説明

警報器

【課題】警報出力の終了後に、ユーザーに不安感を抱かせることのない警報器を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの被検知対象を各別に検知する少なくとも1つの検出部10と、検出部10が所定値以上の検知出力を検知したときに被検知対象に対応した警報出力を行う警報部20と、当該警報出力の原因を記憶する警報履歴保持部30とを設けた警報器Xであって、警報履歴保持部30に記憶してある警報出力の原因を出力させるスイッチ手段50を設け、スイッチ手段50を操作したとき、警報出力の原因を出力する制御手段60を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの被検知対象を各別に検知する少なくとも1つの検出部と、前記検出部が所定値以上の検知出力を検知したときに前記被検知対象に対応した警報出力を行う警報部と、当該警報出力の原因を記憶する警報履歴保持部とを設けた警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、警報器としては、ガス警報器・火災警報器等が知られていた。
例えばガス警報器は、警報器の本体に設けたガス採取部から検知対象ガスを当該本体の内部に導入し、検知対象ガスと接触自在なガス感応部を備えたガス検知素子に所定電圧を印加する。検知対象ガスの中に被検知ガスが存在すれば、被検知ガスがガス検知素子の表面で反応して抵抗値が変化する。この抵抗値変化に基づいて被検知ガスを検知することができる。
【0003】
特許文献1には、ガス警報器として、ガス検出部によるガス検出に基づいて警報出力部に警報を出力させ、ガス検出の終了に伴って警報出力を終了する自動復帰機能を備えた構成が開示してある。このような自動復帰機能を設けるのは、ガス漏れ等が解消された後にまで警報出力を継続することで、いつまでもガス検出状態にあると判断されるのを防ぐためである。仮にそのような警報出力が継続すると、ユーザーが不安感を抱く虞がある。
【0004】
ガス検出が終了すると、当該ガス警報器は、ガス検出部への通電状態を常時点灯により示す表示部に、ガス検出部による警報出力時に検出されるガスの種類又はガスの濃度に対応した警報履歴表示を行う。この表示は、常時点灯とは異なる例えば点滅状態で行う。このような表示は制御部により制御する。
このように特許文献1のガス警報器によれば、一般のユーザーが殆ど気付かず、不安感を抱かない状態で警報出力の原因(鳴動原因)を出力し、管理者が警報履歴を正確に把握できる。
【0005】
特許文献2には、警報動作時から起算して設定時間を経過するまでの鳴動原因表示期間において、被検知ガスの種類などの警報出力の原因に対応した警報履歴表示を行なわせる制御部を備えたガス警報器が開示してある。 このガス警報器では、鳴動原因表示期間が経過すると警報履歴表示は停止する。このため、ガス警報器の誤作動等が原因で警報が発せられ、特段の問題が発生していない場合には、一定期間以上の鳴動原因が表示されることなく、管理者への問合せや鳴動原因の調査等の手間を減少させることができるので、ユーザー及び管理者の監視負担を軽減することができる。
【0006】
【特許文献1】特許第3641506号(特許請求の範囲、段落0006等参照)
【特許文献2】特開2001−216581号公報(特許請求の範囲、段落0006等参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜2に記載の警報器においては、警報出力の終了後であっても警報出力の原因に対応した警報履歴表示は継続する。当該警報履歴表示は、警報出力の表示とは異なるものであり、また、所定の期間で停止されるものではあるが、通常の表示とは異なるこれらの表示を見たユーザーが不安感を抱く虞がある。
【0008】
このような不安感は、ユーザー自身が、警報履歴表示機能を把握していないことに起因する。そのため、警報器の単なる誤作動による警報出力である場合等、警報出力後の処置を何も行う必要がない場合であっても、警報履歴表示を見たユーザーが管理者に通報したり、警報出力の原因を調査する等、無駄な労力を費やすこととなる。
【0009】
従って、本発明の目的は、警報出力の終了後に、ユーザーに不安感を抱かせることのない警報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る警報器は、少なくとも1つの被検知対象を各別に検知する少なくとも1つの検出部と、前記検出部が所定値以上の検知出力を検知したときに前記被検知対象に対応した警報出力を行う警報部と、当該警報出力の原因を記憶する警報履歴保持部とを設けた警報器であって、その第一特徴構成は、前記警報履歴保持部に記憶してある前記警報出力の原因を出力させるスイッチ手段を設け、前記スイッチ手段を操作したとき、前記警報出力の原因を出力する制御手段を設けた点にある。
【0011】
本構成では、スイッチ手段を操作したときに初めて警報出力の原因を警報履歴として出力する。
即ち、警報器を操作しなければ、検出対象の検出終了後は警報の有無を知ることができず、スイッチ手段を操作したときに限り、警報履歴保持部に警報出力の原因が記憶してあれば、当該警報出力の原因を確認できる。そのため、検出終了後に表示ランプが自動的に点滅する等して、常に警報出力の原因を警報履歴出力として報知する状態とは異なり、警報の有無を知りたいときだけ当該警報出力の原因を得ることができる。
【0012】
一方、管理者は、このようなスイッチ手段の機能を予め理解しているため、警報出力に基づく通報により到着した際に、確実に当該警報出力の原因を確認して適切な処置を行うことができる。
【0013】
従って、本構成は、検出終了後の通常状態に警報出力の原因を表示しないため、ユーザーに対して無用の不安感を抱かせることがない。
【0014】
本発明に係る警報器の第二特徴構成は、前記制御手段は、前記被検知対象の検知に基づく警報出力の原因を表示した後、前記原因に対応した警報出力を含む少なくとも1つの警報出力を音声で発するように構成した点にある。
【0015】
本構成によれば、警報出力の原因となった被検知対象の種類等を視覚的に認識できる警報履歴出力を先に行い、警報出力があった旨を聴覚的に認識できる警報出力を後で行うように設定できる。これにより、スイッチ手段を操作した直後に警報出力の原因を視認することができ、作業者が警報出力の原因を見過ごすのを防止できる。
【0016】
ここで、検出部を複数設けた場合、各検出部によって検知した被検知対象に対応した警報出力を行えるため、警報器は複数種類の警報出力を有することとなる。本構成では、警報出力の音声は、「前記原因に対応した警報出力を含む少なくとも1つの警報出力」としていることから、前記原因に対応した警報出力は必ず出力し、付加的に他の警報も出力される。
このような構成とすれば、管理者とユーザーとが立ち会った状態でスイッチ手段を操作したときに、管理者が何れの警報出力が鳴動したかを認識することができ、さらに、複数種類の警報出力が確実に鳴動することを認識することができる。
【0017】
本発明に係る警報器の第三特徴構成は、前記制御手段は、前記原因に対応した警報出力を含む少なくとも1つの警報出力を音声で発した後、前記被検知対象の検知に基づく警報出力の原因を音声で発するように構成した点にある。
【0018】
本構成によれば、制御手段を、警報があった旨を聴覚的に認識できる警報出力を先に行い、警報器の警報出力の原因となった被検知対象の種類等を聴覚的に認識できる警報履歴出力を後で行うように設定できる。
このとき、前記警報出力および警報履歴出力の何れも音声による報知となり、警報器を見ない状態であっても鳴動原因を認識できるため、警報履歴出力の見落としがなく、さらに、スイッチ手段を操作した直後に他の動作に迅速に移行できる。
【0019】
本発明に係る警報器の第四特徴構成は、前記制御手段は、前記原因に対応した警報出力を含む少なくとも1つの警報出力を音声で発すると共に前記被検知対象の検知に基づく警報出力の原因を表示する点にある。
【0020】
本構成によれば、制御手段を、警報があった旨を聴覚的に認識できる警報出力を行い、かつ、警報器の警報出力の原因となった被検知対象の種類等を視覚的に認識できる警報履歴出力を行うように設定できる。即ち、ユーザー或いは管理者は音声と視覚によって警報出力とその内容を同時に認識できる。従って、本構成の警報器は、短時間で警報の情報を伝達できる。
【0021】
本発明に係る警報器の第五特徴構成は、前記制御手段は、前記被検知対象の検出終了後の予め設定した時刻において、前記警報出力があったことを知らせるように構成した点にある。
【0022】
本構成であれば、設定した時刻ごとに警報の有無を報知することができる。本発明の構成は、検出終了後は継続的に警報履歴出力を行うものではないため、ユーザーに不安感を抱かせることはない。時刻の設定は任意であるが、例えば、ユーザーが警報器の付近に居る確率が高い時刻を設定することで、警報があった旨を早期にユーザー等に気付かせて、適切な処置を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の警報器は、ガス警報器・火災警報器等のように、単一の被検知対象を検知する警報器として、或いは、ガス警報及び火災警報等の機能を併せ持つ複合型警報器のように、複数の被検知対象を検知する警報器として適用できる。本実施形態では複合型警報器として適用した場合を例示する。
【0024】
ガス警報を行う場合、被検知対象は被検知ガスである。被検知ガスとしては、例えば、メタンガス・水素ガスなどの可燃性ガス、悪臭の原因となる成分として硫黄化合物・アミン類・カルボン酸類・ケトン類・アルデヒド類などを含んだ悪臭ガス、アルコールなどを含んだ揮発ガス等がある。ガス警報器は、これら被検知ガスを検出したときに警報を発する。
一方、火災警報の場合、被検知対象は煙あるいは温度である。火災警報器は、ある濃度以上の煙や設定温度以上の温度を検知したときに、警報を発する。
【0025】
図1に示したように、本発明の警報器Xは、少なくとも1つの被検知対象を各別に検知する少なくとも1つの検出部10と、検出部10が所定値以上の検知出力を検知したときに被検知対象に対応した警報出力を行う制御手段60および警報部20と、警報出力の原因を記憶する警報履歴保持部30とを設けている。
そして、警報履歴保持部30に記憶してある警報出力の原因を出力させるスイッチ手段50を設け、スイッチ手段50を操作したとき、制御手段60は警報出力の原因を出力する。
【0026】
(検出部)
検出部10は、単一或いは複数設けることができる。複数の検出部10を設けた場合、各検出部10において、種類の異なる被検知対象を検知するように構成する。本実施形態では3つの検出部10を設けた場合を例示し、それぞれを可燃性ガス検出部10a・一酸化炭素検出部10b・煙検出部10cとする。それぞれの検出部の被検知対象はメタンガス・COガス・煙である。
尚、ガス検出部を1つだけ設けて複数の被検知ガスを検知できるように構成してもよい。
【0027】
ここでは、可燃性ガス検出部10aを例に説明する。検出部10aは、被検知ガスと接触自在に設けられたガス感応部を備えたガス検知素子11と、ガス検知素子11から出力を得る出力検出手段12とを有する。
ガス検知素子11としては、例えば熱線型・基板型の半導体式ガス検知素子の他、各種のガス検知素子を使用することができる。このガス検知素子に用いるガス感応部の材料は、被検知ガスとして可燃性ガスを検知できるよう任意の材料を用いる。
出力検出手段12は、被検知ガスを含んだ検知対象ガス中において、被検知ガスと接触自在に設けられたガス感応部を備えたガス検知素子11に所定電圧を印加する構成を有する。例えば、ガス検知素子11に周期的に所定電圧をパルス状に印加するパルス電圧供給装置を備え、ガス検知素子11をブリッジ回路に組み込んで、当該ガス検知素子11の電気抵抗の変化により、被検知ガスを検出する。
【0028】
所定値以上の検知出力を検知したことを判断するため、検出部10には判別手段13が設けてある。この判別手段13は、出力検出手段12で得られた値に基づき被検知ガスの濃度レベルを判別する。当該判別手段13は、濃度レベルを判別するため、目的の被検知ガスの雰囲気中での異常濃度等の情報を予めマイコン等に保持させている。そして、例えば、当該異常濃度を閾値として設定し、ガス検知時に採取された検知対象ガス中の被検知ガスの濃度と、当該閾値とを比較して被検知ガスが異常濃度に達しているか否かを判別する。
【0029】
検出部10bは、被検知ガスとしてCOガスを検知するガス検知素子を設ける以外は、検出部10aと同様に構成できる。
被検知対象が煙である検出部10cは、散乱光式煙センサ等の煙センサ(図外)を設ける。散乱光式煙センサは、発光部と受光部とからなり、発光部からの光が煙粒子にあたると生じる散乱現象を利用し、受光部の受光素子が散乱光を受けて生じる光電流の変化を煙濃度に換算するように構成してある。
【0030】
(警報部)
被検知対象が可燃性ガスの場合、検出部10aにおける判別手段13が被検知ガスの濃度が異常レベルに達していると判断すれば、制御部60は警報部20に警報信号を送信することで警報部20は警報出力する(図2参照)。警報信号を受けた警報部20ではスピーカ21によって警報ブザーや警報音声を鳴動することで警報出力する。警報出力は音声に限らず、LEDなどのライトを設け、当該ライトを点灯或いは点滅させることにより警報出力してもよく、音声とLEDとを組み合わせて警報出力するように構成することも可能である。検出部10b〜10cの場合も同様に構成できるため、詳細な説明は省略する。
【0031】
複数の検出部10が設けてある場合、各検出部によって検知した被検知対象に対応した警報出力を行えるよう、例えば、色が異なる複数のLEDを設けて色によって検知された被検知対象を視覚的に認識できる、或いは、検知された被検知対象を個別に特定する音声を発して聴覚的に被検知対象を認識できる等の構成を有することが可能である。
【0032】
LEDによって視覚的に警報出力を行うとき、本実施形態のように3つの検出部10a〜10cを設けた場合、メタンガス・CO・煙の検出は、例えば、赤・青・緑のLEDによって識別するように構成することができる。さらに、これら被検知対象が高濃度で検出された場合、被検知対象に該当するLEDを高速で点滅させたり、当該被検知対象が低濃度で検出された場合、被検知対象に該当するLEDを低速で点滅させたりすることが可能である。高速点滅は、1秒間に点灯と消灯とを5回程度繰り返すように構成する。また、低速点滅は、例えば消灯を1秒、点灯を2秒の周期を繰り返すように構成する。
【0033】
また、音声によって警報出力を行うとき、メタンガス・CO・煙の検出は、それぞれ「ガスがもれていませんか」、「空気が汚れて危険です。窓を開けて換気して下さい」、「火災が発生しています」のような音声出力を行う。
【0034】
警報器Xは、被検知対象の検出の終了に伴って警報出力を終了する自動復帰機能を備える(図2参照)。当該検出の終了は、例えば検出部10aの場合、判別手段13が判別した被検知ガスの濃度レベルが設定された閾値に達しなくなったときに判断される。
【0035】
(警報履歴保持部)
警報履歴保持部30は、警報部20が警報出力したときの原因を記憶する。警報出力の原因とは、例えば、検出部10a〜10bが検知した被検知ガスの種類・ガス濃度・センサ感度等、及び、検出部10cが検知した煙濃度・温度等の情報のことを指す。警報履歴保持部30は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ等の電源を切っても記憶したデータは消えないメモリ等が適用できるが、これらに限られるものではなく、公知のメモリであれば適用可能である。
【0036】
(制御手段)
制御手段60は、警報出力の判断の他に、スイッチ手段50を操作したとき、警報履歴保持部30に記憶してある警報出力の原因を履歴出力する制御を行う(図2参照)。当該原因の出力は、スイッチ手段50の操作があった後から所定時間継続するように構成することが可能である。当該原因の出力は、当該スイッチ手段50を再度操作する、或いは、別のスイッチ手段(図外)を操作することによって停止するように構成することができる。
【0037】
警報出力の原因は、当該原因を表示する警報履歴通報部70により出力される。この出力は、例えば、色が異なるLED71〜73を複数設け、警報の原因毎に異なる色のLEDを点灯或いは点滅させて警報出力の原因を視覚的に認識させる。点滅の程度は、前記高速点滅或いは低速点滅と同様に行うことが可能である。しかし、これに限らず、警報の内容を音声によって聴覚的に認識させるように構成することもできる。
尚、前記警報部20では、スピーカ21やLEDを用いて警報出力を行うように構成してあるため、この警報履歴通報部70は、当該警報部20の構成を利用することが可能である。ただし、一方が聴覚的な出力で、他方が視覚的な出力のときには、警報部20と警報履歴通報部70とは各別に設ける。本実施形態では、これらは各別に設けた場合を例示する。
【0038】
また、警報履歴通報部70は、液晶等のモニタ表示できる構成としてもよい。この場合、警報出力の原因を文字等で表示することで、警報出力の原因を視認させることが可能である。
【0039】
ここで、警報器Xにより警報出力があったときにユーザーが警報出力を認識できる場所におらず、警報出力終了後にユーザーが当該場所に来た場合、ユーザーが警報器Xに対して何も操作しない無操作状態では、被検知ガスの検出終了後は警報の有無を知ることはできない。しかし、スイッチ手段50を操作したとき、警報履歴保持部30に警報出力の原因が記憶されていれば、当該警報出力の原因を確認できる。つまり、警報の有無を知りたいときだけスイッチ手段50を操作して当該警報出力の原因を得ることができる。
【0040】
通常、管理者は、このようなスイッチ手段50の機能を予め理解しているため、警報出力に基づく通報により到着した管理者がスイッチ手段50を操作し、確実に当該警報出力の原因を確認して適切な処置を行うことができる。
【0041】
従って、本発明の警報器Xは、検出終了後の通常状態のときに警報出力の原因を表示しないため、ユーザーに対して無用の不安感を抱かせることがない。
【0042】
また、ガス検出終了後の正常な状態のときは、スイッチ手段50が操作されない限り警報出力の原因は表示されないため、ユーザーが管理者に通報したり、警報出力の原因を調査する等、無駄な労力を費やすことがない。
【0043】
制御手段60は、被検知対象の検知に基づく警報出力の原因を履歴表示した後、前記原因に対応した警報出力を含む少なくとも1つの警報出力を音声で発するように構成する(図3参照)。
これによれば、制御手段60を、警報器Xの警報出力の原因となった被検知ガスの種類等をLED等の視覚的な手段で報知する警報履歴出力を先に行い、音声により認識できる警報出力を後で行うように設定できる。これにより、スイッチ手段50を操作した直後に警報出力の原因を視認することができることとなり、作業者が警報出力の原因を見過ごすのを防止できる。
【0044】
上述したように、検出部10を複数設けた場合、各検出部によって検知した被検知対象に対応した警報出力を行えるため、警報器Xは複数種類の警報出力を有することとなる。本実施形態では、警報出力の音声は、「前記原因に対応した警報出力を含む少なくとも1つの警報出力」としていることから、前記原因に対応した警報出力は必ず出力された状態で、付加的に他の警報も出力される。例えば、ガス検知部を3つ設けてある場合、3種類の警報出力を有することとなるが、これら全ての警報出力を発するように構成することが可能である。もちろん、前記原因に対応した警報出力のみとすることも可能である。
【0045】
このような構成とすれば、管理者とユーザーとが立ち会った状態でスイッチ手段を操作したときに、管理者が何れの警報出力が鳴動したかを認識することができ、さらに、複数種類の警報出力が確実に鳴動することを認識することができる。
尚、前記原因に対応した警報出力のみとした場合は、どのような警報があった旨を確実に認識することができる。
【0046】
制御手段60は、被検知対象の検出終了後の予め設定した時刻において、警報出力があったことを知らせるように構成することが可能である。
【0047】
具体的には、タイマー手段(図外)を設け、当該検出終了後から起算して例えば1時間毎に、或いは、一日のうち決まった時刻に、検知した被検知対象に対応する警報部20或いは警報履歴通報部70により、ユーザーに警報出力があったことを知らせる確認出力を行う。この確認出力は、できるだけユーザーに不安感を抱かせないように警報出力とは異なる出力方法、例えば低速(長周期)の点滅等により行うとよい。
【0048】
これにより、警報があった旨を早期にユーザー等に気付かせて、適切な処置を行うことができる。
【0049】
〔別実施の形態1〕
制御手段60は、前記原因に対応した警報出力を含む少なくとも1つの警報出力を音声で発した後、前記被検知対象の検知に基づく警報出力の原因を音声で発することで履歴出力するように構成してもよい(図4参照)。
【0050】
このように、制御手段60を、音声による警報出力を先に行い、音声による警報履歴出力をその後に行うように設定すると、警報出力および警報履歴出力の何れも音声による報知となるため、警報器を見ない状態であっても鳴動原因を認識できる。そのため、管理者は、警報履歴出力の表示タイミングに注意する必要がない。さらに、警報器を見ずにユーザーとの遣り取りを行うことも可能となるため、スイッチ手段を操作した直後に他の動作に迅速に移行できる。
【0051】
尚、当該警報出力の原因は、音声で発するように構成する態様に限らず、視覚的に認識させる手段で表示することも可能である。
つまり、音声による警報出力を先に行い、警報器の警報出力の原因となった被検出対象の種類等をLEDやモニタ等の視覚的な手段で報知する警報履歴出力を後で行うように設定できる。
これにより、どのような警報があった旨を認識した状態で警報の原因を視覚的に確実に把握することができる。
【0052】
〔別実施の形態2〕
前記制御手段は、前記原因に対応した警報出力を含む少なくとも1つの警報出力を音声で発すると共に前記被検知対象の検知に基づく警報出力の原因を表示することが可能である。
【0053】
本実施形態によれば、制御手段を、警報があった旨を音声により報知する警報出力を行い、かつ、警報器の警報出力の原因となった被検知ガスの種類等をLED等の視覚的な手段により報知する警報履歴出力を行うように設定できる。即ち、ユーザー或いは管理者は音声とLED表示等によって警報とその内容を同時に認識できる。従って、本実施形態の警報器は、短時間で警報の情報を伝達することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の警報器は、被検知対象であるガス・熱・煙などを検知して警報を発するガス警報器・火災警報器等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の警報器の概略図
【図2】警報出力とその原因とが出力されるタイミングを概説した図
【図3】警報出力とその原因とが出力されるタイミングを概説した図
【図4】警報出力とその原因とが出力されるタイミングを概説した図
【符号の説明】
【0056】
X 警報器
10 検出部
20 警報部
30 警報履歴保持部
50 スイッチ手段
60 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの被検知対象を各別に検知する少なくとも1つの検出部と、前記検出部が所定値以上の検知出力を検知したときに前記被検知対象に対応した警報出力を行う警報部と、当該警報出力の原因を記憶する警報履歴保持部とを設けた警報器であって、
前記警報履歴保持部に記憶してある前記警報出力の原因を出力させるスイッチ手段を設け、前記スイッチ手段を操作したとき、前記警報出力の原因を出力する制御手段を設けた警報器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記被検知対象の検知に基づく警報出力の原因を表示した後、前記原因に対応した警報出力を含む少なくとも1つの警報出力を音声で発するように構成してある請求項1に記載の警報器。
【請求項3】
前記制御手段は、前記原因に対応した警報出力を含む少なくとも1つの警報出力を音声で発した後、前記被検知対象の検知に基づく警報出力の原因を音声で発するように構成してある請求項1に記載の警報器。
【請求項4】
前記制御手段は、前記原因に対応した警報出力を含む少なくとも1つの警報出力を音声で発すると共に前記被検知対象の検知に基づく警報出力の原因を表示する請求項1に記載の警報器。
【請求項5】
前記制御手段は、前記被検知対象の検出終了後の予め設定した時刻において、前記警報出力があったことを知らせるように構成してある請求項1〜4の何れか一項に記載の警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−102260(P2007−102260A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287323(P2005−287323)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000190301)新コスモス電機株式会社 (112)
【Fターム(参考)】