説明

貨幣処理システム

【課題】貨幣処理親機を経由せず直接貨幣処理子機にアクセスし操作するときであっても、貨幣処理親機への操作者による取引情報の入力ミスを効果的に防止する。
【解決手段】貨幣処理子機12は、取引情報入力手段60に入力された取引情報に対応する連携番号を採番し、連携番号および連携番号に対応する取引情報を貨幣処理親機11に送信する連携番号送信手段66を備え、貨幣処理親機11は、受信した連携番号および取引情報を未確定処理情報として記憶する未確定処理情報記憶手段45と、連携番号が入力される親機側連携番号入力手段33と、親機側連携番号入力手段33に入力された連携番号と未確定処理情報記憶手段45に記憶された連携番号とを照合して、入力された連携番号を含む未確定処理情報を確定処理する確定処理制御手段44とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理親機および貨幣処理子機を有する貨幣処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貨幣処理親機および貨幣処理子機を備えた貨幣処理システムにおいて、操作者の入力ミスを防止するものとして、貨幣処理親機で設定された操作情報を貨幣処理子機に送信する貨幣処理システムが開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−294709号公報(図10、図11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の貨幣処理システムにあっては、貨幣処理親機としての出納機が操作情報としての連動番号を発行し、発行された連動番号とこれに対応する取引情報とが、貨幣処理子機としての現金管理装置に送信されるようになっている。そして、現金管理装置の操作者が、出納機によって発行された連動番号を現金管理装置に入力すれば、この連動番号に対応する取引情報に基づく操作が許可されることになり、操作者による取引情報の入力ミスを防止しようとしている。
【0005】
ところで、出納機や現金管理装置が設置される主に銀行等の金融機関においては、近年、顧客満足度向上が求められ、その一環として顧客の待ち時間短縮を掲げているところも多い。これを実現するためには、銀行で言えばテラー係り等の操作者による作業時間を短縮する必要があり、貨幣処理親機である出納機を経由せず直接貨幣処理子機である現金管理装置にアクセスする必要性も求められる。
【0006】
上記した貨幣処理システムでは、直接現金管理装置にアクセスするときは現金管理装置と出納機との間で上記のような取引情報の連動をとらない非連動処理を選択せざるを得ない。この場合、直接現金管理装置にアクセスした取引情報を、事後的に、出納機に再度入力して確定処理する必要があり、この確定処理時に入力ミスを生じてしまう可能性があった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、貨幣処理親機を経由せず直接貨幣処理子機にアクセスし操作するときであっても、貨幣処理親機への操作者による取引情報の入力ミスを効果的に防止することができる貨幣処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、互いに通信可能に構成された貨幣処理親機および貨幣処理子機を有する貨幣処理システムであって、前記貨幣処理子機は、取引情報が入力される取引情報入力手段と、該取引情報入力手段に入力された取引情報に対応する連携番号を採番する連携番号採番手段と、該連携番号採番手段によって採番された連携番号および該採番された連携番号に対応する取引情報を前記貨幣処理親機に送信する連携番号送信手段と、を備え、前記貨幣処理親機は、前記連携番号送信手段によって送信された連携番号および該連携番号に対応する取引情報を受信する連携番号受信手段と、該連携番号受信手段によって受信した連携番号および取引情報を未確定処理情報として記憶する未確定処理情報記憶手段と、連携番号が入力される親機側連携番号入力手段と、該親機側連携番号入力手段に入力された連携番号と、前記未確定処理情報記憶手段に記憶された連携番号とを照合して、前記親機側連携番号入力手段に入力された連携番号を含む未確定処理情報を確定処理する確定処理制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記連携番号採番手段は、前記貨幣処理親機から取引情報が送信されると該取引情報に対応する連携番号を採番し、前記連携番号送信手段は、前記貨幣処理親機から送信された取引情報に対応して前記連携番号採番手段によって採番された連携番号を前記貨幣処理親機に送信することになり、前記貨幣処理親機は、前記連携番号送信手段によって送信された連携番号を記憶する連携番号記憶手段と、連携番号を出力する連携番号出力手段と、を備え、前記貨幣処理子機は、連携番号が入力される子機側連携番号入力手段と、該子機側連携番号入力手段に入力された連携番号に基づいて取引操作を許可する連携番号照合制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記連携番号記憶手段は、前記連携番号送信手段によって送信された連携番号を該連携番号に対応する取引情報と対応させて記憶することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか一項に係る発明において、前記取引情報は、前記貨幣処理子機で処理される貨幣の取引区分、取引金種および取引金額から構成されることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれか一項に係る発明において、前記貨幣処理子機は、操作者情報を取得する操作者情報取得手段と、該操作者情報取得手段が取得した操作者情報と、操作許可者として予め設定された操作者の操作者マスタ情報とを照合する操作者照合手段と、前記操作者情報取得手段が取得した操作者情報が前記操作者マスタ情報に設定されていたときに限り取引操作を許可する操作者照合制御手段と、をさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、操作者が直接貨幣処理子機にアクセスし操作するにあたって、貨幣処理子機の取引情報入力手段に取引情報を入力すると、連携番号採番手段が取引情報に対応する連携番号を採番することになり、連携番号送信手段が、この連携番号およびこれに対応する取引情報を貨幣処理親機に送信する。すると、貨幣処理親機においては、送信された連携番号およびこれに対応する取引情報を連携番号受信手段が受信することになり、受信した連携番号および取引情報を、未確定処理情報記憶手段が未確定処理情報として記憶する。そして、操作者が、事後的に、直接貨幣処理子機にアクセスした取引情報を貨幣処理親機に入力して確定処理するにあたって、貨幣処理親機の親機側連携番号入力手段に連携番号を入力すると、確定処理制御手段が、この入力された連携番号と未確定処理情報記憶手段に記憶された連携番号とを照合して、入力された連携番号を含む未確定処理情報を確定処理することになる。このように、貨幣処理子機に入力された取引情報を貨幣処理親機に受け渡して確定処理することになるため、この確定処理時に取引情報を入力する必要がなくなり、入力ミスを防止することができる。したがって、貨幣処理親機を経由せず直接貨幣処理子機にアクセスし操作するときであっても、操作者による貨幣処理親機への取引情報の入力ミスを効果的に防止することができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、操作者が貨幣処理親機に取引情報を入力した後に、貨幣処理子機にアクセスし操作する場合には、貨幣処理親機から取引情報が送信されると、貨幣処理子機の連携番号採番手段は、この取引情報に対応する連携番号を採番することになり、連携番号送信手段が、この連携番号を貨幣処理親機に送信する。すると、貨幣処理親機においては、送信された連携番号を連携番号記憶手段が記憶することになり、連携番号出力手段が、記憶された連携番号を出力する。操作者が、貨幣処理子機にアクセスし操作するにあたり、連携番号出力手段で出力された連携番号を、子機側連携番号入力手段に入力すると、連携番号照合制御手段が、この入力された連携番号に基づいて取引操作を許可することになる。このように、貨幣処理子機は、連携番号に基づいて取引操作を許可することになるため、連携番号に基づかない取引操作を規制することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、連携番号記憶手段が、連携番号送信手段によって送信された連携番号をこの連携番号に対応する取引情報と対応させて記憶することになるため、障害発生時などの照合作業の容易化を図ることができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、取引情報が、貨幣処理子機で処理される貨幣の取引区分、取引金種および取引金額から構成されるため、取引区分、取引金種および取引金額を含む取引情報の入力ミスを防止できる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、貨幣処理子機において、操作者情報取得手段が操作者情報を取得すると、操作者照合手段が、この取得した操作者情報と、操作許可者として予め設定された操作者の操作者マスタ情報とを照合することになり、操作者照合制御手段が、取得した操作者情報が操作者マスタ情報に設定されていたときに限り取引操作を許可することになる。よって、操作許可者以外による操作を規制することができ、貨幣処理子機の厳格な運用管理ができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムを示す外観構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムを示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムの出納機の処理のフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムの出納機の処理のフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムの現金管理装置の処理のフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムの現金管理装置の処理のフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムの現金管理装置の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムを図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る貨幣処理システムは、銀行等の金融機関の店舗に設置されるもので、図1に示すように、いずれも貨幣処理機である出納機11と現金管理装置12とを有している。なお、出納機11は、店舗全体の貨幣処理を管理する貨幣処理親機となっており、現金管理装置12は、テラー用の貨幣入出金機等の他の貨幣処理機とともに出納機11によって貨幣処理が管理される貨幣処理子機となっている。親機である出納機11に対して、子機である現金管理装置12は、出納機11から離れた窓口カウンタの近傍位置に設置されることになり、通信ケーブル13を介して互いに通信可能に接続されている。
【0020】
出納機11は、店舗の係員側スペースに設置されて係員により取り扱われるものであり、
例えば、大口顧客に対する係員による入金、出金等の取引処理、係員による渉外先への持ち出し金の出金処理や、渉外先からの持ち帰り金の入金処理、さらには、営業終了後の金融機関店舗全体での入出金状況の締め上げ管理等を行うものである。
【0021】
出納機11は、紙幣についての処理を行う紙幣処理ユニット16と、バラ硬貨についての処理を行う硬貨処理ユニット17と、バラ硬貨から棒金(包装硬貨)を作成する棒金処理ユニット18とが左右に並設されている。紙幣処理ユニット16には、バラ紙幣の入金処理、バラ紙幣の出金処理、小束紙幣の作成および小束紙幣の出金処理等の紙幣に関する種々の処理を行う図2に示す紙幣処理機構部20が設けられている。図1に示す硬貨処理ユニット17には、バラ硬貨の入金処理およびバラ硬貨の出金処理等のバラ硬貨に関する種々の処理を行う図2に示す硬貨処理機構部21が設けられている。図1に示す棒金処理ユニット18には、硬貨処理ユニット17から搬送されてきたバラ硬貨から棒金を作成するとともに棒金の出金処理を行う図2に示す棒金処理機構部22が設けられている。
【0022】
出納機11は、紙幣処理ユニット16の上部に、操作者によって操作入力がなされるとともに操作者に対して表示を行う出納機操作表示部25と、データを用紙への印字により出力する出納機プリンタ(連携番号出力手段)26とを有している。紙幣処理ユニット16には、紙幣処理機構部20のうち、入金処理時および出金処理時に操作者に対してバラ紙幣のやり取りを行う紙幣入出部28および出金処理時に操作者に対して小束紙幣を出金する小束紙幣出金部29とが設けられている。紙幣入出部28は、操作者によるバラ紙幣の入金を受け付けるとともに入金されたバラ紙幣の中から偽券あるいは汚損券等と判別されたリジェクト紙幣を操作者に取出可能にリジェクトし、また、出金処理時にバラ紙幣を操作者に取出可能に出金するものである。
【0023】
出納機操作表示部25は、操作者に対して操作ガイダンス等の情報を表示する出納機表示部(連携番号出力手段)31と、操作者のIDカードを走査する出納機カードリーダ32と、操作者により操作される出納機操作キーボード(親機側連携番号入力手段)33と、操作者に対して音声を出力する出納機音声発生部34とを有している。
【0024】
硬貨処理ユニット17には、硬貨処理機構部21のうち、入金処理時に操作者によるバラ硬貨の入金を受け付ける硬貨入金部37、入金されたバラ硬貨の中から偽硬貨あるいは汚損硬貨等と判別されたリジェクト硬貨を操作者に取出可能にリジェクトする硬貨リジェクト部38、およびバラ硬貨の出金処理時にバラ硬貨を操作者に取出可能に出金する硬貨出金部39が設けられている。
【0025】
棒金処理ユニット18には、棒金処理機構部22のうち、出金処理時に操作者に対して棒金を出金する棒金出金部41が設けられている。
【0026】
出納機11には、図2に示すように、紙幣処理機構部20、硬貨処理機構部21、棒金処理機構部22、出納機操作表示部25および出納機プリンタ26に接続されてこれらを制御する出納機制御部(連携番号受信手段,確定処理制御手段)44と、処理関連のデータ等を記憶する出納機記憶部(未確定処理情報記憶手段,連携番号記憶手段)45とが設けられている。
【0027】
現金管理装置12は、店舗の係員側スペースに設置されて係員により取り扱われるものであり、より窓口カウンタに近い位置で小束紙幣および棒金を入出庫可能に収納するものである。
【0028】
現金管理装置12は、箱型の現金管理装置本体50と、この現金管理装置本体50に上下方向に複数段設けられた個別に引き出し可能な収納庫51とを有している。複数段の収納庫51のうち、最も上側の収納庫51は、予備収納庫となっており、結束されていないバラ紙幣、包装されていないバラ硬貨、汚損紙幣や汚損硬貨等を収納する。また、残りの収納庫51は、小束紙幣を収納する小束収納庫と、棒金を収納する棒金収納庫とに分けられており、これら収納庫51は、それぞれに収納する貨幣の取引金種および収納位置が予め決められている。
【0029】
現金管理装置本体50の上部には、操作者によって操作入力がなされるとともに操作者に対して表示を行う現金管理装置操作表示部55と、データを印字により出力する現金管理装置プリンタ56とが設けられており、現金管理装置操作表示部55は、操作者に対して操作ガイダンス等の情報を表示する現金管理装置表示部58と、操作者のIDカードを走査する現金管理装置カードリーダ(操作者情報取得手段)59と、操作者により操作される現金管理装置操作キーボード(取引情報入力手段,子機側連携番号入力手段,操作者情報取得手段)60と、操作者に対して音声を出力する現金管理装置音声発生部61とが設けられている。
【0030】
現金管理装置本体50には、複数の収納庫51のそれぞれに対して、収納庫51を閉状態で個別にロックする図2に示すロック機構63が設けられており、図1に示す複数の収納庫51のそれぞれの側方に、ロック解除時のみ点灯する表示灯64が設けられている。さらに、現金管理装置本体50には、図2に示すように、現金管理装置操作表示部55、現金管理装置プリンタ56、ロック機構63および表示灯64に接続されてこれらを制御する現金管理装置制御部(連携番号採番手段,連携番号送信手段,連携番号照合制御手段,操作者照合手段,操作者照合制御手段)66と、処理関連のデータ等を記憶する現金管理装置記憶部67とが設けられている。
【0031】
上記構成の貨幣処理システムは、操作者が、現金管理装置12に対して棒金および小束紙幣の取り出しや補充等の取引を行う場合に、出納機11に取引情報の入力を行い、この取引情報に基づいて現金管理装置12に対して取引を行う「出納機先処理」と、現金管理装置12に取引情報の入力を行い、この取引情報に基づいて現金管理装置12に対して取引を行って後に出納機11に取引情報を移す「現金管理装置先処理」の二つの処理パターンに対応可能となっている。
【0032】
操作者は、出納機11を使用する場合、初期待機状態にある出納機11に対して、その出納機表示部31の案内表示にしたがって、所有するIDカードを出納機カードリーダ32に走査させるか、あるいは出納機操作キーボード33に操作者ID情報(操作者情報)を入力することになる。
【0033】
図3に示すように、初期待機状態から、出納機カードリーダ32でIDカードが走査されると(ステップSa1:Yes)、出納機制御部44は、IDカードに記憶された操作者ID情報を取得し、出納機記憶部45に操作許可者として予め設定されて記憶されている操作者の操作者マスタ情報と照合する(ステップSa2)。出納機記憶部45に記憶されている操作者マスタ情報の中に、IDカードから読み取った操作者ID情報が設定されていない場合(ステップSa3:No)、操作者が操作許可者でないと判定してその旨のエラーメッセージを出納機表示部31および出納機音声発生部34により外部に出力させて(ステップSa4)、初期待機状態に戻る。
【0034】
あるいは、出納機操作キーボード33へ操作者ID情報が入力されると(ステップSa5:Yes)、出納機制御部44は、この操作者ID情報を取得し、この操作者ID情報を、出納機記憶部45に操作許可者として予め設定されて記憶されている操作者の操作者マスタ情報と照合する(ステップSa2)。出納機記憶部45に記憶されている操作者マスタ情報の中に、出納機操作キーボード33へ入力された操作者ID情報が設定されていない場合(ステップSa3:No)、操作者が操作許可者でないと判定してその旨のエラーメッセージを出納機表示部31および出納機音声発生部34により外部に出力させて(ステップSa4)、初期待機状態に戻る。
【0035】
一方、IDカードに記憶された操作者ID情報および出納機操作キーボード33に入力された操作者ID情報のいずれか一方が、出納機記憶部45に記憶されている操作者マスタ情報の中に設定されている場合(ステップSa3:Yes)、操作者が操作許可者であると判定して、出納機制御部44は、出納機表示部31に処理メニュー画面を表示させて、取引処理の出納機操作キーボード33への選択入力を待つ(ステップSa6)。つまり、出納機制御部44は、取得した操作者ID情報が操作者マスタ情報に設定されていたときに限り取引操作を許可する。
【0036】
「出納機先処理」
ステップSa6にて、取引処理の出納機操作キーボード33への選択入力が行われ、その際に、出納機先処理が選択されると(ステップSa7:Yes)、次に、出納機制御部44は、出納機表示部31に暗証番号の入力を促す画面を表示させて、暗証番号の出納機操作キーボード33への入力を待つ。この表示にしたがって操作者は、暗証番号を、出納機操作キーボード33へ入力することになる。出納機操作キーボード33への入力で暗証番号を取得すると、出納機制御部44は、この暗証番号を、出納機記憶部45に予め設定されて記憶されている、出納機先処理の許可用の暗証番号と照合する(ステップSa8)。
【0037】
出納機操作キーボード33へ入力された暗証番号と出納機記憶部45に記憶されている許可用の暗証番号とが一致しない場合(ステップSa9:No)、出納機制御部44は、暗証番号が適正でないと判定してその旨のエラーメッセージを出納機表示部31および出納機音声発生部34により外部に出力させて(ステップSa4)、初期待機状態に戻る。
【0038】
他方、入力された暗証番号と許可用の暗証番号とが一致する場合(ステップSa9:Yes)、出納機制御部44は、出納機表示部31に、現金管理装置12から現金を取り出す現金管理装置取出処理および現金管理装置12から現金を補充する現金管理装置補充処理のいずれか一方の取引区分の選択入力と、取引金種および取引金額の入力を促す画面を表示させて、これらの入力待つ。この表示にしたがって操作者は、取引区分の選択入力と、取引金種および取引金種毎の取引金額の入力を出納機操作キーボード33を介して行うことになる。
【0039】
取引区分、取引金種および取引金種毎の取引金額とからなる取引情報を出納機操作キーボード33への入力で取得すると、出納機制御部44は、現金管理装置取出処理が選択されている場合、出納機表示部31に、現金管理装置取出処理である旨と、取引金種および取引金種毎の取引金額を表示させる。一方、現金管理装置補充処理が選択されている場合、出納機表示部31に、現金管理装置補充処理である旨と、取引金種および取引金種毎の取引金額を表示させる(ステップSa10)。そして、出納機制御部44は、現金管理装置12で処理される貨幣の、上記した取引区分、取引金種および取引金額から構成される取引情報の入力を完了するか、取引情報の入力をキャンセルするかの選択を促す表示を出納機表示部31に表示させる。
【0040】
この表示を見て、操作者は、出納機操作キーボード33に取引情報の入力のキャンセル操作か取引情報の入力の完了操作を選択入力することになるが、出納機操作キーボード33に取引情報の入力のキャンセル操作が入力されると(ステップSa11:No)、出納機制御部44は、初期待機状態に戻る。一方、出納機操作キーボード33に取引情報の入力の完了操作が入力されると(ステップSa11:Yes)、今回の取引情報の入力処理で入力された、操作者ID情報と、取引区分、取引金種、取引金種毎の金額、および取引金種毎の取引金額から割り出される取引総金額と、今回入力された取引処理を他と識別するための取引番号と、日時情報とを関連付けて出納機先処理取引情報として出納機記憶部45に記憶するとともに(ステップSa12)、この出納機先処理取引情報を、通信ケーブル13を介して現金管理装置12の現金管理装置制御部66に送信して(ステップSa13)、この出納機先処理取引情報に対応して出力される後述する連携番号の返信を待つ(ステップSa14)。
【0041】
図5に示すように、現金管理装置12の現金管理装置制御部66は、出納機制御部44から出納機先処理取引情報を受信すると(ステップSb1:Yes)、受信した出納機先処理取引情報に対応する連携番号を採番することになる(ステップSb2)。この場合、例えば昇順で設定された一連の番号の中から採番されていないものうちの最も小さい番号をステップSb1で取得した出納機先処理取引情報に対応する連携番号として採番する。そして、現金管理装置制御部66は、受け付けた出納機先処理取引情報と採番した連携番号とを関連付けた処理情報を、未処理である旨とともに現金管理装置記憶部67に記憶する(ステップSb3)。そして、現金管理装置制御部66は、今回処理で採番した連携番号を、通信ケーブル13を介して出納機11の出納機制御部44に送信する(ステップSb4)。
【0042】
図3のステップSa14にて連携番号の返信を待機していた出納機11の出納機制御部44は、現金管理装置12の現金管理装置制御部66から連携番号の返信を受け付けると(ステップSa14:Yes)、この連携番号を、この連携番号を受けるべくステップSa13において出力した出納機先処理取引情報と関連付けて、未処理である旨とともに処理情報として出納機記憶部45に記憶させる(ステップSa15)。そして、連携番号と、これに対応する出納機先処理取引情報のうちの取引総金額とを出力し、出納機プリンタ26によって用紙に印字させてレシートとして発行する(ステップSa16)。なお、図3のステップSa15にて未処理である旨も処理情報として出納機記憶部45に記憶させたが、現金管理装置12の現金管理装置制御部66から連携番号の返信を受け、出力した出納機先処理取引情報と関連付けて出納機記憶部45に記憶させた時点で出納機側の処理を確定させても良い。
【0043】
すると、操作者は、連携番号と取引総金額とが印字されたレシートを取得し、このレシートを持って現金管理装置12に行って現金管理装置12に対して棒金および小束紙幣の取引を行うことになる。なお、必ずしもレシートを取得した操作者が現金管理装置12に対して棒金および小束紙幣の取引を行う必要はなく、異なる操作者がレシートを受け取って現金管理装置12に対して取引を行っても良い。
【0044】
「出納機先処理」および「現金管理装置先処理」のいずれの処理においても、操作者は、現金管理装置12に対する現金取引処理を行うに当たって、初期待機状態にある現金管理装置12に対して、その現金管理装置表示部58の案内表示にしたがって、所有するIDカードを現金管理装置カードリーダ59に走査させるか、あるいは現金管理装置操作キーボード60に操作者ID情報を入力する。
【0045】
図6に示すように、初期待機状態から、現金管理装置カードリーダ59にIDカードが走査されると(ステップSc1:Yes)、現金管理装置制御部66は、IDカードに記憶された操作者ID情報(操作者情報)を取得し、通信ケーブル13および出納機制御部44を介して出納機記憶部45にアクセスして、IDカードから読み取った操作者ID情報を、出納機記憶部45に操作許可者として予め設定されて記憶されている操作者の操作者マスタ情報と照合する(ステップSc2)。出納機記憶部45に記憶されている操作者マスタ情報の中に、IDカードから読み取った操作者ID情報が設定されていない場合(ステップSc3:No)、操作者が操作許可者でないと判定してその旨のエラーメッセージを現金管理装置表示部58および現金管理装置音声発生部61により外部に出力させて(ステップSc4)、初期待機状態に戻る。
【0046】
あるいは、現金管理装置操作キーボード60へ操作者ID情報が入力されて(ステップSc5:Yes)、操作者ID情報を取得すると、現金管理装置制御部66は、通信ケーブル13および出納機制御部44を介して出納機記憶部45にアクセスして、この操作者ID情報を、出納機記憶部45に操作許可者として予め設定されて記憶されている操作者の操作者マスタ情報と照合する(ステップSc2)。出納機記憶部45に記憶されている操作者マスタ情報の中に、現金管理装置操作キーボード60へ入力された操作者ID情報が設定されていない場合(ステップSc3:No)、操作者が操作許可者でないと判定してその旨のエラーメッセージを現金管理装置表示部58および現金管理装置音声発生部61により外部に出力させて(ステップSc4)、初期待機状態に戻る。
【0047】
一方、IDカードに記憶された操作者ID情報および現金管理装置操作キーボード60に入力された操作者ID情報のいずれか一方が、出納機記憶部45に記憶されている操作者マスタ情報の中に設定されている場合(ステップSc3:Yes)、現金管理装置制御部66は、操作者が操作許可者であると判定して、現金管理装置表示部58に連携メニューおよびローカルメニューの選択画面を表示させる。
【0048】
「出納機先処理」
出納機先処理の場合、この連携メニューおよびローカルメニューの選択画面に対して、連携メニューが選択されることになる(ステップSc6:Yes)。
【0049】
連携メニューが選択入力されると、現金管理装置制御部66は、現金管理装置表示部58に暗証番号の入力を促す画面を表示させて、暗証番号の現金管理装置操作キーボード60への入力を待機する。この表示にしたがって操作者は、暗証番号を、現金管理装置操作キーボード60へ入力することになる。現金管理装置操作キーボード60への入力で暗証番号を取得すると、現金管理装置制御部66は、この暗証番号を、現金管理装置記憶部67に予め設定されて記憶されている、現金管理装置取出処理および現金管理装置補充処理の許可用の暗証番号と照合する(ステップSc7)。現金管理装置操作キーボード60へ入力された暗証番号と現金管理装置記憶部67に記憶されている許可用の暗証番号とが一致しない場合(ステップSc8:No)、現金管理装置制御部66は、暗証番号が適正でないと判定してその旨のエラーメッセージを現金管理装置表示部58および現金管理装置音声発生部61により外部に出力させて(ステップSc4)、初期待機状態に戻る。
【0050】
他方、入力された暗証番号と許可用の暗証番号とが一致する場合(ステップSc8:Yes)、現金管理装置制御部66は、現金管理装置表示部58に、連携番号および取引総金額の入力を促す画面を表示させて、連携番号および取引総金額の入力を待つ。この表示にしたがって操作者は、上述したステップSa16にて出納機プリンタ26で出力されたレシートを参照して、連携番号および取引総金額の入力を現金管理装置操作キーボード60を介して行うことになる。連携番号および取引総金額を現金管理装置操作キーボード60への入力で取得すると(ステップSc9)、現金管理装置制御部66は、取得した連携番号と同じ連携番号と、取得した取引総金額と同じ取引総金額とを含む未処理の処理情報が、現金管理装置記憶部67に記憶されているか否かを判定する(ステップSc10)。
【0051】
取得した連携番号と同じ連携番号と、取得した取引総金額と同じ取引総金額とを含む未処理の処理情報が現金管理装置記憶部67に記憶されていない場合(ステップSc10:No)、現金管理装置制御部66は、その旨のエラーメッセージを現金管理装置表示部58および現金管理装置音声発生部61により外部に出力させて(ステップSc4)、初期待機状態に戻る。
【0052】
一方、取得した連携番号と同じ連携番号と、取得した取引総金額と同じ取引総金額とを含む未処理の処理情報がある場合(ステップSc10:Yes)、現金管理装置制御部66は、この未処理の処理情報の出納機先処理取引情報のうちの取引区分、取引金種、取引金額および取引総金額から構成される取引情報を現金管理装置表示部58に表示させるとともに、この出納機先処理取引情報の中の取引金種の収納用の収納庫51のロック機構63を駆動してロックを解除して取引操作を許可する(ステップSc11)。なお、連携番号および取引総金額の両方の一致を見るのではなく、連携番号の一致のみを見ても良いが、セキュリティ上、連携番号および取引総金額の両方の一致を見るのが好ましい。また、連携番号の一致のみを見る場合、連携番号を重複なくランダムに採番することでセキュリティを高めることも可能である。
【0053】
操作者は、現金管理装置表示部58に表示された取引区分、取引金種、取引金額および取引総金額を参照しつつ、現金管理装置12のロックが解除された収納庫51を現金管理装置本体50から引き出して必要な小束紙幣および棒金等の現金を取り出したり、補充したりの取引作業を行う。
【0054】
そして、取引作業が終了すると、操作者は、収納庫51を現金管理装置本体50に押し込むことになり、すべての収納庫51のロック機構63がロック状態となると(ステップSc12:Yes)、現金管理装置制御部66は、現金取引処理の完了操作を促す表示を現金管理装置表示部58に表示させて、現金取引処理の現金管理装置操作キーボード60への完了操作を待つ。操作者は、現金管理装置表示部58の表示にしたがって、現金管理装置操作キーボード60に現金取引処理の完了操作を入力することになり、現金取引処理の完了操作が入力されると(ステップSc13:Yes)、現金管理装置制御部66は、今回処理した処理情報に今回の現金取引処理の入力で入力された操作者ID情報を追加するとともに、この処理情報の未処理である旨を処理済みである旨に更新して、現金管理装置記憶部67に記憶させる(ステップSc14)。これにより、今回処理した処理情報が更新され、処理が確定する。加えて、現金管理装置制御部66は、今回処理した処理情報の連携番号と関連付けて今回の現金取引処理の入力で入力された操作者ID情報を出納機11の出納機制御部44に、後述する通信方法のいずれかで送信する(ステップSc15)。すると、出納機11の出納機制御部44は、受信したこの連携番号を含んで出納機記憶部45に記憶されている処理情報に、今回の現金取引処理の入力で入力された操作者ID情報を追加するとともに、この処理情報の未処理である旨を処理済みである旨に更新する。なお、現金管理装置12の現金管理装置制御部66から連携番号の返信を受け、出力した出納機先処理取引情報と関連付けて出納機記憶部45に記憶させた時点で出納機側の処理を確定させる場合は、現金管理装置12の処理が確定した時点で一連の処理は終了となる。
【0055】
次に、現金管理装置制御部66は、今回処理した処理情報の各種情報を現金管理装置プリンタ56によって用紙に印字したレシートとして発行する(ステップSc16)。なお、このレシートの発行は省略することも可能である。
【0056】
「現金管理装置先処理」
現金管理装置12に対する現金取引処理を行うに当たって、現金管理装置先処理の場合、図6に示すステップSc6の連携メニューおよびローカルメニューの選択画面に対して、ローカルメニューが選択されることになる。
【0057】
ローカルメニューが選択入力されると(ステップSc6:No)、図7に示すように、現金管理装置制御部66は、現金管理装置表示部58に暗証番号の入力を促す画面を表示させて、暗証番号の現金管理装置操作キーボード60への入力を待機する。この表示にしたがって操作者は、暗証番号を、現金管理装置操作キーボード60へ入力することになる。現金管理装置操作キーボード60への入力で暗証番号を取得すると、現金管理装置制御部66は、この暗証番号を、現金管理装置記憶部67に予め設定されて記憶されている、現金管理装置取出処理および現金管理装置補充処理の許可用の暗証番号と照合する(ステップSc17)。現金管理装置操作キーボード60へ入力された暗証番号と現金管理装置記憶部67に記憶されている許可用の暗証番号とが一致しない場合(ステップSc18:No)、現金管理装置制御部66は、暗証番号が適正でないと判定してその旨のエラーメッセージを現金管理装置表示部58および現金管理装置音声発生部61により外部に出力させて(ステップSc4)、初期待機状態に戻る。
【0058】
他方、入力された暗証番号と許可用の暗証番号とが一致する場合(ステップSc18:Yes)、現金管理装置制御部66は、現金管理装置表示部58に、現金管理装置12から現金を取り出す現金管理装置取出処理および現金管理装置12から現金を補充する現金管理装置補充処理のいずれか一方の取引区分の選択入力と、取引金種および取引金額の入力を促す画面を表示させて、これらの入力を待つ。この表示にしたがって操作者は、取引情報である取引区分の選択入力と、取引情報である取引金種および取引情報である取引金種毎の取引金額の入力とを現金管理装置操作キーボード60を介して行うことになる。
【0059】
これらの取引区分、取引金種および取引金種毎の取引金額を含む取引情報を現金管理装置操作キーボード60への入力で取得すると(ステップSc19)、現金管理装置制御部66は、これらの取引情報に対応する連携番号を採番することになる(ステップSc20)。この場合も、例えば昇順で設定された一連の番号の中から採番されていないものうちの最も小さい番号を、取得した取引情報に対応する連携番号として採番する。現金管理装置制御部66は、今回の処理においてステップSc2にて入力された操作者ID情報と、ステップSc19にて入力された取引区分、取引金種、取引金種毎の金額および取引総金額からなる取引情報と、今回の取引処理を他の取引処理と識別するための取引番号と、日時情報とを関連付けて、現金管理装置先処理取引情報とし、この現金管理装置先処理取引情報と、今回の処理においてステップSc20で採番した連携番号とを関連付けた処理情報を、未転送である旨とともに現金管理装置記憶部67に記憶する(ステップSc21)。
【0060】
次に、現金管理装置制御部66は、この処理情報の現金管理装置先処理取引情報の中の取引区分、取引金種、取引金額および取引総金額から構成される取引情報を読み出して、現金管理装置表示部58に表示させるとともに、現金管理装置先処理取引情報の中の取引金種の収納用の収納庫51のロック機構63を駆動してロックを解除して取引操作を許可する(ステップSc22)。
【0061】
操作者は、現金管理装置表示部58に表示された取引区分、取引金種、取引金額および取引総金額を参照しつつ、現金管理装置12のロックが解除された収納庫51を現金管理装置本体50から引き出して必要な小束紙幣および棒金等の現金を取り出したり、補充したりの取引作業を行う。
【0062】
そして、取引作業が終了すると、操作者は、収納庫51を現金管理装置本体50に押し込むことになり、すべての収納庫51のロック機構63がロック状態となると(ステップSc23:Yes)、現金管理装置制御部66は、現金取引処理の完了操作を促す表示を現金管理装置表示部58に表示させて、現金取引処理の現金管理装置操作キーボード60への完了操作を待つ。操作者は、現金管理装置表示部58の表示にしたがって、現金管理装置操作キーボード60に現金取引処理の完了操作入力することになり、現金取引処理の完了操作が入力されると(ステップSc24:Yes)、現金管理装置制御部66は、今回処理した処理情報の各種情報を現金管理装置プリンタ56によって用紙に印字したレシートとして発行する(ステップSc25)。なお、このレシートの発行は省略することも可能である。
【0063】
出納機制御部44は、定期的に現金管理装置制御部66に照会信号(状態監視コマンド)を出力する。この照会信号を受けると、現金管理装置制御部66は、連携番号およびこれに対応する現金管理装置先処理取引情報を含む未転送の処理情報が現金管理装置記憶部67に記憶されているか否かを判定し、未転送の処理情報が記憶されている場合は、未転送の処理情報を出納機制御部44に送信するとともに、現金管理装置記憶部67のこの処理情報の未転送である旨を転送済みである旨に更新する。出納機制御部44は、現金管理装置制御部66から送信されてきた処理情報を受信すると、連携番号および現金管理装置先処理取引情報を含むこの処理情報を、未確定処理情報として出納機記憶部45に記憶させる。
【0064】
あるいは、現金管理装置制御部66は、連携番号およびこれに対応する現金管理装置先処理取引情報を含む処理情報が発生する都度、処理情報を出納機制御部44へ送信し、出納機制御部44は、現金管理装置制御部66から送信されてきた処理情報を受信する都度、連携番号および現金管理装置先処理取引情報を含むこの処理情報を、未確定処理情報として出納機記憶部45に記憶させるようにしても良い。
【0065】
現金管理装置先処理の場合、事後的に、出納機11の出納機記憶部45に記憶された未確定処理情報を確定させる処理を行うことになる。つまり、図3のステップSa7にて出納機先処理が選択されず、図4にて現金管理装置先処理が選択されると(ステップSa17:Yes)、出納機制御部44は、出納機表示部31に暗証番号の入力を促す画面を表示させて、暗証番号の出納機操作キーボード33への入力を待つ。この表示にしたがって操作者は、暗証番号を、出納機操作キーボード33へ入力することになる。出納機操作キーボード33への入力で暗証番号を取得すると、出納機制御部44は、この暗証番号を、出納機記憶部45に予め設定されて記憶されている、現金管理装置先処理の許可用の暗証番号と照合する(ステップSa18)。出納機操作キーボード33へ入力された暗証番号と出納機記憶部45に記憶されている許可用の暗証番号とが一致しない場合(ステップSa19:No)、出納機制御部44は、暗証番号が適正でないと判定してその旨のエラーメッセージを出納機表示部31および出納機音声発生部34により外部に出力させて(ステップSa4)、初期待機状態に戻る。
【0066】
他方、入力された暗証番号と許可用の暗証番号とが一致する場合(ステップSa19:Yes)、出納機制御部44は、出納機表示部31に、連携番号指定方式および処理情報選択方式の選択入力を促す表示を表示させて、連携番号指定方式および処理情報選択方式の選択入力を待つ(ステップSa20)。すると、操作者は、出納機操作キーボード33を介して連携番号指定方式および処理情報選択方式のいずれか一方を選択入力する。
【0067】
連携番号指定方式が入力されると(ステップSa21:Yes)、出納機操作表示部25は、出納機表示部31に、連携番号と取引総金額の入力を促す画面を表示させて、これらの入力を待つ。この表示にしたがって操作者は、上述したステップSc25にて現金管理装置プリンタ56で出力されたレシートを参照して、連携番号および取引総金額の入力を出納機操作キーボード33を介して行うことになる。
【0068】
連携番号および取引総金額を出納機操作キーボード33への入力で取得すると(ステップSa22)、出納機制御部44は、出納機記憶部45に、取得した連携番号と同じ連携番号と、取得した取引総金額と同じ取引総金額とを含む未確定処理情報があるか否かを照合する(ステップSa23)。なお、このときも、連携番号および取引総金額の両方の一致を見るのではなく、連携番号の一致のみを見ても良いが、セキュリティ上、連携番号および取引総金額の両方の一致を見るのが好ましい。また、連携番号の一致のみを見る場合、連携番号を重複なくランダムに採番することでセキュリティを高めることも可能である。
【0069】
取得した連携番号と同じ連携番号と、取得した取引総金額と同じ取引総金額とを含む未確定処理情報が出納機記憶部45に記憶されていない場合(ステップSa23:No)、その旨のエラーメッセージを出納機表示部31および出納機音声発生部34により外部に出力させて(ステップSa4)、初期待機状態に戻る。
【0070】
一方、取得した連携番号と同じ連携番号と、取得した取引総金額と同じ取引総金額とを含む未確定処理情報がある場合は(ステップSa23:Yes)、出納機制御部44は、この未確定処理情報に対して、その現金管理装置先処理取引情報に今回入力された操作者ID情報を追加するとともに、この未確定処理情報を、確定済処理情報として出納機記憶部45に更新記憶する確定処理を行う(ステップSa24)。次に、出納機制御部44は、今回確定した確定済処理情報を出金機プリンタ26によって用紙に印字したレシートとして発行する(ステップSa25)。
【0071】
なお、連携番号指定方式の場合、上記のように、予め、現金管理装置制御部66から送信されてきた連携番号および現金管理装置先処理取引情報を含む処理情報を、出納機制御部44が未確定処理情報として出納機記憶部45に記憶させておくのではなく、出納機制御部44が、連携番号および取引総金額を出納機操作キーボード33への入力で取得した時点で(ステップSa22)、連携番号および取引総金額を現金管理装置制御部66に送信し、これらと一致する連携番号および取引総金額を含む未送信の処理情報を、現金管理装置制御部66が現金管理装置記憶部67から読み出して出納機制御部44に送信し、出納機制御部44が出納機記憶部45に未確定処理情報として記憶するようにしても良い。その後、出納機制御部44は、この未確定処理情報に対して、その現金管理装置先処理取引情報に今回入力された操作者ID情報を追加するとともに、この未確定処理情報を、確定済処理情報として、出納機記憶部45に更新記憶する確定処理を行う。
【0072】
処理情報選択方式が入力されると(ステップSa21:No)、出納機制御部44は、出納機記憶部45に記憶されている未確定処理情報をすべて読み出して、出納機表示部31に表示させ選択入力を促して待つ。
【0073】
そして、いずれか一つの未確定処理情報が出納機操作キーボード33を介して選択入力されると(ステップSa26)、出納機制御部44は、この未確定処理情報に対して、その現金管理装置先処理取引情報に今回入力された操作者ID情報を追加するとともに、この未確定処理情報を、確定済処理情報として、出納機記憶部45に更新記憶する確定処理を行う(ステップSa24)。次に、現金管理装置制御部66は、今回確定した確定済処理情報を出納機プリンタ26によって用紙に印字したレシートとして発行する(ステップSa25)。
【0074】
なお、処理情報選択方式の場合も、上記のように、予め、現金管理装置制御部66から送信されてきた連携番号および現金管理装置先処理取引情報を含む処理情報を、出納機制御部44が未確定処理情報として出納機記憶部45に記憶させておくのではなく、出納機制御部44が、処理情報選択方式が選択された時点で、現金管理装置記憶部67に記憶されているすべての未送信の処理情報を現金管理装置制御部66により送信させ、出納機記憶部45に未確定処理情報として記憶するようにしても良い。その後、出納機制御部44は、いずれか一つの未確定処理情報が出納機操作キーボード33を介して選択入力されると、この未確定処理情報に対して、その現金管理装置先処理取引情報に今回入力された操作者ID情報を追加するとともに、この未確定処理情報を、確定済処理情報として、出納機記憶部45に更新記憶する確定処理を行う。
【0075】
以上に述べた本実施形態によれば、操作者が直接貨幣処理子機である現金管理装置12にアクセスし操作するにあたって(現金管理装置先処理)、現金管理装置12の現金管理装置操作キーボード60に取引情報を入力すると、現金管理装置制御部66が取引情報に対応する連携番号を採番して、この連携番号およびこれに対応する取引情報を含む処理情報を貨幣処理親機である出納機11に送信する。すると、出納機11においては、送信された連携番号およびこれに対応する取引情報を含む処理情報を出納機制御部44が受信することになり、受信した連携番号および取引情報を含む処理情報を、出納機記憶部45が未確定処理情報として記憶する。そして、操作者が、事後的に、直接現金管理装置12にアクセスした取引情報を出納機11に入力して確定処理するにあたって、出納機11の出納機操作キーボード33に連携番号を入力すると、出納機制御部44が、この入力された連携番号と出納機記憶部45に記憶された未確定処理情報の連携番号とを照合して、入力された連携番号を含む未確定処理情報を確定処理することになる。このように、現金管理装置12に入力された取引情報を出納機11に受け渡して確定処理することになるため、この確定処理時に取引情報を入力する必要がなくなり、入力ミスを防止することができる。したがって、出納機11を経由せず直接現金管理装置12にアクセスし操作するときであっても、操作者による出納機11への取引情報の入力ミスを効果的に防止することができる。
【0076】
また、操作者が出納機11に取引情報を入力した後に、現金管理装置12にアクセスし操作する場合には、出納機11から取引情報が送信されると、現金管理装置12の現金管理装置制御部66は、この取引情報に対応する連携番号を採番して出納機11に送信する。すると、出納機11においては、送信された連携番号を出納機記憶部45が記憶することになり、出納機プリンタ26が、記憶された連携番号を用紙に印字して出力する。操作者が、現金管理装置12にアクセスし操作するにあたり、出納機プリンタ26で用紙に印字して出力された連携番号を、現金管理装置操作キーボード60に入力すると、現金管理装置制御部66が、この入力された連携番号に基づいて取引操作を許可することになる。このように、現金管理装置12は、連携番号に基づいて取引操作を許可することになるため、連携番号に基づかない取引操作を規制することができる。
【0077】
また、出納機記憶部45が、現金管理装置制御部66によって送信された連携番号をこの連携番号に対応する取引情報と対応させて記憶することになるため、障害発生時などの照合作業の容易化を図ることができる。
【0078】
また、取引情報が、現金管理装置12で処理される貨幣の取引区分、取引金種、取引金額から構成されるため、取引区分、取引金種および取引金額を含む取引情報の入力ミスを防止できる。
【0079】
また、現金管理装置12において、現金管理装置カードリーダ59または現金管理装置操作キーボード60が操作者ID情報を取得すると、現金管理装置制御部66が、この取得した操作者ID情報と、操作許可者として予め設定された操作者の操作者マスタ情報とを照合することになり、取得した操作者情報が操作者マスタ情報に設定されていたときに限り取引操作を許可することになる。よって、操作許可者以外による操作を規制することができ、現金管理装置12の厳格な運用管理ができる。
【符号の説明】
【0080】
11 出納機(貨幣処理親機)
12 現金管理装置(貨幣処理子機)
26 出納機プリンタ(連携番号出力手段)
31 出納機表示部(連携番号出力手段)
32 出納機カードリーダ
33 出納機操作キーボード(親機側連携番号入力手段)
44 出納機制御部(連携番号受信手段,確定処理制御手段)
45 出納機記憶部(未確定処理情報記憶手段,連携番号記憶手段)
59 現金管理装置カードリーダ(操作者情報取得手段)
60 現金管理装置操作キーボード(取引情報入力手段,子機側連携番号入力手段,操作者情報取得手段)
66 現金管理装置制御部(連携番号採番手段,連携番号送信手段,連携番号照合制御手段,操作者照合手段,操作者照合制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに通信可能に構成された貨幣処理親機および貨幣処理子機を有する貨幣処理システムであって、
前記貨幣処理子機は、
取引情報が入力される取引情報入力手段と、
該取引情報入力手段に入力された取引情報に対応する連携番号を採番する連携番号採番手段と、
該連携番号採番手段によって採番された連携番号および該採番された連携番号に対応する取引情報を前記貨幣処理親機に送信する連携番号送信手段と、を備え、
前記貨幣処理親機は、
前記連携番号送信手段によって送信された連携番号および該連携番号に対応する取引情報を受信する連携番号受信手段と、
該連携番号受信手段によって受信した連携番号および取引情報を未確定処理情報として記憶する未確定処理情報記憶手段と、
連携番号が入力される親機側連携番号入力手段と、
該親機側連携番号入力手段に入力された連携番号と、前記未確定処理情報記憶手段に記憶された連携番号とを照合して、前記親機側連携番号入力手段に入力された連携番号を含む未確定処理情報を確定処理する確定処理制御手段と、を備えることを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
前記連携番号採番手段は、前記貨幣処理親機から取引情報が送信されると該取引情報に対応する連携番号を採番し、
前記連携番号送信手段は、前記貨幣処理親機から送信された取引情報に対応して前記連携番号採番手段によって採番された連携番号を前記貨幣処理親機に送信することになり、
前記貨幣処理親機は、
前記連携番号送信手段によって送信された連携番号を記憶する連携番号記憶手段と、
連携番号を出力する連携番号出力手段と、を備え、
前記貨幣処理子機は、
連携番号が入力される子機側連携番号入力手段と、
該子機側連携番号入力手段に入力された連携番号に基づいて取引操作を許可する連携番号照合制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記連携番号記憶手段は、
前記連携番号送信手段によって送信された連携番号を該連携番号に対応する取引情報と対応させて記憶することを特徴とする請求項2に記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記取引情報は、
前記貨幣処理子機で処理される貨幣の取引区分、取引金種および取引金額から構成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
前記貨幣処理子機は、
操作者情報を取得する操作者情報取得手段と、
該操作者情報取得手段が取得した操作者情報と、操作許可者として予め設定された操作者の操作者マスタ情報とを照合する操作者照合手段と、
前記操作者情報取得手段が取得した操作者情報が前記操作者マスタ情報に設定されていたときに限り取引操作を許可する操作者照合制御手段と、をさらに有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の貨幣処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−22505(P2012−22505A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159633(P2010−159633)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000116079)ローレルバンクマシン株式会社 (82)
【出願人】(500265501)ローレル精機株式会社 (191)
【出願人】(500267170)ローレル機械株式会社 (86)
【Fターム(参考)】