負の電流をパルスする電着を用いた合金堆積物の製造及びそのナノ構造の制御方法、並びにそのような堆積物を組み入れる物品
正及び負双方の電流部分を持った二極波電流を用いて、ナノ結晶粒度の堆積物を電着する。極性比は、負の極性電流と正の極性電流の時間積分された振幅の絶対値の比である。そのうちの1つが金属であり、そのうちの少なくとも1つが大部分電気的に活性がある2以上の化学成分の合金において粒度を正確に制御することができる。通常、常ではないが、大部分電気的に活性がある物質の量は、負の電流の間、堆積物中で優先的に減らされる。堆積物はまた、相対的に亀裂や空隙のない、優れた肉眼的品質を呈する。電流密度、パルス部分の持続時間及び槽の組成のパラメータは、堆積物組成の関数としての粒度及び極性比の関数としての堆積物組成を示す補助方程式、又はたぶん、極性比の関数としての粒度を示す単一関係を参照して決定される。これらの関係に基づいて相当する極性比を選択することによって特定された粒度を達成することができる。塗膜は、層にあることができ、それぞれ層から層に変化する平均粒度を有するが、また勾配をかけた領域にもあることができる。塗膜は、環境保護(腐食、摩擦)、装飾的特性のために、及び硬質クロム塗膜と同じ用途のために選択することができる。完成品は、電気伝導性のプラスチック、又は鉄鋼、アルミニウム、真鍮を含む金属の基材上に構築されてもよい。基材はそのままでもよく、又は取り除かれてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される発明は、適用された電流波形の形状を使用して堆積物の粒度及び組成を制御することである。
政府の権利
米国政府は、米国陸軍研究所契約/助成金#DAAD19−03−1−0235に従って本発明において特定の権利を有する。
【0002】
クレームに先行した部分的な要約を以下に提供する。
【0003】
本明細書にて開示された本発明は、以下の説明、添付のクレーム及び添付の図面に関連して理解されるであろう。
【背景技術】
【0004】
序論
ナノ結晶の金属は、大きさでナノメートルから1ミクロンの桁における粒度を特徴とする。そのひときわ優れた特性の組み合わせのために、これらの物質の研究に多大な尽力が注がれている。機械的設計で関心が持たれる耐力は、粒度が低下するにつれて耐力が増大するように、反比例して粒度に連鎖する。ナノ結晶の金属の研究に対する動機付けの1つは、粒度を原子長に近い大きさに低下させてこの傾向を活用することである。実際、ナノ結晶の金属はマイクロメートルの大きさより大きい結晶(マイクロ結晶)の対応物よりもはるかに高い耐力を提供し、この強度の増大と共に、ナノ結晶金属は、そのほかの利益、たとえば、耐久性の向上、並外れた腐食及び磨耗耐性、並びに望ましい磁気特性を提供することができる。
【0005】
ナノ結晶金属の磁気特性は、従来のマイクロ結晶金属で可能なものよりも高い、透過性と飽和磁束密度の組み合わせを示すことができる。これらの特性は、軟磁性適用にとって重要であり、粒度がナノ規模に低下するにつれて増大する。
【0006】
本明細書及びそれに添付のクレームで使用されるとき、ナノ結晶は、1000nmまでの平均粒度を有する結晶構造を意味すべきである。また、特に指示されない限り、粒度が本明細書及びクレームで言及される場合、平均粒度が意味される。
【0007】
ナノ結晶金属を加工することは、それらが必然的に均衡とは程遠い微細構造を呈するので難題であるとみなされる。種々の方法を用いてナノメートルの大きさに粒度を純化しようとしてきたが、その最も重要なものは、厳しいプラスチックの変形、ナノ結晶粉末の圧密及び電着である。
【0008】
圧密方法は、否応なく不純物を物質に取り込み、望ましくない。圧密方法は、圧密された焼成粉末から形成することができる形状にも限定され、形状が限定される。危険なプラスチック変形方法を実践するには、相対的に大量のエネルギーを必要とする。さらに、それらは工業的規模に規模拡大しにくく、一般に、コストの有意な増大なしでナノ結晶範囲での微細な粒度を生じることはできない。
【0009】
電着はこれらの欠点に悩まされることはない。塗膜の適用については、電着を用いて現実にいかなる形状の伝導性物質上にも金属をめっきして、ひときわ優れた表面特性を得ることができる。電着はまた一般に、高純度の物質を生じる。電着加工は規模拡大でき、相対的に低いエネルギーを必要とする。これらの特徴によって、技術的視点のみならず、経済的視点からも工業的規模の操作にとってそれが理想的な選択となっている。
【0010】
これらの利点に加えて、電着は、粒度の制御に対して幾つかの手段も提供する。加工における幾つかの変数を調整して特定された平均粒度の物質を得ることができる。ナノ結晶金属における構造−特性の関係を検討するのに電着が盛んに使用されているのは主としてこの理由のためである。粒度を制御するのに使用されている典型的な変数には、電流密度、液温、及び液体組成が挙げられ、それぞれ得られる堆積物の様相に影響を及ぼす。
【0011】
たとえば、図1を参照して示されるように、幾つかの系では、液温と結晶粒度の間に関係がある。
【0012】
電着では、金属イオンを含有する溶液に配置された陽極と陰極を横切って電位が適用される。電場の影響下で、正の金属イオンが陰極表面に引き付けられ、堆積される溶液中で電流が発生する。陰極で堆積した後、金属原子は、熱力学的に安定な又は準安定な状態に配列する。
【0013】
従来の電着は、陽極と陰極の間で一定の安定した電流を採用し、直流(DC)と呼ばれる。二極パルス電流(UPP)として知られる別の種類の電流も使用されている。この電流パルスは、電流が流れない、周期的な「オフ・タイム」を採用する。これらの2種類の電流をそれぞれ図2A及び2Bで模式的に説明する。通常、特徴的なパルス時間、ton、toffは、0.1〜100msの桁である。このパルスは、堆積物の電流効率、表面レベリング及び応力特性に有益であることが示されている。
【0014】
本発明の方法を実践するのに使用することができる基本的なハードウエアの設定は、図3にブロック図の形態で模式的に示す。容器332は、電解槽のように液体344を含有し、その中に金属イオンのようなナノ結晶金属を形成する成分が見い出される。名目上の陰極電極340及び名目上の陽極電極342が液体344に浸漬され、伝導体358を介して電源352に連結される(示されるように、電極は単純な個々の伝導体である。しかしながら、電極は1以上の電気的伝導体であることができ、互いに平行して電気的に連結することができる)。磁気撹拌器354は、容器332内にある作動部分356を有する。ヒータ348は油槽346に浸漬され、温度コントローラ350によって制御される。電源352は、正及び負の極性パルスの双方を適用することが可能である。それ及び温度コントローラ350及び磁気撹拌器354はすべて、図に示されない単一のコンピュータ化したコントローラによって制御されてもよく、又は人の操作によって支配される個々のコントローラによって制御されてもよい。温度センサー360は液体344の温度を測定する。
【0015】
操作において、名目上の陽極342と名目上の陰極340の間の電源によって電位の差異が適用される。この差異によって液体中のイオンが名目上の陰極340に引き付けられ、その上に堆積される。条件が正しく制御されれば、堆積物の粒度は微細な程度に制御されうる。1以上の陽極が存在してもよい。
【0016】
複数の成分の電着物の粒度は、種々の既知の手段によって制御することができる。文献で使用された最も卓越した方法の1つは、槽温度の正確な制御である。この効果は図1で説明し、他の堆積変数すべてを一定に保持したまま、Ni−Wの系について槽温度の関係の関数としての粒度をグラフで提示する。図1におけるデータは、本発明によって作製されたが、この合金系では周知の傾向を再現する。理解できるように、45℃〜75℃の間の範囲にかけて、粒度は約11.5nmから約2nmに低下する。この曲線の傾き(温度変化で割った粒度の変化)は負であり、温度が上昇するとさらに小さな粒度を生じる。
【0017】
液温を制御することによって粒度を特定できることは真実であるけれども、温度制御に伴って生じる堆積物のそのほかの特徴は望ましくない。具体的には、断面の走査電子顕微鏡を介して証拠付けられた堆積物の肉眼的な品質は、有意な欠点を示している。図4は、直流による槽温度制御のもとで堆積された、特定された粒度と組成を持つ堆積物の断面を示す。
【0018】
この堆積物は、理に適って望まれることができるように(本発明に従って作製される堆積物と関連して以下で説明する)均質ではなく、亀裂402及び空隙404が含まれる。
【0019】
この乏しい均質性に加えて、槽温度制御は、さらなる望ましくない問題に悩まされる。堆積中に槽温度を変えることは、時間の無駄であり、大きな系では多大なエネルギーを消費する。従って、単一の堆積の稼動中、又は1つの稼動から次の稼動への堆積中のいずれかで、重大な困難さなしで粒度及び組成を変えることはできない。だから、単一の堆積物内での粒度に関して勾配とつける又は層を成す微細構造を達成するのは難しい。
【0020】
液温を変化させることよりも一定の液温を維持することの方が通常容易である。従って、液温を変化させることを必要とする制御方法は、それに関連する望ましくない複雑さ及びコストを有する。液温の制御ではなく、又はそれに加えて、従来、液体組成を変化させることによって堆積物の組成及び粒度を変化させることができる。しかしながら、そのようにすることもまた、液体に対する化学変化なしで順次、異なって構成される堆積物を生成することを妨げ、再び複雑さが加わる。液体の組成及び/又はその温度を変化させることは必然的に系を使用しない時間を生じる。これらの使用しない時間は加工にコストを追加する。組成制御を用いた結果は、温度制御を用いた結果とほぼ同様である。
【0021】
従って、DCめっき又はUPPのいずれかを用いてナノ結晶の堆積物を電着することに伴う困難さは、正確に所望してもよいほどの限定の範囲内で粒度を有する堆積物を得ることができないことである。槽の温度又は組成を変化させることは厄介である。さらに、その厚さを介して変化する、特に、亀裂及び空隙が回避されるべきならば、ナノ構造を有する堆積物を製造することはできない。同様に、正確に所望してもよいほどの組成を有する堆積物を得ることはできない。通常、組成の制御は、液体の組成及びその温度に大きく依存し、いったん液体の組成が確立されると、その温度を変化させることによって以外には、堆積物の組成を調整する機会はない又はほとんどない。
【0022】
槽温度及び槽組成の制御に加えて、電流密度もまた、合金堆積物の組成及び粒度を制御するのに使用されることもある。この方法は、粒度(及び組成も)を制御するのに使用することができるが、十分な厚さの均質で、亀裂や空隙のない堆積物を達成する一方で、電流密度の範囲によってそれは本質的に限定される。低い電流密度が遅い堆積速度を生じる一方で、高い電流密度は、高度に圧力のかかった、亀裂及び空隙がある堆積物を生じる。従って、この方法によって達成することができる粒度の範囲は、操作上実用的ではない程度に限定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従って、液体の組成又は液体の温度のいずれかを変化させることなく、堆積物の組成若しくはその粒度のいずれか又はその双方を誂える能力を伴った、ナノ結晶粒度構造を有する金属目的物を製造する方法に対するニーズがある。さらに、温度制御を用いて従来達成されるのよりも空隙及び亀裂の程度が少ない高品質で均質な堆積物を生成するそのような金属目的物を製造する方法に対するニーズがある。また、堆積物内でナノ結晶性の結晶サイズ及び/又は組成に勾配をつける及びその層を成すことを可能にし、さらに空隙及び亀裂を導入することなくそのようにすることを可能にする方法に対するニーズがある。関連するニーズは、さもなければ堆積工程を混乱させないように、相対的に時間的に速く堆積物の組成及び/又は粒度を変化させることを可能にすることである。経済的で、工業的出来高に規模拡大でき、強健である方法に対する追加のニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本明細書で開示される発明は、適用された電流波形の形状を使用して堆積物の粒度及び組成を制御することである。
【0025】
二極波電流を導入することによって、たとえば、特に2以上の化学成分の電着合金において、正及び負双方の電流部分を持つ方形波、ナノ結晶性の粒度を正確に制御することができる。この正確な制御と共に、堆積された金属は、物質のほとんどの実践的適用に必要な優れた肉眼的品質も呈する。
【0026】
本発明は、二極パルス電流(BPP)を使用すべきである。BPPによって、図5に模式的に示すように、正の電流5Pセグメントによって電流がパルスされ、負の電流5Nセグメントによって交替され、その際、名目上の陰極である要素340は、電流が正であれば陽極になり、逆も又同様であるように電位は、絶えず反転される。正電流の間、名目上の陽極であり、負電流の間、名目上の陰極である電極342で反対のことが生じる。瞬間的な「オフ時間」があってもよく、さらに重要なことには、負電流の明確な期間があるけれども、延長した「オフ時間」(ゼロの電流)はなくてもよい。通常、特徴的なパルス時間tpos、tnegは、0.1〜100ミリ秒の桁である。たとえば、正の時間、ゼロの時間及び負の時間、及び再び、正又はゼロを有するパルスを用いて、ゼロ電流の明確な及び測定可能な「オフ時間」もあればよい。
【0027】
tnegの間の負電流の存在は、幾つかの重要な効果を有する。純粋な金属の電着については、負電流を採用することは、堆積物の断面特性における高い点での局所的に強い電流密度のためにその表面積にわたって堆積物を効果的に平らにする。しかしながら、2種又はそれ以上の合金の場合、状況はさらに複雑である。パルスの負の部分の間に、通常、合金の最高の酸化電位(最低の還元電位)を持つ原子は、堆積物から選択的にエッチングされる(溶解される)。この選択的なエッチングは、金属であろうとなかろうと、ほとんどに電気的に活性のある要素に関して生じる。この選択的溶解は、電気的に活性のある要素に関して堆積物の組成の正確な制御(有用な限定の範囲内で)を可能にする。そのほかのものは同等の保持して、負のパルス電流の振幅の絶対値が増大するにつれて、さらに電気的に活性のある要素の堆積物における比率に低下が生じる。
【0028】
本発明者らは、励起波形の2つの成分の比Qを用いて堆積物の組成を制御できるので、その粒度を制御できることを割り出した。これらの成分は、負の極性電流(I−)の時間積分された振幅の絶対値及び正の極性電流(I+)の時間積分された振幅の絶対値であり、
【0029】
【数1】
式中、tは時間であり、方程式1及び方程式2における積分は、それぞれ負電流及び正電流のすべての時間にわたって実行される。本明細書及びクレームで使用されるとき、量Qを極性比と呼ぶ。極性比は、パルス成分の振幅の絶対値という点で定義されるので常に正である。一般に、極性比は、以下で議論する理由で、ゼロより大きく、1未満である。
【0030】
一般的な場合ほとんど、金属目的物の堆積の粒度の制御はわずかなことを必要とする。電着方式は、少なくともそのうちの1つが金属要素である2以上の要素を同時に共堆積しなければならない。金属要素は、大部分電気的に活性のある要素であってもよいが、そうでなくてもよい。本発明の方法を用いて、単一金属系の粒度を制御することはできない。
【0031】
正のパルス及び負のパルスの振幅及び/又は持続時間を互いに関連して変化させることによって極性比の値を変化させることができる。
【0032】
図6は、極性比(横軸上)の関数としての電気的に活性のある要素(縦軸上)の原子%(at%)によって特徴づけられるような堆積物の組成の間の一般的関係を模式的に示すグラフである。
【0033】
本明細書及びそのクレームでは、組成に対する電気的に活性のある要素の分布を電気的に活性のある要素の比率と言う。比率は、部分、重量パーセント、原子パーセント、重量分画、原子分画、体積パーセント若しくは体積分画、又は任意の適当な分割を含むが、これらに限定されない適当な方法によって測定される。
【0034】
一部の合金系では、電気的に活性のある要素の比率によって特徴付けられる電着物組成と粒度の間に明瞭な関係がある。たとえば、図7に示すように電気的に活性のある要素の比率が高まるにつれて粒度が小さくなる。ただし、一般に、電気的に活性のある要素の相対的に大きい比率は結果として相対的に小さな粒度又は相対的に大きな粒度(以下で議論する図8に模式的に示すように)のいずれかを生じればよい。
【0035】
一般に、本開示の議論は、パラメータの間の一般的な又は代表的なグラフによる説明に基づく。たとえば、図6、7、8、11、16は、一般的な関係を表す。幾つかの図は、たとえば、図9、10、14、15は、通常、Ni−Wの系による本発明者らによる実験に基づく。
【0036】
図7は、横軸に沿った原子パーセントによる、電気的に活性のある要素の比率の関数としての縦軸に沿った粒度を示す。粒度の比率関係への依存性は、粒境界分離の熱力学に基づき、本開示の範囲を超える。重要な点は、一般に組成への慎重な調整を介して、特に電気的に活性のある要素の比率の慎重な調整を介して粒度を正確に制御できるということである。理に適った完全な説明は、Weissmuller J.のナノ構造における合金の効果(1993年)のナノ構造化された物質、261〜272ページで得られ、その開示を参照によって本明細書に完全に組み入れる。
【0037】
従って、図1を参照して理解されるように、槽温度を使用して粒度を制御できるという事実に類似して、図7は、電気的に活性のある要素の比率を使用して堆積物の粒度を制御できることを模式的に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
上記で議論したように、一般に電気的に活性のある要素の比率の極性比への依存性も存在するので、合金の電着でBPPを使用して極性比を正確に制御するので、組成を正確に制御し、電気的に活性のある要素に関しては組成を制御することにより、それによってナノ結晶の粒度を確実に制御することが本発明である。
【実施例】
【0039】
ナノメートル範囲において結晶の粒度を制御するのにBPPを使用することを減らして、たとえば、ニッケル・タングステンの2種合金の特定の場合について実践した。この合金は、表1に示す液状槽組成物及びめっきパラメータによって、図3を参照して模式的に示されるように、2リットルの槽中にて、名目上陽極と指定された不活性の白金電極342及び名目上陰極と指定された銅電極340を用いて堆積された。負電流部分を有するパルス電流を用い、その振幅は検体によって変化したが、電流は、3ミリ秒の一定パルス時間で0から負の0.3A/cm2まで流れる。パルスの正の部分は常に+0.2A/cm2の振幅及び20ミリ秒の持続時間を有した。
【0040】
【表1】
【0041】
図9は、様々な稼動運転に由来する検体についてのX線回折パターンを示す。そのほかの因子は一定に保持する一方で、0〜0.225の間の様々な極性比を用いて各稼動運転を行った。これらの回折パターンは、この場合、負のパルス電流の振幅の絶対値を変化させることによって稼動運転から稼動運転まで調整された極性比の関数として、明瞭な構造的変化を示す。さらに、常法によってこのデータを分析し、堆積物の粒度を決定することができる。
【0042】
縦軸上に示す粒度及び横軸上に示す極性比と共に、そのような分析の結果を図10に示す。極性比の値の大きさにおける変化は、粒度における再現可能な且つ有意な変化を生じた。一般に、Ni−Wの系では、粒度における変化(ΔG)を極性比における変化(ΔN)に関連付ける傾き(ΔG/ΔN)は、相対的に大きな極性比については粒度が相対的に大きくなるように、正である。方程式3から、極性比が時間積分された正のパルス量で割った時間積分された負のパルス量の比であることを思い出すこと。従って、相対的に大きな極性比は、正の極性電流に比べて負の極性電流での相対的な増加から生じる。
【0043】
検討された条件については、2〜40nmの範囲にある粒度を持つナノ結晶構造体が明白に作製された。図11は、一般に正及び負の傾きを有する、一般的な系についての極性比の関数としての粒度を示す代表的な関係を示す。図11に示される一般的な関係は、図7に示されるような電気的に活性のある要素の比率の関数としての堆積物の粒度の関係を図6で示されるような極性比の関数としての電気的に活性のある要素の比率の1つと組み合わせることから生じる。
【0044】
従って、電着方式が設計されてもよい一方向を考慮するには、設計者は、先ず、たとえば、GSのような機械的ニーズ又はそのほかの特性ニーズを満たす平均粒度を特定する。次いで、たとえば、図7で示されるもののような比率の関数としての粒度を関連付ける補助方程式を用いて、その粒度の座標としてGSを有する補助方程式の曲線上の点Iを同定し、その点から、電気的に活性のある要素の比率CD、点Iの比率の座標を同定して、特定された粒度GSを達成する。設計者は、次いで、図6に示されるような極性比の関数としての電気的に活性のある要素の比率を示す補助方程式を参照して、選択された比率で生じる極性比QDを見い出す。図6に示される曲線上の点Jは、比率CDを極性比QDに関連付ける。この極性比QDで系を稼動運転することは次いで、堆積物CDにおける電気的に活性のある要素の決定された比率を達成するので、特定された粒度GSを達成する。比率C及び極性比Qについての下付き文字Dは、これらの量が、補助方程式に本質的に由来する量なので選択される。
【0045】
図6及び図7で示される2つの補助方程式を一緒に組み合わせて、極性比の関数として堆積物の粒度を直接関係付ける、図11に示されるような、単一の複合補助方程式を生成することもできる。そのような場合、設計者は粒度GSを特定し、連続する補助方程式から、極性比QDが同定される。
【0046】
上記で議論した補助方程式のいずれもが、示されるようにグラフであり、又は表であり、又は数学的であり、又は、関係のいずれか若しくは両方について単一の点及びその点での傾き情報を含む関係を説明するそのほかの法則又は方法であればよい。傾きは、関係の範囲内で明白に述べられてもよいし、又は合金の熱力学及び動態及びそのほかの情報に関する一般的な原理に基づいて、系の設計者によって暗黙のうちに理解されてもよい。傾き情報は、記号(+又は−)に限定することなく程度に関する直感ですらあってもよい。
【0047】
一般的な系を表す図11はまた、たとえば、Rにて示されるような単一の点である補助方程式、及びその点における傾き情報(細い実線によって説明されるが、量であればよい)も示す。Ni−Wの系についての情報を提示する図10で示されるように、Rでの傾きはおよそ200nmである(注;図11は、2つの異なった状況を示すことが意図される:曲線によって説明される1つは、連続関数の曲線補助方程式を示し、点Rと傾きの線で表される他方は、線形の補助方程式を示す)。
【0048】
上記で議論された補助方程式の解決の様々な程度は、所望のナノ結晶の粒度を達成することにおいて設計者が有する制御の程度に効果を有してもよい。一般に、さらに高度に解決された補助方程式がさらに正確な制御を提供する一方で、さらに少ない解決(たとえば、たった1つのデータ点しか利用できず、直感を用いて補助方程式を予測する場合)はさらに少ない制御を提供し、最少の連続した、たとえば、単一の点と傾き、又は単に傾きの表れについての直感は、最少量の制御しか提供しないだろう。一部の適用については、正確な制御が必要とされ、さらに連続した解決された関係が必要とされるだろう。他の適用については、さらに少ない正確な制御で済むだろうし、さらに少ない連続した解決された関係が満足の行くものであってもよい。以下で議論されるように、ほとんどの系については、さらに堅固な制御が一般にさらに小さな粒度の堆積物について可能である。
【0049】
極性比の関数としての粒度の一般的な補助方程式がいったん確立されたら、そのときは、別の粒度を達成するには、設計者は、粒度を変えるための関係によって示される方向で極性比を変えなければならない。このことは、以下で議論されるように、パルスの負の部分の振幅又は持続時間を正の部分、又は双方の部分のそれに関連して変化させることによって実施することができる。
【0050】
補助方程式のいずれかを連続関数で表現することができるのであれば、そのときは、指標パラメータの概念が相対的に不要になり、又は簡略化される。複合補助方程式が利用できるのであれば、設計者は、特定された粒度に基づいて単純に極性比を選択し、又は利用できなければ、そのときは、代わりに、電気的に活性のある要素の比率に基づいて及びそれから、極性比を選択する。
【0051】
補助方程式のいずれかを連続関数で表現することができないのであれば、そのときは、指標パラメータの概念が役立ってもよい。たとえば、図11を参照して示されるように、極性比の関数として粒度を表現する複合補助方程式が確立された場合では、設計者は、所望の粒度GSを特定し、その粒度及び補助方程式から、極性比を決定する。相当する極性比QI0がすでに明白に確立されている指標粒度GI0に特定された粒度GSを比較することによって極性比を決定する。
【0052】
傾きとして同定された細い実線で具体化された傾き情報を相当する極性比QI0に適用してGSに相当する極性比QD*を引き出す。傾き以外の補助方程式を満たすそのほかの法則が提供されるのなら、そのときは、たとえば、法則、又は一連の点(曲線の当てはめ又はそのほかの差し込みに使用することができる)、または直感のようなものが、指標粒度GI0に相当する極性比に適用される。引き出された極性比QD*は結果的に、連続曲線として表現することができる関係から決定されてもよい極性比QDとは異なるようになってもよい。矛盾は、傾き情報が実際の連続関係に一致する程度に依存するであろう。
【0053】
同様に、極性比の関数としての粒度を関連付ける複合補助方程式でないとすれば、設計者は、2つの補助方程式:図7を参照して示されるような電気的に活性のある要素の比率の関数として粒度を関連付けるもの、及び図6を参照して示されるような極性比の関数として電気的に活性のある要素の比率を関連付ける第2のものを使用し、これらの一方又は両方が連続関数として表現されないなら、そのときは、2つの類似の操作を実施する。グラフにおいて明瞭さを保存する都合上、これらが完全に説明されることはない。しかしながら、図11を参照して示される複合補助方程式に関連して説明される技法と概念は同一である。
【0054】
第1に、特定された粒度GSから電気的に活性のある要素の比率CD*が決定される。電気的に活性のある要素の相当する比率CDがすでに明白に決定されている指標粒度GI0に特定された粒度GSを比べることによって比率が決定される。傾き情報を相当する比率CDに適用して決定された比率CD*に到達する。傾き情報以外の補助方程式を満たすためのそのほかの法則が提供されるのなら、たとえば、法則、又は一連の点(曲線の当てはめ又はそのほかの差し込みに使用することができる)、または直感のようなものが、指標粒度GI0に相当する比率CDに適用されてCD*に到達する。
【0055】
第2に、相当する極性比PDがすでに明白に確立されている指標比率CI0と中間的に決定された比率を比較することによって、中間的に決定された比率CDから極性比が決定される。傾きを相当する極性比PDに適用して引き出された極性比PD*に到達する。傾き以外の補助方程式を満たすそのほかの法則が提供されるのなら、そのときは、たとえば、法則、又は一連の点(曲線の当てはめ又はそのほかの差し込みに使用することができる)、または直感のようなものが、指標比率PDに相当する極性比に適用される。
【0056】
前記のものは、設計者が系をどのように設計するかを記載している。設計された系を使用し、電着する方法は以下のように機能する。系は電源によって駆動されて系の設計者によって特定されたように異なった時間で正の電流及び負の電流の双方の時間を提供し、それは、特定の単一の極性比に相当する。このことは、言い換えれば、特定された粒度を達成する電気的に活性のある要素の比率を有する特定の堆積物組成を生じる。従って、特定された粒度が達成される。従って、系を設計するには、粒度を極性比に関連付ける補助方程式が必要とされる。系を運転するには、単一の平均粒度を単一の極性比に関連付ける単一の点のみが必要とされ、使用される。
【0057】
BPPを介して粒度が制御可能であるだけでなく、これら堆積物の肉眼的品質もそのほかの加工手段によって達成されるものよりも有意に良好である。前に言及したように、複数成分の電着物の粒度は、図1で説明する既知の技法に従って槽温度の正確な制御によって制御することができる。
【0058】
断面の走査電子顕微鏡を介して明らかにされた堆積物の肉眼的品質は、BPP試料については有意に良好である。図12は、そのような電子顕微鏡の走査を模式的に示し、二極パルスの本発明の方法を用いて堆積された堆積物の断面を示す。それは、槽温度制御下にて直流によって堆積された上記で議論した図4で示されたものとほぼ同一の粒度及び組成を有する。
【0059】
一般に、本明細書で開示されるような負の電流パルスを使用することは、実質的に亀裂や空隙のないナノ結晶の粒構造を有する目的物を製造することを可能にする。実質的に亀裂や空隙がないことによって、堆積の間に空隙も亀裂もできないことが、ナノ結晶体の破損、磨耗及び腐食の特性を左右することを意味する。製品の故障モードは、事前に存在した空隙又は事前に存在した亀裂から生じる亀裂の開始及び伝播以外の現象によって支配される。
【0060】
ナノ結晶の粒構造が影響を与える追加の特性は、腐食耐性及び磨耗耐性である。これらの因子は双方共、直接的に粒度に関係し、一般に、通常、さらに小さな粒度がさらに良好な磨耗耐性を提供する。表面安定化処理合金のような一部の合金系では、粒度が小さければ小さいほど良好な腐食耐性が提供される。従って、粒度及び構造を誂えるのにBPPを使用して所望の程度の磨耗耐性又は所望の程度の腐食耐性を達成することができる。
【0061】
負の電流パルスは亀裂402又は空隙404を生じることなく、さらに均質な堆積物を明らかに製造する。
【0062】
この品質の改善に加えて、負の電流パルスは、そのほかの方法を越えて追加の利点を提供する。負のパルスの電流密度は、堆積の間の任意の時間、従って堆積物の厚さ全体にわたって任意の空間的位置にて、容易に変化することができる。このことによって、粒度が堆積物の厚さ全体にわたって制御される勾配化した微細構造を創るのが可能になる。二極パルスによって一定の槽温度によって微細構造の制御を可能にし、それによって槽温度を変化させる時間及びエネルギーの浪費を回避する。同様に、図13に示されるように、1つの粒度の層1302が第2の異なった粒度の第2の層1304と交互に起きる層を成す構造も可能である。隣接する層間での粒度における差異は、ほとんど目立たない(プラス又はマイナス1ナノメートル)ものから50ナノメートル以上大きいものであることができる。さらに、異なった粒度の領域は、1308でのように離れた又は突然のではなく、1306でのように連続的に勾配をかけることができる。これらの概念は、堆積物の厚さ並びに円滑に勾配がかけられた及び層を成す成分を持つ堆積物を介した粒度変動の均一な、交互の、積層構造の、不規則なパターンを含む層を成す及び勾配をかけた堆積物のいかなる組み合わせにも適用される。二極パルスを用いて、槽に化学物質を添加する必要がなく、厚さ(その逆でさえ)全体を通した粒度要件を一般に高める又は減らす同一の液体で異なった電極上での順次堆積物を製造することができる。二極パルスは、あらゆる所望の微細構造に対して単一温度で1つの液体組成を必要とすることによって電着工程を簡略化している。この利点によって、槽温度及び組成の変化が費用のかかる停止時間を創る工業的規模の操作で時間と金が節約される。
【0063】
堆積物の組成と粒度の間に直接的な関係があるので、堆積物の厚さ全体にわたって粒度を変化させることについて上記で言われたことはすべて組成にも適用される。従って、粒度ではなく組成が設計者にとって優先的な関心であれば、そのときは、目的物は、具体的に誂えられた組成の勾配又は層構造によって作製することができる。
【0064】
上述のように、ナノ結晶金属の磁気特性は、従来の微細結晶金属で可能であるものよりも透過性と飽和磁束密度との高い組み合わせを示す。これらの特性は軟磁性の適用にとって重要であり、粒度がナノ規模に低下するにつれて高められる。二極パルスを用いて、そのようなナノ構造化された合金を製造してこれらの特性を活用することができる。二極パルスを用いて、所望の構造及び特性の生体適合性の塗膜を伝導体上に載せてもよい。
【0065】
商業的適用
粒度制御を達成するための二極パルスの開示された方法は、制御された方式で正と負の間を反転する正及び負の電流の性能及び能力を備えた電源を付けて、既存の電着産業のいずれにおいても使用することができる。前の項で概説したように、BPPは、結晶の大きさに勾配をつける現在の方法に比べて複雑な状態なしで、勾配のついたナノ結晶の大きさを有する電着物を巧みに処理する能力を追加する。たとえば、堆積物は、基板界面では相対的に大きな(マイクロ結晶の)粒度を有すればよく、表面では粒度は単一のナノメートル規模に連続的に低下すればよく、2ナノメートル以下の極度に小さなサイズに低下さえしてもよい。この種の塗膜は、ナノ規模の結晶塗膜の優れた磨耗耐性及び腐食耐性を提供し、均一なナノ結晶の堆積物に比べて改善された耐久性及び表面下の堅牢性を持つ。
【0066】
BPPはまた、費用のかかる及び複雑な液温制御及び化学制御の必要性を減らすことによって電着工程を簡略化する。このことは、様々な化学薬品の必要性による予測費用の困難さを減らし、同一の液体から広く異なるマイクロ構造及びナノ構造が堆積されることを可能にすることによってめっき操作の柔軟性を高める。さらに、図12で証拠付けられた特定の場合では、堆積物の品質を大いに改善することができた。この品質の改善はそれ自体、堆積後の表面仕上げの要件の減少及び改善された侵食/腐食に表れる。
【0067】
BPPは、Ni−Wの系で実行に移されている。それはまた、ニッケル・モリブデン(Ni−Mo);ニッケル・リン(Ni−P);ニッケル・タングステン・ホウ素(Ni−W−B);鉄・モリブデン(Fe−Mo);鉄・リン(Fe−P);コバルト・モリブデン(Co−Mo);コバルト・リン(Co−P);コバルト・亜鉛(Co−Zn);鉄・タングステン(Fe−W);銅・銀(Cu−Ag)、コバルト・ニッケル・リン(Co−Ni−P);コバルト・タングステン(Co−W);及びクロム・リン(Cr−P)を含むが、これらに限定されない、組成と粒度の間に関係を示すそのほかの電着多成分方式に広く適用できる。この工程は、塗膜塗布に役立つだけでなく、厚い、自立する嵩高い大きさのナノ結晶の構造化成分の製造にも役立つ。
【0068】
一般に、前述のことは、負のパルス成分の振幅を変化させることによって極性比を変えることを説明してきた。上記で行ったような負の電流密度の振幅だけを変化させる代わりに、正のパルスの持続時間(tpos)に対して負のパルスの持続時間(tneg)を変化させることによって極性比を変え、類似する結果を達成することができる。さらに持続時間及び振幅の双方を変化させることができる。それらがもはや、図5で模式的に説明したような方形波ではなくなるように、正のパルスと負のパルスの形状を変えることも可能である。負のパルスの重要な定量は極性比である。
【0069】
では次に、種々の方式についての堆積物の極性比と粒度の間の関係をもっとよく検討して、以下でNi−Wの系を議論する。極性比の関数としての粒度を示す複合補助方程式の傾きは、図11に示されるように一般に正であり、主として相対的に大きな極性比は相対的に大きな粒度を生じる。図11は、Ni−Wの系に類似して挙動する一般的な系についての関係を示す。図10は、表1にて上記で議論されたNi−Wの系からのデータを示す。極性比の関数としての粒度を説明する方程式はそれ自体複合補助方程式であり、その性質についての別の2つの関係:1)極性比の関数として堆積された電気的に活性のある物質の比率を説明する関係、及び2)堆積された電気的に活性のある物質の比率の関数として粒度を説明する関係に依存する。
【0070】
あらゆる系について、極性比の関数として堆積された電気的に活性のある物質の比率を説明する関係は、相対的に大きな極性比(だから、正に比べた、負の電流密度の相対的に大きい絶対値)については、堆積物中の電気的に活性のある物質の比率が相対的に小さくなるように、一般に負の傾きと共に、一般に図6で示されるとおりである。図14は、表1で前述したようなNi−Wの系についてこの関係を示す。
【0071】
それに対して、異なった系については、堆積された電気的に活性のある物質の比率の関数としての粒度を説明するそのほかの特徴的な関係は、正の傾き又は負の傾きのいずれかを有しうる。従って、極性比の関数としての粒度を説明する関係の傾きの記号、及びその大きさは、当該する系についての電気的に活性のある物質の比率の関数としての粒度を説明する関係の傾きの記号及び大きさに依存する。
【0072】
上述のNi−Wの系については、図7及び図15を参照して一般に示されるこの関係の傾きの記号は、一般に負であり、変化する。従って、極性比の関数としての粒度を説明する複合補助方程式の傾きは、図11で示されるように一般に正である。
【0073】
図8を参照して一般に示される、電気的に活性のある物質の比率の関数としての粒度を示す関係の傾きの記号は一般に正であり、変化する系も存在する。従って、極性比の関数としての粒度を説明する複合補助方程式の傾きは、図16で示されるように一般に負である。そのような系の例は、Cu−Agの系であってもよい。
【0074】
この記述に時点では、関係が一般に正の傾きと共に曲線性を有する図8、又は関係が一般に負及び変化する傾きと共に曲線性を有する図7に示されるような、堆積物中の電気的に活性のある要素の比率の関数としての粒度を関係付ける特に、特徴的な曲線の一般的な形状及び傾きに関する知識は多いわけではない(曲線が粒度の関連する範囲にわたって直線に近似することがあってもよいことに留意のこと)。
【0075】
しかしながら、この領域での仕事がさらに進めば、さらにそのような関係が判ってくるであろう。いったん判れば、本明細書で教示される一般原理を適用することができ、関係を、図6に示されるように極性比の関数として堆積された電気的に活性のある要素の比率を示す関係と組み合わせることができ、図11(正の傾き)又は図16(負の傾き)で示されるように極性比の関数としての粒度を示す複合補助方程式に到達することができる。
【0076】
変異
前述のことが、液体化学及びめっきパラメータを含めてNi−Wについての特定の2種系を議論したが、本発明の範囲は、この点に限定されない。複数の液体化学の変異及びめっきパラメータを、高度に制御されたナノ結晶の構造を有する電着2種合金に使用することができる。
【0077】
液体は、一般に上記を槽と呼んでいる。液体は、閉鎖容器中の液体の静止体でなくてもよい。液体は、たとえば管路を介して流れていてもよく、又は電極で発射される噴流としての大気を介した蒸気であってもよい。槽に関する上記の議論はすべてそのような移動液体組成物にも適用することができる。電極の一方又は双方が管路であることができ、それを介して又はその周りで液体が流れる。
【0078】
本発明はまた、制御されたナノ結晶の構造と共に電着することができるそのほかの金属の系も包含する。これらの系は2種合金でなくてもよいが、要素の3種以上の組み合わせであることができる。水溶液から電着される結晶性金属(ナノ結晶及びマイクロ結晶、その双方共関連する)を議論している十分な文献が存在する。本発明の技法は、ニッケル・モリブデン(Ni−Mo);ニッケル・リン(Ni−P);ニッケル・タングステン・ホウ素(Ni−W−B);鉄・モリブデン(Fe−Mo);鉄・リン(Fe−P);コバルト・モリブデン(Co−Mo);コバルト・リン(Co−P);コバルト・亜鉛(Co−Zn);鉄・タングステン(Fe−W);銅・銀(Cu−Ag)、コバルト・ニッケル・リン(Co−Ni−P);コバルト・タングステン(Co−W);及びクロム・リン(Cr−P)を含むが、これらに限定されないそのような系に適用することができると考えられている。水溶液中に少なくとも2つの金属塩を提供することができるそのほかの系も可能である。
【0079】
非水性の、アルコール、HCl(液体塩化水素)及び溶融塩を含むが、これらに限定されないそのほかの種類の溶液も可能である。溶融塩の槽が使用されるなら、操作温度は、水性槽よりも高くてもよい。
【0080】
図5にて波形について示された形状は一般に方形波である。波は方形でなくてもよい。一般に、正弦波、余弦波、のこぎり波などを含む電気的領域(ゼロ)に比べて、正のレベルと負のレベルの間を変化する形状のいずれかであることができる。極性比は、ゼロより大きく1未満でなければならない堆積の間の重要なパラメータである。その大きさは、堆積物における電気的に活性のある物質の比率を支配し、言い換えれば、堆積物中の粒度を支配する。
【0081】
別の重要な検討材料は、2より多くの成分を有する系の挙動である。負の極性が適用された電流の影響下で結晶構造を形成することから優先的に除かれる要素が未だに存在する。通常、これは、最高の酸化電位を持つ要素である。次に高い酸化電位を持つ要素も、液体組成及び種々の成分の酸化電位における差異のような系の詳細に依存する程度に、ある程度、結晶から除かれる。
【0082】
前述の多くは、単一堆積物又はバルク堆積物という点で堆積物を考察する。本発明にとって非常に有用な適用は、他の基材上での塗膜としてである。たとえば、ナノ結晶の金属堆積物は、この記述の時点では、硬質クロム塗膜が使用されるのとほぼ同じ方法で使用するために基材上の塗膜として配置されうる。そのような硬質金属塗膜を用いて、磨耗、摩滅及び腐食への耐性を確立することができる。そのような塗膜を用いて、艶出し、反射性、酸化に対する色保護、生体適合性などを含むが、これらに限定されない所望の表面特性を確立することができる。
【0083】
本明細書で開示された本発明を適用することができる別の商業的用途は、機械工具の成分、及びある種の再建を必要とするそのほかの成分を再加工する又は再建するためである。そのような工具は使用中に磨り減り、種々の寸法でさらに小さくなる。そのうち、それらは、その用途に合わなくなる。その工具を電極基材として用い、元々の目的で又は場合によっては、同様に関連した、しかし、異なる目的で再び使用できるサイズや寸法に基材を戻す程度に基材に金属を電気めっきすることによって、それらを元々の又は好適な寸法に再建することができる。基本的に、電気めっき操作は、所望の表面形状、又は認容性を達成し、有用になる程度に磨耗した部分の体積を増やす。
【0084】
本発明の方法に従って達成されるナノ結晶の粒構造による塗膜は、鉄鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、真鍮、及び電気伝導性の表面を持つプラスチック基材でさえも含むが、これらに限定されない、広範囲の金属基材に適用することができる。
【0085】
工程の制御
粒度に対して利用可能な制御の程度は、系及び選択された粒度それ自体に依存する。一般に、工程の設計者及び操作者は、相対的にさらに小さな粒度に対してさらに正確な制御を有する。Ni−Wに類似し、堆積物の比率の関数としての粒度を定義する関係が図7で示されるように一般に負の傾きを有する場合、及び図8で示されるように反対に正の傾きを有し、Ag−Cu又は類似の系を説明すると考えられる場合の双方については、相対的にさらに小さな粒度を持つ本発明の最も正確な使用に対してほとんど可能性がある。
【0086】
これは、双方の場合について通常、さらに小さい粒度について傾きの大きさは相対的に低いからである。同等に述べれば、粒度に対する電気的に活性のある要素の比率を関連付ける関数の第1の導関数の大きさは、さらに小さな粒度についてさらに小さい(絶対値で)。たとえば、図7に示される負の傾きの場合を取り上げると、相対的にさらに小さい粒度については、相対的にさらに大きな粒度と比べて、粒度における変化は電気的に活性のある要素の比率における変化に対して相対的に敏感ではない。従って、実行者は、電気的に活性のある要素の比率の標的パラメータを達成するのに正確でなくてもよいが、依然として所望の粒度に釘付けである。負の傾きに依存性である場合については、さらに堅固な制御のこの領域は、一般にさらに高い比率の電気的に活性のある要素と共に生じる。それに対して、さらに低い比率の電気的に活性のある要素については、粒度の変化は、比率における相対的に小さな変化に対して劇的である。
【0087】
正の傾きに依存性である場合については、図8を参照して示されるように、さらに堅固な制御のこの領域は、一般にさらに低い比率の電気的に活性のある要素と共に生じる。それに対して、さらに高い比率の電気的に活性のある要素については、粒度の変化は、比率における相対的に小さな変化に対して劇的である。傾きの大きさにおけるこの差異は、示された場合に存在する。しかしながら、この一般化が適用できない一部の系があり、傾きは、小さな粒度から大きな粒度まで一般に一定である。それらの場合、制御は粒度に依存せず、他の因子が制御の課題を支配する。
【0088】
粒度の比率に対する依存は、極性比の関数としての粒度を示す複合補助方程式の一部にすぎない。しかしながら、極性比の関数としての電気的に活性のある物質の比率を示すその関係のほかの部分は、さらに良好な制御のそれ自体の領域を有し、それは曲線の形状及び位置に依存する。たとえば、図6に示されるように、設計者は、比率の尺度のさらに低い範囲で電気的に活性のある要素の比率に対してさらに良好な制御を有し、その際、曲線は、傾きが非常に大きく負であるさらに高い比率の範囲に比べて、相対的に小さく(絶対値)且つさらに一定の傾きを有する。
【0089】
部分要約
本明細書で開示され、説明される本発明は、基材上にナノ結晶合金を堆積する方法、そのような堆積された合金を組み入れる製品、並びに所望の粒度を達成するための物質選択及び電極電圧の供給のパラメータを決定する方法を包含する。
【0090】
従って、本文書は、多数の関連する発明を開示する。
【0091】
本明細書で開示される発明の1つは、少なくとも2つの要素を含む、そのうちの1つは大部分電気的に活性があり、その少なくとも1つは金属である系の合金を堆積する方法である。そのような合金堆積物は、特定されたナノ結晶の平均粒度を有する。該方法は、少なくともその要素の一つが金属であり、少なくともその要素の一つが大部分電気的に活性がある系の少なくとも2つの要素の溶解された種を含む液体を提供する工程と;異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源に連結された、液体における第1の電極と第2の電極を提供する工程と;第2の電極で特定された粒度の堆積物を達成するために電源を駆動し、非定数の電位が異なった時間で正の極性及び負の極性を有し、その時間と極性が極性比を特徴付ける工程を含む。
【0092】
電源を駆動する工程は、特定され、電着された粒度を相当する極性比に関連付ける補助方程式を参照して選択された極性比を確立するために電源を駆動することを含んでもよい。補助方程式はまた、粒度の変化を極性比の変化に関連付ける傾き情報も含んでもよい。
【0093】
好ましい実施態様の1つによれば、先ず、傾き情報が指標粒度にて正の傾きを示す場合については:特定された粒度について、i)指標粒度より相対的に大きい、指標粒度に相当する極性比より相対的に大きい極性比を使用し;及びii)指標粒度より相対的に小さい特定された粒度について、指標粒度に相当する極性比より相対的に小さい極性比を使用する。他方では、傾き情報が指標粒度にて負の傾きを示す場合については:i)指標粒度より相対的に大きい特定された粒度について、指標粒度に相当する極性比より相対的に小さい極性比を使用し、及びii)指標粒度より相対的に小さい特定された粒度について、指標粒度に相当する極性比より相対的に大きい極性比を使用する。この実施態様によれば、相対的に小さい極性比を使用することは、負の極性にて相対的に少ない時間を使用することを含む。或いは、相対的に低い絶対値の振幅の負の極性を使用すること、又は双方を含む。同様に、相対的に大きい極性比を使用することは、負の極性にて相対的に多くの時間を使用することを含む。或いは、相対的に高い絶対値の振幅の負の極性を使用すること、又は双方を含む。
【0094】
関連する好ましい実施態様のさらに別のセットによれば、電源を駆動する工程は、正弦波又は方形波を生成するために電源を駆動することを含んでもよい。
【0095】
関連する実施態様と共に、電源を駆動する工程は、非定数の電位によって電源を駆動することを含んでもよく、堆積の間に供給される極性比は、特定され、電着された粒度を活性のある要素の堆積物における比率に関連付ける補助方程式、及び活性のある要素の堆積物における相当する比率を堆積の間に供給される極性比に関連付ける補助方程式を参照して決定されている。
【0096】
そのような実施態様のバージョンの1つによれば、非定数の電位によって電源を駆動することは、堆積の間に供給される極性比が、特定された粒度に相当する活性のある要素の比率を同定すること、及び特定された電着粒度に相当する活性のある要素の同定された比率に相当する極性比を同定することによって決定されている場合に実行される。
【0097】
そのような方法の変形の1つについては、補助方程式に基づいてその指標組成に相当する極性比よりも相対的に大きい極性比を用いることによって指標組成におけるその要素の比率よりも相対的に大部分活性のある要素の相対的に低い比率を有する電着物の組成を達成するために;及びその指標組成に相当する極性比よりも相対的に低い極性比を用いることによって指標組成におけるその要素の比率よりも相対的に大部分活性のある要素の相対的に大きい比率を有する電着物の組成を達成するために、電源が駆動される。
【0098】
本発明のさらに別の実施態様は、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、要素の少なくとも1つが金属である、少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であり、合金堆積物は、特定されたナノ結晶の平均粒度を有する。該方法は、要素の少なくとも1つが金属であり、要素の少なくとも1つが大部分電気的に活性がある少なくとも2つの要素の溶解された種を含む液体を提供する工程と;異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源に連結された、液体における第1の電極と第2の電極を提供する工程と;第2の電極で特定された粒度の堆積物を達成するために電源を駆動し、非定数の電位が異なった時間で正の極性及び負の極性を有する工程を含む。極性比は、堆積物の電着された平均粒度を堆積物における大部分電気的に活性のある金属の比率に関連づける第1の補助方程式;及び堆積物における大部分電気的に活性のある金属の比率を堆積の間の極性比に関連付ける第2の補助方程式を参照して決定される。
【0099】
この実施態様のバージョンの1つのと共に、電源を駆動する工程は、特定された平均粒度を少なくとも1つの指標粒度と比較する工程と、第1の補助方程式を用いて、特定された粒度に相当する堆積物中の活性金属の比率を同定する工程と、相当する活性金属の比率を活性金属の少なくとも1つの指標比率と比較する工程と、第2の補助方程式を用いて、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率に相当する極性比を同定する工程と、電源を駆動して、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率に相当する、同定された極性比を確立する工程を含む。
【0100】
第1の補助方程式は、特定された粒度と大部分活性のある金属の比率との間に明白な対応を含んでもよい。
【0101】
第1の補助方程式は、特定された粒度とは異なる指標粒度と、活性のある金属の比率との間に明白な対応を含んでもよく、且つ、粒度の変化を大部分活性のある金属の変化に関係付け、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率を引き出すのを可能にする傾き情報も含んでもよい。
【0102】
また、本発明のこの実施態様によれば、第2の補助方程式は、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率と極性比との間に明白な対応を含んでもよい。
【0103】
この実施態様の代替的バージョンは、第2の補助方程式が、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率とは異なる大部分活性のある金属の指標比率との間に明白な対応を含み、且つ、大部分活性のある金属の比率の変化を極性の変化に関連付け、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率に相当する極性比を引き出すのを可能にする傾き情報も含んでもよい。
【0104】
本明細書で開示される発明のさらに別の実施態様は、電極にて堆積するためのパラメータを決定する方法であり、系の合金は、少なくとも2つの要素を含み、そのうちの1つは大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つは金属である。金属堆積物は、特定されたナノ結晶の平均粒度を有する。堆積は、そこに合金が堆積する第1の電極と第2の電極を使用する。電極は、要素のうちの少なくとも1つが金属であり、そのうちの少なくとも1つが大部分電気的に活性がある、系の少なくとも2つの要素の溶解された種を含む液体中に存在する。電極は、異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源によって駆動される。パラメータを決定する方法は、系の少なくとも2つの要素の溶解された種を含む槽組成物を選択する工程と、比率の関数として平均粒度を表現する補助方程式に基づいて特定された粒度に相当する堆積組成物における大部分活性のある要素の比率を決定することによって堆積中の電極に供給するための極性比を決定する工程と、極性比の関数として比率を表現する補助方程式に基づいて特定された粒度に相当する比率に相当する堆積物中に供給された極性比を決定する工程を含む。
【0105】
さらに別の好ましい実施態様では、開示される本発明は、電極にて堆積するためのパラメータを決定する方法であり、系の合金は少なくとも2つの要素を含み、そのうちの1つは大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つは金属であり、堆積は、そこに合金が堆積する第1の電極と第2の電極を使用し、電極は、要素のうちの少なくとも1つが金属であり、そのうちの少なくとも1つが大部分電気的に活性がある、系の少なくとも2つの要素の溶解された種を含む液体中に存在し、電極は、異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源によって駆動される。パラメータを決定する方法は、少なくとも2つの要素の溶解された種を含む槽組成物を選択する工程と、供給された極性比の関数として粒度を表現する補助方程式に基づいて特定された粒度に相当する、堆積中の電極に供給するための極性比を決定する工程とを含む。
【0106】
別の好ましい実施態様によれば、本発明は、少なくとも2つの要素を含む金属合金の製品であり、該製品は、第1の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第1の層領域;及び第1の層領域に隣接し、それと接触した、第2の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第2の層領域を含み、第2の粒度は第1の粒度とは異なる。この実施態様と共に、製品は、既存の亀裂の伝播以外の現象によって支配される故障モードを呈する。
【0107】
同様の実施態様は、亀裂の開始及び亀裂ではなく既存の空隙の伝播以外の現象によって支配される故障モードを呈する。
【0108】
関連する好ましい実施態様は、さらに、変異領域が第1の位置にて第1の平均粒度を有し、それから間隔を空けて第2の位置にて変異領域が第2の異なった平均粒度を有し、第1の位置と差異2の位置の間で平均粒度を変化させるように、層領域の1つが平均粒度における変異と共にナノ結晶構造を有する製品をさらに必然的に伴う。
【0109】
本発明の同様の実施態様は、少なくとも2つの要素を含む金属合金の製品であり、該製品は、変異領域が第1の位置にて第1の平均粒度を有し、それから間隔を空けて第2の位置にて第2の異なった平均粒度を有し、第1の位置と差異2の位置の間で平均粒度を変化させるように、平均粒度における変異と共にナノ結晶構造を有する領域を含む。さらに、製品は、既存の亀裂からの亀裂の伝播以外の現象によって支配される故障モードを呈する。
【0110】
同様の実施態様は、亀裂の開始及び亀裂ではなく既存の空隙の伝播以外の現象によって支配される故障モードを呈する。
【0111】
さらに別の実施態様については、本発明は、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属である少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であり、金属堆積物が、第1の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第1の層領域と、前記第1の層領域に隣接してそれと接触した、第2の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第2の層領域を有し、第2の粒度は第1の粒度とは異なる。方法は、要素の少なくとも1つが金属で、要素の少なくとも1つが大部分電気的に活性がある、系の少なくとも2つの要素の溶解された種を含む液体を提供する工程と;異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源に連結された、液体における第1の電極と第2の電極を提供する工程と;第2の電極で第1の特定された粒度の堆積物を達成するために第1の時間の間、電源を駆動し、非定数の電位が異なった時間で正の極性及び負の極性を有し、その時間と極性が第1の極性比を特徴付ける工程と;第2の電極で第2の特定された粒度の堆積物を達成するために第2の時間の間、電源を駆動し、非定数の電位が異なった時間で正の極性及び負の極性を有し、その時間と極性が第1の極性比とは異なる第2の極性比を特徴付ける工程を含む。
【0112】
関連する実施態様によれば、層領域の1つは、変異領域が第1の位置にて第1の平均粒度を有し、それから間隔を空けて第2の位置にて変異領域が第2の異なった平均粒度を有し、第1の位置と差異2の位置の間で平均粒度を変化させるように、層領域の1つが平均粒度における変異と共にナノ結晶構造を有する領域を含む。第2の時間の間、電源を駆動する工程はさらに、異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する非定数の電位によって電源を駆動することを含み、その時間及び極性が、異なった平均粒度の範囲に相当する非定数の極性の範囲を特徴付ける。
【0113】
本発明のさらに別の実施態様は、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属である少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であり、該方法は、系の溶解された要素を含む電気めっき液を提供する工程と、第1の極性比を特徴付ける非定数の電位によって第1の時間の間、電極を駆動する工程と、第1の極性比とは異なる第2の極性比を特徴付ける非定数の電位によって第2の時間の間、電極を駆動する工程を含む。
【0114】
本発明の別の実施態様によれば、方法は、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属である少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積するためであり、堆積物が第1の位置にて第1の平均粒度を有し、それから間隔を空けて第2の位置にて堆積物が第2の異なった平均粒度を有し、第1の位置と差異2の位置の間で平均粒度を変化させるように、金属堆積物が平均粒度で変異を有する。該方法は、要素の少なくとも1つが金属で、要素の少なくとも1つが大部分電気的に活性がある、系の少なくとも2つの要素の溶解された種を含む液体を提供する工程と;異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源に連結された、液体における第1の電極と第2の電極を提供する工程と、異なった時間で正の極性及び負の極性を有する非定数の電位によって電源を駆動し、その時間と極性が異なった平均粒度の範囲に相当する非定数の極性比の範囲を特徴付ける工程を含む。
【0115】
本発明のもう1つの実施態様は、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属である少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法である。該方法は、系の要素を含む電気めっき液を提供する工程と、電源に連結された、液中の第1の電極及び第2の電極を提供する工程と、異なった平均粒度の範囲に相当する非定数の極性比の範囲によって特徴付けられる時間の間、電源を駆動する工程を含む。
【0116】
本明細書で言及される方法発明のいずれかの好ましい実施態様は、堆積物が基材上の塗膜又はいずれの電極からも自立している目的物を含む方法を包含する。塗膜は装飾的であってもよく、及び/又は摩擦、腐食に対して保護してもよく、及び/又は硬質のクロム塗膜として機能してもよい。基材は、鋼鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、真鍮、多数の金属、又は電気伝導性の表面を有するプラスチックを含んでもよい。
【0117】
これらの変異を含む補助方程式のいずれかについては、第1及び第2の補助方程式の少なくとも一方が、連続関数、表、数式、点及び傾き情報、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0118】
本明細書で言及される製品発明のいずれかの好ましい実施態様は、堆積物が基材上の塗膜またはいずれの電極からも自立している目的物を含む製品を包含する。塗膜は装飾的であってもよく、及び/又は摩擦及び/又は腐食に対して保護してもよく、及び/又は硬質のクロム塗膜として機能してもよい。基材は、鋼鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、真鍮、多数の金属、又は電気伝導性の表面を有するプラスチックを含んでもよい。
【0119】
本発明の多数の技法及び側面が本明細書に記載されている。当業者は、これらの技法の多くは、たとえそれらが共に使用することにおいて具体的に記載されていなかったとしても、開示されたほかの技法と共に使用できることを理解するであろう。たとえば、層を成す実施態様はそれ自体、層の内部で粒度を変化させながら勾配をかけることができ、又は層から層へ粒度を変化させながら別個の層として配列させることができる。電気信号の負の部分の持続時間若しくは振幅、又はその両方を変化させることによって異なる極性比を達成することができる。補助方程式は、たとえば、関数又は密に詰まった表のように連続的であることができ、又は連続性が低くなることができ、及びそれらは、それらの範囲の一部で高度に連続的であり、そのほかの部分ではさほど連続的ではないことがありうる。塗膜は、列記された特性すべて及びそのほかの理に適った望ましい特性の任意の組み合わせにおいて、たとえば、摩擦耐性や装飾性のような1より多くの特性を有してもよい。記載された塗膜の方法は、パラメータを選択する記載された方法と共に、又は有用な結果を達成するパラメータを選択するそのほかの方法と共に使用することができる。得られる最終製品は、基材を保持してもよく、又は全体的に塗膜であってもよく、基材は幾つかの適当な方法によって取り除かれる。塗膜は、製品の他の部分について、たとえば、本発明に従って形作られたナノ結晶領域の内側又は外側について、ナノ結晶規模よりも大きい平均粒度を有する塗膜と共に使用されてもよい。
【0120】
本開示は1より多くの発明を記載し、開示する。本発明は、出願されるときだけでなく、本開示に基づいた特許出願を遂行する間に展開されるときも、本文書及び関連文書のクレームにおいて述べられる。本発明者らは、順次決定されるように、従来技術によって許可された限定に対して種々の発明のすべてを主張することを意図する。本明細書に記載される特徴は、本明細書で開示される各発明に対して必須ではない。従って、本発明者らは、本明細書で記載されたが、本開示に基づいた特許の特定のクレームで請求されない特徴は、そのようなクレームに組み入れられるべきではないことを意図する。
【0121】
ハードウエアの一部の組み合わせ又は工程の群を本明細書では発明と言う。しかしながら、これは、特に、1つの特許出願又は発明の単一性で検討されるであろう発明の数に関して法律及び規制によって熟慮されるとき、そのような組み合わせ又は群が必然的に、特許可能に区別可能な発明であるという承認ではない。発明の実施態様を言う近道であることが意図される。
【0122】
ここに要約が提出される。本要約は、審査官及びそのほかの探索者が技術的開示の主題を迅速に確認できるようにする要約を必要とする規則に従うように提供されていることが強調される。特許法によって約束されているように、クレームの範囲又は意味を解釈する又は限定するためにそれが使用されないという理解と共にそれは提出される。
【0123】
前述の議論は、説明として理解されるべきであって、いかなる意味においても限定することを考慮すべきではない。本発明が、その好ましい実施態様を参照して特に示され、記載される一方で、クレームによって限定される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における種々の変更が行われてもよいことが当業者によって理解されるであろう。
【0124】
以下のクレームにおけるあらゆる手段又は工程プラス機能の要素の相当する構造、物質、作用及び同等物は、具体的に請求されるようなそのほかの請求された要素と組み合わせて機能を実行するためのいかなる構造、物質又は作用も含むように意図される。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】横軸における液温の関数としての縦軸における粒度を示すグラフによる説明である。
【図2A】電気めっきの従来技術の方法における直流波形の模式的表現である。
【図2B】電気めっきの従来技術の方法における単極パルス(UPP)電流の波形の模式的表現である。
【図3】本発明の方法を実践するのに好適な装置発明の模式的説明である。
【図4】液温制御を用いて堆積された金属フィルムの断面の走査電子顕微鏡像の模式的表現である。
【図5】本発明の方法で使用するための二極パルス(BPP)電流の波形の模式的表現である。
【図6】関連するあらゆる系について示すような、横軸に示される極性比の関数としての、縦軸に示される要素の比率の、負の変動する傾きを有する一般的関係を示すグラフによる説明である。
【図7】一般に負で、変動する傾きを有する、要素の比率の関数としての縦軸上の堆積物の粒度を示すグラフによる説明である。
【図8】あらゆる位置で正の、変動する傾きを有する、横軸で示される電気的に活性のある要素の比率の関数としての縦軸上の粒度の一般的関係を示すグラフによる説明である。
【図9】Ni−W系の電着に関する極性比の上昇する値についてのX線回折パターンのグラフによる表現である。
【図10】Ni−Wの系に関する横軸上の極性比の関数としての縦軸上の粒度を示すグラフによる説明である。
【図11】種々の度合いの一般に正の傾きを有する、横軸上の極性比の関数としての縦軸上の粒度を示す一般的な関係のグラフによる説明である。
【図12】その方法発明のBPP制御により堆積された金属フィルムの断面の走査電子顕微鏡像の模式的表現である。
【図13】本発明の方法に従って作製され、異なった平均粒度を持つ隣接層、及びその厚さを介した勾配平均粒度を有するさらに大きな層を有する堆積物の断面の模式的表現である。
【図14】Ni−Wの系に関する横軸上の極性比の関数としての縦軸上の電気的に活性のある要素Wの比率を関連づけるグラフによる説明である。
【図15】Ni−Wの系に関するWの比率の関数として粒度を関連付ける実験データを示すグラフによる表現である。
【図16】図8で示されるような比率関係の関数としての粒度を有する系、及び図6で示されるような極性比関係の関数としての比率から生じるような、図10で示されるのと一般に相対する傾きを有する、横軸上の極性比の関数としての縦軸上の粒度の一般的な関係を示すグラフによる説明である。
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される発明は、適用された電流波形の形状を使用して堆積物の粒度及び組成を制御することである。
政府の権利
米国政府は、米国陸軍研究所契約/助成金#DAAD19−03−1−0235に従って本発明において特定の権利を有する。
【0002】
クレームに先行した部分的な要約を以下に提供する。
【0003】
本明細書にて開示された本発明は、以下の説明、添付のクレーム及び添付の図面に関連して理解されるであろう。
【背景技術】
【0004】
序論
ナノ結晶の金属は、大きさでナノメートルから1ミクロンの桁における粒度を特徴とする。そのひときわ優れた特性の組み合わせのために、これらの物質の研究に多大な尽力が注がれている。機械的設計で関心が持たれる耐力は、粒度が低下するにつれて耐力が増大するように、反比例して粒度に連鎖する。ナノ結晶の金属の研究に対する動機付けの1つは、粒度を原子長に近い大きさに低下させてこの傾向を活用することである。実際、ナノ結晶の金属はマイクロメートルの大きさより大きい結晶(マイクロ結晶)の対応物よりもはるかに高い耐力を提供し、この強度の増大と共に、ナノ結晶金属は、そのほかの利益、たとえば、耐久性の向上、並外れた腐食及び磨耗耐性、並びに望ましい磁気特性を提供することができる。
【0005】
ナノ結晶金属の磁気特性は、従来のマイクロ結晶金属で可能なものよりも高い、透過性と飽和磁束密度の組み合わせを示すことができる。これらの特性は、軟磁性適用にとって重要であり、粒度がナノ規模に低下するにつれて増大する。
【0006】
本明細書及びそれに添付のクレームで使用されるとき、ナノ結晶は、1000nmまでの平均粒度を有する結晶構造を意味すべきである。また、特に指示されない限り、粒度が本明細書及びクレームで言及される場合、平均粒度が意味される。
【0007】
ナノ結晶金属を加工することは、それらが必然的に均衡とは程遠い微細構造を呈するので難題であるとみなされる。種々の方法を用いてナノメートルの大きさに粒度を純化しようとしてきたが、その最も重要なものは、厳しいプラスチックの変形、ナノ結晶粉末の圧密及び電着である。
【0008】
圧密方法は、否応なく不純物を物質に取り込み、望ましくない。圧密方法は、圧密された焼成粉末から形成することができる形状にも限定され、形状が限定される。危険なプラスチック変形方法を実践するには、相対的に大量のエネルギーを必要とする。さらに、それらは工業的規模に規模拡大しにくく、一般に、コストの有意な増大なしでナノ結晶範囲での微細な粒度を生じることはできない。
【0009】
電着はこれらの欠点に悩まされることはない。塗膜の適用については、電着を用いて現実にいかなる形状の伝導性物質上にも金属をめっきして、ひときわ優れた表面特性を得ることができる。電着はまた一般に、高純度の物質を生じる。電着加工は規模拡大でき、相対的に低いエネルギーを必要とする。これらの特徴によって、技術的視点のみならず、経済的視点からも工業的規模の操作にとってそれが理想的な選択となっている。
【0010】
これらの利点に加えて、電着は、粒度の制御に対して幾つかの手段も提供する。加工における幾つかの変数を調整して特定された平均粒度の物質を得ることができる。ナノ結晶金属における構造−特性の関係を検討するのに電着が盛んに使用されているのは主としてこの理由のためである。粒度を制御するのに使用されている典型的な変数には、電流密度、液温、及び液体組成が挙げられ、それぞれ得られる堆積物の様相に影響を及ぼす。
【0011】
たとえば、図1を参照して示されるように、幾つかの系では、液温と結晶粒度の間に関係がある。
【0012】
電着では、金属イオンを含有する溶液に配置された陽極と陰極を横切って電位が適用される。電場の影響下で、正の金属イオンが陰極表面に引き付けられ、堆積される溶液中で電流が発生する。陰極で堆積した後、金属原子は、熱力学的に安定な又は準安定な状態に配列する。
【0013】
従来の電着は、陽極と陰極の間で一定の安定した電流を採用し、直流(DC)と呼ばれる。二極パルス電流(UPP)として知られる別の種類の電流も使用されている。この電流パルスは、電流が流れない、周期的な「オフ・タイム」を採用する。これらの2種類の電流をそれぞれ図2A及び2Bで模式的に説明する。通常、特徴的なパルス時間、ton、toffは、0.1〜100msの桁である。このパルスは、堆積物の電流効率、表面レベリング及び応力特性に有益であることが示されている。
【0014】
本発明の方法を実践するのに使用することができる基本的なハードウエアの設定は、図3にブロック図の形態で模式的に示す。容器332は、電解槽のように液体344を含有し、その中に金属イオンのようなナノ結晶金属を形成する成分が見い出される。名目上の陰極電極340及び名目上の陽極電極342が液体344に浸漬され、伝導体358を介して電源352に連結される(示されるように、電極は単純な個々の伝導体である。しかしながら、電極は1以上の電気的伝導体であることができ、互いに平行して電気的に連結することができる)。磁気撹拌器354は、容器332内にある作動部分356を有する。ヒータ348は油槽346に浸漬され、温度コントローラ350によって制御される。電源352は、正及び負の極性パルスの双方を適用することが可能である。それ及び温度コントローラ350及び磁気撹拌器354はすべて、図に示されない単一のコンピュータ化したコントローラによって制御されてもよく、又は人の操作によって支配される個々のコントローラによって制御されてもよい。温度センサー360は液体344の温度を測定する。
【0015】
操作において、名目上の陽極342と名目上の陰極340の間の電源によって電位の差異が適用される。この差異によって液体中のイオンが名目上の陰極340に引き付けられ、その上に堆積される。条件が正しく制御されれば、堆積物の粒度は微細な程度に制御されうる。1以上の陽極が存在してもよい。
【0016】
複数の成分の電着物の粒度は、種々の既知の手段によって制御することができる。文献で使用された最も卓越した方法の1つは、槽温度の正確な制御である。この効果は図1で説明し、他の堆積変数すべてを一定に保持したまま、Ni−Wの系について槽温度の関係の関数としての粒度をグラフで提示する。図1におけるデータは、本発明によって作製されたが、この合金系では周知の傾向を再現する。理解できるように、45℃〜75℃の間の範囲にかけて、粒度は約11.5nmから約2nmに低下する。この曲線の傾き(温度変化で割った粒度の変化)は負であり、温度が上昇するとさらに小さな粒度を生じる。
【0017】
液温を制御することによって粒度を特定できることは真実であるけれども、温度制御に伴って生じる堆積物のそのほかの特徴は望ましくない。具体的には、断面の走査電子顕微鏡を介して証拠付けられた堆積物の肉眼的な品質は、有意な欠点を示している。図4は、直流による槽温度制御のもとで堆積された、特定された粒度と組成を持つ堆積物の断面を示す。
【0018】
この堆積物は、理に適って望まれることができるように(本発明に従って作製される堆積物と関連して以下で説明する)均質ではなく、亀裂402及び空隙404が含まれる。
【0019】
この乏しい均質性に加えて、槽温度制御は、さらなる望ましくない問題に悩まされる。堆積中に槽温度を変えることは、時間の無駄であり、大きな系では多大なエネルギーを消費する。従って、単一の堆積の稼動中、又は1つの稼動から次の稼動への堆積中のいずれかで、重大な困難さなしで粒度及び組成を変えることはできない。だから、単一の堆積物内での粒度に関して勾配とつける又は層を成す微細構造を達成するのは難しい。
【0020】
液温を変化させることよりも一定の液温を維持することの方が通常容易である。従って、液温を変化させることを必要とする制御方法は、それに関連する望ましくない複雑さ及びコストを有する。液温の制御ではなく、又はそれに加えて、従来、液体組成を変化させることによって堆積物の組成及び粒度を変化させることができる。しかしながら、そのようにすることもまた、液体に対する化学変化なしで順次、異なって構成される堆積物を生成することを妨げ、再び複雑さが加わる。液体の組成及び/又はその温度を変化させることは必然的に系を使用しない時間を生じる。これらの使用しない時間は加工にコストを追加する。組成制御を用いた結果は、温度制御を用いた結果とほぼ同様である。
【0021】
従って、DCめっき又はUPPのいずれかを用いてナノ結晶の堆積物を電着することに伴う困難さは、正確に所望してもよいほどの限定の範囲内で粒度を有する堆積物を得ることができないことである。槽の温度又は組成を変化させることは厄介である。さらに、その厚さを介して変化する、特に、亀裂及び空隙が回避されるべきならば、ナノ構造を有する堆積物を製造することはできない。同様に、正確に所望してもよいほどの組成を有する堆積物を得ることはできない。通常、組成の制御は、液体の組成及びその温度に大きく依存し、いったん液体の組成が確立されると、その温度を変化させることによって以外には、堆積物の組成を調整する機会はない又はほとんどない。
【0022】
槽温度及び槽組成の制御に加えて、電流密度もまた、合金堆積物の組成及び粒度を制御するのに使用されることもある。この方法は、粒度(及び組成も)を制御するのに使用することができるが、十分な厚さの均質で、亀裂や空隙のない堆積物を達成する一方で、電流密度の範囲によってそれは本質的に限定される。低い電流密度が遅い堆積速度を生じる一方で、高い電流密度は、高度に圧力のかかった、亀裂及び空隙がある堆積物を生じる。従って、この方法によって達成することができる粒度の範囲は、操作上実用的ではない程度に限定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従って、液体の組成又は液体の温度のいずれかを変化させることなく、堆積物の組成若しくはその粒度のいずれか又はその双方を誂える能力を伴った、ナノ結晶粒度構造を有する金属目的物を製造する方法に対するニーズがある。さらに、温度制御を用いて従来達成されるのよりも空隙及び亀裂の程度が少ない高品質で均質な堆積物を生成するそのような金属目的物を製造する方法に対するニーズがある。また、堆積物内でナノ結晶性の結晶サイズ及び/又は組成に勾配をつける及びその層を成すことを可能にし、さらに空隙及び亀裂を導入することなくそのようにすることを可能にする方法に対するニーズがある。関連するニーズは、さもなければ堆積工程を混乱させないように、相対的に時間的に速く堆積物の組成及び/又は粒度を変化させることを可能にすることである。経済的で、工業的出来高に規模拡大でき、強健である方法に対する追加のニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本明細書で開示される発明は、適用された電流波形の形状を使用して堆積物の粒度及び組成を制御することである。
【0025】
二極波電流を導入することによって、たとえば、特に2以上の化学成分の電着合金において、正及び負双方の電流部分を持つ方形波、ナノ結晶性の粒度を正確に制御することができる。この正確な制御と共に、堆積された金属は、物質のほとんどの実践的適用に必要な優れた肉眼的品質も呈する。
【0026】
本発明は、二極パルス電流(BPP)を使用すべきである。BPPによって、図5に模式的に示すように、正の電流5Pセグメントによって電流がパルスされ、負の電流5Nセグメントによって交替され、その際、名目上の陰極である要素340は、電流が正であれば陽極になり、逆も又同様であるように電位は、絶えず反転される。正電流の間、名目上の陽極であり、負電流の間、名目上の陰極である電極342で反対のことが生じる。瞬間的な「オフ時間」があってもよく、さらに重要なことには、負電流の明確な期間があるけれども、延長した「オフ時間」(ゼロの電流)はなくてもよい。通常、特徴的なパルス時間tpos、tnegは、0.1〜100ミリ秒の桁である。たとえば、正の時間、ゼロの時間及び負の時間、及び再び、正又はゼロを有するパルスを用いて、ゼロ電流の明確な及び測定可能な「オフ時間」もあればよい。
【0027】
tnegの間の負電流の存在は、幾つかの重要な効果を有する。純粋な金属の電着については、負電流を採用することは、堆積物の断面特性における高い点での局所的に強い電流密度のためにその表面積にわたって堆積物を効果的に平らにする。しかしながら、2種又はそれ以上の合金の場合、状況はさらに複雑である。パルスの負の部分の間に、通常、合金の最高の酸化電位(最低の還元電位)を持つ原子は、堆積物から選択的にエッチングされる(溶解される)。この選択的なエッチングは、金属であろうとなかろうと、ほとんどに電気的に活性のある要素に関して生じる。この選択的溶解は、電気的に活性のある要素に関して堆積物の組成の正確な制御(有用な限定の範囲内で)を可能にする。そのほかのものは同等の保持して、負のパルス電流の振幅の絶対値が増大するにつれて、さらに電気的に活性のある要素の堆積物における比率に低下が生じる。
【0028】
本発明者らは、励起波形の2つの成分の比Qを用いて堆積物の組成を制御できるので、その粒度を制御できることを割り出した。これらの成分は、負の極性電流(I−)の時間積分された振幅の絶対値及び正の極性電流(I+)の時間積分された振幅の絶対値であり、
【0029】
【数1】
式中、tは時間であり、方程式1及び方程式2における積分は、それぞれ負電流及び正電流のすべての時間にわたって実行される。本明細書及びクレームで使用されるとき、量Qを極性比と呼ぶ。極性比は、パルス成分の振幅の絶対値という点で定義されるので常に正である。一般に、極性比は、以下で議論する理由で、ゼロより大きく、1未満である。
【0030】
一般的な場合ほとんど、金属目的物の堆積の粒度の制御はわずかなことを必要とする。電着方式は、少なくともそのうちの1つが金属要素である2以上の要素を同時に共堆積しなければならない。金属要素は、大部分電気的に活性のある要素であってもよいが、そうでなくてもよい。本発明の方法を用いて、単一金属系の粒度を制御することはできない。
【0031】
正のパルス及び負のパルスの振幅及び/又は持続時間を互いに関連して変化させることによって極性比の値を変化させることができる。
【0032】
図6は、極性比(横軸上)の関数としての電気的に活性のある要素(縦軸上)の原子%(at%)によって特徴づけられるような堆積物の組成の間の一般的関係を模式的に示すグラフである。
【0033】
本明細書及びそのクレームでは、組成に対する電気的に活性のある要素の分布を電気的に活性のある要素の比率と言う。比率は、部分、重量パーセント、原子パーセント、重量分画、原子分画、体積パーセント若しくは体積分画、又は任意の適当な分割を含むが、これらに限定されない適当な方法によって測定される。
【0034】
一部の合金系では、電気的に活性のある要素の比率によって特徴付けられる電着物組成と粒度の間に明瞭な関係がある。たとえば、図7に示すように電気的に活性のある要素の比率が高まるにつれて粒度が小さくなる。ただし、一般に、電気的に活性のある要素の相対的に大きい比率は結果として相対的に小さな粒度又は相対的に大きな粒度(以下で議論する図8に模式的に示すように)のいずれかを生じればよい。
【0035】
一般に、本開示の議論は、パラメータの間の一般的な又は代表的なグラフによる説明に基づく。たとえば、図6、7、8、11、16は、一般的な関係を表す。幾つかの図は、たとえば、図9、10、14、15は、通常、Ni−Wの系による本発明者らによる実験に基づく。
【0036】
図7は、横軸に沿った原子パーセントによる、電気的に活性のある要素の比率の関数としての縦軸に沿った粒度を示す。粒度の比率関係への依存性は、粒境界分離の熱力学に基づき、本開示の範囲を超える。重要な点は、一般に組成への慎重な調整を介して、特に電気的に活性のある要素の比率の慎重な調整を介して粒度を正確に制御できるということである。理に適った完全な説明は、Weissmuller J.のナノ構造における合金の効果(1993年)のナノ構造化された物質、261〜272ページで得られ、その開示を参照によって本明細書に完全に組み入れる。
【0037】
従って、図1を参照して理解されるように、槽温度を使用して粒度を制御できるという事実に類似して、図7は、電気的に活性のある要素の比率を使用して堆積物の粒度を制御できることを模式的に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
上記で議論したように、一般に電気的に活性のある要素の比率の極性比への依存性も存在するので、合金の電着でBPPを使用して極性比を正確に制御するので、組成を正確に制御し、電気的に活性のある要素に関しては組成を制御することにより、それによってナノ結晶の粒度を確実に制御することが本発明である。
【実施例】
【0039】
ナノメートル範囲において結晶の粒度を制御するのにBPPを使用することを減らして、たとえば、ニッケル・タングステンの2種合金の特定の場合について実践した。この合金は、表1に示す液状槽組成物及びめっきパラメータによって、図3を参照して模式的に示されるように、2リットルの槽中にて、名目上陽極と指定された不活性の白金電極342及び名目上陰極と指定された銅電極340を用いて堆積された。負電流部分を有するパルス電流を用い、その振幅は検体によって変化したが、電流は、3ミリ秒の一定パルス時間で0から負の0.3A/cm2まで流れる。パルスの正の部分は常に+0.2A/cm2の振幅及び20ミリ秒の持続時間を有した。
【0040】
【表1】
【0041】
図9は、様々な稼動運転に由来する検体についてのX線回折パターンを示す。そのほかの因子は一定に保持する一方で、0〜0.225の間の様々な極性比を用いて各稼動運転を行った。これらの回折パターンは、この場合、負のパルス電流の振幅の絶対値を変化させることによって稼動運転から稼動運転まで調整された極性比の関数として、明瞭な構造的変化を示す。さらに、常法によってこのデータを分析し、堆積物の粒度を決定することができる。
【0042】
縦軸上に示す粒度及び横軸上に示す極性比と共に、そのような分析の結果を図10に示す。極性比の値の大きさにおける変化は、粒度における再現可能な且つ有意な変化を生じた。一般に、Ni−Wの系では、粒度における変化(ΔG)を極性比における変化(ΔN)に関連付ける傾き(ΔG/ΔN)は、相対的に大きな極性比については粒度が相対的に大きくなるように、正である。方程式3から、極性比が時間積分された正のパルス量で割った時間積分された負のパルス量の比であることを思い出すこと。従って、相対的に大きな極性比は、正の極性電流に比べて負の極性電流での相対的な増加から生じる。
【0043】
検討された条件については、2〜40nmの範囲にある粒度を持つナノ結晶構造体が明白に作製された。図11は、一般に正及び負の傾きを有する、一般的な系についての極性比の関数としての粒度を示す代表的な関係を示す。図11に示される一般的な関係は、図7に示されるような電気的に活性のある要素の比率の関数としての堆積物の粒度の関係を図6で示されるような極性比の関数としての電気的に活性のある要素の比率の1つと組み合わせることから生じる。
【0044】
従って、電着方式が設計されてもよい一方向を考慮するには、設計者は、先ず、たとえば、GSのような機械的ニーズ又はそのほかの特性ニーズを満たす平均粒度を特定する。次いで、たとえば、図7で示されるもののような比率の関数としての粒度を関連付ける補助方程式を用いて、その粒度の座標としてGSを有する補助方程式の曲線上の点Iを同定し、その点から、電気的に活性のある要素の比率CD、点Iの比率の座標を同定して、特定された粒度GSを達成する。設計者は、次いで、図6に示されるような極性比の関数としての電気的に活性のある要素の比率を示す補助方程式を参照して、選択された比率で生じる極性比QDを見い出す。図6に示される曲線上の点Jは、比率CDを極性比QDに関連付ける。この極性比QDで系を稼動運転することは次いで、堆積物CDにおける電気的に活性のある要素の決定された比率を達成するので、特定された粒度GSを達成する。比率C及び極性比Qについての下付き文字Dは、これらの量が、補助方程式に本質的に由来する量なので選択される。
【0045】
図6及び図7で示される2つの補助方程式を一緒に組み合わせて、極性比の関数として堆積物の粒度を直接関係付ける、図11に示されるような、単一の複合補助方程式を生成することもできる。そのような場合、設計者は粒度GSを特定し、連続する補助方程式から、極性比QDが同定される。
【0046】
上記で議論した補助方程式のいずれもが、示されるようにグラフであり、又は表であり、又は数学的であり、又は、関係のいずれか若しくは両方について単一の点及びその点での傾き情報を含む関係を説明するそのほかの法則又は方法であればよい。傾きは、関係の範囲内で明白に述べられてもよいし、又は合金の熱力学及び動態及びそのほかの情報に関する一般的な原理に基づいて、系の設計者によって暗黙のうちに理解されてもよい。傾き情報は、記号(+又は−)に限定することなく程度に関する直感ですらあってもよい。
【0047】
一般的な系を表す図11はまた、たとえば、Rにて示されるような単一の点である補助方程式、及びその点における傾き情報(細い実線によって説明されるが、量であればよい)も示す。Ni−Wの系についての情報を提示する図10で示されるように、Rでの傾きはおよそ200nmである(注;図11は、2つの異なった状況を示すことが意図される:曲線によって説明される1つは、連続関数の曲線補助方程式を示し、点Rと傾きの線で表される他方は、線形の補助方程式を示す)。
【0048】
上記で議論された補助方程式の解決の様々な程度は、所望のナノ結晶の粒度を達成することにおいて設計者が有する制御の程度に効果を有してもよい。一般に、さらに高度に解決された補助方程式がさらに正確な制御を提供する一方で、さらに少ない解決(たとえば、たった1つのデータ点しか利用できず、直感を用いて補助方程式を予測する場合)はさらに少ない制御を提供し、最少の連続した、たとえば、単一の点と傾き、又は単に傾きの表れについての直感は、最少量の制御しか提供しないだろう。一部の適用については、正確な制御が必要とされ、さらに連続した解決された関係が必要とされるだろう。他の適用については、さらに少ない正確な制御で済むだろうし、さらに少ない連続した解決された関係が満足の行くものであってもよい。以下で議論されるように、ほとんどの系については、さらに堅固な制御が一般にさらに小さな粒度の堆積物について可能である。
【0049】
極性比の関数としての粒度の一般的な補助方程式がいったん確立されたら、そのときは、別の粒度を達成するには、設計者は、粒度を変えるための関係によって示される方向で極性比を変えなければならない。このことは、以下で議論されるように、パルスの負の部分の振幅又は持続時間を正の部分、又は双方の部分のそれに関連して変化させることによって実施することができる。
【0050】
補助方程式のいずれかを連続関数で表現することができるのであれば、そのときは、指標パラメータの概念が相対的に不要になり、又は簡略化される。複合補助方程式が利用できるのであれば、設計者は、特定された粒度に基づいて単純に極性比を選択し、又は利用できなければ、そのときは、代わりに、電気的に活性のある要素の比率に基づいて及びそれから、極性比を選択する。
【0051】
補助方程式のいずれかを連続関数で表現することができないのであれば、そのときは、指標パラメータの概念が役立ってもよい。たとえば、図11を参照して示されるように、極性比の関数として粒度を表現する複合補助方程式が確立された場合では、設計者は、所望の粒度GSを特定し、その粒度及び補助方程式から、極性比を決定する。相当する極性比QI0がすでに明白に確立されている指標粒度GI0に特定された粒度GSを比較することによって極性比を決定する。
【0052】
傾きとして同定された細い実線で具体化された傾き情報を相当する極性比QI0に適用してGSに相当する極性比QD*を引き出す。傾き以外の補助方程式を満たすそのほかの法則が提供されるのなら、そのときは、たとえば、法則、又は一連の点(曲線の当てはめ又はそのほかの差し込みに使用することができる)、または直感のようなものが、指標粒度GI0に相当する極性比に適用される。引き出された極性比QD*は結果的に、連続曲線として表現することができる関係から決定されてもよい極性比QDとは異なるようになってもよい。矛盾は、傾き情報が実際の連続関係に一致する程度に依存するであろう。
【0053】
同様に、極性比の関数としての粒度を関連付ける複合補助方程式でないとすれば、設計者は、2つの補助方程式:図7を参照して示されるような電気的に活性のある要素の比率の関数として粒度を関連付けるもの、及び図6を参照して示されるような極性比の関数として電気的に活性のある要素の比率を関連付ける第2のものを使用し、これらの一方又は両方が連続関数として表現されないなら、そのときは、2つの類似の操作を実施する。グラフにおいて明瞭さを保存する都合上、これらが完全に説明されることはない。しかしながら、図11を参照して示される複合補助方程式に関連して説明される技法と概念は同一である。
【0054】
第1に、特定された粒度GSから電気的に活性のある要素の比率CD*が決定される。電気的に活性のある要素の相当する比率CDがすでに明白に決定されている指標粒度GI0に特定された粒度GSを比べることによって比率が決定される。傾き情報を相当する比率CDに適用して決定された比率CD*に到達する。傾き情報以外の補助方程式を満たすためのそのほかの法則が提供されるのなら、たとえば、法則、又は一連の点(曲線の当てはめ又はそのほかの差し込みに使用することができる)、または直感のようなものが、指標粒度GI0に相当する比率CDに適用されてCD*に到達する。
【0055】
第2に、相当する極性比PDがすでに明白に確立されている指標比率CI0と中間的に決定された比率を比較することによって、中間的に決定された比率CDから極性比が決定される。傾きを相当する極性比PDに適用して引き出された極性比PD*に到達する。傾き以外の補助方程式を満たすそのほかの法則が提供されるのなら、そのときは、たとえば、法則、又は一連の点(曲線の当てはめ又はそのほかの差し込みに使用することができる)、または直感のようなものが、指標比率PDに相当する極性比に適用される。
【0056】
前記のものは、設計者が系をどのように設計するかを記載している。設計された系を使用し、電着する方法は以下のように機能する。系は電源によって駆動されて系の設計者によって特定されたように異なった時間で正の電流及び負の電流の双方の時間を提供し、それは、特定の単一の極性比に相当する。このことは、言い換えれば、特定された粒度を達成する電気的に活性のある要素の比率を有する特定の堆積物組成を生じる。従って、特定された粒度が達成される。従って、系を設計するには、粒度を極性比に関連付ける補助方程式が必要とされる。系を運転するには、単一の平均粒度を単一の極性比に関連付ける単一の点のみが必要とされ、使用される。
【0057】
BPPを介して粒度が制御可能であるだけでなく、これら堆積物の肉眼的品質もそのほかの加工手段によって達成されるものよりも有意に良好である。前に言及したように、複数成分の電着物の粒度は、図1で説明する既知の技法に従って槽温度の正確な制御によって制御することができる。
【0058】
断面の走査電子顕微鏡を介して明らかにされた堆積物の肉眼的品質は、BPP試料については有意に良好である。図12は、そのような電子顕微鏡の走査を模式的に示し、二極パルスの本発明の方法を用いて堆積された堆積物の断面を示す。それは、槽温度制御下にて直流によって堆積された上記で議論した図4で示されたものとほぼ同一の粒度及び組成を有する。
【0059】
一般に、本明細書で開示されるような負の電流パルスを使用することは、実質的に亀裂や空隙のないナノ結晶の粒構造を有する目的物を製造することを可能にする。実質的に亀裂や空隙がないことによって、堆積の間に空隙も亀裂もできないことが、ナノ結晶体の破損、磨耗及び腐食の特性を左右することを意味する。製品の故障モードは、事前に存在した空隙又は事前に存在した亀裂から生じる亀裂の開始及び伝播以外の現象によって支配される。
【0060】
ナノ結晶の粒構造が影響を与える追加の特性は、腐食耐性及び磨耗耐性である。これらの因子は双方共、直接的に粒度に関係し、一般に、通常、さらに小さな粒度がさらに良好な磨耗耐性を提供する。表面安定化処理合金のような一部の合金系では、粒度が小さければ小さいほど良好な腐食耐性が提供される。従って、粒度及び構造を誂えるのにBPPを使用して所望の程度の磨耗耐性又は所望の程度の腐食耐性を達成することができる。
【0061】
負の電流パルスは亀裂402又は空隙404を生じることなく、さらに均質な堆積物を明らかに製造する。
【0062】
この品質の改善に加えて、負の電流パルスは、そのほかの方法を越えて追加の利点を提供する。負のパルスの電流密度は、堆積の間の任意の時間、従って堆積物の厚さ全体にわたって任意の空間的位置にて、容易に変化することができる。このことによって、粒度が堆積物の厚さ全体にわたって制御される勾配化した微細構造を創るのが可能になる。二極パルスによって一定の槽温度によって微細構造の制御を可能にし、それによって槽温度を変化させる時間及びエネルギーの浪費を回避する。同様に、図13に示されるように、1つの粒度の層1302が第2の異なった粒度の第2の層1304と交互に起きる層を成す構造も可能である。隣接する層間での粒度における差異は、ほとんど目立たない(プラス又はマイナス1ナノメートル)ものから50ナノメートル以上大きいものであることができる。さらに、異なった粒度の領域は、1308でのように離れた又は突然のではなく、1306でのように連続的に勾配をかけることができる。これらの概念は、堆積物の厚さ並びに円滑に勾配がかけられた及び層を成す成分を持つ堆積物を介した粒度変動の均一な、交互の、積層構造の、不規則なパターンを含む層を成す及び勾配をかけた堆積物のいかなる組み合わせにも適用される。二極パルスを用いて、槽に化学物質を添加する必要がなく、厚さ(その逆でさえ)全体を通した粒度要件を一般に高める又は減らす同一の液体で異なった電極上での順次堆積物を製造することができる。二極パルスは、あらゆる所望の微細構造に対して単一温度で1つの液体組成を必要とすることによって電着工程を簡略化している。この利点によって、槽温度及び組成の変化が費用のかかる停止時間を創る工業的規模の操作で時間と金が節約される。
【0063】
堆積物の組成と粒度の間に直接的な関係があるので、堆積物の厚さ全体にわたって粒度を変化させることについて上記で言われたことはすべて組成にも適用される。従って、粒度ではなく組成が設計者にとって優先的な関心であれば、そのときは、目的物は、具体的に誂えられた組成の勾配又は層構造によって作製することができる。
【0064】
上述のように、ナノ結晶金属の磁気特性は、従来の微細結晶金属で可能であるものよりも透過性と飽和磁束密度との高い組み合わせを示す。これらの特性は軟磁性の適用にとって重要であり、粒度がナノ規模に低下するにつれて高められる。二極パルスを用いて、そのようなナノ構造化された合金を製造してこれらの特性を活用することができる。二極パルスを用いて、所望の構造及び特性の生体適合性の塗膜を伝導体上に載せてもよい。
【0065】
商業的適用
粒度制御を達成するための二極パルスの開示された方法は、制御された方式で正と負の間を反転する正及び負の電流の性能及び能力を備えた電源を付けて、既存の電着産業のいずれにおいても使用することができる。前の項で概説したように、BPPは、結晶の大きさに勾配をつける現在の方法に比べて複雑な状態なしで、勾配のついたナノ結晶の大きさを有する電着物を巧みに処理する能力を追加する。たとえば、堆積物は、基板界面では相対的に大きな(マイクロ結晶の)粒度を有すればよく、表面では粒度は単一のナノメートル規模に連続的に低下すればよく、2ナノメートル以下の極度に小さなサイズに低下さえしてもよい。この種の塗膜は、ナノ規模の結晶塗膜の優れた磨耗耐性及び腐食耐性を提供し、均一なナノ結晶の堆積物に比べて改善された耐久性及び表面下の堅牢性を持つ。
【0066】
BPPはまた、費用のかかる及び複雑な液温制御及び化学制御の必要性を減らすことによって電着工程を簡略化する。このことは、様々な化学薬品の必要性による予測費用の困難さを減らし、同一の液体から広く異なるマイクロ構造及びナノ構造が堆積されることを可能にすることによってめっき操作の柔軟性を高める。さらに、図12で証拠付けられた特定の場合では、堆積物の品質を大いに改善することができた。この品質の改善はそれ自体、堆積後の表面仕上げの要件の減少及び改善された侵食/腐食に表れる。
【0067】
BPPは、Ni−Wの系で実行に移されている。それはまた、ニッケル・モリブデン(Ni−Mo);ニッケル・リン(Ni−P);ニッケル・タングステン・ホウ素(Ni−W−B);鉄・モリブデン(Fe−Mo);鉄・リン(Fe−P);コバルト・モリブデン(Co−Mo);コバルト・リン(Co−P);コバルト・亜鉛(Co−Zn);鉄・タングステン(Fe−W);銅・銀(Cu−Ag)、コバルト・ニッケル・リン(Co−Ni−P);コバルト・タングステン(Co−W);及びクロム・リン(Cr−P)を含むが、これらに限定されない、組成と粒度の間に関係を示すそのほかの電着多成分方式に広く適用できる。この工程は、塗膜塗布に役立つだけでなく、厚い、自立する嵩高い大きさのナノ結晶の構造化成分の製造にも役立つ。
【0068】
一般に、前述のことは、負のパルス成分の振幅を変化させることによって極性比を変えることを説明してきた。上記で行ったような負の電流密度の振幅だけを変化させる代わりに、正のパルスの持続時間(tpos)に対して負のパルスの持続時間(tneg)を変化させることによって極性比を変え、類似する結果を達成することができる。さらに持続時間及び振幅の双方を変化させることができる。それらがもはや、図5で模式的に説明したような方形波ではなくなるように、正のパルスと負のパルスの形状を変えることも可能である。負のパルスの重要な定量は極性比である。
【0069】
では次に、種々の方式についての堆積物の極性比と粒度の間の関係をもっとよく検討して、以下でNi−Wの系を議論する。極性比の関数としての粒度を示す複合補助方程式の傾きは、図11に示されるように一般に正であり、主として相対的に大きな極性比は相対的に大きな粒度を生じる。図11は、Ni−Wの系に類似して挙動する一般的な系についての関係を示す。図10は、表1にて上記で議論されたNi−Wの系からのデータを示す。極性比の関数としての粒度を説明する方程式はそれ自体複合補助方程式であり、その性質についての別の2つの関係:1)極性比の関数として堆積された電気的に活性のある物質の比率を説明する関係、及び2)堆積された電気的に活性のある物質の比率の関数として粒度を説明する関係に依存する。
【0070】
あらゆる系について、極性比の関数として堆積された電気的に活性のある物質の比率を説明する関係は、相対的に大きな極性比(だから、正に比べた、負の電流密度の相対的に大きい絶対値)については、堆積物中の電気的に活性のある物質の比率が相対的に小さくなるように、一般に負の傾きと共に、一般に図6で示されるとおりである。図14は、表1で前述したようなNi−Wの系についてこの関係を示す。
【0071】
それに対して、異なった系については、堆積された電気的に活性のある物質の比率の関数としての粒度を説明するそのほかの特徴的な関係は、正の傾き又は負の傾きのいずれかを有しうる。従って、極性比の関数としての粒度を説明する関係の傾きの記号、及びその大きさは、当該する系についての電気的に活性のある物質の比率の関数としての粒度を説明する関係の傾きの記号及び大きさに依存する。
【0072】
上述のNi−Wの系については、図7及び図15を参照して一般に示されるこの関係の傾きの記号は、一般に負であり、変化する。従って、極性比の関数としての粒度を説明する複合補助方程式の傾きは、図11で示されるように一般に正である。
【0073】
図8を参照して一般に示される、電気的に活性のある物質の比率の関数としての粒度を示す関係の傾きの記号は一般に正であり、変化する系も存在する。従って、極性比の関数としての粒度を説明する複合補助方程式の傾きは、図16で示されるように一般に負である。そのような系の例は、Cu−Agの系であってもよい。
【0074】
この記述に時点では、関係が一般に正の傾きと共に曲線性を有する図8、又は関係が一般に負及び変化する傾きと共に曲線性を有する図7に示されるような、堆積物中の電気的に活性のある要素の比率の関数としての粒度を関係付ける特に、特徴的な曲線の一般的な形状及び傾きに関する知識は多いわけではない(曲線が粒度の関連する範囲にわたって直線に近似することがあってもよいことに留意のこと)。
【0075】
しかしながら、この領域での仕事がさらに進めば、さらにそのような関係が判ってくるであろう。いったん判れば、本明細書で教示される一般原理を適用することができ、関係を、図6に示されるように極性比の関数として堆積された電気的に活性のある要素の比率を示す関係と組み合わせることができ、図11(正の傾き)又は図16(負の傾き)で示されるように極性比の関数としての粒度を示す複合補助方程式に到達することができる。
【0076】
変異
前述のことが、液体化学及びめっきパラメータを含めてNi−Wについての特定の2種系を議論したが、本発明の範囲は、この点に限定されない。複数の液体化学の変異及びめっきパラメータを、高度に制御されたナノ結晶の構造を有する電着2種合金に使用することができる。
【0077】
液体は、一般に上記を槽と呼んでいる。液体は、閉鎖容器中の液体の静止体でなくてもよい。液体は、たとえば管路を介して流れていてもよく、又は電極で発射される噴流としての大気を介した蒸気であってもよい。槽に関する上記の議論はすべてそのような移動液体組成物にも適用することができる。電極の一方又は双方が管路であることができ、それを介して又はその周りで液体が流れる。
【0078】
本発明はまた、制御されたナノ結晶の構造と共に電着することができるそのほかの金属の系も包含する。これらの系は2種合金でなくてもよいが、要素の3種以上の組み合わせであることができる。水溶液から電着される結晶性金属(ナノ結晶及びマイクロ結晶、その双方共関連する)を議論している十分な文献が存在する。本発明の技法は、ニッケル・モリブデン(Ni−Mo);ニッケル・リン(Ni−P);ニッケル・タングステン・ホウ素(Ni−W−B);鉄・モリブデン(Fe−Mo);鉄・リン(Fe−P);コバルト・モリブデン(Co−Mo);コバルト・リン(Co−P);コバルト・亜鉛(Co−Zn);鉄・タングステン(Fe−W);銅・銀(Cu−Ag)、コバルト・ニッケル・リン(Co−Ni−P);コバルト・タングステン(Co−W);及びクロム・リン(Cr−P)を含むが、これらに限定されないそのような系に適用することができると考えられている。水溶液中に少なくとも2つの金属塩を提供することができるそのほかの系も可能である。
【0079】
非水性の、アルコール、HCl(液体塩化水素)及び溶融塩を含むが、これらに限定されないそのほかの種類の溶液も可能である。溶融塩の槽が使用されるなら、操作温度は、水性槽よりも高くてもよい。
【0080】
図5にて波形について示された形状は一般に方形波である。波は方形でなくてもよい。一般に、正弦波、余弦波、のこぎり波などを含む電気的領域(ゼロ)に比べて、正のレベルと負のレベルの間を変化する形状のいずれかであることができる。極性比は、ゼロより大きく1未満でなければならない堆積の間の重要なパラメータである。その大きさは、堆積物における電気的に活性のある物質の比率を支配し、言い換えれば、堆積物中の粒度を支配する。
【0081】
別の重要な検討材料は、2より多くの成分を有する系の挙動である。負の極性が適用された電流の影響下で結晶構造を形成することから優先的に除かれる要素が未だに存在する。通常、これは、最高の酸化電位を持つ要素である。次に高い酸化電位を持つ要素も、液体組成及び種々の成分の酸化電位における差異のような系の詳細に依存する程度に、ある程度、結晶から除かれる。
【0082】
前述の多くは、単一堆積物又はバルク堆積物という点で堆積物を考察する。本発明にとって非常に有用な適用は、他の基材上での塗膜としてである。たとえば、ナノ結晶の金属堆積物は、この記述の時点では、硬質クロム塗膜が使用されるのとほぼ同じ方法で使用するために基材上の塗膜として配置されうる。そのような硬質金属塗膜を用いて、磨耗、摩滅及び腐食への耐性を確立することができる。そのような塗膜を用いて、艶出し、反射性、酸化に対する色保護、生体適合性などを含むが、これらに限定されない所望の表面特性を確立することができる。
【0083】
本明細書で開示された本発明を適用することができる別の商業的用途は、機械工具の成分、及びある種の再建を必要とするそのほかの成分を再加工する又は再建するためである。そのような工具は使用中に磨り減り、種々の寸法でさらに小さくなる。そのうち、それらは、その用途に合わなくなる。その工具を電極基材として用い、元々の目的で又は場合によっては、同様に関連した、しかし、異なる目的で再び使用できるサイズや寸法に基材を戻す程度に基材に金属を電気めっきすることによって、それらを元々の又は好適な寸法に再建することができる。基本的に、電気めっき操作は、所望の表面形状、又は認容性を達成し、有用になる程度に磨耗した部分の体積を増やす。
【0084】
本発明の方法に従って達成されるナノ結晶の粒構造による塗膜は、鉄鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、真鍮、及び電気伝導性の表面を持つプラスチック基材でさえも含むが、これらに限定されない、広範囲の金属基材に適用することができる。
【0085】
工程の制御
粒度に対して利用可能な制御の程度は、系及び選択された粒度それ自体に依存する。一般に、工程の設計者及び操作者は、相対的にさらに小さな粒度に対してさらに正確な制御を有する。Ni−Wに類似し、堆積物の比率の関数としての粒度を定義する関係が図7で示されるように一般に負の傾きを有する場合、及び図8で示されるように反対に正の傾きを有し、Ag−Cu又は類似の系を説明すると考えられる場合の双方については、相対的にさらに小さな粒度を持つ本発明の最も正確な使用に対してほとんど可能性がある。
【0086】
これは、双方の場合について通常、さらに小さい粒度について傾きの大きさは相対的に低いからである。同等に述べれば、粒度に対する電気的に活性のある要素の比率を関連付ける関数の第1の導関数の大きさは、さらに小さな粒度についてさらに小さい(絶対値で)。たとえば、図7に示される負の傾きの場合を取り上げると、相対的にさらに小さい粒度については、相対的にさらに大きな粒度と比べて、粒度における変化は電気的に活性のある要素の比率における変化に対して相対的に敏感ではない。従って、実行者は、電気的に活性のある要素の比率の標的パラメータを達成するのに正確でなくてもよいが、依然として所望の粒度に釘付けである。負の傾きに依存性である場合については、さらに堅固な制御のこの領域は、一般にさらに高い比率の電気的に活性のある要素と共に生じる。それに対して、さらに低い比率の電気的に活性のある要素については、粒度の変化は、比率における相対的に小さな変化に対して劇的である。
【0087】
正の傾きに依存性である場合については、図8を参照して示されるように、さらに堅固な制御のこの領域は、一般にさらに低い比率の電気的に活性のある要素と共に生じる。それに対して、さらに高い比率の電気的に活性のある要素については、粒度の変化は、比率における相対的に小さな変化に対して劇的である。傾きの大きさにおけるこの差異は、示された場合に存在する。しかしながら、この一般化が適用できない一部の系があり、傾きは、小さな粒度から大きな粒度まで一般に一定である。それらの場合、制御は粒度に依存せず、他の因子が制御の課題を支配する。
【0088】
粒度の比率に対する依存は、極性比の関数としての粒度を示す複合補助方程式の一部にすぎない。しかしながら、極性比の関数としての電気的に活性のある物質の比率を示すその関係のほかの部分は、さらに良好な制御のそれ自体の領域を有し、それは曲線の形状及び位置に依存する。たとえば、図6に示されるように、設計者は、比率の尺度のさらに低い範囲で電気的に活性のある要素の比率に対してさらに良好な制御を有し、その際、曲線は、傾きが非常に大きく負であるさらに高い比率の範囲に比べて、相対的に小さく(絶対値)且つさらに一定の傾きを有する。
【0089】
部分要約
本明細書で開示され、説明される本発明は、基材上にナノ結晶合金を堆積する方法、そのような堆積された合金を組み入れる製品、並びに所望の粒度を達成するための物質選択及び電極電圧の供給のパラメータを決定する方法を包含する。
【0090】
従って、本文書は、多数の関連する発明を開示する。
【0091】
本明細書で開示される発明の1つは、少なくとも2つの要素を含む、そのうちの1つは大部分電気的に活性があり、その少なくとも1つは金属である系の合金を堆積する方法である。そのような合金堆積物は、特定されたナノ結晶の平均粒度を有する。該方法は、少なくともその要素の一つが金属であり、少なくともその要素の一つが大部分電気的に活性がある系の少なくとも2つの要素の溶解された種を含む液体を提供する工程と;異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源に連結された、液体における第1の電極と第2の電極を提供する工程と;第2の電極で特定された粒度の堆積物を達成するために電源を駆動し、非定数の電位が異なった時間で正の極性及び負の極性を有し、その時間と極性が極性比を特徴付ける工程を含む。
【0092】
電源を駆動する工程は、特定され、電着された粒度を相当する極性比に関連付ける補助方程式を参照して選択された極性比を確立するために電源を駆動することを含んでもよい。補助方程式はまた、粒度の変化を極性比の変化に関連付ける傾き情報も含んでもよい。
【0093】
好ましい実施態様の1つによれば、先ず、傾き情報が指標粒度にて正の傾きを示す場合については:特定された粒度について、i)指標粒度より相対的に大きい、指標粒度に相当する極性比より相対的に大きい極性比を使用し;及びii)指標粒度より相対的に小さい特定された粒度について、指標粒度に相当する極性比より相対的に小さい極性比を使用する。他方では、傾き情報が指標粒度にて負の傾きを示す場合については:i)指標粒度より相対的に大きい特定された粒度について、指標粒度に相当する極性比より相対的に小さい極性比を使用し、及びii)指標粒度より相対的に小さい特定された粒度について、指標粒度に相当する極性比より相対的に大きい極性比を使用する。この実施態様によれば、相対的に小さい極性比を使用することは、負の極性にて相対的に少ない時間を使用することを含む。或いは、相対的に低い絶対値の振幅の負の極性を使用すること、又は双方を含む。同様に、相対的に大きい極性比を使用することは、負の極性にて相対的に多くの時間を使用することを含む。或いは、相対的に高い絶対値の振幅の負の極性を使用すること、又は双方を含む。
【0094】
関連する好ましい実施態様のさらに別のセットによれば、電源を駆動する工程は、正弦波又は方形波を生成するために電源を駆動することを含んでもよい。
【0095】
関連する実施態様と共に、電源を駆動する工程は、非定数の電位によって電源を駆動することを含んでもよく、堆積の間に供給される極性比は、特定され、電着された粒度を活性のある要素の堆積物における比率に関連付ける補助方程式、及び活性のある要素の堆積物における相当する比率を堆積の間に供給される極性比に関連付ける補助方程式を参照して決定されている。
【0096】
そのような実施態様のバージョンの1つによれば、非定数の電位によって電源を駆動することは、堆積の間に供給される極性比が、特定された粒度に相当する活性のある要素の比率を同定すること、及び特定された電着粒度に相当する活性のある要素の同定された比率に相当する極性比を同定することによって決定されている場合に実行される。
【0097】
そのような方法の変形の1つについては、補助方程式に基づいてその指標組成に相当する極性比よりも相対的に大きい極性比を用いることによって指標組成におけるその要素の比率よりも相対的に大部分活性のある要素の相対的に低い比率を有する電着物の組成を達成するために;及びその指標組成に相当する極性比よりも相対的に低い極性比を用いることによって指標組成におけるその要素の比率よりも相対的に大部分活性のある要素の相対的に大きい比率を有する電着物の組成を達成するために、電源が駆動される。
【0098】
本発明のさらに別の実施態様は、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、要素の少なくとも1つが金属である、少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であり、合金堆積物は、特定されたナノ結晶の平均粒度を有する。該方法は、要素の少なくとも1つが金属であり、要素の少なくとも1つが大部分電気的に活性がある少なくとも2つの要素の溶解された種を含む液体を提供する工程と;異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源に連結された、液体における第1の電極と第2の電極を提供する工程と;第2の電極で特定された粒度の堆積物を達成するために電源を駆動し、非定数の電位が異なった時間で正の極性及び負の極性を有する工程を含む。極性比は、堆積物の電着された平均粒度を堆積物における大部分電気的に活性のある金属の比率に関連づける第1の補助方程式;及び堆積物における大部分電気的に活性のある金属の比率を堆積の間の極性比に関連付ける第2の補助方程式を参照して決定される。
【0099】
この実施態様のバージョンの1つのと共に、電源を駆動する工程は、特定された平均粒度を少なくとも1つの指標粒度と比較する工程と、第1の補助方程式を用いて、特定された粒度に相当する堆積物中の活性金属の比率を同定する工程と、相当する活性金属の比率を活性金属の少なくとも1つの指標比率と比較する工程と、第2の補助方程式を用いて、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率に相当する極性比を同定する工程と、電源を駆動して、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率に相当する、同定された極性比を確立する工程を含む。
【0100】
第1の補助方程式は、特定された粒度と大部分活性のある金属の比率との間に明白な対応を含んでもよい。
【0101】
第1の補助方程式は、特定された粒度とは異なる指標粒度と、活性のある金属の比率との間に明白な対応を含んでもよく、且つ、粒度の変化を大部分活性のある金属の変化に関係付け、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率を引き出すのを可能にする傾き情報も含んでもよい。
【0102】
また、本発明のこの実施態様によれば、第2の補助方程式は、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率と極性比との間に明白な対応を含んでもよい。
【0103】
この実施態様の代替的バージョンは、第2の補助方程式が、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率とは異なる大部分活性のある金属の指標比率との間に明白な対応を含み、且つ、大部分活性のある金属の比率の変化を極性の変化に関連付け、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率に相当する極性比を引き出すのを可能にする傾き情報も含んでもよい。
【0104】
本明細書で開示される発明のさらに別の実施態様は、電極にて堆積するためのパラメータを決定する方法であり、系の合金は、少なくとも2つの要素を含み、そのうちの1つは大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つは金属である。金属堆積物は、特定されたナノ結晶の平均粒度を有する。堆積は、そこに合金が堆積する第1の電極と第2の電極を使用する。電極は、要素のうちの少なくとも1つが金属であり、そのうちの少なくとも1つが大部分電気的に活性がある、系の少なくとも2つの要素の溶解された種を含む液体中に存在する。電極は、異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源によって駆動される。パラメータを決定する方法は、系の少なくとも2つの要素の溶解された種を含む槽組成物を選択する工程と、比率の関数として平均粒度を表現する補助方程式に基づいて特定された粒度に相当する堆積組成物における大部分活性のある要素の比率を決定することによって堆積中の電極に供給するための極性比を決定する工程と、極性比の関数として比率を表現する補助方程式に基づいて特定された粒度に相当する比率に相当する堆積物中に供給された極性比を決定する工程を含む。
【0105】
さらに別の好ましい実施態様では、開示される本発明は、電極にて堆積するためのパラメータを決定する方法であり、系の合金は少なくとも2つの要素を含み、そのうちの1つは大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つは金属であり、堆積は、そこに合金が堆積する第1の電極と第2の電極を使用し、電極は、要素のうちの少なくとも1つが金属であり、そのうちの少なくとも1つが大部分電気的に活性がある、系の少なくとも2つの要素の溶解された種を含む液体中に存在し、電極は、異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源によって駆動される。パラメータを決定する方法は、少なくとも2つの要素の溶解された種を含む槽組成物を選択する工程と、供給された極性比の関数として粒度を表現する補助方程式に基づいて特定された粒度に相当する、堆積中の電極に供給するための極性比を決定する工程とを含む。
【0106】
別の好ましい実施態様によれば、本発明は、少なくとも2つの要素を含む金属合金の製品であり、該製品は、第1の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第1の層領域;及び第1の層領域に隣接し、それと接触した、第2の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第2の層領域を含み、第2の粒度は第1の粒度とは異なる。この実施態様と共に、製品は、既存の亀裂の伝播以外の現象によって支配される故障モードを呈する。
【0107】
同様の実施態様は、亀裂の開始及び亀裂ではなく既存の空隙の伝播以外の現象によって支配される故障モードを呈する。
【0108】
関連する好ましい実施態様は、さらに、変異領域が第1の位置にて第1の平均粒度を有し、それから間隔を空けて第2の位置にて変異領域が第2の異なった平均粒度を有し、第1の位置と差異2の位置の間で平均粒度を変化させるように、層領域の1つが平均粒度における変異と共にナノ結晶構造を有する製品をさらに必然的に伴う。
【0109】
本発明の同様の実施態様は、少なくとも2つの要素を含む金属合金の製品であり、該製品は、変異領域が第1の位置にて第1の平均粒度を有し、それから間隔を空けて第2の位置にて第2の異なった平均粒度を有し、第1の位置と差異2の位置の間で平均粒度を変化させるように、平均粒度における変異と共にナノ結晶構造を有する領域を含む。さらに、製品は、既存の亀裂からの亀裂の伝播以外の現象によって支配される故障モードを呈する。
【0110】
同様の実施態様は、亀裂の開始及び亀裂ではなく既存の空隙の伝播以外の現象によって支配される故障モードを呈する。
【0111】
さらに別の実施態様については、本発明は、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属である少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であり、金属堆積物が、第1の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第1の層領域と、前記第1の層領域に隣接してそれと接触した、第2の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第2の層領域を有し、第2の粒度は第1の粒度とは異なる。方法は、要素の少なくとも1つが金属で、要素の少なくとも1つが大部分電気的に活性がある、系の少なくとも2つの要素の溶解された種を含む液体を提供する工程と;異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源に連結された、液体における第1の電極と第2の電極を提供する工程と;第2の電極で第1の特定された粒度の堆積物を達成するために第1の時間の間、電源を駆動し、非定数の電位が異なった時間で正の極性及び負の極性を有し、その時間と極性が第1の極性比を特徴付ける工程と;第2の電極で第2の特定された粒度の堆積物を達成するために第2の時間の間、電源を駆動し、非定数の電位が異なった時間で正の極性及び負の極性を有し、その時間と極性が第1の極性比とは異なる第2の極性比を特徴付ける工程を含む。
【0112】
関連する実施態様によれば、層領域の1つは、変異領域が第1の位置にて第1の平均粒度を有し、それから間隔を空けて第2の位置にて変異領域が第2の異なった平均粒度を有し、第1の位置と差異2の位置の間で平均粒度を変化させるように、層領域の1つが平均粒度における変異と共にナノ結晶構造を有する領域を含む。第2の時間の間、電源を駆動する工程はさらに、異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する非定数の電位によって電源を駆動することを含み、その時間及び極性が、異なった平均粒度の範囲に相当する非定数の極性の範囲を特徴付ける。
【0113】
本発明のさらに別の実施態様は、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属である少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であり、該方法は、系の溶解された要素を含む電気めっき液を提供する工程と、第1の極性比を特徴付ける非定数の電位によって第1の時間の間、電極を駆動する工程と、第1の極性比とは異なる第2の極性比を特徴付ける非定数の電位によって第2の時間の間、電極を駆動する工程を含む。
【0114】
本発明の別の実施態様によれば、方法は、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属である少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積するためであり、堆積物が第1の位置にて第1の平均粒度を有し、それから間隔を空けて第2の位置にて堆積物が第2の異なった平均粒度を有し、第1の位置と差異2の位置の間で平均粒度を変化させるように、金属堆積物が平均粒度で変異を有する。該方法は、要素の少なくとも1つが金属で、要素の少なくとも1つが大部分電気的に活性がある、系の少なくとも2つの要素の溶解された種を含む液体を提供する工程と;異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源に連結された、液体における第1の電極と第2の電極を提供する工程と、異なった時間で正の極性及び負の極性を有する非定数の電位によって電源を駆動し、その時間と極性が異なった平均粒度の範囲に相当する非定数の極性比の範囲を特徴付ける工程を含む。
【0115】
本発明のもう1つの実施態様は、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属である少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法である。該方法は、系の要素を含む電気めっき液を提供する工程と、電源に連結された、液中の第1の電極及び第2の電極を提供する工程と、異なった平均粒度の範囲に相当する非定数の極性比の範囲によって特徴付けられる時間の間、電源を駆動する工程を含む。
【0116】
本明細書で言及される方法発明のいずれかの好ましい実施態様は、堆積物が基材上の塗膜又はいずれの電極からも自立している目的物を含む方法を包含する。塗膜は装飾的であってもよく、及び/又は摩擦、腐食に対して保護してもよく、及び/又は硬質のクロム塗膜として機能してもよい。基材は、鋼鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、真鍮、多数の金属、又は電気伝導性の表面を有するプラスチックを含んでもよい。
【0117】
これらの変異を含む補助方程式のいずれかについては、第1及び第2の補助方程式の少なくとも一方が、連続関数、表、数式、点及び傾き情報、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0118】
本明細書で言及される製品発明のいずれかの好ましい実施態様は、堆積物が基材上の塗膜またはいずれの電極からも自立している目的物を含む製品を包含する。塗膜は装飾的であってもよく、及び/又は摩擦及び/又は腐食に対して保護してもよく、及び/又は硬質のクロム塗膜として機能してもよい。基材は、鋼鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、真鍮、多数の金属、又は電気伝導性の表面を有するプラスチックを含んでもよい。
【0119】
本発明の多数の技法及び側面が本明細書に記載されている。当業者は、これらの技法の多くは、たとえそれらが共に使用することにおいて具体的に記載されていなかったとしても、開示されたほかの技法と共に使用できることを理解するであろう。たとえば、層を成す実施態様はそれ自体、層の内部で粒度を変化させながら勾配をかけることができ、又は層から層へ粒度を変化させながら別個の層として配列させることができる。電気信号の負の部分の持続時間若しくは振幅、又はその両方を変化させることによって異なる極性比を達成することができる。補助方程式は、たとえば、関数又は密に詰まった表のように連続的であることができ、又は連続性が低くなることができ、及びそれらは、それらの範囲の一部で高度に連続的であり、そのほかの部分ではさほど連続的ではないことがありうる。塗膜は、列記された特性すべて及びそのほかの理に適った望ましい特性の任意の組み合わせにおいて、たとえば、摩擦耐性や装飾性のような1より多くの特性を有してもよい。記載された塗膜の方法は、パラメータを選択する記載された方法と共に、又は有用な結果を達成するパラメータを選択するそのほかの方法と共に使用することができる。得られる最終製品は、基材を保持してもよく、又は全体的に塗膜であってもよく、基材は幾つかの適当な方法によって取り除かれる。塗膜は、製品の他の部分について、たとえば、本発明に従って形作られたナノ結晶領域の内側又は外側について、ナノ結晶規模よりも大きい平均粒度を有する塗膜と共に使用されてもよい。
【0120】
本開示は1より多くの発明を記載し、開示する。本発明は、出願されるときだけでなく、本開示に基づいた特許出願を遂行する間に展開されるときも、本文書及び関連文書のクレームにおいて述べられる。本発明者らは、順次決定されるように、従来技術によって許可された限定に対して種々の発明のすべてを主張することを意図する。本明細書に記載される特徴は、本明細書で開示される各発明に対して必須ではない。従って、本発明者らは、本明細書で記載されたが、本開示に基づいた特許の特定のクレームで請求されない特徴は、そのようなクレームに組み入れられるべきではないことを意図する。
【0121】
ハードウエアの一部の組み合わせ又は工程の群を本明細書では発明と言う。しかしながら、これは、特に、1つの特許出願又は発明の単一性で検討されるであろう発明の数に関して法律及び規制によって熟慮されるとき、そのような組み合わせ又は群が必然的に、特許可能に区別可能な発明であるという承認ではない。発明の実施態様を言う近道であることが意図される。
【0122】
ここに要約が提出される。本要約は、審査官及びそのほかの探索者が技術的開示の主題を迅速に確認できるようにする要約を必要とする規則に従うように提供されていることが強調される。特許法によって約束されているように、クレームの範囲又は意味を解釈する又は限定するためにそれが使用されないという理解と共にそれは提出される。
【0123】
前述の議論は、説明として理解されるべきであって、いかなる意味においても限定することを考慮すべきではない。本発明が、その好ましい実施態様を参照して特に示され、記載される一方で、クレームによって限定される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における種々の変更が行われてもよいことが当業者によって理解されるであろう。
【0124】
以下のクレームにおけるあらゆる手段又は工程プラス機能の要素の相当する構造、物質、作用及び同等物は、具体的に請求されるようなそのほかの請求された要素と組み合わせて機能を実行するためのいかなる構造、物質又は作用も含むように意図される。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】横軸における液温の関数としての縦軸における粒度を示すグラフによる説明である。
【図2A】電気めっきの従来技術の方法における直流波形の模式的表現である。
【図2B】電気めっきの従来技術の方法における単極パルス(UPP)電流の波形の模式的表現である。
【図3】本発明の方法を実践するのに好適な装置発明の模式的説明である。
【図4】液温制御を用いて堆積された金属フィルムの断面の走査電子顕微鏡像の模式的表現である。
【図5】本発明の方法で使用するための二極パルス(BPP)電流の波形の模式的表現である。
【図6】関連するあらゆる系について示すような、横軸に示される極性比の関数としての、縦軸に示される要素の比率の、負の変動する傾きを有する一般的関係を示すグラフによる説明である。
【図7】一般に負で、変動する傾きを有する、要素の比率の関数としての縦軸上の堆積物の粒度を示すグラフによる説明である。
【図8】あらゆる位置で正の、変動する傾きを有する、横軸で示される電気的に活性のある要素の比率の関数としての縦軸上の粒度の一般的関係を示すグラフによる説明である。
【図9】Ni−W系の電着に関する極性比の上昇する値についてのX線回折パターンのグラフによる表現である。
【図10】Ni−Wの系に関する横軸上の極性比の関数としての縦軸上の粒度を示すグラフによる説明である。
【図11】種々の度合いの一般に正の傾きを有する、横軸上の極性比の関数としての縦軸上の粒度を示す一般的な関係のグラフによる説明である。
【図12】その方法発明のBPP制御により堆積された金属フィルムの断面の走査電子顕微鏡像の模式的表現である。
【図13】本発明の方法に従って作製され、異なった平均粒度を持つ隣接層、及びその厚さを介した勾配平均粒度を有するさらに大きな層を有する堆積物の断面の模式的表現である。
【図14】Ni−Wの系に関する横軸上の極性比の関数としての縦軸上の電気的に活性のある要素Wの比率を関連づけるグラフによる説明である。
【図15】Ni−Wの系に関するWの比率の関数として粒度を関連付ける実験データを示すグラフによる表現である。
【図16】図8で示されるような比率関係の関数としての粒度を有する系、及び図6で示されるような極性比関係の関数としての比率から生じるような、図10で示されるのと一般に相対する傾きを有する、横軸上の極性比の関数としての縦軸上の粒度の一般的な関係を示すグラフによる説明である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であって、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属であり、合金堆積物が特定されたナノ結晶の平均粒度を有し、
a)要素の少なくとも1つが金属で、要素の少なくとも1つが大部分電気的に活性がある、系の少なくとも2つの要素の溶解された化学種を含む液体を提供する工程と、
b)異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源に連結された、液体における第1の電極と第2の電極を提供する工程と、
c)第2の電極で特定された粒度の堆積物を達成するために電源を駆動し、非定数の電位が異なった時間で正の極性及び負の極性を有し、その時間と極性が極性比を特徴付ける工程を含む方法。
【請求項2】
さらに電源を駆動する前記工程が、電源を駆動して極性比を確立することを含み、極性比が、特定された電着粒度を相当する極性比に関連付ける補助方程式を参照して選択されている請求項1の堆積方法。
【請求項3】
さらに電源を駆動する前記工程が、特定された平均粒度を少なくとも1つの指標粒度と比較すること及び電源を駆動して極性比を確立することを含み、少なくとも1つの指標粒度を相当する極性比に関連付け、また粒度の変化を極性比の変化に関連付ける傾きの情報を含む補助方程式を参照して極性比が選択されている請求項2の堆積方法。
【請求項4】
電源を駆動する工程が、正と負双方の極性を有する非定数の電位によって電源を駆動することを含み、極性比は、
a)傾き情報が指標粒度にて正の傾きを示す場合については、特定された粒度について、
i)指標粒度に相当する極性比より相対的に大きな極性比を用いて指標粒度よりも相対的に大きい粒度;及び
ii)指標粒度に相当する極性比より相対的に小さな極性比を用いて指標粒度よりも相対的に小さい粒度;並びに
b)傾き情報が指標粒度にて負の傾きを示す場合については、特定された粒度について相対的に
i)指標粒度に相当する極性比より相対的に小さな極性比を用いて指標粒度よりも大きい粒度;及び
ii)指標粒度に相当する極性比より相対的に大きな極性比を用いて指標粒度よりも小さな粒度によって決定されている請求項3の方法。
【請求項5】
相対的に小さな極性比を用いる工程が、負の極性で相対的に少ない時間を使用することを含む請求項4の方法。
【請求項6】
相対的に小さな極性比を用いる工程が、相対的に低い絶対値の振幅の負の極性を使用することを含む請求項4の方法。
【請求項7】
相対的に大きな極性比を用いる工程が、負の極性にて相対的に多くの時間を使用することを含む請求項4の方法。
【請求項8】
相対的に大きな極性比を用いる工程が、相対的に高い絶対値の振幅の負の極性を使用することを含む請求項1の方法。
【請求項9】
電源を駆動する工程が、電源を駆動して方形波を生成することを含む請求項1の方法。
【請求項10】
電源を駆動する工程が、電源を駆動して正弦波を生成することを含む請求項1の方法。
【請求項11】
電源を駆動する工程が、非定数の電位によって電源を駆動することを含み、堆積中に供給される極性比が、
a)特定された電着粒度を有効成分の堆積物における相当する比率に関連付ける補助方程式;及び
b)有効成分の堆積物における相当する比率を堆積中に供給される極性比に関連付ける補助方程式を参照して決定されている請求項1の方法。
【請求項12】
電源を駆動する工程が、非定数の電位によって電源を駆動する工程を含み、堆積中に供給される極性比が、
a)特定された粒度に相当する有効成分の比率を同定すること;及び
b)特定された電着粒度に相当する同定された比率に相当すつ極性比を同定することによって決定されている請求項11の方法。
【請求項13】
電源を駆動する工程が、
a)補助方程式に基づいて、指標組成物のそれに相当する極性比よりも相対的に大きな極性比を用いて指標組成物における要素の比率よりも相対的に低い比率の相対的に大部分活性のある要素を有する電着組成物を達成すること;及び
b)指標組成物のそれに相当する極性比よりも相対的に低い極性比を用いて指標組成物における要素の比率よりも相対的に大きい比率の相対的に大部分活性のある要素を有する電着組成物を達成することを含む請求項12の方法。
【請求項14】
堆積物が基材上の塗膜を含む請求項1の方法。
【請求項15】
堆積物が、どの電極からも自立する目的物を含む請求項1の方法。
【請求項16】
基材が鋼鉄を含む請求項14の方法。
【請求項17】
基材がアルミニウムを含む請求項14の方法。
【請求項18】
基材がステンレス鋼を含む請求項14の方法。
【請求項19】
基材が真鍮を含む請求項14の方法。
【請求項20】
基材が金属を含む請求項14の方法。
【請求項21】
基材が電気的に活性のある表面を有するプラスチックを含む請求項14の方法。
【請求項22】
少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であって、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属であり、合金堆積物が特定されたナノ結晶の平均粒度を有し、
a)要素の少なくとも1つが金属で、要素の少なくとも1つが大部分電気的に活性がある、少なくとも2つの要素の溶解された化学種を含む液体を提供する工程と、
b)異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源に連結された、液体における第1の電極と第2の電極を提供する工程と、
c)第2の電極で特定された粒度の堆積物を達成するために電源を駆動し、非定数の電位が異なった時間で正の極性及び負の極性を有する工程を含み、堆積中に供給される極性比が、
i)堆積物の電着粒度を堆積物中の大部分電気的に活性のある金属の比率に関連づける第1の補助方程式;及び
ii)堆積物中の大部分電気的に活性のある金属の比率を堆積中の極性比に関連付ける第2の補助方程式を参照して決定されている方法。
【請求項23】
さらに、電源を駆動する工程が、特定された平均粒度を少なくとも1つの指標粒度と比較し、第1の補助方程式を用いて特定された粒度に相当する堆積物中の活性のある金属の比率を同定する工程と、
活性のある金属の相当する比率を活性のある金属の少なくとも1つの指標の比率と比較し、第2の補助方程式を用いて、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率に相当する極性比を同定する工程と、
電源を駆動して、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率に相当する、同定された極性比を確立する工程を含む請求項22の方法。
【請求項24】
前記第1の補助方程式が、特定された粒度と大部分活性のある金属の比率との間で明示的対応を含む請求項23の方法。
【請求項25】
前記第1の補助方程式が、特定された粒度とは異なる指標粒度と活性のある金属の比率との間で明示的対応を含み、また、粒度の変化を大部分活性のある金属の比率の変化に関連付け、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率を引き出すことを可能にする傾き情報も含む請求項23の方法。
【請求項26】
前記第2の補助方程式が、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率と極性比との間で明示的対応を含む請求項23の方法。
【請求項27】
前記第2の補助方程式が、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率とは異なる大部分活性のある金属の指標比率の間で明示的な対応を含み、且つまた、大部分活性のある金属の比率の変化を極性比の変化に関連付け、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率に相当する極性比を引き出すことを可能にする傾き情報も含む請求項23の方法。
【請求項28】
さらに、第1の補助方程式及び第2の補助方程式の少なくとも一方が連続関数を含む請求項22の方法。
【請求項29】
さらに、第1の補助方程式及び第2の補助方程式の少なくとも一方が表を含む請求項22の方法。
【請求項30】
さらに、第1の補助方程式及び第2の補助方程式の少なくとも一方が点及び傾き情報を含む請求項22の方法。
【請求項31】
さらに、第1の補助方程式及び第2の補助方程式の少なくとも一方が式を含む請求項22の方法。
【請求項32】
堆積物が基材上の塗膜を含む請求項22の方法。
【請求項33】
堆積物がどの電極からも自立する目的物を含む請求項22の方法。
【請求項34】
基材が鉄鋼を含む請求項22の方法。
【請求項35】
基材がアルミニウムを含む請求項22の方法。
【請求項36】
基材がステンレス鋼を含む請求項22の方法。
【請求項37】
基材が真鍮を含む請求項22の方法。
【請求項38】
基材が金属を含む請求項22の方法。
【請求項39】
基材が電気伝導性の表面を持つプラスチックを含む請求項22の方法。
【請求項40】
電極にて堆積するためのパラメータを決定する方法であって、系の合金が少なくとも2つの要素を含み、そのうちの1つは大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つは金属であり、合金堆積物は特定されたナノ結晶の平均粒度を有し、堆積は第1の電極及び第2の電極を用い、その際、合金が堆積し、電極は、その要素のうちの少なくとも1つは金属であり、その要素のうちの1つは大部分電気的に活性が要素である、系の少なくとも2つの要素の溶解された化学種を含む液体中に存在し、異なった時間で正の極性と負の極性の時間帯を有する電位を提供するように構成された電源によって電極が駆動され、パラメータを決定する方法が、
a)系の少なくとも2つの要素の溶解された化学種を含む槽組成物を選択する工程;
b)i.比率の関数として平均粒度を表現する補助方程式に基づいて、特定された粒度に相当する堆積物組成物における大部分活性のある要素の比率を決定することによって、且つ、
ii.極性比の関数として比率を表現する補助方程式に基づいて、特定された粒度に相当する比率に相当する堆積の間に供給される極性比を決定することによって
堆積の間に電極に供給するための極性比を決定する工程を含む方法。
【請求項41】
比率の関数として平均粒度を表現する補助方程式が少なくとも1つの点及び傾き情報を含む請求項40の方法。
【請求項42】
比率の関数として平均粒度を表現する補助方程式が表を含む請求項40の方法。
【請求項43】
比率の関数として平均粒度を表現する補助方程式が数学的関数を含む請求項40の方法。
【請求項44】
比率の関数として平均粒度を表現する補助方程式が連続関数を含む請求項40の方法。
【請求項45】
供給された極性比の関数として比率を表現する補助方程式が少なくとも1つの点及び傾き情報を含む請求項40の方法。
【請求項46】
供給された極性比の関数として比率を表現する補助方程式が表を含む請求項40の方法。
【請求項47】
供給された極性比の関数として比率を表現する補助方程式が数学的関数を含む請求項40の方法。
【請求項48】
供給された極性比の関数として比率を表現する補助方程式が連続関数を含む請求項40の方法。
【請求項49】
電極にて堆積するためのパラメータを決定する方法であって、系の合金が少なくとも2つの要素を含み、そのうちの1つは大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つは金属であり、堆積物は特定されたナノ結晶の平均粒度を有し、堆積は第1の電極及び第2の電極を用い、その際、合金が堆積し、電極は、その要素のうちの少なくとも1つは金属であり、その要素のうちの1つは大部分電気的に活性があり、系の少なくとも2つの要素の溶解された化学種を含む液体中に存在し、異なった時間で正の極性と負の極性の時間帯を有する電位を提供するように構成された電源によって電極が駆動され、パラメータを決定する方法が、
a)少なくとも2つの要素の溶解された化学種を含む槽組成物を選択する工程と;
b)供給された極性比の関数として粒度を表現する補助方程式に基づいて、特定された粒度に相当する、堆積中に電極に供給するための極性比を決定する工程を含む方法。
【請求項50】
極性比の関数として粒度を表現する補助方程式が少なくとも1つの点及び傾き情報を含む請求項49の方法。
【請求項51】
極性比の関数として粒度を表現する補助方程式が表を含む請求項49の方法。
【請求項52】
極性比の関数として粒度を表現する補助方程式が数学的関数を含む請求項49の方法。
【請求項53】
極性比の関数として粒度を表現する補助方程式が連続関数を含む請求項49の方法。
【請求項54】
少なくとも2つの要素を含む金属合金の製品であって、製品が
a)第1の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第1の層領域と、
b)前記第1の層領域に隣接して、且つそれと接触して、第2の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第2の層領域とを含み、その際、第2の粒度は第1の粒度とは異なり;且つ、さらに、製品が、既存の亀裂の伝播以外の現象に支配される故障モードを呈する製品。
【請求項55】
堆積物が基材上の塗膜を含む請求項54の製品。
【請求項56】
塗膜が腐食に対して保護する塗膜を含む請求項55の製品。
【請求項57】
塗膜が摩擦に対して保護する塗膜を含む請求項55の製品。
【請求項58】
塗膜が装飾的な塗膜を含む請求項55の製品。
【請求項59】
塗膜が硬質クロム塗膜として機能する塗膜を含む請求項55の製品。
【請求項60】
堆積物が、どの電極から自立する目的物を含む請求項54の製品。
【請求項61】
基材が鉄鋼を含む請求項55の製品。
【請求項62】
基材がアルミニウムを含む請求項55の製品。
【請求項63】
基材がステンレス鋼を含む請求項55の製品。
【請求項64】
基材が真鍮を含む請求項55の製品。
【請求項65】
基材が金属を含む請求項55の製品。
【請求項66】
基材が電気伝導性の表面を持つプラスチックを含む請求項55の製品。
【請求項67】
さらに、勾配変動領域が第1の位置で第1の平均粒度を有し、それから間隔をあけて第2の位置では、勾配変動領域が異なった第2の平均粒度を有し、第1の位置と第2の位置の間で平均粒度が異なるように、層領域の一方が平均粒度で勾配変動を持つナノ結晶構造を有する領域を含む請求項55の製品。
【請求項68】
少なくとも2つの要素を含む金属合金の製品であって、製品は、
堆積物が、第1の位置で第1の平均粒度を有し、それから間隔をあけて第2の位置では、異なった第2の平均粒度を有し、第1の位置と第2の位置の間で平均粒度が異なるように平均粒度で変動のあるナノ結晶構造を有する堆積物を含み、
さらに、製品が、既存の亀裂の亀裂伝播以外の現象に支配される故障モードを呈する製品。
【請求項69】
堆積物が基材上の塗膜を含む請求項68の製品。
【請求項70】
塗膜が腐食に対して保護する塗膜を含む請求項69の製品。
【請求項71】
塗膜が摩擦に対して保護する塗膜を含む請求項69の製品。
【請求項72】
塗膜が装飾的な塗膜を含む請求項69の製品。
【請求項73】
塗膜が硬質クロム塗膜として機能する塗膜を含む請求項69の製品。
【請求項74】
堆積物が、どの電極からも自立する目的物を含む請求項69の製品。
【請求項75】
基材が鉄鋼を含む請求項69の製品。
【請求項76】
基材がアルミニウムを含む請求項69の製品。
【請求項77】
基材がステンレス鋼を含む請求項69の製品。
【請求項78】
基材が真鍮を含む請求項69の製品。
【請求項79】
基材が金属を含む請求項69の製品。
【請求項80】
基材が電気伝導性の表面を持つプラスチックを含む請求項69の製品。
【請求項81】
少なくとも2つの要素を含む金属合金の製品であって、製品が
a)第1の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第1の層領域と、
b)前記第1の層領域に隣接して、且つそれと接触して、第2の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第2の層領域とを含み、その際、第2の粒度は第1の粒度とは異なり;且つ、さらに、製品が、亀裂の開始及び既存の空隙の伝播以外の現象に支配される故障モードを呈する製品。
【請求項82】
さらに、変動領域が第1の位置で第1の平均粒度を有し、それから間隔をあけて第2の位置では、変動領域が異なった第2の平均粒度を有し、第1の位置と第2の位置の間で平均粒度が異なるように、層領域の一方が平均粒度で変動を持つナノ結晶構造を有する領域を含む請求項81の製品。
【請求項83】
少なくとも2つの要素を含む金属合金の製品であって、製品は、
変動領域が第1の位置で第1の平均粒度を有し、それから間隔をあけて第2の位置では、変動領域が異なった第2の平均粒度を有し、第1の位置と第2の位置の間で平均粒度が異なるように、平均粒度で変動を持つナノ結晶構造を有する領域を含み、
さらに、製品が、亀裂の開始及び既存の空隙の伝播以外の現象に支配される故障モードを呈する製品。
【請求項84】
少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であって、そのうちの1つが大部分電気の活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属であり、合金堆積物が、第1の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第1の層領域を有し、前記第1の層領域に隣接して且つそれと接触して、第2の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第2の層領域を有し、第2の粒度は第1の粒度とは異なり、
a)要素の少なくとも1つが金属で、要素の少なくとも1つが大部分電気活性である、系の少なくとも2つの要素の溶解された化学種を含む液体を提供する工程と、
b)異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源に連結された、液体における第1の電極と第2の電極を提供する工程と、
c)第1の電極にて第1の特定された粒度の堆積物を達成するために第1の時間の間、電源を駆動し、非定数の電位が異なった時間で正の極性及び負の極性を有し、その時間と極性が第1の極性比を特徴付ける工程と、
d)第2の電極にて第2の特定された粒度の堆積物を達成するために第2の時間の間、電源を駆動し、非定数の電位が異なった時間で正の極性及び負の極性を有し、その時間と極性が第1の極性比とは異なる第2の極性比を特徴付ける工程を含む方法。
【請求項85】
さらに、変動領域が第1の位置で第1の平均粒度を有し、それから間隔をあけて第2の位置では、変動領域が異なった第2の平均粒度を有し、第1の位置と第2の位置の間で平均粒度が異なるように、層領域の一方が平均粒度で変動を持つナノ結晶構造を有する領域を含み、第2の時間の間、電源を駆動する工程がさらに、異なった時間で正の極性と負の極性を有する非定数の電位によって電源を駆動することを含み、その時間と極性が異なった平均粒度の範囲に相当する非定数の極性比の範囲を特徴付ける請求項84の堆積方法。
【請求項86】
少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であって、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属であり、
a)系の溶解された要素を含む電気めっき液を提供する工程と、
b)液中の第1の電極及び第2の電極を提供する工程と、
c)第1の極性比を特徴付ける非定数の電位によって第1の時間、電源を駆動する工程と、
d)第1の極性比とは異なる第2の極性比を特徴付ける非定数の電位によって第2の時間、電源を駆動する工程を含む方法。
【請求項87】
少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であって、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属であり、変動領域が第1の位置で第1の平均粒度を有し、それから間隔をあけて第2の位置では、変動領域が異なった第2の平均粒度を有し、第1の位置と第2の位置の間で平均粒度が異なるように、合金堆積物が平均粒度で変動を有し、
a)要素の少なくとも1つが金属で、要素の少なくとも1つが大部分電気的に活性がある、系の少なくとも2つの要素の溶解された化学種を含む液体を提供する工程と、
b)異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源に連結された、液体における第1の電極と第2の電極を提供する工程と、
c)異なった時間で正の極性及び負の極性を有する非定数の電位によってある時間帯、電源を駆動し、その時間と極性が異なる平均粒度の範囲に相当する非定数の極性比の範囲を特徴付ける工程を含む方法。
【請求項88】
少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であって、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属であり、
a)系の要素を含む電気めっき液を提供する工程と、
b)電源に連結された、液中の第1の電極及び第2の電極を提供する工程と、
c)異なる平均粒度の範囲に相当する非定数の極性比の範囲によって特徴付けられる時間帯、電源を駆動する工程とを含む方法。
【請求項1】
少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であって、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属であり、合金堆積物が特定されたナノ結晶の平均粒度を有し、
a)要素の少なくとも1つが金属で、要素の少なくとも1つが大部分電気的に活性がある、系の少なくとも2つの要素の溶解された化学種を含む液体を提供する工程と、
b)異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源に連結された、液体における第1の電極と第2の電極を提供する工程と、
c)第2の電極で特定された粒度の堆積物を達成するために電源を駆動し、非定数の電位が異なった時間で正の極性及び負の極性を有し、その時間と極性が極性比を特徴付ける工程を含む方法。
【請求項2】
さらに電源を駆動する前記工程が、電源を駆動して極性比を確立することを含み、極性比が、特定された電着粒度を相当する極性比に関連付ける補助方程式を参照して選択されている請求項1の堆積方法。
【請求項3】
さらに電源を駆動する前記工程が、特定された平均粒度を少なくとも1つの指標粒度と比較すること及び電源を駆動して極性比を確立することを含み、少なくとも1つの指標粒度を相当する極性比に関連付け、また粒度の変化を極性比の変化に関連付ける傾きの情報を含む補助方程式を参照して極性比が選択されている請求項2の堆積方法。
【請求項4】
電源を駆動する工程が、正と負双方の極性を有する非定数の電位によって電源を駆動することを含み、極性比は、
a)傾き情報が指標粒度にて正の傾きを示す場合については、特定された粒度について、
i)指標粒度に相当する極性比より相対的に大きな極性比を用いて指標粒度よりも相対的に大きい粒度;及び
ii)指標粒度に相当する極性比より相対的に小さな極性比を用いて指標粒度よりも相対的に小さい粒度;並びに
b)傾き情報が指標粒度にて負の傾きを示す場合については、特定された粒度について相対的に
i)指標粒度に相当する極性比より相対的に小さな極性比を用いて指標粒度よりも大きい粒度;及び
ii)指標粒度に相当する極性比より相対的に大きな極性比を用いて指標粒度よりも小さな粒度によって決定されている請求項3の方法。
【請求項5】
相対的に小さな極性比を用いる工程が、負の極性で相対的に少ない時間を使用することを含む請求項4の方法。
【請求項6】
相対的に小さな極性比を用いる工程が、相対的に低い絶対値の振幅の負の極性を使用することを含む請求項4の方法。
【請求項7】
相対的に大きな極性比を用いる工程が、負の極性にて相対的に多くの時間を使用することを含む請求項4の方法。
【請求項8】
相対的に大きな極性比を用いる工程が、相対的に高い絶対値の振幅の負の極性を使用することを含む請求項1の方法。
【請求項9】
電源を駆動する工程が、電源を駆動して方形波を生成することを含む請求項1の方法。
【請求項10】
電源を駆動する工程が、電源を駆動して正弦波を生成することを含む請求項1の方法。
【請求項11】
電源を駆動する工程が、非定数の電位によって電源を駆動することを含み、堆積中に供給される極性比が、
a)特定された電着粒度を有効成分の堆積物における相当する比率に関連付ける補助方程式;及び
b)有効成分の堆積物における相当する比率を堆積中に供給される極性比に関連付ける補助方程式を参照して決定されている請求項1の方法。
【請求項12】
電源を駆動する工程が、非定数の電位によって電源を駆動する工程を含み、堆積中に供給される極性比が、
a)特定された粒度に相当する有効成分の比率を同定すること;及び
b)特定された電着粒度に相当する同定された比率に相当すつ極性比を同定することによって決定されている請求項11の方法。
【請求項13】
電源を駆動する工程が、
a)補助方程式に基づいて、指標組成物のそれに相当する極性比よりも相対的に大きな極性比を用いて指標組成物における要素の比率よりも相対的に低い比率の相対的に大部分活性のある要素を有する電着組成物を達成すること;及び
b)指標組成物のそれに相当する極性比よりも相対的に低い極性比を用いて指標組成物における要素の比率よりも相対的に大きい比率の相対的に大部分活性のある要素を有する電着組成物を達成することを含む請求項12の方法。
【請求項14】
堆積物が基材上の塗膜を含む請求項1の方法。
【請求項15】
堆積物が、どの電極からも自立する目的物を含む請求項1の方法。
【請求項16】
基材が鋼鉄を含む請求項14の方法。
【請求項17】
基材がアルミニウムを含む請求項14の方法。
【請求項18】
基材がステンレス鋼を含む請求項14の方法。
【請求項19】
基材が真鍮を含む請求項14の方法。
【請求項20】
基材が金属を含む請求項14の方法。
【請求項21】
基材が電気的に活性のある表面を有するプラスチックを含む請求項14の方法。
【請求項22】
少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であって、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属であり、合金堆積物が特定されたナノ結晶の平均粒度を有し、
a)要素の少なくとも1つが金属で、要素の少なくとも1つが大部分電気的に活性がある、少なくとも2つの要素の溶解された化学種を含む液体を提供する工程と、
b)異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源に連結された、液体における第1の電極と第2の電極を提供する工程と、
c)第2の電極で特定された粒度の堆積物を達成するために電源を駆動し、非定数の電位が異なった時間で正の極性及び負の極性を有する工程を含み、堆積中に供給される極性比が、
i)堆積物の電着粒度を堆積物中の大部分電気的に活性のある金属の比率に関連づける第1の補助方程式;及び
ii)堆積物中の大部分電気的に活性のある金属の比率を堆積中の極性比に関連付ける第2の補助方程式を参照して決定されている方法。
【請求項23】
さらに、電源を駆動する工程が、特定された平均粒度を少なくとも1つの指標粒度と比較し、第1の補助方程式を用いて特定された粒度に相当する堆積物中の活性のある金属の比率を同定する工程と、
活性のある金属の相当する比率を活性のある金属の少なくとも1つの指標の比率と比較し、第2の補助方程式を用いて、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率に相当する極性比を同定する工程と、
電源を駆動して、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率に相当する、同定された極性比を確立する工程を含む請求項22の方法。
【請求項24】
前記第1の補助方程式が、特定された粒度と大部分活性のある金属の比率との間で明示的対応を含む請求項23の方法。
【請求項25】
前記第1の補助方程式が、特定された粒度とは異なる指標粒度と活性のある金属の比率との間で明示的対応を含み、また、粒度の変化を大部分活性のある金属の比率の変化に関連付け、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率を引き出すことを可能にする傾き情報も含む請求項23の方法。
【請求項26】
前記第2の補助方程式が、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率と極性比との間で明示的対応を含む請求項23の方法。
【請求項27】
前記第2の補助方程式が、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率とは異なる大部分活性のある金属の指標比率の間で明示的な対応を含み、且つまた、大部分活性のある金属の比率の変化を極性比の変化に関連付け、特定された粒度に相当する大部分活性のある金属の比率に相当する極性比を引き出すことを可能にする傾き情報も含む請求項23の方法。
【請求項28】
さらに、第1の補助方程式及び第2の補助方程式の少なくとも一方が連続関数を含む請求項22の方法。
【請求項29】
さらに、第1の補助方程式及び第2の補助方程式の少なくとも一方が表を含む請求項22の方法。
【請求項30】
さらに、第1の補助方程式及び第2の補助方程式の少なくとも一方が点及び傾き情報を含む請求項22の方法。
【請求項31】
さらに、第1の補助方程式及び第2の補助方程式の少なくとも一方が式を含む請求項22の方法。
【請求項32】
堆積物が基材上の塗膜を含む請求項22の方法。
【請求項33】
堆積物がどの電極からも自立する目的物を含む請求項22の方法。
【請求項34】
基材が鉄鋼を含む請求項22の方法。
【請求項35】
基材がアルミニウムを含む請求項22の方法。
【請求項36】
基材がステンレス鋼を含む請求項22の方法。
【請求項37】
基材が真鍮を含む請求項22の方法。
【請求項38】
基材が金属を含む請求項22の方法。
【請求項39】
基材が電気伝導性の表面を持つプラスチックを含む請求項22の方法。
【請求項40】
電極にて堆積するためのパラメータを決定する方法であって、系の合金が少なくとも2つの要素を含み、そのうちの1つは大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つは金属であり、合金堆積物は特定されたナノ結晶の平均粒度を有し、堆積は第1の電極及び第2の電極を用い、その際、合金が堆積し、電極は、その要素のうちの少なくとも1つは金属であり、その要素のうちの1つは大部分電気的に活性が要素である、系の少なくとも2つの要素の溶解された化学種を含む液体中に存在し、異なった時間で正の極性と負の極性の時間帯を有する電位を提供するように構成された電源によって電極が駆動され、パラメータを決定する方法が、
a)系の少なくとも2つの要素の溶解された化学種を含む槽組成物を選択する工程;
b)i.比率の関数として平均粒度を表現する補助方程式に基づいて、特定された粒度に相当する堆積物組成物における大部分活性のある要素の比率を決定することによって、且つ、
ii.極性比の関数として比率を表現する補助方程式に基づいて、特定された粒度に相当する比率に相当する堆積の間に供給される極性比を決定することによって
堆積の間に電極に供給するための極性比を決定する工程を含む方法。
【請求項41】
比率の関数として平均粒度を表現する補助方程式が少なくとも1つの点及び傾き情報を含む請求項40の方法。
【請求項42】
比率の関数として平均粒度を表現する補助方程式が表を含む請求項40の方法。
【請求項43】
比率の関数として平均粒度を表現する補助方程式が数学的関数を含む請求項40の方法。
【請求項44】
比率の関数として平均粒度を表現する補助方程式が連続関数を含む請求項40の方法。
【請求項45】
供給された極性比の関数として比率を表現する補助方程式が少なくとも1つの点及び傾き情報を含む請求項40の方法。
【請求項46】
供給された極性比の関数として比率を表現する補助方程式が表を含む請求項40の方法。
【請求項47】
供給された極性比の関数として比率を表現する補助方程式が数学的関数を含む請求項40の方法。
【請求項48】
供給された極性比の関数として比率を表現する補助方程式が連続関数を含む請求項40の方法。
【請求項49】
電極にて堆積するためのパラメータを決定する方法であって、系の合金が少なくとも2つの要素を含み、そのうちの1つは大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つは金属であり、堆積物は特定されたナノ結晶の平均粒度を有し、堆積は第1の電極及び第2の電極を用い、その際、合金が堆積し、電極は、その要素のうちの少なくとも1つは金属であり、その要素のうちの1つは大部分電気的に活性があり、系の少なくとも2つの要素の溶解された化学種を含む液体中に存在し、異なった時間で正の極性と負の極性の時間帯を有する電位を提供するように構成された電源によって電極が駆動され、パラメータを決定する方法が、
a)少なくとも2つの要素の溶解された化学種を含む槽組成物を選択する工程と;
b)供給された極性比の関数として粒度を表現する補助方程式に基づいて、特定された粒度に相当する、堆積中に電極に供給するための極性比を決定する工程を含む方法。
【請求項50】
極性比の関数として粒度を表現する補助方程式が少なくとも1つの点及び傾き情報を含む請求項49の方法。
【請求項51】
極性比の関数として粒度を表現する補助方程式が表を含む請求項49の方法。
【請求項52】
極性比の関数として粒度を表現する補助方程式が数学的関数を含む請求項49の方法。
【請求項53】
極性比の関数として粒度を表現する補助方程式が連続関数を含む請求項49の方法。
【請求項54】
少なくとも2つの要素を含む金属合金の製品であって、製品が
a)第1の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第1の層領域と、
b)前記第1の層領域に隣接して、且つそれと接触して、第2の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第2の層領域とを含み、その際、第2の粒度は第1の粒度とは異なり;且つ、さらに、製品が、既存の亀裂の伝播以外の現象に支配される故障モードを呈する製品。
【請求項55】
堆積物が基材上の塗膜を含む請求項54の製品。
【請求項56】
塗膜が腐食に対して保護する塗膜を含む請求項55の製品。
【請求項57】
塗膜が摩擦に対して保護する塗膜を含む請求項55の製品。
【請求項58】
塗膜が装飾的な塗膜を含む請求項55の製品。
【請求項59】
塗膜が硬質クロム塗膜として機能する塗膜を含む請求項55の製品。
【請求項60】
堆積物が、どの電極から自立する目的物を含む請求項54の製品。
【請求項61】
基材が鉄鋼を含む請求項55の製品。
【請求項62】
基材がアルミニウムを含む請求項55の製品。
【請求項63】
基材がステンレス鋼を含む請求項55の製品。
【請求項64】
基材が真鍮を含む請求項55の製品。
【請求項65】
基材が金属を含む請求項55の製品。
【請求項66】
基材が電気伝導性の表面を持つプラスチックを含む請求項55の製品。
【請求項67】
さらに、勾配変動領域が第1の位置で第1の平均粒度を有し、それから間隔をあけて第2の位置では、勾配変動領域が異なった第2の平均粒度を有し、第1の位置と第2の位置の間で平均粒度が異なるように、層領域の一方が平均粒度で勾配変動を持つナノ結晶構造を有する領域を含む請求項55の製品。
【請求項68】
少なくとも2つの要素を含む金属合金の製品であって、製品は、
堆積物が、第1の位置で第1の平均粒度を有し、それから間隔をあけて第2の位置では、異なった第2の平均粒度を有し、第1の位置と第2の位置の間で平均粒度が異なるように平均粒度で変動のあるナノ結晶構造を有する堆積物を含み、
さらに、製品が、既存の亀裂の亀裂伝播以外の現象に支配される故障モードを呈する製品。
【請求項69】
堆積物が基材上の塗膜を含む請求項68の製品。
【請求項70】
塗膜が腐食に対して保護する塗膜を含む請求項69の製品。
【請求項71】
塗膜が摩擦に対して保護する塗膜を含む請求項69の製品。
【請求項72】
塗膜が装飾的な塗膜を含む請求項69の製品。
【請求項73】
塗膜が硬質クロム塗膜として機能する塗膜を含む請求項69の製品。
【請求項74】
堆積物が、どの電極からも自立する目的物を含む請求項69の製品。
【請求項75】
基材が鉄鋼を含む請求項69の製品。
【請求項76】
基材がアルミニウムを含む請求項69の製品。
【請求項77】
基材がステンレス鋼を含む請求項69の製品。
【請求項78】
基材が真鍮を含む請求項69の製品。
【請求項79】
基材が金属を含む請求項69の製品。
【請求項80】
基材が電気伝導性の表面を持つプラスチックを含む請求項69の製品。
【請求項81】
少なくとも2つの要素を含む金属合金の製品であって、製品が
a)第1の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第1の層領域と、
b)前記第1の層領域に隣接して、且つそれと接触して、第2の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第2の層領域とを含み、その際、第2の粒度は第1の粒度とは異なり;且つ、さらに、製品が、亀裂の開始及び既存の空隙の伝播以外の現象に支配される故障モードを呈する製品。
【請求項82】
さらに、変動領域が第1の位置で第1の平均粒度を有し、それから間隔をあけて第2の位置では、変動領域が異なった第2の平均粒度を有し、第1の位置と第2の位置の間で平均粒度が異なるように、層領域の一方が平均粒度で変動を持つナノ結晶構造を有する領域を含む請求項81の製品。
【請求項83】
少なくとも2つの要素を含む金属合金の製品であって、製品は、
変動領域が第1の位置で第1の平均粒度を有し、それから間隔をあけて第2の位置では、変動領域が異なった第2の平均粒度を有し、第1の位置と第2の位置の間で平均粒度が異なるように、平均粒度で変動を持つナノ結晶構造を有する領域を含み、
さらに、製品が、亀裂の開始及び既存の空隙の伝播以外の現象に支配される故障モードを呈する製品。
【請求項84】
少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であって、そのうちの1つが大部分電気の活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属であり、合金堆積物が、第1の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第1の層領域を有し、前記第1の層領域に隣接して且つそれと接触して、第2の平均粒度を持つナノ結晶構造を有する第2の層領域を有し、第2の粒度は第1の粒度とは異なり、
a)要素の少なくとも1つが金属で、要素の少なくとも1つが大部分電気活性である、系の少なくとも2つの要素の溶解された化学種を含む液体を提供する工程と、
b)異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源に連結された、液体における第1の電極と第2の電極を提供する工程と、
c)第1の電極にて第1の特定された粒度の堆積物を達成するために第1の時間の間、電源を駆動し、非定数の電位が異なった時間で正の極性及び負の極性を有し、その時間と極性が第1の極性比を特徴付ける工程と、
d)第2の電極にて第2の特定された粒度の堆積物を達成するために第2の時間の間、電源を駆動し、非定数の電位が異なった時間で正の極性及び負の極性を有し、その時間と極性が第1の極性比とは異なる第2の極性比を特徴付ける工程を含む方法。
【請求項85】
さらに、変動領域が第1の位置で第1の平均粒度を有し、それから間隔をあけて第2の位置では、変動領域が異なった第2の平均粒度を有し、第1の位置と第2の位置の間で平均粒度が異なるように、層領域の一方が平均粒度で変動を持つナノ結晶構造を有する領域を含み、第2の時間の間、電源を駆動する工程がさらに、異なった時間で正の極性と負の極性を有する非定数の電位によって電源を駆動することを含み、その時間と極性が異なった平均粒度の範囲に相当する非定数の極性比の範囲を特徴付ける請求項84の堆積方法。
【請求項86】
少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であって、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属であり、
a)系の溶解された要素を含む電気めっき液を提供する工程と、
b)液中の第1の電極及び第2の電極を提供する工程と、
c)第1の極性比を特徴付ける非定数の電位によって第1の時間、電源を駆動する工程と、
d)第1の極性比とは異なる第2の極性比を特徴付ける非定数の電位によって第2の時間、電源を駆動する工程を含む方法。
【請求項87】
少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であって、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属であり、変動領域が第1の位置で第1の平均粒度を有し、それから間隔をあけて第2の位置では、変動領域が異なった第2の平均粒度を有し、第1の位置と第2の位置の間で平均粒度が異なるように、合金堆積物が平均粒度で変動を有し、
a)要素の少なくとも1つが金属で、要素の少なくとも1つが大部分電気的に活性がある、系の少なくとも2つの要素の溶解された化学種を含む液体を提供する工程と、
b)異なった時間で正の極性及び負の極性の時間帯を有する電位を供給するように構成された電源に連結された、液体における第1の電極と第2の電極を提供する工程と、
c)異なった時間で正の極性及び負の極性を有する非定数の電位によってある時間帯、電源を駆動し、その時間と極性が異なる平均粒度の範囲に相当する非定数の極性比の範囲を特徴付ける工程を含む方法。
【請求項88】
少なくとも2つの要素を含む系の合金を堆積する方法であって、そのうちの1つが大部分電気的に活性があり、そのうちの少なくとも1つが金属であり、
a)系の要素を含む電気めっき液を提供する工程と、
b)電源に連結された、液中の第1の電極及び第2の電極を提供する工程と、
c)異なる平均粒度の範囲に相当する非定数の極性比の範囲によって特徴付けられる時間帯、電源を駆動する工程とを含む方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2008−542552(P2008−542552A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515731(P2008−515731)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/019830
【国際公開番号】WO2007/046870
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(506365393)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/019830
【国際公開番号】WO2007/046870
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(506365393)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (11)
【Fターム(参考)】
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