説明

貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材

【課題】 噴霧装置における目詰まりの発生を確実に防止することができるとともに、被噴霧対象に貝殻焼成カルシウム粉体が付着してしまうことを防止する。
【解決手段】 ほたて貝の貝殻に焼成処理および粉砕処理を施して得られる平均粒径が100〜500nmの貝殻焼成カルシウム粉体が含有された貝殻焼成カルシウム混合液の上清である貝殻焼成カルシウム上清液を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ほたて貝等の貝殻を粉砕、焼成して得られる貝殻焼成カルシウム粉体やこの貝殻焼成カルシウム粉体を含有する貝殻焼成カルシウム混合液が、殺菌効果や抗菌効果を有するとともに、人体等に対して刺激を及ぼさず、さらに発熱することがない等の種々の観点から、例えば野菜等の洗浄や、水質・土壌の改善、消臭剤、殺菌剤、抗菌剤等の種々の分野において多用されている。
【0003】
また、近年の研究により、貝殻焼成カルシウム粉体や、貝殻焼成カルシウム混合液には、抗ウイルス効果があることが分かっており、貝殻焼成カルシウム粉体を利用した抗ウイルス材が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−179555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の貝殻焼成カルシウム粉体を含有する貝殻焼成カルシウム混合液を噴霧装置によって噴霧する場合、噴霧装置において目詰まりが発生してしまったり、噴霧した貝殻焼成カルシウム混合液に含有されている貝殻焼成カルシウム粉体が、被噴霧対象に付着してしまうおそれがあるという問題を有していた。このため、噴霧装置のメンテナンス等に手間がかかり、さらには、例えば、被服の上から噴霧したり、屋内において使用する場合等、貝殻焼成カルシウム粉体を被対象物に付着させたくない種々の用途に用いることができず、被噴霧対象や噴霧場所等が限定されてしまうこととなっていた。
【0006】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、噴霧装置における目詰まりの発生を確実に防止することができるとともに、被噴霧対象に貝殻焼成カルシウム粉体が付着してしまうことを防止することが可能な貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明に係る貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材の特徴は、平均粒径が100〜500nmの貝殻焼成カルシウム粉体が含有された貝殻焼成カルシウム混合液の上清である貝殻焼成カルシウム上清液を含有する点にある。
【0008】
本発明において、前記貝殻焼成カルシウム混合液に、0.15質量%以上の前記貝殻焼成カルシウム粉体が含有されていることが好ましい。
【0009】
また、本発明における抗ウイルス材は、アルカリ度数が12.5pH以上であることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明において、前記貝殻焼成カルシウム粉体は、二枚貝の貝殻に焼成処理および粉砕処理を施して得られることが好ましく、この二枚貝の貝殻としては、ほたて貝の貝殻であることが好ましい。
【0011】
ここで、本発明の発明者の研究により、例えば平均粒径が12〜15μmの貝殻焼成カルシウム粉体が含有された貝殻焼成カルシウム混合液の上清は、抗ウイルス効果が認められないことが分かっていた。しかし、本発明の発明者のさらなる研究の結果、平均粒径が100〜500nmの貝殻焼成カルシウム粉体を含有する貝殻焼成カルシウム混合液の上清は、短時間でも抗ウイルス効果が発生することが分かった。
【0012】
この本発明に係る貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材によれば、平均粒径が100〜500nmの貝殻焼成カルシウム粉体が含有された貝殻焼成カルシウム混合液の上清を用いるので、噴霧装置によって噴霧した場合に、抗ウイルス材によって噴霧装置に目詰まりが発生することを確実に防止することができるとともに、被噴霧対象に貝殻焼成カルシウム粉体が付着してしまうことを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように、本発明に係る貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材によれば、噴霧装置における目詰まりの発生を防止し、さらには被噴霧対象に貝殻焼成カルシウム粉体が付着してしまうことを防止することができるので、噴霧装置のメンテナンス等が容易となり、さらには、被噴霧対象や噴霧場所が限定されることなく、例えば、被服の上から噴霧したり、屋内において使用する場合等、貝殻焼成カルシウム粉体を被対象物に付着させたくない種々の用途にも用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材の一実施形態を説明する。
【0015】
本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材には、平均粒径が100〜500nmの貝殻焼成カルシウム粉体を含有する貝殻焼成カルシウム混合液の上清である貝殻焼成カルシウム上清液が含有されている。
【0016】
この抗ウイルス材に用いられる貝殻焼成カルシウム粉体は、貝殻、好ましくは二枚貝の殻に焼成処理および粉砕処理を行うことにより製造される。材料として用いられる二枚貝としては、ほたて貝、アサリ、シジミ、ハマグリ、カキ、ホッキ等の種々の二枚貝を利用することが可能であるが、高い抗ウイルス効果を有する等の観点からは、特にほたて貝を用いることが好ましい。そこで、本実施形態においては、ほたて貝を用いた貝殻焼成カルシウム粉体を用いて説明する。
【0017】
このほたて貝を用いた貝殻焼成カルシウム粉体の製造方法の一例について、以下説明する。
【0018】
まず、ほたて貝の貝殻を所定時間煮沸する殺菌・洗浄処理を行い、続いて、この貝殻を粗く粉砕する第1粉砕処理を行って、被粉砕貝殻を得る。次に、前記被粉砕貝殻を焼成する焼成処理を行って、被粉砕貝殻を酸化カルシウムとした後、焼成した被粉砕貝殻を所定の温度下において放置することにより熟成させる熟成処理を行う。この焼成処理および熟成処理により、被粉砕貝殻は、灰となって砕ける状態となる。さらに、この被粉砕貝殻をさらに細かく粉砕する第2粉砕処理を行うことにより、貝殻焼成カルシウム粉体を製造する。
【0019】
なお、本発明に用いられる貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材における貝殻焼成カルシウム粉体の製造方法は、前述の製造方法に限定されるものではなく、主成分が酸化カルシウムである貝殻焼成カルシウムを製造するものであればよい。
【0020】
また、この抗ウイルス材に用いられる貝殻焼成カルシウム混合液は、前記貝殻焼成カルシウム粉体に、精製水等の液体を添加して製造されている。この貝殻焼成カルシウム混合液における貝殻焼成カルシウム粉体の含有量は、0.15質量%以上であることが好ましい。
【0021】
さらに、この抗ウイルス材の貝殻焼成カルシウム上清液は、前記貝殻焼成カルシウム混合液において貝殻焼成カルシウム粉体を沈殿させることにより得られた上清からなる。貝殻焼成カルシウム混合液において貝殻焼成カルシウム粉体を沈殿させる方法としては、例えば、貝殻焼成カルシウム混合液を遠心する方法等がある。ここで、本発明における抗ウイルス材は、貝殻焼成カルシウム上清液を含有するものであり、貝殻焼成カルシウム上清液を含有するとは、貝殻焼成カルシウム上清液のみにより構成されてもよく、または、貝殻焼成カルシウム上清液に、精製水、リン酸緩衝生理食塩水、水道水等の他の物質が添加されたものであってもよい。この貝殻焼成カルシウム上清液を含有する抗ウイルス材のアルカリ度数は、12.5pH以上であることが好ましい。
【0022】
本発明に係る貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材は、インフルエンザウイルス等のエンベロープを有するウイルスだけでなく、アデノウイルス科のトリアデノウイルスやピコルナウイルス科の口蹄疫ウイルス等のエンベロープを有することなく比較的抵抗性が高いウイルス等、全てのウイルスに適用することができる。
【0023】
以下、本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材の実施例、およびこの抗ウイルス材の比較例の各試験例を説明する。
【0024】
[試験例1]貝殻焼成カルシウム上清液の場合
(1)貝殻焼成カルシウム粉体の製造方法
殺菌・洗浄処理工程において、ほたて貝の貝殻を110℃の真水で1時間ほど煮沸することにより、ほたて貝の貝殻と身を分離するとともに、貝殻および身の殺菌・洗浄を行った後、平均粒径が5〜10mm程度となるように粉砕して第1粉砕処理工程を行い、被粉砕貝殻を得た。
【0025】
次に、電気炉を3時間で昇温して温度を1100℃として、被粉砕貝殻を2時間程度焼成して焼成処理工程を行った。前述の焼成条件により、前記被粉砕貝殻を、酸化カルシウムとした。続いて、熟成処理工程において、電気炉内の温度を下げながら焼成した被粉砕貝殻をそのまま4時間ほど放置して熟成させる熟成処理工程を行った。これにより、電気炉の温度は200℃程度まで下がり、この焼成処理および熟成処理によって、被粉砕貝殻は、灰となって砕ける状態となった。さらに、熟成処理後の被粉砕貝殻を、常温において所定時間放置した。
【0026】
さらに、粒径が15.0μm以下程度となるように前記被粉砕貝殻を粉砕して第2粉砕処理工程を行い、貝殻粉体原料を得た。この貝殻粉体原料を微粉砕機を用いてさらに粉砕することにより、平均粒径が100〜500nmの貝殻焼成カルシウム粉体を含有する液体を得た。
【0027】
この貝殻焼成カルシウム粉体が含有された液体を溶媒として動的光散乱法にて測定された体積粒度分布を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
表1により、前記液体には、平均粒径が100〜500nm程度の粒子の貝殻焼成カルシウム粉体が含有されていることが分かる。そして、この貝殻焼成カルシウム粉体が含有された液体を乾燥することにより、平均粒径が100〜500nmの貝殻焼成カルシウム粉体を得た。
【0030】
(2)試験資材の調製
前述の(1)の製造方法によって得た平均粒径が100〜500nmの貝殻焼成カルシウム粉体30gに対して460mlの精製水を添加して、貝殻焼成カルシウム粉体の質量が0.15%の貝殻焼成カルシウム混合液を得た。この貝殻焼成カルシウム混合液をマイクロチューブに採取し、12000xg、3分間の遠心によって貝殻焼成カルシウム粉体を沈殿させ、上清を貝殻焼成カルシウム上清液とした。
【0031】
また、この貝殻焼成カルシウム上清液を、リン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.2)によって2倍、4倍、8倍、10倍、あるいは20倍に希釈して、各希釈上清液を得た。
【0032】
(3)ウイルスの調製
トリインフルエンザウイルスA/duck/Aomori/395/04(H7N1)を10日齢の発育鶏卵で2〜3継代して、感染漿尿液をウイルスとして分注し、使用まで−80℃で保存した。
【0033】
(4)細胞培養
MDCK細胞(2.0×10cells/ml)を96穴組織培養プレート(Tissue culture plate,96W,Flat bottom, with LID,Sterile, Greiner bio‐one, Frickenhausen,Germany)に100μlずつ播種し、37℃、5%COインキュベーター(COWATER‐Jacketed Incubator,MIDSCI,Seattle,WA,USA)において培養した。
【0034】
(5)トリインフルエンザウイルスの力価測定方法
ウイルス接種前に、MDCK細胞から培養液を除去し、100μlのPBSで細胞を3回洗い、2μg/mlのトリプシンを添加した維持培地(MM)を100μl/well添加した。そこに各ウェル100μlずつ希釈ウイルスを接種して3日間培養し、細胞変性効果(CPE)を観察し、培養上清の赤血球凝集(HA)試験結果から、ベーレンスケルベル法を用いて、感染量、TCID50/mlを算定し、ウイルス力価の指数の差(NI)が2.8以上の場合に、抗ウイルス効果があったと判定した。
【0035】
(6)試験資材のウイルス感作
前述の(2)試験資材の調製において得た貝殻焼成カルシウム上清液、2倍希釈上清液、4倍希釈上清液、8倍希釈上清液、10倍希釈上清液、20倍希釈上清液を、それぞれ900μlマイクロチューブに採取して、100μlのトリインフルエンザウイルスを添加した。混和後、所定時間室温で感作した後、10倍階段希釈して、前述の(5)の測定方法で残存ウイルスを力価測定した。この結果を、表2に示す。
【0036】
【表2】

【0037】
表2に示すように、未処理のウイルスのウイルス力価が106.75TCID50/mlであるのに対し、貝殻焼成カルシウム上清液のウイルス力価は、前記室温での感作時間を30秒とした場合で、既に検出限界である102.50TCID50/mlを下回った。また、2倍希釈上清液のウイルス力価は、前記室温での感作時間が30秒以上で102.50TCID50/ml、4倍希釈上清液のウイルス力価は、前記室温での感作時間が30秒以上で102.75TCID50/mlとなり、抗ウイルス効果が認められた。さらに、8倍希釈上清液のウイルス力価は、前記室温での感作時間が1分間で103.50TCID50/ml、5分間で104.00TCID50/mlとなり、抗ウイルス効果が認められた。
【0038】
また、2倍希釈上清液および10倍希釈上清液のウイルス力価を表3に示す。
【0039】
【表3】

【0040】
表3に示すように、未処理のウイルスのウイルス力価が106.75TCID50/mlであるのに対し、2倍希釈上清液のウイルス力価は、前記感作時間が5秒以内で102.50TCID50/ml未満となり、抗ウイルス効果が認められた。さらに、10倍希釈上清液のウイルス力価は、前記感作時間が60秒間で104.75TCID50/mlとなり、抗ウイルス効果が認められた。
【0041】
[試験例2]貝殻焼成カルシウム上清液にアルカリ緩衝液を添加した場合(1)
貝殻焼成カルシウム粉体の製造方法、ウイルスの調製、細胞培養、トリインフルエンザウイルスの力価測定方法については、前述の試験例1と同様にして、ウイルス力価を測定した。
【0042】
(1)試験資材の調製
試験例1において調製した貝殻焼成カルシウム上清液に、リン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.2)を添加することによって、2倍、10倍に希釈して各希釈上清液を得た。
【0043】
また、前記貝殻焼成カルシウム上清液に、アルカリ緩衝液(1M Tris−HCl、pH7.2)を添加することによって、2倍、10倍に希釈してアルカリ度数を下げ、各希釈液を得た。
【0044】
(2)試験資材のウイルス感作
前述の(1)試験資材の調製において得た900μlの各希釈上清液、あるいは希釈液に、100μlのトリインフルエンザウイルスを添加し、所定時間感作した後、ウイルスを希釈して、試験例1と同様の測定方法で残存ウイルスを力価測定した。この結果を、表4に示す。
【0045】
【表4】

【0046】
表4に示すように、未処理のウイルスのウイルス力価が107.50TCID50/mlであるのに対し、2倍希釈液は、前記感作時間が180秒間であっても、ウイルス力価は107.00TCID50/mlを示し、ウイルスの不活化は認められなかった。また、10倍希釈上清液のウイルス力価は、前記感作時間が180秒間でも、106.25TCID50/mlとなり、ウイルス不活化が認められなかった。
【0047】
さらに、前述の各希釈上清液、あるいは各希釈液にトリインフルエンザウイルスを混合して、10分間感作した後、赤血球凝集活性(HA価)を測定した。この結果、希釈液においては、HA価が160倍となり、未処理のウイルスのHA価と同じ値となった。一方、2倍希釈上清液、あるいは10倍希釈上清液のHA価は、20倍未満となった。この結果により、2倍希釈上清液、あるいは10倍希釈上清液のアルカリによって、ウイルス表面の糖タンパク質(赤血球凝集素)が変成したと考えられる。
【0048】
[試験例3]貝殻焼成カルシウム上清液にアルカリ緩衝液を添加した場合(2)
貝殻焼成カルシウム粉体の製造方法、ウイルスの調製、細胞培養、トリインフルエンザウイルスの力価測定方法については、前述の試験例1と同様にして、ウイルス力価を測定した。
【0049】
(1)試験資材の調製
試験例2において調製した450μlの貝殻焼成カルシウム上清液に、450μlのアルカリ緩衝液(1M Tris−HCl、pH7.2)を添加することによって、2倍に希釈してアルカリ度数を下げ、2倍希釈液を得た。
【0050】
また、225μlの前記貝殻焼成カルシウム上清液に、225μlのリン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.2)および450μlのTris−HClを添加することによって4倍に希釈して、アルカリ度数を下げ、4倍希釈液を得た。
【0051】
さらに、112.5μlの前記貝殻焼成カルシウム上清液に、337.5μlのPBSおよび450μlのTris−HClを添加することによって8倍に希釈して、アルカリ度数を下げ、8倍希釈液を得た。
【0052】
(2)試験資材のウイルス感作
前述の(1)試験資材の調製において記載した貝殻焼成カルシウム上清液、あるいは貝殻焼成カルシウム上清液およびPBSを添加した希釈上清液に100μlのトリインフルエンザウイルスを添加した後、所定の感作時間で前述の(1)試験資材の調整に記載された前記所定量のTrisを添加し、直ちにウイルスを希釈して、試験例1と同様の測定方法で残存ウイルスを力価測定した。この結果を表5に示す。ここで、感作時間が1秒であっても、実際には100μlのウイルスを添加してボルテックスした後、Trisの添加までに5秒程度はかかっている。また、所定の感作時間が0秒とは、ウイルスを加える前に、Trisを添加してアルカリ度数を下げたことを示す。このとき、未処理のウイルスのウイルス力価が107.00TCID50/mlであった。
【0053】
【表5】

【0054】
表5に示すように、2倍希釈上清液および4倍希釈上清液のウイルス力価は、ウイルスを添加してからTrisを添加するまでの感作時間が1秒間であっても、それぞれ103.00TCID50/ml、103.25TCID50/mlとなり、抗ウイルス効果が認められ、ウイルスを瞬時に不活性化することが認められた。また、8倍希釈上清液のウイルス力価は、前記感作時間が15秒間で、103.00TCID50/mlとなり、抗ウイルス効果が認められた。
【0055】
一方、貝殻焼成カルシウム上清液あるいは希釈上清液にウイルス添加前にTrisを添加して中和した場合の、2倍希釈上清液および4倍希釈上清液のウイルス力価の結果を表6に示す。
【0056】
【表6】

【0057】
表6に示すように、貝殻焼成カルシウム上清液あるいは希釈上清液にウイルス添加前にTrisを添加して中和してしまうと、2倍希釈上清液のウイルス力価は、106.50TCID50/mlとなり、また、4倍希釈上清液のウイルス力価は、106.75TCID50/mlとなり、抗ウイルス効果は消失した。
【0058】
さらに、前記各希釈液の各処理後に、トリインフルエンザウイルスの特徴である赤血球凝集活性(HA価)を測定した結果を表7に示す。
【0059】
【表7】

【0060】
表7に示すように、未処理のウイルスのHA価は、320であったのに対し、前記感作時間が1秒の場合に、2倍および4倍に希釈した各希釈液のHA価は、それぞれ20以下、8倍希釈液のHA価は320となった。さらに、前記感作時間が0秒の場合に、2倍希釈液のHA価は320となった。
【0061】
〔試験例4〕貝殻焼成カルシウム混合液の場合
貝殻焼成カルシウム粉体の製造方法、ウイルスの調製、細胞培養、トリインフルエンザウイルスの力価測定方法については、前述の試験例1と同様にして、ウイルス力価を測定した。
【0062】
(1)試験資材の調製
前述の試験例1(1)の製造方法によって得た粒径が100〜500nmの貝殻焼成カルシウム粉体30gに対して460mlの精製水を添加して、貝殻焼成カルシウム粉体の質量が0.15%の貝殻焼成カルシウム混合液とした。
【0063】
また、この貝殻焼成カルシウム混合液をリン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.2)によって10倍、40倍、あるいは100倍に希釈して、各希釈混合液を得た。
【0064】
(2)試験資材のウイルス感作
前述の(1)試験資材の調製において得た貝殻焼成カルシウム混合液、10倍希釈混合液、40倍希釈混合液、100倍希釈混合液を、それぞれ900μlマイクロチューブに採取して、100μlのトリインフルエンザウイルスを添加し、所定時間室温で感作させた。感作後、12000xg、3分間の遠心によって貝殻焼成カルシウム粉体を沈殿させ、上清をさらに10倍階段希釈して、試験例1の(5)の測定方法で残存ウイルスを力価測定した。
【0065】
この結果、前記室温での感作時間を5分間とした場合、貝殻焼成カルシウム混合液および10倍希釈混合液のウイルス力価は、102.50TCID50/ml未満、100倍希釈混合液のウイルス力価は、106.75TCID50/mlとなった。このとき、未処理ウイルスのウイルス力価が107.00TCID50/mlであったので、10倍希釈混合液および100倍希釈混合液の抗ウイルス効果が認められた。
【0066】
また、前記室温での感作時間を3分間とした場合、貝殻焼成カルシウム混合液のウイルス力価は、103.50TCID50/mlとなった。このとき、未処理ウイルスのウイルス力価が106.83TCID50/mlであったので、貝殻焼成カルシウム混合液の抗ウイルス効果が認められた。
【0067】
さらに、10倍希釈混合液、40倍希釈混合液について、所定時間感作した場合のウイルス力価の結果を表8に示す。このとき、未処理ウイルスのウイルス力価は、107.50TCID50/mlであった。
【0068】
【表8】

【0069】
表8に示すように、10倍希釈混合液のウイルス力価は、前記室温での感作時間を30秒間あるいは1分間とした場合で104.50TCID50/ml、3分間とした場合で104.00TCID50/mlとなり、抗ウイルス効果が認められた。また、40倍希釈混合液のウイルス力価は、前記室温での感作時間を3分間とした場合に105.50TCID50/mlとなり、抗ウイルス効果が認められた。
【0070】
〔試験例5〕貝殻焼成カルシウム粉体、貝殻焼成カルシウム粉体を用いた貝殻焼成カルシウム混合液、貝殻焼成カルシウム混合液を用いた貝殻焼成カルシウム上清液の場合
(1)貝殻焼成カルシウム粉体の製造方法
殺菌・洗浄処理工程において、ほたて貝の貝殻を110℃の真水で1時間ほど煮沸することにより、ほたて貝の貝殻と身を分離するとともに、貝殻および身の殺菌・洗浄を行った後、平均粒径が5〜10mm程度となるように粉砕して第1粉砕処理工程を行い、被粉砕貝殻を得た。
【0071】
次に、電気炉を3時間で昇温して温度を1100℃として、被粉砕貝殻を2時間程度焼成して焼成処理工程を行った。前述の焼成条件により、前記被粉砕貝殻を、酸化カルシウムとした。続いて、熟成処理工程において、電気炉内の温度を下げながら焼成した被粉砕貝殻をそのまま4時間ほど放置して熟成させる熟成処理工程を行った。これにより、電気炉の温度は200℃程度まで下がり、この焼成処理および熟成処理によって、被粉砕貝殻は、灰となって砕ける状態となった。さらに、熟成処理後の被粉砕貝殻を、常温において所定時間放置した。
【0072】
さらに、被粉砕貝殻を粉砕して第2粉砕処理工程を行うことにより、平均粒径が12.0〜15.0μm程度の貝殻焼成カルシウム粉体を得た。この試験例5の貝殻焼成カルシウム粉体の体積粒度分布を表9に示す。
【0073】
【表9】

【0074】
(2)試験資材の調整
(a)前記貝殻焼成カルシウム粉体をそのまま試験資材とした。
(b)0.05g、0.25gあるいは0.5gの貝殻焼成カルシウム粉体に、それぞれ再蒸留水を50ml添加して、それぞれ貝殻焼成カルシウム粉体の質量が0.1%、0.5%または1%の貝殻焼成カルシウム混合液を得た。
(c)前記1%の貝殻焼成カルシウム混合液を遠心して、貝殻焼成カルシウム上清液を得た。
【0075】
(3)ウイルスの調製
(a)トリインフルエンザウイルスA/duck/Aomori/395/04(H7N1)[4]を10日齢の発育鶏卵(小岩井農場、岩手県)で2〜3継代して、感染漿尿液をウイルスとして分注し、使用まで−80℃で保存した。
(b)トリアデノウイルスは、鶏腎培養細(CK細胞)で継代し、感染培養液をウイルスとして分注し、使用まで−80℃で保存した。
【0076】
(4)細胞培養
(a)MDCK細胞(0.8〜1.2×10cells/ml)を96穴組織培養プレート(Tissue culture plate,96W,Flat bottom, with LID,Sterile,Greiner bio‐one,Frickenhausen,Germany)に100μlずつ播種し、37℃、5%COインキュベーター(CO WATER‐Jacketed Incubator,MIDSCI,Seattle,WA,USA)において培養した。
(b)CK細胞(細胞濃度:0.3%)を細胞培養シャーレ(Tissue Culture Dishies,PS,60×15mm,with vents,sterile,Greiner bio‐one)に4mlずつ播種し、37℃、5%COインキュベーターにおいて培養した。
【0077】
(5)ウイルスの力価測定方法
(a)トリインフルエンザウイルスのウイルスの力価は、ウイルス接種前に、MDCK細胞から培養上清を除去し、100μのPBSで細胞を3回洗い、2μg/mlのトリプシンを添加した維持培地(MM)を100μl/well添加した。そこに各ウェル100μずつ希釈ウイルスを接種し、3日間培養し、細胞変性効果(CPE)を観察し、培養上清の赤血球凝集(HA)試験結果から、ベーレンスケルベル法を用い、感染量、TCID50/mlを算定した。AIV力価の検出限界を101.50TCID50/mlとし、ウイルス不活化指数(NI)が2.8以上を示した場合、抗ウイルス効果があったと判定した。
(b)トリアデノウイルスのウイルス力価は、階段希釈したウイルスをCK細胞に接種(100μl/dish,2 dishes/sample)し、接種1時間後、接種液を除去し、1次重層用寒天培地を3ml重層、さらに5日後に2次重層用寒天培地を3ml重層し、接種7日後にプラックカウントを行い、プラック形成単位(plaque forming unit:以下PFU/ml)を算出した。AAV力価の検出限界を10PFU/mlとし、ウイルス不活化指数(NI)が2.8以上を示した場合、抗ウイルス効果があったと判定した。
【0078】
(6) 試験資材のウイルス感作
(a)トリインフルエンザウイルス
(i)前述の(2)の試験資材の調製において得た貝殻焼成カルシウム粉体、あるいは陰性対照として小麦粉をマイクロチューブに200mg入れ、そこへウイルス液100μlを添加し、室温で所定時間感作させた。感作後、900μlのMMを加えて混和し、粉体を浮遊させた後、12,000xg、3分間遠心した。得られた上清を10倍希釈ウイルス液とし、さらにMMで10倍階段希釈し、前述の(5)(a)のウイルスの測定方法で残存ウイルスの力価を測定した。
【0079】
この結果、貝殻焼成カルシウム粉体による処理後のウイルス力価は、8時間感作、20時間感作で、ともに101.50TCID50/ml以下となった。一方、このときの未処理ウイルスのウイルス力価は、8時間、20時間で、それぞれ106.50TCID50/ml、107.50TCID50/mlであった。これにより、貝殻焼成カルシウム粉体による処理においては、NIがそれぞれ5以下、6以下となり、貝殻焼成カルシウム粉体の抗ウイルス効果が認められた。
【0080】
また、前述の(1)の貝殻焼成カルシウム粉体の製造方法において平均粒径が12〜15μm程度の貝殻焼成カルシウム粉体を製造する際、熟成処理後の被粉砕貝殻を、常温において所定時間放置した後、被粉砕貝殻を5mm程度の篩にかけることにより、平均粒径が2.5〜5mm程度の貝殻焼成カルシウム粉体を製造することができる。このような平均粒径が2.5〜5mm程度の貝殻焼成カルシウム粉体にも抗ウイルス効果が認められており、このような粒径の貝殻焼成カルシウム粉体であれば、屋外において散布した場合でも飛散することを防止することができるので、抗ウイルス材として、前記貝殻焼成カルシウム粉体を例えば家畜舎等の屋外に散布することにより、抗ウイルス材が飛散することなく、家畜等がウイルスに感染してしまうことを予防することができる。
【0081】
(ii)前述の(2)の試験資材の調製において得た0.1%貝殻焼成カルシウム混合液、0.5%貝殻焼成カルシウム混合液、1%貝殻焼成カルシウム混合液を、それぞれマイクロチューブに400μlもしくは800μl採取して、100μlのトリインフルエンザウイルスを添加した。所定の感作時間毎に1M Tris‐HCl (pH7.2)を500μlまたは100μl加えて、各貝殻焼成カルシウム混合液を中和し、前記MDCK細胞で力価測定を行った。
【0082】
前記各混合液について、感作時間を10分、30分、60分とした場合の結果を、表10に示す。一方、このときの未処理ウイルスのウイルス力価は、108.50TCID50/mlであった。
【0083】
【表10】

【0084】
表10によれば、0.1%貝殻焼成カルシウム混合液については、10分間の感作を行った場合、NIは2.0を下回り、30分間感作ではNI2.5となったが、60分間感作でもNIは2.75であった。この結果、0.1%貝殻焼成カルシウム混合液では、60分間の感作でも、抗ウイルス効果が認められなかった。
【0085】
0.5%貝殻焼成カルシウム混合液については、10分間の感作を行った場合、NIは5となり、30分間感作ではNI4.8となり、さらに60分間感作ではNIが4.3となり、いずれも抗ウイルス効果が認められた。
【0086】
1%貝殻焼成カルシウム混合液については、10分間の感作を行った場合のNIは6.5となり、30分間感作ではNIが6以下、60分間感作ではNIが4.5となり、いずれも抗ウイルス効果が認められた。
【0087】
一方、あらかじめ1%貝殻焼成カルシウム混合液を、等量の1M Tris‐HCl(pH7.2)で中和したものにウイルスを添加してウイルス力価を測定したところ(感作時間0分)、NIは2.25となった。
【0088】
さらに、1%貝殻焼成カルシウム混合液について、感作時間を短縮して、5秒間、10秒間、30秒間および10分間とした場合のウイルス力価の結果を、表11に示す。このときの未処理ウイルスのウイルス力価は、107.75TCID50/mlであった。
【0089】
【表11】

【0090】
表11によれば、5秒間の感作でNIが−0.25であり、10秒間の感作でNIが0.5であり、30秒間の感作でNIが0.25であり、10分間の感作でもNIが1.25以下であった。また、あらかじめ1%貝殻焼成カルシウム混合液を、等量の1M Tris‐HCl(pH7.2)で中和したものにウイルスを添加したもののウイルス力価は、未処理ウイルスのウイルス力価と同値であった。
【0091】
次に、1%貝殻焼成カルシウム混合液について、感作時の温度の違いで効果に差が生じるかを調べるため、感作時の温度を室温(RT:約25℃)、37℃、および4℃として、それぞれ0分間、10分間、60分間感作させた。この結果を表12に示す。このときの未処理ウイルスのウイルス力価は、108.00TCID50/mlであった。なお、感作時間が0分間とは、あらかじめ1%貝殻焼成カルシウム混合液を、等量の1M Tris‐HCl(pH7.2)で中和したものを使用した場合である。
【0092】
【表12】

【0093】
表12によれば、感作時の温度を室温とした場合、0分間感作ではNIが0.75であったが、10分間感作ではNIが3.5となり、さらに60分間感作ではNIが5となり、10分間および60分間の感作で抗ウイルス効果が認められた。また、感作時の温度を37℃とした場合、0分間感作ではNIが0.5であったが、10分間感作ではNIが5.5以上、60分間感作でも同様にNIが5.5以上となり、10分間および60分間の感作で抗ウイルス効果が認められた。さらに、感作時の温度を4℃とした場合、0分間感作ではNI0.5であり、10分間の感作でNIが1.75であり、60分間の感作でもNIが1.75であり、いずれも抗ウイルス効果は認められなかった。
【0094】
さらに、1%貝殻焼成カルシウム混合液について、感作時の温度を室温、37℃とし、感作時間を短縮して、それぞれ0分間、1分間、5分間、10分間、30分間感作させた場合の、ウイルス力価の結果を表13に示す。このときの未処理ウイルスのウイルス力価は、106.50TCID50/mlであった。
【0095】
【表13】

【0096】
表13によれば、感作時の温度を室温とした場合、1分間および5分間の感作では、NIが0であり、10分間の感作ではNIが0.5以下となったが、30分間の感作でもNIは1.5以下であり、いずれも抗ウイルス効果が認められなかった。また、感作時の温度を37℃とした場合、1分間の感作ではNIが0であり、5分間の感作でもNIが2.75であり、さらに10分間の感作でもNIが2.5以下であり、いずれも抗ウイルス効果が認められなかった。
【0097】
(iii)前述の試験資材の調製において得た貝殻焼成カルシウム上清液900μlに、100μlのウイルス液を添加し、感作時の温度を、室温(25℃)、37℃として、所定の感作時間毎に1M Tris−HCl(pH7.2)を加えて貝殻焼成カルシウム上清液を中和し、ウイルス力価の測定を行った。このときの未処理ウイルスのウイルス力価は、107.80TCID50/mlであった。なお、前記上清液のpHは、12.8を示した。
【0098】
前記各上清液について、それぞれ感作時間を0分間、1分間、5分間、10分間および30分間とした場合の結果を表14に示す。感作時間が0分間とは、あらかじめ貝殻焼成カルシウム上清液を、等量の1M Tris‐HCl(pH7.2)で中和したものを使用した場合である。
【0099】
【表14】

【0100】
表14によれば、感作時の温度が室温の場合、1分間、5分間、10分間、30分間の感作では、いずれもNIがすべて0であり、抗ウイルス効果が認められなかった。また、感作時の温度が37℃の場合、1分間の感作ではNIが0であり、5分間の感作でNIが1.25以下、10分間の感作ではNIが0.25であり、さらに30分間の感作でもNIが2.5以下であり、いずれも抗ウイルス効果が認められなかった。
【0101】
(a)トリアデノウイルス
前述の(2)の試験資材の調製において得た貝殻焼成カルシウム粉体にトリアデノウイルスを感作させ、トリアデノウイルスのウイルス力価を測定した。この結果を表15に示す。
【0102】
【表15】

【0103】
この結果、未処理ウイルスのウイルス力価が108.60TCID50/mlであったのに対し、貝殻焼成カルシウム粉体による処理後のウイルス力価は、8時間感作で103.00TCID50/mlであり、NIが5.6となり、抗ウイルス効果が認められた。
【0104】
本実施形態に係る貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材によれば、前述のとおり平均粒径が100〜500nmの貝殻焼成カルシウム粉体が含有された貝殻焼成カルシウム混合液の上清を用いることにより、抗ウイルス効果が認められ、抗ウイルス材として利用することができる。そして、この抗ウイルス材を噴霧装置によって噴霧した場合、抗ウイルス材によって噴霧装置に目詰まりが発生することを確実に防止することができるとともに、被噴霧対象に貝殻焼成カルシウム粉体が付着してしまうことを確実に防止することができる。
【0105】
したがって、このような抗ウイルス材によれば、噴霧装置のメンテナンス等が容易となり、さらには、被噴霧対象や噴霧場所が限定されることなく、例えば、被服の上から噴霧する場合や、空港や駅、店舗等の人が多く集まる屋内において散布する場合等、貝殻焼成カルシウム粉体を被対象物に付着させたくない種々の用途にも用いることができる。
【0106】
また、本実施形態に係る抗ウイルス材は、産業廃棄物として問題になっているほたて貝等の貝殻により得ることができるので、ほたて貝の貝殻を有効に利用することができ、産業廃棄物の問題を解消することができる。また、本実施形態に係る抗ウイルス材は、トリインフルエンザウイルス等種々のウイルスに適用することができ、バイオセキュリティ強化資材として有効に利用することができ、近年問題になっているインフルエンザ等のウイルス予防として、種々の場面において利用することができる。
【0107】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が100〜500nmの貝殻焼成カルシウム粉体が含有された貝殻焼成カルシウム混合液の上清である貝殻焼成カルシウム上清液を含有する貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材。
【請求項2】
前記貝殻焼成カルシウム混合液に、0.15質量%以上の前記貝殻焼成カルシウム粉体が含有されていることを特徴とする請求項1に記載の貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材。
【請求項3】
12.5pH以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材。
【請求項4】
前記貝殻焼成カルシウム粉体は、二枚貝の貝殻に焼成処理および粉砕処理を施して得られることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材。
【請求項5】
前記二枚貝の貝殻は、ほたて貝の貝殻であることを特徴とする請求項4に記載の貝殻焼成カルシウム粉体を用いた抗ウイルス材。

【公開番号】特開2012−62257(P2012−62257A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206146(P2010−206146)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(509293198)
【出願人】(501395487)
【Fターム(参考)】