説明

負圧発生部材の挿入方法、および、それが用いられる液体収容容器

【課題】 負圧発生部材においてその密度のばらつきがある場合であっても、不所望な細かい溝が負圧発生部材の外周面に形成されることなく、しかも、インク供給性能も高い、さらには、生産性向上も可能であること。
【解決手段】 負圧発生部材収容室104に収容された負圧発生部材130の外周面の長辺部135において、窪み140が、インク供給口102と第1の壁部W1との間に形成されるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録用液体が浸透される負圧発生部材の挿入方法、および、それが用いられる液体収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置において、一般に、小型化を目的として、特許文献1および2にも示されるように、インクを吐出し記録動作を行う記録ヘッドにインクを供給するインクカートリッジを備えたものが実用に供されている。このような液体収容容器としてのインクカートリッジは、記録ヘッドが備えられるキャリッジにおけるカートリッジ装着部に着脱可能とされる。
【0003】
このようなタイプの液体収容容器は、記録動作を円滑に行うため記録ヘッドに対して、所定の負圧を内部に発生させる必要がある。その一方法としては、インクが含浸されるインク吸収体のような負圧発生部材が液体収容容器内に収容されるものが実用に供されている。
【0004】
また、特許文献1および特許文献2等にも示されるように、そのような負圧発生部材を利用しつつも、液体収容容器における単位体積あたりのインク収容量を増加させ、且つ、安定したインク供給を実現できる液体収容室を負圧発生部材に隣接して備えたインクカートリッジが提案されている。
【0005】
そのようなインクカートリッジは、例えば、図28にも示されるように、インク等の液体IKを収容する第1の部屋としての液体収容室24と、上述のような負圧発生部材22を収容する第2の部屋としての負圧発生部材収容室26とを含んで構成されている。
液体収容室24と負圧発生部材収容室26とは、連通部16を有する仕切壁18により仕切られている。また、液体収容室24および負圧発生部材収容室26における上部は、上壁としての共通のカバー部材10により覆われている。カバー部材10における負圧発生部材収容室26に対応する部分には、インク消費に伴う容器内への大気の導入を行うための大気連通部(大気連通口)10aが設けられている。また、負圧発生部材収容室26の底部を形成する底壁には、不図示の記録ヘッドにインクを供給するための供給口20が形成されている。
【0006】
このようなインクカートリッジの構造において、不図示の記録ヘッドにより負圧発生部材22内のインクIK’が消費された場合、大気連通口10aを通じて負圧発生部材収容室26に空気が導入されるのでその空気が仕切壁18の連通部16を通じて液体収容室24内に導入されることとなる。また、仕切壁18の連通部16を通じて液体収容室24からのインクIKが負圧発生部材収容室26内の負圧発生部材22に充填される。
【0007】
従って、記録ヘッドによりインクIK’が消費されてもその消費量に応じてインクIKが負圧発生部材22に充填されることとなる。即ち、負圧発生部材22が一定量のインクIK’を内部に保持し、記録ヘッドに対する負圧をほぼ一定に保つので記録ヘッドへの安定したインク供給が可能となる。
【0008】
上述した形態の液体収容容器における負圧発生部材22の負圧発生部材収容室26への挿入作業は、例えば、予め圧縮した負圧発生部材22を一つずつ液体収容容器の負圧発生部材収容室26に人手によって挿入する方法がとられる。そして、負圧発生部材収容室26に挿入された負圧発生部材22に対してインクが注入されている。
【0009】
このように人手による負圧発生部材22を負圧発生部材収容室26挿入する作業は、手間が掛かると共に、大量生産に対しては不向きである。また、負圧発生部材22の挿入時に不所望な細かい溝(皺)がその外周面に形成されたり、液体収容容器の負圧発生部材収容室26の内壁に対して負圧発生部材22が良好に密着していない部分が生じる場合がある。
【0010】
このように液体収容容器内に挿入された負圧発生部材22の外周面に細かい溝がある場合、負圧発生部材22内に生じる毛管力が局所的に高くなるのでインクの流れが阻害され、従って、インク吐出が正常に行われず、印字品位の低下を招く虞もある。
【0011】
さらに、液体収容室24にインクIKが存在している状態において、この負圧発生部材22の外周面における細かい溝が大気連通部10aを通じて大気と連通部16とをつなぐように形成された場合、液体収容室24内は大気と連通することになる。
【0012】
このような状態の場合、液体収容室24内のインクには液面高さ分の水頭圧力が作用することとなる。従って、その水頭圧力が作用される液体収容室24内のインクIKは連通部16を通り、負圧発生部材収容室26および負圧発生部材22に流れ込むことになる。
【0013】
この液体収容室24内のインク量が負圧発生部材22の吸収可能インク量以上有る場合、負圧発生部材22が吸収できない過剰分のインクは、供給される記録ヘッド内を通過しインク吐出部から垂れてしまい、従って、記録ヘッドの下方に配される記録用紙を汚染する虞がある。
【0014】
上記課題を鑑みて、特許文献3、および特許文献4にも示されるように、負圧発生部材の挿入装置及び方法が提案されている。この装置は、負圧発生部材を治具で均一に押圧し、液体収容容器における負圧発生部材の収容室の内寸法より小さい寸法の形状まで圧縮するものである。また、この方法は、負圧発生部材が圧縮状態のまま治具とともに液体収容容器内に進入され、その負圧発生部材を他の治具で液体収容容器内に押し出されて挿入される方法である。この方法を用いることにより、負圧発生部材を均一に押圧できるので上述したような細かい溝が形成されることがなく、また、液体収容容器の内壁と負圧発生部材との間の摩擦力による負圧発生部材の変形も防止することができる。
【0015】
【特許文献1】特開平7−125232号公報
【特許文献2】特開平6−40043号公報
【特許文献3】特開平7−125233号公報
【特許文献4】特開平7−314727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述した負圧発生部材の挿入方法は、実に合理的な挿入方法であり、負圧発生部材における信頼性の高い挿入を行うことができる。
【0017】
しかしながら、例えば、負圧発生部材が繊維材料である場合、剛性及び弾性力が小さいので製造時や搬送時、加えられる不用意な荷重により負圧発生部材が変形を起こす場合がある。また、負圧発生部材の繊維径のばらつきや繊維同士の溶着分布のばらつき等も相まって、負圧発生部材単体において、局所的な密度ばらつきが存在する場合がある。
【0018】
このような密度ばらつきが存在する繊維材料で作られた負圧発生部材を上述した挿入方法を用いて挿入を行った場合、治具により負圧発生部材が圧縮されるとき、そのような密度ばらつきに応じて作用される圧縮応力が均一ではなくなり、従って、負圧発生部材において圧縮力が作用される面における非連続面に細かい溝が発生する場合がある。
【0019】
このように液体収容容器内に挿入された負圧発生部材の外周面に細かい溝がある場合、前述したように、円滑なインク供給の障害となったり、記録ヘッドのインク吐出部からのインク漏れにまで発展する場合がある。
【0020】
以上の問題点を考慮し、本発明は、負圧発生部材の挿入方法、および、それが用いられる液体収容容器であって、負圧発生部材においてその密度のばらつきがある場合であっても、不所望な細かい溝が負圧発生部材の外周面に形成されることなく、しかも、インク供給性能も高い、さらには、生産性向上も可能である負圧発生部材の挿入方法、および、それが用いられる液体収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述の目的を達成するために、本発明に係る負圧発生部材の挿入方法は、液体を収容する液体収容容器における負圧発生部材収容室内に挿入される負圧発生部材を一対の第1の押圧部材と、第2の押圧部材とにより包囲される空間内に配置する工程と、前記空間内に配置された負圧発生部材の外周面における一方の相対向する両端部をそれぞれ前記一対の第1の押圧部材により負圧発生部材収容室の内寸法よりも小なる寸法まで圧縮しつつ、前記第2の押圧部材により、該負圧発生部材の外周面における所定位置を局所的に圧縮量が異なる部分を形成するように圧縮する圧縮工程と、前記負圧発生部材収容室内における所定位置に前記局所的に圧縮量が異なる部分が対応して配されるように前記圧縮された状態の負圧発生部材を該負圧発生部材収容室内に挿入する挿入工程と、を含んでなる。
【0022】
また、本発明に係る液体収容容器は、記録用液体を収容する第1の部屋と、外気に連通する連通孔を上壁に有し、第1の部屋との境界壁に形成される連通部を介して供給される記録用液体が浸透される負圧発生部材を、境界壁に対向する第1の内壁面と、第1の内壁面と境界壁の壁面とを連結する一対の第2の内壁面とにより包囲するように収容するとともに、負圧発生部材内に含まれる記録用液体を底壁に設けられる供給口を介して外部に供給する第2の部屋と、を備え、負圧発生部材が第2の部屋に挿入された場合、負圧発生部材の外周面において、窪みが、第2の部屋における第1の内壁面と供給口との間の位置で底壁から上壁に向かって延在するように形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る負圧発生部材の挿入方法、および、それが用いられる液体収容容器によれば、圧縮工程において空間内に配置された負圧発生部材の外周面における一方の相対向する両端部をそれぞれ一対の第1の押圧部材により負圧発生部材収容室の内寸法よりも小なる寸法まで圧縮しつつ、第2の押圧部材により、負圧発生部材の外周面における所定位置に、局所的に圧縮量が異なるような非圧縮部分を形成するように圧縮することにより、収容された負圧発生部材の外周面に窪みがその非圧縮部分に対応して形成され、従って、負圧発生部材の外周面における寸法の余分な弛みがすべて吸収される。その結果、負圧発生部材においてその密度のばらつきがある場合であっても、不所望な細かい溝が負圧発生部材の外周面に形成されることなく、しかも、インク供給性能も高い、さらには、生産性向上も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1実施例)
図1および図2は、それぞれ、本発明に係る液体収容容器の第1実施例の構成を示す。
図1において、液体収容容器100は、所定量の液体のインクIKを収容する第1の部屋としての液体収容室105と、液体収容室105からのインクIKが浸透される第1の負圧発生部材130および第2の負圧発生部材131を収容する第2の部屋としての負圧発生部材収容室104と、を主な要素として内部に含んで構成されている。液体収容容器100は、例えば、図示が省略されるキャリッジ部に着脱可能とされ、そのキャリッジ部に設けられインクを吐出し記録動作を行う記録ヘッドのインク導入口IJHにインクを供給するものとされる。
【0025】
液体収容室105の上部は、負圧発生部材収容室104と共通の上壁としての蓋部材121により覆われている。蓋部材121の内面には、図2に示されるように、負圧発生部材収容室104の内部に向かって突出する複数のリブ109が一体に形成されている。複数のリブ109は、所定の間隔をもって互いに略平行に形成されている。複数のリブ109の先端は、後述する圧縮された負圧発生部材131の上端面に当接される。これにより、複数のリブ109相互間に、それぞれ、負圧発生部材131の上端面との間にエアバッファ室110が形成される。また、蓋部材121には、外部と負圧発生部材収容室104内とを連通させる大気連通口101が、負圧発生部材収容室104における仕切壁106近傍の上方となる位置に設けられている。
【0026】
液体収容室105と負圧発生部材収容室104との間は、仕切壁106により仕切られている。仕切壁106は、図1において、上述のリブ109および液体収容室105を形成する右側の壁面に略平行に形成されている。仕切壁106の下端と液体収容室105の底部を形成する底壁との間には、液体収容室105と負圧発生部材収容室104との間を連通させる連通部107が形成されている。仕切壁106の下端部には、液体供給動作時に液体収容室105への大気(空気)の導入を促進するための大気導入路108が形成されている。
【0027】
負圧発生部材収容室104は、図2において、上述の蓋部材121と、仕切壁106に対向する第1の壁部W1と、仕切壁106の壁面と第1の壁部W1の壁面とを連結する一対の第2の壁部W2と、その底部を形成する底壁WBとにより囲まれて形成されている。
【0028】
一対の第2の壁部W2には、相対向して形成され、後述する液体供給口102に向かってその負圧発生部材収容室104の断面積が徐々に減少するようにテーパが施されている。これは、液体供給口102に向かうにつれて負圧発生部材130および131の毛管力を高めるためである。また、このような形状は、負圧発生部材130および131において徐々に大気連通口101側からインクIKが消費されることを目的として採用されている。
【0029】
底壁WBには、負圧発生部材130および131内のインクをインク導入口IJHに供給する液体供給口102が、その中央部分よりも第1の壁部W1側に片寄った位置に設けられている。液体供給口102には、圧接体111が設けられている。圧接体111は、負圧発生部材130および131の毛管力より毛管力が高く、かつ、物理的強度の強い材料で形成されている。圧接体111における負圧発生部材130に対向する端面は、負圧発生部材130に接触している。
【0030】
略直方体形状の負圧発生部材130及び負圧発生部材131は、2つの毛管力発生型負圧発生部材として、ポリエチレンなどオレフィン系樹脂の繊維材料から形成される。負圧発生部材130及び負圧発生部材131は、それぞれ、負圧発生部材収容室104内に上下となるように配置されている。
【0031】
図1に示されるように、負圧発生部材130及び負圧発生部材131の相互間に底壁WBに対し略平行に形成される境界層132は、この2つの負圧発生部材130および131の境界である。境界層132の一端における仕切り壁106との交差部分は、図1において、液体収容容器の使用時、連通部107を下方にした姿勢において、大気導入路108の上端部より上方に位置している。
【0032】
負圧発生部材130の保有する毛管力をP1、負圧発生部材131の保有する毛管力をP2とするならば、P2<P1となるように2つの負圧発生部材130および131が選択されている。このように構成することで、最初に毛管力の低い負圧発生部材131からインクIKの消費が開始され、負圧発生部材131内のインクIKが消費された後、負圧発生部材130のインクIKが消費されることとなるのでインクIKが2つの負圧発生部材130および131内に残存することなく、インクをすべて使い切ることができる。
【0033】
本実施例の場合、負圧発生部材130は、オレフィン系樹脂繊維材料(繊維径2デニール)を用いた毛管力発生型負圧発生部材(P1=−110mmAq.)であり、その固さは、0.69kgf/mmである。(なお、毛管力発生部材の固さは、負圧発生部材収容室に収容された状態においてφ15mmの押し棒で押し込んだ時の反発力が測定され、その押し込み量に対する反発力の傾きにより求められる。)
一方、負圧発生部材131は、負圧発生部材130と同材料のオレフィン系樹脂繊維材料を使用した毛管力発生型負圧発生部材であるが、上述したように、負圧発生部材130の毛管力に比べ、毛管力が弱く(P2=−80mmAq.)、繊維材料の繊維径が太く(繊維径6デニール)、負圧発生部材131の剛性は高い(1.88kgf/mm)ものである。上記いずれの負圧発生部材130および131も熱成形したものが使用されている。
【0034】
さらに、図3および4に示されるように、負圧発生部材130における一対の第2の壁部W2にそれぞれ対向する長辺側外面135であって、底壁WBに設けられる供給口102の位置よりも第1の壁部W1に連結される部分に近い位置には、細長い窪み140が形成されている。細長い窪み140は、それぞれ、底壁WBから負圧発生部材131および蓋部材121に向かって第1の壁部W1に対して略平行に延びている。
【0035】
窪み140は、負圧発生部材130のみに発生しており、その深さが液体供給口102に向かうにつれて負圧発生部材130の内部方向により深くなる形態となっている。これは、上述したように、負圧発生部材収容室104が液体供給口102に向かって徐々に断面積が減少するようにテーパが施されているので負圧発生部材131では負圧発生部材130に比べて負圧発生部材収容室104から受ける圧縮量、つまり変形量が少なく、また、液体供給口102側に向かうにつれて負圧発生部材130の圧縮量がより大きくなっているので上述の形態となっている。
【0036】
この窪み140形成は、負圧発生部材130の外周面と負圧発生部材収容室104の内周面と確実に密着させるために負圧発生部材130の外寸法が負圧発生部材収容室104の収容室の内寸法よりも大きく設定していることによる。
【0037】
これは、負圧発生部材130の外周面に形成される不所望な細長い溝(皺)により、インク漏れの原因となるような外気と連通部107とがつながることを確実に防止するためである。これにより負圧発生部材130および131が挿入された状態において、負圧発生部材130と負圧発生部材収容室104との寸法の差分が溝となり、負圧発生部材130の外周面に存在することになる。
【0038】
このように細長い窪み140が長辺側外面135に形成されることにより、液体供給口102と連通部107との間の領域には、負圧発生部材130および131が負圧発生部材収容室104内に挿入されるとき、作用される圧縮応力による弛みがなく、且つ、負圧発生部材130および131が仕切壁106及び負圧発生部材収容室104の底部にしっかり当接することが可能となる。
【0039】
また、このような構成をとることにより、負圧発生部材130および131の外周面に形成される外気と連通部107とを連通させる不所望な細長い溝によって発生するようなインク漏れを防止できる。また、その不所望な細長い溝により使用不能となるインクも発生させない。
【0040】
さらに、負圧発生部材130および131の外周面において、インク経路となる液体供給口102と連通部107との間の領域に対応する部分に不所望な細長い溝などが形成されない。従って、斯かる領域において大きな毛管力差もつかないのでインク供給における障害を起こすこともない。
【0041】
そして、細長い窪み140は、負圧発生部材130および131の圧縮による弛みのバッファともなり得る。つまり、多少大きな負圧発生部材であっても窪み140の大きさを大きく設定することにより、液体供給口102と連通部107との間に形成されるような細長い皺を解消するように圧縮応力を調節できる。従って、負圧発生部材の寸法許容範囲を大きく見積もったとしても、負圧発生部材収容室104に対し使用可能となる。これにより、負圧発生部材130および131の歩留り向上及び装置の簡素化につながり、生産性の向上を図ることができる。
【0042】
(窪み140の形成のメカニズム)
確実に窪み140を、図1および図3に示される所定位置に形成させるメカニズムについて説明する。本実施例において、意図的に窪み140を形成させる方法は、後述する負圧発生部材の負圧発生部材収容室104に対する挿入作業における圧縮工程によるところである。
【0043】
図15(C)は、挿入される以前に、負圧発生部材130が一対の第1の押圧部材150及び第2の押圧部材151により圧縮されている状態を示す図である。負圧発生部材130を圧縮する場合、負圧発生部材130の外周面を包囲するように一対の第1及び第2の押圧部材150、151を互いに隙間無く負圧発生部材130の外周面に接触させ配置するのではなく、相対向する第2の押圧部材151のうちの一方を第2の押圧部材150の端部に対し隙間141をあけるように隣接配置するように設定されている。
【0044】
負圧発生部材130が熱可塑性の樹脂繊維などの繊維材料である場合、例えば、特開平9−183236号公報にも開示されるように、一般的には、繊維材料はある程度の方向性を有することになる。そこで、圧縮力Fは、図19に示されるように繊維材質の負圧発生部材130を構成する繊維190が延在する繊維方向に対して交差するように作用される。この場合、窪み140は、圧縮力Fにより容易に変形可能な面である面Mに発生する場合が多い。本実施例においては、意図的に窪み140を設けるために負圧発生部材130の長辺部135が繊維材料における変形可能な面(M)に相当するように負圧発生部材130の選定及び配置がなされている。
【0045】
液体収容容器100が、例えば、負圧発生部材収容室104の開口部を上方に向くように配置される場合、負圧発生部材130の外周面における隙間141を設けている位置が、図3および図4に示されるように、第2の壁部W2に対向する部分であって液体供給口102よりも第1の壁部W1との連結部分に近い位置にくるように配されている。
【0046】
図15(C)に示されるように、第1の押圧部材150の端部と一方の第2の押圧部材151との間に隙間141を設けているのは、この隙間141がトリガーとなり、窪み140を形成させるためである。
【0047】
この負圧発生部材130の圧縮状態において、隙間141の領域に対応する負圧発生部材130が、圧縮されない非圧縮状態の部分となる。これにより、負圧発生部材130において、一対の第1の押圧部材150により圧縮されている領域と、隙間141に対応する非圧縮状態の部分との境界部分にギャップが生じる。この状態で負圧発生部材130は、不図示の第3の押圧部材により、負圧発生部材収容室104内に押し出されることになる。
【0048】
負圧発生部材収容室104内に押し出され、第1、第2の押圧部材150,151による圧縮力が解放された領域の負圧発生部材130は、元の体積に戻ろうとする。
【0049】
負圧発生部材130の寸法は、負圧発生部材収容室104の内寸法より大きいので完全に戻ることはできずに液体収容室104内に留まることになる。そのため境界部分に発生したギャップは、完全にはなくならず、窪み140として存在することとなる。
【0050】
これにより、負圧発生部材130における液体供給口102と連通部107との間に対応する部分には不所望な弛みが発生しないので負圧発生部材130の無理のない挿入が可能となり、従って、確実に不所望な皺の形成を抑制することができる。
【0051】
負圧発生部材130の寸法が大きく、負圧発生部材130における液体供給口102と連通部107の間に対応する部分に不所望な皺が形成されてしまう場合、上述の境界部分のギャップを大きく設定することにより、上述の弛みが解消されるので不所望な皺を排除することができる。勿論、この押圧部材による境界部分のギャップは、寸法の余分な弛みを全て吸収してしまうので負圧発生部材における密度ばらつきにより不所望な皺に発展することはない。
【0052】
(インク供給動作)
本発明に係る液体収容容器の第1実施例において、記録ヘッドのインク導入口IJHにインクを供給する動作について、図9、図10、および、図11を参照しつつ、説明する。
【0053】
負圧発生部材収容室104に収容されている負圧発生部材130および131は、多数の毛細管が内部に形成されているとみなすことができ、そのメニスカス力により負圧を発生させる。通常、液体収容容器100の内部には、その使用開始直後では負圧発生部材130および131に充分なインクIKが含浸されている。負圧発生部材130および131内のインク液面部におけるメニスカス力でインクIKが保持されている。
【0054】
記録ヘッド(不図示)により液体供給口102を介してインクが消費される場合、負圧発生部材収容室104及び液体収容室105では圧力の低下が起こる。液体収容室105は連通部107にインクIKが存在しており実質的に密閉状態を維持しているので液体収容室105内のインクが消費されることはなく、負圧発生部材収容室104のインクIKを消費されることになる。すなわち、図9に示されるように、インク消費に従って、負圧発生部材131の気液界面Lが低下していく。その後、図10に示すように、毛管力の差により負圧発生部材131のインクが消費された後、負圧発生部材130のインクが消費されることとなるので、2つの負圧発生部材130および131の境界面132で一旦、気液液面Lが揃うことになる。
【0055】
さらに、インクIKが消費されると、気液界面Lがさらに低下し、図11に示される状態となり、大気導入路108の上端が気液界面Lの上側に位置する。これにより、大気導入路108内に大気が入る。この状態において、液体収容室105の密閉状態が解除されることとなるので大気連通口101から負圧発生部材収容室104を経由した空気が大気導入路108を通過し液体収容室105内に入り込むことにより、その空気が低下した圧力を維持する。そして、図11に示されるように、この入り込んだ空気量に見合う量の液体収容室105内のインクIKが、矢印の示す方向に沿って連通部107を通り、負圧発生部材収容室104内に排出される。この動作を気液交換といい、この気液交換は再び気液界面Lが大気導入路108の上端にくる位置まで、つまり、空気の導入をインクIKでロックするまで続けられる。
【0056】
記録ヘッドの記録中は、このような気液交換動作が繰り返され、この気液交換動作中は負圧発生部材収容室104内がほぼ一定の圧力に保たれているのでスムーズなインク供給が行われ、良好な記録が可能となる。
【0057】
ここで、前述したように、負圧発生部材130の毛管力をP1、負圧発生部材131の持つ毛管力をP2とするならば、互いの毛管力は、P2<P1という関係となっている。また、負圧発生部材同士の境界面132は大気導入路108の上端よりも上に配置されている。これは、気液交換前に気液界面を揃えるため、換言すれば、液体収容室105内インクの使いきり後(気液交換終了)における負圧発生部材130および131内に保持されているインク量をほぼ一定値に設定するためである。負圧発生部材同士の境界面132がない場合、図12に示されるように、使用開始から気液交換までに消費するインク量がばらつき、インク液面(気液界面)Lが大きく乱れてしまうことがある。
【0058】
気液交換中、液体収容室105内のインクIKを消費するため、気液交換終了後、負圧発生部材130および131に保持されているインク量は気液交換前のそれとほぼ同等量である。つまり、個々の液体収容容器毎に気液交換終了後の負圧発生部材130および131に保持されているインク量が異なることになる。この場合、ドットカウントによるインク残量検知の精度が非常に悪くなってしまう。さらには、図13に示されるように、最悪、気液交換前にインク切れが生じ、従って、記録ヘッド内にエアが進入してしまう場合がある。このように記録ヘッドへのエアの侵入が発生した場合、空気による吐出障害が発生し、記録不能となる場合がある。
【0059】
そこで、気液交換前に一旦、気液界面を揃え、誤差となり得る領域(h)(図9および図10参照)を狭め、気液交換後の負圧発生部材130および131内のインク量の誤差を小さくしている。
【0060】
(第2実施例)
図5および図6は、それぞれ、本発明に係る液体収容容器の第2実施例の要部の構成を示す。
【0061】
図1に示される例においては、負圧発生部材130の外周面に形成される窪み140が第2の壁部W2に対向する部分に形成されているが、図5および図6に示される例においては、窪み140’が挿入された負圧発生部材130’の外周面における第1の壁部W1に対向する部分である短辺部136’に形成されている。また、負圧発生部材収容室104’における第2の壁部W2がそれぞれ連結される第1の壁部W1の両端部分に、所定の曲率半径Rを有する円弧部160が形成されている。
【0062】
なお、図5および図6においては、図1に示される例において同一とされる構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0063】
負圧発生部材130’は、上述の負圧発生部材130’と同様な材料および形状寸法で作られている。
【0064】
所定の曲率半径Rの大きさは、負圧発生部材130’の長手方向の最大長さに応じて不所望な皺が形成しない表面距離となるように設定すれば良く、適宜設定可能である。
【0065】
このように窪み140’が短辺部136に形成されることにより、負圧発生部材130’における長手方向における表面距離が長くなり、長辺部135における弛みが解消される。よって、液体供給口102と連通部107との間にも不所望な弛みが発生しないので、確実に不所望な皺の発生を抑制することができる。そしてこの構成をとることにより、実施例1において前述した効果も得ることができる。
【0066】
(窪み140’の形成メカニズム)
窪み140’を形成するメカニズムも実施例1の液体収納容器とは異なっており、本実施例は、負圧発生部材130’の挿入方法によるものではなく、液体収納容器側で窪み140’を形成するものとされる。
【0067】
負圧発生部材130’は、特許文献3及び特許文献4の挿入方法と同等の方法、つまり負圧発生部材130’の全体が圧縮され負圧発生部材収容室104’内に挿入される。この負圧発生部材130’の圧縮状態は、元の形状の相似形に圧縮されている。第3の押圧部材により負圧発生部材130が押し出され負圧発生部材収容室104’内に挿入された後、負圧発生部材130は元の体積に戻ろうとして、再び相似形に体積増加することになる。
【0068】
しかし、負圧発生部材収容室104における第1の壁部W1の液体供給口側の角部に相当する箇所160が円弧160となっているので負圧発生部材130の対応する角部が円弧160に追従できず、その凹形の曲面である円弧160を滑るように負圧発生部材130’の内側に向かって曲がり折れることとなる。
【0069】
この状態で、負圧発生部材130’の短辺部136’が、完全には元の形状には戻らず圧縮された状態となっているので短辺部136’の略中心位置に窪み140’が形成されることになる。
【0070】
(第3実施例)
図7および図8は、それぞれ、本発明に係る液体収容容器の第3実施例の要部の構成を示す。
図1に示される例においては、負圧発生部材130の外周面に形成される各窪み140が第2の壁部W2に対向する部分にそれぞれ互いに真向かいとなるように形成されているが、図7および図8に示される例においては、負圧発生部材130”の外周面に形成される各窪み140”が負圧発生部材収容室104”を形成する第2の壁部W2に対向する部分にそれぞれ、互いに斜めに対向するように形成されている。また、負圧発生部材収容室104”における第2の壁部W2の内面には、所定の突起部170が負圧発生部材130”の外周面に形成される各窪み140”に対応して形成されている。突起部170は、その底壁WBから蓋部材121に向かって第1の壁部W1に対し略平行に所定長さ、例えば、負圧発生部材130”が収容される高さに相当する長さだけ延びている。突起部170の断面形状は、例えば、略三角形状とされる。
【0071】
なお、図7および図8においては、図1に示される例において同一とされる構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0072】
このように突起部170が第2の壁部W2の内面に設けられることにより、負圧発生部材130”の外周面における表面距離が長くなるので弛みが解消される。よって、液体供給口102と連通部107との間にも不所望な弛みが発生しないので確実に不所望な皺の形成を抑制することができる。また、この構成により、上述した実施例と同様な作用効果も得ることができる。
【0073】
本実施例において、突起部170を設ける目的は、負圧発生部材130”の外周面の長辺部135における表面距離を長くすることにより、液体供給口102と連通部107との間における不所望な細長い窪み(皺)の形成を解消することにある。
【0074】
突起部170により作用される圧縮応力により負圧発生部材130”の毛管力が局所的に著しく高くなり、インク残量が増加するというような弊害を発生させたくないので、本実施例においては、各突起部170が同一直線上ではなく、互いに斜めに対向するように配置されている。これにより、負圧発生部材130”の押しつぶしが避けられる。
【0075】
なお、負圧発生部材130”の毛管力の著しい増加が無く、その弊害を解消できるように対応可能であるならば、突起部170の断面形状及び配置はこれに限ったわけではなく、適宜、設定されてもよい。
【0076】
(窪み140”の形成メカニズム)
窪み140”を発生させるメカニズムも第1実施例とは異なり、負圧発生部材130”の挿入方法によるものではなく、液体収容容器側の構成により、窪み140”が形成されている。
【0077】
負圧発生部材130”は、特許文献3及び特許文献4の挿入方法と同等の方法、つまり負圧発生部材130”の全体が圧縮され挿入される。負圧発生部材130”の圧縮状態は元の形状の相似形に圧縮されている。第3の押圧部材により負圧発生部材130”が負圧発生部材収容室104”内に押し出され挿入された後、負圧発生部材130”は元の体積に戻ろうとして、再び相似形に体積増加することになる。
【0078】
しかし、負圧発生部材収容室104”の第2の壁部W2の一部には、一対の突起部170が形成されているので負圧発生部材130”は元の形状まで戻ることはできず、突起部170の断面形状にならうこととなる。これにより、負圧発生部材130”の外周面には強制的に窪み140が形成される。
【0079】
なお、本実施例において、負圧発生部材130”の圧縮時、上述の第3の押圧部材の寸法は、挿入時に突起部170と第3の押圧部材とが干渉しないように設定されることは言うまでもない。
【0080】
なお、上述の本発明の実施例に用いられる記録用液体として、インクを例にとって説明を行なっているが、適用可能な記録用液体としてはインクに限ることなく、例えば、インクジェット記録分野にあっては記録媒体に対する処理液などを含むことは言うまでもない。
【0081】
上述の本発明に係る液体収容容器の第1実施例、第2実施例、および、第3実施例における一連の製造工程においては、後述する本発明に係る負圧発生部材の挿入方法の一例が適用されることにより、各液体収容容器が製造される。
【0082】
後述する本発明に係る負圧発生部材の挿入方法の一例においては、上述の第1実施例について適用された場合について説明する。
【0083】
上述の液体収容容器100を一部を構成する圧接体111及び負圧発生部材130は、それぞれ、インク供給口102、負圧発生部材収容室104内に挿入され、配置された後、蓋部材121が負圧発生部材収容室104および液体収容室105の開口部の周縁に溶着されることにより、インク注入前の液体収容容器が完成することとなる。
【0084】
なお、その溶着は、公知の溶着手段を用いることが可能であり、例えば、超音波溶着が用いられても良い。
【0085】
そして、そのインク注入前の液体収容容器内にインクが注入されることによって液体収容容器の組み立てが終了することとなる。インクの注入方法においては、公知の手段が用いられてもよい。
【0086】
本発明に係る負圧発生部材の挿入方法の一例は、(A)容器本体を保持する工程、(B)負圧発生部材の圧縮工程、(C)第1および第2の挿入工程からなる負圧発生部材の負圧発生部材収容室への挿入工程と、を含んで構成されている。
【0087】
各工程について以下に順次説明する。
(A)容器本体を保持する工程
図14は、本発明の一例に用いられる負圧発生部材挿入装置200の一例の構成を概略的に示す。
【0088】
負圧発生部材挿入装置200は、後述の圧縮工程と第1の挿入工程、第2の挿入工程を行う場合において用いられる。
【0089】
負圧発生部材挿入装置200が稼動されることにより、ワークステーションWSにおける所定位置に固定されている容器本体120内に負圧発生部材130,131がそれぞれ挿入される。
【0090】
負圧発生部材挿入装置200は、相対向して互いに略平行に配される一対の第1の押圧部材150と、第1の押圧部材150に対し略直交するように相対向して互いに略平行に配される第2の押圧部材151と、第1の押圧部材150および第2の押圧部材151により囲まれる空間内に図14における矢印Xの示す方向に挿入可能に配される第3の押圧部材152とを備えている。
【0091】
一対の第1の押圧部材150は、互いに同一形状とされ、図14において矢印Yの示す方向に互いに近接または離隔可能に負圧発生部材挿入装置200の本体部に駆動機構(不図示)を介して配されている。
【0092】
また、一対の第2の押圧部材151は、互いに同一形状とされ、図14において矢印XおよびYの示す方向に略直交するZ方向に沿って互いに近接または離隔可能に負圧発生部材挿入装置200の本体部に駆動機構(不図示)を介して配されている。
【0093】
さらに、第3の押圧部材152は、図14において矢印Xの示す方向に沿って挿入される負圧発生部材130,131の端部を押圧するように移動可能に負圧発生部材挿入装置200の本体部に駆動機構(不図示)を介して配されている。
【0094】
負圧発生部材収容室104および液体収容室105を有する容器本体120は、負圧発生部材収容室104の開口部が負圧発生部材挿入装置200の一対の第1の押圧部材150、および、一対の第2の押圧部材151の端部に対向するように固定治具(不図示)によりワークステーションWSに固定されている。なお、図14においては、圧接体111は、インク供給口102に既に挿入されている状態を示す。毛管力の高い負圧発生部材130が一方の第2の押圧部材151における容器本体120に対し近い位置に、負圧発生部材130の毛管力に比して弱い毛管力を有する負圧発生部材131が容器本体120に対し離隔する位置に置かれている。
【0095】
(B)圧縮工程
先ず、図15(a)に示すように、一対の第1の押圧部材150が、負圧発生部材130の長辺部135の外周面に近接され、一対の第2の押圧部材151が負圧発生部材130の短辺部の外周面に近接される。なお、第3の押圧部材(不図示)は、図14に示される初期位置に配置されている。
【0096】
その際、第1の押圧部材150の下端部は、一方の第2の押圧部材151の面と共通の平面上にあるように配されている。
【0097】
次に、図7(b)に示されるように、一対の第1の押圧部材150が負圧発生部材130の長辺部135の外周面に近接された後、負圧発生部材130を矢印の示す方向に圧縮する。これにより、図7(b)に示されるように、負圧発生部材130の長辺部135が一対の第1の押圧部材150により所定の圧力で挟持され圧縮される。
【0098】
続いて、図7(c)に示されるように、他方の第2の押圧部材151が負圧発生部材130の短辺部136に近接され、矢印の示す方向に負圧発生部材130の短辺部136を所定の圧力で圧縮する。その際、一方の第2の押圧部材151は移動せず、他方の第2の押圧部材151が短辺部136に当接することのみにより、他方の第2の押圧部材151が負圧発生部材130を圧縮する。
【0099】
この圧縮状態において、第1および第2の押圧部材150、151の縦幅及び横幅寸法が、負圧発生部材収容室104の縦幅及び横幅の内寸法以下になるように負圧発生部材130が圧縮される。ここで、図7(c)に示されるように、第1の押圧部材150の一方の端部と第2の押圧部材151の側面とは互いに接触し、略直角な角を形成するように負圧発生部材130が圧縮されているのに対し、第1の押圧部材150の他方の端部と他方の第2の押圧部材151とは、互いに接触はしておらず、隙間141が形成されるように配置されている。
【0100】
負圧発生部材130は、その全体が第1の押圧部材150および第2の押圧部材151によって押圧されているわけではなく、負圧発生部材130における隙間141に対応する領域のみ非圧縮状態となっている。
【0101】
これは、本発明の目的とするところの窪み140を形成させるために意図的に非圧縮状態を作り出し、窪み140の形成トリガーとしている。このように圧縮された状態で、後述するように、負圧発生部材130の負圧発生部材収容室104への挿入が行われる。
【0102】
(窪み140の形成メカニズム)
窪み140を負圧発生部材収容室104の第2の壁部W2に対応する負圧発生部材130の長辺部136に確実に形成させるメカニズムについて、図15(c)を参照して説明する。本実施例において、意図的に窪みを発生させる方法は上述の負圧発生部材130の圧縮工程によるところである。
【0103】
負圧発生部材130を圧縮する際、第1及び第2押圧部材150、151が互いに隙間無く負圧発生部材130を囲むように配置されるのではなく、所定の隙間141をあけ配置されるように設定されている。隙間141は、一方の第1の押圧部材150と一対の第2の押圧部材151の一方の端部との間に形成されている。容器本体120は、図14に示されるように、負圧発生部材収容室104の開口部を第1の押圧部材150および第2の押圧部材151側に向くように配置されているので隙間141を設けている位置が負圧発生部材収容室104の第1の壁部W1と液体供給口102近傍との間の位置に対応する位置となる。
【0104】
この負圧発生部材130の圧縮状態において、隙間141の領域に対応する負圧発生部材130の長辺部136の一部が圧縮されない非圧縮状態となる。これにより、負圧発生部材130において第1の押圧部材150により圧縮されている領域と、隙間141による非圧縮状態の部分との境界部分にギャップが生じる。この状態で負圧発生部材130は後述するように、第3の押圧部材152により負圧発生部材収容室104内に押し出されることになる。
【0105】
押し出された負圧発生部材130において、第1、第2の押圧部材150,151による圧縮が解放された領域は元の体積に戻ろうとする。
【0106】
しかし、負圧発生部材130の寸法は、負圧発生部材収容室104の内寸法より大きいので完全に戻ることはできず、負圧発生部材収容室104内に留まることになる。これにより、上述の境界部分に発生したギャップは、完全にはなくならず、窪み140として存在することとなる。
【0107】
従って、液体供給口102と連通部107との間には不所望な弛みが発生しないので無理のない負圧発生部材130挿入が可能となるので確実に不所望な皺の形成を抑制することができる。負圧発生部材130の外寸法が大きく、液体供給口102と連通部107の間に不所望な皺が形成されてしまう場合、上述の境界部分のギャップを大きく設定することで弛みが解消されるので不所望な皺を排除することができる。
【0108】
勿論、これらの第1および第2の押圧部材150、151による境界部分のギャップは、寸法の余分な弛みを全て吸収してしまうので負圧発生部材130の密度ばらつきにより不所望な皺に発展することはない。
【0109】
また、上述したように、負圧発生部材130が熱可塑性の樹脂繊維などの繊維材料である場合、例えば、特開平9−183236号公報にも開示されるように、図19に示されるように、一般的には繊維190はある程度の方向性を有することになる。この場合、窪み140は、容易に変形可能な面(M)に発生する場合が多い。本実施例においては、意図的に窪み140を設けているので負圧発生部材130の長手部136に変形可能な面(M)が対応するように負圧発生部材130の選定及び配置がなされている。
【0110】
上述した本発明の負圧発生部材130の挿入方法を用いることで、インク漏れの恐れのない信頼性の高い液体収納容器100を得ると共に、インクの経路の弊害とならず安定したインク供給可能な液体収納容器100を得ることができる。さらに、負圧発生部材の寸法の許容範囲を大きくできるので負圧発生部材の歩留り向上及び装置の簡素化につながり、従って、生産性向上を図ることができる。
【0111】
本実施例は、液体収納容器100の仕切り壁には大気導入路108が設けられている場合において適用されているが、本発明はこれに限ったわけではなく、大気導入路がなくその位置まで連通部が達している形態であってもよく、負圧発生部材収容室及び液体収容室を有し、気液交換にて負圧発生部材収容室にある液体供給口からインク供給を行うタイプの液体収納容器においても適用可能である。
【0112】
(C)負圧発生部材の負圧発生部材収容室への挿入工程
(第1の挿入工程)
図16において、図15(c)に示されるように圧縮され挟持された状態の負圧発生部材130は、第1及び第2の押圧部材150、151と共に負圧発生部材収容室104内に進入せしめられる。ここで、第1及び第2の押圧部材150、151の進入量は、液体供給口102が形成されている底壁の内面から15mm程度離隔した位置まで第1及び第2の押圧部材150、151の一端が進入せしめられ保持されるように設定されている。
【0113】
また、第1及び第2の押圧部材150、151と容器本体120との位置関係は、第1及び第2の押圧部材150、151の挿入時、図16に示されるように、一方の第2の押圧部材151と仕切り壁106とが互いに極めて接近する位置に配されるように設定されている。これは、液体収容室105の連通部107と大気とが直接的に連通しないように負圧発生部材130および131の外周面と容器本体120の内壁面とは確実に密着させる必要があるからである。
【0114】
これにより、負圧発生部材130および131の外周面が第1及び第2の押圧部材150、151から離れた際、段差が小さいのでスムーズな負圧発生部材130の挿入が可能となる。ここで、液体供給口102に圧接体111が設けられている場合、予め圧接体111が挿入されておくことが望ましい。
【0115】
(第2の挿入工程)
次に、図17に示されるように、矢印の示す方向に第3の押圧部材152が移動せしめられることにより、負圧発生部材130および131が負圧発生部材収容室104内へ押し出される。負圧発生部材130の一端は、液体供給口102が設けられる底壁の内面に当接せしめられる位置まで押し出される。負圧発生部材130および131は、圧縮されながら摺動し挿入されることとなる。その際、第1及び第2の押圧部材150,151は、それぞれ、その表面粗さが低く、その各角部に円弧の面取り処理が施されているのでスムーズな摺動が行われ、従って、負圧発生部材130および131の外周面にはその摺動摩擦による不所望な皺は形成されない。
【0116】
ここで、第1及び第2の押圧部材150,151の摺動摩擦を低減させる手段として、テフロン(登録商標)コーティングあるいはフッ素樹脂コーティングがその外周面に施されてもよく、あるいは、テフロン(登録商標)フィルムもしくはポリエチレンフィルムがその外周面に貼り付けられていてもよい。さらには、第1及び第2の押圧部材150,151の材質を鏡面処理されたステンレス鋼板もしくはテフロン(登録商標)樹脂板などで構成されているならば、上述した不所望な皺は形成されない。
【0117】
そして、図18に示すように、第3の押圧部材152で負圧発生部材130および131が押圧されたままの状態で、第1及び第2の押圧部材150、151がそれぞれ負圧発生部材収容室104から引き抜くように離隔され、続いて、第3の押圧部材152が負圧発生部材収容室104から引き離されることにより、負圧発生部材130および131の挿入が終了する。
【0118】
本実施例では負圧発生部材130および131を2つ同時に挿入しているが、同じ挿入方法を用いて1つずつ挿入されても全く問題はない。
【0119】
図20(a),図20(b)、および、図20(c)は、それぞれ、本発明に係る負圧発生部材の挿入方法の一連の工程において、窪み140の形成に必要とされる圧縮工程の第1の変形例の説明に供される図である。
【0120】
なお、図20(a),図20(b)、および、図20(c)において、図15(a),図15(b)、および、図15(c)に示される例において同一とされる構成要素について同一の符号を付し、その重複説明を省略する。
【0121】
図15(a),(b),(c)に示される例においては、相対向する第2の押圧部材151は、互いに同一形状とされるが、図20(a)に示される例では、第2の押圧部材151Aおよび151Bは互いに異なる形状とされる。即ち、第2の押圧部材151Aの幅は、第2の押圧部材151Bの幅よりも大に設定されている。
【0122】
図20(c)に示されるように、負圧発生部材130の圧縮時、隙間141’が、第2の押圧部材151Bの一方の端部と隣接する第1の押圧部材150の一方の端部との間に、図20(c)において左側に位置するように設けられるように形成されている。即ち、隙間141’が負圧発生部材130の短辺部136の一方の端部に対応するように形成されている。
【0123】
従って、液体収納容器100において、第1の壁部W1に対向する負圧発生部材130の短辺部136に対応する位置に対応して隙間141’が形成されている。
【0124】
このように負圧発生部材130が圧縮された状態で上述したような負圧発生部材の負圧発生部材収容室への挿入工程を経て負圧発生部材収容部104に収容された場合、図21、図22、および、図23に示されるように、窪み140Aが負圧発生部材130の外周面における短辺部136に形成されることとなる。
【0125】
なお、図21、図22、および、図23においては、それぞれ、図1に示される例において同一とされる構成要素について同一の符号を付し、その重複説明を省略する。
【0126】
窪み140Aは、図22に示されるように、第1の壁部W1に対向する負圧発生部材130の短辺部136に形成される。窪み140Aは、図22において短辺部136の中央から左側に片寄った位置にその底壁から蓋部材121に向けて延在するように形成されることとなる。
【0127】
(窪み140Aの形成のメカニズム)
上述したように、第3の押圧部材152により負圧発生部材130が押し出され負圧発生部材収容部104に挿入された後、負圧発生部材130は元の体積に戻ろうとして、相似形に体積増加をすることになる。負圧発生部材130の外寸法は、負圧発生部材収容室104の内寸法より大きいので完全に戻ることはできず、従って、液体収納室104内に納まることになる。これにより、負圧発生部材130の短辺部136に発生した境界部分のギャップは完全にはなくならず、窪み140Aという形で存在することとなる。
【0128】
このように負圧発生部材130の短辺部136に窪み140Aが設けられることにより、長辺部135における表面距離が長くなり、長辺部135における弛みが解消される。よって、液体供給口102と連通部107との間にも不用意な弛みが発生しないので確実に不所望な皺の発生を抑制することができる。そして、前述した実施例において得られる同様な作用効果も得ることができる。
【0129】
図24(a),図24(b)、および、図24(c)は、それぞれ、本発明に係る負圧発生部材の挿入方法の一連の工程において、窪み140の形成に必要とされる圧縮工程の第2の変形例の説明に供される図である。
【0130】
なお、図24(a),図24(b)、および、図24(c)において、図15(a),図15(b)、および、図15(c)に示される例において同一とされる構成要素について同一の符号を付し、その重複説明を省略する。
【0131】
図15(a),(b),(c)に示される例においては、相対向する第1の押圧部材150は、互いにその平坦面に突起等がない構成とされるが、図24(a)に示される例では、一対の第1の押圧部材174は、それぞれ、突起部172を相対向する平坦面における所定位置に有し、互いに同一形状とされる。
【0132】
本実施例において、突起部172は第1の押圧部材174の上部に設けられている。つまり、突起部172は、液体収納容器100において、第2の壁部W2に対向する負圧発生部材130の長辺部135に対応する位置に設けられている。この一対の第1の押圧部材174により、負圧発生部材130が圧縮された際、図24(c)に示されるように、突起部172に押圧される負圧発生部材130の外周面は、突起部172にならうように変形することになる。
【0133】
また、本実施例の圧縮工程は第1、第2の押圧部材174、151による押圧する順序も、上述の実施例と異なり、最初に第2の押圧部材151により、負圧発生部材130が押圧される。次に、負圧発生部材130が第1の押圧部材174により押圧される。
【0134】
これは、第1の押圧部材174は突起部172を有しているので第1の押圧部材174による圧縮が最初である場合、第2の押圧部材151の圧縮によって負圧発生部材130の外周面が突起部172に引っかかる恐れがあり、繊維が破壊される場合があるからである。そのため、第2の押圧部材151による圧縮を第1の押圧部材174よる圧縮前に施している。このような圧縮順序であっても、窪みの形成においては、全く問題はない。
【0135】
このように負圧発生部材130が圧縮された状態で上述したような負圧発生部材の負圧発生部材収容室への挿入工程を経て負圧発生部材収容部104に収容された場合、図25、および、図26に示されるように、窪み140Bが負圧発生部材130の外周面における長辺部135に形成されることとなる。
【0136】
なお、図25、および、図26においては、それぞれ、図1に示される例において同一とされる構成要素について同一の符号を付し、その重複説明を省略する。
【0137】
図27(a),図27(b)、および、図27(c)は、それぞれ、本発明に係る負圧発生部材の挿入方法の一連の工程において、窪み140の形成に必要とされる圧縮工程の第3の変形例の説明に供される図である。
【0138】
なお、図27(a),図27(b)、および、図27(c)において、図15(a),図15(b)、および、図15(c)に示される例において同一とされる構成要素について同一の符号を付し、その重複説明を省略する。
【0139】
図15(a),(b),(c)に示される例においては、相対向する第2の押圧部材151は、互いに同一形状とされるが、図27(a)に示される例では、第2の押圧部材184Aおよび184Bは互いに異なる形状とされる。即ち、第2の押圧部材184Aの幅は、第2の押圧部材184Bの幅よりも小に設定されている。また、一対の第1の押圧部材182は、それぞれ、互いに同一形状とされ、相対向する平坦面の一端部に段部180を有している。
【0140】
本実施例において、段部180は、第1の押圧部材182の一端部に設けられており、即ち、段部180が液体収納容器100において第2の壁部W2に対向する負圧発生部材130の長辺部135に対応する位置に形成されている。この第1の押圧部材182で負圧発生部材130が圧縮された際、段部180に対応した負圧発生部材130の外周面の長辺部135は、段部180にならうように変形するのでギャップが形成されることになる。
【0141】
斯かる例においても、このように負圧発生部材130が圧縮された状態で上述したような負圧発生部材の負圧発生部材収容室への挿入工程を経て負圧発生部材収容部104に収容された場合、上述の図3、および、図4に示されるように、窪み140が負圧発生部材130の外周面における長辺部135に形成されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明に係る液体収容容器の第1実施例を示す断面図である。
【図2】図1に示される例における液体収容容器の構成要素を分解して示す構成図である。
【図3】図1に示される例における断面図である。
【図4】図3においてIV−IV線に沿って示される部分断面図である。
【図5】本発明に係る液体収容容器の第2実施例を示す断面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線に沿って示される部分断面図である。
【図7】本発明に係る液体収容容器の第3実施例を示す断面図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII線に沿って示される部分断面図である。
【図9】図1に示される例における動作説明に供される断面図である。
【図10】図1に示される例における動作説明に供される断面図である。
【図11】図1に示される例における動作説明に供される断面図である。
【図12】図1に示される例における動作説明に供される断面図である。
【図13】図1に示される例における動作説明に供される断面図である。
【図14】本発明に係る負圧発生部材の挿入方法の一例に用いられる負圧発生部材挿入装置の構成を概略的に示す構成図である。
【図15】(a),(b),(c)は、それぞれ、本発明に係る負圧発生部材の挿入方法の一例における圧縮工程の説明に供される図である。
【図16】本発明に係る負圧発生部材の挿入方法の一例における負圧発生部材の挿入工程の説明に供される図である。
【図17】本発明に係る負圧発生部材の挿入方法の一例における負圧発生部材の挿入工程の説明に供される図である。
【図18】本発明に係る負圧発生部材の挿入方法の一例における負圧発生部材の挿入工程の説明に供される図である。
【図19】負圧発生部材が繊維材料で作られる場合において、負圧発生部材の圧縮方向の説明に供される図である。
【図20】(a),(b),(c)は、それぞれ、本発明に係る負圧発生部材の挿入方法の一例において用いられる圧縮工程の第1の変形例の説明に供される図である。
【図21】図20(a),(b),(c)を参照して説明された圧縮工程を経て組み立てられた液体収容容器の断面図である。
【図22】図21におけるXXII−XXII線に沿って示される部分断面図である。
【図23】図21におけるXXIII−XXIII線に沿って示される部分断面図である。
【図24】(a),(b),(c)は、それぞれ、本発明に係る負圧発生部材の挿入方法の一例において用いられる圧縮工程の第2の変形例の説明に供される図である。
【図25】図24(a),(b),(c)を参照して説明された圧縮工程を経て組み立てられた液体収容容器の断面図である。
【図26】図25におけるXXVI−XXVI線に沿って示される部分断面図である。
【図27】(a),(b),(c)は、それぞれ、本発明に係る負圧発生部材の挿入方法の一例において用いられる圧縮工程の第3の変形例の説明に供される図である。
【図28】従来の液体収容容器の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0143】
100 液体収容容器
101 大気連通口
102 液体供給口
130,131 負圧発生部材
104 負圧発生部材収容室
105 液体収容室
106 仕切壁
107 連通部
108 大気導入路
132 境界層
135 長辺部
136 短辺部
140 窪み
141 隙間
150 第1の押圧部材
151 第2の押圧部材
170 突起部
180 段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する液体収容容器における負圧発生部材収容室内に挿入される負圧発生部材を一対の第1の押圧部材と、第2の押圧部材とにより包囲される空間内に配置する工程と、
前記空間内に配置された負圧発生部材の外周面における一方の相対向する両端部をそれぞれ前記一対の第1の押圧部材により負圧発生部材収容室の内寸法よりも小なる寸法まで圧縮しつつ、前記第2の押圧部材により、該負圧発生部材の外周面における所定位置を局所的に圧縮量が異なる部分を形成するように圧縮する圧縮工程と、
前記負圧発生部材収容室内における所定位置に前記局所的に圧縮量が異なる部分が対応して配されるように前記圧縮された状態の負圧発生部材を該負圧発生部材収容室内に挿入する挿入工程と、
を含んでなる負圧発生部材の挿入方法。
【請求項2】
前記挿入工程は、圧縮された前記負圧発生部材とともに前記一対の第1の押圧部材および第2の押圧部材の一端を前記負圧発生部材収容室内に挿入する第1の工程と、該第1の工程により挿入された前記負圧発生部材をさらに第3の押圧部材により負圧発生部材収容室内に押し込む第2の工程とを含むことを特徴とする請求項1記載の負圧発生部材の挿入方法。
【請求項3】
前記負圧発生部材が前記負圧発生部材収容室内に挿入された場合、前記負圧発生部材の外周面における局所的に圧縮量が異なる部分と他の部分との境界部分が、該負圧発生部材収容室を形成する壁面との間に窪みを形成することを特徴とする請求項1記載の負圧発生部材の挿入方法。
【請求項4】
前記窪みは、前記負圧発生部材収容室に設けられる液体供給口と該負圧発生部材収容室の短辺側の壁部を形成する第1の壁部との間に対応した前記負圧発生部材の外周面における長辺部または短辺部に形成されることを特徴とする請求項3記載の負圧発生部材の挿入方法。
【請求項5】
記録用液体を収容する第1の部屋と、
外気に連通する連通孔を上壁に有し、前記第1の部屋との境界壁に形成される連通部を介して供給される前記記録用液体が浸透される負圧発生部材を、該境界壁に対向する第1の内壁面と、該第1の内壁面と該境界壁の壁面とを連結する一対の第2の内壁面とにより包囲するように収容するとともに、該負圧発生部材内に含まれる記録用液体を底壁に設けられる供給口を介して外部に供給する第2の部屋と、を備え、
前記負圧発生部材が前記第2の部屋に挿入された場合、該負圧発生部材の外周面において、窪みが、前記第2の部屋における前記第1の内壁面と前記供給口との間の位置で前記底壁から前記上壁に向かって延在するように形成されることを特徴とする液体収容容器。
【請求項6】
前記窪みは、前記第2の部屋に挿入された前記負圧発生部材の外周面における長辺部または短辺部に内側に向かって形成されることを特徴する請求項5記載の液体収容容器。
【請求項7】
前記一対の第2の内壁面の端部と前記第1の内壁面の端部とが連結される部分に、略円弧部が形成されていることを特徴する請求項5記載の液体収容容器。
【請求項8】
前記一対の第2の内壁面には、前記第1の内壁面と前記供給口との間となる位置に対応して突起部が形成されていることを特徴する請求項5記載の液体収容容器。
【請求項9】
前記負圧発生部材は、オレフィン系樹脂繊維材料で形成されることを特徴する請求項5記載の液体収容容器。
【請求項10】
前記第2の部屋が、互いに接触する少なくとも二つの負圧発生部材を積層して収容することを特徴する請求項5記載の液体収容容器。
【請求項11】
前記二つの負圧発生部材における相互の境界面が前記境界壁の壁面に対し交差するように形成されることを特徴する請求項10記載の液体収容容器。
【請求項12】
前記二つの負圧発生部材のうち前記底壁に接触するように配される一方の負圧発生部材の毛管力が他方の負圧発生部材の毛管力に比して大であることを特徴する請求項10記載の液体収容容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2006−130700(P2006−130700A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−319754(P2004−319754)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】