説明

負イオン源

【課題】負イオンの引出効率を向上させ電流密度のより高い負イオンビームを出射できる負イオン源を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る負イオン源10は、プラズマ容器12と、熱電子を放出するフィラメント16と、カスプ磁場を形成する複数の磁石M1と、プラズマから負イオンを引き出す引出電極26と、プラズマ容器12の内部空間を放電空間S1と引出空間S2とに分割するフィルタ磁場MFを形成するフィルタ磁場形成手段M2と、プラズマ容器12内に配置され、放電空間S1から引出空間S2への正イオンの移動を妨げるためのバリア電極30とを備え、バリア電極30は、ビーム軸C方向において引出電極26との間にフィルタ磁場MFを挟むような位置に配置され、この位置に正電位の等電位空間を形成し励起分子等の移動を許容するような複数の空間部35を形成する形状を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素等の原料ガスからプラズマを生成し、このプラズマを負イオンの供給源として負イオンビームを出射する負イオン源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラズマからイオンを引き出してイオンビームを出射するイオン源としては、特許文献1に記載のイオン源が知られている。
【0003】
このイオン源は、図5(a)及び図5(b)に示されるように、原料ガスが供給されるプラズマ容器112と、熱電子を放出するフィラメント114と、プラズマをプラズマ容器112内に閉じ込めるためのカスプ磁場を形成する複数の磁石116,116,…と、プラズマからイオンを引き出す引出電極118とを備える。
【0004】
このイオン源110では、以下のようにして、イオンビームが出射される。原料ガスが供給されたプラズマ容器112内でフィラメント114が熱電子を放出することによって、前記原料ガスがプラズマ化する。このプラズマがカスプ磁場によってプラズマ容器112内に閉じ込められ、この閉じ込められたプラズマからイオンが引出電極118によってプラズマ容器112外に引き出され、イオンビームが形成される。
【0005】
前記のようなイオン源110では、例えば、原料ガスとして水素ガスを用いた場合、カスプ磁場に閉じ込められたプラズマにおいて、以下の式(1)で示すような電子剥離反応によって生成された負イオンの一部が消滅する。即ち、前記プラズマにおいて、負イオン損失が生じる。この電子剥離反応は、前記熱電子等の高速電子(e(fast))が負イオン(H-)に衝突することによって負イオン(H-)が消滅する反応である。
【0006】
-+e(fast)→H+2e ・・・・・(1)
この電子解離反応を抑制することにより、プラズマ容器112内で生成したプラズマにおける負イオンの損失量を減少させ、イオンビームの電流密度を向上させた負イオン源が開発された(特許文献2参照)。
【0007】
この負イオン源は、図6に示されるように、フィルタ磁場形成手段120をさらに備えている(特許文献2参照)。このフィルタ磁場形成手段120は、プラズマ容器112の内部空間を負イオンビームのビーム軸axと略直交する面に沿って磁力線lmが横断し、フィラメント114が配置されている放電空間122と引出電極118に接する引出空間124とに分割する磁場(フィルタ磁場)mfを形成するためのものである。
【0008】
このフィルタ磁場形成手段120を備えたイオン源110aは、以下のようにして電流密度を向上させた負イオンビームを出射する。まず、前記のイオン源110同様、プラズマ容器112内に供給された原料ガスがフィラメント114の放出する熱電子によってプラズマ化される。このように生成されたプラズマは、プラズマ容器112の内部空間(放電空間122及び引出空間124)内に拡がる。このとき、フィルタ磁場mfによって、放電空間122から引出空間124への高速電子の拡散が妨げられ、引出空間124内に拡がったプラズマは高速電子の少ない状態となる。
【0009】
これは、放電空間122から引出空間124へ移動しようとした高速電子の多くは、フィルタ磁場mfを通過しようとしたときにローレンツ力が働くことによって直ぐに向きを変え、フィルタ磁場mfを通過できずに放電空間122に戻るからである。
【0010】
このように引出空間124のプラズマが高速電子の少ない状態となることで、当該プラズマにおいて、高速電子と負イオンとの衝突によって生じる電子解離反応が抑制され、負イオンの損失量が減少する。
【0011】
また、引出空間124では、プラズマが低速電子と励起状態の水素分子とが多数存在した状態となるため、これら低速電子と励起状態の水素分子との付着による負イオンの生成が行われ易くなる。
【0012】
これは、前記のように多くの高速電子がフィルタ磁場mfにより跳ね返され、放電空間122から引出空間124への移動を妨げられるが、一部の高速電子がフィルタ磁場mfに捕捉され、プラズマ容器112内に存在する水素ガス等と衝突しながらエネルギーを失い、低速電子となって引出空間124に到達することに加え、引出空間124を囲む壁面でのイオンや電子衝突によって引出空間124内で低速電子が生成されているからである。
【0013】
このように、フィルタ磁場mfが放電空間122から引出空間124への励起状態の水素分子の移動を許容すると共に放電空間122から引出空間124への高速電子の拡散を妨げ低速電子の拡散のみを許容することにより、引出空間124のプラズマは、その内部に低速電子と励起状態の水素分子とが多数存在した状態となる。このように低速電子と励起状態の水素分子が増えると、これらが互いに付着して負イオンが生成される確率が高くなり、負イオンの生成効率が向上する。
【0014】
このように、フィルタ磁場mfを設けた負イオン源110aにおいては、前記電子解離反応が抑制されると共に引出空間124における負イオンの生成効率が向上するため、引出電極118によって引き出される負イオンの量が増加し、即ち、負イオンの引出効率が向上し、負イオンビームの電流密度の向上が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平8−212954号公報
【特許文献2】特開2002−197987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、近年、分析や加工等の種々の分野において、負イオンの引出効率をさらに高め、電流密度のより高い負イオンビームを出射できる負イオン源が求められている。
【0017】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、負イオンの引出効率を向上させ、電流密度のより高い負イオンビームを出射できる負イオン源を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、上記課題を解消するために、相互中性化反応に着目した。
【0019】
プラズマにおける負イオンの損失は、前記の電子解離反応以外に、以下の式(2)に示す相互中性化反応によっても生じる。尚、この式(2)は、水素イオンにおける相互中性化反応を示す。
【0020】
-+H+→2H ・・・・・(2)
この相互中性化反応は、負イオンに正イオンが衝突して互いに中性化することによって負イオンが消滅する。
【0021】
前記のフィルタ磁場mfを備えた負イオン源110aでは、フィルタ磁場mfによって引出空間124への高速電子の拡散が妨げられ、引出空間124内の高速電子の数が減少することにより、前記電子解離反応が抑制されて負イオンの損失が抑制された。
【0022】
しかし、フィルタ磁場mfは、質量の大きな正イオンの引出空間124への移動を防げることができない。即ち、正イオンは、電子に比べ質量が非常に大きく、フィルタ磁場mf中でラーマー半径が大きくなるため、進行方向を変えて放電空間122へ引き返す前にフィルタ磁場mfを通過してしまう。従って、引出空間124内のプラズマにおける正イオンの排除が困難であった。
【0023】
以上のように、フィルタ磁場mfを備えた負イオン源110aでは、引出空間124内のプラズマにおいて、電子解離反応による負イオンの損失を抑制することはできたが相互中性化反応による負イオンの損失を抑制することはできなかった。
【0024】
そこで、本発明者らは、以下の構成の負イオン源を創作することにより上記課題を解消した。
【0025】
本発明に係る負イオン源は、プラズマを生成し、このプラズマを負イオンの供給源として負イオンビームを出射する負イオン源であって、イオン引出開孔を有し、外部から原料ガスが供給されるプラズマ容器と、前記プラズマ容器内に配置され、電圧が印加されることにより熱電子を放出して前記原料ガスからプラズマ、励起状態の分子及び励起状態の原子を生成するフィラメントと、前記プラズマ容器の外周に沿って設けられ、当該プラズマ容器内に前記プラズマを閉じ込めるためのカスプ磁場を形成する複数の磁石と、前記イオン引出開孔と対向するように前記プラズマ容器の外部に配置され、前記プラズマ容器との間に引出電圧が印加されることにより前記イオン引出開孔を通じてプラズマ容器内に生成されたプラズマから負イオンを外部に引き出して前記負イオンビームを生成する引出電極と、磁力線が一方向を向くように前記負イオンビームのビーム軸と直交する面に沿って前記プラズマ容器の内部空間を横断するフィルタ磁場を、このフィルタ磁場が前記内部空間を前記フィラメントの配置される放電空間と前記引出電極に接する引出空間とに分割するような位置に形成するフィルタ磁場形成手段と、前記プラズマ容器内に配置され、前記放電空間から前記引出空間への前記プラズマ中の正イオンの移動を妨げるためのバリア電極と、を備え、前記バリア電極は、前記ビーム軸方向において前記引出電極との間に前記フィルタ磁場を挟むような位置に配置され、前記プラズマ容器との間にバリア電圧が印加されることにより前記配置された位置において前記ビーム軸と直交する面に沿った正電位の等電位空間を形成し、前記放電空間から前記引出空間への前記励起状態の分子及び励起状態の原子の移動を許容するような複数の空間部を形成する形状を有することを特徴とする。
【0026】
かかる構成によれば、バリア電極が備えられることによって、前記引出空間への正イオンの移動が妨げられ、この正イオンと前記引出空間内のプラズマ中の負イオンとの相互中性化反応が抑制され、この相互中性化反応によるイオン損失が抑制される。そのため、前記引出空間内のプラズマから負イオンを引き出すことによって、前記フィルタ磁場形成手段を備えるが前記バリア電極のない従来の負イオン源に比べ、電流密度のより高い負イオンビームが出射される。
【0027】
即ち、前記バリア電圧が印加された前記バリア電極によって、前記放電空間から前記引出空間へ移動しようとする正イオンが跳ね返され、これにより、前記引出空間に拡がるプラズマ内の正イオンの数が減少し、この正イオンとの相互中性化反応が抑制される。
【0028】
詳細には、前記バリア電圧が前記バリア電極に印加されることによって、前記ビーム軸と直交する面に沿って正電位の等電位空間が拡がる。そのため、前記放電空間から前記引出空間へ移動しようとする正イオンは、この等電位空間で跳ね返され、前記放電空間から前記引出空間への移動が妨げられる。
【0029】
一方、前記バリア電極は、前記放電空間から前記引出空間への前記励起状態の分子及び励起状態の原子の移動を許容するような複数の空間部を形成する形状を有するため、前記バリア電極が印加されることにより、前記正イオンを跳ね返すが中性粒子である励起状態となった原料ガスを構成する分子や原子(例えば、励起状態の水素ガス分子)の放電空間から引出空間への移動を許容する。
【0030】
以上のように、前記引出空間内のプラズマにおいては、高速電子と正イオンとが排除されると共に、励起した原料ガスを構成する分子(例えば、励起状態の水素分子)や原子、即ち、励起状態の分子及び原子と低速電子とが多く存在することになる。そのため、励起した前記分子と前記低速電子との付着による負イオンの生成が増加すると共に、前記電子解離反応と前記相互中性化反応とが抑制され、従来の負イオン源よりも前記引出空間におけるプラズマ中の負イオンの損失が抑制される。その結果、前記引出空間における負イオンの生成効率が向上し、電流密度のより高い負イオンビームの出射が可能になる。
【0031】
また、本発明に係る負イオン源では、前記バリア電極は、前記ビーム軸と直交する面において前記プラズマ容器の内周面に沿うような形状の枠部材と、この枠部材に掛け渡される複数本の線状部材とを備え、前記掛け渡される線状部材間に前記空間部が形成される構成が好ましい。
【0032】
かかる構成によれば、前記枠部材と前記複数本の線状部材とを組み合わせた簡易な構成によって、前記等電位空間を形成しつつ、前記励起状態の分子及び原子の前記放電空間から前記引出空間への移動を許容するバリア電極を形成することができる。
【0033】
また、前記バリア電極では、前記ビーム軸方向から見て前記線状部材が前記イオン引出開孔の位置を避けるように配置される構成が好ましい。
【0034】
かかる構成によれば、前記放電空間から前記引出空間のイオン引出開孔近傍に向かう前記励起した原料ガスを構成する分子や原子の移動が前記線状部材によって妨げられ難くなる。即ち、前記イオン引出開孔近傍のプラズマに向けた前記放電空間からの前記励起状態の分子及び原子の移動が前記線状部材によって妨げられない。
【0035】
そのため、前記ビーム軸方向から見て前記線状部材がイオン引出開孔の位置に配置された場合に比べ、前記イオン引出開孔近傍のプラズマ中への前記励起状態の分子及び原子の移動が容易になり、イオン引出開孔近傍の励起状態の分子及び原子の数が増加する結果、前記励起状態の分子と低速電子との付着による負イオンの生成効率が向上する。
【発明の効果】
【0036】
以上より、本発明によれば、負イオンの引出効率を向上させ電流密度のより高い負イオンビームを出射できる負イオン源を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施形態に係る負イオン源において、(a)は、概略構成図を示し、(b)は、図1(a)におけるA−A断面図を示し、(c)は、図1(a)におけるB−B端面図を示す。
【図2】同実施形態に係る負イオン源において、(a)は、図1(a)の負イオン源におけるプラズマを構成する各粒子の移動状態を示す図であり、(b)は、図1(b)におけるカスプ磁場を示す図であり、(c)は、図1(c)におけるフィルタ磁場を示す図である。
【図3】他実施形態に係るバリア電極であって、(a)は、格子状に線状部材が掛け渡されたバリア電極を示す図であり、(b)は、同心円状の線状部材が枠部材に接続されたバリア電極を示す図である。
【図4】他実施形態に係る負イオン源であって、フィルタ磁場が複数層形成される負イオン源の概略構成図である。
【図5】従来のイオン源であって、(a)は、縦断面の概略構成図であり、(b)は横断面の概略構成図である。
【図6】従来のフィルタ磁場形成手段を備えた負イオン源の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一実施形態について、図1(a)乃至図2(c)を参照しつつ説明する。
【0039】
本実施形態に係る負イオン源10は、水素ガスを原料ガスとして用い、この水素ガスからプラズマを生成し、このプラズマを水素負イオンの供給源として水素負イオンビームを照射するものである。具体的には、負イオン源10は、プラズマ容器12と、当該プラズマ容器12内にカスプ磁場を形成する複数のカスプ磁場形成用磁石M1,M1,…と、プラズマ容器12内に配置され、熱電子を放出するフィラメント16と、プラズマから水素負イオンを引き出す引出電極26と、プラズマ容器12内での高速電子の移動を妨げるための複数のフィルタ磁場形成用磁石(フィルタ磁場形成手段)M2,M2,…と、プラズマ容器12内での水素正イオンの移動を妨げるためのバリア電極30とを備える。
【0040】
プラズマ容器12は、イオン引出開孔24を有する中空の容器であり、無酸素銅により形成されている。具体的に、プラズマ容器12は、一方の端(本実施形態では上端)が開口する容器本体12aと、この容器本体12aの前記開口を塞ぐ蓋部12bとで構成されている。容器本体12aは、下端が容器底部20によって塞がれた円筒状に形成されている。容器底部20は、水素負イオンビームのビーム軸Cと直交する方向に拡がる板状の部位であり、その中央部(ビーム軸Cと交差する位置)に、水素負イオンをプラズマ容器12内から外部に引き出すときに前記水素負イオンが通過するイオン引出開孔24が設けられている。このイオン引出開孔24から水素負イオンが引出電極26によって引き出されることにより生成された水素負イオンビームの中心軸(ビーム軸C)が円筒状の容器本体12aの中心軸と一致する。
【0041】
複数のカスプ磁場形成用磁石(以下、単に「カスプ用磁石」とも称する。)M1,M1,…は、容器内に形成される磁場方向が交互に変わるよう、容器本体12aの外周面、即ち、プラズマ容器12の側壁外周面に沿って配置されている。具体的には、このカスプ用磁石M1は、プラズマ容器12の側壁に沿って上下方向に延びる永久磁石である。そして、複数のカスプ用磁石M1,M1,…は、プラズマ容器12側、即ち、プラズマ容器12と対向する面の磁極がN極、S極、N極、…と交互に変わるよう、プラズマ容器12の側壁外周面に沿って等間隔に配置される(図1(b)参照)。また、カスプ用磁石M1は、プラズマ容器12の蓋部12bの上面にも配置されている。この蓋部12bに配置されるカスプ用磁石M1も、隣り合うカスプ用磁石M1のプラズマ容器12と対向する面の磁極が交互に変わるように配置されている。このようにプラズマ容器12に複数のカスプ用磁石M1,M1,…が配置されることにより、プラズマ容器12内にプラズマを閉じ込めるための磁場(カスプ磁場)が形成される(図2(b)参照)。
【0042】
このプラズマ容器12には、当該プラズマ容器12の内部に水素ガス(原料ガス)を供給する原料ガス供給手段14が接続されている。原料ガス供給手段14は、原料ガス供給管15を通じてプラズマ容器12に設けられた原料ガス噴出孔15aから、プラズマ容器12内に水素ガスを供給する。
【0043】
また、プラズマ容器12には、引出電源54が接続されている。この引出電源54は、プラズマ容器12と大地との間に所定の電圧を印加するためのものである。
【0044】
フィラメント16は、タングステンやタンタル等で形成された線部材で、その両端部に加熱電圧が印加されることにより加熱され、その状態でプラズマ容器12との間に放電電圧が印加されることによって熱電子を放出するものである。この放出された熱電子がプラズマ容器12内に供給される水素ガスと衝突することにより、当該水素ガスをイオン化させてプラズマが生成される。尚、このプラズマの生成時には、励起状態の水素分子も生成される。
【0045】
フィラメント16の両端部は、蓋部12bに配設された一対の端子18,18を介して当該フィラメント16の両端部間に加熱電圧を印加するための加熱用電源50に接続されている。一対の端子18は、それぞれ下端部がプラズマ容器12内、上端部がプラズマ容器12外に位置するよう、プラズマ容器12の蓋部12bを貫通するように配設された棒状の端子である。この端子の蓋部12bを貫通している部位は、その周囲をセラミック等の絶縁体18aで覆われており、蓋部12b(プラズマ容器12)とは電気的に絶縁されている。このように一対の端子18,18がプラズマ容器12と電気的に絶縁されることにより、フィラメント16もプラズマ容器12と電気的に絶縁される。
【0046】
フィラメント16には、さらに、プラズマ容器12との間に放電電圧を印加するためのアーク電源52も接続されている。
【0047】
引出電極26は、イオン引出開孔24と対向するようにプラズマ容器12の外部に配置されている。具体的に、引出電極26は、容器本体12aの容器底部20の直下流側に設けられ、容器本体12a(プラズマ容器12)と絶縁部材27を介して接続されている。この引出電極26には、ビーム軸C上にビーム通過孔28が設けられている。即ち、プラズマ容器12のイオン引出開孔24と引出電極26のビーム通過孔28とがビーム軸C上に並んでいる。この引出電極26は、大地に接地されている。そのため、引出電源54によってプラズマ容器12が印加されることにより、プラズマ容器12と当該引出電極26との間に電位差が生じ、この電位差によりイオン引出開孔24を通じてプラズマ容器12内に生成されたプラズマから水素負イオンを外部に引き出して水素負イオンビームを生成する。
【0048】
複数のフィルタ磁場形成用磁石(以下、単に「フィルタ用磁石」とも称する。)M2,M2,…は、プラズマ容器12内にフィルタ磁場MFを形成するためのものである。複数のフィルタ用磁石M2,M2,…は、プラズマ容器12の側壁下部において、当該側壁の外周面に沿って配置されている。具体的には、各カスプ用磁石M1の下方にフィルタ用磁石M2が配置されている。これら複数のフィルタ用磁石M2,M2,…は、図2(c)にも示されるように、プラズマ容器12におけるビーム軸Cを通る一つの直径dを境に、一方側に配置される各フィルタ用磁石M2のプラズマ容器12に対向する面の磁極がN極、他方側に配置される各フィルタ用磁石M2のプラズマ容器12に対向する面がS極となるように配置されている。このように複数のフィルタ用磁石M2,M2,…が配置されることで、プラズマ容器12内にビーム軸Cと直交する面に沿って磁力線LMが一方に向くように当該プラズマ容器12の内部空間を横断するようなフィルタ磁場MFが形成される。
【0049】
このように配置される複数のフィルタ用磁石M2,M2,…によって形成されるフィルタ磁場MFは、ビーム軸C方向において、プラズマ容器12の内部空間をフィラメント16の配置される放電空間S1と、容器底部20に接する引出空間S2とに分割するような位置に形成される。具体的には、フィルタ磁場MFは、ビーム軸C方向において、カスプ用磁石M1と容器底部20との間に形成される。
【0050】
尚、フィルタ磁場MFを形成する手段として、本実施形態では、複数のフィルタ用磁石M2,M2,…が用いられ、これらフィルタ用磁石M2,M2,…が、カスプ用磁石M1同様に、プラズマ容器12の側壁外周面に沿って配置されることによりフィルタ磁場MFが形成されているが、これに限定される必要はない。即ち、フィルタ磁場MFを形成する手段として、プラズマ容器12の側壁外周面に沿って湾曲する一対の磁石M3、M3が用いられ、これら一対の磁石M3,M3が、プラズマ容器12の側壁外周面において、径方向に対向する位置で且つ互いに対向する面の磁極が逆となるように配置されてもよい(図2(c)の破線参照)。即ち、フィルタ磁場MFを形成する手段は、ビーム軸Cと直交する面に沿って、磁力線LMが一方向を向いてプラズマ容器12の内部空間を横断するような磁場が形成されるよう構成されていればよい。
【0051】
バリア電極30は、プラズマ容器12内に配置され、水素正イオンの移動を妨げるための電極である。バリア電極30は、ビーム軸C方向において、カスプ用磁石M1とフィルタ用磁石M2の間に配置されている。即ち、バリア電極30は、容器底部20との間にフィルタ磁場MFを挟むような位置に配置されている。このバリア電極30は、プラズマ容器12との間にバリア電圧が印加されることにより、前記配置された位置においてビーム軸Cと直交する面に沿った正電位の等電位空間を形成する。この等電位空間によって、バリア電極30は、放電空間S1から引出空間S2へのプラズマ中の水素正イオンの移動を妨げる。
【0052】
このバリア電極30は、放電空間S1から引出空間S2への励起状態の水素分子の移動を許容するような複数の空間部35,35,…を形成する形状を有する。具体的には、バリア電極30は、タングステンで形成された枠部材32と、この枠部材32に掛け渡される複数本の線状部材34,34,…とを備える。
【0053】
枠部材32は、ビーム軸Cと直交する面においてプラズマ容器12の側壁の内周面に沿うような枠状の部材である。複数の線状部材34,34,…は、隣り合う線状部材34同士が平行となるように枠部材32に等間隔に掛け渡される。このように線状部材34が掛け渡されることにより、隣り合う線状部材34,34間に空間部35が形成される。本実施形態においては、励起状態の水素分子の放電空間S1から引出空間S2への移動を妨げないように、線状部材34には、直径が0.1mm程度のタングステンの電極ワイヤが用いられる。また、バリア電極では、ビーム軸C方向視、線状部材34がイオン引出開孔24の位置を避けるように枠部材32に配置される。
【0054】
尚、本実施形態においては、バリア電極30は、タングステンで形成されているが、これに限定されない。即ち、バリア電極30は、負イオンビーム射出時には、プラズマ中に位置するため、耐久性の高いタンタル、モリブデン等の高融点金属で形成されていればよい。また、枠部材32と線状部材34とが同一素材である必要もなく、異なる素材であってもよい。
【0055】
バリア電極30には、プラズマ容器12の側壁に配設された電流導入端子36を介してプラズマ容器12との間にバリア電圧を印加するためのバリア用電源58が接続されている。
【0056】
電流導入端子36は、一方側端部がプラズマ容器12内、他方側端部がプラズマ容器12外に位置するよう、プラズマ容器12の側壁を貫通するように配設された棒状の端子である。この電流導入端子36の側壁を貫通している部位は、その周囲をセラミック等の絶縁体36aで覆われており、側壁(プラズマ容器12)とは電気的に絶縁されている。そのため、バリア電極30は、プラズマ容器12と電気的に絶縁される。
【0057】
以上のように構成される負イオン源10では、以下のようにして、水素負イオンビームが出射される。
【0058】
まず、プラズマ容器12内にプラズマが生成され、このプラズマがカスプ磁場によってプラズマ容器12内に閉じ込められる。このとき、プラズマ中には励起状態の水素分子も存在する。
【0059】
具体的には、フィラメント16の両端に加熱用電源50によって加熱電圧が印加され、この状態でフィラメント16とプラズマ容器12との間にアーク電源52によって放電電圧が印加される。
【0060】
そうすると、フィラメント16が加熱電圧の印加によって発熱して熱電子を放出し易い状態となり、さらに放電電圧が印加されることで、フィラメント16とプラズマ容器12との間でアーク放電が起こり、フィラメント16から熱電子がアーク電流として放電空間S1内に放出される。
【0061】
一方、プラズマ容器12内が真空ポンプ(図示省略)等によって真空引きされ、原料ガス供給手段14によって、当該プラズマ容器12内に水素ガスが供給される。
【0062】
さらに、バリア用電源58によってバリア電極30とプラズマ容器12との間にバリア電圧も印加される。具体的には、バリア電極電位がイオン温度よりも若干高めになるようにバリア電圧が設定される。本実施形態においては、例えば、プラズマ中のイオン温度が1〜5eV程度となるため、バリア用電源58によって10V程度の直流電圧(バリア電圧)が印加される。
【0063】
また、プラズマ容器12内には、フィルタ用磁石M2,M2,…によって、フィルタ磁場MFが常に形成されている。
【0064】
放電空間S1内に放出された熱電子e(fast)は、プラズマ容器12内に充満している水素ガスと衝突して電子を弾き出し、この水素ガスをプラズマ化する。このプラズマ中では、以下の式(3)及び式(4)のように2段階の反応を経て水素負イオンが生成される。
【0065】
+e(fast)→H*+e ・・・・・(3)
*+e(slow)→H-+H ・・・・・(4)
プラズマ中では、式(3)及び式(4)の反応が絶えず行われるため、当該プラズマ中には、水素分子(H)、励起した水素分子(H*)、水素負イオン(H-)、高速電子(e(fast))及び低速電子(e(slow))が存在している。また、これら以外に、プラズマ中には水素正イオン(H+)等も存在している。
【0066】
この放電空間S1内で生成されたプラズマがプラズマ容器12内に拡がるときに、プラズマ中の高速電子と水素正イオンの引出空間S2への移動が妨げられる。そのため、引出空間S2内に拡がるプラズマでは、内部に高速電子と水素正イオンとが少なくなった状態となっている。
【0067】
具体的には、バリア電圧が印加されたバリア電極30によって、放電空間S1から引出空間S2へ移動しようとする水素正イオンが跳ね返される。詳細には、バリア電圧がバリア電極30に印加されることによって、プラズマ容器12内に、ビーム軸Cと直交する面、即ち、バリア電極30に沿って正電位の等電位空間が拡がる。この等電位空間は、ビーム軸C方向において、放電空間S1と引出空間S2との間に拡がっている。そのため、放電空間S1から引出空間S2へ移動しようとする水素正イオンは、正の電位を有するため、この正電位の等電位空間で跳ね返され、放電空間S1から引出空間S2への移動が妨げられる(図2(a)参照)。
【0068】
一方、バリア電極30は、放電空間S1から引出空間S2への水素分子や励起状態の水素分子等(中性粒子)の移動を許容する形状を有するため、バリア電極30が印加されても、これら水素分子や励起状態の水素分子等の放電空間S1から引出空間S2への移動を許容する。具体的には、プラズマ中の電気的に中性な励起状態の水素分子等は、等電位空間に跳ね返されることなく空間部35を通過して引出空間S2へ移動する。
【0069】
また、フィルタ磁場MFによって、放電空間S1から引出空間S2への電子(高速電子及び低速電子)の移動が妨げられる。即ち、電子は、フィルタ磁場MFを通過しようとしたときにローレンツ力が働き、フィルタ磁場MF中で放電空間S1側に直ぐに向きを変える。そのため、多くの電子は、フィルタ磁場MFを通過できずに放電空間S1に戻される。しかし、一部の高速電子は、フィルタ磁場MFに捕捉され、プラズマ容器12内に存在する水素ガス等と衝突しながらエネルギーを失い、低速電子となって引出空間S2に到達する。
【0070】
さらに、引出空間S2を囲む壁面でのイオンや電子衝突によっても引出空間S2内で二次電子としての低速電子が生じる。
【0071】
以上のように、負イオン源10においては、バリア電極30によって引出空間S2への水素正イオンの移動が妨げられると共にフィルタ磁場MFによって引出空間S2への電子の移動が妨げられる一方、励起した水素分子の引出空間S2への移動が許容されるのに加え、一部の高速電子がフィルタ磁場MFを通過するときに低速電子となって引出空間S2に到達し、さらに引出空間S2を囲む壁面でのイオンや電子衝突による二次電子としての低速電子が引出空間S2内で生じる。
【0072】
その結果、引出空間S2内では、プラズマ中に低速電子と励起した水素分子とが多数存在した状態となり、当該プラズマ中において、これら低速電子と励起した水素分子とが付着して水素負イオンが生成される確率が高くなる。また、引出空間S2内のプラズマ中には高速電子が少ないため、当該プラズマ中において、この高速電子と水素負イオンとの衝突による電子解離反応での水素負イオンの消滅が抑制される。さらに、引出空間S2内のプラズマ中には水素正イオンも少ないため、当該プラズマ中において、この水素正イオンと水素負イオンとの衝突による相互中性化反応での水素負イオンの消滅が抑制される。
【0073】
このように、フィルタ磁場MFに加え、バリア電極30によって形成される正電位の等電位空間によって、引出空間S2内のプラズマ中での電子解離反応による水素負イオンの損失を低減させると共に相互中性化反応による水素負イオンの損失を低減させることができる。
【0074】
また、フィルタ磁場MFも前記等電位空間も、励起した水素分子の放電空間S1から引出空間S2への移動は妨げない。しかも、フィルタ磁場MFにより一部の高速電子が低速電となって引出空間S2へ移動すると共に引出空間S2を囲む壁面でのイオンや電子衝突による二次電子として低速電子が引出空間S2内に生じる。そのため、引出空間S2内のプラズマ中に励起した水素分子及び低速電子が増加し、これら励起した水素分子と低速電子との付着による水素負イオンの生成確率が向上する。
【0075】
以上より、引出空間S2内のプラズマ中には水素負イオンが多数存在した状態となる。換言すると、放電空間S1内のプラズマに比べ引出空間S2内のプラズマの方が内部に含まれる水素負イオンが多くなる。
【0076】
この状態で、引出電源54の印加によってプラズマ容器12と引出電極26との間に電位差が生じることにより、引出空間S2内のプラズマ、特に、イオン引出開孔24近傍のプラズマからイオン引出開孔24を通じて水素負イオンが外部に引き出され、水素負イオンビームが生成される。
【0077】
以上のように本実施形態の負イオン源10では、引出空間S2内のプラズマにおいては、高速電子と水素正イオンとが排除されると共に、励起した水素ガス分子と低速電子とが多く存在する。そのため、引出空間S2内のプラズマ中において、励起した水素ガス分子と低速電子との付着による負イオンの生成が増加すると共に、電子解離反応と相互中性化反応とが抑制されて水素負イオンの損失が抑制される。その結果、負イオン源10では、引出空間S2におけるプラズマ中の水素負イオンの生成効率が向上し、このプラズマから水素負イオンを引き出すことによって電流密度の高い水素負イオンビームの出射が可能になる。
【0078】
また、本実施形態に係る負イオン源10では、枠部材32に複数本の線状部材34,34,…が互いに平行となるように掛け渡された簡易な構成によって、前記等電位空間を形成しつつ、励起状態の水素分子等の放電空間S1から引出空間S2への移動を許容するバリア電極30を形成することが可能となる。
【0079】
尚、本発明の負イオン源10は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0080】
例えば、本実施形態においては、バリア電極30は、環状の枠部材32に複数の線状部材34,34,…が互いに平行となるように掛け渡されているがこれに限定されない。即ち、バリア電極30は、図3(a)に示されるように、枠部材32に複数の線状部材34a,34a,…が格子状になるように掛け渡されてもよく、図3(b)に示されるように、径の異なる複数の環状の線状部材34b,34b,…が枠部材32と同心円状に配置され、各環状の線状部材34bと枠部材32とが接続用線状部材38によって接続されるように構成されてもよい。
【0081】
即ち、バリア電極は、励起した水素分子等の中性粒子の移動を許容する空間部35a(又は35b)が複数形成され、バリア電圧が印加されることにより、プラズマ容器12内にビーム軸Cと直交する面に沿って等電位空間を形成できればよい。
【0082】
尚、バリア電極30では、前記ビーム軸方向視、前記線状部材がイオン引出開孔24の位置を避けるように配置される構成が好ましい。このように構成されれば、放電空間S1から引出空間S2のイオン引出開孔24近傍に向かう励起した水素分子等の移動が線状部材34a又は34bによって妨げられ難くなる。即ち、イオン引出開孔24近傍のプラズマに向けた放電空間S1からの励起状態の水素分子及び原子の移動が線状部材34a又は34bによって妨げられない。そのため、ビーム軸C方向から見て線状部材34a又は34bがイオン引出開孔24の位置に配置された場合に比べ、イオン引出開孔24近傍のプラズマ中への励起状態の水素分子及び原子の移動が容易になり、イオン引出開孔24近傍の励起状態の水素分子及び原子の数が増加する結果、励起状態の水素分子と低速電子との付着による水素負イオンの生成効率が向上する。
【0083】
また、本実施形態においては、プラズマ容器12内において、フィルタ磁場MFの上方に等電位空間を形成するようにバリア電極30が配置されているが、図4に示されるように、バリア電極30の上方に、さらにフィルタ磁場MFが形成されてもよい。即ち、ビーム軸C方向において、フィルタ磁場MF中に等電位空間が形成されるようにバリア電極30が配置されてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10 負イオン源
12 プラズマ容器
16 フィラメント
24 イオン引出開孔
26 引出電極
30 バリア電極
35 空間部
C ビーム軸
M1 カスプ用磁石(カスプ磁場形成用磁石)
M2 フィルタ用磁石(フィルタ磁場形成手段)
MF フィルタ磁場
S1 放電空間
S2 引出空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマを生成し、このプラズマを負イオンの供給源として負イオンビームを出射する負イオン源であって、
イオン引出開孔を有し、外部から原料ガスが供給されるプラズマ容器と、
前記プラズマ容器内に配置され、電圧が印加されることにより熱電子を放出して前記原料ガスからプラズマ、励起状態の分子及び励起状態の原子を生成するフィラメントと、
前記プラズマ容器の外周に沿って設けられ、当該プラズマ容器内に前記プラズマを閉じ込めるためのカスプ磁場を形成する複数の磁石と、
前記イオン引出開孔と対向するように前記プラズマ容器の外部に配置され、前記プラズマ容器との間に引出電圧が印加されることにより前記イオン引出開孔を通じてプラズマ容器内に生成されたプラズマから負イオンを外部に引き出して前記負イオンビームを生成する引出電極と、
磁力線が一方向を向くように前記負イオンビームのビーム軸と直交する面に沿って前記プラズマ容器の内部空間を横断するフィルタ磁場を、このフィルタ磁場が前記内部空間を前記フィラメントの配置される放電空間と前記引出電極に接する引出空間とに分割するような位置に形成するフィルタ磁場形成手段と、
前記プラズマ容器内に配置され、前記放電空間から前記引出空間への前記プラズマ中の正イオンの移動を妨げるためのバリア電極と、を備え、
前記バリア電極は、前記ビーム軸方向において前記引出電極との間に前記フィルタ磁場を挟むような位置に配置され、前記プラズマ容器との間にバリア電圧が印加されることにより前記配置された位置において前記ビーム軸と直交する面に沿った正電位の等電位空間を形成し、前記放電空間から前記引出空間への前記励起状態の分子及び励起状態の原子の移動を許容するような複数の空間部を形成する形状を有することを特徴とする負イオン源。
【請求項2】
請求項1に記載の負イオン源において、
前記バリア電極は、前記ビーム軸と直交する面において前記プラズマ容器の内周面に沿うような形状の枠部材と、この枠部材に掛け渡される複数本の線状部材とを備え、前記掛け渡される線状部材間に前記空間部が形成されることを特徴とする負イオン源。
【請求項3】
請求項2に記載の負イオン源において、
前記バリア電極では、前記ビーム軸方向から見て前記線状部材が前記イオン引出開孔の位置を避けるように配置されることを特徴とする負イオン源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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