説明

貨幣処理機

【課題】異金種混入状態からの復旧を容易に行うことができる貨幣処理機の提供。
【解決手段】金種別の環流手段70〜75の少なくともいずれか一つでの異金種貨幣の混入を検出すると、当該異金種が混入している環流手段に対しては、貨幣を繰り出す処理のうち、貨幣を繰り出し入金識別手段または入金識別手段とは別の第2識別手段で識別して振分手段で金種別に振り分けて金種別の環流手段70〜75に収納する再勘処理以外の処理を規制する縮退モードに設定する縮退手段と、縮退モード時に、再勘処理が実行されると、該再勘処理にて検出手段で異金種貨幣の混入が検出されなかった場合に縮退モードを解除する縮退解除手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入出金可能な貨幣処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
貨幣処理機には、入金した貨幣を出金可能に収納する循環部において、金種別の収納部に、異金種の貨幣が混入した収納部が発生した場合でも、異金種の硬貨が誤って繰り出されてしまうことを防止しつつ、金銭授受機能を可能な限り確保して、保守作業員による保守がされるまでの間、利用者により使用可能な状態を維持する貨幣処理機がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4117124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した貨幣処理機では、異金種が混入した場合に、保守作業員が収納部を点検して異金種貨幣を取り除く必要があり、異金種混入状態からの復旧に手間がかかるという問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、異金種混入状態からの復旧を容易に行うことができる貨幣処理機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、投入された貨幣を繰り出す投入手段と、該投入手段から繰り出された貨幣を識別する入金識別手段と、該入金識別手段で正常と識別された貨幣を金種別に振り分ける振分手段と、該振分手段で振り分けられた貨幣を繰り出し可能に収納する金種別の環流手段と、該金種別の環流手段の異金種貨幣の混入を検出する検出手段と、前記金種別の環流手段から繰り出された貨幣を払い出す払出手段と、前記金種別の環流手段から繰り出された貨幣を収納する収納手段と、貨幣の取引操作の入力がなされる操作手段と、を有する貨幣処理機であって、前記検出手段が、前記金種別の環流手段の少なくともいずれか一つでの異金種貨幣の混入を検出すると、当該異金種が混入している環流手段に対しては、貨幣を繰り出す処理のうち、貨幣を繰り出し前記入金識別手段または該入金識別手段とは別の第2識別手段で識別して前記振分手段で金種別に振り分けて前記金種別の環流手段に収納する再勘処理以外の処理を規制する縮退モードに設定する縮退手段と、前記縮退モード時に、前記再勘処理が実行されると、該再勘処理にて前記検出手段で異金種貨幣の混入が検出されなかった場合に前記縮退モードを解除する縮退解除手段と、を備えていることを特徴としている。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、さらに、前記入金識別手段で正常と識別された貨幣を振り分ける第2の振分手段と、該第2の振分手段で振り分けられた貨幣を返却可能に一時貯留するとともに一時貯留した貨幣を前記収納手段に収納可能な一時貯留部とを有しており、前記縮退モード時に入金処理が実行されると、前記入金識別手段で正常と識別された貨幣を金種に無関係に前記第2の振分手段で振り分けて、前記一時貯留部に一時貯留させる制御手段を備えていることを特徴としている。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記再勘処理は、前記異金種が混入している環流手段から貨幣を繰り出して前記払出手段で払い出す払出処理と、該払出処理の直後に前記投入手段に投入された貨幣を該投入手段から繰り出し前記入金識別手段で識別して前記振分手段で金種別に振り分け前記金種別の環流手段に収納する収納処理とからなることを特徴としている。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記金種別の環流手段から繰り出された貨幣を繰り出し可能に貯留する貯留手段を有しており、前記再勘処理は、前記異金種が混入している環流手段から貨幣を繰り出して前記貯留手段に貯留する貯留処理と、前記貯留手段に貯留された貨幣を繰り出し前記入金識別手段または前記第2識別手段で識別して前記振分手段で金種別に振り分け前記金種別の環流手段に収納する収納処理とからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、検出手段が、金種別の環流手段の少なくともいずれか一つでの異金種貨幣の混入を検出すると、縮退手段が、当該異金種が混入している環流手段に対しては、貨幣を繰り出す処理のうち、貨幣を繰り出し入金識別手段または第2識別手段で識別して振分手段で金種別に振り分けて金種別の環流手段に収納する再勘処理以外の処理を規制する縮退モードに設定することになるため、当該異金種が混入している環流手段から再勘処理以外の処理で異金種の貨幣が誤って繰り出されてしまうことを防止できる。また、縮退モード時に、再勘処理が実行されると、異金種が混入している環流手段から貨幣を繰り出し入金識別手段または第2識別手段で識別して振分手段で金種別に振り分けて金種別の環流手段に収納することになるが、その際に、検出手段で異金種貨幣の混入が検出されなかった場合に、縮退解除手段が縮退モードを解除して、金種別のすべての環流手段から再勘処理以外の処理での貨幣の繰り出しを許容する。これにより、異金種の混入が発生しても保守作業員が環流手段を点検して異金種貨幣を取り除く必要がなくなり、異金種混入状態からの復旧を容易に行うことができることになる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、制御手段が、縮退モード時に入金処理が実行されると、入金識別手段で正常と識別された貨幣を金種に無関係に第2の振分手段で振り分けて、環流手段へは搬送せずに、一時貯留部に一時貯留させるため、入金確定処理では一時貯留部から収納手段へ貨幣を収納し、入金取消処理では一時貯留部から機外へ貨幣を返却することで、縮退モードでの取引規制をうけることなく入金取消処理を行うことが可能となる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、縮退モード時に、再勘処理が実行されると、異金種が混入している環流手段から貨幣を繰り出し払出手段で払い出す払出処理を行い、この払出処理の直後に、投入手段に投入された貨幣を投入手段から繰り出し入金識別手段で識別して振分手段で金種別に振り分け金種別の環流手段に収納する収納処理を行うことになる。このため、再勘処理のための特別な構成を必要とせずに、再勘処理を行うことができる。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、縮退モード時に、再勘処理が実行されると、異金種が混入している環流手段から貨幣を繰り出して貯留手段に貯留する貯留処理を行い、貯留手段に貯留された貨幣を繰り出し入金識別手段または第2識別手段で識別して振分手段で金種別に振り分け金種別の環流手段に収納する収納処理を行うことになる。このため、人手に因らずに再勘処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の硬貨入出金装置部を概略的に示す側断面図である。
【図2】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の硬貨入出金装置部を概略的に示す上部の平断面図である。
【図3】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の硬貨入出金装置部を概略的に示す下部の平断面図である。
【図4】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の硬貨入出金装置部側の制御系ブロック図である。
【図5】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の紙幣入出金装置部を概略的に示す側断面図である。
【図6】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の紙幣入出金装置部側の制御系ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る一実施形態の貨幣処理機を図面を参照して以下に説明する。
本実施形態の貨幣処理機10は、貨幣のうちの硬貨を処理する図1〜図4に示す硬貨入出金装置部11と、貨幣のうちの紙幣を処理する図5,図6に示す紙幣入出金装置部12とが一体に並設されたものである。なお、以下の説明において、前は貨幣処理機10の操作者側、後は貨幣処理機10の操作者に対し反対側である。貨幣処理機10は、POSレジに接続されて売上金の入金と釣銭の支払いとを行う釣銭機として使用される。
【0016】
まず、硬貨入出金装置部11について図1〜図4を参照して説明する。
【0017】
硬貨入出金装置部11には、前側つまり操作者側(図1の左側)の上部に、複数金種が混在する状態で硬貨が機外から一括投入され、このように投入された硬貨を貯留しつつ一枚ずつ分離して繰り出す硬貨入金口(投入手段)15が設けられており、硬貨入金口15の下側に、機内からリジェクトされたリジェクト硬貨を機外に取出可能に貯留する硬貨リジェクト口16が設けられ、その下側に、機内から出金された硬貨を機外に取出可能に貯留する硬貨出金口(払出手段)17が設けられている。さらに、硬貨入出金装置部11には、硬貨出金口17の下側に、硬貨を一時貯留する一時貯留部18が設けられ、この一時貯留部18の下側に、返却時に一時貯留部18から硬貨を受け取って貯留する返却箱19と、一時貯留部18から硬貨を受け取って収納する硬貨収納庫(収納手段)20とが設けられている。これら返却箱19および硬貨収納庫20は、機体に対して着脱可能となっている。よって、一時貯留部18は、硬貨を返却箱19を介して返却可能となるように一時貯留するとともに、一時貯留した硬貨を硬貨収納庫20に収納可能となっている。
【0018】
硬貨入出金装置部11は、図2に示すように、硬貨入金口15に投入された硬貨を左右方向一側に搬送する第1搬送部25と、この第1搬送部25の下流側に接続され、この第1搬送部25から硬貨を受け取り水平方向において鋭角に折り返しつつ後方に搬送する第2搬送部26とを有する入金硬貨搬送部27を備えている。
【0019】
硬貨入金口15は、硬貨が外から投入されるとともに投入された硬貨を下方に案内する筒状のホッパ部30と、硬貨入金口15の底部を形成するようにホッパ部30の下方に設けられこの位置から側方に延出してこの延出方向に硬貨を搬送する無端のベルトコンベア31と、ベルトコンベア31の上側に配置され、ベルトコンベア31の搬送方向とは逆方向に対向部分を移動させる図示せぬ分離ローラと、ベルトコンベア31および分離ローラを正逆駆動する共通の駆動源である図4に示す入金硬貨繰出駆動部32とを有している。そして、硬貨入金口15は、ホッパ部30に投入された硬貨を、入金硬貨繰出駆動部32の駆動力で回転するベルトコンベア31によりその延在方向に送り途中位置に設けられた図示せぬ分離ローラで一枚ずつに分離してさらに下流側に繰り出す。
【0020】
硬貨入金口15のベルトコンベア31は、硬貨入金口15を構成する一方で、この硬貨入金口15に投入された硬貨を搬送する上記した第1搬送部25をも構成している。ベルトコンベア31で構成される第1搬送部25の終点部には、ベルトコンベア31から硬貨を受け取って機体後方に搬送する第2搬送部26の搬送路33の始点部が接続されている。
【0021】
第2搬送部26は、第1搬送部25のベルトコンベア31から搬送路33上に移送された硬貨を搬送路33に上側から押し付けながら両側の壁部35,36で案内しつつ搬送路33に沿って搬送する複数の移送ベルト37,38と、これら移送ベルト37,38を駆動する図4に示す入金硬貨搬送駆動部39とを有している。
【0022】
移送ベルト37,38は、直線状に延在する搬送路33に対し若干傾斜する直線状に設けられており、硬貨を幅寄せするように片側の壁部35に押し付けながら搬送するようになっている。
【0023】
搬送路33には、その上流側に、硬貨入金口15から繰り出されて第1搬送部25および第2搬送部26で搬送される硬貨の磁気的性質や画像あるいは外径等を検出することでその金種の識別および金種別の計数等を行う硬貨識別部(入金識別手段)44が設けられ、この硬貨識別部44の下流側には硬貨識別部44の識別結果に基づいて偽硬貨等の受け入れ不可なリジェクト硬貨を搬送路33から排除可能な開閉リジェクト部45が設けられている。この開閉リジェクト部45は、搬送路33に形成されたリジェクト孔46およびこれを開閉させるシャッタ47を有している。
【0024】
また、搬送路33には、この開閉リジェクト部45の下流側に、硬貨識別部44で正常と識別された受け入れ可能な受入硬貨を搬送路33から落下可能な開閉選別部(第2の振分手段)50が設けられている。この開閉選別部50は、搬送路33に形成された全金種の硬貨を落下可能な選別孔51およびこれを開閉させるシャッタ52を有しており、出金用として収納しきれないオーバーフロー硬貨を図1に示す一時貯留部18に直接案内する。
【0025】
さらに、搬送路33には、この開閉選別部50の下流側に選別孔(振分手段)53〜58が形成されている。これら選別孔53〜58は硬貨を外径で選別する。つまり、基準面となる左側の壁部35で案内されて移動する硬貨を外径の小さい順に選別するように、硬貨の搬送方向に沿って上流側から下流側に、1円硬貨用の最も小さい選別孔53、選別孔53よりも大きい、50円硬貨用の選別孔54、選別孔54よりも大きい、5円硬貨用の選別孔55、選別孔55よりも大きい、100円硬貨用の選別孔56、選別孔56よりも大きい、10円硬貨用の選別孔57、選別孔57よりも大きい、500円硬貨用の選別孔58が、この順番に形成されている。つまり、選別孔53〜58は、硬貨識別部44で正常と識別された硬貨を金種別に振り分ける。
【0026】
開閉リジェクト部45の上流側の直前位置には通過する硬貨を検出する硬貨検出センサ45Aが設けられており、開閉選別部50の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ50Aが、選別孔53の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ(検出手段)53Aが、選別孔54の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ(検出手段)54Aが、選別孔55の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ(検出手段)55Aが、選別孔56の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ(検出手段)56Aが、選別孔57の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ(検出手段)57Aが、選別孔58の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ(検出手段)58Aが、それぞれ設けられている。硬貨検出センサ45A,50Aは硬貨の検出数の差から開閉リジェクト部45で落下した硬貨の数を計数することになり、硬貨検出センサ50A,53Aは開閉選別部50で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ53A,54Aは選別孔53で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ54A,55Aは選別孔54で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ55A,56Aは選別孔55で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ56A,57Aは選別孔56で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ57A,58Aは選別孔57で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ58Aは選別孔58で落下した硬貨の数を、それぞれ計数することになる。
【0027】
開閉選別部50の直下には図1に示すシュート59が、選別孔53の直下にはシュート60が、選別孔54の直下にはシュート61が、選別孔55の直下にはシュート62が、選別孔56の直下にはシュート63が、選別孔57の直下にはシュート64が、選別孔58の直下にはシュート65が、それぞれ設けられている。シュート59の下側に一時貯留部18が設けられており、シュート60〜65の下側には、図3に示すようにそれぞれが前後方向に沿う状態で左右方向に並べられた複数具体的には6カ所の硬貨出金収納部(環流手段)70〜75が設けられている。硬貨出金収納部70〜75は、金種別のもので、選別孔53〜58で振り分けられた硬貨を繰り出し可能に収納する。
【0028】
具体的に、最も前側の選別孔53から落下された1円硬貨はシュート60を介して左右方向一端の1円硬貨専用の硬貨出金収納部70に貯留される。前から二番目の50円硬貨用の選別孔54で落下された50円硬貨はシュート61を介して硬貨出金収納部70と隣り合う50円硬貨専用の硬貨出金収納部71に貯留され、前から三番目の5円硬貨用の選別孔55で落下された5円硬貨はシュート62を介して硬貨出金収納部71と隣り合う5円硬貨専用の硬貨出金収納部72に貯留され、前から四番目の100円硬貨用の選別孔56で落下された100円硬貨はシュート63を介して硬貨出金収納部72と隣り合う100円硬貨専用の硬貨出金収納部73に貯留され、前から五番目の10円硬貨用の選別孔57で落下された10円硬貨はシュート64を介して硬貨出金収納部73と隣り合う10円硬貨専用の硬貨出金収納部74に貯留され、最も後側の500円硬貨用の選別孔58で落下された500円硬貨はシュート65を介して硬貨出金収納部74と隣り合う左右方向他端の500円硬貨専用の硬貨出金収納部75に貯留される。なお、開閉リジェクト部45で落下された硬貨は図1に示すリジェクトシュート76で前側の硬貨リジェクト口16に案内される。
【0029】
各硬貨出金収納部70〜75は、それぞれの底部を形成するように前後方向に延在する状態で左右方向に並設されて回転時に硬貨出金口17側に硬貨を搬送する無端のベルトコンベア77と、ベルトコンベア77の搬送方向とは逆方向に対向部分を移動させるように回転する分離ローラ78と、ベルトコンベア77および分離ローラ78を正逆駆動する共通の駆動源である図4に示す出金硬貨搬送駆動部79とを有している。
【0030】
ここで、図1に示すように、ベルトコンベア77は、下流側が上側に位置するように傾斜しており、その上部側所定位置に上記した分離ローラ78が配置されている。
【0031】
そして、硬貨出金収納部70〜75は、出金硬貨搬送駆動部79の駆動力によりすべてのベルトコンベア77を一度に回転させることで硬貨を硬貨出金口17側に搬送することになり、このとき、それぞれの分離ローラ78が、硬貨出金口17側に繰り出される硬貨を一枚ずつに分離する。
【0032】
図3に示すように、硬貨出金収納部70は、分離ローラ78よりも下流側でベルトコンベア77に向けて上から図示せぬピンを進退させることで硬貨の繰り出しを規制および許容するソレノイド80と、ソレノイド80の駆動でベルトコンベア77から硬貨出金口17に向けて繰り出される硬貨を計数する出金計数センサ70Aとを有している。同様に、硬貨出金収納部71はソレノイド81および出金計数センサ71Aを、硬貨出金収納部72はソレノイド82および出金計数センサ72Aを、硬貨出金収納部73はソレノイド83および出金計数センサ73Aを、硬貨出金収納部74はソレノイド84および出金計数センサ74Aを、硬貨出金収納部75はソレノイド85および出金計数センサ75Aを、それぞれ有している。
【0033】
硬貨出金収納部70〜75と硬貨出金口17との間には、図1に示すように、硬貨出金収納部70〜75から繰り出された硬貨を案内するシュート部90が設けられており、このシュート部90には、シュート部90の下部を開閉する振分部材91を、ソレノイド等の電気的駆動で揺動させることで、閉じて硬貨を硬貨出金口17に案内する状態と、開いて硬貨を下方に落下させる状態とに切り換える振分部92が設けられている。振分部材91を開状態とすることで、シュート部90の硬貨をシュート94で案内して一時貯留部18に落下させる。よって、硬貨出金口17は、金種別の硬貨出金収納部70〜75から繰り出された硬貨を機外に払い出すことになり、一時貯留部18は、金種別の硬貨出金収納部70〜75から繰り出された硬貨を一時貯留することになる。そして、硬貨収納庫20は、一時貯留部18で一時貯留されることになった、金種別の硬貨出金収納部70〜75から繰り出された硬貨を収納する。
【0034】
一時貯留部18は、上下に開口する筒状の囲壁部95と、囲壁部95の下部開口を閉塞可能な底板96とを有している。囲壁部95は、図4に示す壁スライド部97の駆動で前後方向にスライドし、底板96は底板スライド部98の駆動で前後方向にスライドすることになる。
【0035】
図1に示すように、一時貯留部18の下側には、上記した返却箱19と、上下に開口する筒状のシュート99とが前後に並設されており、シュート99の下側に、硬貨収納庫20が配置されている。
【0036】
一時貯留部18は、囲壁部95および底板96が可動範囲の中央位置にある待機状態では、シュート94で案内されて落下する硬貨を受け取って貯留することになり、この待機状態から、囲壁部95が返却箱19の方向にスライドし、底板96が返却箱19とは反対方向にスライドすることで、硬貨を返却箱19に放出する一方、待機状態から、囲壁部95がシュート99の方向にスライドし、底板96がシュート99とは反対方向にスライドすることで、硬貨をシュート99に放出しシュート99を介して硬貨収納庫20に収納する。
【0037】
硬貨収納庫20は、硬貨入出金装置部11内で入金のみが可能な金種混合の収納庫であり、硬貨入出金装置部11に取り付けられた状態でシュート99を介して上部の開口部100から硬貨を受け入れる。つまり、硬貨収納庫20は、硬貨出金収納部70〜75から繰り出された硬貨を収納する。ここで、開口部100には、これを開閉するシャッタ101が設けられており、このシャッタ101は、硬貨収納庫20が硬貨入出金装置部11に装填されると、この装填動作に連動して開口部100を開き、硬貨収納庫20が硬貨入出金装置部11から取り外されると、この取り外し動作に連動して開口部100を閉じる。また、取り出された硬貨収納庫20は、図示せぬキーのキー操作によって、図示せぬ扉を開くことにより中に収納された硬貨が取り出し可能となる。硬貨入出金装置部11の硬貨収納庫20の下方には、棒金を収納する棒金保管庫102が設けられている。
【0038】
貨幣処理機10は、図4に示すように、POSレジ1の制御部(検出手段,縮退手段,縮退解除手段)105で制御されるもので、POSレジ1には、制御プログラム等が記憶されたROM106と、硬貨識別部44の識別に基づく金種別の硬貨枚数等を記憶するRAM107と、貨幣の取引操作等、操作者による操作入力が行われる操作部(操作手段)108と、操作者への表示を行う案内表示部109とが設けられ、これらが制御部105に接続されている。案内表示部109は、視覚的に表示を行う表示装置や表示灯と聴覚的に表示を行うスピーカ等とで構成されている。
【0039】
また、制御部105には、硬貨入出金装置部11の入金硬貨繰出駆動部32、入金硬貨搬送駆動部39、硬貨識別部44、開閉リジェクト部45、開閉選別部50、硬貨検出センサ45A,50A,53A〜58A、出金硬貨搬送駆動部79、ソレノイド80〜85、出金計数センサ70A〜75A、振分部92、壁スライド部97および底板スライド部98が通信可能に接続されている。
【0040】
次に、硬貨入出金装置部11の各処理について説明する。
【0041】
「硬貨入金処理」
硬貨入金口15に硬貨が投入された状態で操作部108に入金操作が入力されると、制御部105は、硬貨入金処理の硬貨入金案内処理を開始する。つまり、硬貨入金口15の硬貨をベルトコンベア31および図示せぬ分離ローラで一枚ずつ分離して入金硬貨搬送部27に繰り出し、入金硬貨搬送部27で搬送しつつ硬貨識別部44で識別する。そして、硬貨識別部44の識別結果に基づき、識別異常とされたリジェクト硬貨を、開閉リジェクト部45によりリジェクト孔46から落下させ硬貨リジェクト口16に繰り出させることで、機外にリジェクトする。
【0042】
他方、硬貨識別部44の識別結果に基づき、正常な硬貨と識別された受入硬貨を、閉状態の開閉リジェクト部45によってそのまま入金硬貨搬送部27の下流側に移動させる。その結果、受入硬貨を、選別孔53〜58の対応するもので選別して硬貨出金収納部70〜75の対応するものに貯留する。つまり、1円硬貨であれば選別孔53で硬貨出金収納部70に貯留し、50円硬貨であれば選別孔54で硬貨出金収納部71に貯留し、5円硬貨であれば選別孔55で硬貨出金収納部72に貯留し、100円硬貨であれば選別孔56で硬貨出金収納部73に貯留し、10円硬貨であれば選別孔57で硬貨出金収納部74に貯留し、500円硬貨であれば選別孔58で硬貨出金収納部75に貯留する。なお、硬貨出金収納部70〜75の対応するものに貯留し切れないオーバーフロー硬貨は、開閉選別部50を開いて一時貯留部18に貯留させる。そして、制御部105は、硬貨識別部44の識別結果つまり金種毎の計数値をRAM107に一時的に記憶させる。なお、制御部105は、開閉リジェクト部45を開作動する場合、そのタイミングを硬貨検出センサ45Aによる硬貨の検出タイミングに基づいて制御することになり、開閉選別部50を開作動する場合、そのタイミングを硬貨検出センサ50Aによる硬貨の検出タイミングに基づいて制御することになる。
【0043】
そして、制御部105は、硬貨入金案内処理中に、入金硬貨繰出駆動部32および入金硬貨搬送駆動部39が駆動状態にあっても硬貨識別部44によって硬貨が検出されない状態が所定時間以上になると、硬貨入金口15に投入されたすべての硬貨を排出して硬貨出金収納部70〜75、一時貯留部18および硬貨リジェクト口16のいずれかに案内する硬貨入金案内処理が終了したと判定する。
【0044】
硬貨入金案内処理が終了したと判定すると、制御部105は、案内表示部109に上記した硬貨入金案内処理における硬貨識別部44の計数結果を表示させるとともに、硬貨入金案内処理と並行して行われる後述する紙幣入金案内処理の結果を表示させ、その後の処理を促す表示を行う。すなわち、入金取消処理をするか、入金確定処理をするかを問う。
【0045】
上記した入金取消処理をするか、入金確定処理をするかの問いに対して、操作者が入金確定処理の選択操作を操作部108に入力すると、制御部105は、硬貨入出金装置部11においては硬貨収納案内処理を行う。つまり、一時貯留部18に硬貨がある場合、一時貯留部18の壁スライド部97により囲壁部95をシュート99側にスライドさせ、底板スライド部98により底板96をシュート99とは反対方向にスライドさせることで、硬貨をシュート99を介して硬貨収納庫20に収納するとともに、RAM107に一時的に記憶させていた今回の入金処理の硬貨の計数値を確定して記憶し、硬貨入出金装置部11における硬貨入金処理を終了する。
【0046】
他方、操作者が、入金取消処理の選択操作を操作部108に入力すると、制御部105は、硬貨入出金装置部11においては硬貨返却案内処理を行う。つまり、入金された金額と同金額の入金された硬貨とは別の硬貨を硬貨出金収納部70〜75から出金計数センサ70A〜75Aで計数しつつ出金硬貨搬送駆動部79およびソレノイド80〜85によってシュート部90に繰り出させ、振分部92で硬貨出金口17に繰り出させるとともに、一時貯留部18に硬貨がある場合、一時貯留部18の壁スライド部97により囲壁部95を返却箱19側にスライドさせ、底板スライド部98により底板96を返却箱19とは反対方向にスライドさせることで、硬貨を返却箱19に返却する。そして、返却に必要な枚数の硬貨が硬貨出金口17に繰り出され貯留されたことが出金計数センサ82の計数により検出され、一時貯留部18に硬貨がある場合、その硬貨が返却箱19に返却されるのに十分な時間が経過すると、制御部105は、硬貨返却案内処理が終了したと判定し、RAM107に一時的に記憶させていた今回の入金処理の硬貨の計数値を消去して、硬貨入金処理を終了する。これに対し、操作者は、硬貨出金口17および返却箱19に返却された硬貨を取り出すことになる。
【0047】
ここで、上記した硬貨入金案内処理において、制御部105は、入金硬貨搬送部27の搬送速度と、硬貨識別部44の識別結果と、各硬貨検出センサ53A〜58Aによる硬貨の検出結果とから、選別孔53〜58のそれぞれの硬貨の選別が正常に行われているか否かを監視している。つまり、上流側から順に並んでいる各硬貨の金種が硬貨識別部44の識別結果から分かることになり、よって、この順番に対応して決まる、硬貨検出センサ53A〜58Aによる硬貨の検出の正常時のパターンと、実際のパターンとが一致していれば、硬貨の選別が正常に行われていると判定する一方、一致していなければ、硬貨の選別が正常に行われなかったと判定する。制御部105は、硬貨の選別に異常が生じたと判定した場合、硬貨出金収納部70〜75のいずれに異金種の硬貨が混入したかを、正常時のパターンと実際のパターンとの比較から検出する。
【0048】
例えば、硬貨識別部44の識別結果から、10円硬貨、10円硬貨、1円硬貨、10円硬貨の順に搬送されている場合に、1円硬貨の1円硬貨用の選別孔53への落下選別が正常に行われれば、これら4枚の硬貨に対して、硬貨検出センサ53Aが入金硬貨搬送部27の搬送速度から割り出される各タイミングで4枚の硬貨を検出し、次の硬貨検出センサ54Aが入金硬貨搬送部27の搬送速度から割り出される各タイミングで3枚の硬貨を検出し、さらに次の硬貨検出センサ55Aが入金硬貨搬送部27の搬送速度から割り出される各タイミングで3枚の硬貨を検出し、さらに次の硬貨検出センサ56Aが入金硬貨搬送部27の搬送速度から割り出される各タイミングで3枚の硬貨を検出し、さらに次の硬貨検出センサ57Aが入金硬貨搬送部27の搬送速度から割り出される各タイミングで3枚の硬貨を検出し、さらに次の硬貨検出センサ58Aが入金硬貨搬送部27の搬送速度から割り出される各タイミングでは硬貨を検出しないことになる。
【0049】
これに対して、何らかの理由で1円硬貨が1円硬貨用の選別孔53に落下せず、オーバーランして次の50円硬貨用の選別孔54に落下してしまった場合には、これら4枚の硬貨に対して、硬貨検出センサ53Aが入金硬貨搬送部27の搬送速度から割り出される各タイミングで4枚の硬貨を検出し、次の硬貨検出センサ54Aが入金硬貨搬送部27の搬送速度から割り出される各タイミングで4枚の硬貨を検出し、さらに次の硬貨検出センサ55Aが入金硬貨搬送部27の搬送速度から割り出される各タイミングで3枚の硬貨を検出し、さらに次の硬貨検出センサ56Aが入金硬貨搬送部27の搬送速度から割り出される各タイミングで3枚の硬貨を検出し、さらに次の硬貨検出センサ57Aが入金硬貨搬送部27の搬送速度から割り出される各タイミングで3枚の硬貨を検出し、さらに次の硬貨検出センサ58Aが入金硬貨搬送部27の搬送速度から割り出される各タイミングでは硬貨を検出しないことになる。これにより、制御部105は、異金種である1円硬貨が、50円硬貨用の選別孔54に落下し50円硬貨用の硬貨出金収納部71に混入してしまったことを検出する。
【0050】
なお、誤選別の形態によっては、金種別の硬貨出金収納部70〜75のうちの一つのものに、異金種硬貨の混入が特定できない場合もあり、その場合に、制御部105は、異金種硬貨の混入の可能性が高い複数のものについて、異金種硬貨の混入を検出したと判定する。
【0051】
上記のようにして、制御部105は、硬貨入金案内処理において、入金硬貨搬送部27の搬送速度と、硬貨識別部44の識別結果と、各硬貨検出センサ53A〜58Aによる硬貨の検出結果とから、金種別の硬貨出金収納部70〜75のそれぞれについて異金種硬貨の混入を検出することになり、金種別の硬貨出金収納部70〜75のうち、異金種硬貨の混入が検出された硬貨出金収納部をRAM107に記憶して、当該異金種が混入している硬貨出金収納部からは、硬貨を繰り出す処理のうち、後述する硬貨再勘処理以外の処理を規制する硬貨縮退モードに、硬貨入出金装置部11を設定するとともに、案内表示部109に、後述する硬貨再勘処理の実行を促す表示を表示させる。
【0052】
なお、硬貨入出金装置部11が硬貨縮退モードに設定されている状況で、操作部108で入金操作が入力され、硬貨入金処理を行う場合、制御部105は、まず、硬貨入金案内処理において、硬貨入金口15から入金硬貨搬送部27で搬送し硬貨識別部44で識別した硬貨のうち、正常な硬貨と識別された受入硬貨を、金種に無関係に、開閉選別部50で一時貯留部18に向けて振り分ける。つまり、正常な硬貨と識別された受入硬貨をすべて、金種に無関係に、開閉選別部50のシャッタ52を開いて選別孔51から落下させ、一時貯留部18に案内して一時貯留させる。
【0053】
そして、制御部105は、硬貨入金案内処理中に、入金硬貨繰出駆動部32および入金硬貨搬送駆動部39が駆動状態にあっても硬貨識別部44によって硬貨が検出されない状態が所定時間以上になると、硬貨入金口15に投入されたすべての硬貨を排出して、一時貯留部18および硬貨リジェクト口16のいずれかに案内する硬貨入金案内処理が終了したと判定する。
【0054】
その後、操作者が入金確定処理の選択操作を操作部108に入力すると、制御部105は、硬貨入出金装置部11においては硬貨収納案内処理を行う。つまり、一時貯留部18の壁スライド部97により囲壁部95をシュート99側にスライドさせ、底板スライド部98により底板96をシュート99とは反対方向にスライドさせることで、硬貨をシュート99を介して硬貨収納庫20に収納するとともに、RAM107に一時的に記憶させていた今回の入金処理の硬貨の計数値を確定して記憶し、硬貨入出金装置部11における硬貨入金処理を終了する。
【0055】
他方、操作者が、入金取消処理の選択操作を操作部108に入力すると、制御部105は、硬貨入出金装置部11においては硬貨返却案内処理を行う。つまり、一時貯留部18の壁スライド部97により囲壁部95を返却箱19側にスライドさせ、底板スライド部98により底板96を返却箱19とは反対方向にスライドさせることで、硬貨を返却箱19に返却する。そして、一時貯留部18の硬貨が返却箱19に返却されるのに十分な時間が経過すると、制御部105は、硬貨返却案内処理が終了したと判定し、RAM107に一時的に記憶させていた今回の入金処理の硬貨の計数値を消去して、硬貨入金処理を終了する。これに対し、操作者は、硬貨出金口17および返却箱19に返却された硬貨を取り出すことになる。
【0056】
「硬貨出金処理」
制御部105は、上記硬貨入金処理で入金された硬貨の金額と、後述する紙幣入金処理で入金された紙幣の金額と、POSレジ1に入力された売上金の金額とから、まず、売上金に対する釣銭総金額を算出し、この釣銭総金額から紙幣出金分を除いた硬貨出金分の釣銭金額を算出する。
【0057】
次に、制御部105は、硬貨縮退モードに設定されているか否かを判定し、硬貨縮退モードに設定されていなければ、硬貨出金分の釣銭金額を最小枚数で構成する出金パターンを算出する。そして、この出金パターンで硬貨を出金させるように、出金計数センサ70A〜75Aで計数しつつ硬貨出金収納部70〜75の対応するものから硬貨を出金硬貨搬送駆動部79およびソレノイド80〜85によってシュート部90に繰り出させ、閉状態の振分部92で硬貨出金口17に案内する。
【0058】
そして、この出金パターンの釣銭硬貨が硬貨出金口17に繰り出されたことが出金計数センサ70A〜75Aの計数により検出されると、制御部105は、硬貨出金処理が終了したと判定する。
【0059】
他方、制御部105は、硬貨縮退モードに設定されていれば、金種別の硬貨出金収納部70〜75の硬貨のうち、RAM107の記憶情報から、異金種硬貨の混入が検出された少なくとも一つの硬貨出金収納部を割り出し、異金種硬貨の混入が検出された硬貨出金収納部を除く硬貨出金収納部のみから硬貨を出金させるように、硬貨出金分の釣銭金額を、異金種硬貨の混入が検出された硬貨出金収納部の硬貨を含まずに最小枚数で構成する出金パターンを算出する。言い換えれば、異金種硬貨の混入が検出された硬貨出金収納部に対しては、硬貨を繰り出す処理のうちの硬貨出金処理を規制する。そして、この出金パターンで硬貨を出金させるように、出金計数センサ70A〜75Aで計数しつつ硬貨出金収納部70〜75の対応するものから硬貨を出金硬貨搬送駆動部79およびソレノイド80〜85によってシュート部90に繰り出させ、閉状態の振分部92で硬貨出金口17に案内する。なお、出金用紙幣の不足分についても硬貨で補うようになっている。
【0060】
そして、この出金パターンの釣銭硬貨が硬貨出金口17に繰り出されたことが出金計数センサ70A〜75Aの計数により検出されると、制御部105は、硬貨出金処理が終了したと判定する。
【0061】
「硬貨売上金収納処理」
操作部108に、硬貨の金種および枚数からなる収納データとともに硬貨売上金収納処理の指示操作が入力されると、制御部105は、硬貨売上金収納処理を行う。すなわち、硬貨縮退モードに設定されているか否かを判定し、硬貨縮退モードに設定されていなければ、振分部92を開状態とし、収納データに含まれる硬貨を繰り出すように、出金計数センサ70A〜75Aで計数しつつ硬貨出金収納部70〜75の対応するものから硬貨を出金硬貨搬送駆動部79およびソレノイド80〜85によってシュート部90に繰り出させ、開状態の振分部92で一時貯留部18に案内する。
【0062】
そして、この収納データに含まれる収納硬貨が一時貯留部18に繰り出されたことが出金計数センサ70A〜75Aの計数により検出されると、制御部105は、案内表示部109に、入力された収納データを表示させるとともに、硬貨収納取消処理をするか、硬貨収納確定処理をするかを問う。
【0063】
上記した硬貨収納取消処理をするか、硬貨収納確定処理をするかの問いに対して、操作者が硬貨収納確定処理の選択操作を操作部108に入力すると、制御部105は、一時貯留部18の壁スライド部97により囲壁部95をシュート99側にスライドさせ、底板スライド部98により底板96をシュート99とは反対方向にスライドさせることで、硬貨をシュート99を介して硬貨収納庫20に収納するとともに、RAM107に今回の収納データを確定して記憶する硬貨収納確定処理を行い、硬貨売上金収納処理を終了する。
【0064】
他方、操作者が、硬貨収納取消処理の選択操作を操作部108に入力すると、制御部105は、一時貯留部18の壁スライド部97により囲壁部95を返却箱19側にスライドさせ、底板スライド部98により底板96を返却箱19とは反対方向にスライドさせることで、硬貨を返却箱19に収納するとともに、RAM107に今回の収納データを機外に返却した機外返却データとして記憶する硬貨収納取消処理を行い、硬貨売上金収納処理を終了する。なお、機外に返却した硬貨については、前述した「硬貨入金処理」と同様の手順で、硬貨入金口15に硬貨を投入して操作部108で入金操作を入力して、元の硬貨出金収納部70〜75に戻し計数処理を行うことによって、硬貨売上金収納処理を終了するようにしても良い。
【0065】
上記した硬貨縮退モードに設定されているか否かの判定で、硬貨縮退モードに設定されていれば、RAM107に記憶された情報から、金種別の硬貨出金収納部70〜75のうち、異金種硬貨の混入が検出された硬貨出金収納部を割り出し、収納データに異金種硬貨の混入が検出された硬貨出金収納部の硬貨が含まれるか否かを判定する。収納データに異金種硬貨の混入が検出された硬貨出金収納部の硬貨が含まれていなければ、上記と同様にして、振分部92を開状態とし、収納データに含まれる硬貨を、硬貨出金収納部70〜75の対応するものから一時貯留部18に移送するとともに、その後の指示入力にしたがって硬貨収納確定処理または硬貨収納取消処理を行う。
【0066】
他方、収納データに異金種硬貨の混入が検出された硬貨出金収納部の硬貨が含まれていれば、硬貨再勘処理を実行しなければ硬貨売上金収納処理が不可であることを、案内表示部109に表示させて、硬貨売上金収納処理を禁止する。言い換えれば、異金種硬貨の混入が検出された硬貨出金収納部に対しては、硬貨を繰り出す処理のうちの硬貨売上金収納処理を規制する。
【0067】
「硬貨再勘処理」
硬貨縮退モードに設定された状態にあるとき、操作部108に硬貨再勘処理の実行の指示が入力されると、制御部105は、RAM107から、金種別の硬貨出金収納部70〜75のうち、異金種硬貨の混入が検出された硬貨出金収納部を割り出し、この硬貨出金収納部から、すべての硬貨を、上記した硬貨出金処理と同様にして、硬貨出金口17に払い出す硬貨払出処理を行う。次に、制御部105は、案内表示部109に、硬貨出金口17の硬貨を硬貨入金口15に投入して硬貨収納処理の指示入力を促す表示を表示させる。これを見た操作者が、硬貨出金口17の硬貨を硬貨入金口15に投入して硬貨収納処理の指示入力を操作部108に入力すると、制御部105は、硬貨入金口15に投入された硬貨(上記した硬貨払出処理の直後に硬貨入金口15に投入された硬貨)を、上記した硬貨入金案内処理と同様にして、硬貨入金口15から繰り出し硬貨識別部44で識別して、選別孔53〜58で金種別に振り分けて硬貨出金収納部70〜75に収納する硬貨収納処理を行う。
【0068】
この硬貨再勘処理における硬貨収納処理の最中に、制御部105は、上記した硬貨入金案内処理と同様に、入金硬貨搬送部27の搬送速度と、硬貨識別部44の識別結果と、各硬貨検出センサ53A〜58Aによる硬貨の検出結果とから、選別孔53〜58のそれぞれの硬貨の選別が正常に行われているか否かを確認する。そして、硬貨入金口15に投入された硬貨(つまり、異金種硬貨の混入が検出された硬貨出金収納部のすべての硬貨)が硬貨出金収納部70〜75の対応するものに収納される硬貨再勘処理の終了時点で、硬貨識別部44の識別結果から割り出される、硬貨検出センサ53A〜58Aによる硬貨の検出の正常時のパターンと、実際のパターンとが一致していれば、選別孔53〜58のそれぞれの硬貨の選別が正常に行われたと判定して、硬貨縮退モードを解除するとともに、案内表示部109への、硬貨再勘処理の実行を促す表示を停止する。つまり、制御部105は、硬貨縮退モード時に、硬貨再勘処理が実行されると、この硬貨再勘処理にて硬貨検出センサ53A〜58Aで異金種硬貨の混入が検出されなかった場合に、硬貨縮退モードを解除する。これにより、すべての硬貨出金収納部70〜75について、硬貨を繰り出す硬貨出金処理および硬貨売上金収納処理が許容された状態となる。
【0069】
他方、硬貨再勘処理における硬貨収納処理の終了時点で、硬貨検出センサ53A〜58Aによる硬貨の検出の正常時のパターンと、実際のパターンとが一致していなければ、選別孔53〜58の硬貨の選別が正常に行われていないと判定して、上記した硬貨入金案内処理と同様に、金種別の硬貨出金収納部70〜75のうち異金種硬貨が混入されている硬貨出金収納部を検出しRAM107に記憶して、当該異金種が混入している硬貨出金収納部からは、硬貨を繰り出す処理のうち、硬貨再勘処理以外の処理(硬貨出金処理および硬貨売上金収納処理)を規制する硬貨縮退モードに、紙幣入出金装置部11の設定を維持するとともに、案内表示部109への、硬貨再勘処理の実行を促す表示の表示状態を維持する。
【0070】
なお、金種別の硬貨出金収納部70〜75のうち、異金種硬貨の混入が検出された硬貨出金収納部が複数ある場合には、その一つずつについて、上記した硬貨再勘処理を行うのが好ましいが、一括して硬貨再勘処理を行っても良い。
【0071】
次に、紙幣入出金装置部12について主に図5および図6を参照して説明する。
【0072】
紙幣入出金装置部12は、図5に示すように、前側つまり操作者側(図5の左側)の上部に、複数金種が混在する状態で紙幣が一括投入され、投入された紙幣を貯留する紙幣入金口(投入手段)121が設けられており、その下側に、機内から繰り出された紙幣を機外に取出可能に貯留する紙幣出金口(払出手段)122が設けられている。さらに、この紙幣出金口122の下側には、機体に対して引き出し可能であり紙幣を返却可能に一時貯留する一時貯留部124と、この一時貯留部124から紙幣を受け取って収納する、機体に対して着脱可能な紙幣収納庫(収納手段)125とが設けられている。よって、一時貯留部124は、紙幣を返却可能に一時貯留するとともに、一時貯留した紙幣を紙幣収納庫125に収納可能となっている。
【0073】
紙幣入出金装置部12は、紙幣入金口121に投入された紙幣を一枚ずつに分離して繰り出す入金紙幣繰出部(投入手段)130と、この入金紙幣繰出部130で繰り出された紙幣を搬送する入金紙幣搬送路131と、入金紙幣搬送路131の途中に設けられて搬送中の紙幣を識別し、正常と識別された紙幣を金種毎に計数する紙幣識別部(入金識別手段)132とを有している。
【0074】
また、紙幣入出金装置部12は、入金紙幣搬送路131の紙幣識別部132よりも下流側に設けられた振分部(第2の振分手段)134と、入金紙幣搬送路131の振分部134の位置から分岐するリジェクト紙幣搬送路135とを有している。リジェクト紙幣搬送路135は紙幣出金口122に接続する出金紙幣搬送路136に合流しており、振分部134は、紙幣識別部132の識別結果に応じて、識別不能券および搬送異常券とされた異常紙幣を振分部材134Aによってリジェクト紙幣搬送路135側へと振り分ける。そして、異常紙幣は、リジェクト紙幣搬送路135から出金紙幣搬送路136を介して機外へ取出可能となるように紙幣出金口122に繰り出される。一方、振分部134は、真券且つ正常搬送券と識別された受入紙幣(正常と識別された紙幣)を振分部材134Aによってそのまま入金紙幣搬送路131の下流側へと導く。紙幣入出金装置部12は、この入金紙幣搬送路131の振分部134よりも下流側に、紙幣識別部132の識別結果に基づいて選別された紙幣を貯留する入出金可能な複数具体的には三つのスタッカ(環流手段)138〜140を有している。
【0075】
つまり、紙幣入出金装置部12は、入金紙幣搬送路131の振分部134よりも下流側に、振分部材142Aによって紙幣を分岐紙幣搬送路143側に振り分けて最も上流側のスタッカ138へと導く振分部(振分手段)142を有しており、入金紙幣搬送路131の振分部142よりも下流側に、振分部材144Aによって紙幣を分岐紙幣搬送路145側に振り分けて中間のスタッカ139へと導く振分部(振分手段)144を有している。そして、入金紙幣搬送路131の振分部144よりも下流側には最も下流側のスタッカ140が接続されている。
【0076】
スタッカ138は、上部から紙幣が一枚ずつ入金され、出金紙幣繰出部138aが下部から紙幣を一枚ずつ分離して繰出紙幣搬送路150に繰り出す。スタッカ139も、上部から紙幣が一枚ずつ入金され、出金紙幣繰出部139aが下部から紙幣を一枚ずつ分離して繰出紙幣搬送路151に繰り出す。スタッカ140も、上部から紙幣が一枚ずつ入金され、出金紙幣繰出部140aが下部から紙幣を一枚ずつ分離して繰出紙幣搬送路152に繰り出す。
【0077】
繰出紙幣搬送路150〜152は、上記した紙幣出金口122につながる出金紙幣搬送路136に接続されている。
【0078】
紙幣入出金装置部12は、出金紙幣搬送路136におけるリジェクト紙幣搬送路135の合流位置よりも下流側に設けられた振分部(第2の振分手段)154と、出金紙幣搬送路136の振分部154の位置から分岐する分岐紙幣搬送路155とを有しており、この分岐紙幣搬送路155には上記した一時貯留部124が接続されている。振分部154は、振分部材154Aによって一時貯留部124に一時貯留させるべき紙幣を分岐紙幣搬送路155側へ、またそれ以外の紙幣をそのまま出金紙幣搬送路136の下流側へと振り分ける。
【0079】
また、紙幣入出金装置部12は、出金紙幣搬送路136における振分部154よりも下流側に設けられた振分部157と、出金紙幣搬送路136の振分部157の位置から分岐する分岐紙幣搬送路158とを有しており、この分岐紙幣搬送路158には紙幣を貯留する紙幣リジェクト庫159が接続されている。振分部157は、振分部材157Aによって紙幣リジェクト庫159に収納させるべき紙幣を分岐紙幣搬送路158側へ、またそれ以外の紙幣をそのまま出金紙幣搬送路136の下流側つまり紙幣出金口122側へと振り分ける。
【0080】
一時貯留部124は、上下に開口する略筒状の囲壁部170と、囲壁部170の下部開口を閉塞可能な一対の底板171とを有している。一対の底板171は、図6に示す開閉スライド部172によって水平状態を維持したまま、互いに近接・離間可能に設けられており、互いに離間する方向にスライドすることで、囲壁部170の下部開口を開き、互いに近接する方向にスライドすることで、囲壁部170の下部開口を閉じる。一時貯留部124には、昇降するプッシャ173と、このプッシャ173を昇降させる図6に示すプッシャ昇降部174とが設けられている。また、一時貯留部124の囲壁部170および一対の底板171は、紙幣の返却のため、一対の底板171を閉じた状態で機体から引き出し可能となっている。
【0081】
一時貯留部124に一時貯留した紙幣を収納する紙幣収納庫125は、箱状の収納庫本体180と、一時貯留部124から落下する紙幣を収納庫本体180の上部の開口部181を介して受け取る揺動可能な一対のフラッパ182と、一対のフラッパ182の下側で昇降可能に設けられた載置板183とを有している。一対のフラッパ182は、図示略のスプリングの付勢力により水平状態に維持され、この状態から相互近接側が下方に位置するように揺動して開く。また、載置板183は図示略のスプリングによって上昇方向に付勢されており、紙幣を閉状態のフラッパ182との間に挟んで保持する。
【0082】
紙幣の収納時には、開閉スライド部172によって一対の底板171を離間方向にスライドさせることで、一対の底板171上に一時貯留していた紙幣を囲壁部170の下部開口から落下させる。すると、この紙幣は、開口部181を介して紙幣収納庫125の閉状態のフラッパ182上に載置される。次に、プッシャ昇降部174がプッシャ173を下降させることになり、これにより、プッシャ173は、紙幣を介してフラッパ182を図示略のスプリングの付勢力に抗して開いて、紙幣をフラッパ182より下側に移動させて載置板183上またはその上にすでに収納されている紙幣上に載置させることになり、その後、プッシャ173が上昇すると、載置板183が図示略のスプリングの付勢力で紙幣を閉状態のフラッパ182との間で挟んで保持する。なお、紙幣収納庫125には、収納庫本体180の上部の開口部181を閉塞可能なシャッタ184が設けられており、紙幣収納庫125が紙幣入出金装置部12に装填されると、この装填動作に連動してシャッタ184が開口部181を開き、紙幣収納庫125が紙幣入出金装置部12から取り外されると、この取り外し動作に連動してシャッタ184が開口部181を閉じることになる。紙幣収納庫125は、この状態から図示せぬキーのキー操作によって図示せぬ扉を開くことにより中に収納された紙幣が取り出し可能となる。
【0083】
さらに、紙幣入出金装置部12は、紙幣搬送路131,135,136,143,145,150〜152,155,158に設けられて、搬送される紙幣の状態やタイミングを確認するための複数の紙幣検出センサ191〜202を有している。
【0084】
紙幣検出センサ191は、入金紙幣搬送路131における入金紙幣繰出部130と紙幣識別部132との間にあって、入金紙幣繰出部130によって入金紙幣搬送路131上に一枚ずつ繰り出された紙幣を検出するものであり、紙幣検出センサ192は、リジェクト紙幣搬送路135における振分部134の直後位置にあって振分部134でリジェクト紙幣搬送路135に振り分けられた紙幣を検出するものである。
【0085】
また、紙幣検出センサ(検出手段)193はスタッカ138の直前位置の分岐紙幣搬送路143にあって振分部142で振り分けられてスタッカ138に入金される紙幣を検出するものであり、紙幣検出センサ(検出手段)194はスタッカ139の直前位置の分岐紙幣搬送路145にあって振分部144で振り分けられてスタッカ139に入金される紙幣を検出するものであって、紙幣検出センサ(検出手段)195はスタッカ140の直前位置の入金紙幣搬送路131にあってスタッカ140に入金される紙幣を検出するものである。
【0086】
さらに、紙幣検出センサ196はスタッカ138の直後位置の繰出紙幣搬送路150にあってスタッカ138から繰り出された紙幣を検出するものであり、紙幣検出センサ197はスタッカ139の直後位置の繰出紙幣搬送路151にあってスタッカ139から繰り出された紙幣を検出するものであり、紙幣検出センサ198はスタッカ140の直後位置の繰出紙幣搬送路152にあってスタッカ140から繰り出された紙幣を検出するものである。
【0087】
加えて、紙幣検出センサ199は出金紙幣搬送路136の繰出紙幣搬送路150〜152よりも下流側にあってすべてのスタッカ138〜140から繰り出された紙幣を検出するものであり、紙幣検出センサ200は一時貯留部124の直前位置の分岐紙幣搬送路155にあって振分部154で振り分けられて一時貯留部124に導入される紙幣を検出するものであって、紙幣検出センサ201は紙幣リジェクト庫159の直前位置の分岐紙幣搬送路158にあって振分部157で振り分けられて紙幣リジェクト庫159に導入される紙幣を検出するものである。さらに、紙幣検出センサ202は、出金紙幣搬送路136の紙幣出金口122と振分部157との間にあって紙幣出金口122に繰り出される紙幣を検出するものである。
【0088】
紙幣検出センサ191〜202は、光学式センサであって、配置された場所における紙幣の残留検知のみならず、タイミングを計ったり、搬送の状況(重送、斜行等)を見たり、計数を行ったりと、複数の機能を有する。
【0089】
紙幣入出金装置部12は硬貨入出金装置部11と同様、POSレジ1の制御部105で制御されることになり、制御部105には、図6に示すように、POSレジ1のROM106、RAM107、操作部108および案内表示部109と、紙幣入出金装置部12の入金紙幣繰出部130と、入金紙幣搬送路131および分岐紙幣搬送路143,145を駆動する入金紙幣搬送駆動部205と、各スタッカ138〜140の出金紙幣繰出部138a,139a,140aと、出金紙幣搬送路136および繰出紙幣搬送路150〜152を駆動する出金紙幣搬送駆動部206と、リジェクト紙幣搬送路135を駆動するリジェクト紙幣搬送駆動部207と、紙幣識別部132と、振分部134,142,144,154,157と、紙幣検出センサ191〜202とが通信可能に接続されている。
【0090】
ここで、三つのスタッカ138〜140はすべて金種別とされ、例えば、万円券が万円券専用にスタッカ138に、千円券が千円券専用のスタッカ139に、五千円券が五千円券専用のスタッカ140にそれぞれ収納されるようになっている。なお、スタッカ138〜140の金種設定はこれに限らず変更可能である。
【0091】
次に、紙幣入出金装置部12の各処理について説明する。
【0092】
「紙幣入金処理」
紙幣入金口121に紙幣が投入された状態で操作部108に入金操作が入力されると、制御部105は、紙幣入金処理の紙幣入金案内処理を開始する。なお、入金操作が入力された時点で硬貨入金口15に硬貨が投入された状態にあると、上述した硬貨入金処理を並行して行う。紙幣入金案内処理は、紙幣入金口121の紙幣を入金紙幣繰出部130で一枚ずつ分離して入金紙幣搬送路131に繰り出し、紙幣識別部132で識別する。そして、紙幣識別部132の識別結果に基づき、判別不能券または重送等の搬送異常券と識別された異常紙幣は、振分部134にて入金紙幣搬送路131からリジェクト紙幣搬送路135に振り分けられ、さらに振分部154および振分部157にて出金紙幣搬送路136を介して紙幣出金口122に繰り出されることで、機外に取出可能にリジェクトされる。
【0093】
他方、紙幣識別部132の識別結果に基づき、振分部134は、真券かつ搬送正常券と識別された受入紙幣をそのまま入金紙幣搬送路131の下流側に導き、スタッカ138〜140および一時貯留部124のうちの対応するいずれかに上部から貯留する。つまり、万円券であれば、振分部142で振り分けて分岐紙幣搬送路143からスタッカ138に貯留し、千円券であれば、振分部142および振分部144で振り分けて分岐紙幣搬送路145からスタッカ139に貯留し、五千円券であれば、振分部142および振分部144で振り分けて入金紙幣搬送路131を介してスタッカ140に貯留し、スタッカ138〜140に収納しきれないオーバーフロー紙幣と取り扱い数が最少の二千円券と汚損券とについては、振分部134にて入金紙幣搬送路131からリジェクト紙幣搬送路135に振り分け、出金紙幣搬送路136を介してさらに振分部154にて分岐紙幣搬送路155に振り分けて、一時貯留部124に一時貯留する。ここで、制御部105は、紙幣識別部132の識別結果つまり金種毎の紙幣の計数値をRAM107に一時的に記憶させる。
【0094】
そして、制御部105は、紙幣入金案内処理中に、紙幣検出センサ191〜195,200,202のいずれによっても紙幣が検出されない状態が所定時間以上になると、紙幣入金口121からすべての紙幣を排出してスタッカ138〜140、紙幣出金口122および一時貯留部124のいずれかに案内する紙幣入金案内処理が終了したと判定する。
【0095】
紙幣入金案内処理が終了したと判定すると、制御部105は、案内表示部109に上記した紙幣入金案内処理における紙幣識別部132の計数結果を表示させるとともに、紙幣入金案内処理と並行して行われる前述した硬貨入金案内処理の結果を表示させ、その後の処理を促す表示を行う。すなわち、入金取消処理をするか、入金確定処理をするかを問う。
【0096】
上記した入金取消処理をするか、入金確定処理をするかの問いに対して、操作者が入金確定処理の選択操作を操作部108に入力すると、制御部105は、一時貯留部124に紙幣があれば、開閉スライド部172によって一対の底板171を離間方向にスライドさせることで、一対の底板171上に一時貯留していた紙幣を囲壁部170の下部開口から落下させてフラッパ182上に載置させる。次に、制御部105は、プッシャ昇降部174によりプッシャ173を下降させ、プッシャ173により一対のフラッパ182上の紙幣を下方に押圧して、一対のフラッパ182を開き、紙幣を一対のフラッパ182より下側に移動させて載置板183上またはその上にすでに収納されている紙幣上に載置させることになり、その後、プッシャ昇降部174によりプッシャ173を待機位置まで上昇させる。すると、載置板183が図示略のスプリングの付勢力で紙幣を閉状態のフラッパ182との間で挟んで保持する。このようにして、制御部105は、一時貯留部124の紙幣を紙幣収納庫125に収納する紙幣収納案内処理を行うとともに、RAM107に一時的に記憶させていた今回の入金処理の紙幣の計数値を確定して記憶し、紙幣入出金装置部12における紙幣入金処理を終了する。
【0097】
他方、操作者が入金取消処理の選択操作を操作部108に入力すると、制御部105は、紙幣入出金装置部12においては紙幣返却案内処理を行う。つまり、スタッカ138〜140に入金された金額と同金額の入金された紙幣とは別の紙幣をスタッカ138〜140から出金紙幣繰出部138a,139a,140aによって出金紙幣搬送路136に繰り出させ、振分部154および振分部157で振り分けて紙幣出金口122に繰り出させるとともに、一時貯留部124の囲壁部170および一対の底板171を、機体から引き出し可能とする。これに対し、操作者は、紙幣出金口122および一時貯留部124から紙幣を取り出すことになる。なお、返却動作中に紙幣検出センサ196〜199でスタッカ138〜140から繰り出される紙幣の中に重送等の搬送異常券が検出されると、搬送異常券を振分部157で分岐紙幣搬送路158側に振り分けて紙幣リジェクト庫159に収納する。
【0098】
そして、返却に必要な枚数の紙幣が紙幣出金口122に繰り出され貯留されたことが紙幣検出センサ202の計数により検出され、一時貯留部124の囲壁部170および一対の底板171から紙幣が取り出されたことが検出されると、制御部105は、紙幣返却案内処理が終了したと判定する。
【0099】
ここで、上記した紙幣入金案内処理において、制御部105は、入金紙幣搬送路131、分岐紙幣搬送路143および分岐紙幣搬送路145の搬送速度と、紙幣識別部132の識別結果と、各紙幣検出センサ193〜195による紙幣の検出結果とから、選別部142,144のそれぞれの紙幣の選別が正常に行われているか否かを監視している。つまり、上流側から順に並んでいる各紙幣の金種が紙幣識別部132の識別結果から分かることになり、よって、この順番に対応して決まる、紙幣検出センサ193〜195による紙幣の検出の正常時のパターンと、実際のパターンとが一致していれば、紙幣の選別が正常に行われていると判定する一方、一致していなければ、紙幣の選別が正常に行われなかったと判定する。制御部105は、紙幣の選別に異常が生じたと判定した場合、スタッカ138〜140のいずれに異金種の紙幣が混入したかを、正常時のパターンと実際のパターンとの比較から検出する。
【0100】
例えば、紙幣識別部132の識別結果から、5千円紙幣、千円紙幣の順に所定の繰り出し間隔をあけて搬送されている場合に、何らかの理由で、5千円紙幣とその次の千円紙幣との間隔が狭まってしまい、後行の千円紙幣が振分部144で振り分けられずに5千円紙幣とともにオーバーランして5千円紙幣用のスタッカ140に収納されてしまうと、これら2枚の紙幣に対してセンサ195で2枚の紙幣が検出され、1枚検出されるべきセンサ194で紙幣が検出されない状態が発生する。これにより、制御部105は、異金種である千円紙幣が、5千円紙幣用のスタッカ140に混入してしまったことを検出する。
【0101】
なお、誤選別の形態によっては、金種別のスタッカ138〜140のうちの一つのものに、異金種紙幣の混入が特定できない場合もあり、その場合に、制御部105は、異金種紙幣の混入の可能性が高い複数のものについて、異金種紙幣の混入を検出したと判定する。
【0102】
上記のようにして、制御部105は、紙幣入金案内処理において、入金紙幣搬送路131、分岐紙幣搬送路143および分岐紙幣搬送路145の搬送速度と、紙幣識別部132の識別結果と、各紙幣検出センサ193〜195による紙幣の検出結果とから、金種別のスタッカ138〜140のそれぞれについて異金種紙幣の混入を検出することになり、金種別のスタッカ138〜140のうち、異金種紙幣の混入が検出されたスタッカをRAM107に記憶して、当該異金種が混入しているスタッカからは、紙幣を繰り出す処理のうち、後述する紙幣再勘処理以外の処理を規制する紙幣縮退モードに、紙幣入出金装置部12を設定するとともに、案内表示部109に、後述する紙幣再勘処理の実行を促す表示を表示させる。
【0103】
なお、紙幣入出金装置部12が紙幣縮退モードに設定されている状況で、操作部108で入金操作が入力され、紙幣入金処理を行う場合、制御部105は、まず、紙幣入金案内処理において、紙幣入金口121の紙幣を入金紙幣搬送路131で搬送し紙幣識別部132で識別した紙幣のうち、真券かつ搬送正常券と識別された受入紙幣を、金種に無関係にすべて、振分部134でリジェクト紙幣搬送路135に導き、振分部154で分岐紙幣搬送路155に導き、一時貯留部124に一時貯留させる。
【0104】
そして、制御部105は、紙幣入金案内処理中に、紙幣検出センサ191,192,200,202のいずれによっても紙幣が検出されない状態が所定時間以上になると、紙幣入金口121からすべての紙幣を排出して紙幣出金口122および一時貯留部124のいずれかに案内する紙幣入金案内処理が終了したと判定する。
【0105】
その後、操作者が入金確定処理の選択操作を操作部108に入力すると、制御部105は、開閉スライド部172によって一対の底板171をスライドさせることで、一対の底板171上に一時貯留していた紙幣をフラッパ182上に載置させた後、プッシャ昇降部174によりプッシャ173を下降させ、紙幣を一対のフラッパ182より下側に移動させて載置板183上またはその上にすでに収納されている紙幣上に載置させることになり、その後、プッシャ昇降部174によりプッシャ173を待機位置まで上昇させて、紙幣を閉状態のフラッパ182と載置板183とで挟んで保持させる。このようにして、制御部105は、一時貯留部124の紙幣を紙幣収納庫125に収納する紙幣収納案内処理を行うとともに、RAM107に一時的に記憶させていた今回の入金処理の紙幣の計数値を確定して記憶し、紙幣入出金装置部12における紙幣入金処理を終了する。
【0106】
他方、操作者が入金取消処理の選択操作を操作部108に入力すると、制御部105は、紙幣入出金装置部12においては紙幣返却案内処理を行う。つまり、一時貯留部124の囲壁部170および一対の底板171を、機体から引き出し可能とする。これに対し、操作者は、紙幣出金口122および一時貯留部124から紙幣を取り出すことになる。そして、一時貯留部124の囲壁部170および一対の底板171から紙幣が取り出されたことが検出されると、制御部105は、紙幣返却案内処理が終了したと判定する。
【0107】
「紙幣出金処理」
制御部105は、上記紙幣入金処理で入金された紙幣の金額と、上述した硬貨入金処理で入金された硬貨の金額と、POSレジ1に入力された売上金の金額とから、上述したように、売上金に対する釣銭総金額を算出し、この釣銭総金額から硬貨出金分を除いた紙幣出金分の釣銭金額を算出する。
【0108】
次に、制御部105は、紙幣縮退モードに設定されているか否かを判定し、紙幣縮退モードに設定されていなければ、紙幣出金分の釣銭金額を最小枚数で構成する出金パターンを算出する。そして、この出金パターンで紙幣を出金させるように、紙幣検出センサ197,198で計数しつつスタッカ139,140の対応するものから紙幣を、出金紙幣繰出部139a,140aで、繰出紙幣搬送路151,152の対応するものに繰り出させて、振分部154および振分部157で振り分けて、出金紙幣搬送路136によって紙幣出金口122に案内する。なお、出金動作中にセンサ197〜199で多重搬送等の搬送異常紙幣が検出されると、この搬送異常紙幣を振分部157で振り分けて紙幣リジェクト庫159に収納させる。
【0109】
そして、出金に必要な枚数の紙幣が紙幣出金口122に繰り出され貯留されたことがセンサ202の計数により検出されると、制御部105は、紙幣出金処理が終了したと判定する。
【0110】
他方、制御部105は、紙幣縮退モードに設定されていれば、金種別のスタッカ139,140の紙幣のうち、RAM107の記憶情報から、異金種紙幣の混入が検出された少なくとも一つのスタッカを割り出し、異金種紙幣の混入が検出されたスタッカを除くスタッカのみから紙幣を出金させるように、紙幣出金分の釣銭金額を、異金種紙幣の混入が検出されたスタッカの紙幣を含まずに最小枚数で構成する出金パターンを算出する。言い換えれば、異金種紙幣の混入が検出されたスタッカに対しては、紙幣を繰り出す処理のうちの紙幣出金処理を規制する。そして、この出金パターンで紙幣を出金させるように、紙幣検出センサ197,198で計数しつつスタッカ139,140の対応するものから紙幣を、出金紙幣繰出部139a,140aで、繰出紙幣搬送路151,152の対応するものに繰り出させて、振分部154および振分部157で振り分けて、出金紙幣搬送路136によって紙幣出金口122に案内する。なお、5千円紙幣用のスタッカ140に異金種紙幣の混入が検出された場合、その分を千円紙幣用のスタッカ139から出金させることになるが、千円紙幣用のスタッカ139に異金種紙幣の混入が検出された場合、その分を500円硬貨で出金させるようになっている。
【0111】
そして、この出金パターンの釣銭紙幣が紙幣出金口122に繰り出されたことがセンサ202の計数により検出されると、制御部105は、紙幣出金処理が終了したと判定する。
【0112】
「紙幣売上金収納処理」
操作部108に、紙幣の金種および枚数からなる収納データとともに紙幣売上金収納処理の指示操作が入力されると、制御部105は、紙幣売上金収納処理を行う。すなわち、紙幣縮退モードに設定されているか否かを判定し、紙幣縮退モードに設定されていなければ、収納データに含まれる紙幣を繰り出すように、スタッカ138〜140のうちの対応するものにおいて、出金紙幣繰出部138a〜140aの対応するものによって、紙幣を出金紙幣搬送路136に繰り出し、振分部154で振り分けて一時貯留部124に案内する。なお、この動作中にセンサ196〜199で多重搬送等の搬送異常券が検出されると、この搬送異常券を振分部154,157で振り分けて紙幣リジェクト庫159に収納させる。
【0113】
そして、この収納データに含まれる収納紙幣が一時貯留部124に繰り出されたことが紙幣検出センサ196〜200の対応するものの計数により検出されると、制御部105は、案内表示部109に、入力された収納データを表示させるとともに、紙幣収納取消処理をするか、紙幣収納確定処理をするかを問う。
【0114】
上記した紙幣収納取消処理をするか、紙幣収納確定処理をするかの問いに対して、操作者が収納確定処理の選択操作を操作部108に入力すると、制御部105は、一時貯留部124の紙幣を、紙幣収納庫125に収納するとともに、RAM107に今回の収納データを確定して記憶する紙幣収納確定処理を行い、紙幣売上金収納処理を終了する。
【0115】
他方、操作者が、紙幣収納取消処理の選択操作を操作部108に入力すると、制御部105は、一時貯留部124の囲壁部170および一対の底板171を引き出し可能とする。一時貯留部124の囲壁部170および一対の底板171から紙幣が取り出されたことが検出されると、制御部105は、RAM107に今回の収納データを機外に返却した機外返却データとして記憶する紙幣収納取消処理を行い、紙幣売上金収納処理を終了する。
なお、機外に返却した紙幣については、前述した「紙幣入金処理」と同様の手順で、紙幣入金口121に紙幣を投入して操作部108で入金操作を入力して、元のスタッカ138〜140に戻し計数処理を行うことによって、紙幣売上金収納処理を終了するようにしても良い。
【0116】
上記した紙幣縮退モードに設定されているか否かの判定で、紙幣縮退モードに設定されていれば、RAM107に記憶された情報から、金種別のスタッカ138〜140のうち、異金種紙幣の混入が検出されたスタッカを割り出し、収納データに異金種紙幣の混入が検出されたスタッカの紙幣が含まれるか否かを判定する。収納データに異金種紙幣の混入が検出されたスタッカの紙幣が含まれていなければ、上記と同様にして、収納データに含まれる紙幣を繰り出すように、スタッカ138〜140のうちの対応するものにおいて、出金紙幣繰出部138a〜140aの対応するものによって、紙幣を出金紙幣搬送路136に繰り出し、振分部154で振り分けて一時貯留部124に案内するとともに、その後の指示入力にしたがって紙幣収納確定処理または紙幣収納取消処理を行う。
【0117】
他方、収納データに異金種紙幣の混入が検出されたスタッカの紙幣が含まれていれば、紙幣再勘処理を実行しなければ紙幣売上金収納処理が不可であることを、案内表示部109に表示させて、紙幣売上金収納処理を禁止する。言い換えれば、異金種紙幣の混入が検出されたスタッカに対しては、紙幣を繰り出す処理のうちの紙幣売上金収納処理を規制する。
【0118】
「紙幣再勘処理」
紙幣縮退モードに設定された状態にあるとき、操作部108に紙幣再勘処理の実行の指示が入力されると、制御部105は、RAM107から、金種別のスタッカ138〜140のうち、異金種紙幣の混入が検出されたスタッカを割り出し、このスタッカから、すべての紙幣を、上記した紙幣出金処理と同様にして、紙幣出金口122に払い出す紙幣払出処理を行う。次に、制御部105は、案内表示部109に、紙幣出金口122の紙幣を紙幣入金口121に投入して紙幣収納処理の指示入力を促す表示を表示させる。これを見た操作者が、紙幣出金口122の紙幣を紙幣入金口121に投入して紙幣収納処理の指示入力を操作部108に入力すると、制御部105は、紙幣入金口121に投入された紙幣(上記した紙幣払出処理の直後に紙幣入金口121に投入された紙幣)を、上記した紙幣入金案内処理と同様にして、紙幣入金口121から繰り出し紙幣識別部132で識別して、振分部142,144で金種別に振り分けてスタッカ138〜140に収納する紙幣収納処理を行う。
【0119】
この紙幣再勘処理の最中に、制御部105は、上記した紙幣入金案内処理と同様に、入金紙幣搬送路131、分岐紙幣搬送路143および分岐紙幣搬送路145の搬送速度と、紙幣識別部132の識別結果と、各紙幣検出センサ193〜195による紙幣の検出結果とから、振分部142,144のそれぞれの紙幣の選別が正常に行われているか否かを確認する。そして、紙幣入金口121に投入されたすべての紙幣(つまり、異金種紙幣の混入が検出されたスタッカのすべての紙幣)がスタッカ138〜140の対応するものに収納される紙幣再勘処理の終了時点で、紙幣識別部132の識別結果から割り出される、紙幣検出センサ193〜195による紙幣の検出の正常時のパターンと、実際のパターンとが一致していれば、振分部142,144のそれぞれで紙幣の選別が正常に行われたと判定して、紙幣縮退モードを解除する。つまり、制御部105は、紙幣縮退モード時に、紙幣再勘処理が実行されると、この紙幣再勘処理にて紙幣検出センサ193〜195で異金種紙幣の混入が検出されなかった場合に、紙幣縮退モードを解除する。これにより、すべてのスタッカ138〜140について、紙幣を繰り出す紙幣出金処理および紙幣売上金収納処理が許容された状態となる。
【0120】
他方、紙幣再勘処理の終了時点で、紙幣検出センサ193〜195による紙幣の検出の正常時のパターンと、実際のパターンとが一致していなければ、振分部142,144の紙幣の選別が正常に行われていないと判定して、上記した紙幣入金案内処理と同様に、金種別のスタッカ138〜140のうち異金種紙幣が混入されているスタッカを検出しRAM107に記憶して、当該異金種が混入しているスタッカからは、紙幣を繰り出す処理のうち、紙幣再勘処理以外の処理(紙幣出金処理および紙幣売上金収納処理)を規制する紙幣縮退モードを維持するとともに、案内表示部109への、紙幣再勘処理の実行を促す表示の表示状態を維持する。
【0121】
なお、金種別のスタッカ138〜140のうち、異金種紙幣の混入が検出されたスタッカが複数ある場合には、その一つずつについて紙幣再勘処理を行うのが好ましいが、一括して紙幣再勘処理を行っても良い。
【0122】
また、硬貨入出金装置部11の硬貨売上金収納処理および紙幣入出金装置部12の紙幣売上金収納処理は並行処理可能であり、硬貨入出金装置部11の硬貨再勘処理および紙幣入出金装置部12の紙幣再勘処理も並行処理可能である。
【0123】
以上に述べた本実施形態の貨幣処理機10によれば、制御部105は、硬貨入出金装置部11において、入金硬貨搬送部27の搬送速度と、硬貨識別部44の識別結果と、各硬貨検出センサ53A〜58Aによる硬貨の検出結果とから、金種別の硬貨出金収納部70〜75の少なくともいずれか一つで異金種硬貨の混入を検出すると、当該異金種硬貨の混入が検出された硬貨出金収納部に対しては、硬貨を繰り出す処理のうち、硬貨再勘処理以外の処理を規制する硬貨縮退モードに設定することになるため、当該異金種が混入している硬貨出金収納部から再勘処理以外の処理で異金種の硬貨が誤って繰り出されてしまうことを防止できる。
【0124】
また、硬貨縮退モード時に、再勘処理が実行されると、異金種が混入している硬貨出金収納部から硬貨を繰り出し硬貨識別部44で識別し選別孔53〜58で金種別に振り分けて金種別の硬貨出金収納部70〜75に収納することになるが、その際に、入金硬貨搬送部27の搬送速度と、硬貨識別部44の識別結果と、各硬貨検出センサ53A〜58Aによる硬貨の検出結果とから、金種別の硬貨出金収納部70〜75への異金種硬貨の混入が検出されなかった場合に、制御部105が硬貨縮退モードを解除して、金種別のすべての硬貨出金収納部70〜75から再勘処理以外の処理での貨幣の繰り出しを許容する。これにより、異金種の混入が発生しても保守作業員が硬貨出金収納部70〜75を点検して異金種硬貨を取り除く必要がなくなり、異金種混入状態からの復旧を容易に行うことができることになる。
【0125】
同様に、制御部105は、紙幣入出金装置部12において、入金紙幣搬送路131、分岐紙幣搬送路143および分岐紙幣搬送路145の搬送速度と、紙幣識別部132の識別結果と、各紙幣検出センサ193〜195による紙幣の検出結果とから、金種別のスタッカ138〜140の少なくともいずれか一つで異金種紙幣の混入を検出すると、当該異金種紙幣の混入が検出されたスタッカに対しては、紙幣を繰り出す処理のうち、紙幣再勘処理以外の処理を規制する紙幣縮退モードに設定することになるため、当該異金種が混入しているスタッカから再勘処理以外の処理で異金種の紙幣が誤って繰り出されてしまうことを防止できる。
【0126】
また、紙幣縮退モード時に、再勘処理が実行されると、異金種が混入しているスタッカから紙幣を繰り出し紙幣識別部132で識別し振分部142,144で金種別に振り分けて金種別のスタッカ138〜140に収納することになるが、その際に、入金紙幣搬送路131、分岐紙幣搬送路143および分岐紙幣搬送路145の搬送速度と、紙幣識別部132の識別結果と、各紙幣検出センサ193〜195による紙幣の検出結果とから、金種別のスタッカ138〜140への異金種紙幣の混入が検出されなかった場合に、制御部105が紙幣縮退モードを解除して、金種別のすべてのスタッカ138〜140から再勘処理以外の処理での紙幣の繰り出しを許容する。これにより、異金種紙幣が混入が発生しても保守作業員がスタッカ138〜140を点検して異金種紙幣を取り除く必要がなくなり、異金種混入状態からの復旧を容易に行うことができることになる。
【0127】
また、制御部105が、硬貨縮退モード時に硬貨入金処理が実行されると、硬貨識別部44で正常と識別された硬貨を金種に無関係に開閉選別部50で振り分けて、硬貨出金収納部70〜75へは搬送せずに、一時貯留部18に一時貯留させるため、入金確定処理では一時貯留部18から硬貨収納庫20へ硬貨を収納し、入金取消処理では一時貯留部18から返却箱19を介して機外へ硬貨を返却することで、硬貨縮退モードでの取引規制をうけることなく入金取消処理を行うことが可能となる。つまり、硬貨縮退モードでは、硬貨出金収納部70〜75のうち異金種混入のものからの繰り出しが規制されることから、入金取消処理において、異金種混入のない場合と同様に硬貨出金収納部70〜75から返却を行うとすれば、異金種混入の硬貨出金収納部の金種の硬貨については、硬貨出金収納部70〜75のうち異金種混入のないものからの代用で返却を行うことになり、入金とは異なる金種で返却されてしまう場合があるが、入金された硬貨を一時貯留部18からそのまま返却するため、このようなことが生じない。
【0128】
同様に、制御部105が、紙幣縮退モード時に紙幣入金処理が実行されると、紙幣識別部132で正常と識別された紙幣を金種に無関係に振分部134,154で振り分けて、スタッカ138〜140へは搬送せずに、一時貯留部124に一時貯留させるため、入金確定処理では一時貯留部124から紙幣収納庫125へ紙幣を収納し、入金取消処理では一時貯留部124を引き出し可能として機外へ紙幣を返却することで、紙幣縮退モードでの取引規制をうけることなく入金取消処理を行うことが可能となる。つまり、紙幣縮退モードでは、スタッカ138〜140のうち異金種混入のものからの繰り出しが規制されることから、入金取消処理において、異金種混入のない場合と同様にスタッカ138〜140から返却を行うとすれば、異金種混入のスタッカの金種の紙幣については、スタッカ138〜140のうち異金種混入のないものからの代用で返却を行うことになり、入金とは異なる金種で返却されてしまう場合があるが、入金された紙幣を一時貯留部124からそのまま返却するため、このようなことが生じない。
【0129】
また、硬貨入出金装置部11において、硬貨縮退モード時に、硬貨再勘処理が実行されると、硬貨出金収納部70〜75のうち異金種硬貨が混入している硬貨出金収納部から硬貨を繰り出し硬貨出金口17で払い出す硬貨払出処理を行い、この硬貨払出処理の直後に、硬貨入金口15に投入された硬貨を硬貨入金口15から繰り出し硬貨識別部44で識別して選別孔53〜58で金種別に振り分け金種別の硬貨出金収納部70〜75に収納する硬貨収納処理を行うことになる。このため、硬貨再勘処理のための特別な構成を必要とせずに、硬貨再勘処理を行うことができる。
【0130】
同様に、紙幣入出金装置部12において、紙幣縮退モード時に、紙幣再勘処理が実行されると、スタッカ138〜140のうち異金種紙幣が混入しているスタッカから紙幣を繰り出し紙幣出金口122で払い出す紙幣払出処理を行い、この紙幣払出処理の直後に、紙幣入金口121に投入された紙幣を紙幣入金口121から繰り出し紙幣識別部132で識別して振分部142,144で金種別に振り分け金種別のスタッカ138〜140に収納する紙幣収納処理を行うことになる。このため、紙幣再勘処理のための特別な構成を必要とせずに、紙幣再勘処理を行うことができる。
【0131】
なお、硬貨入出金装置部11において、金種別の硬貨出金収納部70〜75から繰り出された硬貨を、硬貨を繰り出し可能に貯留する硬貨入金口(貯留手段)15に直接搬送する搬送手段を設け、硬貨再勘処理として、金種別の硬貨出金収納部70〜75のうちの異金種硬貨が混入している硬貨出金収納部からすべての硬貨を繰り出して搬送手段で硬貨入金口15に貯留する硬貨貯留処理と、この硬貨貯留処理完了後に、硬貨入金口15に貯留された硬貨を繰り出し硬貨識別部44で識別して選別孔53〜58で金種別に振り分け金種別の硬貨出金収納部70〜75に収納する硬貨収納処理とを行うようにしても良い。この場合は、硬貨入金口15にシャッタを設けて硬貨再勘処理中はシャッタを閉状態に維持するのが良い。
【0132】
このように構成すれば、硬貨縮退モード時に、硬貨再勘処理が実行されると、金種別の硬貨出金収納部70〜75のうち異金種硬貨が混入している硬貨出金収納部から硬貨を繰り出して硬貨入金口15に貯留する硬貨貯留処理を行い、硬貨入金口15に貯留された硬貨を繰り出し硬貨識別部44で識別して選別孔53〜58で金種別に振り分け金種別の硬貨出金収納部70〜75に収納する硬貨収納処理を行うことになるため、人手に因らずに硬貨再勘処理を行うことができる。
【0133】
また、紙幣入出金装置部12において、金種別のスタッカ138〜140から繰り出された紙幣を繰り出し可能に貯留する再勘専用一時貯留部(貯留手段)と、金種別のスタッカ138〜140から繰り出された紙幣を再勘専用一時貯留部に搬送する第1搬送手段と、再勘専用一時貯留部から繰り出された紙幣を入金紙幣搬送路131の紙幣識別部132より上流側に合流させる第2搬送手段とを設け、紙幣再勘処理として、金種別のスタッカ138〜140のうちの異金種が混入しているスタッカから紙幣をすべて繰り出して第1搬送手段で再勘用一時貯留部に貯留する紙幣貯留処理と、この紙幣貯留処理完了後に、再勘専用一時貯留部に貯留された紙幣を繰り出し第2搬送手段で入金紙幣搬送路131に搬送し、紙幣識別部132で識別して振分部142,144で金種別に振り分け金種別のスタッカ138〜140に収納する紙幣収納処理とを行うようにしても良い。この場合、第2搬送手段に別の再勘専用の紙幣識別部(第2識別手段)を設け、第2搬送手段を入金紙幣搬送路131の紙幣識別部132より下流側に合流させても良い。
【0134】
このように構成すれば、紙幣縮退モード時に、紙幣再勘処理が実行されると、金種別のスタッカ138〜140のうち異金種紙幣が混入しているスタッカから紙幣を繰り出して再勘用一時貯留部に貯留する紙幣貯留処理を行い、再勘用一時貯留部に貯留された紙幣を繰り出し紙幣識別部132または再勘専用の紙幣識別部で識別して振分部142,144で金種別に振り分け金種別のスタッカ138〜140に収納する紙幣収納処理を行うことになるため、人手に因らずに紙幣再勘処理を行うことができる。
【0135】
なお、以上説明した本実施形態では、検出手段,縮退手段,縮退解除手段はPOSレジ1の制御部105に設けられている構成として説明したが、これに限らず、これら全てがもしくはその一部が貨幣処理機10の図示せぬ制御部に設けられている構成としても良い。
【符号の説明】
【0136】
10 貨幣処理機
15 硬貨入金口(投入手段)
17 硬貨出金口(払出手段)
18 一時貯留部
20 硬貨収納庫(収納手段)
44 硬貨識別部(入金識別手段)
50 開閉選別部(第2の振分手段)
53〜58 選別孔(振分手段)
53A〜57A 硬貨検出センサ(検出手段)
70〜75 硬貨出金収納部(環流手段)
105 制御部(検出手段,縮退手段,縮退解除手段)
108 操作部(操作手段)
121 紙幣入金口(投入手段)
122 紙幣出金口(払出手段)
124 一時貯留部
125 紙幣収納庫(収納手段)
132 紙幣識別部(入金識別手段)
134 振分部(第2の振分手段)
138〜140 スタッカ(環流手段)
142,144 振分部(振分手段)
154 振分部(第2の振分手段)
193〜195 紙幣検出センサ(検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された貨幣を繰り出す投入手段と、
該投入手段から繰り出された貨幣を識別する入金識別手段と、
該入金識別手段で正常と識別された貨幣を金種別に振り分ける振分手段と、
該振分手段で振り分けられた貨幣を繰り出し可能に収納する金種別の環流手段と、
該金種別の環流手段の異金種貨幣の混入を検出する検出手段と、
前記金種別の環流手段から繰り出された貨幣を払い出す払出手段と、
前記金種別の環流手段から繰り出された貨幣を収納する収納手段と、
貨幣の取引操作の入力がなされる操作手段と、
を有する貨幣処理機であって、
前記検出手段が、前記金種別の環流手段の少なくともいずれか一つでの異金種貨幣の混入を検出すると、当該異金種が混入している環流手段に対しては、貨幣を繰り出す処理のうち、貨幣を繰り出し前記入金識別手段または該入金識別手段とは別の第2識別手段で識別して前記振分手段で金種別に振り分けて前記金種別の環流手段に収納する再勘処理以外の処理を規制する縮退モードに設定する縮退手段と、
前記縮退モード時に、前記再勘処理が実行されると、該再勘処理にて前記検出手段で異金種貨幣の混入が検出されなかった場合に前記縮退モードを解除する縮退解除手段と、
を備えていることを特徴とする貨幣処理機。
【請求項2】
さらに、前記入金識別手段で正常と識別された貨幣を振り分ける第2の振分手段と、
該第2の振分手段で振り分けられた貨幣を返却可能に一時貯留するとともに一時貯留した貨幣を前記収納手段に収納可能な一時貯留部とを有しており、
前記縮退モード時に入金処理が実行されると、前記入金識別手段で正常と識別された貨幣を金種に無関係に前記第2の振分手段で振り分けて、前記一時貯留部に一時貯留させる制御手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の貨幣処理機。
【請求項3】
前記再勘処理は、前記異金種が混入している環流手段から貨幣を繰り出して前記払出手段で払い出す払出処理と、該払出処理の直後に前記投入手段に投入された貨幣を該投入手段から繰り出し前記入金識別手段で識別して前記振分手段で金種別に振り分け前記金種別の環流手段に収納する収納処理とからなることを特徴とする請求項1または2記載の貨幣処理機。
【請求項4】
前記金種別の環流手段から繰り出された貨幣を繰り出し可能に貯留する貯留手段を有しており、
前記再勘処理は、前記異金種が混入している環流手段から貨幣を繰り出して前記貯留手段に貯留する貯留処理と、前記貯留手段に貯留された貨幣を繰り出し前記入金識別手段または前記第2識別手段で識別して前記振分手段で金種別に振り分け前記金種別の環流手段に収納する収納処理とからなることを特徴とする請求項1または2記載の貨幣処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−123728(P2011−123728A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281656(P2009−281656)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(500265501)ローレル精機株式会社 (191)
【出願人】(000116079)ローレルバンクマシン株式会社 (82)
【Fターム(参考)】