護岸擁壁の構築方法とこれに用いる笠コンクリートブロック及び底型枠
【課題】容易かつ確実な取付作業及び回収作業を実現できる底型枠を用いた護岸擁壁の構築方法を提供する。
【解決手段】鉛直に降ろされる側版11と、前記側版11の下縁から張り出す底版12とから構成される笠コンクリートブロック1を矢板2に覆設して護岸擁壁を構築するに際し、笠コンクリートブロック1の側版11と矢板2の側面との間に打設コンクリート5を流し込むために浮力を有する底型枠3を用い、打設コンクリート5を流し込む前に、笠コンクリートブロック1の底版12の下面に底型枠3を密着させ、前記笠コンクリートブロック1の底版12の前縁と矢板2の側面との隙間を前記底型枠3により下方から塞ぎ、打設コンクリート5を流し込んだ後に、笠コンクリートブロック1の底版12の下面から底型枠3を分離させ、前記底型枠3を水没させることなく回収する護岸擁壁の構築方法である。
【解決手段】鉛直に降ろされる側版11と、前記側版11の下縁から張り出す底版12とから構成される笠コンクリートブロック1を矢板2に覆設して護岸擁壁を構築するに際し、笠コンクリートブロック1の側版11と矢板2の側面との間に打設コンクリート5を流し込むために浮力を有する底型枠3を用い、打設コンクリート5を流し込む前に、笠コンクリートブロック1の底版12の下面に底型枠3を密着させ、前記笠コンクリートブロック1の底版12の前縁と矢板2の側面との隙間を前記底型枠3により下方から塞ぎ、打設コンクリート5を流し込んだ後に、笠コンクリートブロック1の底版12の下面から底型枠3を分離させ、前記底型枠3を水没させることなく回収する護岸擁壁の構築方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、笠コンクリートブロックを矢板に覆設して構成される護岸擁壁の構築方法と、これに用いる笠コンクリートブロック及び底型枠とに関する。
【背景技術】
【0002】
笠コンクリートブロックを矢板に覆設して構成される護岸擁壁は、笠コンクリートブロックの側版と矢板の側面との間に打設コンクリートを流し込んで両者を一体化し、構築される。通常、打設コンクリートが下方に漏れ落ちないように、笠コンクリートブロックに底版を設け、底版の縁部を矢板の側面に突き当てるが、実際には底版の縁部と矢板の側面とが密着せず、隙間を生じていた。これは、矢板が設計通りに立設させることが難しく、どうしても傾いてしまうことが原因である。これから、いっそのこと底版を省略し、笠コンクリートブロックの側面と矢板の側面との空間を下方から塞ぐ底型枠を用いたり、笠コンクリートブロックに設けて底版の縁部と矢板の側面との隙間に充填するパッキン材部材を用いたりされる(特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、底版を省略し、水路側の鋼製矢板の形状に合わせた底型枠(底板材)を、笠コンクリートブロック(笠置ブロック本体)の底部にシャコ万力で固定する方法を提案している(特許文献1[請求項1]、[図1]及び[図2])。これにより、特許文献1の前記方法を開示する以前に用いられていた底型枠を支持する角材を不要とし、角材止めピン、底板止めピンを溶接等により固定する必要もなくなって、護岸擁壁の構築作業が極めて簡単になるとしている(特許文献1段落[0027])。また、特許文献1は、笠コンクリートブロックの底版(突出底部)の矢板に倣った前縁(突出端)にパッキン材を設ける方法を提案している(特許文献1[請求項2]、[図3]及び[図4])。これにより、底版は笠コンクリートブロックと一体に設けられ、パッキン材は前記底版の前縁に設けられるので、笠コンクリートブロックと別体となる底型枠が不要になる利点が得られるとしている(特許文献1段落[0027])。
【0004】
【特許文献1】特開平09-003850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示する底型枠を用いる方法は、笠コンクリートブロックの底部を確実に塞ぐことができ、好ましい。しかし、底型枠の前縁を矢板の側面に密着させた状態を保ち、前記底型枠をシャコ万力で笠コンクリートブロックに固定する取付作業は、容易でない。また、特許文献1には、コンクリートの打設後、底型枠を回収する又はそのまま笠コンクリートブロックと一体にして放置するのいずれとするかの記載は見られないが、前者の回収を選択すると、回収作業として打設したコンクリートとの接着を剥がした底型枠をうまく支持できなければ、前記底型枠を不用意に落下させ、作業者の危険を招くほか、例えば海中に底型枠を水没させてしまう問題が生ずる。これに対し、後者の放置を選択すると、護岸擁壁の構築に係る費用が底型枠だけ高くなる問題が生ずる。
【0006】
特許文献1が開示するパッキン材を用いる方法は、笠コンクリートブロックの底版の前縁と矢板の側面との隙間の大きさが一定でないため、どのような隙間でもパッキン材で完全に塞ぐことが難しい。また、どうしてもパッキン材は弾性又は可撓性を備える材料を用いることになるが、こうした弾性又は可撓性を備えたパッキン材は打設されるコンクリートを十分に支えきれず、前記コンクリートを流出させてしまう虞がある。更に、本来コンクリートが充填されるべき隙間にパッキン材が残ってしまうと、パッキン材が残る部分が断面欠損として評価されて補修作業が必要になってしまう。この場合、断面欠損を除く範囲で十分なコンクリートの打設ができる大型の笠コンクリートブロックを用いることも考えられるが、笠コンクリートブロックの大型化に伴う費用増が問題となる。
【0007】
これから、笠コンクリートブロックの側版と矢板の側面との間に打設コンクリートを流し込むに際しては、パッキン材を用いる方法より、底型枠を用いる方法が好ましいと考えられるが、既述したように、底型枠の取付作業の簡素化や確実性が検討されるほか、護岸擁壁の構築に係る費用を鑑みた場合、底型枠を回収することを選択し、この底型枠の回収作業の簡素化や安全性も検討されなければならない。そこで、こうした底型枠を用いる場合における取付作業及び回収作業に着目して、護岸擁壁の構築方法を見直し、そのために必要な笠コンクリートブロックや底型枠の改良について検討した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
検討の結果開発したものが、鉛直に降ろされる側版と、前記側版の下縁から張り出す底版とから構成される笠コンクリートブロックを矢板に覆設して護岸擁壁を構築するに際し、笠コンクリートブロックの側版と矢板の側面との間に打設コンクリートを流し込むために浮力を有する底型枠を用い、打設コンクリートを流し込む前に、笠コンクリートブロックの底版の下面に底型枠を密着させ、前記笠コンクリートブロックの底版の前縁と矢板の側面との隙間を前記底型枠により下方から塞ぎ、打設コンクリートを流し込んだ後に、笠コンクリートブロックの底版の下面から底型枠を分離させ、前記底型枠を水没させることなく回収する護岸擁壁の構築方法である。本発明は、従来公知の各種鋼製矢板を対象とするが、構築方法に基づく矢板の制限はない。底型枠は、前縁を矢板の側面に突き合わせ、上面を笠コンクリートの底版の前縁に押し当てて、笠コンクリートブロックの底版の前縁と矢板の側面との隙間を下方から塞ぐ。
【0009】
本発明の護岸擁壁の構築方法は、浮力を有する底型枠を用いる点に特徴を有する。この特徴は、底型枠を軽量化して取り扱いを容易にすると共に、万一海中に落下しても、水没することなく底型枠を回収できるようにする。すなわち、本発明によれば、打設コンクリートを流し込む前に、笠コンクリートブロックの底版の下面に底型枠を密着させ、前記笠コンクリートブロックの底版の前縁と矢板の側面との隙間を前記底型枠により下方から塞ぐ取付作業や、打設コンクリートを流し込んだ後に、笠コンクリートブロックの底版の下面から底型枠を分離させ、前記底型枠を水没させることなく回収する回収作業が容易かつ確実となる。
【0010】
笠コンクリートブロックの底版の下面に底型枠を密着させる具体的手段は、後述するように係合ピンとキー溝との係合によるほか、従来公知の各種手段を用いることができるが、笠コンクリートブロックの底版の下面に底型枠を密着させる際、底型枠の一部を底版に係合させて前記底版の下面に底型枠を密着させると共に、前記底型枠と底版との係合部位より後方となる側版側から底版の下面と底型枠との間に楔を挿入するとよい。これにより、底型枠は係合部位より前方が持ち上げられ、特に上面を笠コンクリートの底版の前縁に強く押し当てることができ、前記上面と笠コンクリートの底版の前縁との隙間から打設するコンクリートが漏れ出すことを防止できる。また、打設するコンクリートが底型枠に接着する範囲を笠コンクリートブロックの底版の前縁と矢板の側面との隙間に限定し、回収作業を容易にする働きを有する。
【0011】
本発明の護岸擁壁の構築方法では、笠コンクリートブロック及び底型枠がそれぞれ専用の構成となる。まず、本発明の護岸擁壁の構築方法に用いられる笠コンクリートブロックは、底版に係合ピンを、側版に固定ピンをそれぞれ設けてなり、係合ピンは、笠コンクリートブロックの底版の下面から突出され、底型枠の有するキー溝を係合させた状態で、浮き体を拘束しながら矢板の側面に接近離反させ、固定ピンは、笠コンクリートブロックの側版の背面から突出され、底型枠の有する固定フランジを連結させた状態で、浮き体を笠コンクリートブロックの底版の下面に密着させる構成とする。この笠コンクリートブロックは、係合ピンを底型枠のキー溝に係合させて前記底型枠を支持し、また固定ピンを底型枠の固定フランジに連結させて前記支持枠を位置固定して、前記底型枠を底版に密着させる。係合ピン又は固定ピンは、底型枠を回収した後、笠コンクリートブロックに残る場合もあるため、防錆材料で構成する又は防錆処理を施しておくとよい。
【0012】
また、本発明の護岸擁壁の構築方法に用いられる底型枠は、浮き体に型枠部、連結部及び固定部を設けて構成され、浮き体は、自身と型枠部、連結部及び固定部とを合わせた重さに対抗する浮力を発生させる構造体であり、型枠部は、矢板の側面に倣った前縁を有し、笠コンクリートブロックの底版の前縁と前記矢板の側面との隙間より大きな平面を有する部材として浮き体の上面に設けられ、連結部は、矢板の側面に浮き体を接近離反させる方向に延在するキー溝を有する部材として前記浮き体の上面に沿って設けられ、笠コンクリートブロックの底版の下面から突出する係合ピンを前記キー溝に係合させた状態で、浮き体を拘束しながら矢板の側面に接近離反させ、固定部は、笠コンクリートブロックの側版の背面に立つ固定フランジからなる部材として浮き体の上面から突出して設けられ、笠コンクリートブロックの側版の背面から突出する固定ピンを前記固定フランジに連結させた状態で、浮き体を笠コンクリートブロックの底版の下面に密着させる構成とする。浮き体に型枠部、連結部、固定部や追加的に設ける補強要素は、接続分離不能に一体化してもよいし、接続分離自在にしてもよい。
【0013】
浮き体は、本発明の特徴である底型枠の浮力を発生させる構造体であり、浮力を発生させることができれば構成を限定されない。例えば、水(海水)より比重の軽い発泡スチロール等の素材からなる中実体構造の浮き体や、水(海水)より比重が重い金属板を組み付けて内部を中空にし、全体として水(海水)より比重を軽くした中空体構造の浮き体が考えられる。更に、水(海水)より比重が重い金属棒を組み付けながら、前記中実構造の浮き体や中空構造の浮き体に等価な部材(浮子等)を取り付けた枠体構造の浮き体であってもよい。いずれを選択するかは、要求される底型枠の大きさや形状、取付作業や回収作業に応じて、適宜決定するとよい。
【0014】
型枠部は、打設するコンクリートに直接接触し、前記コンクリートの流出を防止する底型枠の本来的機能を担う部材で、矢板の側面に倣った前縁を有し、笠コンクリートブロックの底版の前縁と前記矢板の側面との隙間より大きな平面を有する部材であればよい。しかし、打設したコンクリートに耐える剛性を確保し、また回収作業に際する打設したコンクリートとの剥離を考慮した場合、鋼板により構成されることが好ましい。この場合、鋼板からなる型枠部は、上記中実構造又は中空構造の浮き体の上面に接面状態で取り付けられ、また枠体構造の浮き体のフレーム間に架け渡されて取り付けられることになる。
【0015】
連結部は、笠コンクリートブロックの係合ピンと対になるキー溝を有する部材で、後述するように、浮き体に補強フレームが一体化される場合、補強フレームにキー溝を設けるとよい。ここで、本発明の「キー溝」は、例えば笠コンクリートブロックの係合ピンをボルトで構成した場合、前記係合ピンのボルト頭を差し込む前端の貫通孔と、前記貫通孔から係合ピンのボルト本体の幅で後方へ延びる案内溝とから構成される長孔を意味する。底型枠は、笠コンクリートブロックの係合ピンのボルト頭を連結部のキー溝を構成する貫通孔から前記キー溝内に差し込み、ボルト頭を案内溝の周縁に係合させながら前進させることにより、浮き体を係合ピンに拘束しながら矢板の側面に接近離反させる。
【0016】
固定部は、浮き体を矢板の側面に接近させて型枠部の前縁を矢板の側面に突き当てた状態で前記浮き体を位置固定させる部材である。例えば笠コンクリートブロックの固定ピンをボルトで構成した場合、固定フランジに設けたボルト孔を通じて前記固定ピンを側版に埋め込んだナット孔に締め付けることにより前記固定フランジを側版に押し付けて、連結部を笠コンクリートブロックの底版に対して固定フランジを拘束し、前記固定フランジを介して浮き体を位置固定する。このとき、上記連結部による笠コンクリートブロックの底版に対する浮き体の係合が、前記底版の下面に浮き体の上面が接面するものであれば、固定部による浮き体の位置固定によって、浮き体を笠コンクリートブロックの底版の下面に密着させることができる。
【0017】
具体的な底型枠として、浮き体が矢板の側面に密着する前縁を有する発泡スチロールブロックで、型枠部が矢板の側面に密着する前縁を有し、笠コンクリートブロックの底版の前縁と前記矢板の側面との隙間より大きな鋼板であり、浮き体の前縁に型枠部の前縁を揃えて前記型枠部を浮き体の上面に固定する構成を例示できる。浮き体となる発泡スチロールブロックと型枠部となる鋼板とは、接続分離不能に一体化してもよいし、接続分離自在にしてもよい。型枠部の前縁が矢板の側面に密着する形状であれば、浮き体の前縁と型枠部の前縁とを一致させて浮き体の上面に型枠部を接面させて固定する構成になる。しかし、型枠部の前縁が矢板の側面に密着しない形状(例えば矢板の側面から控えた形状)であれば、浮き体の前縁が矢板の側面に密着できるように、型枠部から浮き体を少し突出させて浮き体の上面に型枠部を接面させて固定する構成になる。
【0018】
また、具体的な底型枠として、浮き体が矢板の側面に密着する前縁を有する発泡スチロールブロックで、鋼材を組み付けた補強フレームを一体にしてなり、連結部が浮き体を矢板の側面に接近離反させる方向に延在する前記補強フレームの部分にキー溝を設けて構成され、固定部が笠コンクリートブロックの側版の背面から突出する前記補強フレームの部分から固定フランジを突出する構成を例示できる。浮き体となる発泡スチロールブロックと補強フレームとは、接続分離不能に一体化してもよいし、接続分離自在にしてもよい。補強フレームは、打設したコンクリートに単独で対抗できない発泡スチロール性ブロックからなる浮き体に、十分な剛性をもたらす補強部材であるほか、連結部及び固定部を設ける基礎を提供する。また、既述した楔を底版の下面と底型枠との間に挿入する際、剛性を有する補強フレームが浮き体と一体になっていると、前記楔を前記底版の下面と補強フレームとの間に挿入して、底型枠の前方を持ち上げらて上面を笠コンクリートの底版の前縁に強く押し当てやすくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の護岸擁壁の構築方法は、浮力を有する底型枠を用いることにより、前記底型枠の取付作業及び回収作業を容易かつ確実にし、護岸擁壁の構築に係る労力や負担、危険性や費用を低減する効果を有する。通常、護岸擁壁は、水平方向に数10m〜数100mに連続して構築されることから、前記護岸擁壁の構築作業に必要な底型枠は非常に多くなるため、各底型枠に前記効果をもたらす本願発明の護岸擁壁の構築方法は、大幅に従来の構築作業を改善することになる。また、前記構築方法において、笠コンクリートブロックの底版の下面と底型枠との間に楔を挿入すると、特に打設するコンクリートを前記底版の前縁から漏れ出す虞をなくし、回収作業を更に容易かつ確実にする効果が得られる。
【0020】
本発明の笠コンクリートブロック及び底型枠は、前記護岸擁壁の構築方法を実現する効果を有する。特に、本発明の護岸擁壁の構築方法を特徴付ける底型枠は、浮力を発生させる浮き体に、型枠としての機能を発揮する型枠部と、取付作業及び回収作業を容易かつ確実にする連結部及び固定部とを設ける構成にすることにより、浮き体、型枠部、連結部及び固定部の働きをそれぞれ最適化しながら、全体として簡素かつ合理的な構成を実現できる効果を得る。具体的な底型枠として浮き体に発泡スチロールブロックを用いた場合、型枠部は鋼板により容易に構成できるようになり、更に補強フレームを浮き体に一体化することで、浮き体の剛性向上を図りなら、更にキー溝からなる連結部や固定フランジからなる固定部が浮き体に設けやすくなる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。図1は本発明の護岸擁壁の構築方法を適用する笠コンクリートブロック1、矢板2及び底型枠3の組み合わせの一例を示す部分斜視図、図2は底型枠3を示す部分破断拡大斜視図、図3は底型枠3を示す拡大正面図、図4は底型枠3を示す拡大平面図、図5は底型枠3の拡大側面図、図6は別例の底型枠3を示す図2相当拡大斜視図である。本発明の護岸擁壁の構築方法は、笠コンクリートブロック1や矢板2の構成又は構造による制約を受けず、適宜底型枠3の構成又は構造を決定することにより、前記笠コンクリートブロック1と矢板2との組み合わせに対応できる。本例は、図1に見られるように、矢板2が丸パイプから構成される場合で、笠コンクリートブロック1に設ける固定ピン111及び係合ピン121はそれぞれボルトとして、側版11に埋め込んだナット孔に固定ピン111を着脱自在として底型枠3の固定フランジ333を固定し、また底版12に埋め込んだナット孔に係合ピン121を捩じ込んでおき、前記底版12から下方に突出する前記係合ピン121のボルト頭に底型枠3のキー溝331を係合させる。
【0022】
本例の底型枠3は、図2から図5に見られるように、浮き体となる発泡スチロールブロック31の上面に倣って補強フレーム33を埋め込み、前記発泡スチロールブロック31及び補強フレーム33を一体にカバー311で覆い、発泡スチロールブロック31の上面と共に前記カバー311を挟み込むように型枠部となる鋼板32を固定して構成され、前記鋼板32のスリットから覗く補強フレーム33の部位にキー溝331を設け、補強フレーム33から後方に突出するフレーム突出部332に固定フランジ333を設けている。本例の発泡スチロールブロック31と補強フレーム33とは、接続分離不能に一体化した上で両者を一体にカバー311で覆っているが、発泡スチロールブロック31及び補強フレーム33を接続分離自在にしてもよい。底型枠3は、各矢板2宛てに1基を割り当てる構成(半円弧状の前縁を挟んで左右に突出部がある構成)でもよいが、本例は隣り合う矢板2の間に1基を割り当てる構成としている。この場合、隣り合う矢板2の間に突出部を差し込みながら、各矢板2の側面それぞれに底型枠3の前縁を押し当てることにより、底型枠3の姿勢を容易に決定、維持できる利点がある。
【0023】
浮き体となる発泡スチロールブロック31は、隣り合う矢板2の側面に密着する左右対称な円弧状縁と、前記円弧状縁が交わる中央の突出部とから前縁が形成された平面視ホームベース形状である。円弧状縁が交わる中央の突出部が直線状縁になっている理由は、矢板2の連結部が平板であることによる。補強フレーム33は、鋼板32の範囲で、前後方向に延びる中央の鋼材に対して左右対称に鋼材を組み付け、各鋼材の上面が発泡スチロールブロック31の上面に倣うように埋め込んでいる。これにより、補強フレーム33は、打設コンクリート5(後掲図11以降参照)の重量を受ける鋼板32を全体にわたって支持し、前記鋼板32の剛性を補うことができる。カバー311は、発泡スチロールブロック31を覆って保護すると共に、発泡スチロールブロック31と補強フレーム33との結合部位が外部から隠す働きを有している。
【0024】
本例の補強フレーム33は、中央の鋼材に連結部を構成するキー溝331を設けている。底型枠3は、キー溝331を係合ピン121に係合させて笠コンクリートブロック1の底版12に吊り下げられるが、本例は補強フレーム33が吊下げられるのであって、発泡スチロールブロック31は前記補強フレーム33にぶら下がり、補強フレーム33に下方から浮力を与えるだけで、前記係合による負荷が加わらないようになっている。また、補強フレーム33は、前記中央の鋼材を発泡スチロールブロック31から後方に突出させ、フレーム突出部332を設けている。このフレーム突出部332は、底型枠3の取付作業及び回収作業に際して作業者が手に持つ把持部位や、既述したように固定部を構成する固定フランジ333の取付部位を提供している。
【0025】
鋼板32は、隣り合う矢板2の側面に倣う左右対称な円弧状縁と、前記円弧状縁が交わる中央の突出部とから前縁が形成された平面視ホームベース形状で、前縁が発泡スチロールブロック31の前縁より少し控えており、また全体の大きさが発泡スチロールブロック31より前後方向に短尺である。前縁が発泡スチロールブロック31の前縁より少し控えている理由は、弾性のない鋼板32の前縁を矢板2の側面に突き当てるより、弾性のある発泡スチロールブロック31の前縁を矢板2の側面に突き当てる方が、矢板2の側面に対して密着させやすいことによる。この場合、例えば図6に見られるように、発泡スチロールブロック31の前縁にパッキン材となるスポンジ35を貼り付けてもよい。このスポンジ35は、本来コンクリートが充填されるべき隙間を塞ぐものではないため、従来のパッキン材の使用に比べて、パッキン材が残る部分が断面欠損として評価される虞がない。もちろん、断面欠損を除く範囲で十分なコンクリートの打設ができる大型の笠コンクリートブロックを用いる必要もない。また、発泡スチロールブロック31より前後方向に短尺な理由は、底型枠3の重量軽減や材料節約の観点から小さくしたものであり、鋼板32は笠コンクリートブロック1の底版12の前縁と矢板2の側面との隙間より僅かに大きくすることが好ましい。
【0026】
本例の鋼板32は、中央にスリットを設けてあり、前記スリットから補強フレーム33に設けたキー溝331を覗かせている。スリットは、本例の鋼板32の剛性を低下させる要素であるが、既述したように、全体を補強フレーム33に密着させて均一に支持させることにより、打設コンクリート5を支持できる程度に十分な剛性を確保している。裏返せば、鋼板32を補強フレーム33に密着するように発泡スチロールブロック31の上面に取り付ける必要がある。そこで、例えば鋼板32の裏面から取付ロッドを突出させ、補強フレーム33に前記取付ロッドをネジ止めしたり、補強フレーム33を貫通させて発泡スチロールブロック31の下面に宛てがった補強板等にネジ止めしたりして、鋼板32と補強フレーム33との一体性を高めるとよい。
【0027】
本例のキー溝331は、笠コンクリートブロック1の底版12から突出する係合ピン121のボルト頭を差し込む前端の貫通孔と、前記貫通孔から係合ピン121のボルト本体の幅で後方へ延びる案内溝とから構成される。本例の固定フランジ333は、補強フレーム33を構成する鋼材に等しい幅の板材を直角に折り曲げて、一方の板面をフレーム突出部332にボルト止めし、他方の板面を前記フレーム突出部332から突出させた構成で、他方の板面に突出方向に延びる長孔からなるボルト孔を設けている。固定フランジ333のボルト孔を長孔とした理由は、固定ピン111を捩じ込む側版11のナット孔と固定フランジとの位置ずれを吸収するためと、後述する楔34の挿入による底型枠3の上下方向の姿勢変化に対応するためである。
【0028】
本発明による護岸擁壁を構築する手順について説明する。図7〜図14は護岸擁壁を構築する手順を表した断面図(図7及び図8、図11〜図14)及び部分拡大斜視図(図9及び図10)であり、図7は底型枠3を笠コンクリートブロック1の底版12に取り付ける段階、図8は笠コンクリートブロック1の底版12に取り付けた底型枠3を矢板2に向けて押し込んでいる段階、図9は矢板2に向けて押し込んだ底型枠3を笠コンクリートブロック1の側版11に固定する段階、図10は笠コンクリートブロック1の側版11に固定した底型枠3と笠コンクリートブロック1の底版との間に楔34を打ち込んだ段階、図11は笠コンクリートブロック1の底版12の前縁と矢板2の側面との隙間を底型枠3により塞いで笠コンクリートブロック1の側版11と矢板2の側面との間に打設コンクリート5を流し込む段階、図12は打設コンクリート5の流し込みを終えて天版コンクリートブロック13及び堰堤コンクリートブロック14を配置した段階、図13は底型枠3を自由状態にして矢板2から遠ざけている段階、そして図14は底型枠3を笠コンクリートブロック1の底版12から取り外した段階をそれぞれ表している。
【0029】
護岸擁壁うぃ構築するには、まず底型枠3の取付作業までに、図7に見られるように、陸上と海上との境界に矢板2が打ち込まれ、前記矢板2の上端に固定されたブロック受け材21の海上側に笠コンクリートブロック1が、またブロック受け材21の陸上側に笠コンクリートブロック4が取り付けられる。笠コンクリートブロック1及び笠コンクリートブロック4は同型であるが、側版41に固定ピン111を、底版42に係合ピン121を取り付ける必要がない。矢板2は、常時水没する高さまで必要十分な防錆処理が施されているが、潮の干満により海面高さが変動する範囲から上方は、費用削減の観点から防錆処理が施されていない。このため、笠コンクリートブロック1で前記防錆処理を施していない範囲を覆い、外観を整えると共に矢板2の防錆を図っている。
【0030】
ここで、矢板2の側面と底版12の前縁とがぴったり一致すれば隙間を生じないが、実際にはピッタリ一致しないために隙間が生じ、底型枠3の取付が必要となる。このため、本例の笠コンクリートブロック1は、側版11及び底版12にそれぞれナット孔を設け、側版11のナット孔に対して後からボルトである固定ピン111(後掲図8参照)を捩じ込み、底版12のナット孔には予めボルトである係合ピン121を捩じ込んで突出させている。笠コンクリートブロック4は、掘削した地盤上に底版42を載せる。打設コンクリート5は、矢板2と笠コンクリートブロック1との間、そして矢板2と笠コンクリートブロック4との間にそれぞれ流し込まれる(図11以降参照)。
【0031】
本発明の特徴は、まず底型枠3の取付作業にある。本例の底型枠3は、発泡スチロールブロック31により浮力を有するから、笠コンクリートブロック1の底版12下方にまで持ってくる際、例えば海面に浮かべたまま水中作業者により押して移動させることができる。そして、水中作業者が底型枠3を持ち上げて、キー溝331(図2ほか参照)の前端に設けられた貫通孔に係合ピン121のボルト頭を貫通させ、少し前進させると、前記係合ピン121のボルト頭は案内溝に係合され、図8に見られるように、底型枠3は底版12に係合して、吊り下げられた状態となる。このとき、底型枠3はあくまで係合ピン121のみに吊下げられるため、水平方向の旋回が自由であり、また係合ピン121が貫通孔に至らない範囲で前進(矢板2に向けての移動)又は後退(矢板2から遠ざかる移動)が自由である。これから、底型枠3は、例えば水中作業者がフレーム突出部332を手に持って水平方向に旋回させたり、また図8に見られるように前進させたりする。
【0032】
底版12に対して吊り下げられた底型枠3は、発泡スチロールブロック31の前縁を矢板2の側面に密着するまで前進させ、固定フランジ333の長孔を通して側版11のナット孔に固定ピン111を捩じ込むことにより、底型枠3は底版12に密着する状態で位置固定される。このとき、笠コンクリートブロック1の底版12の前縁と矢板2(図9以降参照)の側面との隙間があれば、図9に見られるように、鋼板32が前記隙間から覗くことになり、前記鋼板32によって前記隙間が塞がれることになる。このとき、鋼板32の上面が底版12の前縁に密着することが好ましい。このため、本例の底型枠3は、固定フランジ333に紐を介して楔34をぶら下げており、底型枠3の位置固定後、図10に見られるように、楔34を前記底版12の下面と補強フレーム33との間に挿入して、底型枠3の前方を持ち上げらて鋼板32の上面を笠コンクリートブロック1の底版21の前縁に強く押し当てるようにしている(楔34を用いていない段階の図では図示を省略している)。楔34を紐で固定フランジ333にぶら下げている理由は、後述する底型枠3の回収作業で、外した楔34を紛失しないようにするためである。
【0033】
底型枠3の位置固定により、笠コンクリートブロック1の底版12の前縁と矢板2の側面との隙間が塞がれれば、図11に見られるように、矢板2と笠コンクリートブロック1との間、そして矢板2と笠コンクリートブロック4との間に対して打設コンクリート5を流し込み始める。矢板2と笠コンクリートブロック1との間に流し込まれる打設コンクリート5は、底型枠3の鋼板32に支持される。既述したように、鋼板32は補強フレーム33(図2参照)に支持されているので、流し込みによって打設コンクリート5が増えていっても十分に支持できる。こうしてブロック受け材21を越えて打設コンクリート5が流し込まれると、図12に見られるように、埋められた地盤に面一な天版コンクリートブロック13を陸上側に載せ、また笠コンクリートブロック1の側版11に連続して延びる堰堤コンクリートブロック14を海上側に載せて、護岸擁壁の構築が完了する。
【0034】
本発明の特徴は、護岸擁壁の構築後における底型枠3の回収作業にも現れる。護岸擁壁の構築後における底型枠3は、図13に見られるように、まず楔34を外して底版12に対する底型枠3の緊密度を緩め、次に固定ピン111を緩めて固定フランジ333を解放した状態で、例えばフレーム突出部332をハンマーで叩くことにより、補強フレーム33に衝撃を与えて固化した打設コンクリート5から鋼板32を剥離する。これにより、底型枠3は係合ピン121のみに吊り下げられた自由状態を回復するので、今度は水中作業者がフレーム突出部332を手に持って底型枠3を後退させる。このとき、水中作業者はフレーム突出部332を引き出す側の海面上にあり、底型枠3の直下にいないので、不意に底型枠3が係合ピン121から解除されて落下しても、水中作業者は安全である。
【0035】
底型枠3を十分に後退させて、キー溝331(図2参照)の前端に設けた貫通孔が係合ピン121に至ると、もはや係合ピン121によって底型枠3を吊り下げることができなくなり、図14に見られるように、底型枠3は海面に向けて落下する。ここで、従来同種の底型枠(特許文献1ほか参照)であれば、そのまま水没してしまっていたが、本発明の底型枠3は、発泡スチロールブロック31により浮力を有しているため、水没することがなく、海面に浮かばせることができる。このとき、フレーム突出部332が突出しており、水中作業者は各底型枠3の各フレーム突出部332を手に持って、容易に底型枠3を回収できる。また、底型枠3は水没しないので、多数の底型枠3を予め笠コンクリートブロック1の底版12からすべて分離した後、海面に漂う底型枠3を回収してもよいし、多数の底型枠3を順に前記底版12から分離し、分離した底型枠3毎に回収してもよい。
【0036】
こうして、底型枠3は容易かつ確実に回収される。本例では、固定ピン111及び係合ピン121もそれぞれのナット孔から取り外して回収することができる。これから、笠コンクリートブロック1に残る各ナット孔は防錆処理を施しておくことが好ましいが、固定ピン111及び係合ピン121は特に防錆処理を要しない。しかし、例えば底型枠3を回収した後、係合ピン121をそのまま残すとすれば、係合ピン121については防錆処理を施す必要がある。実際には、潮の干満によって固定ピン111の高さまで水没することも少なくないので、ナット孔を含み、固定ピン111及び係合ピン121にすべて防錆処理を施しておくことが好ましい。同様に、底型枠3の補強フレーム33や鋼板32も防錆処理を施しておくことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の護岸擁壁の構築方法を適用する笠コンクリートブロック、矢板及び底型枠の組み合わせの一例を示す部分斜視図である。
【図2】底型枠を示す部分破断拡大斜視図である。
【図3】底型枠を示す拡大正面図である。
【図4】底型枠を示す拡大平面図である。
【図5】底型枠の拡大側面図である。
【図6】別例の底型枠を示す図2相当拡大斜視図である。
【図7】底型枠を笠コンクリートブロックの底版に取り付ける段階を表す断面図である。
【図8】笠コンクリートブロックの底版に取り付けた底型枠を矢板に向けて押し込んでいる段階を表す断面図である。
【図9】矢板に向けて押し込んだ底型枠を笠コンクリートブロックの側版に固定する段階を表す部分拡大斜視図である。
【図10】笠コンクリートブロックの側版に固定した底型枠と笠コンクリートブロックの底版との間に楔を打ち込んだ段階を表す部分拡大斜視図である。
【図11】笠コンクリートブロックの底版の前縁と矢板の側面との隙間を底型枠により塞いで笠コンクリートブロックの側版と矢板の側面との間に打設コンクリートを流し込む段階を表す断面図である。
【図12】打設コンクリートの流し込みを終えて天版コンクリートブロック及堰堤コンクリートブロックを配置した段階を表す断面図である。
【図13】底型枠を自由状態にして矢板から遠ざけている段階を表す断面図である。
【図14】底型枠を笠コンクリートブロックの底版から取り外した段階を表す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 笠コンクリートブロック
11 側版
111 固定ピン
12 底版
121 係合ピン
2 矢板
3 底型枠
31 発泡スチロールブロック
32 鋼板(型枠部)
33 補強フレーム
331 キー溝
332 フレーム突出部
333 固定フランジ
4 笠コンクリートブロック
5 打設コンクリート
【技術分野】
【0001】
本発明は、笠コンクリートブロックを矢板に覆設して構成される護岸擁壁の構築方法と、これに用いる笠コンクリートブロック及び底型枠とに関する。
【背景技術】
【0002】
笠コンクリートブロックを矢板に覆設して構成される護岸擁壁は、笠コンクリートブロックの側版と矢板の側面との間に打設コンクリートを流し込んで両者を一体化し、構築される。通常、打設コンクリートが下方に漏れ落ちないように、笠コンクリートブロックに底版を設け、底版の縁部を矢板の側面に突き当てるが、実際には底版の縁部と矢板の側面とが密着せず、隙間を生じていた。これは、矢板が設計通りに立設させることが難しく、どうしても傾いてしまうことが原因である。これから、いっそのこと底版を省略し、笠コンクリートブロックの側面と矢板の側面との空間を下方から塞ぐ底型枠を用いたり、笠コンクリートブロックに設けて底版の縁部と矢板の側面との隙間に充填するパッキン材部材を用いたりされる(特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、底版を省略し、水路側の鋼製矢板の形状に合わせた底型枠(底板材)を、笠コンクリートブロック(笠置ブロック本体)の底部にシャコ万力で固定する方法を提案している(特許文献1[請求項1]、[図1]及び[図2])。これにより、特許文献1の前記方法を開示する以前に用いられていた底型枠を支持する角材を不要とし、角材止めピン、底板止めピンを溶接等により固定する必要もなくなって、護岸擁壁の構築作業が極めて簡単になるとしている(特許文献1段落[0027])。また、特許文献1は、笠コンクリートブロックの底版(突出底部)の矢板に倣った前縁(突出端)にパッキン材を設ける方法を提案している(特許文献1[請求項2]、[図3]及び[図4])。これにより、底版は笠コンクリートブロックと一体に設けられ、パッキン材は前記底版の前縁に設けられるので、笠コンクリートブロックと別体となる底型枠が不要になる利点が得られるとしている(特許文献1段落[0027])。
【0004】
【特許文献1】特開平09-003850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示する底型枠を用いる方法は、笠コンクリートブロックの底部を確実に塞ぐことができ、好ましい。しかし、底型枠の前縁を矢板の側面に密着させた状態を保ち、前記底型枠をシャコ万力で笠コンクリートブロックに固定する取付作業は、容易でない。また、特許文献1には、コンクリートの打設後、底型枠を回収する又はそのまま笠コンクリートブロックと一体にして放置するのいずれとするかの記載は見られないが、前者の回収を選択すると、回収作業として打設したコンクリートとの接着を剥がした底型枠をうまく支持できなければ、前記底型枠を不用意に落下させ、作業者の危険を招くほか、例えば海中に底型枠を水没させてしまう問題が生ずる。これに対し、後者の放置を選択すると、護岸擁壁の構築に係る費用が底型枠だけ高くなる問題が生ずる。
【0006】
特許文献1が開示するパッキン材を用いる方法は、笠コンクリートブロックの底版の前縁と矢板の側面との隙間の大きさが一定でないため、どのような隙間でもパッキン材で完全に塞ぐことが難しい。また、どうしてもパッキン材は弾性又は可撓性を備える材料を用いることになるが、こうした弾性又は可撓性を備えたパッキン材は打設されるコンクリートを十分に支えきれず、前記コンクリートを流出させてしまう虞がある。更に、本来コンクリートが充填されるべき隙間にパッキン材が残ってしまうと、パッキン材が残る部分が断面欠損として評価されて補修作業が必要になってしまう。この場合、断面欠損を除く範囲で十分なコンクリートの打設ができる大型の笠コンクリートブロックを用いることも考えられるが、笠コンクリートブロックの大型化に伴う費用増が問題となる。
【0007】
これから、笠コンクリートブロックの側版と矢板の側面との間に打設コンクリートを流し込むに際しては、パッキン材を用いる方法より、底型枠を用いる方法が好ましいと考えられるが、既述したように、底型枠の取付作業の簡素化や確実性が検討されるほか、護岸擁壁の構築に係る費用を鑑みた場合、底型枠を回収することを選択し、この底型枠の回収作業の簡素化や安全性も検討されなければならない。そこで、こうした底型枠を用いる場合における取付作業及び回収作業に着目して、護岸擁壁の構築方法を見直し、そのために必要な笠コンクリートブロックや底型枠の改良について検討した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
検討の結果開発したものが、鉛直に降ろされる側版と、前記側版の下縁から張り出す底版とから構成される笠コンクリートブロックを矢板に覆設して護岸擁壁を構築するに際し、笠コンクリートブロックの側版と矢板の側面との間に打設コンクリートを流し込むために浮力を有する底型枠を用い、打設コンクリートを流し込む前に、笠コンクリートブロックの底版の下面に底型枠を密着させ、前記笠コンクリートブロックの底版の前縁と矢板の側面との隙間を前記底型枠により下方から塞ぎ、打設コンクリートを流し込んだ後に、笠コンクリートブロックの底版の下面から底型枠を分離させ、前記底型枠を水没させることなく回収する護岸擁壁の構築方法である。本発明は、従来公知の各種鋼製矢板を対象とするが、構築方法に基づく矢板の制限はない。底型枠は、前縁を矢板の側面に突き合わせ、上面を笠コンクリートの底版の前縁に押し当てて、笠コンクリートブロックの底版の前縁と矢板の側面との隙間を下方から塞ぐ。
【0009】
本発明の護岸擁壁の構築方法は、浮力を有する底型枠を用いる点に特徴を有する。この特徴は、底型枠を軽量化して取り扱いを容易にすると共に、万一海中に落下しても、水没することなく底型枠を回収できるようにする。すなわち、本発明によれば、打設コンクリートを流し込む前に、笠コンクリートブロックの底版の下面に底型枠を密着させ、前記笠コンクリートブロックの底版の前縁と矢板の側面との隙間を前記底型枠により下方から塞ぐ取付作業や、打設コンクリートを流し込んだ後に、笠コンクリートブロックの底版の下面から底型枠を分離させ、前記底型枠を水没させることなく回収する回収作業が容易かつ確実となる。
【0010】
笠コンクリートブロックの底版の下面に底型枠を密着させる具体的手段は、後述するように係合ピンとキー溝との係合によるほか、従来公知の各種手段を用いることができるが、笠コンクリートブロックの底版の下面に底型枠を密着させる際、底型枠の一部を底版に係合させて前記底版の下面に底型枠を密着させると共に、前記底型枠と底版との係合部位より後方となる側版側から底版の下面と底型枠との間に楔を挿入するとよい。これにより、底型枠は係合部位より前方が持ち上げられ、特に上面を笠コンクリートの底版の前縁に強く押し当てることができ、前記上面と笠コンクリートの底版の前縁との隙間から打設するコンクリートが漏れ出すことを防止できる。また、打設するコンクリートが底型枠に接着する範囲を笠コンクリートブロックの底版の前縁と矢板の側面との隙間に限定し、回収作業を容易にする働きを有する。
【0011】
本発明の護岸擁壁の構築方法では、笠コンクリートブロック及び底型枠がそれぞれ専用の構成となる。まず、本発明の護岸擁壁の構築方法に用いられる笠コンクリートブロックは、底版に係合ピンを、側版に固定ピンをそれぞれ設けてなり、係合ピンは、笠コンクリートブロックの底版の下面から突出され、底型枠の有するキー溝を係合させた状態で、浮き体を拘束しながら矢板の側面に接近離反させ、固定ピンは、笠コンクリートブロックの側版の背面から突出され、底型枠の有する固定フランジを連結させた状態で、浮き体を笠コンクリートブロックの底版の下面に密着させる構成とする。この笠コンクリートブロックは、係合ピンを底型枠のキー溝に係合させて前記底型枠を支持し、また固定ピンを底型枠の固定フランジに連結させて前記支持枠を位置固定して、前記底型枠を底版に密着させる。係合ピン又は固定ピンは、底型枠を回収した後、笠コンクリートブロックに残る場合もあるため、防錆材料で構成する又は防錆処理を施しておくとよい。
【0012】
また、本発明の護岸擁壁の構築方法に用いられる底型枠は、浮き体に型枠部、連結部及び固定部を設けて構成され、浮き体は、自身と型枠部、連結部及び固定部とを合わせた重さに対抗する浮力を発生させる構造体であり、型枠部は、矢板の側面に倣った前縁を有し、笠コンクリートブロックの底版の前縁と前記矢板の側面との隙間より大きな平面を有する部材として浮き体の上面に設けられ、連結部は、矢板の側面に浮き体を接近離反させる方向に延在するキー溝を有する部材として前記浮き体の上面に沿って設けられ、笠コンクリートブロックの底版の下面から突出する係合ピンを前記キー溝に係合させた状態で、浮き体を拘束しながら矢板の側面に接近離反させ、固定部は、笠コンクリートブロックの側版の背面に立つ固定フランジからなる部材として浮き体の上面から突出して設けられ、笠コンクリートブロックの側版の背面から突出する固定ピンを前記固定フランジに連結させた状態で、浮き体を笠コンクリートブロックの底版の下面に密着させる構成とする。浮き体に型枠部、連結部、固定部や追加的に設ける補強要素は、接続分離不能に一体化してもよいし、接続分離自在にしてもよい。
【0013】
浮き体は、本発明の特徴である底型枠の浮力を発生させる構造体であり、浮力を発生させることができれば構成を限定されない。例えば、水(海水)より比重の軽い発泡スチロール等の素材からなる中実体構造の浮き体や、水(海水)より比重が重い金属板を組み付けて内部を中空にし、全体として水(海水)より比重を軽くした中空体構造の浮き体が考えられる。更に、水(海水)より比重が重い金属棒を組み付けながら、前記中実構造の浮き体や中空構造の浮き体に等価な部材(浮子等)を取り付けた枠体構造の浮き体であってもよい。いずれを選択するかは、要求される底型枠の大きさや形状、取付作業や回収作業に応じて、適宜決定するとよい。
【0014】
型枠部は、打設するコンクリートに直接接触し、前記コンクリートの流出を防止する底型枠の本来的機能を担う部材で、矢板の側面に倣った前縁を有し、笠コンクリートブロックの底版の前縁と前記矢板の側面との隙間より大きな平面を有する部材であればよい。しかし、打設したコンクリートに耐える剛性を確保し、また回収作業に際する打設したコンクリートとの剥離を考慮した場合、鋼板により構成されることが好ましい。この場合、鋼板からなる型枠部は、上記中実構造又は中空構造の浮き体の上面に接面状態で取り付けられ、また枠体構造の浮き体のフレーム間に架け渡されて取り付けられることになる。
【0015】
連結部は、笠コンクリートブロックの係合ピンと対になるキー溝を有する部材で、後述するように、浮き体に補強フレームが一体化される場合、補強フレームにキー溝を設けるとよい。ここで、本発明の「キー溝」は、例えば笠コンクリートブロックの係合ピンをボルトで構成した場合、前記係合ピンのボルト頭を差し込む前端の貫通孔と、前記貫通孔から係合ピンのボルト本体の幅で後方へ延びる案内溝とから構成される長孔を意味する。底型枠は、笠コンクリートブロックの係合ピンのボルト頭を連結部のキー溝を構成する貫通孔から前記キー溝内に差し込み、ボルト頭を案内溝の周縁に係合させながら前進させることにより、浮き体を係合ピンに拘束しながら矢板の側面に接近離反させる。
【0016】
固定部は、浮き体を矢板の側面に接近させて型枠部の前縁を矢板の側面に突き当てた状態で前記浮き体を位置固定させる部材である。例えば笠コンクリートブロックの固定ピンをボルトで構成した場合、固定フランジに設けたボルト孔を通じて前記固定ピンを側版に埋め込んだナット孔に締め付けることにより前記固定フランジを側版に押し付けて、連結部を笠コンクリートブロックの底版に対して固定フランジを拘束し、前記固定フランジを介して浮き体を位置固定する。このとき、上記連結部による笠コンクリートブロックの底版に対する浮き体の係合が、前記底版の下面に浮き体の上面が接面するものであれば、固定部による浮き体の位置固定によって、浮き体を笠コンクリートブロックの底版の下面に密着させることができる。
【0017】
具体的な底型枠として、浮き体が矢板の側面に密着する前縁を有する発泡スチロールブロックで、型枠部が矢板の側面に密着する前縁を有し、笠コンクリートブロックの底版の前縁と前記矢板の側面との隙間より大きな鋼板であり、浮き体の前縁に型枠部の前縁を揃えて前記型枠部を浮き体の上面に固定する構成を例示できる。浮き体となる発泡スチロールブロックと型枠部となる鋼板とは、接続分離不能に一体化してもよいし、接続分離自在にしてもよい。型枠部の前縁が矢板の側面に密着する形状であれば、浮き体の前縁と型枠部の前縁とを一致させて浮き体の上面に型枠部を接面させて固定する構成になる。しかし、型枠部の前縁が矢板の側面に密着しない形状(例えば矢板の側面から控えた形状)であれば、浮き体の前縁が矢板の側面に密着できるように、型枠部から浮き体を少し突出させて浮き体の上面に型枠部を接面させて固定する構成になる。
【0018】
また、具体的な底型枠として、浮き体が矢板の側面に密着する前縁を有する発泡スチロールブロックで、鋼材を組み付けた補強フレームを一体にしてなり、連結部が浮き体を矢板の側面に接近離反させる方向に延在する前記補強フレームの部分にキー溝を設けて構成され、固定部が笠コンクリートブロックの側版の背面から突出する前記補強フレームの部分から固定フランジを突出する構成を例示できる。浮き体となる発泡スチロールブロックと補強フレームとは、接続分離不能に一体化してもよいし、接続分離自在にしてもよい。補強フレームは、打設したコンクリートに単独で対抗できない発泡スチロール性ブロックからなる浮き体に、十分な剛性をもたらす補強部材であるほか、連結部及び固定部を設ける基礎を提供する。また、既述した楔を底版の下面と底型枠との間に挿入する際、剛性を有する補強フレームが浮き体と一体になっていると、前記楔を前記底版の下面と補強フレームとの間に挿入して、底型枠の前方を持ち上げらて上面を笠コンクリートの底版の前縁に強く押し当てやすくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の護岸擁壁の構築方法は、浮力を有する底型枠を用いることにより、前記底型枠の取付作業及び回収作業を容易かつ確実にし、護岸擁壁の構築に係る労力や負担、危険性や費用を低減する効果を有する。通常、護岸擁壁は、水平方向に数10m〜数100mに連続して構築されることから、前記護岸擁壁の構築作業に必要な底型枠は非常に多くなるため、各底型枠に前記効果をもたらす本願発明の護岸擁壁の構築方法は、大幅に従来の構築作業を改善することになる。また、前記構築方法において、笠コンクリートブロックの底版の下面と底型枠との間に楔を挿入すると、特に打設するコンクリートを前記底版の前縁から漏れ出す虞をなくし、回収作業を更に容易かつ確実にする効果が得られる。
【0020】
本発明の笠コンクリートブロック及び底型枠は、前記護岸擁壁の構築方法を実現する効果を有する。特に、本発明の護岸擁壁の構築方法を特徴付ける底型枠は、浮力を発生させる浮き体に、型枠としての機能を発揮する型枠部と、取付作業及び回収作業を容易かつ確実にする連結部及び固定部とを設ける構成にすることにより、浮き体、型枠部、連結部及び固定部の働きをそれぞれ最適化しながら、全体として簡素かつ合理的な構成を実現できる効果を得る。具体的な底型枠として浮き体に発泡スチロールブロックを用いた場合、型枠部は鋼板により容易に構成できるようになり、更に補強フレームを浮き体に一体化することで、浮き体の剛性向上を図りなら、更にキー溝からなる連結部や固定フランジからなる固定部が浮き体に設けやすくなる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。図1は本発明の護岸擁壁の構築方法を適用する笠コンクリートブロック1、矢板2及び底型枠3の組み合わせの一例を示す部分斜視図、図2は底型枠3を示す部分破断拡大斜視図、図3は底型枠3を示す拡大正面図、図4は底型枠3を示す拡大平面図、図5は底型枠3の拡大側面図、図6は別例の底型枠3を示す図2相当拡大斜視図である。本発明の護岸擁壁の構築方法は、笠コンクリートブロック1や矢板2の構成又は構造による制約を受けず、適宜底型枠3の構成又は構造を決定することにより、前記笠コンクリートブロック1と矢板2との組み合わせに対応できる。本例は、図1に見られるように、矢板2が丸パイプから構成される場合で、笠コンクリートブロック1に設ける固定ピン111及び係合ピン121はそれぞれボルトとして、側版11に埋め込んだナット孔に固定ピン111を着脱自在として底型枠3の固定フランジ333を固定し、また底版12に埋め込んだナット孔に係合ピン121を捩じ込んでおき、前記底版12から下方に突出する前記係合ピン121のボルト頭に底型枠3のキー溝331を係合させる。
【0022】
本例の底型枠3は、図2から図5に見られるように、浮き体となる発泡スチロールブロック31の上面に倣って補強フレーム33を埋め込み、前記発泡スチロールブロック31及び補強フレーム33を一体にカバー311で覆い、発泡スチロールブロック31の上面と共に前記カバー311を挟み込むように型枠部となる鋼板32を固定して構成され、前記鋼板32のスリットから覗く補強フレーム33の部位にキー溝331を設け、補強フレーム33から後方に突出するフレーム突出部332に固定フランジ333を設けている。本例の発泡スチロールブロック31と補強フレーム33とは、接続分離不能に一体化した上で両者を一体にカバー311で覆っているが、発泡スチロールブロック31及び補強フレーム33を接続分離自在にしてもよい。底型枠3は、各矢板2宛てに1基を割り当てる構成(半円弧状の前縁を挟んで左右に突出部がある構成)でもよいが、本例は隣り合う矢板2の間に1基を割り当てる構成としている。この場合、隣り合う矢板2の間に突出部を差し込みながら、各矢板2の側面それぞれに底型枠3の前縁を押し当てることにより、底型枠3の姿勢を容易に決定、維持できる利点がある。
【0023】
浮き体となる発泡スチロールブロック31は、隣り合う矢板2の側面に密着する左右対称な円弧状縁と、前記円弧状縁が交わる中央の突出部とから前縁が形成された平面視ホームベース形状である。円弧状縁が交わる中央の突出部が直線状縁になっている理由は、矢板2の連結部が平板であることによる。補強フレーム33は、鋼板32の範囲で、前後方向に延びる中央の鋼材に対して左右対称に鋼材を組み付け、各鋼材の上面が発泡スチロールブロック31の上面に倣うように埋め込んでいる。これにより、補強フレーム33は、打設コンクリート5(後掲図11以降参照)の重量を受ける鋼板32を全体にわたって支持し、前記鋼板32の剛性を補うことができる。カバー311は、発泡スチロールブロック31を覆って保護すると共に、発泡スチロールブロック31と補強フレーム33との結合部位が外部から隠す働きを有している。
【0024】
本例の補強フレーム33は、中央の鋼材に連結部を構成するキー溝331を設けている。底型枠3は、キー溝331を係合ピン121に係合させて笠コンクリートブロック1の底版12に吊り下げられるが、本例は補強フレーム33が吊下げられるのであって、発泡スチロールブロック31は前記補強フレーム33にぶら下がり、補強フレーム33に下方から浮力を与えるだけで、前記係合による負荷が加わらないようになっている。また、補強フレーム33は、前記中央の鋼材を発泡スチロールブロック31から後方に突出させ、フレーム突出部332を設けている。このフレーム突出部332は、底型枠3の取付作業及び回収作業に際して作業者が手に持つ把持部位や、既述したように固定部を構成する固定フランジ333の取付部位を提供している。
【0025】
鋼板32は、隣り合う矢板2の側面に倣う左右対称な円弧状縁と、前記円弧状縁が交わる中央の突出部とから前縁が形成された平面視ホームベース形状で、前縁が発泡スチロールブロック31の前縁より少し控えており、また全体の大きさが発泡スチロールブロック31より前後方向に短尺である。前縁が発泡スチロールブロック31の前縁より少し控えている理由は、弾性のない鋼板32の前縁を矢板2の側面に突き当てるより、弾性のある発泡スチロールブロック31の前縁を矢板2の側面に突き当てる方が、矢板2の側面に対して密着させやすいことによる。この場合、例えば図6に見られるように、発泡スチロールブロック31の前縁にパッキン材となるスポンジ35を貼り付けてもよい。このスポンジ35は、本来コンクリートが充填されるべき隙間を塞ぐものではないため、従来のパッキン材の使用に比べて、パッキン材が残る部分が断面欠損として評価される虞がない。もちろん、断面欠損を除く範囲で十分なコンクリートの打設ができる大型の笠コンクリートブロックを用いる必要もない。また、発泡スチロールブロック31より前後方向に短尺な理由は、底型枠3の重量軽減や材料節約の観点から小さくしたものであり、鋼板32は笠コンクリートブロック1の底版12の前縁と矢板2の側面との隙間より僅かに大きくすることが好ましい。
【0026】
本例の鋼板32は、中央にスリットを設けてあり、前記スリットから補強フレーム33に設けたキー溝331を覗かせている。スリットは、本例の鋼板32の剛性を低下させる要素であるが、既述したように、全体を補強フレーム33に密着させて均一に支持させることにより、打設コンクリート5を支持できる程度に十分な剛性を確保している。裏返せば、鋼板32を補強フレーム33に密着するように発泡スチロールブロック31の上面に取り付ける必要がある。そこで、例えば鋼板32の裏面から取付ロッドを突出させ、補強フレーム33に前記取付ロッドをネジ止めしたり、補強フレーム33を貫通させて発泡スチロールブロック31の下面に宛てがった補強板等にネジ止めしたりして、鋼板32と補強フレーム33との一体性を高めるとよい。
【0027】
本例のキー溝331は、笠コンクリートブロック1の底版12から突出する係合ピン121のボルト頭を差し込む前端の貫通孔と、前記貫通孔から係合ピン121のボルト本体の幅で後方へ延びる案内溝とから構成される。本例の固定フランジ333は、補強フレーム33を構成する鋼材に等しい幅の板材を直角に折り曲げて、一方の板面をフレーム突出部332にボルト止めし、他方の板面を前記フレーム突出部332から突出させた構成で、他方の板面に突出方向に延びる長孔からなるボルト孔を設けている。固定フランジ333のボルト孔を長孔とした理由は、固定ピン111を捩じ込む側版11のナット孔と固定フランジとの位置ずれを吸収するためと、後述する楔34の挿入による底型枠3の上下方向の姿勢変化に対応するためである。
【0028】
本発明による護岸擁壁を構築する手順について説明する。図7〜図14は護岸擁壁を構築する手順を表した断面図(図7及び図8、図11〜図14)及び部分拡大斜視図(図9及び図10)であり、図7は底型枠3を笠コンクリートブロック1の底版12に取り付ける段階、図8は笠コンクリートブロック1の底版12に取り付けた底型枠3を矢板2に向けて押し込んでいる段階、図9は矢板2に向けて押し込んだ底型枠3を笠コンクリートブロック1の側版11に固定する段階、図10は笠コンクリートブロック1の側版11に固定した底型枠3と笠コンクリートブロック1の底版との間に楔34を打ち込んだ段階、図11は笠コンクリートブロック1の底版12の前縁と矢板2の側面との隙間を底型枠3により塞いで笠コンクリートブロック1の側版11と矢板2の側面との間に打設コンクリート5を流し込む段階、図12は打設コンクリート5の流し込みを終えて天版コンクリートブロック13及び堰堤コンクリートブロック14を配置した段階、図13は底型枠3を自由状態にして矢板2から遠ざけている段階、そして図14は底型枠3を笠コンクリートブロック1の底版12から取り外した段階をそれぞれ表している。
【0029】
護岸擁壁うぃ構築するには、まず底型枠3の取付作業までに、図7に見られるように、陸上と海上との境界に矢板2が打ち込まれ、前記矢板2の上端に固定されたブロック受け材21の海上側に笠コンクリートブロック1が、またブロック受け材21の陸上側に笠コンクリートブロック4が取り付けられる。笠コンクリートブロック1及び笠コンクリートブロック4は同型であるが、側版41に固定ピン111を、底版42に係合ピン121を取り付ける必要がない。矢板2は、常時水没する高さまで必要十分な防錆処理が施されているが、潮の干満により海面高さが変動する範囲から上方は、費用削減の観点から防錆処理が施されていない。このため、笠コンクリートブロック1で前記防錆処理を施していない範囲を覆い、外観を整えると共に矢板2の防錆を図っている。
【0030】
ここで、矢板2の側面と底版12の前縁とがぴったり一致すれば隙間を生じないが、実際にはピッタリ一致しないために隙間が生じ、底型枠3の取付が必要となる。このため、本例の笠コンクリートブロック1は、側版11及び底版12にそれぞれナット孔を設け、側版11のナット孔に対して後からボルトである固定ピン111(後掲図8参照)を捩じ込み、底版12のナット孔には予めボルトである係合ピン121を捩じ込んで突出させている。笠コンクリートブロック4は、掘削した地盤上に底版42を載せる。打設コンクリート5は、矢板2と笠コンクリートブロック1との間、そして矢板2と笠コンクリートブロック4との間にそれぞれ流し込まれる(図11以降参照)。
【0031】
本発明の特徴は、まず底型枠3の取付作業にある。本例の底型枠3は、発泡スチロールブロック31により浮力を有するから、笠コンクリートブロック1の底版12下方にまで持ってくる際、例えば海面に浮かべたまま水中作業者により押して移動させることができる。そして、水中作業者が底型枠3を持ち上げて、キー溝331(図2ほか参照)の前端に設けられた貫通孔に係合ピン121のボルト頭を貫通させ、少し前進させると、前記係合ピン121のボルト頭は案内溝に係合され、図8に見られるように、底型枠3は底版12に係合して、吊り下げられた状態となる。このとき、底型枠3はあくまで係合ピン121のみに吊下げられるため、水平方向の旋回が自由であり、また係合ピン121が貫通孔に至らない範囲で前進(矢板2に向けての移動)又は後退(矢板2から遠ざかる移動)が自由である。これから、底型枠3は、例えば水中作業者がフレーム突出部332を手に持って水平方向に旋回させたり、また図8に見られるように前進させたりする。
【0032】
底版12に対して吊り下げられた底型枠3は、発泡スチロールブロック31の前縁を矢板2の側面に密着するまで前進させ、固定フランジ333の長孔を通して側版11のナット孔に固定ピン111を捩じ込むことにより、底型枠3は底版12に密着する状態で位置固定される。このとき、笠コンクリートブロック1の底版12の前縁と矢板2(図9以降参照)の側面との隙間があれば、図9に見られるように、鋼板32が前記隙間から覗くことになり、前記鋼板32によって前記隙間が塞がれることになる。このとき、鋼板32の上面が底版12の前縁に密着することが好ましい。このため、本例の底型枠3は、固定フランジ333に紐を介して楔34をぶら下げており、底型枠3の位置固定後、図10に見られるように、楔34を前記底版12の下面と補強フレーム33との間に挿入して、底型枠3の前方を持ち上げらて鋼板32の上面を笠コンクリートブロック1の底版21の前縁に強く押し当てるようにしている(楔34を用いていない段階の図では図示を省略している)。楔34を紐で固定フランジ333にぶら下げている理由は、後述する底型枠3の回収作業で、外した楔34を紛失しないようにするためである。
【0033】
底型枠3の位置固定により、笠コンクリートブロック1の底版12の前縁と矢板2の側面との隙間が塞がれれば、図11に見られるように、矢板2と笠コンクリートブロック1との間、そして矢板2と笠コンクリートブロック4との間に対して打設コンクリート5を流し込み始める。矢板2と笠コンクリートブロック1との間に流し込まれる打設コンクリート5は、底型枠3の鋼板32に支持される。既述したように、鋼板32は補強フレーム33(図2参照)に支持されているので、流し込みによって打設コンクリート5が増えていっても十分に支持できる。こうしてブロック受け材21を越えて打設コンクリート5が流し込まれると、図12に見られるように、埋められた地盤に面一な天版コンクリートブロック13を陸上側に載せ、また笠コンクリートブロック1の側版11に連続して延びる堰堤コンクリートブロック14を海上側に載せて、護岸擁壁の構築が完了する。
【0034】
本発明の特徴は、護岸擁壁の構築後における底型枠3の回収作業にも現れる。護岸擁壁の構築後における底型枠3は、図13に見られるように、まず楔34を外して底版12に対する底型枠3の緊密度を緩め、次に固定ピン111を緩めて固定フランジ333を解放した状態で、例えばフレーム突出部332をハンマーで叩くことにより、補強フレーム33に衝撃を与えて固化した打設コンクリート5から鋼板32を剥離する。これにより、底型枠3は係合ピン121のみに吊り下げられた自由状態を回復するので、今度は水中作業者がフレーム突出部332を手に持って底型枠3を後退させる。このとき、水中作業者はフレーム突出部332を引き出す側の海面上にあり、底型枠3の直下にいないので、不意に底型枠3が係合ピン121から解除されて落下しても、水中作業者は安全である。
【0035】
底型枠3を十分に後退させて、キー溝331(図2参照)の前端に設けた貫通孔が係合ピン121に至ると、もはや係合ピン121によって底型枠3を吊り下げることができなくなり、図14に見られるように、底型枠3は海面に向けて落下する。ここで、従来同種の底型枠(特許文献1ほか参照)であれば、そのまま水没してしまっていたが、本発明の底型枠3は、発泡スチロールブロック31により浮力を有しているため、水没することがなく、海面に浮かばせることができる。このとき、フレーム突出部332が突出しており、水中作業者は各底型枠3の各フレーム突出部332を手に持って、容易に底型枠3を回収できる。また、底型枠3は水没しないので、多数の底型枠3を予め笠コンクリートブロック1の底版12からすべて分離した後、海面に漂う底型枠3を回収してもよいし、多数の底型枠3を順に前記底版12から分離し、分離した底型枠3毎に回収してもよい。
【0036】
こうして、底型枠3は容易かつ確実に回収される。本例では、固定ピン111及び係合ピン121もそれぞれのナット孔から取り外して回収することができる。これから、笠コンクリートブロック1に残る各ナット孔は防錆処理を施しておくことが好ましいが、固定ピン111及び係合ピン121は特に防錆処理を要しない。しかし、例えば底型枠3を回収した後、係合ピン121をそのまま残すとすれば、係合ピン121については防錆処理を施す必要がある。実際には、潮の干満によって固定ピン111の高さまで水没することも少なくないので、ナット孔を含み、固定ピン111及び係合ピン121にすべて防錆処理を施しておくことが好ましい。同様に、底型枠3の補強フレーム33や鋼板32も防錆処理を施しておくことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の護岸擁壁の構築方法を適用する笠コンクリートブロック、矢板及び底型枠の組み合わせの一例を示す部分斜視図である。
【図2】底型枠を示す部分破断拡大斜視図である。
【図3】底型枠を示す拡大正面図である。
【図4】底型枠を示す拡大平面図である。
【図5】底型枠の拡大側面図である。
【図6】別例の底型枠を示す図2相当拡大斜視図である。
【図7】底型枠を笠コンクリートブロックの底版に取り付ける段階を表す断面図である。
【図8】笠コンクリートブロックの底版に取り付けた底型枠を矢板に向けて押し込んでいる段階を表す断面図である。
【図9】矢板に向けて押し込んだ底型枠を笠コンクリートブロックの側版に固定する段階を表す部分拡大斜視図である。
【図10】笠コンクリートブロックの側版に固定した底型枠と笠コンクリートブロックの底版との間に楔を打ち込んだ段階を表す部分拡大斜視図である。
【図11】笠コンクリートブロックの底版の前縁と矢板の側面との隙間を底型枠により塞いで笠コンクリートブロックの側版と矢板の側面との間に打設コンクリートを流し込む段階を表す断面図である。
【図12】打設コンクリートの流し込みを終えて天版コンクリートブロック及堰堤コンクリートブロックを配置した段階を表す断面図である。
【図13】底型枠を自由状態にして矢板から遠ざけている段階を表す断面図である。
【図14】底型枠を笠コンクリートブロックの底版から取り外した段階を表す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 笠コンクリートブロック
11 側版
111 固定ピン
12 底版
121 係合ピン
2 矢板
3 底型枠
31 発泡スチロールブロック
32 鋼板(型枠部)
33 補強フレーム
331 キー溝
332 フレーム突出部
333 固定フランジ
4 笠コンクリートブロック
5 打設コンクリート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直に降ろされる側版と、前記側版の下縁から張り出す底版とから構成される笠コンクリートブロックを矢板に覆設して護岸擁壁を構築するに際し、笠コンクリートブロックの側版と矢板の側面との間に打設コンクリートを流し込むために浮力を有する底型枠を用い、打設コンクリートを流し込む前に、笠コンクリートブロックの底版の下面に底型枠を密着させ、前記笠コンクリートブロックの底版の前縁と矢板の側面との隙間を前記底型枠により下方から塞ぎ、打設コンクリートを流し込んだ後に、笠コンクリートブロックの底版の下面から底型枠を分離させ、前記底型枠を水没させることなく回収する護岸擁壁の構築方法。
【請求項2】
笠コンクリートブロックの底版の下面に底型枠を密着させる際、底型枠の一部を底版に係合させて前記底版の下面に底型枠を密着させると共に、前記底型枠と底版との係合部位より後方となる側版側から底版の下面と底型枠との間に楔を挿入する護岸擁壁の構築方法。
【請求項3】
請求項1又は2いずれか記載の護岸擁壁の構築方法に用いられる笠コンクリートブロックであり、底版に係合ピンを、側版に固定ピンをそれぞれ設けてなり、係合ピンは、笠コンクリートブロックの底版の下面から突出され、底型枠の有するキー溝を係合させた状態で、浮き体を拘束しながら矢板の側面に接近離反させ、固定ピンは、笠コンクリートブロックの側版の背面から突出され、底型枠の有する固定フランジを連結させた状態で、浮き体を笠コンクリートブロックの底版の下面に密着させる笠コンクリートブロック。
【請求項4】
請求項1又は2いずれか記載の護岸擁壁の構築方法に用いられる底型枠であり、浮き体に型枠部、連結部及び固定部を設けて構成され、浮き体は、自身と型枠部、連結部及び固定部とを合わせた重さに対抗する浮力を発生させる構造体であり、型枠部は、矢板の側面に倣った前縁を有し、笠コンクリートブロックの底版の前縁と前記矢板の側面との隙間より大きな平面を有する部材として浮き体の上面に設けられ、連結部は、矢板の側面に浮き体を接近離反させる方向に延在するキー溝を有する部材として前記浮き体の上面に沿って設けられ、笠コンクリートブロックの底版の下面から突出する係合ピンを前記キー溝に係合させた状態で、浮き体を拘束しながら矢板の側面に接近離反させ、固定部は、笠コンクリートブロックの側版の背面に立つ固定フランジからなる部材として浮き体の上面から突出して設けられ、笠コンクリートブロックの側版の背面から突出する固定ピンを前記固定フランジに連結させた状態で、浮き体を笠コンクリートブロックの底版の下面に密着させる底型枠。
【請求項5】
浮き体は、矢板の側面に密着する前縁を有する発泡スチロールブロックで、型枠部は、矢板の側面に倣った前縁を有し、笠コンクリートブロックの底版の前縁と前記矢板の側面との隙間より大きな鋼板であり、浮き体の前縁に型枠部の前縁を揃えて前記型枠部を浮き体の上面に固定する請求項4記載の底型枠。
【請求項6】
浮き体は、矢板の側面に密着する前縁を有する発泡スチロールブロックで、鋼材を組み付けた補強フレームを一体にしてなり、連結部は、浮き体を矢板の側面に接近離反させる方向に延在する前記補強フレームの部分にキー溝を設けて構成され、固定部は、笠コンクリートブロックの側版の背面から突出する前記補強フレームの部分から固定フランジを突出する請求項4記載の底型枠。
【請求項1】
鉛直に降ろされる側版と、前記側版の下縁から張り出す底版とから構成される笠コンクリートブロックを矢板に覆設して護岸擁壁を構築するに際し、笠コンクリートブロックの側版と矢板の側面との間に打設コンクリートを流し込むために浮力を有する底型枠を用い、打設コンクリートを流し込む前に、笠コンクリートブロックの底版の下面に底型枠を密着させ、前記笠コンクリートブロックの底版の前縁と矢板の側面との隙間を前記底型枠により下方から塞ぎ、打設コンクリートを流し込んだ後に、笠コンクリートブロックの底版の下面から底型枠を分離させ、前記底型枠を水没させることなく回収する護岸擁壁の構築方法。
【請求項2】
笠コンクリートブロックの底版の下面に底型枠を密着させる際、底型枠の一部を底版に係合させて前記底版の下面に底型枠を密着させると共に、前記底型枠と底版との係合部位より後方となる側版側から底版の下面と底型枠との間に楔を挿入する護岸擁壁の構築方法。
【請求項3】
請求項1又は2いずれか記載の護岸擁壁の構築方法に用いられる笠コンクリートブロックであり、底版に係合ピンを、側版に固定ピンをそれぞれ設けてなり、係合ピンは、笠コンクリートブロックの底版の下面から突出され、底型枠の有するキー溝を係合させた状態で、浮き体を拘束しながら矢板の側面に接近離反させ、固定ピンは、笠コンクリートブロックの側版の背面から突出され、底型枠の有する固定フランジを連結させた状態で、浮き体を笠コンクリートブロックの底版の下面に密着させる笠コンクリートブロック。
【請求項4】
請求項1又は2いずれか記載の護岸擁壁の構築方法に用いられる底型枠であり、浮き体に型枠部、連結部及び固定部を設けて構成され、浮き体は、自身と型枠部、連結部及び固定部とを合わせた重さに対抗する浮力を発生させる構造体であり、型枠部は、矢板の側面に倣った前縁を有し、笠コンクリートブロックの底版の前縁と前記矢板の側面との隙間より大きな平面を有する部材として浮き体の上面に設けられ、連結部は、矢板の側面に浮き体を接近離反させる方向に延在するキー溝を有する部材として前記浮き体の上面に沿って設けられ、笠コンクリートブロックの底版の下面から突出する係合ピンを前記キー溝に係合させた状態で、浮き体を拘束しながら矢板の側面に接近離反させ、固定部は、笠コンクリートブロックの側版の背面に立つ固定フランジからなる部材として浮き体の上面から突出して設けられ、笠コンクリートブロックの側版の背面から突出する固定ピンを前記固定フランジに連結させた状態で、浮き体を笠コンクリートブロックの底版の下面に密着させる底型枠。
【請求項5】
浮き体は、矢板の側面に密着する前縁を有する発泡スチロールブロックで、型枠部は、矢板の側面に倣った前縁を有し、笠コンクリートブロックの底版の前縁と前記矢板の側面との隙間より大きな鋼板であり、浮き体の前縁に型枠部の前縁を揃えて前記型枠部を浮き体の上面に固定する請求項4記載の底型枠。
【請求項6】
浮き体は、矢板の側面に密着する前縁を有する発泡スチロールブロックで、鋼材を組み付けた補強フレームを一体にしてなり、連結部は、浮き体を矢板の側面に接近離反させる方向に延在する前記補強フレームの部分にキー溝を設けて構成され、固定部は、笠コンクリートブロックの側版の背面から突出する前記補強フレームの部分から固定フランジを突出する請求項4記載の底型枠。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−57764(P2009−57764A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226725(P2007−226725)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000211237)ランデス株式会社 (35)
【出願人】(000149594)株式会社大本組 (40)
【出願人】(390019301)高階救命器具株式会社 (3)
【出願人】(596161178)原口工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000211237)ランデス株式会社 (35)
【出願人】(000149594)株式会社大本組 (40)
【出願人】(390019301)高階救命器具株式会社 (3)
【出願人】(596161178)原口工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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