貫入試験方法
【課題】本発明は、ロッドの周面摩擦を考慮してスクリューポイントに負荷される荷重と回転時の回転負荷トルクとを検出する貫入試験方法に関する。
に関するものである。
【解決手段】 本発明は、所定深度単位で貫入ロッド4に複数の荷重を負荷し、これら各荷重Waと、これに対応する回転負荷トルクTaとを検出し、これらWa,Taから当該所定深度毎に貫入ロッド4を引き上げて回転させたときのトルクTrmに基づいて算出されるロッド4aの周面摩擦を除外して、スクリューポイント4bに負荷される荷重Wと回転負荷トルクTを算出することを特徴とする。
に関するものである。
【解決手段】 本発明は、所定深度単位で貫入ロッド4に複数の荷重を負荷し、これら各荷重Waと、これに対応する回転負荷トルクTaとを検出し、これらWa,Taから当該所定深度毎に貫入ロッド4を引き上げて回転させたときのトルクTrmに基づいて算出されるロッド4aの周面摩擦を除外して、スクリューポイント4bに負荷される荷重Wと回転負荷トルクTを算出することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッドとその先端に取付けられるスクリューポイントから成る貫入ロッドに荷重を負荷して、地中に貫入する時の荷重と回転時の回転負荷トルクとを検出する貫入試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤の硬軟や締まりの程度を知る手段として、その地盤の地層構成、即ち地表からある深さまでの土質の調査が行われている。このような土質の調査は一般にボーリング調査による標準貫入試験方法を用いて行われるが、その前段、または比較的深度の浅い部分の土質を判定する方法の一つにスウェーデン式サウンディング試験方法がある。このスウェーデン式サウンディング試験は、ロッドに取り付けられたスクリューポイントを地盤に貫入する際、その抵抗を計測することによってその地盤の硬軟を測るものである。貫入方法は、非特許文献1(JIS A1221 地盤工学会)に示されるとおり、備え付けの錘により最大1KNまで6段階で荷重を加えて荷重のみで所謂自沈貫入を行う荷重段階と、最大荷重1KNにおいてもロッドが貫入しない場合に、その荷重下でロッドないしスクリューポイントを回転させて所謂回転貫入を行う回転段階との2段階で構成される。貫入抵抗に対応する計測項目は、荷重段階ではスクリューポイントが所定深度貫入した時点(25cm貫入毎)での荷重(Wsw)、回転段階では貫入量1m当りに換算されたスクリューポイントの半回転数(Nsw)である。
【0003】
しかしながら、上記スウェーデン式サウンディング試験においては、土質採取が難しいため土質判別を行いにくいことや、試験結果の解釈に経験的な技術・能力を必要とする等の欠点がある。特に後者に関しては、Nsw(半回転数/m)が応力や荷重の単位を有していないため、もう一つの計測項目であるWsw(N)との関係が不明確である点が指摘されている。つまり、荷重段階で得られるデータと回転段階で得られるデータに関連性がなく、自沈貫入地盤と回転貫入地盤の強度について相対的な比較ができない等の問題があった。例えば、Nswが50である粘土層とWswが1000Nである粘土層とを比較してみると、Nswを得る回転貫入は、Wswである1000Nの荷重をロッドないしスクリューポイントに負荷した状態で行うため、この場合Nswが50である粘土層の方が、Wswが1000Nである粘土層よりも硬く締まっているという性状は把握できる。しかし、強度的にどうかということまでは比較判定することができない。つまり、定性的に硬軟の関係を把握することはできても、定量的にそれらの強度を比較することはできないのである。このことは、今後、集積された試験結果から地盤沈下量との関係を求めようとする場合、あるいは試験結果の高度な利用を図る場合の障壁となる可能性が大きい。
【0004】
上記課題に鑑みて創成された従来の貫入試験方法として、特許文献1(特開2007−321385号公報)に示すものがある。この貫入試験方法は、所定深度単位で貫入ロッドに複数の異なる荷重を負荷し、ロッドに作用する鉛直方向の周面摩擦Wfとスクリューポイントに負荷される荷重Wとの合力Waと、ロッドに作用する水平方向の周面摩擦Tfとスクリューポイントの回転負荷トルクTとの合力Taとを取得し、これら合力WaとTaとの関係を求め、これを予め各種土質について得られた判定基準と比較して土質を判定するものである。これにより、従来のスウェーデン式サウンディング試験のように荷重と回転とによってロッド等を地中に貫入して試験データを得る貫入試験において、荷重と回転の双方の試験データに関連性を持たせ、これらを総合的に評価して土質を判定することが可能になる。このため、従来の自沈貫入地盤(Wswで評価された地盤)と回転貫入地盤(Nswで評価された地盤)という概念もなくなり、試験後のデータ処理を簡素化できるとともに、将来的に試験結果の解析や高度利用を図る場合の不具合も解消することができる等の利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−321385号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】日本工業規格A1221 スウェーデン式サウンディング試験方法
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記貫入試験方法では、本来、周面摩擦WfとTfはロッドだけに作用する値でなければならはいはずが、スクリューポイントの周面に付着した土砂の影響により、スクリューポイントに作用する周面摩擦を含む値を取得してしまう問題があった。特に、粘土層ではスクリューポイントの周面に土砂が付着して一体になって回転するので、このような問題が顕著に発生していた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題に鑑みて創成されたものであり、ロッドとその先端に取付けられるスクリューポイントから成る貫入ロッドに荷重を負荷して、地中に貫入する時の荷重と回転時の回転負荷トルクとを検出する貫入試験方法において、所定深度単位で貫入ロッドに複数の荷重を負荷し、これら各荷重Waと、これに対応する回転負荷トルクTaとを検出し、これらWa,Taから当該所定深度毎に貫入ロッドを引き上げて回転させたときのトルクTrmに基づいて算出されるロッドの周面摩擦を除外して、スクリューポイントに負荷される荷重Wと回転負荷トルクTを算出することを特徴とする。
【0009】
また、前記スクリューポイントに負荷される荷重Wとロッドに負荷される鉛直方向の周面摩擦Wfとの合力Waと、スクリューポイントに作用する回転負荷トルクTとロッドに作用する水平方向の周面摩擦Tfとの合力Taとを取得し、これら合力WaとTaとの関係を求め、これを予め各種土質について得られた判定基準と比較して土質を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロッドに作用する周面摩擦は貫入ロッドを引き上げて一回転させたときの回転トルクに基づいて算出される。これにより、引き上げ時にスクリューポイントの周面に付着した土砂が除去されて、回転時にはスクリューポイントの周面には土砂が付着していない状態になり、ロッドに作用する周面摩擦だけを算出することができる。そのため、貫入ロッドが地中に貫入する時の荷重と回転時の回転負荷トルクから、ロッドの周面摩擦を除去すれば、スクリューポイントだけに作用する荷重と回転負荷トルクを得ることができるので、試験データの信頼性が向上する。
【0011】
また、ロッドに作用する鉛直方向の周面摩擦Wfとスクリューポイントに負荷される荷重Wとの合力Waと、ロッドに作用する水平方向の周面摩擦Tfとスクリューポイントの回転負荷トルクTとの合力Taとを取得し、これら合力WaとTaとの関係を求め、これを予め各種土質について得られた判定基準と比較して土質を判定することにより、ロッドの周面摩擦を確実に考慮した土質判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る貫入試験方法を実施する自動貫入試験機の斜視図である。
【図2】本発明を係る貫入試験方法を実施する自動貫入試験機の拡大側面図である。
【図3】図2のA−A線に係る拡大断面図である。
【図4】本発明を係る貫入試験方法を実施する自動貫入試験機の要部拡大一部切欠断面図である。
【図5】各条件下における回転負荷トルクを示すグラフである。
【図6】土質の判定基準を得るための実験データに関する説明用グラフである。
【図7】土質の判定基準を得るための実験データに関する説明用グラフである。
【図8】土質の判定基準を得るための実験データに関する説明用グラフである。
【図9】土質の判定基準を得るための実験装置の概略説明図である。
【図10】土質判定基準の一例を示すグラフである。
【図11】土質判定基準の他の一例を示すグラフである。
【図12】地中に貫入した貫入ロッドに作用する周面摩擦の説明用概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1ないし図4において、1は自動貫入試験機であり、立設された支柱2に沿って昇降可能な昇降台3を有する。この昇降台3には、棒状のロッド4aの先端にスクリューポイント4bを連結した先端に連結された貫入ロッド4と、この貫入ロッド4を一体に保持可能なチャックユニット5と、このチャックユニット5を回転駆動するチャック用モータ6と、前記支柱2の長手方向に伸びて配置されたチェーン部材2aに噛合するスプロケット7と、このスプロケット7を回転駆動する昇降用モータ8と、前記スプロケット7の回転を制動するブレーキ手段9と、質量調整用のおもり3a・・とが装備されている。これらの装備の質量と昇降台3の質量の合計質量が貫入ロッド4に載荷されると、貫入ロッド4には最大1KNの荷重がかかる。前記チャック用モータ6、昇降用モータ8およびブレーキ手段9は、制御ユニット10によって駆動制御される。
【0014】
前記チャックユニット5は昇降台3に回転自在に配置されている。このチャックユニット5の下部とチャック用モータ6の出力軸6aとには、それぞれスプロケット11,12が一体に固定されており、これらに環状チェーン13を巻き掛けることで両者は連結されている。また、チャックユニット5側のスプロケット11の歯に対向する位置には、このスプロケット11が回転する時の歯の通過を検出してON/OFFする近接センサ(図示せず)が設けられている。この近接センサの信号は前記制御ユニット10によって取得され、制御ユニット10は、この信号から貫入ロッド4の半回転数を割り出すように構成されている。
【0015】
前記スプロケット7は、昇降用モータ8と一方向クラッチ14および前記ブレーキ手段9を介して連結されており、一方向クラッチ14の作用で、昇降台3を上昇させる方向にスプロケット7を回転させるよう昇降用モータ8が駆動した時、これがスプロケット7に伝達されるようになっている。逆方向にスプロケット7を回転させる昇降用モータ8の駆動(以下、逆駆動という)は、一方向クラッチ14の空転を生じる。このため、スクリューポイント4bが地盤に接している状態で昇降用モータ8が逆駆動すると、貫入ロッド4(ロッド4aないしスクリューポイント4b)には、昇降台3等の質量による荷重が負荷される。この荷重は、ブレーキ手段9がスプロケット7を制動する力を変更することで0Nから最大荷重1KNまで自在に変更することができる。なお、ブレーキ手段9としてはパウダブレーキまたはパウダクラッチが好ましい。
【0016】
本自動貫入試験機1では、貫入ロッド4先端のスクリューポイント4bが地表に接する位置から貫入試験をスタートする。この位置までは、制御ユニット10に備えられたマニュアル操作ボタンを押して昇降用モータ8を逆駆動し、昇降台3を下降させる。この位置からスタートボタンを押して試験スタート信号を与えると、制御ユニット10は自動で貫入ロッド4の地中への貫入制御を開始する。すなわち、制御ユニット10は試験スタート信号の入力を受けて、昇降用モータ8を逆駆動するとともに、チャック用モータ6を回転させる。これにより、貫入ロッド4に昇降台3等の質量による荷重を負荷し、これらを回転させながら地中に貫入する。
【0017】
試験中、制御ユニット10は、貫入ロッド4の半回転数を割り出す。また、ブレーキ手段9を制御し、貫入ロッド4に負荷される荷重を最小荷重200Nから200N刻みで最大荷重1KNまで短時間で増加させ、1KNになると再度200Nの荷重から200N刻みの荷重増加を繰り返す。そして、各荷重下で貫入ロッド4にかかる回転負荷トルクを取得する。貫入ロッド4にかかる回転負荷トルクは、チャック用モータ6に負荷する電流値に比例するため、本例では、チャック用モータ6の負荷電流値から回転負荷トルクを得る。さらに制御ユニット10は、スプロケット7の回転を検出するロータリエンコーダ15の信号からスプロケット7の回転回数を算出し、これからスクリューポイント4bの貫入深度を算出するとともに、単位時間当たりの貫入深度からスクリューポイント4bの貫入速度を割り出す。この貫入深度が25cm増加する間を1区間として、各区間毎の荷重変化、各荷重下での回転負荷トルクおよび各区間での半回転数が試験データとして制御ユニット10に自動的に記憶される。これにより、所定深度単位で貫入ロッド4に異なる荷重を負荷し、各荷重毎の回転負荷トルクを複数取得することができる。また、25cm貫入する毎に貫入ロッド4を1cm引き上げて1回転させて、トルク(Trm)を計測する。このトルク(Trm)は、詳細を後述するロッド4aの周面摩擦の算出の際に使用する。例えば、貫入ロッド4が25cm貫入する間に200N〜1KNの荷重変更が5サイクル行われた場合、各荷重に対応する回転負荷トルクが1サイクルで5個、合計で25個取得される。制御ユニット10は、以上の処理を繰り返し行って所定深度(例えば、地中10mの深度)までスクリューポイント4bを貫入する。なお、貫入試験中、貫入ロッド4のロッド4aは、必要に応じて上部のねじ部4cに延長用ロッド(図示せず)を螺合して延長する。
【0018】
本自動貫入試験機1は、前述の荷重に対応する回転負荷トルクについて塑性論アナロジーモデルを適用して、試験データを処理する。塑性論アナロジーモデルとは、土の応力とひずみの関係を与える構成則と同じ枠組み(アナロジー)を利用し、構造物の荷重と変位との関係を記述する数学モデルのことである。構造物に負荷される荷重には鉛直荷重やモーメント、水平荷重などがあるが、構造物の破壊時の荷重はその他の荷重の組み合わせによって変化する。塑性論アナロジーモデルでは、このような組み合わされた荷重の大きさを降伏曲面として記述するとともに、これらの荷重にそれぞれ対応する変位増分を塑性ポテンシャル関数を用いて記述するものである。スウェーデン式サウンディング試験や本例で紹介する貫入試験のような荷重と回転とを与えて貫入ロッドを地中に貫入する試験は、荷重段階の鉛直荷重に加えて回転段階における回転負荷トルクをその作用荷重とする試験であるので、塑性論アナロジーモデルを適用できる組み合わせ荷重の問題の一つであるといえる。
【0019】
そこで、こうした貫入試験についての塑性論アナロジーモデルを構築すると以下のようになる。まず、スクリューポイントに負荷される荷重段階の荷重Wと回転段階の回転負荷トルクTによる仕事増分δEは、
【数1】
と表すことができる。ここでδnhtは半回転数の増分、δstは貫入量の増分である。数1を自沈荷重Wpとスクリューポイントの最大直径Dとの積を用いて正規化すると、
【数2】
となる。ここでTnは正規化トルク、Wnは正規化荷重である。また、数2の結果から後述する塑性ポテンシャルの適用においては、TnとδnhtおよびWnとδst/Dがそれぞれ同軸性を有するものと判断している。
後述する実験結果から、貫入試験で得られる回転負荷トルクと荷重による降伏曲面は、原点に中心を有する楕円で表記できることが確かめられている。そこで、この降伏曲面の形状を決定する降伏曲面係数cyを用いて、
【数3】
と表す。この数3を数2を用いて表すと、
【数4】
が得られ、これを整理すると、降伏曲面は次のような別形式で表すことができる。
【数5】
塑性ポテンシャル関数についても降伏曲面と同様な楕円形状を有するものと仮定すると、
【数6】
と表せる。ここでcpは塑性ポテンシャル係数であり、これが前記cyに等しい時には関連流れ則が成立する。数5を微分することにより塑性ポテンシャル関数に直交する方向を求めると、
【数7】
となる。ここで1m貫入量当りの半回転数Nswにスクリューポイント最大径Dを乗じたNswDを正規化Nswと定義する。
【0020】
図5に、各条件下(A,B,C)における深度毎の回転負荷トルクの変位を示す。Aは削孔を施していない地盤に貫入ロッドを回転貫入したとき、スクリューポイント4bに作用する回転負荷トルクを示すグラフであり、当該スクリューポイント4bに作用する回転負荷トルクは、貫入ロッド4の回転負荷トルクから、貫入ロッド4を引き上げて検出したロッド4aの周面摩擦を除去して算出している。Bも、削孔を施していない地盤に貫入ロッド4を回転貫入したとき、スクリューポイント4bに作用する回転負荷トルクを示すグラフであり、当該スクリューポイント4bに作用する回転負荷トルクは貫入ロッド4の回転負荷トルクから、貫入ロッド4を引き上げずに検出したロッド4aの周面摩擦を除去して算出している。一方、Cは、スクリューポイント4bの最大径よりも小さく,かつロッドの径よりも大きく開口した削孔に貫入ロッド4を回転貫入して、このときの貫入ロッド4の回転負荷トルクの変位を示す。従って、Cは、貫入ロッド4の周囲に抵抗がない状態で回転貫入するため、貫入ロッド4の回転負荷トルクは、スクリューポイント4bの回転負荷トルクと見なすことができる。これらA,B,Cを比較すると、Aの方がCの値に近く、つまりロッド4aの周面抵抗を確実に除去していることが確認できる。
【0021】
図6ないし図8に粘土の土質サンプルについて行った実験の解析結果を示す。実験は、粘土について作製した実験用人工土層により行った。実験用人工土層は、図9に示す直径28cm高さ50cmの円形土槽Bの下部に排水層として砂と砂利を敷き詰め、その上から含水比w=50%に調整した藤ノ森粘土Cを投入し、この粘土Cの透水性を高めるために24時間真空ポンプを用いて脱気し、その後、上部から約20kPaを段階的に載荷させ下部は−100kPaに減圧させて圧密を行うことにより得た。
【0022】
実験装置は、図9に示すようにロッド20、おもり21、ベアリング付きおもり載荷装置22、スクリューポイント23、トルク計24から構成されている。ここでスクリューポイント23は、実物の1/5の大きさになるように銀粘土を用いて作製したもので、四角錘を右に一回ひねった形状をしており最大径6.7mm、長さ40mmである。
【0023】
実験方法は、まずロッド20の先端にスクリューポイント23とおもり載荷装置22を取り付け、ロッド20が鉛直に貫入されるように固定する。次に初期のおもり21を載荷し、自沈(荷重のみでの貫入)が停止してからそのときの貫入量を測定する。一方、最大荷重を載荷しても自沈しない場合はトルク計24を用いて回転貫入する。この方法で5cm毎の自沈荷重または回転負荷トルクを得ながら、スクリューポイント23を25cmの深さまで貫入する。スクリューポイント23が25cmの深さまで貫入すると、一旦引き抜き、最大荷重を変えて同様の方法で試験を繰り返す。これを最大荷重を例えば40N,80N,120N,160N,200Nの5段階に変化させて行うことにより、同一深度(5cm毎)における自沈荷重または異なる荷重での回転負荷トルクを得ることができる。これらの(πT/D)2,W2の深度毎の関係をプロットしたものが図6である。この図6における傾きが降伏曲面係数cy、X軸切片が自沈荷重Wpとなる。これにより得られた各深度での自沈荷重Wp、最大荷重W、回転負荷トルクTを数4に代入し、πT/WpD,W/Wpの関係をプロットしたのが図7であり、図中の実線は、数4に降伏曲面係数cyを代入して算出した理論値を示す。理論値と実験値を比較すると、いくらかばらつきが見られるものの、理論値のような楕円形の降伏曲面の存在が確認できた。また、図8は、前述の粘土地盤について得た荷重Wおよび回転負荷トルクTを用いて、数7における正規化Nswと、πT/WDの関係をグラフ化したものである。
【0024】
図10は、前述の粘土地盤と同様の方法で関東ローム、中密砂、密な砂の各土質サンプルについて作製した実験用人工土層に対して実験行い、その結果から求めた降伏曲面を粘土地盤のものと一緒に同一スケールでプロットした図である。これにより、降伏曲面は各土質において異なる形状を示すことがわかる。このように、各土質について求めた降伏曲面を基準として、これと実際の地盤(以下、実地盤という)での試験において求まる降伏曲面の形状とを比較することで、土質の判定を行うことが可能である。なお、降伏曲面については、楕円形に限定されず土質によって様々な形状を成すと考えられる。このため、土質の判定基準となる土質毎の降伏曲面は、様々な土質サンプルによる実験や実地盤における実測等により、できるだけ多くの種類を揃えておくことが好ましい。
【0025】
また図11は、関東ローム、中密砂、密な砂の実験結果から求めた数7における正規化Nswと、πT/WDの関係を粘土地盤のものと一緒に同一スケールで表したものである。この関係においても土質毎に異なった傾き、すなわち塑性ポテンシャル係数cpを示すことから、このグラフを土質判定の基準として用いることもできる。また、次の表1は、以上の実験結果から得られた粘土、関東ローム、中密砂、密な砂についての降伏曲面係数cyと塑性ポテンシャル係数cpとをまとめたものである。これらについても、土質により異なった値となることがわかる。このため、実地盤における貫入試験により荷重Wと回転負荷トルクTを取得し、これらから上記数3ないし数7を使って各係数cy,cpを求め、これらを予め実験で得られた基準値と比較することによっても土質を判定することが可能である。
【表1】
【0026】
実地盤における貫入試験においては、貫入ロッド4を地中に貫入する場合にロッド4aの長さが長くなるため、これに作用する土の抵抗が大きくなる。従って、前述の塑性論アナロジーモデルによる分析を実際の貫入試験へ適用する場合には、ロッド4aに作用する周面摩擦の影響を考慮する必要がある。図12は、貫入ロッド4に作用する周面摩擦の概念図を示す。ロッド4aに作用する鉛直方向の周面摩擦をWf、水平方向の周面摩擦によるトルクをTf、スクリューポイント4bに負荷されている荷重をW、回転負荷トルクをTとした場合、周面摩擦を考慮した荷重Waおよび回転負荷トルクTa(実際に貫入ロッド4に負荷される荷重と、検出される回転負荷トルク)は 数8,数9で表される。
【数8】
【数9】
また、ロッド4aに作用する周面摩擦Wf,Tfを算出するには、25cm貫入する毎に貫入ロッド4を1cm引き上げて、その最の回転トルクTrmを計測する。このときの最大せん断力は、次式で表される。
【数10】
さらに、合速度方向と合せん断応力の方向が等しいと仮定すると数11および数12が得られる。
【数11】
【数12】
ここで、δnhtは回転数、δstは貫入量、rはロッド径、τは合せん断応力、τθは水平方向のせん断応力、τzは鉛直方向のせん断応力である。
一方、回転および自沈貫入により生じる摩擦をそれぞれTf,Wfとすると、数13が得られる。
【数13】
この数13より、
【数14】
が得られ、続いて、この数式14より、
【数15】
が得られ、数12,13および数14から、
【数16】
となる。ここで、Fは荷重およびトルクによる周面摩擦Wf,Tfの合力である。数7、数8および数15より、
【数17】
また、数9および数17より、
【数18】
となり、この数18をNswDについて解くと、
【数19】
となる。この数19により、ロッド4aの周面摩擦を考慮した正規化Nswを得ることができる。正規化Nswを土質判定の基準として用いる場合には、この周面摩擦を考慮した正規化Nswを用いるのがよい。また、上述の降伏曲面を求める場合にも、スクリューポイント4bに作用している荷重Wと回転負荷トルクTを用いた方がよい。この場合には、特開2001-228068号公報によって示される方式により、スクリューポイント4bにかかる荷重Wを求めることができる。さらに、前述した貫入ロッド4を1cm引き上げて計測したロッド4aの水平面周面摩擦Tfと実測された回転負荷トルクTaとを数8に代入すればスクリューポイント4bに作用する回転負荷トルクTを求めることができる。このようにしてロッド4aに作用する周面摩擦による荷重やトルクを除外したスクリューポイント4bに本来作用している荷重Wと回転負荷トルクTを求め、これらを用いることにより、より正確な降伏曲面を求めることができる。
【0027】
本自動貫入試験機1による貫入試験で試験データとして得られた荷重と回転負荷トルクは、前記荷重Waと回転負荷トルクTaに相当するものである。よって、試験データの処理において制御ユニット10は、まず、貫入深度25cm単位で貫入ロッド4に負荷される各荷重Waと、これに対応する回転負荷トルクTaとから、当該貫入深度25cm毎に貫入ロッド4を1cm引き上げて1回転させたときのトルクTrmに基づいて算出されたロッド4aの周面摩擦の影響を除外し、スクリューポイント4bに負荷される荷重W、回転負荷トルクTを求める。そして、これらから数5を用いて降伏曲面係数cyと自沈荷重Wpを求める。なお、制御ユニット10は貫入ロッド4の貫入速度を常に監視し、荷重を増加していく中で自沈が生じたと判断した場合は、その荷重を維持し、そのまま25cmの区切り深度まで貫入した場合は、この自沈を生じた荷重を自沈荷重Wpとする。
【0028】
制御ユニット10は、以上のようにして得られた自沈荷重Wpと、試験データである各荷重値Wおよび各荷重値に対応する回転負荷トルクTを数4に代入してπT/WpD,W/Wpを算出するとともに、数4に降伏曲面係数cyを代入して理論値を算出する。そして、これらπT/WpD,W/Wpおよび理論値をプロットした降伏曲面を作成し、これを液晶パネル10aに表示出力したり、プリンタ10bに印刷出力するなどして作業者が視認可能に出力する。作業者においては、出力された降伏曲面グラフを前述の実験等により得られた土質毎の基準降伏曲面グラフの形状と比較することにより、土質を判定することができる。このように各区間(貫入深度25cm毎)の降伏曲面を得ることにより、スクリューポイント4bを貫入した深度全般に渡って荷重と回転負荷トルクの統一的な分析結果を得ることができる。また、グラフ形状の比較によって各区間での土質の判定が可能となるため、必ずしも経験的な技術・能力を十分に備えない者であっても、正確な土質判定を行うことが可能になる。このことは、例えば地盤調査に十分な知識を持たない個人住宅の施主等においても、分析結果から土質や地盤強度の把握がこれまで以上に容易になることも意味する。
【0029】
なお、以上の説明では貫入ロッド4に負荷する荷重を段階的に変動させ、スクリューポイント4bが25cm貫入する毎の各荷重下での回転負荷トルクを取得するようにしているが、これ以外にも、次の方法で所定深度毎の異なる荷重に対する回転負荷トルクを取得してもよい。すなわち、ロッドを所定深度(例えば25cm)毎貫入する間は、通常のスウェーデン式サウンディング試験方法に従って自沈貫入および回転貫入を適宜行って貫入ロッド4を地中に貫入する。そして、スクリューポイント4bが所定深度貫入する毎に一旦荷重を0(ゼロ)にし、ここから荷重を200N,400N,600N,800N,1KNまで(ただし、所定深度貫入する間、自沈貫入であった場合は、その自沈貫入が起きる最大の荷重まで)増やし、各荷重毎に貫入ロッド4を回転させて回転負荷トルクを得る。これによって得られた荷重および各荷重に対応する回転負荷トルクによっても、前述の降伏曲面や正規化Nswの関係図を得ることが可能である。
【0030】
また、制御ユニット10については、得られた試験データから正規化NswとπT/WDの関係を示すグラフを作成し、これを作業者が視認可能に出力するように構成してもよく、これによっても、前述の降伏曲面を用いる場合と同様、スクリューポイント4bを貫入させた深度全般に渡って荷重と回転負荷トルクとによる統一的な分析結果を得ることができるとともに、土質判定や試験結果の解釈の専門性を緩和することができる。さらに、スクリューポイント4bの貫入深度25cm単位の各荷重Waと、これに対応して検出される回転負荷トルクTaとをスクリューポイント4bに負荷される荷重W、回転負荷トルクTとみなして試験データの処理を行ってもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 自動貫入試験機
2 支柱
2a チェーン部材
3 昇降台
4 貫入ロッド
4a ロッド
4b スクリューポイント
5 チャックユニット
6 チャック用モータ
7 スプロケット
8 昇降用モータ
9 ブレーキ手段
10 制御ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッドとその先端に取付けられるスクリューポイントから成る貫入ロッドに荷重を負荷して、地中に貫入する時の荷重と回転時の回転負荷トルクとを検出する貫入試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤の硬軟や締まりの程度を知る手段として、その地盤の地層構成、即ち地表からある深さまでの土質の調査が行われている。このような土質の調査は一般にボーリング調査による標準貫入試験方法を用いて行われるが、その前段、または比較的深度の浅い部分の土質を判定する方法の一つにスウェーデン式サウンディング試験方法がある。このスウェーデン式サウンディング試験は、ロッドに取り付けられたスクリューポイントを地盤に貫入する際、その抵抗を計測することによってその地盤の硬軟を測るものである。貫入方法は、非特許文献1(JIS A1221 地盤工学会)に示されるとおり、備え付けの錘により最大1KNまで6段階で荷重を加えて荷重のみで所謂自沈貫入を行う荷重段階と、最大荷重1KNにおいてもロッドが貫入しない場合に、その荷重下でロッドないしスクリューポイントを回転させて所謂回転貫入を行う回転段階との2段階で構成される。貫入抵抗に対応する計測項目は、荷重段階ではスクリューポイントが所定深度貫入した時点(25cm貫入毎)での荷重(Wsw)、回転段階では貫入量1m当りに換算されたスクリューポイントの半回転数(Nsw)である。
【0003】
しかしながら、上記スウェーデン式サウンディング試験においては、土質採取が難しいため土質判別を行いにくいことや、試験結果の解釈に経験的な技術・能力を必要とする等の欠点がある。特に後者に関しては、Nsw(半回転数/m)が応力や荷重の単位を有していないため、もう一つの計測項目であるWsw(N)との関係が不明確である点が指摘されている。つまり、荷重段階で得られるデータと回転段階で得られるデータに関連性がなく、自沈貫入地盤と回転貫入地盤の強度について相対的な比較ができない等の問題があった。例えば、Nswが50である粘土層とWswが1000Nである粘土層とを比較してみると、Nswを得る回転貫入は、Wswである1000Nの荷重をロッドないしスクリューポイントに負荷した状態で行うため、この場合Nswが50である粘土層の方が、Wswが1000Nである粘土層よりも硬く締まっているという性状は把握できる。しかし、強度的にどうかということまでは比較判定することができない。つまり、定性的に硬軟の関係を把握することはできても、定量的にそれらの強度を比較することはできないのである。このことは、今後、集積された試験結果から地盤沈下量との関係を求めようとする場合、あるいは試験結果の高度な利用を図る場合の障壁となる可能性が大きい。
【0004】
上記課題に鑑みて創成された従来の貫入試験方法として、特許文献1(特開2007−321385号公報)に示すものがある。この貫入試験方法は、所定深度単位で貫入ロッドに複数の異なる荷重を負荷し、ロッドに作用する鉛直方向の周面摩擦Wfとスクリューポイントに負荷される荷重Wとの合力Waと、ロッドに作用する水平方向の周面摩擦Tfとスクリューポイントの回転負荷トルクTとの合力Taとを取得し、これら合力WaとTaとの関係を求め、これを予め各種土質について得られた判定基準と比較して土質を判定するものである。これにより、従来のスウェーデン式サウンディング試験のように荷重と回転とによってロッド等を地中に貫入して試験データを得る貫入試験において、荷重と回転の双方の試験データに関連性を持たせ、これらを総合的に評価して土質を判定することが可能になる。このため、従来の自沈貫入地盤(Wswで評価された地盤)と回転貫入地盤(Nswで評価された地盤)という概念もなくなり、試験後のデータ処理を簡素化できるとともに、将来的に試験結果の解析や高度利用を図る場合の不具合も解消することができる等の利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−321385号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】日本工業規格A1221 スウェーデン式サウンディング試験方法
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記貫入試験方法では、本来、周面摩擦WfとTfはロッドだけに作用する値でなければならはいはずが、スクリューポイントの周面に付着した土砂の影響により、スクリューポイントに作用する周面摩擦を含む値を取得してしまう問題があった。特に、粘土層ではスクリューポイントの周面に土砂が付着して一体になって回転するので、このような問題が顕著に発生していた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題に鑑みて創成されたものであり、ロッドとその先端に取付けられるスクリューポイントから成る貫入ロッドに荷重を負荷して、地中に貫入する時の荷重と回転時の回転負荷トルクとを検出する貫入試験方法において、所定深度単位で貫入ロッドに複数の荷重を負荷し、これら各荷重Waと、これに対応する回転負荷トルクTaとを検出し、これらWa,Taから当該所定深度毎に貫入ロッドを引き上げて回転させたときのトルクTrmに基づいて算出されるロッドの周面摩擦を除外して、スクリューポイントに負荷される荷重Wと回転負荷トルクTを算出することを特徴とする。
【0009】
また、前記スクリューポイントに負荷される荷重Wとロッドに負荷される鉛直方向の周面摩擦Wfとの合力Waと、スクリューポイントに作用する回転負荷トルクTとロッドに作用する水平方向の周面摩擦Tfとの合力Taとを取得し、これら合力WaとTaとの関係を求め、これを予め各種土質について得られた判定基準と比較して土質を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロッドに作用する周面摩擦は貫入ロッドを引き上げて一回転させたときの回転トルクに基づいて算出される。これにより、引き上げ時にスクリューポイントの周面に付着した土砂が除去されて、回転時にはスクリューポイントの周面には土砂が付着していない状態になり、ロッドに作用する周面摩擦だけを算出することができる。そのため、貫入ロッドが地中に貫入する時の荷重と回転時の回転負荷トルクから、ロッドの周面摩擦を除去すれば、スクリューポイントだけに作用する荷重と回転負荷トルクを得ることができるので、試験データの信頼性が向上する。
【0011】
また、ロッドに作用する鉛直方向の周面摩擦Wfとスクリューポイントに負荷される荷重Wとの合力Waと、ロッドに作用する水平方向の周面摩擦Tfとスクリューポイントの回転負荷トルクTとの合力Taとを取得し、これら合力WaとTaとの関係を求め、これを予め各種土質について得られた判定基準と比較して土質を判定することにより、ロッドの周面摩擦を確実に考慮した土質判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る貫入試験方法を実施する自動貫入試験機の斜視図である。
【図2】本発明を係る貫入試験方法を実施する自動貫入試験機の拡大側面図である。
【図3】図2のA−A線に係る拡大断面図である。
【図4】本発明を係る貫入試験方法を実施する自動貫入試験機の要部拡大一部切欠断面図である。
【図5】各条件下における回転負荷トルクを示すグラフである。
【図6】土質の判定基準を得るための実験データに関する説明用グラフである。
【図7】土質の判定基準を得るための実験データに関する説明用グラフである。
【図8】土質の判定基準を得るための実験データに関する説明用グラフである。
【図9】土質の判定基準を得るための実験装置の概略説明図である。
【図10】土質判定基準の一例を示すグラフである。
【図11】土質判定基準の他の一例を示すグラフである。
【図12】地中に貫入した貫入ロッドに作用する周面摩擦の説明用概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1ないし図4において、1は自動貫入試験機であり、立設された支柱2に沿って昇降可能な昇降台3を有する。この昇降台3には、棒状のロッド4aの先端にスクリューポイント4bを連結した先端に連結された貫入ロッド4と、この貫入ロッド4を一体に保持可能なチャックユニット5と、このチャックユニット5を回転駆動するチャック用モータ6と、前記支柱2の長手方向に伸びて配置されたチェーン部材2aに噛合するスプロケット7と、このスプロケット7を回転駆動する昇降用モータ8と、前記スプロケット7の回転を制動するブレーキ手段9と、質量調整用のおもり3a・・とが装備されている。これらの装備の質量と昇降台3の質量の合計質量が貫入ロッド4に載荷されると、貫入ロッド4には最大1KNの荷重がかかる。前記チャック用モータ6、昇降用モータ8およびブレーキ手段9は、制御ユニット10によって駆動制御される。
【0014】
前記チャックユニット5は昇降台3に回転自在に配置されている。このチャックユニット5の下部とチャック用モータ6の出力軸6aとには、それぞれスプロケット11,12が一体に固定されており、これらに環状チェーン13を巻き掛けることで両者は連結されている。また、チャックユニット5側のスプロケット11の歯に対向する位置には、このスプロケット11が回転する時の歯の通過を検出してON/OFFする近接センサ(図示せず)が設けられている。この近接センサの信号は前記制御ユニット10によって取得され、制御ユニット10は、この信号から貫入ロッド4の半回転数を割り出すように構成されている。
【0015】
前記スプロケット7は、昇降用モータ8と一方向クラッチ14および前記ブレーキ手段9を介して連結されており、一方向クラッチ14の作用で、昇降台3を上昇させる方向にスプロケット7を回転させるよう昇降用モータ8が駆動した時、これがスプロケット7に伝達されるようになっている。逆方向にスプロケット7を回転させる昇降用モータ8の駆動(以下、逆駆動という)は、一方向クラッチ14の空転を生じる。このため、スクリューポイント4bが地盤に接している状態で昇降用モータ8が逆駆動すると、貫入ロッド4(ロッド4aないしスクリューポイント4b)には、昇降台3等の質量による荷重が負荷される。この荷重は、ブレーキ手段9がスプロケット7を制動する力を変更することで0Nから最大荷重1KNまで自在に変更することができる。なお、ブレーキ手段9としてはパウダブレーキまたはパウダクラッチが好ましい。
【0016】
本自動貫入試験機1では、貫入ロッド4先端のスクリューポイント4bが地表に接する位置から貫入試験をスタートする。この位置までは、制御ユニット10に備えられたマニュアル操作ボタンを押して昇降用モータ8を逆駆動し、昇降台3を下降させる。この位置からスタートボタンを押して試験スタート信号を与えると、制御ユニット10は自動で貫入ロッド4の地中への貫入制御を開始する。すなわち、制御ユニット10は試験スタート信号の入力を受けて、昇降用モータ8を逆駆動するとともに、チャック用モータ6を回転させる。これにより、貫入ロッド4に昇降台3等の質量による荷重を負荷し、これらを回転させながら地中に貫入する。
【0017】
試験中、制御ユニット10は、貫入ロッド4の半回転数を割り出す。また、ブレーキ手段9を制御し、貫入ロッド4に負荷される荷重を最小荷重200Nから200N刻みで最大荷重1KNまで短時間で増加させ、1KNになると再度200Nの荷重から200N刻みの荷重増加を繰り返す。そして、各荷重下で貫入ロッド4にかかる回転負荷トルクを取得する。貫入ロッド4にかかる回転負荷トルクは、チャック用モータ6に負荷する電流値に比例するため、本例では、チャック用モータ6の負荷電流値から回転負荷トルクを得る。さらに制御ユニット10は、スプロケット7の回転を検出するロータリエンコーダ15の信号からスプロケット7の回転回数を算出し、これからスクリューポイント4bの貫入深度を算出するとともに、単位時間当たりの貫入深度からスクリューポイント4bの貫入速度を割り出す。この貫入深度が25cm増加する間を1区間として、各区間毎の荷重変化、各荷重下での回転負荷トルクおよび各区間での半回転数が試験データとして制御ユニット10に自動的に記憶される。これにより、所定深度単位で貫入ロッド4に異なる荷重を負荷し、各荷重毎の回転負荷トルクを複数取得することができる。また、25cm貫入する毎に貫入ロッド4を1cm引き上げて1回転させて、トルク(Trm)を計測する。このトルク(Trm)は、詳細を後述するロッド4aの周面摩擦の算出の際に使用する。例えば、貫入ロッド4が25cm貫入する間に200N〜1KNの荷重変更が5サイクル行われた場合、各荷重に対応する回転負荷トルクが1サイクルで5個、合計で25個取得される。制御ユニット10は、以上の処理を繰り返し行って所定深度(例えば、地中10mの深度)までスクリューポイント4bを貫入する。なお、貫入試験中、貫入ロッド4のロッド4aは、必要に応じて上部のねじ部4cに延長用ロッド(図示せず)を螺合して延長する。
【0018】
本自動貫入試験機1は、前述の荷重に対応する回転負荷トルクについて塑性論アナロジーモデルを適用して、試験データを処理する。塑性論アナロジーモデルとは、土の応力とひずみの関係を与える構成則と同じ枠組み(アナロジー)を利用し、構造物の荷重と変位との関係を記述する数学モデルのことである。構造物に負荷される荷重には鉛直荷重やモーメント、水平荷重などがあるが、構造物の破壊時の荷重はその他の荷重の組み合わせによって変化する。塑性論アナロジーモデルでは、このような組み合わされた荷重の大きさを降伏曲面として記述するとともに、これらの荷重にそれぞれ対応する変位増分を塑性ポテンシャル関数を用いて記述するものである。スウェーデン式サウンディング試験や本例で紹介する貫入試験のような荷重と回転とを与えて貫入ロッドを地中に貫入する試験は、荷重段階の鉛直荷重に加えて回転段階における回転負荷トルクをその作用荷重とする試験であるので、塑性論アナロジーモデルを適用できる組み合わせ荷重の問題の一つであるといえる。
【0019】
そこで、こうした貫入試験についての塑性論アナロジーモデルを構築すると以下のようになる。まず、スクリューポイントに負荷される荷重段階の荷重Wと回転段階の回転負荷トルクTによる仕事増分δEは、
【数1】
と表すことができる。ここでδnhtは半回転数の増分、δstは貫入量の増分である。数1を自沈荷重Wpとスクリューポイントの最大直径Dとの積を用いて正規化すると、
【数2】
となる。ここでTnは正規化トルク、Wnは正規化荷重である。また、数2の結果から後述する塑性ポテンシャルの適用においては、TnとδnhtおよびWnとδst/Dがそれぞれ同軸性を有するものと判断している。
後述する実験結果から、貫入試験で得られる回転負荷トルクと荷重による降伏曲面は、原点に中心を有する楕円で表記できることが確かめられている。そこで、この降伏曲面の形状を決定する降伏曲面係数cyを用いて、
【数3】
と表す。この数3を数2を用いて表すと、
【数4】
が得られ、これを整理すると、降伏曲面は次のような別形式で表すことができる。
【数5】
塑性ポテンシャル関数についても降伏曲面と同様な楕円形状を有するものと仮定すると、
【数6】
と表せる。ここでcpは塑性ポテンシャル係数であり、これが前記cyに等しい時には関連流れ則が成立する。数5を微分することにより塑性ポテンシャル関数に直交する方向を求めると、
【数7】
となる。ここで1m貫入量当りの半回転数Nswにスクリューポイント最大径Dを乗じたNswDを正規化Nswと定義する。
【0020】
図5に、各条件下(A,B,C)における深度毎の回転負荷トルクの変位を示す。Aは削孔を施していない地盤に貫入ロッドを回転貫入したとき、スクリューポイント4bに作用する回転負荷トルクを示すグラフであり、当該スクリューポイント4bに作用する回転負荷トルクは、貫入ロッド4の回転負荷トルクから、貫入ロッド4を引き上げて検出したロッド4aの周面摩擦を除去して算出している。Bも、削孔を施していない地盤に貫入ロッド4を回転貫入したとき、スクリューポイント4bに作用する回転負荷トルクを示すグラフであり、当該スクリューポイント4bに作用する回転負荷トルクは貫入ロッド4の回転負荷トルクから、貫入ロッド4を引き上げずに検出したロッド4aの周面摩擦を除去して算出している。一方、Cは、スクリューポイント4bの最大径よりも小さく,かつロッドの径よりも大きく開口した削孔に貫入ロッド4を回転貫入して、このときの貫入ロッド4の回転負荷トルクの変位を示す。従って、Cは、貫入ロッド4の周囲に抵抗がない状態で回転貫入するため、貫入ロッド4の回転負荷トルクは、スクリューポイント4bの回転負荷トルクと見なすことができる。これらA,B,Cを比較すると、Aの方がCの値に近く、つまりロッド4aの周面抵抗を確実に除去していることが確認できる。
【0021】
図6ないし図8に粘土の土質サンプルについて行った実験の解析結果を示す。実験は、粘土について作製した実験用人工土層により行った。実験用人工土層は、図9に示す直径28cm高さ50cmの円形土槽Bの下部に排水層として砂と砂利を敷き詰め、その上から含水比w=50%に調整した藤ノ森粘土Cを投入し、この粘土Cの透水性を高めるために24時間真空ポンプを用いて脱気し、その後、上部から約20kPaを段階的に載荷させ下部は−100kPaに減圧させて圧密を行うことにより得た。
【0022】
実験装置は、図9に示すようにロッド20、おもり21、ベアリング付きおもり載荷装置22、スクリューポイント23、トルク計24から構成されている。ここでスクリューポイント23は、実物の1/5の大きさになるように銀粘土を用いて作製したもので、四角錘を右に一回ひねった形状をしており最大径6.7mm、長さ40mmである。
【0023】
実験方法は、まずロッド20の先端にスクリューポイント23とおもり載荷装置22を取り付け、ロッド20が鉛直に貫入されるように固定する。次に初期のおもり21を載荷し、自沈(荷重のみでの貫入)が停止してからそのときの貫入量を測定する。一方、最大荷重を載荷しても自沈しない場合はトルク計24を用いて回転貫入する。この方法で5cm毎の自沈荷重または回転負荷トルクを得ながら、スクリューポイント23を25cmの深さまで貫入する。スクリューポイント23が25cmの深さまで貫入すると、一旦引き抜き、最大荷重を変えて同様の方法で試験を繰り返す。これを最大荷重を例えば40N,80N,120N,160N,200Nの5段階に変化させて行うことにより、同一深度(5cm毎)における自沈荷重または異なる荷重での回転負荷トルクを得ることができる。これらの(πT/D)2,W2の深度毎の関係をプロットしたものが図6である。この図6における傾きが降伏曲面係数cy、X軸切片が自沈荷重Wpとなる。これにより得られた各深度での自沈荷重Wp、最大荷重W、回転負荷トルクTを数4に代入し、πT/WpD,W/Wpの関係をプロットしたのが図7であり、図中の実線は、数4に降伏曲面係数cyを代入して算出した理論値を示す。理論値と実験値を比較すると、いくらかばらつきが見られるものの、理論値のような楕円形の降伏曲面の存在が確認できた。また、図8は、前述の粘土地盤について得た荷重Wおよび回転負荷トルクTを用いて、数7における正規化Nswと、πT/WDの関係をグラフ化したものである。
【0024】
図10は、前述の粘土地盤と同様の方法で関東ローム、中密砂、密な砂の各土質サンプルについて作製した実験用人工土層に対して実験行い、その結果から求めた降伏曲面を粘土地盤のものと一緒に同一スケールでプロットした図である。これにより、降伏曲面は各土質において異なる形状を示すことがわかる。このように、各土質について求めた降伏曲面を基準として、これと実際の地盤(以下、実地盤という)での試験において求まる降伏曲面の形状とを比較することで、土質の判定を行うことが可能である。なお、降伏曲面については、楕円形に限定されず土質によって様々な形状を成すと考えられる。このため、土質の判定基準となる土質毎の降伏曲面は、様々な土質サンプルによる実験や実地盤における実測等により、できるだけ多くの種類を揃えておくことが好ましい。
【0025】
また図11は、関東ローム、中密砂、密な砂の実験結果から求めた数7における正規化Nswと、πT/WDの関係を粘土地盤のものと一緒に同一スケールで表したものである。この関係においても土質毎に異なった傾き、すなわち塑性ポテンシャル係数cpを示すことから、このグラフを土質判定の基準として用いることもできる。また、次の表1は、以上の実験結果から得られた粘土、関東ローム、中密砂、密な砂についての降伏曲面係数cyと塑性ポテンシャル係数cpとをまとめたものである。これらについても、土質により異なった値となることがわかる。このため、実地盤における貫入試験により荷重Wと回転負荷トルクTを取得し、これらから上記数3ないし数7を使って各係数cy,cpを求め、これらを予め実験で得られた基準値と比較することによっても土質を判定することが可能である。
【表1】
【0026】
実地盤における貫入試験においては、貫入ロッド4を地中に貫入する場合にロッド4aの長さが長くなるため、これに作用する土の抵抗が大きくなる。従って、前述の塑性論アナロジーモデルによる分析を実際の貫入試験へ適用する場合には、ロッド4aに作用する周面摩擦の影響を考慮する必要がある。図12は、貫入ロッド4に作用する周面摩擦の概念図を示す。ロッド4aに作用する鉛直方向の周面摩擦をWf、水平方向の周面摩擦によるトルクをTf、スクリューポイント4bに負荷されている荷重をW、回転負荷トルクをTとした場合、周面摩擦を考慮した荷重Waおよび回転負荷トルクTa(実際に貫入ロッド4に負荷される荷重と、検出される回転負荷トルク)は 数8,数9で表される。
【数8】
【数9】
また、ロッド4aに作用する周面摩擦Wf,Tfを算出するには、25cm貫入する毎に貫入ロッド4を1cm引き上げて、その最の回転トルクTrmを計測する。このときの最大せん断力は、次式で表される。
【数10】
さらに、合速度方向と合せん断応力の方向が等しいと仮定すると数11および数12が得られる。
【数11】
【数12】
ここで、δnhtは回転数、δstは貫入量、rはロッド径、τは合せん断応力、τθは水平方向のせん断応力、τzは鉛直方向のせん断応力である。
一方、回転および自沈貫入により生じる摩擦をそれぞれTf,Wfとすると、数13が得られる。
【数13】
この数13より、
【数14】
が得られ、続いて、この数式14より、
【数15】
が得られ、数12,13および数14から、
【数16】
となる。ここで、Fは荷重およびトルクによる周面摩擦Wf,Tfの合力である。数7、数8および数15より、
【数17】
また、数9および数17より、
【数18】
となり、この数18をNswDについて解くと、
【数19】
となる。この数19により、ロッド4aの周面摩擦を考慮した正規化Nswを得ることができる。正規化Nswを土質判定の基準として用いる場合には、この周面摩擦を考慮した正規化Nswを用いるのがよい。また、上述の降伏曲面を求める場合にも、スクリューポイント4bに作用している荷重Wと回転負荷トルクTを用いた方がよい。この場合には、特開2001-228068号公報によって示される方式により、スクリューポイント4bにかかる荷重Wを求めることができる。さらに、前述した貫入ロッド4を1cm引き上げて計測したロッド4aの水平面周面摩擦Tfと実測された回転負荷トルクTaとを数8に代入すればスクリューポイント4bに作用する回転負荷トルクTを求めることができる。このようにしてロッド4aに作用する周面摩擦による荷重やトルクを除外したスクリューポイント4bに本来作用している荷重Wと回転負荷トルクTを求め、これらを用いることにより、より正確な降伏曲面を求めることができる。
【0027】
本自動貫入試験機1による貫入試験で試験データとして得られた荷重と回転負荷トルクは、前記荷重Waと回転負荷トルクTaに相当するものである。よって、試験データの処理において制御ユニット10は、まず、貫入深度25cm単位で貫入ロッド4に負荷される各荷重Waと、これに対応する回転負荷トルクTaとから、当該貫入深度25cm毎に貫入ロッド4を1cm引き上げて1回転させたときのトルクTrmに基づいて算出されたロッド4aの周面摩擦の影響を除外し、スクリューポイント4bに負荷される荷重W、回転負荷トルクTを求める。そして、これらから数5を用いて降伏曲面係数cyと自沈荷重Wpを求める。なお、制御ユニット10は貫入ロッド4の貫入速度を常に監視し、荷重を増加していく中で自沈が生じたと判断した場合は、その荷重を維持し、そのまま25cmの区切り深度まで貫入した場合は、この自沈を生じた荷重を自沈荷重Wpとする。
【0028】
制御ユニット10は、以上のようにして得られた自沈荷重Wpと、試験データである各荷重値Wおよび各荷重値に対応する回転負荷トルクTを数4に代入してπT/WpD,W/Wpを算出するとともに、数4に降伏曲面係数cyを代入して理論値を算出する。そして、これらπT/WpD,W/Wpおよび理論値をプロットした降伏曲面を作成し、これを液晶パネル10aに表示出力したり、プリンタ10bに印刷出力するなどして作業者が視認可能に出力する。作業者においては、出力された降伏曲面グラフを前述の実験等により得られた土質毎の基準降伏曲面グラフの形状と比較することにより、土質を判定することができる。このように各区間(貫入深度25cm毎)の降伏曲面を得ることにより、スクリューポイント4bを貫入した深度全般に渡って荷重と回転負荷トルクの統一的な分析結果を得ることができる。また、グラフ形状の比較によって各区間での土質の判定が可能となるため、必ずしも経験的な技術・能力を十分に備えない者であっても、正確な土質判定を行うことが可能になる。このことは、例えば地盤調査に十分な知識を持たない個人住宅の施主等においても、分析結果から土質や地盤強度の把握がこれまで以上に容易になることも意味する。
【0029】
なお、以上の説明では貫入ロッド4に負荷する荷重を段階的に変動させ、スクリューポイント4bが25cm貫入する毎の各荷重下での回転負荷トルクを取得するようにしているが、これ以外にも、次の方法で所定深度毎の異なる荷重に対する回転負荷トルクを取得してもよい。すなわち、ロッドを所定深度(例えば25cm)毎貫入する間は、通常のスウェーデン式サウンディング試験方法に従って自沈貫入および回転貫入を適宜行って貫入ロッド4を地中に貫入する。そして、スクリューポイント4bが所定深度貫入する毎に一旦荷重を0(ゼロ)にし、ここから荷重を200N,400N,600N,800N,1KNまで(ただし、所定深度貫入する間、自沈貫入であった場合は、その自沈貫入が起きる最大の荷重まで)増やし、各荷重毎に貫入ロッド4を回転させて回転負荷トルクを得る。これによって得られた荷重および各荷重に対応する回転負荷トルクによっても、前述の降伏曲面や正規化Nswの関係図を得ることが可能である。
【0030】
また、制御ユニット10については、得られた試験データから正規化NswとπT/WDの関係を示すグラフを作成し、これを作業者が視認可能に出力するように構成してもよく、これによっても、前述の降伏曲面を用いる場合と同様、スクリューポイント4bを貫入させた深度全般に渡って荷重と回転負荷トルクとによる統一的な分析結果を得ることができるとともに、土質判定や試験結果の解釈の専門性を緩和することができる。さらに、スクリューポイント4bの貫入深度25cm単位の各荷重Waと、これに対応して検出される回転負荷トルクTaとをスクリューポイント4bに負荷される荷重W、回転負荷トルクTとみなして試験データの処理を行ってもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 自動貫入試験機
2 支柱
2a チェーン部材
3 昇降台
4 貫入ロッド
4a ロッド
4b スクリューポイント
5 チャックユニット
6 チャック用モータ
7 スプロケット
8 昇降用モータ
9 ブレーキ手段
10 制御ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドとその先端に取付けられるスクリューポイントから成る貫入ロッドに荷重を負荷して、地中に貫入する時の荷重と回転時の回転負荷トルクとを検出する貫入試験方法において、
所定深度単位で貫入ロッドに複数の荷重を負荷し、これら各荷重Waと、これに対応する回転負荷トルクTaとを検出し、これらWa,Taから当該所定深度毎に貫入ロッドを引き上げて回転させたときのトルクTrmに基づいて算出されるロッドの周面摩擦を除外して、スクリューポイントに負荷される荷重Wと回転負荷トルクTを算出することを特徴とする貫入試験方法。
【請求項2】
前記スクリューポイントに負荷される荷重Wとロッドに負荷される鉛直方向の周面摩擦Wfとの合力Waと、スクリューポイントに作用する回転負荷トルクTとロッドに作用する水平方向の周面摩擦Tfとの合力Taとを取得し、これら合力WaとTaとの関係を求め、これを予め各種土質について得られた判定基準と比較して土質を判定することを特徴とする請求項1に記載の貫入試験方法。
【請求項1】
ロッドとその先端に取付けられるスクリューポイントから成る貫入ロッドに荷重を負荷して、地中に貫入する時の荷重と回転時の回転負荷トルクとを検出する貫入試験方法において、
所定深度単位で貫入ロッドに複数の荷重を負荷し、これら各荷重Waと、これに対応する回転負荷トルクTaとを検出し、これらWa,Taから当該所定深度毎に貫入ロッドを引き上げて回転させたときのトルクTrmに基づいて算出されるロッドの周面摩擦を除外して、スクリューポイントに負荷される荷重Wと回転負荷トルクTを算出することを特徴とする貫入試験方法。
【請求項2】
前記スクリューポイントに負荷される荷重Wとロッドに負荷される鉛直方向の周面摩擦Wfとの合力Waと、スクリューポイントに作用する回転負荷トルクTとロッドに作用する水平方向の周面摩擦Tfとの合力Taとを取得し、これら合力WaとTaとの関係を求め、これを予め各種土質について得られた判定基準と比較して土質を判定することを特徴とする請求項1に記載の貫入試験方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−160067(P2010−160067A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2712(P2009−2712)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年7月9日 社団法人地盤工学会発行の「第43回地盤工学研究発表会in広島(平成20年度発表講演集)」(CD−ROM)に発表
【出願人】(000227467)日東精工株式会社 (263)
【出願人】(301033053)株式会社日本住宅保証検査機構 (9)
【出願人】(505359023)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年7月9日 社団法人地盤工学会発行の「第43回地盤工学研究発表会in広島(平成20年度発表講演集)」(CD−ROM)に発表
【出願人】(000227467)日東精工株式会社 (263)
【出願人】(301033053)株式会社日本住宅保証検査機構 (9)
【出願人】(505359023)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]