される。運転員は事象特定部19の判断に基づき、対応すべき事象を判断し、従うべき操作手順を決定する。操作手順を決定した後、運転員は、入出力端末12から当該事象を選択することで、これ以降は当該事象以外に新たに発生する別な事象の監視に集中することができる。
【実施例3】
【0044】
図7は本発明の第3の実施例になる警報処理システムの全体構成を示す図である。本実施例では図1の構成において、事象選択信号を電子化された手順書システム20から入力する構成としている。
【0045】
図7において、この構成により運転員はプラント緊急時において事象の選択操作を気にかけることなく、常に参照している手順書と同期した警報の優先度付けが行われ、当該事象以外に新たに発生する別な事象の監視に注力できる。
【符号の説明】
【0046】
1・・・原子炉圧力容器、2・・・冷却材配管、3・・・検出器、4・・・信号伝送器、5・・・信号処理装置、6・・・警報処理システム、7・・・警報生成部、8・・・冷却材ポンプ、9・・・検出器、10・・・記憶装置、11・・・警報優先度決定部、12・・・入出力端末、13・・・記憶装置、14・・・表示処理部、15・・・警報表示装置、16・・・状態信号処理部、17・・・状態表示装置、18・・・一時記憶装置、19・・・事象特定部、20・・・電子化手順書システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電プラントのプロセス値と機器状態信号を検出する検出器と、この検出器からの信号を入力として設定値と生成ルールに基づいて警報信号を発生する警報生成部と、前記原子力発電プラントの状態に基づいて発生した前記警報信号の優先度を決定する警報優先度決定部と、前記警報信号を前記優先度に応じて表示方法を変える警報表示装置とを備えた警報処理システムにおいて、
既知の事象で発生する警報を事象別にテーブル化した事象別発生警報テーブルと、運転員が既知の事象を選択するための入力端末とを有してなり、
前記警報優先度決定部は、前記運転員が選択した既知の事象で発生する警報を前記事象別発生警報テーブルから読み取り、読み取った警報の優先度を下げることを特徴とする警報処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の警報処理システムにおいて、
前記警報信号と前記プロセス値と機器状態信号に基づき、既知の事象に該当するかを判定する事象同定部と、該当する既知の事象がある場合には事象同定部の判定信号に基づいて運転員に該当する既知の事象を表示する表示装置とを有してなり、
前記運転員は入力端末で事象を選択するのを支援することを特徴とする警報処理システム。
【請求項3】
請求項1記載の警報処理システムにおいて、
前記警報表示装置の表示処理部に入力された警報信号は全て高優先識別子を付加することを特徴とする警報処理システム。
【請求項4】
請求項1の警報処理システムにおいて、
定常運転において事象が発生したら警報信号を発生させて赤色点灯することを特徴とする警報処理システム。
【請求項5】
請求項1記載の警報処理システムにおいて、
前記赤色点灯した事象を復旧対象にすると低優先識別子として緑色点灯とすることを特徴とする警報処理システム。
【請求項6】
原子力発電プラントのプロセス値及び機器状態信号を検出する検出器と、前記検出器からの信号を入力として設定値及び生成ルールに基づいて警報信号を発生する警報生成部と、プラント状態に基づいて発生した前記警報信号の優先度を決定する警報優先度決定部と、前記警報信号を前記優先度に応じて表示方法を変える警報表示装置とを有する警報処理システムにおいて、
既知の事象で発生する警報を事象別にテーブル化した事象別発生警報テーブルと、運転員が運転操作を参照するための電子化された運転手順書システムとを有してなり、
前記警報優先度決定部は前記運転手順書システムで参照している事象の識別信号を取り込み、前記識別信号に従って該当する事象で発生する警報を前期事象別発生警報テーブルから読み取り、読み取った警報の優先度を下げることを特徴とする警報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−73874(P2012−73874A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218942(P2010−218942)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】