販売促進システム
【課題】ICタグを用いた商品の販売促進を実現する。
【解決手段】商品に付されたICタグ12a〜14aおよび顧客3の所持する顧客カード31に付されたICタグ31aとの間で電波を送受信し、商品の現在の位置および顧客3の現在の位置を受信するリーダ4a〜4dと、リーダ4a〜4dと接続するサーバ2とがあって、サーバ2の行動判定部231は、商品の現在の位置が棚に陳列された位置と異なり、かつ、顧客3の現在の位置が商品の現在の位置の近傍にあるときは、タイマ232に対して商品の移動の開始時刻である移動開始時刻を生成させ、商品移動履歴DB244に移動開始時刻を格納する。また、商品が元の陳列された位置に戻り、かつ、顧客3の現在の位置が商品の位置から所定の距離以上離れたときは、タイマ232に対して商品の移動の終了時刻である移動終了時刻を生成させ、商品移動履歴DB244に移動終了時刻を格納する。
【解決手段】商品に付されたICタグ12a〜14aおよび顧客3の所持する顧客カード31に付されたICタグ31aとの間で電波を送受信し、商品の現在の位置および顧客3の現在の位置を受信するリーダ4a〜4dと、リーダ4a〜4dと接続するサーバ2とがあって、サーバ2の行動判定部231は、商品の現在の位置が棚に陳列された位置と異なり、かつ、顧客3の現在の位置が商品の現在の位置の近傍にあるときは、タイマ232に対して商品の移動の開始時刻である移動開始時刻を生成させ、商品移動履歴DB244に移動開始時刻を格納する。また、商品が元の陳列された位置に戻り、かつ、顧客3の現在の位置が商品の位置から所定の距離以上離れたときは、タイマ232に対して商品の移動の終了時刻である移動終了時刻を生成させ、商品移動履歴DB244に移動終了時刻を格納する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に小売店で販売される商品の販売促進において、IC(Integrated Circuit)タグを用いる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、商品である書籍に付与したICタグと、その書籍を識別する書籍ID情報を読み取るICタグリーダと、管理用サーバを利用し、複数の取扱組織間における書籍流通情報を一元的に管理できるようにして、流通過程の書籍情報を収集できるようにした非接触ICタグを利用した書籍情報管理システムについて開示されている。
【特許文献1】特開2004−118600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1は、たとえICタグを用いて書籍と取扱組織との管理(例えば、入出庫の管理)を可能にしていても、書籍と顧客との管理はなされていないため、その書籍情報管理システムを書籍の販売促進に利用することは困難である。
【0004】
そこで、本発明は、ICタグを用いた商品の販売促進を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明の販売促進システムは、
商品を識別する情報を記憶する商品用ICタグおよび顧客を識別する情報を記憶する顧客用ICタグとの間で電波を送受信し、前記商品用ICタグから前記商品を識別する情報および前記商品の現在の位置を示す商品現在位置情報を受信するとともに、前記顧客用ICタグから前記顧客を識別する情報および前記顧客の現在の位置を示す顧客現在位置情報を受信するリーダと、
前記リーダから前記商品を識別する情報、前記商品現在位置情報、前記顧客を識別する情報および前記顧客現在位置情報を受信するサーバとが接続され、
前記顧客の前記商品に対する行動を管理する販売促進システムにおいて、
前記サーバは、
少なくとも、前記商品を識別する情報が格納される商品識別フィールド、当該商品が配置されていたときの位置を示す商品配置位置情報が格納される位置フィールド、前記顧客を識別する情報が格納される顧客識別フィールド、前記商品を識別する情報が格納される商品識別フィールド、当該商品の移動が開始した時刻である移動開始時刻を示す情報が格納される移動開始時刻フィールドおよび当該商品の移動が終了した時刻である移動終了時刻を示す情報が格納される移動終了時刻フィールドを有するデータベースと、
前記リーダから、前記商品現在位置情報および前記顧客現在位置情報を取得するとともに、前記データベースから前記商品配置位置情報を取得し、前記商品現在位置情報、前記顧客現在位置情報および前記商品配置位置情報に基づいて前記顧客の行動を判定する行動判定手段と、
を備え、
前記行動判定手段は、
前記商品現在位置情報が示す商品の第1の現在の位置と前記商品配置位置が示す商品が配置されていた位置とが異なり、かつ、前記顧客現在位置情報が示す顧客の現在の位置が商品の前記第1の現在の位置に対し所定の距離以内にあるときは、前記データベースの前記移動開始時刻フィールドに前記移動開始時刻を格納させ、
前記商品現在位置情報が示す商品の第2の現在の位置と前記第1の現在の位置とが異なり、かつ、前記顧客現在位置情報が示す顧客の現在の位置が前記第2の現在の位置に対し所定の距離以上離れているときは、前記データベースの前記移動終了時刻フィールドに前記移動終了時刻を格納させる
ことを特徴とする。詳細は、後記する。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、ICタグを用いた商品の販売促進を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という。)について説明する。説明する際には、本明細書と同時に提出する図面を適宜参照する。
【0008】
≪第1の実施形態≫
第1の実施形態では、商品を手に取るという顧客の行動に着目して販売促進を行う技術内容について説明する。
【0009】
≪構成≫
図1は、第1の実施形態における販売促進システムの構成を図示したものである。ドラッグストアである店舗1が図中上側に、コンピュータであるサーバ2が図中下側に描かれている。
【0010】
店舗1には、生活用品(商品)12が陳列された棚A11a、薬(商品)13が陳列された棚B11b、化粧品(商品)が陳列された14棚C11c、人気商品や時期的に重要度が高まる商品等が陳列された棚D11dおよび商品を購入するときの勘定を行う計算機であるレジスタ15が配置されている。店舗1に入った顧客3は、例えば、その店舗1で商品を購入したときに付与されるポイントを貯められる機能を有する顧客カード31を所持している。顧客3は、気に入った商品を目にすれば、その商品を手に取るはずである。なお、説明の便宜上、生活用品12、薬13および化粧品14を、単に、「商品」と称する場合がある。
【0011】
生活用品12、薬13および化粧品14といった各商品には、ICタグ12a、13a、14aが付されている。ICタグ12a、13a、14aには当該商品を識別する商品ID(Identification)等が記憶されている。また、顧客カード31にもICタグ31aが付されており、ICタグ31aには、顧客を識別する顧客ID等が記憶されている。棚A11a、棚B11b、棚C11cおよび棚D11dには、それぞれリーダ4a、4b、4c、4dが設置されている。
【0012】
ICタグ12a、13a、14a、31aは、例えば、プラスチック基材に金属層を積層し、アンテナ用のコイルパターンを金属層にエッチング形成し、所定の情報を記憶したICチップを当該コイルに接続するようにして形成される。
【0013】
リーダ4a、4b、4c、4dは、電波を送受信するアンテナを備えており、ICタグ12a、13a、14a、31aに質問波を送信し、ICタグ12a、13a、14a、31aから応答波を受信する。また、リーダ4a、4b、4c、4dは、質問波を送信する送信系、応答波を受信する受信系およびインタフェース経由でサーバ2に所定の情報を送信する制御系から構成される。
【0014】
質問波には、ICタグ12a、13a、14a、31a駆動用のエネルギと、ICタグ12a、13a、14a、31a動作用のクロック情報が含まれている。ICタグ12a、13a、14a、31aは質問波を受信すると、ICチップを駆動させ、所定のタイミングで、ICチップに記憶された情報を応答波としてリーダ4a、4b、4c、4dに送信する。応答波を受信したリーダ4a、4b、4c、4dは、サーバ2に対して前記情報を送信する。サーバ2は、インストールされたアプリケーションにより情報の解析を行う。
【0015】
ICタグとリーダとの通信距離は、質問波のエネルギを大きくすると長くすることができるが、ICチップのダイナミックレンジ特性や、電波法の規制によりそのエネルギには一定の制限がある。本実施形態においては、リーダ4aから送信された質問波は、棚A11aに陳列された生活用品12のICタグ12aに届き、リーダ4bから送信された質問波は、棚B11bに陳列された薬13のICタグ13aに届き、リーダ4cから送信された質問波は、棚C11cに陳列された化粧品14のICタグ14aに届き、リーダ4dから送信された質問波は、棚D11dに陳列された商品に届くように、ICタグ12a、13a、14a、リーダ4a、4b、4c、4dが設計されているものとする。また、ICタグ31aは、顧客3がある商品を手にした場合、その商品が陳列されていた棚に設置されたリーダから送信された質問波が当該顧客カード31のICタグ31aに届くように、設計されているものとする(例えば、ICタグとリーダとの通信距離は10m程度)。なお、リーダが電波強度を可変して、距離を測定することにより、ICタグの付いた商品およびICタグの付いた顧客カードの位置(つまり、顧客の位置)を検出するには、少なくとも3つのリーダを備える必要がある。本実施形態においては、店舗1には、それに見合うだけのリーダが配置されているものとする。しかし、説明の便宜上、図1においては、それぞれ1つだけのリーダ(リーダ4a、4b、4c、4d)が図示されている。
【0016】
サーバ2は、入力部21、出力部22、制御部23、記憶部24およびバス25といったハードウェア資源を有して構成されている。入力部21は、リーダ4a、4b、4c、4dおよびレジスタ15から所定の情報を受信する入力ポート用の回路として実装される。キーボードやマウス等といった入力手段からの入力も受け付ける。出力部22は、レジスタ15に対し、主に、商品の購入の勘定に必要な所定の情報を出力する出力ポート用の回路として実装される。ディスプレイやプリンタ、レジスタ15等といった他の出力手段への出力も行う。バス25は、入力部21、出力部22、制御部23および記憶部24を通信的に接続する。
【0017】
制御部23は、例えばCPU(Central Processing Unit:中央制御装置)等で実装されている。この制御部23は、その機能構成として、行動判定部231およびタイマ232を有している。そして、サーバ2が有する不図示のROMに記録された記録媒体からプログラムを読み出し、本実施形態に関する情報処理を実行する。
【0018】
行動判定部231は、主に、顧客カード31の位置情報および商品の位置情報に基づいて顧客3の行動を判定する機能を有する。顧客カード31の位置情報は、リーダ4a、4b、4c、4dにおいて顧客カード31に付されたICタグ31aから受信する応答波の方向等から検出される。商品の位置情報は、リーダ4a、4b、4c、4dにおいて商品に付されたICタグ12a、13a、14aから受信する応答波の方向等から検出される。
【0019】
タイマ232は、主に、顧客3や商品が移動した時刻を計測する機能を有する。
【0020】
記憶部24は、読み書きされるデータを展開するための記憶領域を確保するRAM(Random Access Memory)や外部記憶装置としてのHDD(Hard Disk Drive)等で実装されている。この記憶部24は、その機能構成として、顧客DB(Data Base:データベース)241、商品DB242、購入履歴DB243および商品移動履歴DB244を有している。
【0021】
顧客DB241は、顧客カード31の発行を済ませた顧客3の個人情報を管理するデータベースである。図2は、第1の実施形態における顧客DB241のデータ構造を図示したものである。この顧客DB241は、顧客3を識別する情報である顧客ID(例えば、6桁の数字)が格納される顧客IDフィールド2411、顧客3の氏名が格納される氏名フィールド2412、顧客3の住所が格納される住所フィールド2413、顧客3の自宅の電話番号が連絡先として格納される連絡先フィールド2414および顧客3の所有する携帯電話の電話番号が連絡先として格納される連絡先フィールド2415を有している。
【0022】
商品DB242は、店舗1で販売される商品に関する情報を管理するデータベースである。図3は、第1の実施形態における商品DB242のデータ構造を図示したものである。この商品DB242は、店舗1で販売される商品を識別する商品ID(例えば、6桁の数字)が格納される商品IDフィールド2421、商品の名称が格納される商品名フィールド2422、商品の種類が格納される種類フィールド2423、商品を製造するメーカの名称が格納されるメーカフィールド2424、単位を円とした、商品の価格が格納される価格フィールド2425および店舗1内における商品の位置が格納される位置フィールド2426を有している。
【0023】
位置フィールド2426に格納される値は次のようにして取得される。すなわち、店舗1内にあるリーダ(リーダ4a、4b、4c、4dのいずれか)は、棚(棚A11a、棚B11b、棚C11c、棚D11dのいずれか)に陳列された商品に付されたICタグから応答波を受信する。その応答波が解析されると、当該商品の位置が判別される。その判別された位置が位置情報(棚Aの上段等)としてサーバ2に送信される。
【0024】
購入履歴DB243は、店舗1で販売されている商品が顧客3によって購入された場合、その購入履歴を管理するデータベースである。図4は、第1の実施形態における購入履歴DB243のデータ構造を図示したものである。この購入履歴DB243は、顧客IDフィールド2411(図2参照)と同等の機能を有する顧客IDフィールド2431、商品IDフィールド2421(図3参照)と同等の機能を有する商品IDフィールド2432および顧客が商品を購入した時刻が格納される購入時刻フィールド2433を有している。
【0025】
購入時刻フィールド2433に格納される値は次のようにして取得される。すなわち、
レジスタ15において、商品の購入手続が処理され、その処理において、購入された商品およびその商品を購入した顧客3が判別される。そして、その処理が行われた時刻は、タイマ232が計測している。タイマ232は、行動判定部231の要求に従って計測した時刻を行動判定部231に送信する。行動判定部231は、購入履歴DB243を読み出し、購入時刻フィールド2433においてその時刻を登録する。
【0026】
商品移動履歴DB244は、店舗1で販売される商品の移動に関する情報を管理するデータベースである。なお、商品の移動は、主に、顧客3がその商品を手にすることによってなされる。図5は、第1の実施形態における商品移動履歴DB244のデータ構造を図示したものである。この商品移動履歴DB244は、顧客IDフィールド2411(図2参照)と同等の機能を有する顧客IDフィールド2441、商品IDフィールド2421(図3参照)と同等の機能を有する商品IDフィールド2442、商品の移動の開始が確認されたときの時刻が格納される移動開始時刻フィールド2443および商品の移動の終了が確認されたときの時刻が格納される移動終了時刻フィールド2444を有している。
【0027】
移動開始時刻フィールド2443および移動終了時刻フィールド2444に格納される値は次のようにして取得される。すなわち、顧客3がある商品を手にすれば、その商品に付されたICタグも移動するので、その商品の近くに存在するリーダはICタグの応答波により、元々あった位置から移動したことを検出することができる。その移動した位置の位置情報がサーバ2に送信されると、行動判定部231は顧客3が手にしたために商品が移動したと判定する。そして、その移動が検出された時刻は、タイマ232が計測している。タイマ232は、行動判定部231の要求に従って計測した時刻を行動判定部231に送信する。行動判定部231は、商品移動履歴DB244を読み出し、移動開始時刻フィールド2443においてその時刻を移動開始時刻として登録する。
【0028】
また、顧客3がその商品を手放せば、その商品に付されたICタグも移動するので、その商品の近くに存在するリーダはICタグの応答波により、顧客3が手にしていた位置から移動したことを検出することができる。なお、通常は、顧客3が手放したときの商品の位置は、元々ある棚に陳列されていた位置に等しい(はずである)。その移動した位置の位置情報がサーバ2に送信されると、行動判定部231は顧客3が手放したために商品が移動したと判定する。そして、その移動が検出された時刻は、タイマ232が計測している。タイマ232は、行動判定部231の要求に従って計測した時刻を行動判定部231に送信する。行動判定部231は、商品移動履歴DB244を読み出し、移動終了時刻フィールド2444においてその時刻を移動終了時刻として登録する。
【0029】
商品移動履歴DB244において、あるレコードに着目したとき、その移動終了時刻と移動開始時刻との差分をとると、顧客3が当該商品を手にしていた時間が求められる。この時間が長ければ長いほど、その顧客3がその商品に強い関心を示した(はず)と分析することができる。また、商品移動履歴DB244において、顧客IDと商品IDが一致するレコードの数は、当該顧客3が当該商品を手にした回数を意味しており、この数が多いほど、その顧客3がその商品に強い関心を示した(はず)と分析することができる。
以上で、第1の実施形態の販売促進システムの構成に関する説明を終了する。
【0030】
≪動作≫
次に、行動判定部231による、ある商品に対する顧客3の行動を判定するための処理手順について詳細に説明する。図6は、商品に対する顧客の行動を判定するための処理手順をフローチャートとして図示したものである。
【0031】
まず、ステップS601において、行動判定部231は、リーダ4a、4b、4c、4dが検出した商品の位置を位置情報として取得する。取得した後、ステップS602に進む。
【0032】
次に、ステップS602において、行動判定部231は、ステップS601において取得した位置情報から当該商品の移動があったか否か判定する。商品の移動があれば(ステップS602でYes)、ステップS603に進む。そうでなければ(ステップS602でNo)、ステップS601に戻る。なお、ステップS602における商品の移動は、リーダ4a、4b、4c、4dが検出した商品の位置情報と、リーダ4a、4b、4c、4dが検出した当該商品の商品IDを商品DB242における検索キーとして位置フィールド2426から抽出される位置情報とを比較して確認することができる。このステップにおいて、リーダ4a、4b、4c、4dが検出した商品の位置情報は、記憶部24に一時的に記憶しておく。
【0033】
次に、ステップS603において、行動判定部231は、リーダ4a、4b、4c、4dが検出した顧客カード31の位置を位置情報として取得する。取得した後、ステップS604に進む。なお、顧客カード31の位置がわかれば、顧客3の位置がわかるものとする。
【0034】
次に、ステップS604において、行動判定部231は、商品の近傍(例えば、1m以内)に顧客カードが存在するか否か判定する。存在すれば(ステップS604でYes)、顧客がその商品を手にしたから商品の移動があったと判定することができ、ステップS605に進む。そうでなければ(ステップS604でNo)、例えば、店員が棚卸のために商品を移動したと判断することができ、ステップS611に進む。なお、この判定は、リーダ4a、4b、4c、4dが検出した、商品の位置情報と、顧客カード31の位置情報とを比較して確認することができる。
【0035】
次に、ステップS605において、行動判定部231は、リーダ4a、4b、4c、4dによって商品の移動の開始が検出された時刻を移動開始時刻として、タイマ232から取得する。取得した後は、ステップS606に進む。
【0036】
次に、ステップS606において、行動判定部231は、リーダ4a、4b、4c、4dが検出した、移動があったと判定された商品の位置を位置情報として取得する。取得した後、ステップS607に進む。
【0037】
次に、ステップS607において、行動判定部231は、ステップS606において取得した位置情報から当該商品の移動があったか否か判定する。商品の移動があれば(ステップS607でYes)、ステップS608に進む。そうでなければ(ステップS607でNo)、ステップS606に戻る。なお、ステップS607における商品の移動は、リーダ4a、4b、4c、4dが現時点で検出した商品の位置情報と、ステップS602において一時的に記憶した商品の位置情報とを比較して確認することができる。
【0038】
次に、ステップS608において、行動判定部231は、リーダ4a、4b、4c、4dが検出した顧客カード31の位置を位置情報として取得する。取得した後、ステップS609に進む。
【0039】
次に、ステップS609において、行動判定部231は、商品の近傍から顧客カードが存在しなくなったか否か判定する。存在しなくなったら(ステップS609でYes)、顧客がその商品を元々陳列されていた位置に戻してその場を離れたと判定することができ、ステップS610に進む。そうでなければ(ステップS609でNo)、例えば、顧客3がその商品を購入しようと思い、その商品を持ってレジスタ15に向かったと判断することができ、ステップS612に進む。
【0040】
次に、ステップS610において、行動判定部231は、リーダ4a、4b、4c、4dによって商品の移動の終了(例えば、元の位置に戻された)が検出された時刻を移動終了時刻として、タイマ232から取得する。取得した後は、ステップS611に進む。
【0041】
次に、ステップS611において、行動判定部231は、商品DB242に対し、移動が終了した商品の位置情報を更新する。その商品の商品IDを商品DB242における検索キーとして位置フィールド2426に格納されている位置情報を移動が終了した商品の位置情報に更新する。このように処理することにより、たとえ顧客3が元々あった位置と違った位置に戻してしまった場合であっても、結局は、その違った位置を基準として、次に行なわれる商品の移動の判定処理(ステップS602)に用いることができる。その更新が済めば、本処理は一通り終了し、再び、ステップS601から処理を繰り返す。
【0042】
次に、ステップS612において、行動判定部231は、レジスタ15によって、当該商品の購入がなされたか否かを判定する。購入がなされていれば(ステップS612でYes)、ステップS613に進む。そうでなければ(ステップS612でNo)、例えば、顧客3がその商品を持ち歩いて店舗1の内部を巡り歩いていると判断することができ、ステップS606に戻る。
【0043】
次に、ステップS613において、行動判定部231は、その商品の購入履歴を作成する。つまり、購入履歴DB243(図4参照)のレコードを1つ作成する。作成する際、レジスタ15でなされた購入の手続を行った時刻をタイマ232から取得して、取得した時刻を購入時刻として、購入時刻フィールド2433にその値が格納される。その作成が済めば、本処理は一通り終了し、再び、ステップS601から処理を繰り返す。
以上で、商品に対する顧客の行動を判定するための処理手順に関する説明を終了する。
【0044】
≪第1の実施形態のまとめ≫
第1の実施形態により以下の効果を奏する。すなわち、顧客3が商品を手に取った時刻(移動開始時刻)とその商品を棚に戻した時刻(移動終了時刻)が履歴として記録されるため、顧客3が商品を手に取った回数、手に持っていた時間等を蓄積することができ、人気商品を把握することができるという効果を奏する。このような情報を活用して、人気商品を目立つ場所(例えば、棚D11d(図1参照))に配置する等して、販売促進に寄与することができる。
【0045】
≪第2の実施形態≫
第2の実施形態では、顧客の関心を、顧客が手に取った商品に関連する商品にも向けさせるようにする技術内容について説明する。
【0046】
≪構成≫
図7は、第2の実施形態における販売促進システムの構成を図示したものである。第1の実施形態に示した構成(図1参照)と同一の構成を有するものについては、同一の符号を付してその説明を省略し、相違するものについて中心的に説明する。
【0047】
第2の実施形態では、第1の実施形態と比べて、店舗1において、ディスプレイ5a、5b、5c、5dがそれぞれ棚A11a、棚B11b、棚C11c、棚D11dに設置されている点が相違する。ディスプレイ5a、5b、5c、5dは、サーバ2の出力部22と通信的に接続し、サーバ2から受信するデータ(商品のCM用の動画データ等)を表示する機能を有する表示手段である。
【0048】
サーバ2の記憶部24に記憶されている顧客DB241のデータ構造も第1の実施形態のときと比べて多少相違する。図8は、第2の実施形態における顧客DB241のデータ構造を図示したものである。顧客IDフィールド2411、氏名フィールド2412、住所フィールド2413、連絡先フィールド2414、連絡先フィールド2415に対して、顧客3の所有する携帯電話のEメールが格納されるEメールフィールド2415が追加されている点が、第1の実施形態の顧客DB241(図2参照)と比べて相違する。当該顧客3の希望があれば、商品に関するデータをEメールで送信することができる。
【0049】
サーバ2の記憶部24に記憶されている商品DB242のデータ構造も第1の実施形態のときと比べて多少相違する。図9は、第2の実施形態における商品DB242のデータ構造を図示したものである。商品IDフィールド2421、商品名フィールド2422、種類フィールド2423、メーカフィールド2424、価格フィールド2425、位置フィールド2426に対して、当該商品に関するCM用の動画データ(例えば、MPEG(Moving Picture Expert Group)形式)が格納される動画データフィールド2427および当該商品と何らかの関連性を有する商品を識別する関連商品IDが格納される関連商品IDフィールド2428が追加されている点が、第1の実施形態の商品DB242(図3参照)と比べて相違する。
【0050】
前記商品の関連性とは、商品IDで識別される商品と、関連商品IDで識別される商品とが何らかの点において共通していることを意味する。例えば、商品が化粧水であれば、その化粧水とブランドが同一となるメイク落としを関連商品とする。つまり、その化粧水とそのメイク落としとは、ブランドが共通している。また、商品がポテトチップスであれば、そのポテトチップスを製造するメーカが製造するチョコレートを関連商品とする。つまり、そのポテトチップスとそのチョコレートとは、製造するメーカが共通している。このような商品の関連性については、サーバ2を利用する者等が入力手段から所定の情報を入力して任意に定めることができる。その者がある商品に対して関連させたい商品があると思えば、関連商品IDフィールド2428において、その関連させたい商品の商品IDを登録すれば良い。1つのレコードにつき、関連商品IDフィールド2428に登録する関連商品IDの個数は、1つでも良いし、2つ以上でも良い。また、無くても良い。
【0051】
顧客3がある商品を手にすれば、リーダ4a、4b、4c、4dがその商品を検出する。サーバ2は、商品DB242において、その検出された商品の商品IDを、商品IDフィールド2421の検索キーとして、関連商品IDフィールド2428に格納されている関連商品IDがもし存在すれば、抽出される。次に、商品DB242において、その関連商品IDを、商品IDフィールド2421の検索キーとして、動画データフィールド2427に格納されている動画データが存在すれば、抽出される。そして、抽出された動画データがディスプレイ5a、5b、5c、5dに送信され、その関連商品のCM動画が放映される。このようにして、商品を手にした顧客が関連商品のCM動画を見ることができる。
以上で、第1の実施形態の販売促進システムの構成に関する説明を終了する。
【0052】
≪動作≫
次に、行動判定部231による、ある商品に対する顧客3の行動を判定するにあたり、関連商品のCM放映を行うのに必要な処理手順について詳細に説明する。図10は、商品に対する顧客3の行動を判定するにあたり、関連商品のCM放映を行うのに必要な処理手順をフローチャートとして図示したものである。
【0053】
ステップS1001からステップS1005までの処理は、ステップS601からステップS605までの処理(図6参照)と同一であるので、その説明を省略する。ただし、ステップS1004において、商品の近傍に顧客カードが存在しないときは(ステップS1004でNo)、ステップS1015に進む。
【0054】
次に、ステップS1006において、行動判定部231は、移動があった商品に関連商品が存在するか否か判定する。存在すれば(ステップS1006でYes)、ステップS1007に進む。そうでなければ(ステップS1006でNo)、ステップS1009に進む。なお、関連商品が存在するか否かという判定は、商品DB242の関連商品フィールド2428において、関連商品IDが存在するか否かを確認することにより行われる。
【0055】
次に、ステップS1007において、行動判定部231は、関連商品のCM用の動画データが存在するか否か判定する。存在すれば(ステップS1007でYes)、ステップS1008に進む。そうでなければ(ステップS1007でNo)、ステップS1009に進む。なお、その動画データが存在するか否かという判定は、商品DB242の動画データフィールド2427において、関連商品に関する動画データが存在するか否かを確認することにより行われる。
【0056】
次に、ステップS1008において、行動判定部231は、ディスプレイ5a、5b、5c、5dに対し、関連商品のCM用の動画データの放映を開始させる。開始した後、ステップS1009に進む。
【0057】
ステップS1009からステップS1013までの処理、ステップS1015の処理、ステップS1016の処理およびステップS1018の処理は、それぞれステップS606からステップS610までの処理、ステップS611の処理、ステップS612の処理およびステップS613の処理と同一であるのでその説明を省略する。ただし、ステップS1016において、商品の購入がなされていなければ(ステップS1016でNo)、ステップS1009に戻る。
【0058】
ステップS1014において、行動判定部231は、顧客3がその場を離れたと判断したため、ディスプレイ5a、5b、5c、5dに対し、関連商品のCM用の動画データの放映を終了させる。終了した後、ステップS1015に進む。
【0059】
ステップS1017において、行動判定部231は、顧客3が商品の購入を済ませ、もはや関連商品を見せる必要がなくなったと判断したため、ディスプレイ5a、5b、5c、5dに対し、関連商品のCM用の動画データの放映を終了するように指示する。指示があった後、ステップS1018に進む。
以上で、商品に対する顧客3の行動を判定するにあたり、関連商品のCM放映を行うのに必要な処理手順に関する説明を終了する。
【0060】
≪第2の実施形態のまとめ≫
第2の実施形態により以下の効果を奏する。すなわち、ある商品を手にした顧客3に、その商品に関連する商品のCM動画を放映することにより、顧客3が興味を持つと予想される商品を紹介することができ、販売促進を効率的に行うことができる。従来のCM放映は、不特定多数向けのもの、または一部の顧客のみが興味を示す特定商品を宣伝するものであり、必ずしも特定の顧客が興味を持つものとはいえない。しかし、本実施形態によりCM放映する商品は、顧客3の行動に基づいて放映するものであり、当該顧客3が興味を示す蓋然性が高いものといえる。
【0061】
≪その他≫
なお、前記実施形態は、本発明を実施するための最良のものであるが、その実施形式はこれに限定するものではない。したがって、本発明の要旨を変更しない範囲内においてその実施形式を種々変形することが可能である。
【0062】
例えば、店舗1内に設置するリーダの数、位置等は任意に定めることが可能である。したがって、店舗1の出入口付近にリーダを設置し、そのリーダが顧客カード31に付されたICタグ31aから応答波を受信することにより、顧客3の入出店の状況を記録し、販売促進に利用することができる。
【0063】
また、第2の実施形態において、ディスプレイ5a、5b、5c、5dは関連商品のCM用の動画を放映したが、顧客3が手にした商品そのもののCM動画を放映しても良い。また、関連商品として、店舗1内ではまだ販売していない(近い将来販売する予定の)商品のCMを放映しても良い。また、放映するものは、動画でなく、例えば、静止画等の画像データでも良く、当該商品に関する説明文を記憶したテキストデータであっても良い。この場合において、商品DB242には、静止画用のデータやテキストデータ用のデータを格納するフィールドを設けるようにする。
【0064】
また、第2の実施形態において、ディスプレイ5a、5b、5c、5dから当該商品のCM動画を放映するようにしたが、当該動画データを当該顧客3の所持する携帯電話にEメールで転送するようにしたり、携帯電話の表示部にCM動画を放映するようにしても良い。この場合において、顧客DB241のEメールフィールド2416から当該顧客3のEメールアドレスを読み出し、動画データを転送するようにする。
【0065】
また、第2の実施形態において、ディスプレイ5a、5b、5c、5dに商品のCM動画を放映するタイミングは、店舗1内の商品を手にしたときでなく、商品を手にしていなくともディスプレイ5a、5b、5c、5dに近づいたときであっても良い。この場合において、リーダ4a、4b、4c、4dは、当該顧客3の顧客カード31のICタグ31aがディスプレイ5a、5b、5c、5dに付近にあることを検出し、その検出により何らかの商品のCMを放映する。対象となる商品は、例えば、その顧客3が以前に購入した商品に関連する商品が良い。既に購入した商品は、その顧客3が興味を持ったから購入されたと考えられ、その商品に関連する商品もまた、その顧客3が興味を持つ可能性が高いといえるからである。この場合において、行動判定部231は、記憶部24から購入履歴DB243を読み出し、検出した顧客3の顧客IDを検索キーとして、商品IDフィールド2432(図4)から、その顧客3が以前購入した商品の商品IDを抽出する。そして、商品DB242を読み出し、既に抽出した商品IDを検索キーとして、動画データフィールド2427から、対応する動画データを抽出する。その動画データをディスプレイ5a、5b、5c、5dに出力すれば良い。
【0066】
その他、ハードウェア、ソフトウェア、データベース、各フローチャートなどの具体的な構成等について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1の実施形態の販売促進システムの構成を図示したものである。
【図2】第1の実施形態における顧客DB241のデータ構造を図示したものである。
【図3】第1の実施形態における商品DB242のデータ構造を図示したものである。
【図4】第1の実施形態における購入履歴DB243のデータ構造を図示したものである。
【図5】第1の実施形態における商品移動履歴DB244のデータ構造を図示したものである。
【図6】商品に対する顧客の行動を判定するための処理手順をフローチャートとして図示したものである。
【図7】第2の実施形態における販売促進システムの構成を図示したものである。
【図8】第2の実施形態における顧客DB241のデータ構造を図示したものである。
【図9】第2の実施形態における商品DB241のデータ構造を図示したものである。
【図10】商品に対する顧客3の行動を判定するにあたり、関連商品のCM放映を行うのに必要な処理手順をフローチャートとして図示したものである。
【符号の説明】
【0068】
1 店舗
12a、13a、14a ICタグ
2 サーバ
21 入力部
22 出力部
23 制御部
231 行動判定部
232 タイマ
24 記憶部
241 顧客DB
242 商品DB
243 購入履歴DB
244 商品移動履歴DB
25 バス
3 顧客
31 顧客カード
31a ICタグ
4a、4b、4c、4d リーダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に小売店で販売される商品の販売促進において、IC(Integrated Circuit)タグを用いる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、商品である書籍に付与したICタグと、その書籍を識別する書籍ID情報を読み取るICタグリーダと、管理用サーバを利用し、複数の取扱組織間における書籍流通情報を一元的に管理できるようにして、流通過程の書籍情報を収集できるようにした非接触ICタグを利用した書籍情報管理システムについて開示されている。
【特許文献1】特開2004−118600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1は、たとえICタグを用いて書籍と取扱組織との管理(例えば、入出庫の管理)を可能にしていても、書籍と顧客との管理はなされていないため、その書籍情報管理システムを書籍の販売促進に利用することは困難である。
【0004】
そこで、本発明は、ICタグを用いた商品の販売促進を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明の販売促進システムは、
商品を識別する情報を記憶する商品用ICタグおよび顧客を識別する情報を記憶する顧客用ICタグとの間で電波を送受信し、前記商品用ICタグから前記商品を識別する情報および前記商品の現在の位置を示す商品現在位置情報を受信するとともに、前記顧客用ICタグから前記顧客を識別する情報および前記顧客の現在の位置を示す顧客現在位置情報を受信するリーダと、
前記リーダから前記商品を識別する情報、前記商品現在位置情報、前記顧客を識別する情報および前記顧客現在位置情報を受信するサーバとが接続され、
前記顧客の前記商品に対する行動を管理する販売促進システムにおいて、
前記サーバは、
少なくとも、前記商品を識別する情報が格納される商品識別フィールド、当該商品が配置されていたときの位置を示す商品配置位置情報が格納される位置フィールド、前記顧客を識別する情報が格納される顧客識別フィールド、前記商品を識別する情報が格納される商品識別フィールド、当該商品の移動が開始した時刻である移動開始時刻を示す情報が格納される移動開始時刻フィールドおよび当該商品の移動が終了した時刻である移動終了時刻を示す情報が格納される移動終了時刻フィールドを有するデータベースと、
前記リーダから、前記商品現在位置情報および前記顧客現在位置情報を取得するとともに、前記データベースから前記商品配置位置情報を取得し、前記商品現在位置情報、前記顧客現在位置情報および前記商品配置位置情報に基づいて前記顧客の行動を判定する行動判定手段と、
を備え、
前記行動判定手段は、
前記商品現在位置情報が示す商品の第1の現在の位置と前記商品配置位置が示す商品が配置されていた位置とが異なり、かつ、前記顧客現在位置情報が示す顧客の現在の位置が商品の前記第1の現在の位置に対し所定の距離以内にあるときは、前記データベースの前記移動開始時刻フィールドに前記移動開始時刻を格納させ、
前記商品現在位置情報が示す商品の第2の現在の位置と前記第1の現在の位置とが異なり、かつ、前記顧客現在位置情報が示す顧客の現在の位置が前記第2の現在の位置に対し所定の距離以上離れているときは、前記データベースの前記移動終了時刻フィールドに前記移動終了時刻を格納させる
ことを特徴とする。詳細は、後記する。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、ICタグを用いた商品の販売促進を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という。)について説明する。説明する際には、本明細書と同時に提出する図面を適宜参照する。
【0008】
≪第1の実施形態≫
第1の実施形態では、商品を手に取るという顧客の行動に着目して販売促進を行う技術内容について説明する。
【0009】
≪構成≫
図1は、第1の実施形態における販売促進システムの構成を図示したものである。ドラッグストアである店舗1が図中上側に、コンピュータであるサーバ2が図中下側に描かれている。
【0010】
店舗1には、生活用品(商品)12が陳列された棚A11a、薬(商品)13が陳列された棚B11b、化粧品(商品)が陳列された14棚C11c、人気商品や時期的に重要度が高まる商品等が陳列された棚D11dおよび商品を購入するときの勘定を行う計算機であるレジスタ15が配置されている。店舗1に入った顧客3は、例えば、その店舗1で商品を購入したときに付与されるポイントを貯められる機能を有する顧客カード31を所持している。顧客3は、気に入った商品を目にすれば、その商品を手に取るはずである。なお、説明の便宜上、生活用品12、薬13および化粧品14を、単に、「商品」と称する場合がある。
【0011】
生活用品12、薬13および化粧品14といった各商品には、ICタグ12a、13a、14aが付されている。ICタグ12a、13a、14aには当該商品を識別する商品ID(Identification)等が記憶されている。また、顧客カード31にもICタグ31aが付されており、ICタグ31aには、顧客を識別する顧客ID等が記憶されている。棚A11a、棚B11b、棚C11cおよび棚D11dには、それぞれリーダ4a、4b、4c、4dが設置されている。
【0012】
ICタグ12a、13a、14a、31aは、例えば、プラスチック基材に金属層を積層し、アンテナ用のコイルパターンを金属層にエッチング形成し、所定の情報を記憶したICチップを当該コイルに接続するようにして形成される。
【0013】
リーダ4a、4b、4c、4dは、電波を送受信するアンテナを備えており、ICタグ12a、13a、14a、31aに質問波を送信し、ICタグ12a、13a、14a、31aから応答波を受信する。また、リーダ4a、4b、4c、4dは、質問波を送信する送信系、応答波を受信する受信系およびインタフェース経由でサーバ2に所定の情報を送信する制御系から構成される。
【0014】
質問波には、ICタグ12a、13a、14a、31a駆動用のエネルギと、ICタグ12a、13a、14a、31a動作用のクロック情報が含まれている。ICタグ12a、13a、14a、31aは質問波を受信すると、ICチップを駆動させ、所定のタイミングで、ICチップに記憶された情報を応答波としてリーダ4a、4b、4c、4dに送信する。応答波を受信したリーダ4a、4b、4c、4dは、サーバ2に対して前記情報を送信する。サーバ2は、インストールされたアプリケーションにより情報の解析を行う。
【0015】
ICタグとリーダとの通信距離は、質問波のエネルギを大きくすると長くすることができるが、ICチップのダイナミックレンジ特性や、電波法の規制によりそのエネルギには一定の制限がある。本実施形態においては、リーダ4aから送信された質問波は、棚A11aに陳列された生活用品12のICタグ12aに届き、リーダ4bから送信された質問波は、棚B11bに陳列された薬13のICタグ13aに届き、リーダ4cから送信された質問波は、棚C11cに陳列された化粧品14のICタグ14aに届き、リーダ4dから送信された質問波は、棚D11dに陳列された商品に届くように、ICタグ12a、13a、14a、リーダ4a、4b、4c、4dが設計されているものとする。また、ICタグ31aは、顧客3がある商品を手にした場合、その商品が陳列されていた棚に設置されたリーダから送信された質問波が当該顧客カード31のICタグ31aに届くように、設計されているものとする(例えば、ICタグとリーダとの通信距離は10m程度)。なお、リーダが電波強度を可変して、距離を測定することにより、ICタグの付いた商品およびICタグの付いた顧客カードの位置(つまり、顧客の位置)を検出するには、少なくとも3つのリーダを備える必要がある。本実施形態においては、店舗1には、それに見合うだけのリーダが配置されているものとする。しかし、説明の便宜上、図1においては、それぞれ1つだけのリーダ(リーダ4a、4b、4c、4d)が図示されている。
【0016】
サーバ2は、入力部21、出力部22、制御部23、記憶部24およびバス25といったハードウェア資源を有して構成されている。入力部21は、リーダ4a、4b、4c、4dおよびレジスタ15から所定の情報を受信する入力ポート用の回路として実装される。キーボードやマウス等といった入力手段からの入力も受け付ける。出力部22は、レジスタ15に対し、主に、商品の購入の勘定に必要な所定の情報を出力する出力ポート用の回路として実装される。ディスプレイやプリンタ、レジスタ15等といった他の出力手段への出力も行う。バス25は、入力部21、出力部22、制御部23および記憶部24を通信的に接続する。
【0017】
制御部23は、例えばCPU(Central Processing Unit:中央制御装置)等で実装されている。この制御部23は、その機能構成として、行動判定部231およびタイマ232を有している。そして、サーバ2が有する不図示のROMに記録された記録媒体からプログラムを読み出し、本実施形態に関する情報処理を実行する。
【0018】
行動判定部231は、主に、顧客カード31の位置情報および商品の位置情報に基づいて顧客3の行動を判定する機能を有する。顧客カード31の位置情報は、リーダ4a、4b、4c、4dにおいて顧客カード31に付されたICタグ31aから受信する応答波の方向等から検出される。商品の位置情報は、リーダ4a、4b、4c、4dにおいて商品に付されたICタグ12a、13a、14aから受信する応答波の方向等から検出される。
【0019】
タイマ232は、主に、顧客3や商品が移動した時刻を計測する機能を有する。
【0020】
記憶部24は、読み書きされるデータを展開するための記憶領域を確保するRAM(Random Access Memory)や外部記憶装置としてのHDD(Hard Disk Drive)等で実装されている。この記憶部24は、その機能構成として、顧客DB(Data Base:データベース)241、商品DB242、購入履歴DB243および商品移動履歴DB244を有している。
【0021】
顧客DB241は、顧客カード31の発行を済ませた顧客3の個人情報を管理するデータベースである。図2は、第1の実施形態における顧客DB241のデータ構造を図示したものである。この顧客DB241は、顧客3を識別する情報である顧客ID(例えば、6桁の数字)が格納される顧客IDフィールド2411、顧客3の氏名が格納される氏名フィールド2412、顧客3の住所が格納される住所フィールド2413、顧客3の自宅の電話番号が連絡先として格納される連絡先フィールド2414および顧客3の所有する携帯電話の電話番号が連絡先として格納される連絡先フィールド2415を有している。
【0022】
商品DB242は、店舗1で販売される商品に関する情報を管理するデータベースである。図3は、第1の実施形態における商品DB242のデータ構造を図示したものである。この商品DB242は、店舗1で販売される商品を識別する商品ID(例えば、6桁の数字)が格納される商品IDフィールド2421、商品の名称が格納される商品名フィールド2422、商品の種類が格納される種類フィールド2423、商品を製造するメーカの名称が格納されるメーカフィールド2424、単位を円とした、商品の価格が格納される価格フィールド2425および店舗1内における商品の位置が格納される位置フィールド2426を有している。
【0023】
位置フィールド2426に格納される値は次のようにして取得される。すなわち、店舗1内にあるリーダ(リーダ4a、4b、4c、4dのいずれか)は、棚(棚A11a、棚B11b、棚C11c、棚D11dのいずれか)に陳列された商品に付されたICタグから応答波を受信する。その応答波が解析されると、当該商品の位置が判別される。その判別された位置が位置情報(棚Aの上段等)としてサーバ2に送信される。
【0024】
購入履歴DB243は、店舗1で販売されている商品が顧客3によって購入された場合、その購入履歴を管理するデータベースである。図4は、第1の実施形態における購入履歴DB243のデータ構造を図示したものである。この購入履歴DB243は、顧客IDフィールド2411(図2参照)と同等の機能を有する顧客IDフィールド2431、商品IDフィールド2421(図3参照)と同等の機能を有する商品IDフィールド2432および顧客が商品を購入した時刻が格納される購入時刻フィールド2433を有している。
【0025】
購入時刻フィールド2433に格納される値は次のようにして取得される。すなわち、
レジスタ15において、商品の購入手続が処理され、その処理において、購入された商品およびその商品を購入した顧客3が判別される。そして、その処理が行われた時刻は、タイマ232が計測している。タイマ232は、行動判定部231の要求に従って計測した時刻を行動判定部231に送信する。行動判定部231は、購入履歴DB243を読み出し、購入時刻フィールド2433においてその時刻を登録する。
【0026】
商品移動履歴DB244は、店舗1で販売される商品の移動に関する情報を管理するデータベースである。なお、商品の移動は、主に、顧客3がその商品を手にすることによってなされる。図5は、第1の実施形態における商品移動履歴DB244のデータ構造を図示したものである。この商品移動履歴DB244は、顧客IDフィールド2411(図2参照)と同等の機能を有する顧客IDフィールド2441、商品IDフィールド2421(図3参照)と同等の機能を有する商品IDフィールド2442、商品の移動の開始が確認されたときの時刻が格納される移動開始時刻フィールド2443および商品の移動の終了が確認されたときの時刻が格納される移動終了時刻フィールド2444を有している。
【0027】
移動開始時刻フィールド2443および移動終了時刻フィールド2444に格納される値は次のようにして取得される。すなわち、顧客3がある商品を手にすれば、その商品に付されたICタグも移動するので、その商品の近くに存在するリーダはICタグの応答波により、元々あった位置から移動したことを検出することができる。その移動した位置の位置情報がサーバ2に送信されると、行動判定部231は顧客3が手にしたために商品が移動したと判定する。そして、その移動が検出された時刻は、タイマ232が計測している。タイマ232は、行動判定部231の要求に従って計測した時刻を行動判定部231に送信する。行動判定部231は、商品移動履歴DB244を読み出し、移動開始時刻フィールド2443においてその時刻を移動開始時刻として登録する。
【0028】
また、顧客3がその商品を手放せば、その商品に付されたICタグも移動するので、その商品の近くに存在するリーダはICタグの応答波により、顧客3が手にしていた位置から移動したことを検出することができる。なお、通常は、顧客3が手放したときの商品の位置は、元々ある棚に陳列されていた位置に等しい(はずである)。その移動した位置の位置情報がサーバ2に送信されると、行動判定部231は顧客3が手放したために商品が移動したと判定する。そして、その移動が検出された時刻は、タイマ232が計測している。タイマ232は、行動判定部231の要求に従って計測した時刻を行動判定部231に送信する。行動判定部231は、商品移動履歴DB244を読み出し、移動終了時刻フィールド2444においてその時刻を移動終了時刻として登録する。
【0029】
商品移動履歴DB244において、あるレコードに着目したとき、その移動終了時刻と移動開始時刻との差分をとると、顧客3が当該商品を手にしていた時間が求められる。この時間が長ければ長いほど、その顧客3がその商品に強い関心を示した(はず)と分析することができる。また、商品移動履歴DB244において、顧客IDと商品IDが一致するレコードの数は、当該顧客3が当該商品を手にした回数を意味しており、この数が多いほど、その顧客3がその商品に強い関心を示した(はず)と分析することができる。
以上で、第1の実施形態の販売促進システムの構成に関する説明を終了する。
【0030】
≪動作≫
次に、行動判定部231による、ある商品に対する顧客3の行動を判定するための処理手順について詳細に説明する。図6は、商品に対する顧客の行動を判定するための処理手順をフローチャートとして図示したものである。
【0031】
まず、ステップS601において、行動判定部231は、リーダ4a、4b、4c、4dが検出した商品の位置を位置情報として取得する。取得した後、ステップS602に進む。
【0032】
次に、ステップS602において、行動判定部231は、ステップS601において取得した位置情報から当該商品の移動があったか否か判定する。商品の移動があれば(ステップS602でYes)、ステップS603に進む。そうでなければ(ステップS602でNo)、ステップS601に戻る。なお、ステップS602における商品の移動は、リーダ4a、4b、4c、4dが検出した商品の位置情報と、リーダ4a、4b、4c、4dが検出した当該商品の商品IDを商品DB242における検索キーとして位置フィールド2426から抽出される位置情報とを比較して確認することができる。このステップにおいて、リーダ4a、4b、4c、4dが検出した商品の位置情報は、記憶部24に一時的に記憶しておく。
【0033】
次に、ステップS603において、行動判定部231は、リーダ4a、4b、4c、4dが検出した顧客カード31の位置を位置情報として取得する。取得した後、ステップS604に進む。なお、顧客カード31の位置がわかれば、顧客3の位置がわかるものとする。
【0034】
次に、ステップS604において、行動判定部231は、商品の近傍(例えば、1m以内)に顧客カードが存在するか否か判定する。存在すれば(ステップS604でYes)、顧客がその商品を手にしたから商品の移動があったと判定することができ、ステップS605に進む。そうでなければ(ステップS604でNo)、例えば、店員が棚卸のために商品を移動したと判断することができ、ステップS611に進む。なお、この判定は、リーダ4a、4b、4c、4dが検出した、商品の位置情報と、顧客カード31の位置情報とを比較して確認することができる。
【0035】
次に、ステップS605において、行動判定部231は、リーダ4a、4b、4c、4dによって商品の移動の開始が検出された時刻を移動開始時刻として、タイマ232から取得する。取得した後は、ステップS606に進む。
【0036】
次に、ステップS606において、行動判定部231は、リーダ4a、4b、4c、4dが検出した、移動があったと判定された商品の位置を位置情報として取得する。取得した後、ステップS607に進む。
【0037】
次に、ステップS607において、行動判定部231は、ステップS606において取得した位置情報から当該商品の移動があったか否か判定する。商品の移動があれば(ステップS607でYes)、ステップS608に進む。そうでなければ(ステップS607でNo)、ステップS606に戻る。なお、ステップS607における商品の移動は、リーダ4a、4b、4c、4dが現時点で検出した商品の位置情報と、ステップS602において一時的に記憶した商品の位置情報とを比較して確認することができる。
【0038】
次に、ステップS608において、行動判定部231は、リーダ4a、4b、4c、4dが検出した顧客カード31の位置を位置情報として取得する。取得した後、ステップS609に進む。
【0039】
次に、ステップS609において、行動判定部231は、商品の近傍から顧客カードが存在しなくなったか否か判定する。存在しなくなったら(ステップS609でYes)、顧客がその商品を元々陳列されていた位置に戻してその場を離れたと判定することができ、ステップS610に進む。そうでなければ(ステップS609でNo)、例えば、顧客3がその商品を購入しようと思い、その商品を持ってレジスタ15に向かったと判断することができ、ステップS612に進む。
【0040】
次に、ステップS610において、行動判定部231は、リーダ4a、4b、4c、4dによって商品の移動の終了(例えば、元の位置に戻された)が検出された時刻を移動終了時刻として、タイマ232から取得する。取得した後は、ステップS611に進む。
【0041】
次に、ステップS611において、行動判定部231は、商品DB242に対し、移動が終了した商品の位置情報を更新する。その商品の商品IDを商品DB242における検索キーとして位置フィールド2426に格納されている位置情報を移動が終了した商品の位置情報に更新する。このように処理することにより、たとえ顧客3が元々あった位置と違った位置に戻してしまった場合であっても、結局は、その違った位置を基準として、次に行なわれる商品の移動の判定処理(ステップS602)に用いることができる。その更新が済めば、本処理は一通り終了し、再び、ステップS601から処理を繰り返す。
【0042】
次に、ステップS612において、行動判定部231は、レジスタ15によって、当該商品の購入がなされたか否かを判定する。購入がなされていれば(ステップS612でYes)、ステップS613に進む。そうでなければ(ステップS612でNo)、例えば、顧客3がその商品を持ち歩いて店舗1の内部を巡り歩いていると判断することができ、ステップS606に戻る。
【0043】
次に、ステップS613において、行動判定部231は、その商品の購入履歴を作成する。つまり、購入履歴DB243(図4参照)のレコードを1つ作成する。作成する際、レジスタ15でなされた購入の手続を行った時刻をタイマ232から取得して、取得した時刻を購入時刻として、購入時刻フィールド2433にその値が格納される。その作成が済めば、本処理は一通り終了し、再び、ステップS601から処理を繰り返す。
以上で、商品に対する顧客の行動を判定するための処理手順に関する説明を終了する。
【0044】
≪第1の実施形態のまとめ≫
第1の実施形態により以下の効果を奏する。すなわち、顧客3が商品を手に取った時刻(移動開始時刻)とその商品を棚に戻した時刻(移動終了時刻)が履歴として記録されるため、顧客3が商品を手に取った回数、手に持っていた時間等を蓄積することができ、人気商品を把握することができるという効果を奏する。このような情報を活用して、人気商品を目立つ場所(例えば、棚D11d(図1参照))に配置する等して、販売促進に寄与することができる。
【0045】
≪第2の実施形態≫
第2の実施形態では、顧客の関心を、顧客が手に取った商品に関連する商品にも向けさせるようにする技術内容について説明する。
【0046】
≪構成≫
図7は、第2の実施形態における販売促進システムの構成を図示したものである。第1の実施形態に示した構成(図1参照)と同一の構成を有するものについては、同一の符号を付してその説明を省略し、相違するものについて中心的に説明する。
【0047】
第2の実施形態では、第1の実施形態と比べて、店舗1において、ディスプレイ5a、5b、5c、5dがそれぞれ棚A11a、棚B11b、棚C11c、棚D11dに設置されている点が相違する。ディスプレイ5a、5b、5c、5dは、サーバ2の出力部22と通信的に接続し、サーバ2から受信するデータ(商品のCM用の動画データ等)を表示する機能を有する表示手段である。
【0048】
サーバ2の記憶部24に記憶されている顧客DB241のデータ構造も第1の実施形態のときと比べて多少相違する。図8は、第2の実施形態における顧客DB241のデータ構造を図示したものである。顧客IDフィールド2411、氏名フィールド2412、住所フィールド2413、連絡先フィールド2414、連絡先フィールド2415に対して、顧客3の所有する携帯電話のEメールが格納されるEメールフィールド2415が追加されている点が、第1の実施形態の顧客DB241(図2参照)と比べて相違する。当該顧客3の希望があれば、商品に関するデータをEメールで送信することができる。
【0049】
サーバ2の記憶部24に記憶されている商品DB242のデータ構造も第1の実施形態のときと比べて多少相違する。図9は、第2の実施形態における商品DB242のデータ構造を図示したものである。商品IDフィールド2421、商品名フィールド2422、種類フィールド2423、メーカフィールド2424、価格フィールド2425、位置フィールド2426に対して、当該商品に関するCM用の動画データ(例えば、MPEG(Moving Picture Expert Group)形式)が格納される動画データフィールド2427および当該商品と何らかの関連性を有する商品を識別する関連商品IDが格納される関連商品IDフィールド2428が追加されている点が、第1の実施形態の商品DB242(図3参照)と比べて相違する。
【0050】
前記商品の関連性とは、商品IDで識別される商品と、関連商品IDで識別される商品とが何らかの点において共通していることを意味する。例えば、商品が化粧水であれば、その化粧水とブランドが同一となるメイク落としを関連商品とする。つまり、その化粧水とそのメイク落としとは、ブランドが共通している。また、商品がポテトチップスであれば、そのポテトチップスを製造するメーカが製造するチョコレートを関連商品とする。つまり、そのポテトチップスとそのチョコレートとは、製造するメーカが共通している。このような商品の関連性については、サーバ2を利用する者等が入力手段から所定の情報を入力して任意に定めることができる。その者がある商品に対して関連させたい商品があると思えば、関連商品IDフィールド2428において、その関連させたい商品の商品IDを登録すれば良い。1つのレコードにつき、関連商品IDフィールド2428に登録する関連商品IDの個数は、1つでも良いし、2つ以上でも良い。また、無くても良い。
【0051】
顧客3がある商品を手にすれば、リーダ4a、4b、4c、4dがその商品を検出する。サーバ2は、商品DB242において、その検出された商品の商品IDを、商品IDフィールド2421の検索キーとして、関連商品IDフィールド2428に格納されている関連商品IDがもし存在すれば、抽出される。次に、商品DB242において、その関連商品IDを、商品IDフィールド2421の検索キーとして、動画データフィールド2427に格納されている動画データが存在すれば、抽出される。そして、抽出された動画データがディスプレイ5a、5b、5c、5dに送信され、その関連商品のCM動画が放映される。このようにして、商品を手にした顧客が関連商品のCM動画を見ることができる。
以上で、第1の実施形態の販売促進システムの構成に関する説明を終了する。
【0052】
≪動作≫
次に、行動判定部231による、ある商品に対する顧客3の行動を判定するにあたり、関連商品のCM放映を行うのに必要な処理手順について詳細に説明する。図10は、商品に対する顧客3の行動を判定するにあたり、関連商品のCM放映を行うのに必要な処理手順をフローチャートとして図示したものである。
【0053】
ステップS1001からステップS1005までの処理は、ステップS601からステップS605までの処理(図6参照)と同一であるので、その説明を省略する。ただし、ステップS1004において、商品の近傍に顧客カードが存在しないときは(ステップS1004でNo)、ステップS1015に進む。
【0054】
次に、ステップS1006において、行動判定部231は、移動があった商品に関連商品が存在するか否か判定する。存在すれば(ステップS1006でYes)、ステップS1007に進む。そうでなければ(ステップS1006でNo)、ステップS1009に進む。なお、関連商品が存在するか否かという判定は、商品DB242の関連商品フィールド2428において、関連商品IDが存在するか否かを確認することにより行われる。
【0055】
次に、ステップS1007において、行動判定部231は、関連商品のCM用の動画データが存在するか否か判定する。存在すれば(ステップS1007でYes)、ステップS1008に進む。そうでなければ(ステップS1007でNo)、ステップS1009に進む。なお、その動画データが存在するか否かという判定は、商品DB242の動画データフィールド2427において、関連商品に関する動画データが存在するか否かを確認することにより行われる。
【0056】
次に、ステップS1008において、行動判定部231は、ディスプレイ5a、5b、5c、5dに対し、関連商品のCM用の動画データの放映を開始させる。開始した後、ステップS1009に進む。
【0057】
ステップS1009からステップS1013までの処理、ステップS1015の処理、ステップS1016の処理およびステップS1018の処理は、それぞれステップS606からステップS610までの処理、ステップS611の処理、ステップS612の処理およびステップS613の処理と同一であるのでその説明を省略する。ただし、ステップS1016において、商品の購入がなされていなければ(ステップS1016でNo)、ステップS1009に戻る。
【0058】
ステップS1014において、行動判定部231は、顧客3がその場を離れたと判断したため、ディスプレイ5a、5b、5c、5dに対し、関連商品のCM用の動画データの放映を終了させる。終了した後、ステップS1015に進む。
【0059】
ステップS1017において、行動判定部231は、顧客3が商品の購入を済ませ、もはや関連商品を見せる必要がなくなったと判断したため、ディスプレイ5a、5b、5c、5dに対し、関連商品のCM用の動画データの放映を終了するように指示する。指示があった後、ステップS1018に進む。
以上で、商品に対する顧客3の行動を判定するにあたり、関連商品のCM放映を行うのに必要な処理手順に関する説明を終了する。
【0060】
≪第2の実施形態のまとめ≫
第2の実施形態により以下の効果を奏する。すなわち、ある商品を手にした顧客3に、その商品に関連する商品のCM動画を放映することにより、顧客3が興味を持つと予想される商品を紹介することができ、販売促進を効率的に行うことができる。従来のCM放映は、不特定多数向けのもの、または一部の顧客のみが興味を示す特定商品を宣伝するものであり、必ずしも特定の顧客が興味を持つものとはいえない。しかし、本実施形態によりCM放映する商品は、顧客3の行動に基づいて放映するものであり、当該顧客3が興味を示す蓋然性が高いものといえる。
【0061】
≪その他≫
なお、前記実施形態は、本発明を実施するための最良のものであるが、その実施形式はこれに限定するものではない。したがって、本発明の要旨を変更しない範囲内においてその実施形式を種々変形することが可能である。
【0062】
例えば、店舗1内に設置するリーダの数、位置等は任意に定めることが可能である。したがって、店舗1の出入口付近にリーダを設置し、そのリーダが顧客カード31に付されたICタグ31aから応答波を受信することにより、顧客3の入出店の状況を記録し、販売促進に利用することができる。
【0063】
また、第2の実施形態において、ディスプレイ5a、5b、5c、5dは関連商品のCM用の動画を放映したが、顧客3が手にした商品そのもののCM動画を放映しても良い。また、関連商品として、店舗1内ではまだ販売していない(近い将来販売する予定の)商品のCMを放映しても良い。また、放映するものは、動画でなく、例えば、静止画等の画像データでも良く、当該商品に関する説明文を記憶したテキストデータであっても良い。この場合において、商品DB242には、静止画用のデータやテキストデータ用のデータを格納するフィールドを設けるようにする。
【0064】
また、第2の実施形態において、ディスプレイ5a、5b、5c、5dから当該商品のCM動画を放映するようにしたが、当該動画データを当該顧客3の所持する携帯電話にEメールで転送するようにしたり、携帯電話の表示部にCM動画を放映するようにしても良い。この場合において、顧客DB241のEメールフィールド2416から当該顧客3のEメールアドレスを読み出し、動画データを転送するようにする。
【0065】
また、第2の実施形態において、ディスプレイ5a、5b、5c、5dに商品のCM動画を放映するタイミングは、店舗1内の商品を手にしたときでなく、商品を手にしていなくともディスプレイ5a、5b、5c、5dに近づいたときであっても良い。この場合において、リーダ4a、4b、4c、4dは、当該顧客3の顧客カード31のICタグ31aがディスプレイ5a、5b、5c、5dに付近にあることを検出し、その検出により何らかの商品のCMを放映する。対象となる商品は、例えば、その顧客3が以前に購入した商品に関連する商品が良い。既に購入した商品は、その顧客3が興味を持ったから購入されたと考えられ、その商品に関連する商品もまた、その顧客3が興味を持つ可能性が高いといえるからである。この場合において、行動判定部231は、記憶部24から購入履歴DB243を読み出し、検出した顧客3の顧客IDを検索キーとして、商品IDフィールド2432(図4)から、その顧客3が以前購入した商品の商品IDを抽出する。そして、商品DB242を読み出し、既に抽出した商品IDを検索キーとして、動画データフィールド2427から、対応する動画データを抽出する。その動画データをディスプレイ5a、5b、5c、5dに出力すれば良い。
【0066】
その他、ハードウェア、ソフトウェア、データベース、各フローチャートなどの具体的な構成等について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1の実施形態の販売促進システムの構成を図示したものである。
【図2】第1の実施形態における顧客DB241のデータ構造を図示したものである。
【図3】第1の実施形態における商品DB242のデータ構造を図示したものである。
【図4】第1の実施形態における購入履歴DB243のデータ構造を図示したものである。
【図5】第1の実施形態における商品移動履歴DB244のデータ構造を図示したものである。
【図6】商品に対する顧客の行動を判定するための処理手順をフローチャートとして図示したものである。
【図7】第2の実施形態における販売促進システムの構成を図示したものである。
【図8】第2の実施形態における顧客DB241のデータ構造を図示したものである。
【図9】第2の実施形態における商品DB241のデータ構造を図示したものである。
【図10】商品に対する顧客3の行動を判定するにあたり、関連商品のCM放映を行うのに必要な処理手順をフローチャートとして図示したものである。
【符号の説明】
【0068】
1 店舗
12a、13a、14a ICタグ
2 サーバ
21 入力部
22 出力部
23 制御部
231 行動判定部
232 タイマ
24 記憶部
241 顧客DB
242 商品DB
243 購入履歴DB
244 商品移動履歴DB
25 バス
3 顧客
31 顧客カード
31a ICタグ
4a、4b、4c、4d リーダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を識別する情報を記憶する商品用ICタグおよび顧客を識別する情報を記憶する顧客用ICタグとの間で電波を送受信し、前記商品用ICタグから前記商品を識別する情報および前記商品の現在の位置を示す商品現在位置情報を受信するとともに、前記顧客用ICタグから前記顧客を識別する情報および前記顧客の現在の位置を示す顧客現在位置情報を受信するリーダと、
前記リーダから前記商品を識別する情報、前記商品現在位置情報、前記顧客を識別する情報および前記顧客現在位置情報を受信するサーバとが接続され、
前記顧客の前記商品に対する行動を管理する販売促進システムにおいて、
前記サーバは、
少なくとも、前記商品を識別する情報が格納される商品識別フィールド、当該商品が配置されていたときの位置を示す商品配置位置情報が格納される位置フィールド、前記顧客を識別する情報が格納される顧客識別フィールド、前記商品を識別する情報が格納される商品識別フィールド、当該商品の移動が開始した時刻である移動開始時刻を示す情報が格納される移動開始時刻フィールドおよび当該商品の移動が終了した時刻である移動終了時刻を示す情報が格納される移動終了時刻フィールドを有するデータベースと、
前記リーダから、前記商品現在位置情報および前記顧客現在位置情報を取得するとともに、前記データベースから前記商品配置位置情報を取得し、前記商品現在位置情報、前記顧客現在位置情報および前記商品配置位置情報に基づいて前記顧客の行動を判定する行動判定手段と、
を備え、
前記行動判定手段は、
前記商品現在位置情報が示す商品の第1の現在の位置と前記商品配置位置が示す商品が配置されていた位置とが異なり、かつ、前記顧客現在位置情報が示す顧客の現在の位置が商品の前記第1の現在の位置に対し所定の距離以内にあるときは、前記データベースの前記移動開始時刻フィールドに前記移動開始時刻を格納させ、
前記商品現在位置情報が示す商品の第2の現在の位置と前記第1の現在の位置とが異なり、かつ、前記顧客現在位置情報が示す顧客の現在の位置が前記第2の現在の位置に対し所定の距離以上離れているときは、前記データベースの前記移動終了時刻フィールドに前記移動終了時刻を格納させる
ことを特徴とする販売促進システム。
【請求項2】
前記サーバに対し、画像データを表示する表示手段が接続され、
前記データベースは、
前記商品に関する画像データが格納される画像データフィールドと、
前記商品に関連するものとして予め設定された関連商品を識別する情報が格納される関連商品識別フィールドとを有し、
前記行動判定手段は、
前記商品現在位置情報が示す商品の前記第1の現在の位置と前記商品配置位置が示す商品が配置されていた位置とが異なり、かつ、前記顧客現在位置情報が示す顧客の現在の位置が商品の前記第1の現在の位置に対し所定の距離以内にあるときは、前記データベースの前記関連商品識別フィールドから前記商品の関連商品を読み出し、前記画像データフィールドから前記関連商品に関する画像データを読み出し、前記読み出した画像データを前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の販売促進システム。
【請求項1】
商品を識別する情報を記憶する商品用ICタグおよび顧客を識別する情報を記憶する顧客用ICタグとの間で電波を送受信し、前記商品用ICタグから前記商品を識別する情報および前記商品の現在の位置を示す商品現在位置情報を受信するとともに、前記顧客用ICタグから前記顧客を識別する情報および前記顧客の現在の位置を示す顧客現在位置情報を受信するリーダと、
前記リーダから前記商品を識別する情報、前記商品現在位置情報、前記顧客を識別する情報および前記顧客現在位置情報を受信するサーバとが接続され、
前記顧客の前記商品に対する行動を管理する販売促進システムにおいて、
前記サーバは、
少なくとも、前記商品を識別する情報が格納される商品識別フィールド、当該商品が配置されていたときの位置を示す商品配置位置情報が格納される位置フィールド、前記顧客を識別する情報が格納される顧客識別フィールド、前記商品を識別する情報が格納される商品識別フィールド、当該商品の移動が開始した時刻である移動開始時刻を示す情報が格納される移動開始時刻フィールドおよび当該商品の移動が終了した時刻である移動終了時刻を示す情報が格納される移動終了時刻フィールドを有するデータベースと、
前記リーダから、前記商品現在位置情報および前記顧客現在位置情報を取得するとともに、前記データベースから前記商品配置位置情報を取得し、前記商品現在位置情報、前記顧客現在位置情報および前記商品配置位置情報に基づいて前記顧客の行動を判定する行動判定手段と、
を備え、
前記行動判定手段は、
前記商品現在位置情報が示す商品の第1の現在の位置と前記商品配置位置が示す商品が配置されていた位置とが異なり、かつ、前記顧客現在位置情報が示す顧客の現在の位置が商品の前記第1の現在の位置に対し所定の距離以内にあるときは、前記データベースの前記移動開始時刻フィールドに前記移動開始時刻を格納させ、
前記商品現在位置情報が示す商品の第2の現在の位置と前記第1の現在の位置とが異なり、かつ、前記顧客現在位置情報が示す顧客の現在の位置が前記第2の現在の位置に対し所定の距離以上離れているときは、前記データベースの前記移動終了時刻フィールドに前記移動終了時刻を格納させる
ことを特徴とする販売促進システム。
【請求項2】
前記サーバに対し、画像データを表示する表示手段が接続され、
前記データベースは、
前記商品に関する画像データが格納される画像データフィールドと、
前記商品に関連するものとして予め設定された関連商品を識別する情報が格納される関連商品識別フィールドとを有し、
前記行動判定手段は、
前記商品現在位置情報が示す商品の前記第1の現在の位置と前記商品配置位置が示す商品が配置されていた位置とが異なり、かつ、前記顧客現在位置情報が示す顧客の現在の位置が商品の前記第1の現在の位置に対し所定の距離以内にあるときは、前記データベースの前記関連商品識別フィールドから前記商品の関連商品を読み出し、前記画像データフィールドから前記関連商品に関する画像データを読み出し、前記読み出した画像データを前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の販売促進システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−199517(P2009−199517A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42841(P2008−42841)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]