貨物コンテナ用液体輸送装置及びその組立方法
【課題】貨物コンテナの液体輸送装置の内部の液体の揺れを確実に抑制すると共に組立及び分解を容易とする。
【解決手段】輸送車両等に積載された貨物コンテナの床上に設置され貨物コンテナの左右壁により支持されるソフトタンク(5)と、ソフトタンクの前後面をそれぞれ支持するべくソフトタンク(5)の前方及び後方て床上に立設された壁状の一対のバルクヘッド(4a、4b)と、一対のバルクヘッド(4a、4b)間に架掛されかつ液体充填状態のソフトタンクを上方から押圧するように一対のバルクヘッド(4a、4b)に両端部をそれぞれ取付けられた消波棒(7)とを備えた液体輸送装置(1)が、消波棒(7)が左右方向に位置する軸の周りに回動可能であるように消波棒(7)の一端部を一方のバルクヘッド(4b)に着脱可能に取付ける第1の取付手段と、消波棒(7)の他端部を、他方のバルクヘッド(4a)に対し着脱可能に固定する第2の取付手段とを備える。
【解決手段】輸送車両等に積載された貨物コンテナの床上に設置され貨物コンテナの左右壁により支持されるソフトタンク(5)と、ソフトタンクの前後面をそれぞれ支持するべくソフトタンク(5)の前方及び後方て床上に立設された壁状の一対のバルクヘッド(4a、4b)と、一対のバルクヘッド(4a、4b)間に架掛されかつ液体充填状態のソフトタンクを上方から押圧するように一対のバルクヘッド(4a、4b)に両端部をそれぞれ取付けられた消波棒(7)とを備えた液体輸送装置(1)が、消波棒(7)が左右方向に位置する軸の周りに回動可能であるように消波棒(7)の一端部を一方のバルクヘッド(4b)に着脱可能に取付ける第1の取付手段と、消波棒(7)の他端部を、他方のバルクヘッド(4a)に対し着脱可能に固定する第2の取付手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物輸送用の自動車、鉄道車両、船舶、航空機等の貨物コンテナの床上に設置される牛乳等の液体の輸送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貨物コンテナの床上に設置される液体輸送装置として特許文献1に記載のものがある。特許文献1に開示された貨物自動車による牛乳などの液体の輸送装置は、次の通りである。
・貨物自動車の荷台床上に配設された液体バッグ部が、平板状のパレットと、このパレット上に設置される液体用バッグ本体とから構成されている。
・液体バッグ本体(「ソフトタンク」と称される場合もある)は、帆布素材の筒状のバッグと上部蓋を備える。
・パレットは、台の四隅に開設した受け穴に着脱自在に立設された支持棒とその上端のリングとを備える。
・このリングの上面から、バッグを内部に入れバッグの上方縁と、上部蓋の外周縁とでリングを巻き込み、その外面からベルトで周囲を緊締する。さらに、支持棒の外側からバッグを囲むように架け渡した別のベルトの両端を、貨物自動車の荷台内壁に取付けたベルト引っ掛け金具に係止緊締する。
【0003】
特許文献1の液体輸送装置では、下記のような問題点を有していた。
1.作業が複雑なので多数の人力が必要で、一人では大変に厳しく時間がかかり過ぎて嫌われる。組立分解作業が大変である。
2.洗浄も大変である。
3.部品点数が多く、多数ボルト締めする必要があるが、忘れることがあり、事故を引き起こしやすい。
4.袋本体がむき出し状態なので、何時か破れるのではないかと云う不安があった。
5.単一輸送方式(1つのコンテナで1種の貨物のみを輸送する方式)のため、輸送コストが高く効率が悪い。
6.冷却ができないので、温度の管理が必要なものの輸送には限界がある。
7.特に牛乳の場合、輸送中に内部の牛乳が揺れるので波が発生し、バター化の可能性が高いという問題がある。
8.内部の液体が揺れることは、特に自動車の場合、急ブレーキを掛けたときやカーブを走行するときなどに、慣性により車両に大きな荷重が掛かり、運転を非常に困難なものとし安全運転上問題がある。
【0004】
上記特許文献1の液体輸送装置の問題点を解決した液体輸送装置として特許文献2に記載のものがある。特許文献2に開示された貨物自動車による牛乳などの液体の輸送装置は、次の通りである。
・貨物自動車の荷台床上に配設された液体バッグ部が、支持枠部と液体バッグとカバー部と波消しバー(消波棒)部とから構成されている。
・支持枠部は、荷台床上において進行方向と直交状態で前後に起立する一対の壁と、進行方向と平行状態で左右に起立する一対の壁とから構成されている。
・液体用バッグは、支持枠部内に装填される。カバー部は、液体用バッグの上面を覆うシートと、進行方向と平行に添着された複数本の縦テープと、縦テープの両端に取り付けた牽引用フックと、進行方向と直交して添着された複数本の横テープとから構成されている。
・消波棒部は、支持枠部の前後壁上縁から切り欠かれたコ字状切り欠きに挿入して掛架することができる寸法の複数本の棒から構成されている。
・上記の構成において、液体用バッグを支持枠部内に装填した後、牛乳などを注入して内部を満たして液体用バッグを立方形状とする。消波棒を押し下げて液体用バッグの上面を押圧した状態で消波棒の両端を前後壁に固定する。さらに縦テープの両端を荷台床上に固定する。
【特許文献1】実用新案登録第2573403号公報
【特許文献2】特許第3374213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2では、貨物コンテナの横幅全体に亘る大きさの立方形状のフレキシブルな液体バッグの左右を貨物コンテナの左右壁で支持し、前後を支持枠部で支持し、上方から消波棒と縦横のテープで支持することにより、特許文献1に比べて内部の液体の揺れを抑制することを実現し、幾つかの問題点を解決している。
【0006】
しかしながら、特許文献2の液体輸送装置には、未だ以下のような問題点がある。
1.支持枠部の各部品は、一人の人間が扱うには大きく重量があるため、組立作業及び分解作業の負担が大きい。
2.1本の消波棒の一端を支持枠部に取り付けるために、1つの抑え金物と複数のピンを用いるため、作業が煩雑である。
3.消波棒の取付け及び固定を内部の液体の注入後に行う、つまり、液体用バッグを充填した後に消波棒を配置し、抑え金物で消波棒の両端を上から抑えてピンで固定するが、満充填された液体バッグを上方から押圧するには相当大きな力を要するため人力では容易ではなく、十分に押圧することができない。
【0007】
以上の点から、本発明は、特許文献2に開示された液体輸送装置の利点を維持しつつ、上記の問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は下記のようになるものである。括弧内の符号は、後述する図面中の符号であり、参考のために付している。
(1)第1発明に係る貨物コンテナ用液体輸送装置は、基本的態様として、輸送車両等に搭載された貨物コンテナの床(2b)上に設置され液体充填状態にて角部に丸みをもつ略直方体形状でありかつ該貨物コンテナの左右壁(11a)により支持されるソフトタンク(5)と、液体充填状態の前記ソフトタンクの後面及び前面をそれぞれ支持するべく該ソフトタンクの後方及び前方にて前記床上に立設された壁状の一対のバルクヘッド(4b、4a)と、前記一対のバルクヘッド間に架掛されかつ液体充填状態の該ソフトタンクを上方から押圧するように該一対のバルクヘッドに両端部をそれぞれ取付けられた消波棒(7)とを備える。
そして、この液体輸送装置において、消波棒(7)を一対のバルクヘッドに取り付けるための第1及び第2の取付手段を特徴とする。第1の取付手段は、消波棒が一方のバルクヘッド(4b)に位置する左右方向の軸の周りに回動可能であるように消波棒の一端部を一方のバルクヘッド(4b)に着脱可能に取付けるものである。第2の取付手段は、消波棒の他端部を、他方のバルクヘッド(4a)に対し着脱可能に固定するものである。
【0009】
(2)さらに上記態様において、一対のバルクヘッドの各々が、長方形の内パネル(4a1)と、内パネルの外面に添着された長方形の外枠(4a21)と、外枠の内側にて上下方向及び左右方向にそれぞれ延在する複数の中枠(4a22、4a23、4a24)とを備える。
一方のバルクヘッドにおける第1の取付手段は、消波棒(7)を挿通可能な左右方向の幅にて内パネルに上下方向に穿設された第1の消波棒挿入スリット(4a12)と、上下方向の複数の中枠の一部であって第1の消波棒挿入スリットの両側縁に沿ってそれぞれ配置された一対の第1の消波棒取付板(4a23)と、一対の第1の消波棒取付板において互いに同じ高さ位置となるように上下方向に所定の間隔でそれぞれ穿設された複数の第1の消波棒ピン孔(ph2)と、消波棒の一端部に穿設された消波棒端部孔(7d)と、消波棒の一端部を、第1の消波棒挿入スリット及び一対の第1の消波棒取付板の間に挿通させた状態で第1の消波棒ピン孔及び消波棒端部孔に着脱可能に挿入した第1の消波棒ピン(p2)とを具備する。
他方のバルクヘッドにおける第2の取付手段は、消波棒(7)を挿通可能な左右方向の幅にて内パネルに上下方向に穿設された第2の消波棒挿入スリット(4b12)と、上下方向の複数の中枠の一部であって第2の消波棒挿入スリットの両側縁に沿ってそれぞれ配置された一対の第2の消波棒取付板(4b23)と、一対の第2の消波棒取付板において互いに同じ高さ位置となるように上下方向に所定の間隔でそれぞれ穿設された複数の第2の消波棒ピン孔(ph2)と、消波棒の他端部に形成された消波棒ボルト部(7b)と、消波棒の他端部を、第2の消波棒挿入スリット及び一対の第2の消波棒取付板の間に挿通させた状態で消波棒の他端部の直上及び直下に位置する第2の消波棒ピン孔に対して着脱可能に挿入した一対の第2の消波棒ピン(p6,p7)と、一対の第2の消波棒取付板の間を突き抜けた消波棒ボルト部に螺着され消波棒を他方のバルクヘッドに対し緊締する消波棒ナット(7c)とを具備する。
【0010】
(3)さらに上記態様において、一対のバルクヘッドの各々を支持する複数の棒状のステー(4c,4d)を備え、ステーはバルクヘッドの外面と貨物コンテナの床との間に傾斜して架け渡されている。ステーの両端部をそれぞれ取り付けるための第3及び第4の取付手段を具備する。
第3の取付手段は、ステーの一端部を、左右方向の軸(p5)の周りに回動可能であるように貨物コンテナの床に取り付けるものである。
第4の取付手段は、ステーの他端部を、バルクヘッドの外面に対し着脱可能に取り付けるものである。
【0011】
(4)さらに上記態様において、第3の取付手段は、第1のステーピン孔(ph3)を穿設した取付金具(2f)と、ステーの一端部に穿設された第1のステー端部孔(4d3)と、第1のステーピン孔及び第1のステー端部孔に挿入した第1のステーピン(p5)とを具備する。
また、第4の取付手段は、バルクヘッドが備える上下方向の複数の中枠の一部であるステー取付板(4b24)と、ステー取付板に穿設された第2のステーピン孔(ph1)と、ステーの他端部に穿設された第2のステー端部孔(4d2)と、第2のステーピン孔及び第2のステー端部孔に着脱可能に挿入した第2のステーピン(p1)とを具備する。
【0012】
(5)さらに上記態様において、床面上に前後方向に配設された複数のレールをさらに備え、各レールの上端面は平坦でありかつ隣り合うレール間には所定の溝が形成されている。
【0013】
(6)さらに上記態様において、ステーの他端部をバルクヘッドの外面から取り外した場合に、該ステーを倒してレール間の溝内に収容可能である。
【0014】
(7)さらに上記態様において、消波棒をバルクヘッドから取り外した場合に、消波棒をレール間の溝内に収容可能である。
【0015】
(8)第2発明に係る貨物コンテナ用液体輸送装置は、上記第1発明のいずれかの態様において、貨物コンテナ内に設けたクレーンをさらに備える。このクレーンは、貨物コンテナ内で前後方向に移動可能であり、バルクヘッドを吊り下げるための手段を備えている。
【0016】
(9)本発明による貨物コンテナ用液体輸送装置の組立方法は、上記第1発明又は第2発明のいずれかの態様もつ液体輸送装置を組み立てる方法であり、次の各工程を有する。
・床上に一対のバルクヘッドを立設する工程
・消波棒の一端部及び他端部を、前記床から所定の高さ位置において前記一対のバルクヘッドの各々に対しそれぞれ取付け固定する工程
・液体充填前のソフトタンクを、立設された一対のバルクヘッドの間に展張する工程
・ソフトタンクに液体を充填することによりソフトタンクを膨張させ、ソフトタンクの上面が消波棒により押圧された状態とする工程
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上述の通り構成されているので、以下の効果を奏する。
1.液体輸送装置のソフトタンクを上方から押圧する消波棒の一端部を一対のバルクヘッドの一方に取り付ける第1の取付手段により、消波棒がこの一方のバルクヘッドに対して着脱可能かつ回動可能に取り付けられる。さらに第2の取付手段により、消波棒の他端部を他方のバルクヘッドに着脱可能に取り付ける。これにより、ソフトタンクに液体を充填する前に、容易な作業で消波棒を一対のバルクヘッドに取り付けることができる上、液体充填後のソフトタンクを、消波棒により十分な力で押圧した状態を容易かつ確実に実現することができる。
【0018】
従来は、ソフトタンクに液体を充填した後に消波棒をソフトタンクの上面に配置し、抑え金物で消波棒の両端部を上方から押圧して抑え金物とバルクヘッドに複数のピンを挿通して固定していた。液体充填状態のソフトタンクにおいては、内方から外方へ大きな圧力が掛かっているため、従来の消波棒の取付手段では、上方から相当な荷重を付加しなければ十分にソフトタンクを押圧状態とすることができない。そこで、発明者は、ソフトタンクの充填前に消波棒を所定の高さで一対のバルクヘッド間に架掛し固定しておき、その後ソフトタンクを液体充填状態とすれば、自然にソフトタンクの上面が消波棒により十分に押圧された状態を形成できることに着眼し、本発明の構成を考案したものである。
特許文献2に記載の従来の消波棒の取付手段では、消波棒がほぼ水平状態でなければ端部を固定することが困難である。従来は、立体状となったソフトタンク上に消波棒を載せることでほぼ水平状態とすることができたが、ソフトタンクの充填前には消波棒をほぼ水平に支持する手段がない。特に、一人で作業する場合、消波棒の両端部を同時に一対のバルクヘッドに固定することは難しい。
【0019】
本発明では、消波棒の一端部が一方のバルクヘッドに対して回動可能に取り付けられるから、消波棒が水平状態でなく傾斜した状態であっても、その一端部を一方のバルクヘッドに取り付けることができる。この作業は、一人でも行うことができる。そして、先ず一端部を取り付けた後に、他端部を他方のバルクヘッドに取り付ければ、消波棒を所定の高さに設置することができる。
【0020】
消波棒を設置した後に、ソフトタンクを展張して液体を充填して直方体形状とするので、液体充填状態のソフトタンクを消波棒が十分に押圧した状態を実現できる。これにより、ソフトタンクが、左右については貨物コンテナの左右壁により、前後については一対のバルクヘッドにより、下方は貨物コンテナの床により、そして上方は消波棒により押圧されるので、ソフトタンクは角部に丸みのある略直方体形状となる。つまり左右方向及び前後方向の各断面において上側の角部に緩やかな下向きU字状の湾曲面が形成される。この結果、ソフトタンク内の液体の流動波立が抑制されるので、カーブや急ブレーキの際の液体の揺動がなく非常に楽に運転することができ、運転を安全性を確保できる。また、特に牛乳の場合は、バター化を防ぐことができる。
【0021】
消波棒の両端部は、それぞれ一対のバルクヘッドに対して着脱可能であるので、これらは必要に応じて組立及び分解することができる。また、1本の消波棒が、3本のピン及び1つのナットで取り付けられるので、作業が容易である。
【0022】
2.一対のバルクヘッドを支持するステーが、バルクヘッドの外面(ソフトタンクを支持する面の反対側の面)と床の間に傾斜して架け渡されており、ステーの一端部を床へ取り付ける取付手段は、ステーを床に対して回動可能に取り付ける。また、ステーの他端部をバルクヘッドの外面へ取り付ける取付手段は、着脱可能である。これにより、ステーの他端部をバルクヘッドの外面から取り外すだけで、ステーを床面に倒してコンパクトに収納することができ、分解が容易である。また、取付時もステーを起こしてバルクヘッドの外面に取り付けるだけであるので、組立も容易である。
【0023】
これに対し、特許文献2では、三角形のメンバーをバルクヘッドに取り付けて支持していたため、組立及び分解の際にこの三角形のメンバーを持ち運ぶ必要があった。
【0024】
3.床面上に前後方向に配設された複数のレールをさらに備え、レールの上端面は平坦でありかつ隣り合うレール間には所定の溝が形成されている。これにより、一対のバルクヘッドをレールに沿って前後方向に容易に移動させることができる。バルクヘッドを貨物コンテナの片隅に収納するとき、組み立てる際の作業が容易となる。また、レール間の溝内にステー及び消波棒を収納することができる。
【0025】
4.貨物コンテナの天井近傍に前後方向に移動可能なクレーンを備えることにより、バルクヘッドの組立及び収納の作業を容易に行うことができる。また、貨物コンテナ内に収容するその他の重量物の移動にも利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
1.第1発明の実施の形態
図1は、第1発明に係る貨物コンテナ用液体輸送装置の外観斜視図である。図1では、貨物コンテナについては、その床2bのみを示している。貨物コンテナ用液体輸送装置1は、貨物輸送用の自動車、鉄道車両、船舶、航空機等に搭載される貨物コンテナの床2b上に設置される。本発明を適用される貨物コンテナ(他の名称で呼称される場合を含む)は、少なくとも床と左右壁とを備えるが、通常は、前後壁及び天井壁を備える立方体又は直方体の筺状である。通常、側壁又は前後壁の一部に貨物の出し入れ口を具備する。なお、貨物コンテナとしては、輸送車両等に搭載したり積下ろしたりするタイプも、輸送車両等の荷台に取り外し不能に設置されたタイプも含む。また、牽引自動車の荷台として構成されたタイプも含む。図1に前後方向及び左右方向を矢印で示す。前後方向は、輸送車両等の進行方向である。
【0027】
図1の液体輸送装置1は、主要な構成要素として、貨物コンテナの床2b上に載置されたソフトタンク5と、ソフトタンクの後面及び前面を支持するために床2b上に立設された壁状の一対のバルクヘッド4a、4bと、ソフトタンク5を上方から押圧する4本の消波棒7と、各バルクヘッド4a、4bをそれぞれ支持する4本ずつのステー4c、4dを備えている。壁状のバルクヘッド4a、4bは、その面が前後方向(すなわち進行方向)に対して直交するように配置されている。図示のソフトタンク5は、液体充填状態である。
【0028】
なお、消波棒7及びステー4c、4dの数は、少なくとも2本必要であるが、ソフトタンク5及びバルクヘッド4a、4b等の寸法に応じて適宜設定する。図1におけるソフトタンク5は、内部に液体を充填した状態であり、角部に丸みをもつ略直方体形状となっている。ソフトタンク5は可撓性があり、非充填状態のときは折り畳むことができる。その他に、ソフトタンク5の周囲を覆うカバー6d、6e等を備えている。ソフトタンク5とカバー6d、6e等のカバー部とにより、液体タンク部3を構成している。また、一対のバルクヘッド4a、4bとそのステー4c、4dとにより、支持枠部4を構成している。
【0029】
図2は、図1に示した液体輸送装置の展開斜視図である。図3は、ソフトタンク5の外観斜視図である。図4は、貨物コンテナの床2bの斜視図である。
【0030】
図2を参照すると、ソフトタンク5の前後に立設された一対のバルクヘッド4bと4aの間には、消波棒7(図2では1本のみ示す)が架掛けされている。消波棒7は、棒状の消波棒本体7aを具備し、その一端部に消波棒ピンp2を挿通するための消波棒端部孔(後に詳述)が穿設され、他端部には螺子溝が切られた消波棒ボルト部7bが形成されている。消波棒7の一端部は、消波棒ピンp2を用いて後方バルクヘッド4aに取り付けられる。消波棒7の他端部は、消波棒ナット7cを消波棒ボルト部7bにねじ込むことにより前方バルクヘッド4bに対し緊締される。これらの取付手段の詳細は、後述する。
【0031】
後方バルクヘッド4aの下面は、下部ピンp3及びロックピンp4により床2bに固定される。これらの詳細は後述する。前方バルクヘッド4bの下面についても同様である。ソフトタンク5の給排口5fは、適宜の給排ホースを介して床2bの後方左端に設けられた給排ホース挿入パイプ2iと連結される。給排ホース挿入パイプ2iを使用しないときは、開口を蓋2jで閉止しておく。
【0032】
棒状のステー4c(図2では1本のみ示す)は、後方バルクヘッド4aの外面と床2bの間に傾斜して架け渡されており、ステーピンp1により後方バルクヘッド4aに取り付けられている。前方バルクヘッド4bにも同じ取付手段でステー4dが取り付けられる。
【0033】
ソフトタンク5の周囲には、複数のシートからなるカバー部6が配置される。カバー部6は、床シート6a、前方シート6b、後方シート6c、左方シート6d、及び右方シート6eから構成されている。
【0034】
床シート6aは、図3に示すソフトタンク5の底面5aの面積とほぼ同一の面積を有するよう構成されたシートで構成されている。
前方シート6bは、ソフトタンク5における後面と上面5dにおける前方部分を覆うことのできる面積を有するよう構成されたシート材6b1と、その外面に取り付けられた適数本の吊り紐6b2とから構成されている。
後方シート6cは、ソフトタンク5における後面と上面5dにおける後方部分を覆うことのできる面積を有するよう構成されたシート材6c1と、その外面に取り付けられた適数本の吊り紐6c2とから構成されている。吊り紐6b2及び6c2は、消波棒7に結び付けられる。
左方シート6dは、ソフトタンク5における左面と上面5dにおける左半部の部分を覆うことのできる面積を有するよう構成されたシート材6d1と、その外面に左右方向をもって取り付けられた適数本の左横ベルト6d2から構成されている。そして、この左横ベルト6d2の左方端は、図4に示す左横ベルト取付リング2gに環などを介して係脱自在に構成され、右方端は、右横ベルト6e2の左方端と尾錠金により係脱自在に構成されている。
右方シート6eは、ソフトタンク5における右面と上面5dにおける右半部の部分を覆うことのできる面積を有するよう構成されたシート材6e1と、その外面に左右方向をもって取り付けられた適数本の右横ベルト6e2から構成されている。そして、この右横バンド6e2の右方端は、図4に示す右横ベルト取付リング2hに環などを介して係脱自在に構成され、左方端は、左横ベルト6d2の右方端と尾錠金により係脱自在に構成されている。
【0035】
図3を参照すると、ソフトタンク5は、前方バルクヘッド4bと後方バルクヘッド4aとの間に装着される寸法に構成された平面略方形又は平面略長方形の底面5aと、底面5aの外縁に連設された筒状の側壁5bと、側壁の上縁に防水ファスナー5cを介して連設された上面5dと、上面5dの一部に設けられた筒状の点検口部5eと、側壁5bの下端に設けた給排口5fとから構成されている。点検口部5eは、点検口ファスナー5e1により開閉可能な蓋を具備する。ソフトタンク5は、防水性と可撓性を有する素材から形成され、折り畳み自在である。給排口5fは、後方バルクヘッド4aの一部に開設された開口部4a11(図5参照)から外部に引き出されている。ソフトタンク5の給排口5fには、バルブ5f1(図8参照)を介して公知の給排ホース(図示略)を連結して牛乳等の液体の出し入れをすることになる。給排ホースは、図2に示した給排ホース挿入パイプ部2iに連結され、これを通して車外との液体の出し入れ行う。
【0036】
ソフトタンク5には、次のような利点がある。
・防水ファスナー5cを設けたことで完全に液体を漏らすことなく密封することができ、金具類を一切使用せず防水ファスナー5cを締めるだけで液体のタンクを構成することができる。
・形状が立方体状であるから容積の無駄が少ない。しかも、1トン〜11トン程度まで任意の容量に作製できるので、輸送ロットにあった大きさにすることが可能である。
・バルブ1個で給排液が可能で、簡単に組立分解収納ができる。
・防水ファスナーを開くことで洗浄等の作業を簡単かつ短時間に行うことができる。
・折り畳み方式なので組立分解作業が速く楽である。しかも、折り畳んだ後は車両の工具箱などに収納できる。
【0037】
図4を参照すると、貨物コンテナの床2bの上面には、前後方向(すなわち進行方向)に複数のレール2b1が敷設されている。1本のレール2b1の左右方向断面形状は、床2bから立設した壁部と、壁部の上縁から水平に延びる平坦部とから構成される。隣り合う一対のレール2b1は、断面略C型上の鋼材の凹部を上方に向けて設置することで形成してもよい(図7参照)。
【0038】
隣り合うレール2b1間には、溝2l、2m等が形成される。さらに、溝の一部を、レール2b1の平坦上面と同じ高さとなるように平板で覆った複数の箇所を形成し、この平板に対し、前方バルクヘッド4b用の複数の下部ピン孔2cと、後方バルクヘッド4a用の複数の下部ピン孔2dをそれぞれ穿設する。これら複数の下部ピン孔2c、2dは、それぞれ左右方向に所定の間隔で配置されている。
【0039】
また、溝の一部の底面(すなわち床2bの面)においては、前方の下部ピン孔2cよりも前方位置に複数の前方ステー取付金具2eが設けられ、後方の下部ピン孔2dよりも後方位置に複数の後方ステー取付金具2fが設けられる。これら複数のステー取付金具2e、2fは、それぞれ左右方向に所定の間隔で配置されている。
さらに、左端の溝の一部には、左横ベルト取付リング2gが、右端の溝の一部には、右横ベルト取付リング2hが、それぞれ所定間隔をもって設けられている。後方左端には、給排ホース挿入パイプ2iが設けられている。
【0040】
図5は、後方バルクヘッド4aの後面から見た斜視図であり、図6は、前面から見た斜視図である。なお、前方バルクヘッド4bも後方バルクヘッド4aと同じ構造であるので、1つのバルクヘッドを前方バルクヘッドとしても後方バルクヘッドとしても用いることができる。以下の図5及び図6の説明においては、後方バルクヘッド4aを、単にバルクヘッド4aと略称する。
【0041】
図5を参照すると、バルクヘッド4aは、長方形の平板状の内パネル4a1と、この内パネル4a1の外面(ソフトタンク5の反対側に位置する面)に添着された長方形の外枠4a21と、外枠4a21の内側に上下方向及び左右方向に延在する複数の中枠4a22、4a23、4a24等とから構成されている。外枠4a21の外郭は、内パネル4a1のそれと一致しており、内パネル4a1の補強枠としての役割を果たしている。太い左右方向の中枠4a22も同様に補強枠である。
【0042】
上下方向の複数の中枠の一部として、一対の消波棒取付板4a23が配置されており、所定の間隔で左右方向に複数対(消波棒の数と同数の対)設けられている。1枚の消波棒取付板4a23は、平板状でその面は内パネル4a1に対して垂直である。一対の消波棒取付板4a23間の隙間の幅は、消波棒を挿通可能な寸法である。すなわち、一対の消波棒取付板4a23の隙間は、消波棒の直径にほぼ相当する寸法である。これら一対の消波棒取付板4a23の各々には、互いに同じ高さ位置となるように上下方向に所定の間隔で複数の消波棒ピン孔ph2が穿設されている。さらに、図6を参照すると、図5に示した一対の消波棒取付板4a23の隙間に合致する寸法の左右方向の幅をもつ消波棒挿入スリット4a12が、内パネル4a1に穿設されている。すなわち、上下方向に延びた4つのスリット4b12が、左右方向に所定の間隔で設けられている。一対の消波棒取付板4a23は、1つの消波棒挿入スリット4a21の両側縁にそれぞれ沿うように配置されている。
【0043】
図5に示した上下方向の複数の消波棒ピン孔ph2は、消波棒を回動可能にバルクヘッド4aに取り付けるために使用される(詳細は後述)。ソフトタンクに充填される液体の量によってソフトタンクの上面の高さが異なるので、消波棒の設置高さも液体の充填量によって変える必要がある。使用する消波棒ピン孔ph2の位置によって、消波棒の設置高さを変えることができる。各消波棒ピン孔ph2の横に、充填する液体量を標記しておくと便利である。例えば、一番下の消波棒ピン孔の横に「1トン」と、下から4番目の消波棒ピン孔の横に「1.5トン」と標記しておく。
【0044】
さらに、上下方向の複数の中枠の一部として、前述のステーを取り付けるステー取付板4a24が、所定の間隔で左右方向に複数(ステーの数と同数)設けられている。1枚のステー取付板4a24は、平板状でその面は内パネル4a1に対して垂直である。1枚のステー取付板4a24には、1つのステーピン孔ph1が穿設されている。このステーピン孔ph1は、ステーをバルクヘッド4aに取り付けるために使用される(詳細は後述)。
【0045】
図5に示すように、中枠の一部としてピン収容板4a24を設けてもよい。ピン収容板は、面を水平に配置された平板状であり、幾つかの孔が穿設されている。これらの孔は、液体輸送装置の組立に用いる各種のピンを、分解時に収容しておいたり、組立作業時に一時的に置いたりするためのものである。これによりピンの紛失を防止できる。
【0046】
また、内パネル4a1の外面に設けた小ボルト4a26は、液体輸送装置の組立に用いるナットを、収容したり、一時的に係止したりするためのものである。これによりナットの紛失を防止できる。
【0047】
図5において、バルクヘッド4aの下面中央には、下向きコ字状の配管用切欠き4a11が形成されている。また、外枠4a21の下面には、図4に示したコンテナ床2bの下部ピン孔2c、2dに挿入される下部ピンp3が突設されている。この下部ピンp3自体は着脱可能である。下部ピンp3は、図4の下部ピン孔2c、2dに挿入された後、さらにロックピンp4(図2及び図7参照)により固定される。
【0048】
図7は、図1のB矢視図であり、後方バルクヘッド4aに消波棒7及びステー4cを取り付けた状態を後方から見た図である。図中、2点破線で示す部分は、貨物コンテナの左右壁11aと床板(その上面が床2b)である。
消波棒7は、断面円形の丸棒材である。消波棒7の一端部には、直径を貫通する1つの消波棒端部孔7dが穿設されている。消波棒7を、内パネル4a1の消波棒挿入スリット4a12を介して一対の消波棒取付板4a23の隙間に挿入することにより、消波棒端部孔7dと消波棒ピン孔ph2とを合致させる(消波棒端部孔7dを水平方向にすることで合致する)。合致した消波棒端部孔7dと消波棒ピン孔ph2に対し、消波棒ピンp2を挿入する。これにより、消波棒7が後方バルクヘット4aに対し回動可能な状態で、消波棒7の一端部が後方バルクヘット4aに取り付けられたことになる。この回動動作の軸は、左右方向に位置する消波棒ピンp2の軸と一致する。なお、後方バルクヘッド4aに対する消波棒7の一端部の取付けは、着脱可能であり、消波棒ピンp2を引き抜くことで分解することができる。
【0049】
1本のステー4cの棒状部分であるステー本体4c1は、図示の例では一対の平行な板状ロッドから構成されている。床2bに取り付けられるステー4cの一端部には、左右方向に貫通するステー端部孔4c2が穿設(一対の板状ロッドの同じ位置にそれぞれ穿設)されている。そして、一対の板状ロッドの隙間にステー取付金具2fを挿入させることにより、ステー端部孔4c2とステーピン孔ph3とを合致させる。合致したステー端部孔4c2とステーピン孔ph3に対し、ステーピンp5を挿入する。これにより、ステー4cがコンテナ床2bに対し回動可能な状態で、ステー4cの一端部がコンテナ床2bに取り付けられる。この回動動作の軸は、左右方向に位置するステーピンp5の軸と一致する。なお、コンテナ床2bに対するステー4cの一端部の取付けは、着脱可能でなくともよい。従って、ステーピンp5は、容易に取り外しできないように装着してもよい。
【0050】
さらに、バルクヘッド4aの外面に取り付けられるステー4cの他端部にも、左右方向に貫通するステー端部孔4c3が穿設(一対の板状ロッドの同じ位置にそれぞれ穿設)されている。そして、一対の板状ロッドの隙間にステー取付板4a24を挿入させることにより、ステー端部孔4c3とステーピン孔ph1とを合致させる。合致したステー端部孔4c3とステーピン孔ph1に対し、ステーピンp1を挿入する。これにより、ステー4cの他端部が後方バルクヘッド4aに対し取り付けられる。なお、後方バルクヘッド4aに対するステー4cの他端部の取付けは、着脱可能であり、ステーピンp1を引き抜くことで取り外すことができる。
【0051】
図8は、図1のA−A断面における後方バルクヘッド4aの近傍を示した図である。液体充填状態のソフトタンク5は、後方シート6c及び左方シート6dで覆われている。ソフトタンク5の後面は、後方バルクヘッド4aの内パネル4a1の面と当接して支持されている。ソフトタンク5の上面は、消波棒7の棒状の消波棒本体7aの部分により押圧されている。後方シート6cの吊り紐6c2が消波棒7に結び付けられている。さらに、ソフトタンク5及び消波棒7の上から左横ベルト6d2が掛けられ床2b上の左横ベルト取付リング2gに連結され緊締される(図8に現れていない右方についても同様)ことで安定化される。
【0052】
図8に示すように、ソフトタンクの上面後端部分の断面形状は、下向きU字形の緩やかな湾曲となっている。この結果、ソフトタンク内の液体の流動波立が抑制される。この上面角部の緩やかな湾曲面は、前端部分においても同様である。また、図8の視点とは直交する方向(前後方向)から見た場合においても、左右の上面角部は緩やかな湾曲面となっている。
【0053】
後方バルクヘッド4aの下面から突出した下部ピンp3は、レール2b1と同一面上にある下部ピン孔2dに鉛直に差し込まれている。ロックピンp4はL字形であって水平に配置され、その一端は下部ピンp3の孔に挿通され、他端はレール2b1の切り欠きに係止されている。これらにより、後方バルクヘッド4aは、レール2b1上に立設される。
【0054】
ステー4cの棒状部分であるステー本体4c1の一端部には、ステー端部孔4c2が穿設されており、ステー端部孔4c2の位置は、床2b上のステー取付金具2fに穿設されたステーピン孔ph3と合致している。ステー端部孔4c2とステーピン孔ph3には、ステーピンp5が差し込まれている。これにより、ステー4cは、ステーピンp5を軸として床2bに対して回動可能である。
【0055】
ステー4cの他端部にもステー端部孔4c3が穿設されており、ステー端部孔4c3の位置は、後方バルクヘッド4aのステー取付板4a24に穿設したステーピン孔ph1と合致している。ステー端部孔4c3とステーピン孔ph1には、ステーピンp1が差し込まれている。ステーピンp1は取付け及び引抜きが可能であり、よって、ステー4Cの他端部は、後方バルクヘッド4aに対して着脱可能である。
【0056】
ステー4cの他端部を後方バルクヘッド4aから取り外したとき、ステー4cの一端部を軸(すなわちステーピンp5を軸)としてステー4Cを回動させ倒伏させることができる。
【0057】
消波棒7の一端部には、消波棒端部孔7dが穿設されており、消波棒端部孔7dの位置は、後方バルクヘッド4aの消波棒取付板4a23に穿設された複数の消波棒ピン孔ph2の一つと合致している。消波棒端部孔7dと消波棒ピン孔ph2には、消波棒ピンp2が差し込まれている。この状態において、仮に消波棒7の他端部が固定されていなければ、消波棒7は、消波棒ピンph2を軸として後方バルクヘッド4aに対して回動可能である(図中、両矢印参照)。このことにより、ソフトタンク5への充填前に消波棒7の一端部を後方バルクヘッド4aに取り付ける場合に、その作業を容易に行うことができる。
【0058】
消波棒ピンp2は取付け及び引抜きが可能であり、よって、消波棒7の一端部は、後方バルクヘッド4aに対して着脱可能である。
【0059】
図9は、図1のA−A断面における前方バルクヘッド4bの近傍を示した図である。液体充填状態のソフトタンク5は、前方シート6b及び左方シート6dで覆われている。ソフトタンク5の前面は、前方バルクヘッド4bの内パネル4b1の面と当接して支持されている。ソフトタンク5の上面は、消波棒7の棒状の消波棒本体7aの部分により押圧されている。前方シート6bの吊り紐6b2が消波棒7に結び付けられている。さらに、ソフトタンク5及び消波棒7の上から左横ベルト6d2が掛けられている(図9に現れていない右方についても同様であり、破線で示す右横ベルトが、床2b上の右横ベルト取付リング2hに連結され緊締されている)。
【0060】
前方バルクヘッド4bの立設手段及びステー4dの両端部の取付手段については、図8に示した後方バルクヘッド4a及びステー4cと全く同じであるので、説明を省略する。
【0061】
消波棒7の他端部には、消波棒ボルト部7bが形成されている。消波棒7は、前方バルクヘッド4bの消波棒取付板4b23に穿設された複数の消波棒ピン孔ph4のうち上下方向で隣り合う2つの消波棒ピン孔ph41とph42の間を貫通している。よって、消波棒ボルト部7bは、前方に突き抜けている。消波棒7の直下にある消波棒ピン孔ph41には消波棒ピンp6が差し込まれ、直上にある消波棒ピン孔ph42には、消波棒ピンp7が差し込まれている。この場合、隣り合う消波棒ピン孔ph41とph42の間隔は、消波棒7の直径にほぼ相当することが好適である。さらに、消波棒ナット7cが消波棒ボルト部7bに螺着され、前方バルクヘッド4bに対して消波棒7の他端部を緊締する。これにより、消波棒7が、所定の高さ位置に固定される。
【0062】
図8及び図9の例では、消波棒7を後方バルクヘッド4aに対して回動可能に取付け、前方バルクヘッド4bに対して不動に固定したが、逆に、消波棒7を前方バルクヘッド4bに対して回動可能に取付け、後方バルクヘッド4aに対して不動に固定してもよい。
【0063】
本発明による貨物コンテナ用液体輸送装置の組立方法(液体充填工程を含む)の好適例は、次のS1〜S9の通りである。図1〜図9中の符号を用いて説明する。
・S1:コンテナ床2b上に倒伏して収納されているステー4c、4dを起す(前方バルクヘッド4b及び後方バルクヘッド4bを所定の位置に直立させてからでは、ステー4c、4dを起こせないため)。また、消波棒7が床2bのレール2B1間に収納されている場合は、取り出しておく。
・S2:前方バルクヘッド4b及び後方バルクヘッド4aをそれぞれ、床2b上の下部ピン孔2c、2d上に直立させる。前方バルクヘッド4b及び後方バルクヘッド4bの下面に下部ピンp3を差し込み、下部ピンp3をロックピンp4で固定する。
・S3:ステー4c、4dの他端部を各バルクヘッド4b、4aの外面に取り付ける。
・S4:後方バルクヘッド4aの消波棒挿入スリット4a12に消波棒7の一端部を挿入して所定の高さの消波棒ピン孔ph2に合致させ、消波棒ピンp2を差し込む。この作業は、消波棒7を傾斜させた状態でも行うことができるので、一人でも行うことができる。
・S5:前方バルクヘッド4bの消波棒挿入スリット4b12に消波棒7の他端部を挿入して所定の高さとし、その直下及び直上の消波棒ピン孔ph4に消波棒ピンp6及びp7を差し込む。
・S6:消波棒ボルト部7bに消波棒ナット7cを螺着し、締め込む。
・S7:一対のバルクヘッド4aと4b間に床シート6aを敷き、その上で折り畳まれているソフトタンク5を展張する。ソフトタンク5の給排口5fを後方バルクヘッド4aの給排口通し孔4a11に通す。
・S8:給排口5fと給排ホース挿入パイプ2iを給排ホースで連結する。
・S9:外部から給排ホース挿入パイプ2iに液体を送り込み、ソフトタンク5を膨張させる。ソフトタンク5の上面が消波棒7に当たる前に、前後左右のシート6b〜6dを掛ける。さらに、ソフトタンク5が消波棒7により適宜の圧力で押圧された状態となるまで液体を充填する。液体充填の際、ソフトタンク5内の不要な空気は点検口部5eより排出し、内部に空気を残留させないようにする。最後に、吊り紐6b2、6c2を消波棒7に結びつけ、さらに左右横ベルト6d2、6e2を掛けて緊締する。
【0064】
上記の組立及び液体充填の方法では、ソフトタンク5を膨張させる前に消波棒7を所定の位置に固定しておき、その後にソフトタンク5を充填して膨張させる。この場合、ソフトタンク5が十分な力で押圧された状態を容易にかつ確実に実現することができる。従来は、ソフトタンク5を膨張させた後に、消波棒7を上方から押圧して両端を固定していたため、相当の力が必要であり、十分な押圧状態とすることは困難であった。
【0065】
本発明による貨物コンテナ用液体輸送装置の分解方法(液体排出工程を含む)は、上記のS1〜S9の各工程を逆に行えばよい。
【0066】
なお、上記のように、消波棒7を所定の高さに取り付けた後にソフトタンク5に液体を充填することが最も好適であるが、本発明の液体輸送装置は、ソフトタンク5に液体を充填した後に消波棒7を取り付ける工程を採ったとしても組立可能である。この場合、ソフトタンク5を液体充填状態とした後に、消波棒7の一端部を一方のバルクヘッド4aに回動可能に取付け、この一端部をてこの支点として、消波棒7の他端部を回動させて押し下げることで比較的容易に消波棒7を水平にすることが可能である。その後、他端部を他方のバルクヘッド4bに固定する。このように、消波棒7の一端部を支点としててこの原理で他端部を回動させることができるので、特許文献2の従来例に比べれば容易に消波棒7を取り付けることが可能である。
【0067】
ここで、組立状態における一対のバルクヘッド4a、4bと、ステー4c、4dと、消波棒7との連結関係を整理する。
・一対のバルクヘッド4a、4bは、それぞれ下部ピンp3によりコンテナ床2bに固定されている。
・一対のバルクヘッド4a、4bは、それぞれ傾斜した各ステー4c、4dによってもコンテナ床2bに固定されている。
・消波棒7は、一対のバルクヘッド4a、4b間に架掛けされ両端部が一対のバルクヘット4a、4bとそれぞれ固定されている。
以上の連結関係により、全体が一体のソフトタンク支持枠構造を形成し、全体がコンテナ床2bに安定に固定される。
【0068】
図10は、貨物コンテナ用液体輸送装置1を適用した貨物自動車の一実施例を示す斜視図であり、液体輸送装置1を使用中の状態を示している。この例では、貨物自動車の荷台に搭載された貨物コンテナの後半部の床2b上に1つの液体輸送装置1が組み立てられている。前半部の床2aには液体輸送装置は設けられておらず、任意の貨物を積載することができる。
【0069】
図11は、貨物コンテナ用液体輸送装置1を適用した貨物自動車の別の実施例を示す斜視図であり、液体輸送装置1を使用中の状態を示している。この例では、貨物自動車の荷台に搭載された貨物コンテナの前半部の床2aと後半部の床2b上に1つずつ、合わせて2つの液体輸送装置1が組み立てられている。
【0070】
図12は、図10に示した実施例において、液体輸送装置1の分解収納時の状態を示している。図13は、図12のC断面を示す図である。2枚のバルクヘッド4a、4bは、貨物コンテナの前壁に片寄せられ、ステー4c、4dは倒伏されて床2b上のレール2b1間の溝2lに収納されている。消波棒7もまた、レール2b1間の溝2mに収納されている。ソフトタンク5及びカバー部6は折り畳まれて貨物コンテナ下面の収納部2kに収納されている。この状態のとき、貨物コンテナ内には任意の貨物を積載することができる。これにより、例えば、往路においては液体輸送装置1により液体を輸送し、復路においては別の貨物を輸送することができるので、貨物自動車を無駄なく利用できる。
【0071】
2.第2発明の実施形態
図14は、第2発明に係る貨物コンテナ用液体輸送装置の外観斜視図である。図15は、図14のD断面を示す図である。第2発明の貨物コンテナ用液体輸送装置は、上記第1発明と同一の構成を含む。すなわち、第2発明においても以下の構成を備えている。
・貨物コンテナの床上に、進行方向と平行に複数のレールが敷設される。
・液体充填状態のソフトタンクが、貨物コンテナの左右壁及び底面と、一対のバルクヘッドと、消波棒とにより支持される。
・消波棒の一端部は、一方のバルクヘッドに対して回動可能に取り付けられる。
・一対のバルクヘッドは、傾斜したステーにより支持され、ステーは床に倒伏可能である。
・ソフトタンクはカバー部で覆われている。
【0072】
第2発明の液体輸送装置は、上記に加えて、貨物コンテナ11内にクレーン12を備えている。貨物コンテナ11は、左右壁11a、前後壁11b及び天井壁11cにより囲まれ内部空間を形成する筐体である。天井壁11cは必須ではないが、通常は備わっている。また、左右壁及び/又は後壁には、必要に応じて扉(図示せず)が設けられる。
【0073】
クレーン12は、貨物コンテナの左右壁11aの各々の上縁近傍にクレーン用レール12aを具備する。左右のクレーン用レール12aは、同じ高さ位置にて前後方向に設けられている。一対のクレーン用レール12a間には、横架ロッド12b1が架け渡されている。横架ロッド12b1の両端には、クレーン用レール12a上を走行する一対のローラ12b2が設けられている。さらに、横架ロッドの中央からは、チェーンブロック12cが懸下されている。
【0074】
クレーン12は、バルクヘッド4a、4bの組立及び分解の際の移動に用いる。チェーンブロック12cによりバルクヘッド4a、4bを吊り上げて前後方向に移動させる。これにより、バルクヘッド4a、4bを容易に移動させたり、立設させたりすることができる。
【0075】
また、液体輸送装置1の分解収納時に他の貨物を積載する場合に、それらの貨物の移動にも用いることができ、特に重量物の場合には便利である。
【0076】
上記の図10〜図15では、バン型の貨物自動車を例に説明したが、本発明の適用される貨物コンテナは、海上コンテナ、平ボディー型自動車、ウィング型の貨物自動車、鉄道用コンテナ、航空機用コンテナ等々における床に設置できる。
また、これら貨物コンテナは、図示は略するが、必要に応じて冷凍機を備えたものとすることができる。
牛乳のほかに、サラダ油、食用油、醤油、ヤシ油、ラード、アルコールなど振動を嫌う液体などに特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1発明における要部の斜視図である。
【図2】図1に示した液体輸送装置の展開斜視図である。
【図3】ソフトタンクの外観斜視図である。
【図4】コンテナ床の斜視図である。
【図5】後方バルクヘッドの後面から見た斜視図である。
【図6】後方バルクヘッドの前面から見た斜視図である。。
【図7】図1のB矢視図であり、後方バルクヘッドに消波棒及びステーを取り付けた状態を後方から見た図である。
【図8】A−A線における後方側の要部拡大断面図である。
【図9】A−A線における前方側の要部拡大断面図である。
【図10】使用状態の斜視図である。
【図11】使用状態の斜視図である。
【図12】格納状態の斜視図である。
【図13】C−C線における拡大断面図である。
【図14】第2発明における要部の斜視図である。
【図15】D−D線における拡大断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1:貨物コンテナ用液体輸送装置
2:貨物自動車
2a:貨物コンテナ床
2b:貨物コンテナ床、2b1:レール
2c、2d:下部ピン孔
2e、2f:ステー取付金具
2g:左横ベルト取付リング
2h:右横ベルト取付リング
2i:給排ホース挿入パイプ、2i1:キャップ
2j:蓋
2k:収容部
2l:ステー収容溝
2m:消波棒収容溝
3:液体タンク部
4:支持枠部
4a:後方バルクヘッド、4a1:内パネル、4a11:給排口通し孔、4a12:消波棒挿入スリット、4a2:枠体、4a21:外枠、4a22:中枠、4a23:消波棒取付板、4a24:ステー取付板、4a25:ピン収容板、4a26:ナット収容ボルト
4b:前方バルクヘッド
4c:後方ステー、4c1:ステー本体、4c2、4c3:ステー端部孔
4d:前方ステー
5:ソフトタンク
5a:底面
5b:側壁
5c:防水ファスナー
5d:上面
5e:点検口、5e1:点検口ファスナー
5f:給排口、5f1:バルブ
6:カバー部
6a:床シート
6b:前方シート、6b1:シート材、6b2、吊り紐
6c:後方シート、6c1:シート材、6c2:吊り紐
6d:左方シート、6d1:シート材、6d2:左横ベルト
6e:右方シート、6e1:シート材、6e2:右横ベルト
7:消波棒
7a:消波棒本体
7b:消波棒ボルト部
7c:消波棒ナット
7d:消波棒端部孔
11:貨物コンテナ
11a:コンテナ左右壁
11b:コンテナ前後壁
11c:コンテナ天井壁
12:クレーン
12a:クレーン用レール
12b:クレーンロッド、12b1:横架ロッド、12b2:ローラ
12c:チェーンブロック
p1、p5:ステーピン、p2、p6、p7:消波棒ピン、p3:下部ピン、p4:ロックピン
ph1、ph3:ステーピン孔、ph2、ph4、ph41、ph42:消波棒ピン孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物輸送用の自動車、鉄道車両、船舶、航空機等の貨物コンテナの床上に設置される牛乳等の液体の輸送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貨物コンテナの床上に設置される液体輸送装置として特許文献1に記載のものがある。特許文献1に開示された貨物自動車による牛乳などの液体の輸送装置は、次の通りである。
・貨物自動車の荷台床上に配設された液体バッグ部が、平板状のパレットと、このパレット上に設置される液体用バッグ本体とから構成されている。
・液体バッグ本体(「ソフトタンク」と称される場合もある)は、帆布素材の筒状のバッグと上部蓋を備える。
・パレットは、台の四隅に開設した受け穴に着脱自在に立設された支持棒とその上端のリングとを備える。
・このリングの上面から、バッグを内部に入れバッグの上方縁と、上部蓋の外周縁とでリングを巻き込み、その外面からベルトで周囲を緊締する。さらに、支持棒の外側からバッグを囲むように架け渡した別のベルトの両端を、貨物自動車の荷台内壁に取付けたベルト引っ掛け金具に係止緊締する。
【0003】
特許文献1の液体輸送装置では、下記のような問題点を有していた。
1.作業が複雑なので多数の人力が必要で、一人では大変に厳しく時間がかかり過ぎて嫌われる。組立分解作業が大変である。
2.洗浄も大変である。
3.部品点数が多く、多数ボルト締めする必要があるが、忘れることがあり、事故を引き起こしやすい。
4.袋本体がむき出し状態なので、何時か破れるのではないかと云う不安があった。
5.単一輸送方式(1つのコンテナで1種の貨物のみを輸送する方式)のため、輸送コストが高く効率が悪い。
6.冷却ができないので、温度の管理が必要なものの輸送には限界がある。
7.特に牛乳の場合、輸送中に内部の牛乳が揺れるので波が発生し、バター化の可能性が高いという問題がある。
8.内部の液体が揺れることは、特に自動車の場合、急ブレーキを掛けたときやカーブを走行するときなどに、慣性により車両に大きな荷重が掛かり、運転を非常に困難なものとし安全運転上問題がある。
【0004】
上記特許文献1の液体輸送装置の問題点を解決した液体輸送装置として特許文献2に記載のものがある。特許文献2に開示された貨物自動車による牛乳などの液体の輸送装置は、次の通りである。
・貨物自動車の荷台床上に配設された液体バッグ部が、支持枠部と液体バッグとカバー部と波消しバー(消波棒)部とから構成されている。
・支持枠部は、荷台床上において進行方向と直交状態で前後に起立する一対の壁と、進行方向と平行状態で左右に起立する一対の壁とから構成されている。
・液体用バッグは、支持枠部内に装填される。カバー部は、液体用バッグの上面を覆うシートと、進行方向と平行に添着された複数本の縦テープと、縦テープの両端に取り付けた牽引用フックと、進行方向と直交して添着された複数本の横テープとから構成されている。
・消波棒部は、支持枠部の前後壁上縁から切り欠かれたコ字状切り欠きに挿入して掛架することができる寸法の複数本の棒から構成されている。
・上記の構成において、液体用バッグを支持枠部内に装填した後、牛乳などを注入して内部を満たして液体用バッグを立方形状とする。消波棒を押し下げて液体用バッグの上面を押圧した状態で消波棒の両端を前後壁に固定する。さらに縦テープの両端を荷台床上に固定する。
【特許文献1】実用新案登録第2573403号公報
【特許文献2】特許第3374213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2では、貨物コンテナの横幅全体に亘る大きさの立方形状のフレキシブルな液体バッグの左右を貨物コンテナの左右壁で支持し、前後を支持枠部で支持し、上方から消波棒と縦横のテープで支持することにより、特許文献1に比べて内部の液体の揺れを抑制することを実現し、幾つかの問題点を解決している。
【0006】
しかしながら、特許文献2の液体輸送装置には、未だ以下のような問題点がある。
1.支持枠部の各部品は、一人の人間が扱うには大きく重量があるため、組立作業及び分解作業の負担が大きい。
2.1本の消波棒の一端を支持枠部に取り付けるために、1つの抑え金物と複数のピンを用いるため、作業が煩雑である。
3.消波棒の取付け及び固定を内部の液体の注入後に行う、つまり、液体用バッグを充填した後に消波棒を配置し、抑え金物で消波棒の両端を上から抑えてピンで固定するが、満充填された液体バッグを上方から押圧するには相当大きな力を要するため人力では容易ではなく、十分に押圧することができない。
【0007】
以上の点から、本発明は、特許文献2に開示された液体輸送装置の利点を維持しつつ、上記の問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は下記のようになるものである。括弧内の符号は、後述する図面中の符号であり、参考のために付している。
(1)第1発明に係る貨物コンテナ用液体輸送装置は、基本的態様として、輸送車両等に搭載された貨物コンテナの床(2b)上に設置され液体充填状態にて角部に丸みをもつ略直方体形状でありかつ該貨物コンテナの左右壁(11a)により支持されるソフトタンク(5)と、液体充填状態の前記ソフトタンクの後面及び前面をそれぞれ支持するべく該ソフトタンクの後方及び前方にて前記床上に立設された壁状の一対のバルクヘッド(4b、4a)と、前記一対のバルクヘッド間に架掛されかつ液体充填状態の該ソフトタンクを上方から押圧するように該一対のバルクヘッドに両端部をそれぞれ取付けられた消波棒(7)とを備える。
そして、この液体輸送装置において、消波棒(7)を一対のバルクヘッドに取り付けるための第1及び第2の取付手段を特徴とする。第1の取付手段は、消波棒が一方のバルクヘッド(4b)に位置する左右方向の軸の周りに回動可能であるように消波棒の一端部を一方のバルクヘッド(4b)に着脱可能に取付けるものである。第2の取付手段は、消波棒の他端部を、他方のバルクヘッド(4a)に対し着脱可能に固定するものである。
【0009】
(2)さらに上記態様において、一対のバルクヘッドの各々が、長方形の内パネル(4a1)と、内パネルの外面に添着された長方形の外枠(4a21)と、外枠の内側にて上下方向及び左右方向にそれぞれ延在する複数の中枠(4a22、4a23、4a24)とを備える。
一方のバルクヘッドにおける第1の取付手段は、消波棒(7)を挿通可能な左右方向の幅にて内パネルに上下方向に穿設された第1の消波棒挿入スリット(4a12)と、上下方向の複数の中枠の一部であって第1の消波棒挿入スリットの両側縁に沿ってそれぞれ配置された一対の第1の消波棒取付板(4a23)と、一対の第1の消波棒取付板において互いに同じ高さ位置となるように上下方向に所定の間隔でそれぞれ穿設された複数の第1の消波棒ピン孔(ph2)と、消波棒の一端部に穿設された消波棒端部孔(7d)と、消波棒の一端部を、第1の消波棒挿入スリット及び一対の第1の消波棒取付板の間に挿通させた状態で第1の消波棒ピン孔及び消波棒端部孔に着脱可能に挿入した第1の消波棒ピン(p2)とを具備する。
他方のバルクヘッドにおける第2の取付手段は、消波棒(7)を挿通可能な左右方向の幅にて内パネルに上下方向に穿設された第2の消波棒挿入スリット(4b12)と、上下方向の複数の中枠の一部であって第2の消波棒挿入スリットの両側縁に沿ってそれぞれ配置された一対の第2の消波棒取付板(4b23)と、一対の第2の消波棒取付板において互いに同じ高さ位置となるように上下方向に所定の間隔でそれぞれ穿設された複数の第2の消波棒ピン孔(ph2)と、消波棒の他端部に形成された消波棒ボルト部(7b)と、消波棒の他端部を、第2の消波棒挿入スリット及び一対の第2の消波棒取付板の間に挿通させた状態で消波棒の他端部の直上及び直下に位置する第2の消波棒ピン孔に対して着脱可能に挿入した一対の第2の消波棒ピン(p6,p7)と、一対の第2の消波棒取付板の間を突き抜けた消波棒ボルト部に螺着され消波棒を他方のバルクヘッドに対し緊締する消波棒ナット(7c)とを具備する。
【0010】
(3)さらに上記態様において、一対のバルクヘッドの各々を支持する複数の棒状のステー(4c,4d)を備え、ステーはバルクヘッドの外面と貨物コンテナの床との間に傾斜して架け渡されている。ステーの両端部をそれぞれ取り付けるための第3及び第4の取付手段を具備する。
第3の取付手段は、ステーの一端部を、左右方向の軸(p5)の周りに回動可能であるように貨物コンテナの床に取り付けるものである。
第4の取付手段は、ステーの他端部を、バルクヘッドの外面に対し着脱可能に取り付けるものである。
【0011】
(4)さらに上記態様において、第3の取付手段は、第1のステーピン孔(ph3)を穿設した取付金具(2f)と、ステーの一端部に穿設された第1のステー端部孔(4d3)と、第1のステーピン孔及び第1のステー端部孔に挿入した第1のステーピン(p5)とを具備する。
また、第4の取付手段は、バルクヘッドが備える上下方向の複数の中枠の一部であるステー取付板(4b24)と、ステー取付板に穿設された第2のステーピン孔(ph1)と、ステーの他端部に穿設された第2のステー端部孔(4d2)と、第2のステーピン孔及び第2のステー端部孔に着脱可能に挿入した第2のステーピン(p1)とを具備する。
【0012】
(5)さらに上記態様において、床面上に前後方向に配設された複数のレールをさらに備え、各レールの上端面は平坦でありかつ隣り合うレール間には所定の溝が形成されている。
【0013】
(6)さらに上記態様において、ステーの他端部をバルクヘッドの外面から取り外した場合に、該ステーを倒してレール間の溝内に収容可能である。
【0014】
(7)さらに上記態様において、消波棒をバルクヘッドから取り外した場合に、消波棒をレール間の溝内に収容可能である。
【0015】
(8)第2発明に係る貨物コンテナ用液体輸送装置は、上記第1発明のいずれかの態様において、貨物コンテナ内に設けたクレーンをさらに備える。このクレーンは、貨物コンテナ内で前後方向に移動可能であり、バルクヘッドを吊り下げるための手段を備えている。
【0016】
(9)本発明による貨物コンテナ用液体輸送装置の組立方法は、上記第1発明又は第2発明のいずれかの態様もつ液体輸送装置を組み立てる方法であり、次の各工程を有する。
・床上に一対のバルクヘッドを立設する工程
・消波棒の一端部及び他端部を、前記床から所定の高さ位置において前記一対のバルクヘッドの各々に対しそれぞれ取付け固定する工程
・液体充填前のソフトタンクを、立設された一対のバルクヘッドの間に展張する工程
・ソフトタンクに液体を充填することによりソフトタンクを膨張させ、ソフトタンクの上面が消波棒により押圧された状態とする工程
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上述の通り構成されているので、以下の効果を奏する。
1.液体輸送装置のソフトタンクを上方から押圧する消波棒の一端部を一対のバルクヘッドの一方に取り付ける第1の取付手段により、消波棒がこの一方のバルクヘッドに対して着脱可能かつ回動可能に取り付けられる。さらに第2の取付手段により、消波棒の他端部を他方のバルクヘッドに着脱可能に取り付ける。これにより、ソフトタンクに液体を充填する前に、容易な作業で消波棒を一対のバルクヘッドに取り付けることができる上、液体充填後のソフトタンクを、消波棒により十分な力で押圧した状態を容易かつ確実に実現することができる。
【0018】
従来は、ソフトタンクに液体を充填した後に消波棒をソフトタンクの上面に配置し、抑え金物で消波棒の両端部を上方から押圧して抑え金物とバルクヘッドに複数のピンを挿通して固定していた。液体充填状態のソフトタンクにおいては、内方から外方へ大きな圧力が掛かっているため、従来の消波棒の取付手段では、上方から相当な荷重を付加しなければ十分にソフトタンクを押圧状態とすることができない。そこで、発明者は、ソフトタンクの充填前に消波棒を所定の高さで一対のバルクヘッド間に架掛し固定しておき、その後ソフトタンクを液体充填状態とすれば、自然にソフトタンクの上面が消波棒により十分に押圧された状態を形成できることに着眼し、本発明の構成を考案したものである。
特許文献2に記載の従来の消波棒の取付手段では、消波棒がほぼ水平状態でなければ端部を固定することが困難である。従来は、立体状となったソフトタンク上に消波棒を載せることでほぼ水平状態とすることができたが、ソフトタンクの充填前には消波棒をほぼ水平に支持する手段がない。特に、一人で作業する場合、消波棒の両端部を同時に一対のバルクヘッドに固定することは難しい。
【0019】
本発明では、消波棒の一端部が一方のバルクヘッドに対して回動可能に取り付けられるから、消波棒が水平状態でなく傾斜した状態であっても、その一端部を一方のバルクヘッドに取り付けることができる。この作業は、一人でも行うことができる。そして、先ず一端部を取り付けた後に、他端部を他方のバルクヘッドに取り付ければ、消波棒を所定の高さに設置することができる。
【0020】
消波棒を設置した後に、ソフトタンクを展張して液体を充填して直方体形状とするので、液体充填状態のソフトタンクを消波棒が十分に押圧した状態を実現できる。これにより、ソフトタンクが、左右については貨物コンテナの左右壁により、前後については一対のバルクヘッドにより、下方は貨物コンテナの床により、そして上方は消波棒により押圧されるので、ソフトタンクは角部に丸みのある略直方体形状となる。つまり左右方向及び前後方向の各断面において上側の角部に緩やかな下向きU字状の湾曲面が形成される。この結果、ソフトタンク内の液体の流動波立が抑制されるので、カーブや急ブレーキの際の液体の揺動がなく非常に楽に運転することができ、運転を安全性を確保できる。また、特に牛乳の場合は、バター化を防ぐことができる。
【0021】
消波棒の両端部は、それぞれ一対のバルクヘッドに対して着脱可能であるので、これらは必要に応じて組立及び分解することができる。また、1本の消波棒が、3本のピン及び1つのナットで取り付けられるので、作業が容易である。
【0022】
2.一対のバルクヘッドを支持するステーが、バルクヘッドの外面(ソフトタンクを支持する面の反対側の面)と床の間に傾斜して架け渡されており、ステーの一端部を床へ取り付ける取付手段は、ステーを床に対して回動可能に取り付ける。また、ステーの他端部をバルクヘッドの外面へ取り付ける取付手段は、着脱可能である。これにより、ステーの他端部をバルクヘッドの外面から取り外すだけで、ステーを床面に倒してコンパクトに収納することができ、分解が容易である。また、取付時もステーを起こしてバルクヘッドの外面に取り付けるだけであるので、組立も容易である。
【0023】
これに対し、特許文献2では、三角形のメンバーをバルクヘッドに取り付けて支持していたため、組立及び分解の際にこの三角形のメンバーを持ち運ぶ必要があった。
【0024】
3.床面上に前後方向に配設された複数のレールをさらに備え、レールの上端面は平坦でありかつ隣り合うレール間には所定の溝が形成されている。これにより、一対のバルクヘッドをレールに沿って前後方向に容易に移動させることができる。バルクヘッドを貨物コンテナの片隅に収納するとき、組み立てる際の作業が容易となる。また、レール間の溝内にステー及び消波棒を収納することができる。
【0025】
4.貨物コンテナの天井近傍に前後方向に移動可能なクレーンを備えることにより、バルクヘッドの組立及び収納の作業を容易に行うことができる。また、貨物コンテナ内に収容するその他の重量物の移動にも利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
1.第1発明の実施の形態
図1は、第1発明に係る貨物コンテナ用液体輸送装置の外観斜視図である。図1では、貨物コンテナについては、その床2bのみを示している。貨物コンテナ用液体輸送装置1は、貨物輸送用の自動車、鉄道車両、船舶、航空機等に搭載される貨物コンテナの床2b上に設置される。本発明を適用される貨物コンテナ(他の名称で呼称される場合を含む)は、少なくとも床と左右壁とを備えるが、通常は、前後壁及び天井壁を備える立方体又は直方体の筺状である。通常、側壁又は前後壁の一部に貨物の出し入れ口を具備する。なお、貨物コンテナとしては、輸送車両等に搭載したり積下ろしたりするタイプも、輸送車両等の荷台に取り外し不能に設置されたタイプも含む。また、牽引自動車の荷台として構成されたタイプも含む。図1に前後方向及び左右方向を矢印で示す。前後方向は、輸送車両等の進行方向である。
【0027】
図1の液体輸送装置1は、主要な構成要素として、貨物コンテナの床2b上に載置されたソフトタンク5と、ソフトタンクの後面及び前面を支持するために床2b上に立設された壁状の一対のバルクヘッド4a、4bと、ソフトタンク5を上方から押圧する4本の消波棒7と、各バルクヘッド4a、4bをそれぞれ支持する4本ずつのステー4c、4dを備えている。壁状のバルクヘッド4a、4bは、その面が前後方向(すなわち進行方向)に対して直交するように配置されている。図示のソフトタンク5は、液体充填状態である。
【0028】
なお、消波棒7及びステー4c、4dの数は、少なくとも2本必要であるが、ソフトタンク5及びバルクヘッド4a、4b等の寸法に応じて適宜設定する。図1におけるソフトタンク5は、内部に液体を充填した状態であり、角部に丸みをもつ略直方体形状となっている。ソフトタンク5は可撓性があり、非充填状態のときは折り畳むことができる。その他に、ソフトタンク5の周囲を覆うカバー6d、6e等を備えている。ソフトタンク5とカバー6d、6e等のカバー部とにより、液体タンク部3を構成している。また、一対のバルクヘッド4a、4bとそのステー4c、4dとにより、支持枠部4を構成している。
【0029】
図2は、図1に示した液体輸送装置の展開斜視図である。図3は、ソフトタンク5の外観斜視図である。図4は、貨物コンテナの床2bの斜視図である。
【0030】
図2を参照すると、ソフトタンク5の前後に立設された一対のバルクヘッド4bと4aの間には、消波棒7(図2では1本のみ示す)が架掛けされている。消波棒7は、棒状の消波棒本体7aを具備し、その一端部に消波棒ピンp2を挿通するための消波棒端部孔(後に詳述)が穿設され、他端部には螺子溝が切られた消波棒ボルト部7bが形成されている。消波棒7の一端部は、消波棒ピンp2を用いて後方バルクヘッド4aに取り付けられる。消波棒7の他端部は、消波棒ナット7cを消波棒ボルト部7bにねじ込むことにより前方バルクヘッド4bに対し緊締される。これらの取付手段の詳細は、後述する。
【0031】
後方バルクヘッド4aの下面は、下部ピンp3及びロックピンp4により床2bに固定される。これらの詳細は後述する。前方バルクヘッド4bの下面についても同様である。ソフトタンク5の給排口5fは、適宜の給排ホースを介して床2bの後方左端に設けられた給排ホース挿入パイプ2iと連結される。給排ホース挿入パイプ2iを使用しないときは、開口を蓋2jで閉止しておく。
【0032】
棒状のステー4c(図2では1本のみ示す)は、後方バルクヘッド4aの外面と床2bの間に傾斜して架け渡されており、ステーピンp1により後方バルクヘッド4aに取り付けられている。前方バルクヘッド4bにも同じ取付手段でステー4dが取り付けられる。
【0033】
ソフトタンク5の周囲には、複数のシートからなるカバー部6が配置される。カバー部6は、床シート6a、前方シート6b、後方シート6c、左方シート6d、及び右方シート6eから構成されている。
【0034】
床シート6aは、図3に示すソフトタンク5の底面5aの面積とほぼ同一の面積を有するよう構成されたシートで構成されている。
前方シート6bは、ソフトタンク5における後面と上面5dにおける前方部分を覆うことのできる面積を有するよう構成されたシート材6b1と、その外面に取り付けられた適数本の吊り紐6b2とから構成されている。
後方シート6cは、ソフトタンク5における後面と上面5dにおける後方部分を覆うことのできる面積を有するよう構成されたシート材6c1と、その外面に取り付けられた適数本の吊り紐6c2とから構成されている。吊り紐6b2及び6c2は、消波棒7に結び付けられる。
左方シート6dは、ソフトタンク5における左面と上面5dにおける左半部の部分を覆うことのできる面積を有するよう構成されたシート材6d1と、その外面に左右方向をもって取り付けられた適数本の左横ベルト6d2から構成されている。そして、この左横ベルト6d2の左方端は、図4に示す左横ベルト取付リング2gに環などを介して係脱自在に構成され、右方端は、右横ベルト6e2の左方端と尾錠金により係脱自在に構成されている。
右方シート6eは、ソフトタンク5における右面と上面5dにおける右半部の部分を覆うことのできる面積を有するよう構成されたシート材6e1と、その外面に左右方向をもって取り付けられた適数本の右横ベルト6e2から構成されている。そして、この右横バンド6e2の右方端は、図4に示す右横ベルト取付リング2hに環などを介して係脱自在に構成され、左方端は、左横ベルト6d2の右方端と尾錠金により係脱自在に構成されている。
【0035】
図3を参照すると、ソフトタンク5は、前方バルクヘッド4bと後方バルクヘッド4aとの間に装着される寸法に構成された平面略方形又は平面略長方形の底面5aと、底面5aの外縁に連設された筒状の側壁5bと、側壁の上縁に防水ファスナー5cを介して連設された上面5dと、上面5dの一部に設けられた筒状の点検口部5eと、側壁5bの下端に設けた給排口5fとから構成されている。点検口部5eは、点検口ファスナー5e1により開閉可能な蓋を具備する。ソフトタンク5は、防水性と可撓性を有する素材から形成され、折り畳み自在である。給排口5fは、後方バルクヘッド4aの一部に開設された開口部4a11(図5参照)から外部に引き出されている。ソフトタンク5の給排口5fには、バルブ5f1(図8参照)を介して公知の給排ホース(図示略)を連結して牛乳等の液体の出し入れをすることになる。給排ホースは、図2に示した給排ホース挿入パイプ部2iに連結され、これを通して車外との液体の出し入れ行う。
【0036】
ソフトタンク5には、次のような利点がある。
・防水ファスナー5cを設けたことで完全に液体を漏らすことなく密封することができ、金具類を一切使用せず防水ファスナー5cを締めるだけで液体のタンクを構成することができる。
・形状が立方体状であるから容積の無駄が少ない。しかも、1トン〜11トン程度まで任意の容量に作製できるので、輸送ロットにあった大きさにすることが可能である。
・バルブ1個で給排液が可能で、簡単に組立分解収納ができる。
・防水ファスナーを開くことで洗浄等の作業を簡単かつ短時間に行うことができる。
・折り畳み方式なので組立分解作業が速く楽である。しかも、折り畳んだ後は車両の工具箱などに収納できる。
【0037】
図4を参照すると、貨物コンテナの床2bの上面には、前後方向(すなわち進行方向)に複数のレール2b1が敷設されている。1本のレール2b1の左右方向断面形状は、床2bから立設した壁部と、壁部の上縁から水平に延びる平坦部とから構成される。隣り合う一対のレール2b1は、断面略C型上の鋼材の凹部を上方に向けて設置することで形成してもよい(図7参照)。
【0038】
隣り合うレール2b1間には、溝2l、2m等が形成される。さらに、溝の一部を、レール2b1の平坦上面と同じ高さとなるように平板で覆った複数の箇所を形成し、この平板に対し、前方バルクヘッド4b用の複数の下部ピン孔2cと、後方バルクヘッド4a用の複数の下部ピン孔2dをそれぞれ穿設する。これら複数の下部ピン孔2c、2dは、それぞれ左右方向に所定の間隔で配置されている。
【0039】
また、溝の一部の底面(すなわち床2bの面)においては、前方の下部ピン孔2cよりも前方位置に複数の前方ステー取付金具2eが設けられ、後方の下部ピン孔2dよりも後方位置に複数の後方ステー取付金具2fが設けられる。これら複数のステー取付金具2e、2fは、それぞれ左右方向に所定の間隔で配置されている。
さらに、左端の溝の一部には、左横ベルト取付リング2gが、右端の溝の一部には、右横ベルト取付リング2hが、それぞれ所定間隔をもって設けられている。後方左端には、給排ホース挿入パイプ2iが設けられている。
【0040】
図5は、後方バルクヘッド4aの後面から見た斜視図であり、図6は、前面から見た斜視図である。なお、前方バルクヘッド4bも後方バルクヘッド4aと同じ構造であるので、1つのバルクヘッドを前方バルクヘッドとしても後方バルクヘッドとしても用いることができる。以下の図5及び図6の説明においては、後方バルクヘッド4aを、単にバルクヘッド4aと略称する。
【0041】
図5を参照すると、バルクヘッド4aは、長方形の平板状の内パネル4a1と、この内パネル4a1の外面(ソフトタンク5の反対側に位置する面)に添着された長方形の外枠4a21と、外枠4a21の内側に上下方向及び左右方向に延在する複数の中枠4a22、4a23、4a24等とから構成されている。外枠4a21の外郭は、内パネル4a1のそれと一致しており、内パネル4a1の補強枠としての役割を果たしている。太い左右方向の中枠4a22も同様に補強枠である。
【0042】
上下方向の複数の中枠の一部として、一対の消波棒取付板4a23が配置されており、所定の間隔で左右方向に複数対(消波棒の数と同数の対)設けられている。1枚の消波棒取付板4a23は、平板状でその面は内パネル4a1に対して垂直である。一対の消波棒取付板4a23間の隙間の幅は、消波棒を挿通可能な寸法である。すなわち、一対の消波棒取付板4a23の隙間は、消波棒の直径にほぼ相当する寸法である。これら一対の消波棒取付板4a23の各々には、互いに同じ高さ位置となるように上下方向に所定の間隔で複数の消波棒ピン孔ph2が穿設されている。さらに、図6を参照すると、図5に示した一対の消波棒取付板4a23の隙間に合致する寸法の左右方向の幅をもつ消波棒挿入スリット4a12が、内パネル4a1に穿設されている。すなわち、上下方向に延びた4つのスリット4b12が、左右方向に所定の間隔で設けられている。一対の消波棒取付板4a23は、1つの消波棒挿入スリット4a21の両側縁にそれぞれ沿うように配置されている。
【0043】
図5に示した上下方向の複数の消波棒ピン孔ph2は、消波棒を回動可能にバルクヘッド4aに取り付けるために使用される(詳細は後述)。ソフトタンクに充填される液体の量によってソフトタンクの上面の高さが異なるので、消波棒の設置高さも液体の充填量によって変える必要がある。使用する消波棒ピン孔ph2の位置によって、消波棒の設置高さを変えることができる。各消波棒ピン孔ph2の横に、充填する液体量を標記しておくと便利である。例えば、一番下の消波棒ピン孔の横に「1トン」と、下から4番目の消波棒ピン孔の横に「1.5トン」と標記しておく。
【0044】
さらに、上下方向の複数の中枠の一部として、前述のステーを取り付けるステー取付板4a24が、所定の間隔で左右方向に複数(ステーの数と同数)設けられている。1枚のステー取付板4a24は、平板状でその面は内パネル4a1に対して垂直である。1枚のステー取付板4a24には、1つのステーピン孔ph1が穿設されている。このステーピン孔ph1は、ステーをバルクヘッド4aに取り付けるために使用される(詳細は後述)。
【0045】
図5に示すように、中枠の一部としてピン収容板4a24を設けてもよい。ピン収容板は、面を水平に配置された平板状であり、幾つかの孔が穿設されている。これらの孔は、液体輸送装置の組立に用いる各種のピンを、分解時に収容しておいたり、組立作業時に一時的に置いたりするためのものである。これによりピンの紛失を防止できる。
【0046】
また、内パネル4a1の外面に設けた小ボルト4a26は、液体輸送装置の組立に用いるナットを、収容したり、一時的に係止したりするためのものである。これによりナットの紛失を防止できる。
【0047】
図5において、バルクヘッド4aの下面中央には、下向きコ字状の配管用切欠き4a11が形成されている。また、外枠4a21の下面には、図4に示したコンテナ床2bの下部ピン孔2c、2dに挿入される下部ピンp3が突設されている。この下部ピンp3自体は着脱可能である。下部ピンp3は、図4の下部ピン孔2c、2dに挿入された後、さらにロックピンp4(図2及び図7参照)により固定される。
【0048】
図7は、図1のB矢視図であり、後方バルクヘッド4aに消波棒7及びステー4cを取り付けた状態を後方から見た図である。図中、2点破線で示す部分は、貨物コンテナの左右壁11aと床板(その上面が床2b)である。
消波棒7は、断面円形の丸棒材である。消波棒7の一端部には、直径を貫通する1つの消波棒端部孔7dが穿設されている。消波棒7を、内パネル4a1の消波棒挿入スリット4a12を介して一対の消波棒取付板4a23の隙間に挿入することにより、消波棒端部孔7dと消波棒ピン孔ph2とを合致させる(消波棒端部孔7dを水平方向にすることで合致する)。合致した消波棒端部孔7dと消波棒ピン孔ph2に対し、消波棒ピンp2を挿入する。これにより、消波棒7が後方バルクヘット4aに対し回動可能な状態で、消波棒7の一端部が後方バルクヘット4aに取り付けられたことになる。この回動動作の軸は、左右方向に位置する消波棒ピンp2の軸と一致する。なお、後方バルクヘッド4aに対する消波棒7の一端部の取付けは、着脱可能であり、消波棒ピンp2を引き抜くことで分解することができる。
【0049】
1本のステー4cの棒状部分であるステー本体4c1は、図示の例では一対の平行な板状ロッドから構成されている。床2bに取り付けられるステー4cの一端部には、左右方向に貫通するステー端部孔4c2が穿設(一対の板状ロッドの同じ位置にそれぞれ穿設)されている。そして、一対の板状ロッドの隙間にステー取付金具2fを挿入させることにより、ステー端部孔4c2とステーピン孔ph3とを合致させる。合致したステー端部孔4c2とステーピン孔ph3に対し、ステーピンp5を挿入する。これにより、ステー4cがコンテナ床2bに対し回動可能な状態で、ステー4cの一端部がコンテナ床2bに取り付けられる。この回動動作の軸は、左右方向に位置するステーピンp5の軸と一致する。なお、コンテナ床2bに対するステー4cの一端部の取付けは、着脱可能でなくともよい。従って、ステーピンp5は、容易に取り外しできないように装着してもよい。
【0050】
さらに、バルクヘッド4aの外面に取り付けられるステー4cの他端部にも、左右方向に貫通するステー端部孔4c3が穿設(一対の板状ロッドの同じ位置にそれぞれ穿設)されている。そして、一対の板状ロッドの隙間にステー取付板4a24を挿入させることにより、ステー端部孔4c3とステーピン孔ph1とを合致させる。合致したステー端部孔4c3とステーピン孔ph1に対し、ステーピンp1を挿入する。これにより、ステー4cの他端部が後方バルクヘッド4aに対し取り付けられる。なお、後方バルクヘッド4aに対するステー4cの他端部の取付けは、着脱可能であり、ステーピンp1を引き抜くことで取り外すことができる。
【0051】
図8は、図1のA−A断面における後方バルクヘッド4aの近傍を示した図である。液体充填状態のソフトタンク5は、後方シート6c及び左方シート6dで覆われている。ソフトタンク5の後面は、後方バルクヘッド4aの内パネル4a1の面と当接して支持されている。ソフトタンク5の上面は、消波棒7の棒状の消波棒本体7aの部分により押圧されている。後方シート6cの吊り紐6c2が消波棒7に結び付けられている。さらに、ソフトタンク5及び消波棒7の上から左横ベルト6d2が掛けられ床2b上の左横ベルト取付リング2gに連結され緊締される(図8に現れていない右方についても同様)ことで安定化される。
【0052】
図8に示すように、ソフトタンクの上面後端部分の断面形状は、下向きU字形の緩やかな湾曲となっている。この結果、ソフトタンク内の液体の流動波立が抑制される。この上面角部の緩やかな湾曲面は、前端部分においても同様である。また、図8の視点とは直交する方向(前後方向)から見た場合においても、左右の上面角部は緩やかな湾曲面となっている。
【0053】
後方バルクヘッド4aの下面から突出した下部ピンp3は、レール2b1と同一面上にある下部ピン孔2dに鉛直に差し込まれている。ロックピンp4はL字形であって水平に配置され、その一端は下部ピンp3の孔に挿通され、他端はレール2b1の切り欠きに係止されている。これらにより、後方バルクヘッド4aは、レール2b1上に立設される。
【0054】
ステー4cの棒状部分であるステー本体4c1の一端部には、ステー端部孔4c2が穿設されており、ステー端部孔4c2の位置は、床2b上のステー取付金具2fに穿設されたステーピン孔ph3と合致している。ステー端部孔4c2とステーピン孔ph3には、ステーピンp5が差し込まれている。これにより、ステー4cは、ステーピンp5を軸として床2bに対して回動可能である。
【0055】
ステー4cの他端部にもステー端部孔4c3が穿設されており、ステー端部孔4c3の位置は、後方バルクヘッド4aのステー取付板4a24に穿設したステーピン孔ph1と合致している。ステー端部孔4c3とステーピン孔ph1には、ステーピンp1が差し込まれている。ステーピンp1は取付け及び引抜きが可能であり、よって、ステー4Cの他端部は、後方バルクヘッド4aに対して着脱可能である。
【0056】
ステー4cの他端部を後方バルクヘッド4aから取り外したとき、ステー4cの一端部を軸(すなわちステーピンp5を軸)としてステー4Cを回動させ倒伏させることができる。
【0057】
消波棒7の一端部には、消波棒端部孔7dが穿設されており、消波棒端部孔7dの位置は、後方バルクヘッド4aの消波棒取付板4a23に穿設された複数の消波棒ピン孔ph2の一つと合致している。消波棒端部孔7dと消波棒ピン孔ph2には、消波棒ピンp2が差し込まれている。この状態において、仮に消波棒7の他端部が固定されていなければ、消波棒7は、消波棒ピンph2を軸として後方バルクヘッド4aに対して回動可能である(図中、両矢印参照)。このことにより、ソフトタンク5への充填前に消波棒7の一端部を後方バルクヘッド4aに取り付ける場合に、その作業を容易に行うことができる。
【0058】
消波棒ピンp2は取付け及び引抜きが可能であり、よって、消波棒7の一端部は、後方バルクヘッド4aに対して着脱可能である。
【0059】
図9は、図1のA−A断面における前方バルクヘッド4bの近傍を示した図である。液体充填状態のソフトタンク5は、前方シート6b及び左方シート6dで覆われている。ソフトタンク5の前面は、前方バルクヘッド4bの内パネル4b1の面と当接して支持されている。ソフトタンク5の上面は、消波棒7の棒状の消波棒本体7aの部分により押圧されている。前方シート6bの吊り紐6b2が消波棒7に結び付けられている。さらに、ソフトタンク5及び消波棒7の上から左横ベルト6d2が掛けられている(図9に現れていない右方についても同様であり、破線で示す右横ベルトが、床2b上の右横ベルト取付リング2hに連結され緊締されている)。
【0060】
前方バルクヘッド4bの立設手段及びステー4dの両端部の取付手段については、図8に示した後方バルクヘッド4a及びステー4cと全く同じであるので、説明を省略する。
【0061】
消波棒7の他端部には、消波棒ボルト部7bが形成されている。消波棒7は、前方バルクヘッド4bの消波棒取付板4b23に穿設された複数の消波棒ピン孔ph4のうち上下方向で隣り合う2つの消波棒ピン孔ph41とph42の間を貫通している。よって、消波棒ボルト部7bは、前方に突き抜けている。消波棒7の直下にある消波棒ピン孔ph41には消波棒ピンp6が差し込まれ、直上にある消波棒ピン孔ph42には、消波棒ピンp7が差し込まれている。この場合、隣り合う消波棒ピン孔ph41とph42の間隔は、消波棒7の直径にほぼ相当することが好適である。さらに、消波棒ナット7cが消波棒ボルト部7bに螺着され、前方バルクヘッド4bに対して消波棒7の他端部を緊締する。これにより、消波棒7が、所定の高さ位置に固定される。
【0062】
図8及び図9の例では、消波棒7を後方バルクヘッド4aに対して回動可能に取付け、前方バルクヘッド4bに対して不動に固定したが、逆に、消波棒7を前方バルクヘッド4bに対して回動可能に取付け、後方バルクヘッド4aに対して不動に固定してもよい。
【0063】
本発明による貨物コンテナ用液体輸送装置の組立方法(液体充填工程を含む)の好適例は、次のS1〜S9の通りである。図1〜図9中の符号を用いて説明する。
・S1:コンテナ床2b上に倒伏して収納されているステー4c、4dを起す(前方バルクヘッド4b及び後方バルクヘッド4bを所定の位置に直立させてからでは、ステー4c、4dを起こせないため)。また、消波棒7が床2bのレール2B1間に収納されている場合は、取り出しておく。
・S2:前方バルクヘッド4b及び後方バルクヘッド4aをそれぞれ、床2b上の下部ピン孔2c、2d上に直立させる。前方バルクヘッド4b及び後方バルクヘッド4bの下面に下部ピンp3を差し込み、下部ピンp3をロックピンp4で固定する。
・S3:ステー4c、4dの他端部を各バルクヘッド4b、4aの外面に取り付ける。
・S4:後方バルクヘッド4aの消波棒挿入スリット4a12に消波棒7の一端部を挿入して所定の高さの消波棒ピン孔ph2に合致させ、消波棒ピンp2を差し込む。この作業は、消波棒7を傾斜させた状態でも行うことができるので、一人でも行うことができる。
・S5:前方バルクヘッド4bの消波棒挿入スリット4b12に消波棒7の他端部を挿入して所定の高さとし、その直下及び直上の消波棒ピン孔ph4に消波棒ピンp6及びp7を差し込む。
・S6:消波棒ボルト部7bに消波棒ナット7cを螺着し、締め込む。
・S7:一対のバルクヘッド4aと4b間に床シート6aを敷き、その上で折り畳まれているソフトタンク5を展張する。ソフトタンク5の給排口5fを後方バルクヘッド4aの給排口通し孔4a11に通す。
・S8:給排口5fと給排ホース挿入パイプ2iを給排ホースで連結する。
・S9:外部から給排ホース挿入パイプ2iに液体を送り込み、ソフトタンク5を膨張させる。ソフトタンク5の上面が消波棒7に当たる前に、前後左右のシート6b〜6dを掛ける。さらに、ソフトタンク5が消波棒7により適宜の圧力で押圧された状態となるまで液体を充填する。液体充填の際、ソフトタンク5内の不要な空気は点検口部5eより排出し、内部に空気を残留させないようにする。最後に、吊り紐6b2、6c2を消波棒7に結びつけ、さらに左右横ベルト6d2、6e2を掛けて緊締する。
【0064】
上記の組立及び液体充填の方法では、ソフトタンク5を膨張させる前に消波棒7を所定の位置に固定しておき、その後にソフトタンク5を充填して膨張させる。この場合、ソフトタンク5が十分な力で押圧された状態を容易にかつ確実に実現することができる。従来は、ソフトタンク5を膨張させた後に、消波棒7を上方から押圧して両端を固定していたため、相当の力が必要であり、十分な押圧状態とすることは困難であった。
【0065】
本発明による貨物コンテナ用液体輸送装置の分解方法(液体排出工程を含む)は、上記のS1〜S9の各工程を逆に行えばよい。
【0066】
なお、上記のように、消波棒7を所定の高さに取り付けた後にソフトタンク5に液体を充填することが最も好適であるが、本発明の液体輸送装置は、ソフトタンク5に液体を充填した後に消波棒7を取り付ける工程を採ったとしても組立可能である。この場合、ソフトタンク5を液体充填状態とした後に、消波棒7の一端部を一方のバルクヘッド4aに回動可能に取付け、この一端部をてこの支点として、消波棒7の他端部を回動させて押し下げることで比較的容易に消波棒7を水平にすることが可能である。その後、他端部を他方のバルクヘッド4bに固定する。このように、消波棒7の一端部を支点としててこの原理で他端部を回動させることができるので、特許文献2の従来例に比べれば容易に消波棒7を取り付けることが可能である。
【0067】
ここで、組立状態における一対のバルクヘッド4a、4bと、ステー4c、4dと、消波棒7との連結関係を整理する。
・一対のバルクヘッド4a、4bは、それぞれ下部ピンp3によりコンテナ床2bに固定されている。
・一対のバルクヘッド4a、4bは、それぞれ傾斜した各ステー4c、4dによってもコンテナ床2bに固定されている。
・消波棒7は、一対のバルクヘッド4a、4b間に架掛けされ両端部が一対のバルクヘット4a、4bとそれぞれ固定されている。
以上の連結関係により、全体が一体のソフトタンク支持枠構造を形成し、全体がコンテナ床2bに安定に固定される。
【0068】
図10は、貨物コンテナ用液体輸送装置1を適用した貨物自動車の一実施例を示す斜視図であり、液体輸送装置1を使用中の状態を示している。この例では、貨物自動車の荷台に搭載された貨物コンテナの後半部の床2b上に1つの液体輸送装置1が組み立てられている。前半部の床2aには液体輸送装置は設けられておらず、任意の貨物を積載することができる。
【0069】
図11は、貨物コンテナ用液体輸送装置1を適用した貨物自動車の別の実施例を示す斜視図であり、液体輸送装置1を使用中の状態を示している。この例では、貨物自動車の荷台に搭載された貨物コンテナの前半部の床2aと後半部の床2b上に1つずつ、合わせて2つの液体輸送装置1が組み立てられている。
【0070】
図12は、図10に示した実施例において、液体輸送装置1の分解収納時の状態を示している。図13は、図12のC断面を示す図である。2枚のバルクヘッド4a、4bは、貨物コンテナの前壁に片寄せられ、ステー4c、4dは倒伏されて床2b上のレール2b1間の溝2lに収納されている。消波棒7もまた、レール2b1間の溝2mに収納されている。ソフトタンク5及びカバー部6は折り畳まれて貨物コンテナ下面の収納部2kに収納されている。この状態のとき、貨物コンテナ内には任意の貨物を積載することができる。これにより、例えば、往路においては液体輸送装置1により液体を輸送し、復路においては別の貨物を輸送することができるので、貨物自動車を無駄なく利用できる。
【0071】
2.第2発明の実施形態
図14は、第2発明に係る貨物コンテナ用液体輸送装置の外観斜視図である。図15は、図14のD断面を示す図である。第2発明の貨物コンテナ用液体輸送装置は、上記第1発明と同一の構成を含む。すなわち、第2発明においても以下の構成を備えている。
・貨物コンテナの床上に、進行方向と平行に複数のレールが敷設される。
・液体充填状態のソフトタンクが、貨物コンテナの左右壁及び底面と、一対のバルクヘッドと、消波棒とにより支持される。
・消波棒の一端部は、一方のバルクヘッドに対して回動可能に取り付けられる。
・一対のバルクヘッドは、傾斜したステーにより支持され、ステーは床に倒伏可能である。
・ソフトタンクはカバー部で覆われている。
【0072】
第2発明の液体輸送装置は、上記に加えて、貨物コンテナ11内にクレーン12を備えている。貨物コンテナ11は、左右壁11a、前後壁11b及び天井壁11cにより囲まれ内部空間を形成する筐体である。天井壁11cは必須ではないが、通常は備わっている。また、左右壁及び/又は後壁には、必要に応じて扉(図示せず)が設けられる。
【0073】
クレーン12は、貨物コンテナの左右壁11aの各々の上縁近傍にクレーン用レール12aを具備する。左右のクレーン用レール12aは、同じ高さ位置にて前後方向に設けられている。一対のクレーン用レール12a間には、横架ロッド12b1が架け渡されている。横架ロッド12b1の両端には、クレーン用レール12a上を走行する一対のローラ12b2が設けられている。さらに、横架ロッドの中央からは、チェーンブロック12cが懸下されている。
【0074】
クレーン12は、バルクヘッド4a、4bの組立及び分解の際の移動に用いる。チェーンブロック12cによりバルクヘッド4a、4bを吊り上げて前後方向に移動させる。これにより、バルクヘッド4a、4bを容易に移動させたり、立設させたりすることができる。
【0075】
また、液体輸送装置1の分解収納時に他の貨物を積載する場合に、それらの貨物の移動にも用いることができ、特に重量物の場合には便利である。
【0076】
上記の図10〜図15では、バン型の貨物自動車を例に説明したが、本発明の適用される貨物コンテナは、海上コンテナ、平ボディー型自動車、ウィング型の貨物自動車、鉄道用コンテナ、航空機用コンテナ等々における床に設置できる。
また、これら貨物コンテナは、図示は略するが、必要に応じて冷凍機を備えたものとすることができる。
牛乳のほかに、サラダ油、食用油、醤油、ヤシ油、ラード、アルコールなど振動を嫌う液体などに特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1発明における要部の斜視図である。
【図2】図1に示した液体輸送装置の展開斜視図である。
【図3】ソフトタンクの外観斜視図である。
【図4】コンテナ床の斜視図である。
【図5】後方バルクヘッドの後面から見た斜視図である。
【図6】後方バルクヘッドの前面から見た斜視図である。。
【図7】図1のB矢視図であり、後方バルクヘッドに消波棒及びステーを取り付けた状態を後方から見た図である。
【図8】A−A線における後方側の要部拡大断面図である。
【図9】A−A線における前方側の要部拡大断面図である。
【図10】使用状態の斜視図である。
【図11】使用状態の斜視図である。
【図12】格納状態の斜視図である。
【図13】C−C線における拡大断面図である。
【図14】第2発明における要部の斜視図である。
【図15】D−D線における拡大断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1:貨物コンテナ用液体輸送装置
2:貨物自動車
2a:貨物コンテナ床
2b:貨物コンテナ床、2b1:レール
2c、2d:下部ピン孔
2e、2f:ステー取付金具
2g:左横ベルト取付リング
2h:右横ベルト取付リング
2i:給排ホース挿入パイプ、2i1:キャップ
2j:蓋
2k:収容部
2l:ステー収容溝
2m:消波棒収容溝
3:液体タンク部
4:支持枠部
4a:後方バルクヘッド、4a1:内パネル、4a11:給排口通し孔、4a12:消波棒挿入スリット、4a2:枠体、4a21:外枠、4a22:中枠、4a23:消波棒取付板、4a24:ステー取付板、4a25:ピン収容板、4a26:ナット収容ボルト
4b:前方バルクヘッド
4c:後方ステー、4c1:ステー本体、4c2、4c3:ステー端部孔
4d:前方ステー
5:ソフトタンク
5a:底面
5b:側壁
5c:防水ファスナー
5d:上面
5e:点検口、5e1:点検口ファスナー
5f:給排口、5f1:バルブ
6:カバー部
6a:床シート
6b:前方シート、6b1:シート材、6b2、吊り紐
6c:後方シート、6c1:シート材、6c2:吊り紐
6d:左方シート、6d1:シート材、6d2:左横ベルト
6e:右方シート、6e1:シート材、6e2:右横ベルト
7:消波棒
7a:消波棒本体
7b:消波棒ボルト部
7c:消波棒ナット
7d:消波棒端部孔
11:貨物コンテナ
11a:コンテナ左右壁
11b:コンテナ前後壁
11c:コンテナ天井壁
12:クレーン
12a:クレーン用レール
12b:クレーンロッド、12b1:横架ロッド、12b2:ローラ
12c:チェーンブロック
p1、p5:ステーピン、p2、p6、p7:消波棒ピン、p3:下部ピン、p4:ロックピン
ph1、ph3:ステーピン孔、ph2、ph4、ph41、ph42:消波棒ピン孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送車両等に搭載された貨物コンテナの床(2b)上に設置され液体充填状態にて角部に丸みをもつ略直方体形状でありかつ該貨物コンテナの左右壁(11a)により支持されるソフトタンク(5)と、液体充填状態の前記ソフトタンクの後面及び前面をそれぞれ支持するべく該ソフトタンクの前方及び後方にて前記床上に立設された壁状の一対のバルクヘッド(4a、4b)と、前記一対のバルクヘッド間に架掛されかつ液体充填状態の該ソフトタンクを上方から押圧するように該一対のバルクヘッドに両端部をそれぞれ取付けられた消波棒(7)とを備えた液体輸送装置において、
(A)一方の前記バルクヘッド(4b)に位置する左右方向の軸(p2)の周りに前記消波棒(7)が回動可能であるように該消波棒の一端部を一方の前記バルクヘッド(4b)に着脱可能に取付ける第1の取付手段と、
(B)前記消波棒(7)の他端部を、他方の前記バルクヘッド(4a)に対し着脱可能に固定する第2の取付手段とを備えたことを特徴とする貨物コンテナ用液体輸送装置。
【請求項2】
(A)前記一対のバルクヘッドの各々が、長方形の内パネル(4a1)と、該内パネルの外面に添着された長方形の外枠(4a21)と、該外枠の内側にて上下方向及び左右方向にそれぞれ延在する複数の中枠(4a22、4a23、4a24)とを備え、
(B)前記一方のバルクヘッドにおける前記第1の取付手段は、
(B1)前記消波棒(7)を挿通可能な左右方向の幅にて前記内パネルに上下方向に穿設された第1の消波棒挿入スリット(4a12)と、
(B2)前記上下方向の複数の中枠の一部であって前記第1の消波棒挿入スリットの両側縁に沿ってそれぞれ配置された一対の第1の消波棒取付板(4a23)と、
(B3)前記一対の第1の消波棒取付板において互いに同じ高さ位置となるように上下方向に所定の間隔でそれぞれ穿設された複数の第1の消波棒ピン孔(ph2)と、
(B4)前記消波棒の一端部に穿設された消波棒端部孔(7d)と、
(B5)前記消波棒の一端部を、前記第1の消波棒挿入スリット及び前記一対の第1の消波棒取付板の間に挿通させた状態で前記第1の消波棒ピン孔及び前記消波棒端部孔に着脱可能に挿入した第1の消波棒ピン(p2)とを具備し、かつ、
(C)前記他方のバルクヘッドにおける前記第2の取付手段は、
(C1)前記消波棒(7)を挿通可能な左右方向の幅にて前記内パネルに上下方向に穿設された第2の消波棒挿入スリット(4b12)と、
(C2)前記上下方向の複数の中枠の一部であって前記第2の消波棒挿入スリットの両側縁に沿ってそれぞれ配置された一対の第2の消波棒取付板(4b23)と、
(C3)前記一対の第2の消波棒取付板において互いに同じ高さ位置となるように上下方向に所定の間隔でそれぞれ穿設された複数の第2の消波棒ピン孔(ph2)と、
(C4)前記消波棒の他端部に形成された消波棒ボルト部(7b)と、
(C5)前記消波棒の他端部を、前記第2の消波棒挿入スリット及び前記一対の第2の消波棒取付板の間に挿通させた状態で該消波棒の他端部の直上及び直下に位置する前記第2の消波棒ピン孔に対して着脱可能に挿入した一対の第2の消波棒ピン(p6,p7)と、
(C6)前記一対の第2の消波棒取付板の間を突き抜けた前記消波棒ボルト部に螺着され該消波棒を前記他方のバルクヘッドに対し緊締する消波棒ナット(7c)とを具備することを特徴とする請求項1に記載の貨物コンテナ用液体輸送装置。
【請求項3】
前記一対のバルクヘッドの各々を支持するべく、前記バルクヘッドの外面と前記貨物コンテナの床の間に傾斜して架け渡される複数の棒状のステー(4c,4d)を備え、
前記ステーが左右方向の軸(p5)の周りに回動可能であるように該ステーの一端部を前記貨物コンテナの床に取り付ける第3の取付手段と、
前記ステーの他端部を、前記バルクヘッドの外面に対し着脱可能に取り付ける第4の取付手段とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の貨物コンテナ用液体輸送装置。
【請求項4】
前記第3の取付手段は、第1のステーピン孔(ph3)を穿設した取付金具(2f)と、前記ステーの一端部に穿設された第1のステー端部孔(4d3)と、前記第1のステーピン孔及び前記第1のステー端部孔に挿入した第1のステーピン(p5)とを具備し、かつ、
前記第4の取付手段は、前記バルクヘッドが備える上下方向の複数の中枠の一部であるステー取付板(4a24)と、前記ステー取付板に穿設された第2のステーピン孔(ph1)と、前記ステーの他端部に穿設された第2のステー端部孔(4c2)と、前記第2のステーピン孔及び前記第2のステー端部孔に着脱可能に挿入した第2のステーピン(p1)とを具備することを特徴とする請求項3に記載の貨物コンテナ用液体輸送装置。
【請求項5】
前記床面上に前後方向に配設された複数のレールをさらに備え、該レールの上端面は平坦でありかつ隣り合うレール間には所定の溝が形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の貨物コンテナ用液体輸送装置。
【請求項6】
前記ステーの他端部を前記バルクヘッドの外面から取り外した場合に、該ステーを倒して前記溝内に収容可能であることを特徴とする請求項5に記載の貨物コンテナ用液体輸送装置。
【請求項7】
前記消波棒を前記バルクヘッドから取り外した場合に、該消波棒を前記溝内に収容可能であることを特徴とする請求項5又は6に記載の貨物コンテナ用液体輸送装置。
【請求項8】
前記貨物コンテナ内において前後方向に移動可能に設けられかつ前記バルクヘッドを吊り下げる手段を具備するクレーンをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の貨物コンテナ用液体輸送装置。
【請求項9】
輸送車両等に搭載された貨物コンテナの床上に設置され液体を充填することにより角部に丸みをもつ略直方体形状となり該貨物コンテナの左右壁(11a)により支持されるソフトタンク(5)と、液体充填状態の前記ソフトタンクの後面及び前面をそれぞれ支持するべく該ソフトタンクの後方及び前方にて前記床上に立設された壁状の一対のバルクヘッド(4b、4a)と、前記一対のバルクヘッド間に架掛されかつ液体充填状態の該ソフトタンクを上方から押圧するように該一対のバルクヘッドに両端部をそれぞれ取付けられた消波棒(7)とを備えた液体輸送装置の組立方法であって、
前記床上に前記一対のバルクヘッドを立設する工程と、
前記消波棒の一端部及び他端部を、前記床から所定の高さ位置において前記一対のバルクヘッドの各々に対しそれぞれ取付け固定する工程と、
液体充填前の前記ソフトタンクを、立設された前記一対のバルクヘッドの間に展張する工程と、
前記ソフトタンクに液体を充填することにより該ソフトタンクを膨張させ、該ソフトタンクの上面が前記消波棒により押圧された状態とする工程とを有することを特徴とする貨物コンテナ用液体輸送装置の組立方法。
【請求項1】
輸送車両等に搭載された貨物コンテナの床(2b)上に設置され液体充填状態にて角部に丸みをもつ略直方体形状でありかつ該貨物コンテナの左右壁(11a)により支持されるソフトタンク(5)と、液体充填状態の前記ソフトタンクの後面及び前面をそれぞれ支持するべく該ソフトタンクの前方及び後方にて前記床上に立設された壁状の一対のバルクヘッド(4a、4b)と、前記一対のバルクヘッド間に架掛されかつ液体充填状態の該ソフトタンクを上方から押圧するように該一対のバルクヘッドに両端部をそれぞれ取付けられた消波棒(7)とを備えた液体輸送装置において、
(A)一方の前記バルクヘッド(4b)に位置する左右方向の軸(p2)の周りに前記消波棒(7)が回動可能であるように該消波棒の一端部を一方の前記バルクヘッド(4b)に着脱可能に取付ける第1の取付手段と、
(B)前記消波棒(7)の他端部を、他方の前記バルクヘッド(4a)に対し着脱可能に固定する第2の取付手段とを備えたことを特徴とする貨物コンテナ用液体輸送装置。
【請求項2】
(A)前記一対のバルクヘッドの各々が、長方形の内パネル(4a1)と、該内パネルの外面に添着された長方形の外枠(4a21)と、該外枠の内側にて上下方向及び左右方向にそれぞれ延在する複数の中枠(4a22、4a23、4a24)とを備え、
(B)前記一方のバルクヘッドにおける前記第1の取付手段は、
(B1)前記消波棒(7)を挿通可能な左右方向の幅にて前記内パネルに上下方向に穿設された第1の消波棒挿入スリット(4a12)と、
(B2)前記上下方向の複数の中枠の一部であって前記第1の消波棒挿入スリットの両側縁に沿ってそれぞれ配置された一対の第1の消波棒取付板(4a23)と、
(B3)前記一対の第1の消波棒取付板において互いに同じ高さ位置となるように上下方向に所定の間隔でそれぞれ穿設された複数の第1の消波棒ピン孔(ph2)と、
(B4)前記消波棒の一端部に穿設された消波棒端部孔(7d)と、
(B5)前記消波棒の一端部を、前記第1の消波棒挿入スリット及び前記一対の第1の消波棒取付板の間に挿通させた状態で前記第1の消波棒ピン孔及び前記消波棒端部孔に着脱可能に挿入した第1の消波棒ピン(p2)とを具備し、かつ、
(C)前記他方のバルクヘッドにおける前記第2の取付手段は、
(C1)前記消波棒(7)を挿通可能な左右方向の幅にて前記内パネルに上下方向に穿設された第2の消波棒挿入スリット(4b12)と、
(C2)前記上下方向の複数の中枠の一部であって前記第2の消波棒挿入スリットの両側縁に沿ってそれぞれ配置された一対の第2の消波棒取付板(4b23)と、
(C3)前記一対の第2の消波棒取付板において互いに同じ高さ位置となるように上下方向に所定の間隔でそれぞれ穿設された複数の第2の消波棒ピン孔(ph2)と、
(C4)前記消波棒の他端部に形成された消波棒ボルト部(7b)と、
(C5)前記消波棒の他端部を、前記第2の消波棒挿入スリット及び前記一対の第2の消波棒取付板の間に挿通させた状態で該消波棒の他端部の直上及び直下に位置する前記第2の消波棒ピン孔に対して着脱可能に挿入した一対の第2の消波棒ピン(p6,p7)と、
(C6)前記一対の第2の消波棒取付板の間を突き抜けた前記消波棒ボルト部に螺着され該消波棒を前記他方のバルクヘッドに対し緊締する消波棒ナット(7c)とを具備することを特徴とする請求項1に記載の貨物コンテナ用液体輸送装置。
【請求項3】
前記一対のバルクヘッドの各々を支持するべく、前記バルクヘッドの外面と前記貨物コンテナの床の間に傾斜して架け渡される複数の棒状のステー(4c,4d)を備え、
前記ステーが左右方向の軸(p5)の周りに回動可能であるように該ステーの一端部を前記貨物コンテナの床に取り付ける第3の取付手段と、
前記ステーの他端部を、前記バルクヘッドの外面に対し着脱可能に取り付ける第4の取付手段とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の貨物コンテナ用液体輸送装置。
【請求項4】
前記第3の取付手段は、第1のステーピン孔(ph3)を穿設した取付金具(2f)と、前記ステーの一端部に穿設された第1のステー端部孔(4d3)と、前記第1のステーピン孔及び前記第1のステー端部孔に挿入した第1のステーピン(p5)とを具備し、かつ、
前記第4の取付手段は、前記バルクヘッドが備える上下方向の複数の中枠の一部であるステー取付板(4a24)と、前記ステー取付板に穿設された第2のステーピン孔(ph1)と、前記ステーの他端部に穿設された第2のステー端部孔(4c2)と、前記第2のステーピン孔及び前記第2のステー端部孔に着脱可能に挿入した第2のステーピン(p1)とを具備することを特徴とする請求項3に記載の貨物コンテナ用液体輸送装置。
【請求項5】
前記床面上に前後方向に配設された複数のレールをさらに備え、該レールの上端面は平坦でありかつ隣り合うレール間には所定の溝が形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の貨物コンテナ用液体輸送装置。
【請求項6】
前記ステーの他端部を前記バルクヘッドの外面から取り外した場合に、該ステーを倒して前記溝内に収容可能であることを特徴とする請求項5に記載の貨物コンテナ用液体輸送装置。
【請求項7】
前記消波棒を前記バルクヘッドから取り外した場合に、該消波棒を前記溝内に収容可能であることを特徴とする請求項5又は6に記載の貨物コンテナ用液体輸送装置。
【請求項8】
前記貨物コンテナ内において前後方向に移動可能に設けられかつ前記バルクヘッドを吊り下げる手段を具備するクレーンをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の貨物コンテナ用液体輸送装置。
【請求項9】
輸送車両等に搭載された貨物コンテナの床上に設置され液体を充填することにより角部に丸みをもつ略直方体形状となり該貨物コンテナの左右壁(11a)により支持されるソフトタンク(5)と、液体充填状態の前記ソフトタンクの後面及び前面をそれぞれ支持するべく該ソフトタンクの後方及び前方にて前記床上に立設された壁状の一対のバルクヘッド(4b、4a)と、前記一対のバルクヘッド間に架掛されかつ液体充填状態の該ソフトタンクを上方から押圧するように該一対のバルクヘッドに両端部をそれぞれ取付けられた消波棒(7)とを備えた液体輸送装置の組立方法であって、
前記床上に前記一対のバルクヘッドを立設する工程と、
前記消波棒の一端部及び他端部を、前記床から所定の高さ位置において前記一対のバルクヘッドの各々に対しそれぞれ取付け固定する工程と、
液体充填前の前記ソフトタンクを、立設された前記一対のバルクヘッドの間に展張する工程と、
前記ソフトタンクに液体を充填することにより該ソフトタンクを膨張させ、該ソフトタンクの上面が前記消波棒により押圧された状態とする工程とを有することを特徴とする貨物コンテナ用液体輸送装置の組立方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図15】
【公開番号】特開2009−40448(P2009−40448A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206188(P2007−206188)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(591167913)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(591167913)
【Fターム(参考)】
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